(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記パージ用組立が、前記シャッターユニット及び前記ストッパーユニットの前記空間に連通する継手部材と、該継手部材の各々に連通するカプラとを有することを特徴とする請求項1に記載の穿孔工具。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の穿孔工具は、主に元管のガス圧が低圧(100kPa未満、実際には1.5〜15kPa)の場合に適した仕様となっているが、中圧B(100〜300kPa)にも対応させることが求められるようになった。ガス圧が高くなると、工具の各部位や部材にかかる力が高くなって、強度や気密性が低下したり、作業がし辛くなるといったことが懸念される。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであって、ガス圧が高くなった場合にも、確実に安全な穿孔作業が可能な分岐取出継手用穿孔工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の穿孔工具は、 下記A)〜C)を有する分岐継手に取り付けられ、該分岐継手とガス元管とを連通する分岐孔を開ける穿孔工具であって、
A)樹脂製の元管の側壁外表面に当てられて融着される、中央部に開口を有するサドル部、
B)該サドル部から外方向に突出する中空の分岐管接続部、及び、
C)前記サドル部の前記開口に位置する前記元管の側壁を切り取って該側壁に分岐孔を開けるカッターが移動する空洞が形成された、前記サドル部から前記分岐管接続部と異なる方向に突出するカッター移動部、
該穿孔工具は、以下ア)〜ウ)を備え、
ア)前記カッター、該カッターのガイド移動機構、及び、該機構を収容するとともに該機構を介して前記カッターを移動自在に支持するケーシング、を有するカッティングユニット、
イ)前記分岐取出継手の前記カッター移動部に一方の側(継手側)が接続されるとともに、前記カッティングユニットの前記ケーシングに他方の側(反継手側)に接続され、前記カッター移動部の前記空洞を開閉するシャッター板を有するシャッターユニット、並びに、
ウ)該シャッターユニットの前記反継手側に、前記カッティングユニットの前記ケーシングを取り外した後に接続され、前記分岐継手の前記カッター移動部の口を封止するプラグを取り付けるストッパーユニット、
さらに、前記シャッター板の継手側と反継手側を繋ぐ均圧回路を備えることを特徴とする。
【0007】
ガス元管に分岐孔を開けた後は、シャッターユニットのシャッター板を閉めた後にカッティングユニットを取り外す。その後、ストッパーユニットをシャッターユニットの反継手側に取り付ける。元管内のガス圧が比較的高い場合、シャッター板の継手側にはガス元管のガス圧がかかり、反継手側には、このガス圧よりも低い大気圧がかかっている。ここで、均圧回路を開いてガス圧をシャッター板の反継手側にも導入し、シャッター板の両側の圧力を同じにする。この状態でシャッター板を開くと、シャッター板が低圧側に押されていないので、摩擦抵抗が少なく楽に開くことができる。その後、プラグを分岐継手のカッター移動部の口に挿入して封止する。その後、シャッターユニットを継手から取り外して工事完了となる。
【0008】
本発明においては、 前記均圧回路が、 前記シャッターユニットに設けられた、前記シャッター板から前記継手側の空間をパージするパージ用組立と、 前記ストッパーユニットに設けられた、前記プラグが収容されている空間をパージするパージ用組立と、 前記シャッターユニットのパージ用組立と前記ストッパーユニットのパージ用組立とを連通する回路を有する。
【0009】
両ユニットのパージ用組立を連通させると、前述のように、カッティングユニットを取り外した後に、ストッパーユニットをシャッターユニットに取り付けてシャッター板を開く際に、両ユニットを同圧とできる。さらに、ストッパーユニットでプラグを継手に封止した後でストッパーユニットとシャッターユニットを継手から取り外す際、これらのユニット内はガス圧がかかっており、取り外しにくい。そこで、プラグ封止後にこれらのユニットの空間を、パージ用組立を介して大気と同圧にすることにより、ユニットの取り外しが容易となる。
【0010】
本発明においては、 前記パージ用組立が、前記シャッターユニット及び前記ストッパーユニットの前記空間に連通する継手部材と、該継手部材の各々に連通するカプラとを有する。
