(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
25℃における誘電率異方性(Δε)が−2.0から−8.0の範囲であり、25℃における屈折率異方性(Δn)が0.08から0.20の範囲であり、25℃における回転粘性(γ1)が50から200mPa・sの範囲であり、ネマチック相−等方性液体相転移温度(Tni)が60℃から120℃の範囲である請求項1から10のいずれか1項に記載の液晶表示素子。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の液晶組成物は、誘電率異方性の絶対値(|Δε|)およびらせんピッチ(P:μm)から成る式(I)
【0023】
から得られる数値が3から70の範囲であって、一般式(np01)および一般式(np02)
【0025】
(式中、R
01、R
02、R
03、R
04はそれぞれ独立して炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数2〜10のアルケニルオキシ基を表し、該アルキル基中の水素原子はフッ素原子によって置換されていても良く、n
01、n
02はそれぞれ独立して0又は1を表す。)で表される化合物を1種又は2種以上含有する誘電率異方性が負の液晶組成物である。
【0026】
低い駆動電圧と高い透過率と速い応答速度を両立させた、表示品位の優れた液晶表示素子を得るためには、式(I)で得られる数値を3から70の範囲に調整することが好ましい。式(I)で得られる数値の下限は、4が好ましく、5が好ましく、6が好ましく、7が好ましく、8が好ましく、9が好ましく、10が好ましく、11が好ましく、12が好ましく、13が好ましく、14が好ましく、15が好ましく、16が好ましく、17が好ましく、18が好ましく、19が好ましく、20が好ましい。式(I)で得られる数値の上限は、65が好ましく、60が好ましく、55が好ましく、50が好ましく、45が好ましく、44が好ましく、43が好ましく、42が好ましく、41が好ましく、40が好ましく、39が好ましく、38が好ましく、37が好ましく、36が好ましく、35が好ましく、34が好ましく、33が好ましく、32が好ましく、31が好ましく、30が好ましい。
【0027】
本発明の液晶組成物において、ピッチを誘起するキラル剤は不斉炭素原子を有する化合物であればどのようなものでも良いが、1,4−フェニレン基(この基中の水素原子の1個又は2個はフッ素、メチル基、メトキシ基で置換されていても良い。)を1個又は2個以上有する分子構造であることが好ましい。
【0028】
本発明の液晶組成物はΔεが負のネマチック液晶組成物であることが好ましく、Δεが負のキラルネマチック液晶組成物であることが好ましい。
【0029】
本発明の液晶組成物は、ピッチを誘起するキラル剤として、TNモード又はSTNモードに用いられるキラル剤を転用しても良い。
【0030】
ピッチの温度依存性を改良又は調整するために、キラル剤を複数種混合して用いても良い。
【0031】
ピッチを誘起するキラル剤としては不斉原子をもつ化合物を用いても、軸不斉化合物を用いても、これらを混合して用いてもよい。
【0032】
不斉原子をもつ化合物としては、具体的には、一般式(Ch−I)で表される化合物が好ましい。
【0034】
(一般式(Ch−I)中、R
100及びR
101はそれぞれ独立して、水素原子、−CN、−NO
2、ハロゲン原子、−OCN、−SCN、−SF
5、炭素原子数1〜30個のキラル又はアキラルなアルキル基、重合性基、又は環構造を含むキラルな基を表し、n
11が0のとき、R
100及びR
101の少なくとも1つは、キラルなアルキル基であり、
Z
100及びZ
101はそれぞれ独立して、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−CO−N(R
105)−、−N(R
105)−CO−、−OCH
2−、−CH
2O−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2S−、−SCF
2−、−CH
2CH
2−、−CF
2CH
2−、−CH
2CF
2−、−CF
2CF
2−、−CH=CH−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−又は単結合を表し、
A
100及びA
101はそれぞれ独立して、
(a’) トランス−1,4−シクロへキシレン基(当該基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は、酸素原子又は硫黄原子に置換されていてもよい。)、
(b’) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は、窒素原子に置換されていてもよい。)、又は
(c’) 1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、インダン−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基及び1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基(これらの基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は、酸素原子又は硫黄原子に置換されていてもよく、これらの基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は、窒素原子に置換されていてもよい。)を表し、
A
100又はA
101が複数存在する場合には、それらは同一でもよく、異なっていてもよく、
n
11は0又は1を表し、n
11が0を表すとき、m
12は0を表し、かつm
11は0、1、2、3、4又は5を表し、n
11が1を表すとき、m
11とm
12はそれぞれ独立して0、1、2、3、4又は5を表し、
Dは、下記式(D1)〜(D4)で表される2価の基(式(D1)〜(D4)中、黒丸を付した部位において、Z
101(若しくは、R
100)又はZ
101(若しくは、R
100)に、それぞれ結合する。)を表す。)
【0036】
一般式(Ch−I)中、R
100及びR
101はそれぞれ独立して、水素原子、−CN、−NO
2、ハロゲン原子、−OCN、−SCN、−SF
5、炭素原子数1〜30個のキラル又はアキラルなアルキル基、重合性基、又は環構造を含むキラルな基を表す。n
11が0のとき、R
100及びR
101の少なくとも1つは、キラルなアルキル基である。
【0037】
一般式(Ch−I)中のR
100又はR
101が炭素原子数1〜30個のキラル又はアキラルなアルキル基である場合、当該アルキル基中の1個又は2個以上の隣接していないメチレン基(−CH
2−)は、酸素原子又は硫黄原子が相互に直接結合しないものとして−O−、−S−、−NH−、−N(CH
3)−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CH=CH−、−CF
2−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−又はC≡C−により置換されていてもよく、該アルキル基中の1個又は2個以上の水素原子は、ハロゲン原子又はシアノ基によって置換されていてもよい。また、当該アルキル基は、直鎖状の基であってもよく、分岐鎖状の基であってもよく、環構造を含んでいる基であってもよい。
【0038】
キラルなアルキル基としては、以下の一般式(Ra)〜(Rk)で表される基が好ましい。一般式(Ra)〜(Rk)中、アステリスク(*)は、キラルな炭素原子を表す。R
100又はR
101がこれらの基の場合、左端で、A
100(若しくは、D、Z
101)又はA
101(若しくは、D、Z
100)に、それぞれ結合する。
【0040】
一般式(Ra)〜(Rk)中、R
103及びR
104は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜12の直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基、又は水素原子を表す。但し、一般式(Ra)、(Rb)、(Rd)、(Re)、(Rf)、(Rg)、(Ri)、(Rj)においては、R
103が結合する炭素原子(*を付した位置)が不斉原子となるように、R
103は炭素原子数1〜10の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基である。当該アルキル基の1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子又は硫黄原子が相互に直接結合しないものとして−O−、−S−、−NH−、−N(CH
3)−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−O−SO
2−、−SO
2−O−、−CH=CH−、−C≡C−、シクロプロピレン基又は−Si(CH
3)
2−で置換されていてもよく、さらにアルキル基の1個又はそれ以上の水素原子が、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)又はシアノ基で置換されていてもよい。また、当該アルキル基は、重合性基をもっていてもよい。当該重合性基としては、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。
【0041】
一般式(Ra)〜(Rj)中のR
103としては、メチレン基や水素原子が他の基等に置換されていない(すなわち、無置換の)炭素原子数1〜12の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基であることが好ましく、無置換の炭素原子数1〜8の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基であることがより好ましく、無置換の炭素原子数1〜6の直鎖状のアルキル基であることがさらに好ましい。
【0042】
一般式(Rd)又は(Ri)中のR
104としては、水素原子又は無置換の炭素原子数1〜5の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基であることが好ましく、無置換の炭素原子数1〜3の直鎖状のアルキル基であることがより好ましく、水素原子又はメチル基であることがさらに好ましい。
【0043】
一般式(Ra)〜(Rk)中、n
12は0〜20の整数であり、0〜10の整数が好ましく、0〜5の整数がより好ましく、0がさらに好ましい。
【0044】
一般式(Ra)〜(Rk)中、n
13は0又は1である。
【0045】
また、一般式(Rk)中、n
14は0〜5の整数である。
【0046】
一般式(Ra)〜(Rk)中、X
101及びX
102は、それぞれ独立して、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、ブロム原子、ヨウ素原子)、シアノ基、フェニル基(当該フェニル基の1個又は2個以上の任意の水素原子はハロゲン原子、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基(−CF
