(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
セメント、シリカヒューム、細骨材、粗骨材及び高性能減水剤を含み且つ膨張材を含まない、水/結合材比が15質量%を超えて25質量%以下のコンクリートの圧縮強度の90%以上の圧縮強度を同一材齢で有する、前記結合材の一部を膨張材で置換含有させた又は膨張材を添加配合したコンクリートを60〜80℃で5日間以上の加熱促進養生を実施して製造するにあたり、
結合材の0.8〜4.7質量%を膨張材で置換含有させる又は結合材の0.8〜4.7質量%の量の膨張材を添加配合し、
更にコンクリート打設後24時間以上経過後に、前記加熱促進養生を行うことを特徴とする、高強度コンクリートの製造方法。
セメント、シリカヒューム、細骨材、粗骨材及び高性能減水剤を含み且つ膨張材を含まない、水/結合材比が15質量%を超えて25質量%以下のコンクリートの圧縮強度の90%以上の圧縮強度を同一材齢で有する、前記結合材の一部を膨張材で置換含有させた又は添加配合したコンクリートを80℃を超えて90℃以下で5日間以上の加熱養生を実施して製造するにあたり、
結合材の0.8〜4.7質量%を膨張材で置換含有させるか又は結合材の0.8〜4.7質量%の量の膨張材を添加配合し、
コンクリート打設後48時間以上経過後に、前記加熱促進養生を行うことを特徴とする、高強度コンクリートの製造方法。
【背景技術】
【0002】
コンクリート建築物は高層化してきており、これに伴い、高強度コンクリートが多用されるようになっている。
一般に、高強度コンクリートは、水結合材比が25質量%程度以下と小さくして配合設計されるため、結合材の単位量が多くなり、したがって自己収縮ひずみが大きくなり、コンクリートの収縮ひび割れは発生しやすくなる。
【0003】
かかるコンクリートの自己収縮ひずみを補償して、収縮ひずみを抑制し、更に作業性を良好にするために、膨張材と凝結遅延剤と併用する高強度コンクリートが、特許第4691381号公報(特許文献1)に開示されている。具体的には、低熱ポルトランドセメント、膨張材、凝結遅延剤を含有し、膨張材は高強度コンクリート1m
3に対して15kg〜40kg、凝結遅延剤は結合材100質量部に対し0.1〜0.3質量部含有することを特徴とする、高強度コンクリートが記載されている。
【0004】
一方、高強度コンクリートの流動性や強度発現性を改善するために、シリカヒューム、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ等の混和材料が用いられるが、常温域において高強度が得られるまで少なくとも2か月以上を必要とするのが通常である。
【0005】
そこで、かかる期間を短縮するための加熱促進養生がなされることがあり、特開2012−1427号公報(特許文献2)には、1m
3当たり260〜310Lの範囲内で添加された低熱セメントと、1m
3当たり120〜170Lの範囲内で添加されたフライアッシュまたは珪石粉と、1m
3当たり70〜100Lの範囲内で添加されたシリカフュームと、1m
3当たり150〜250Lの範囲内で添加された細骨材と、1m
3当たり90〜120Lの範囲内で添加された粗骨材と、前記低熱セメントと前記フライアッシュまたは珪石粉と前記シリカフュームとを含む結合材に対する重量比が11〜13%となるように添加された水とを混合してなるコンクリート混合体と、前記コンクリート混合体に対して外割りの容積比で0.5〜2%となるように添加された鋼繊維および外割りの容積比で0.1%〜0.6%添加されたポリプロピレン繊維とが含まれる高強度コンクリートを打設する工程、前記高強度コンクリートを常温よりも高い温度で養生する第一養生工程と、第一養生工程後に乾燥加熱養生を行う第二養生工程とを含む、高強度コンクリート部材の製造方法が開示されている。
【0006】
しかし、上記特許文献1では凝結遅延剤を使用するために、高強度コンクリートの凝結・硬化が遅れ、早期に所望の強度が得られないという問題点がある。
