特許第6208662号(P6208662)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6208662シラン官能性ポリマーに基づく2コンポーネント配合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6208662
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】シラン官能性ポリマーに基づく2コンポーネント配合物
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/10 20060101AFI20170925BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20170925BHJP
   C09D 7/12 20060101ALI20170925BHJP
   C09D 163/00 20060101ALI20170925BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20170925BHJP
   C09J 163/00 20060101ALI20170925BHJP
   C09K 3/10 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   C08L101/10
   C08L63/00 A
   C09D7/12
   C09D163/00
   C09J11/06
   C09J163/00
   C09K3/10 G
   C09K3/10 L
【請求項の数】15
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2014-526516(P2014-526516)
(86)(22)【出願日】2012年8月24日
(65)【公表番号】特表2014-529650(P2014-529650A)
(43)【公表日】2014年11月13日
(86)【国際出願番号】EP2012066551
(87)【国際公開番号】WO2013030135
(87)【国際公開日】20130307
【審査請求日】2015年8月19日
(31)【優先権主張番号】11179077.0
(32)【優先日】2011年8月26日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】506416400
【氏名又は名称】シーカ テクノロジー アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100170874
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 和哉
(72)【発明者】
【氏名】ウルス ブルクハルト
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン ショファ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ルッツ
(72)【発明者】
【氏名】シュテフェン ケルヒ
(72)【発明者】
【氏名】ウルリヒ ボルフ
【審査官】 今井 督
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−268720(JP,A)
【文献】 特開2001−261784(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00−101/14
C09D 7/00− 7/12
C09D 163/00−163/10
C09J 11/00− 11/08
C09J 163/00−163/10
C09K 3/00− 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のコンポーネントから構成される、2コンポーネント配合物:
少なくとも1種のシラン官能性ポリマー、及び少なくとも1種のエポキシ樹脂用硬化剤又は促進剤を含む、非水系のコンポーネントA、並びに
少なくとも1種のエポキシ樹脂の少なくとも1種の水系エマルションを含むコンポーネントB、
ここで、前記エポキシ樹脂は、0.05〜10μmの範囲の平均粒径を有し、かつ前記コンポーネントAのシラン官能性ポリマーは、以下からなる群より選択される:
イソシアネート基に対して反応性を有する少なくとも1個の基を有するシランと、イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーとの反応によって得られた、シラン官能性ポリウレタンポリマーP1;
イソシアナトシランISと、イソシアネート基に対して反応性を有する末端官能基を有するポリマーとの反応によって得られた、シラン官能性ポリウレタンポリマーP2;及び
末端二重結合を有するポリマーのヒドロシリル化反応によって得られた、シラン官能性ポリマーP3。
【請求項2】
前記少なくとも1種のエポキシ樹脂の少なくとも1種のエマルジョンが、10〜40wt%の水を含むことを特徴とする、請求項1に記載の2コンポーネント配合物。
【請求項3】
前記エポキシ樹脂が、0.2〜5μmの範囲の平均粒径を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の2コンポーネント配合物。
【請求項4】
前記エマルジョンが、最大の粒子の最小の粒子に対する粒径の比が≦25の範囲の値である粒径分布を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の2コンポーネント配合物。
【請求項5】
前記エマルジョン中の粒子の90%が、6μm未満であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の2コンポーネント配合物。
【請求項6】
前記エポキシ樹脂用の硬化剤又は促進剤が、第3級ポリアミン、マンニッヒ塩基、ポリメルカプタン、及びイミダゾール類からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の2コンポーネント配合物。
【請求項7】
前記エポキシ樹脂用の硬化剤又は促進剤が、N,N−ジメチル−N’−(ジメチルアミノプロピル)−1,3−プロパンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス−(ジメチルアミノエチル)−ピペラジン、N,N’−ジメチルピペラジン、ジメチルアミノメチルフェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス((3−(ジメチルアミノ)プロピル)−アミノメチル)フェノール、1−メチルイミダゾール、1−エチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、及び1−ベンジル−2−メチルイミダゾールからなる群より選択されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の2コンポーネント配合物。
【請求項8】
前記シラン官能性ポリマーを水分の補助の下で架橋するための、少なくとも1種の触媒をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の2コンポーネント配合物。
【請求項9】
水分を用いて 前記シラン官能性ポリマーを架橋するための前記少なくとも1種の触媒が、有機スズ化合物、チタナート、ジルコナート、第3級アミン、アミジニン、及びグアニジンからなる群より選択されることを特徴とする、請求項8に記載の2コンポーネント配合物。
【請求項10】
アミノシラン、エポキシシラン、又はメルカプトシランの少なくとも1種をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の2コンポーネント配合物。
【請求項11】
少なくとも1種のフィラーをさらに含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の2コンポーネント配合物。
【請求項12】
前記エポキシ樹脂用の硬化剤又は促進剤の分量が、コンポーネントAに基づいて、0.5〜15重量%であることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の2コンポーネント配合物。
【請求項13】
コンポーネントAのコンポーネントBに対する重量比が、1:1〜100:1であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の2コンポーネント配合物。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の2コンポーネント配合物の、接着剤、封止剤又はコーティングとしての使用。
【請求項15】
コンポーネントAとコンポーネントBとを混合することによって、請求項1〜13のいずれか一項に記載の2コンポーネント配合物から得られた、硬化した組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着剤、封止剤、又はコーティングとしての使用に適切な、シラン官能性ポリマーに基づく2コンポーネント配合物に関する。
【背景技術】
【0002】
シラン官能性ポリマーに基づく硬化性物品が知られている。これらは、気泡がない状態で硬化すること、及び高い接着強度を有することによって特徴付けられる。この種類の公知の配合物の多くは、雰囲気中の湿分によって硬化する単一コンポーネントの組成物として配合されている。これは、この配合物を適用する間に、特に水分非浸透性の基材を接合させる間に、湿分が拡散によって配合物内に入る必要があり、厚い層で行う場合には非常にゆっくりとのみ起こるため、硬化を完全にするのに必要な時間、すなわち最終強度に到達するのに必要な時間が比較的長いという欠点を有する。
【0003】
