(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
下記式(1)で表される構造を有するオルガノポリシロキサンと下記式(2)で表される構造を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンを、式(1)及び(2)で表されるポリシロキサンの合計質量の8倍以上の溶剤中、白金族金属系化合物を用いてヒドロシリル化反応することにより得られる、重量平均分子量5,000〜300,000,000で、シロキサン単位1,000molあたりシルエチレン結合を0.1〜50mol含有するオルガノポリシロキサン架橋物が溶剤に溶解してなるシロキサン組成物。
MαMViβDγDViδTεTViζQη (1)
MθMHιDκDHλTμTHν (2)
(式中、MはR3SiO1/2、MViはR2PSiO1/2、DはR2SiO2/2、DViはRPSiO2/2、TはRSiO3/2、TViはPSiO3/2、MHはR2HSiO1/2、DHはRHSiO2/2、THはHSiO3/2、QはSiO4/2であり、Rはそれぞれ独立に脂肪族不飽和結合を有さない炭素原子数1〜12の非置換又は置換の一価炭化水素基である。また、Pは−(CH2)a−CH=CH2(aは0又は1〜6の整数)で表されるアルケニル基である。α、β、γ、δ、ε、ζ、η、θ、ι、κ、λ、μ、νはそれぞれ独立で、α、β、δ、ε、ζ、η、θ、ι、λ、μ、νは0又は正の数であり、式(1)において、1≦α+γ+ε+η≦1,000、1≦γ≦1,000であり、式(2)において、1≦θ+κ+μ≦200、1≦κ≦200であり、β、δ、ζが同時に0になることはなく、β+δ+ζ≧2で、ι、λ、νも同時に0になることはなく、ι+λ+ν≧2である。)
式(1)で表されるオルガノポリシロキサンの重量平均分子量が260〜74,874であり、式(2)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンの重量平均分子量が208〜15,414であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のシロキサン組成物。
下記式(1)で表される構造を有するオルガノポリシロキサンと下記式(2)で表される構造を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンを、式(1)及び(2)で表されるポリシロキサンの合計質量の8倍以上の溶剤中、白金族金属系化合物を用いてヒドロシリル化反応することにより、重量平均分子量5,000〜300,000,000で、シロキサン単位1,000molあたりシルエチレン結合を0.1〜50mol含有するオルガノポリシロキサン架橋物を得ることを特徴とするシロキサン組成物の製造方法。
MαMViβDγDViδTεTViζQη (1)
MθMHιDκDHλTμTHν (2)
(式中、MはR3SiO1/2、MViはR2PSiO1/2、DはR2SiO2/2、DViはRPSiO2/2、TはRSiO3/2、TViはPSiO3/2、MHはR2HSiO1/2、DHはRHSiO2/2、THはHSiO3/2、QはSiO4/2であり、Rはそれぞれ独立に脂肪族不飽和結合を有さない炭素原子数1〜12の非置換又は置換の一価炭化水素基である。また、Pは−(CH2)a−CH=CH2(aは0又は1〜6の整数)で表されるアルケニル基である。α、β、γ、δ、ε、ζ、η、θ、ι、κ、λ、μ、νはそれぞれ独立で、α、β、δ、ε、ζ、η、θ、ι、λ、μ、νは0又は正の数であり、式(1)において、1≦α+γ+ε+η≦1,000、1≦γ≦1,000であり、式(2)において、1≦θ+κ+μ≦200、1≦κ≦200であり、β、δ、ζが同時に0になることはなく、β+δ+ζ≧2で、ι、λ、νも同時に0になることはなく、ι+λ+ν≧2である。)
溶剤としてトルエン、ヘキサン、キシレン及びメチルエチルケトンから選ばれる有機溶剤を用い、オルガノポリシロキサン架橋物を得た後、溶剤として低粘度のオルガノポリシロキサンを加え、該有機溶剤を減圧下加熱することにより留去し、有機溶剤を含有しない組成物とする請求項9記載のシロキサン組成物の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、ジメチルポリシロキサンオイルとゲル状のシロキサン架橋物の中間の物性を示す、流動性を有するかもしくは溶剤に溶解して流動性を示すシロキサン組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、オルガノポリシロキサン架橋物に関し鋭意検討を重ねた結果、特定の原料を原料質量の8倍以上の大過剰な溶剤中で付加反応させることにより、安定してオイルとゲルの中間の物性を示す流動性を有するシロキサン組成物を合成できることを見出し、本発明をなすに至った。
【0009】
従って、本発明は、下記のシロキサン組成物及びその製造方法を提供する。
[1]
下記式(1)で表される構造を有するオルガノポリシロキサンと下記式(2)で表される構造を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンを、式(1)及び(2)で表されるポリシロキサンの合計質量の8倍以上の溶剤中、白金族金属系化合物を用いてヒドロシリル化反応することにより得られる、重量平均分子量5,000〜300,000,000で、シロキサン単位1,000molあたりシルエチレン結合を0.1〜50mol含有するオルガノポリシロキサン架橋物が溶剤に溶解してなるシロキサン組成物。
