【実施例】
【0042】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。特に断りのない限り、部及び%はいずれも質量基準である。
【0043】
尚、原料、中間原料、得られたスチレン系樹脂組成物の物性等については以下の方法で測定し、評価した。
【0044】
(1)分子量測定〔スチレンメタクリル酸共重合体、ポリ乳酸、スチレン系樹脂(ポリスチレン(GPPS)及び多分岐状ポリスチレン)〕
高速GPC HLC−8220(東ソー株式会社製)、カラム(TSK−GELGMHXL×2)を使用し、サンプル5mgを10gのTHFに溶解した溶液を装置に注入(200μL)し、流量:1ml/分(THF)、恒温槽温度:40℃、RI検出器にて測定した。
【0045】
(2)分散状態(相溶性)観察
サンプルを切り出し、ウルトラミクロトームで断面を作製したものを、光学顕微鏡にて確認した。分散性良好を○、分散性ほぼ良好を△、分散性不良を×とした。
【0046】
(3)曲げ試験
測定サンプル(形状:幅10mm、厚さ:2.0mm)を曲げ試験機(インストロン社)で測定した。(条件:スパン比:40mm、速度:2.0mm/分)75MPa未満のものを×、75MPa以上80Mpa未満のものを△、80MPa以上のものを○とした。
【0047】
(4)耐油性
スチレン系樹脂組成物を熱版プレス機(230℃)にて、厚み100μmのシートを作製し、100×20mmの短冊に切り出し、直径90mmの紙管に巻きつけ、食用油(ホワイトF−2:不二精機株式会社製)を塗布し、60℃の恒温装置で静置し、1時間後のクラック状況を確認した。クラックが入ったものを×、一部クラックが入ったものを△、変化がないものを○とした。
【0048】
スチレンメタクリル酸共重合体(A)としては、(A−1):スチレン/メタクリル酸=90/10(質量%)、重量平均分子量(Mw):320,000、流動性:2.5g/10min.(230℃、37.3N)及び(A−2):スチレン/メタクリル酸=98/2(質量%)、重量平均分子量(Mw):300,000、流動性:4.5g/10min.(230℃、37.3N)を使用した。
【0049】
ポリ乳酸(B)としては、流動性10g/10min(190℃、21.2N)、D体:1.4モル%、重量平均分子量:180,000、末端未変性(カルボキシ基残存)原料を使用した。
【0050】
エポキシ化オイル(C)としては、エポキシ化大豆油としてDIC株式会社製「エポサイザーW−100−EL」(分子量:933)、エポキシ化アマニ油としてDIC株式会社製「エポサイザーW−109」(分子量:975)を使用した。
【0051】
スチレン系樹脂(D)としては、(D−1):ポリスチレン(GPPS)重量平均分子量(Mw):320,000、流動性:1.5g/10min.(200℃、49N)、(D−2):多分岐状ポリスチレン〔製品名:ハイブランチ HP−500M(DIC株式会社製))重量平均分子量(Mw):270,000、流動性:2.8g/10min.(200℃、49N)及び(D−3):ゴム変性ポリスチレン(HIPS):流動性:2.0g/10min.(200℃、49N)、樹脂中のゴム成分含有量7%を使用した。
【0052】
ゴム変性ポリスチレン(HIPS)の合成方法については、下記の通りである。
スチレンモノマー90部、トルエン10部、ブタジエンゴムを6部、t−ブチルパーオキシベンゾエートを300ppm(モノマー比)加え、攪拌式の反応槽において、130℃で1.5時間、140℃〜180℃で3.5時間反応させ、未反応のモノマー及びトルエンを230℃、真空度70〜30Torr.で除去し、精製することで得た。
【0053】
参考例1(化合物E−1の合成)
工程(1):ラボプラストミル〔ミキサー(R−60)(東洋精機)、以下、ラボプラストミルは全て同じ〕に乾燥させたポリ乳酸:50g、エポサイザーW−100−EL:0.1gを加えて(カルボキシル基/エポキシ基のモル比=1/1.15)、210℃、30分溶融混錬した。
