特許第6206590号(P6206590)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 信越化学工業株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6206590
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】シロキサン組成物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/07 20060101AFI20170925BHJP
   C08L 83/05 20060101ALI20170925BHJP
   C08K 3/08 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   C08L83/07
   C08L83/05
   C08K3/08
【請求項の数】11
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-529233(P2016-529233)
(86)(22)【出願日】2015年6月4日
(86)【国際出願番号】JP2015066213
(87)【国際公開番号】WO2015198828
(87)【国際公開日】20151230
【審査請求日】2016年11月30日
(31)【優先権主張番号】特願2014-128308(P2014-128308)
(32)【優先日】2014年6月23日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】特許業務法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井原 俊明
【審査官】 小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−343974(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 83/07
C08K 3/08
C08L 83/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される構造を有するオルガノポリシロキサンと下記式(2)で表される構造を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンを、式(1)及び(2)で表されるポリシロキサンの合計質量の8倍以上の溶剤中、白金族金属系化合物を用いてヒドロシリル化反応することにより得られる、重量平均分子量5,000〜300,000,000で、シロキサン単位1,000molあたりシルエチレン結合を0.1〜50mol含有するオルガノポリシロキサン架橋物が溶剤に溶解してなるシロキサン組成物。
αViβγViδεViζη (1)
θHικHλμHν (2)
(式中、MはR3SiO1/2、MViはR2PSiO1/2、DはR2SiO2/2、DViはRPSiO2/2、TはRSiO3/2、TViはPSiO3/2、MHはR2HSiO1/2、DHはRHSiO2/2、THはHSiO3/2、QはSiO4/2であり、Rはそれぞれ独立に脂肪族不飽和結合を有さない炭素原子数1〜12の非置換又は置換の一価炭化水素基である。また、Pは−(CH2a−CH=CH2(aは0又は1〜6の整数)で表されるアルケニル基である。α、β、γ、δ、ε、ζ、η、θ、ι、κ、λ、μ、νはそれぞれ独立で、α、β、δ、ε、ζ、η、θ、ι、λ、μ、νは0又は正の数であり、式(1)において、1≦α+γ+ε+η≦1,000、1≦γ≦1,000であり、式(2)において、1≦θ+κ+μ≦200、1≦κ≦200であり、β、δ、ζが同時に0になることはなく、β+δ+ζ≧2で、ι、λ、νも同時に0になることはなく、ι+λ+ν≧2である。)
【請求項2】
溶剤が、トルエン、ヘキサン、キシレン及びメチルエチルケトンから選ばれる有機溶剤を含有することを特徴とする請求項1に記載のシロキサン組成物。
【請求項3】
溶剤が、オクタメチルテトラシロキサン、デカメチルペンタシロキサン、式M2n(MはR3SiO1/2単位を示し、DはR2SiO2/2単位を示し、Rはそれぞれ独立に脂肪族不飽和結合を有さない炭素原子数1〜12の非置換又は置換の一価炭化水素基であり、nは0〜200の整数である。)で示される直鎖シロキサン、及び式M2+mnm(M、D、nは上記の通り、TはRSiO3/2単位を示し、Rは上記の通りである。mは1〜10の整数である。)で示される分岐鎖シロキサンから選ばれるオルガノシロキサンである請求項1に記載のシロキサン組成物。
【請求項4】
請求項1に記載のオルガノポリシロキサン架橋物が、下記式(3)
α’Viβ’γ’Viδ’ε’Viζ’ (3)
(式中、MはR3SiO1/2、MViはR2PSiO1/2、DはR2SiO2/2、DViはRPSiO2/2、TはRSiO3/2、TViはPSiO3/2であり、Rはそれぞれ独立に脂肪族不飽和結合を有さない炭素原子数1〜12の非置換又は置換の一価炭化水素基であり、また、Pは−(CH2a−CH=CH2(aは0又は1〜6の整数)で表されるアルケニル基である。α’、β’、γ’、δ’、ε’、ζ’はそれぞれ独立に0又は正の数であり、α’+β’+γ’+δ’+ε’+ζ’≦200である。)
で表されるオルガノポリシロキサンに溶解してなり、該オルガノポリシロキサンの含有量がオルガノポリシロキサン架橋物の質量の0.1〜40倍であるシロキサン組成物。
【請求項5】
オルガノポリシロキサン架橋物を動粘度20mm2/s(25℃)のジメチルポリシロキサンに30質量%溶解させた場合の25℃における粘度が100〜2,000,000mPa・sであることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のシロキサン組成物。
【請求項6】
オルガノポリシロキサン架橋物をトルエンに30質量%溶解させた場合の25℃における粘度が50〜1,000,000mPa・sであることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のシロキサン組成物。
