【実施例】
【0069】
以下、実施例および比較実施例を示して、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
なお、以下において、「純度」は、特に明記しない限り、ガスクロマトグラフィー(GC)分析によって得られた値である。
合成例1
出発原料2−イソプロペニル−5−メチル−4−ヘキセン酸(1)の合成
窒素雰囲気下、水素化ナトリウム40.3mmol(60%鉱油懸濁物1.61gをn−ヘキサンで鉱油を除去したもの)とトルエン50mlの混合物をかき混ぜながら加熱還流させ、これにセネシオ酸2−メチル−3−ブテン−2−イル6.76g(96.2%純度)を1時間かけて滴下した。80分間還流を続けた後、ジエチルエーテル50mlを加え、メタノール2mlを滴下した。次いで、水60mlを加え、水層を分離した。分離した水層に20%塩酸を加えて酸性にした後、ジエチルエーテルで抽出した。ジエチルエーテル溶液から通常の洗浄、乾燥、濃縮による後処理操作により、目的物の粗生成物7.69g(収率89%)を得た。
この粗生成物は、GC分析の結果、2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセン酸(α,β-不飽和カルンボン酸)と2−イソプロペニル−5−メチル−4−ヘキセン酸(β,γ−不飽和カルンボン酸)の45.7:54.2の混合物で合わせて78.0%純度であった。
【0070】
合成例2
出発原料2−イソプロペニル−5−メチル−4−ヘキセン酸(1)の合成
窒素雰囲気下、ヘキサメチルジシラザン117gとテトラヒドロフラン600mlの混合物を氷冷し、これに1.65M n−ブチルリチウム n−ヘキサン溶液425mlを1時間かけて滴下し、30分間かき混ぜた。次いで、混合物をかき混ぜながら−60℃まで冷却し、これにセネシオ酸2−メチル−3−ブテン−2−イル118g(97.8%純度)とテトラヒドロフラン100gの混合物を75分間で滴下した。混合物をゆっくりと室温まで上げ6時間かき混ぜ、再び氷冷した。氷冷した混合物に10%水酸化ナトリウム水溶液286gを加え、水層を分離した。分離した水層に20%塩酸400gを加えた後、ジエチルエーテルで抽出した。ジエチルエーテル溶液から通常の洗浄、乾燥、濃縮による後処理操作により、目的物の粗生成物109.1g(94.6%純度、収率90%)を得た。
この粗生成物は、GC分析の結果、2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセン酸(α,β−不飽和カルンボン酸)は含まれず、原料として十分な純度を有しており、このまま次の工程に用いた。
【0071】
合成例3
2−イソプロペニル−5−メチル−4−ヘキセン酸エチルの合成
窒素雰囲気下、2−イソプロペニル−5−メチル−4−ヘキセン酸(1)200.01g(85.4%純度)、炭酸カリウム89.82g、塩化テトラブチルアンモニウム11.28gとトルエン800gの混合物をかき混ぜながら、95℃から100℃に加熱し、ジエチル硫酸191.8gを35分間で滴下した。2時間加熱を続けた後、室温まで冷却して、水510gを加えた。トルエン溶液を分取し、通常の洗浄、乾燥、濃縮による後処理操作により、粗生成物を得た。得られた粗生成物を減圧蒸留して、目的物193.4g(99.7%純度、収率97%)を得た。
【0072】
実施例1
(E)−2−イソプロピル−5−メチル−2,4−ヘキサジエン酸(2)の合成
(塩基性条件での異性化による合成例)
窒素雰囲気下、カリウムt−ブトキシド106gとテトラヒドロフラン800mlの混合物に、2−イソプロペニル−5−メチル−4−ヘキセン酸(1)145gとテトラヒドロフラン300mlの混合物を室温で加えた。還流下10時間かき混ぜた後、混合物を氷水にあけ、n−ヘキサンで抽出し、抽出液は廃棄した。水層に10%塩酸を加えて中和し、ジエチルエーテルで抽出した。ジエチルエーテル溶液から通常の洗浄、乾燥、濃縮による後処理操作により、粗生成物135.30g(収率93%)を得た。
この粗生成物をn−ヘキサン65gから再結晶して結晶45.76g(収率32%)と母液(再結晶後、結晶をろ別したろ液の濃縮物、以下同様。)98.64g(収率68%)を得た。出発原料、粗生成物、結晶、母液のキャピラリーGC分析およびガスクロマトグラフィー−マススクトロメトリー(GC−MS)による異性体組成分析の結果を表1に示す。
【0073】