【0054】
工程(2):ラボプラストミルに工程(1)で得られた反応混合物:0.212g、スチレンメタクリル酸共重合体(A−1):50gを加えて(工程(1)の理論残存エポキシ基モル数/スチレンメタクリル酸共重合体のカルボキシ基モル数=1/85.7)、210℃、30分溶融混錬し、化合物E−1を含む混合物を得た。
【0055】
参考例2(化合物E−2の合成)
工程(1):ラボプラストミルに乾燥させたポリ乳酸:50g、エポサイザーW−100−EL:0.3gを加えて(カルボキシル基/エポキシ基のモル比=1/3.46)、210℃、30分溶融混錬した。
【0056】
工程(2):ラボプラストミルに工程(1)で得られた反応混合物:0.212g、スチレンメタクリル酸共重合体(A−1):50gを加えて(工程(1)の理論残存エポキシ基モル数/スチレンメタクリル酸共重合体のカルボキシ基モル数=1/5.4)、210℃、30分溶融混錬し、化合物E−2を含む混合物を得た。
【0057】
参考例3(化合物E−3の合成)
工程(1):ラボプラストミル乾燥させたポリ乳酸:50g、エポサイザーW−109:0.15gを加えて(カルボキシル基/エポキシ基のモル比=1/3.32)、210℃、30分溶融混錬した。
【0058】
工程(2):ラボプラストミルに工程(1)で得られた反応混合物:0.53g、スチレンメタクリル酸共重合体(A−1):50gを加えて(工程(1)の理論残存エポキシ基モル数/スチレンメタクリル酸共重合体のカルボキシ基モル数=1/2.3)、210℃、30分溶融混錬し、化合物E−3を含む混合物を得た。
【0059】
参考例4(化合物E−4の合成)
工程(1):ラボプラストミルに乾燥させたポリ乳酸:50g、エポサイザーW−109:0.45gを加えて(カルボキシル基/エポキシ基のモル比=1/9.97)、210℃、30分溶融混錬した。
【0060】
工程(2):ラボプラストミルに工程(1)で得られた反応混合物:0.53g、スチレンメタクリル酸共重合体(A−1):50gを加えて(工程(1)の理論残存エポキシ基モル数/スチレンメタクリル酸共重合体のカルボキシ基モル数=1/0.6)、210℃、30分溶融混錬し、化合物E−4を含む混合物を得た。
【0061】
参考例5(化合物E−5の合成)
工程(1):ラボプラストミル〔ミキサー(R−60)(東洋精機)、以下、ラボプラストミルは全て同じ〕に乾燥させたポリ乳酸:50g、エポサイザーW−100−EL:0.1gを加えて(カルボキシル基/エポキシ基のモル比=1/1.15)、210℃、30分溶融混錬した。
【0062】
工程(2):ラボプラストミルに工程(1)で得られた反応混合物:0.212g、スチレンメタクリル酸共重合体(A−2):50gを加えて(工程(1)の理論残存エポキシ基モル数/スチレンメタクリル酸共重合体のカルボキシ基モル数=1/17.1)、210℃、30分溶融混錬し、化合物E−5を含む混合物を得た。
【0063】
実施例1
スチレンメタクリル酸共重合体(A−1):15g、ポリ乳酸(B):15g、エポキシ化大豆油:0.1g、スチレン系樹脂(D−1):15gをドライブレンドし、ラボプラストミルを用いて230℃で15分混錬して、スチレン系樹脂組成物を得た。
【0064】
実施例2
ポリ乳酸(B):15g、スチレン系樹脂(D−1):15g、参考例1で得られた化合物(E−1)を含む混合物:15gをドライブレンドし、を用いて230℃で10分混錬して、スチレン系樹脂組成物を得た。
【0065】
実施例3
ポリ乳酸(B):6.5g、スチレン系樹脂(D−1):32.5g、参考例1で得られた化合物(E−1)を含む混合物:6.5gをドライブレンドし、ラボプラストミルを用いて230℃で10分混錬して、スチレン系樹脂組成物を得た。
【0066】
実施例4
