特許第6208513号(P6208513)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6208513
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】受発光装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/61 20060101AFI20170925BHJP
   G01N 21/03 20060101ALI20170925BHJP
   H01L 31/12 20060101ALI20170925BHJP
   G01N 21/3504 20140101ALI20170925BHJP
   G01N 21/3577 20140101ALI20170925BHJP
【FI】
   G01N21/61
   G01N21/03 B
   H01L31/12 H
   G01N21/3504
   G01N21/3577
【請求項の数】13
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-202033(P2013-202033)
(22)【出願日】2013年9月27日
(65)【公開番号】特開2015-68697(P2015-68697A)
(43)【公開日】2015年4月13日
【審査請求日】2016年9月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】303046277
【氏名又は名称】旭化成エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】カマルゴ エジソン ゴメス
【審査官】 佐々木 龍
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−522868(JP,A)
【文献】 特表2008−509381(JP,A)
【文献】 特開平08−247889(JP,A)
【文献】 特開2008−157809(JP,A)
【文献】 特開2009−257919(JP,A)
【文献】 特開平05−072130(JP,A)
【文献】 特開2008−309583(JP,A)
【文献】 米国特許第06331704(US,B1)
【文献】 CROWDER J G , et.al.,Minimally cooled InSb/lnAlSb LED and photodiode devices applied to nitrogen dioxide detection at ppm,ELECTRONICS LETTERS,2000年10月26日,Vol.36, No.22,p.1867-1869
【文献】 AIDARALIEV M , et.al.,Lattice-Matched GaInPAsSb/InAs Structures for Devices of Infrared Optoelectronics,SEMICONDUCTORS,2002年,Vol.36, No.8,p.944-949
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00−21/61
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と、
前記発光素子から出力された光が入射するようにそれぞれ配置された第1センサ部および第2センサ部を備え、
第1主面と該第1主面と対向する第2主面とを有し、該第1主面上に前記発光素子と前記第1センサ部とが設けられた第1基板と、
第1主面と該第1主面と対向する第2主面とを有し、該第1主面上に前記第2センサ部が設けられた第2基板と、をさらに備え、
前記第1センサ部の配置位置は、前記第1基板の第1主面であって、前記発光素子から出力されて該第1基板内に直接入射され該第1基板内を進行した光のうちの該第1基板の第2主面で反射して該第1基板内を戻ってきた光が該第1基板から直接入射する位置に設定されていることを特徴とする受発光装置。
【請求項2】
前記第2基板は、前記第1基板とは別の基板である請求項1に記載の受発光装置。
【請求項3】
前記発光素子と前記第1センサ部とは、前記第1基板の第1主面上に直接形成された化合物半導体積層部をそれぞれ有する請求項1又は請求項2に記載の受発光装置。
【請求項4】
前記第1センサ部と前記第2センサ部は、同一の温度特性を有することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の受発光装置。
【請求項5】
前記第1基板と前記第2基板とが互いに側面を対向させて隣り合って配置され、
前記第1基板と前記第2基板との間に設けられた光遮断部をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の受発光装置。
【請求項6】
前記第1基板及び前記第2基板からそれぞれ離れた位置に配置され、前記第1基板の第2主面から出射した光を前記第2センサ部に向けて反射する光反射部をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項の何れか一項に記載の受発光装置。
【請求項7】
前記第1基板の第2主面上に設けられ、前記発光素子から出力される光のうち、前記第1基板内で散乱する光の光量と、前記第1基板の第2主面から放射される光の光量及び放射角度とを制御する制御層をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項何れか一項に記載の受発光装置。
【請求項8】
前記第1基板の第2主面上に設けられ、前記発光素子から出力された光を前記第1センサ部に向けて反射する光反射層をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項の何れか一項に記載の受発光装置。