【請求項7】
式(1)で表されるオルガノポリシロキサンの重量平均分子量が260〜74,874であり、式(2)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンの重量平均分子量が208〜15,414であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のシロキサン組成物。
【請求項8】
アルカリを加え発生する水素ガス発生量から計算される残存SiH基量が0.001mol/100g以下であることを特徴とする請求項1〜いずれか1項に記載のシロキサン組成物。
【請求項9】
下記式(1)で表される構造を有するオルガノポリシロキサンと下記式(2)で表される構造を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンを、式(1)及び(2)で表されるポリシロキサンの合計質量の8倍以上の溶剤中、白金族金属系化合物を用いてヒドロシリル化反応することにより、重量平均分子量5,000〜300,000,000で、シロキサン単位1,000molあたりシルエチレン結合を0.1〜50mol含有するオルガノポリシロキサン架橋物を得ることを特徴とするシロキサン組成物の製造方法。
αViβγViδεViζη (1)
θHικHλμHν (2)
(式中、MはR3SiO1/2、MViはR2PSiO1/2、DはR2SiO2/2、DViはRPSiO2/2、TはRSiO3/2、TViはPSiO3/2、MHはR2HSiO1/2、DHはRHSiO2/2、THはHSiO3/2、QはSiO4/2であり、Rはそれぞれ独立に脂肪族不飽和結合を有さない炭素原子数1〜12の非置換又は置換の一価炭化水素基である。また、Pは−(CH2a−CH=CH2(aは0又は1〜6の整数)で表されるアルケニル基である。α、β、γ、δ、ε、ζ、η、θ、ι、κ、λ、μ、νはそれぞれ独立で、α、β、δ、ε、ζ、η、θ、ι、λ、μ、νは0又は正の数であり、式(1)において、1≦α+γ+ε+η≦1,000、1≦γ≦1,000であり、式(2)において、1≦θ+κ+μ≦200、1≦κ≦200であり、β、δ、ζが同時に0になることはなく、β+δ+ζ≧2で、ι、λ、νも同時に0になることはなく、ι+λ+ν≧2である。)
【請求項10】
溶剤としてトルエン、ヘキサン、キシレン及びメチルエチルケトンから選ばれる有機溶剤を用い、オルガノポリシロキサン架橋物を得た後、溶剤として低粘度のオルガノポリシロキサンを加え、該有機溶剤を減圧下加熱することにより留去し、有機溶剤を含有しない組成物とする請求項記載のシロキサン組成物の製造方法。
【請求項11】
低粘度のオルガノポリシロキサンが、下記式(3)
α’Viβ’γ’Viδ’ε’Viζ’ (3)
(式中、MはR3SiO1/2、MViはR2PSiO1/2、DはR2SiO2/2、DViはRPSiO2/2、TはRSiO3/2、TViはPSiO3/2であり、Rはそれぞれ独立に脂肪族不飽和結合を有さない炭素原子数1〜12の非置換又は置換の一価炭化水素基であり、また、Pは−(CH2a−CH=CH2(aは0又は1〜6の整数)で表されるアルケニル基である。α’、β’、γ’、δ’、ε’、ζ’はそれぞれ独立に0又は正の数であり、α’+β’+γ’+δ’+ε’+ζ’≦200である。)
で表されるオルガノポリシロキサンである請求項1記載のシロキサン組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジメチルポリシロキサンオイルとゲル状のシロキサン架橋物の中間の物性を示す流動性を有するシロキサン組成物及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゲル状オルガノポリシロキサン架橋物は、化粧品、電気配線の接続部位のコーティング等に使用されているが、いずれも流動性のない固形物である。このため溶剤にも溶解せず、化粧品や樹脂中に配合するには長時間の粉砕工程を必要とする。
【0003】
化粧品に対しては、シリコーンゲルのシリコーンオイル分散物が使われている。この製品は一度、固体状シリコーンゲルを付加反応により作った後、粉砕しながらシリコーンオイル中に分散させている。この製造方法は手間がかかる上、固体状のシリコーンゲルは、反応により固体となった部位近辺では未反応の官能基が存在しても、それ以上反応は進まないため、同じ原料を用いても製造する度に架橋密度は変わり、物性のコントロールが難しいものであった。
【0004】
プラスチックにおいては、成型時に流動性を上げるためや汚れ防止、滑り性の付与等を目的として高重合度のシリコーンオイルやシリコーンガムを樹脂中に分散させて使われている。重合度の低いシリコーンオイルは、流動性を上げる効果や滑り性に優れているが、シリコーンオイルが表面にブリードアウトするため、表面にぬめりが生じてしまう。このため重合度の高いガム状のシリコーンが使われているが、均一に分散させるには予めマスターバッチ化するなど手間がかかる。また添加したシリコーンの多くは樹脂中に埋没するため、表面で作用に関与するのは一部にすぎず、効率が悪い。一方、固体状のシリコーンゲルやレジンを用いた場合、樹脂中に留まる成分が多い上、樹脂との相溶性も悪いことから分散不良となり機械的強度が低下する場合が多い。また表面の改質効果は乏しい。
【0005】
一方、シリコーンゲルとシリコーンオイルの中間の物性を示す化合物の合成方法は報告されていない。
なお、本発明に関連する従来技術として、下記文献が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平05−140320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、ジメチルポリシロキサンオイルとゲル状のシロキサン架橋物の中間の物性を示す、流動性を有するかもしくは溶剤に溶解して流動性を示すシロキサン組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、オルガノポリシロキサン架橋物に関し鋭意検討を重ねた結果、特定の原料を原料質量の8倍以上の大過剰な溶剤中で付加反応させることにより、安定してオイルとゲルの中間の物性を示す流動性を有するシロキサン組成物を合成できることを見出し、本発明をなすに至った。
