(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1又は2に記載のコンポーネント(40;40a)において、前記少なくとも1つの固定して配置された電極(158)が、前記センサ(151)が所定の形状特徴を有するように具現化された所定の形状を有するコンポーネント。
請求項1〜3の何れか一項に記載のコンポーネント(40;40a)において、前記少なくとも1つの固定電極(158)が、特定用途向け集積回路(ASIC)(52;52a)に組み込まれることを特徴とするコンポーネント。
【発明を実施するための形態】
【0027】
先ず、投影露光装置1の基本構造を図を参照して以下に説明する。
【0028】
図1はマイクロリソグラフィの投影露光装置1の子午断面における概略図である。投影露光装置1の照明系2は、放射線源3に加えて、物体面6の物体視野5を露光する照明光学ユニット4を有する。物体視野5は、例えば13/1のx/yアスペクト比で、矩形状又は円弧状に形成することができる。この場合、物体視野5に配置された反射レチクル(
図1に示さず)を露光させ、このレチクルは、微細構造又はナノ構造の半導体コンポーネントの製造用の投影露光装置1によって投影される構造を有する。投影光学ユニット7は、像面9の像視野8に物体視野5を結像するために使用される。レチクルの構造は、像面9の像視野8の領域に配置された、図示しないウエハの感光層に結像される。
【0029】
レチクルホルダ(図示せず)によって保持されるレチクル及びウエハホルダ(図示せず)によって保持されるウエハは、投影露光装置1の動作中、y方向に同期走査される。投影光学ユニット7の結像スケールに応じて、レチクルをウエハに対して反対方向に走査することもできる。
【0030】
投影露光装置1を用いて、レチクルの少なくとも一部分を、特に半導体コンポーネントの、例えばマイクロチップの微細構造又はナノ構造コンポーネントのリソグラフィ製造のために、ウエハの感光層の領域に結像させる。スキャナ又はステッパとしての投影露光装置1の実施形態に応じて、レチクル及びウエハをスキャナ動作において連続的にy方向に時間同期して、又はステッパ動作で段階的に移動させる。
【0031】
放射線源3は、5nm〜30nmの放出使用放射線を有するEUV放射線源である。これには、例えばGDPP源(ガス放電型プラズマ)又はLPP源(レーザ生成ラズマ)などのプラズマ源を含むことができる。例えばシンクロトロン又は自由電子レーザ(FEL)に基づくものなどの、他のEUV放射線源も使用可能である。
【0032】
放射線源3から出るEUV放射線10は、集光器11によって集光される。対応する集光器は、例えば、欧州特許第1225481号明細書より既知である。集光器11の下流で、EUV放射線10は、複数の視野ファセット13aを有する視野ファセットミラー13に当たる前に、中間焦点面12を伝播する。視野ファセットミラー13は、物体面6に対して光学的に共役な照明光学ユニット4の平面に配置される。
【0033】
以下において、EUV放射線10を、使用放射線、照明光又は結像光とも称する。
【0034】
視野ファセットミラー13の下流において、EUV放射線10は複数の瞳ファセット14aを有する瞳ファセットミラー14によって反射される。瞳ファセットミラー14は、照明光学ユニット7の入射瞳面又はそれに対して光学的に共役な平面にある。視野ファセットミラー13及び瞳ファセットミラー14は、以下に更に詳しく説明する複数の個別ミラーよって構成される。この場合、視野ファセットミラー13の個々のミラーへの細分は、それぞれで物体視野5を照明する視野ファセット13aの各々が、個々のミラーの中の厳密に1つのミラーによって表されるように行うことができる。代替的に、視野ファセット13aの内の少なくともいくつか又は全てを、このような複数の個別ミラーによって構成することも可能である。同様のことが、視野ファセット13aにそれぞれ割り当てられた瞳ファセットミラー14の瞳ファセット14aの構成にも当てはまり、これらの瞳ファセットはそれぞれ、単一の個別ミラー又は複数のこのような個別ミラーによって形成することができる。
【0035】
EUV放射線10は、ミラー面に対する垂直入射で測定した25°以下の入射角で2つのファセットミラー13及び14に当たる。従って、EUV放射線10は、垂直入射運転範囲において2つのファセットミラー13及び14に照射される。斜入射による照射も可能である。瞳ファセットミラー14は、投影光学ユニット7の瞳面を構成するか、又は投影光学ユニット7の瞳面に対して光学的に共役な、照明光学ユニット4の平面に配置される。瞳ファセットミラー14と、EUV放射線10のビーム経路の順にミラー16、17及び18を有する透過光学ユニット15の形態の結像光学アセンブリとを用いて、視野ファセットミラー13の視野ファセットを互いに重畳して物体視野5に結像させる。透過光学ユニット15の最終ミラー18は、斜入射用のミラー(「斜入射ミラー」)である。透過光学ユニット15は、瞳ファセットミラー14と共に、EUV放射線10を視野ファセットミラー13から物体視野5へ伝達する、後続光学ユニットとも称する。照明光10は、複数の照明チャネルによって放射線源3から物体視野5へと導かれる。照明チャネルの各々は、視野ファセットミラー13の視野ファセット13a及びその下流に配置された瞳ファセットミラー14の瞳ファセット14aに割り当てられる。視野ファセットミラー13及び瞳ファセットミラー14の個別ミラーは、アクチュエータ系によって傾斜可能であり、その結果、瞳ファセット14aの視野ファセット13aへの割り当ての変化と、それによる照明チャネルの構成の変化を達成することができる。これにより物体視野5にわたる照明光10の照明角度における分布の異なる、種々の照明設定がもたらされる。
【0036】
位置関係の説明を容易にするために、特に、以下において、全体直交xyz座標系を用いる。
図1において、x軸は
図1において図面の平面に対して垂直に、観測者に向かって延びている。y軸は
図1において右に延びている。z軸は
図1において上に延びている。
【0037】
局所直交xyz座標系はこれ以降に続く図面の中から選択した図に示し、x軸は
図1に示すx軸と平行に延び、y軸はx軸と共に各光学素子の光学面に延びている。
【0038】
図2は投影露光装置1における照明系19の代替的な構成を示す。
図1を参照してすでに説明したものに相当するコンポーネントには同じ参照符号を付し、再び詳述はしない。
【0039】
LPP源として同様に具現化することのできる、放射線源3から出射した使用放射線10は、最初に第1集光器20によって集光される。集光器20は、放射線源3を中間焦点面12に結像するか、又は放射線源3からの光を中間焦点面12の中間焦点に集束させる放物面鏡であってもよい。集光器20は、使用放射線10が集光器に0°に近い入射角で照射されるように動作させることができる。そして集光器20は垂直入射に近い角度で動作するため、垂直入射(NI)ミラーとも称する。斜入射で動作する集光器を集光器20の代わりに用いることもできる。
【0040】
中間焦点面12の下流には、使用放射線10、すなわちEUV放射線ビームを導く光学アセンブリの例として、マルチミラーアレイ又はマイクロミラーアレイ(MMA)の形態の視野ファセットミラー21が配置される。マルチミラーアレイ又はマイクロミラーアレイ(MMA)は以下において、単にミラーアレイ22とも称する。視野ファセットミラー21は、微小電気機械システム(MEMS)として具現化される。これは、行列状の配列でマトリクス状に配置された複数の個別ミラーを有する。個別ミラーは、以下において、ミラー素子23とも称する。ミラー素子23は以下でも説明するように、アクチュエータシステムによって傾斜できるように設計される。全体として、視野ファセットミラー21は、約100,000個のミラー素子23を有する。ミラー素子23のサイズに応じて、視野ファセットミラー21は、例えば、1000個、5000個、7000個、又は例えば500,000個など何十万ものミラー素子23を有することもできる。
【0041】
視野ファセットミラー21の上流に分光フィルタを配置することができ、この分光フィルタは、放射線源3から放出される、投影露光に使用することのできないその他の波長成分から使用放射線10を分離する。この分光フィルタは図示しない。
【0042】
840Wの出力と6.5kW/m
2の出力密度とを有する使用放射線10が視野ファセットミラー21に照射される。使用放射線10は異なる出力及び/又は出力密度を有することもできる。
【0043】
ファセットミラー21の個別ミラーアレイ全体の直径は500mmであり、ミラー素子23が密集された状態に設計される。充填度又は集積密度とも称する、ミラー素子23による完全な視野ファセットアレイの面積占有率は、少なくとも70%である。ミラー素子23は、視野ファセット21aがそれぞれ1つのミラー素子23のみによって実現される限り、倍率は別として、物体視野5の形態を表す。ファセットミラー21は、それぞれが視野ファセット21aを表し、かつy方向が約5mm、x方向が約100mmである、500個のミラー素子23から形成することができる。各視野ファセット21aを1つのみのミラー素子23から実現させる代替形態として、視野ファセット21aの各々を、より小さなミラー素子23の群で形成することができる。y方向に約5mm、x方向に約100mmの寸法を有する視野ファセット21aは、例えば、5mm×5mmの寸法を有するミラー素子23の1×20のアレイから、0.5mm×0.5mmの寸法を有するミラー素子23の10×200のアレイによって構成することができる。本発明によれば、ミラー素子23の視野ファセット21aへの割り当てはフレキシブルである。視野ファセット21aは、特に最初にミラー素子23の適切な駆動によって規定される。ミラー素子23の形状は、特に、巨視的な視野ファセットの形状とは無関係であり得る。
【0044】
使用光10は、ファセットミラー21のミラー素子23から瞳ファセットミラー14に反射される。瞳ファセットミラー14は約2,000個の固定瞳ファセット14aを有する。瞳ファセット14aが相互に並んだ複数の同心円状のリングとして配置されることで、最も内側のリングの瞳ファセット14aは扇形に構成され、それに直接隣接するリングの瞳ファセット14aは、リング弧状に構成される。瞳ファセットミラー14の象限内において、瞳ファセット14aはリング12のそれぞれに相互に並んで存在し得る。瞳ファセット14aの各々はミラーアレイ22として具現化させることができる。
【0045】
使用光10は、瞳ファセット14aから物体面6に配置された反射レチクル24に反射される。
図1に示す投影露光装置に関して上記に説明した様に、投影光学ユニット7が次に来る。
【0046】
図1に示す照明光学ユニット4に関連して説明した様に、透過光学ユニット15をファセットミラー14とレチクル24との間に再度設けることができる。