3)、トリフルオロメトキシ基(−OCF
3)で置換されていてもよい。)、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、トリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基である。但し、一般式(Ra)、(Rb)、(Rc)、(Rf)、(Rg)、(Rh)においては、X
101が結合する炭素原子(*を付した位置)が不斉原子となるように、X
101とR
103は互いに異なる基である。また、一般式(Rc)及び(Re)において、X
101が結合する炭素原子(*を付した位置)が不斉原子となるように、X
101とX
102は、互いに異なる基である。
【0047】
一般式(Ra)、(Rb)、(Rc)、(Rf)、(Rg)、(Rh)、(Rk)中のX
101及びX
102としては、それぞれ独立して、ハロゲン原子、フェニル基(当該フェニル基の1個又は2個以上の任意の水素原子はハロゲン原子、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基で置換されていてもよい。)、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、又はトリフルオロメトキシ基が好ましい。中でも、一般式(Ra)、(Rb)、(Rc)、(Rf)、(Rg)、(Rh)中のX
101及びX
102としては、それぞれ独立して、フェニル基(当該フェニル基の1個又は2個以上の任意の水素原子はハロゲン原子、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基で置換されていてもよい。)がより好ましく、無置換のフェニル基がさらに好ましい。また、一般式(Rk)中のX
101としては、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、トリフルオロメチル基、又はトリフルオロメトキシ基がより好ましく、ハロゲン原子、メチル基、トリフルオロメチル基、又はトリフルオロメトキシ基がさらに好ましい。
【0048】
一般式(Re)及び(Rj)中、Qは二価の炭化水素基である。当該二価の炭化水素基としては、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよく、環状構造を有する基であってもよい。また、当該二価の炭化水素基の炭素原子数は、1〜16が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜6がさらに好ましい。当該二価の炭化水素基としては、1個の炭素原子において、一般式(Re)及び(Rj)中の2個の酸素原子とそれぞれ単結合する基が好ましい。この場合、一般式(Re)及び(Rj)において、アスタリスクが付された2個の炭素原子と、それらとそれぞれ結合する2個の酸素原子と、Q中の1の炭素原子が、5員環を形成している。具体的には、無置換の、又は1若しくは2個の水素原子が炭化水素基によって置換されたメチレン基、シクロプロピリデン基、シクロブチリデン基、シクロペンチリデン基、シクロヘキシリデン基等が挙げられ、メチレン基、イソプロピリデン基、シクロヘキシリデン基がより好ましい。
【0049】
一般式(Ra)〜(Rk)で表される基としては、一般式(Ra)又は一般式(Rf)で表される基が好ましい。一般式(Ra)で表される基としては、一般式(Ra)中、n
12が0〜5の整数であり、X
101がフェニル基(当該フェニル基の1個又は2個以上の任意の水素原子はハロゲン原子、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、又はトリフルオロメトキシ基で置換されていてもよい。)であり、R
103が無置換の炭素原子数1〜6の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基である基が好ましく、n
12が0〜5の整数であり、X
101が無置換のフェニル基であり、R
103が無置換の炭素原子数1〜6の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基である基がより好ましい。一般式(Rf)で表される基としては、一般式(Rf)中、n
12が0〜5の整数であり、n
13が0又は1であり、X
103がハロゲン原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基であり、R
103が無置換の炭素原子数2〜12の直鎖状のアルキル基である基が好ましい。
【0050】
一般式(Ch−I)で表される化合物のR
100又はR
101としては、特に、下記式(Ra−1)〜(Ra−3)又は一般式(Rf−1)〜(Rf−3)で表される基が好ましい。R
100又はR
101がこれらの基の場合、左端が、A
100(若しくは、D、Z
101)又はA
101(若しくは、D、Z
100)に、それぞれ結合する。また、アステリスクは、キラルな炭素原子を表す。
【0052】
一般式(Rf−1)〜(Rf−3)中、n
13は0又は1を表す。また、一般式(Ra−1)〜(Ra−3)、(Rf−1)〜(Rf−3)中、nは2〜12の整数を表す。一般式(Ra−1)〜(Ra−3)、(Rf−1)〜(Rf−3)においては、nは3〜8の整数が好ましく、4、5又は6がより好ましい。
【0053】
一般式(Ch−I)中のR
100又はR
101が重合性基である場合、当該重合性基としては、下記の式(R−1)〜(R−16)のいずれかで表される構造からなる基が好ましい。式(R−1)〜(R−14)、(R−16)で表される基は右端が、式(R−15)で表される基は左端が、A
100(若しくは、D、Z
101)又はA
101(若しくは、D、Z
100)に、それぞれ結合する。
【0055】
これらの重合性基は、ラジカル重合、ラジカル付加重合、カチオン重合、又はアニオン重合により硬化する。特に重合方法として紫外線重合を行う場合には、式(R−1)、式(R−2)、式(R−4)、式(R−5)、式(R−7)、式(R−11)、式(R−13)、式(R−15)又は式(R−16)で表される基が好ましく、式(R−1)、式(R−2)、式(R−7)、式(R−11)、式(R−13)又は式(R−16)で表される基がより好ましく、式(R−1)、式(R−2)又は式(R−16)で表される基がさらに好ましい。
【0056】
一般式(Ch−I)中のR
100又はR
101が環構造を含むキラルな基である場合、当該基が含む環構造は、芳香族であってもよく、脂肪族であってもよい。アルキル基が取り得る環構造としては、単環構造、縮合環構造又はスピロ(spirocyclic)環構造が挙げられ、また、1個又は2個以上のヘテロ原子を含むことができる。
【0057】
一般式(Ch−I)中、Z
100及びZ
101はそれぞれ独立して、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−CO−N(R
105)−、−N(R
105)−CO−、−OCH
2−、−CH
2O−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2S−、−SCF
2−、−CH
2CH
2−、−CF
2CH
2−、−CH
2CF
2−、−CF
2CF
2−、−CH=CH−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−又は単結合を表す。ここで、R
105は、炭素原子数1〜12の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基を表し、炭素原子数1〜6の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜3の直鎖状のアルキル基がより好ましい。m
11が2以上の整数であり、一分子中にZ
100が複数存在する場合には、それらは同一でもよく、異なっていてもよい。同様に、m
12が2以上の整数であり、一分子中にZ
101が複数存在する場合には、それらは同一でもよく、異なっていてもよい。一般式(Ch−I)で表される化合物としては、Z
100及びZ
101はそれぞれ独立して、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2CF
2−、−CF=CF−、−COO−、−OCO−、−CH
2−CH
2−、−C≡C−又は単結合が好ましい。
【0058】
一般式(Ch−I)中、A
100及びA
101はそれぞれ独立して、下記(a’)基、(b’)基、又は(c’)基である。m
11が2以上の整数であり、一分子中にA
100が複数存在する場合には、それらは同一でもよく、異なっていてもよい。同様に、m
12が2以上の整数であり、一分子中にA
101が複数存在する場合には、それらは同一でもよく、異なっていてもよい。
(a’) トランス−1,4−シクロへキシレン基(当該基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は、酸素原子又は硫黄原子に置換されていてもよい。)。
(b’) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は、窒素原子に置換されていてもよい。)。
(c’) 1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、インダン−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基及び1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基(これらの基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は、酸素原子又は硫黄原子に置換されていてもよく、これらの基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は、窒素原子に置換されていてもよい。)。
【0059】
前記(a’)基、(b’)基、及び(c’)基は、いずれも無置換であってもよく、当該基中の1個又は2個以上の水素原子が、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜7のアルキル基(当該アルキル基中の1個又は2個以上の水素原子は、フッ素原子又は塩素原子により置換されていてもよい。)、炭素原子数1〜7のアルコキシ基(当該アルコキシ基中の1個又は2個以上の水素原子は、フッ素原子又は塩素原子により置換されていてもよい。)、炭素原子数1〜7のアルキルカルボニル基(当該アルキルカルボニル基中の1個又は2個以上の水素原子は、フッ素原子又は塩素原子により置換されていてもよい。)、又は炭素原子数1〜7のアルコキシカルボニル基(当該アルコキシカルボニル基中の1個又は2個以上の水素原子は、フッ素原子又は塩素原子により置換されていてもよい。)によって置換されていてもよい。