【0009】
従って、本発明は、下記のシロキサン組成物及びその製造方法を提供する。
[1]
下記式(1)で表される構造を有するオルガノポリシロキサンと下記式(2)で表される構造を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンを、式(1)及び(2)で表されるポリシロキサンの合計質量の8倍以上の溶剤中、白金族金属系化合物を用いてヒドロシリル化反応することにより得られる、重量平均分子量5,000〜300,000,000で、シロキサン単位1,000molあたりシルエチレン結合を0.1〜50mol含有するオルガノポリシロキサン架橋物が溶剤に溶解してなるシロキサン組成物。
αViβγViδεViζη (1)
θHικHλμHν (2)
(式中、MはR3SiO1/2、MViはR2PSiO1/2、DはR2SiO2/2、DViはRPSiO2/2、TはRSiO3/2、TViはPSiO3/2、MHはR2HSiO1/2、DHはRHSiO2/2、THはHSiO3/2、QはSiO4/2であり、Rはそれぞれ独立に脂肪族不飽和結合を有さない炭素原子数1〜12の非置換又は置換の一価炭化水素基である。また、Pは−(CH2a−CH=CH2(aは0又は1〜6の整数)で表されるアルケニル基である。α、β、γ、δ、ε、ζ、η、θ、ι、κ、λ、μ、νはそれぞれ独立で、α、β、δ、ε、ζ、η、θ、ι、λ、μ、νは0又は正の数であり、式(1)において、1≦α+γ+ε+η≦1,000、1≦γ≦1,000であり、式(2)において、1≦θ+κ+μ≦200、1≦κ≦200であり、β、δ、ζが同時に0になることはなく、β+δ+ζ≧2で、ι、λ、νも同時に0になることはなく、ι+λ+ν≧2である。)
[2]
溶剤が、トルエン、ヘキサン、キシレン及びメチルエチルケトンから選ばれる有機溶剤を含有することを特徴とする[1]に記載のシロキサン組成物。
[3]
溶剤が、オクタメチルテトラシロキサン、デカメチルペンタシロキサン、式M2n(MはR3SiO1/2単位を示し、DはR2SiO2/2単位を示し、Rはそれぞれ独立に脂肪族不飽和結合を有さない炭素原子数1〜12の非置換又は置換の一価炭化水素基であり、nは0〜200の整数である。)で示される直鎖シロキサン、及び式M2+mnm(M、D、nは上記の通り、TはRSiO3/2単位を示し、Rは上記の通りである。mは1〜10の整数である。)で示される分岐鎖シロキサンから選ばれるオルガノシロキサンである[1]に記載のシロキサン組成物。
[4]
[1]に記載のオルガノポリシロキサン架橋物が、下記式(3)
α’Viβ’γ’Viδ’ε’Viζ’ (3)
(式中、MはR3SiO1/2、MViはR2PSiO1/2、DはR2SiO2/2、DViはRPSiO2/2、TはRSiO3/2、TViはPSiO3/2であり、Rはそれぞれ独立に脂肪族不飽和結合を有さない炭素原子数1〜12の非置換又は置換の一価炭化水素基であり、また、Pは−(CH2a−CH=CH2(aは0又は1〜6の整数)で表されるアルケニル基である。α’、β’、γ’、δ’、ε’、ζ’はそれぞれ独立に0又は正の数であり、α’+β’+γ’+δ’+ε’+ζ’≦200である。)
で表されるオルガノポリシロキサンに溶解してなり、該オルガノポリシロキサンの含有量がオルガノポリシロキサン架橋物の質量の0.1〜40倍であるシロキサン組成物。
[5]
オルガノポリシロキサン架橋物を動粘度20mm2/s(25℃)のジメチルポリシロキサンに30質量%溶解させた場合の25℃における粘度が100〜2,000,000mPa・sであることを特徴とする[1]〜[]のいずれかに記載のシロキサン組成物。
[6]
オルガノポリシロキサン架橋物をトルエンに30質量%溶解させた場合の25℃における粘度が50〜1,000,000mPa・sであることを特徴とする[1]〜[]のいずれかに記載のシロキサン組成物。
[7]
式(1)で表されるオルガノポリシロキサンの重量平均分子量が260〜74,874であり、式(2)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンの重量平均分子量が208〜15,414であることを特徴とする[1]〜[]のいずれかに記載のシロキサン組成物。
[8]
アルカリを加え発生する水素ガス発生量から計算される残存SiH基量が0.001mol/100g以下であることを特徴とする[1]〜[]いずれかに記載のシロキサン組成物。
[9]
下記式(1)で表される構造を有するオルガノポリシロキサンと下記式(2)で表される構造を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンを、式(1)及び(2)で表されるポリシロキサンの合計質量の8倍以上の溶剤中、白金族金属系化合物を用いてヒドロシリル化反応することにより、重量平均分子量5,000〜300,000,000で、シロキサン単位1,000molあたりシルエチレン結合を0.1〜50mol含有するオルガノポリシロキサン架橋物を得ることを特徴とするシロキサン組成物の製造方法。
αViβγViδεViζη (1)
θHικHλμHν (2)
(式中、MはR3SiO1/2、MViはR2PSiO1/2、DはR2SiO2/2、DViはRPSiO2/2、TはRSiO3/2、TViはPSiO3/2、MHはR2HSiO1/2、DHはRHSiO2/2、THはHSiO3/2、QはSiO4/2であり、Rはそれぞれ独立に脂肪族不飽和結合を有さない炭素原子数1〜12の非置換又は置換の一価炭化水素基である。また、Pは−(CH2a−CH=CH2(aは0又は1〜6の整数)で表されるアルケニル基である。α、β、γ、δ、ε、ζ、η、θ、ι、κ、λ、μ、νはそれぞれ独立で、α、β、δ、ε、ζ、η、θ、ι、λ、μ、νは0又は正の数であり、式(1)において、1≦α+γ+ε+η≦1,000、1≦γ≦1,000であり、式(2)において、1≦θ+κ+μ≦200、1≦κ≦200であり、β、δ、ζが同時に0になることはなく、β+δ+ζ≧2で、ι、λ、νも同時に0になることはなく、ι+λ+ν≧2である。)