【0047】
図3は、
図2に示す従来の照明設定をほぼ達成できる瞳ファセットミラー14の瞳ファセット14aの照明を例として示す。瞳ファセットミラー14の2つの内側瞳ファセットリングにおいて、瞳ファセット14aの内の1つを1つおきに円周方向に照らす。
図3のこの交互的な照明図は、この照明設定の場合に実現される充填密度が輪帯照明設定の場合の2分の1であるということを表すことを意図したものである。均一な照度分布も同様に2つの内側瞳ファセットリングにおいて求められるが、占有密度は2分の1である。
図3に示す2つの外側瞳ファセットリングは照らされない。
【0048】
図4は、輪帯照明設定が行われている場合に限られる照明光学ユニット4の状態を概略的に示す。視野ファセットミラー21のミラー素子23は、瞳ファセットミラー14において、リング弧状の瞳ファセット14aが使用光10で照らされるように、アクチュエータを用いたアクチュエータシステムによって傾斜される(以下に説明する)。瞳ファセットミラー14のこの例示的な照明を
図5に示す。この照明を発生させるためのミラー素子23の傾斜を、ミラー素子23の内の1つを例として、
図4に示す。
【0049】
図2〜
図5に示す照明設定を切り替えるために、ミラー素子23を傾斜角度で枢動させることができる。ミラー素子23は特に少なくとも±50mrad、特に少なくとも±80mrad、特に±100mradの範囲の傾斜角で枢動可能である。それぞれの傾斜位置は、この場合、少なくとも0.2mrad、特に少なくとも0.1mrad、特に少なくとも0.05mradの精度で満たすことができる。
【0050】
ミラー素子23は、使用放射線10の波長におけるそれらの反射率を最適化するために、多層コーティングを有する。多層コーティングの温度は、投影露光装置1の動作中、425kを超えてはならない。これは以下に例として説明するミラー素子23の構成によって達成される。照明光学ユニット4のミラー素子23は、
図2に概略的に示すように、真空排気可能チャンバ25に収容される。
図2は真空排気可能チャンバ25の境界壁26を概略的に示しているだけである。チャンバ25はその中に遮断弁28を収容した流体線27を介して真空ポンプ29と連通する。真空排気可能チャンバ25内の作動圧力は数Pa(分圧H
2)である。その他の分圧は10
−7mbarを明らかに下回る。
【0051】
ミラー素子23は基板30に配置される。基板30は熱伝導部31を介してミラー体32に機械的に接続される。熱伝導部31の一部は関節体33であり、これによりミラー体32を基板30に対して傾斜させることができる。関節体33は、ミラー体32が規定された傾斜自由度で、例えば1つ又は2つの特に相互に垂直に配置された傾斜軸を中心に傾斜できるようにする固体関節として具現化させることができる。関節体33は基板30に固定された外側保持リング34を有する。更に、関節体33は外側保持リング34に関節式に接続される内側保持体35を有する。この保持体はミラー素子23の反射面36の中央の下に配置される。スペーサ37は中央保持体35と反射面36との間に配置される。
【0052】
ミラー体32内の熱、特に入射使用放射線10の吸収によって発生した熱は、熱伝導部31を介して、すなわちスペーサ37、中央保持体35、関節体33及び外側保持リング34を介して、基板30に放散される。少なくとも10kW/m
2、特に少なくとも30kW/m
2、特に少なくとも50kW/m
2の熱出力密度を、熱伝導部31を介して基板30に放散させることができる。基板30に放散される熱出力は、ミラー素子23に応じて、少なくとも2.5mW、特に少なくとも7.5mW、特に少なくとも12.5mWとすることができる。代替的に、熱伝導部31は、少なくとも1kW/m
2の熱出力密度又はミラー体32が吸収した少なくとも0.25mWの出力を基板30に放出するように設計してもよい。吸収出力は、放射線源3からの使用放射線10の吸収出力に加えて、例えば吸収電力であってもよい。
【0053】
保持体35におけるスペーサ37に対する反対側に、アクチュエータピン38が当該保持体35に配置される。このアクチュエータピン38の外径はスペーサ37より小さくてもよい。また、アクチュエータピン38の直径は、スペーサ37と同じ又はスペーサより大きくてもよい。
【0054】
基板30は、アクチュエータピン38を囲むスリーブを形成する。いずれの場合においても、全部で3個の電極54がスリーブに組み込まれ、スリーブにおいてこれらの電極は相互に電気的に絶縁され、それぞれ円周方向におよそ120°を僅かに下回る角度で延在するように配置される。電極54は本実施形態において電極ピンとして具現化されるアクチュエータピン38に対して対電極を構成する。この場合、アクチュエータピン38は、特に中空シリンダとして具現化させることができる。原理上、アクチュエータピン38につき、異なる数の電極54を設けることも可能である。特に、アクチュエータピン38につき、4個以上の電極4を設けてもよい。1つ又は複数の電極54とアクチュエータピン38との間に電位差を発生させることにより、アクチュエータピン38に静電力を発生させることが可能であり、この力は、
図6の右側半分に例として示す様に、ミラー素子23の偏向をもたらし得る。
【0055】
基板30は特に、その上にミラー素子23のアレイ全体が配置された、シリコンウエハで形成することができる。
【0056】
アクチュエータピン38はローレンツアクチュエータの一部であってもよい。この場合、アクチュエータピン38の自由端に永久磁石が配置される。永久磁石は、そのN極とS極とがアクチュエータピン38に沿って相互に並んで配置されるように配向させることができる。このタイプのローレンツアクチュエータは、例えば米国特許第7,145,269号明細書から既知である。これは、微小電気機械システム(MEMS)としてバッチプロセスで製造することができる。20kPaの力密度をこのタイプのローレンツアクチュエータを使って達成させることができる。力密度は、アクチュエータ力の、そのアクチュエータ力が作用するアクチュエータの面積に対する割合と定義される。アクチュエータピン38の断面は、アクチュエータの力が作用し、固有に考慮される、アクチュエータの側面の基準として使用することができる。
【0057】
本実施形態のローレンツアクチュエータの代替として、ミラー素子23を傾斜させるアクチュエータを、例えば国際公開第2007/134574A号パンフレットに記載の様なリラクタンスアクチュエータ、又はピエゾアクチュエータとして具現化させることができる。50kPaの力密度はリラクタンスアクチュエータによって達成することができる。構成に応じて、50kPa〜1MPaの力密度をピエゾアクチュエータで達成することができる。
【0058】
特に基板30における個別ミラー23の配置及びアクチュエータによるそれらの枢動性と、関節体及び熱伝導部31の実施形態の詳細に関しては、国際公開第2010/049076A2号パンフレットを参照されたい。
【0059】
ミラーアレイ22を有する光学コンポーネント40の更なる態様及び詳細を、
図7〜
図15を参照して以下に説明する。ミラー素子23と基板30とを有するミラーアレイ22は、表面法線41に対して垂直に延在する全体面を有する。ミラーアレイ22は複数のミラー素子23を備え、ミラー素子の各々は反射面36と2つの変位自由度とを有する。概してミラー素子23は少なくとも1つの変位自由度を有する。ミラー素子はまた、3つ以上の変位自由度を有することもできる。ミラー素子23は特に少なくとも1つの傾斜自由度を持つ。好適には、少なくとも2つの傾斜自由度を持つ。ミラー素子32は特に並進自由度も有し得る。アクチュエータを用いて達成される変位は、ペアの線形独立であり得る。しかしながらこれらは必ずしも線形独立でなくてもよい。例えば上述の様に、3つ以上の電極54をアクチュエータピン38の周囲の平面において等距離に配置してもよい。
【0060】
反射面36は、0.5mm×0.5mm、1mm×1mm、4mm×4mm、8mm×8mm又は10mm×10mmの大きさを有し得る。反射面は正方形から逸脱することもできる。反射面36の他の寸法も同様に可能である。
【0061】
ミラーアレイ22は、特に少なくとも4個、特に少なくとも16個、特に少なくとも64個、特に少なくとも256個、特に少なくとも1024個のミラー素子23を有する。ミラー素子23は、好適には、矩形、特に正方形のマトリクス状に配置される。ミラー素子23は正方形の断面を有する。ミラー素子はまた、原理上、三角形、矩形又は六角形の形状に具現化させることができる。ミラー素子23は寄せ木張り要素として具現化される。ミラー素子23全体は、ミラーアレイ22の全反射面の寄せ木張りを形成する。寄せ木張りは特に碁盤目状配列である。ミラー素子23は特に密集して配置される。ミラーアレイは、特に少なくとも0.85、特に少なくとも0.9、特に少なくとも0.95の充填度を有する。この場合、場合によっては集積密度とも称する充填度は、全反射面、すなわち、ミラーアレイ22の全ミラー素子23の反射面36の和の、アレイ22の全表面に対する比を示す。
【0062】
ミラー素子23の反射面36は平面として具現化される。原理上、これは凹状又は凸状面、又は自由面として具現化させることもできる。
【0063】
ミラー素子23の反射面36には、特に、使用放射線10の波長でその反射率が最適化される(多層)コーティングが設けられる。多層コーティングは、特に、EUV領域の、特に5nm〜30nmの波長を有する使用放射線10の反射を可能にする。
【0064】
ミラーアレイ22はモジュール式に具現化される。ミラーアレイ22は、特に、ミラーアレイ22の全反射面の寄せ木張りをこのタイプの、すなわち複数の同一に具現化されたミラーアレイ22の複数のタイル要素のタイル張りによって任意の所望の方法で拡張させることができるように、タイル要素として具現化される。この場合、「寄せ木張り」及び「タイル張り」という異なる用語は、ミラー素子23による個々のミラーアレイ22の全反射面の寄せ木張りと、複数のミラーアレイ22によるマルチミラーアレイのそれとを区別するためだけに用いられる。これらはいずれも、1つの平面内で単純に接続された領域の、隙間のない重ならない被覆を示す。全反射面の被覆が、この場合に完全に隙間のない状態ではなく、充填度<1に反映されるようなものであっても、充填度が上記の値、特に少なくとも0.85を有する場合には、寄せ木張り又はタイル張りという用語を以下において用いる。
【0065】
ミラー素子23は基板30によって保持される。基板30は、表面法線41に対して垂直な方向に延在する縁部領域42を有する。縁部領域42は、特に、ミラー素子23の周りに円周方向に配置される。縁部領域42は、表面法線41に対して垂直な方向に、5mm以下、特に3mm以下、特に1mm以下、特に0.5mm以下、特に0.3mm以下、特に0.2mm以下の幅b、特に最大幅bを有する。従って、ミラーアレイ22の全表面は、全反射面、すなわちその外縁部よりも5mm以下、特に3mm以下、特に1mm以下、特に0.5mm以下、特に0.3mm以下、特に0.2mm以下、表面法線41に対して垂直な方向に突出している。
