【文献】
Journal of Organometallic Chemistry,(1992),426(1),pp.1−22
【文献】
The Journal of Organic Chemistry,(2009),74(3),pp.1415−1417
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1(特開2006−323225号公報)記載の化合物は、分子内にSi−O−R結合を有しており、上記結合は水分が存在するとSi−O結合部分での切断が徐々に起こる(加水分解反応)。そのため高分子とした後に水分と接触した場合、経時で加水分解反応が進行し、高分子の品質、特性に悪影響を及ぼすおそれがある。また、特許文献2(国際公開第2010/1587号)記載の化合物では、遷移金属に強く配位する硫黄原子を分子内に有しているため、ノルボルネン化合物の重合反応に用いる遷移金属触媒の活性を低下させ、高品質の高分子を得ることができない場合があった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、光学材料用原料、電子材料用原料、樹脂添加剤、接着剤として用いた場合に、品質、特性を損なわずに高屈折率を与えることができるシリル基含有ノルボルネン化合物及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、特定のシリル基含有ノルボルネン化合物が、高屈折率を与え、且つ光学材料用原料、電子材料用原料、樹脂添加剤、接着剤として用いた場合に品質、特性を損なわないことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
従って、本発明は、下記に示すシリル基含有ノルボルネン化合物及びその製造方法を提供する。
[1]
下記一般式(1)
【化1】
(式中、aは0又は1であり、aが1のとき、R
1は炭素数1〜10の
アルキレン基であり、R
2及びR
3は炭素数6〜20
の非置換のアリール
基であり、R
4は
メチル基又はエチル基である。)
で示されるシリル基含有ノルボルネン化合物。
[2]
ジシクロペンタジエンと、下記一般式(2)
【化2】
(式中、a、R
1、R
2、R
3、R
4は上記と同様である。)
で示されるオルガニルシラン化合物を反応させることを特徴とする[1]記載のシリル基含有ノルボルネン化合物の製造方法。
[3]
下記一般式(3)
【化3】
(式中、a、R
1は上記と同様であり、X
1はハロゲン原子である。)
で示されるグリニャール試薬と、下記一般式(4)
【化4】
[式中、R
2、R
3、R
4は上記と同様であり、X
2はハロゲン原子又は−OR
5(式中、R
5は炭素数1〜20の置換又は非置換の炭化水素基である。)である。]
で示されるシラン化合物を反応させることを特徴とする[1]記載のシリル基含有ノルボルネン化合物の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明により提供されるシリル基含有ノルボルネン化合物は、品質、特性を損なわずに高屈折率を与えることができるため、光学材料用原料、電子材料用原料、樹脂添加剤、接着剤として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のシリル基含有ノルボルネン化合物は、下記一般式(1)で示される化合物である。
【化5】
(式中、aは0又は1であり、aが1のとき、R
1は炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜5の2価炭化水素基であり、R
2及びR
3は炭素数6〜20、好ましくは炭素数6〜10の置換若しくは非置換のアリール基、又は炭素数7〜20、好ましくは炭素数7〜10の置換若しくは非置換のアラルキル基であり、R
4は炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜7の置換若しくは非置換の1価炭化水素基である。)
【0012】
ここで、R
1の炭素数1〜10の2価炭化水素基としては、具体的には、メチレン基、エチレン基、メチルエチレン基、プロピレン基、メチルプロピレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基、イソブチレン基等のアルキレン基;フェニレン基等のアリーレン基;メチレンフェニレン基、メチレンフェニレンメチレン基等のアラルキレン基等が例示される。特に好ましくはメチレン基、エチレン基である。
【0013】
R
2及びR
3の炭素数6〜20の置換若しくは非置換のアリール基又は炭素数7〜20の置換若しくは非置換のアラルキル基としては、具体的には、フェニル基、トリル基、キシリル基、テトラヒドロナフチル基、ナフチル基;ベンジル基、フェネチル基等が例示され、原料入手容易性の点で、特にフェニル基、トリル基が好ましい。また、炭化水素基の水素原子の一部又は全部が置換されていてもよく、該置換基としては、具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、(イソ)プロポキシ基等のアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;シアノ基;アミノ基;炭素数2〜10のアシル基;それぞれ各アルキル基、各アルコキシ基が炭素数1〜5であるトリアルキルシリル基、トリアルコキシシリル基、ジアルキルモノアルコキシシリル基若しくはモノアルキルジアルコキシシリル基等が挙げられ、更にエステル基(−COO−)、エーテル基(−O−)、スルフィド基(−S−)等が介在していてもよく、これらを組み合わせて用いることもできる。
