特許第6208249号(P6208249)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6208249
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】アルカノールの製造装置
(51)【国際特許分類】
   C07C 29/80 20060101AFI20170925BHJP
   C07C 31/125 20060101ALI20170925BHJP
   B01D 3/14 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   C07C29/80
   C07C31/125
   B01D3/14 A
【請求項の数】11
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-544010(P2015-544010)
(86)(22)【出願日】2014年1月16日
(65)【公表番号】特表2016-504288(P2016-504288A)
(43)【公表日】2016年2月12日
(86)【国際出願番号】KR2014000480
(87)【国際公開番号】WO2014112808
(87)【国際公開日】20140724
【審査請求日】2015年5月25日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0004943
(32)【優先日】2013年1月16日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2014-0005491
(32)【優先日】2014年1月16日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【弁理士】
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 京子
(72)【発明者】
【氏名】イ ソンキュ
(72)【発明者】
【氏名】シン チュンホ
(72)【発明者】
【氏名】イ ジュンク
【審査官】 斉藤 貴子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−520874(JP,A)
【文献】 特表2012−515771(JP,A)
【文献】 特開2000−334201(JP,A)
【文献】 特開2000−140501(JP,A)
【文献】 特開平09−299702(JP,A)
【文献】 特表2010−540582(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/073841(WO,A1)
【文献】 特開2011−162502(JP,A)
【文献】 特公昭46−034018(JP,B1)
【文献】 特開昭58−055002(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第102190559(CN,A)
【文献】 特開2003−192620(JP,A)
【文献】 特表2014−508735(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 29/80
C07C 31/125
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凝縮器、再沸器、塔頂流れ用スチーム生成熱交換器、原料予熱熱交換器及び分離壁が具備された蒸留塔を含み、
前記蒸留塔は、原料供給領域、生成物流出領域、塔頂領域及び塔底領域に区分され、
下記化学式1の化合物を含む原料が前記原料供給領域に流入され、流入された原料は、生成物流れ、塔底流れ及び塔頂流れに分離して流出され、
前記塔底流れは、塔底領域で流出され、前記塔底流れのうち一部は、再沸器を通じて蒸留塔に還流され、
前記塔頂流れは、塔頂領域で流出されて凝縮器を通過し、前記凝縮器を通過した塔頂流れのうち一部は、蒸留塔に還流され、
前記生成物流れは、生成物流出領域で流出され、
前記塔頂流れ、塔底流れ及び生成物流れのうち少なくとも1つ以上の流れの一部または全部が前記塔頂流れ用スチーム生成熱交換器又は原料予熱熱交換器を通過して熱交換され、
下記化学式1の化合物が2−エチルヘキサノールであり、
前記塔頂流れの還流比は、1〜100である、アルカノールの製造装置:
[化学式1]
R−OH
前記化学式1で、Rはアルキル基である。
【請求項2】
熱交換器は、塔頂流れの一部または全部を水と熱交換するか、塔底流れ、塔頂流れ及び生成物流れよりなる群から選択された1つ以上の流れの一部または全部を原料供給領域に流入される原料と熱交換させる、請求項1に記載のアルカノールの製造装置。
【請求項3】
熱交換器は、凝縮器の前段に位置し、塔頂領域で流出される塔頂流れの一部または全部を水と熱交換してスチームを生産する塔頂流れ用スチーム生成熱交換器である、請求項1に記載のアルカノールの製造装置。
【請求項4】
熱交換器は、凝縮器の前段に位置し、塔頂領域で流出される塔頂流れの一部または全部を原料供給領域に流入される原料と熱交換して原料を昇温させる塔頂流れ用原料予熱熱交換器である、請求項1に記載のアルカノールの製造装置。
【請求項5】
熱交換器は、原料供給領域の前段に位置し、生成物流出領域で流出される生成物流れの一部または全部を原料供給領域に流入される原料と熱交換して原料を昇温させる生成物流れ用原料予熱熱交換器である、請求項1に記載のアルカノールの製造装置。
【請求項6】
熱交換器は、原料供給領域の前段に位置し、塔底領域で流出される塔底流れの一部または全部を原料供給領域に流入される原料と熱交換して原料を昇温させる塔底流れ用原料予熱熱交換器である、請求項1に記載のアルカノールの製造装置。
【請求項7】
前記塔頂流れ用スチーム生成熱交換器の熱交換において、
前記塔頂流れの一部または全部は、前記塔頂流れ用スチーム生成熱交換器内で水と熱交換してスチームを生産し、
原料予熱熱交換器において、前記塔底流れまたは生成物流れの一部または全部は前記原料予熱熱交換器内で原料供給領域に流入される原料と熱交換して原料を昇温させ、
下記化学式1の化合物が2−エチルヘキサノールであり、
前記塔頂流れの還流比は、1〜100である、請求項1記載のアルカノールの製造装置:
[化学式1]
R−OH
前記化学式1で、Rはアルキル基である。
【請求項8】
原料予熱熱交換器は、塔底領域で流出される塔底流れの一部または全部を原料供給領域に流入される原料と熱交換して原料を昇温させる塔底流れ用原料予熱熱交換器である、請求項7に記載のアルカノールの製造装置。
【請求項9】
原料予熱熱交換器は、生成物領域で流出される生成物流れの一部または全部を原料供給領域に流入される原料と熱交換して原料を昇温させる生成物流れ用原料予熱熱交換器である、請求項7に記載のアルカノールの製造装置。