【0066】
ミラーアレイ22の全表面積は、1mm×1mm〜50mm×50mm、特に10mm×10mm〜25mm×25mmの範囲である。他の寸法も原理上同様に可能である。これは、特に正方形から逸脱することもできる。ミラーアレイ22の全反射面を超えたその全表面のオーバーハング(張り出し)は、横方向オーバーヘッドとも称する。同じ方向の全範囲に対する横方向オーバーヘッドの比は、0.1以下、特に0.05以下、特に0.03以下、特に0.02以下、特に0.01以下である。従って、横方向オーバーハングは、ミラーアレイ22の全反射面の全範囲よりも少なくとも1桁小さい。
【0067】
光学コンポーネント40は、ミラーアレイ22に加えて担持体43を備える。担持体43は、表面法線41の方向にミラーアレイ22に対してオフセットして、特に隣接して配置される。担持体43は、ミラーアレイ22の基板30の断面と同一の断面を有することが好ましい。担持体43は、概して基板30よりも、従ってミラーアレイ22の全表面よりも表面法線41に対して垂直な方向に5mm以下、特に3mm以下、特に1mm以下、特に0.5mm以下、特に0.1mm以下、特に0.05mm以下突出し、特に全く突出しない。このタイプの配置を、「シャドウキャスティング(影付け)原理」に従った配置とも称する。これは、特に、担持体43が表面法線41の方向でミラーアレイ22の全表面の平行投影内に完全に配置されることを意味すると理解される。
【0068】
担持体43は、セラミック及び/又はケイ素含有及び/又はアルミニウム含有材料から構成される。これは、高い機械的安定性と共にミラーアレイ22からの放熱を可能にする。担持体43の材料の例として、セラミック材料、ケイ素、二酸化ケイ素、亜硝酸アルミニウム及び酸化アルミニウム、例えばAl
2O
3セラミックが挙げられる。担持体43は、特にウエハから製造することができる。担持体43は、いわゆるサーマルビアを設けた石英又はガラスウエハから製造することもできる。
【0069】
担持体43は、片側に開いた切欠部44を有する。切欠部44は、更に他の機能構成部品を収納するために片側に開いた収容空間を形成する。切欠部44は、ミラーアレイ22の反対側で、表面法線41の方向に担持体のベース45によって境界が定められる。切欠部44は、横方向に、すなわち表面法線41に対して垂直な方向に、担持体43の縁部領域46によって境界が定められる。縁部領域46は、表面法線41に対して垂直な方向に幅b
cを有する。この場合、0.5×b≦b
c≦2×bと言える。担持体43の縁部領域46は、特に、基板30の縁部領域42と全く同じくらいの幅b=b
cであり得る。
【0070】
担持体43は、上記縁部領域46のみにおいてミラーアレイ22に機械的に接続される。シール要素61が担持体43とミラーアレイ22との間に配置される。シール要素61は、ミラーアレイ22の基板30の後側48における金属化部(metallization)に組み込まれる。シール要素61は、担持体4の縁部領域46に配置されたシールリングとして具現化させることもできる。その結果、切欠部44によって形成された収容空間が、少なくともコンポーネント40の製造中、液密に、特に気密に密閉、すなわち閉鎖される。原理上、ASIC52を封入、すなわち液密又は気密に閉鎖して配置させることが可能である。これは、ミラーアレイ22とASIC52との間の連続中間層(図示せず)も必要とする。
【0071】
複数の信号線47を担持体43に組み込む。信号線47は、電気めっき貫通孔、いわゆる「ビア」として具現化される。信号線47は、ミラーアレイ22における、反射面36の反対側である後側48に直接結合される。信号線47には、ミラーアレイ22の反対側、すなわち担持体54の後側49に接触素子50が更に設けられる。各コンポーネント40は、31個以上、特に51個以上、特に71個以上の信号線47を有し得る。信号線47は、特に、ミラー素子23における変位用の変位デバイス51のドライバ段における電力供給として機能する。ドライバ段は担持体43に組み込まれる。これは、特に特定用途向け集積回路52(ASIC)として具現化される。コンポーネント40は、複数のASIC52を有し得る。コンポーネント40は、少なくとも1個のASIC52、特に少なくとも2個、特に少なくとも4個、特に少なくとも9個、特に少なくとも16個、特に少なくとも25個、特に少なくとも100個のASIC52を備える。この場合、ASIC52の各々を少なくとも1つのミラー素子23、特に複数のミラー素子23、すなわち特に少なくとも2個、特に少なくとも4個、特に少なくとも8個のミラー素子23に信号接続させる。ミラー素子23を変位させるアクチュエータの制御の詳細に関しては、国際公開第2010/049076A2号パンフレットを参照されたい。
【0072】
ASIC52への信号線47は、担持体43の後側49から担持体43を通してミラーアレイ22の後側48へ延在し、そこからミラーアレイ22の後側48に沿ってフリップチップ接点53を介してASIC52へと延びる。フリップチップ技術の説明は、文献「Baugruppentechnologie der Electronik-Montage」["Technology for Assemblies in Electric Mounting"](Wolfgang Scheel編、第2版、Verlag Technik、ベルリン、1999年)で見ることができる。従って、集積又はローカルドライバ電子装置(integrated or local driver electronics)への信号線は、ミラーアレイ22の後側48に導かれる。ASIC52で発生させたミラー素子23の内の1つの変位を制御する制御電圧は、ミラーアレイ22の後側48の更に別のフリップチップ接点53を介して対応する電極54に印加される。結果として、ASIC52の内の1つの電気接点接続の全部がASIC52の同じ側に位置付けられる。これらは、特に、ASIC52における、ミラーアレイ22に面する側に位置付けられる。原理上同様に可能であるASIC52の両面接点接続及びスルーホールめっきがそれによって回避される。信号線47のこのような配置のさらなる利点は、信号線47の全部を単一の金属層におけるミラーアレイ22の後側に配設できることである。これは製造プロセスの単純化、よって製造費の削減につながる。
【0073】
更に、信号線47は、特定の信号線47がミラーアレイ22に面する担持体43の前側43a及び/又は上記担持体の後側49に配設されるように具現化及び配置される。例として、ASIC52の供給電圧用の信号線47を相互に接続させる。これは、担持体43の領域における信号低減をもたらす。担持体43の領域における信号低減は、特に少なくとも10:1である。
【0074】
担持体43の後側49において、コンポーネント40は電気インターフェース55を有する。インターフェース55は、特に、担持体43における、ミラーアレイ22に対して反対側である後側49に完全に配置される。原理上可能である横方向接点を完全に省くことができる。従って、信号が流れる間に「シャドウキャスティング原理」も満たされる(
図25参照)。その結果、コンポーネント40のコンポーネント部品及びコンポーネント40における信号及び熱の流れの両方が、表面法線41の方向に向けられる。従って、コンポーネント40は垂直方向の集積を有する。
【0075】
図7に示す実施形態の場合、電気インターフェース55は、担持体43の後側49に設けられる複数のコンタクトピン56を有する。その代替形態として、
図9に例として示すように、電気インターフェース55の接触素子50を平面状に具現化することもできる。
【0076】
その代替形態として、電気インターフェース55の接触素子50を担持体43における一体型ピンとして具現化させることもできる。この場合、例えば金を充填した貫通孔として具現化される担持体43のめっき貫通孔(ビア)を、担持体の後側49の領域で部分的に露出させる。これは特に、めっき貫通孔を囲む担持体43の材料の一部をエッチング除去することによって達成することができる。めっき貫通孔の露出部分が、続いて接触素子50を形成する。
【0077】
更に、担持体43は強磁性体57を備える。担持体43は特に少なくとも1つの強磁性体57を有する。複数の強磁性体57を設けることもできる。強磁性体57は、金属板又は金属箔として具現化される。強磁性体57は、永久磁石素子として具現化させることもできる。
図7及び
図9に例として示す実施形態によれば、金属箔57は担持体43の切欠部44内に配置される。特に、この金属箔は担持体43に接続固定される。金属箔は、例えば担持体に結合させることができる。金属箔は、接着結合させることもできる。強磁性体57として担持体43に強磁性金属層を直接電着させることも同様に可能である。金属箔57は、
図10に例として示すように、担持体43の後側49に配置することもできる。原理上、切欠部44内及び担持体43の後側49において金属箔の配置を組み合わせることも可能である。
【0078】
金属箔57は、特にASIC52と担持体43のベース45との間に配置させることができる。この場合、上記金属箔は、ASIC52と担持体43との間のサーマルインターフェースを形成することもできる。この場合、金属箔57を軟質の波形金属箔、すなわちいわゆるスプリングフォイルとして具現化させることが有利である。
【0079】
更に、付加的な熱伝導要素78をASIC52と担持体43のベース45との間、特にASIC52と金属箔57との間に配置させることができる。複数の熱伝導要素78を設けることもできる。ASIC52は、特に、切欠部44内の熱伝導要素78に少なくとも部分的に埋め込むことができる。ASIC52と担持体43のベース45との間のこのようなサーマルインターフェースは、コンポーネント40を通る熱流の垂直方向の集積を改善する。ミラーアレイ22からの、特にASIC52からの熱は、この場合、担持体43のベース45へ直接、すなわち実質的に表面法線41の方向に、及び担持体43を通して放散させることができる。
【0080】
更に、コンポーネント40は、配向要素(orienting elements)58を有する。配向要素58は、第1にコンポーネント40の把持及び取り扱いを、第2により詳細に後述するベースプレート59上でのその配置及び配向を容易にする配向デバイスの一部であり得る。配向要素58は、特に光学的、機械的、又は電気的に具現化することができる。配向要素58は、特にミラーアレイ22の基板30の縁部領域42に配置される。従って、配向要素58は、コンポーネント40の前側60に配置される。配向要素58は、対応して担持要素43の後側49に設けることもできる。担持体43の後側49の配向要素58は、特に、ベースプレート59の対応要素との相互作用の結果として、ベースプレート59上でコンポーネント40の自己位置合わせをもたらすよう具現化させることができる。配向要素58は、更に、ベースプレート59上におけるコンポーネント40の滑動を防止する。従って、配向要素58は、コンポーネント40の所定の配置及び向きをもたらして確保することができる。
