(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
非反転入力端子に入力された電流信号を増幅すると同時に電圧信号に変換してトランスインピーダンス増幅器の非反転出力端子に出力する第1のトランスインピーダンスコア回路と、
反転入力端子に入力された電流信号を増幅すると同時に電圧信号に変換してトランスインピーダンス増幅器の反転出力端子に出力する第2のトランスインピーダンスコア回路と、
トランスインピーダンス増幅器の非反転出力端子および反転出力端子に出力される電圧信号の平均直流電圧を検出する平均電圧検出回路と、
トランスインピーダンス増幅器の非反転出力端子および反転出力端子に出力される電圧信号の振幅電圧を検出する振幅電圧検出回路と、
前記平均電圧検出回路が検出した平均直流電圧とトランスインピーダンス増幅器の差動非反転出力端子および反転出力端子における所望の直流電位を示す直流電圧参照電圧との差電圧を増幅し、前記第1のトランスインピーダンスコア回路および前記第2のトランスインピーダンスコア回路のトランジスタに流れる電流量を調整するよう負帰還をかける第1の帰還増幅器と、
前記振幅電圧検出回路が検出した振幅電圧とトランスインピーダンス増幅器の非反転出力端子および反転出力端子における所望の信号振幅を示す振幅電圧参照電圧との差電圧を増幅し、前記第1のトランスインピーダンスコア回路および前記第2のトランスインピーダンスコア回路のトランジスタのベース電圧を調整するよう負帰還をかける第2の帰還増幅器とを備え、
前記第1のトランスインピーダンスコア回路および前記第2のトランスインピーダンスコア回路は、ベース端子が前記第2の帰還増幅器の反転出力端子に接続され、コレクタ端子がトランスインピーダンス増幅器の出力端子に接続され、エミッタ端子がトランスインピーダンス増幅器の入力端子に接続された第1のトランジスタと、
ベース端子が前記第2の帰還増幅器の非反転出力端子に接続され、コレクタ端子が正側電源電圧に接続され、エミッタ端子がトランスインピーダンス増幅器の入力端子に接続された第2のトランジスタと、
一端が正側電源電圧に接続され、他端が前記第1のトランジスタのコレクタ端子に接続された負荷抵抗と、
第1の端子が前記第1、第2のトランジスタのエミッタ端子に接続され、第2の端子が負側電源電圧に接続され、電流制御端子が前記第1の帰還増幅器の非反転出力端子に接続された可変電流源とからなることを特徴とするトランスインピーダンス増幅器。
非反転入力端子に入力された電流信号を増幅すると同時に電圧信号に変換してトランスインピーダンス増幅器の非反転出力端子に出力する第1のトランスインピーダンスコア回路と、
反転入力端子に入力された電流信号を増幅すると同時に電圧信号に変換してトランスインピーダンス増幅器の反転出力端子に出力する第2のトランスインピーダンスコア回路と、
トランスインピーダンス増幅器の非反転出力端子および反転出力端子に出力される電圧信号の平均直流電圧を検出する平均電圧検出回路と、
トランスインピーダンス増幅器の非反転出力端子および反転出力端子に出力される電圧信号の振幅電圧を検出する振幅電圧検出回路と、
前記平均電圧検出回路が検出した平均直流電圧とトランスインピーダンス増幅器の差動非反転出力端子および反転出力端子における所望の直流電位を示す直流電圧参照電圧との差電圧を増幅し、前記第1のトランスインピーダンスコア回路および前記第2のトランスインピーダンスコア回路のトランジスタに流れる電流量を調整するよう負帰還をかける第1の帰還増幅器と、
前記振幅電圧検出回路が検出した振幅電圧とトランスインピーダンス増幅器の非反転出力端子および反転出力端子における所望の信号振幅を示す振幅電圧参照電圧との差電圧を増幅し、前記第1のトランスインピーダンスコア回路および前記第2のトランスインピーダンスコア回路のトランジスタのベース電圧を調整するよう負帰還をかける第2の帰還増幅器とを備え、
前記第1のトランスインピーダンスコア回路および前記第2のトランスインピーダンスコア回路は、ベース端子が前記第2の帰還増幅器の反転出力端子に接続され、コレクタ端子がトランスインピーダンス増幅器の出力端子に接続され、エミッタ端子がトランスインピーダンス増幅器の入力端子に接続された第1のトランジスタと、
ベース端子が前記第2の帰還増幅器の非反転出力端子に接続され、エミッタ端子がトランスインピーダンス増幅器の入力端子に接続された第2のトランジスタと、
一端が前記第2のトランジスタのコレクタ端子に接続され、他端が前記第1のトランジスタのコレクタ端子に接続された第1の負荷抵抗と、
一端が正側電源電圧に接続され、他端が前記第2のトランジスタのコレクタ端子に接続された第2の負荷抵抗と、
第1の端子が前記第1、第2のトランジスタのエミッタ端子に接続され、第2の端子が負側電源電圧に接続され、電流制御端子が前記第1の帰還増幅器の非反転出力端子に接続された可変電流源とからなることを特徴とするトランスインピーダンス増幅器。
【背景技術】
【0002】
光通信システムの受信器は、受信した光信号を電圧信号に変換する。この機能を実現するための構成として、受信した光信号をフォトダイオードによって電流信号に変換し、更に得られた電流信号をトランスインピーダンス増幅器によって電圧信号に変換する構成が広く採用されている。トランスインピーダンス増幅器の回路構成としては、例えば、非特許文献1に記載されている
図14のような回路構成、あるいは、非特許文献2に記載されている
図15のような回路構成が知られている。
【0003】
図14の回路構成のトランスインピーダンス増幅器は、トランジスタQ1Eと抵抗R1Eとからなるエミッタ接地増幅器による構成である。
図14の回路構成のトランスインピーダンス増幅器によれば、入力端子に入力された電流信号Iinは抵抗RF1Eを流れる。トランジスタQ1Eは、入力された電流信号Iinが抵抗RF1Eを流れることによって入力端子に発生した電圧を増幅し、トランジスタQ21Eのベースに出力する。トランジスタQ21Eは、電流源I21Eとの組み合わせによりバッファ増幅器として機能しており、トランジスタQ1Eと抵抗R1Eとからなるエミッタ接地増幅器が増幅した電圧信号Voutを出力端子に出力する。
【0004】
図15の回路構成のトランスインピーダンス増幅器は、トランジスタQ1と抵抗R1とからなるベース接地増幅器による構成である。
図15の回路構成のトランスインピーダンス増幅器によれば、入力端子に入力された電流信号IinはトランジスタQ1のエミッタに入力され、その大部分は負荷抵抗R1を流れる。このため、トランジスタQ21のベースには、入力された電流信号IinをR1倍した電圧が出力される。トランジスタQ21は、電流源I21との組み合わせによりバッファ増幅器として機能しており、トランジスタQ1と抵抗R1とからなるベース接地増幅器が増幅した電圧信号Voutを出力端子に出力する。トランジスタQ1のベース電圧は、一定の電圧値VBBに固定されている。また、トランジスタQ1を流れる直流電流値は、必要な電圧利得値と帯域が得られるよう、電流源I1によってある一定値に固定されている。
【0005】
また、光通信システムによっては、光の位相変調信号を利用して送受信を行っている場合がある。その場合、受信器内部の光復調器により、受信した光信号を2つの相補的な光の強度変調信号に変換したのち、更に、フォトダイオードとトランスインピーダンス増幅器によって、光の強度変調信号を相補的な電圧信号に変換している。このとき、
図14や
図15のようなトランスインピーダンス増幅器を2並列用意し、その出力を差動増幅器で増幅して差動電圧信号を得ることもできるが、非特許文献3に記載されている
図16のよな差動トランスインピーダンス増幅器を用いて差動出力電圧信号VoutP,VoutNを得ることもできる。この回路構成は、
図14のエミッタ接地増幅器を差動化したものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