【0060】
一般式(Ch−I)で表される化合物のA
100及びA
101としては、前記(a’)基又は前記(b’)基が好ましく、無置換のトランス−1,4−シクロへキシレン基、無置換の1,4−フェニレン基、1個若しくは2個以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子、シアノ基、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、炭素原子数1〜4のアルキルカルボニル基、若しくは炭素原子数1〜4のアルコキシカルボニル基によって置換されているトランス−1,4−シクロへキシレン基、又は、1個若しくは2個以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子、シアノ基、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、炭素原子数1〜4のアルキルカルボニル基、若しくは炭素原子数1〜4のアルコキシカルボニル基によって置換されている1,4−フェニレン基がより好ましく、無置換のトランス−1,4−シクロへキシレン基又は無置換の1,4−フェニレン基がさらに好ましく、無置換の1,4−フェニレン基がよりさらに好ましい。
【0061】
一般式(Ch−I)中、n
11は0又は1を表す。
【0062】
n
11が0のとき、m
12は0であり、かつm
11は0、1、2、3、4又は5である。n
11及びm
12が0のとき、m
11は、1、2、3、又は4が好ましく、1、2又は3がより好ましい。
【0063】
n
11が1のとき、m
11とm
12はそれぞれ独立して0、1、2、3、4又は5、好ましくは1、2、3、又は4、より好ましくは1、2又は3である。n
11が1のとき、m
11とm
12は、互いに異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
【0064】
一般式(Ch−I)中、Dは、前記式(D1)〜(D4)で表される2価の基である。式(D1)〜(D4)中、黒丸を付した部位において、Z
101(若しくは、R
100)又はZ
101(若しくは、R
100)に、それぞれ結合する。
【0065】
前記(D1)又は(D3)で表される基中、ベンゼン環の任意の1個又は2個以上の任意の水素原子は、それぞれ独立してハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、炭素原子数1〜20のアルキル基、又は炭素原子数1〜20のアルコキシ基で置換されていてもよい。ベンゼン環中の水素原子の置換基となる炭素原子数1〜20のアルキル基又はアルコキシ基は、当該基中の1個又は2個以上の水素原子は、フッ素原子に置換されていてもよく、当該基中の1個又は2個以上のメチレン基は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CF
2−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−又は−C≡C−により、酸素原子又は硫黄原子が互いに直接結合しないように置換されていてもよい。
【0066】
一般式(Ch−I)で表される化合物のうち、n
11が0である化合物としては、当該化合物の両端のR
100及びR
101を除いた残りの部分構造が、下記一般式(b1)〜(b13)で表される構造であることが好ましい。一般式(b1)〜(b13)で表される構造は、両端のいずれか一方がR
100と結合し、残る他方がR
101と結合する。但し、これらの構造を有する化合物では、R
100及びR
101の少なくとも一方は、キラルなアルキル基である。
【0068】
一般式(b1)〜(b13)中、Z
102は、一般式(Ch−I)中のZ
100及びZ
101と同様である。
【0069】
また、一般式(b1)〜(b13)中、A
102は、1,4−フェニレン基(当該基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は、窒素原子に置換されていてもよく、当該基中に存在する1個又は2個以上の任意の水素原子は、ハロゲン原子、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、又はトリフルオロメトキシ基によって置換されていてもよい。)である。1,4−フェニレン基中の−CH=や水素原子を置換することにより、当該化合物を含む液晶組成物について、結晶性の低下及び誘電異方性の向きや大きさを制御することができる。
【0070】
信頼性の面では、A
102中の環構造がピリジン環、ピリミジン環等の複素環である化合物(すなわち、1,4−フェニレン基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=が窒素原子に置換された基である化合物)よりも、ベンゼン環である化合物(すなわち、1,4−フェニレン基中に存在する−CH=が窒素原子に置換されていない基である化合物)のほうが好ましい。一方で、誘電率異方性を大きくするという面では、A
102中の環構造がベンゼン環である化合物よりも、ピリジン環、ピリミジン環等の複素環である化合物のほうが好ましい。ベンゼン環やシクロヘキサン環等の炭化水素環を有する化合物は、当該化合物の持つ分極性が比較的小さいが、ピリジン環、ピリミジン環等の複素環を有する化合物は、当該化合物の持つ分極性が比較的大きく、結晶性を低下させ液晶性を安定化するために好ましい。
【0071】
一般式(Ch−I)で表される化合物のうち、n
11及びm
12が0である化合物としては、下記一般式(Ch−I−1)〜(Ch−I−30)が好ましい。一般式(Ch−I−1)〜(Ch−I−30)中、R
100、R
101及びZ
100は、一般式(Ch−I)におけるR
100、R
101及びZ
100と同じ意味を表し、R
100及びR
101の少なくとも一つはキラルなアルキル基を表し、L
100〜L
105はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表し、L
100〜L
105はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表す。
【0078】
一般式(Ch−I−1)〜(Ch−I−30)で表される化合物としては、R
100及びR
101の一方又は両方が一般式(Ra)〜(Rk)のいずれかで表される基である化合物が好ましく、R
100及びR
101の一方又は両方が、前記式(Ra−1)〜(Ra−3)又は一般式(Rf−1)〜(Rf−3)で表される基である化合物がより好ましい。R
100及びR
101のいずれか一方のみが一般式(Ra)〜(Rk)のいずれかで表される基である化合物としては、R
100及びR
101の残りの一方が、炭素原子数1〜30個のアキラルなアルキル基(当該アルキル基中の1個又は2個以上の隣接していないメチレン基は、−O−、−S−、−NH−、−N(CH
3)−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CH=CH−、−CF
2−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−又はC≡C−により置換されていてもよく、該アルキル基中の1個又は2個以上の水素原子は、ハロゲン原子又はシアノ基によって置換されていてもよい。)である化合物が好ましく、炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数1〜16のアルコキシ基、炭素原子数2〜16のアルケニル基又は炭素原子数2〜16のアルケニルオキシ基である化合物より好ましい。
【0079】
本発明の液晶組成物としては、一般式(Ch−I−1)〜(Ch−I−30)のいずれかで表される化合物を少なくとも1種類は含んでいることが好ましく、一般式(Ch−I−30)で表される化合物を含んでいることがより好ましい。一般式(Ch−I−30)で表される化合物としては、具体的には、下記一般式(Ch−I−30−1)〜(Ch−I−30−6)(式中、n
13は0又は1を表し、nは2〜12の整数を表し、R
102は炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数1〜16のアルコキシ基、炭素原子数2〜16のアルケニル基又は炭素原子数2〜16のアルケニルオキシ基を表す。)で表される化合物が挙げられる。一般式(Ch−I−30−1)〜(Ch−I−30−6)中、R
102は炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数2〜6のアルケニル基又は炭素原子数2〜6のアルケニルオキシ基が好ましい。
【0081】
n
11が1の場合、一般式(Ch−I)で表される化合物は、環構造部分に不斉炭素を持つ構造となる。この場合、一般式(Ch−I)で表される化合物としては、Dが前記式(D2)又は(D4)である化合物が好ましく、Dが式(D4)である化合物がより好ましい。Dが式(D2)である化合物としては、下記一般式(K2−1)〜(K2−8)で表される化合物が好ましく、Dが式(D4)である化合物としては、下記一般式(K3−1)〜(K3−6)で表される化合物が好ましい。
【0085】
一般式(K2−1)〜(K2−8)、(K3−1)〜(K3−6)中、R
Kはそれぞれ独立して、一般式(Ch−I)におけるR
100及びR
101と同じ意味を表す。本発明の液晶組成物に用いられるHTP(−)キラル化合物としては、一般式(K2−1)〜(K2−8)又は(K3−1)〜(K3−6)で表される化合物の中でも、R
Kがそれぞれ独立して、炭素原子数1〜30個のキラル又はアキラルなアルキル基(当該アルキル基中の1個又は2個以上の隣接していないメチレン基は、−O−、−S−、−NH−、−N(CH
3)−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CH=CH−、−CF
2−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−又はC≡C−により置換されていてもよく、該アルキル基中の1個又は2個以上の水素原子は、ハロゲン原子又はシアノ基によって置換されていてもよい。)である化合物が好ましく、炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数1〜16のアルコキシ基、炭素原子数2〜16のアルケニル基又は炭素原子数2〜16のアルケニルオキシ基である化合物がより好ましく、炭素原子数3〜10のアルキル基、炭素原子数3〜9のアルコキシ基、炭素原子数3〜10のアルケニル基又は炭素原子数3〜9のアルケニルオキシ基である化合物がさらに好ましい。
【0086】
更に詳述すると、例えば、式(c01)
【0088】
で表される化合物が好ましい。また、式(c02)
【0091】
軸不斉化合物としては、具体的には、一般式(IV−1)、(IV−2)、(IV−3)又は(IV−4)で表される化合物が好ましい。