[10]
溶剤としてトルエン、ヘキサン、キシレン及びメチルエチルケトンから選ばれる有機溶剤を用い、オルガノポリシロキサン架橋物を得た後、溶剤として低粘度のオルガノポリシロキサンを加え、該有機溶剤を減圧下加熱することにより留去し、有機溶剤を含有しない組成物とする[]記載のシロキサン組成物の製造方法。
[11]
低粘度のオルガノポリシロキサンが、下記式(3)
α’Viβ’γ’Viδ’ε’Viζ’ (3)
(式中、MはR3SiO1/2、MViはR2PSiO1/2、DはR2SiO2/2、DViはRPSiO2/2、TはRSiO3/2、TViはPSiO3/2であり、Rはそれぞれ独立に脂肪族不飽和結合を有さない炭素原子数1〜12の非置換又は置換の一価炭化水素基であり、また、Pは−(CH2a−CH=CH2(aは0又は1〜6の整数)で表されるアルケニル基である。α’、β’、γ’、δ’、ε’、ζ’はそれぞれ独立に0又は正の数であり、α’+β’+γ’+δ’+ε’+ζ’≦200である。)
で表されるオルガノポリシロキサンである[1]記載のシロキサン組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明のシロキサン組成物は、これまでにない物性からさまざまな用途に対して新規な特性を発揮することができる。用途としては、柔らかな感触のある安価に簡単に合成することができる化粧品用シリコーンゲル、表面にぬめり感のないシリコーン配合プラスチック成型体、剥離紙用シリコーンの高速塗工時に発生するミスト防止剤、再剥離性に優れる粘着剤等を挙げることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のシロキサン組成物は、オルガノポリシロキサン架橋物と溶剤とからなり、本発明のオルガノポリシロキサン架橋物は、下記式(1)で表される構造を有するオルガノポリシロキサンと下記式(2)で表される構造を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンとを、式(1)及び(2)で表されるポリシロキサンの合計質量の8倍以上の溶剤中、白金触媒を用いてヒドロシリル化反応して得られる、重量平均分子量5,000〜300,000,000で、シロキサン単位1,000molあたりシルエチレン結合を0.1〜50mol含有することを特徴とするものである。
【0012】
αViβγViδεViζη (1)
θHικHλμHν (2)
(式中、MはR3SiO1/2、MViはR2PSiO1/2、DはR2SiO2/2、DViはRPSiO2/2、TはRSiO3/2、TViはPSiO3/2、MHはR2HSiO1/2、DHはRHSiO2/2、THはHSiO3/2、QはSiO4/2であり、Rはそれぞれ独立に脂肪族不飽和結合を有さない炭素原子数1〜12の非置換又は置換の一価炭化水素基である。また、Pは−(CH2a−CH=CH2(aは0又は1〜6の整数)で表されるアルケニル基である。α、β、γ、δ、ε、ζ、η、θ、ι、κ、λ、μ、νはそれぞれ独立に0又は正の数であり、β、δ、ζが同時に0になることはなく、β+δ+ζ≧2で、ι、λ、νも同時に0になることはなく、ι+λ+ν≧2である。)
【0013】
まず、下記式(1)で表される構造を有するオルガノポリシロキサンと、下記式(2)で表される構造を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンについて説明する。
αViβγViδεViζη (1)
θHικHλμHν (2)
上記式(1)、(2)中、M、MVi、D、DVi、T、TVi、MH、DH、TH、Qは、ぞれぞれ下記に示す単位である。
M:R3SiO1/2
Vi:R2PSiO1/2
D:R2SiO2/2
Vi:RPSiO2/2
T:RSiO3/2
Vi:PSiO3/2
H:R2HSiO1/2
H:RHSiO2/2
H:HSiO3/2
Q:SiO4/2
【0014】
上記式中、Rはそれぞれ独立に脂肪族不飽和結合を有さない炭素原子数1〜12、好ましくは炭素原子数1〜6の非置換又は置換の一価炭化水素基である。例として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等のアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、ナフチル基、トリル基等のアリール基;又はこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部をハロゲン原子、シアノ基、水酸基等で置換したものが挙げられる。ただし剥離力を低くする上でRの総数の少なくとも50mol%はメチル基であることが好ましい。
また、Pは−(CH2a−CH=CH2(aは0又は1〜6の整数)で表されるアルケニル基である。
【0015】
α、β、γ、δ、ε、ζ、η、θ、ι、κ、λ、μ、νは、それぞれ独立に0又は正の数である。また、β、δ、ζが同時に0になることはなく、β+δ+ζは2以上、好ましくは2〜10、より好ましくは2〜5であり、ι、λ、νも同時に0になることはなく、ι+λ+νは2以上、好ましくは2〜10、より好ましくは2〜5である。
【0016】
また、α、γ、ε、ηは同時に0になることはなく、特にシルエチレン結合含有量の点から、α+γ+ε+ηは1〜1,000であることが好ましく、より好ましくは10〜500であり、更に好ましくは50〜400である。この場合、シルエチレン結合含有量の点から、特にγは1〜1,000であることが好ましく、より好ましくは10〜500であり、更に好ましくは50〜400である。また、αは0〜20であることが好ましく、より好ましくは0〜10であり、更に好ましくは0〜5である。εは0〜50、特に0〜10であることが好ましく、ηは0〜5、特に0〜1であることが好ましい。