M
αM
ViβD
γD
ViδT
εT
ViζQ
η (1)
M
θM
HιD
κD
HλT
μT
Hν (2)
(式中、MはR
3SiO
1/2、M
ViはR
2PSiO
1/2、DはR
2SiO
2/2、D
ViはRPSiO
2/2、TはRSiO
3/2、T
ViはPSiO
3/2、M
HはR
2HSiO
1/2、D
HはRHSiO
2/2、T
HはHSiO
3/2、QはSiO
4/2であり、Rはそれぞれ独立に脂肪族不飽和結合を有さない炭素原子数1〜12の非置換又は置換の一価炭化水素基である。また、Pは−(CH
2)
a−CH=CH
2(aは0又は1〜6の整数)で表されるアルケニル基である。α、β、γ、δ、ε、ζ、η、θ、ι、κ、λ、μ、νはそれぞれ独立
で、α、β
、δ、ε、ζ、η、θ、ι
、λ、μ、νは0又は正の数であり、
式(1)において、1≦α+γ+ε+η≦1,000、1≦γ≦1,000であり、式(2)において、1≦θ+κ+μ≦200、1≦κ≦200であり、β、δ、ζが同時に0になることはなく、β+δ+ζ≧2で、ι、λ、νも同時に0になることはなく、ι+λ+ν≧2である。)
[2]
溶剤が、トルエン、ヘキサン、キシレン及びメチルエチルケトンから選ばれる有機溶剤を含有することを特徴とする[1
]に記載のシロキサン組成物。
[3]
溶剤が、オクタメチルテトラシロキサン、デカメチルペンタシロキサン、式M
2D
n(MはR
3SiO
1/2単位を示し、DはR
2SiO
2/2単位を示し、Rはそれぞれ独立に脂肪族不飽和結合を有さない炭素原子数1〜12の非置換又は置換の一価炭化水素基であり、nは0〜200の整数である。)で示される直鎖シロキサン、及び式M
2+mD
nT
m(M、D、nは上記の通り、TはRSiO
3/2単位を示し、Rは上記の通りである。mは1〜10の整数である。)で示される分岐鎖シロキサンから選ばれるオルガノシロキサンである[1
]に記載のシロキサン組成物。
[4]
[1
]に記載のオルガノポリシロキサン架橋物が、下記式(3)
M
α’M
Viβ’D
γ’D
Viδ’T
ε’T
Viζ’ (3)
(式中、MはR
3SiO
1/2、M
ViはR
2PSiO
1/2、DはR
2SiO
2/2、D
ViはRPSiO
2/2、TはRSiO
3/2、T
ViはPSiO
3/2であり、Rはそれぞれ独立に脂肪族不飽和結合を有さない炭素原子数1〜12の非置換又は置換の一価炭化水素基であり、また、Pは−(CH
2)
a−CH=CH
2(aは0又は1〜6の整数)で表されるアルケニル基である。α’、β’、γ’、δ’、ε’、ζ’はそれぞれ独立に0又は正の数であり、α’+β’+γ’+δ’+ε’+ζ’≦200である。)
で表されるオルガノポリシロキサンに溶解してなり、該オルガノポリシロキサンの含有量がオルガノポリシロキサン架橋物の質量の0.1〜40倍であるシロキサン組成物。
[5]
オルガノポリシロキサン架橋物を動粘度20mm
2/s(25℃)のジメチルポリシロキサンに30質量%溶解させた場合の25℃における粘度が100〜2,000,000mPa・sであることを特徴とする[1]〜[
4]のいずれかに記載のシロキサン組成物。
[6]
オルガノポリシロキサン架橋物をトルエンに30質量%溶解させた場合の25℃における粘度が50〜1,000,000mPa・sであることを特徴とする[1]〜[
5]のいずれかに記載のシロキサン組成物。
[7]
式(1)で表されるオルガノポリシロキサンの重量平均分子量が260〜74,874であり、式(2)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンの重量平均分子量が208〜15,414であることを特徴とする[1]〜[
6]のいずれかに記載のシロキサン組成物。
[8]
アルカリを加え発生する水素ガス発生量から計算される残存SiH基量が0.001mol/100g以下であることを特徴とする[1]〜[
7]いずれかに記載のシロキサン組成物。
[9]
下記式(1)で表される構造を有するオルガノポリシロキサンと下記式(2)で表される構造を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンを、式(1)及び(2)で表されるポリシロキサンの合計質量の8倍以上の溶剤中、白金族金属系化合物を用いてヒドロシリル化反応することにより、重量平均分子量5,000〜300,000,000で、シロキサン単位1,000molあたりシルエチレン結合を0.1〜50mol含有するオルガノポリシロキサン架橋物を得ることを特徴とするシロキサン組成物の製造方法。
M
αM
ViβD
γD
ViδT
εT
ViζQ
η (1)
M
θM
HιD
κD
HλT
μT
Hν (2)
(式中、MはR
3SiO
1/2、M
ViはR
2PSiO
1/2、DはR
2SiO
2/2、D
ViはRPSiO
2/2、TはRSiO
3/2、T
ViはPSiO
3/2、M
HはR
2HSiO
1/2、D
HはRHSiO
2/2、T
HはHSiO
3/2、QはSiO
4/2であり、Rはそれぞれ独立に脂肪族不飽和結合を有さない炭素原子数1〜12の非置換又は置換の一価炭化水素基である。また、Pは−(CH