【0081】
コンポーネント40の更に別の実施形態の態様を、
図8を参照して以下で説明する。同一の部品には上述の例示的な実施形態と同じ参照符号を付し、その説明をここで参照する。
【0082】
図8は、主にコンポーネント40aを通る電気接点及び信号線47の細部を概略的に示す。本実施形態では、信号線47は、ASIC52aを通って延在する。この目的で、ASIC52aにはいわゆるめっき貫通孔、特にシリコン貫通ビア(TSV)が設けられる。ASIC52aは両面接点接続を有する。その結果、コンポーネント40aを通る信号経路は更に短縮される。結果として短絡の危険が減る。更に、熱抵抗が減る。これは、垂直方向の集積と横方向オーバーヘッドのさらなる低減とに寄与する。
【0083】
担持体43の更に他の態様を、
図11〜
図14を参照して以下で説明する。めっき貫通孔(スルービア)として具現化された信号線47が、特に
図11及び
図13において識別可能である。信号線は、特に、相互に向かい合って2列に配置される。原理上、信号線47を1列又は2列以上、特に少なくとも3列、特に少なくとも4列以上で配置することも可能である。信号線47は、特に、切欠部44の4辺全てに配置することもできる。信号線47は、例えば、複列で、特にオフセットした複列で配置することもできる。
【0084】
図11〜
図14に示す実施形態では、強磁性金属箔57を担持体43の後側49に施す。これは、接触素子50と接触するための2つのストリップ状の、特に矩形の開口62を有する。ミラーアレイ22と接触するための接触素子63が、
図11及び
図12において更に強調されている。接触素子63も同様に、相互に向かい合って2列に配置される。代替的な配置も同様に考えられる。更に、担持体63内の信号低減用の接続線64を例として図示する。図は、複数の接触素子63がこのタイプの接続線64によって同じ信号線47に通じる、すなわち同じ信号線47に電気的に接続される様子を例として示す。信号線47、特に担持体43の接触素子63の実際の数は、
図11〜
図14に示すものよりも大幅に多くすることができる。担持体43の後側49の接触素子50の数は、特に10個〜200個の範囲、特に40個〜150個の範囲である。担持体43を通る信号線47の数は、特に、担持体43の後側49の接触素子50の数と少なくとも同じである。担持体43を通る信号線47の数は、特に10個〜300個の範囲、特に30個〜200個の範囲である。この数は、特に少なくとも50個、特に少なくとも100個である。ミラーアレイ22と接触するための接触素子63の数は、特に、信号線47の数と少なくとも同じである。原理上、複数の信号線47を個々の接触素子63に接続させることも可能である。この場合、接触素子63の数を信号線47の数よりも少なくすることもできる。接触素子63の数は、原理上は10個〜1,000個の範囲である。この数は、特に少なくとも50個、特に少なくとも100個である。
【0085】
図15は、ミラーアレイ22の後側48における接点を例として示す。この場合、その下に位置する4個のASIC52の位置を、説明の目的、例として破線で示す。本実施形態では、シールリング61がミラーアレイ22の基板30の金属化した後側48に組み込まれる。ASIC52の各々に対して、マトリックス状に配置されたフリップチップ接点53の群がミラーアレイ22の後側48に設けられる。更に、それぞれに4個の信号線47が例として図示されており、これらは、電力供給及び、ASIC52への入力信号、特にデジタル入力信号の供給に使用される。従って、信号線47は、特にASIC52を制御するための供給電圧リード及び/又はデータラインである。この場合、一群の信号線47を、複数のASIC52への供給のために使用することができる。従って、信号低減が生じる。フリップチップ接点53は、同様に信号線47をASIC52に接続するために設けられる。接点53及び信号線47の全てが、ミラーアレイ22の後側48で単一の金属層に構造化すなわち一体化され得る。ミラーアレイ22の後側48における金属化の多層実施形態も同様に原理上可能である。ASIC52の電圧及び信号供給と、ASIC52によるミラーアレイ22のアクチュエータの制御との例示的な詳細に関しては、国際公開第2010/049076A2号パンフレットを参照されたい。
【0086】
コンポーネント40は自立型の機能ユニットを形成する。
【0087】
光学アセンブリ65の細部及び詳細を、
図16〜
図24を参照して以下に説明する。アセンブリ65は、例えば投影露光装置1の照明光学ユニット4のファセットミラー13、14として使用することができる。原理上、アセンブリ65は、投影露光装置1の投影光学ユニット7の一部でもあり得る。
図16に非常に概略的に示すように、アセンブリ65は、ベースプレート59及び上述の複数の光学コンポーネント40、40aを備える。ベースプレート59は、光学コンポーネント40のための機械的支持要素を形成する。これは、ベースプレート59の材料の材料加工、特に金属加工の可能性の範囲内で自由に選択できるサイズ及び形態を有する。更に、ベースプレート59は、光学コンポーネント40の冷却に使用される。コンポーネント40、40aはベースプレート59上に配置される。これらは、より詳細に後述する固定デバイス66によってベースプレート59に固定される。コンポーネント40のモジュール構成により、原理上は任意の所望の数のコンポーネント40をベースプレート59に配置させることが可能である。コンポーネント40の数及び配置は、ベースプレート59の寸法によってのみ制限される。概して、アセンブリ65のコンポーネント40の数は、少なくとも1個、特に少なくとも5個、特に少なくとも16個、特に少なくとも64個、特に少なくとも256個である。コンポーネント40は、特に、実質的に隙間なくベースプレート59の所定の領域に寄せ木張りされるようベースプレート59上に配置される。コンポーネント40は、特にベースプレート59に密集して配置される。隣接するコンポーネント40は、ベースプレート59上で相互に距離dを置いて配置される。隣接して配置されるコンポーネント40間の距離dは、特に1mm以下、特に500μm以下、特に300μm以下、特に200μm以下、特に100μm以下、特に50μm以下である。2つの隣接して配置されたコンポーネント40間の距離dは、特に個々のコンポーネント40の横方向オーバーヘッドと最大でも同じ大きさである。従って、個々のコンポーネント40の垂直方向の集積により、実質的に任意の形状の、特に任意のサイズの全ミラー面をベースプレート59上のコンポーネント40の配置によって製造することが可能である。
【0088】
有利な一実施形態によれば、コンポーネント40は、ベースプレート59上に交換可能に、特に非破壊的に交換可能に配置される。その代替形態として、コンポーネント40をベースプレート59に接続固定させることが可能である。コンポーネント40は、例えば接着剤層(図示せず)によってベースプレート59に接続させることができる。特に、コンポーネント40とベースプレート59との間の熱伝導をそれにより更に改善することができる。
【0089】
コンポーネント40とベースプレート59との間の熱抵抗は、好適には1K/W未満である。ベースプレート59は、良好な熱伝導率を有する材料から構成される。ベースプレート59は、特に金属、例えば銅、アルミニウム、又は上記元素の化合物から構成される。ベースプレート59は、コンポーネント40に面した前側67に研磨面を有する。これにより、コンポーネント40とベースプレート59との間の機械的及び/又は熱的及び/又は電気的接触が改善される。特に、コンポーネント40からベースプレート59への伝熱抵抗を、表面の研磨の結果として低減することができる。
【0090】
アセンブリ65の、特に光学コンポーネント40の冷却を改善するために、アセンブリ65は冷却システム68を有する。冷却システム68は、冷却流体69を投入することができる1つ又は複数の冷却ライン70を備えることができる。各冷却ライン70は、供給ライン71、ベースプレート59に組み込んだ冷却セクション72、及び排出ライン74を含む。供給ライン71及び排出ライン73はいずれも、ベースプレート59における、光学コンポーネント40の反対側である後側74に配置される。特に、ガス又は液体が冷却流体69に適している。
【0091】
冷却システム68は、1つ又は複数の冷却ライン70を有することができる。冷却ライン70は、ベースプレート59の周囲に分配されるよう配置させることができる。冷却ライン70をベースプレート59の特定の周囲領域のみに、特にベースプレート59の一辺のみに配置させることも可能である。冷却セクション72は、
図21に示すように、ベースプレート59の縁部領域のみに配置させることができる。この場合、上記冷却セクションは特に蛇行状に具現化される。
【0092】
図22は、冷却システム68の代替的な実施形態を示す。本実施形態では、冷却ライン70、特に冷却セクション72は、ベースプレート59の範囲と平行に、すなわち特に表面法線41に対して垂直に延在するように配置される。冷却セクション72は、本実施形態においてもベースプレート59に組み込まれる。冷却ライン70の、特に冷却セクション72のこのような配置は、ベースプレート59における横方向温度勾配を低減、特に回避することを可能にする。
【0093】
図23は、冷却システム68の更に別の代替的又は付加的な実施形態を示す。本実施形態では、冷却ライン70が別個の冷却板75に配置される。冷却板75は、ベースプレート59から離れて配置される。これは特に、ベースプレート59から機械的に分離される。冷却板75は、特に、表面法線41の方向にベースプレート59に対してオフセットするよう配置させることができる。ベースプレート59から冷却板75への十分な熱流を確保するために、複数の熱伝導要素76が設けられる。熱伝導要素76は、高い熱伝導率を有する機械的に柔軟な要素である。例として、銅ケーブル、銅箔、又は熱伝導に特化した他の機械的に柔軟な要素がこれらに適している。特に有利な一実施形態では、熱伝導要素76をカプセル化した高配向グラファイト(HOPG)から製造することができる。
【0094】