【0011】
本発明においては、 前記カッティングユニットに、前記ケーシング内の空間をパージするパージ用組立を備えることが好ましい。
【0012】
元管穿孔作業が終了した後でカッティングユニットをシャッターユニットから取り外す際、カッティングユニットには圧力の高いガスが流れ込んでいることになる。そこで、カッティングユニット内のガスをパージ用組立で開放することにより、カッティングユニットを安全に取り外すことができる。
【0013】
本発明の第2の態様の穿孔工具は、 下記A)〜C)を有する分岐継手に取り付けられ、該分岐継手とガス元管とを連通する分岐孔を開ける穿孔工具であって、
A)樹脂製の元管の側壁外表面に当てられて融着される、中央部に開口を有するサドル部、
B)該サドル部から外方向に突出する中空の分岐管接続部、及び、
C)前記サドル部の前記開口に位置する前記元管の側壁を切り取って該側壁に分岐孔を開けるカッターが移動する空洞が形成された、前記サドル部から前記分岐管接続部と異なる方向に突出するカッター移動部、
該穿孔工具は、以下ア)〜ウ)を備え、
ア)前記カッター、該カッターのガイド移動機構、及び、該機構を収容するとともに該機構を介して前記カッターを移動自在に支持するケーシング、を有するカッティングユニット、
イ)前記カッター移動部の前記空洞を開閉するシャッター板、及び、該シャッター板を開閉移動可能に収容し、前記分岐取出継手の前記カッター移動部に一方の側(継手側)が接続されるとともに前記カッティングユニットの前記ケーシングに他方の側(反継手側)に接続されるシャッター本体、を有するシャッターユニット、並びに、
ウ)該シャッターユニットの前記反継手側に、前記カッティングユニットの前記ケーシングを取り外した後に接続され、前記分岐継手の前記カッター移動部の口を封止するプラグを取り付けるストッパーユニット、
前記シャッター本体が前記シャッター板を挟持する一対の挟持部材を有し、該挟持部材がアルミニウム系の材料からなるとともに、前記一対の挟持部材を相互に締結する部分に鋼製の補強部材が取り付けられていることを特徴とする。
【0014】
シャッターユニットの各部材は、軽量化を考慮して、基本的にアルミニウム系(アルミニウム及びその合金)で作製されている。このため、シャッター板にかかる圧力が高い場合、シャッター板を構成する平板状の挟持部材をねじ締結する部位にも負荷がかかり、同部位でめねじ部変形での緩みが生じることが懸念される。そこで、締結部位を高強度(例えば鋼製)の補強部材で補強する。
【0015】
本発明の第3の態様の穿孔工具は、 下記A)〜C)を有する分岐継手に取り付けられ、該分岐継手とガス元管とを連通する分岐孔を開ける穿孔工具であって、
A)樹脂製の元管の側壁外表面に当てられて融着される、中央部に開口を有するサドル部、
B)該サドル部から外方向に突出する中空の分岐管接続部、及び、
C)前記サドル部の前記開口に位置する前記元管の側壁を切り取って該側壁に分岐孔を開けるカッターが移動する空洞が形成された、前記サドル部から前記分岐管接続部と異なる方向に突出するカッター移動部、
該穿孔工具は、以下ア)〜ウ)を備え、
ア)前記カッター、該カッターのガイド移動機構、及び、該機構を収容するとともに該機構を介して前記カッターを移動自在に支持するケーシング、を有するカッティングユニット、
イ)前記カッター移動部の前記空洞を開閉するシャッター板、及び、該シャッター板を開閉移動可能に収容し、前記分岐取出継手の前記カッター移動部に一方の側(継手側)が接続されるとともに前記カッティングユニットの前記ケーシングに他方の側(反継手側)に接続されるシャッター本体、を有するシャッターユニット、並びに、
ウ)該シャッターユニットの前記反継手側に、前記カッティングユニットの前記ケーシングを取り外した後に接続され、前記分岐継手の前記カッター移動部の口を封止するプラグを取り付けるストッパーユニット、
前記シャッター板の反継手側の面に当たってシールするOリングが設けられており、 該Oリングを収容する溝が、側壁が円弧状に窪んだアリ溝となっていることを特徴とする。
本発明において「アリ溝」とは、端面側(入り口側)より奥側が広がっている溝をいう。
【0016】
元管を穿孔してシャッターユニットのシャッター板を閉じると、シャッター板には元管側(継手側)から反継手側にガス圧がかかる。シャッターユニットのシャッター板の反継手側にOリングを配置すれば、ガス圧でシャッター板がOリングに押し付けられ、シャッター板と反継手側の挟持部材との間の密閉性が向上する。