2)
a−CH=CH
2(aは0又は1〜6の整数)で表されるアルケニル基である。α、β、γ、δ、ε、ζ、η、θ、ι、κ、λ、μ、νはそれぞれ独立
で、α、β
、δ、ε、ζ、η、θ、ι
、λ、μ、νは0又は正の数であり、
式(1)において、1≦α+γ+ε+η≦1,000、1≦γ≦1,000であり、式(2)において、1≦θ+κ+μ≦200、1≦κ≦200であり、β、δ、ζが同時に0になることはなく、β+δ+ζ≧2で、ι、λ、νも同時に0になることはなく、ι+λ+ν≧2である。)
[10]
溶剤としてトルエン、ヘキサン、キシレン及びメチルエチルケトンから選ばれる有機溶剤を用い、オルガノポリシロキサン架橋物を得た後、溶剤として低粘度のオルガノポリシロキサンを加え、該有機溶剤を減圧下加熱することにより留去し、有機溶剤を含有しない組成物とする[
9]記載のシロキサン組成物の製造方法。
[11]
低粘度のオルガノポリシロキサンが、下記式(3)
M
α’M
Viβ’D
γ’D
Viδ’T
ε’T
Viζ’ (3)
(式中、MはR
3SiO
1/2、M
ViはR
2PSiO
1/2、DはR
2SiO
2/2、D
ViはRPSiO
2/2、TはRSiO
3/2、T
ViはPSiO
3/2であり、Rはそれぞれ独立に脂肪族不飽和結合を有さない炭素原子数1〜12の非置換又は置換の一価炭化水素基であり、また、Pは−(CH
2)
a−CH=CH
2(aは0又は1〜6の整数)で表されるアルケニル基である。α’、β’、γ’、δ’、ε’、ζ’はそれぞれ独立に0又は正の数であり、α’+β’+γ’+δ’+ε’+ζ’≦200である。)
で表されるオルガノポリシロキサンである[1
0]記載のシロキサン組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明のシロキサン組成物は、これまでにない物性からさまざまな用途に対して新規な特性を発揮することができる。用途としては、柔らかな感触のある安価に簡単に合成することができる化粧品用シリコーンゲル、表面にぬめり感のないシリコーン配合プラスチック成型体、剥離紙用シリコーンの高速塗工時に発生するミスト防止剤、再剥離性に優れる粘着剤等を挙げることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のシロキサン組成物は、オルガノポリシロキサン架橋物と溶剤とからなり、本発明のオルガノポリシロキサン架橋物は、下記式(1)で表される構造を有するオルガノポリシロキサンと下記式(2)で表される構造を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンとを、式(1)及び(2)で表されるポリシロキサンの合計質量の8倍以上の溶剤中、白金触媒を用いてヒドロシリル化反応して得られる、重量平均分子量5,000〜300,000,000で、シロキサン単位1,000molあたりシルエチレン結合を0.1〜50mol含有することを特徴とするものである。
【0012】
M
αM
ViβD
γD
ViδT
εT
ViζQ
η (1)
M
θM
HιD
κD
HλT
μT
Hν (2)
(式中、MはR
3SiO
1/2、M
ViはR
2PSiO
1/2、DはR
2SiO
2/2、D
ViはRPSiO
2/2、TはRSiO
3/2、T
ViはPSiO
3/2、M
HはR
2HSiO
1/2、D
HはRHSiO
2/2、T
HはHSiO
3/2、QはSiO
4/2であり、Rはそれぞれ独立に脂肪族不飽和結合を有さない炭素原子数1〜12の非置換又は置換の一価炭化水素基である。また、Pは−(CH
2)
a−CH=CH
2(aは0又は1〜6の整数)で表されるアルケニル基である。α、β、γ、δ、ε、ζ、η、θ、ι、κ、λ、μ、νはそれぞれ独立に0又は正の数であり、β、δ、ζが同時に0になることはなく、β+δ+ζ≧2で、ι、λ、νも同時に0になることはなく、ι+λ+ν≧2である。)
【0013】
まず、下記式(1)で表される構造を有するオルガノポリシロキサンと、下記式(2)で表される構造を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンについて説明する。
M
αM
ViβD
γD
ViδT
εT
ViζQ
η (1)
M
θM
HιD
κD
HλT
μT
Hν (2)
上記式(1)、(2)中、M、M
Vi、D、D
Vi、T、T
Vi、M
H、D
H、T
H、Qは、ぞれぞれ下記に示す単位である。
M:R
3SiO
1/2
M
Vi:R
2PSiO
1/2
D:R
2SiO
2/2
D
Vi:RPSiO
2/2
T:RSiO
3/2
T
Vi:PSiO
3/2
M
H:R
2HSiO
1/2
D
H:RHSiO
2/2
T
H:HSiO
3/2
Q:SiO
4/2
【0014】
上記式中、Rはそれぞれ独立に脂肪族不飽和結合を有さない炭素原子数1〜12、好ましくは炭素原子数1〜6の非置換又は置換の一価炭化水素基である。例として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等のアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、ナフチル基、トリル基等のアリール基;又はこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部をハロゲン原子、シアノ基、水酸基等で置換したものが挙げられる。ただし剥離力を低くする上でRの総数の少なくとも50mol%はメチル基であることが好ましい。