原理上、冷却板75からのベースプレート59の機械的分離は、ベースプレート59と冷却板75との間に配置された付加的な機械的制動要素77によって更に改善することができる。冷却システム65の本実施形態では、ベースプレートへの、特にその上に配置されたコンポーネント40への、特にミラー素子23への冷却流体流れによって励起された振動の伝達を、少なくとも90%程度まで減らす、特に回避することができる。これにより、ミラー素子23の位置安定性、従ってアセンブリ65のコンポーネント40におけるミラーアレイ22の光学的品質が向上する。
【0095】
原理上、冷却板75の配置を、異なる様に、例えばベースプレート59に対して横方向にオフセットして配置することも可能である。更に、冷却板75は、電気信号線を通してベースプレート59に通じる導出開口(
図23には図示せず)を有し得る。
【0096】
従って、冷却システム68をベースプレート59に直接的又は間接的に連結することができる。冷却システム68は、特に、上記ベースプレートと一体的に又はベースプレートとは別個に具現化させて、熱伝導要素76によってベースプレートに接続させることができる。
【0097】
固定デバイス66をより詳細に説明する。固定デバイス66は、少なくとも1つの、特に複数の磁気手段を含む。従って、固定デバイス66は、磁気固定デバイス66とも称する。これは、特に複数の永久磁石79の配置を含む。永久磁石79は、そのN極及びS極が表面法線41の方向にそれぞれ相互に並んで配置されるよう配置される。ベースプレート59に配置される各コンポーネント40に対して、相互に逆の極性を有する2つの永久磁石79が表面法線41に対して垂直な方向に相互に並べて配置される。1つのコンポーネント40につき異なる数の永久磁石79も同様に可能である。特に、1つのコンポーネント40につき1個、4個、又は8個の永久磁石79を設けることが可能である。
【0098】
永久磁石79の配置は、コンポーネント40に加えられる永久磁石79の保持力が最適化されるよう選択される。
【0099】
固定デバイス66、特に永久磁石79は、ベースプレート59に組み込まれる。
【0100】
固定デバイス66は、強磁性体80を更に備える。付加的な強磁性体80も同様にベースプレート59に組み込まれる。これは、永久磁石79が発生させた磁束の増幅に使用される。
【0101】
固定デバイス66により、磁気保持力を光学コンポーネント40に、特にその強磁性体57に加えることができる。固定デバイス66の永久磁石79がコンポーネント40にそれぞれ加える保持力は、特に少なくとも10Nである。これは調節可能とすることができる。これは、例えば、固定デバイス66の永久磁石79とコンポーネント40の強磁性体57との間の距離を調節することによって達成することができる。
【0102】
永久磁石79と強磁性体57との間の距離は、最大で1cm、特に100μm〜1mmの範囲である。
【0103】
永久磁石79は、有利には、コンポーネント40の強磁性体との相互作用時に、ベースプレート59上のコンポーネント40の向きが自己位置合わせされるようにベースプレート59に配置され得る。
【0104】
有利な一実施形態(
図37を参照)では、固定デバイス66は付加的な電磁石81を有することができる。この場合、電磁石81は、好適には、永久磁石79における、コンポーネント40の反対側、特にベースプレート59の後側47に配置される。電磁石81は、特に、ベースプレート59の後側47に解除可能に配置させることができる。付加的な一時的磁場を電磁石によって発生させることができる。特に、永久磁石79が光学コンポーネント40に加える保持力の一時的な補償がそれにより可能である。従って、電磁石81により、特に取り付け/取り外しプロセスにおけるベースプレート59と光学コンポーネント40の1つとの間の機械的接続がいわゆるゼロ挿入力インターフェース(ZIF)を形成するように、固定デバイス66を具現化させることが可能である。
【0105】
更に、ベースプレート59は、光学コンポーネント40のインターフェース55との電気接触をもたらす手段を備える。これらはコンタクトピン82として具現化される。コンタクトピン82は、ベースプレート59の切欠部83に組み込まれる。コンタクトピン82は、列状に配置される。これらは特に、固定デバイス66における永久磁石79の2つの相互に反対の側にそれぞれ配置される(
図18を参照)。これらは、隣接するコンポーネントを固定するために使用される永久磁石79の間に、特に複列で配置される。コンタクトピン82の配置は、特に、光学コンポーネント40の後側49におけるインターフェース55の接触素子50の配置に厳密に対応する。コンタクトピン82は、各コンタクトピン72が、ベースプレート59上におけるコンポーネント40の配置時に、当該コンポーネントのインターフェース55の接触素子50と電気的接点を形成するよう配置される。コンタクトピン82と接触素子50との間の接触抵抗は、いずれの場合も特に100mΩ以下である。有利な一実施形態では、両側に開いた格子状のチャネル89がベースプレート59に配置される。チャネル89は、ベースプレート59の前側67からその後側74まで延在する。チャネル89は、特に固定デバイス66における2つの永久磁石79間にそれぞれ配置される。従って、チャネル89は、それぞれが光学コンポーネント40に対して中央にくるように配置される。コンポーネント40の取り外しを容易にするために、圧縮空気をチャネル89に投入することができる。
【0106】
コンタクトピン82と、コンポーネント40におけるインターフェース55の関連する接触素子50との間の電気接点の形成を容易にするために、コンタクトピン82はそれぞればね式に、すなわち、スプリングコンタクトピン、略してスプリングピンとして具現化される。これは、特に両側がばね式のものとして具現化され得る。コンタクトピン82は、群別に組み合わせて、特に、例えばセラミック、ガラス、又はテフロンから構成された電気絶縁基板84に鋳込むことができる。基板84は、全体としてベースプレート59に組み込むことができる。このタイプの実施形態は、ベースプレート59におけるコンタクトピン82の特に単純な配置を可能にし、従ってコンタクトピン82の製造方法を容易にする。
【0107】
ベースプレート59の後側74において、コンタクトピン82をそれぞれ回路板85と電気接触させる。回路板85は、特にセラミック又は金属材料から構成される。回路板85は、特にプリント回路板(PCB)であり得る。これは、ASIC52によって個々のミラー23を制御するための信号を取り込んで伝導するために使用される。特に、個々の光学コンポーネント40の較正データを、回路板85に施した付加的なマイクロチップ/ASICに記憶させることができる。アセンブリ65は、特に複数の回路板85を備える。回路板85は、ストリップ状の実施形態である。これらは、インターフェース55の接触素子50の配置に対応して、ベースプレート59の後側74に平行ストリップとして配置される。コンタクトピン82の複列にそれぞれ1つの回路板85を設けることが可能である。回路板85は、ベースプレート59に接続固定される。回路板85は、ベースプレート59に解除可能に接続させることができる。回路板85は、特にベースプレート59に螺着される。いずれの場合も、この目的には、1つの回路板85に対して複数の接続ねじ86が使用される。回路板85がベースプレート59に螺着されると、回路板85の接触領域87がコンタクトピン82と電気接触する。代替的な実施形態では、コンタクトピン82を回路板85に直接接続、特にはんだ付け又は溶接する。この場合、コンタクトピン82は、ベースプレート59の切欠部83に導入されることで、回路板85の螺着時、ベースプレート59に一体化される。
【0108】
コンタクトピン82は、ベースプレート59上のコンポーネント40の方向付けのための光学的及び/又は機械的補助部として使用される。このタイプの付加的な光学的及び機械的補助部88を、ベースプレート59の前面67に配置させることもできる。このタイプの補助部88を、
図16に非常に単純化して概略的に示す。補助部88は、特に、ベースプレート59にコンポーネント40を自動的に設けることを可能にする。これにより、アセンブリ65の製造が容易になる。機械的補助部88は、好適には、ベースプレート59上での光学コンポーネント40の受動的な自己位置合わせをもたらすよう具現化される。
【0109】
光学コンポーネント40を製造する方法を、
図35を参照して以下に説明する。本方法を説明するために、この場合に得られる中間製品を
図26〜
図34に概略的に示す。
【0110】
第1に、予備工程123においてミラーアレイ22を事前加工する。予備工程は、提供ステップ、研磨ステップ、及びコーティングステップを含み得る。これらの事前加工ステップの詳細に関しては、国際公開第2010/049076A2号パンフレット、特に
図17及び関連の説明を参照されたい。
【0111】
接合ステップ90において、事前加工したミラーアレイ22及び担持基板92を備えたミラーアレイウエハスタック91を製造する。担持基板92は、「ミラーハンドルウエハ」とも称する。これは第1に、ミラーアレイ22のミラー素子23を保護するために使用し、第2に、ミラーアレイウエハスタック91の機械的安定性に決定的に寄与する。担持基板92は、1つ又は特に複数の事前加工したミラーアレイ22に接続させることができる。担持基板92はすでに、事前加工したミラーアレイ22の一部でもあり得る。特に、担持基板92はすでに、国際公開第2010/049076A2号パンフレットに記載の極めて滑らかな表面を有するマイクロミラーを製造する方法の一部であり得る。
【0112】
連結ステップ93において、ASIC52を次にミラーアレイ22の後側48に結合する。これは、フリップチップ法で行うことができる。このようにして製造した中間製品を、
図27に概略的に示す。
【0113】
提供ステップ94は、担持構造43を製造するための基板95を設けるステップを含む。基板95はウエハ、特にシリコンウエハ、特にいわゆるシリコン貫通ビア(TSV)ウエハである。ウエハはすでに、特に信号線47用のめっき貫通孔96を有する。上記基板には、接触素子50を予め設けておくこともできる。
【0114】
塗布ステップ97は、強磁性金属箔57をTSVウエハ95に塗布するステップを含む。この場合、金属箔57はすでに予め構造化されている(prestructured)。これは予め、特にインターフェース55への、特に接触素子50へのアクセス用の開口62を設ける。適切な場合、別個の構造化ステップをこの目的のために設ける。金属箔57は、特にTSVウエハ95の後側49に結合させる。その代替形態として、TSVウエハ95の後側49への強磁性金属層の電着が可能である。
【0115】
エッチングステップ98において、TSVウエハ95に切欠部44を設ける。
図30に示す中間製品の場合、切欠部44をTSVウエハ95における、金属箔57の反対側に配置する。
【0116】
例として、シリコンディープエッチング法をエッチングステップ98のために行う。原理上、切欠部44は、何らかの他の方法で、例えば機械的方法によってTSVウエハ95に導入することもできる。