【0014】
R
4の炭素数1〜20の置換又は非置換の1価炭化水素基としては、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イコシル基等の直鎖状のアルキル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、テキシル基、2−エチルヘキシル基等の分岐鎖状のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状のアルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が例示され、原料入手容易性の点で、特にメチル基、エチル基、フェニル基、トリル基、ベンジル基、フェネチル基、ナフチル基が好ましい。また、炭化水素基の水素原子の一部又は全部が置換されていてもよく、該置換基としては、具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、(イソ)プロポキシ基等のアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;シアノ基;アミノ基;炭素数2〜10のアシル基;それぞれ各アルキル基、各アルコキシ基が炭素数1〜5であるトリアルキルシリル基、トリアルコキシシリル基、ジアルキルモノアルコキシシリル基若しくはモノアルキルジアルコキシシリル基等が挙げられ、更にエステル基(−COO−)、エーテル基(−O−)、スルフィド基(−S−)等が介在していてもよく、これらを組み合わせて用いることもできる。
【0015】
上記一般式(1)で示されるシリル基含有ノルボルネン化合物としては、具体例には、5−ジフェニルメチルシリル−2−ノルボルネン、5−トリフェニルシリル−2−ノルボルネン、5−ジトリルメチルシリル−2−ノルボルネン、5−トリトリルシリル−2―ノルボルネン、5−ジベンジルメチルシリル−2−ノルボルネン、5−トリベンジルシリル−2−ノルボルネン、5−ジフェネチルメチルシリル−2−ノルボルネン、5−トリフェネチルシリル−2−ノルボルネン、5−ジナフチルメチルシリル−2−ノルボルネン、5−トリナフチルシリル−2−ノルボルネン、5−ジフェニルメチルシリルメチル−2−ノルボルネン、5−トリフェニルシリルメチル−2−ノルボルネン、5−ジトリルメチルシリルメチル−2−ノルボルネン、5−トリトリルシリルメチル−2―ノルボルネン、5−ジベンジルメチルシリルメチル−2−ノルボルネン、5−トリベンジルシリルメチル−2−ノルボルネン、5−ジフェネチルメチルシリルメチル−2−ノルボルネン、5−トリフェネチルシリルメチル−2−ノルボルネン、5−ジナフチルメチルシリルメチル−2−ノルボルネン、5−トリナフチルシリルメチル−2−ノルボルネン、5−(2−ジフェニルメチルシリルエチル)−2−ノルボルネン、5−(2−トリフェニルシリルエチル)−2−ノルボルネン、5−(2−ジトリルメチルシリルエチル)−2−ノルボルネン、5−(2−トリトリルシリルエチル)−2―ノルボルネン、5−(2−ジベンジルメチルシリルエチル)−2−ノルボルネン、5−(2−トリベンジルシリルエチル)−2−ノルボルネン、5−(2−ジフェネチルメチルシリルエチル)−2−ノルボルネン、5−(2−トリフェネチルシリルエチル)−2−ノルボルネン、5−(2−ジナフチルメチルシリルエチル)−2−ノルボルネン、5−(2−トリナフチルシリルエチル)−2−ノルボルネン等が例示される。
【0016】
本発明における上記一般式(1)で示されるシリル基含有ノルボルネン化合物の製造方法は、例えば、ジシクロペンタジエンと、下記一般式(2)
【化6】
(式中、a、R
1、R
2、R
3、R
4は上記と同様である。)
で示されるオルガニルシラン化合物を反応させる方法が例示される。
【0017】
上記一般式(2)で示されるオルガニルシラン化合物としては、具体的には、ジフェニルメチルビニルシラン、トリフェニルビニルシラン、ジトリルメチルビニルシラン、トリトリルビニルシラン、ジベンジルメチルビニルシラン、トリベンジルビニルシラン、ジフェネチルメチルビニルシラン、トリフェネチルビニルシラン、ジナフチルメチルビニルシラン、トリナフチルビニルシラン、ジフェニルメチルアリルシラン、トリフェニルアリルシラン、ジトリルメチルアリルシラン、トリトリルアリルシラン、ジベンジルメチルアリルシラン、トリベンジルアリルシラン、ジフェネチルメチルアリルシラン、トリフェネチルアリルシラン、ジナフチルメチルアリルシラン、トリナフチルアリルシラン、ジフェニルメチルブテニルシラン、トリフェニルブテニルシラン、ジトリルメチルブテニルシラン、トリトリルブテニルシラン、ジベンジルメチルブテニルシラン、トリベンジルブテニルシラン、ジフェネチルメチルブテニルシラン、トリフェネチルブテニルシラン、ジナフチルメチルブテニルシラン、トリナフチルブテニルシラン等が例示され、原料入手容易性の点で、特にジフェニルメチルビニルシラン、トリフェニルビニルシラン、ジトリルメチルビニルシラン、トリトリルビニルシラン、ジフェニルメチルアリルシラン、トリフェニルアリルシラン、ジトリルメチルアリルシラン、トリトリルアリルシラン、ジフェニルメチルブテニルシラン、トリフェニルブテニルシラン、ジトリルメチルブテニルシラン、トリトリルブテニルシランが好ましい。