【請求項9】
前記第1センサ部と前記第2センサ部及び前記発光素子がそれぞれ、同一の材料で同一の積層構造からなることを特徴とする請求項1から請求項の何れか一項に記載の受発光装置。
【請求項10】
前記積層構造は、少なくともP型半導体とN型半導体の2種類の層からなるダイオード構造であり、且つ、インジウム若しくはアンチモンの何れかの材料を含むことを特徴とする請求項に記載の受発光装置。
【請求項11】
前記第1基板の第2主面から出射した光が前記第2センサ部に入射するまでの光路中に配置され、特定の波長帯のみを透過する光学フィルタをさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項10の何れか一項に記載の受発光装置。
【請求項12】
前記第1センサ部と前記第2センサ部は同一の構造の複数の受光部を有し、
該受光部の数は前記第1センサ部と前記第2センサ部とで異なることを特徴とする請求項1から請求項11の何れか一項に記載の受発光装置。
【請求項13】
前記第1基板と前記第2基板は、同一の材料からなることを特徴とする請求項1から請求項12の何れか一項に記載の受発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子は多くの用途に用いられており、室内/屋内の照明用途もさることながら、特定波長の光を発光する発光素子を用いた光学的装置(紫外光を用いた殺菌装置、反射光を用いた測距装置)にも用いられている。
さらに、発光素子と受光素子と組み合わせ、発光素子と受光素子間の空間状態を検知する受発光装置(特定空間内の物体検知装置、赤外光を用いたガスセンサ(特許文献1参照)等)にも用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2001−503865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発光素子は、使用環境や経時変化により、その発光特性が変化する。具体的には該発光強度の変化や、発光波長の変化が挙げられる。上述した受光素子の出力に基づいて、発光素子と受光素子間の空間状態を検知するような受発光装置の場合、発光素子の発光特性が変化すると、受光素子の出力から正確に空間状態を検知することが出来なくなってしまう。
【0005】
このような発光特性の変化を低減する方法としては、発光素子から出射された光をモニタリング用の受光素子で検知し、該モニタリング用の受光素子の出力に基づいて発光素子の発光特性の変化をモニタリングし、発光素子の動作を制御したり、状態検出用の受光素子の出力を補償したりする方法が挙げられる。しかし、モニタリング用の受光素子に到達する光も、同様に上記空間において減衰等の影響を受けるため、該空間の状態が変化すると正確にモニタリングできなくなる。
【0006】
光の波長が長い程(例えば3μm以上の赤外線)、上記の発光素子の劣化に加えて、受光素子の温度特性の問題もある。具体的には長波長の光を検知する光センサは、長波長の光子のエネルギーが小さいため、高感度化が実現困難だけではなく、センサ温度によって、感度は大きく変動してしまう。長波長の赤外線センサの例として、InSbやInAlSbやInAsSbの半導体材料を光吸収層に用いたフォトダイオード構造の量子型赤外線センサが挙げられる。これらの材料を用いた具体的な例としては、4.3μm付近の波長帯を扱うCOセンサや波長9.6μm付近の波長を使う血液中のグルーコーズセンサなどが挙げられる。
【0007】
即ち、本発明は、発光・受光の信号変動を補償し、空間状態の検知をより高精度に行うことを可能とした受発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、以下に示す受発光装置を想到するに至った。
即ち、本発明の一態様に係る受発光装置は、発光素子と、前記発光素子から出力された光が入射するようにそれぞれ配置された第1センサ部および第2センサ部を備え、第1主面と該第1主面と対向する第2主面とを有し、該第1主面上に前記発光素子と前記第1センサ部とが設けられた第1基板と、第1主面と該第1主面と対向する第2主面とを有し、該第1主面上に前記第2センサ部が設けられた第2基板と、をさらに備え、前記第1センサ部の配置位置は、前記第1基板の第1主面であって、前記発光素子から出力されて該第1基板内に直接入射され該第1基板内を進行した光のうちの該第1基板の第2主面で反射して該第1基板内を戻ってきた光が該第1基板から直接入射する位置に設定されていることを特徴とする。
また、上記の受発光装置において、前記第2基板は、前記第1基板とは別の基板としてもよい。
また、上記の受発光装置において、前記発光素子と前記第1センサ部とは、前記第1基板の第1主面上に直接形成された化合物半導体積層部をそれぞれ有してもよい。
【0009】
また、上記の受発光装置において、前記第1センサ部と前記第2センサ部は、同一の温度特性を有することを特徴としてもよい。
また、上記の受発光装置において、前記第1基板と前記第2基板とが互いに側面を対向させて隣り合って配置され、前記第1基板と前記第2基板との間に設けられた光遮断部をさらに備えることを特徴としてもよい。
【0010】
また、上記の受発光装置において、前記第1基板及び前記第2基板からそれぞれ離れた位置に配置され、前記第1基板の第2主面から出射した光を前記第2センサ部に向けて反射する光反射部をさらに備えることを特徴としてもよい。
また、上記の受発光装置において、前記第1基板の第2主面上に設けられ、前記発光素子から出力される光のうち、前記第1基板内で散乱する光の光量と、前記第1基板の第2主面から放射される光の光量及び放射角度とを制御する制御層をさらに備えることを特徴としてもよい。
