特許第6206564号(P6206564)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6206564表面修飾金属酸化物微粒子、それを含有する分散液、樹脂組成物、複合体及び光学部材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6206564
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】表面修飾金属酸化物微粒子、それを含有する分散液、樹脂組成物、複合体及び光学部材
(51)【国際特許分類】
   C08K 9/06 20060101AFI20170925BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20170925BHJP
   C08L 33/08 20060101ALI20170925BHJP
   C08L 101/02 20060101ALI20170925BHJP
   C01B 13/14 20060101ALI20170925BHJP
   C01G 23/047 20060101ALI20170925BHJP
   C01G 25/02 20060101ALI20170925BHJP
   C09C 1/00 20060101ALI20170925BHJP
   C09C 3/12 20060101ALI20170925BHJP
   C09D 7/12 20060101ALI20170925BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   C08K9/06
   C08L63/00 C
   C08L33/08
   C08L101/02
   C01B13/14 A
   C01G23/047
   C01G25/02
   C09C1/00
   C09C3/12
   C09D7/12
   C09D201/00
【請求項の数】7
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-161259(P2016-161259)
(22)【出願日】2016年8月19日
(62)【分割の表示】特願2012-246520(P2012-246520)の分割
【原出願日】2012年11月8日
(65)【公開番号】特開2017-36206(P2017-36206A)
(43)【公開日】2017年2月16日
【審査請求日】2016年8月19日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成23年度独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構「超ハイブリッド材料技術開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
(73)【特許権者】
【識別番号】000183266
【氏名又は名称】住友大阪セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078732
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 保
(74)【代理人】
【識別番号】100131635
【弁理士】
【氏名又は名称】有永 俊
(72)【発明者】
【氏名】石川 佳澄
【審査官】 山口 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−511737(JP,A)
【文献】 特開2005−075723(JP,A)
【文献】 特開2004−269749(JP,A)
【文献】 特開2008−297396(JP,A)
【文献】 特開2008−001820(JP,A)
【文献】 特開2009−185225(JP,A)
【文献】 特開2011−057530(JP,A)
【文献】 特開2004−292282(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B13/00−13/36
C01G1/00−23/08,
25/00−47/00,
49/10−99/00
C08K3/00−13/08
C08L1/00−101/16
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面修飾金属酸化物微粒子と、芳香環骨格を有する樹脂と、を含有する表面修飾金属酸化物微粒子含有樹脂組成物であって、
前記表面修飾金属酸化物微粒子は、表面修飾剤により金属酸化物微粒子の表面が修飾され
前記金属酸化物微粒子の平均一次粒子径は4nm以上かつ15nm以下であ
前記金属酸化物微粒子は、ジルコニウム、亜鉛、鉄、銅、チタン、スズ、セリウム、タンタル、ニオブ、タングステン、ユーロピウム及びハフニウムの群から選択される1種または2種以上の金属元素を含む金属酸化物微粒子であ
前記表面修飾剤が下記一般式(1)で示される表面修飾剤であり、
当該表面修飾剤の量は、金属酸化物粒子100質量部に対して、21質量部以上かつ40質量部以下であり、
前記芳香環骨格を有する樹脂は、エポキシ樹脂であることを特徴とする、表面修飾金属酸化物微粒子含有樹脂組成物
【化1】

(式中、nは1〜3であり、Si−X、Si−X、Si−Xは、それぞれ独立して、加水分解してシラノール基となる官能基である)
【請求項2】
表面修飾金属酸化物微粒子と、芳香環骨格を有する樹脂と、を含有する表面修飾金属酸化物微粒子含有樹脂組成物であって、
前記表面修飾金属酸化物微粒子は、表面修飾剤により金属酸化物微粒子の表面が修飾され、
前記金属酸化物微粒子の平均一次粒子径は4nm以上かつ15nm以下であり、
前記金属酸化物微粒子は、ジルコニウム、亜鉛、鉄、銅、チタン、スズ、セリウム、タンタル、ニオブ、タングステン、ユーロピウム及びハフニウムの群から選択される1種または2種以上の金属元素を含む金属酸化物微粒子であり、
前記表面修飾剤が下記一般式(1)で示される表面修飾剤であり、
当該表面修飾剤の量は、金属酸化物粒子100質量部に対して、21質量部以上かつ40質量部以下であり、
前記芳香環骨格を有する樹脂は、フルオレン骨格を有するアクリル樹脂であることを特徴とする、表面修飾金属酸化物微粒子含有樹脂組成物。
【化2】

(式中、nは1〜3であり、Si−X、Si−X、Si−Xは、それぞれ独立して、加水分解してシラノール基となる官能基である)