【請求項10】
請求項1の装置を使用してアルカノールを製造する方法であって、該方法は、
下記化学式1の化合物を含む原料を分離壁型蒸留塔に流入する段階と;
前記流入された原料を蒸留して生成物流れ、塔底流れ及び塔頂流れに分離して流出する段階とを含み、
前記塔頂流れの一部または全部を前記蒸留塔に流入される原料または蒸留塔外部の水と熱交換させるか、前記蒸留塔に流入される原料と熱交換させ、
下記化学式1の化合物が2−エチルヘキサノールであり、
前記塔頂流れの還流比は、1〜100である、アルカノールの製造方法:
[化学式1]
R−OH
前記化学式1で、Rはアルキル基である。
【請求項11】
生成物流れまたは塔底流れの一部または全部を前記蒸留塔に流入される原料とさらに熱交換させる、請求項10に記載のアルカノールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカノールの製造装置及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オクタノール(octanol)のようなアルカノールは、例えば、香料、有機合成品の溶媒、可塑剤などのような化学産業の多様な用途に使用されている。
【0003】
例えば、オクタノールは、n−ブチルアルデヒド(n−butylaldehyde)の水素添加反応(hydrogenation)を通じて製造することができる。前記で、水素添加反応を通じて製造されたオクタノールは、1つ以上の蒸留塔を通過して蒸留されることができ、前記蒸留過程でその流れの一部または全部が再沸器または凝縮器を通過した後、前記蒸留塔に還流されることによって、高純度のオクタノールを得ることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、アルカノールの製造装置及び製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、アルカノールの製造装置に関する。例示的な前記製造装置は、蒸留塔を含むことができる。例えば、前記製造装置は、前記蒸留塔を含む蒸留塔アセンブリーまたは蒸留システムであることができる。前記アルカノールの製造装置を利用すれば、アルカノールの製造過程で発生するエネルギー損失を最小化しながらも、高純度のアルカノールを分離精製することができる。以下、図面を参照して前記装置を説明するが、前記図面は、例示的なものであって、前記装置の範囲が図面に制限されるものではない。
【0006】
図1は、アルカノールの製造装置を例示的に示す図であり、下記化学式1の化合物を含む原料110が流入される蒸留塔100を含む装置を示す。
【0007】
[化学式1]
R−OH
【0008】
前記化学式1で、Rは、アルキル基、例えば、炭素数1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12または炭素数1〜8のアルキル基である。前記アルキル基は、直鎖、分岐鎖または環状構造を有することができ、必要に応じて任意的に1つ以上の置換基によって置換されていることができる。
【0009】
1つの例示で前記化学式1の成分は、オクタノールであることができ、例えば、2−エチルヘキサノールであることができる。
【0010】
前記で蒸留塔100は、分離壁型蒸留塔100であることができる。前記分離壁型蒸留塔100は、いわゆる低沸点、中沸点及び高沸点の3成分を含む原料110の蒸留のために考案された装置である。分離壁型蒸留塔100は、いわゆる熱複合蒸留カラム(Petlyuk column)と熱力学的な観点において類似の装置である。熱複合蒸留カラムの場合は、予備分離器と主分離器を熱的に統合した構造を有する。前記カラムは、低沸点及び高沸点物質を1次的に予備分離器で分離し、予備分離器の塔頂及び塔底部分が主分離器の供給段にそれぞれ流入され、主分離器で低沸点、中沸点及び高沸点物質をそれぞれ分離するように考案されている。これに対し、分離壁型蒸留塔100の場合は、塔内に分離壁101を設置し、予備分離器を主分離器の内部に統合させた形態である。
【0011】
分離壁型蒸留塔100は、例えば、図1に示されたような構造を有することができる。図1は、例示的な分離壁型蒸留塔100を示す。図1に示されたように、例示的な蒸留塔100は、内部が分離壁101によって分割されており、上部の分離型凝縮器102及び下部の分離型再沸器103などを含む構造を有することができる。また、分離壁型蒸留塔100の内部は、図面において点線で仮想的に分割されているように、例えば、高沸点の流れが排出される分離型塔頂領域104、低沸点の流れが排出される分離型塔底領域105、原料110が流入される分離型原料供給領域106及び生成物が流出される生成物流出領域107に区分されることができ、前記分離型原料供給領域106は、上部供給領域1061及び下部供給領域1062に区分され、前記生成物流出領域107は、上部流出領域1071及び下部流出領域1072に区分されることができる。前記で用語「上部及び下部供給領域」は、それぞれ分離壁型蒸留塔100の構造において分離壁101によって分割される空間のうち原料110が供給される側の空間、すなわち分離型原料供給領域106を蒸留塔の長さ方向に二等分したときに上部及び下部領域を意味することができる。また、「上部及び下部流出領域」は、それぞれ分離壁型蒸留塔100の内部の分離壁101によって分割される空間のうち生成物が流出される側の空間、すなわち生成物流出領域107を蒸留塔100の長さ方向に二等分したときに上部及び下部領域を意味することができる。
【0012】
アルカノールの蒸留過程で使用することができる分離壁型蒸留塔100の具体的な種類は、特に制限されない。例えば、図1に示されたような一般的な構造の分離壁型蒸留塔100を使用するか、精製効率を考慮して蒸留塔内の分離壁101の位置や形態が変更設計された蒸留塔の使用も可能である。また、蒸留塔の段数及び内径などは、特に制限されず、例えば、原料110の組成を考慮した蒸留曲線から類推される理論段数などを基盤として設定することができる。
【0013】