【0011】
また、上記の受発光装置において、前記第1基板の第2主面上に設けられ、前記発光素子から出力された光を前記第1センサ部に向けて反射する光反射層をさらに備えることを特徴としてもよい。
また、上記の受発光装置において、前記第1センサ部と前記第2センサ部及び前記発光素子がそれぞれ、同一の材料で同一の積層構造からなることを特徴としてもよい。
【0012】
また、上記の受発光装置において、前記積層構造は、少なくともP型半導体とN型半導体の2種類の層からなるダイオード構造であり、且つ、インジウム若しくはアンチモンの何れかの材料を含むことを特徴としてもよい。
また、上記の受発光装置において、前記第1基板の第2主面から出射した光が前記第2センサ部に入射するまでの光路中に配置され、特定の波長帯のみを透過する光学フィルタをさらに備えることを特徴としてもよい。
【0013】
また、上記の受発光装置において、前記第1センサ部と前記第2センサ部は同一の構造の複数の受光部を有し、該受光部の数は前記第1センサ部と前記第2センサ部とで異なることを特徴としてもよい。
また、上記の受発光装置において、前記第1基板と前記第2基板は、同一の材料からなることを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様によれば、発光・受光の信号変動を補償し、空間状態の検知をより高精度に行うことを可能とした受発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態に係る受発光装置の構成例を示す図である。
図2】本発明の第2実施形態に係る受発光装置の構成例を示す図である。
図3】本発明の第3実施形態に係る受発光装置の構成例を示す図である。
図4】本発明の第4実施形態に係る受発光装置の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<全体構成>
以下、本発明を実施するための形態(以下、本実施形態)について説明する。
本実施形態に係る受発光装置は、発光素子と、発光素子から出力された光が入射するようにそれぞれ配置された第1センサ部及び第2センサ部を有する非分散型赤外線式の受発光装置である。この受発光装置は、第1主面(例えば、表面)と、第1主面と対向する第2主面(例えば、裏面)とを有し、第1主面上に発光素子と第1センサ部とが設けられた第1基板を備える。また、この受発光装置は、第1主面(例えば、表面)と、第1主面と対向する第2主面(例えば、裏面)とを有し、第1主面上に第2センサ部が設けられた第2基板を備える。第1センサ部の配置位置は、第1基板の第1主面であって、発光素子から出力された光のうちの該第1基板の第2主面で反射した光が入射する位置に設定されている。これにより、発光素子から放射された光が常に同一状態の環境(光路)を通過し第1センサ部に入射する為、使用環境の変化や経年劣化で発光素子の発光特性が変化した場合でも、または、温度によって受光素子の感度が変化したとしても、第2センサ部(状態検知用の受光素子)による空間状態の検知を正確に行うことが可能になる。
【0017】
また、本発明の実施形態に係る受発光装置において、第1のセンサ部と第2のセンサ部は、同一の温度特性を有することが好ましい。本実施形態において「同一の温度特性」とは、本発明の効果を妨げない程度に温度特性が概ね揃っている状態を意味する。具体的には、被検出ガスが存在しない条件下において、受発光装置の一般的な使用温度範囲(例えば0℃から50℃の範囲では)センサ温度がTxにおいて、第1センサ部の出力信号がS1、第2センサ部の出力信号がS2とした場合を考える。この場合で、温度が1℃変化した場合、つまりセンサ温度がTx±1℃となった時に、第1センサ部の出力信号がa×S1へ、第2センサ部の出力信号がb×S2へと変化した場合、a/bが1℃あたり0.8以上1.2以下であることが好ましく、0.9以上1.1以下であることがより好ましく、0.99以上1.01以下であることが更に好ましい。
【0018】
1℃あたりの第1センサ部及び第2センサ部の出力の変化係数の比(a/b[/℃])の最大値と最小値の比が0.8以上1.2以下であれば、受発光装置の環境温度によらず、発光素子の発光特性が変化した場合でも第2のセンサ部による空間状態の検知を正確に行うことが可能になるため好ましい。具体的には、第1センサ部及び第2センサ部の温度を0℃から50℃まで変化させたときの第1センサ部及び第2センサ部の出力変化係数(a及びb)を求め、温度をΔT変化させたときの、a/b/ΔT比を計算することによって、上記の1℃あたりの出力の変化係数の比を確認することができる。
【0019】
第1センサ部及び第2センサ部の1℃あたりの出力の変化係数比の最大値と最小値を上述の範囲にする方法としては、第1センサ部及び第2センサ部を同一の材料で同一の積層構造にする方法が挙げられる。同一の材料及び同一の積層構造とすることにより、第1センサ部及び第2センサ部の温度特性は理論上同一となる。
また、第1センサ部と第2センサ部の温度特性を同じにするには、積層構造が同じであることと、同時に製造される(即ち、積層構造を構成する各層について、第1センサ部及び第2センサ部の間で同時に形成する)ことが好ましい。
【0020】
また、受発光装置全体の高いS/N比を実現するために、第1センサ部と第2センサ部の面積を変えても良い。例えば、第1センサ部に届く光が強い場合、第1センサ部の受光面積をS/Nが低下しない程度に小さくしても、受発光装置全体のS/N比が低下しないため、第1センサ部の受光面積を小さくし、その分、発光素子が占める面積を広くすることができ、受発光装置全体のS/N比の向上を図ることができる。
【0021】