シラン官能性ポリマーに基づく単一コンポーネントの配合物の硬化は、水を遊離形態で含むコンポーネント又は水を結合した形態で含むコンポーネントを混合することで、又は適用している間に、促進させるできることが知られている。例えば、1つのこのような系は、特許文献1に記載されている。このような促進した単一コンポーネント系は、急速に硬化するが、非対称の混合比率に起因して、混合の性質及び添加する水の量によって影響を受ける。さらに、促進剤を用いない単一コンポーネント系と同様に、これらが達成可能な機械的特性、例えば強度及び粘弾性の点で限定的であり、特定の例では、脆くなる傾向がある。
【0004】
例えば特許文献2に記載のように、良好な機械的特性、特に高い強度及び粘弾性を有するシラン官能性ポリマーの配合物を、シラン官能性ポリマーをエポキシ樹脂とハイブリッド系として混合する場合に、得ることができる。これは、典型的には、第1コンポーネントにシラン官能性ポリマーが存在し、かつ第2コンポーネントにエポキシ樹脂が存在する2コンポーネント系を挙げることができる。この場合、雰囲気中の水分に起因して、シラン官能性ポリマーの硬化が起こる。
【0005】
シラン官能性ポリマー及びエポキシ樹脂の両方の高い粘度に起因して、このようなハイブリッド系は、不満足な塗布特性を有することが頻繁にある。これは、例えば、長いストリング(long stringing)の接着剤の場合に現れ、また多量のレオロジー助剤を使用する必要を与える。最終的に、これらは強く不快なアミン臭を、塗布中に与える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0371370号
【特許文献2】欧州特許出願公開第0186191号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、適用条件とは独立して、例えば温度及び相対湿度とは独立して、素早く硬化し、かつ粘着性表面を残さずに、そして硬化した状態では、高い強度、粘弾性、様々な基材への良好な接着性、及び高い熱安定性を有するシラン官能性ポリマー系の配合物を与え、それにより従来技術が有する上記の課題を解決することを目的とする。また、この配合物は、非架橋状態で、高い保存安定性及び良好な適用性、特に室温での高い保存安定性及び良好な適用性を有する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、第1発明による2コンポーネント配合物によって、本発明により、解決される。
【0009】
驚くべきことに少なくとも1種のエポキシ樹脂の水系エマルションと、非水系中のシラン官能性ポリマーとの配合物が、脱混合(demixing)及びマクロな相分離(phase separation)をもたらしうるあらゆる適合性の問題を与えないことが分かった。その代わりに、本発明による配合物は、良好な機械的特性によって特徴付けられる。
【0010】
本発明による配合物のさらなる利点は、必要な場合には、多くの用途で望ましい、例えば垂直表面へのこの配合物の適用時に望ましい、良好な安定性及びスリップ抵抗を、適用後すぐに有するように、製造できるという事実にある。
【0011】
さらに、本発明の配合物は、シラン官能性ポリマー及びエポキシ樹脂に基づく公知のハイブリット系とは対照的に、適用中に臭いをほとんど与えない。
【0012】
本発明のさらなる態様は、従属する発明の態様に存在している。特に、本発明の好ましい態様は、その従属的態様の主題である。
本発明の態様としては、以下を挙げることができる:
《態様1》
以下のコンポーネントから構成される、2コンポーネント配合物:
少なくとも1種のシラン官能性ポリマー、及び少なくとも1種のエポキシ樹脂用硬化剤又は促進剤を含むコンポーネントA、並びに
少なくとも1種のエポキシ樹脂用の少なくとも1種の水系エマルションを含むコンポーネントB。
《態様2》
前記少なくとも1種のエポキシ樹脂の水性エマルジョンが、10〜40wt%の水を含むことを特徴とする、態様1に記載の2コンポーネント配合物。
《態様3》
前記エポキシ樹脂が、0.05〜10μmの範囲の平均粒径を有することを特徴とする、態様1又は2に記載の2コンポーネント配合物。
《態様4》
前記エマルジョンが、最大の粒子の最小の粒子に対する粒径の比が≦25の範囲の値である粒径分布を有することを特徴とする、態様1〜3のいずれか1項に記載の2コンポーネント配合物。
《態様5》
前記エマルジョン中の粒子の90%が、6μm未満であることを特徴とする、態様1〜4のいずれか1項に記載の2コンポーネント配合物。
《態様6》
前記エポキシ樹脂用の硬化剤又は促進剤が、第3級ポリアミン、マンニッヒ塩基、ポリメルカプタン、及びイミダゾール類からなる群より選択されることを特徴とする、態様1〜5のいずれか1項に記載の2コンポーネント配合物。
《態様7》
前記エポキシ樹脂用の硬化剤又は促進剤が、N,N−ジメチル−N’−(ジメチルアミノプロピル)−1,3−プロパンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス−(ジメチルアミノエチル)−ピペラジン、N,N’−ジメチルピペラジン、ジメチルアミノメチルフェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス((3−(ジメチルアミノ)プロピル)−アミノメチル)フェノール、1−メチルイミダゾール、1−エチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、及び1−ベンジル−2−メチルイミダゾールからなる群より選択されることを特徴とする、態様1〜6のいずれか1項に記載の2コンポーネント配合物。
《態様8》
前記シラン官能性ポリマーを水分の補助の下で架橋するための、少なくとも1種の触媒をさらに含むことを特徴とする、態様1〜7のいずれか1項に記載の2コンポーネント配合物。
《態様9》
水分を用いて 前記シラン官能性ポリマーを架橋するための前記少なくとも1種の触媒が、有機スズ化合物、チタナート、ジルコナート、第3級アミン、アミジニン、及びグアニジンからなる群より選択されることを特徴とする、態様8に記載の2コンポーネント配合物。
《態様10》
アミノシラン、エポキシシラン、又はメルカプトシランの少なくとも1種をさらに含むことを特徴とする、態様1〜9のいずれか1項に記載の2コンポーネント配合物。
《態様11》
少なくとも1種のフィラーをさらに含むことを特徴とする、態様1〜10のいずれか1項に記載の2コンポーネント配合物。
《態様12》
前記エポキシ樹脂用の硬化剤又は促進剤の分量が、コンポーネントAに基づいて、0.5〜15重量%であることを特徴とする、態様1〜11のいずれか一項に記載の2コンポーネント配合物。
《態様13》
コンポーネントAのコンポーネントBに対する重量比が、1:1〜100:1であることを特徴とする、態様1〜12のいずれか一項に記載の2コンポーネント配合物。
《態様14》
態様1〜13のいずれか一項に記載の2コンポーネント配合物の、接着剤、封止剤又はコーティングとしての使用。
《態様15》
コンポーネントAとコンポーネントBとを混合することによって、態様1〜13のいずれか一項に記載の2コンポーネント配合物から得られた、硬化した組成物。
【0013】
本発明は、
以下を含むコンポーネントA:
−少なくとも1種のシラン官能性ポリマーP、及び
−少なくとも1種のエポキシ樹脂用硬化剤又は促進剤成分;並びに
以下を含むコンポーネントB:
−少なくとも1種のエポキシ樹脂の水系エマルション
からなる2コンポーネント配合物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書においてポリオールやポリイソシアネートなどの「ポリ」で始まる物質名は、正式にはその名前で現れる官能基を2つ以上含有する物質を指す。
【0015】
本明細書において用語「ポリマー」は、一方では、化学的に均一な高分子(macromolecule)の集合を含むが、重合度、分子量、及び鎖の長さは異なり、重反応(重合、重点化、重縮合)によって合成されたものを含む。他方、この用語はまた、そのような重反応の高分子の群の誘導体、すなわち、ある高分子への官能基の付加又は置換などの反応から得られる化合物を含み、これらは、化学的に均一でも不均一でもよい。またこの用語は、一般プレポリマー、すなわちその官能基が高分子の合成に関与する、反応性オリゴマープレ付加物も含む。
【0016】
用語「ポリウレタンポリマー」は、いわゆるジイソシアネート重付加プロセスによって合成されたすべてのポリマーを含む。これはまた、ほとんど又はウレタン基を全く含まないポリマーも含む。ポリウレタンポリマーの例は、ポリエーテルポリウレタン、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリ尿素、ポリ尿素、ポリエステルポリ尿素、ポリイソシアヌレート、及びポリカルボジイミドを含む。
【0017】
本明細書において、用語「シラン」及び「有機シラン」は、一方では、Si−O結合によりケイ素原子に直接結合した、少なくとも1つ、通常2つ又は3つのアルコキシ基又はアシルオキシ基を有し、他方では、Si−C結合によりケイ素原子に直接結合した、少なくとも1つの有機基を有する化合物をいう。当業者には、有機アルコキシシラン又は有機アシルオキシシランとして、そのようなシランは周知である。
【0018】
したがって、用語「シラン基」は、Si−C結合によりシランの有機基に結合したケイ素含有基をいう。シラン及び/又はこれらのシラン基は、水分と接触すると加水分解を受ける性質を有する。そうすることにより、有機シラノール、すなわち1つ以上のシラノール基(Si−OH基)を含有する有機ケイ素化合物が形成され、そして以後の縮合反応のために、有機シロキサン、すなわち1つ以上のシロキサン基(Si−O−Si基)を含有する有機ケイ素化合物が形成される。
【0019】
用語「シラン官能性」は、シラン基を含有する化合物を示す。したがって、「シラン官能性ポリマー」は、少なくとも1つのシラン基を含有するポリマーである。
【0020】
有機基がアミノ基及び/又はメルカプト基を有する有機シランは、「アミンシラン」及び/又は「メルカプトシラン」と呼ばれる。「1級アミノシラン」は、1級アミノ基、すなわち有機基に結合したNH基を有するアミノシランである。「2級アミノシラン」は、2級アミノ基、すなわち有機基に結合したNH基を有するアミノシランである。