【請求項3】
、X、Xは、それぞれ独立して、アルコキシ基又はハロゲノ基である、請求項1又は2記載の表面修飾金属酸化物微粒子含有樹脂組成物
【請求項4】
さらに、酸無水物硬化剤、硬化促進剤、反応性希釈剤、及び光重合開始剤からなる群より選ばれる1種以上の添加剤を含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の表面修飾金属酸化物微粒子含有樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の表面修飾金属酸化物微粒子含有樹脂組成物の硬化物からなることを特徴とする、表面修飾金属酸化物微粒子含有複合体。
【請求項6】
請求項記載の表面修飾金属酸化物微粒子含有複合体を備えていることを特徴とする、光学部材。
【請求項7】
表面修飾剤により金属酸化物微粒子の表面が修飾されている表面修飾金属酸化物微粒子が分散媒中に分散している表面修飾金属酸化物微粒子含有分散液であって、
前記金属酸化物微粒子の平均一次粒子径は4nm以上かつ15nm以下であり、
前記金属酸化物微粒子は、ジルコニウム、亜鉛、鉄、銅、チタン、スズ、セリウム、タンタル、ニオブ、タングステン、ユーロピウム及びハフニウムの群から選択される1種または2種以上の金属元素を含む金属酸化物微粒子であり、
前記表面修飾剤が下記一般式(1)で示される表面修飾剤であり、
当該表面修飾剤の量は、金属酸化物粒子100質量部に対して、21質量部以上かつ40質量部以下であり、
前記分散媒は、芳香族炭化水素であり、
前記表面修飾金属酸化物微粒子の該分散媒中の平均分散粒径が、4nm以上かつ50nm以下であることを特徴とする、表面修飾金属酸化物微粒子含有分散液。
【化3】

(式中、nは1〜3であり、Si−X、Si−X、Si−Xは、それぞれ独立して、加水分解してシラノール基となる官能基である)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面修飾金属酸化物微粒子、それを含有する分散液、樹脂組成物、複合体及び光学部材に関し、特に高屈折率と高透明性が要求される光学部材に用いて好適な、表面修飾金属酸化物微粒子、それを含有する分散液、樹脂組成物、複合体及び光学部材に関する。
【背景技術】
【0002】
レンズ等の光学部材に用いられる樹脂には、屈折率が高く、かつ透明性が高いことが求められる。汎用的な樹脂は透明ではあるが、その屈折率は1.4〜1.6程度であり、更なる高屈折率化が求められている。そこで光学部材で用いられる樹脂を高屈折率化させるために、様々な手法が検討されている。
【0003】
ジルコニア、チタニアをはじめとした高屈折率の金属酸化物の微粒子を樹脂中に均一分散させることによって、高屈折率化と高透明性とを両立させる試みもそのひとつであり、数多くの検討がなされている。
【0004】
金属酸化物微粒子を分散させて樹脂の高屈折率化を図る場合、樹脂の透明性も維持するためには、分散している粒子の大きさを可能な限り小さくすることが重要である。例えば、非特許文献1記載の計算式によると、屈折率が1.55、比重が1、厚さ1mmにおける透過率が92%である樹脂に、屈折率2.2、比重5のジルコニア微粒子を分散させて、屈折率を1.6まで向上させようとする場合、厚み1mmにおける透過率を85%以上に維持するには、微粒子の大きさが樹脂中で17nm以下である必要があり、また、同条件で透過率を90%以上に維持するには、微粒子の大きさが樹脂中で7nm以下である必要がある。
【0005】
金属酸化物微粒子を樹脂中において、凝集させずに均一分散させるためには、粒子表面を有機修飾し、粒子表面状態を制御することが必要である。この場合、表面修飾に用いられる表面修飾剤は、金属酸化物微粒子よりも屈折率が小さく、樹脂同等の屈折率であることから、屈折率向上を図るためには、表面修飾剤による修飾量は可能な限り少なくすることが重要である。
【0006】
一方で、高透明性を得るためには、小さい金属酸化物微粒子を、凝集することなく樹脂中に分散させることが必要である。しかし粒子径が小さくなるほど、金属酸化物微粒子の単位質量あたりの表面積は増大することから、表面修飾剤の必要量は多くなるのが必然である。
【0007】
すなわち、屈折率を向上させるためには表面修飾剤の量を少なくする必要があり、透明性を向上させるためには表面修飾剤の量を多くする必要がある。そのため、高透明性と高屈折率を両立させることが難しいという問題があった。
【0008】
このような問題を解決するために、特許文献1では、芳香族骨格と4個以上の原子が連なった芳香族骨格への結合構造とを含む有機成分を無機系微粒子表面に有する複合粒子が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Journal of Materials Chemistry, Vol.19 PP2884-2991, 2009
【特許文献1】特開2010−37534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1の複合粒子は、高透明性と高屈折率の両立が依然として不十分であり、両特性の更なる向上が切望されている。
【0011】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、複合体等の高屈折率と高透明性とを両立でき、複合体等の発色も少ない表面修飾金属酸化物微粒子、それを含有する分散液、樹脂組成物、複合体及び光学部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、一般式(1)で表される表面修飾剤で修飾した表面修飾金属酸化物微粒子を、芳香環骨格を有する樹脂に分散して得られる複合体であれば、高屈折率と高透明性を両立でき、発色も生じないことを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0013】
すなわち、本発明は、次の[1]〜[7]を提供するものである。
[1]芳香環骨格を有する樹脂に分散して用いられる、表面修飾剤により金属酸化物微粒子の表面が修飾されている表面修飾金属酸化物微粒子であって、前記金属酸化物微粒子の平均一次粒子径は4nm以上かつ15nm以下であって、前記金属酸化物微粒子は、ジルコニウム、亜鉛、鉄、銅、チタン、スズ、セリウム、タンタル、ニオブ、タングステン、ユーロピウム及びハフニウムの群から選択される1種または2種以上の金属元素を含む金属酸化物微粒子であって、前記表面修飾剤が下記一般式(1)で示される表面修飾剤であることを特徴とする、表面修飾金属酸化物微粒子。