また、第1センサ部及び第2センサ部は、多数の受光部で形成されると良い。この場合、受光面積が受光部の数に比例し、受光面積が大きい程、高いS/N比が得られる。また第1センサ部と第2センサ部の受光面積を変えても、分光感度特性や温度特性が変わることないので、本発明の効果は維持される。第1センサ部の受光部の数をnとし、第2センサ部の受光部の数をmとしたとき、受光部の数の比は、n:mが1/500程度でも良いが、場合によって、1/100程度でも良く、1/10程度でも良い。発光素子の発光能力に応じて、受光部の数の比を設計することが好ましい。
【0022】
また、同一基板上に、同一材料、同一工程で第1センサ部と第2センサ部を形成することによって、両センサ部の分光感度特性が同じになり、分光感度特性が同じになると共に第1センサ部と第2センサ部の温度特性が同一となり、本発明の効果はもっとも発揮できる。ここで分光感度特性とは、各波長における感度を意味する。後述のように、第1基板の第2主面上に光を選択するような光学フィルタ(例えば、バンドパスフィルタ)を設けることによって、第1センサ部と第2センサ部に入射する波長帯を選択することが可能となる。このような光学フィルタは光路の途中に設ける必要はあるが、第1基板及び/若しくは第2基板の第2主面に設けると良い。光学フィルタは半値幅の狭い透過特性(数10nm〜数100nm)を実現できるため、特定の波長を選択することが容易にできる。
【0023】
基板面積の利用効率の観点から、第1センサ部と第2センサ部は、同一の構造の多数の受光部を有し、該受光部の数が異なっていることが好ましい。受光部の数の相違数は特に制限されないが、一般的に発光素子と同じ基板に設置される受光部は、異なる基板に設置される受光部より、単位面積当たり、多くの光束を吸収することができるため、一般的に第1基板の受光面積を第2基板の受光面積よりも小さくしても良い。
【0024】
このため、第1センサ部と第2センサ部の両方の信号のS/N比のバランスを無駄なく保つために、受光面積(受光部の数)が異なることは好ましい。本実施形態に係るガスセンサでは、第1センサ部と第2センサ部の出力信号(Ip1、Ip2)に基づいて、濃度を計算するため、ガスセンサ全体の最小分解能は第1センサ部と第2センサ部のS/N比で決まる。
【0025】
出力信号比(Ip1/Ip2)は、第1基板及び第2基板の各材質、第1基板の第2主面及び第2基板の第2主面の各加工方法、制御層の有無やその光学特性等によって変化する。後述のように、これらの出力信号比が適切な割合になるように設計すれば、基板の利用効率を高め、センサ部の面積を最低限にして小型化を図りながら所望の精度を有する受発光装置が設計できる。
【0026】
次に、受発光装置の各構成部について、より具体的に説明する。
[第1基板]
本実施形態に係る受発光装置において、第1基板は、第1主面上に発光素子と第1センサ部を有する。第1基板の材料は特に制限されない。例えばSi、GaAs、サファイヤ、InP、InAs、Ge等が挙げられるがこの限りではなく、使用する波長帯に応じて選択すればよい。第1センサ部と発光素子を電気的に絶縁させることが容易にできる観点から、半絶縁性基板を利用することが好ましい。半絶縁性基板が作成可能であり、大口径化が可能である観点から、GaAs基板は特に好ましい。測定感度向上の観点から、第1基板の材料は、発光素子から出力される光の透過性が高いものであることが好ましい。また、発光素子の出力変動を高精度に補償する観点から、第1基板の材料は、第2主面において発光素子から出力された光が効率的に反射する材料であることが好ましい。更に、後述のようにインジウム(In)若しくはアンチモン(Sb)を含む積層構造の第1センサ部、第2センサ部及び発光素子を形成しやすい観点から、GaAs基板が好ましい。
【0027】
第1センサ部、第2センサ部、受光素子に用いられる材料としては、III−V族系の化合物半導体が好ましく、インジウム(In)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)からなる群より選択される少なくとも一つのIII族原子と、アンチモン(Sb)、ヒ素(As)からなる群より選択される少なくとも一つのV族原子の化合物半導体であることがより好ましく、InSbあるいは、AlInSb、GaInSb、AsInSbを少なくとも含む化合物半導体であることがより更に好ましい。被検出ガスがCOの場合、COの波長4.3μm付近の吸収を検出するために、AlInSb若しくはGaInSbを利用すると良い。また、気化したアルコールのような気体を検出する場合、更に長波長(9〜10μm)にする必要があり、この場合AsInSbを利用すると良い。
【0028】
また、第1基板は、光取り出し効率及び光反射・散乱効率の観点から、第1基板の第2主面上に、発光素子から出力される光のうち、基板内で散乱する光量及び反射・散乱角度と、第1基板の第2主面からセル内に放射される光量及び放射角度を制御するための制御層を有することが好ましい。一般的に使われる基板材料の屈折率は高いため、基板から外部への光取り出しは難しく、発光素子から出力された光の多くが基板内で散乱することとなる。本実施形態に係る受発光装置においては、第1基板の第2主面上に制御層を設けることによって、センサ全体のS/N比を高くする(高分解能が得られる)ように設計することが可能になる。制御層の具体例としては、反射防止膜や、屈折率の異なる多数の材料の積層膜、粗面化した層、または、それらの組み合わせが挙げられる。
【0029】
[発光素子]
本実施形態に係る受発光装置において、発光素子は第1基板の第1主面上に形成される。発光素子は、被検出ガスによって吸収される波長を含む光を出力するものであれば特に制限されない。発光素子の具体的な形態は第1基板の第1主面上に形成できるものであれば何でも良い。具体的な例としては、MEMSやLEDが挙げられる。その中で、被検出ガス以外の成分の光吸収によるノイズを低減する観点から、被検出ガスの吸収が大きい波長帯の光のみを出力するものであることが好ましい。具体的には、発光波長帯をアクティブ層のバンドギャップでコントロールということから、LED構造は望ましい場合がある。