また、Pは−(CH
2)
a−CH=CH
2(aは0又は1〜6の整数)で表されるアルケニル基である。
【0015】
α、β、γ、δ、ε、ζ、η、θ、ι、κ、λ、μ、νは、それぞれ独立に0又は正の数である。また、β、δ、ζが同時に0になることはなく、β+δ+ζは2以上、好ましくは2〜10、より好ましくは2〜5であり、ι、λ、νも同時に0になることはなく、ι+λ+νは2以上、好ましくは2〜10、より好ましくは2〜5である。
【0016】
また、α、γ、ε、ηは同時に0になることはなく、特にシルエチレン結合含有量の点から、α+γ+ε+ηは1〜1,000であることが好ましく、より好ましくは10〜500であり、更に好ましくは50〜400である。この場合、シルエチレン結合含有量の点から、特にγは1〜1,000であることが好ましく、より好ましくは10〜500であり、更に好ましくは50〜400である。また、αは0〜20であることが好ましく、より好ましくは0〜10であり、更に好ましくは0〜5である。εは0〜50、特に0〜10であることが好ましく、ηは0〜5、特に0〜1であることが好ましい。
【0017】
一方、θ、κ、μも同時に0になることはなく、同様にシルエチレン結合含有量の点から、θ+κ+μは1〜200であることが好ましく、より好ましくは10〜150であり、更に好ましくは20〜100である。この場合、κは1〜200であることが好ましく、より好ましくは10〜150であり、更に好ましくは20〜100である。θは0〜20であることが好ましく、より好ましくは0〜10であり、更に好ましくは0〜5である。μは0〜50、特に0〜10であることが好ましい。
【0018】
式(1)で表されるオルガノポリシロキサンは、1分子中に2個以上、好ましくは2〜10個のケイ素原子結合アルケニル基を有するオルガノポリシロキサンである。
該オルガノポリシロキサンの重量平均分子量は、260〜74,874であることが好ましく、より好ましくは408〜7,586である。重量平均分子量が大きすぎるとゲルが柔らかく粘着性を帯びていて取り扱いにくい場合がある。このためQ単位は1以下が好ましく、更に好ましい値は0である。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)分析(溶媒:トルエン)によるポリスチレン換算の重量平均分子量により測定できる(以下、同じ)。
【0019】
このようなオルガノポリシロキサンとして、具体的には、両末端アルケニル基含有シロキサン、側鎖アルケニル基含有シロキサン、片末端及び側鎖アルケニル基含有シロキサン、両末端側鎖アルケニル基含有シロキサンを挙げることができ、構造式で表すと、M
Vi2D
γ、M
2D
γD
Viδ、M
Vi3D
γT
1、M
Vi4D
γT
2、M
Vi2D
γD
Viδ、M
Vi2D
γQ
1、M
αD
γD
ViδT
Viζ(但し、γは1〜1,000、特に10〜500、とりわけ50〜400、δは2〜20、特に2〜10、とりわけ2〜5、ζは1〜20、特に1〜10、とりわけ1〜6)等を挙げることができる。更に具体的な構造例としては、M
Vi2D
10、M
Vi2D
100、M
2D
27D
Vi3、M
2D
97D
Vi3、M
2D
26D
Vi4、M
2D
25D
Vi5、M
2D
24D
Vi6、M
2D
96D
Vi4、M
2D
95D
Vi5、M
Vi3D
100T
1、M
Vi4D
100T
2、M
Vi2D
97D
Vi1、M
Vi2D
95D
Vi3、M
3D
93D
Vi3T
Vi1等を挙げることができる。
ビニル基含有量としては0.001〜1mol/100g、更に好ましい範囲は0.01〜0.1mol/100gである。
【0020】
式(2)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1分子中に2個以上、好ましくは2〜100個のケイ素原子結合水素原子(SiH基)を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。このオルガノハイドロジェンポリシロキサンのSiH基と式(1)で表されるオルガノポリシロキサンのビニル基とが付加反応することによりオルガノポリシロキサン架橋物が形成される。
【0021】
該オルガノハイドロジェンポリシロキサンの重量平均分子量は、208〜15,414であることが好ましく、より好ましくは282〜7,534である。重量平均分子量が小さすぎると架橋密度が高くなることからゲル化あるいは固形化する場合があり、大きすぎるとゲルが柔らかく粘着性を帯びて取り扱いが難しくなる場合がある。
【0022】
このようなオルガノハイドロジェンポリシロキサンとして、具体的には、両末端ハイドロジェン基含有シロキサン、側鎖ハイドロジェン基含有シロキサン、片末端及び側鎖ハイドロジェン基含有シロキサン、両末端及び側鎖ハイドロジェン基含有シロキサン等を挙げることができ、構造式で表すと、M
H2D
κ、M
2D
Hλ、M
2D
κD
Hλ、M
H2D
κD
Hλ、M
H3D
κT
1、M
H4D
κT
2、M
θD
κD
HλT