通信システムの仕様により、入力電流振幅に大きなダイナミックレンジが要求される場合がある。エミッタ接地増幅器によるトランスインピーダンス増幅器の場合には、一般に、高感度化のために大きな利得を有するよう設計されているため、大きな電流振幅を持つ信号が入力されると出力が飽和する。出力が飽和しないように利得を下げて設計すると、今度は小さい電流振幅を持つ信号に対する感度が悪化するという問題がある。また、直流電流を吸収するためには、入力に電流引き抜き回路を設ける必要が生じ、雑音特性が悪化して更に感度が悪化する。
【0008】
ベース接地増幅器によるトランスインピーダンス増幅器の場合にも、電流源I1によるバイアス電流値を上回る電流信号が入力された場合、出力が飽和する。この出力飽和を防止するためには、バイアス電流値を、入力されうる最大の電流入力値以上に設定する必要があるが、この場合は消費電力の増大を招く。バイアス電流値を入力されうる最大の電流入力値以上に設定し、入力信号が小さい条件で動作させ続けると、無駄な電力を消費していることになる。更に、ベース接地増幅器の出力信号Voutの電圧値は入力信号Iinの直流値に依存して変化する。これにより、トランスインピーダンス増幅器に接続される次段増幅器の入力端子の直流電圧も変動してしまい、次段増幅器を最適なバイアス点で動作させることができなくなる。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、消費電力増大させることなく広い線形動作領域を得ることができるトランスインピーダンス増幅器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のトランスインピーダンス増幅器は、入力された電流信号を増幅すると同時に電圧信号に変換してトランスインピーダンス増幅器の出力端子に出力するトランスインピーダンスコア回路と、トランスインピーダンス増幅器の出力端子に出力される電圧信号の平均直流電圧を検出する平均電圧検出回路と、トランスインピーダンス増幅器の出力端子に出力される電圧信号の振幅電圧を検出する振幅電圧検出回路と、前記平均電圧検出回路が検出した平均直流電圧とトランスインピーダンス増幅器の出力端子における所望の直流電位を示す直流電圧参照電圧との差電圧を増幅し、前記トランスインピーダンスコア回路のトランジスタに流れる電流量を調整するよう負帰還をかける第1の帰還増幅器と、前記振幅電圧検出回路が検出した振幅電圧とトランスインピーダンス増幅器の出力端子における所望の信号振幅を示す振幅電圧参照電圧との差電圧を増幅し、前記トランスインピーダンスコア回路のトランジスタのベース電圧を調整するよう負帰還をかける第2の帰還増幅器とを備え、前記トランスインピーダンスコア回路は、ベース端子が前記第2の帰還増幅器の反転出力端子に接続され、コレクタ端子がトランスインピーダンス増幅器の出力端子に接続され、エミッタ端子がトランスインピーダンス増幅器の入力端子に接続された第1のトランジスタと、ベース端子が前記第2の帰還増幅器の非反転出力端子に接続され、コレクタ端子が正側電源電圧に接続され、エミッタ端子がトランスインピーダンス増幅器の入力端子に接続された第2のトランジスタと、一端が正側電源電圧に接続され、他端が前記第1のトランジスタのコレクタ端子に接続された負荷抵抗と、第1の端子が前記第1、第2のトランジスタのエミッタ端子に接続され、第2の端子が負側電源電圧に接続され、電流制御端子が前記第1の帰還増幅器の非反転出力端子に接続された可変電流源とからなることを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明のトランスインピーダンス増幅器は、入力された電流信号を増幅すると同時に電圧信号に変換してトランスインピーダンス増幅器の出力端子に出力するトランスインピーダンスコア回路と、トランスインピーダンス増幅器の出力端子に出力される電圧信号の平均直流電圧を検出する平均電圧検出回路と、トランスインピーダンス増幅器の出力端子に出力される電圧信号の振幅電圧を検出する振幅電圧検出回路と、前記平均電圧検出回路が検出した平均直流電圧とトランスインピーダンス増幅器の出力端子における所望の直流電位を示す直流電圧参照電圧との差電圧を増幅し、前記トランスインピーダンスコア回路のトランジスタに流れる電流量を調整するよう負帰還をかける第1の帰還増幅器と、前記振幅電圧検出回路が検出した振幅電圧とトランスインピーダンス増幅器の出力端子における所望の信号振幅を示す振幅電圧参照電圧との差電圧を増幅し、前記トランスインピーダンスコア回路のトランジスタのベース電圧を調整するよう負帰還をかける第2の帰還増幅器とを備え、前記トランスインピーダンスコア回路は、ベース端子が前記第2の帰還増幅器の反転出力端子に接続され、コレクタ端子がトランスインピーダンス増幅器の出力端子に接続され、エミッタ端子がトランスインピーダンス増幅器の入力端子に接続された第1のトランジスタと、ベース端子が前記第2の帰還増幅器の非反転出力端子に接続され、エミッタ端子がトランスインピーダンス増幅器の入力端子に接続された第2のトランジスタと、一端が前記第2のトランジスタのコレクタ端子に接続され、他端が前記第1のトランジスタのコレクタ端子に接続された第1の負荷抵抗と、一端が正側電源電圧に接続され、他端が前記第2のトランジスタのコレクタ端子に接続された第2の負荷抵抗と、第1の端子が前記第1、第2のトランジスタのエミッタ端子に接続され、第2の端子が負側電源電圧に接続され、電流制御端子が前記第1の帰還増幅器の非反転出力端子に接続された可変電流源とからなることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明のトランスインピーダンス増幅器は、非反転入力端子に入力された電流信号を増幅すると同時に電圧信号に変換してトランスインピーダンス増幅器の非反転出力端子に出力する第1のトランスインピーダンスコア回路と、反転入力端子に入力された電流信号を増幅すると同時に電圧信号に変換してトランスインピーダンス増幅器の反転出力端子に出力する第2のトランスインピーダンスコア回路と、トランスインピーダンス増幅器の非反転出力端子および反転出力端子に出力される電圧信号の平均直流電圧を検出する平均電圧検出回路と、トランスインピーダンス増幅器の非反転出力端子および反転出力端子に出力される電圧信号の振幅電圧を検出する振幅電圧検出回路と、前記平均電圧検出回路が検出した平均直流電圧とトランスインピーダンス増幅器の差動非反転出力端子および反転出力端子における所望の直流電位を示す直流電圧参照電圧との差電圧を増幅し、前記第1のトランスインピーダンスコア回路および前記第2のトランスインピーダンスコア回路のトランジスタに流れる電流量を調整するよう負帰還をかける第1の帰還増幅器と、前記振幅電圧検出回路が検出した振幅電圧とトランスインピーダンス増幅器の非反転出力端子および反転出力端子における所望の信号振幅を示す振幅電圧参照電圧との差電圧を増幅し、前記第1のトランスインピーダンスコア回路および前記第2のトランスインピーダンスコア回路のトランジスタのベース電圧を調整するよう負帰還をかける第2の帰還増幅器とを備え、前記第1のトランスインピーダンスコア回路および前記第2のトランスインピーダンスコア回路は、ベース端子が前記第2の帰還増幅器の反転出力端子に接続され、コレクタ端子がトランスインピーダンス増幅器の出力端子に接続され、エミッタ端子がトランスインピーダンス増幅器の入力端子に接続された第1のトランジスタと、ベース端子が前記第2の帰還増幅器の非反転出力端子に接続され、コレクタ端子が正側電源電圧に接続され、エミッタ端子がトランスインピーダンス増幅器の入力端子に接続された第2のトランジスタと、一端が正側電源電圧に接続され、他端が前記第1のトランジスタのコレクタ端子に接続された負荷抵抗と、第1の端子が前記第1、第2のトランジスタのエミッタ端子に接続され、第2の端子が負側電源電圧