また、上記特許文献2では2段階の高温養生を必要とし、作業および品質管理に手間がかかるという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、膨張材を含まない高強度コンクリートの収縮ひずみを抑制するために、前記高強度コンクリートに含有される結合材の一部を膨張材と置換して含有させるか、又は、前記高強度コンクリートに膨張材を添加配合して、当該膨張材を含まない高強度コンクリートの圧縮強度の90%以上の圧縮強度を同一材齢で保持することができる、高強度コンクリートの製造方法を提供することである。
更に本発明の他の目的は、上記目的に加えて、コンクリートの収縮応力が一層低減し、ひび割れ抵抗性の一層の向上が得られる、高強度コンクリートの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を達成するために、高強度をより短期間で得るために、膨張材を結合材の一部と置換した又は膨張材を添加配合した高強度コンクリートを加熱促進養生するに際し、コンクリートの打設後、加熱促進養生するまでの期間と加熱促進養生温度との関係に注目して、本発明に到達した。
【0010】
セメント、シリカヒューム、細骨材、粗骨材及び高性能減水剤を含み且つ膨張材を含まない、水/結合材比が10〜15質量%のコンクリートの圧縮強度の90%以上の圧縮強度を同一材齢で有し、前記結合材の一部を膨張材で置換含有させた又は膨張材を添加配合したコンクリートを60〜90℃で5日間以上加熱促進養生して製造するにあたり、
結合材の0.6〜2.8質量%を膨張材で置換含有させるか又は結合材の0.6〜2.8質量%の量の膨張材を添加配合し、
コンクリート打設後24時間以上経過後に、前記加熱促進養生を行うことを特徴とする、高強度コンクリートの製造方法である。
また、前記高強度コンクリートの製造方法において、1m3あたり240〜450Lのセメント、1m3あたり40〜75Lのシリカヒューム、1m3あたり100〜250Lの細骨材、1m3あたり175〜330Lの粗骨材を含み且つ膨張材を含まないコンクリート中の結合材の3.2〜8.2L/m3を膨張材で置換することを特徴とする、高強度コンクリートの製造方法である。
【0011】
請求項
1に記載の発明は、セメント、シリカヒューム、細骨材、粗骨材及び高性能減水剤を含み且つ膨張材を含まない、水/結合材比が15質量%を超えて25質量%以下のコンクリートの圧縮強度の90%以上の圧縮強度を同一材齢で有し、前記結合材の一部を膨張材で置換含有させた又は膨張材を添加配合したコンクリートを60〜80℃で5日間以上の加熱促進養生を実施して製造するにあたり、
結合材の0.8〜4.7質量%を膨張材で置換させるか又は結合材の0.8〜4.7質量%量の膨張材を添加配合し、
更にコンクリート打設後24時間以上経過後に、前記加熱促進養生を行うことを特徴とする、高強度コンクリートの製造方法である。
【0012】
請求項
2に記載の発明は、セメント、シリカヒューム、細骨材、粗骨材及び高性能減水剤を含み且つ膨張材を含まない、水/結合材比が15質量%を超えて25質量%以下のコンクリートの圧縮強度の90%以上の圧縮強度を同一材齢で有し、前記結合材の一部を膨張材で置換含有させた又は膨張材を添加配合したコンクリートを80℃を超えて90℃以下で5日間以上の加熱養生を実施して製造するにあたり、
結合材の0.8〜4.7質量%を膨張材で置換含有させるか又は結合材の0.8〜4.7質量%量の膨張材を添加配合し、
コンクリート打設後48時間以上経過後に、前記加熱促進養生を行うことを特徴とする、高強度コンクリートの製造方法である。
【0014】
請求項
3に記載の発明は、請求項
1又は
2記載の高強度コンクリートの製造方法において、1m
3あたり140〜450Lのセメント、1m
3あたり20〜75Lのシリカヒューム、1m
3あたり100〜360Lの細骨材、1m
3あたり300〜360Lの粗骨材含み且つ膨張材を含まないコンクリート中の結合材の3.2〜8.2L/m
3を膨張材で置換することを特徴とする、高強度コンクリートの製造方法である。
【0015】
請求項
4に記載の発明は、請求項1〜
3いずれかの項記載の高強度コンクリートの製造方法において、更に耐火爆裂抑制材を含むことを特徴とする、高強度コンクリートの製造方法である。