Hν(但し、κは1〜200、特に10〜150、とりわけ20〜100、λは1〜20、特に1〜10、とりわけ1〜5、θは3〜22、特に3〜12、とりわけ3〜7、νは1〜20、特に1〜10、とりわけ1〜6)等を挙げることができる。更に具体的な構造例としては、M
H2D
10、M
H2D
100、M
2D
27D
H3、M
2D
97D
H3、M
2D
26D
H4、M
2D
25D
H5、M
2D
24D
H6、M
2D
96D
H4、M
2D
95D
H5、M
H3D
100T
1、M
H4D
100T
2、M
H2D
97D
H1、M
H2D
95D
H3、M
3D
93D
H3T
H1等を挙げることができる。
好ましいSiH基含有量としては0.01〜10mol/100g、更に好ましい範囲は0.01〜1mol/100gである。
【0023】
オルガノハイドロジェンポリシロキサンの使用量は、該オルガノハイドロジェンポリシロキサン中のSiH基と上記式(1)で表されるオルガノポリシロキサン中のアルケニル基との配合モル比率(SiH基:アルケニル基)が、0.8:1〜1.8:1であることが好ましく、0.9:1〜1.6:1であることがより好ましい。
【0024】
本発明におけるオルガノポリシロキサン架橋物は、上記式(1)で表される構造を有するオルガノポリシロキサンと上記式(2)で表される構造を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンとを、式(1)及び(2)で表されるオルガノポリシロキサンの合計質量の8倍以上、好ましくは10倍以上、更に好ましくは12倍以上の溶剤中、白金族金属系触媒を用いてヒドロシリル化(付加)反応させることにより合成することができる。これは、白金族金属系触媒によって式(2)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン中のSiH基が式(1)で表される構造を有するオルガノポリシロキサン中のビニル基に付加する反応である。
【0025】
ここで、白金族金属系触媒としては、付加反応触媒として用いられる公知のものが使用できる。このような白金族金属系触媒としては、例えば、白金系、パラジウム系、ロジウム系、ルテニウム系等の触媒が挙げられ、これらの中で特に白金系触媒が好ましく用いられる。この白金系触媒としては、例えば塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液又はアルデヒド溶液、塩化白金酸の各種オレフィン又はビニルシロキサンとの錯体等が挙げられる。
【0026】
これら白金族金属系触媒の添加量は触媒量であるが、経済的な点を考慮して、上記アルケニル基を有するオルガノポリシロキサンと上記オルガノハイドロジェンポリシロキサンの合計量に対して白金族金属質量として0.1〜100ppmの範囲とすることが好ましく、0.5〜5ppmの範囲とすることがより好ましい。
【0027】
また、本発明におけるオルガノポリシロキサン架橋物の合成に用いられる溶剤としては、トルエン、ヘキサン、キシレン、メチルエチルケトン等のオルガノポリシロキサンに可溶な有機溶剤(シロキサン溶剤を含まない)や、オクタメチルテトラシロキサン、デカメチルペンタシロキサン等の低粘度の環状シロキサン、M
2D
n(M、Dは上記と同じ。nは0〜200、好ましくは1〜50の整数である。)等の直鎖シロキサン、M
2+mD
nT
m(M、D、Tは上記と同じ。nは0〜200、好ましくは1〜50の整数、mは1〜10、好ましくは1〜3の整数である。)等の分岐鎖シロキサンなどのオルガノポリシロキサン(シロキサン溶剤)を用いるのが好ましい。
【0028】
溶剤の使用量は、上記式(1)及び(2)で表されるオルガノポリシロキサンの合計質量の8倍以上、好ましくは10倍以上50倍以下、更に好ましくは12倍以上40倍以下である。溶剤の使用量が少なすぎるとオルガノポリシロキサン架橋物の分子量が高くなりすぎゲル化が起こり、また多すぎると分子量が小さくなりすぎ、架橋物としての特性がなく、オイルに近い特性になる場合がある。
【0029】
上記ヒドロシリル化による反応は常温でも進行するが遅いため、反応温度は50〜140℃、特に60〜120℃が好ましく、反応時間は1〜8時間、特に2〜5時間が好ましい。
反応は水素ガス発生量で確認することができ、残存SiH基量として0.001mol/100g以下、好ましくは0.0001mol/100g以下であることが好ましい。なお、水素ガス発生量は、サンプル約10gに水希釈アルカリ水溶液を入れ、発生する水素ガス量を測定するものである。
【0030】
上記反応により得られるオルガノポリシロキサン架橋物は、その重量平均分子量(Mn)が5,000〜300,000,000であり、5,000〜12,000,000であることが好ましく、より好ましくは7,000〜500,000である。この範囲は平均重合度で見た場合、65〜163,000であることが好ましく、より好ましくは90〜6,760である。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)分析(溶媒:トルエン)におけるポリスチレン換算の重量平均分子量として求めることができ、重量平均分子量が大きすぎる場合は、超高分子量用カラムTSKgel SuperHM−Hを用いて測定することにより求めることができる。また、平均重合度は、求められたSi−NMR結果から求めることができる(以下、同じ)。
【0031】