いわゆる低沸点、中沸点及び高沸点の3成分を含む原料110から精製工程を行うために、前記原料110を図1のように分離壁型蒸留塔100の原料供給領域106に導入することができる。前記で原料供給領域106に流入された原料110は、生成物流れ140、塔底流れ130及び塔頂流れ120に分離して流出されることができる。例えば、前記原料110は、前記分離壁型蒸留塔100の原料供給領域106に流入された後、前記分離壁型蒸留塔100の塔頂領域104では、前記原料110の成分のうち相対的に低沸点成分である塔頂流れ120が排出され、前記分離壁型蒸留塔100の塔底領域105では、前記原料110の成分のうち相対的に高沸点成分である塔底流れ130が排出される。また、中沸点成分は、前記生成物流出領域107で生成物流れ140として排出されることができる。1つの例示で、前記分離壁型蒸留塔100でオクタノール、例えば2−エチルヘキサノールを含む原料110が流入されれば、前記分離壁型蒸留塔100の塔頂領域104でそれぞれ前記原料110の成分のうち相対的に低沸点成分である低沸点流れが排出され、前記分離壁型蒸留塔100の塔底領域105で前記原料110の成分のうち相対的に高沸点成分である高沸点流れが分離して排出される。また、前記原料110の成分のうち相対的に中沸点成分である2−エチルヘキサノールのようなオクタノールを含む生成物流れ140は、前記分離壁型蒸留塔100の生成物流出領域107、例えば、上部流出領域1071または下部流出領域1072で排出される。前記で分離壁型蒸留塔100の塔頂流れ120は、凝縮器102を経て一部は前記塔の塔頂領域104に還流され、残りの一部は、製品として貯蔵されることができる。また、前記分離壁型蒸留塔100の高沸点流れは、再沸器103を経てその一部は、前記塔の塔底領域105に還流され、残りの一部は、製品として生産されることができる。前記で用語「低沸点流れ」は、分離壁型蒸留塔100の塔頂領域104で排出される相対的に沸点が低い低沸点成分が濃厚(rich)な流れを意味し、用語「高沸点流れ」は、分離壁型蒸留塔100の塔底領域105で排出される相対的に沸点が高い高沸点成分が濃厚な流れを意味する。また、用語「生成物流れ」は、分離壁型蒸留塔100の生成物流出領域107で流出される生成物、すなわち中沸点成分が濃厚な流れを意味する。前記で用語「濃厚な流れ」というのは、原料110に含まれた低沸点成分、高沸点成分及び中沸点成分それぞれの含量よりも塔頂領域104で排出される流れに含まれた低沸点成分、塔底領域105で排出される流れに含まれた高沸点成分及び生成物流出領域107で排出される流れに含まれた中沸点成分それぞれの含量がさらに高い流れを意味し、例えば、塔頂領域104、塔底領域105、生成物流出領域107で排出される各流れに含まれた低沸点成分、高沸点成分及び低沸点成分それぞれの含量が50重量%以上、80重量%以上、90重量%以上、95重量%以上または99重量%以上の流れを意味することができる。本明細書では、低沸点流れと塔頂流れ120は、同一の意味で使用されることができ、高沸点流れと塔底流れ130は、同一の意味で使用されることができ、中沸点流れと生成物流れ140は、同一の意味で使用されることができる。
【0014】
本発明の一具現例で、前記製造装置は、熱交換器を含むことができる。
前記熱交換器は、前記塔頂流れ120、塔底流れ130及び生成物流れ140よりなる群から選択された1つ以上の流れの一部または全部を熱交換させることができ、これによって、アルカノール、例えば、2−エチルヘキサノールの製造過程で発生するエネルギー損失を最小化しながらも、高純度のアルカノールを分離精製することができる。1つの例示で、前記熱交換器は、塔頂流れ120の一部または全部を水と熱交換するか、または前記塔頂流れ120、塔底流れ130及び生成物流れ140よりなる群から選択された1つ以上の流れの一部または全部を原料供給領域106に流入される原料110と熱交換させることができる。
【0015】
図2は、本発明の第1実施例による前記アルカノールの製造装置を示す図である。
1つの例示で、図2に示されたように、前記熱交換器は、塔頂流れ用熱交換器300であることができる。前記で塔頂流れ用熱交換器300は、前記製造装置の低沸点流れが流れる配管に直接または間接的に連結されるように位置することができ、熱力学的な観点から、好ましくは、前記塔頂流れ用熱交換器300は、前記蒸留塔100の低沸点流れが流れる配管に直接連結されることができる。また、前記塔頂流れ用熱交換器300は、例えば、前記塔頂流れ120が熱交換器300及び凝縮器102を順次に通過するように前記凝縮器102の前段に位置することができる。前記低沸点流れは、例えば、前記塔頂流れ用熱交換器300及び凝縮器102を順次に通過した後、前記凝縮器102を通過した低沸点流れのうち一部が前記蒸留塔100に還流されることができる。
【0016】
前記のように、塔頂流れ用熱交換器300をさらに含むことによって、前記分離壁型蒸留塔100の低沸点流れが前記塔頂流れ用熱交換器300を経由し、前記塔頂流れ用熱交換器300に熱を供給するようになる。これによって、低沸点流れは、相対的に低い温度で前記分離壁型蒸留塔100に還流されるようになる。この場合、低沸点流れが前記分離壁型蒸留塔100に還流される前に凝縮器102を利用した凝縮工程で使用される冷却水の量を減らすことによって、前記凝縮工程で所要される費用を節減することができる。
【0017】
1つの例示で、前記塔頂流れ用熱交換器300は、スチーム生成熱交換器であることができる。例示的な前記製造装置では、前記低沸点流れが前記塔頂流れ用スチーム生成熱交換器300を経由することによって、前記塔頂流れ用熱交換器300は、前記塔頂領域104で流出される低沸点流れの一部または全部を水と熱交換して高温のスチームを生産することができる。前記熱交換器300で生成された高温のスチームは、例えば、オクタノールの製造工程で利用される蒸発器(Vaporizer)、脱去塔(Stripping Column)または異性体分離塔(Isomer Column)などの熱源として使用されることができる。この場合、前記熱交換が行われた後、蒸留塔100に還流される低沸点流れの還流比は、1〜100であることができ、熱力学的な観点から、好ましくは5〜70、より好ましくは18.5〜25.5であることができる。前記のように、還流比が100以下、好ましくは70以下、より好ましくは25.5以下の範囲に調節されることによって、塔頂流れ用熱交換器300を通じて水と熱交換された100〜120℃の塔頂流れ120のうち蒸留塔100に還流される塔頂流れの還流に必要なエネルギー消耗量を最小化すると同時に、塔頂流れ120の一部を高純度の製品として生産することができる。また、この場合、還流比を5〜70、好ましくは18〜25.5の範囲内に調節することによって、生成物流れから高純度の、例えば、純度が99.0%以上の2−エチルヘキサノールを生産することができる。本明細書で使用される用語「還流比」は、前記蒸留塔100で流出される流出流量に対する還流される流量の比を意味する。
【0018】
図3は、本発明の第2実施例による例示的な製造装置を示す図である。