GC条件:Column:DB−WAX(J&W Scientific社製)60mx0.25mmφ、Temp:80℃+2.5℃/分→230℃Max、Inj:230℃、Carrier:He 1ml/分、Split ratio:50:1、Detector:FID、サンプル:1〜10%のn−ヘキサンまたはジエチルエーテル希釈液。
【0074】
【表1】
【0075】
ただし、上記異性体AからGは主要な異性体でこれらの他に微小なピークが存在するため、異性体比の合計は100%とは限らない(以下同様。)。
異性体A:構造未同定 C
9H
15COOH
GC−MS(EI,70eV):28、41、55、67、81、91、107(ベースピーク)、125、135、153、168(M
+)。
異性体B:構造未同定 C
9H
15COOH
GC−MS(EI,70eV):27、41、55、69(ベースピーク)、81、91、107、123、135、153、168(M
+)。
異性体C:2−イソプロペニル−5−メチル−4−ヘキセン酸(1)(出発原料)
GC−MS(EI,70eV):27,41,53,69(ベースピーク),81,100,111,125,135,150,168(M
+)。
異性体D:2−イソプロピル−5−メチル−3,5−ヘキサジエン酸(2)
GC−MS(EI,70eV):27,43,53,67,81(ベースピーク),91,111,126[(M−C
3H
6)
+],153,168(M
+)。
異性体E:2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセン酸(h)
GC−MS(EI,70eV):27,41,55,67,81,95,107(ベースピーク),125,135,153,168(M
+)。
異性体F:(E)−2−イソプロピル−5−メチル−2,4−ヘキサジエン酸(2)(目的の中間体)
GC−MS(EI,70eV):27,41,55,67,81,91,107,123,135,153(ベースピーク),168(M
+)。
異性体G:(Z)−2−イソプロピル−5−メチル−2,4−ヘキサジエン酸(j)
GC−MS(EI,70eV):27,41,55,67,81,91,107,123,135,153(ベースピーク),168(M
+)。
【0076】
実施例2
(E)−2−イソプロピル−5−メチル−2,4−ヘキサジエン酸(2)の合成
(系内で生成する原料の2−イソプロペニル−5−メチル−4−ヘキセン酸(1)合成時の塩基性条件のまま異性化させる合成例)
【0077】
【化9】
【0078】
窒素雰囲気下、水素化ナトリウム125mmol(60質量%鉱油懸濁物5.00gをn−ヘキサンで鉱油を除去したもの)とトルエン30mlの混合物をかき混ぜながら加熱還流させ、これにセネシオ酸2−メチル−3−ブテン−2−イル20.0g(96.9%純度)を1時間かけて滴下した。22時間還流を続けた後、室温まで冷却してメタノール10ml、水40mlを滴下した。有機層を水で抽出した後に廃棄し、合わせた水層に20%塩酸を加えて酸性にした後、ジエチルエーテルで抽出した。ジエチルエーテル溶液から通常の洗浄、乾燥、濃縮による後処理操作により、目的物の粗生成物20.0g(目的物3.6%純度、収率定量的)を得た。粗生成物について、実施例1と同様の条件でのキャピラリーGC分析およびGC−MSによる異性体組成分析の結果を表2に示す。
【0079】
【表2】
【0080】
実施例3
(E)−2−イソプロピル−5−メチル−2,4−ヘキサジエン酸(2)の合成
(系内で生成する原料の2−イソプロペニル−5−メチル−4−ヘキセン酸合成時の塩基性条件のまま異性化させる合成例と再結晶による単離例)
【0081】
【化10】
【0082】
窒素雰囲気下、合成例3の2−イソプロペニル−5−メチル−4−ヘキセン酸エチルと2−イソプロピリデン−5−メチル−4−ヘキセン酸エチル18.2:81.8の混合物38.3gとテトラヒドロフラン150mlの混合物に室温でカリウムt−ブトキシド3.5gを加え、室温で終夜かき混ぜた。この反応混合物に25%水酸化ナトリウム水溶液60gと99.5%エタノール38gを加えた後、かき混ぜながら加熱して7.5時間還流した。25%水酸化ナトリウム水溶液100gを加え、更に15時間かき混ぜ、還流した。反応混合物を氷水にあけ、n−ヘキサンで抽出し、抽出液は廃棄した。水層に10%塩酸を加えて中和し、ジエチルエーテルで抽出した。ジエチルエーテル溶液から通常の洗浄、乾燥、濃縮による後処理操作により、粗生成物31.47g(収率95.9%)を得た。