【0117】
複数のコンポーネント40を並行して製造するために、複数の切欠部44をTSVウエハ95に導入することができる。切欠部44は、特に同時に、単一の方法ステップでTSVウエハ95に導入することができる。
【0118】
上述のように、金属箔57の異なる配置を有する様々な実施形態が可能である。切欠部44内に金属箔57を配置させる場合、エッチングステップ98は、当然ながら塗布ステップ97の前に行う。
【0119】
塗布ステップ97及びエッチングステップ98は、共にTSVウエハ95の前処理ステップ105を形成する。TSVウエハ95は、担持体43をその後形成する。
【0120】
接続ステップ99において、切欠部44の設けられたTSVウエハ95をミラーアレイウエハスタック91に接続させる。TSVウエハ95は、特に、ミラーアレイウエハスタック91の後側に結合される。これにより、TSVウエハ95のめっき貫通孔96とそれに対応するミラーアレイ22の基板30の後側48における関連するフリップチップ接点53との間の電気接点の形成が得られる。
【0121】
鋸引きステップ100において、ウエハ95及びミラーアレイウエハスタック91を表面法線41の方向に鋸引きする。この場合、鋸引き切断部をコンポーネント40の外形寸法に対応して配置する。鋸引きステップ100中、TSVウエハ95及びミラーアレイ22の基板30を完全に分断する。鋸引きステップ100の切断深さは、ミラーアレイウエハスタック91の最上層を形成する担持基板93の分断が部分的なものにすぎず、特に無傷のままであるよう選択する。従って、鋸引きステップ100の後、その後のコンポーネント40は担持基板92のみによって繋ぎ合わせる。
【0122】
後続の個片化ステップ101において、担持基板92をコンポーネント40の個片化の目的で取り除く。好適には、この目的をエッチング法で行う。担持基板92の除去後、保護層102が依然としてミラーアレイ22上に位置する。保護層102は、例えば酸化ケイ素から構成される。
【0123】
更なるエッチングステップ103において、保護層102を除去する。特に、フッ酸ガスによるエッチングをこの目的で行う。エッチングステップ103は、特に、ミラー素子23の反射面36の再酸化を防止するために非酸化性雰囲気中で行うことができる。保護層102の除去まで、ミラー素子23は保護層102により保護される。従って、ミラー素子23は、特に連結ステップ93中、保護層12及び担持基板92により保護される。ASIC52の連結及びミラーアレイウエハスタック91へのTSVウエハ95の接続は、特に個片化ステップ101前に行われる。
【0124】
続いて、ミラー素子23に、特にその反射面36にコーティングを設けるために、コーティングステップ104を行うことができる。コーティングは、特にEUV反射コーティングであり得る。特に多層コーティングが含まれ得る。
【0125】
コンポーネント40を製造する上記方法の1つの本質的な利点は、コンポーネント40の製造がバッチプロセス、すなわちウエハレベルで連続的に行われることである。チップレベルで実行されるプロセスステップを回避することができる。本方法は、結果として大幅に単純化される。コンポーネント40の製造費をそれにより削減することができる。
【0126】
光学コンポーネント40を取り扱う、特に変位させるツール106を、
図36を参照して以下に説明する。ツール106はベース体107を備える。ベース体107は、光学コンポーネント40の寸法に適合させた寸法を有する。複数の電磁石108、109をベース体107に配置し、電磁石の2つをそれぞれ例として
図36に示す。概して、ツール106は少なくとも1つの電磁石108を備える。電磁石108は個別に駆動させることができる。このため、ツール106は制御デバイス110を有する。電磁石109も、制御デバイス110により個別に駆動させることができる。コンポーネント40を保持する磁気保持力を、電磁石108によって発生させることができる。保持力は、制御デバイス110によって柔軟に制御することができる。電磁石109は、ベースプレート59において固定デバイス66がコンポーネント40に加える保持力を補償するために使用される。上記保持力は、特に、コンポーネント40とベースプレート59との間の距離に応じて変化する。制御デバイス110によって電磁石109が発生させた磁力を制御することにより、固定デバイス66がコンポーネント40に加える力の補償を非常に厳密に行うことができる。
【0127】
原理上、コンポーネント40をツール106によって所定の保持力で保持することができれば十分である。この目的で、電磁石108が発生させる磁力を適切に制御する必要があるにすぎない。原理上、磁石109を不要にすることができる。
【0128】
コンポーネント40に作用する保持力、特にコンポーネント40とツール106との間の印加圧力を測定するために、ツール106は感圧センサ111のアレイを有する。感圧センサ111は、制御デバイス110に信号接続される。感圧センサ111は、特に、スペーサ要素112とベース体107との間にそれぞれ配置される。スペーサ要素112は、ミラーアレイ22の基板30の縁部領域42に従って具現化される。スペーサ要素112は、特に、縁部領域42の幅bよりも小さな幅b
sを有する。スペーサ要素112により、光学コンポーネント40とツール106との間の接触が縁部領域42のみで生じてミラー素子23の領域では生じないことが確実になり得る。
【0129】
原理上、感圧センサ111をスペーサ要素112に組み込むことができる。
【0130】
光学的な、特に透過性の構造113をスペーサ要素112に導入し、この構造は、ツール106を光学コンポーネント40に対して正確な向きにすることを可能にする。コンポーネント40に対するツール106の向きを監視及び/又は制御するために、光学センサ114、例えば小型カメラが更に設けられる。光学センサ114はベース体107に組み込むことができる。光学センサ114は、特に配向要素58と相互作用するよう配向要素58に適合させることができる。
【0131】
更に、ツール106と光学コンポーネント40との間の距離を測定するための中央距離センサ115が設けられる。距離センサ115は、コンポーネント40に面するベース体107の前面116の特に中心に、すなわち中央に配置される。原理上、複数の、特に少なくとも4個の距離センサ115を設けることもできる。距離センサ115は、制御デバイス110に信号接続される。
【0132】
更に、ベースプレート59に対するツール106の、特にツール106が保持する光学コンポーネント40の距離及び/又は向きを測定するために、距離センサ117が設けられる。距離センサ117は、制御デバイス110に信号接続される。ツール106は、好適には、少なくとも3個、特に少なくとも4個の距離センサ117を有する。
【0133】
更に、ベースプレート59に対するツール106又はツール106が保持するコンポーネント40の向きを監視及び/又は制御するために、1つ又は複数の光学基準118をベース体107に横方向に設けることができる。
【0134】
光学コンポーネント40の特に有利な取り扱いのために、上述の機能的構成部品を有するベース体107を、配置システム、特にピックアンドプレースロボット119に接続させる。ツール106を用いて、ベースプレート59に光学コンポーネント40を自動的に、特に全自動で設けることが可能である。
【0135】
光学アセンブリ65を製造する方法の態様を、
図37及び
図38を参照して以下に説明する。提供ステップ120は、ベースプレート59に固定デバイス66を設けるステップを含む。原理上、コンポーネント40をベースプレート59に配置するために、ベースプレート59の後側74に配置された1つ又は複数の電磁石81によって、固定デバイス66の永久磁石79が発生させる磁場を補償、特に中和することが可能である。永久磁石79が発生させた磁場の磁石81による部分的補償も可能である。この場合、電磁石81をアセンブリ65の、特にベースプレート59の一部として設けることができ、ベースプレート59に接続固定する、又は解除可能に接続することができる。その代替形態として、電磁石81を別個の補助ツールの一部とすることもできる。原理上、電磁石81の代わりに永久磁石を設けることもできる。
【0136】
磁石79が発生させた磁場の磁石81による少なくとも部分的な補償は、任意の補償ステップ121として指定される。
【0137】
1つ又は複数の配置ステップ122において、コンポーネント40はベースプレート59に配置される。これは、特にツール106を用いて行われる。本発明によれば、コンポーネント40をベースプレート59に配置する目的で、固定デバイス66の永久磁石79がそれぞれ配置されるコンポーネント40に加える磁場が付加的な磁場によって補償されるようにする。付加的な磁場は、磁石81によって、及び/又はツール106上でコンポーネント40を保持するための電磁石108によって、及び/又は特に電磁石109によって加えることができる。補償は特に、配置されるコンポーネント40に作用する力のみが補償される一方で、適切な場合はベースプレート59にすでに配置されているコンポーネントがそれによる影響を受けないように行われる。これは、磁石81及び/又は108及び/又は特に109の適切な配置及び/又は駆動の結果として可能である。永久磁石79がコンポーネント40に加える保持力の補償の結果として、ベースプレート59は、配置されるコンポーネント40に対するゼロ挿入力インターフェース(ZIF)を形成する。これにより、ベースプレート59上でのコンポーネント40の特に柔軟で静かな、特に無振動の配置が可能となる。特に、コンポーネント40は、ベースプレート59への接近時に突然弾け飛ぶ(snap away)ことができないようになる。
【0138】
取り扱いの目的、特にベースプレート59における配置の目的、又はベースプレート59からの取り外しの目的で、コンポーネント40において、ツール106はミラーアレイ22の基板30の縁部領域42のみに接触する。特に、横方向の接触を省くことができる。この場合、ツール106がコンポーネント40に加える保持力、特に印加圧力が、センサ111を用いて測定される。保持力は、特に制御デバイス110によって制御、特に自動制御され得る。
【0139】
ベースプレート59へのコンポーネント40の接近、特に相互に平行なその向きは、距離センサ117によって監視される。
【0140】
ベースプレート59に対するコンポーネント40の向きは、光学基準118によって監視される。
【0141】
圧力センサ111及び/又は距離センサ117は、コンポーネント40がベースプレート59に接触しているか否かを示す。
【0142】