【0093】
一般式(IV−1)及び(IV−2)中、R
71及びR
72は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、イソシアネート基、イソチオシナネート基、又は炭素原子数1〜20のアルキル基を表す。当該アルキル基中の任意の1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子及び硫黄原子が相互に直接結合しないものとして、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−、又は−C≡C−で置換されていてもよい。さらに、当該アルキル基中の任意の1個又は2個以上の水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。一般式(IV−1)又は(IV−2)で表される化合物としては、R
71及びR
72は、それぞれ独立して、無置換の、又は置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基であることが好ましく、炭素原子数1〜20の無置換のアルキル基であることがより好ましく、炭素原子数1〜6の無置換のアルキル基であることがさらに好ましい。
【0094】
一般式(IV−1)及び(IV−2)中、A
71及びA
72は、それぞれ独立して、芳香族性若しくは非芳香族性の3、6ないし8員環、又は、炭素原子数9以上の縮合環を表す。これらの環構造中の任意の1個又は2個以上の水素原子は、ハロゲン原子、炭素原子数1〜3のアルキル基、又は炭素原子数1〜3のハロアルキル基で置換されていてもよい。また、当該環構造中の任意の1個又は互いに隣接していない2個以上のメチレン基は、−O−、−S−、又は−NH−で置換されていてもよく、当該環構造中の任意の1個又は互いに隣接していない2個以上の−CH=は、−N=で置換されていてもよい。m
71が2以上であり、一分子中にA
71が複数存在する場合、それらは互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。同様に、m
72が2以上であり、一分子中にA
72が複数存在する場合、それらは互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0095】
一般式(IV−1)又は(IV−2)で表される化合物としては、A
71及びA
72は、それぞれ独立して、1,4−フェニレン基、トランス−1,4−シクロヘキシレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基が好ましい。これらの基中の1個若しくは2個以上の水素原子が、ハロゲン原子、炭素原子数1〜3のアルキル基、又は炭素原子数1〜3のハロアルキル基で置換された基も好ましい。中でも、1個若しくは2個以上の水素原子がフッ素原子により置換されていてもよい1,4−フェニレン基、又はトランス−1,4−シクロヘキシレン基がより好ましく、無置換の1,4−フェニレン基又は無置換のトランス−1,4−シクロヘキシレン基がさらに好ましい。
【0096】
一般式(IV−1)及び(IV−2)中、Z
71及びZ
72は、それぞれ独立して、単結合又は炭素原子数1〜8のアルキレン基を表す。当該アルキレン基中の任意の1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子及び硫黄原子が相互に直接結合しないものとして、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CSO−、−OCS−、−N=N−、−CH=N−、−N=CH−、−N(O)=N−、−N=N(O)−、−CH=CH−、−CF=CF−、又は−C≡C−で置換されていてもよい。また、当該アルキレン基中の任意の1個又は2個以上の水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。m
71が2以上であり、一分子中にZ
71が複数存在する場合、それらは互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。同様に、m
72が2以上であり、一分子中にZ
72が複数存在する場合、それらは互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0097】
一般式(IV−1)又は(IV−2)で表される化合物としては、Z
71及びZ
72はそれぞれ独立して、単結合、炭素原子数1〜4の無置換のアルキレン基、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、又は−C≡C−が好ましく、単結合、−CH
2−、−CH
2CH
2−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、又は−C≡C−がより好ましく、単結合、−COO−、又は−OCO−がさらに好ましい。
【0098】
一般式(IV−1)及び(IV−2)中、X
71及びX
72は、それぞれ独立して、単結合、−COO−、−OCO−、−CH
2O−、−OCH
2−、−CF
2O−、−OCF
2−、又は−CH
2CH
2−を表す。一般式(IV−1)又は(IV−2)で表される化合物としては、X
71及びX
72は、それぞれ独立して、単結合、−COO−、−OCO−、−CH
2O−、−OCH
2−、又は−CH
2CH
2−が好ましく、単結合、−COO−、又は−OCO−がより好ましい。
【0099】
一般式(IV−2)中、R
73は、水素原子、ハロゲン原子、又は−X
71−(A
71−Z
71)m
71−R
71を表す。
【0100】
一般式(IV−1)及び(IV−2)中、m
71及びm
72は、それぞれ独立して、1〜4の整数を表す。但し、一般式(IV−2)において、R
73が−X
71−(A
71−Z
71)m
71−R
71である場合には、2個のm
71のうち、いずれか一方は0でもよい。一般式(IV−1)又は(IV−2)で表される化合物としては、m
71及びm
72は、それぞれ独立して、2又は3が好ましく、2がより好ましい。
なお、キラル剤は右巻きであっても左巻きであっても良く、液晶表示素子の構成によって適宜使い分ければ良い。
【0101】
一般式(np01)および一般式(np02)において、R
01、R
02、R
03、R
04はそれぞれ独立して炭素原子数1〜5のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルコキシ基が好ましく、炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましく、炭素原子数2〜5のアルケニルオキシ基が好ましいが、炭素原子数1〜5のアルキル基が更に好ましく、炭素原子数1〜3のアルコキシ基が更に好ましく、炭素原子数2〜3のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数2〜3のアルケニルオキシ基が更に好ましい。
一般式(np01)および一般式(np02)において、n
01、n
02はそれぞれ独立して0又は1を表すが、γ1をより小さくして、速い応答速度を得たい場合にはn
01は0が好ましい。
一般式(np01)で表される化合物であって、n
01が0を表す場合は、一般式(II−11)又は一般式(II−12)
【0103】
で表される化合物が好ましく、液晶表示素子の応答速度を重視する場合には好適である。
【0104】
式中、R
V及びR
V1は、それぞれ独立して炭素原子数1から5のアルキル基又は炭素原子数2から5のアルケニル基を表されるが、炭素原子数1から5のアルキル基又は炭素原子数2から5のアルケニル基であることが好ましく、炭素原子数2から5のアルキル基又は炭素原子数2から3のアルケニル基であることが好ましい。なお、これらのアルキル基又はアルケニル基中の1個又は隣接しない2個以上の−CH
2−は酸素原子で置換されていても良い。
【0105】
一般式(II−11)及び又は一般式(II−12)で表される化合物は、例えば、一般式(II−101)から(II−110)であることが好ましく、一般式(II−103)又は一般式(II−108)が特に好ましい。
【0107】
更に詳述すると、速い応答速度を得るためには、一般式(II−11)及び一般式(II−12)で表される化合物の含有量は10から80質量%が好ましいが、低温における析出の抑制を重視する場合にはその含有量は5から40質量%が好ましい。また、高い電圧保持率(VHR)を重視する場合には、一般式(II−11)及び一般式(II−12)で表される化合物を1から30質量%含有することが好ましく、1から20質量%含有することが好ましく、1から10質量%含有することが好ましい。更に高い電圧保持率(VHR)を得る場合には、一般式(II−108)で表される化合物を1から15質量%含有することが好ましい。
一般式(np01)で表される化合物であって、n
01が0を表す場合のもう一つの好ましい形態は、R
01は炭素原子数1〜10のアルキル基であって、R
02は炭素原子数1〜10のアルキル基又は炭素原子数1〜10のアルコキシ基である。この場合、R
01は炭素原子数1〜5のアルキル基が好ましく、R
01は炭素原子数2〜5のアルキル基が更に好ましく、R
02は炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましく、R
02は炭素原子数2〜5のアルキル基が好ましく、高いVHRと速い応答速度を両立させる場合に適切である。
一般式(np01)で表される化合物であって、n
01が1を表す場合は、式(L−4.1)から式(L−4.10)
【0111】
で表される化合物が好ましく、式(L−4.4)が更に好ましい。速い応答速度を重視する場合には、式(L−4.4)が好ましい。
一般式(np02)で表される化合物であって、n
02が0を表す場合は、式(L−3.1)から式(L−3.7)
【0113】
の化合物群から選ばれる化合物が好ましく、式(L−3.1)、式(L−3.2)、式(L−3.4)又は式(L−3.6)で表される化合物が更に好ましく、速い応答速度と高いVHRを重視する場合には、式(L−3.1)又は式(L−3.2)が特に好ましい。大きな弾性定数を重視する場合には、式(L−3.4)が好ましい。
【0114】
一般式(np02)で表される化合物であって、n
02が1を表す場合は、式(L−5.1)から式(L−5.7)
【0118】
で表される化合物が好ましく、式(L−5.1)又は式(L−5.2)で表される化合物が更に好ましい。
【0119】
本発明の液晶組成物は、更に、一般式(III−1)及び/又は一般式(III−2)
【0121】
で表される化合物を含有することができる。
式中、R
31からR
34は、それぞれ独立的に炭素原子数1から10のアルキル基、炭素原子数1から10のアルコキシル基、炭素原子数2から10のアルケニル基又は炭素原子数2から10のアルケニルオキシ基を表し、R
31からR