この粗生成物をn−ヘキサンから再結晶して結晶Iを8.72g(目的物85.5%純度、収率27%)と母液Iを23.16g(収率71%)得た。得られた結晶Iを更に再結晶して、結晶II4.75g(目的物100%純度、収率15%)と母液II4.05g(収率12%)を得た。出発原料、粗生成物、結晶I、母液I、結晶II、母液IIについて、実施例1と同様の条件でのキャピラリーGC分析およびGC−MSによる異性体組成分析の結果を表3に示す。表3の出発原料は対応するエチルエステルである。また、表3の異性体AからGは、表1に記載された異性体と同じである。
【0083】
【表3】
【0084】
また、再結晶により得られた目的物、すなわち、結晶IIの物性およびスペクトルデータを下記に示す。
(E)−2−イソプロピル−5−メチル−2,4−ヘキサジエン酸(2)
無色結晶
融点:111.3℃
GC−MS(EI,70eV):27,41,55,67,81,91,107,123,135,153(ベースピーク),168(M
+)。
IR(D−ATR):ν=2959,2927,2870,2638,2574,2516,1667,1634,1586,1418,1323,1273,995cm
−1。
1H−NMR(500MHz,CDCl
3):δ=1.22(6H,d,J=7.3Hz),1.89(3H,d,J=0.8Hz),1.91(3H,s),3.02−3.11(1H,m),6.26(1H,dt,J=11.8,1.2Hz),7.50(1H,d,J=11.8Hz)ppm。
13C−NMR(125MHz,CDCl
3):δ=18.82,20.93(2C),27.05,27.10,120.47,133.13,135.96,146.03,174.07ppm。
【0085】
実施例4
(E)−2−イソプロピル−5−メチル−2,4−ヘキサジエン酸(2)の合成
(異性体混合物の塩基での再異性化による合成例と再結晶による精製単離例)
【0086】
【化11】
【0087】
窒素雰囲気下、(E)−2−イソプロピル−5−メチル−2,4−ヘキサジエン酸(2)を30.2%含む異性体混合物(異性体比は表4に示す。)21.0gとテトラヒドロフラン200mlの混合物を室温でかき混ぜながら、カリウムt−ブトキシド28.0gとテトラヒドロフラン100mlの混合物を加えた。混合物を加熱して還流させながら5時間かき混ぜ、室温に冷却した後に氷水にあけ、n−ヘキサンで抽出し、抽出液は廃棄した。水層に10%塩酸を加えて中和し、ジエチルエーテルで抽出した。ジエチルエーテル溶液から通常の洗浄、乾燥、濃縮による後処理操作により、粗生成物18.22g(収率87%)を得た。
この粗生成物をn−ヘキサンから再結晶して結晶1.53g(目的物96.7%純度、収率7.3%)と母液14.93g(収率71%)を得た。出発原料、粗生成物、結晶、母液について、実施例1と同様の条件でのキャピラリーGC分析およびGC−MSによる異性体組成分析の結果を表4に示す。
【0088】
【表4】
【0089】
実施例5
(E)−2−イソプロピル−5−メチル−2,4−ヘキサジエン酸(2)の合成
(異性体混合物の塩基でのリサイクル再異性化による合成例)
窒素雰囲気下、実施例1で得た母液の異性体混合物(異性体比は表5に示す。)4.00gとテトラヒドロフラン20mlの混合物に室温でカリウムt−ブトキシド25.0gを加えた。反応混合物をかき混ぜながら加熱して12時間還流させた。室温まで冷却した後に氷水にあけ、n−ヘキサンで抽出し、抽出液は廃棄した。水層に10%塩酸を加えて中和し、ジエチルエーテルで抽出した。ジエチルエーテル溶液から通常の洗浄、乾燥、濃縮による後処理操作により、粗生成物3.73g(収率93%)を得た。出発原料、粗生成物について、実施例1と同様の条件でのキャピラリーGC分析およびGC−MSによる異性体組成分析の結果を表5に示す。
【0090】
【表5】
【0091】
実施例6
(E)−2−イソプロピル−5−メチル−2,4−ヘキサジエン酸(2)の合成
(異性体混合物の塩基での再異性化による合成例)
窒素雰囲気下、実施例2と同様な方法で得た異性体混合物(異性体比は表6に示す。)10.0gと99.5%エタノール40mlの混合物に室温で25%水酸化ナトリウム水溶液15.0gを加えた。反応混合物をかき混ぜながら加熱して18時間還流させた。室温まで冷却した後、反応混合物を減圧濃縮してエタノールを留去した後に氷水にあけ、n−ヘキサンで抽出し、抽出液は廃棄した。水層に10%塩酸を加えて中和し、ジエチルエーテルで抽出した。ジエチルエーテル溶液から通常の洗浄、乾燥、濃縮による後処理操作により、粗生成物9.46g(収率95%)を得た。出発原料、粗生成物について、実施例1と同様の条件でのキャピラリーGC分析およびGC−MSによる異性体組成分析の結果を表6に示す。