【0017】
また、Oリング溝の側壁を、円弧状に窪んだアリ溝形状とすることにより、シャッター板を開閉運動する際に、シャッター板との摩擦によりOリングに横ズレ力がかかっても、Oリングの脱落を防止できる。特に、ガスが流れる方向に対向する側壁をアリ溝形状とすることにより、Oリングがガスの流れの方向に力を受けて各溝のアリ溝状側壁に押圧されるので、Oリング溝からより脱落しにくくなる。
【発明の効果】
【0018】
以上の発明から明らかなように、本発明によれば、ガス圧が高くなった場合にも、確実に安全な先行作業が可能な分岐取出継手用穿孔工具を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
まず、
図1を参照して、分岐取出継手の構造の一例を簡単に説明する。
図1(A)は、分岐取出継手の平面図、
図1(B)は側面断面図、
図1(C)は右正面図である。
分岐取出継手200は、ポリエチレン等の熱可塑性プラスチック製であり、樹脂製の元管の側壁の外周面に当てられて融着されるサドル部201と、サドル部201から外方向に突出する中空の分岐管接続部203と、サドル部201から分岐管接続部203と異なる方向に突出するカッター移動部205と、を有する。
【0021】
サドル部201の中央には、元管の側壁に当てられる開口202が開けられている。開口202の周囲には電熱線が埋設されており、この電熱線に電流を流して発熱させることにより、サドル部201を元管の側壁外表面に気密に融着する。サドル部201の底部の、開口202の近傍には、切り取られた元管の切片を保持するストッパー207が形成されている。
分岐管接続部203には、電気融着ソケットを介して分岐管が接続される。
【0022】
カッター移動部205は、分岐管接続部203の方向と直交する方向に延びる空洞206を有する。後述するように、この空洞206を、サドル部201の開口202に位置する元管の側壁を切り取るカッターユニットのカッターが移動する。
【0023】
カッター移動部205の上端の開口には、金属製の接続フランジ208が取り付けられている。この接続フランジ208には、後に詳述するシャッターユニットが接続される。
図1(B)に示すように、カッター移動部205の開口は、プラグ150で塞がれている。
【0024】
カッター移動部205の接続フランジ208には、リング状の蓋209がボルト・ナットで固定されている。なお、分岐継手用穿孔工具1の使用時には蓋209は取り外される。また、ベルト211は、サドル部201を融着する際に元管側壁に架け渡して、サドル部201を元管に押し付けて密着させる。
【0025】
次に、
図2〜
図4を参照して、本発明の実施の形態に係る分岐継手用穿孔工具の構造を説明する。なお、本発明の分岐継手用穿孔工具の主構造は、前述の特許文献1に開示した穿孔工具とほぼ同じであり、相違点を詳細に説明し、その他の点の詳細な説明を省略する。
この分岐継手用穿孔工具は、以下の三つのユニットを備える。
元管を穿孔するカッターを備えるカッティングユニット10、
カッティングユニット10と分岐取出継手200のカッター移動部205との間に接続され、カッター移動部205の空洞206を開閉するシャッター板を有するシャッターユニット70、
カッティングユニット10を取り外した後のシャッターユニット70に接続され、分岐取出継手200のカッター移動部206の開口を封止するプラグ150を取り付けるストッパーユニット110。
【0026】
まず、
図2を参照してカッティングユニットの構造を説明する。
図2(A)は斜視図、
図2(B)は断面図である。このカッティングユニット10は、特許文献1に開示した穿孔工具のカッティングユニット(工具本体)に、後述するケーシング内部をパージするパージ組立60が新たに設けられている。他の構造は上述のカッティングユニットとほぼ同じであり、詳細な説明は省略する。
カッティングユニット10は、元管の側壁を穿孔するカッター11、カッター11のガイド移動機構、及び、該機構を収容するとともに該機構を介してカッター11を移動自在に支持するケーシング20、を主に備える。
【0027】
図2(B)に示すように、カッター11は、半円筒状に湾曲した板体であり、下端縁にはカッター刃が形成されている。カッター11の両側端部は、内側に向けて折り曲げられて、これら折曲部の内側に背板13が配置されている。