に接続され、電流制御端子が前記第1の帰還増幅器の非反転出力端子に接続された可変電流源とからなることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明のトランスインピーダンス増幅器は、非反転入力端子に入力された電流信号を増幅すると同時に電圧信号に変換してトランスインピーダンス増幅器の非反転出力端子に出力する第1のトランスインピーダンスコア回路と、反転入力端子に入力された電流信号を増幅すると同時に電圧信号に変換してトランスインピーダンス増幅器の反転出力端子に出力する第2のトランスインピーダンスコア回路と、トランスインピーダンス増幅器の非反転出力端子および反転出力端子に出力される電圧信号の平均直流電圧を検出する平均電圧検出回路と、トランスインピーダンス増幅器の非反転出力端子および反転出力端子に出力される電圧信号の振幅電圧を検出する振幅電圧検出回路と、前記平均電圧検出回路が検出した平均直流電圧とトランスインピーダンス増幅器の差動非反転出力端子および反転出力端子における所望の直流電位を示す直流電圧参照電圧との差電圧を増幅し、前記第1のトランスインピーダンスコア回路および前記第2のトランスインピーダンスコア回路のトランジスタに流れる電流量を調整するよう負帰還をかける第1の帰還増幅器と、前記振幅電圧検出回路が検出した振幅電圧とトランスインピーダンス増幅器の非反転出力端子および反転出力端子における所望の信号振幅を示す振幅電圧参照電圧との差電圧を増幅し、前記第1のトランスインピーダンスコア回路および前記第2のトランスインピーダンスコア回路のトランジスタのベース電圧を調整するよう負帰還をかける第2の帰還増幅器とを備え、前記第1のトランスインピーダンスコア回路および前記第2のトランスインピーダンスコア回路は、ベース端子が前記第2の帰還増幅器の反転出力端子に接続され、コレクタ端子がトランスインピーダンス増幅器の出力端子に接続され、エミッタ端子がトランスインピーダンス増幅器の入力端子に接続された第1のトランジスタと、ベース端子が前記第2の帰還増幅器の非反転出力端子に接続され、エミッタ端子がトランスインピーダンス増幅器の入力端子に接続された第2のトランジスタと、一端が前記第2のトランジスタのコレクタ端子に接続され、他端が前記第1のトランジスタのコレクタ端子に接続された第1の負荷抵抗と、一端が正側電源電圧に接続され、他端が前記第2のトランジスタのコレクタ端子に接続された第2の負荷抵抗と、第1の端子が前記第1、第2のトランジスタのエミッタ端子に接続され、第2の端子が負側電源電圧に接続され、電流制御端子が前記第1の帰還増幅器の非反転出力端子に接続された可変電流源とからなることを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明のトランスインピーダンス増幅器の1構成例は、さらに、前記第1のトランジスタのコレクタ端子とトランスインピーダンス増幅器の出力端子との間に設けられた第1のバッファ増幅器を備えることを特徴とするものである。
また、本発明のトランスインピーダンス増幅器の1構成例は、さらに、前記直流電圧参照電圧を発生する直流電圧参照電圧発生回路を備え、前記直流電圧参照電圧発生回路は、ベース端子が前記第1のトランジスタのベース端子に接続され、コレクタ端子が直流電圧参照電圧発生回路の出力端子に接続された第3のトランジスタと、一端が正側電源電圧に接続され、他端が前記第3のトランジスタのコレクタ端子に接続された抵抗と、第1の端子が前記第3のトランジスタのエミッタ端子に接続され、第2の端子が負側電源電圧に接続された定電流源とからなり、前記直流電圧参照電圧発生回路の出力端子が前記第1の帰還増幅器の反転入力端子に接続されることを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明のトランスインピーダンス増幅器の1構成例は、さらに、前記直流電圧参照電圧を発生する直流電圧参照電圧発生回路を備え、前記直流電圧参照電圧発生回路は、ベース端子が前記第1のトランジスタのベース端子に接続された第3のトランジスタと、一端が正側電源電圧に接続され、他端が前記第3のトランジスタのコレクタ端子に接続された抵抗と、第1の端子が前記第3のトランジスタのエミッタ端子に接続され、第2の端子が負側電源電圧に接続された定電流源と、前記第3のトランジスタのコレクタ端子と直流電圧参照電圧発生回路の出力端子との間に設けられた第2のバッファ増幅器とからなり、前記直流電圧参照電圧発生回路の出力端子が前記第1の帰還増幅器の反転入力端子に接続されることを特徴とするものである。
また、本発明のトランスインピーダンス増幅器の1構成例は、前記トランスインピーダンスコア回路の前記第2のトランジスタのサイズが前記第1のトランジスタのサイズよりも大きいことを特徴とするものである。
また、本発明のトランスインピーダンス増幅器の1構成例は、さらに、前記トランスインピーダンスコア回路の出力端子および前記平均電圧検出回路の入力端子と、前記トランスインピーダンス増幅器の出力端子および前記振幅電圧検出回路の入力端子との間に設けられた線形増幅器を備えることを特徴とするものである。
また、本発明のトランスインピーダンス増幅器の1構成例は、さらに、前記振幅電圧検出回路が検出した振幅電圧と前記振幅電圧参照電圧とが一致するように前記線形増幅器の利得を制御する制御電圧バッファを備えることを特徴とするものである。
また、本発明のトランスインピーダンス増幅器の1構成例において、前記第1の帰還増幅器の時定数は、前記第2の帰還増幅器の時定数よりも短いことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、トランスインピーダンスコア回路と平均電圧検出回路と振幅電圧検出回路と第1、第2の帰還増幅器とを設け、トランスインピーダンスコア回路を第1、第2のトランジスタと負荷抵抗と可変電流源とから構成することにより、トランスインピーダンスコア回路の出力振幅が歪むことなく線形性を保つことができ、トランスインピーダンス増幅器に接続される次段増幅器の入力端子の直流電圧を最適な一定値に保つことができる。それに加え、本発明では、トランスインピーダンス増幅器の入力端子に入力される電流信号が小さい場合には、トランスインピーダンスコア回路の可変電流源による引き抜き電流量も電流信号に応じた小さい値に制御されるため、トランスインピーダンス増幅器の消費電力を削減することができる。
【0017】
また、本発明では、トランスインピーダンスコア回路の第1のトランジスタの負荷抵抗を2つに分割することにより、トランスインピーダンスコア回路の最小利得時の歪特性を良好な特性にすることができる。
【0018】
また、本発明では、第1のトランジスタのコレクタ端子とトランスインピーダンス増幅器の出力端子との間に設けられた第1のバッファ増幅器を設けることにより、トランスインピーダンス増幅器の出力端子に接続される後段回路に対する駆動力を増加させることができると共に、後段回路からの影響がトランスインピーダンスコア回路の出力に及ぶことを防止することができる。
【0019】
また、本発明では、直流電圧参照電圧発生回路を、第3のトランジスタと抵抗と定電流源とから構成することにより、直流電圧参照電圧発生回路から出力する直流電圧参照電圧を、トランスインピーダンス増幅器の入力電流値に依存せず一定の値に保つことができる。
【0020】
また、本発明では、トランスインピーダンスコア回路の第2のトランジスタのサイズを第1のトランジスタのサイズよりも大きくすることにより、トランスインピーダンス増幅器の許容する最大入力電流振幅を大きくすることができ、トランスインピーダンス増幅器のダイナミックレンジを拡大することができる。
【0021】
また、本発明では、トランスインピーダンスコア回路の出力端子および平均電圧検出回路の入力端子と、トランスインピーダンス増幅器の出力端子および振幅電圧検出回路の入力端子との間に線形増幅器を設けることにより、トランスインピーダンス増幅器のダイナミックレンジを拡大することができる。