【0092】
【表6】
【0093】
目的の(E)−2−イソプロピル−5−メチル−2,4−ヘキサジエン酸(2)およびその幾何異性体の増加はあまり進行しない、または、反応の進行が非常に遅いことが示され、異性化反応に用いる試薬の種類や条件の選択が重要であることが示された。
【0094】
実施例7
(E)−2−イソプロピル−5−メチル−2,4−ヘキサジエン酸(2)の合成
(異性体混合物からの再結晶による精製単離例)
窒素雰囲気下、実施例4で得た母液の異性体混合物(異性体比は表7に示す。)14.93gをイソプロピルアルコール50mlから再結晶して結晶0.25g(収率2%)と母液14.18g(収率95%)を得た。出発原料、結晶、母液について、実施例1と同様の条件でのキャピラリーGC分析およびGC−MSによる異性体組成分析の結果を表7に示す。
【0095】
【表7】
【0096】
実施例8
(E)−2−イソプロピル−5−メチル−2,4−ヘキサジエン酸(2)の合成
(イオウ試薬による異性化による合成例)
【0097】
【化12】
【0098】
窒素雰囲気下、(E)−および(Z)−2−イソプロピル−5−メチル−2,4−ヘキサジエン酸を含む異性体混合物(異性体比は表8に示す。)131.1gとベンゼンチオール2.17gの混合物を100℃から120℃に加熱しながら11時間かき混ぜた。反応混合物を室温に戻して得られた粗結晶を、n−ヘキサン80gから再結晶して、結晶I64.5g(収率49%)と母液I66.42g(収率51%)を得た。得られた結晶Iをジイソプロピルエーテル100gから再び再結晶して、結晶II37.18g(収率28%)と母液II30.40g(収率23%)を得た。
出発原料、反応混合物、結晶I、母液I、結晶II、母液IIについて、実施例1と同様の条件でのキャピラリーGC分析およびGC−MSによる異性体組成分析の結果を表8に示す。
【0099】
【表8】
【0100】
実施例9
(E)−2−イソプロピル−5−メチル−2,4−ヘキサジエン酸(2)の合成
(異性体混合物のイオウ化合物による再異性化による合成例と異性体混合物からの再結晶による精製単離例)
【0101】
【化13】
【0102】
窒素雰囲気下、実施例5で得られた粗生成物と、実施例8で得られた母液Iと母液IIとを混合して得られた(E)−および(Z)−2−イソプロピル−5−メチル−2,4−ヘキサジエン酸(2)を含む異性体混合物(異性体比は表9に示す)100.5gとベンゼンチオール0.5gの混合物を110℃に加熱しながら7.5時間かき混ぜた。反応混合物を室温に戻して得られた粗結晶を、n−ヘキサン70mlとジイソプロピルエーテル20mlの混合物から再結晶して、結晶48.49g(収率48%)と母液53.96g(収率54%)を得た。出発原料、反応混合物、結晶、母液について、実施例1と同様の条件でのキャピラリーGC分析およびGC−MSによる異性体組成分析の結果を表8に示す。
【0103】
【表9】
【0104】
実施例10
(E)−2−イソプロピル−5−メチル−2,4−ヘキサジエン酸(2)の合成
(異性体混合物からの再結晶による精製単離例)
(E)−および(Z)−2−イソプロピル−5−メチル−2,4−ヘキサジエン酸を含む異性体混合物(異性体比は表10に示す)41.29gをジイソプロピルエーテルから再結晶して、結晶I11.03g(収率27%)と母液I29.07g(収率70%)を得た。得られた母液Iを更にジエチルエーテルから再結晶して、結晶II3.50g(出発原料からの収率9%)と母液II25.38g(出発原料からの収率62%)を得た。出発原料、結晶I、母液I、結晶II、母液IIについて、実施例1と同様の条件でのキャピラリーGC分析およびGC−MSによる異性体組成分析の結果を表10に示す。
【0105】
【表10】
【0106】
実施例11
(E)−2−イソプロピル−5−メチル−2,4−ヘキサジエノール(3)の合成
