特許第6206548号(P6206548)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6206548着色樹脂組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置及び有機EL表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6206548
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】着色樹脂組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置及び有機EL表示装置
(51)【国際特許分類】
   C09B 67/20 20060101AFI20170925BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20170925BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20170925BHJP
   H05B 33/12 20060101ALI20170925BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20170925BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20170925BHJP
   C09B 69/06 20060101ALI20170925BHJP
   C08F 2/50 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   C09B67/20 F
   G02B5/20 101
   H05B33/14 A
   H05B33/12 E
   G03F7/004 505
   G02F1/1335 505
   C09B69/06
   C08F2/50
【請求項の数】5
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2016-126691(P2016-126691)
(22)【出願日】2016年6月27日
(62)【分割の表示】特願2012-67860(P2012-67860)の分割
【原出願日】2012年3月23日
(65)【公開番号】特開2016-183353(P2016-183353A)
(43)【公開日】2016年10月20日
【審査請求日】2016年6月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(72)【発明者】
【氏名】藤原 宗賢
(72)【発明者】
【氏名】蓼沼 祥平
【審査官】 桜田 政美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−343648(JP,A)
【文献】 特開2010−168455(JP,A)
【文献】 特開平07−109430(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B 67/20
C08F 2/50
C09B 69/06
G02B 5/20
G02F 1/1335
G03F 7/004
H01L 51/50
H05B 33/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)染料、(B)溶剤、及び(C)バインダー樹脂を含有する着色樹脂組成物であって、
該(A)染料が下記式(I)で表される化合物を含み、
且つ、着色樹脂組成物の水分量が、1060ppm以上、11000ppm未満であり、
更に、(D)重合性モノマーを含有することを特徴とする、着色樹脂組成物。
[Zm-n[An+m (I)
(上記式(I)中、Zm-は、m価のジスルホニルイミドアニオンを表す。
n+は、トリアリールメタン類の色素骨格を有する化合物のn価のカチオンを表す。
m及びnは、1を表す。)
【請求項2】
更に、(E)光重合開始成分及び/又は熱重合開始成分を含有することを特徴とする、請求項に記載の着色樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の着色樹脂組成物を用いて形成された画素を有することを特徴とする、カラーフィルタ。
【請求項4】
請求項に記載のカラーフィルタを有することを特徴とする、液晶表示装置。
【請求項5】
請求項に記載のカラーフィルタを有することを特徴とする、有機EL表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色樹脂組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置及び有機EL表示装置に存する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置および有機EL表示装置を始めとするフラットパネルディスプレイは、幅広く使用されており、これらのディスプレイにはカラーフィルタが使用されている。
省エネルギー化という時代の流れを汲んで、カラーフィルタとしては更なる高輝度化、高コントラスト化が求められている。
カラーフィルタには顔料を用いた着色樹脂組成物が主に使用されているが、高輝度及び高コントラストとするために、例えば、非特許文献1では顔料粒子の粒径をその呈色波長の1/2以下にまで微分散する方法が開示されている。
しかしながら、特に青色顔料は他の赤色、緑色顔料に比較して呈色波長が短いため、この場合にはさらなる微分散を必要とし、コストアップ並びに分散後の安定性が問題となる。
【0003】
一方、着色剤として、染料の開発も行われている。
例えば、特許文献1では、トリアリールメタン誘導体を染料として用いることが開示されている。しかしながら、輝度及び耐熱性については不十分であった。これを改善する為に、例えば、特許文献2及び3では、トリアリールメタン塩において、更にアニオンを特定構造にするといった、分子修飾を行うことが開示されている。
【0004】
一方、分子修飾をせずに、染料の耐熱性を向上させる方法としては、例えば、特許文献4及び5では、着色樹脂組成物に酸化防止剤を含有することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−304766号公報
【特許文献2】特開2011−132492号公報
【特許文献3】特開2011−133844号公報
【特許文献4】特開2009−122650号公報
【特許文献5】特開2010−134278号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】橋爪清「色材協会誌」(1967年12月、608頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2及び3に記載の染料でも、輝度や耐熱性は不十分であった。
また、特許文献4及び5に記載の着色樹脂組成物で形成された画素も、輝度や耐熱性が不十分であった。
ここで、本発明は、上記課題を鑑みて、得られる画素の輝度及び耐熱性が良好である着色樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明または、画素の輝度が高いカラーフィルタ、並びに高品質の液晶表示装置及び有機EL表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、鋭意検討を行った結果、特定の染料を含む着色樹脂組成物において、水分量を特定範囲内とすることで、上記課題を解決しうることを見出して本発明に到達した。
即ち、本発明は、(A)染料、(B)溶剤、及び(C)バインダー樹脂を含有する着色樹脂組成物であって、該(A)染料が下記式(I)で表される化合物(以下、「化合物(I)」と称する場合がある)を含み、且つ、着色樹脂組成物の水分量が、1050ppm以上、11000ppm未満であることを特徴とする着色樹脂組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置及び有機EL表示装置に存する。
【0009】
[Zm-n[An+m (I)
(上記式(I)中、Zm-は、m価のアニオンを表す。
n+は、n価の染料のカチオンを表す。
m及びnは、1〜4の整数を表す。)
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、得られる画素の輝度及び耐熱性が良好である着色樹脂組成物を提供することが可能となる。
このような着色樹脂組成物を用いることにより、画素の輝度が高いカラーフィルタ、及び高品質の液晶表示装置並びに有機EL表示装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明のカラーフィルタを有する有機EL素子の一例を示す断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下の記載は本発明の実施態様の一例であり、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。
なお、本発明において「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリレート」等は、「アクリル及び/又はメタクリル」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」等を意味するものとし、例えば「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」を意味するものとする。
【0013】
また「全固形分」とは、後記する溶剤成分以外の本発明の着色樹脂組成物の全成分を意味するものとする。
本発明における「色材」とは、「染料」と「顔料」の双方を意味するものとする
更に、「芳香族環」とは、「芳香族炭化水素環」及び「芳香族複素環」の双方を意味するものとする。