【0022】
また、本発明では、線形増幅器を可変利得の増幅器とすることにより、トランスインピーダンス増幅器のダイナミックレンジを更に拡大することができる。
【0023】
また、本発明では、第1の帰還増幅器の時定数を、第2の帰還増幅器の時定数よりも短くすることにより、第1のトランジスタの負荷抵抗を流れる電流成分が変更される過程において、この負荷抵抗を流れる直流電流成分の変化分が可変電流源によって速やかに補償されるようにすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態に係るトランスインピーダンス増幅器の構成を示す回路図である。本実施の形態のトランスインピーダンス増幅器は、入力端子に入力された電流信号Iinを増幅すると同時に電圧信号Voutに変換するトランスインピーダンスコア回路1と、トランスインピーダンス増幅器の出力端子に出力される電圧信号Voutの平均直流電圧を検出する平均電圧検出回路2と、トランスインピーダンス増幅器の出力端子に出力される電圧信号Voutの振幅電圧を検出する振幅電圧検出回路3と、平均電圧検出回路2が検出した平均直流電圧とトランスインピーダンス増幅器の出力端子における所望の直流電位を示す直流電圧参照電圧Vref1との差電圧を増幅し、トランスインピーダンスコア回路1のトランジスタに流れる電流量を調整するよう負帰還をかける帰還増幅器4と、振幅電圧検出回路3が検出した振幅電圧とトランスインピーダンス増幅器の出力端子における所望の信号振幅を示す振幅電圧参照電圧Vref2との差電圧を増幅し、トランスインピーダンスコア回路1のトランジスタのベース電圧を調整するよう負帰還をかける帰還増幅器5とから構成される。
【0026】
トランスインピーダンスコア回路1は、ベース端子が帰還増幅器5の反転出力端子に接続され、コレクタ端子がトランスインピーダンス増幅器の出力端子に接続され、エミッタ端子がトランスインピーダンス増幅器の入力端子に接続されたトランジスタQ1と、ベース端子が帰還増幅器5の非反転出力端子に接続され、コレクタ端子が正側電源電圧VCCに接続され、エミッタ端子がトランスインピーダンス増幅器の入力端子に接続されたトランジスタQ2と、一端が正側電源電圧VCCに接続され、他端がトランジスタQ1のコレクタ端子に接続された負荷抵抗R1と、第1の端子がトランジスタQ1,Q2のエミッタ端子に接続され、第2の端子が負側電源電圧VEEに接続され、電流制御端子が帰還増幅器4の非反転出力端子に接続された可変電流源I1とから構成される。
【0027】
本実施の形態のトランスインピーダンス増幅器では、トランスインピーダンスコア回路1のトランジスタQ1,Q2の回路構成により、入力端子に入力された電流信号Iinは、トランジスタQ1,Q2のベース端子に入力される制御電圧の差電圧(帰還増幅器5の非反転出力電圧と反転出力電圧との差電圧)に依存して、トランジスタQ1を流れる電流とトランジスタQ2を流れる電流に分離される。このうち、負荷抵抗R1によって電圧信号Voutに変換される電流成分は、トランジスタQ1を流れる電流信号のみとなる。
【0028】
負荷抵抗R1によって得られた電圧信号Voutの振幅電圧は、振幅電圧検出回路3によって検出される。帰還増幅器5は、振幅電圧検出回路3によって検出された振幅電圧と所定の振幅電圧参照電圧Vref2との差電圧を増幅して、トランジスタQ1,Q2のベース端子に負帰還をかける。これにより、振幅電圧検出回路3が検出した振幅電圧と振幅電圧参照電圧Vref2とが一致するように、トランジスタQ1を流れる電流とトランジスタQ2を流れる電流との分流比が調整される。こうして、電圧信号Voutのピーク値が正側電源電圧VCCと電圧信号Voutの平均値との間に来るように、電圧信号Voutの振幅をある一定の値に保つことができる。
【0029】
また、電圧信号Voutの平均電圧、すなわち直流電圧は、平均電圧検出回路2によって検出される。帰還増幅器4は、平均電圧検出回路2によって検出された直流電圧と所定の直流電圧参照電圧Vref1との差電圧を増幅して、可変電流源1の電流値を調整するよう負帰還をかける。これにより、トランスインピーダンスコア回路1におけるトランジスタQ1を流れる電流とトランジスタQ2を流れる電流との分流比の変化を加味した上で、負荷抵抗R1を流れる直流電流値が一定に保たれる。その結果、トランスインピーダンス増幅器の出力端子の直流電位は一定に保たれる。つまり、トランジスタQ1,Q2のベース端子に入力される制御電圧の調整過程において、トランスインピーダンス増幅器の入力端子に入力された電流信号Iinの直流成分のうち、負荷抵抗R1を流れる電流成分は変化するが、変化分は可変電流源I1によって補償され、負荷抵抗R1を流れる直流電流成分は一定値に保たれ続ける。こうして、平均電圧検出回路2が検出した平均直流電圧と直流電圧参照電圧Vref1とが一致するように制御される。逆に、帰還増幅器4による負帰還がなく、可変電流源I1の電流値が一定の場合には、帰還増幅器5による負帰還により、トランスインピーダンスコア回路1におけるトランジスタQ1を流れる電流とトランジスタQ2を流れる電流との分流比の変化により、トランスインピーダンス増幅器の出力端子の直流電位は一定に保てなくなる。
【0030】
以上のように、本実施の形態のトランスインピーダンス増幅器によれば、トランスインピーダンスコア回路1の出力振幅が歪むことなく線形性を保つことができ、トランスインピーダンス増幅器に接続される次段増幅器の入力端子の直流電圧を最適な一定値に保つことができる。それに加え、トランスインピーダンス増幅器の入力端子に入力される電流信号Iinが小さい場合には、可変電流源I1による引き抜き電流量も電流信号Iinに応じた小さい値に制御されるため、トランスインピーダンス増幅器の消費電力も削減される。
【0031】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
図2は本発明の第2の実施の形態に係るトランスインピーダンス増幅器の構成を示す回路図であり、
図1と同様の構成には同一の符号を付してある。本実施の形態のトランスインピーダンス増幅器は、第1の実施の形態のトランスインピーダンス増幅器において、トランスインピーダンスコア回路1の出力端子(トランジスタQ1のコレクタ端子と負荷抵抗R1との接続点)と、トランスインピーダンス増幅器の出力端子並びに平均電圧検出回路2および振幅電圧検出回路3の入力端子との間にバッファ増幅器6を設けたものである。
【0032】
本実施の形態では、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができ、さらにバッファ増幅器6を設けることにより、トランスインピーダンス増幅器の出力端子に接続される後段回路に対する駆動力を増加させることができると共に、後段回路からの影響がトランスインピーダンスコア回路1の出力に及ぶことを防止することができる。
【0033】
図3は、第1、第2の実施の形態の効果を確認するために、
図2の回路構成を差動化した場合にトランスインピーダンス増幅器の出力端子に出力される電圧信号Voutの全高調波歪と、
図15に示した従来の回路構成を差動化した場合にトランスインピーダンス増幅器の出力端子に出力される電圧信号Voutの全高調波歪とを比較した図である。
図3における30は
図15の従来の回路構成を差動化したトランスインピーダンス増幅器の全高調波歪を示し、31は本実施の形態の回路構成を差動化したトランスインピーダンス増幅器の全高調波歪を示している。
【0034】
従来例の回路構成によれば、差動入力電流振幅が0.5mAppdを超えると、5%程度以上の全高調波歪が出力波形に現れるのに対して、本実施の形態の回路構成によれば、差動入力電流振幅が0.5mAppdを超えても、全高調波歪の顕著な悪化は発生せず、なおかつ3mAppdを超える差動入力電流振幅であっても、全高調波歪が0.2%程度に抑圧されている。