【0014】
【化1】

【0015】
(式中、nは1〜3であり、Si−X、Si−X、Si−Xは、それぞれ独立して、加水分解してシラノール基となる官能基である)
[2]X、X、Xは、それぞれ独立して、アルコキシ基又はハロゲノ基である、[1]記載の表面修飾金属酸化物微粒子。
[3][1]又は[2]記載の表面修飾金属酸化物微粒子が分散媒中に分散していることを特徴とする、表面修飾金属酸化物微粒子含有分散液。
[4][1]又は[2]記載の表面修飾金属酸化物微粒子及び[3]記載の表面修飾金属酸化物微粒子含有分散液の一方又は双方と、芳香環骨格を有する樹脂とを含有していることを特徴とする、表面修飾金属酸化物微粒子含有樹脂組成物。
[5]前記表面修飾剤の修飾量が、前記金属酸化物微粒子100質量部に対して、5質量部以上かつ40質量部以下であることを特徴とする、[4]記載の表面修飾金属酸化物微粒子含有樹脂組成物。
[6][5]記載の表面修飾金属酸化物微粒子含有樹脂組成物の硬化物からなることを特徴とする、表面修飾金属酸化物微粒子含有複合体。
[7][6]記載の表面修飾金属酸化物微粒子含有複合体を備えていることを特徴とする、光学部材。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、複合体等の高屈折率と高透明性とを両立でき、複合体等の発色の少ない表面修飾金属酸化物微粒子、それを含有する分散液、樹脂組成物、複合体及び光学部材を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施形態により説明する。なお、この実施形態は、発明の趣旨をよりよく理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0018】
[表面修飾金属酸化物微粒子]
本実施形態の表面修飾金属酸化物微粒子は、芳香環骨格を有する樹脂に分散して用いられる、表面修飾剤により金属酸化物微粒子の表面が修飾されている表面修飾金属酸化物微粒子であって、前記金属酸化物微粒子の平均一次粒子径は4nm以上かつ15nm以下であって、前記金属酸化物微粒子は、ジルコニウム、亜鉛、鉄、銅、チタン、スズ、セリウム、タンタル、ニオブ、タングステン、ユーロピウム及びハフニウムの群から選択される1種または2種以上の金属元素を含む金属酸化物微粒子であって、前記表面修飾剤が下記一般式(1)で示される表面修飾剤であることを特徴とする。
【0019】
【化2】

【0020】
(式中、nは1〜3であり、Si−X、Si−X、Si−Xは、それぞれ独立して、加水分解してシラノール基となる官能基である)
【0021】
<金属酸化物微粒子>
本実施形態にて用いられる金属酸化物微粒子としては、平均一次粒子径が4nm以上かつ15nm以下であり、かつジルコニウム、亜鉛、鉄、銅、チタン、スズ、セリウム、タンタル、ニオブ、タングステン、ユーロピウム及びハフニウムの群から選択される1種または2種以上の金属元素を含む金属酸化物微粒子であればよく、特に限定はない。これらの金属酸化物微粒子の中でも、酸化ジルコニウム(ZrO:ジルコニア)微粒子または酸化チタン(TiO:チタニア)微粒子が好ましい。
金属酸化物微粒子中の金属元素をジルコニウム、亜鉛、鉄、銅、チタン、スズ、セリウム、タンタル、ニオブ、タングステン、ユーロピウム及びハフニウムに限定した理由は、これらの金属元素を含む金属酸化物微粒子の屈折率が高いためである。換言すれば、上記の金属元素以外であっても、複合体の屈折率を向上させることができるような金属元素、例えば、その金属元素を含む金属酸化物微粒子の波長589nmにおける屈折率が1.9以上となるような金属元素であれば、本実施形態にて使用することができる。
【0022】
本実施形態の金属酸化物微粒子の平均一次粒子径は、4nm以上かつ15nm以下であり、好ましくは、4nm以上かつ10nm以下であり、より好ましくは、5nm以上かつ8nm以下である。平均一次粒子径を上記範囲とすることにより、樹脂複合体の高屈折率と高透明性を両立することができる。
なお、本発明において、平均一次粒子径は、複数個の金属酸化物微粒子それぞれの長径、たとえば、100個以上の金属酸化物微粒子、好ましくは500個以上の金属酸化物微粒子それぞれの長径を透過型電子顕微鏡で測定し、これらの平均値を算出することで求められる。
【0023】
<表面修飾剤>
本実施形態で用いられる表面修飾剤は、上記一般式(1)で示されるものである。一般式(1)中の官能基Si−X、Si−X、Si−Xが、加水分解してシラノール基となって金属酸化物微粒子に結合し、また一般式(1)中の芳香環が、後述する複合体を構成する樹脂の芳香環骨格と相互作用することにより、表面修飾金属酸化物微粒子が樹脂中で凝集することが防止されるものと考えられる。このように、表面処理剤の一部を複合体の樹脂の一部に類似させる手法は、種々のナノ粒子の樹脂への分散に対して応用可能であると考えられる。
、X、Xとしては、例えば、アルコキシ基やハロゲノ基等が挙げられる。X、X、Xは同種であってもよく、異種であってもよい。
アルコキシ基は、好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基であり、より好ましくはメトキシ基又はエトキシ基である。
ハロゲノ基は、好ましくはクロロ基、ブロモ基、フルオロ基、ヨード基であり、より好ましくはクロロ基である。
【0024】
本実施形態の表面修飾剤は、一般式(1)に示すように、芳香環を構成する6個の炭素と結合している6個の水素のうち1個だけ置換されているのみであり、2個以上が置換されたものを含まない。詳細は不明であるが、このような表面修飾剤を用いることにより、表面処理剤の芳香環と後述する樹脂の芳香環の相互作用が阻害されないため、透明性を高くすることができると考えられる。
【0025】
また、上記表面修飾剤は、一般式(1)に示すように、芳香環とケイ素の間に、エーテル、エステル、アミノ基、アミド基等の特性基が存在するものを含まない。このような特性基が存在しないことにより、表面修飾金属酸化物微粒子を後述する樹脂に混合させた場合に、微粒子が樹脂中で凝集するのを防ぎ、また特性基の影響により複合体が発色するのを防ぐことができる。
【0026】