図3に示されたように、前記塔頂流れ用熱交換器310は、原料予熱熱交換器であることができる。例示的な前記製造装置では、前記低沸点流れが前記塔頂流れ用原料予熱熱交換器310を経由することによって、前記塔頂領域104で流出される低沸点流れの一部または全部を原料供給領域106に流入される原料110と熱交換して原料110を予熱することができる。前記のように、低沸点流れを低温の分離壁型蒸留塔100に流入される原料110と熱交換をさせることによって、前記分離壁型蒸留塔100に流入される原料110を予熱することができ、これによって、前記分離壁型蒸留塔100に流入される原料110の温度を高めるためのヒーターまたは分離壁型蒸留塔100の塔底領域105で排出される塔底流れ130を加熱するための再沸器103で使用されるエネルギー消耗量を減らすことができる。さらに、前記分離壁型蒸留塔100の低沸点流れが前記分離壁型蒸留塔100の塔頂領域104に還流される前に凝縮器102を利用した凝縮工程で使用される冷却水の量を減らすことによって、前記凝縮工程で所要される費用を節減することができる。この場合、前記熱交換が行われた後、蒸留塔100に還流される低沸点流れの還流比は、1〜100であることができ、熱力学的な観点から、好ましくは5〜70、より好ましくは8.4〜17.3であることができる。前記のように、還流比が100以下、好ましくは70以下、より好ましくは17.3以下の範囲に調節されることによって、塔頂流れ用熱交換器300を通じて原料と熱交換された90〜100℃の塔頂流れ120のうち蒸留塔100に還流される塔頂流れの還流に必要なエネルギー消耗量を最小化すると同時に、塔頂流れ120の一部を高純度の製品として生産することができる。また、この場合、還流比を5〜70、好ましくは8.4〜17.3の範囲内に調節することによって、生成物流れから高純度の、例えば、純度が99.0%以上の2−エチルヘキサノールを生産することができる。
【0019】
本発明のさらに他の具現例で、前記熱交換器は、生成物流れ用熱交換器であることができ、1つの例示で、原料予熱熱交換器であることができる。
【0020】
図4は、本発明の第3実施例による例示的な製造装置を示す図である。
図4に示されたように、例示的な前記製造装置では、前記中沸点流れを含む生成物流れ140が前記生成物流れ用原料予熱熱交換器400を経由することによって、前記生成物流出領域107で流出される中沸点流れの一部または全部を原料供給領域106に流入される原料110と熱交換して原料110を予熱することができる。例えば、前記分離壁型蒸留塔100の生成物流出領域107で流出される生成物流れ140が前記生成物流れ用熱交換器400を経由することによって、前記生成物流れ用熱交換器400は、前記生成物流出領域107で流出される生成物流れ140の一部または全部を原料供給領域106に流入される原料110と熱交換して原料110を予熱することができる。前記生成物流れ用熱交換器400によって、高温の分離壁型蒸留塔100の生成物流出領域107で排出された生成物流れ140は、前記配管に沿って流れて、生成物流れ用熱交換器400で前記分離壁型蒸留塔100に流入される原料110と熱交換をした後に、冷却器600を順次に経て製品として生産されることができる。前記のように、生成物流れ140を低温の分離壁型蒸留塔100に流入される原料110と熱交換をさせることによって、前記分離壁型蒸留塔100に流入される原料110を予熱することができ、これによって、前記分離壁型蒸留塔100に流入される原料110の温度を高めるためのヒーターまたは分離壁型蒸留塔100の塔底領域105で排出される塔底流れ130を加熱するための再沸器103で使用されるエネルギー消耗量を減らすことができる。さらに、前記オクタノールを含む流れが製品として生産される前に冷却器600を利用した冷却工程で使用される冷却水の量を減らすことによって、前記冷却工程で所要される費用を節減することができる。この場合、前記熱交換が行われた後、蒸留塔100に還流される低沸点流れ、すなわち塔頂流れの還流比は、1〜100であることができ、熱力学的な観点から、好ましくは5〜70、より好ましくは15.2〜18.5であることができる。前記のように、塔頂流れの還流比が100以下、好ましくは70以下、より好ましくは18.5以下の範囲に調節されることによって、生成物流れ用熱交換器400を通じて原料と熱交換された40〜100℃の生成物流れ120のうち貯蔵タンクに流入される生成物流れ140の冷却に必要なエネルギー消耗量を最小化すると同時に、塔頂流れ120の一部を高純度の製品として生産することができる。また、この場合、還流比を5〜70、好ましくは15.2〜18.5の範囲内に調節することによって、生成物流れ140から高純度の、例えば、純度が99.0%以上の2−エチルヘキサノールを生産することができる。
【0021】
1つの例示で、前記製造装置は、前記塔頂流れ用熱交換器300及び前記生成物流れ用熱交換器400をすべて含むことができる。例えば、前記製造装置が塔頂流れ用熱交換器300及び生成物流れ用熱交換器400をすべて含む場合、前記塔頂流れ用熱交換器300は、スチーム生成熱交換器であることができる。例えば、前述したように、前記分離壁型蒸留塔100の低沸点流れ、すなわち塔頂流れ120の一部または全部は、前記塔頂流れ用スチーム生成熱交換器300を経由することによって、水と熱交換をしてスチームを生成することができ、前記塔頂流れ用スチーム生成熱交換器300で生成されたスチームは、例えば、前記分離壁型蒸留塔100に原料110を流入する前に再沸器103を利用した加熱工程で利用されることができるか、またはオクタノールの製造工程で利用される蒸発器(Vaporizer)、脱去塔(Stripping Column)、異性体分離塔(Isomer Column)などの熱源として使用されることができる。また、前記のように、原料110と熱交換を行うことができるように形成された配管システム及び生成物流れ用熱交換器400によるエネルギー節減及び費用節減効果だけでなく、前述したように、前記塔頂流れ用熱交換器を含むことによって、前記分離壁型蒸留塔100の低沸点流れの一部が分離壁型蒸留塔100の塔頂領域104に還流される前に凝縮器102を利用した凝縮工程で使用される冷却水の量を減らすことによって、前記凝縮工程で所要される費用を節減することができる効果をさらに得ることができる。この場合、前記熱交換が行われた後、蒸留塔100に還流される低沸点流れの還流比は、1〜100であることができ、熱力学的な観点から、好ましくは5〜70、より好ましくは7.2〜16.5であることができる。前記のように、還流比が100以下、好ましくは70以下、より好ましくは16.5以下の範囲に調節されることによって、生成物流れ用熱交換器400を通じて熱交換の行われた原料が蒸留塔に流入された後に、塔頂領域で100〜120℃の温度で流出される場合、塔頂流れ用熱交換器300を通じて熱交換された40〜120℃の塔頂流れ120のうち蒸留塔100に還流される塔頂流れの還流に必要なエネルギー消耗量を最小化すると同時に、塔頂流れの一部を高純度の製品として生産することができる。また、この場合、還流比を5〜70、好ましくは7.2〜16.5の範囲内に調節することによって、生成物流れ140から高純度の、例えば、純度が99.0%以上の2−エチルヘキサノールを生産することができる。