【0016】
ここで、本発明において、「結合材」とは、セメント、シリカフューム等の、水和により硬化性状を示す任意の材料という。
【発明の効果】
【0017】
本発明の高強度コンクリートの製造方法は、セメントの種類に係らず、コンクリートの自己収縮ひずみを抑制する膨張材を含むことにより自己収縮ひずみを抑制することが期待できるとともに、膨張材を含まないコンクリートの圧縮強度の90%以上の圧縮強度を実現する、高強度コンクリートの製造が可能となる。
更に、ポリプロプレン繊維等の耐火爆裂抑制材を含むことにより、上記効果に加えて、火災時の爆裂により、かぶりコンクリートの剥落を低減することができ、また高性能減水剤を含むことにより、フレッシュコンクリートの流動性、特にヴィンガム流体とみなした時の塑性粘度の低減が改善された、高強度コンクリートの製造が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明を以下の実施の形態により説明するが、これらに限定されるものではない。
なお、以下の説明のために、膨張材を含まないコンクリートをコンクリート(A)と表し、該コンクリート(A)の結合材の一部を膨張材で置換したコンクリートまたはコンクリート(A)に膨張材を添加配合したコンクリートの両者をコンクリート(B)と表す。
第1の本発明は、セメント、シリカヒューム、細骨材、粗骨材及び高性能減水剤を含み且つ膨張材を含まない、水/結合材比が10〜15質量%のコンクリート(A)の圧縮強度の90%以上の圧縮強度を同一材齢で有し、前記結合材の一部を膨張材で置換含有させた又は膨張材を添加配合したコンクリート(B)を60〜90℃で5日間以上加熱促進養生して製造するにあたり、結合材の0.6〜2.8質量%を膨張材で置換含有させるか又は結合材の0.6〜2.8質量%の量の膨張材を添加配合し、コンクリート打設後24時間以上経過後に、前記加熱促進養生を行うことを特徴とする、高強度コンクリート(B)の製造方法である。
【0019】
このような構成とすることで、セメントの種類にかかわらず、水/結合材比が10〜15質量%で、60〜90℃で5日間以上加熱促進養生して得られた、膨張材を結合材の一部と置換したコンクリート(B)又は膨張材を添加配合したコンクリート(B)が、膨張材で結合材の一部を置換しないコンクリート(A)の圧縮強度の90%以上の圧縮強度を同一材齢で有すること等が可能となる。
【0020】
また、第2の本発明は、セメント、シリカヒューム、細骨材、粗骨材及び高性能減水剤を含み且つ膨張材を含まない、水/結合材比が15質量%を超えて25質量%以下のコンクリート(A)の圧縮強度の90%以上の圧縮強度を同一材齢で有し、前記結合材の一部を膨張材で置換含有するか又は膨張材を添加配合するコンクリート(B)を60〜80℃で5日間以上の加熱促進養生を実施して製造するにあたり、結合材の0.8〜4.7質量%を膨張材で置換含有させるか又は膨張材を添加配合し、更にコンクリート打設後24時間以上経過後に、前記加熱促進養生を行うことを特徴とする、高強度コンクリート(B)の製造方法である。
【0021】
このような構成とすることで、セメントの種類にかかわらず、水/結合材比が15質量%を超えて25質量%以下で、60〜80℃で5日間以上の加熱促進養生のより得られた、膨張材を結合材の一部と置換したコンクリート(B)又は膨張材を添加配合したコンクリート(B)が、膨張材で結合材の一部を置換しないコンクリート(A)の圧縮強度の90%以上の圧縮強度を同一材齢で有すること等が可能となる。
【0022】
また、第3の本発明は、セメント、シリカヒューム、細骨材、粗骨材及び高性能減水剤を含み且つ膨張材を含まない、水/結合材比が15質量%を超えて25質量%以下のコンクリート(A)の圧縮強度の90%以上の圧縮強度を同一材齢で有し、前記結合材の一部を膨張材で置換含有させた又は膨張材を添加配合したコンクリート(B)を80℃を超えて90℃以下で5日間以上の加熱促進養生を実施して製造するにあたり、結合材の0.8〜4.7質量%を膨張材で置換含有させるか又は結合材の0.8〜4.7質量%の量の膨張材を添加配合し、コンクリート打設後48時間以上経過後に、前記加熱促進養生を行うことを特徴とする、高強度コンクリート(B)の製造方法である。