さらに、上記表面修飾剤は、一般式(1)に示すように、Si−X、Si−X、Si−Xは、それぞれ独立して、加水分解してシラノール基となる官能基でなければならず、シラノールを生成する官能基が2つ以下であるものを含まない。
シラノールを生成する官能基を3つとすることで、表面修飾剤がより適切に表面修飾機能を果たすことができる。
【0027】
表面修飾剤の量は、所望の屈折率と透明性を得るために、金属酸化物微粒子の一次粒子径を勘案して、適宜調節して実施すればよい。例えば、金属酸化物微粒子100質量部に対して、5質量部以上かつ40質量部以下が好ましく、10質量部以上かつ40質量部以下がより好ましく、21質量部以上かつ40質量部以下がさらに好ましく、30質量部以上かつ40質量部以下がより更に好ましい。
【0028】
表面修飾剤の量は、ICP発光分析等により、測定することができる。すなわち、表面修飾前後の微粒子の無機元素含有率を測定し、表面修飾剤に含まれるケイ素量と、金属酸化物微粒子自身に含まれる元素の比率、及び表面修飾剤の構造から算出することができる。
【0029】
<表面修飾金属酸化物微粒子の製造方法>
本実施形態の表面修飾金属酸化物微粒子は、通常、湿式法又は乾式法により得ることができる。
表面処理剤を均一に処理しやすい点で湿式法が好ましく、例えば、表面処理剤をアルコール等に溶解させて溶液とし、その溶液中に金属酸化物微粒子を浸漬させる方法、表面処理剤をアルコール等に溶解させて溶液とし、その溶液と、金属酸化物微粒子の水分散液とを撹拌混合させる方法、金属酸化物微粒子を分散媒中に分散させて分散液とし、その分散液を表面処理剤を含む溶液に滴下させたりする方法等が挙げられる。
【0030】
表面処理を促進させるために、酸やアルカリの添加や、加熱処理等を行ってもよい。
表面処理後に固液分離を行い、回収した粉体を必要に応じて乾燥させることで、本実施形態の表面修飾金属酸化物微粒子を得ることができる。
【0031】
[表面修飾金属酸化物微粒子含有分散液]
本実施形態の表面修飾金属酸化物微粒子含有分散液は、本実施形態の表面修飾金属酸化物微粒子を分散していることを特徴とする。
【0032】
この表面修飾金属酸化物微粒子の平均分散粒径は、4nm以上かつ50nm以下が好ましく、より好ましくは4nm以上かつ30nm以下、さらに好ましくは5nm以上かつ20nm以下である。
平均分散粒径を上記範囲とすることで、透明性が高い分散液等を得ることができる。
なお、本発明において、平均分散粒径とは、表面修飾金属酸化物微粒子の含有量を1質量%に調整した分散液中の表面修飾金属酸化物微粒子の粒子径を動的光散乱法により測定した結果得られた累積体積百分率が50体積%における体積分散粒径(D50)のことである。
【0033】
この表面修飾金属酸化物微粒子の表面修飾金属酸化物微粒子含有分散液中における含有率(質量%)は、特に限定されず、後述する複合体を得るための製造プロセスに合わせて適宜選択すればよい。中でも、ハンドリング性がよく、かつ生産効率を向上させるためには、1質量%以上かつ50質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%以上かつ30質量%以下である。
【0034】
分散媒は、本実施形態の表面処理剤や、後述する芳香環骨格を有する樹脂と相溶性が良好なものであれば特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン等のエステル類、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類が好適に用いられ、これらの溶媒のうち1種または2種以上を用いることができる。これらの中でも、芳香族炭化水素が好ましく、トルエン及びキシレンがより好ましく、トルエンが更に好ましい。
【0035】
本実施形態の表面修飾金属酸化物微粒子含有分散液は、上記以外に、その特性を損なわない範囲において、他の無機酸化物微粒子、分散剤、分散助剤、カップリング剤、樹脂モノマー等の任意成分を含有していてもよい。
当該任意成分を含有する場合、当該任意成分の表面修飾金属酸化物微粒子含有分散液中における含有率(質量%)は、ハンドリング性がよく、かつ生産効率を向上させるためには、1質量%以上かつ50質量%以下が好ましく、より好ましくは1質量%以上かつ30質量%以下であり、更に好ましくは1質量%以上かつ10質量%以下である。
【0036】
この分散液は、表面修飾金属酸化物微粒子の含有率を5質量%とし、光路長を10mmとしたときの可視光透過率が、90%以上であることが好ましく、より好ましくは95%以上である。
この可視光透過率は、表面修飾金属酸化物微粒子の含有率により異なり、表面修飾金属酸化物微粒子の含有率が1質量%では、95%以上、表面修飾金属酸化物微粒子の含有率が40質量%では、80%以上であることが好ましい。
【0037】
本実施形態の表面修飾金属酸化物微粒子含有分散液の製造方法は特に限定されず、本実施形態の表面修飾金属酸化物微粒子を、上記分散媒中に分散させることができれば特に限定されない。
【0038】
[表面修飾金属酸化物微粒子含有樹脂組成物]
本実施形態の表面修飾金属酸化物微粒子含有樹脂組成物は、本実施形態の表面修飾金属酸化物微粒子及び本実施形態の表面修飾金属酸化物微粒子含有分散液の一方又は双方と、芳香環骨格を有する樹脂とを含有していることを特徴とする。
【0039】
<芳香環骨格を有する樹脂>
本実施形態で用いられる樹脂は、芳香環骨格を有する樹脂であれば特に限定されず、例えば、芳香環骨格を有するアクリル樹脂や、芳香環骨格を有するエポキシ樹脂等が挙げられる。芳香環骨格としては、フルオレン骨格やビスフェノールA骨格を有する樹脂が好ましく、フルオレン骨格及びビスフェノールA骨格の少なくとも1種を有するエポキシ樹脂がより好ましい。
【0040】
上記樹脂は、市販品を用いてもよい。フルオレン骨格を有する樹脂としては、例えば、大阪瓦斯社製のエポキシ樹脂 オグソールEG200や、新中村化学社製のアクリル樹脂 NKエステル A−BPEF等を用いることができる。ビスフェノールA骨格を有する樹脂としては、例えば、三菱化学社製のエポキシ樹脂 jER828等が挙げられる。
【0041】
<任意成分>
また、使用する樹脂に応じて適宜添加剤を加えることが好ましい。例えば、芳香環骨格を有するエポキシ樹脂を用いる場合には、酸無水物硬化剤や硬化促進剤等を適宜添加するのが好ましい。
芳香環骨格を有するアクリル樹脂を用いる場合には、反応性希釈剤や光重合開始剤等を適宜添加するのが好ましい。