【0017】
一方、θ、κ、μも同時に0になることはなく、同様にシルエチレン結合含有量の点から、θ+κ+μは1〜200であることが好ましく、より好ましくは10〜150であり、更に好ましくは20〜100である。この場合、κは1〜200であることが好ましく、より好ましくは10〜150であり、更に好ましくは20〜100である。θは0〜20であることが好ましく、より好ましくは0〜10であり、更に好ましくは0〜5である。μは0〜50、特に0〜10であることが好ましい。
【0018】
式(1)で表されるオルガノポリシロキサンは、1分子中に2個以上、好ましくは2〜10個のケイ素原子結合アルケニル基を有するオルガノポリシロキサンである。
該オルガノポリシロキサンの重量平均分子量は、260〜74,874であることが好ましく、より好ましくは408〜7,586である。重量平均分子量が大きすぎるとゲルが柔らかく粘着性を帯びていて取り扱いにくい場合がある。このためQ単位は1以下が好ましく、更に好ましい値は0である。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)分析(溶媒:トルエン)によるポリスチレン換算の重量平均分子量により測定できる(以下、同じ)。
【0019】
このようなオルガノポリシロキサンとして、具体的には、両末端アルケニル基含有シロキサン、側鎖アルケニル基含有シロキサン、片末端及び側鎖アルケニル基含有シロキサン、両末端側鎖アルケニル基含有シロキサンを挙げることができ、構造式で表すと、MVi2γ、M2γViδ、MVi3γ1、MVi4γ2、MVi2γViδ、MVi2γ1、MαγViδViζ(但し、γは1〜1,000、特に10〜500、とりわけ50〜400、δは2〜20、特に2〜10、とりわけ2〜5、ζは1〜20、特に1〜10、とりわけ1〜6)等を挙げることができる。更に具体的な構造例としては、MVi210、MVi2100、M227Vi3、M297Vi3、M226Vi4、M225Vi5、M224Vi6、M296Vi4、M295Vi5、MVi31001、MVi41002、MVi297Vi1、MVi295Vi3、M393Vi3Vi1等を挙げることができる。
ビニル基含有量としては0.001〜1mol/100g、更に好ましい範囲は0.01〜0.1mol/100gである。
【0020】
式(2)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1分子中に2個以上、好ましくは2〜100個のケイ素原子結合水素原子(SiH基)を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。このオルガノハイドロジェンポリシロキサンのSiH基と式(1)で表されるオルガノポリシロキサンのビニル基とが付加反応することによりオルガノポリシロキサン架橋物が形成される。
【0021】
該オルガノハイドロジェンポリシロキサンの重量平均分子量は、208〜15,414であることが好ましく、より好ましくは282〜7,534である。重量平均分子量が小さすぎると架橋密度が高くなることからゲル化あるいは固形化する場合があり、大きすぎるとゲルが柔らかく粘着性を帯びて取り扱いが難しくなる場合がある。
【0022】
このようなオルガノハイドロジェンポリシロキサンとして、具体的には、両末端ハイドロジェン基含有シロキサン、側鎖ハイドロジェン基含有シロキサン、片末端及び側鎖ハイドロジェン基含有シロキサン、両末端及び側鎖ハイドロジェン基含有シロキサン等を挙げることができ、構造式で表すと、MH2κ、M2Hλ、M2κHλ、MH2κHλ、MH3κ1、MH4κ2、MθκHλHν(但し、κは1〜200、特に10〜150、とりわけ20〜100、λは1〜20、特に1〜10、とりわけ1〜5、θは3〜22、特に3〜12、とりわけ3〜7、νは1〜20、特に1〜10、とりわけ1〜6)等を挙げることができる。更に具体的な構造例としては、MH210、MH2100、M227H3、M297H3、M226H4、M225H5、M224H6、M296H4、M295H5、MH31001、MH41002、MH297H1、MH295H3、M393H3H1等を挙げることができる。
好ましいSiH基含有量としては0.01〜10mol/100g、更に好ましい範囲は0.01〜1mol/100gである。
【0023】
オルガノハイドロジェンポリシロキサンの使用量は、該オルガノハイドロジェンポリシロキサン中のSiH基と上記式(1)で表されるオルガノポリシロキサン中のアルケニル基との配合モル比率(SiH基:アルケニル基)が、0.8:1〜1.8:1であることが好ましく、0.9:1〜1.6:1であることがより好ましい。
【0024】
本発明におけるオルガノポリシロキサン架橋物は、上記式(1)で表される構造を有するオルガノポリシロキサンと上記式(2)で表される構造を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンとを、式(1)及び(2)で表されるオルガノポリシロキサンの合計質量の8倍以上、好ましくは10倍以上、更に好ましくは12倍以上の溶剤中、白金族金属系触媒を用いてヒドロシリル化(付加)反応させることにより合成することができる。これは、白金族金属系触媒によって式(2)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン中のSiH基が式(1)で表される構造を有するオルガノポリシロキサン中のビニル基に付加する反応である。
【0025】
ここで、白金族金属系触媒としては、付加反応触媒として用いられる公知のものが使用できる。このような白金族金属系触媒としては、例えば、白金系、パラジウム系、ロジウム系、ルテニウム系等の触媒が挙げられ、これらの中で特に白金系触媒が好ましく用いられる。この白金系触媒としては、例えば塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液又はアルデヒド溶液、塩化白金酸の各種オレフィン又はビニルシロキサンとの錯体等が挙げられる。
【0026】