【0021】
「分子量」は、本明細書において、平均分子量Mn(数平均)をいうものと理解される。
【0022】
本明細書において「室温」は、23℃の温度をいう。
【0023】
本発明による配合物のコンポーネントAは、少なくとも1種のシラン官能性ポリマーPを含み、これは、特に次の式(I)の末端基を有する:
【化1】
【0024】
ここで、R基は、直鎖又は分岐鎖の、1〜8個のC原子を有する一価の炭化水素基、特に、メチル基、又はエチル基を表す。
【0025】
基は、直鎖又は分岐鎖の、1〜12個のC原子を有する二価の炭化水素基であって、環状部分及び/又は芳香族部分を有していてもよく、そして1以上のヘテロ原子、特に1以上の窒素原子を有していてもよい二価の炭化水素基を表わす。特に、R基は、直鎖又は分岐鎖の、1〜6個のC原子を有するアルキレン基を表わし、好ましくはメチレン、1,3−プロピレンを表わし、特に好ましくは1,3−プロピレンを表わす。
【0026】
基は、アシル基、又は直鎖若しくは分岐鎖の、1〜5個のC原子を有する一価の炭化水素基、特に、メチル基、エチル基、又はイソプロピル基を表す。
【0027】
指数「a」は、0、1、又は2の値、好ましくは0を指す。
【0028】
式(I)のシラン基において、R及びRは、互いに独立して上述した基を表す。したがって、例えば、エトキシ−ジメトキシシラン末端基(R=メチル、R=メチル、R=エチル)である式(I)の末端基を有する化合物も可能である。
【0029】
第1の実施態様では、シラン官能性ポリマーPは、イソシアネート基に対して反応性を有する少なくとも1個の基を有するシランと、イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーとの反応によって得ることができる、シラン官能性ポリウレタンポリマーP1である。この反応は、イソシアネート基に対して反応性を有する基のイソシアネート基に対する化学量論比を1:1として行うか、あるいはイソシアネート基に対して反応性を有する基がわずかに多い量で行い、これにより生成するシラン官能性ポリウレタンポリマーP1はイソシアネート基を好ましくは全く含まない。
【0030】
イソシアネート基に対して反応性を有する少なくとも1個の基を有するシランと、イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーとの反応においては、理論的には、しかし優先的ではないが、準化学量論量的な条件でシランを用いて、それによりシラン基及びイソシアネート基の両方の基を有するシラン官能性ポリマーを得ることができる。
【0031】
イソシアネート基に対して反応性を有する少なくとも1個の基を有するシランは、例えば、メルカプトシラン又はアミノシランであり、特にアミノシランである。
【0032】
アミノシランは、次の式(II)のアミノシランASであることが好ましい。
【化2】
【0033】
上記式中、R、R、R、及びaは、上述した通りであり、R は、水素原子、又は環状部分を有していてもよい直鎖若しくは分岐鎖の1〜20個の炭素原子を有する一価の炭化水素基、あるいは以下の式(III)の基を表わす:
【化3】
【0034】
ここで、R及びR基は、それぞれ互いに独立して、水素原子を表すか、又は−R11、−COOR11及び−CNからなる群からの基を表す。
10部分は、水素原子を表すか、あるいは−CH−COOR11、−COOR11、−CONHR11、−CON(R11、−CN、−NO、−PO(OR11、−SO11及び−SOOR11からなる群からの基を表す。
【0035】
11基は、少なくとも1個のヘテロ原子を含有していてもよい、1〜20個のC原子を有する炭化水素基を表す。
【0036】
適切なアミノシランASの例は、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルジメトキシメチルシランなどの第一級アミノシラン;N−ブチル−3−アミノプ
ロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランなどの第二級アミノシラン;3−アミノプロピルトリメトキシシラン又は3−アミノプロピルジメトキシメチルシランなどの第一級アミノシランと、アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、マレイン酸ジエステル及びフマル酸ジエステル、クエン酸ジエステル及びイタコン酸ジエステルなどのマイケル受容体とのマイケル型付加反応の生成物(例えば、ジメチル及びジエチルN−(3−トリメトキシシリルプロピル)アミノスクシネート);及び、前述したアミノシランのケイ素上のメトキシ基の代わりにエトキシ基又はイソプロポキシ基を有する類似体である。特に適切なアミノシランA2は、第二級アミノシラン、より具体的には、式(II)においてRがH以外であるアミノシランASである。マイケル型付加物、より特にはジエチルN−(3−トリメトキシシリルプロピル)アミノスクシネートが好ましい。
【0037】
本明細書において用語「マイケル受容体」は、それが有する電子受容性部分により活性化された二重結合に基づいて、マイケル付加(ヘテロマイケル付加)と類似した様式で、一級アミノ基(NH基)と一緒に求核付加反応に関与することができる化合物を指す。
【0038】
シラン官能性ポリウレタンポリマーP1を製造するための、イソシアネート基を有する適切なポリウレタンポリマーの例には、少なくとも1種のポリオールと少なくとも1種のポリイソシアネート、特にジイソシアネートとの反応によって得ることができるポリマーが含まれる。この反応は、一般的に用いられる方法、例えば、50℃〜100℃の温度で、場合により適切な触媒を同時に使用して、ポリオールとポリイソシアネートとを、そのイソシアネート基の量をポリオールのヒドロキシル基に対して化学量論的に過剰に存在するように選択して、反応させることによって行う。
【0039】
具体的には、ポリイソシアネートの過剰は、ポリオールのヒドロキシル基のすべてが反応した後に得られるポリウレタンポリマーの遊離のイソシアネート含有量が、ポリマー全体を基準として、0.1質量%〜5質量%、好ましくは0.1質量%〜2.5質量%、特
に好ましくは0.2質量%〜1質量%残るように選択する。
【0040】
場合により、ポリウレタンポリマーは、可塑剤を同時に使用して製造することができる。但し、使用する可塑剤は、イソシアネートに対して反応性を有する基を有さないことを条件とする。
【0041】
好ましいポリウレタンポリマーは、前述した遊離イソシアネート含有量を有し、かつジイソシアネートと高分子量ジオールとのNCO:OH比が1.5:1〜2.2:1である反応から得たポリウレタンポリマーである。
【0042】
リウレタンポリマーを製造するために適切なポリオールは、特に、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、及びポリカーボネートポリオール、並びにこれらのポリオールの混合物である。
【0043】
適切なポリオキシアルキレンポリオール(ポリエーテルポリオール又はオリゴエーテルオールともいわれる)は、とりわけ、エチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、1,2−又は2,3−ブチレンオキシド、オキセタン、テトラヒドロフラン、又はこれらの混合物の重合生成物であり、任意選択により、2個以上の活性水素原子を有する出発分子(例えば、水、アンモニア)、又はいくつかのOH又はNH基を有する化合物(例えば、1,2−エタンジオール、1,2−及び1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール異性体類、トリプロピレングリコール異性体類、ブタンジオール異性体類、ペンタンジオール異性体類、ヘキサンジオール異性体類、へプタンジオール異性体類、オクタンジオール異性体類、ノナンジオール異性体類、デカンジオール異性体類、ウンデカンジオール異性体類、1,3−及び1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、1,1,1−トリメチロールエタン、1,1,1−トリメチロールプロパン、グリセロール、アニリン、及び上述した化合物の混合物を用いて重合されたものであってよい。例えば、いわゆるダブルメタルシアン化物錯体触媒(DMC触媒)を用いて製造される、(ASTM D−2849−69に準拠して測定され、ポリオール1グラム当たりの不飽和のミリ当量(meq/g))で示される)不飽和度が低いポリオキシアルキレンポリオールだけでなく、例えば、NaOH、KOH、CsOH、又はアルカリ金属アルコキシド等のアニオン触媒を用いて製造される、高い不飽和度を有するポリオキシアルキレンポリオールも使用することができる。
【0044】
特に好適なものは、ポリオキシエチレンポリオール及びポリオキシプロピレンポリオール、特に、ポリオキシエチレンジオール、ポリオキシプロピレンジオール、ポリオキシエチレントリオール、及びポリオキシプロピレントリオールである。
【0045】
特に好適なものは、不飽和度が0.02meq/g未満の不飽和度を有し、分子量が1000〜30000g/モルの範囲のポリオキシアルキレンジオール及びポリオキシアルキレントリオール、並びに分子量が400〜200000g/モルのポリオキシエチレンジオール、ポリオキシエチレントリオール、ポリオキシプロピレンジオール、及びポリオキシプロピレントリオールである。
【0046】
いわゆるエチレンオキシド末端化(「EO末端封鎖」、エチレンオキシドで末端キャップされた)ポリオキシプロピレンポリオールも、とりわけ好適である。後者は、特異なポリオキシプロピレンポリオキシエチレンポリオールであって、これは例えば、ポリプロポキシル化反応終了後の純粋なポリオキシプロピレンポリオール、特にポリオキシプロピレンジオール及びトリオールに、エチレンオキシドを加え、さらにアルコキシル化する方法によって得られ、したがって生成物は、一級ヒドロキシル基を有している。この場合、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンジオール及びポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレントリオールが好ましい。