【0042】
<表面修飾金属酸化物微粒子含有樹脂組成物の製造方法>
本実施形態の表面修飾金属酸化物微粒子含有樹脂組成物の製造方法は特に限定されず、上記表面修飾金属酸化物微粒子及び上記表面修飾金属酸化物微粒子含有分散液の一方又は双方と、上記芳香環骨格を有する樹脂とを、混合することができればよい。
混合装置として、例えば、ミキサーやロールミル等の混合装置を用いてもよい。
粘度調整等が必要であれば、上記分散媒を適宜混合させてもよい。
【0043】
<表面修飾金属酸化物微粒子含有樹脂組成物の物性等>
上記樹脂組成物中における表面修飾金属酸化物微粒子の含有量は、所望の特性に応じて適宜調整すればよいが、1質量%以上かつ80質量%以下が好ましく、10質量%以上かつ80質量%以下がより好ましく、10質量%以上かつ50質量%以下がさらに好ましい。
樹脂組成物中における、芳香環骨格を有する樹脂の含有量は、所望の特性に応じて適宜調整すればよいが、20質量%以上かつ90量%以下が好ましく、40質量%以上かつ90質量%以下がより好ましく、50質量%以上かつ90質量%以下が更に好ましい。
また、表面修飾金属酸化物微粒子と芳香環骨格を有する樹脂との質量混合比は、所望の特性に応じて適宜調整すればよいが、1:9〜9:1の範囲内であることが好ましく、2:8〜8:2の範囲内であることがより好ましく、3:7〜6:4の範囲内であることが更に好ましい。
この表面修飾金属酸化物微粒子の平均分散粒径は、4nm以上かつ50nm以下が好ましく、より好ましくは4nm以上かつ30nm以下、さらに好ましくは5nm以上かつ20nm以下である。平均分散粒径を上記範囲とすることで、透明性が高い表面修飾金属酸化物微粒子含有複合体を得ることができる。
【0044】
この表面修飾金属酸化物微粒子含有樹脂組成物は、表面修飾金属酸化物微粒子の含有率を5質量%とし、光路長を10mmとしたときの可視光透過率が、90%以上であることが好ましく、より好ましくは95%以上である。
この可視光透過率は、表面修飾金属酸化物微粒子の含有率により異なり、表面修飾金属酸化物微粒子の含有率が1質量%では、95%以上、表面修飾金属酸化物微粒子の含有率が40質量%では、80%以上であることが好ましい。
【0045】
[表面修飾金属酸化物微粒子含有複合体]
本実施形態の表面修飾金属酸化物微粒子含有複合体は、本実施形態の表面修飾金属酸化物微粒子含有樹脂組成物の硬化物からなることを特徴とする。
【0046】
この複合体は、厚みを1mmとしたときの、波長700nmの光の透過率が85%以上であり、無色透明であることが好ましい。
【0047】
複合体中における表面修飾金属酸化物微粒子の含有量は、所望の特性に応じて適宜調整すればよいが、10〜70質量%が好ましく、20〜60質量%がより好ましく、30〜50質量%が更に好ましく、35〜45質量%がより更に好ましい。
複合体中における、芳香環骨格を有する樹脂の含有量は、所望の特性に応じて適宜調整すればよいが、30〜90質量%が好ましく、40〜80質量%がより好ましく、50〜70質量%が更に好ましく、55〜65質量%がより更に好ましい。
また、表面修飾金属酸化物微粒子と芳香環骨格を有する樹脂との質量混合比は、所望の特性に応じて適宜調整すればよいが、1:9〜9:1の範囲内であることが好ましく、2:8〜8:2の範囲内であることがより好ましく、3:7〜6:4の範囲内であることが更に好ましい。
この表面修飾金属酸化物微粒子の平均分散粒径は、4nm以上かつ50nm以下が好ましく、より好ましくは4nm以上かつ30nm以下、さらに好ましくは5nm以上かつ20nm以下である。平均分散粒径を上記範囲とすることで、透明性が高い表面修飾金属酸化物微粒子含有複合体を得ることができる。
【0048】
この複合体として、例えば、三次元形状のバルク体を作製する場合、本実施形態の表面修飾金属酸化物微粒子含有樹脂組成物を金型を用いて成形する方法や、金型又は容器内に上記樹脂組成物を充填する方法等が挙げられる。その後、樹脂の種類に応じて加熱あるいは紫外線等の光の照射を施すことにより硬化させる方法等が挙げられる。
また、塗膜を作製する場合、プラスチック基材上に本実施形態の表面修飾金属酸化物微粒子含有樹脂組成物を塗布し、その後、必要に応じて加熱による熱硬化あるいは紫外線等の光の照射等による光硬化を施す方法等が挙げられる。
【0049】
プラスチック基材としては、プラスチック製の基材であれば特に限定されず、用途に応じて適宜選択すればよい。このようなプラスチック基材としては、例えば、アクリル、高弾性のアクリルゴムを含有したアクリル、アクリル−スチレン共重合体、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、エポキシ等のシート状のものやフィルム状のものを挙げることができる。また、これらのプラスチック基材は、上記の基材のうち1種を単独で用いてもよく、1種または2種以上を積層した積層構造としてもよい。
【0050】
この塗膜を形成する塗工方法としては、例えば、バーコート法、スピンコート法、ディップコート法、グラビアコート法、スプレー法、ローラー法、はけ塗り法等が挙げられる。
【0051】
なお、樹脂組成物を形成、硬化させる場合に、溶媒等が多すぎて成形や硬化が難しくなる場合には、溶媒等を留去し、樹脂組成物の粘度等を調整してから実施してもよい。
【0052】
[光学部材]
本実施形態の光学部材は、本実施形態の表面修飾金属酸化物微粒子含有複合体を備えていることを特徴とする。
この光学部材としては、透明なプラスチック基材が用いられる光学部材であればよく、特に限定されないが、例えば、カメラ、レンズ付フィルム等のフィルム一体型カメラ、ビデオカメラ、車載用カメラ等の各種カメラレンズ、CD、CD−ROM、MO、CD−R、CD−Video、DVD等の光ピックアップレンズやマイクロレンズアレイ、複写機、プリンター等のOA機器等の各種機器に用いられる光学部材やプリズムシート、光ファイバー通信装置、LED用封止剤等が挙げられる。
【0053】
本実施形態の透明複合体を光学部材に実装する方法としては、特に限定されず、公知の方法で光学部材に実装させればよい。
【実施例】
【0054】
次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各例における諸特性は下記の方法に従って測定した。
(1)表面修飾剤の金属酸化物微粒子に対する表面修飾量