【0023】
このような構成とすることで、セメントの種類にかかわらず、水/結合材比が15質量%を超えて25質量%以下で、80℃を超えて90℃以下で5日間以上の加熱促進養生により得られた、膨張材を結合材の一部と置換したコンクリート(B)又は膨張材を添加配合したコンクリート(B)が、膨張材で結合材の一部を置換しないコンクリート(A)の圧縮強度の90%以上の圧縮強度を同一材齢で有すること等が可能となる。
【0024】
本発明の高強度コンクリートに用いられるセメントとしては、特に限定されず、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、耐硫酸性ポルトランドセメント等のJIS A 5210:2009に規定されるポルトランドセメント、JIS A 5211:2009に規定される高炉セメント、JIS A 5213:2009に規定されるフライアッシュセメント、JIS A 5211:2009に規定されるシリカセメント及びJIS A 5214:2009に規定されるエコセメント等を用いることができる。特に好ましくは、JIS R 5210に規定される自己収縮が小さい低熱ポルトランドセメントを使用する。
特に、低熱ポルトランドセメントを用いると、C
2Sを多く含むため単位水量を低減することができ、また、水和熱による温度応力を低減することが可能となる、高強度コンクリートを製造することができる。低熱ポルトランドセメントはJIS適合品ならば使用可能であるが、ブレーン比表面積が3450〜4200cm
2/g、44mm残分が0.4〜5.2%、C
2Sが50〜59%、C
3Aが0.8〜3.2%のものがより好ましい。
【0025】
また、本発明の高強度コンクリートに用いられるシリカヒュームは、シリカ質の超微粒子材料であり、ポゾラン反応、マイクロフィラー効果による、コンクリートの高強度化や流動性の改善を目的として、コンクリートの混和されるものであり、特に、本発明において、JIS A 6207:2011の規定を満たすシリカヒュームであれば、任意のものを使用することができる。
特に水/結合材比が25質量%以下となるような低水結合比のコンクリートでは使用されることが多い。
シリカヒュームは、低水結合比の高強度コンクリートでは使用されることが多いが、シリカヒュームを使用した高強度コンクリートの自己収縮は、シリカヒュームを使用しないものよりも大きくなることが知られており、セメント単味で調合したコンクリートよりも自己収縮低減の必要性がある。
【0026】
かかるシリカヒュームの配合割合は、特に限定されず、所望する流動性等に応じて配合することができるが、好ましくはセメント100質量部に対して約8〜20質量部であり、特にセメントとして低熱ポルトランドセメントを用いた場合には、10〜15質量部とすることが望ましい。
【0027】
本発明の高強度コンクリートには、細骨材や粗骨材の骨材が含有されるが、これらの細骨材や粗骨材は特に限定されるものではなく、例えば細骨材としては、川砂、山砂、陸砂、砕砂、海砂、珪砂3〜7号等の比較的粒径の細かい細骨材、または珪砂粉、石灰石粉等の微粉末等の公知の細骨材を使用することができる。
さらに、粗骨材としては、砂利や砕石等の公知の任意の粗骨材を用いることができ、かかる粗骨材としては、自己充填性の点から最大粒径20mm以下のものが好ましい。
【0028】
また、本発明の高強度コンクリートには、高性能減水剤が含有される。特にJIS A6204:2011の規定を満足する高性能減水剤を配合することにより、施工に適する流動性と材料分離抵抗性が得られるという効果が得られる。
高性能減水剤としては、任意の高性能減水剤を使用することができるが、好ましくは、低収縮型高性能減水剤が、耐ひび割れ収縮にも優れ、コンクリートの収縮応力を低減することができるため、好ましい。
かかる低収縮型高性能減水剤を膨張材と同時に使用することで、コンクリートの収縮応力が一層低減し、ひび割れ抵抗性の一層の向上が得られることとなる。