【0014】
又、「C.I.ピグメントグリーン」等の用語は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
本発明は、(A)染料、(B)溶剤、及び(C)バインダー樹脂を含有し、且つ水分量が、1050ppm以上、11000ppm未満である着色樹脂組成物であり、好ましくは更に(D)重合性モノマー、(E)光重合開始成分及び/又は熱重合開始成分を含み、更に必要に応じて配合されるその他の成分を含む。
先ず、本発明における(A)染料について説明する。
【0015】
[(A)染料]
本発明の着色樹脂組成物は、下記式(I)で表される化合物を(A)染料として含有する。
[Zm-n[An+m (I)
(上記式(I)中、Zm-は、m価のアニオンを表す。
【0016】
n+は、n価の染料のカチオンを表す。
m及びnは、1〜4の整数を表す。)
m-は、m価のアニオンを表す。
該m価のアニオンとしては、本発明の効果を損なわない限り特に制限はないが、製造が容易である点及び負電荷が非局在化していることでアニオンが安定である点で、ジスルホニルイミドアニオンであることが好ましい。
【0017】
n+は、n価の染料のカチオンを表す。
該染料のカチオンとしては、本発明の効果を行わない限り特に制限はないが、例えば、「Industrial Dyes -Chemistry, Properties, Applications-(Wiley-VCH, 2003年、Klaus Hunger編集)」等に記載されている色素が挙げられる。
より具体的には、トリアリールメタン類、シアニン類、スチリル類、アジン類等の色素骨格(Chromophore)を有する化合物が挙げられ、所望する色により適宜選択することができる。
【0018】
特に、青色(Blue)を所望する場合、色濃度、輝度及び耐熱性が優れる点からトリアリールメタン類が好ましく、紫色(Violet)を所望する場合は、色濃度、輝度及び耐熱性が優れる点からトリアリールメタン類、シアニン類が特に好ましい。
以下、トリアリールメタン類について詳説する。
(式(II)で表される化合物について)
前記式(I)で表される化合物は、得られる画素の輝度が高く、また耐熱性が良好である点で、トリアリールメタン類の中でも、下記式(II)で表される化合物(以下、「化合物(II)」と称する場合がある)であることが好ましい。
【0019】
【化1】
【0020】
(上記式(II)中、m及びZm-は、前記式(I)におけると同義である。
1〜R6は、各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。
隣接するR1〜R6同士が結合して環を形成してもよく、該環は置換基を有していてもよい。
【0021】
7及びR8は、水素原子、又は任意の置換基を表す。
7及びR8は、互いに連結して環を形成していてもよく、該環は置換基を有していてもよい。
また、上記式(II)中のベンゼン環は、更に任意の置換基を有していてもよい。
101及びR102は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜6のアルケニル基、置換基を有していてもよい芳香族環基、又はフッ素原子を表す。
【0022】
101及びR102は、互いに連結して環を形成していてもよく、該環は置換基を有していてもよい。
尚、一分子中に複数の
【0023】
【化2】
【0024】
が含まれる場合、それらは同じ構造であっても、異なる構造であってもよい。)
(R1〜R6について)
1〜R6は、各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。
1〜R6におけるアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基であって、その炭素数が通常1以上、また、通常8以下、好ましくは5以下のものが挙げられる。具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、2−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0025】
1〜R6における芳香族環基としては、芳香族炭化水素環基及び芳香族複素環基が挙げられる。
芳香族炭化水素環基としては、単環であっても縮合環であってもよく、環を形成する炭素数が6〜18であれば特に制限はないが、例えば、1個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの基が挙げられる。
尚、本発明における遊離原子価については、「有機化学・生化学命名法 上」(南江堂、1992年5月20日発行、平山健三、平山和雄訳著、11−12頁)の記載に基づくものである。
【0026】
また、芳香族複素環基としては、単環であっても縮合環であってもよく、環を形成する炭素数が3〜10であれば特に制限はないが、例えば、1個の遊離原子価を有する、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの基が挙げられる。
【0027】
隣接するR1〜R6同士は連結して環を形成してもよく、更に該環は、置換基を有していてもよい。
また、該環はヘテロ原子で架橋された環であってもよく、この具体例として、例えば以下の構造が挙げられる。
【0028】
【化3】
【0029】
化学的安定性の点から、R1〜R6として好ましくは、各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基又は置換基を有していてもよいフェニル基であるか、或いは隣接するR1〜R6が互いに連結して環を形成する場合である。化合物(II)の耐熱性を向上し、得られるカラーフィルタの耐熱性が優れる点で、より好ましくは置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基又は置換基を有していてもよいフェニル基である。
【0030】
1〜R6が、炭素数1〜8のアルキル基である場合、超共役によりカチオン内の電荷が分散し、カチオンが安定化するものと推測される。
また、R1〜R6が、置換基を有していてもよいフェニル基である場合、共役系が延長する為、カチオン内の電荷が分散して、カチオンが安定化する。このように、カチオンが安定化した結果、得られるカラーフィルタの耐熱性がより優れる。
1〜R6におけるアルキル基、芳香族環基及び互いに連結して形成される環が有していてもよい置換基としては、例えば、下記(置換基群W)の項に記載のものが挙げられる。
【0031】
(置換基群W)
フッ素原子、塩素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、フェニル基、メシチル基、トリル基、ナフチル基、アセチルオキシ基、炭素数2〜9のアルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素数2〜9のアルキルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基、スルファモイル基、炭素数1〜8のアルキルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基、炭素数2〜9のアルキルカルボニル基、ベンゾイル基、炭素数1〜8のアルキルスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基、フェネチル基、ヒドロキシエチル基、アセチルアミノ基炭素数1〜4のアルキル基が結合してなるジアルキルアミノエチル基、トリフルオロメチル基、炭素数1〜8のトリアルキルシリル基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、炭素数1〜8のアルキルチオ基。
【0032】
中でも、R1〜R6におけるアルキル基、芳香族環基及び互いに連結して形成される環が有していてもよい置換基として、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルコキシル基、シアノ基、アセチルオキシ基、炭素数2〜8のアルキルカルボキシル基、スルホン酸アミド基、炭素数2〜8のスルホンアルキルアミド基及びフッ素原子である。
【0033】
(R7及びR8について)
7及びR8は、水素原子、又は任意の置換基を表す。
該任意の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、置換基を有していてもよい芳香族環基などが挙げられる。
また、R7及びR8は、互いに連結して環を形成していてもよい。R7及びR8同士が結合して環を形成する場合、これらはヘテロ原子で架橋された環であってもよい。この環の具体例として、例えば以下のものが挙げられる。これらの環は置換基を有していてもよい。
【0034】
【化4】
【0035】
(上記中、R1a及びR2aは、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表す。)
得られるカラーフィルタが青色であり、且つ高輝度である点から、R7及びR8同士は互いに連結して環を形成していない方が好ましい。
また、上記式(II)中のベンゼン環は、更に任意の置換基を有していてもよい。
該ベンゼン環が有していてもよい置換基としては、例えば、前記(置換基群W)の項で記載したものが挙げられる。
【0036】
(R101及びR102について)
101及びR102は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜6のアルケニル基、置換基を有していてもよい芳香族環基、又はフッ素原子を表す。
アルキル基及び芳香族環基としては、前記(R1〜R6について)の項で記載したものが挙げられる。
【0037】
アルケニル基としては、炭素数が通常2以上、通常6以下のものが挙げられる。具体例としては、ビニル基、アリル基、1−ブテニル基等が挙げられる。