これら白金族金属系触媒の添加量は触媒量であるが、経済的な点を考慮して、上記アルケニル基を有するオルガノポリシロキサンと上記オルガノハイドロジェンポリシロキサンの合計量に対して白金族金属質量として0.1〜100ppmの範囲とすることが好ましく、0.5〜5ppmの範囲とすることがより好ましい。
【0027】
また、本発明におけるオルガノポリシロキサン架橋物の合成に用いられる溶剤としては、トルエン、ヘキサン、キシレン、メチルエチルケトン等のオルガノポリシロキサンに可溶な有機溶剤(シロキサン溶剤を含まない)や、オクタメチルテトラシロキサン、デカメチルペンタシロキサン等の低粘度の環状シロキサン、M2n(M、Dは上記と同じ。nは0〜200、好ましくは1〜50の整数である。)等の直鎖シロキサン、M2+mnm(M、D、Tは上記と同じ。nは0〜200、好ましくは1〜50の整数、mは1〜10、好ましくは1〜3の整数である。)等の分岐鎖シロキサンなどのオルガノポリシロキサン(シロキサン溶剤)を用いるのが好ましい。
【0028】
溶剤の使用量は、上記式(1)及び(2)で表されるオルガノポリシロキサンの合計質量の8倍以上、好ましくは10倍以上50倍以下、更に好ましくは12倍以上40倍以下である。溶剤の使用量が少なすぎるとオルガノポリシロキサン架橋物の分子量が高くなりすぎゲル化が起こり、また多すぎると分子量が小さくなりすぎ、架橋物としての特性がなく、オイルに近い特性になる場合がある。
【0029】
上記ヒドロシリル化による反応は常温でも進行するが遅いため、反応温度は50〜140℃、特に60〜120℃が好ましく、反応時間は1〜8時間、特に2〜5時間が好ましい。
反応は水素ガス発生量で確認することができ、残存SiH基量として0.001mol/100g以下、好ましくは0.0001mol/100g以下であることが好ましい。なお、水素ガス発生量は、サンプル約10gに水希釈アルカリ水溶液を入れ、発生する水素ガス量を測定するものである。
【0030】
上記反応により得られるオルガノポリシロキサン架橋物は、その重量平均分子量(Mn)が5,000〜300,000,000であり、5,000〜12,000,000であることが好ましく、より好ましくは7,000〜500,000である。この範囲は平均重合度で見た場合、65〜163,000であることが好ましく、より好ましくは90〜6,760である。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)分析(溶媒:トルエン)におけるポリスチレン換算の重量平均分子量として求めることができ、重量平均分子量が大きすぎる場合は、超高分子量用カラムTSKgel SuperHM−Hを用いて測定することにより求めることができる。また、平均重合度は、求められたSi−NMR結果から求めることができる(以下、同じ)。
【0031】
上記反応により得られるオルガノポリシロキサン架橋物は、1H−NMRより計算されるシロキサン単位1,000molあたりのシルエチレン結合含有量が、0.1〜50molであり、好ましくは1〜30molである。上記シルエチレン結合含有量が少なすぎるとオイルの性質に近いものになり、架橋物としての特性が得られない。また、多すぎると粘度が高くなりすぎ混合が難しい場合がある。
【0032】
上記で得られたオルガノポリシロキサン架橋物のB型回転粘度計を用いて測定した25℃における粘度は、動粘度20mm2/s(25℃)のジメチルポリシロキサンに30質量%溶解させた場合、100〜2,000,000mPa・sであることが好ましく、300〜160,000mPa・sであることがより好ましく、更に好ましくは500〜100,000mPa・sであり、特に好ましくは1,000〜50,000mPa・sであり、また、トルエンに30質量%溶解させた場合、50〜1,000,000mPa・sであることが好ましく、100〜130,000mPa・sであることがより好ましく、更に好ましくは300〜50,000mPa・sであり、特に好ましくは500〜10,000mPa・sである。
【0033】
本発明において、オルガノポリシロキサン架橋物は、上記反応に使用した溶剤をそのまま含んだ組成物として用いることができ、該組成物は固体を含まず、均一なオイル状のものである。
なお、トルエン等の有機溶剤を用いて合成した場合は、溶剤として低粘度のオルガノポリシロキサンを加えた後、該有機溶剤を減圧下加熱することにより留去し、有機溶剤を含有しない組成物にすることもできる。この方法は、特に低粘度のオルガノポリシロキサンとしてアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンを用いる場合に有効である。
この場合、減圧条件としては、0.01〜50mmHg、特に0.1〜30mmHgが好ましく、また、加熱条件としては、50〜150℃で30分〜5時間、特に60〜130℃で30分〜3時間とすることが好ましい。
【0034】
上記低粘度のオルガノポリシロキサンとしては、下記式(3)で表される構造を有する化合物が好ましい。
α’Viβ’γ’Viδ’ε’Viζ’ (3)
(式中、MはR3SiO1/2、MViはR2PSiO1/2、DはR2SiO2/2、DViはRPSiO2/2、TはRSiO3/2、TViはPSiO3/2であり、Rはそれぞれ独立に脂肪族不飽和結合を有さない炭素原子数1〜12の非置換又は置換の一価炭化水素基であり、上記と同様のものを例示することができる。また、Pは−(CH2a−CH=CH2(aは0又は1〜6の整数)で表されるアルケニル基である。α’、β’、γ’、δ’、ε’、ζ’はそれぞれ独立に0又は正の数であり、α’+β’+γ’+δ’+ε’+ζ’≦200、好ましくは10≦α’+β’+γ’+δ’+ε’+ζ’≦150である。)
【0035】