コンポーネント40がベースプレート59上のその所定の位置に達した場合、永久磁石79がコンポーネント40に加えることができる保持力の補償をゼロに減らすことができる。補償は、好ましくは徐々に、特に連続的に低減される。
【0143】
コンポーネント40を取り外すために、永久磁石79が上記コンポーネント40に加える保持力を、磁石81によって、及び/又は特にツール106の電磁石108、109によって更に補償することができる。コンポーネント40の取り外しは、対応のチャネル89に圧縮空気を投入することによって更に支持することができる。
【0144】
ミラーアレイ22のミラー素子23の変位、すなわち位置決めの更なる詳細を以下に説明する。アクチュエータピン38は電極54と共に、個々のミラー素子23を位置決めするためのアクチュエータ131を形成する。
【0145】
図39に概略的に示す様に、本発明は、ミラーアレイ22のミラー素子23を位置決めするための2つの異なる位置決めシステム132及び133、すなわち、ミラー素子23をそれぞれ位置決めするための絶対位置データを予め定めるための全体位置決めシステム132と、ミラー素子23の位置決めの瞬間的な外乱を抑制する、特にその高周波数振動を減衰させるローカル位置決めシステム133とを提供する。
【0146】
全体位置決めシステム132はグローバル制御/調整デバイス134を備える。個々のミラー素子23の絶対位置はグローバル制御/調整デバイス134を用いて予め定めることができる、グローバル制御/調整デバイス134は、光学コンポーネント40、40aの外部に配置させることができる。全体位置決めシステム132は更に、好適には、ミラー素子23の絶対位置を監視するグローバルセンサデバイス135を備える。グローバルセンサデバイス135は位相測定デフレクトメトリ(phase-measuring deflectometry)のためのカメラシステムを有することができる。詳細に関しては、国際公開第2010/094658A1号パンフレットを参照されたい。
【0147】
グローバル制御/調整デバイス134は、ミラー素子23の変位のための補正値を決定するためのルックアップテーブルを有することができる。ミラー素子23の変位、特にミラー素子23の変位を制御する方法の詳細に関しては、米国出願公開特許第2011/0188017号の特に段落[0067]〜[0111]を参照されたい。
【0148】
図40に概略的に示す様に、アクチュエータ131は、コンポーネント40、40a内の信号線47を介して、信号送信のため、グローバル制御/調整デバイス134に接続される。コンポーネント40、40aは、特にグローバル制御/調整デバイス134への接続のためにインターフェース55を備える。
【0149】
グローバル位置決めシステム132をローカル位置決めシステム133から分離するために、低帯域幅、特に20Hz以下の帯域幅、特に10Hz以下の帯域幅のグローバル位置決めシステム132、特にグローバル制御/調整デバイス134及び/又はグローバルセンサデバイス135を具現化することが可能であり、これで十分である。原理上、グローバル位置決めシステム132はまた、純粋な駆動素子として具現化することもできる。この場合、グローバル位置決めシステム132の再較正を定期的に行うよう、規定される。
【0150】
ローカル位置決めシステム133は、ミラー素子23の位置決めを調整するための複数のローカル調整デバイス136を備える。ローカル調整デバイス136はそれぞれ、コンポーネント40、40aに完全に組み込まれる。特にミラー素子23はそれぞれ調整デバイス136の内の1つに割り当てられる。調整デバイス136はそれぞれ、特に、関連するミラー素子23の平行投影によって画定される容積内に完全に配置される。これらはそれぞれ少なくとも1つの、特に少なくとも2つ、特に少なくとも3つ又はそれ以上の電子回路137を有する。調整デバイス136は特に少なくとも1つ、特に少なくとも2つ、特に少なくとも3つ、特に少なくとも4つの制御ループを備える。制御ループはそれぞれ少なくとも1つのアクチュエータ、1つのセンサ及び1つのコントローラを備える。これらはそれぞれミラー素子23に接続されて調整される。制御ループの内の1つの回路137の内の1つの可能な一実施形態を例として
図46に示す。これは3つの、特に直列接続された、演算増幅器138、139、140を備える。演算増幅器140の出力側は差動増幅器147の入力側に接続される。差動増幅器147は、演算増幅器138、139、140によって増幅された駆動信号148及びフィードバック信号149を加える。出力側において、差動増幅器147は出力ドライバ段150に接続される。出力ドライバ段150は、特に、高電圧出力ドライバ段である。出力ドライバ段150は信号線47を介して電極54の内の少なくとも1つに接続される。
【0151】
電子回路137は担持体43に配置される。これらは特にASIC52上に具現化される。
【0152】
ローカル調整デバイス136はそれぞれ振動を能動的に減衰する能動減衰デバイスである。この場合、特に、ミラー素子23の変位速度はフィードバック信号として使用される。この速度はセンサ、特にコンポーネント40に組み込まれた、以下に詳述する速度センサ151によって読み出される。原理上、位置センサを速度センサとして設けることもできる。速度信号はそのデータから簡単に得ることができる。
【0153】
減衰デバイスは、少なくとも1Hz、特に少なくとも10Hz,特に少なくとも100Hzの下限周波数を有することができる。減衰デバイスは、好適には、少なくとも500Hz,特に少なくとも1kHz、特に少なくとも2kHz、特に少なくとも5kHz、特に少なくとも10kHzの帯域幅を有する。この場合、減衰デバイスの帯域幅は、このデバイスが能動的な周波数範囲であると理解されたい。
【0154】
一般に、ミラー素子23の減衰及び位置決めを行う減衰デバイスは、励起及び/又は外乱の予想される全周波数範囲が減衰デバイスによってカバーされるように設計される。外乱が特定の周波数範囲において発生し得ない場合、その範囲での振動減衰は、原理上行わなくてもよい。
【0155】
グローバル位置決めシステム132又はその構成要素134、135及びローカル位置決めシステム133又はその構成要素136の周波数範囲又は帯域幅を、ミラー素子23の典型的な外乱の周波数範囲と共に
図41に示す。典型的な外乱には、光学コンポーネント40の寿命全体にわたって発生する低周波数効果、特に変化152と、ミラー素子23の静電帯電によって発生する効果153、及び熱要素154がある。外乱は更に、いわゆる基準点の励起、例えば冷却、特に水冷却の効果156によって特に励起される、ミラー素子23における固有振動の共鳴のピーク155を含む。
【0156】
本発明は、その比率が最大で1:10、特に最大で1:30、特に最大で1:50の帯域幅を有するグローバル位置決めシステム132及びローカル位置決めシステム133を提供する。グローバル位置決めシステム132の帯域幅を低減することにより、その複雑さ、特に関連するデータフローを著しく削減することができる。
【0157】
グローバル位置決めシステム132、特にグローバル制御/調整デバイス134は、それに信号接続されるコンポーネント40と共にミラー系157を形成する。ミラー系157は、コンポーネント40、41aの内の少なくとも1つを備える。
【0158】
ミラーアレイ22におけるミラー素子23の位置決めのために、ミラー素子23それぞれの位置決めのための絶対位置データがグローバル制御/調整デバイス134によって予め定められる。ミラー素子23の位置決めにおける外乱はローカル調整デバイス136によって減衰される。高帯域幅を有するミラー素子23の絶対位置の測定は、このようにして回避することができる。ローカル位置決めシステム133は高帯域幅で動作するが、ミラー素子23の絶対位置を検出する必要はない。対照的に、ミラー素子の絶対位置は、グローバル位置決めシステム132により、しかも低帯域幅によってのみ検出される。全体として、ミラー素子の位置決め又はミラー素子の評価のためのデータ転送速度は、これによって大幅に低減される。
【0159】
ローカル位置決めシステム133はコンポーネント40,40aに完全に組み込むことが可能であるが、グローバル位置決めシステム132はコンポーネント40,40aとは別に具現化させ、インターフェース55を介して信号送信できるようにコンポーネント40,40aに接続させることができる。
【0160】
ローカル位置決めシステム133、特に速度センサ151を有するローカル調整デバイス136の構造を、以下に詳しく説明する。調整デバイス136はそれぞれ、少なくとも1つの速度センサ151を有する、少なくとも1つの、特に少なくとも2つの、特に少なくとも3つの、特に少なくとも4つの制御ループを備える。速度センサは、担持体43に固定的に配置された少なくとも1つの可動電極と少なくとも1つの電極158とを有する静電容量センサとして具現化される。特に3つの速度センサ151を各ミラー素子23に設けることができる。速度センサ151は、特に関連するミラー素子23の変位の各自由度のそれぞれに関して、担持体43に固定的に配置された少なくとも1つの電極158を有する。好適には、いずれの場合においても、変位自由度につき、少なくとも2つの固定電極158を有する。これらは特に差動的に相互接続される。特に、速度センサ151の電極158がアクチュエータの電極54に対応して配置されていれば有利である。この場合、駆動電極54につき1つの固定的に配置された電極158、有利には、駆動電極54につき2つの電極158を設けることが可能である。差動的な相互接続は再び有利である。専用のセンサ151を対応するアクチュエータに割り当てることも有利である。アクチュエータピン38は特に可動電極として使用される。一般的に、特定のミラー素子23に関連する速度センサ151の可動電極は、ミラー素子23に機械的かつ固定的に接続される。アクチュエータピン38は、特に関連するミラー素子23から絶縁される、すなわち電気的に遮断される。これはスペーサ37及び/又は内側保持体35の対応する実施形態によって達成することができる。更に、ミラー素子23とアクチュエータピン38との間に特定の絶縁素子161を配置することが可能である。特に製造の簡単な代替的実施形態においては、アクチュエータピン38の関連ミラー素子23からの絶縁を省くことができる。
【0161】
可動電極としてアクチュエータピン38を使用する場合、可動電極は円筒状に構成される。アクチュエータピン38は特に円形の断面を有する。原理上、アクチュエータピン38のその他の断面形状も可能である。アクチュエータピンは、例えば、楕円形又は多角形、特に、長方形の、好適には正方形の断面を有する。三角形又は十字状の断面も有利である。この場合、円筒形の外面又は円筒形の1つ又は複数の部分領域は、ミラー素子23を駆動するための、1つ又は複数の対電極として使用される。この場合、可動電極は中央電極とも称される。これに関する詳細と、アクチュエータピン38及び電極54によるミラー素子23の駆動に関する詳細とに関しては、国際公開第2010/049076A2号パンフレットを参照されたい。