窒素雰囲気下、水素化アルミニウムリチウム20.0gとテトラヒドロフラン500mlの混合物に、氷冷下かき混ぜながら、2−イソプロピル−5−メチル−2,4−ヘキサジエン酸(2)48.1g[98.0%純度、(E)−異性体純度98.1%]とテトラヒドロフラン300mlの混合物を70分間で滴下した。反応混合物を氷冷下30分間、室温で17.5時間かき混ぜた後、かき混ぜながら、順に酢酸エチル50g、水20.7g、25%水酸化ナトリウム水溶液12.42g、水70.38gを注意深く加え、生じた結晶をろ別した。ろ液を乾燥、濃縮して目的物の粗生成物54.99g[76.8%純度(溶媒を16.4%含む)、収率98%]を得た。
この粗生成物は、中間体として十分な純度を有しており、このまま次の工程に用いた。分析用サンプルとして濃縮により溶媒を除去し、得られた目的物の物性およびスペクトルデータを下記に示す。
【0107】
(E)−2−イソプロピル−5−メチル−2,4−ヘキサジエノール(3)
無色液体
GC−MS(EI,70eV):27,43,55,69,81,93,111(ベースピーク),123,139,154(M
+)。
IR(D−ATR):ν=3326,2962,2924,2871,1652,1615,1447,1379,1362,1077,1060,1043,996cm
−1。
1H−NMR(500MHz,CDCl
3):δ=1.08(6H,d,J=7.3Hz),1.77(3H,s),1.81(3H,s),2.95−3.04(1H,m),4.16(2H,s),6.08(1H,dt,J=11.5,1.3Hz),6.20(1H,d,J=11.5Hz)ppm。
13C−NMR(125MHz,CDCl
3):δ=18.10,21.38(2C),26.49,28.07,64.36,119.90,121.15,135.81,143.18ppm。
【0108】
実施例12
酢酸(E)−2−イソプロピル−5−メチル−2,4−ヘキサジエニル(4)の合成
窒素雰囲気下、実施例11で得られた2−イソプロピル−5−メチル−2,4−ヘキサジエノール(3)54.9g(76.8%純度)、ピリジン56.0g、アセトニトリル300mlの混合物に、氷冷下かき混ぜながら、無水酢酸60.0gを5分間で滴下した。反応混合物を氷冷で1時間、室温で17.5時間かき混ぜた。反応混合物に氷水を加え、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル溶液を洗浄、乾燥、濃縮による後処理操作により目的物の粗生成物55.84gを得た。
この粗生成物を減圧蒸留して、目的物47.70g[93.4−96.6%純度(GC中で酢酸の脱離が起こるため実際の純度は、これらの値より大きい)、(E)−異性体純度98.0〜99.2%、収率75%]を得た。得られた目的物の物性およびスペクトルデータを下記に示す。
【0109】
酢酸2−イソプロピル−5−メチル−2,4−ヘキサジエニル(4)
沸点:101−102℃/665Pa
EI−MS(70eV):27,43,55,67,77,93,105,121(ベースピーク),136,196(M
+)。
CI−MS(70eV,イソブタン):137[ベースピーク、(M−AcOH+H)
+]。
IR(D−ATR):ν=2964,2929,2873,1739,1651,1449,1375,1357,1232,1020cm
−1。
1H−NMR(500MHz,CDCl
3):δ=1.05(6H,d,J=6.9Hz),1.76(3H,s),1.81(3H,s),2.05(3H,s),2.96−3.04(1H,m),4.59(2H,s),6.07(1H,dt,J=11.5,1.3Hz),6.21(1H,d,J=11.5Hz)ppm。
13C−NMR(125MHz,CDCl
3):δ=18.16,21.16,21.21(2C),26.49,28.07,66.57,119.78,125.10,137.19,137.55,170.84ppm。
【0110】
比較例1
(E)−2−イソプロピル−5−メチル−2,4−ヘキサジエン酸(2)の合成
(イオウ化合物による異性化による合成例)
窒素雰囲気下、2−イソプロペニル−5−メチル−4−ヘキサセン酸(1)5.0g(異性体純度99.5%)とベンゼンチオール40mgの混合物を100℃から120℃に加熱しながら5時間かき混ぜた。反応混合物について、実施例1と同様の条件でのキャピラリーGC分析の結果、反応混合物は2−イソプロペニル−5−メチル−4−ヘキサセン酸の異性体比が99.6%であり、異性化はほとんど進行しない、または、反応の進行が非常に遅いことが示され、上記のように塩基による異性化とイオウ化合物により異性化を順次組み合わせることが重要であることが示された。