【0028】
背板13の裏面の両側部寄りには、カッター11の長さ方向に延びるカッターガイド15が取り付けられている。また、背板13の上端からは、メネジブロック17がカッター11の長さ方向に延び出ている。さらに、メネジブロック17からは、スライド部19がカッター11の長さ方向にさらに延び出ている。スライド部19は、断面コ字状であり、カッター11移動時の回り止めの役割を果たす。
【0029】
カッター11は、該カッターの移動機構を備えたケーシング20に収容される。ケーシング20は円筒状であり、上端は上板20aで塞がれており、下端は開口している。下端の開口の周囲には、フランジ20bが形成されている。このフランジ20bがシャッターユニット70に接続される。
【0030】
図2(A)に示すように、ケーシング20の外周面には、ケーシングの正面を表す表示板21や、ケーシング内部を観察するため透明な窓(アクリル板)23、複数の取っ手25が取り付けられている。
図2(B)に示すように、ケーシング20の裏面(反表示板21側の面)上端には、ロックバー27がケーシング20の側面を貫通するよう螺合している。
【0031】
カッター移動機構は、シャフトスリーブ31と、カッター11のメネジブロック17に噛み合う送りネジシャフト33とを有する。ケーシング20の上板20aの中央には、ブッシュ29が取り付けられている。シャフトスリーブ31は、ブッシュ29にスライド自在に通されている。送りネジシャフト33は、シャフトスリーブ31内に通されている。シャフトスリーブ31及び送りネジシャフト33の上端は、円筒状のハンドルブロック35に回転可能に取り付けられている。このハンドルブロック35の側面には、横方向に延び出る一対のハンドル37が取り付けられている。
なお、送りネジシャフト33は、その上端の六角部にスパナ等の工具を係合して回すことで回転する。
【0032】
図2(B)を参照して、ケーシング20の内部を説明する。ケーシング20内において、シャフトスリーブ31の下端に位置する送りネジシャフト33の外周には、上から順にスライドストッパー39と振れ止めカラー41が噛み合い固定されている。送りネジシャフト33の下端は、カッター11の背板13から延びるメネジブロック17が噛み合っている。送りネジシャフト33の下端には、カッター11の前進限でメネジブロック17の下端に当接するストップカラー42が設けられている。
【0033】
さらに、ケーシング20の内部には、帯状のカッターガイド43とコ字状の振れ止め部材45が取り付けられている。カッターガイド43は、カッター11のスライド部19に係合して、カッター11移動時のガイド及び振れ止めの役割を果たす。振れ止め部材45は、シャフトスリーブ31・送りネジシャフト33を降ろした際、振れ止めカラー41に係合し、カッター11切り込み時における送りネジシャフト33の振れ止めの役割を果たす。
【0034】
カッター11を押し下げる(元管に切り込みを入れる)際には、送りネジシャフト33の上端の六角部にスパナなどの工具を係合させて回転させる。これにより、送りネジシャフト33に螺合しているカッター11がカッターガイド43にガイドされて下降し、カッター刃により所定位置の元管が穿孔される。
【0035】
ケーシング20の下部には、ケーシング20の内部をパージするパージ用組立60が取り付けられている。パージ用組立60は、ケーシング20を貫通してねじ込まれたエルボ61と、エルボ61の外側の端部に螺合したカプラ63からなる。カプラ63は、バルブが内蔵された配管接続部材であり、開口は栓で開閉可能となっている。カプラ63として、例えば日東工器社製ミニカプラ22SMを使用できる。
【0036】
次に、
図3、
図4を参照してシャッターユニットを説明する。
図3(A)はシャッターユニットを上方から見た斜視図、
図3(B)は裏側から見た斜視図である。
図4(A)は断面図、
図4(B)は
図4(A)の一部拡大図である。このシャッターユニット70も、前述の特許文献1に開示した穿孔工具のシャッターユニットとほぼ同じであるが、挟持部材間の連結を補強した点、パージ用組立100を追加した点、Oリングの配置が主に異なる。
シャッターユニット70は、カッター切り込み時には継手200のカッター移動部205の空洞開口206を開いて、カッターユニット10のカッター11の上下方向移動通路を確保する。一方、カッター切り込み終了後には、空洞開口206を閉じて、元管に穿孔された分岐孔から流れ出るガスが空洞開口206から漏れ出るのを防止する。