【0030】
発光素子はMBE(Molecular Beam Epitaxy)若しくはCVD(Chemical Vapor Deposition)のような成膜方法を用いて成膜したPN接合若しくはPIN接合の積層構造部を持つことが好ましい。この積層構造部に電力を供給することによって、LED(Light Emitting Diode)として動作し、積層構造部の材料のバンドギャップに応じた波長の光を放出することができる。この積層構造部(通称:活性層)がInまたはSbを含むことにより赤外線領域の光(即ち、赤外線)を発光させることが可能になる。具体的には、活性層にInSbやInAlSbやInAsSbを用いることにより、1〜12μmの波長を出力することができる。
活性層がInおよび/またはSbを含むようなナローバンドギャップ材料は、一般的に温特(発光素子自体の温度による発光特性の変化)が大きいが、本実施形態の受発光装置によれば大きな発光特性の変化であっても常に正確にモニタリングすることが可能であり、該モニタリング結果に基づいて発光素子の動作を制御することで常に一定の発光特性を実現することが可能である。
【0031】
[第1センサ部]
本実施形態に係る受発光装置において、第1センサ部は、第1基板の第1主面上に形成される。第1センサ部の配置位置は、発光素子から出力された光のうち、第1基板の第1主面と対向する第2主面において反射した光が入射する位置であれば特に制限されない。信号処理の応答速度の観点から、第1センサ部の積層構造としては、PN接合またはPIN接合のダイオード構造であり、インジウム若しくはアンチモンの何れかの材料を含んでも良い。更に、Ga、Al、Asからなる群より選択される少なくとも1つの材料をさらに含む混晶系の材料を含んでも良い。また、温度特性を揃える観点から、第1センサ部の受光素子の材料及び積層構造は、発光素子の材料及び積層構造と同様のものであることが好ましい。
【0032】
センサ部を回路(増幅器)に接続した場合のS/N比の観点から、多数の受光素子を設けることによって、受光部全体の内部抵抗を大きくすることができるため、増幅器に接続した場合、高いS/N比が実現できる。そのため、本実施形態の第1センサ部は、受光素子を複数直列接続した形態であることが好ましい。
また、発光素子と第1センサ部とが同じ第1基板に配置されているため、第1センサ部に入射する光量は、第2センサ部に入射する光量よりも大きくなる傾向がある。このため、第1センサ部の受光部の総面積は、第2センサ部の受光部の総面積よりも小さくすることができる。これにより、受発光装置のより一層の小型化が図られる。
【0033】
[第2基板]
本実施形態に係る受発光装置において、第2基板は第1主面上に第2センサ部を有していれば特に制限されない。第2主面側から入射した光は、第2基板内部を通過して、第2センサ部に入射される。
第2基板の材料は特に制限されない。例えばSi基板、GaAs基板、サファイヤ等が挙げられるがこの限りではない。測定感度向上の観点から、第2基板の材料は、第2主面側から入射した光に対する透過性が高いものであることが好ましい。
【0034】
小型化の観点から、第2基板は、第1基板と互いに側面を対向させて隣り合って配置され、第1基板と第2基板との間に光遮断部が配置されることが好ましい。この形態の受発光装置は、後述の光反射部を備えることが好ましい。また、上記の光遮断部は、第1基板及び第2基板の接合部に配置されることが好ましい。該光遮断部を有することにより、発光素子から出力された光が外部空間を経由せずに第2センサ部に入射することを防ぐことができ、第2のセンサ部における検出感度を向上することができるため好ましい。
【0035】
[第2センサ部]
本実施形態に係る受発光装置において、第2センサ部は、第2基板上に配置されるものであれば特に制限されない。前述のとおり、第2センサ部と第1センサ部の温度特性を同等のものにする観点から、第2センサ部と第1センサ部は、その製造工程において同一基板上に形成されたものであることが好ましく、同じ積層構造を有することがより好ましい。
信号処理の応答速度の観点から、第2センサ部の積層構造としては、PN接合またはPIN接合のダイオード構造であり、インジウム若しくはアンチモンの何れかの材料を含むことが好ましい。
【0036】
測定感度向上の観点から、第1基板の第2主面から放射された光が第2センサ部に入射するまでの光路中に、特定の波長帯のみを透過する光学フィルタを有することが好ましい。発光素子から出力される光が広範な波長帯の光である場合、特に上記光学フィルタを有することが好ましい。
第1センサ部を有する第1基板と第2センサ部を有する第2基板は元々同じウエハーであり、第1センサ部と第2センサ部が同様の積層構造であると、第1センサ部と第2センサ部間の感度特性及び感度の温度特性のバラつきが抑制され、本発明の効果がより発揮することができる。具体的に、第1センサ部の感度がRi2(λ)[A/W]、第2センサ部の感度がRi2(λ)[A/W] だとすると、|Ri2(λ)−Ri1(λ)|/(Ri1(λ))が20%以内であればよく、10%以下にすると更に良く、5%以下にすると更に好ましいが、2%以内、更に1%以下であった方が本発明の効果を更に発揮でき、超高精度の温度・経時変化補償が可能となる。
【0037】
[光反射部]