低収縮型高性能減水剤としては、低収縮型高性能減水剤レオビルドSP8HU(BASFジャパン)等を例示することができ、好ましくは結合材に対して1.0〜5.0質量%程度となるように配合されることが望ましい
【0029】
本発明の高強度コンクリートは、膨張材を含まず、セメント、シリカヒューム、細骨材、粗骨材及び高性能減水剤を含むコンクリート(A)が任意の材齢で有する圧縮強度の90%以上の圧縮強度を有するコンクリート(B)であって、前記膨張材を含まないコンクリート(A)の結合材の一部を膨張材で置換して含有するか、又は前記膨張材を含まないコンクリート(A)に膨張材を添加配合する。なお、コンクリート(B)を構成する材料は、膨張材で置換する前のコンクリート(A)を構成する材料と同一の材料を配合してなるものである。
膨張材は、コンクリート(A)に含まれる結合材の0.6〜4.7質量%、好ましくは0.9〜3.8質量%を置換する。または、膨張材は、コンクリート(A)に含まれる結合材の0.6〜4.7質量%の量、好ましくは0.9〜3.8質量%量をコンクリート(A)に添加配合する。
かかる配合割合で、膨張材を結合材と置換して含有することにより、所望ひび割れ抵抗性の改善と強度が得られることになる。
【0030】
膨張材としては、特に限定されず、任意の市場で入手できる膨張材を使用することができるが、JIS A 6202:1997の規定を満足するものを好適に使用することができる。
膨張材は打込み後のコンクリート構造物の収縮を補償するものであり、例えば、アウイン(HAUYNE)と呼ばれるカルシウムサルホアルミネート・酸化カルシウム・無水石こうと水が反応して膨張成分であるエトリンガイトを生成する、いわゆるカルシウムサルホアルミネート系膨張材や、酸化カルシウムが水和して水酸化カルシウムが生成する生石灰系膨張材等が好適に用いられる。例えば、遊離石灰が50質量%、アーウイン(3CaO・Al
2O
3・CaSO
4)が20質量%、無水石膏が30質量%であり、かつブレーン比表面積が2900〜3300cm
2/g、強熱減量が1.6質量%以下、MgOが0.9〜1.7質量%を含むものを好適に例示することができる。
【0031】
具体的は、第1の本発明のコンクリートにおいては、1m
3あたり240〜450Lのセメント、1m
3あたり40〜75Lのシリカヒューム、1m
3あたり100〜250Lの細骨材、1m
3あたり175〜330Lの粗骨材、1m
3あたり5〜40Lの高性能減水剤を含み且つ膨張材を含まないコンクリート(A)中の結合材の3.2〜8.2L/m
3を膨張材で置換するものを例示することができる。
このような配合とすることで、膨張材を含まない高強度コンクリート(A)の圧縮強度の90%以上の圧縮強度を同一材齢で保持することができ、乾燥収縮ひずみを改善することができる、高強度コンクリート(B)を製造することができる。
【0032】
また、第2及び第3の本発明のコンクリートにおいては、1m
3あたり140〜450Lのセメント、1m
3あたり20〜75Lのシリカヒューム、1m
3あたり100〜360Lの細骨材、1m
3あたり300〜360Lの粗骨材、1m
3あたり15〜30Lの高性能減水剤を含み且つ膨張材を含まないコンクリート(A)中の結合材の3.2〜8.2L/m
3を膨張材で置換するものを例示することができる。
上記と同様に、このような配合とすることで、膨張材を含まない高強度コンクリート(A)の圧縮強度の90%以上の圧縮強度を同一材齢で保持することができ、乾燥収縮ひずみを改善することができる、高強度コンクリート(B)を製造することができる。
【0033】
更に本発明においては、必要に応じて、耐火爆裂抑制材を配合することができ、ポリプロピレン繊維、鋼繊維等を例示することができる。かかる耐火爆裂抑制材を含むことにより、火災時の爆裂抑制による柱等の部材の耐力と靭性の確保という効果が得られる。
例えば、ポリプロピレン繊維等の繊維は、好ましくは1m
3のコンクリートに対して、外割で0.8〜4.5質量%程度となるように混入されることが望ましい。
【0034】
また更に、本発明においては、必要に応じて、上記耐火爆裂抑制材のほかに、本発明の効果を損なわない限り、減水剤、消泡材、乾燥収縮低減材、防錆材、発泡剤、空気量調整剤等の化学混和剤を配合することができる。