又、R101とR102とが連結して環の一部を構成することによりトリアリールメタン構造の中心にあるsp2炭素原子と隣接するベンゼン環からなる平面に対して、R10
1及びR102が結合するベンゼン環がねじれの位置関係になるため、青色の吸収を有するようになり、これを用いたカラーフィルタ用着色樹脂組成物の分光特性が向上し、青色表示部材のコントラストが向上し易い点で好ましい。
101及びR102の連結部分の構造として、例えば以下のものが挙げられる。
【0038】
【化5】
【0039】
101及びR102の連結部分の構造は、置換基を有していてもよい。 該置換基としては、例えば、前記(置換基群W)の項で記載したものが挙げられる。
また、上記式(I)中のベンゼン環は、更に任意の置換基を有していてもよい。つまり、本発明の効果を損わない範囲で、式(II)中に明記した以外の置換基を有していてもよいが、製造が容易である点から、式(II)中に明記した以外の置換基を有さない方が好ましい。
【0040】
このような置換基としては、前記(置換基群W)の項に記載の置換基が挙げられる。
[式(II−1)で表される化合物について]
前記式(II)で表される化合物は、下記式(II−1)で表される化合物であることが好ましい。
【0041】
【化6】
【0042】
(上記式(II−1)中、R1〜R8、R101及びR102は、前記式(II)における定義と同義である。
上記式(II−1)中のベンゼン環は、更に任意の置換基を有していてもよい。
21及びR22は、各々独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜6のアルケニル基、又は置換基を有していてもよい炭素数3〜8のシクロアルキル基を表す。
【0043】
尚、R21及びR22は、互いに連結して環を形成していてもよく、該環は置換基を有していてもよい。)
(R21及びR22について)
21及びR22は、各々独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜6のアルケニル基、又は置換基を有していてもよい炭素数3〜8のシクロアルキル基を表す。
【0044】
尚、R21及びR22は、互いに連結して環を形成していてもよく、該環は更に置換基を有していてもよい。
21及びR22におけるアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基及び互いに連結して形成される環が有していてもよい置換基としては、前記(置換基群W)の項で記載したものが挙げられる。
【0045】
中でも、R21及びR22におけるアルキル基、アルケニル基又はシクロアルキル基が有する置換基としては、アニオンの電荷がより非局在化して、染料の耐熱性が向上する点で、フッ素原子を置換基として有することが好ましい。
中でも、R21及びR22は、アニオンの電荷が分散されて、アニオンが安定化する点で、フッ素原子を含有する基であることが好ましく、特に炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基がであることが好ましい。
【0046】
[式(II)で表される化合物の具体例]
【0047】
【化7】
【0048】
【化8】
【0049】
【化9】
【0050】
[式(III)で表される化合物]
前記式(I)で表される化合物は、得られる画素の輝度が高く、また耐熱性が良好である点で、トリアリールメタン類の中でも、下記式(III)で表される化合物であることが好ましい。
【0051】
【化10】
【0052】
(上記式(III)中、m及びZm-は、前記式(I)におけると同義である。
11〜R16は、各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよい芳香族環基を示す。
11〜R14は、互いに連結して環を形成していてもよく、該環は置換基を有していてもよい。
【0053】
17及びR18は、各々独立に、水素原子、又は任意の置換基を表す。R17及びR18は、互いに結合して環を形成していてもよい。
又、上記式(III)中のベンゼン環及びインドール環は更に任意の置換基を有していてもよい。
尚、1分子中に複数の
【0054】
【化11】
【0055】
が含まれる場合、それらは同じ構造であっても、異なる構造であってもよい。)
(R11〜R16について)
11〜R16は、各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。
炭素数1〜8のアルキル基及び芳香族環基としては、前記(R1〜R6について)の項で記載したものと同様である。
【0056】
また、隣接するR11〜R16同士、つまり、R11とR12、R13とR14及びR15とR16が、各々互いに結合して環構造を形成している場合も、前記(R1〜R6について)の項で記載したものと同様である。
(R17及びR18について)
17及びR18は、水素原子、又は任意の置換基を表す。該任意の置換基としては、前記R1〜R6に記載のものが挙げられる。
【0057】
また、R17及びR18は、互いに連結して環を形成していてもよい。
17及びR18同士が結合して環を形成する場合、これらはヘテロ原子で架橋された環であってもよく、その具体例は、前記(R7及びR8について)の項で記載のものと同様である。これらの環は置換基を有していてもよい。
得られるカラーフィルタが紫色であり、且つ高輝度である点から、R7及びR8同士は互いに連結して環を形成していない方が好ましい。
【0058】
また、得られるカラーフィルタが赤色であり、且つ高輝度である点から、互いに連結して環を形成している方が好ましい。
尚、化合物(III)において、ベンゼン環及びインドール環は、更に置換基を有していてもよい。つまり、本発明の効果を損なわない範囲で、式(III)中に明記した以外の置換基を有していてもよい。
このような置換基としては、前記(置換基群W)の項に記載の置換基が挙げられる。
【0059】
なお、式(III)中のベンゼン環において、トリアリールメチン構造の中央に位置する炭素原子との結合に対し、o−位に嵩高い基が結合すると、分子の平面性が阻害され、化合物の色純度が低下する場合がある。従って、o−位には置換基を有さないか、又はハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基で置換されていることが好ましい。
また、化合物(III)は、例えば、R11〜R18から、リンカーを伸ばして、2量体や3量体などを形成していてもよい。
(式(III−1)で表される化合物について)
化合物(III)中、特に好ましくは、アニオンがジスルホニルイミドアニオンであり、前記式(III)においては、特に下記式(III−1)で表される化合物(以下、「化合物(III−1)」と称する場合がある)であることが好ましい。
【0060】
【化12】
【0061】
(式中、R11〜R18は、前記式(III)にけると同様である。 R31及びR32は、各々独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜6のアルケニル基、又は置換基を有していてもよい炭素数3〜8のシクロアルキル基を表す。
尚、R31及びR32は、互いに結合して環を形成していてもよい。) (R31及びR32について)
31及びR32は、各々独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜6のアルケニル基、又は置換基を有していてもよい炭素数3〜8のシクロアルキル基を表す。
【0062】
尚、R31及びR32は、互いに結合して環を形成していてもよい。 R31及びR32は、前記式(II−1)におけるR21及びR22と同様であり、好ましい態様も同様である。
以下に、本発明における式(III)で表される化合物の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[化合物(III)の具体例]
【0063】
【化13】
【0064】
【化14】
【0065】
((A)染料の含有量)
本発明の着色樹脂組成物に含まれる(A)染料の含有量は、所望する画素の色により異なるが、例えば、全固形分に対し、通常1重量%以上、好ましくは3重量%以上、更に好ましくは5重量%以上、また、通常50重量%以下、更に好ましくは40重量%以下、より好ましくは30重量%以下である。
【0066】
上記範囲内であると、色濃度に対して膜厚が適度であり、液晶セル化の際のギャップ制御が容易である。更に、分散安定性が高く、再凝集や増粘などが置き難いため好ましい。
尚、(A)染料として化合物(I)以外の染料を含有している場合も、上記範囲内であることが好ましく、また本発明の効果が得られ易い点で、(A)染料は化合物(I)のみであることが特に好ましい。
【0067】
[(B)溶剤]
本発明における(B)溶剤は、着色樹脂組成物に含まれる各成分を溶解または分散させ、粘度を調節する機能を有する。
該(B)溶剤としては、着色樹脂組成物を構成する各成分を溶解または分散させることができるものであればよく、沸点が100〜200℃の範囲のものを選択するのが好ましい。より好ましくは120〜170℃の沸点をもつものである。
【0068】
このような溶剤としては、例えば、次のようなものが挙げられる。
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール−モノt−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメチルペンタノール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルのようなグリコールモノアルキルエーテル類;
【0069】
エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルのようなグリコールジアルキルエーテル類;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテートのようなグリコールアルキルエーテルアセテート類;