【0018】
ジシクロペンタジエンと上記一般式(2)で示されるオルガニルシラン化合物の配合比は特に限定されないが、反応性、生産性の点から、ジシクロペンタジエン1モルに対し一般式(2)で示されるオルガニルシラン化合物を0.1〜10モル、特に0.2〜5モルの範囲が好ましい。
【0019】
上記反応の反応温度は特に限定されないが、0〜250℃、特に20〜200℃が好ましく、反応時間も特に限定されないが、1〜60時間、特に1〜30時間が好ましい。反応雰囲気は大気又は窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気とすることが好ましい。
【0020】
なお、上記反応は無溶媒でも進行するが、溶媒を用いることもできる。用いられる溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素系溶媒、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−エチルヘキサノール等のアルコール系溶媒が例示される。これらの溶媒は1種を単独で使用してもよく、あるいは2種以上を混合して使用してもよい。
【0021】
また、本発明における上記一般式(1)で示されるシリル基含有ノルボルネン化合物の別な製造方法として、例えば、下記一般式(3)
【化7】
(式中、a、R
1は上記と同様であり、X
1はハロゲン原子である。)
で示されるグリニャール試薬と、下記一般式(4)
【化8】
[式中、R
2、R
3、R
4は上記と同様であり、X
2はハロゲン原子又は−OR
5(式中、R
5は炭素数1〜20の置換又は非置換の炭化水素基である。)である。]
で示されるシラン化合物を反応させる方法も挙げられる。
【0022】
上記一般式(3)、(4)におけるR
1、R
2、R
3、R
4は上述したものが例示でき、X
1及びX
2のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示される。また、X
2が−OR
5の場合のR
5としては、上記R
4で例示した基と同様の基が例示される。
【0023】
上記一般式(3)で示されるグリニャール試薬としては、具体例には、ノルボルネニルマグネシウムクロリド、ノルボルネニルマグネシウムブロミド、ノルボルネニルマグネシウムヨージド、ノルボルネニルメチルマグネシウムクロリド、ノルボルネニルメチルマグネシウムブロミド、ノルボルネニルメチルマグネシウムヨージド、ノルボルネニルエチルマグネシウムクロリド、ノルボルネニルエチルマグネシウムブロミド、ノルボルネニルエチルマグネシウムヨージド等が例示され、原料入手容易性の点で、特にノルボルネニルマグネシウムクロリド、ノルボルネニルメチルマグネシウムクロリド、ノルボルネニルエチルマグネシウムクロリドが好ましい。
【0024】
上記一般式(4)で示されるシラン化合物としては、具体例には、ジフェニルメチルクロロシラン、トリフェニルクロロシラン、ジトリルメチルクロロシラン、トリトリルクロロシラン、ジベンジルメチルクロロシラン、トリベンジルクロロシラン、ジフェネチルメチルクロロシラン、トリフェネチルクロロシラン、ジナフチルメチルクロロシラン、トリナフチルクロロシラン、ジフェニルメチルブロモシラン、トリフェニルブロモシラン、ジトリルメチルブロモシラン、トリトリルブロモシラン、ジベンジルメチルブロモシラン、トリベンジルブロモシラン、ジフェネチルメチルブロモシラン、トリフェネチルブロモシラン、ジナフチルメチルブロモシラン、トリナフチルブロモシラン、ジフェニルメチルヨードシラン、トリフェニルヨードシラン、ジトリルメチルヨードシラン、トリトリルヨードシラン、ジベンジルメチルヨードシラン、トリベンジルヨードシラン、ジフェネチルメチルヨードシラン、トリフェネチルヨードシラン、ジナフチルメチルヨードシラン、トリナフチルヨードシラン、ジフェニルメチルメトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、ジトリルメチルメトキシシラン、トリトリルメトキシシラン、ジベンジルメチルメトキシシラン、トリベンジルメトキシシラン、ジフェネチルメチルメトキシシラン、トリフェネチルメトキシシラン、ジナフチルメチルメトキシシラン、トリナフチルメトキシシラン、ジフェニルメチルエトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン、ジトリルメチルエトキシシラン、トリトリルエトキシシラン、ジベンジルメチルエトキシシラン、トリベンジルエトキシシラン、ジフェネチルメチルエトキシシラン、トリフェネチルエトキシシラン、ジナフチルメチルエトキシシラン、トリナフチルエトキシシラン等が例示され、原料入手容易性の点で、特にジフェニルメチルクロロシラン、トリフェニルクロロシラン、ジトリルメチルクロロシラン、トリトリルクロロシラン、ジフェニルメチルメトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、ジトリルメチルメトキシシラン、トリトリルメトキシシラン、ジフェニルメチルエトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン、ジトリルメチルエトキシシラン、トリトリルエトキシシランが好ましい。