34中に存在する1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−はそれぞれ独立的に−O−又は−S−に置換されても良く、また、R
31からR
34中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立的にフッ素原子又は塩素原子に置換されても良いが、R
31及びR
33は、それぞれ独立的に炭素原子数1から5のアルキル基、炭素原子数1から5のアルコキシル基、炭素原子数2から5のアルケニル基又は炭素原子数2から5のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1から5のアルキル基又は炭素原子数2から5のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数1から3のアルキル基又は炭素原子数2から3のアルケニル基が更に好ましく、R
32及びR
34は、それぞれ独立的に炭素原子数1から5のアルキル基、炭素原子数1から5のアルコキシル基、炭素原子数2から5のアルケニル基又は炭素原子数2から5のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1から5のアルキル基、炭素原子数1から5のアルコキシル基が更に好ましい。
【0122】
環A
32、環B
31及び環B
32は、それぞれ独立的にトランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基を表すが、トランス−1,4−シクロへキシレン基又は1,4−フェニレン基が好ましい。
【0123】
Z
31及びZ
32は、それぞれ独立的に、−OCH
2−、−CH
2O−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH
2CH
2−、−CF
2CF
2−又は単結合を表すが、−CH
2O−、−CF
2O−、−CH
2CH
2−、−CF
2CF
2−又は単結合が好ましく、−CH
2O−、−CH
2CH
2−又は単結合が更に好ましく、−CH
2O−又は単結合が特に好ましい。
【0124】
一般式(III−1)で表される化合物は、具体的には、以下に示す一般式(III−A1)から一般式(III−A4)で表される化合物であることが好ましく、一般式(III−A1)で表される化合物であることが好ましく、一般式(III−A3)で表される化合物であることが好ましく、一般式(III−A4)で表される化合物であることが好ましく、一般式(III−A1)で表される化合物であることが更に好ましく、一般式(III−A3)で表される化合物であることが更に好ましく、一般式(III−A1)で表される化合物であることが特に好ましい。
【0126】
式中、R
31及びR
32は、上述と同じ意味を表す。
【0127】
一般式(III−2)で表される化合物は、具体的には、以下に示す一般式(III−B1)から一般式(III−B6)で表される化合物であることが好ましく、一般式(III−B1)で表される化合物であることが好ましく、一般式(III−B3)で表される化合物であることが好ましく、一般式(III−B4)で表される化合物であることが好ましく、一般式(III−B5)で表される化合物であることが好ましく、一般式(III−B6)で表される化合物であることが好ましく、一般式(III−B1)の化合物であることが更に好ましく、一般式(III−B3)の化合物であることが更に好ましく、一般式(III−B5)の化合物であることが更に好ましく、一般式(III−B6)の化合物であることが更に好ましく、一般式(III−B1)で表される化合物であることが特に好ましく、一般式(III−B5)で表される化合物であることが特に好ましい。
【0129】
式中、R
33及びR
34は、上述と同じ意味を表す。
【0130】
本発明の液晶組成物は、一般式(III−A1)及び一般式(III−B1)の組み合わせから成ることが好ましく、一般式(III−A1)及び一般式(III−B1)及び一般式(III−B4)の組み合わせから成ることが更に好ましく、一般式(III−A1)及び一般式(III−B1)及び一般式(III−B5)の組み合わせから成ることが更に好ましい。
【0131】
本発明の液晶組成物は、一般式(III−A3)及び一般式(III−B5)の組み合わせから成ることが好ましく、一般式(III−A3)及び一般式(III−B4)及び一般式(III−B5)の組み合わせから成ることが更に好ましく、一般式(III−A3)及び一般式(III−B5)及び一般式(III−B1)の組み合わせから成ることが更に好ましい。
【0132】
本発明の液晶組成物は、一般式(III−A4)及び一般式(III−B1)の組み合わせから成ることが好ましく、一般式(III−A4)及び一般式(III−A1)及び一般式(III−B1)の組み合わせから成ることが更に好ましく、一般式(III−A4)及び一般式(III−B5)の組み合わせから成ることが好ましく、一般式(III−A4)及び一般式(III−B5)及び一般式(III−B4)の組み合わせから成ることが好ましく、一般式(III−A4)及び一般式(III−B1)の組み合わせから成ることが好ましく、一般式(III−A4)及び一般式(III−B1)及び一般式(III−B5)の組み合わせから成ることが更に好ましい。
【0133】
本発明の液晶組成物は、一般式(III−2)の化合物として、一般式(III−B7)
【0135】
(式中、R
33及びR
34は、上述と同じ意味を表す。)の化合物群から選ばれる化合物を必ず含有することが好ましい。
【0136】
本発明の液晶組成物は、一般式(III−1)及び/又は一般式(III−2)で表される化合物を1種又は2種以上含有するが、2種から10種含有することが好ましい。その含有量は10から90質量%であるが、その下限は10質量%が好ましく、15質量%が好ましく、20質量%が好ましく、25質量%が好ましく、30質量%が好ましく、35質量%が好ましく、40質量%が好ましく、45質量%が好ましく、その上限は80質量%が好ましく、75質量%が好ましく、70質量%が好ましく、65質量%が好ましく、60質量%が好ましく、55質量%が好ましく、50質量%が好ましく、45質量%が好ましい。
【0137】
本発明の液晶組成物は、その他の成分として、一般式(IV−A)から一般式(IV−J)
【0139】
で表される化合物から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有することが好ましい。但し、一般式(np01)又は一般式(np02)と同じ化合物を除く。
式中、R
41及びR
42は、それぞれ独立的に炭素原子数1から5のアルキル基又は炭素原子数1から5のアルコキシ基、炭素原子数2から5のアルケニル基又は炭素原子数2から5のアルケニルオキシ基を表すが、炭素原子数2から5のアルキル基又は炭素原子数1から3のアルコキシ基、炭素原子数2から5のアルケニル基であることが好ましい。
【0140】
X
41は炭素原子数1から3のアルキル基、炭素原子数1から3のアルコキシ基、フッ素原子又は水素原子を表すが、メチル基、フッ素原子又は水素原子であることが好ましく、フッ素原子又は水素原子であることが更に好ましい。
【0141】
なお、一般式(IV−F)、一般式(IV−G)、一般式(IV−H)及び一般式(IV−I)のR
41及びR
42は、それぞれ独立的に炭素原子数2から5のアルケニル基又は炭素原子数2から5のアルケニルオキシ基であっても良い。
【0142】
一般式(IV−A)から一般式(IV−J)の内、一般式(IV−A)、一般式(IV−D)、一般式(IV−F)、一般式(IV−G)、一般式(IV−H)及び一般式(IV−I)から選ばれる化合物であることが好ましく、一般式(IV−A)、一般式(IV−F)、一般式(IV−G)、一般式(IV−H)及び一般式(IV−I)から選ばれる化合物であることが更に好ましく、一般式(IV−F)、一般式(IV−H)及び一般式(IV−I)から選ばれる化合物であることが更に好ましく、一般式(III−F)及び一般式(III−H)から選ばれる化合物であることが特に好ましい。
【0143】
一般式(IV−A)から一般式(IV−J)で表される化合物群から選ばれる化合物の含有量は、1質量%から60質量%であるが、5質量%から50質量%が好ましく、5質量%から40質量%が好ましく、10質量%から40質量%が好ましく、10質量%から30質量%が好ましい。
【0144】
本発明の液晶組成物は、更に、一般式(V)で表される化合物を1種又は2種以上含有することができる。
【0146】
式中、R
61及びR
62はそれぞれ独立的に炭素原子数1から8のアルキル基、炭素原子数1から8のアルコキシル基、炭素原子数2から8のアルケニル基又は炭素原子数2から8のアルケニルオキシル基を表すが、炭素原子数1から5のアルキル基又は炭素原子数2から5のアルケニル基が好ましい。
【0147】
本発明の液晶組成物は、一般式(N−001)で表される化合物を1種又は2種以上含有しても良い。
【0149】
式中、R
N1及びR
N2はそれぞれ独立的に炭素原子数1から8のアルキル基、炭素原子数1から8のアルコキシル基、炭素原子数2から8のアルケニル基又は炭素原子数2から8のアルケニルオキシル基を表すが、炭素原子数1から5のアルキル基が好ましい。
【0150】
式中、L
1及びL
2はそれぞれ独立的に水素原子、フッ素原子、CH
3又はCF
3を表すが、L
1及びL
2の少なくとも片方はフッ素原子であることが好ましく、両方がフッ素原子であることも好ましい。
【0151】
一般式(IV−I)、一般式(V)又は一般式(N−001)で表される化合物は、Δnが大きな液晶組成物を得るのに好適であり、更に、重合性化合物の反応速度を加速させる効果が期待されるため、非常に有用である。
【0152】
本発明の液晶組成物は、一般式(VIII−a)、一般式(VIII−c)又は一般式(VIII−d)で表される化合物を1種又は2種以上含有することもできる。
【0156】
式中、R
51及びR
52は、それぞれ独立的に炭素原子数1から5のアルキル基、炭素原子数2から5のアルケニル基又は炭素原子数1から5のアルコキシル基を表し、X
51及びX
52はそれぞれ独立的にフッ素原子又は水素原子を表し、X
51及びX
52の少なくとも一つはフッ素原子である。
【0157】
本発明の液晶組成物は、一般式(V−9.1)から一般式(V−9.3)で表される化合物を1種又は2種以上含有しても良い。
【0159】
本発明の液晶組成物は、重合性化合物を含有するが、一般式(I−1)
【0161】
で表される重合性化合物を含有しても良い。
【0162】
式中、n
11及びn
12は、それぞれ独立的に0から3の整数を表すが、n
11+n
12は1から6の整数であり、R
11又はZが複数存在する場合には、同一であっても異なっていても良い。なお、n
11+n
12は1から5の整数であることが好ましく、1から4の整数であることが好ましく、1から3の整数であることが好ましく、2から3の整数であることが更に好ましい。
式中、Zは水素原子、炭素原子数1から12のアルキル基、炭素原子数1から12のアルコキシル基又はR