【0070】
ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジアミルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジヘキシルエーテルのようなエーテル類;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソアミルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチルアミルケトン、メチルブチルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルノニルケトンのようなケトン類;
エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリンのような1価または多価アルコール類;
n−ペンタン、n−オクタン、ジイソブチレン、n−ヘキサン、ヘキセン、イソプレン、ジペンテン、ドデカンのような脂肪族炭化水素類;
【0071】
シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキセン、ビシクロヘキシルのような脂環式炭化水素類;
ベンゼン、トルエン、キシレン、クメンのような芳香族炭化水素類;
アミルホルメート、エチルホルメート、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸アミル、メチルイソブチレート、エチレングリコールアセテート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、イソ酪酸メチル、エチルカプリレート、ブチルステアレート、エチルベンゾエート、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトンのような鎖状または環状エステル類;
【0072】
3−メトキシプロピオン酸、3−エトキシプロピオン酸のようなアルコキシカルボン酸類;
ブチルクロライド、アミルクロライドのようなハロゲン化炭化水素類;
メトキシメチルペンタノンのようなエーテルケトン類;
アセトニトリル、ベンゾニトリルのようなニトリル類:
これらの溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0073】
上記溶剤中、前述の本発明に係る(A)染料の溶解性の点から、グリコールモノアルキルエーテル類が好ましい。中でも、特に組成物中の各種構成成分の溶解性の点からプロピレングリコールモノメチルエーテルが特に好ましい。
また、例えば任意成分として後述する顔料を含む場合には、塗布性、表面張力などのバランスがよく、組成物中の構成成分の溶解度が比較的高い点からは、溶剤としてさらにグリコールアルキルエーテルアセテート類を混合して使用することがより好ましい。なお、顔料を含む組成物中では、グリコールモノアルキルエーテル類は極性が高く、顔料を凝集させる傾向があり、着色樹脂組成物の粘度を上げる等、保存安定性を低下させる場合がある。このため、グリコールモノアルキルエーテル類の使用量は過度に多くない方が好ましく、(B)溶剤中のグリコールモノアルキルエーテル類の割合は5〜50重量%が好ましく、5〜30重量%がより好ましい。
【0074】
また、最近の大型基板等に対応したスリットコート方式への適性という観点からは、150℃以上の沸点をもつ溶剤を併用することも好ましい。この場合、このような高沸点溶剤の含有量は、(B)溶剤全体に対して3〜50重量%が好ましく、5〜40重量%がより好ましく、5〜30重量%が特に好ましい。高沸点溶剤の量が少なすぎると、例えばスリットノズル先端で染料成分などが析出・固化して異物欠陥を惹き起こす可能性があり、また多すぎると組成物の乾燥速度が遅くなり、後述するカラーフィルタ製造工程における、減圧乾燥プロセスのタクト不良や、プリベークのピン跡といった問題を惹き起こすことが懸念される。
【0075】
なお、沸点150℃以上の溶剤は、グリコールアルキルエーテルアセテート類であっても、またグリコールアルキルエーテル類であってもよく、この場合は、沸点150℃以上の溶剤を別途含有させなくてもかまわない。
本発明の着色樹脂組成物において、(B)溶剤の含有量に特に制限はないが、その上限は通常99重量%とする。組成物中の(B)溶剤の含有量が99重量%を超える場合は、(B)溶剤を除く各成分の濃度が小さくなり過ぎて、塗布膜を形成するには不適当となるおそれがある。一方、(B)溶剤の含有量の下限値は、塗布に適した粘性等を考慮して、通常75重量%、好ましくは80重量%、更に好ましくは82重量%である。
【0076】
[(C)バインダー樹脂]
(C)バインダー樹脂は、硬化手段により好ましい樹脂は異なる。
本発明の着色樹脂組成物が光重合性樹脂組成物である場合、(C)バインダー樹脂としては、例えば特開平7−207211号、特開平8−259876号、特開平10−300922号、特開平11−140144号、特開平11−174224号、特開2000−56118号、特開2003−233179号などの各公報等に記載される高分子化合物を使用することができるが、中でも好ましくは下記(C−1)〜(C−5)の樹脂などが挙げられる。
【0077】
(C−1):エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の少なくとも一部に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、又は該付加反応により生じた水酸基の少なくとも一部に多塩基酸無水物を付加させて得られる、アルカリ可溶性樹脂(以下、「樹脂(C−1)」と称す場合がある。)
(C−2):カルボキシル基含有直鎖状アルカリ可溶性樹脂(C−2)(以下、「樹脂(C−2)」と称す場合がある。)
(C−3):前記樹脂(C−2)のカルボキシル基部分に、エポキシ基含有不飽和化合物を付加させた樹脂(以下「樹脂(C−3)」と称す場合がある。)
(C−4):(メタ)アクリル系樹脂(以下、「樹脂(C−4)」と称す場合がある。)
(C−5):カルボキシル基を有するエポキシアクリレート樹脂(以下「樹脂(C−5)と称す場合がある。)
このうち特に好ましくは樹脂(C−1)が挙げられ、以下該樹脂について説明する。
【0078】
尚、樹脂(C−2)〜(C−5)は、アルカリ性の現像液によって溶解され、目的とする現像処理が遂行される程度に溶解性を有するものであれば何でもよく、各々、特開2009−025813号公報に同項目として記載のものと同様である。好ましい態様も同様である。
(C−1):エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の少なくとも一部に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは該付加反応により生じた水酸基の少なくとも一部に多塩基酸無水物を付加させて得られるアルカリ可溶性樹脂
樹脂(C−1)の特に好ましい樹脂の一つとして、エポキシ基含有(メタ)アクリレート5〜90モル%と、他のラジカル重合性単量体10〜95モル%との共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の10〜100モル%に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは該付加反応により生じた水酸基の10〜100モル%に多塩基酸無水物を付加させて得られるアルカリ可溶性樹脂が挙げられる。
【0079】
そのエポキシ基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等が例示できる。中でもグリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。これらのエポキシ基含有(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0080】
上記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと共重合させる他のラジカル重合性単量体としては、本発明の効果を損わない限り特に制限はなく、例えば、ビニル芳香族類、ジエン類、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸アミド類、ビニル化合物類、不飽和ジカルボン酸ジエステル類、モノマレイミド類などが挙げられるが、特に下記式(7)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0081】
下記式(7)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートに由来する繰返し単位は、「他のラジカル重合性単量体」に由来する繰返し単位中、5〜90モル%含有するものが好ましく、10〜70モル%含有するものが更に好ましく、15〜50モル%含有するものが特に好ましい。
【0082】
【化15】
【0083】
上記式(7)中、R89は水素原子又はメチル基を示し、R90は下記式(8)で表される構造を示す。
【0084】
【化16】
【0085】
上記式(8)中、R91〜R98は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示す。尚、R96とR98とが、互いに連結して環を形成していてもよい。
96とR98が連結して形成される環は、脂肪族環であるのが好ましく、飽和又は不飽和のいずれでもよく、更に炭素数は5〜6であることが好ましい。
中でも、式(8)で表される構造中、特に下記構造式(8a)、(8b)、又は(8c)で表されるものが好ましい。
【0086】
【化17】
【0087】