【0162】
固定電極158は測定電極とも称する。これらは平面的な形状に具現化される。固定電極158は特にASIC52の金属層159、特に最上金属層159に組み込まれる。固定電極158はそれぞれ、アクチュエータピン38の延長上に、アクチュエータピン38から離れて配置される。
【0163】
速度センサ151は可動電極、すなわちアクチュエータピン38の基面160とリジッド測定電極又は電極158との間の静電容量を測定する。
【0164】
速度センサ151の基本的な機能を、
図43a〜45bを参照して以下に説明する。この場合、
図43a及び43bは、以下において開始位置と称するミラー素子23の位置を示し、この位置においてミラー素子は傾斜していない。この位置において、ミラー体32及と、平坦に具現化された場合の反射面36とは、ASIC52及び担持体43の向きに並行している。この位置において、ミラー素子23は、特にミラー体32と、特にその反射面36とがミラーアレイ22の表面法線41に垂直となる様に配向される。傾斜軸162の位置から測定した基面160に対するアクチュエータピン38の長さを長さ1とし、ミラー素子23が傾斜軸162を中心に±α傾斜する場合、可動電極、すなわちアクチュエータピン38の、ASIC52上の固定電極に対する位置の変化がある。ミラー素子23の角度±αの傾斜は、特に第1次近似で、リジッド測定電極158に対する基面160の絶対値±αの横方向におけるズレとなる。これは、基面160、すなわち可動電極と、固定電極158との間の有効重なり領域の変化となる。これを
図43b、44b及び45bに例として示す。このような重なりの変化は、静電容量の変化として測定することができる。従って、可動電極38の固定電極158に対する横ズレは第1次近似で測定される。ミラー素子23の傾斜がアクチュエータピン38と測定電極158との間の距離の変化も生じさせることは言うまでもない。これは静電容量の変化ももたらし、結果としてセンサ151によって測定することのできる信号に影響を与える。本発明によれば、このことを、センサ151の形状特徴が固定電極158の設計によって予め簡単に定められるという効果に利用することが可能であることが認識されている。
【0165】
センサ151の形状特徴は、アクチュエータピン38の、可動電極として機能する基面160のターゲットデザイン(targeted design)にも影響され得る。アクチュエータピン38の基面160は、例えば、断面形状で具現化させることができ、この場合、周縁はそれぞれ傾斜方向、特にミラー素子23の変位の自由度に正確に従って配向される。
【0166】
本発明では、固定的に配置された少なくとも1つの電極158のそれぞれが、センサ151が所定の形状特徴を持つように具現化された所定の形状を有するようにする。センサ151の形状特徴は、特に、固定電極158のターゲットデザインによって直線化することができる、すなわち、速度センサ151は直線的な形状特徴を有することができる。これに対する代替実施形態として、センサ151の形状特徴を、個々のミラー素子23を変位させるために、アクチュエータ131の形状特徴に適合させると有利である。これは、アクチュエータの形状特徴がミラー素子23の傾斜角度αによって異なる場合には、特に有利である。センサ151の形状特徴がアクチュエータ131の形状特徴に比例する固定電極158の実施形態により、フィードバック電子装置、特に回路137において必要とされる複雑さを著しく削減することが可能となる。
【0167】
ミラー素子23の傾斜方向につき2つ以上の固定電極158を使用する場合、好適には、全ての固定電極158は対応する形状で具現化する。
【0168】
ASIC52における最上金属層159内の固定電極158の実施形態のおかげで、その形状に大きな柔軟性を持たせることができる。コンポーネント40、40aの製造中、特にリソグラフィステップを固定電極158形成のために設ける。固定電極158はASIC52の製造中又はその製造後に製造することができる。従って、好適には、電極158の製造に追加のステップは必要ない。エンジニアリングの方法に関しても、速度センサ151は、従って、一体化センサである、つまり、速度センサ151を製造する方法のステップは、ASIC52を製造する方法のステップに完全に統合させることができる。
【0169】
固定電極158をASIC52の最上金属層159に配置させることにより、例えば基板30のめっき貫通孔の場合、寄生静電容量の発生が防止される。更に、これによって信号経路が最小化され、干渉信号の結合も低減される。これにより、特に高い分解能と制御品質がもたらされる。
【0170】
固定電極158の下に位置する付加的なブートストラップ電極(図示せず)により、その固定電極158との適切な相互接続によって、常に存在する寄生静電容量が更に最小化される。
【0171】
センサ151によって実行される測定の態様を以下に説明する。すでに説明した様に、ミラー素子23の傾斜軸162を中心とする傾斜は、可動電極の固定電極158に対するずれをもたらす。第1次近似で、可動電極の基面160と固定電極158との間の静電容量C
Sensは重なり領域Aに比例する。これは、
図43b、
図44b及び
図45bに例として示されており、それぞれ固定電極158は左に示されている。固定電極158は、結果として生じる重なり領域Aが、可動電極の基面160における位置の所定の関数、よって個々の傾斜軸162に対するその偏向/傾斜角度αの関数となるように具現化され、配置される。固定電極158の形状はそれぞれ特に、重なり領域Aの変化が傾斜角度αの変化に比例するように構成することができる。従って、測定可能な静電容量C
Sensはミラー素子23の傾斜角度αに比例する。
【0172】
好適には、固定電極158はこの場合、各固定電極が、ミラー素子23の傾斜方向、特に変位の1つの自由度に対する変位に反応し、他の傾斜方向の変位に関してできる限り無反応であるように具現化される。固定電極158は特に、ミラー素子の傾斜を駆動するために、電極54に対応するように配置される。変位の自由度の異なる電極158間における交差結合のこのような回避により、フィードバック電子装置及び調整電子装置が更に簡素化される。換言すれば、センサ151の各電極158を特定の駆動方向、特に特定の変位の自由度に割り当てる。各電極158は他の変位方向に対して最小限の感度を有する。変位方向につき少なくとも2つの固定電極158が設けられる場合、これは固定電極158の差動相互接続によって更に改善することができる。固定電極158の差動相互接続により、ミラー素子23の傾斜に直接関連する影響、例えば、ミラー素子23の昇降移動による、静電容量測定への影響を取り除くことが可能になる。
【0173】
ミラー素子23の特定の変位方向と関連する固定電極158を、対応するアクチュエータ131の電極54へ相互接続させる方法は柔軟性がある。特に、センサ151の電極158を同じ側のアクチュエータ131の電極54へ相互接続することが可能である。電極158は、フィードバックループにおけるサインの変更のみを必要とする、鏡反転式で相互接続することもできる。
【0174】
更に、特に励起振動抑制のためのミラー素子23の能動的減衰は、その速度、すなわち、コントローラ入力のためのミラー素子23の傾斜角度αの時間微分のみを必要とすることが認識された。絶対静電容量値の検出は必要ない。これにより、特に、センサ151の必要とされる複雑さが低減せれる。これにより、必要空間が著しく削減される。
【0175】
本発明によれば、可動電極を一定電圧U
biasに維持することができる。傾斜軸162を中心としたミラー素子23の傾斜は、固定電極158から又は固定電極158への下記による電荷移動を導く。
【数1】
電荷移動は、原理上、抵抗R
Sensを介在させた後、測定電圧として測定することができる。
【数2】
【0176】
対応する基本回路図を
図47に示す。この場合、測定電圧U
Sensは、好適には、ミラー素子23の傾斜角度αの時間微分、すなわち、ミラー素子23の速度(角速度)に比例する。この測定信号は、増幅後、適切であれば、電圧制御アクチュエータ131にフィードバックすることができる。
【0177】
センサ151及びアクチュエータ131の実装、つまりフィードバックは、好適には、
図46に例として示す演算増幅器を有する制御ループによって実現される。この場合、電流dQ/dtは演算増幅器回路によって増幅され、電圧信号U
Sensに変換される。この電圧信号は、制御されるシステムへの入力信号として機能し、アクチュエータ131の対応する駆動電極54にフィードバックされる。コンポーネント40bの代替的実施形態を、
図48を参照して以下に説明する。同じ部分には上述の実施形態と同じ参照符号を付し、その説明をここで参照する。本実施形態において、中間層163(インターポーザ)がミラーアレイ22とASIC52との間に配置される。特に、めっき貫通孔164を有するシリコンウエハ(スルーシリコンビアウエハ)は、中間層163として機能する。この例示的実施形態において、固定電極158は中間層163に配置される。固定電極158はめっき貫通孔164を介してASIC52に導電的に接続される。特にフリップチップ接点165をこのために設けることができる。
【0178】
固定電極158と隣接させて、シールド電極166をそれぞれ中間層163に配置することができる。このようなシールド電極166は上述の例示的実施形態にも設けることができる。
【0179】
コンポーネント40cの更なる実施形態を
図49に示す。同じ部分には上述の実施形態の様に、同じ参照符号を付し、その説明をここで参照する。この例示的実施形態において、固定電極158はミラー素子23に面した基板30の側面に配置される。従ってそれらはミラー素子23のミラー体32の真下に配置される。この例示的実施形態において、ミラー体32は速度センサ151の可動電極を形成する。この例示的実施形態において、固定電極158は、基板30を通るめっきスルーホール167により、フリップチップ接点168を介してASIC52に接続される。
【0180】
上述の集光器の変形例の内の1つを有する投影露光装置1を使用する場合、レチクル24及び照明光10に反応するコーティングを有するウエハが設けられる。その後、レチクル24の少なくとも1つの部分が、投影露光装置1を用いてウエハ上に投影される。レチクル24のウエハへの投影中、レチクルホルダ及び/又はウエハホルダは、物体面6及び/又は像面9に平行な方向に変位させることができる。レチクル24及びウエハの変位は、好適には、相互に同期して実現することができる。最後に、照明光10に曝される感光層がウエハ上に現像される。微細構造又はナノ構造のコンポーネント、特に半導体チップはこの様にして製造される。