【0022】
また、図示してはいないが、例示的な本発明のアルカノール製造装置は、塔頂流れ用原料予熱熱交換器310及び生成物流れ用熱交換器400を含むことができる。例えば、低沸点流れを塔頂流れ用原料予熱熱交換器310を通じて分離壁型蒸留塔100に流入される低温の原料110と熱交換をさせることによって、前記分離壁型蒸留塔100に流入される原料110を予熱することができ、原料110が充分に予熱されない場合、生成物流れ用熱交換器400を通じて原料の追加的な予熱が行われることができる。これによって、前記分離壁型蒸留塔100に流入される原料110の温度を高めるためのヒーターまたは分離壁型蒸留塔100の塔底領域105で排出される塔底流れ130を加熱するための再沸器103で使用されるエネルギー消耗量を減らすことができる。さらに、前記分離壁型蒸留塔100の低沸点流れが前記分離壁型蒸留塔100の塔頂領域104に還流される前に凝縮器102を利用した凝縮工程で使用される冷却水の量を減らすことによって、前記凝縮工程で所要される費用を節減することができる。1つの例示で、前記塔頂流れ用原料予熱熱交換器310を通過して予熱された原料と生成物流れ140の温度差△Tminが5℃以上になるように生成物流れの温度を調節することができ、例えば、生成物流れが流れる配管の圧力を減圧または加圧して調節することができる。ひいては、この場合、前記熱交換が行われた後、蒸留塔100に還流される低沸点流れの還流比は、1〜100であることができ、熱力学的な観点から、好ましくは5〜70、より好ましくは6.8〜16.1であることができる。前記のように、還流比が100以下、好ましくは16.1以下の範囲に調節されることによって、生成物流れ用熱交換器400を通じて熱交換の行われた原料が蒸留塔に流入された後に塔頂領域104で100〜120℃の温度に流出される場合、塔頂流れ用熱交換器310を通じて熱交換された40〜120℃の温度で蒸留塔100に還流される塔頂流れ120を塔頂流れ120の還流に必要なエネルギー消耗量を最小化すると同時に、塔頂流れの一部を高純度の製品として生産することができる。
【0023】
本発明のさらに他の具現例で、前記熱交換器は、塔底流れ用熱交換器であることができ、1つの例示で、原料予熱熱交換器であることができる。
【0024】
図5は、本発明の第4実施例による例示的な製造装置を示す図である。
図5に示されたように、例示的な前記製造装置では、前記塔底領域105で流出された高沸点流れの一部は、再沸器を通じて塔底領域105に還流され、高沸点流れの残りの一部または全部は、配管に沿って流れて、塔底流れ用原料予熱熱交換器500で前記分離壁型蒸留塔100に流入される原料110と熱交換をした後に、冷却器601を順次に経て製品として生産されることができる。前記塔底流れ用原料予熱熱交換器500を経由することによって、前記塔底領域105で流出される高沸点流れの一部または全部を原料供給領域106に流入される原料110と熱交換して原料110を予熱することができる。例えば、高沸点流れを塔底流れ用原料予熱熱交換器500を通じて分離壁型蒸留塔100に流入される低温の原料110と熱交換をさせることによって、前記分離壁型蒸留塔100に流入される原料110を予熱することができ、これによって、前記分離壁型蒸留塔100の低沸点流れ、すなわち塔頂流れ120が前記分離壁型蒸留塔100の塔頂領域104に還流される前に凝縮器102を利用した凝縮工程で使用される冷却水の量を減らすことによって、前記凝縮工程で所要される費用を節減することができる。さらに、前記高沸点流れが製品として生産される前に冷却器601を利用した冷却工程で使用される冷却水の量を減らすことによって、前記冷却工程で所要される費用を節減することができる。また、この場合、前記熱交換が行われた後、蒸留塔100に還流される低沸点流れ、すなわち塔頂流れ120の還流比は、1〜100であることができ、熱力学的な観点から、好ましくは5〜70、より好ましくは16.6〜19.8であることができる。前記のように、還流比が100以下、好ましくは70以下、より好ましくは19.8以下の範囲に調節されることによって、塔底流れ用熱交換器500を通じて原料と熱交換された40〜100℃の塔底流れ130のうち貯蔵タンクに流入される塔底流れ130の冷却に必要なエネルギー消耗量を最小化すると同時に、塔頂流れ120の一部を高純度の製品として生産することができる。また、この場合、還流比を5〜70、好ましくは16.6〜19.8の範囲内に調節することによって、生成物流れ140から高純度の、例えば、純度が99.0%以上の2−エチルヘキサノールを生産することができる。
【0025】
1つの例示で、前記製造装置は、図示してはいないが、塔底流れ用原料予熱熱交換器500及び生成物流れ用熱交換器400を含むことができる。例えば、生成物流れを、生成物流れ用原料予熱熱交換器400を通じて低温の分離壁型蒸留塔100に流入される原料110と熱交換をさせることによって、前記分離壁型蒸留塔100に流入される原料110を予熱することができ、原料110が充分に予熱されない場合、塔底流れ用熱交換器500を通じて原料の追加的な予熱が行われることができる。これによって、前記分離壁型蒸留塔100に流入される原料110の温度を高めるためのヒーターまたは分離壁型蒸留塔100の塔底領域105で排出される塔底流れ130を加熱するための再沸器103で使用されるエネルギー消耗量を減らすことができる。さらに、前記分離壁型蒸留塔100の低沸点流れが前記分離壁型蒸留塔100の塔頂領域104に還流される前に凝縮器102を利用した凝縮工程で使用される冷却水の量を減らすことによって、前記凝縮工程で所要される費用を節減することができる。1つの例示で、前記生成物流れ用原料予熱熱交換器400を通過して予熱された原料と塔底流れの温度差△Tminが5℃以上になるように塔底流れ130の温度を調節することができ、例えば、塔底流れ130が流れる配管の圧力を減圧または加圧して調節することができる。ひいては、この場合、前記熱交換が行われた後、蒸留塔100に還流される低沸点流れ、すなわち塔頂流れ120の還流比は1〜100であることができ、熱力学的な観点から、好ましくは5〜70、より好ましくは12.1〜17.0であることができる。前記のように、還流比が100以下、好ましくは17.0以下の範囲に調節されることによって、生成物流れ140から高純度の、例えば、純度が99.0%以上の2−エチルヘキサノールを生産することができる。
【0026】
また、図示してはいないが、1つの例示で、前記製造装置は、塔頂流れ用原料予熱熱交換器310及び塔底流れ用原料予熱熱交換器500を含むことができる。例えば、前記分離壁型蒸留塔の塔頂流れ120を、塔頂流れ用原料予熱熱交換器310を通じて低温の分離壁型蒸留塔100に流入される原料110と熱交換をさせることによって、前記分離壁型蒸留塔100に流入される原料110を予熱することができ、原料110が充分に予熱されない場合、塔底流れ用熱交換器500を通じて原料の追加的な予熱が行われることができる。