【0047】
さらに、ヒドロキシル基で末端化されたポリブタジエンポリオール、例えば、1,3−ブタジエンとアリルアルコールとの重合によって、あるいはポリブタジエンの酸化によって製造されるポリオール類、並びにその水和生成物が好適である。
【0048】
さらに、スチレン−アクリロニトリルでグラフト化されたポリエーテルポリオールであって、市販の種類のもの、例えば、Elastogran GMBH(ドイツ)から商標名Lupranolの下で販売されているものが好適である。
【0049】
とりわけ好適なポリエステルポリオール類は、少なくとも2個のヒドロキシル基を有するポリエステル類であって、公知の方法、より具体的には、ヒドロキシカルボン酸の重縮合、又は脂肪族及び/若しくは芳香族ポリカルボン酸と、二価若しくは多価のアルコールとの重縮合によって製造される。
【0050】
ポリエステルポリオールとしてとりわけ好ましいものは、二価〜三価アルコール〔例えば、1,2−エタンジオール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセロール、1,1,1−トリメチロールプロパン、又は前述のアルコール類の混合物など〕と、有機ジカルボン酸又はそれらの酸無水物若しくはエステル〔例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、トリメチルアジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、ダイマー脂肪酸、フタル酸、フタル酸無水物、イソフタル酸、テレフタル酸、テレフタル酸ジメチル、ヘキサヒドロフタル酸、トリメリット酸、トリメリット酸無水物、又は前述の酸の混合物など〕とから製造されるポリエステルポリオール類、並びにラクトン類(例えば、ε−カプロラクトンなど)からのポリエステルポリオール類である。
【0051】
とりわけ好適なものは、ポリエステルジオール、とりわけ、ジカルボン酸としてのアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、ダイマー脂肪酸、フタル酸、イソフタル酸、及びテトラフタル酸、又は例えばε−カプロラクトンなどのラクトン類と、二価アルコールとしてのエチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ダイマー脂肪酸ジオール、及び1,4−シクロヘキサンジメタノールとから製造されるポリエステルジオールである。
【0052】
とりわけ好適なものは、ポリエステルジオール、とりわけ、ジカルボン酸としてのアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、ダイマー脂肪酸、フタル酸、イソフタル酸、及びテトラフタル酸、又は例えばε−カプロラクトンなどのラクトン類と、二価アルコールとしてのエチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ダイマー脂肪酸ジオール、及び1,4−シクロヘキサンジメタノールとから製造されるポリエステルジオールである。
【0053】
とりわけ好適なポリカーボネートポリオールは、例えば、ポリエステルポリオールの製造に用いられる上述したアルコール類を、ジアルキルカーボネート(例えば、ジメチルカーボネートなど)、ジアリールカーボネート(例えば、ジフェニルカーボネートなど)、又はホスゲンと反応させることによって得ることができるポリカーボネートポリオールである。ポリカーボネートジオール、とりわけ非晶質ポリカーボネートジオールが特に好適である。
【0054】
さらなる好適なポリオールは、ポリ(メタ)アクリレートポリオールである。
【0055】
さらに、ポリヒドロキシル官能性の脂肪及び油、例えば、天然の脂肪及び油、特にヒマシ油;又は、天然の脂肪及び油の化学変性によって得られるポリオール(いわゆる油脂化学ポリオール類)、例えば、不飽和油をエポキシ化し、次いでカルボン酸若しくはアルコールを用いて開環反応させることによって得られるエポキシポリエステル類若しくはエポキシポリエーテル類、又は不飽和油のヒドロキシホルミル化及び水素化によって得られるポリオール類である。さらに、分解過程(例えば、アルコール分解、オゾン分解など)及びその後の化学架橋(例えば、こうして得られた分解生成物又はその誘導体の再エステル化若しくは二量化など)によって、天然の脂肪及び油から得られるポリオール類が好適である。天然の脂肪及び油の好ましい分解生成物は、特に脂肪酸及び脂肪アルコール、並びに脂肪酸エステルであり、例えばヒドロホルミル化及び水素化してヒドロキシ脂肪酸エステルを形成させることによって誘導体化され得るメチルエステル類(FAME)である。
【0056】
同様に好適なポリオールは、ポリ炭化水素ポリオール類(いわゆるオリゴヒドロカルボノールとも呼ばれる)、例えば、ポロヒドロキシ−官能性のエチレン−プロピレン−、エチレン−ブチレン−、エチレン−プロピレン−ジエンのコポリマー類(これらは、例えば、Kraton Polymer社(米国)によって製造されている)など、又はジエン類(例えば、1,3−ブタジエン又はジエン混合物など)とビニルモノマー(例えば、スチレン、アクリロニトリル、又はイソブチレンなど)とのポリヒドロキシ官能性ポリマー類、例えば、1,3−ブタジエンとアリルアルコールとの共重合によって製造され、水素化されていてもよいポリオールなどである。
【0057】
加えて好適なポリオールは、ポリヒドロキシ官能性アクリロニトリル/ブタジエンコポリマー類であって、例えば、エポキシド類又はアミノアルコール類と、カルボキシ末端アクリロニトリル/ブタジエンコポリマー類とから製造することができるもの、例えば、Hypro(商標)(以前のHycar(商標))CTBNの名称で、Emerald Performance Materials LLC(米国)から市販されているものである。
【0058】
上述したこれらのポリオール類は、250〜30,000g/mol、特に1,000〜30,000 g/molの平均分子量を有することが好ましく、平均のOH官能性が、1.6〜3の範囲であることが好ましい。
【0059】
特に好適なポリオール類は、ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオール、特に、ポリオキシエチレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオール、及びポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンポリオール、好ましくはポリオキシエチレンジオール、ポリオキシプロピレンジオール、ポリオキシエチレントリオール、ポリオキシプロピレントリオール、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンジオール、及びポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレントリオールである。
【0060】
上述したこれらのポリオール類に加えて、少量の低分子量の二価又は多価アルコール、例えば、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール及び1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール及びトリプロピレングリコールの異性体、ブタンジオール異性体、ペンタンジオール異性体、ヘキサンジオール異性体、ヘプタンジオール異性体、オクタンジオール異性体、ノナンジオール異性体、デカンジオール異性体、ウンデカンジオール異性体、1,3−クロヘキサンジメタノール及び1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA、二量体の脂肪アルコール、1,1,1−トリメチロールエタン、1,1,1−トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリトリトール、糖アルコール類(例えば、キシリトール、ソルビトール、又はマンニトールなど)、糖類(例えば、サッカロースなど)、他の多価アルコール類、前述した二価及び多価のアルコールの低分子量アルコキシル化生成物、並びに前述したアルコールの混合物などを、末端イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーの製造において同時に用いることができる。
【0061】
ポリオールのOH官能性を調整するために、1価のアルコール(モノ−オール)、例えばブタノール、2−エチルヘキサノール、アルコール出発ポリオキシアルキレンモノオール(alcohol−initiated polyoxyalkylene mono−ol)を追加的に用いてもよい。
【0062】
ポリウレタンポリマーを製造するためのポリイソシアネートの例として、市販のポリイソシアネート、とりわけジイソシアネートを用いることができる。
【0063】