【0035】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
図4は本発明の第3の実施の形態に係るトランスインピーダンス増幅器の構成を示す回路図であり、
図1と同様の構成には同一の符号を付してある。本実施の形態のトランスインピーダンス増幅器は、第1の実施の形態のトランスインピーダンス増幅器において、トランスインピーダンスコア回路1の出力端子(トランジスタQ1のコレクタ端子と負荷抵抗R1との接続点)および平均電圧検出回路2の入力端子と、トランスインピーダンス増幅器の出力端子および振幅電圧検出回路3の入力端子との間に線形増幅器7を設けたものである。
【0036】
本実施の形態では、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができ、さらに線形増幅器7を設けることにより、線形増幅器7が無い場合と比較してトランスインピーダンスコア回路1の利得を下げることができるので、トランスインピーダンス増幅器のダイナミックレンジを拡大することができる。
【0037】
なお、本実施の形態では、1つの線形増幅器7を設けているが、トランスインピーダンスコア回路1の出力端子および平均電圧検出回路2の入力端子と、トランスインピーダンス増幅器の出力端子および振幅電圧検出回路3の入力端子との間に、縦続接続した複数の線形増幅器7を設けるようにしてもよい。
また、本実施の形態では、線形増幅器7を第1の実施の形態に適用した例を示しているが、これに限るものではなく、第2、第3の実施の形態および後述する第4の実施の形態に適用してもよい。
【0038】
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。
図5は本発明の第4の実施の形態に係るトランスインピーダンス増幅器の構成を示す回路図であり、
図1と同様の構成には同一の符号を付してある。本実施の形態のトランスインピーダンス増幅器は、第1の実施の形態のトランスインピーダンス増幅器において、トランスインピーダンスコア回路1の代わりにトランスインピーダンスコア回路1aを設けたものである。
【0039】
トランスインピーダンスコア回路1aは、トランジスタQ1,Q2と、可変電流源I1と、一端がトランジスタQ2のコレクタ端子に接続され、他端がトランジスタQ1のコレクタ端子に接続された負荷抵抗R1Aと、一端が正側電源電圧VCCに接続され、他端がトランジスタQ2のコレクタ端子に接続された負荷抵抗R1Bとから構成される。このように、本実施の形態では、トランジスタQ1の負荷抵抗をR1A,R1Bの2つに分割し、R1A,R1Bの接続点にトランジスタQ2のコレクタ端子を接続するようにしている。
【0040】
第1の実施の形態では、トランスインピーダンスコア回路1の単体トランスインピーダンス利得を0〜R1の範囲で変化させることができる。これに対して、本実施の形態のトランスインピーダンスコア回路1aでは、単体トランスインピーダンス利得をR1B〜(R1A+R1B)の範囲でしか変化できなくなり、最小利得値に制約が生じる。しかし、本実施の形態のトランスインピーダンスコア回路1aの最小利得時の歪特性は、第1の実施の形態のトランスインピーダンスコア回路1の同じトランスインピーダンス利得時の歪特性に比べて、良好な特性を示すという利点がある。
【0041】
なお、本実施の形態では、トランスインピーダンスコア回路1aを第1の実施の形態に適用した例を示しているが、これに限るものではなく、第2、第3の実施の形態に適用してもよい。
【0042】
また、第1〜第4の実施の形態では、振幅電圧検出回路3の出力端子を帰還増幅器5の非反転入力端子に接続し、振幅電圧参照電圧Vref2を帰還増幅器5の反転入力端子に入力しているが、このような接続の仕方は1例であって、これに限るものではなく、トランスインピーダンス増幅器の出力端子における電圧信号Voutの振幅電圧と振幅電圧参照電圧Vref2とが一致するように負帰還をかけることができれば、別の接続の仕方であってもよい。例えば振幅電圧検出回路でトランスインピーダンス増幅器の出力端子におけるピーク電圧と出力端子における平均電圧とを別々に検出して帰還増幅器5に別々に入力し、帰還増幅器5の内部でトランスインピーダンス増幅器の出力端子における振幅電圧が算出されるようにしてもよい。別の接続の仕方については以下の実施の形態で説明する。
【0043】
[第5の実施の形態]
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。
図6は本発明の第5の実施の形態に係るトランスインピーダンス増幅器の構成を示す回路図であり、
図1と同様の構成には同一の符号を付してある。本実施の形態は、第1の実施の形態の回路構成を具体化した例を示すものである。本実施の形態のトランスインピーダンス増幅器は、トランスインピーダンスコア回路1と、平均電圧検出回路2と、振幅電圧検出回路3と、帰還増幅器4,5と、直流電圧参照電圧発生回路8と、振幅電圧参照電圧発生回路9とから構成される。
【0044】
トランスインピーダンスコア回路1の構成は第1の実施の形態で説明したとおりであるが、本実施の形態では、可変電流源I1として、ベース端子(可変電流源I1の電流制御端子)が帰還増幅器4の非反転出力端子に接続され、コレクタ端子がトランジスタQ1,Q2のエミッタ端子に接続されたトランジスタQ10と、一端がトランジスタQ10のエミッタ端子に接続され、他端が負側電源電圧VEEに接続された抵抗R10とからなるものを使用している。なお、可変電流源I1として、他の既知の電圧制御電流源を利用してもよい。
【0045】
平均電圧検出回路2は、一端(平均電圧検出回路2の入力端子)がトランスインピーダンス増幅器の出力端子に接続された抵抗R31と、一端が抵抗R31の他端に接続され、他端が負側電源電圧VEEに接続されたコンデンサC30とから構成される。平均電圧検出回路2の出力端子(抵抗R31とコンデンサC30との接続点)は、帰還増幅器4の非反転入力端子に接続される。ここでは、平均電圧検出回路2をRCフィルタにより構成しているが、他の既知の低域フィルタ回路を利用してもよい。
【0046】
直流電圧参照電圧発生回路8は、ベース端子が帰還増幅器5の反転出力端子に接続されたトランジスタQ51と、一端が正側電源電圧VCCに接続され、他端がトランジスタQ51のコレクタ端子に接続された負荷抵抗R51と、第1の端子がトランジスタQ51のエミッタ端子に接続され、第2の端子が負側電源電圧VEEに接続された定電流源I51とから構成される。直流電圧参照電圧発生回路8の出力端子(トランジスタQ51のコレクタ端子と負荷抵抗R51との接続点)は、帰還増幅器4の反転入力端子に接続される。
【0047】
直流電圧参照電圧Vref1は既知の定電圧発生回路を利用して発生させてもよいが、本実施の形態では、直流電圧参照電圧発生回路8として、トランジスタQ1と同一の回路定数を有するトランジスタQ51と、負荷抵抗R1と同一の回路定数を有する負荷抵抗R51と、定電流源I51とからなるベース接地回路を用いる。このベース接地回路は、トランジスタQ1と負荷抵抗R1とからなるベース接地増幅器の複製回路となる。定電流源I51の電流値は、例えばトランスインピーダンス増幅器の入力端子への信号入力が無入力状態のときの可変電流源I1の電流値に合わせておく。直流電圧参照電圧発生回路8としてベース接地増幅器の複製回路を利用すると、直流電圧参照電圧発生回路8の出力端子の電圧、すなわち直流電圧参照電圧Vref1を、トランスインピーダンス増幅器の入力電流値に依存せず一定の値に保つことができるという利点がある。
【0048】