被検出ガスに対する検出感度向上の観点から、本実施形態に係る受発光装置は、第1基板及び第2基板の第2主面側の外部空間中に、光反射部を備えることが好ましい。即ち、ガスセル内の第1基板及び第2基板からそれぞれ離れた位置であって、第1基板の第2主面側及び第2基板の第2主面側に、光反射部を備えることが好ましい。該光反射部は、第1基板の第2主面から放射された光を反射し、該反射された光が第2センサ部に入射するものであることが好ましい。効率的に第2センサ部に光を入射させるために、該光反射部は、集光型光反射部であることが好ましい。
【0038】
[光遮断部]
発光素子から出射した光のうち、第2センサ部に入力される光は、全て外部空間を通過したものであることが好ましい。これを実現するためには、発光素子と第1センサ部が配置されている第1基板と第2センサ部が配置される第2基板とを対向して配置する方法がある。一方で、受発光装置全体を小型化するためには、第1基板と第2基板とを互いに側面を対向させて隣り合うように配置することが好ましいが、単純に隣り合うように配置すると、発光素子から出射した光のうち、一部が外部空間内の空間を通過せずに第2センサ部に入力され、外部空間の状態変化に依存する信号変化分が外部空間の状態変化に依存しない信号成分(オフセット)になってしまい、受発光装置の測定感度が低下する可能性がある。このため、上述したように第1基板と第2基板とを隣り合うように配置する場合には、第1基板と第2基板との間に光遮断部を備えていることが好ましい。
【0039】
<実施形態の効果>
本実施形態は、以下の効果(1)〜(4)を奏する。
(1)発光素子から第1センサ部に至る光路は第1基板内にあり、該光路中に光学フィルタ(例えば、バンドパスフィルタ)や外部空間は存在しない。これにより、該光路中にバンドパスフィルタや外部空間が存在する場合と比べて、受発光装置の使用環境によらず、該光路での光の減衰を抑えることができ、第1センサ部が検出する信号のS/N比の低下を抑えることができる。
(2)上述したように、第1センサ部が検出する信号のS/N比の低下を抑えることができる。また、発光素子の発光強度の変化を定期的に校正しなくても、発光強度の変化による測定誤差を補償することができる。これにより、受発光装置の測定ばらつきを低減することができるため、高精度で、信頼性の高い受発光装置を提供することができる。
即ち、本実施形態は、経時変化や使用環境(例えば、環境温度)の変化により生じる、発光・受光の信号変動を補償し、発光素子の発光特性が変化した場合でも、又は、温度によって受光素子(第1センサ部、第2センサ部)の感度が変化したとしても、状態検知用の受光素子(第2センサ部)による空間状態の検知をより高精度に行うことを可能とした受発光装置を提供することができる。
【0040】
<実施形態の適用>
以上記載したように、本実施形態に係る受発光装置は、種々の機器に適用することが可能であり、発光素子と第2のセンサ部の光路空間の状態(特定のガスの有無や濃度、流体の特定成分の有無や濃度等)を検知することが可能になる。例えば建物や測定機器中の特定のガスの濃度を検出するためのガスセンサや、携帯電話やスマートフォンなどの携帯通信機器に搭載されるガスセンサや、自動車や電車、航空機等の移動手段中のガス濃度を検出するためのガスセンサ、発光素子から第2のセンサ部間の光路空間を流れる物質(例えば水や体液)の成分検知装置、血液中のグルコース濃度測定などに用いることができる。
【0041】
例えば、CO濃度は生物の睡眠との相関性があると考えられており、本実施形態に係る受発光装置の測定対象ガスをCOとした場合、周囲の温度が大きく変化しやすい環境下であっても、高精度にCO濃度を検出することが可能になり、例えば、車の運転における居眠り防止装置(例えば、所定のCO濃度に達したら警報を発する/自動的に換気を行う等)として好適である。
【0042】
また、血液中のグルコース検知は波長9.6μmという波長での吸収を測定することより血糖中のグル―コース濃度を測定することができる。本発明の受発光素子を利用することによって、9.6μmの波長帯でも小型で高精度・高信頼性の非侵襲式の測定計を実現することができる。このようなグルコース濃度測定計を実現することによって、糖尿病の患者が自分自身で侵襲式の方法で生じるような皮膚にダメージを与えずに精度良く血糖値を調べることができ、より正確に投薬(例えばインスリン)の管理が実現できる。
【0043】
また、本実施形態に係る受発光装置は従来の受発光装置と比較してS/N比が高い為、従来よりも小型・薄型化しても同等以上の性能を示すため、従来適用することが困難であった小型の機器(例えば携帯通信機器)等への適用が可能になる。
【0044】
<実施形態の具体例>
次に、図面を参照して本発明の実施形態の具体例(第1〜第11実施形態)について説明する。なお、以下に説明する各図において、同一の構成を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
[第1実施形態]
図1は本発明の第1実施形態に係る受発光装置の構成例を示す概念図である。図1に示すように、この受発光装置は、発光素子20と、発光素子20から出力された光が入射するようにそれぞれ配置された第1センサ部31及び第2センサ部32と、発光素子20と第1センサ部31を第1主面411上に有する第1基板41と、第2センサ部32を第1主面421上に有する第2基板42と、を有する受発光装置である。
【0045】
この受発光装置において、第1センサ部31は、発光素子20から出力された光のうち、第1基板41の第1主面411と対向する第2主面412において反射した光(破線で示す)が入射する位置に配置されている。また、発光素子20と第2センサ部32は対向する位置に配置されている。
第1実施形態に係る受発光装置によれば、第1センサ部31は、発光素子20から出力された光のうち、第1基板41の第1主面411と対向する第2主面412において反射した光(破線で示す)が入射する位置に配置されている。これにより、使用環境によらず発光素子20の発光強度の変化による測定誤差を一定に補償することが可能な簡易、小型、かつ信頼性の高い受発光装置を実現できる。