表面修飾量は、ICP発光分析装置を使用して、測定した。
(2)複合体の屈折率の測定
メトリコン社製のプリズムカプラー Model12010を使用して、プリズムカップリング法により、594nmの波長における複合体の屈折率を測定した。
(3)複合体の透明性の評価
得られた複合体の厚みを1mmに研磨し、日立ハイテクノロジーズ社製の紫外可視分光光度計 U-3900H(φ60mm積分球を装着)を使用して、700nmの波長における複合体の透過率を測定した。
(4)金属酸化物微粒子の平均一次粒子径
金属酸化物微粒子の平均一次粒子径を、透過型電子顕微鏡(FE−TEM、日本電子社製 JEM−2100F)にて粒子を観察し、500個の長径を測定し、これらの平均値を算出することで求めた。
(5)表面修飾金属酸化物微粒子含有分散液の平均分散粒径
表面修飾金属酸化物微粒子含有分散液の平均分散粒径(D50)を、動的光散乱式粒子径分布測定装置(Malvern社製)を用いて測定した。データ解析条件として粒子径基準を体積基準とした。
(6)表面修飾金属酸化物微粒子含有複合体の観察
得られた透明複合体から、膜厚約100nmの薄い試験片を切り出し、この薄い透明複合体を透過型電子顕微鏡(FE−TEM、日本電子社製 JEM−2100F)にて観察した。
【0055】
[実施例1]
「表面修飾金属酸化物微粒子の作製」
ジルコニア微粒子の水分散液(平均一次粒子径5nm)と、ベンジルトリエトキシシランを含有するメタノール溶液とを、ジルコニアとベンジルトリエトキシシランの質量比が100:50(ジルコニア粒子100質量部に対して50質量部)となるように撹拌混合した。
次いで、固液分離で表面修飾されたジルコニア微粒子を回収し、乾燥させて、実施例1のベンジルトリエトキシシランで表面修飾された表面修飾ジルコニア微粒子を得た。
ジルコニア微粒子100質量部に対する表面修飾量をICP発光分析により測定した結果、35質量部であった。
【0056】
[実施例2]
「表面修飾金属酸化物微粒子の作製」
実施例1において、ベンジルトリエトキシシランの替わりに、フェニルエチルトリメトキシシランを用いた以外は実施例1と同様にして、実施例2のフェニルエチルトリメトキシシランで表面修飾された表面修飾ジルコニア微粒子を得た。
ジルコニア微粒子100質量部に対する表面修飾量をICP発光分析により測定した結果、36質量部であった。
【0057】
[実施例3]
「表面修飾金属酸化物微粒子の作製」
実施例1において、ベンジルトリエトキシシランの替わりに、フェニルプロピルトリメトキシシランを用いた以外は実施例1と同様にして、実施例3のフェニルプロピルトリメトキシシランで表面修飾された表面修飾ジルコニア微粒子を得た。
ジルコニア微粒子100質量部に対する表面修飾量をICP発光分析により測定した結果、36質量部であった。
【0058】
[実施例4]
「表面修飾金属酸化物微粒子の作製」
実施例1において、平均一次粒子径が5nmのジルコニア水分散液の替わりに、平均一次粒子径が5nmのチタニア微粒子の水分散液を用い、ベンジルトリエトキシシランの替わりに、フェニルエチルトリメトキシシランを用いた以外は実施例1と同様にして、実施例4のフェニルエチルトリメトキシシランで表面修飾された表面修飾チタニア微粒子を得た。
チタニア微粒子100質量部に対する表面修飾量をICP発光分析により測定した結果、37質量部であった。
【0059】
[比較例1]
実施例1において、ベンジルトリエトキシシランの替わりに、トリルトリメトキシシランを用いた以外は実施例1と同様にして、比較例1のトリルトリメトキシシランで表面修飾された表面修飾ジルコニア微粒子を得た。
ジルコニア微粒子100質量部に対する表面修飾量をICP発光分析により測定した結果、35質量部であった。
【0060】
[比較例2]
実施例1において、ベンジルトリエトキシシランの替わりに、エチルフェニルエチルトリメトキシシランを用いた以外は実施例1と同様にして、比較例2のエチルフェニルエチルトリメトキシシランで表面修飾された表面修飾ジルコニア微粒子を得た。
ジルコニア微粒子100質量部に対する表面修飾量をICP発光分析により測定した結果、38質量部であった。
【0061】
[比較例3]
実施例1において、ベンジルトリエトキシシランの替わりに、ベンゾイロキシプロピルトリメトキシシランを用いた以外は実施例1と同様にして、比較例3のベンゾイロキシプロピルトリメトキシシランで表面修飾された表面修飾ジルコニア微粒子を得た。
ジルコニア微粒子100質量部に対する表面修飾量をICP発光分析により測定した結果、37質量部であった。
【0062】
[比較例4]
実施例1において、ベンジルトリエトキシシランの替わりに、フェニルアミノプロピルトリメトキシシランを用いた以外は実施例1と同様にして、比較例4のフェニルアミノプロピルトリメトキシシランで表面修飾された表面修飾ジルコニア微粒子を得た。
ジルコニア微粒子100質量部に対する表面修飾量をICP発光分析により測定した結果、36質量部であった。
【0063】
[実施例5]
<表面修飾金属酸化物微粒子含有分散液の作製>
実施例1で得られた表面修飾ジルコニア微粒子0.8質量部と、トルエン10質量部を混合して、実施例5の透明な分散液を得た。
得られた分散液の平均分散粒径は、5nm以上かつ20nm以下であった。
【0064】
<表面修飾金属酸化物微粒子含有樹脂組成物の作製>
得られた透明な分散液10.8質量部と、フルオレン骨格を有するエポキシ樹脂(大阪瓦斯社製、オグソールEG200、屈折率1・60)と、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸と、ホスホニウム塩系化合物(サンアプロ社製、U−CAT5003)とを質量比で100:50:0.05となるように混合した混合物1.2質量部とを混合して(表面修飾金属酸化物微粒子と樹脂の質量比は40:60)、実施例5の透明な樹脂組成物を得た。
【0065】
<表面修飾金属酸化物微粒子含有複合体の作製>
得られた樹脂組成物からトルエンを留去させ、次いで、20mmφのテフロン(登録商標)製の型に、乾燥膜厚が1mm以上になるように、この樹脂組成物を、型に均一になるように注入した。次いで150℃で樹脂組成物を加熱硬化させ、実施例5の透明な複合体を得た。
複合体をFE−TEMで観察した結果、複合体中にジルコニア微粒子が均一に分散されていることが確認された。
【0066】
[実施例6]