【0035】
本発明のコンクリートは、混練工程、打設工程、養生工程を経て製造することができる。
混練工程は、例えば、セメント、シリカフューム、細骨材、粗骨材、高性能減水剤、膨張材及び水、更に必要に応じて配合される耐火爆裂抑制材等を配合して均一に混練りする。
ポリプロピレン繊維等の耐火爆裂抑制材は、他の材料が混合されたものに、後添加して混練しても、予め他の材料と一緒に配合して混練りしてもどちらでもよいが、アジテータ車に後添加するほうが、該ポリプロピレン繊維がミキサなどに付着されず、所定量を確保するのが容易となる。
【0036】
例えば、コンクリート混合体の粉体のみを練混ぜる乾燥混練を経て、該乾燥混練により練混ぜられた粉体部分に液体部分を投入して練混ぜる湿潤混練を行い、該湿潤混練により練混ぜられたコンクリート混合材料をアジテータ車等に移し、該コンクリート混合材料に繊維(鋼繊維およびポリプロピレン繊維)等を投入して練混ぜる繊維混練を行うことができる。
【0037】
次いで、コンクリートを打設して養生を行う。
本発明の高強度コンクリートを得るために、コンクリート打設後から加熱促進養生までの時間を次のように設定する。
水/結合材比が10〜15質量%の場合には、コンクリートを常温常圧で打設後、24時間以上経過した後に、60〜90℃で少なくとも5日間加熱養生することで、膨張材を含まないコンクリート(A)が有する圧縮強度の90%以上の圧縮強度を備えることができるとともに、膨張材及び高性能減水剤、好ましくは収縮型高性能減水剤を含んでいるため耐ひび割れ収縮にも優れる。
【0038】
また、水/結合材比が15質量%を超えて25質量%以下の場合には、コンクリートを常温常圧で打設後、24時間以上経過した後に、60〜80℃で少なくとも5日間加熱養生することで、または、コンクリートを常温常圧で打設後、48時間以上経過した後に、80℃を超えて90℃以下で少なくとも5日間加熱養生することで、膨張材を含まないコンクリート(A)が有する圧縮強度の90%以上の圧縮強度を備えることができるとともに、膨張材及び高性能減水剤、好ましくは低収縮型高性能減水剤を含んでいるため耐ひび割れ収縮にも優れる。
【0039】
本発明においては、加熱促進養生を実施するが、上記したように、高強度をより短期間で得るために、膨張材を結合材の一部と置換した高強度コンクリート又は膨張材を添加配合した高強度コンクリートを高温下で加熱促進養生する際、コンクリートの水結合材比に応じて、膨張材の量、加熱促進養生温度、加熱促進養生を開始する次回を適切に選定することによって、膨張材を含まないコンクリート(A)の圧縮強度の90%以上の圧縮強度を得ることが可能となる。
【実施例】
【0040】
本発明を以下の実施例、比較例及び試験例により説明するが、これらに限定されるものではない。
下記表1に示す各材料を使用し、水/結合材比が14.4質量%(表2)と18.3質量%(表4)の場合について、それぞれ結合材の一部を膨張材で置換した高強度コンクリートと、置換しない高強度コンクリートを製造した。
【0041】
【表1】
【0042】
[実施例1〜3・比較例1〜3(水/結合比が14.4質量%の場合)]
表1の各材料を用い、下記表2に示す配合割合で、水結合材比を14.4質量%として、各材料を20℃の恒温室で混練りして、コンクリート組成物を得た。
得られた各コンクリート組成物の空気量(%)、スランプスロー値(cm)も表2に示す。
なお、空気量はJIS A 1128:2005フレッシュコンクリートの空気量の圧力による試験方法−空気室圧力方法により、またスランプスローJIS A 1150:2007コンクリートのスランプフロー試験方法により測定した。
【0043】
【表2】
【0044】
得られたコンクリート組成物を、JIS A 5308付属書Eに規定されたブリキ製の軽量型枠(Φ100×200mm)に打設した。
なお、軽量型枠の上面は、コンクリート打設直後から封かん状態とした。
コンクリート組成物の打設24時間後に、上面を封函状態に保持した軽量型枠ごとコンクリートをその後90℃で6日間(6日目は材齢7日)保持して加熱促進養生を行った。