振幅電圧検出回路3は、ベース端子(振幅電圧検出回路3の第1の入力端子)がトランスインピーダンス増幅器の出力端子に接続され、コレクタ端子が正側電源電圧VCCに接続されたトランジスタQ41と、ベース端子がトランジスタQ41のエミッタ端子に接続され、コレクタ端子が正側電源電圧VCCに接続されたトランジスタQ43と、ベース端子(振幅電圧検出回路3の第2の入力端子)が平均電圧検出回路2の出力端子(抵抗R31とコンデンサC30との接続点)に接続され、コレクタ端子が正側電源電圧VCCに接続されたトランジスタQ44と、ベース端子がトランジスタQ44のエミッタ端子に接続され、コレクタ端子が正側電源電圧VCCに接続されたトランジスタQ45と、一端がトランジスタQ41のエミッタ端子に接続され、他端が負側電源電圧VEEに接続されたコンデンサC41と、第1の端子がトランジスタQ45のエミッタ端子に接続され、第2の端子が負側電源電圧VEEに接続された定電流源I42とから構成される。振幅電圧検出回路3の出力端子(トランジスタQ45のエミッタ端子と定電流源I42との接続点)は、帰還増幅器5の反転入力端子に接続される。
【0049】
振幅電圧参照電圧発生回路9は、一端がトランジスタQ43のエミッタ端子に接続された抵抗R41と、第1の端子が抵抗R41の他端に接続され、第2の端子が負側電源電圧VEEに接続された定電流源I41とから構成される。振幅電圧参照電圧発生回路9の出力端子(抵抗R41と定電流源I41との接続点)は、帰還増幅器5の非反転入力端子に接続される。
【0050】
トランジスタQ41とコンデンサC41とは、トランスインピーダンス増幅器の出力端子における電圧信号Voutのピーク電圧を検出するピーク検出回路を構成している。本実施の形態では、振幅電圧検出回路3においても電圧信号Voutの平均電圧を必要とするため、平均電圧検出回路2の出力を振幅電圧検出回路3の第2の入力としている。トランジスタQ41とコンデンサC41とからなるピーク検出回路はトランジスタQ41のベース−エミッタ間ダイオード特性を利用する動作原理のため、トランジスタQ41のエミッタ端子の直流電位は、抵抗R31とコンデンサC30とからなる平均電圧検出回路2の出力端子の直流電位よりもトランジスタQ41のベース−エミッタ間電圧分低い値となっている。このため、トランジスタQ44を平均電圧検出回路2の出力に付加して、電圧信号Voutの平均電圧よりもベース−エミッタ間電圧分低い電圧を生成することにより、ピーク検出回路の出力の直流電位と平均電圧検出回路2の出力の直流電位とを揃えている。
【0051】
トランジスタQ43と定電流源I41とは、エミッタフォロアを利用したバッファとなっており、同様にトランジスタQ45と定電流源I42とは、エミッタフォロアを利用したバッファとなっている。トランジスタQ43のエミッタ端子と定電流源I41との間には抵抗R41が挿入されており、トランジスタQ43のエミッタ端子電圧よりも(R41の抵抗値×定電流源I41の電流値)だけ低い電圧が帰還増幅器5の非反転入力端子に入力される。このため、帰還増幅器5は、(電圧信号Voutのピーク電圧)−(電圧信号Voutの平均電圧)−(R41の抵抗値×定電流源I41の電流値)の電圧を増幅することになる。
【0052】
電圧信号Voutのピーク電圧から電圧信号Voutの平均電圧を引いた値は電圧信号Voutの振幅であるから、(R41の抵抗値×定電流源I41の電流値)の値が電圧信号Voutの所望の振幅を示す振幅電圧参照電圧Vref2になるように、抵抗R41と定電流源I41を設定すると、帰還増幅器5は電圧信号Voutの振幅と振幅電圧参照電圧Vref2との差を増幅することになる。
帰還増幅器4,5としては、既知の差動増幅器を利用すればよい。
【0053】
こうして、本実施の形態では、第1の実施の形態のトランスインピーダンス増幅器の具体的な回路構成を実現することができ、第1の実施の形態で説明した効果を得ることができる。
【0054】
[第6の実施の形態]
次に、本発明の第6の実施の形態について説明する。
図7は本発明の第6の実施の形態に係るトランスインピーダンス増幅器の構成を示す回路図であり、
図1、
図6と同様の構成には同一の符号を付してある。本実施の形態は、第2の実施の形態の回路構成を具体化した例を示すものである。本実施の形態のトランスインピーダンス増幅器は、トランスインピーダンスコア回路1と、平均電圧検出回路2と、振幅電圧検出回路3と、帰還増幅器4,5と、バッファ増幅器6と、直流電圧参照電圧発生回路8aと、振幅電圧参照電圧発生回路9とから構成される。
【0055】
バッファ増幅器6は、ベース端子(バッファ増幅器6の入力端子)がトランスインピーダンスコア回路1の出力端子(トランジスタQ1のコレクタ端子と負荷抵抗R1との接続点)に接続され、コレクタ端子が正側電源電圧VCCに接続され、エミッタ端子(バッファ増幅器6の出力端子)がトランスインピーダンス増幅器の出力端子に接続されたトランジスタQ21と、第1の端子がトランジスタQ21のエミッタ端子に接続され、第2の端子が負側電源電圧VEEに接続された定電流源I21とから構成される。このように、本実施の形態では、バッファ増幅器6としてエミッタフォロア回路を用いている。
【0056】
こうして、本実施の形態では、第2の実施の形態のトランスインピーダンス増幅器の具体的な回路構成を実現することができ、第2の実施の形態で説明した効果を得ることができる。
【0057】
なお、トランスインピーダンス増幅器の出力端子の直流電位は、第1の実施の形態と比較してトランジスタQ21のベース−エミッタ間電圧分低い値となる。そこで、本実施の形態では、直流電圧参照電圧発生回路8aにバッファ増幅器6と同様のバッファ増幅器(エミッタフォロア回路)を設けている。具体的には、このバッファ増幅器は、ベース端子がトランジスタQ51のコレクタ端子と負荷抵抗R51との接続点(直流電圧参照電圧発生回路8の出力端子)に接続され、コレクタ端子が正側電源電圧VCCに接続されたトランジスタQ52と、第1の端子がトランジスタQ52のエミッタ端子に接続され、第2の端子が負側電源電圧VEEに接続された定電流源I52とから構成される。直流電圧参照電圧発生回路8aの出力端子(トランジスタQ52のエミッタ端子と定電流源I52との接続点)は、帰還増幅器4の反転入力端子に接続される。
【0058】
[第7の実施の形態]
第5、第6の実施の形態の構成では、トランスインピーダンスコア回路1のトランジスタQ1,Q2のベース電圧を、帰還増幅器5の差動出力により制御しているが、本発明で意図した作用は、トランジスタQ1,Q2のベース電圧の差電圧に負帰還がかかりさえすれば得ることができる。このため、
図8に示すように、トランジスタQ1,Q51のベース端子に一定の制御基準電圧Vref3を与えるようにしてもよい。この場合、帰還増幅器5は、制御基準電圧Vref3に対して、必要な差電圧が生じるよう、非反転出力端子に単相出力電圧を発生する。
【0059】
また、
図9に示すように、トランジスタQ2のベース端子に一定の制御基準電圧Vref3を与えるようにしてもよい。
図9に示した構成の場合、帰還増幅器5は、制御基準電圧Vref3に対して、必要な差電圧が生じるよう、反転出力端子に単相出力電圧を発生する。
【0060】
制御基準電圧Vref3は、トランスインピーダンス増幅器の出力端子の直流電位が所望の値であるときに、トランジスタQ1,Q2のうち制御基準電圧Vref3が入力されない方のトランジスタのベース端子に帰還増幅器5から入力される直流電位と等しくなるように設定すればよい。制御基準電圧Vref3を発生する回路(不図示)としては、既知の定電圧発生回路を利用すればよい。
【0061】
なお、本実施の形態では、第6の実施の形態の構成においてトランジスタQ1またはQ2に制御基準電圧Vref3を与えているが、
図6に示した第5の実施の形態の構成においてトランジスタQ1またはQ2に制御基準電圧Vref3を与えてもよいことは言うまでもない。
【0062】
[第8の実施の形態]
次に、本発明の第8の実施の形態について説明する。
図10は本発明の第8の実施の形態に係るトランスインピーダンス増幅器の構成を示す回路図であり、