【0025】
上記一般式(3)で示されるグリニャール試薬と上記一般式(4)で示されるシラン化合物の配合比は特に限定されないが、反応性、生産性の点から、上記一般式(3)で示されるグリニャール試薬1モルに対し、上記一般式(4)で示されるシラン化合物を0.2〜5モル、特に0.5〜3モルの範囲が好ましい。
【0026】
上記反応の反応温度は特に限定されないが、0〜200℃、特に20〜150℃が好ましく、反応時間も特に限定されないが、1〜60時間、特に1〜30時間が好ましい。反応雰囲気は窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気とすることが好ましい。
【0027】
なお、上記反応は無溶媒でも進行するが、溶媒を用いることもできる。用いられる溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒が例示される。これらの溶媒は1種を単独で使用してもよく、あるいは2種以上を混合して使用してもよい。
【実施例】
【0028】
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0029】
[実施例1]5−ジフェニルメチルシリル−2−ノルボルネン
撹拌機、還流器、滴下ロート及び温度計を備えたフラスコに、ジシクロペンタジエン19.8g(0.15モル)を仕込み、140℃に加熱した。内温が安定した後、ジフェニルメチルビニルシラン67.3g(0.3モル)を3時間かけて滴下し、その温度で7時間撹拌した。反応液を蒸留し、沸点137−138℃/25Paの留分を52.0g得た。
【0030】
得られた留分の質量スペクトル、
1H−NMRスペクトル、IRスペクトルを測定した。
質量スペクトル
m/z 290,275,197,146,106,66
1H−NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒)
図1にチャートで示す。
IRスペクトル
図2にチャートで示す。
以上の結果より、得られた化合物は5−ジフェニルメチルシリル−2−ノルボルネンであることが確認された。
【0031】
[実施例2]5−ジフェニルメチルシリルメチル−2−ノルボルネン
撹拌機、還流器、滴下ロート及び温度計を備えたフラスコを窒素置換した後、マグネシウム4.9g(0.2モル)、テトラヒドロフラン60mlを仕込み、50℃に加熱した。内温が安定した後、5−クロロメチル−2−ノルボルネン28.5g(0.2モル)を1時間かけて滴下し、その温度で2時間撹拌した。グリニャール試薬としてのノルボルネニルメチルマグネシウムクロリド溶液が得られた。
次に、内温60℃でジフェニルメチルクロロシラン41.9g(0.18モル)を1時間かけて滴下し、80℃で10時間撹拌した。反応液を30℃に冷却した後、水100gを添加し、塩を溶解した。有機層を分液、蒸留し、沸点138−139℃/20Paの留分を36.2g得た。
【0032】
得られた留分の質量スペクトル、
1H−NMRスペクトル、IRスペクトルを測定した。
質量スペクトル
m/z 304,289,238,197,181,105
1H−NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒)
図3にチャートで示す。
IRスペクトル
図4にチャートで示す。
以上の結果より、得られた化合物は5−ジフェニルメチルシリルメチル−2−ノルボルネンであることが確認された。
【0033】
[実施例3]5−(2−ジフェニルメチルシリルエチル)−2−ノルボルネン
撹拌機、還流器、滴下ロート及び温度計を備えたフラスコを窒素置換した後、マグネシウム4.9g(0.2モル)、テトラヒドロフラン60mlを仕込み、50℃に加熱した。内温が安定した後、5−(2−クロロエチル)−2−ノルボルネン31.3g(0.2モル)を1時間かけて滴下し、その温度で2時間撹拌した。グリニャール試薬としてのノルボルネニルエチルマグネシウムクロリド溶液が得られた。
次に、内温60℃でジフェニルメチルクロロシラン41.9g(0.18モル)を1時間かけて滴下し、80℃で10時間撹拌した。反応液を30℃に冷却した後、水100gを添加し、塩を溶解した。有機層を分液、蒸留し、沸点168−170℃/0.2kPaの留分を38.0g得た。
【0034】
得られた留分の質量スペクトル、
1H−NMRスペクトル、IRスペクトルを測定した。
質量スペクトル
m/z 318,240,224,197,105,66
1H−NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒)
図5にチャートで示す。
IRスペクトル
図6にチャートで示す。
以上の結果より、得られた化合物は5−(2−ジフェニルメチルシリルエチル)−2−ノルボルネンであることが確認された。