例えば、好適なジイソシアネートは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2−メチルペンタメチレン1,5−ジイソシアネート、2,2,4−及び2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、1,12−ドデカメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート及びリジンエステルジイソシアネート、シクロヘキサン1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン1,4−ジイソシアネート、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(すなわち、イソホロンジイソシアネート又はIPDI)、パーヒドロ−2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、パーヒドロ−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,4−ジイソシアナト−2,2,6−トリメチルシクロヘキサン(TMCDI)、1,3−及び1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、m−及びp−キシリレンジイソシアネート(m−及びp−XDI)、m−及びp−テトラメチル−1,3−キシリレンジイソシアネート、m−及びp−テトラメチル−1,4−キシリレンジイソシアネート、ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ナフタレン、2,4−及び2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−、2,4’−及び2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,3−及び1,4−フェニレンジイソシアネート、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−ジイソシアナトベンゼン、ナフタレン1,5−ジイソシアネート(NDI)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル(TODI)、上述のイソシアネートのオリゴマー及びポリマー、及び上述のイソシアネートの所望の混合物である。
【0064】
特に適切なポリイソシアネートは、HDI、TMDI、IPDI、TDI及びMDIであり、特にIPDIである。
【0065】
好適なシラン官能性ポリマーP1は、例えば商標名PolymerST、例えばPolymerST50の下でHanse Chemie AG(ドイツ)から市販されており、また、商標名Desmosealの下でBayer MaterialScience AG(ドイツ)から市販されている。
【0066】
第2の実施態様では、シラン官能性ポリマーPは、イソシアナトシランISと、イソシアネート基に対して反応性を有する末端官能基(とりわけヒドロキシ基、メルカプト基、及び/又はアミノ基)を有するポリマーとの反応によって得ることができるシラン官能性ポリウレタンポリマーP2である。この反応は、イソシアネート基と、イソシアネート基に対して反応性を有する末端官能基が1:1である化学量論比で、あるいは、イソシアネート基に対して反応性を有する末端官能基がわずかに過剰な量で、例えば20℃〜100℃の温度にて、適切な場合には触媒を併用して行う。
【0067】
好適なイソシアナトシランISは、次の式(V)の化合物である:
【化4】
上記式中、R、R、R、及びaは、上述した通りである。
【0068】
式(V)の好適なイソシアナトシランISの例は、イソシアナトメチルトリメトキシシラン、イソシアナトメチルジメトキシメチルシラン、3−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナトプロピルジメトキシメチルシラン、及びケイ素原子上のメトキシ基の代わりにエトキシ基又はイソプロポキシ基を有する上述したα−イソシアナトシランの類似体である。
【0069】
前記ポリマーは、イソシアネート基に対して反応性を有する末端官能基としてヒドロキシル基を有することが好ましい。
【0070】
ヒドロキシル基を有する好ましいポリマーは、一方では、上述した高分子量のポリオキシアルキレンポリオール、特に不飽和度が0.02meq/g未満であり、分子量が4000〜30000g/モルの範囲、特に分子量が8000〜30000g/モルの範囲であるポリオキシプロピレンジオールである。
【0071】
他方、式(V)のイソシアナトシランISとの反応のための、ヒドロキシル基を有するポリウレタンポリマー、具体的にはヒドロキシル基で末端化されたポリウレタンポリマーも好ましい。このようなポリウレタンポリマーは、少なくとも1種のポリイソシアネートと、少なくとも1種のポリオールとの反応によって得ることができる。この反応は、ポリオールとポリイソシアネートとを、一般的に用いられる方法、例えば、50℃〜100℃の温度で、場合により適切な触媒を併用し、ポリオールの量を、そのヒドロキシル基がポリイソシアネートのイソシアネート基に対して化学量論的に過剰に存在するように選択して反応させることによって行うことができる。ヒドロキシル基と、イソシアネート基との比が、1.3:1〜4:1、特に1.8:1〜3:1であることが好ましい。
【0072】
場合により、ポリウレタンポリマーは、可塑剤を同時に使用して製造することができる。但し、使用する可塑剤が、イソシアネートに対して反応性を有するいかなる基も含有しないことを条件とする。
【0073】
この反応に好ましいのは、シラン官能性ポリウレタンポリマーP1の製造のために使用するイソシアネート基含有ポリウレタンポリマーを調製するために好ましいものとして上述したものと同じ、ポリオール及びポリイソシアネートである。
【0074】
例えば、好適なシラン官能性ポリマーP2は、SPUR+(商標)1010LM、1015LM、及び1050MM(Momentive Performance Materials Inc.製、米国)、並びにGeniosil(商標)STP−E15、STP−10、及びSTP−E35(共にWacker Chemie AG製、ドイツ)の商標の下で販売されている。
【0075】
第3の実施態様では、シラン官能性ポリマーPは、末端二重結合を有するポリマー(例えばポリ(メタ)アクリレートポリマー又はポリエーテルポリマー、特にアリル末端ポリオキシアルキレンポリマー(例えば、開示全体を参照により本明細書に組み込む米国特許第3971751号及び同第6207766号に記載されているもの))のヒドロシリル化反応によって得ることができる、シラン官能性ポリマーP3である。
【0076】
例えば、好適なシラン官能性ポリマーP3は、MS−Polymer(商標)S203H、S303H、S227、A810、MA903、及びS943、Silyl(商標)SAX220、SAX350、SAX400、及びSAX725、Silyl(商標)SAT350及びSAT400、並びにXMAP(商標)SA100S及びSA310S(カネカ製、日本);並びにExcestar(商標)S2410、S2420、S3430、S3630、W2450、及びMSX931(旭硝子製、日本)の下で販売されている。
【0077】
好ましいシラン官能性ポリマーPは、シラン官能性ポリマーP1及びシラン官能性ポリウレタンポリマーP3である。特に好ましいものは、シラン官能性ポリマーP1である。
【0078】
通常シラン官能性ポリマーPは、配合物全体に基づいて、10質量%〜80質量%、特に15質量%〜70質量%、好ましくは20質量%〜60質量%の量で存在する。
【0079】
本発明による配合物のコンポーネントAは、このシラン官能性ポリマーに加えて、エポキシ樹脂用の少なくとも1種の硬化剤又は促進剤を含んでもよい。これらについては、特に以下を挙げられる:ポリアミン、例えばイソホロンジアミン、m−キシリレンジアミン、ポリエーテルアミン、例えばHuntsman International LLC(米国)からJeffamineの商標で市販されているもの、ポリエチレンイミン、ポリアミドアミン、 ポリアルキレンアミン、例えばジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)又はペンタエチレンヘキサミン(PEHA)、アミン−エポキシ付加物、ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N−ジメチル−N’−(ジメチルアミノプロピル)−1,3−プロパンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス−(ジメチルアミノエチル)−ピペラジン、N,N’−ジメチルピペラジン;マンニッヒ塩基、例えばジメチルアミノメチルフェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール及び2,4,6−トリス((3−(ジメチルアミノ)プロピル)−アミノメチル)フェノール;ポリメルカプタン、例えば液体のメルカプタン末端化ポリスルフィドポリマー、例えばSPI Supplies (米国)又はToray Fine Chemicals(日本)からThiokol の商標で市販されているもの、及びAkzo Nobel(オランダ)からThioplast の商標で市販されているもの、メルカプタン末端化ポリオキシアルキレン誘導体、例えばCognis GmbH(ドイツ)からCaphardenの商標で市販されているもの、チオカルボン酸のポリエステル、例えばペンタエリスリトールテトラメルカプトアセテート、トリメチロールプロパントリメルカプトアセテート、及びグリコールジメルカプトアセテート、並びに芳香族ポリメルカプタン、例えば2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジン;又はイミダゾール類、例えば、イミダゾール、1−メチルイミダゾール、1−エチルイミダゾール、1−ビニルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、及び2,4−ジアミノ−6−(2’−メチルイミダゾリル−(1’))−エチル−s−トリアジン;並びに上記のエポキシ樹脂用の硬化剤又は促進剤の混合物。
【0080】
上記の硬化剤又は促進剤に加えて、追加の促進剤、特に亜リン酸塩(phosphites)、(又は)酸、特にリン酸、及びカルボン酸を用いることができる。
【0081】