上記反応により得られるオルガノポリシロキサン架橋物は、
1H−NMRより計算されるシロキサン単位1,000molあたりのシルエチレン結合含有量が、0.1〜50molであり、好ましくは1〜30molである。上記シルエチレン結合含有量が少なすぎるとオイルの性質に近いものになり、架橋物としての特性が得られない。また、多すぎると粘度が高くなりすぎ混合が難しい場合がある。
【0032】
上記で得られたオルガノポリシロキサン架橋物のB型回転粘度計を用いて測定した25℃における粘度は、動粘度20mm
2/s(25℃)のジメチルポリシロキサンに30質量%溶解させた場合、100〜2,000,000mPa・sであることが好ましく、300〜160,000mPa・sであることがより好ましく、更に好ましくは500〜100,000mPa・sであり、特に好ましくは1,000〜50,000mPa・sであり、また、トルエンに30質量%溶解させた場合、50〜1,000,000mPa・sであることが好ましく、100〜130,000mPa・sであることがより好ましく、更に好ましくは300〜50,000mPa・sであり、特に好ましくは500〜10,000mPa・sである。
【0033】
本発明において、オルガノポリシロキサン架橋物は、上記反応に使用した溶剤をそのまま含んだ組成物として用いることができ、該組成物は固体を含まず、均一なオイル状のものである。
なお、トルエン等の有機溶剤を用いて合成した場合は、溶剤として低粘度のオルガノポリシロキサンを加えた後、該有機溶剤を減圧下加熱することにより留去し、有機溶剤を含有しない組成物にすることもできる。この方法は、特に低粘度のオルガノポリシロキサンとしてアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンを用いる場合に有効である。
この場合、減圧条件としては、0.01〜50mmHg、特に0.1〜30mmHgが好ましく、また、加熱条件としては、50〜150℃で30分〜5時間、特に60〜130℃で30分〜3時間とすることが好ましい。
【0034】
上記低粘度のオルガノポリシロキサンとしては、下記式(3)で表される構造を有する化合物が好ましい。
M
α’M
Viβ’D
γ’D
Viδ’T
ε’T
Viζ’ (3)
(式中、MはR
3SiO
1/2、M
ViはR
2PSiO
1/2、DはR
2SiO
2/2、D
ViはRPSiO
2/2、TはRSiO
3/2、T
ViはPSiO
3/2であり、Rはそれぞれ独立に脂肪族不飽和結合を有さない炭素原子数1〜12の非置換又は置換の一価炭化水素基であり、上記と同様のものを例示することができる。また、Pは−(CH
2)
a−CH=CH
2(aは0又は1〜6の整数)で表されるアルケニル基である。α’、β’、γ’、δ’、ε’、ζ’はそれぞれ独立に0又は正の数であり、α’+β’+γ’+δ’+ε’+ζ’≦200、好ましくは10≦α’+β’+γ’+δ’+ε’+ζ’≦150である。)
【0035】
このような低粘度のオルガノポリシロキサンとして、具体的には、粘度1〜1,000mPa・sのジメチルポリシロキサン、ジメチルビニルシロキシ基を分子鎖両末端に有するジメチルポリシロキサン、側鎖にビニル基を有するメチルビニルポリシロキサン、ジメチルヒドロキシシリル基を両末端に有するジメチルポリシロキサン、側鎖にフェニル基を有するフェニルメチルポリシロキサン等が挙げられ、好ましくはM
Vi2D
10、M
Vi2D
100、M
2D
27D
Vi3、M
2D
97D
Vi3、M
2D
26D
Vi4、M
2D
25D
Vi5、M
2D
24D
Vi6、M
2D
96D
Vi4、M
2D
95D
Vi5、M
Vi3D
100T
1、M
Vi4D
100T
2、M
Vi2D
97D
Vi1、M
Vi2D
95D
Vi3、M
3D
93D
Vi3T
Vi1等のビニル基を含有するポリシロキサン等が挙げられる。
【0036】
なお、上記式(3)で表される低粘度オルガノポリシロキサンの量は、オルガノポリシロキサン架橋物の質量の0.1〜40倍が好ましく、0.1〜20倍がより好ましく、更に好ましくは0.5〜10倍であり、特に好ましくは0.5〜5倍である。
【0037】
本発明のオルガノポリシロキサン架橋物の用途としては、柔らかな感触のある安価に簡単に合成することができる化粧品用シリコーンゲル、表面にぬめり感のないシリコーン配合プラスチック成型体、剥離紙用シリコーンの高速塗工時に発生するミスト防止剤、再剥離性に優れる粘着剤等を挙げることができる。
【実施例】
【0038】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記に挙げる粘度はいずれも25℃でB型回転粘度計を用いて測定された値である。
【0039】
また、下記の例において、シロキサンの組成を示す記号は以下の通りの単位を示す。
M:(CH
3)
3SiO
1/2
M
H:(CH
3)
2HSiO
1/2
M
Vi:(CH
2=CH)(CH
3)
2SiO
1/2
D:(CH
3)
2SiO
2/2
D
H:(CH
3)HSiO
2/2
D
Vi:(CH
2=CH)(CH
3)SiO
2/2
T:(CH
3)SiO
3/2
T
Vi:(CH
2=CH)SiO
3/2
Q:SiO
4/2【0040】
〔実施例1〕
M
2D
24.6D
H2で表される側鎖型メチルハイドロジェンポリシロキサン10gとM