実施例5において、実施例1で得られた表面修飾ジルコニア微粒子の替わりに、実施例2で得られた表面修飾ジルコニア微粒子を用いた以外は実施例5と同様にして、実施例6の透明な分散液と、実施例6の透明な樹脂組成物と、実施例6の透明な複合体を得た。
分散液中における表面修飾ジルコニア微粒子の平均分散粒径は、5nm以上かつ20nm以下であった。
複合体をFE−TEMで観察した結果、複合体中にジルコニア微粒子が均一に分散されていることが確認された。
【0067】
[実施例7]
実施例5において、実施例1で得られた表面修飾ジルコニア微粒子の替わりに、実施例3で得られた表面修飾ジルコニア微粒子を用いた以外は実施例5と同様にして、実施例7の透明な分散液と、実施例7の透明な樹脂組成物と、実施例7の透明な複合体を得た。
分散液中における表面修飾ジルコニア微粒子の平均分散粒径は、5nm以上かつ20nm以下であった。
複合体をFE−TEMで観察した結果、複合体中にジルコニア微粒子が均一に分散されていることが確認された。
【0068】
[実施例8]
実施例5において、実施例1で得られた表面修飾ジルコニア微粒子の替わりに、実施例4で得られた表面修飾チタニア微粒子を用いた以外は実施例5と同様にして、実施例8の透明な分散液と、実施例8の透明な樹脂組成物と、実施例8の透明な複合体を得た。
複合体をFE−TEMで観察した結果、複合体中にチタニア微粒子が均一に分散されていることが確認された。
分散液中における表面修飾チタニア微粒子の平均分散粒径は、5nm以上かつ20nm以下であった。
【0069】
[比較例5]
<表面修飾金属酸化物微粒子含有分散液及び表面修飾金属酸化物微粒子含有樹脂組成物の作製>
実施例5において、実施例1で得られた表面修飾ジルコニア微粒子の替わりに、比較例1で得られた表面修飾ジルコニア微粒子を用いた以外は実施例5と同様にして、比較例5の透明な分散液と、比較例5の透明な樹脂組成物を得た。
【0070】
<表面修飾金属酸化物微粒子含有複合体の作製>
得られた樹脂組成物からトルエンを留去させた。次いで、20mmφのテフロン(登録商標)製の型に、乾燥膜厚が1mm以上となるように樹脂組成物を注入したが、樹脂組成物の粘性が高すぎて流動性を有しないため、型に均一に充填することができなかった。次いで150℃で樹脂組成物を加熱硬化させ、比較例5の半透明な複合体を得た。
トルエンを留去させたあとに樹脂組成物の粘性が高くなったことにより、芳香環上にメチル基を有する表面修飾剤を表面修飾させたジルコニア微粒子は、成形性に劣り、透明性も優れないことが確認された。
複合体をFE−TEMで観察した結果、複合体中で、ジルコニア微粒子の凝集体が形成されているのが確認された。
【0071】
[比較例6]
<表面修飾金属酸化物微粒子含有分散液及び表面修飾金属酸化物微粒子含有樹脂組成物の作製>
実施例5において、実施例1で得られた表面修飾ジルコニア微粒子の替わりに、比較例2で得られた表面修飾ジルコニア微粒子を用いた以外は実施例5と同様にして、比較例6の透明な分散液と、比較例6の透明な樹脂組成物を得た。
【0072】
<表面修飾金属酸化物微粒子含有複合体の作製>
得られた樹脂組成物からトルエンを留去させたところ、樹脂組成物が白濁した。次いで、20mmφのテフロン(登録商標)製の型に、乾燥膜厚が1mm以上となるように樹脂組成物を注入したが、樹脂組成物の粘性が高すぎて流動性を有しないため、型に均一に充填することができなかった。次いで150℃で樹脂組成物を加熱硬化させ、比較例6の複合体を得た。
【0073】
トルエンを留去させたところで、樹脂組成物が白濁し、かつ、樹脂組成物の粘性が高くなったことにより、芳香環上にエチル基を有する表面修飾剤を表面修飾させたジルコニア微粒子が、成形性にも透明性にも劣ることが確認された。
複合体をFE−TEMで観察した結果、複合体中で、ジルコニア微粒子の凝集体が形成されているのが確認された。
【0074】
[比較例7]
<表面修飾金属酸化物微粒子含有分散液及び表面修飾金属酸化物微粒子含有樹脂組成物の作製>
実施例5において、実施例1で得られた表面修飾ジルコニア微粒子の替わりに、比較例3で得られた表面修飾ジルコニア微粒子を用いた以外は実施例5と同様にして、比較例7の透明な分散液と、比較例7の透明な樹脂組成物を得た。
【0075】
<表面修飾金属酸化物微粒子含有複合体の作製>
得られた樹脂組成物からトルエンを留去させ、次いで、20mmφのテフロン(登録商標)製の型に、乾燥膜厚が1mm以上になるように、この樹脂組成物を注入した。次いで150℃で樹脂組成物を加熱硬化させたところ、比較例7の白色で失透した複合体を得た。
150℃の加熱で白濁したことより、芳香環とケイ素の間にエステル結合を有する表面修飾剤を表面修飾させたジルコニア微粒子が、透明性に劣ることが確認された。
複合体をFE−TEMで観察した結果、複合体中で、ジルコニア微粒子の凝集体が形成されているのが確認された。
【0076】
[比較例8]
<表面修飾金属酸化物微粒子含有分散液及び表面修飾金属酸化物微粒子含有樹脂組成物の作製>
実施例5において、実施例1で得られた表面修飾ジルコニア微粒子の替わりに、比較例4で得られた表面修飾ジルコニア微粒子を用いた以外は実施例5と同様にして、比較例8の透明な分散液と、比較例8の透明な樹脂組成物を得た。
【0077】
<表面修飾金属酸化物微粒子含有複合体の作製>
得られた樹脂組成物からトルエンを留去させ、次いで、20mmφのテフロン(登録商標)製の型に、乾燥膜厚が1mm以上になるように、この樹脂組成物を注入した。次いで150℃で樹脂組成物を加熱硬化させたところ、比較例8の赤紫色の透明な複合体を得た。
150℃の加熱で着色したことより、芳香環とケイ素の間にイミノ基(=NH)を有する表面修飾剤を表面修飾させたジルコニア微粒子が、透明性にやや劣り、また着色する点で劣ることが確認された。
複合体をFE−TEMで観察した結果、複合体中にジルコニア微粒子が均一に分散されていることが確認された。
【0078】
[実施例9]
<表面修飾金属酸化物微粒子含有樹脂組成物の作製>
実施例5で得られた透明な分散液10.8質量部と、ビスフェノールA骨格を有するエポキシ樹脂(三菱化学社製、jER828、屈折率1.55)と、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸と、ホスホニウム塩系化合物(サンアプロ社製、U−CAT5003)とを質量比で100:90:0.05となるように混合した混合物1.2質量部を混合して(表面修飾金属酸化物微粒子と樹脂の質量比は40:60)、実施例9の透明な樹脂組成物を得た。