【0027】
本発明のさらに1つの具現例は、凝縮器、再沸器、塔頂流れ用スチーム生成熱交換器、原料予熱熱交換器及び分離壁が具備された分離壁型蒸留塔を含むアルカノールの製造装置を提供する。
【0028】
図6は、例示的な本発明のアルカノール製造装置の第5実施例を示す図である。
図6のように、本発明のアルカノール製造装置は、凝縮器102、再沸器103、分離壁101が具備され、原料供給領域106、生成物流出領域107、塔頂領域104及び塔底領域105に区分される分離壁型蒸留塔100を含むことができ、前記分離壁型蒸留塔100は、また、塔頂流れ用熱交換器300及び原料予熱熱交換器を含むことができる。前述したように、オクタノール、例えば2−エチルヘキサノールを含む原料110は、前記分離壁型蒸留塔100の原料供給領域106に流入されることができ、流入された前記原料110は、生成物流れ140、高沸点流れ及び低沸点流れに分離して流出されることができる。また、前記で高沸点流れは、塔底領域105で流出され、前記高沸点流れのうち一部は、再沸器103を通じて蒸留塔100に還流されることができ、前記で低沸点流れは、塔頂領域104で流出されて凝縮器102を通過し、前記凝縮器102を通過した流れのうち一部は、蒸留塔100に還流されることができる。
【0029】
1つの例示で、前記塔頂流れ用熱交換器300は、スチーム生成熱交換器であることができる。例えば、前述したように、前記分離壁型蒸留塔100の低沸点流れの一部または全部は、前記塔頂流れ用熱交換器300を経由することによって、水と熱交換をしてスチームを生成することができ、前記塔頂流れ用熱交換器300で生成されたスチームは、例えば、前記分離壁型蒸留塔100に原料110を流入する前にヒーターを利用した加熱工程で利用されることができるかまたはオクタノールの製造工程で利用される蒸発器(Vaporizer)、脱去塔(Stripping Column)、異性体分離塔(Isomer Column)などの熱源として使用されることができる。また、前記のように、原料110と熱交換を行うことができるように形成された配管システム及び生成物流れ用熱交換器400によるエネルギー節減及び費用節減効果だけでなく、前述したように、前記塔頂流れ用熱交換器300を含むことによって、前記分離壁型蒸留塔100の低沸点流れの一部が分離壁型蒸留塔100の塔頂領域104に還流される前に凝縮器102を利用した凝縮工程で使用される冷却水の量を減らすことによって、前記凝縮工程で所要される費用を節減することができる効果をさらに得ることができる。
【0030】
また、前記分離壁型蒸留塔は、原料予熱熱交換器を含む。1つの例示で、前記原料予熱熱交換器は、前記塔底流れ130または生成物流れ140の一部または全部を原料供給領域に流入される原料と熱交換して原料を昇温させる。
【0031】
本発明の一具現例で、図6に示されたように、前記原料予熱熱交換器は、生成物流れ用熱交換器400であることができる。前記で生成物流れ用熱交換器400は、前記製造装置の生成物流れ140が流れる配管に直接または間接的に連結されるように位置することができ、熱力学的な観点から、好ましくは前記生成物流れ用熱交換器400は、前記蒸留塔100の生成物流れ140が流れる配管に直接連結されることができる。
【0032】
前記のように、連結された生成物流れ用熱交換器400によって、前記分離壁型蒸留塔100の生成物流れ140が前記生成物流れ用熱交換器400を経由することによって、前記生成物流れ用熱交換器400に熱を供給するようになる。前記のように、生成物流れ140を分離壁型蒸留塔100に流入される低温の原料110と熱交換をさせることによって、前記分離壁型蒸留塔100に流入される原料110を予熱して昇温させることができ、これによって、前記分離壁型蒸留塔100に流入される原料110の温度を高めるためのヒーターまたは分離壁型蒸留塔100の塔底領域105で排出される塔底流れ130を加熱するための再沸器103で使用されるエネルギー消耗量を減らすことができる。さらに、前記オクタノールを含む流れが製品として生産される前に冷却器600を利用した冷却工程で使用される冷却水の量を減らすことによって、前記冷却工程で所要される費用を節減することができる。
【0033】
また、この場合、前記熱交換が行われた後、蒸留塔100に還流される塔頂流れの還流比は、1〜100であることができ、熱力学的な観点から、好ましくは5〜70、より好ましくは7.2〜16.5であることができる。前記のように、還流比が100以下、好ましくは16.5以下の範囲に調節されることによって、生成物流れ用熱交換器を通じて熱交換の行われた原料が蒸留塔に流入された後に塔頂領域で100〜120℃の温度に流出される場合、塔頂流れ用熱交換器を通じて熱交換された40〜120℃の温度で蒸留塔100に還流される塔頂流れ120の還流に必要なエネルギー消耗量を最小化すると同時に、塔頂流れ120の一部を高純度の製品として生産することができる。また、この場合、還流比を5〜70、好ましくは7.2〜16.5の範囲内に調節することによって、生成物流れ140から高純度の、例えば、純度が99.0%以上の2−エチルヘキサノールを生産することができる。
【0034】
また、本発明のさらに1つの具現例で、前記分離壁型蒸留塔100は、また、塔頂流れ用熱交換器300及び原料予熱熱交換器を含むことができ、1つの例示で、前記原料予熱熱交換器は塔底流れ用熱交換器であることができる。
【0035】
図7は、例示的な本発明のアルカノール製造装置の第6実施例を示す図である。
前記で塔底流れ用熱交換器500は、前記製造装置の塔底流れ130が流れる配管に直接または間接的に連結されるように位置することができ、熱力学的な観点から、好ましくは前記塔底流れ用熱交換器500は、前記蒸留塔100の塔底流れ120が流れる配管に直接連結されることができる。
【0036】
前記のように連結された塔底流れ用熱交換器500によって、前記分離壁型蒸留塔100の塔底流れ130が前記塔底流れ用熱交換器500を経由することによって、前記塔底流れ用熱交換器500に熱を供給するようになる。前記のように、塔底流れ130を低温の分離壁型蒸留塔100に流入される原料110と熱交換をさせることによって、前記分離壁型蒸留塔100に流入される原料110を予熱して昇温させることができ、これによって、前記分離壁型蒸留塔100に流入される原料110の温度を高めるためのヒーターまたは分離壁型蒸留塔100の塔底領域105で排出される塔底流れ130を加熱するための再沸器103で使用されるエネルギー消耗量を減らすことができる。さらに、前記高沸点流れが製品として生産される前に冷却器601を利用した冷却工程で使用される冷却水の量を減らすことによって、前記冷却工程で所要される費用を節減することができる。また、この場合、前記熱交換が行われた後、蒸留塔100に還流される塔頂流れ120の還流比は、1〜100であることができ、熱力学的な観点から、好ましくは5〜70、より好ましくは8.1〜17.1であることができる。前記のように、還流比が100以下、好ましくは70以下、より好ましくは17.1以下の範囲に調節されることによって、生成物流れ140から高純度の、例えば、純度が99.0%以上の2−エチルヘキサノールを生産することができる。