このような低粘度のオルガノポリシロキサンとして、具体的には、粘度1〜1,000mPa・sのジメチルポリシロキサン、ジメチルビニルシロキシ基を分子鎖両末端に有するジメチルポリシロキサン、側鎖にビニル基を有するメチルビニルポリシロキサン、ジメチルヒドロキシシリル基を両末端に有するジメチルポリシロキサン、側鎖にフェニル基を有するフェニルメチルポリシロキサン等が挙げられ、好ましくはMVi210、MVi2100、M227Vi3、M297Vi3、M226Vi4、M225Vi5、M224Vi6、M296Vi4、M295Vi5、MVi31001、MVi41002、MVi297Vi1、MVi295Vi3、M393Vi3Vi1等のビニル基を含有するポリシロキサン等が挙げられる。
【0036】
なお、上記式(3)で表される低粘度オルガノポリシロキサンの量は、オルガノポリシロキサン架橋物の質量の0.1〜40倍が好ましく、0.1〜20倍がより好ましく、更に好ましくは0.5〜10倍であり、特に好ましくは0.5〜5倍である。
【0037】
本発明のオルガノポリシロキサン架橋物の用途としては、柔らかな感触のある安価に簡単に合成することができる化粧品用シリコーンゲル、表面にぬめり感のないシリコーン配合プラスチック成型体、剥離紙用シリコーンの高速塗工時に発生するミスト防止剤、再剥離性に優れる粘着剤等を挙げることができる。
【実施例】
【0038】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記に挙げる粘度はいずれも25℃でB型回転粘度計を用いて測定された値である。
【0039】
また、下記の例において、シロキサンの組成を示す記号は以下の通りの単位を示す。
M:(CH33SiO1/2
H:(CH32HSiO1/2
Vi:(CH2=CH)(CH32SiO1/2
D:(CH32SiO2/2
H:(CH3)HSiO2/2
Vi:(CH2=CH)(CH3)SiO2/2
T:(CH3)SiO3/2
Vi:(CH2=CH)SiO3/2
Q:SiO4/2
【0040】
〔実施例1〕
224.6H2で表される側鎖型メチルハイドロジェンポリシロキサン10gとMVi2.4147.70.4で表される分岐状ビニルメチルポリシロキサン48g(SiH基:ビニル基=1モル:1.083モル)をトルエン696g(シロキサン総質量の12倍に相当)中で混合後、ビニルメチルポリシロキサンを配位した白金触媒を白金質量として反応系総質量に対し2ppm添加し、昇温した。温度80℃で5時間反応させたところ、水素ガス発生量から換算する(以下同様)残存SiH基量は0mol/100gであった。
得られたものの粘度は5.4mPa・sで重量平均分子量52,000、減圧留去によりトルエンを取り除いたものの粘度は8,000mPa・s、トルエン中にこの架橋物を30質量%溶解した場合の粘度は110mPa・s、動粘度20mm2/sのジメチルポリシロキサン中に架橋物を30質量%溶解した場合の粘度は290mPa・sであった。また1H−NMRより計算されるシロキサン単位1,000molあたりのシルエチレン結合は11.1molであった。
反応物にMVi266.8で表される両末端にビニル基を有するジメチルポリシロキサンを696g加え、150℃で3時間、窒素バブリング下、10mmHg以下の条件で減圧留去を行い、シロキサン100%の組成物とした。
【0041】
〔実施例2〕
224.6H2で表される側鎖型メチルハイドロジェンポリシロキサン10gとMVi2.4147.70.4で表される分岐状ビニルメチルポリシロキサン48g(SiH基:ビニル基=1モル:1.083モル)をトルエン812g(側鎖型メチルハイドロジェンポリシロキサンと分岐状ビニルメチルポリシロキサン総質量の14倍に相当)中で混合した後、ビニルメチルポリシロキサンを配位した白金触媒を白金質量として反応系総質量に対して2ppm添加し、昇温した。温度80℃で5時間反応させたところ、残存SiH基量は0.00004mol/100gであった。
得られたものは粘度4.0mPa・sのオイルで、重量平均分子量43,000、減圧留去によりトルエンを取り除いた場合の粘度は5,550mPa・s、トルエン中にこの架橋物を30質量%溶解した場合の粘度は80mPa・s、動粘度20mm2/sのジメチルポリシロキサン中に架橋物を30質量%溶解した場合の粘度は230mPa・sであった。また1H−NMRより計算されるシロキサン単位1,000molあたりのシルエチレン結合は11.1molであった。
反応物にM227で表されるジメチルポリシロキサンを696g加え、150℃で3時間、窒素バブリング下、10mmHg以下の条件で減圧留去を行い、シロキサン100%の組成物とした。
【0042】
〔実施例3〕
224.6H2で表される側鎖型メチルハイドロジェンポリシロキサン10gとMVi2.4147.70.4で表される分岐状ビニルメチルポリシロキサン48g(SiH基:ビニル基=1モル:1.083モル)をM227で表されるジメチルポリシロキサン696g(側鎖型メチルハイドロジェンポリシロキサンと分岐状ビニルメチルポリシロキサン総質量の12倍に相当)中で混合した後、ビニルメチルポリシロキサンを配位した白金触媒を白金質量として反応系総質量に対して2ppm添加し、昇温した。温度80℃で5時間反応させたところ残存SiH基量は0mol/100gであった。
得られたものは粘度223mPa・sのオイルで、重量平均分子量は150,000、上述の生成物粘度から計算により推定される架橋物としての粘度は983,000mPa・s、トルエン中にこの架橋物を30質量%溶解した場合の粘度は5,490mPa・s、動粘度20mm2/sのジメチルポリシロキサン中に架橋物を30質量%溶解した場合の粘度は8,700mPa・sである。またM227を除いた架橋成分における1H−NMRより計算されるシロキサン単位1,000molあたりのシルエチレン結合は11.2molであった。
【0043】
〔実施例4〕
224.6H2で表される側鎖型メチルハイドロジェンポリシロキサン10gとMVi2150で表される両末端型ビニルメチルポリシロキサン58.9g(SiH基:ビニル基=1モル:1.097モル)をM227で表されるジメチルポリシロキサン696g(側鎖型メチルハイドロジェンポリシロキサンと両末端型ビニルメチルポリシロキサン総質量の12倍に相当)中で混合した後、ビニルメチルポリシロキサンを配位した白金触媒を白金質量として反応系総質量に対して2ppm添加し、昇温した。温度80℃で5時間反応を行ったところ残存SiH基量は0mol/100gであった。