好ましいエポキシ樹脂用の硬化剤又は促進剤は、第3級ポリアミンであり、特にペンタメチル−ジエチレントリアミン、N,N−ジメチルN’−(ジメチルアミノプロピル)−1,3−プロパンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス−(ジメチルアミノエチル)−ピペラジン、N,N’−ジメチルピペラジン;マンニッヒ塩基、特にジメチルアミノメチルフェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール及び2,4,6−トリス((3−(ジメチルアミノ)プロピル)アミノメチル)フェノール;並びにイミダゾール類、特に1−メチルイミダゾール、1−エチルイミダゾール、1−ビニルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール及び1−ベンジル−2−メチルイミダゾールである。特に好ましくは、上記のマンニッヒ塩基である。
【0082】
エポキシ樹脂用の硬化剤又は促進剤の分量は、コンポーネントAに基づいて、好ましくは0.5〜15重量%であり、特に1〜10重量%である。
【0083】
本発明による配合物のコンポーネントBは、少なくとも1種のエポキシ樹脂の少なくとも1種の水系エマルションを含む。
【0084】
エポキシ樹脂は、好ましくは液体樹脂である。好適なエポキシ液体樹脂は、以下の式(VI)を有する:
【化5】
【0085】
ここで、置換基RとRは、互いに独立に、H又はCHを表す。さらに、指数rは、0〜1の値を表す。好ましくはrは、≦0.2の値を表す。
【0086】
したがって、これは好ましくは、ビスフェノールA(DGEBA)の、ビスフェノールFの、及びビスフェノールA/Fの、ジグリシジルエーテルをいう。ここで「A/F」という記載は、ビスフェノールA/Fの合成で出発物質として使用されるアセトンとホルムアルデヒドとの混合物をいう。適切な液体樹脂は、Huntsman International LLC(米国)から商品名Araldite(商標)GY 250、Araldite(商標)GY 282、Araldite(商標)PY304、又はDow Chemical Company(米国)からD.E.R.(商標)330若しくはD.E.R.(商標)331、又はHexion Specialty Chmicals, Inc.(米国)から商品名Epikote(商標)828若しくはEpikote(商標)862で市販されている。
【0087】
エポキシ樹脂は、典型的には修飾されていない形態で存在する。特にこれは、例えば脂肪酸とのより良好な乳化性について修飾されていない。
【0088】
少なくとも1種のエポキシ樹脂の水性エマルジョンは、任意に少なくとも1種の反応性希釈剤を含有する。適切な反応性希釈剤は、特に単官能性エポキシド、好ましくはグリシジル化脂肪アルコールを含む。
【0089】
このエマルジョンは、好ましくは少なくとも1種の外部乳化剤、特に非イオン性乳化剤、例えば脂肪アルコールエトキシレートを含有する。
【0090】
このエマルジョンは、好ましくは乳化剤を≦10wt%、特に≦5wt%の量で含有する。
【0091】
このエマルジョンは、好ましくは固形分含有量が60〜90wt%、特に70〜90wt%、好ましくは75〜85wt%である。
【0092】
したがって少なくとも1種のエポキシ樹脂の水性エマルジョンは、特に約10〜40wt%、特に10〜30wt%、好ましくは15〜25wt%の水を含有する。
【0093】
このエマルジョンの平均粒径(小滴の直径)は、特に0.05〜10μm、特に0.1〜7μm、特に好ましくは0.2〜5μmの範囲である。このエマルジョンは好ましくは狭い粒径分布を有し、最大の粒子と最小の粒子との粒径の比率は、≦25、好ましくは≦20の範囲の値を有する。特にこの粒径分布は、エマルジョン中の90%の粒子が6μm未満、好ましくは4μm未満、特に好ましくは3μm未満であるようなものである。
【0094】
その小さな平均粒径と狭い粒径分布のために、このエマルジョンは、分離又は沈降する傾向が小さく、したがって良好な長期保存安定性を有する。
【0095】
このエマルジョンは、好ましくは連続プロセスで、特にステーターローターミキサーを用いて調製される。当業者は、そのようなプロセスを周知している。この合成プロセスの利点は、特に、比較的高粘度のエポキシ樹脂でも、溶媒の添加無しでエマルジョンが調製できるという事実である。
【0096】
この方法が転相点(phase inversion point)の近くで行われるという事実のために、狭い粒径分布を有する小粒径で高〜超高固形分含有量が可能であり、したがって特に良好な保存安定性を有するエマルジョンを得ることができることも、有利である。
【0097】
本明細書に記載の方法のさらなる利点としては、この方法のためにエマルジョンは、ほとんど加熱されず、安価に製造することができるという事実が挙げられる。
【0098】
この製造法は、通常溶媒を添加せずに行われる。
【0099】
特にコンポーネントA及びBは、例えば充填剤及び強化剤、顔料、可塑剤及び/又は希釈剤、硬化剤及び架橋剤、促進剤及び触媒、安定剤、接着促進剤、レオロジー補助剤、乾燥剤などの追加の成分を含有する。そのような追加の成分を使用する時は、それらが互いに及び各成分と相溶性であり、特に架橋性ポリマー及び/又はエポキシ樹脂と早期反応に入らないことを確認することが、重要である。
【0100】
本発明の配合物のコンポーネントAは、特にシラン官能性ポリマーを水分によって架橋するための少なくとも1種の触媒を含有する。そのような触媒としては、特に次のものが挙げられる:有機スズ化合物、例えばジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセチルアセトナート、及びジオクチルスズジアセチルアセトナート;チタナート及びジルコナート、例えばテトライソブトキシチタナート及びジイソブトキシチタニウム−ビス−(エチルアセトアセテート);窒素化合物、特に第3級アミン、例えばN,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、及び1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、並びにアミジン及びグアニジン、例えば1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、及び1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、並びに上述の触媒の混合物である。
【0101】
本発明の配合物のコンポーネントAは、特にアミノシラン、エポキシシラン、又はメルカプトシランの少なくとも1種をさらに含む。特に適切なものは、3−アミノプロピル−ジアルコキシアルキルシラン、3−アミノ-プロピル−トリアルコキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル−ジアルコキシアルキルシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル−トリアルコキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン及び3−メルカプト-プロピル−トリアルコキシシランである。好ましいものは、3−アミノプロピル−トリメトキシシラン、3−アミノプロピル−トリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル−ジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル−トリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル−トリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプト-プロピル−トリメトキシシラン及び3−メルカプト-プロピル−トリエトキシシランである。本発明の配合物のコンポーネントAでのこのようなアミノシランの使用によって、これらのコンポーネントの混合後に、異なる相との相溶性を高めることができ、そしてシラン官能性ポリマーとエポキシ樹脂との共有結合をもたらすことができる。
【0102】
本発明の配合物のコンポーネントAは、少なくとも1種のフィラーをさらに含有することが好ましい。このフィラーは、未硬化の配合物のレオロジー特性と、硬化した配合物の機械的特性及び表面特性との両方に影響を及ぼす。好適なフィラーは、無機及び有機のフィラーであり、例えば、天然の、粉砕又は沈降炭酸カルシウムであって、場合により脂肪酸(特にステアリン酸)でコーティングされていてよいもの、硫酸バリウム(BaSO、バライト又はスパーとも称される)、か焼カオリン、アルミナ、水酸化アルミニウム、シリカ、特に熱分解プロセスからの高分散性シリカ、カーボンブラック、特に工業的に製造されたカーボンブラック、PVC粉末、又は中空球である。好ましいフィラーは、炭酸カルシウム、か焼カオリン、カーボンブラック、微粉シリカ、及びヒドロキシド又は水和物などの難燃性フィラー、特にアルミニウムのヒドロキシド又は水和物、好ましくは水酸化アルミニウムである。
【0103】
異なるフィラーの混合物を用いることも当然に可能であり、有利でさえある。
【0104】
コンポーネントA中のフィラーの好適な量は、例えば、配合物全体に基づいて、20質量%〜60質量%、30質量%〜60質量%である。
【0105】