【0037】
本発明は、また、アルカノールの製造方法に関し、例えば、前記製造方法は、前述したアルカノールの製造装置によって行われることができる。例示的な方法は、前記化学式1の化合物、例えば、2−エチルヘキサノールのようなオクタノールを含む原料110を分離壁型蒸留塔100に流入する段階と;前記分離壁型蒸留塔100に流入された原料110を蒸留して生成物流れ140、塔底流れ130及び塔頂流れ120に分離して流出する段階とを含むことができる。
【0038】
[化学式1]
R−OH
【0039】
前記化学式1で、Rはアルキル基である。
【0040】
1つの例示で、前記製造方法では、前記塔頂流れ120の一部または全部を前記蒸留塔100に流入される原料110または蒸留塔100外部の水と熱交換させることができる。
【0041】
例えば、前記塔頂流れ120の全部または一部を低温の分離壁型蒸留塔100に流入される原料110と熱交換をさせることによって、前記分離壁型蒸留塔100に流入される原料110を予熱することができ、これによって、前記分離壁型蒸留塔100に流入される原料110の温度を高めるためのヒーターまたは分離壁型蒸留塔100の塔底領域105で排出される塔底流れ130を加熱するための再沸器103で使用されるエネルギー消耗量を減らすことができる。さらに、前記分離壁型蒸留塔100の塔頂流れ120が前記分離壁型蒸留塔100の塔頂領域104に還流される前に凝縮器102を利用した凝縮工程で使用される冷却水の量を減らすことによって、前記凝縮工程で所要される費用を節減することができる。1つの例示で、前記熱交換が行われた後、蒸留塔100に還流される塔頂流れ120の還流比は、1〜100に調節されることができ、熱力学的な観点から、好ましくは5〜70、より好ましくは8.4〜17.3に調節されることができる。
【0042】
また、前記塔頂流れ120の一部または全部を蒸留塔100外部の水と熱交換することによって、高温のスチームを生産することができ、生成された高温のスチームは、例えば、オクタノールの製造工程で利用される蒸発器(Vaporizer)、脱去塔(Stripping Column)または異性体分離塔(Isomer Column)などの熱源として使用されることができる。1つの例示で、前記熱交換が行われた後、蒸留塔100に還流される塔頂流れ120の還流比は、1〜100に調節されることができ、熱力学的な観点から、好ましくは5〜70、より好ましくは18.5〜25.5に調節されることができる。
【0043】
1つの例示で、前記製造方法では、また、生成物流れ140または塔底流れの一部または全部を前記蒸留塔100に流入される原料110とさらに熱交換させることができる。
【0044】
例えば、前記製造方法では、前記塔頂流れ120の一部または全部を前記蒸留塔100外部の水と熱交換させ、前記生成物流れ140の一部または全部を前記蒸留塔100に流入される原料110と熱交換させることができる。この場合、前記熱交換が行われた後、蒸留塔100に還流される塔頂流れ120の還流比は、1〜100に調節されることができ、熱力学的な観点から、好ましくは5〜70、より好ましくは7.2〜16.5に調節されることができる。
【0045】
1つの例示で、前記塔頂流れ120の一部または全部と前記生成物流れ140の一部または全部を前記蒸留塔100に流入される原料110と熱交換させることができる。この際、前記熱交換が行われた後、蒸留塔100に還流される塔頂流れ120の還流比は、1〜100に調節されることができ、熱力学的な観点から、好ましくは5〜70、より好ましくは8.4〜17.3に調節されることができる。
【0046】
また、前記製造方法では、前記塔頂流れ120の一部または全部を前記蒸留塔100外部の水と熱交換させ、前記塔底流れの一部または全部を前記蒸留塔100に流入される原料110と熱交換させることができる。この場合、前記熱交換が行われた後、蒸留塔100に還流される塔頂流れ120の還流比は1〜100に調節されることができ、熱力学的な観点から、好ましくは5〜70、より好ましくは8.1〜17.1に調節されることができる。
【0047】
1つの例示で、前記塔頂流れ120の一部または全部と前記塔底流れ130の一部または全部を前記蒸留塔100に流入される原料110と熱交換させることができる。この際、前記熱交換が行われた後、蒸留塔100に還流される塔頂流れ120の還流比は、1〜100に調節されることができ、熱力学的な観点から、好ましくは5〜70、より好ましくは9.1〜17.6に調節されることができる。
【0048】
また、1つの例示で、前記生成物流れ140の一部または全部と前記塔底流れ130の一部または全部を前記蒸留塔100に流入される原料110と熱交換させることができる。この際、前記熱交換が行われた後、蒸留塔100に還流される塔頂流れ120の還流比は、1〜100に調節されることができ、熱力学的な観点から、好ましくは5〜70、より好ましくは12.1〜17.0に調節されることができる。
【0049】
または、前記塔頂流れ120の一部または全部を前記蒸留塔100外部の水と熱交換させ、前記塔頂流れ120の一部または全部と前記生成物流れ140の一部または全部を前記蒸留塔100に流入される原料110と熱交換させることができる。この場合、前記熱交換が行われた後、蒸留塔100に還流される塔頂流れ120の還流比は、1〜100に調節されることができ、熱力学的な観点から、好ましくは5〜70、より好ましくは7.2〜16.5に調節されることができる。
【0050】
前記のように、塔底流れ130及び/または生成物流れ140の一部または全部を低温の分離壁型蒸留塔100に流入される原料110と熱交換をさらに行うことによって、前記塔頂流れ120の一部または全部を前記蒸留塔100に流入される原料110または蒸留塔100外部の水と熱交換させることによるエネルギー節減及び費用節減効果だけでなく、前記分離壁型蒸留塔100に流入される原料110を予熱して昇温させることができ、これによって、前記分離壁型蒸留塔100に流入される原料110の温度を高めるためのヒーターまたは分離壁型蒸留塔100の塔底領域105で排出される塔底流れ130を加熱するための再沸器103で使用されるエネルギー消耗量を減らすことができる。さらに、前記オクタノールを含む中沸点流れ及び/または高沸点流れが製品として生産される前に冷却器600、601を利用した冷却工程で使用される冷却水の量を減らすことによって、前記冷却工程で所要される費用を節減することができる。