【0046】
[第2実施形態]
図2は本発明の第2実施形態に係る受発光装置の構成例を示す概念図である。図2に示すように、この受発光装置では、第1基板41と第2基板42とが互いに側面(即ち、外周側面の一部)を対向させて隣り合って配置されている。本明細書では、このような配置を平行配置と呼ぶ。第1基板41と第2基板42とが平行配置されている点で第2実施形態は第1実施形態と異なる。
【0047】
また、この受発光装置では、第1基板41の第2主面412側及び第2基板42の第2主面422側の空間中に、光反射部60を備える。即ち、この受発光装置は、第1基板41及び第2基板42からそれぞれ離れた位置に配置され、第1基板41の第2主面412から出射した光を第2センサ部32に向けて反射する光反射部60を備える。
このように、第1基板41と第2基板42とが平行配置されている点、及び、光反射部60が設けられている点で、第2実施形態は第1実施形態と異なる。それ以外の構成については、第2実施形態は第1実施形態と同じである。
【0048】
第2実施形態に係る受発光装置によれば、第2基板42と第1基板41とを平行配置させていることにより、受発光装置の更なる小型化が可能である。また、光反射部60を備えることにより、発光素子20から出力された光のうち、第1基板41の第2主面412から出射した赤外線(一点破線)を、該光反射部60で反射し選択的に第2センサ部32に入射させることが可能になるため、より高感度な受発光装置を実現することが可能になる。
【0049】
[第3実施形態]
図3は本発明の第3実施形態に係る受発光装置の構成例を示す断面図である。図3において、符号201、311、321は第1導電型の半導体層(例えばN型半導体層)であり、符号202、312、322は第2導電型の半導体層(例えばP型半導体層)であり、符号203、204、313、314、323、324は電極を示す。
【0050】
図3に示すように、発光素子20は、例えば、第1基板41の第1主面411上に形成された第1導電型の半導体層201と、半導体層201上に形成された第2導電型の半導体層202及び電極203と、半導体層202上に形成された電極204とを有する。
また、第1センサ部31は、例えば、第1基板41の第1主面411上に形成された第1導電型の半導体層311と、半導体層311上に形成された第2導電型の半導体層312及び電極313と、半導体層312上に形成された電極314とを有する。
【0051】
第2センサ部32は、例えば、第2基板42の第1主面421上に形成された第1導電型の半導体層321と、半導体層321上に形成された第2導電型の半導体層322及び電極323と、半導体層322上に形成された電極324とを有する。
ここで、第1導電型の半導体層201、311、321は、例えば同一の材料からなり、同一の膜厚を有する。また、第2導電型の半導体層202、312、322は、例えば同一の材料からなり、同一の膜厚を有する。
【0052】
なお、図3においては、第1センサ部31、第2センサ部32は一つの素子として示したが、S/N比の観点から複数の素子を電気的に接続して各々一つのセンサ部としてもよい。また、発光効率の観点から、発光素子20も電気的に接続された多数の素子であっても良い。また、第1導電型の半導体層201、311、321と、第2導電型の半導体層202、312、322の間にそれぞれ真正半導体層(いわゆるi型半導体層)を挿入し、PIN接合を形成してもよい。
【0053】
第3実施形態に係る受発光装置によれば、第1導電型の各半導体層201、311、321及び第2導電型の各半導体層202、312、322として、材料及び膜厚がそれぞれ同様のものを採用することにより、発光素子20、第1センサ部31、第2センサ部32が同じ温度特性を示す様になり、環境温度の変化によらず、高精度な受発光装置を実現することが可能になる。
【0054】
[第4実施形態]
図4は本発明の第4実施形態に係る受発光装置の構成例を示す概念図である。
図4に示すように、この受発光装置は、第1実施形態に係る受発光装置の第1基板41及び第2基板42をそれぞれ封止樹脂200で封止し、かつ、発光素子20、第1センサ部31及び第2センサ部32に対して、駆動部や信号処理部を接続した例である。
即ち、第4実施形態に係る受発光装置は、発光素子20に対して電力を供給するための電源供給部101と、第1センサ部31及び第2センサ部32からの出力信号が入力され、被検出物質(例えば流体やガス)濃度を演算する演算部104と、を備える。低消費電力化の観点から、電源供給部101はパルス状の信号(電圧または電流)を発光素子20に与えるものであることが好ましい。
【0055】
第4実施形態に係る受発光装置によれば、発光素子20、第1センサ部31及び第2センサ部32に対して、駆動部や信号処理部を接続することにより、発光素子と第2のセンサ部の光路空間の状態(特定のガスの有無や濃度、流体の特定成分の有無や濃度等)を検知することが可能になる。
【0056】
[流体中特定物質濃度演算方法]
次に、本実施形態に係る受発光装置を用いた流体中にある特性物質の濃度演算方法の具体例について説明する。第1センサ部31が出力する信号をIp1、第2センサ部32が出力する信号をIp2とする。Ip1とIp2は式(1)及び式(2)で示すことができる。
【0057】
Ip1 = RiREF(T) × φ(T) × α ・・・(1)
Ip2 = RiSAMPLE(T) × φ(T) ×β×(1−A(C))・・・(2)
但し、
A ・・・ 被測定物質濃度による吸収率
C ・・・ 被測定物質の濃度
φ ・・・ 発光素子の発光強度
α ・・・ 発光素子から第1センサ部への伝達率
β ・・・ 基板からの光取り出し効率