ポリ乳酸(B):15g、スチレン系樹脂(D−1):15g、参考例1で得られた化合物(E−2)を含む混合物:15gをドライブレンドし、を用いて230℃で10分混錬して、スチレン系樹脂組成物を得た。
【0067】
実施例5
ポリ乳酸(B):6.5g、スチレン系樹脂(D−1):32.5g、参考例1で得られた化合物(E−2)を含む混合物:6.5gをドライブレンドし、ラボプラストミルを用いて230℃で10分混錬して、スチレン系樹脂組成物を得た。
【0068】
実施例6
ポリ乳酸(B):15g、スチレン系樹脂(D−1):15g、参考例1で得られた化合物(E−3)を含む混合物:15gをドライブレンドし、を用いて230℃で10分混錬して、スチレン系樹脂組成物を得た。
【0069】
実施例7
ポリ乳酸(B):6.5g、スチレン系樹脂(D−1):32.5g、参考例1で得られた化合物(E−3)を含む混合物:6.5gをドライブレンドし、ラボプラストミルを用いて230℃で10分混錬して、スチレン系樹脂組成物を得た。
【0070】
実施例8
ポリ乳酸(B):15g、スチレン系樹脂(D−1):15g、参考例1で得られた化合物(E−4)を含む混合物:15gをドライブレンドし、を用いて230℃で10分混錬して、スチレン系樹脂組成物を得た。
【0071】
実施例9
ポリ乳酸(B):6.5g、スチレン系樹脂(D−1):32.5g、参考例1で得られた化合物(E−4)を含む混合物:6.5gをドライブレンドし、ラボプラストミルを用いて230℃で10分混錬して、スチレン系樹脂組成物を得た。
【0072】
実施例10
ポリ乳酸(B):15g、スチレン系樹脂(D−1):15g、参考例1で得られた化合物(E−5)を含む混合物:15gをドライブレンドし、を用いて230℃で10分混錬して、スチレン系樹脂組成物を得た。
【0073】
実施例11
ポリ乳酸(B):6.5g、スチレン系樹脂(D−1):32.5g、参考例1で得られた化合物(E−5)を含む混合物:6.5gをドライブレンドし、ラボプラストミルを用いて230℃で10分混錬して、スチレン系樹脂組成物を得た。
【0074】
実施例12
ポリ乳酸(B):15g、スチレン系樹脂(D−2):15g、参考例1で得られた化合物(E−5)を含む混合物:15gをドライブレンドし、を用いて230℃で10分混錬して、スチレン系樹脂組成物を得た。
【0075】
実施例13
ポリ乳酸(B):15g、スチレン系樹脂(D−3):15g、参考例1で得られた化合物(E−5)を含む混合物:15gをドライブレンドし、を用いて230℃で10分混錬して、スチレン系樹脂組成物を得た。
【0076】
比較例1
スチレンメタクリル酸共重合体(A−1):15g、ポリ乳酸(B):15g、スチレン系樹脂(D−1):15gをドライブレンドし、ラボプラストミルを用いて230℃で15分混錬して、スチレン系樹脂組成物を得た。
【0077】
比較例2
ポリ乳酸(B)25g、スチレン系樹脂(D−1):25gをドライブレンドし、ラボプラストミルを用いて230℃で10分混錬して、スチレン系樹脂組成物を得た。
【0078】
比較例3
ポリ乳酸(B)25g、スチレン系樹脂(D−2):25gをドライブレンドし、ラボプラストミルを用いて230℃で10分混錬して、スチレン系樹脂組成物を得た。
【0079】
比較例4
ポリ乳酸(B)25g、スチレン系樹脂(D−3):25gをドライブレンドし、ラボプラストミルを用いて230℃で10分混錬して、スチレン系樹脂組成物を得た。
【0080】
比較例5
スチレン系樹脂(D−1)について、上記樹脂組成物と同様の評価を行った。
【0081】
比較例6
スチレン系樹脂(D−2)について、上記樹脂組成物と同様の評価を行った。
【0082】
比較例7
スチレン系樹脂(D−3)について、上記樹脂組成物と同様の評価を行った。
【0083】
評価結果を表1〜3に示す。
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
【0086】
【表3】
【0087】
【表4】
【0088】
【表5】