本発明の配合物のコンポーネントAは、さらなる成分を追加的に含んでいてよい。例えば、そのような成分は、可塑剤、例えば、有機カルボン酸のエステル類又はその無水物類、例えばフタレート(例えば、ジオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、又はジイソデシルフタレートなど)、アジペート(例えば、ジオクチルアジペートなど)、アゼレート、及びセバケート;ポリオール(例えば、ポリオキシアルキレンポリオール又はポリエステルポリオールなど);有機リン酸エステル類及びスルホン酸エステル類、並びにポリブテン類;溶媒;繊維(例えば、ポリエチレン);染料;顔料;レオロジー調節剤、例えば、増粘剤又はチキソトロピー剤(例えば、国際出願第02/46228号A2の第9頁第11頁に「チキソ性付与剤」として記載されているタイプの尿素化合物)、ポリアミドワックス、ベントナイト、又は熱分解シリカなど;接着促進剤(例えば、エポキシシラン、(メタ)アクリルオキシシラン、シラン無水物又は前述したシランと第一級アミノシランとの付加体、及びアミノシラン又はウレアシラン);架橋剤、例えば、シラン官能性のオリゴマー若しくはポリマー;乾燥剤(例えば、ビニルトリメトキシシラン、α−官能性シラン、例えば、N−(シリルメチル)−O−メチルカルバメート、特に、N−(メチルジメトキシシリルメチル)−O−メチルカルバメート、(メタクリロイルオキシイメチル)シラン、メトキシメチルシラン、N−フェニル−N−シクロヘキシル−及びN−アルキルシラン、オルトギ酸エステル類、酸化カルシウム、又はモレキュラーシーブなど);安定剤ア(例えば、熱、光、及びUV光に対する安定剤;難燃性物質;界面活性剤(例えば、湿潤剤、レベリング剤、脱気剤、又は消泡剤など);殺生物剤(例えば、殺藻剤、防かび剤、又は真菌の増殖を阻害する物質など);並びに、湿気硬化性配合物において通常使用されているさらなる物質である。
【0106】
本発明の配合物のコンポーネントAはまた、イソシアネート基を含有するポリウレタンポリマー又はシラン官能性ポリマーに基づく単一コンポーネントの水分硬化性配合物として市販されているもので、特に接着剤、シーリング化合物、又はコーティングとして使用され得るものなどの配合物を含んでいてもよい。このような配合物は、例えばSika Schweiz AGから商品名Sikaflex(商標)又はSikaBond(商標)で市販されている。
【0107】
少なくとも1種のエポキシ樹脂の水性エマルジョンに加えて、コンポーネントBはまた任意にシランを、特に3−グリシドオキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン又は3−グリシドオキシプロピルトリエトキシシラン、(メタ)アクリルシラン、特に3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、及びアンヒドロシラン、特に(トリエトキシシリル)プロピルコハク酸無水物又は3−(トリエトキシシリル)プロピルコハク酸無水物からなる群から選択されるシランを含む。
【0108】
コンポーネントB中のシランは、好ましくはエポキシシラン又は(メタ)アクリルシランである。
【0109】
本発明の配合物のコンポーネントB中のこのようなシランの使用は、これらのコンポーネントの混合後に、異なる相との相溶性を高め、そしてシラン官能性ポリマーとエポキシ樹脂との共有結合をもたらすことがある。
【0110】
さらに、コンポーネントBは、レオロジー補助剤又はフィラー、特に熱分解法ケイ酸及び尿素を随意に含む。
【0111】
上記した2コンポーネント配合物のコンポーネントAは、水分の非存在下で合成され保存される。この形態では、コンポーネントAは保存中安定であり、すなわち適切なパッケージ又は形状に含有されると、その使用に関連するであろう適用性や後硬化特性に変化を与えることなく、水分の非存在下で最大1年又はそれ以上の期間保存することができる。
【0112】
コンポーネントBはまた、典型的には大気条件下での保存でも安定である。
【0113】
2つのコンポーネントAとBは、好ましくは室温で空気透過性容器中で保存され、ここで、コンポーネントA用の容器は、特に内側がプラスチック(ポリオレフィン)又は金属(アルミニウム)で被覆されている。
【0114】
2コンポーネント配合物の適用については、コンポーネントAとBは、攪拌、混練、圧延などにより、特にはスタティックミキサー又はダイナミックミキサーの補助によって混合される。
【0115】
このプロセスにおいて、コンポーネントAが、コンポーネントBからの少なくとも1種のエポキシ樹脂の水性エマルジョンの水と接触し、これが配合物中のシラン官能性ポリマーの架橋をもたらす。
【0116】
2コンポーネント配合物の適用において、コンポーネントBは好ましくはコンポーネントAに対して、全2コンポーネント配合物中の架橋性ポリマーのすべての反応性基の少なくとも50%、好ましくは100%が、コンポーネントB中に存在する水と反応できるように、使用される。
【0117】
本発明の2コンポーネント配合物は、特にコンポーネントAとコンポーネントBの重量比が≧1:1であるように、特に1:1〜100:1、好ましくは1.5:1〜50:1、特に好ましくは2:1〜20:1であるように使用される。
【0118】
コンポーネントAとコンポーネントBとを混合するときに、シラン基の反応によるこの配合物の架橋に加えて、コンポーネントBからのエポキシ樹脂の完全な硬化が起こる。エポキシ樹脂の完全な硬化を通じて、硬化した配合物は、特に高い強度を発現する。
【0119】
2コンポーネント配合物と大気の湿度の形態の水との接触は、硬化のために必ずしも必須ではないが、これは硬化を促進することがある。特に、大気の湿度により、この配合物の後硬化が起きることがある。
【0120】
2コンポーネント配合物の硬化は、好ましくは特に室温で起きる。ある場合には、部分的に硬化された配合物を、例えば40℃〜100℃の範囲の高温の助けを借りて、後硬化及び/又は完全に硬化させるのに有利である。
【0121】
配合物の硬化は、特に一方では、十分な可使時間及び/又は開放時間が確保されるような方法で起こりながら、他方では、数分から数時間の時間内に、配合物がさらに処理され、かつ/又は配合物を使用して形成される結合が自己支持性であり、輸送することができる程度に、硬化が進むように起きる。
【0122】
さらに、本発明は、接着剤、封止剤又はコーティングとしての、上述の2コンポーネント配合物の使用を包含する。
【0123】
特に本発明の2コンポーネント配合物は、コンクリート、モルタル、レンガ、タイル、セラミック、石膏、天然岩、自然石、例えば花崗岩又は大理石、ガラス、ガラスセラミックス、金属又は金属合金、例えばアルミニウム、鋼、非鉄金属、亜鉛メッキ金属、木材、プラスチック、例えばPVC、ポリカーボネート、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエステル、エポキシ樹脂、複合材料、インク又は塗料からなる基材の、接着結合、シーリング、又はコーティングに適している。
【0124】
この2コンポーネント配合物は、好ましくは建築産業、及び仕上げ産業、並びに自動車産業における、弾性的接着から半構造的(semi−structural)接着の用途、及び封止用途に好ましくは用いられ、例えばジョイントシーリング、ルーフシーリング、フロアボンディング、前面要素のボンディング(facade element bonding)、搭載部品のボンディング、シームライニング、キャビティの密封シーリング、組み立て、トリムボンディング、フロントガラスノボンディング、及び複合材ボンディングに用いられる。
【0125】
この2コンポーネント配合物は、職業的な健康保護のために、イソシアネートを有さない物質を用いるべき場合には、特に有利である。
【0126】
さらに本発明は、上記したようにコンポーネントAとコンポーネントBとを混合することにより、2コンポーネント配合物から得られるような硬化組成物に関する。
【0127】
さらに本発明は、上記説明の少なくとも部分的に硬化した組成物を有する物品に関し、この物品は、特に構造体、工業的材料、又は運送手段、又はこれらの一部である。
【0128】
このような物品例のリストは、建物、ガラスファサード、窓、バス、バスルーム、キッチン、屋根、橋、トンネル、道路、自動車、トラック、鉄道車両、バス、船、鏡、窓ガラス、浴槽、キッチン用品、家電、食器洗浄機、洗濯機、パン焼きオーブン、ヘッドライト、フォグランプ、又は太陽電池パネル、例えば太陽電池若しくは太陽熱エネルギーモジュールを含む。
【実施例】
【0129】
本明細書に記載の本発明を詳細に例示する態様が以下に示される。本発明は、もちろん本明細書に記載の態様に限定されるものではない。
【0130】
測定法の説明
「粘度」は、サーモスタット制御されたコーン−プレート粘度計Physica UM(コーン直径 20mm、コーン角度 1°、コーン先端−プレート距離0.05mm、剪断速度10〜1000s−1)で測定した。
【0131】
「平均粒径」は、HELOSレーザー回折センサーを有するSympatec装置でレーザー回折により測定した。
【0132】
「臭気」は、混合した配合物を定性的に鼻で嗅ぐことによって評価した。不快で鼻を刺すアミン臭を「強い」として、弱く又は無臭の場合を「弱い」として評価した。
【0133】
「安定性」を測定するために、木製スパチュラを用いて、配合物を段ボールの垂直片に適用し、そしてその流れ挙動を観察した。配合物が1分以内に容易に流下する場合、安定性「G」と評価した。配合物が全く動かなかった場合、結果を「VG」と評価した。
【0134】
「タックフリー時間」(成膜時間)を測定するために、室温で配合物の小部分をボール紙に約3mmの層厚で適用し、次に、標準的気候(「NK」;23±1℃、50±5%相対大気湿度)で、配合物の表面をLDPE製ピペットで軽く触れたときに、ピペット上にそれ以上残留物が残らなくなるまでの時間を測定した。
【0135】
「引張強さ」、「破断伸び」、及び「弾性率」(E弾性率)は、DIN EN 53504(引張速度200mm/分)に従って、それぞれ記載した条件で硬化した配合物で作られた約3mm厚のフィルムを打ち抜いて作製した、30mmのバー長さと4mmのバー幅の、長さ75ミリメートルのダンベル上で測定した。
【0136】
「ショアA硬度」は、DIN53505に準拠して、標準的気候で硬化させた試験片を用いて測定した。
【0137】
N−(3−トリメトキシシリルプロピル)アミノコハク酸ジエチルエステルの製造
179g(1mol)の3−アミノプロピルトリメトキシシラン(Silquest(商標)A−1110、Momentive Performance Materials)に、湿気を排除した条件下で、172g(1mol)のマレイン酸ジエチルエステルを、よく撹拌しながらゆっくりと添加し、そしてさらに2時間撹拌した。20℃で60mPa・sの粘度を有する無色の液体を観察した。