12を表すが、R
12を表すことが好ましい。
式中、R
11はP
11−S
11−を表し、R
12はP
12−S
12−を表し、P
11及びP
12は、それぞれ独立的に、式(R−1)から式(R−15)
【0164】
のいずれかを表すが、式(R−1)又は式(R−2)であることが好ましく、重合性化合物の分子構造中に式(R−2)を必ず含むことが特に好ましい。
式中、S
11及びS
12は、それぞれ独立的に単結合又は炭素原子数1から15のアルキレン基を表し、該アルキレン基中の1つ又は2つ以上の−CH
2−は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−OCO−又は−COO−で置換されても良いが、単結合又は炭素原子数1から6のアルキレン基が好ましく、単結合であることが更に好ましい。液晶組成物との溶解性を重視する場合は、炭素原子数1から6のアルキレン基であることが好ましく、炭素原子数1から3のアルキレン基であることが更に好ましく、炭素原子数1から2のアルキレン基であることが更に好ましく、該アルキレン基中の1つ又は2つ以上の−CH
2−は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−OCO−又は−COO−で置換されても良い。また、存在するS
11及びS
12の内、少なくとも1つは単結合であるが、存在するS
11及びS
12の全てが単結合であることが好ましい。
式中、M
11及びM
12は、それぞれ独立的に1,4−フェニレン基、ベンゼン−1,2,4−トリイル基、ベンゼン−1,2,4,6−テトライル基、1,4−シクロヘキシレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、インダン−2,5−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基、フェナントレン−2,7−ジイル基を表すが、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、フェナントレン−2,7−ジイル基が好ましく、1,4−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、フェナントレン−2,7−ジイル基が更に好ましい。なお、M
11及びM
12の内、少なくとも1つは炭素原子数1から12のアルコキシル基で置換されている。該アルコキシル基は炭素原子数1から6のアルコキシル基であることが好ましく、炭素原子数1から5のアルコキシル基であることが好ましく、炭素原子数1から4のアルコキシル基であることが好ましく、炭素原子数1から3のアルコキシル基であることが好ましく、炭素原子数1から2のアルコキシル基であることが好ましく、炭素原子数1のアルコキシル基であることが特に好ましい。
L
11は、単結合、−O−、−S−、−CH
2−、−OCH
2−、−CH
2O−、−CO−、−C
2H
4−、−COO−、−OCO−、−OCOOCH
2−、−CH
2OCOO−、−OCH
2CH
2O−、−CO−NR
a−、−NR
a−CO−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CH=CR
a−COO−、−CH=CR
a−OCO−、−COO−CR
a=CH−、−OCO−CR
a=CH−、−COO−CR
a=CH−COO−、−COO−CR
a=CH−OCO−、−OCO−CR
a=CH−COO−、−OCO−CR
a=CH−OCO−、−(CH
2)
z−C(=O)−O−、−(CH
2)z−O−(C=O)−、−O−(C=O)−(CH
2)z−、−(C=O)−O−(CH
2)z−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF
2−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2CH
2−、−CH
2CF
2−、−CF
2CF
2−又は−C≡C−(式中、R
aはそれぞれ独立的に水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、前記式中、zは1〜4の整数を表す。)を表すが、単結合、−OCH
2−、−CH
2O−、−C
2H
4−、−COO−、−OCO−、−CH=CR
a−COO−、−CH=CR
a−OCO−、−COO−CR
a=CH−、−OCO−CR
a=CH−、−(CH
2)
z−COO−、−(CH
2)z−OCO−、−OCO−(CH
2)z−、−COO−(CH
2)z−、−CH=CH−、−CF
2O−、−OCF
2−又は−C≡C−(式中、R
aはそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1〜3のアルキル基を表し、前記式中、zは1〜4の整数を表す。)が好ましく、単結合、−COO−、−OCO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−(CH
2)
2−COO−、−(CH
2)
2−OCO−、−OCO−(CH
2)
2−、−COO−(CH
2)
2−又は−C≡C−が好ましく、−COO−、−OCO−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−(CH
2)
2−COO−又は−OCO−(CH
2)
2−が更に好ましい。
m
11は0から4の整数を表し、L
11及びM
12が複数存在する場合は、同一であっても良く異なっていても良い。なお、m
11は1から3の整数であることが好ましく、重合速度を重視する場合にはm
11は2から4の整数であることが好ましく、液晶組成物との相溶性を重視する場合にはm
11は0から2の整数であることが好ましい。従って、重合速度と相溶性を両立するためには、m
11は2であることが特に好ましい。
【0165】
一般式(I−1)で表される重合性化合物として、具体的には、以下の一般式(I−11−01)から(I−11−10)、一般式(I−12−01)から(I−12−06)、一般式(I−13−01)から(I−13−06)、一般式(I−21−01)から(I−21−17)、一般式(I−T01)から(I−T10)、一般式(I−A01)から(I−A09)で表される化合物が挙げられる。
【0170】
式中、R
M1、R
M2及びR
M3は、それぞれ独立的に水素原子、炭素原子数1から5のアルキル基、炭素原子数1から5のアルコキシル基又は式(R−1)から式(R−15)のいずれかを表すが、それぞれ独立的に水素原子、炭素原子数1から3のアルコキシル基又は式(R−1)から式(R−5)のいずれかであることが好ましく、それぞれ独立的に水素原子、炭素原子数1から3のアルコキシル基又は式(R−1)から式(R−2)のいずれかであることが好ましい。
R
M1、R
M2及びR
M3の内の少なくとも1つが式(R−1)から式(R−15)のいずれかであることが好ましく、少なくとも2つが式(R−1)から式(R−15)のいずれかであることが更に好ましく、少なくとも3つが式(R−1)から式(R−15)のいずれかであることが更に好ましい。
つまり、一般式(I−1)で表される重合性化合物は、前述の構造で示される通り、1つ以上の環を有するメソゲン構造であって、その内の1か所にアルコキシル基を有し、更に、重合性基を1つ以上有することを特徴としている。更に詳述すると、上述の特徴に加えて、メソゲン構造の内の1か所にフッ素基を有しても良い。
一般式(I−1)で表される重合性化合物として、一般式(I−21)又は(I−22)で表される化合物も適当である。
【0172】
式中、R
101からR
106は、それぞれ独立的に水素原子、炭素原子数1から12のアルキル基、炭素原子数1から12のアルコキシル基又は式(R−1)から式(R−15)のいずれかを表すが、水素原子、炭素原子数1から3のアルキル基又は式(R−1)から式(R−5)のいずれかを表すことが好ましく、水素原子、式(R−1)又は式(R−2)であることが更に好ましい。
更に詳述すると、R
101からR
106の内の2つ、3つ又は4つはそれぞれ独立的に式(R−1)又は式(R−2)であることが好ましく、R
101からR
106の内の3つ又は4つはそれぞれ独立的に式(R−1)又は式(R−2)であることが好ましく、R
101からR
106の内の3つはそれぞれ独立的に式(R−1)又は式(R−2)であることが好ましい。
【0173】
A
11及びB
11は、それぞれ独立的に1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基を表すが、基は無置換であるか又は炭素原子数1〜3のアルキル基、炭素原子数1〜3のアルコキシル基、ハロゲンで置換されていても良いが、無置換、炭素原子数1〜3のアルキル基置換又はフッ素基置換の1,4−フェニレン基又はナフタレン−2,6−ジイル基であることが好ましく、無置換又はフッ素基置換の1,4−フェニレン基であることが更に好ましい。但し、R
101からR
106の内、いずれもアルコキシル基ではない場合は、A
11及びB
11の少なくとも1つは炭素原子数1から5のアルコキシル基で置換されている。また、A
11及びB
11が炭素原子数1から5のアルコキシル基でされていない場合は、R
101からR
106の内、少なくとも1つは炭素原子数1から5のアルコキシル基を表す。但し、該アルコキシル基は炭素原子数1から4のアルコキシル基であることが好ましく、炭素原子数1から3のアルコキシル基であることが好ましく、炭素原子数1から2のアルコキシル基であることが好ましく、炭素原子数1のアルコキシル基であることが特に好ましい。すなわち、一般式(I−21)又は(I−22)で表される化合物は少なくとも1つのアルコキシル基を有することを特徴とする。
L
13は、単結合、−OCH
2−、−CH
2O−、−C
2H
4−、−COO−、−OCO−、−CH=CR
a−COO−、−CH=CR
a−OCO−、−COO−CR
a=CH−、−OCO−CR
a=CH−、−(CH
2)
z−COO−、−(CH
2)z−OCO−、−OCO−(CH
2)z−、−COO−(CH
2)z−、−CH=CH−、−CF
2O−、−OCF
2−又は−C≡C−(式中、R
aはそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1〜3のアルキル基を表し、前記式中、zは1〜4の整数を表す。)を表すが、単結合、−OCH
2−、−CH
2O−、−C
2H
4−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−(CH
2)
2−COO−、−(CH
2)
2−OCO−、−OCO−(CH
2)
2−、−COO−(CH
2)
2−、−CH=CH−、又は−C≡C−であることが好ましく、単結合、−COO−、−OCO−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−(CH
2)
2−COO−又は−OCO−(CH
2)
2−であることが更に好ましい。
一般式(I−21)で表される重合性化合物として、一般式(I−B01)から(I−B15)で表される化合物が挙げられる。