尚、前記式(8)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記式(8)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレート以外の、「他のラジカル重合性単量体」としては、着色樹脂組成物に優れた耐熱性及び強度を向上しうる点で、スチレン、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボロニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、が挙げられる。
【0088】
上記モノマー群から選択された少なくとも1種に由来する繰返し単位の含有量が、1〜70モル%であるものが好ましく、3〜50モル%であるものが更に好ましい。
尚、前記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、前記他のラジカル重合性単量体との共重合反応には、公知の溶液重合法が適用される。
本発明において、前記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと前記他のラジカル重合性単量体との共重合体としては、エポキシ基含有(メタ)アクリレートに由来する繰返し単位5〜90モル%と、他のラジカル重合性単量体に由来する繰返し単位10〜95モル%と、からなるものが好ましく、前者20〜80モル%と、後者80〜20モル%とからなるものが更に好ましく、前者30〜70モル%と、後者70〜30モル%とからなるものが特に好ましい。
【0089】
上記範囲内であると、後述の重合性成分及びアルカリ可溶性成分の付加量が十分であり、また、耐熱性や強度が十分であるため好ましい。
上記の様に合成された、エポキシ基含有共重合体のエポキシ基部分に、不飽和一塩基酸(重合性成分)と、更に多塩基酸無水物(アルカリ可溶性成分)とを反応させる。
ここで、エポキシ基に付加させる不飽和一塩基酸としては、公知のものを使用することができ、例えば、エチレン性不飽和二重結合を有する不飽和カルボン酸が挙げられる。
【0090】
具体例としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o−、m−、p−ビニル安息香酸、α−位がハロアルキル基、アルコキシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基などで置換された(メタ)アクリル酸等のモノカルボン酸等が挙げられる。中でも好ましくは(メタ)アクリル酸である。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0091】
このような成分を付加させることにより、本発明で用いるバインダー樹脂に重合性を付与することができる。
これらの不飽和一塩基酸は、通常、前記共重合体が有するエポキシ基の10〜100モル%に付加させるが、好ましくは30〜100モル%、より好ましくは50〜100モル%に付加させる。前記範囲内であると、着色樹脂組成物の経時安定性に優れるため好ましい。尚、共重合体のエポキシ基に不飽和一塩基酸を付加させる方法としては、公知の方法を採用することができる。
【0092】
更に、共重合体のエポキシ基に不飽和一塩基酸を付加させたときに生じる水酸基に付加させる多塩基酸無水物としては、公知のものが使用できる。
例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水クロレンド酸等の二塩基酸無水物;無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物等の三塩基以上の酸の無水物が挙げられる。中でも、無水コハク酸及びテトラヒドロ無水フタル酸が好ましい。これらの多塩基酸無水物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0093】
このような成分を付加させることにより、本発明で用いるバインダー樹脂にアルカリ可溶性を付与することができる。
これらの多塩基酸無水物は、通常、前記共重合体が有するエポキシ基に、不飽和一塩基酸を付加させることにより生じる水酸基の10〜100モル%に付加させるが、好ましくは20〜90モル%、より好ましくは30〜80モル%に付加させる。
【0094】
上記範囲内であると、現像時の残膜率及び溶解性が十分であるため好ましい。
尚、当該水酸基に多塩基酸無水物を付加させる方法としては、公知の方法を採用することができる。
更に、光感度を向上させるために、前述の多塩基酸無水物を付加させた後、生成したカルボキシル基の一部にグリシジル(メタ)アクリレートや重合性不飽和基を有するグリシジルエーテル化合物を付加させてもよい。このような樹脂の構造に関しては、例えば特開平8−297366号公報や特開2001−89533号公報に記載されている。
【0095】
上述のバインダー樹脂(C−1)の、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、3000〜100000が好ましく、5000〜50000が特に好ましい。分子量が3000未満であると、耐熱性や膜強度に劣る可能性があり、100000を超えると現像液に対する溶解性が不足する傾向がある。また、分子量分布の目安として、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の比は、2.0〜5.0が好ましい。
【0096】
なお、バインダー樹脂(C−1)の酸価は、通常10〜200mg−KOH/g、好ましくは15〜150mg−KOH/g、更に好ましくは25〜100mg−KOH/gである。酸価が低くなりすぎると、現像液に対する溶解性が低下する場合がある。逆に、高すぎると、膜荒れが生じることがある。
(C)バインダー樹脂の含有量は、全固形分中、通常0.1〜80重量%、好ましくは1〜60重量%である。
上記範囲内であると、基板への密着性が良好であり、また露光部への現像液の浸透性が適度で、画素の表面平滑性や感度が良好である点で好ましい。
【0097】
<着色樹脂組成物の水分量>
本発明の着色樹脂組成物の水分量は、下記[着色樹脂組成物の水分量の測定方法]で測定した値で、通常1060ppm以上、好ましくは1100ppm以上、更に好ましくは1500ppm以上、また通常11000pp未満、好ましくは9000ppm未満、7100ppm未満である。
上記範囲内であると本発明の効果が良好である点で好ましい。
尚、水分量を上記範囲内とするための添加する水は、本発明の効果を損わない限り特に制限はないが、例えば、超純水のほか、上水、蒸留水、イオン交換水が挙げられる。
【0098】
[着色樹脂組成物の水分量の測定方法]
本発明において、着色樹脂組成物の水分量の測定は、カールフィッシャー法により、下記の条件でマニュアルに記載の標準的な方法にて測定を行う。
【0099】
・装置 :カールフィッシャー水分計 CA−21(三菱化学アナリテック社製)
・注入量 :0.1mg
・温度 :23度
・陽極液 :アクアミクロンAX
・陰極液 :アクアミクロンCXU
尚、本発明を特定する測定機器については、上記装置と同様の測定が可能であれば特に制限されないが、上記装置を用いることが好ましい。
【0100】
[着色樹脂組成物の水分量の調整方法]
着色樹脂組成物の水分量を上記範囲とするために、各種の手段を用いて、調整すればよい。
具体的には、水を着色樹脂組成物に添加しながら、適宜着色樹脂組成物の水分量を測定し、本発明の範囲内となるように調製すればよい。
【0101】
水の添加時期は、上記(A)染料、(B)溶剤及び(C)バインダー樹脂を混合しながら加えてもよく、混合する前に、各材料に水を添加してから混合してもよい。
各材料に水を添加してから混合する場合、混合の順番等は特に制限はない。
また、水を添加し過ぎた場合は、各種手段を用いて脱水を行えばよい。
脱水する時期も、特に制限はなく、水添加を分散処理前に行った場合は、引き続き脱水してもよく、分散処理後に脱水してもよい。
【0102】
脱水の手段としては、例えば、モレキュラーシーブ等の多孔質材料や、亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)、塩化カルシウム等の脱水剤を用いる方法が挙げられる。この場合、これらの多孔質材料や脱水剤を混合前の各成分や混合後の着色樹脂組成物に加え、攪拌等の手法により混合し、脱水を行なった上で、多孔質材料や脱水剤を濾過等の手段により取り除けばよい。
【0103】
脱水の詳細な条件は特に制限されず、脱水の手法や脱水のタイミングに応じて適宜調整すればよい。例えば、混合後の着色樹脂組成物にモレキュラーシーブを混合して脱水を行なう場合には、モレキュラーシーブとしてMolecular Sieves 3A 1/16(和光純薬工業社製)等を用いることができる。
【0104】
<効果を奏する理由>
本発明の構成とすることで、得られる画素の輝度が高く、また耐熱性に優れる理由について、下記の通り推測する。
染料に前記式(1)で表される化合物を含有する着色樹脂組成物を用いて画素を形成した場合に、得られる画素の輝度が低下する要因について次の通りである。
着色樹脂組成物を用いて塗膜を形成後、加熱硬化を行うが、この加熱時に、前記式(1)で表される化合物が、周辺分子(例えば、バインダー樹脂、重合性モノマー、光重合開始成分など)と化学反応を生じることで、染料の構造変化が起きることが要因の一つである。
【0105】
ここで、着色樹脂組成物中に水分子が適量存在すると、染料と水分子との間で分子間水素結合が形成される。水分子と分子間水素結合をした染料同士は、互いに会合し易くなり、凝集体が形成される。つまり、染料が凝集体を形成することで、周辺分子との反応が阻害され、得られる画素の輝度低下を抑制する。
一方、水分子の存在量が多くなり過ぎると、染料と水分子との間で反応してしまう確率が増え、結果的に得られる画素の輝度低下が起きてしまう。
【0106】
[(D)重合性モノマー]