【0051】
1つの例示で、前記方法で、前記分離壁型蒸留塔100の塔頂流れ120または生成物流れ140と熱交換を行う前の分離壁型蒸留塔100に流入される原料110の温度は、30℃〜50℃に維持されることができ、前記分離壁型蒸留塔100の塔頂流れ120または生成物流れ140と熱交換を行った後の分離壁型蒸留塔100に流入される原料110の温度は、60℃〜130℃に維持されることができる。
【0052】
1つの例示で、本発明のアルカノールの製造方法では、例えば、分離壁型蒸留塔100の上部運転圧力を0.01Kg/cm〜10Kg/cmに維持しながら分離工程を進行することができる。また、前記方法では、例えば、分離壁型蒸留塔100の下部運転圧力を0.3Kg/cm〜11Kg/cmに維持しながら分離工程を進行することができる。
【発明の効果】
【0053】
本発明によれば、アルカノールの製造時に装置の再沸器で使用されるスチームまたは凝縮器及び冷却器での冷却水の使用量を減らしてエネルギー節減を図ることができ、塔頂流れ用熱交換器を通じて生成されたスチームを多様な分野に利用することができる。また、本発明によれば、高純度のアルカノールを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1は、例示的な分離壁型蒸留塔を示す図である。
図2図7は、例示的なアルカノールの製造装置の具現例を示す図である。
図8は、比較例で使用したアルカノールの製造装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下、本発明による実施例及び本発明によらない比較例を通じて本発明を詳しく説明するが、本発明の範囲が下記提示された実施例によって制限されるものではない。
【0056】
実施例1
図2のように、分離壁型蒸留塔を使用してオクタノールを製造した。具体的には、2−エチルヘキサノールを含む原料を分離壁型蒸留塔に導入して分離工程を行い、かつ、前記分離壁型蒸留塔の下部運転圧力は、約0.8Kg/cmであり、運転温度は、約160°Cとなるようにし、前記分離壁型蒸留塔の上部運転圧力は、約0.3Kg/cmであり、運転温度は、約95°Cとなるようにした。また、分離壁型蒸留塔の塔底領域で排出される高沸点流れの一部は、再沸器を経て分離壁型蒸留塔に還流させた。また、分離壁型蒸留塔の塔頂領域で排出される低沸点流れ及び水の一部は、凝縮器を経て分離壁型蒸留塔に再導入させ、他の一部は、製品として分離した。この際、分離壁型蒸留塔の塔頂領域で排出される低沸点成分及び水が凝縮器を経る前に、塔頂流れ用スチーム生成熱交換器を経由するようにし、この場合、前記分離壁型蒸留塔の塔頂流れの還流比は、18.5〜25.5となるように設定した。
【0057】
実施例2
図3のように、分離壁型蒸留塔の塔頂領域で排出される低沸点成分及び水が凝縮器を経る前に、分離壁型蒸留塔に導入される原料と塔頂流れ用原料予熱熱交換器を利用して熱交換を行うようにしたことを除いて、実施例1と同一の方法によって、オクタノールを精製した。この場合、前記分離壁型蒸留塔の塔頂流れの還流比は、8.4〜17.3になるように設定した。
【0058】
実施例3
図4のように、分離壁型蒸留塔の生成物領域で排出される生成物流れが冷却器を経て貯蔵タンクに流入される前に分離壁型蒸留塔に導入される原料と生成物流れ用原料予熱熱交換器を利用して熱交換を行うようにしたことを除いて、実施例1と同一の方法によって、オクタノールを精製した。この場合、前記分離壁型蒸留塔の塔頂流れの還流比は、15.2〜18.5となるように設定した。
【0059】
実施例4
図5のように、分離壁型蒸留塔の塔底領域で排出される塔底流れの一部は、再沸器を経て塔底領域に還流させ、残りの一部を分離壁型蒸留塔に導入される原料と塔底流れ用原料予熱熱交換器を利用して熱交換を行うようにしたことを除いて、実施例1と同一の方法によって、オクタノールを精製した。この場合、前記分離壁型蒸留塔の塔頂流れの還流比は、16.6〜19.8になるように設定した。
【0060】
実施例5
図6のように、分離壁型蒸留塔の生成物流出領域で排出されるオクタノールの生成物流れが冷却器を経る前に、分離壁型蒸留塔に導入される原料と生成物流れ用原料予熱熱交換器を利用して熱交換を行い、分離壁型蒸留塔の塔頂領域で排出される低沸点成分及び水が凝縮器を経る前に、塔頂流れ用スチーム生成熱交換器を経由するようにしたことを除いて、実施例1と同一の方法によって、オクタノールを精製した。この場合、前記分離壁型蒸留塔の塔頂流れの還流比は、7.2〜16.5となるように設定した。
【0061】
実施例6
図7のように、分離壁型蒸留塔の塔底領域で排出される塔底流れの一部は、再沸器を経て塔底領域に還流させ、残りの一部を分離壁型蒸留塔に導入される原料と塔底流れ用原料予熱熱交換器を利用して熱交換を行い、分離壁型蒸留塔の塔頂領域で排出される低沸点成分及び水が凝縮器を経る前に、塔頂流れ用スチーム生成熱交換器を経由するようにしたことを除いて、実施例1と同一の方法によって、オクタノールを精製した。この場合、前記分離壁型蒸留塔の塔頂流れの還流比は、8.1〜17.1になるように設定した。
【0062】
比較例
図8のように、一般型蒸留塔が順に連結された蒸留塔アセンブリーを利用してオクタノールを精製した。一番目の一般型蒸留塔の塔頂領域で排出される流れは、凝縮器を経て、一部は、一般型蒸留塔に還流され、残りの一部は、製品として生産された。一番目の一般型蒸留塔の塔底領域で排出される流れは、再沸器を経て、一部は、一般型蒸留塔に還流され、残りの一部は、二番目の一般型蒸留塔に流入された。二番目の蒸留塔の塔頂領域で排出される流れは、凝縮器を経て一部は、二番目の蒸留塔に還流され、残りの一部は、オクタノールとして生産された。二番目の蒸留塔の塔底領域で排出される流れは、再沸器を経て、一部は、二番目の蒸留塔に還流され、残りの一部は、製品として生産された。この場合、一番目の蒸留塔の塔頂流れの還流比は、10〜20になり、二番目の蒸留塔の塔頂流れの還流比は、1〜10になるように設定した。
【0063】
使用されたエネルギーの測定
前記実施例及び比較例の製造装置を使用してオクタノールを分離精製する場合、使用されるエネルギーを測定し、その結果は、下記表1に示す。
【0064】

【表1】
【0065】
前記表1から明らかなように、本発明の製造装置の実施例によってオクタノールを分離する場合、比較例に比べて最大60.5%までエネルギー節減効果が現われている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8