【0175】
式中、R
M1、R
M2及びR
M3は、先述の通りである。
【0176】
本発明の液晶組成物は、一般式(I−31)及び一般式(I―32)
【0178】
で表される重合性化合物を含有しても良い。但し、一般式(I−1)で表される化合物を除く。
【0179】
式中、R
107は、P
107−S
107−を表し、R
110は、P
110−S
110−を表し、P
107及びP
110は、それぞれ独立的に式(R−1)から式(R−15)のいずれかを表し、S
107及びS
110は、それぞれ独立的に単結合又は炭素数1〜15のアルキレン基を表し、該アルキレン基中の1つ又は2つ以上の−CH
2−は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−OCO−又は−COO−で置換されて良いが、単結合又は炭素数1〜6のアルキレン基(該アルキレン基中の1つ又は2つ以上の−CH
2−は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−で置換されて良い。)であることが好ましく、単結合であることが特に好ましい。
式中、R
108、R
109、R
111およびR
112は、それぞれ独立的に式(R−1)から式(R−15)、炭素原子数1から3のアルキル基、炭素原子数1から3のアルコキシ基、フッ素原子又は水素原子のいずれかを表し、A
12は、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、インダン−2,5−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表すが、基は無置換であるか又は炭素原子数1から12のアルキル基、ハロゲン、シアノ基又はニトロ基で置換されていても良く、L
14は単結合、−OCH
2−、−CH
2O−、−C
2H
4−、−COO−、−OCO−、−CH=CR
a−COO−、−CH=CR
a−OCO−、−COO−CR
a=CH−、−OCO−CR
a=CH−、−(CH
2)
z−COO−、−(CH
2)z−OCO−、−OCO−(CH
2)z−、−COO−(CH
2)z−、−CH=CH−、−CF
2O−、−OCF
2−又は−C≡C−(式中、R
aはそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1から3のアルキル基を表し、前記式中、zは1から4の整数を表す。)を表す。
式中、X
15、X
16、X
17及びX
18は、それぞれ独立的に水素原子、炭素原子数1から3のアルキル基又はフッ素原子を表す。
【0180】
一般式(I−32)で表される化合物として、例えば、式(XX−1)から一般式(XX−10)で表される化合物が好ましく、式(XX−1)から式(XX−4)が更に好ましい。
【0182】
式(XX−1)から一般式(XX−10)中、Sp
xxは炭素原子数1〜8のアルキレン基又は−O−(CH
2)
s−(式中、sは2から7の整数を表し、酸素原子は環に結合するものとする。)を表す。
【0183】
式(XX−1)から一般式(XX−10)中、1,4−フェニレン基中の水素原子は、更に、−F、−Cl、−CF
3、−CH
3、式(R−1)から式(R−15)のいずれかによって置換されていても良い。
【0184】
また、一般式(I−31)で表される化合物として、例えば、式(M31)から式(M48)のような重合性化合物が好ましい。
【0186】
また、式(M301)から式(M316)のような重合性化合物も好ましい。
【0188】
式(M301)から式(M316)中の1,4−フェニレン基及びナフタレン基中の水素原子は、更に、−F、−Cl、−CF
3、−CH
3によって置換されていても良い。
【0189】
また、式(Ia−1)〜式(Ia−31)のような重合性化合物を用いても良い。
【0194】
本発明の液晶組成物は、式(XX−2)、式(XX−4)、式(M31)、式(M−302)又は(Ia―31)で表される重合性化合物又はこれらの類似の分子構造の重合性化合物を用いることが更に好ましい。
本発明の液晶組成物は、重合性化合物を0.01から5質量%含有するが、含有量の下限は0.02質量%が好ましく、0.03質量%が好ましく、0.04質量%が好ましく、0.05質量%が好ましく、0.06質量%が好ましく、0.07質量%が好ましく、0.08質量%が好ましく、0.09質量%が好ましく、0.1質量%が好ましく、0.15質量%が好ましく、0.2質量%が好ましく、0.25質量%が好ましく、0.3質量%が好ましく、0.35質量%が好ましく、0.4質量%が好ましく、0.5質量%が好ましく、0.55質量%が好ましく、含有量の上限は4.5質量%が好ましく、4質量%が好ましく、3.5質量%が好ましく、3質量%が好ましく、2.5質量%が好ましく、2質量%が好ましく、1.5質量%が好ましく、1質量%が好ましく、0.95質量%が好ましく、0.9質量%が好ましく、0.85質量%が好ましく、0.8質量%が好ましく、0.75質量%が好ましく、0.7質量%が好ましく、0.65質量%が好ましく、0.6質量%が好ましく、0.55質量%が好ましい。更に詳述すると、十分なプレチルト角又は少ない残留モノマー又は高い電圧保持率(VHR)を得るには、その含有量は0.2から0.6質量%が好ましいが、低温における析出の抑制を重視する場合には、その含有量は0.1から0.4質量%が好ましい。
【0195】
本発明の液晶組成物は、上述の化合物以外に、通常のネマチック液晶、スメクチック液晶、コレステリック液晶、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤又は赤外線吸収剤等を含有しても良い。
【0196】
本発明の液晶組成物に用いる酸化防止剤として、一般式(H−1)から一般式(H−4)で表されるヒンダードフェノールが挙げられる。
【0198】
一般式(H−1)から一般式(H−4)中、R
H1は炭素原子数1から10のアルキル基、炭素原子数1から10のアルコキシル基、炭素原子数2から10のアルケニル基又は炭素原子数2から10のアルケニルオキシ基を表すが、基中に存在する1個の−CH
2−又は非隣接の2個以上の−CH
2−はそれぞれ独立的に−O−又は−S−に置換されても良く、また、基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立的にフッ素原子又は塩素原子に置換されても良い。更に具体的には、炭素原子数2から7のアルキル基、炭素原子数2から7のアルコキシル基、炭素原子数2から7のアルケニル基又は炭素原子数2から7のアルケニルオキシ基であることが好ましく、炭素原子数3から7のアルキル基又は炭素原子数2から7のアルケニル基であることが更に好ましい。
【0199】
一般式(H−4)中、M
H4は炭素原子数1から15のアルキレン基(該アルキレン基中の1つ又は2つ以上の−CH
2−は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−に置換されていても良い。)、−OCH
2−、−CH
2O−、−COO−、−OCO−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2CF
2−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−C≡C−、単結合、1,4−フェニレン基(1,4−フェニレン基中の任意の水素原子はフッ素原子により置換されていても良い。)又はトランス−1,4−シクロヘキシレン基を表すが、炭素原子数1から14のアルキレン基であることが好ましく、揮発性を考慮すると炭素原子数は大きい数値が好ましいが、粘度を考慮すると炭素原子数は大き過ぎない方が好ましいことから、炭素原子数2から12が更に好ましく、炭素原子数3から10が更に好ましく、炭素原子数4から10が更に好ましく、炭素原子数5から10が更に好ましく、炭素原子数6から10が更に好ましい。
【0200】
一般式(H−1)から一般式(H−4)中、1,4−フェニレン基中の1個又は非隣接の2個以上の−CH=は−N=によって置換されていても良い。また、1,4−フェニレン基中の水素原子はそれぞれ独立的に、フッ素原子又は塩素原子で置換されていても良い。
【0201】
一般式(H−1)から一般式(H−4)中、1,4−シクロヘキシレン基中の1個又は非隣接の2個以上の−CH
2−は−O−又は−S−によって置換されていても良い。また、1,4−シクロヘキシレン基中の水素原子はそれぞれ独立的に、フッ素原子又は塩素原子で置換されていても良い。
【0202】
更に具体的には、例えば、式(H−11)から式(H−15)が挙げられる。
【0203】
本発明の液晶組成物が酸化防止剤を含有する場合、その含有量は10質量ppm以上が好ましく、20質量ppm以上が好ましく、50質量ppm以上が好ましい。酸化防止剤を含有する場合の上限は10000質量ppmであるが、1000質量ppmが好ましく、500質量ppmが好ましく、200質量ppmが好ましく、100質量ppmが好ましい。
本発明の液晶組成物に用いる光安定剤を含有する場合、一般に入手できるTinuvin770やLA−57といったHALSを用いることが好ましい。その含有量は100ppmから2000ppmの範囲で調整することが好ましく、200ppmから1200ppmの範囲であることが更に好ましく、500ppmから1200ppmの範囲であることが特に好ましい。
【0204】
本発明の液晶組成物は、25℃における誘電率異方性(Δε)が−2.0から−8.0であるが、その下限は−7.0が好ましく、−6.5が好ましく、−6.0が好ましく、−5.5が好ましく、−5.0が好ましく、−4.5が好ましく、−4.0が好ましく、−3.9が好ましく、−3.8が好ましく、−3.7が好ましく、その上限は−2.5が好ましく、−2.6が好ましく、−2.7が好ましく、−2.8が好ましく、−2.9が好ましく、−3.0が好ましい。
【0205】
本発明の液晶組成物は、25℃における屈折率異方性(Δn)が0.08から0.20であるが、その下限は0.09が好ましく、0.10が好ましく、0.11が好ましく、0.12が好ましく、0.13が好ましく、その上限は0.19が好ましく、0.18が好ましく、0.17が好ましく、0.16が好ましく、0.15が好ましい。更に詳述すると、薄いセルギャップに対応する場合は0.10から0.20であることが好ましく、厚いセルギャップに対応する場合は0.08から0.12であることが好ましい。
【0206】
本発明の液晶組成物は、25℃における回転粘性(γ
1)が50から200mPa・sであるが、その下限は55mPa・sが好ましく、60mPa・sが好ましく、62mPa・sが好ましく、64mPa・sが好ましく、66mPa・sが好ましく、68mPa・sが好ましく、70mPa・sが好ましく、その上限は190mPa・sが好ましく、180mPa・sが好ましく、170mPa・sが好ましく、160mPa・sが好ましく、150mPa・sが好ましい。