【0079】
<表面修飾金属酸化物微粒子含有複合体の作製>
得られた樹脂組成物からトルエンを留去させ、次いで、20mmφのテフロン(登録商標)製の型に、乾燥膜厚が1mm以上になるように、この樹脂組成物を注入した。次いで150℃で樹脂組成物を加熱硬化させ、実施例9の透明な複合体を得た。
複合体をFE−TEMで観察した結果、複合体中にジルコニア微粒子が均一に分散されていることが確認された。
【0080】
[実施例10]
実施例9において、実施例5で得られた表面修飾ジルコニア微粒子含有分散液の替わりに、実施例6で得られた表面修飾ジルコニア微粒子含有分散液を用いた以外は実施例9と同様にして、実施例10の透明な樹脂組成物と、実施例10の透明な複合体を得た。
複合体をFE−TEMで観察した結果、複合体中にジルコニア微粒子が均一に分散されていることが確認された。
【0081】
[実施例11]
実施例9において、実施例5で得られた表面修飾ジルコニア微粒子含有分散液の替わりに、実施例7で得られた表面修飾ジルコニア微粒子含有分散液を用いた以外は実施例9と同様にして、実施例11の透明な樹脂組成物と、実施例11の透明な複合体を得た。
複合体をFE−TEMで観察した結果、複合体中にジルコニア微粒子が均一に分散されていることが確認された。
【0082】
[実施例12]
実施例9において、実施例5で得られた表面修飾ジルコニア微粒子含有分散液の替わりに、実施例8で得られた表面修飾チタニア微粒子含有分散液を用いた以外は実施例9と同様にして、実施例12の透明な樹脂組成物と、実施例12の透明な複合体を得た。
複合体をFE−TEMで観察した結果、複合体中にチタニア微粒子が均一に分散されていることが確認された。
【0083】
[比較例9]
<表面修飾金属酸化物微粒子含有樹脂組成物の作製>
実施例9において、実施例1で得られた表面修飾ジルコニア微粒子含有分散液の替わりに、比較例5で得られた表面修飾ジルコニア微粒子含有分散液を用いた以外は実施例9と同様にして、比較例9の透明な樹脂組成物を得た。
【0084】
<表面修飾金属酸化物微粒子含有複合体の作製>
得られた樹脂組成物からトルエンを留去させた。次いで、20mmφのテフロン(登録商標)製の型に、乾燥膜厚が1mm以上となるように樹脂組成物を注入したが、樹脂組成物の粘性が高すぎて流動性を有しないため、型に均一に充填することができなかった。次いで150℃で樹脂組成物を加熱硬化させ、比較例9の半透明な複合体を得た。
トルエンを留去させたあとに樹脂組成物の粘性が高くなったことにより、芳香環上にメチル基を有する表面修飾剤を表面修飾させたジルコニア微粒子は、成形性に劣り、透明性も優れないことが確認された。
【0085】
[比較例10]
<表面修飾金属酸化物微粒子含有樹脂組成物の作製>
実施例9において、実施例5で得られた表面修飾ジルコニア微粒子含有分散液の替わりに、比較例6で得られた表面修飾ジルコニア微粒子含有分散液を用いた以外は実施例9と同様にして、比較例10の透明な樹脂組成物を得た。
【0086】
<表面修飾金属酸化物微粒子含有複合体の作製>
得られた樹脂組成物からトルエンを留去させたところ、樹脂組成物が白濁した。次いで、20mmφのテフロン(登録商標)製の型に、乾燥膜厚が1mm以上となるように樹脂組成物を注入したが、樹脂組成物の粘性が高すぎて流動性を有しないため、型に均一に充填することができなかった。次いで150℃で樹脂組成物を加熱硬化させ、比較例10の複合体を得た。
【0087】
トルエンを留去させたところ、樹脂組成物が白濁し、かつ、樹脂組成物の粘性が高くなったことにより、芳香環上にエチル基を有する表面修飾剤を表面修飾させたジルコニア微粒子が、成形性にも透明性にも劣ることが確認された。
【0088】
[比較例11]
<表面修飾金属酸化物微粒子含有樹脂組成物の作製>
実施例9において、実施例5で得られた表面修飾ジルコニア微粒子含有分散液の替わりに、比較例7で得られた表面修飾ジルコニア微粒子含有分散液を用いた以外は実施例5と同様にして、比較例11の透明な樹脂組成物を得た。
【0089】
<表面修飾金属酸化物微粒子含有複合体の作製>
得られた樹脂組成物からトルエンを留去させたところ、樹脂組成物が白濁した。次いで、20mmφのテフロン(登録商標)製の型に、乾燥膜厚が1mm以上になるように、この樹脂組成物を注入した。次いで150℃で樹脂組成物を加熱硬化させたところ、比較例11の白濁した複合体を得た。
150℃の加熱で白濁したことより、芳香環とケイ素の間にエステル結合を有する表面修飾剤を表面修飾させたジルコニア微粒子が、透明性に劣ることが確認された。
【0090】
[比較例12]
<表面修飾酸化物粒子含有樹脂組成物の作製>
実施例9において、実施例5で得られた表面修飾ジルコニア微粒子含有分散液の替わりに、比較例8で得られた表面修飾ジルコニア微粒子含有分散液を用いた以外は実施例9と同様にして、比較例12の透明な樹脂組成物を得た。
【0091】
<表面修飾金属酸化物微粒子含有複合体の作製>
得られた樹脂組成物からトルエンを留去させ、次いで、20mmφのテフロン(登録商標)製の型に、乾燥膜厚が1mm以上になるように、この樹脂組成物を注入した。次いで150℃で樹脂組成物を加熱硬化させたところ、比較例12の赤紫色の透明な複合体を得た。
150℃の加熱で着色したことより、芳香環とケイ素の間にアミノ基を有する表面修飾剤を表面修飾させたジルコニア微粒子が、透明性に劣ることが確認された。
【0092】
[比較例13]
実施例1において、ベンジルトリエトキシシランの替わりに、(フェニルエチル)メチルジメトキシシランを用いた以外は実施例1と同様にして、(フェニルエチル)メチルジメトキシシランで表面修飾された表面修飾ジルコニア微粒子を得ようと試みた。
実施例1〜4及び比較例1〜4では、上記撹拌混合時間が0.5時間〜6時間程度で表面修飾金属酸化物微粒子を得ることができたが、比較例13では、12時間以上経過しても表面修飾金属酸化物微粒子を得ることができなかった。
【0093】
[評価]
実施例5〜12、比較例5〜12の複合体の評価結果を、表1に示す。
【0094】
【表1】

【0095】
表1の結果より、一般式(1)の条件を満たす表面修飾剤を用いた有機無機複合材料では、所望の特性が得られたのに対して、一般式(1)の条件に満たない表面修飾剤を用いた有機無機複合材料では、白濁や着色などの不具合が生じることが確認された。