図1、
図6、
図7と同様の構成には同一の符号を付してある。本実施の形態は、第2の実施の形態に第4の実施の形態を適用した回路構成を具体化した例を示すものである。本実施の形態のトランスインピーダンス増幅器は、トランスインピーダンスコア回路1aと、平均電圧検出回路2と、振幅電圧検出回路3と、帰還増幅器4,5と、バッファ増幅器6と、直流電圧参照電圧発生回路8aと、振幅電圧参照電圧発生回路9とから構成される。
トランスインピーダンスコア回路1aの特徴は第4の実施の形態で説明したとおりである。その他の回路構成は第6の実施の形態で説明したとおりである。
【0063】
[第9の実施の形態]
次に、本発明の第9の実施の形態について説明する。
図11は本発明の第9の実施の形態に係るトランスインピーダンス増幅器の構成を示す回路図であり、
図1、
図6、
図7と同様の構成には同一の符号を付してある。本実施の形態は、差動電流入力が可能となるように、第6の実施の形態の回路構成を変更したものである。本実施の形態のトランスインピーダンス増幅器は、トランスインピーダンスコア回路1bと、平均電圧検出回路2bと、振幅電圧検出回路3bと、帰還増幅器4,5と、バッファ増幅器6bと、直流電圧参照電圧発生回路8aと、振幅電圧参照電圧発生回路9とから構成される。
【0064】
トランスインピーダンスコア回路1bは、ベース端子が帰還増幅器5の反転出力端子に接続され、エミッタ端子がトランスインピーダンス増幅器の非反転入力端子に接続されたトランジスタQ1と、ベース端子が帰還増幅器5の非反転出力端子に接続され、コレクタ端子が正側電源電圧VCCに接続され、エミッタ端子がトランスインピーダンス増幅器の非反転入力端子に接続されたトランジスタQ2と、ベース端子が帰還増幅器5の反転出力端子に接続され、エミッタ端子がトランスインピーダンス増幅器の反転入力端子に接続されたトランジスタQ3と、ベース端子が帰還増幅器5の非反転出力端子に接続され、コレクタ端子が正側電源電圧VCCに接続され、エミッタ端子がトランスインピーダンス増幅器の反転入力端子に接続されたトランジスタQ4と、一端が正側電源電圧VCCに接続され、他端がトランジスタQ1のコレクタ端子に接続された負荷抵抗R1と、一端が正側電源電圧VCCに接続され、他端がトランジスタQ3のコレクタ端子に接続された負荷抵抗R2と、第1の端子がトランジスタQ1,Q2のエミッタ端子に接続され、第2の端子が負側電源電圧VEEに接続され、電流制御端子が帰還増幅器4の非反転出力端子に接続された可変電流源I1と、第1の端子がトランジスタQ3,Q4のエミッタ端子に接続され、第2の端子が負側電源電圧VEEに接続され、電流制御端子が帰還増幅器4の非反転出力端子に接続された可変電流源I2とから構成される。トランスインピーダンス増幅器の入力端子には、差動入力電流信号IinP,IinNが入力される。
【0065】
第5の実施の形態で説明したとおり、可変電流源I1はトランジスタQ10と抵抗R10とから構成される。
可変電流源I2は、ベース端子(可変電流源I2の電流制御端子)が帰還増幅器4の非反転出力端子に接続され、コレクタ端子がトランジスタQ3,Q4のエミッタ端子に接続されたトランジスタQ11と、一端がトランジスタQ11のエミッタ端子に接続され、他端が負側電源電圧VEEに接続された抵抗R11とから構成される。
【0066】
バッファ増幅器6bは、ベース端子(バッファ増幅器6bの非反転入力端子)がトランスインピーダンスコア回路1bの非反転出力端子(トランジスタQ1のコレクタ端子と負荷抵抗R1との接続点)に接続され、コレクタ端子が正側電源電圧VCCに接続され、エミッタ端子(バッファ増幅器6bの非反転出力端子)がトランスインピーダンス増幅器の非反転出力端子に接続されたトランジスタQ21と、第1の端子がトランジスタQ21のエミッタ端子に接続され、第2の端子が負側電源電圧VEEに接続された定電流源I21と、ベース端子(バッファ増幅器6bの反転入力端子)がトランスインピーダンスコア回路1bの反転出力端子(トランジスタQ3のコレクタ端子と負荷抵抗R2との接続点)に接続され、コレクタ端子が正側電源電圧VCCに接続され、エミッタ端子(バッファ増幅器6bの反転出力端子)がトランスインピーダンス増幅器の反転出力端子に接続されたトランジスタQ22と、第1の端子がトランジスタQ22のエミッタ端子に接続され、第2の端子が負側電源電圧VEEに接続された定電流源I22とから構成される。このように、バッファ増幅器6bは、トランジスタQ21と定電流源I21とからなるエミッタフォロア回路と、トランジスタQ22と定電流源I22とからなるエミッタフォロア回路を有する。
【0067】
平均電圧検出回路2bは、一端(平均電圧検出回路2bの第1の入力端子)がトランスインピーダンス増幅器の非反転出力端子に接続された抵抗R31と、一端(平均電圧検出回路2bの第2の入力端子)がトランスインピーダンス増幅器の反転出力端子に接続された抵抗R32と、一端が抵抗R31,R32の他端に接続され、他端が負側電源電圧VEEに接続されたコンデンサC30とから構成される。平均電圧検出回路2bの出力端子(抵抗R31,R32とコンデンサC30との接続点)は、帰還増幅器4の非反転入力端子に接続される。
直流電圧参照電圧発生回路8aの構成は第5、第6の実施の形態で説明したとおりである。
【0068】
振幅電圧検出回路3bは、ベース端子(振幅電圧検出回路3bの第1の入力端子)がトランスインピーダンス増幅器の非反転出力端子に接続され、コレクタ端子が正側電源電圧VCCに接続されたトランジスタQ41と、ベース端子(振幅電圧検出回路3bの第2の入力端子)がトランスインピーダンス増幅器の反転出力端子に接続され、コレクタ端子が正側電源電圧VCCに接続されたトランジスタQ42と、ベース端子がトランジスタQ41,Q42のエミッタ端子に接続され、コレクタ端子が正側電源電圧VCCに接続されたトランジスタQ43と、ベース端子(振幅電圧検出回路3bの第3の入力端子)が平均電圧検出回路2bの出力端子(抵抗R31,R32とコンデンサC30との接続点)に接続され、コレクタ端子が正側電源電圧VCCに接続されたトランジスタQ44と、ベース端子がトランジスタQ44のエミッタ端子に接続され、コレクタ端子が正側電源電圧VCCに接続されたトランジスタQ45と、一端がトランジスタQ41,Q42のエミッタ端子に接続され、他端が負側電源電圧VEEに接続されたコンデンサC41と、第1の端子がトランジスタQ45のエミッタ端子に接続され、第2の端子が負側電源電圧VEEに接続された定電流源I42とから構成される。振幅電圧検出回路3bの出力端子(トランジスタQ45のエミッタ端子と定電流源I42との接続点)は、帰還増幅器5の反転入力端子に接続される。振幅電圧検出回路3bのうちトランジスタQ41,Q42とコンデンサC41とは、差動出力電圧信号VoutP,VoutNのピーク電圧を検出するピーク検出回路を構成している。
【0069】
振幅電圧参照電圧発生回路9の構成は第5の実施の形態で説明したとおりである。こうして、本実施の形態では、第6の実施の形態の回路構成を差動化したトランスインピーダンス増幅器を実現することができる。本実施の形態では、平均電圧検出回路2bと振幅電圧検出回路3bとが、相補的な差動出力電圧信号VoutP,VoutNを同時にモニタし、非反転入力信号と反転入力信号に対して同一の制御電圧を発生しているので、非反転入力信号に対する増幅作用と反転入力信号に対する増幅作用の対称性が良好に保てるという利点がある。また、本実施の形態では、平均電圧検出回路2bと振幅電圧検出回路3b内のピーク検出回路とが相補的な差動出力電圧信号VoutP,VoutNを入力としているので、平均電圧検出回路2bとピーク検出回路の出力電圧の収束が早いという利点がある。
【0070】
[第10の実施の形態]
次に、本発明の第10の実施の形態について説明する。
図12は本発明の第10の実施の形態に係るトランスインピーダンス増幅器の構成を示す回路図であり、