ピッチは、液晶表示素子のセル厚に応じて適切に設定すれば良いが、短すぎても長すぎても不都合が生じる。本発明の液晶組成物は、25℃におけるピッチ(μm)ピッチの下限は5μmであるが、6μmが好ましく、7μmが好ましく、8μmが好ましく、9μmが好ましく、10μmが好ましく、11μmが好ましく、12μmが好ましく、13μmが好ましく、14μmが好ましく、15μmが好ましく、20μmが好ましく、ピッチの上限は140μmであるが、130μmが好ましく、120μmが好ましく、110μmが好ましく、100μmが好ましく、90μmが好ましく、80μmが好ましく、70μmが好ましく、60μmが好ましい。好ましい範囲は上述の通りであるが、セル厚(セルギャップ)、透明電極の構造および配向膜の種類などの影響により、ある程度の範囲において適宜調整する必要がある。
【0207】
本発明の液晶組成物は、ネマチック相−等方性液体相転移温度(T
ni)が60℃から120℃であるが、その下限は65℃が好ましく、70℃が好ましく、71℃が好ましく、72℃が好ましく、73℃が好ましく、74℃が好ましく、75℃が好ましく、その上限は110℃が好ましく、105℃が好ましく、100℃が好ましく、95℃が好ましく、90℃が好ましく、88℃が好ましく、86℃が好ましく、85℃が好ましく、84℃が好ましく、82℃が好ましく、80℃が好ましい。
【0208】
本発明の液晶組成物を用いた液晶表示素子は、滴下痕や焼き付きや表示ムラ等の表示不良がないか又は抑制されおり、低い駆動電圧と高い透過率と速い応答速度を両立させたという顕著な特徴を有している。
本発明の液晶組成物を用いた液晶表示素子は、特に、アクティブマトリックス駆動用液晶表示素子に有用であり、PSモード、PSAモード、PSVAモード、PS−IPSモード又はPS−FFSモード用液晶表示素子に用いることができる。
本発明の液晶表示素子は、チルト角が十分かつ適度に得られ、残留モノマーがないか、問題にならないほど少なく、電圧保持率(VHR)が高いため、配向不良や表示不良といった不具合がないか、十分に抑制されている。
本発明の液晶組成物は、チルト角及び/または残留モノマーを容易に制御できるため、製造のためのエネルギーコストの最適化及び削減が容易であり、不具合のない液晶表示素子を容易に製造することが可能なため、生産効率の向上と安定した量産に最適である。
【0209】
液晶表示素子に使用される液晶セルの2枚の基板はガラス又はプラスチックの如き柔軟性をもつ透明な材料を用いることができ、一方はシリコン等の不透明な材料でも良い。透明電極層を有する透明基板は、例えば、ガラス板等の透明基板上にインジウムスズオキシド(ITO)をスパッタリングすることにより得ることができる。
【0210】
カラーフィルターは、例えば、顔料分散法、印刷法、電着法又は、染色法等によって作成することができる。顔料分散法によるカラーフィルターの作成方法を一例に説明すると、カラーフィルター用の硬化性着色組成物を、該透明基板上に塗布し、パターニング処理を施し、そして加熱又は光照射により硬化させる。この工程を、赤、緑、青の3色についてそれぞれ行うことで、カラーフィルター用の画素部を作成することができる。その他、該基板上に、TFT、薄膜ダイオード、金属絶縁体金属比抵抗素子等の能動素子を設けた画素電極を設置してもよい。
【0211】
前記基板を、透明電極層が内側となるように対向させる。その際、スペーサーを介して、基板の間隔を調整してもよい。このときは、得られる調光層の厚さが1〜100μmとなるように調整するのが好ましい。1.5から10μmが更に好ましく、偏光板を使用する場合は、コントラストが最大になるように液晶の屈折率異方性Δnとセル厚dとの積を調整することが好ましい。又、二枚の偏光板がある場合は、各偏光板の偏光軸を調整して視野角やコントラトが良好になるように調整することもできる。更に、視野角を広げるための位相差フィルムも使用することもできる。スペーサーとしては、例えば、ガラス粒子、プラスチック粒子、アルミナ粒子、フォトレジスト材料等が挙げられる。その後、エポキシ系熱硬化性組成物等のシール剤を、液晶注入口を設けた形で該基板にスクリーン印刷し、該基板同士を貼り合わせ、加熱しシール剤を熱硬化させる。
【0212】
2枚の基板間に液晶組成物を狭持させる方法は、通常の真空注入法又はODF法などを用いることができる。
【0213】
本発明の液晶組成物に含まれる重合性化合物を重合させる方法としては、液晶の良好な配向性能を得るためには、適度な重合速度が望ましいので、紫外線又は電子線等の活性エネルギー線を単一又は併用又は順番に照射することによって重合させる方法が好ましい。紫外線を使用する場合、偏光光源を用いても良いし、非偏光光源を用いても良い。また、液晶組成物を2枚の基板間に挟持させた状態で重合を行う場合には、少なくとも照射面側の基板は活性エネルギー線に対して適当な透明性が与えられていなければならない。また、光照射時にマスクを用いて特定の部分のみを重合させた後、電場や磁場又は温度等の条件を変化させることにより、未重合部分の配向状態を変化させて、更に活性エネルギー線を照射して重合させるという手段を用いても良い。特に紫外線露光する際には、液晶組成物に交流電界を印加しながら紫外線露光することが好ましい。印加する交流電界は、周波数10Hzから10kHzの交流が好ましく、周波数60Hzから10kHzがより好ましく、電圧は液晶表示素子の所望のプレチルト角に依存して選ばれる。つまり、印加する電圧により液晶表示素子のプレチルト角を制御することができる。MVAモードの液晶表示素子においては、配向安定性及びコントラストの観点からプレチルト角を80度から89.9度に制御することが好ましい。
【0214】
照射時の温度は、本発明の液晶組成物の液晶状態が保持される温度範囲内であることが好ましい。室温に近い温度、即ち、典型的には15〜35℃で重合させることが好ましい。紫外線を発生させるランプとしては、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ等を用いることができる。また、照射する紫外線の波長としては、液晶組成物の吸収波長域でない波長領域の紫外線を照射することが好ましく、必要に応じて、紫外線をカットして使用することが好ましい。照射する紫外線の強度は、0.1mW/cm
2〜100W/cm
2が好ましく、2mW/cm
2〜50W/cm
2が更に好ましい。照射する紫外線のエネルギー量は、適宜調整することができるが、10mJ/cm
2から500J/cm
2が好ましく、100mJ/cm
2から200J/cm
2が更に好ましい。紫外線を照射する際に、強度を変化させても良い。紫外線を照射する時間は照射する紫外線強度により適宜選択されるが、10秒から3600秒が好ましく、10秒から600秒が更に好ましい。
【実施例】
【0215】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例の組成物における「%」は『質量%』を意味する。
【0216】
実施例において化合物の記載について以下の略号を用いる。
(側鎖)
−n −C
nH
2n+1 炭素原子数nの直鎖状のアルキル基
n− C
nH
2n+1− 炭素原子数nの直鎖状のアルキル基
−On −OC
nH
2n+1 炭素原子数nの直鎖状のアルコキシル基
nO− C
nH
2n+1O− 炭素原子数nの直鎖状のアルコキシル基
−V −CH=CH
2
V− CH
2=CH−
−V1 −CH=CH−CH
3
1V− CH
3−CH=CH−
−2V −CH
2−CH
2−CH=CH
2
V2− CH
2=CH−CH
2−CH
2−
−2V1 −CH
2−CH
2−CH=CH−CH
3
1V2− CH
3−CH=CH−CH
2−CH
2−
(連結基)
−CF2O− −CF
2−O−
−OCF2− −O−CF
2−
−1O− −CH
2−O−
−O1− −O−CH
2−
−COO− −COO−
−OCO− −OCO−
−2− −CH
2−CH
2−
−V− −CH=CH−
(環構造)
【0217】
【化60】
【0218】
実施例中、測定した物性は以下の通りである。
【0219】
T
ni :ネマチック相−等方性液体相転移温度(℃)
Δn :25℃における屈折率異方性
Δε :25℃における誘電率異方性
γ
1 :25℃における回転粘性(mPa・s)
K
33 :25℃における弾性定数K
33(pN)
VHR :1V、60Hz、60℃における電圧保持率VHR(%)
P :25℃におけるらせんピッチ
なお、測定方法は以下の通りである。
T
niは、温度調節ステージを備えた偏光顕微鏡を用いて測定した。
【0220】
Δnは、アッベ屈折率計を用いて測定した。
【0221】
Δεは、Agilent製LCRメーターを用いて測定した。
【0222】
γ
1は、東陽テクニカ製測定装置LCM−2を用いて測定した。
【0223】
K
33は、東陽テクニカ製測定装置EC−1を用いて測定した。
【0224】
VHRは、東陽テクニカ製測定装置LCM−2を用いて測定した。
【0225】
Pは、くさび型セルを用いて測定した。
【0226】
(比較例1、比較例2、実施例1、実施例2および実施例3)
比較例1(LC−1)および比較例2(LC−2)に対し、実施例1(EX−1)、実施例2(EX−2)および実施例3(EX−3)の液晶組成物を調製し、その物性値を測定した。液晶組成物の構成とその物性値の結果は表1のとおりであった。なお、Ex−1はHost LCを100gに対し、キラル剤(Chiral dopant)を1g及び重合性化合物(Reactive monomer)を0.33g添加し作成した。他の組成物も同様にして調製した。
【0227】
【表1】
【0228】
本発明の液晶組成物であるEX−1、EX−2、EX−3、比較例であるLC−1、LC−2を用いてPS−FFSモードの液晶表示素子を用意した。この素子の電気光学特性を評価したところ、LC−1を注入した液晶表示素子は素子として機能しないことが確認された。EX−1、EX−2およびEX−3を注入した液晶表示素子は、素子として機能し、駆動電圧が低く、透過率が高く、応答速度が速いことを確認した。LC−2を注入した液晶表示素子の応答速度がEX−1、EX−2およびEX−3のそれよりも遅いことを確認した。また、僅かに配向不良が発生していることを確認した。
【0229】
重合性化合物として、(XX−2)の代わりに(XX−4)を用いた場合も同様の評価結果が確認された。
重合性化合物として、(XX−2)の代わりに(M33)又は(M−302)を用いた場合も同様の傾向が確認された。
これらすべての液晶表示素子のVHRは、いずれも97%以上の高い値であることを確認した。
これらすべての液晶表示素子をSHINTECH社製焼き付き評価装置Optiproを用いて焼き付き評価したところ、LC−1を除いて、焼き付かないことを確認した。
以上のことから、本発明の液晶組成物は、屈折率異方性(Δn)が大きく、回転粘性(γ1)が小さく、弾性定数(K
33)が大きく、更に、電圧保持率(VHR)が高い負の誘電率異方性(Δε)を有したものであって、これを用いた液晶表示素子は滴下痕や焼き付きや表示ムラ等の表示不良がない又は抑制された、低い駆動電圧と高い透過率と速い応答速度を両立したものであることが確認された。