【0138】
シラン官能性ポリマーPの製造
湿気を排除した条件下で、1000gのポリオールAcclaim(商標)12200(Bayer、低モノオールのポリオキシプロピレンジオール、OH価11.0mgKOH/g、水含有量約0.02質量%)、43.6gのイソホロンジイソシアネート(Vestanat(商標)IPDI、Degussa)、126.4gのジイソデシルフタレート(DIDP;Palatinol(商標)Z、BASF)、及び0.12gのジブチルスズジラウレートを、絶えず撹拌しながら90℃に加熱し、そして滴定によって測定した遊離のイソシアネート基の含有量が0.63質量%の値に達するまで、この温度に保った。
その後、62.3gのN−(3−トリメトキシシリルプロピル)アミノコハク酸ジエチルエステルを混合し、その混合物を90℃にて、遊離のイソシアネートがFT−IR分光法によって検出されなくなるまで、撹拌した。このシラン官能性ポリウレタンポリマーを室温まで冷却し、湿気を排除した条件下に保った。
【0139】
エポキシ樹脂エマルションの調製
エマルションE1:68.5重量部のビスフェノールA液体樹脂(HuntsmanからのAraldite(商標)GY−250)を10重量部の反応性希釈剤(HuntsmanからのAraldite(商標)DY−E)及び1.5重量部の乳化剤(CognisからのDisponil(商標)23)と50℃で混合し、20重量部の水を用いて、ステーターローターミキサーを22m/sの回転速度で使用して連続的に乳化した。生じた白色エマルジョンは、クリーム状の稠度、20℃で約1100mPa・sの粘度、4.08mEq/gのエポキシ基含量を有し、かつ平均粒径約1.6μmで、90%の粒子は2.7μm未満であり、これは、室温で保存すると1年以上変化はしなかった。
【0140】
エマルションE2:68.5重量部のビスフェノールA液体樹脂(HuntsmanからのAraldite(商標)GY−250)と10重量部のビスフェノールF液体樹脂(Dow ChemicalからD.E.R.(商標)354を1.5重量部の乳化剤(CognisからのDisponil(商標)23)と50℃で混合し、20重量部の水を用いてステーターローターミキサーを22m/sの回転速度で使用して連続的に乳化した。生じた白色エマルジョンは、クリーム状の稠度、20℃で約1500mPa・sの粘度、4.28mEq/gのエポキシ基含量を有し、かつ平均粒径約1.5μmで、90%の粒子は2.6μm未満であり、これは、室温で保存すると、1年以上変化はしなかった。
【0141】
配合物の調製
例1〜6及び参考例1:
標準的気候の条件下で、表1による各例に関して、シラン官能性ポリマーP1を、マンニッヒ塩基の形態であるエポキシ樹脂用の硬化剤又は促進剤(Arcamine(商標)K54=2,4,6−トリス(ジメチル−アミノメチル)フェノール、Air Products)、触媒(10重量%のジイソデシルフタレート中のジブチルスズジウラート)、及びアミノシラン(N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル−トリメトキシシラン;Silquest(商標)A−1110、Momentive Performance Materials)と混合し、そして記載した重量比でダイナミックミキサーを用いてこの配合物をコンポーネントAとして、コンポーネントBとしてのエマルションE1と混合した。その直後に、これを適用して、標準気候の条件下で硬化させた。
【0142】
【表1】
【0143】
この方法で得られた配合物を、硬化後に、臭気、安定性、タックフリー時間、及び機械的性質について試験した。
その結果を表2に示す。
【0144】
【表2】
【0145】
例7〜13:
各例に関して、表3に従って、標準的気候の下で、シラン官能性ポリマーP1を、マンニッヒ塩基の形態であるエポキシ樹脂用の硬化剤又は促進剤(Arcamine(商標)K54=2,4,6−トリス(ジメチル−アミノメチル)フェノール、Air Products)又はポリアミン(IPDA=イソホロンジアミン)、触媒(10重量%のジイソデシルフタレート中のジブチルスズジウラート)、及びアミノシラン(N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル−トリメトキシシラン;Silquest(商標)A−1120、Momentive Performance Materials)と混合し、そして記載した重量比でダイナミックミキサーを用いてこの配合物をコンポーネントAとして、コンポーネントBとしてのエマルションE2と混合した。その直後に、これを適用して、標準気候の条件下で硬化させた。
【0146】
【表3】
【0147】
この方法で得られた配合物を、硬化後に、臭気、安定性、タックフリー時間、及び機械的性質について試験した。さらに、硬化した配合物の安定性を、熱及び加水分解の影響下で調査した。これは、上述のダンベルのいくつかを、相対湿度100%の100℃又は70℃の(高温高湿条件の)窯中でさらに1週間保持させ、そして引張り強さ、破断伸び、及び弾性率を試験した。
その結果を表4に示す。
【0148】
【表4】
【0149】
例14〜19及び参考例2:
各例に関して、表5に従って、標準的気候の下で、市販のSTPポリマー(MSpolymer(商標)S203H、Kaneka)を、マンニッヒ塩基の形態であるエポキシ樹脂用の硬化剤又は促進剤(Arcamine(商標)K54=2,4,6−トリス(ジメチル−アミノメチル)フェノール、Air Products)又はポリアミン(IPDA=イソホロンジアミン)、触媒(10重量%のジイソデシルフタレート中のジブチルスズジウラート)、及びアミノシラン(N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル−トリメトキシシラン;Silquest(商標)A−1120、Momentive Performance Materials)と混合し、そして記載した重量比でダイナミックミキサーを用いてこの配合物をコンポーネントAとして、コンポーネントBとしてのエマルションE1と混合した。その直後に、これを適用して、標準気候の条件下で硬化させた。
【0150】
【表5】
【0151】
このようにして得られた配合物を、硬化後に、タックフリー時間及び機械的性質について試験した。
その結果を表6に示す。
【0152】
【表6】
【0153】
例20〜22及び参考例3〜6:
各例に関して、表5に従って、標準的気候の下で、シラン末端化ポリマー系の市販の封止接着剤Sikaflex(商標)−553(Sika Schweiz AG)のコンポーネントAを、マンニッヒ塩基の形態であるエポキシ樹脂用の硬化剤又は促進剤(Arcamine(商標)K54=2,4,6−トリス(ジメチル−アミノメチル)フェノール、Air Products)、及び随意に触媒(DBU=1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、又はTMD=1,1,3,3−テトラメチルグアニジン)と混合し、そして記載した重量比でダイナミックミキサーを用いてこの配合物をコンポーネントAとして、コンポーネントBとしてのエマルションE1と混合した。その直後に、これを適用して、標準気候の条件下で硬化させた。
【0154】
【表7】
【0155】
このようにして得られた配合物を、安定性、タックフリー時間及び機械的性質について、標準的気候条件の下で硬化させて7日後(引張り強さ、破断伸び、弾性率)と14日後(ショアA)に、試験した。
その結果を表8に示す。
【0156】
【表8】
【0157】
例23〜28:
各例に関して、表9に従って、標準的気候の下で、シラン末端化ポリマー系の市販の封止接着剤Sikaflex(商標)−553(Sika Schweiz AG)のコンポーネントAを、第3級アミンの形態であるエポキシ樹脂用の硬化剤又は促進剤(Jeffcat(商標)Z−130=N,N−ジメチル−N’−(ジメチルアミノプロピル)−1,3−プロパンジアミン、Huntsman;Jeffcat(商標)ZF−20=ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、Huntsman)又はイミダゾール、及び触媒(DBU=1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン)と混合し、そして記載した重量比でダイナミックミキサーを用いてこの配合物をコンポーネントAとして、コンポーネントBとしてのエマルションE2と混合した。その直後に、これを適用して、標準気候の条件下で硬化させた。
【0158】
【表9】
【0159】
このようにして得られた配合物を、安定性、タックフリー時間及び機械的性質について、標準的気候条件の下で硬化させて7日後(引張り強さ、破断伸び、弾性率)と14日後(ショアA)に、試験した。
その結果を表10に示す。
【0160】
【表10】
【0161】
例29及び参考例7:
各例に関して、表11に従って、標準的気候の下で、シラン末端化ポリマー系の市販の封止接着剤Koerapop225(Koemmerling Chemische Fabrik GmbH、ドイツ)のコンポーネントAを、マンニッヒ塩基の形態であるエポキシ樹脂用の硬化剤又は促進剤(Arcamine(商標)K54=2,4,6−トリス(ジメチル−アミノメチル)フェノール、Air Products)、及び触媒(DBU=1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン)と混合し、そして記載した重量比でダイナミックミキサーを用いてこの配合物をコンポーネントAとして、コンポーネントBとしてのエマルションE2と混合した。その直後に、これを適用して、標準気候の条件下で硬化させた。
【0162】
【表11】
【0163】
このようにして得られた配合物を、安定性、タックフリー時間及び機械的性質について、標準的気候条件の下で硬化させて7日後(引張り強さ、破断伸び、弾性率)と14日後(ショアA)に、試験した。
その結果を表12に示す。
【0164】
【表12】