【0037】
シャッターユニット70は、上下の長円状の挟持部材71A、71Bを重ね合わせたものである。挟持部材71は、軽量化を考慮して基本的にはアルミニウム系(アルミニウム及びその合金)で作製されている。上下挟持部材71A、71Bの端寄りの位置には、円形の開口73A、73Bが開けられている。開口73の寸法は、継手200のカッター移動部205の空洞開口206の径とほぼ等しい。上下挟持部材71の各開口73の周囲には、それぞれ円筒状の側壁75A、75Bが立ち上がっている。各々の側壁75の上端には、リング状のフランジ77A、77Bが外方向に張り出すように形成されている。
【0038】
図4(A)に示すように、下側の挟持部材71Bの側壁75Bには、パージ用組立100が取り付けられている。パージ用組立100は、カッティングユニット10のパージ組立と同様のものであり、側壁75Bを貫通してねじ込まれたエルボ101と、エルボ101の外側の端部に螺合したカプラ103からなる。
【0039】
図4に示すように、下側の挟持部材71Bの上面(上側の挟持部材71Aに対向する面)には、浅い凹部79が形成されている。凹部79は、開口73Bの周囲を含んで、外周以外のほぼ全面にわたって形成されている。凹部79の最外部は、一段深い溝79a(
図4(B)も参照)となっている。上下の挟持部材71A、71Bを重ねると、挟持部材間にはこの凹部79の深さのスペースが形成される。このスペース内に、シャッター板80が回動可能に配置されている。シャッター板80は、一端が回動シャフト81(
図3(A)参照)に一体に固定されている。回動シャフト81を回動させることによって、シャッター板80は、開口73を塞ぐ位置と、開口73の外の凹部79に収容される位置との間を移動する。なお、上側挟持部材71Aの上面には、開口73の開時及び閉時における回動シャフト81の位置を示す指示点が設けられている。
【0040】
また、下側挟持部材71Bの凹部79内の開口73Bのやや外側には、樹脂製のワッシャ83が配置されている。
図4(B)に示すように、ワッシャ83は、開口73Bのやや外側に形成された環状の溝85に複数のネジ86で固定されている。シャッター板80の開閉時に、シャッター板80の下面は主にこのワッシャ83の上面と摺動する。
【0041】
図4(B)を参照して説明する。上下の挟持部材71A、71Bとの間は、主Oリング91、副Oリング93、外周Oリング95で密閉されている。主Oリング91は、副Oリング93よりも断面の寸法が大きい。主Oリング91が嵌め込まれる環状のOリング溝92(主Oリング溝)は、上側挟持部材71Aの開口73Aの外周に沿った、下側挟持部材71Bのワッシャ用溝85にほぼ対向する位置に形成されている。副Oリング93が嵌め込まれる環状Oリング溝94(副Oリング溝)は、下側挟持部材71Bのワッシャ用溝85の内側に、開口73Bの周囲に沿って形成されている。詳しくは後述するが、シャッター板閉時には、シャッター板80の継手側(下方)から圧力がかかり、シャッター板80は上方に押圧される。この際、シャッター板80は主Oリング91に圧接するので、シャッター板80と上側挟持部材71Aの下面との気密性が安定化される。
【0042】
各Oリング溝92、94は、断面形状が横長の方形であり、一方の側壁が、外方向に膨らんだ凹状(アリ溝形状)となっている。主Oリング溝92は、内側(開口73A側)の側壁92aが凹状となっており、副Oリング溝94は、外側(反開口73B側)の側壁94aが凹状となっている。このようにOリング溝をアリ溝形状とすることにより、Oリングの溝からの脱落を防止できる。
シャッター板80の継手側(下方)から圧力がかかってシャッター板80が押し上げられた場合、継手側に存在するガスは、シャッター板80と下側挟持部材71Bとの間に生じたスペースに入り込もうとする。このスペースを通るガスは主に副Oリング93で封止されるが、封止しきれなかったガスは、下側挟持部材71Bの凹部79に入り込み、凹部79内を外方向に移動する。そして、凹部79の最外部79aにおいて、シャッター板80の端面と凹部79の側壁との間を通ってシャッター板80の反継手側(上側)に回り込み、内方向(開口方向)へ移動しようとする。主Oリング溝92と副Oリング溝94の凹部92a、94aは、このガスの流れに向き合う位置に形成されている。これにより、各溝に収容されたOリングが、前記のガスの流れの方向に力を受けて、各溝の凹部に押圧される。この力も加わって、各Oリングは各々Oリング溝から脱落しにくくなる。