本発明の着色樹脂組成物は、(D)重合性モノマーを含有するのが、膜中での架橋密度をコントロールし易くなることから好ましい。
(D)重合性モノマーとしては、公知の材料を用いることができるが、着色樹脂組成物中での暗反応性が低い点で、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物であることが好ましい。
【0107】
エチレン性化合物は、本発明の着色樹脂組成物が活性光線の照射を受けた場合、後述する光重合開始成分の作用により付加重合し、硬化するようなエチレン性二重結合を有する化合物である。尚、本発明における(D)重合性モノマーは、いわゆる高分子物質に相対する概念を意味し、狭義の単量体以外に二量体、三量体、オリゴマーも包含する。
エチレン性化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸;モノヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;不飽和カルボン酸と多価カルボン酸及び前述の脂肪族ポリヒドロキシ化合物、芳香族ポリヒドロキシ化合物等の多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステル;ポリイソシアネート化合物と(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物とを反応させたウレタン骨格を有するエチレン性化合物;等が挙げられる。
【0108】
脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。また、これら(メタ)アクリル酸エステルの(メタ)アクリル酸部分を、イタコン酸部分に代えたイタコン酸エステル、クロトン酸部分に代えたクロトン酸エステル、或いは、マレイン酸部分に代えたマレイン酸エステル等が挙げられる。
【0109】
芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、ハイドロキノンジ(メタ)アクリレート、レゾルシンジ(メタ)アクリレート、ピロガロールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
不飽和カルボン酸と多価カルボン酸及び多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステルは、必ずしも単一物ではなく、混合物であってもよい。代表例としては、(メタ)アクリル酸、フタル酸、及びエチレングリコールの縮合物;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、及びジエチレングリコールの縮合物;(メタ)アクリル酸、テレフタル酸、及びペンタエリスリトールの縮合物;(メタ)アクリル酸、アジピン酸、ブタンジオール、及びグリセリンの縮合物等が挙げられる。
【0110】
ポリイソシアネート化合物と(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物とを反応させたウレタン骨格を有するエチレン性化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート;トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートと、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ〔1,1,1−トリ(メタ)アクリロイルオキシメチル〕プロパン等の(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物との反応物が挙げられる。
【0111】
その他、本発明に用いられるエチレン性化合物の例としては、エチレンビス(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類;フタル酸ジアリル等のアリルエステル類;ジビニルフタレート等のビニル基含有化合物等が挙げられる。
これらの中では脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルが好ましく、ペンタエリスリトールまたはジペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステルがより好ましく、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0112】
また、エチレン性化合物は酸価を有するモノマーであってもよい。酸価を有するモノマーとしては、例えば、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルであり、脂肪族ポリヒドロキシ化合物の未反応のヒドロキシル基に非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を持たせた多官能単量体が好ましく、特に好ましくは、このエステルにおいて、脂肪族ポリヒドロキシ化合物がペンタエリスリトール及び/またはジペンタエリスリトールであるものである。
【0113】
これらの単量体は1種を単独で用いてもよいが、製造上、単一の化合物を得ることは難しいことから、2種以上の混合物を使用してもよい。
また、必要に応じて(D)重合性モノマーとして酸基を有しない多官能モノマーと酸基を有する多官能モノマーを併用してもよい。
酸基を有する多官能モノマーの好ましい酸価としては、0.1〜40mg−KOH/gであり、特に好ましくは5〜30mg−KOH/gである。この多官能モノマーの酸価が低すぎると現像溶解特性が低下する傾向があり、高すぎると製造や取扱いが困難になる場合があり、また光重合性能が落ちたり、画素の表面平滑性等の硬化性が劣る場合がある。従って、異なる酸基の多官能モノマーを2種以上併用する場合、或いは酸基を有しない多官能モノマーを併用する場合、全体の多官能モノマーとしての酸基が上記範囲に入るように調整することが好ましい。
【0114】
本発明において、より好ましい酸基を有する多官能モノマーは、東亞合成社製の「TO1382」として市販されているジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートのコハク酸エステルを主成分とする混合物である。この多官能モノマーと他の多官能モノマーを組み合わせて使用することもできる。
【0115】
本発明の着色樹脂組成物において、これらの(D)重合性モノマーの含有量は、全固形分中、通常1重量%以上、好ましくは5重量%以上、更に好ましくは10重量%以上であり、また、通常80重量%以下、好ましくは70重量%以下、更に好ましくは50重量%以下、特に好ましくは40重量%以下である。
また、(D)重合性モノマーの前述の(A)染料を含めた全色材に対する比率は、通常1重量%以上、好ましくは5重量%以上、更に好ましくは10重量%以上、特に好ましくは20重量%以上であり、また、通常200重量%以下、好ましくは100重量%以下、更に好ましくは80重量%以下である。
上記範囲内であると、光効果が十分で現像時に密着不良などを誘起する要因となり難く、また現像後の断面が逆テーパー形状になり難く、更に溶解性が低下することでの剥離現象、抜け不良などが発生し難い点で好ましい。
【0116】
[(E)光重合開始成分及び/又は熱重合開始成分]
本発明の着色樹脂組成物は、塗膜を硬化させる目的で、(E)光重合開始成分及び/又は熱重合開始成分を含むことが好ましい。ただし、硬化の方法はこれらの開始剤によるもの以外でもよい。
特に、本発明の着色樹脂組成物が、(C)成分としてエチレン性二重結合を有する樹脂を含む場合や、(D)成分としてエチレン性化合物を含む場合には、光を直接吸収し、又は光増感されて分解反応又は水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジカルを発生する機能を有する光重合開始成分及び/又は熱によって重合活性ラジカルを発生する熱重合開始成分を含有することが好ましい。なお、本発明において光重合開始成分としての(E)成分とは、光重合開始剤(以下、任意に(E1)成分と称する)に重合加速剤(以下、任意に(E2)成分と称する)、増感色素(以下、任意に(E3)成分と称する)などの付加剤が併用されている混合物を意味する。
【0117】
(光重合開始成分)
本発明の着色樹脂組成物は、特に(E)光重合開始成分を含有することが好ましい。光重合開始成分は、通常、(E1)光重合開始剤、及び必要に応じて添加される(E2)重合加速剤、(E3)増感色素等の付加剤との混合物として用いられ、光を直接吸収し、或いは光増感されて分解反応又は水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジカルを発生する機能を有する成分である。
【0118】
光重合開始成分を構成する(E1)光重合開始剤としては、例えば、特開昭59−152396号、特開昭61−151197号各公報等に記載のチタノセン誘導体類;特開平10−300922号、特開平11−174224号、特開2000−56118号各公報等に記載されるヘキサアリールビイミダゾール誘導体類;特開平10−39503号公報等に記載のハロメチル化オキサジアゾール誘導体類、ハロメチル−s−トリアジン誘導体類、N−フェニルグリシン等のN−アリール−α−アミノ酸類、N−アリール−α−アミノ酸塩類、N−アリール−α−アミノ酸エステル類等のラジカル活性剤、α−アミノアルキルフェノン誘導体類;特開2000−80068号公報等に記載のオキシムエステル系誘導体類等が挙げられる。
【0119】
具体的には、例えば国際公開第2009/107734号パンフレット等に記載の光重合開始剤等が挙げられる。
これら光重合開始剤の中では、α−アミノアルキルフェノン誘導体類、オキシムエステル系誘導体類、ビイミダゾール誘導体類、アセトフェノン誘導体類、及びチオキサントン誘導体類がより好ましく、オキシムエステル誘導体が特に好ましい。