得られたものは粘度240mPa・sのオイルで、重量平均分子量は130,000、上述の生成物粘度から計算により推定される架橋物としての粘度は590,000mPa・s、トルエン中にこの架橋物を30質量%溶解した場合の粘度は3,500mPa・s、動粘度20mm2/sのジメチルポリシロキサン中に架橋物を30質量%溶解した場合の粘度は5,800mPa・sである。またM227を除いた架橋成分における1H−NMRより計算されるシロキサン単位1,000molあたりのシルエチレン結合は10.8molであった。
【0044】
〔実施例5〕
227H3で表される側鎖型メチルハイドロジェンポリシロキサン10gとMVi2144で表される両末端型ビニルメチルポリシロキサン76.2g(SiH基:ビニル基=1モル:1.069モル)をM227で表されるジメチルポリシロキサン1,034g(側鎖型メチルハイドロジェンポリシロキサンと両末端型ビニルメチルポリシロキサン総質量の12倍に相当)中で混合した後、ビニルメチルポリシロキサンを配位した白金触媒を白金質量として反応系総質量に対して2ppm添加し、昇温した。温度80℃で5時間反応を行ったところ残存SiH基量は0mol/100gであった。
得られたものは粘度970mPa・sのオイルで、重量平均分子量は300,000、上述の生成物粘度から計算により推定される架橋物としての粘度は17,000,000mPa・s、トルエン中にこの架橋物を30質量%溶解した場合の粘度は73,400mPa・s、動粘度20mm2/sのジメチルポリシロキサン中に架橋物を30質量%溶解した場合の粘度は96,600mPa・sである。またM227を除いた架橋成分における1H−NMRより計算されるシロキサン単位1,000molあたりのシルエチレン結合は6.3molであった。
【0045】
〔実施例6〕
224H4で表される側鎖型メチルハイドロジェンポリシロキサン10gとMVi2144で表される両末端型ビニルメチルポリシロキサン109.3g(SiH基:ビニル基=1モル:1.069モル)をM227で表されるジメチルポリシロキサン1670.2g(側鎖型メチルハイドロジェンポリシロキサンと両末端型ビニルメチルポリシロキサン総質量の14倍に相当)中で混合した後、ビニルメチルポリシロキサンを配位した白金触媒を白金質量として反応系総質量に対して2ppm添加し、昇温した。温度80℃で5時間反応を行ったところ残存SiH基量は0.00005mol/100gであった。
得られたものは粘度3,060mPa・sのオイルで、重量平均分子量は400,000、上述の生成物粘度から計算により推定される架橋物としての粘度は202,400,000mPa・s、トルエン中にこの架橋物を30質量%溶解した場合の粘度は765,000mPa・s、動粘度20mm2/sのジメチルポリシロキサン中に架橋物を30質量%溶解した場合の粘度は907,000mPa・sである。またM227を除いた架橋成分における1H−NMRより計算されるシロキサン単位1,000molあたりのシルエチレン結合は6.5molであった。
【0046】
〔実施例7〕
H240で表される両末端型メチルハイドロジェンポリシロキサン10gとM227Vi3で表される側鎖型ビニルメチルポリシロキサン20g(SiH基:ビニル基=1モル:1.083モル)をM227で表されるジメチルポリシロキサン480g(側鎖型メチルハイドロジェンポリシロキサンと両末端型ビニルメチルポリシロキサン総質量の16倍に相当)中で混合した後、ビニルメチルポリシロキサンを配位した白金触媒を白金質量として反応系総質量に対して2ppm添加し、昇温した。温度80℃で5時間反応を行ったところ残存SiH基量は0mol/100gであった。
得られたものは粘度2,320mPa・sのオイルで、重量平均分子量は440,000、上述の生成物粘度から計算により推定される架橋物としての粘度は238,000,000mPa・s、トルエン中にこの架橋物を30質量%溶解した場合の粘度は1,053,000mPa・s、動粘度20mm2/sのジメチルポリシロキサン中に架橋物を30質量%溶解した場合の粘度は893,600mPa・sである。またM227を除いた架橋成分における1H−NMRより計算されるシロキサン単位1,000molあたりのシルエチレン結合は21molであった。
【0047】
〔比較例1〕
224.6H2で表される側鎖型メチルハイドロジェンポリシロキサン10gとMVi2150で表される両末端型ビニルメチルポリシロキサン58.9g(SiH基:ビニル基=1モル:1.097モル)を溶剤希釈なしの条件下で混合した後、ビニルメチルポリシロキサンを配位した白金触媒を白金質量として反応系総質量に対して2ppm添加し、昇温したところ、温度が約60℃の時点でゲル化した。なお、残存SiH基量は0.005mol/100gであった。
【0048】
〔比較例2〕
224.6H2で表される側鎖型メチルハイドロジェンポリシロキサン10gとMVi2.4147.70.4で表される分岐状ビニルメチルポリシロキサン48g(SiH基:ビニル基=1モル:1.083モル)をトルエン232g(シロキサン総質量の4倍に相当)中で混合した後、ビニルメチルポリシロキサンを配位した白金触媒を白金質量として反応系総質量に対して2ppm添加し、昇温したところ、温度が約70℃の時点でゲル化した。なお、残存SiH基量は0.007mol/100gであった。
【0049】
〔比較例3〕
224.6H2で表される側鎖型メチルハイドロジェンポリシロキサン10gとMVi2.4147.70.4で表される分岐状ビニルメチルポリシロキサン48g(SiH基:ビニル基=1モル:1.083モル)をM227で表されるジメチルポリシロキサン232g(側鎖型メチルハイドロジェンポリシロキサンと分岐状ビニルメチルポリシロキサン総質量の4倍に相当)中で混合した後、ビニルメチルポリシロキサンを配位した白金触媒を白金質量として反応系総質量に対して2ppm添加し、昇温したところ、温度が約70℃の時点でゲル化した。なお、残存SiH基量は0.003mol/100gであった。