【0043】
外周用Oリング95は、下側挟持部材71Bの外周(凹部の外側)に形成されたOリング溝96に嵌め込まれる。
【0044】
図3(A)、(B)に示すように、上下の挟持部材71A、71Bは、外周に沿って配置された上下の環状の補強板101A、101Bを介して、複数のねじで固定されている。補強板101は、鋼製あるいはステンレス鋼製である。厚さは例えば5mmである(上挟持部材の厚さは11mm、下挟持部材の厚さは17mm)。上下の補強板101は、
図3に示すように、上下挟持部材71の外周の一部を除いてほぼ全周に取り付けられている。このような補強板101によって上下挟持部材71A、71B間の連結を強化できる。
【0045】
補強板の他の例を
図5に示す。
図5(A)はシャッターユニットを上方から見た斜視図、
図5(B)は裏側から見た斜視図である。
この例の上下の補強板107A、107Bは、環状ではなく、挟持部材71の開口以外のほぼ全ての面を覆う形状である。
図5(A)に示すように、上側補強板107Aは、上側挟持部材71Aの開口73Aと回動シャフト81の部分を除く略半円状の平板部と、2個の円弧状部とからなる。下側補強板107Bは、下側挟持部材71Bの開口73Bを除く略半円の平板部と、2個の円弧状部とからなる。上下補強板107は、上下挟持部材71の周囲で複数のねじで結合されている。
【0046】
次に、
図6を参照してストッパーユニットを説明する。
図6(A)は上から見た斜視図、
図6(B)は下から見た斜視図である。ストッパーユニット110も、前述の特許文献1に開示した穿孔工具のストッパーユニットとほぼ同じであり、パージ用組立が新たに設けられている。
ストッパーユニット110は、穿孔作業終了後に、分岐取出継手200のカッター移動部205にプラグを締め付けるための工具である。
【0047】
ストッパーユニット110は、短い円筒状の本体111を備えている。本体111の上端は上板111aで塞がれており、下端は開口している。開口には、外方向に拡がるフランジ111bが形成されている。本体111の側面には、パージ用組立120が取り付けられている。パージ用組立120は、カッティングユニット10等のパージ組立と同様のものであり、本体111の側壁を貫通してねじ込まれたエルボ121と、エルボ121の外側の端部に螺合したカプラ123からなる。
【0048】
本体111の上板111aの中央部には、ブッシュ113を介してシャフト115がスライド自在に通されている。シャフト115の上端付近には、横方向に延び出る一対のハンドル117が取り付けられている。ハンドル117の下方のシャフト115の外周面には、プラグ締め付け完了を示すマーク115aが印されている。このマーク115aがブッシュ113付近にくるまでシャフト115を回して、プラグを分岐取出継手200のカッター移動部205内に押し込んだとき、プラグの締め付けが完了する。
【0049】
本体111の上板111a上のブッシュ113付近には、シャフト115の本体111内へのスライドを阻止するストッパー119が取り付けられている。また、
図6(B)に示すように、本体111の内側の、シャフト115の下端にはプラグカラー125が取り付けられている。プラグカラー125は、ストッパーユニット110にプラグを保持させるとともに、締付時にはシャフト115の回転をプラグに伝える役割を果たす。
【0050】
次に、
図1に示した分岐取出継手を用いて樹脂製分岐管を接続する一連の作業について、主に
図7〜
図14を参照しつつ説明する。
【0051】
(1)穿孔作業開始
まず、
図7に示すように、シャッターユニット70を分岐取出継手200に取り付ける。
シャッターユニット70を分岐取出継手200のカッター移動部205の上側に載せ、継手200側の接続フランジ208とシャッターユニット70の下側フランジ77Bとをボルト・ナットで結合する。
【0052】
次に、
図8に示すように、シャッターユニット70にカッティングユニット10を載せ、シャッターユニット70の上フランジ77Aと、カッティングユニット10のケーシング20のフランジ20bとをボルト・ナットで結合する(カッティングユニット10とシャッターユニット70とは予め接続しておいてもよい)。そして、シャッターユニット70の回動シャフト81(