Ip1 ・・・ 第1センサ部の出力信号
Ip2 ・・・ 第2センサ部の出力信号
RiREF・・・ 第1センサ部の感度
RiSAMPLE・・・ 第2センサ部の感度
【0058】
図4に示した演算部104での演算方法の一つの例として式3に示す。
演算結果=Ip2/Ip1
=(RiSAMPLE(T)×β×(1−A(C)))/(RiREF(T)×α)・・・(3)
【0059】
ここでは発光素子の温度特性がそれぞれのセンサの温度特性が異なっていても良いが、第1センサ部の温度特性f1(T)と第2センサ部の温度特性f2(T)が等しいか、比例関係を持つのであれば、Ip2/Ip1∝(1−A(C))となり、受発光装置としての温度依存性が除去でき、ガスの分子が吸収するときの真正な吸収率を得ることができる。また、Lambert−Beerの法則より、(1−A(C))から被測定物質濃度Cを抽出することができる。
【0060】
ここでは、α、βが波長に応じて変化しない、また温度によって変化しないことと仮定したが、仮に、変化したとしても、LED及び/若しくは第1センサ部の温度を測定し、この測定結果を温度補償に利用しても良い。基本的に、受発光装置の分解能は式(4)で示すことができる。
分解能=(ΔC/ΔIp)/(SNR)・・・(4)
但し、ΔIpはセンサの信号変化
ΔCは被検出物質の濃度変化
SNRは発光素子がONとOFFした場合(パルス)に得られるセンサ部のS/N比を示す。
【0061】
[経時変化補償]
式(3)から分かるように、発光素子の光量は演算結果に表れないので、発光素子が劣化しても、つまり、発光効率が変化しても、ガス濃度演算結果は変わらない。本実施形態に係る受発光装置は、発光素子20と第1センサ部31とが同一基板(第1基板41)上に形成されており、発光素子20から放出された光にのみ基づいた信号を出力することが可能であるため、発光素子20からの発光量を正確に測定することが可能である。発光素子が多数の発光部からなる場合は、各発光部が発光する各々の光量の測定が可能になるように、発光素子20の各受光部と第1センサ部31の各受光部の配置を適切に設計すればよい。
【0062】
上記の発光素子を連続的にON/OFF(パルス駆動)し、また発光素子がONの時の信号とOFFの時の第1センサ部及び第2センサ部からの信号を読み取り、その信号差を利用することによって外乱や回路によるオフセットが除去できる。その理由は回路や外乱によるオフセットは発光素子のON/OFFに寄らず常に生じているため、ON時とOFF時の信号差を取ると、該オフセット成分が除去されるからである。
【0063】
ON/OFFの切り替え速度を、外乱の輻射及び回路オフセット揺らぎの周波数に対して、ON/OFFの切り替え周波数を十分高い値に設定することによりオフセットの除去効果はより著しくなる。具体的には外乱とオフセットの変動周波数帯が0〜1kHzの場合、ON/OFF切り替え周波数をその10倍(10kHz)にすると良い。一般的にはこのオフセットのパワースペクトルは周波数fに反比例し、1/fと計算できる(通称:ピンクノイズ、1/fノイズ)。そのため、ON/OFFの切り替え周波数を、1/fノイズの現れない周波数帯に設定すると良い。また、ここで説明したON/OFFというような信号変調方式の他に、通信システムによく使われる振幅変調方式(AM:Amplitute Modulation)を用いても良い。
【0064】
上記の分解能が小さい程、例えば、ガスセンサ用途の場合、低いガス濃度(COの場合、例えば数10ppm程度)の測定が可能である。上記の関係より、ガスの吸収量とセンサ側のS/N比がトレードオフの関係を持つため、発光素子からある光量の出力が得られる場合、この光量に対して最良の分解能を得るのに最適なガス路長を設計する必要がある。
【0065】
受発光装置全体の消費電力の低減を目指し、発光素子を低電流で駆動し、ガスセルを長くしすぎると、十分なS/N比がとれないことがある。つまり、短いガス路が必要となるが、ガス路が短い程、ガスの濃度の変化による信号の変化よりも、温度による信号の変化が著しくなる。この場合、効果的な温度補償方法が不可欠となる。
また第1センサ部及び第2センサ部は、高速に動作することができる(高速光パルスに対して十分な応答性をもつ)ため量子型センサであることが好ましい。量子型センサは、センサの内部抵抗が温度によって変化するため、このセンサの内部抵抗値を読み取ることで、受発光装置の内部の温度を知ることができる。この方法を利用することで、温度測定部105を別途設ける必要がなくなるため、少ない部品数で温度補償が可能な受発光装置を実現できる。
【0066】
<その他>
本発明は、以上に記載した実施形態に限定されるものではない。当業者の知識に基づいて実施形態に設計の変更等を加えてもよく、また、第1〜第4実施形態を任意に組み合わせてもよく、そのような変更が加えられた態様も本発明の範囲に含まれる。
【0067】
また、本発明の受発光装置は、赤外線式の受発光装置に限定されるものではなく、例えば紫外線式の受発光装置であってもよい。この場合は、発光部が紫外線を放射し、この放射された紫外線の一部を第1センサ部が受光し、紫外線の他の一部を第2センサ部が受光する。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明により、温度補償及び劣化補償が不要な受発光装置を、より簡易な構成で実現することができる。
【符号の説明】
【0069】
20 発光素子
31 第1センサ部
32 第2センサ部
41 第1基板
42 第2基板
60 光反射部
101 電源供給部
104 演算部
200 封止樹脂
201、311、321 第1導電型の半導体層
202、312、322 第2導電型の半導体層
203、204、313、314、323、324 電極
図1
図2
図3
図4