Vi2.4D
147.7T
0.4で表される分岐状ビニルメチルポリシロキサン48g(SiH基:ビニル基=1モル:1.083モル)をトルエン696g(シロキサン総質量の12倍に相当)中で混合後、ビニルメチルポリシロキサンを配位した白金触媒を白金質量として反応系総質量に対し2ppm添加し、昇温した。温度80℃で5時間反応させたところ、水素ガス発生量から換算する(以下同様)残存SiH基量は0mol/100gであった。
得られたものの粘度は5.4mPa・sで重量平均分子量52,000、減圧留去によりトルエンを取り除いたものの粘度は8,000mPa・s、トルエン中にこの架橋物を30質量%溶解した場合の粘度は110mPa・s、動粘度20mm
2/sのジメチルポリシロキサン中に架橋物を30質量%溶解した場合の粘度は290mPa・sであった。また
1H−NMRより計算されるシロキサン単位1,000molあたりのシルエチレン結合は11.1molであった。
反応物にM
Vi2D
66.8で表される両末端にビニル基を有するジメチルポリシロキサンを696g加え、150℃で3時間、窒素バブリング下、10mmHg以下の条件で減圧留去を行い、シロキサン100%の組成物とした。
【0041】
〔実施例2〕
M
2D
24.6D
H2で表される側鎖型メチルハイドロジェンポリシロキサン10gとM
Vi2.4D
147.7T
0.4で表される分岐状ビニルメチルポリシロキサン48g(SiH基:ビニル基=1モル:1.083モル)をトルエン812g(側鎖型メチルハイドロジェンポリシロキサンと分岐状ビニルメチルポリシロキサン総質量の14倍に相当)中で混合した後、ビニルメチルポリシロキサンを配位した白金触媒を白金質量として反応系総質量に対して2ppm添加し、昇温した。温度80℃で5時間反応させたところ、残存SiH基量は0.00004mol/100gであった。
得られたものは粘度4.0mPa・sのオイルで、重量平均分子量43,000、減圧留去によりトルエンを取り除いた場合の粘度は5,550mPa・s、トルエン中にこの架橋物を30質量%溶解した場合の粘度は80mPa・s、動粘度20mm
2/sのジメチルポリシロキサン中に架橋物を30質量%溶解した場合の粘度は230mPa・sであった。また
1H−NMRより計算されるシロキサン単位1,000molあたりのシルエチレン結合は11.1molであった。
反応物にM
2D
27で表されるジメチルポリシロキサンを696g加え、150℃で3時間、窒素バブリング下、10mmHg以下の条件で減圧留去を行い、シロキサン100%の組成物とした。
【0042】
〔実施例3〕
M
2D
24.6D
H2で表される側鎖型メチルハイドロジェンポリシロキサン10gとM
Vi2.4D
147.7T
0.4で表される分岐状ビニルメチルポリシロキサン48g(SiH基:ビニル基=1モル:1.083モル)をM
2D
27で表されるジメチルポリシロキサン696g(側鎖型メチルハイドロジェンポリシロキサンと分岐状ビニルメチルポリシロキサン総質量の12倍に相当)中で混合した後、ビニルメチルポリシロキサンを配位した白金触媒を白金質量として反応系総質量に対して2ppm添加し、昇温した。温度80℃で5時間反応させたところ残存SiH基量は0mol/100gであった。
得られたものは粘度223mPa・sのオイルで、重量平均分子量は150,000、上述の生成物粘度から計算により推定される架橋物としての粘度は983,000mPa・s、トルエン中にこの架橋物を30質量%溶解した場合の粘度は5,490mPa・s、動粘度20mm
2/sのジメチルポリシロキサン中に架橋物を30質量%溶解した場合の粘度は8,700mPa・sである。またM
2D
27を除いた架橋成分における
1H−NMRより計算されるシロキサン単位1,000molあたりのシルエチレン結合は11.2molであった。
【0043】
〔実施例4〕
M
2D
24.6D
H2で表される側鎖型メチルハイドロジェンポリシロキサン10gとM
Vi2D
150で表される両末端型ビニルメチルポリシロキサン58.9g(SiH基:ビニル基=1モル:1.097モル)をM
2D
27で表されるジメチルポリシロキサン696g(側鎖型メチルハイドロジェンポリシロキサンと
両末端型ビニルメチルポリシロキサン総質量の12倍に相当)中で混合した後、ビニルメチルポリシロキサンを配位した白金触媒を白金質量として反応系総質量に対して2ppm添加し、昇温した。温度80℃で5時間反応を行ったところ残存SiH基量は0mol/100gであった。
得られたものは粘度240mPa・sのオイルで、重量平均分子量は130,000、上述の生成物粘度から計算により推定される架橋物としての粘度は590,000mPa・s、トルエン中にこの架橋物を30質量%溶解した場合の粘度は3,500mPa・s、動粘度20mm
2/sのジメチルポリシロキサン中に架橋物を30質量%溶解した場合の粘度は5,800mPa・sである。またM
2D
27を除いた架橋成分における
1H−NMRより計算されるシロキサン単位1,000molあたりのシルエチレン結合は10.8molであった。
【0044】
〔実施例5〕
M
2D
27D
H3で表される側鎖型メチルハイドロジェンポリシロキサン10gとM
Vi2D
144で表される両末端型ビニルメチルポリシロキサン76.2g(SiH基:ビニル基=1モル:1.069モル)をM