図3(A)参照)をスパナ等で回し、シャッター板80を開く。
【0053】
(2)カッター押し下げ移動(切り込み直前)
シャッターユニット70のシャッター板80を完全に開いた後、カッティングユニット10のロックバー27を引き出し、ロックバー27とスライドストッパー39との係合を解除する。そして、カッティングユニット10のシャフトスリーブ31と送りネジシャフト33を下降させる。送りネジシャフト33の下降により、同シャフト33に螺合しているカッター11がカッターガイド43にガイドされて下降する。カッター11が下降した後、ハンドルブロック35をケーシング20の上端のブッシュ29の外面のオネジに噛み合わせ、両者をネジ結合させる。
【0054】
(3)カッター切り込み→切り込み終了
次に、
図9に示すように、送りネジシャフト33上端にスパナ等の工具を係合して回転させると、送りネジシャフト33に螺合しているカッター11がカッターガイド43にガイドされつつ下降していき、分岐取出継手200のカッター移動部205の空洞206を通って、サドル部開口202に位置する元管300の側壁に切り込んでいく。カッター11で元管300側壁を切り進んでいる最中は、カッター11の下端部の保持板が元管側壁の外表面で上に押されて背板13の内面側に倒れるため、カッター11の進行を妨げない。
【0055】
カッター切り込みの終了は、次のいずれかによって作業者が知ることができる。
(ア)送りネジシャフト33の下端のストップカラー42にカッター11のメネジブロック17の下端が当たり、それ以上カッター11が進まなくなって回転が止まったときの感触。
(イ)ケーシング20の窓21から内部を覗き、カッター11の上端面がカッターガイド43に形成されたマークより下側にあることを目視することで確認。
【0056】
元管300が穿孔されると、元管内のガスが継手200のサドル部210、カッター移動部205の空洞206から、シャッターユニット70の開口73を通ってカッティングユニット10のケーシング20内に充満する。
【0057】
なお、継手200のカッター移動部205内でのカッター進行中の動作や、元管200の側壁をカッター11で切り取って生じた切片の処理の詳細については、前述の特許文献に詳細に記載されているので説明を省略する。
【0058】
(4)カッター引き上げ移動
次に、前述したカッター切り込み中とは逆に送りネジシャフト33を回し、カッター11を引き上げていく。そして、ハンドル37を掴んで、シャフトスリーブ31・送りネジシャフト33をスライドストッパー39がブッシュ29の下端面に当たるまで引き上げてから、ロックバー27をねじ込む。
【0059】
(5)カッティングユニット内のガス開放・取り外し
カッティングユニット10のシャフトスリーブ31・送りネジシャフト33を元の位置に引き上げた後、シャッターユニット70の回動シャフト81をスパナ等で回し、シャッター板80を閉じる。ここで、シャッター板80には、継手側から元管内の比較的高い圧力のガスがかかっている。
図4(B)を参照して説明したように、シャッター板80とシャッターユニット70の下板71Bとの間には副Oリング93が介されているが、ガスの圧力が高いと、この副Oリング93で密閉できなかったガスが下板71Bの開口73Bから凹部79の外側まで流れ込む場合もある。ただし、シャッター板80はガス圧によって主Oリング91に圧接されているので、シャッター板80と上側挟持部材71Aの下面との気密性が得られる。また、シャッター板80を閉じる際に、シャッター板80と主Oリング91との摩擦力が高くなるが、主Oリング溝92の、ガスの流れ方向に向き合う側壁が凹状に窪んだアリ溝形状であるので、シャッター板80を開閉運動する際にOリング81、83に横ズレ力がかかっても、Oリングの脱落を防止できる。
【0060】
さらに、シャッター板80にかかる圧力が高い場合、上下挟持部材71の結合部にも圧力がかかるが、上下の挟持部材71の結合部は、
図3(又は
図5)に示すように、高強度の補強板105(107)で補強されているので、挟持部材を結合している部位でめねじ部変形での緩み等が生じにくい。
【0061】
次に、
図10に示すように、カッティングユニット10のケーシング20に設けられたパージ組立60のカプラ63の先端にホース組立140を接続し、ケーシング20内のガスを大気放出する。ホース組立140は、