図1、
図6、
図7、
図10と同様の構成には同一の符号を付してある。本実施の形態は、差動電流入力が可能となるように、第8の実施の形態の回路構成を変更したものである。本実施の形態のトランスインピーダンス増幅器は、トランスインピーダンスコア回路1cと、平均電圧検出回路2bと、振幅電圧検出回路3bと、帰還増幅器4,5と、バッファ増幅器6bと、直流電圧参照電圧発生回路8aと、振幅電圧参照電圧発生回路9とから構成される。
【0071】
トランスインピーダンスコア回路1cは、トランジスタQ1〜Q4と、可変電流源I1,I2と、一端がトランジスタQ2のコレクタ端子に接続され、他端がトランジスタQ1のコレクタ端子に接続された負荷抵抗R1Aと、一端が正側電源電圧VCCに接続され、他端がトランジスタQ2のコレクタ端子に接続された負荷抵抗R1Bと、一端がトランジスタQ4のコレクタ端子に接続され、他端がトランジスタQ3のコレクタ端子に接続された負荷抵抗R2Aと、一端が正側電源電圧VCCに接続され、他端がトランジスタQ4のコレクタ端子に接続された負荷抵抗R2Bとから構成される。
【0072】
その他の構成は第9の実施の形態で説明したとおりである。こうして、本実施の形態では、第8の実施の形態の回路構成を差動化したトランスインピーダンス増幅器を実現することができる。
【0073】
[第11の実施の形態]
次に、本発明の第11の実施の形態について説明する。
図13は本発明の第11の実施の形態に係るトランスインピーダンス増幅器の構成を示す回路図であり、
図1、
図6、
図7、
図10、
図11と同様の構成には同一の符号を付してある。本実施の形態は、第9の実施の形態の回路構成において、バッファ増幅器6bの出力端子とトランスインピーダンス増幅器の出力端子との間に線形増幅器7を設けたものである。本実施の形態のトランスインピーダンス増幅器は、トランスインピーダンスコア回路1bと、平均電圧検出回路2bと、振幅電圧検出回路3cと、帰還増幅器4,5と、バッファ増幅器6bと、直流電圧参照電圧発生回路8aと、振幅電圧参照電圧発生回路9と、制御電圧バッファ10,11とから構成される。
【0074】
トランスインピーダンスコア回路1b、平均電圧検出回路2b、帰還増幅器4,5、バッファ増幅器6b、直流電圧参照電圧発生回路8a、振幅電圧参照電圧発生回路9については第9の実施の形態で説明したとおりである。
【0075】
線形増幅器7の非反転入力端子はバッファ増幅器6bの非反転出力端子(トランジスタQ21のエミッタ端子)に接続され、反転入力端子はバッファ増幅器6bの反転出力端子(トランジスタQ22のエミッタ端子)に接続されている。線形増幅器7の非反転出力端子はトランスインピーダンス増幅器の非反転出力端子に接続され、反転出力端子はトランスインピーダンス増幅器の反転出力端子に接続されている。
【0076】
本実施の形態では、線形増幅器7として可変利得の線形増幅器を用いており、制御電圧バッファ10から出力される制御電圧により線形増幅器7の利得が制御される。制御電圧バッファ10の非反転入力端子は帰還増幅器5の非反転出力端子に接続され、反転入力端子は帰還増幅器5の反転出力端子に接続されている。制御電圧バッファ10は、差動出力電圧信号VoutP,VoutNの振幅電圧が(R41の抵抗値×定電流源I41の電流値)で決定される振幅電圧参照電圧Vref2よりも大きくなると、線形増幅器7の利得を下げるように制御電圧を出力し、差動出力電圧信号VoutP,VoutNの振幅電圧が振幅電圧参照電圧Vref2よりも小さくなると、線形増幅器7の利得を上げるように制御電圧を出力する。これにより、差動出力電圧信号VoutP,VoutNの振幅電圧が振幅電圧参照電圧Vref2と一致するよう制御される。こうして、トランジスタQ1を流れる電流とトランジスタQ2を流れる電流との分流比の調整およびトランジスタQ3を流れる電流とトランジスタQ4を流れる電流との分流比の調整と相俟って、差動出力電圧信号VoutP,VoutNの振幅を一定の値に保つことができる。
【0077】
制御電圧バッファ11の非反転入力端子は帰還増幅器5の非反転出力端子に接続され、反転入力端子は帰還増幅器5の反転出力端子に接続されている。制御電圧バッファ11の非反転出力端子はトランジスタQ2,Q4のベース端子に接続され、反転出力端子はトランジスタQ1,Q3のベース端子に接続されている。
【0078】
振幅電圧検出回路3cは、トランジスタQ41〜Q45と、コンデンサC41と、定電流源I42と、一端がバッファ増幅器6bの非反転出力端子(トランジスタQ21のエミッタ端子)に接続された抵抗R42と、一端がバッファ増幅器6bの反転出力端子(トランジスタQ22のエミッタ端子)に接続された抵抗R43と、一端が抵抗R42,R43の他端に接続され、他端が負側電源電圧VEEに接続されたコンデンサC42とから構成される。
【0079】
本実施の形態では、平均電圧検出回路2bがバッファ増幅器6bの出力で平均電圧を検出しているのに対し、振幅電圧検出回路3cはトランスインピーダンス増幅器の出力の振幅電圧を検出しているため、平均電圧検出回路2bの検出結果を振幅電圧検出回路3cで利用することができない。そこで、振幅電圧検出回路3c内に抵抗R42,R43とコンデンサC42とからなる平均電圧検出回路を新設している。この平均電圧検出回路の出力端子(抵抗R42,R43とコンデンサC42との接続点)をトランジスタQ44のベース端子に接続している。
【0080】
なお、線形増幅器7は本実施の形態のみではなく、他の実施の形態においても設けることができる。線形増幅器7は、固定利得のものでも、本実施の形態のように可変利得のものでもよい。特に、線形増幅器が利得可変であると、トランスインピーダンス増幅器の入力端子における入力電流振幅のダイナミックレンジを、トランスインピーダンスコア回路と線形増幅器の2つの増幅器で吸収することができるようになるので、トランスインピーダンス増幅器のダイナミックレンジを更に拡大できるという利点がある。
【0081】
なお、第1〜第11の実施の形態において、トランジスタQ2のサイズは、トランジスタQ1のサイズと同一である必要はない。むしろ、トランジスタQ2のサイズを、トランジスタQ1より大きく設定すると、より大きなダイナミックレンジが得られるという利点が生じる。すなわち、トランジスタQ2のサイズが、トランジスタQ1のサイズのN倍である場合、トランジスタQ2が許容できる最大直流電流値も、トランジスタQ1の許容できる最大電流値のN倍となる。このため、トランジスタQ2のサイズがトランジスタQ1のサイズのN倍である場合と、トランジスタQ2のサイズがトランジスタQ1のサイズに等しい場合とで、トランスインピーダンス増幅器の許容する最大入力電流振幅を比較すると、トランジスタQ2のサイズがトランジスタQ1のサイズのN倍の場合、トランジスタQ2のサイズがトランジスタQ1のサイズに等しい場合と比較して概ね(N+1)/2倍の大きさの入力電流振幅が許容できるようになる。同様に、トランジスタQ4のサイズを、トランジスタQ3より大きく設定すると、より大きなダイナミックレンジが得られるという利点が生じる。トランジスタのサイズを変更する方法としては、文字通りエミッタサイズの異なるトランジスタを使用することでも実現できるが、トランジスタを並列に接続することによっても実効的なトランジスタサイズを変更することができる。
【0082】
また、第1〜第11の実施の形態において、帰還増幅器4の時定数は、帰還増幅器5の時定数よりも短く設定する必要がある。その理由は、振幅電圧検出回路3,3b,3cの出力を受けて、トランジスタQ1〜Q4のベース端子に入力される制御電圧が調整され、トランスインピーダンス増幅器の入力端子に入力された電流信号のうち、抵抗R1,R3を流れる電流成分が変更される過程において、抵抗R1,R3を流れる直流電流成分の変化分が可変電流源I1,I2によって速やかに補償されるようにするためである。