2D
27で表されるジメチルポリシロキサン1,034g(側鎖型メチルハイドロジェンポリシロキサンと両末端型ビニルメチルポリシロキサン総質量の12倍に相当)中で混合した後、ビニルメチルポリシロキサンを配位した白金触媒を白金質量として反応系総質量に対して2ppm添加し、昇温した。温度80℃で5時間反応を行ったところ残存SiH基量は0mol/100gであった。
得られたものは粘度970mPa・sのオイルで、重量平均分子量は300,000、上述の生成物粘度から計算により推定される架橋物としての粘度は17,000,000mPa・s、トルエン中にこの架橋物を30質量%溶解した場合の粘度は73,400mPa・s、動粘度20mm
2/sのジメチルポリシロキサン中に架橋物を30質量%溶解した場合の粘度は96,600mPa・sである。またM
2D
27を除いた架橋成分における
1H−NMRより計算されるシロキサン単位1,000molあたりのシルエチレン結合は6.3molであった。
【0045】
〔実施例6〕
M
2D
24D
H4で表される側鎖型メチルハイドロジェンポリシロキサン10gとM
Vi2D
144で表される両末端型ビニルメチルポリシロキサン109.3g(SiH基:ビニル基=1モル:1.069モル)をM
2D
27で表されるジメチルポリシロキサン1670.2g(側鎖型メチルハイドロジェンポリシロキサンと両末端型ビニルメチルポリシロキサン総質量の14倍に相当)中で混合した後、ビニルメチルポリシロキサンを配位した白金触媒を白金質量として反応系総質量に対して2ppm添加し、昇温した。温度80℃で5時間反応を行ったところ残存SiH基量は0.00005mol/100gであった。
得られたものは粘度3,060mPa・sのオイルで、重量平均分子量は400,000、上述の生成物粘度から計算により推定される架橋物としての粘度は202,400,000mPa・s、トルエン中にこの架橋物を30質量%溶解した場合の粘度は765,000mPa・s、動粘度20mm
2/sのジメチルポリシロキサン中に架橋物を30質量%溶解した場合の粘度は907,000mPa・sである。またM
2D
27を除いた架橋成分における
1H−NMRより計算されるシロキサン単位1,000molあたりのシルエチレン結合は6.5molであった。
【0046】
〔実施例7〕
M
H2D
40で表される両末端型メチルハイドロジェンポリシロキサン10gとM
2D
27D
Vi3で表される側鎖型ビニルメチルポリシロキサン20g(SiH基:ビニル基=1モル:1.083モル)をM
2D
27で表されるジメチルポリシロキサン480g(側鎖型メチルハイドロジェンポリシロキサンと両末端型ビニルメチルポリシロキサン総質量の16倍に相当)中で混合した後、ビニルメチルポリシロキサンを配位した白金触媒を白金質量として反応系総質量に対して2ppm添加し、昇温した。温度80℃で5時間反応を行ったところ残存SiH基量は0mol/100gであった。
得られたものは粘度2,320mPa・sのオイルで、重量平均分子量は440,000、上述の生成物粘度から計算により推定される架橋物としての粘度は238,000,000mPa・s、トルエン中にこの架橋物を30質量%溶解した場合の粘度は1,053,000mPa・s、動粘度20mm
2/sのジメチルポリシロキサン中に架橋物を30質量%溶解した場合の粘度は893,600mPa・sである。またM
2D
27を除いた架橋成分における
1H−NMRより計算されるシロキサン単位1,000molあたりのシルエチレン結合は21molであった。
【0047】
〔比較例1〕
M
2D
24.6D
H2で表される側鎖型メチルハイドロジェンポリシロキサン10gとM
Vi2D
150で表される両末端型ビニルメチルポリシロキサン58.9g(SiH基:ビニル基=1モル:1.097モル)を溶剤希釈なしの条件下で混合した後、ビニルメチルポリシロキサンを配位した白金触媒を白金質量として反応系総質量に対して2ppm添加し、昇温したところ、温度が約60℃の時点でゲル化した。なお、残存SiH基量は0.005mol/100gであった。
【0048】
〔比較例2〕
M
2D
24.6D
H2で表される側鎖型メチルハイドロジェンポリシロキサン10gとM
Vi2.4D
147.7T
0.4で表される分岐状ビニルメチルポリシロキサン48g(SiH基:ビニル基=1モル:1.083モル)をトルエン232g(シロキサン総質量の4倍に相当)中で混合した後、ビニルメチルポリシロキサンを配位した白金触媒を白金質量として反応系総質量に対して2ppm添加し、昇温したところ、温度が約70℃の時点でゲル化した。なお、残存SiH基量は0.007mol/100gであった。
【0049】
〔比較例3〕
M
2D
24.6D
H2で表される側鎖型メチルハイドロジェンポリシロキサン10gとM
Vi2.4D
147.7T
0.4で表される分岐状ビニルメチルポリシロキサン48g(SiH基:ビニル基=1モル:1.083モル)をM
2D
27で表されるジメチルポリシロキサン232g(側鎖型メチルハイドロジェンポリシロキサンと分岐状ビニルメチルポリシロキサン総質量の4倍に相当)中で混合した後、ビニルメチルポリシロキサンを配位した白金触媒を白金質量として反応系総質量に対して2ppm添加し、昇温したところ、温度が約70℃の時点でゲル化した。なお、残存SiH基量は0.003mol/100gであった。