【0120】
また、オキシムエステル系誘導体類としては、1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕−,2−(o−ベンゾイルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕,1−(o−アセチルオキシム)、等が挙げられる。
その他に、ベンゾインアルキルエーテル類、アントラキノン誘導体類;2−メチル−(4’−メチルチオフェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン等のアセトフェノン誘導体類、2−エチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン誘導体類、安息香酸エステル誘導体類、アクリジン誘導体類、フェナジン誘導体類、アンスロン誘導体類等も挙げられる。
【0121】
これら光重合開始剤の中では、α−アミノアルキルフェノン誘導体類、チオキサントン誘導体類、オキシムエステル系誘導体類がより好ましい。特に、オキシムエステル系誘導体類が好ましい。
必要に応じて用いられる(E2)重合加速剤としては、例えば、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等のN,N−ジアルキルアミノ安息香酸アルキルエステル類;2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール等の複素環を有するメルカプト化合物;脂肪族多官能メルカプト化合物等のメルカプト化合物類等が挙げられる。
これらの(E1)光重合開始剤及び(E2)重合加速剤は、それぞれ1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0122】
また、必要に応じて感応感度を高める目的で、(E3)増感色素が用いられる。増感色素は、画像露光光源の波長に応じて、適切なものが用いられるが、例えば特開平4−221958号、特開平4−219756号各公報等に記載のキサンテン系色素;特開平3−239703号、特開平5−289335号各公報等に記載の複素環を有するクマリン系色素;特開平3−239703号、特開平5−289335号各公報等に記載の3−ケトクマリン系色素;特開平6−19240号公報等に記載のピロメテン系色素;特開昭47−2528号、特開昭54−155292号、特公昭45−37377号、特開昭48−84183号、特開昭52−112681号、特開昭58−15503号、特開昭60−88005号、特開昭59−56403号、特開平2−69号、特開昭57−168088号、特開平5−107761号、特開平5−210240号、特開平4−288818号各公報等に記載のジアルキルアミノベンゼン骨格を有する色素等が挙げられる。
【0123】
(E3)増感色素もまた1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の着色樹脂組成物において、これらの(E)光重合開始成分の含有量は、全固形分中、通常0.1重量%以上、好ましくは0.2重量%以上、更に好ましくは0.5重量%以上、また、通常40重量%以下、好ましくは30重量%以下、更に好ましくは20重量%以下の範囲である。
上記範囲内であると、露光光線に対する感度が良好で、また未露光部分の現像液に対する溶解性が十分で、現像不良などが起き難い点で好ましい。
【0124】
(熱重合開始成分)
本発明の着色樹脂組成物に含有されていてもよい熱重合開始成分(熱重合開始剤)の具体例としては、アゾ系化合物、有機過酸化物及び過酸化水素等が挙げられる。これらのうち、アゾ系化合物が好適に用いられる。より具体的には、例えば国際公開第2009/107734号パンフレット等に記載の熱重合開始剤を用いることができる。
これらの熱重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0125】
[任意成分]
本発明の着色樹脂組成物は、前記各成分の外に、界面活性剤、有機カルボン酸及び/又は有機カルボン酸無水物、熱硬化性化合物、可塑剤、前記本発明に係る前述の(A)染料以外の染料、熱重合防止剤、保存安定剤、表面保護剤、密着向上剤、現像改良剤等を含有していてもよい。また、色素として顔料を含有する場合には、分散剤や分散助剤を含有してもよい。これら任意成分としては、例えば特開2007−113000号公報記載の各種化合物を使用することができる。
【0126】
[着色樹脂組成物の調製方法]
本発明において着色樹脂組成物は、適宜の方法により調製することができるが、例えば、化合物(I)を含む(A)染料、(C)バインダー樹脂及び水を、溶剤及びその他の添加剤と共に混合することで調製できる。
また、(A)染料の他に、更に顔料を含む場合の調製方法としては、顔料を含む溶剤中、分散剤及び必要に応じて添加する分散助剤の存在下で、場合により(C)バインダー樹脂の一部と共に、例えば、ペイントシェイカー、サンドグラインダー、ボールミル、ロールミル、ストーンミル、ジェットミル、ホモジナイザー等を用いて、粉砕しつつ混合・分散して顔料分散液を調製する。該顔料分散液に、化合物(I)を含む(A)染料、(C)バインダー樹脂及び水、必要に応じて、(D)重合性モノマー、(E)光重合開始成分及び/又は熱重合開始成分、などの添加剤を添加し、混合することにより調製する方法を挙げることができる。
【0127】
[着色樹脂組成物の応用]
本発明の着色樹脂組成物は、通常、すべての構成成分が溶剤中に溶解又は分散された状態である。この着色樹脂組成物が基板上へ供給され、カラーフィルタや液晶表示装置、有機EL表示装置などの構成部材が形成される。
つまり、本発明の着色樹脂組成物は、カラーフィルタ用着色樹脂組成物であることが好ましい。
以下、本発明の着色樹脂組成物の応用例として、カラーフィルタとしての応用、及びそれらを用いた液晶表示装置(パネル)及び有機EL表示装置について、説明する。
【0128】
<カラーフィルタ>
本発明のカラーフィルタは、本発明の着色樹脂組成物から形成された画素を有するものである。
以下に、本発明のカラーフィルタを形成する方法について説明する。
カラーフィルタの画素は、様々な方法で形成することができる。ここでは光重合性の着色樹脂組成物を使用してフォトリソグラフィ法にて形成する場合を例に説明するが、製造方法はこれに限定されるものではない。
【0129】
まず、基板の表面上に、必要に応じて、画素を形成する部分を区画するようにブラックマトリックスを形成し、この基板上に、本発明の着色樹脂組成物を塗布したのち、プレベークを行って溶剤を蒸発させ、塗膜を形成する。次いで、この塗膜にフォトマスクを介して露光したのち、アルカリ現像液を用いて現像して、塗膜の未露光部を溶解除去し、その後ポストベークすることにより、赤色、緑色、青色の各画素パターンを形成して、カラーフィルタを作製することができる。
【0130】
画素を形成する際に使用される基板としては、透明で適度な強度を有するものであれば特に限定されないが、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂 ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、熱可塑性樹脂製シート、エポキシ樹脂、熱硬化性樹脂、各種ガラスなどが挙げられる。
また、これらの基板には、所望により、シランカップリング剤やウレタン系樹脂などによる薄膜形成処理、コロナ放電処理やオゾン処理などの表面処理等、適宜前処理を施してもよい。
【0131】
着色樹脂組成物を基板に塗布する際には、スピナー法、ワイヤーバー法、フローコート法、スリット・アンド・スピン法、ダイコート法、ロールコート法、スプレーコート法等が挙げられる。中でも、スリット・アンド・スピン法、及びダイコート法が好ましい。
塗布膜の厚さは、乾燥後の膜厚として、通常、0.2〜20μm、好ましくは0.5〜10μm、特に好ましくは0.8〜5.0μmである。
【0132】
上記範囲内であると、パターン現像や液晶セル化工程でのギャップ調整が容易であり、また所望の色発現がし易い点で好ましい。
画素を形成する際に使用される放射線としては、例えば、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等を使用することができるが、波長が190〜450nmの範囲にある放射線が好ましい。
【0133】
画像露光に使用される、波長190〜450nmの放射線を用いるための光源は、特に限定されるものではないが、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、蛍光ランプ等のランプ光源;アルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー、窒素レーザー、ヘリウムカドミニウムレーザー、半導体レーザー等のレーザー光源等が挙げられる。特定の波長の光を照射して使用する場合には、光学フィルターを利用することもできる。
放射線の露光量は、10〜10,000J/m2が好ましい。
【0134】
また、前記アルカリ現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、メタ珪酸ナトリウム、燐酸ナトリウム、燐酸カリウム、燐酸水素ナトリウム、燐酸水素カリウム、燐酸二水素ナトリウム、燐酸二水素カリウム、水酸化アンモニウム等の無機アルカリ性化合物;モノ−・ジ−・又はトリ−エタノールアミン、モノ−・ジ−・又はトリ−メチルアミン、モノ−・ジ−・又はトリ−エチルアミン、モノ−・又はジ−イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノ−・ジ−・又はトリ−イソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジイミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、コリン等の有機アルカリ性化合物等の水溶液が好ましい。