【0045】
その後該型枠ごと20℃の恒温室で1日静置し、軽量型枠内のコンクリートが20℃となった後に、該軽量型枠をコンクリート体から取り外して、得られたコンクリート体の上面を研磨して、圧縮強度試験をJIS A 1108:2006コンクリートの圧縮強度試験方法に準じて行った。
その結果を下記表3に示す。
【0046】
【表3】
【0047】
上記表3の結果より、高性能減水剤の種類にかかわらず、水結合比が10〜15%である14.4%の場合には、結合材の一部を膨張材で置換した実施例のコンクリートの圧縮強度は、打設後少なくとも24時間経過した後に、90℃で封かん状態のコンクリートをその後6日間保持する加熱養生を行った場合に、膨張材を含まない比較例のコンクリート(結合材を膨張材で置換しないコンクリート)の圧縮強度の90%以上とすることが可能となる。
【0048】
[実施例4〜6・比較例4(水/結合比が18.8質量%の場合)]
表1の各材料を用い、下記表4に示す配合割合で、水結合材比を18.8質量%として、各材料を20℃の恒温室で混練りして、コンクリート組成物を得た。
得られた各コンクリート組成物の空気量(%)、スランプスロー値(cm)も表4に示す。
なお、空気量はJIS A 1128:2005フレッシュコンクリートの空気量の圧力による試験方法−空気室圧力方法により、またスランプスローはJIS A 1150:2007コンクリートのスランプフロー試験方法により測定した。
【0049】
【表4】
【0050】
得られたコンクリート組成物を、JIS A 5308付属書Eに規定されたブリキ製の軽量型枠(Φ100×200mm)に打設した。
なお、軽量型枠の上面は、コンクリート打設直後から封かん状態とした。
コンクリート組成物の打設24時間後に、上面を封かん状態に保持した軽量型枠ごとコンクリートを、その後それぞれ60℃、70℃、80℃、90℃に6日間(6日目は材齢7日)保持して加熱促進養生を行った。
更に、コンクリート組成物の打設24時間後に、上面を封かん状態に保持した軽量型枠ごとコンクリートを、60℃で28日間保持して加熱促進養生を行った。
また、コンクリート組成物の打設18時間後及び48時間後に、上面を封かん状態に保持した軽量型枠ごとコンクリートを、90℃で5から6.25日日間保持して加熱促進養生を行った。
【0051】
その後、それぞれ型枠ごと20℃の恒温室で1日静置し、軽量型枠内のコンクリートが20℃となった後に、該軽量型枠を取り外して、得られたコンクリート体の上面を研磨して、圧縮強度試験をJIS A 1108:2006コンクリートの圧縮強度試験方法に準じて行った。
その結果を下記表5に示す。
【0052】
【表5】
【0053】
上記表5の結果より、高性能減水剤の種類にかかわらず、水結合比が15質量%を超えて25質量%以下である18.8%の場合には、結合材の一部を膨張材で置換した実施例のコンクリートの圧縮強度は、打設後少なくとも24時間経過した後に、60〜80℃で封かん状態のコンクリートを6日保持した加熱促進養生を行った場合に、膨張材を含まない比較例のコンクリート(結合材を膨張材で置換しないコンクリート)の圧縮強度の90%以上の圧縮強度を確保することができた。また、コンクリート打設後少なくとも48時間経過した後に、90℃以下で封かん状態のコンクリートを5日保持する加熱養生を行った場合に、膨張材を含まない比較例のコンクリート(結合材を膨張材で置換しないコンクリート)の圧縮強度の90%以上の圧縮強度を確保することが可能となった。
【0054】
上記より、膨張材で結合材を置換したコンクリート(B)を高温下で封かんするときに生じる圧縮強度の低下は、未反応の膨張材が急激に水と反応して膨張し、その膨張圧でコンクリートの硬化体が損傷を受けることに起因すると考えられるが、膨張材の反応速度は温度に依存するので、90℃よりも低い温度では膨張速度が低下し、しかもコンクリート硬化体の圧縮強度が増加する影響を受け、膨張材の膨張圧により圧縮強度の低下が緩和されたと考えられる。
また、加熱促進養生を開始する時間を長くすることにより、コンクリート硬化体の圧縮強度を増加させることができることがわかる。