図10に示すように、2本のホース141、142を開閉弁143を介して接続したものである。ホース組立140の開閉弁143を閉とし、同組立のホース141の一端を、カッティングユニット10のパージ組立60のカプラ63の先端に接続した後、開閉弁143を開とすると、カッティングユニット10のケーシング20内の、比較的高い圧力のガスがパージ組立60とホース組立140を介して大気に開放される。
【0062】
ケーシング20内のガスを開放した後、カッティングユニット10をシャッターユニット70から取り外す。ケーシング20内は大気圧となっているので、カッティングユニット10を安全に取り外すことができる。取り外した状態を
図11に示す。
【0063】
(6)ストッパーユニット取り付け
次に、シャッターユニット70にストッパーユニット110を取り付ける。
まず、
図12(A)に示すように、ストッパーユニット110の本体111内において、プラグカラー125とプラグ150とを嵌め合わせておく。この時点では、ストッパー119により、シャフト115の下降が防止されている。この状態で、図に示すようにシャッターユニット70の上フランジ77Aにストッパーユニット110の本体111のフランジ111bを載せて、両フランジをボルト・ナットで結合する。
【0064】
(7)ストッパーユニットとシャッターユニットの同圧作業
次に、
図12(B)に示すように、ストッパーユニット110のパージ組立120と、シャッターユニット70のパージ組立100とを、ホース組立140で接続する。ホース組立140は、前述のカッティングユニット10のガス開放に使用したものを使用できる。ホース組立140の開閉弁143を閉とし、同組立のホース141の一端をストッパーユニット110のパージ組立120のカプラ123に接続し、もう一方のホース142の端部をシャッターユニット70のパージ組立100のカプラ103に接続した後、開閉弁143を開とする。これにより、シャッター板80の反継手側のストッパーユニット110の本体111の空間と継手側のシャッターユニット70内の空間とを同圧としておく。
【0065】
ストッパーユニット110の本体111内の空間は、シャッターユニット70のシャッター板80で継手側の元管内部と隔離されているので、ほぼ大気圧であるが、元管内のガス圧は比較的高い状態である。この状態のままでシャッター板80を開いたり、シャフト115を下降させようとすると、シャッター板80やプラグ150には継手側の空間から高い圧力を受けることになり、シャッター板80が開き難くなったり、シャフト115を下降させにくくなる。そこで、シャッター板80の反継手側のストッパーユニット110の本体111の空間と、継手側のシャッターユニット70内の空間とを、ホース組立140を介して連通させて、両空間内の圧力を同等としておく。
【0066】
(7)プラグねじ込み作業
次に、
図13(A)に示すように、シャッターユニット70のシャッター板80を完全に開き、ストッパー119を解除して、ストッパーユニット70のシャフト115を下降可能とする。プラグ150は、シャフト115にプラグカラー125によって落下しないように保持されている。前述の同圧作業により、ストッパーユニット110の本体111内の圧力とシャッターユニット70内の圧力は同圧とされているので、シャッター板80を大きな摩擦力を受けずに開くことができるとともに、プラグ150も大きな反発力を受けずに下降させることができる。
【0067】
プラグ150を、下端が分岐取出継手200のカッター移動部205の上端に当たるまでスライド下降させた後、ハンドル117を掴んで回し、プラグ150を継手カッター移動部205の内孔のメネジにねじ込んでいく。プラグ150のねじ込みが完了した時点で、カッター移動部205の上端開口部が封止される。
【0068】
(8)シャッターユニットのガス開放
次に、
図13(B)に示すように、ストッパーユニット110のパージ組立120に接続されているホース組立140を取り外す。これにより、プラグ150の反継手側の空間(ストッパーユニット110の本体111内の空間と、シャッターユニット70の開口内の空間)が、ホース組立140を介して大気に開放されるので、これらのユニットが取り外しやすくなる。
【0069】
(9)シャッターユニットとストッパーユニットの取り外し
最後に、シャッターユニット70とストッパーユニット110を、継手200から取り外す。これにより、
図14に示すように、継手200のカッター移動部205の開口がプラグ150で閉じられる。