【0135】
前記アルカリ現像液には、例えばイソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、プロピレングリコール、ジアセトンアルコール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤等を適量添加することもできる。なお、アルカリ現像後は、通常、水洗する。
現像処理法としては、浸漬現像法、スプレー現像法、ブラシ現像法、超音波現像法等の何れかの方法によることができる。現像条件は、室温(23℃)で5〜300秒が好ましい。
【0136】
現像処理の条件には特に制限はないが、現像温度は通常10℃以上、中でも15℃以上、更には20℃以上、また、通常50℃以下、中でも45℃以下、更には40℃以下の範囲が好ましい。
現像方法は、浸漬現像法、スプレー現像法、ブラシ現像法、超音波現像法等の何れかの方法によることができる。
【0137】
このようにして作製されたカラーフィルタを液晶表示装置に使用する場合には、このままの状態で画像上にITO等の透明電極を形成して、カラーディスプレー、液晶表示装置等の部品の一部として使用されるが、表面平滑性や耐久性を高めるため、必要に応じ、画像上にポリアミド、ポリイミド等のトップコート層を設けることもできる。また、一部、平面配向型駆動方式(IPSモード)等の用途においては、透明電極を形成しないこともある。また、垂直配向型駆動方式(MVAモード)では、リブを形成することもある。また、ビーズ散布型スペーサに代わり、フォトリソグラフィ法による柱構造(フォトスペーサー)を形成することもある。
【0138】
<液晶表示装置>
本発明の液晶表示装置は、上述の本発明のカラーフィルタを用いたものである。本発明の液晶表示装置の型式や構造については特に制限はなく、本発明のカラーフィルタを用いて常法に従って組み立てることができる。
例えば、「液晶デバイスハンドブック」(日刊工業新聞社、1989年9月29日発行、日本学術振興会第142委員会著)に記載の方法で、本発明の液晶表示装置を形成することができる。
【0139】
<有機EL表示装置>
本発明のカラーフィルタを含む有機EL表示装置を作成する場合、例えば図1に示すように、透明支持基板10上に、本発明の着色樹脂組成物により画素20が形成された青色カラーフィルタ上に有機保護層30及び無機酸化膜40を介して有機発光体500を積層することによって多色の有機EL素子を作製する。
【0140】
有機発光体500の積層方法としては、カラーフィルタ上面へ透明陽極50、正孔注入層51、正孔輸送層52、発光層53、電子注入層54、及び陰極55を逐次形成していく方法や、別基板上へ形成した有機発光体500を無機酸化膜40上に貼り合わせる方法などが挙げられる。このようにして作製された有機EL素子100は、パッシブ駆動方式の有機EL表示装置にもアクティブ駆動方式の有機EL表示装置にも適用可能である。
【実施例】
【0141】
次に、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
<染料の合成>
(参考合成例1:染料Aの合成)
【0142】
【化18】
【0143】
化合物1(6.0g、25mmol、国際公開第2008003604号に記載の方法で合成)、化合物2(6.4ml、50mmol:東京化成社製)、炭酸カリウム(6.9g、50mmol)、N-メチル-2-ピロリドン(25ml)の混合物を110〜125℃で4時間加熱撹拌した。室温に冷却後水を加え、トルエンで抽出し、トルエン層を希塩酸および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濃縮し、9.2gの薄茶色オイルを得た。このものをエタノール(40 ml)に溶解し、水酸化ナトリウム(2g、52.3 mmol)の水(25ml)溶液を加え、85℃で1時間撹拌した。放冷して、トルエンで抽出し、トルエン層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3/1)で精製し、化合物3(5.95g、収率94%)を白色粉末で得た。
【0144】
【化19】
【0145】
化合物4(1.47g、4.34 mmol、国際公開2009107734に記載の方法で合成)、化合物3(1.1g、4.34mmol)、トルエン(30ml)、オキシ塩化リン(0.6 ml)の混合物を4時間加熱還流した後、室温に冷却し、水を加え、クロロホルムで抽出した。クロロホルム層を減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/メタノール=15/1〜10/1)で精製し、得られた固体をヘキサンで洗浄して化合物5(1.32 g、収率50%)を得た。
【0146】
【化20】
【0147】
化合物5(8.9g、14.6mmol)、化合物6(4.2g、14.6 mmol、東京化成社製)、メタノール(50ml)の混合物を50℃で1.5時間撹拌した後、減圧濃縮し、得られた固体をメタノール/水=1/2で洗浄し、染料A(11.5g、収率92.3%)を得た。
<樹脂の合成>
(参考合成例2:樹脂Aの合成)
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート145重量部を窒素置換しながら攪拌し、120℃に昇温した。ここにスチレン5.2重量部、グリシジルメタクリレート132重量部およびトリシクロデカン骨格を有するモノアクリレートFA−513M(日立化成社製)4.4重量部を滴下し、および2.2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル8.47重量部を3時間かけて滴下し、更に90℃で2時間攪拌し続けた。次に反応容器内を空気置換に変え、アクリル酸67.0重量部にトリスジメチルアミノメチルフェノール1.1重量部およびハイドロキノン0.19重量部を投入し、100℃で12時間反応を続けた。その後、テトラヒドロ無水フタル酸(THPA)15.2重量部、トリエチルアミン0.2重量部を加え、100℃3.5時間反応させた。こうして得られた樹脂AのGPCにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量Mwは約9000、酸価25mg−KOH/gであった。
【0148】
(参考合成例3:樹脂Bの合成)
「NC3000H」(日本化薬社製)(エポキシ当量288、軟化点69℃)400重量部、アクリル酸102重量部、p−メトキシフェノール0.3重量部、トリフェニルホスフィン5重量部、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート264重量部を反応容器に仕込み、95℃で酸価が3mg−KOH/g以下になるまで撹拌した。酸価が目標に達するまで9時間を要した(酸価2.2mg−KOH/g)。次いで、更にテトラヒドロ無水フタル酸151重量部を添加し、95℃で4時間反応させ、酸価102mg−KOH/g、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)3900の樹脂Bの溶液を得た。
【0149】
<着色樹脂組成物の調製>
前記参考合成例1で得られた染料A、並びに参考合成例2及び3で得られた樹脂A及びBを下記表1に記載された組成となるように他の成分を混合して、着色樹脂組成物を調製した。
尚、混合の際は、表2に示す水分量を添加しながら行った。
表1の数値は、いずれも添加する各成分の重量部を表す。
混合に際しては、各成分が十分に混合するまで1時間以上攪拌し、最後に5μmの駒型フィルターによって濾過し、異物を取り除いた。
【0150】
【表1】
【0151】
尚、表1及び2中の数値は、いずれも添加する各成分の重量部を表す。
又、表1の各化合物は、各々以下の通りである。
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
【0152】
【表2】
【0153】
<測定・評価>
[1]着色樹脂組成物の水分測定方法
CA−21(三菱化学アナリテック社製)を用いて、カールフィッシャー電量滴定法により着色樹脂組成物中の水分の測定を行った。陽極液にアクアミクロンAX、陰極液にアクアミクロンCXUを用いた。測定は、CA−21のマニュアルに記載の手順に従って行った。
【0154】
尚、測定の為に投入した着色樹脂組成物の量は約0.1mgとした。
結果を表3に纏めた。
[2]着色樹脂膜の製造及び耐熱性の評価
5cm角に切断したガラス基板上に、上記各着色樹脂組成物をスピンコート法により乾燥後のy値が0.112となるように塗布し、減圧乾燥させた後、ホットプレート上にて80℃3分間プリベークした。その後、60mJ/cm2の露光量にて全面露光した.その後,分光光度計U−3310(日立製作所製)にて、分光透過率を測定し、XYZ表色系における色度(C光源)を算出した(輝度:加熱前、の値)。続いて,クリーンオーブンにて230℃30分焼成して、分光光度計U−3310(日立製作所製)にて、分光透過率を測定し、XYZ表色系における色度(C光源)を算出した(輝度:230℃×30min後、の値)。
【0155】
結果を表3に纏めた。
尚、表3中のΔEabは、「輝度:加熱前、の値」と「輝度:230℃×30min後、の値」の差分を表し、値が小さい程、耐熱性が高いことを示す。
【0156】
【表3】
【0157】
表3に示すが如く、本発明の着色樹脂組成物を用いて形成された画素は、得られる画素の輝度が高く、また耐熱性が高い。
即ち、本発明の着色樹脂組成物を用いて形成された画素を含むカラーフィルタ、並びに該カラーフィルタを含む液晶表示装置及び有機EL表示装置は高品質である。
【符号の説明】
【0158】
100 有機EL素子
20 画素
30 有機保護層
40 無機酸化膜
500 有機発光体
51 正孔注入層
54 電子注入層
図1