特許第6208970号(P6208970)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6208970
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】発電方法
(51)【国際特許分類】
   F23K 1/00 20060101AFI20170925BHJP
   F23C 1/06 20060101ALI20170925BHJP
   C10L 5/44 20060101ALI20170925BHJP
   F23C 10/10 20060101ALI20170925BHJP
   F23G 5/30 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   F23K1/00 B
   F23C1/06
   C10L5/44
   F23C10/10
   F23G5/30 C
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-80672(P2013-80672)
(22)【出願日】2013年4月8日
(65)【公開番号】特開2014-202448(P2014-202448A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2016年4月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003182
【氏名又は名称】株式会社トクヤマ
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(72)【発明者】
【氏名】立野 誠司
(72)【発明者】
【氏名】井上 保史
【審査官】 礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−232466(JP,A)
【文献】 特開平05−246550(JP,A)
【文献】 特開2000−240920(JP,A)
【文献】 特開2009−114296(JP,A)
【文献】 特開2005−291531(JP,A)
【文献】 特開2005−291539(JP,A)
【文献】 特開2002−349821(JP,A)
【文献】 特開2009−243812(JP,A)
【文献】 特開2010−175214(JP,A)
【文献】 特開2008−215710(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23K 1/00 − 3/22
F23C 1/00 − 10/32
F23G 5/30
C10L 5/00 − 7/04
C10L 9/00 − 11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
石炭と未破砕のパーム椰子種子殻とを、上記未破砕のパーム椰子種子殻が、上記石炭100質量部に対して15〜500質量部となる割合で粉砕機に投入して、該石炭の粒度が、メッシュ5mm×5mmの篩い残分5質量%未満、メッシュ1.78mm×1.78mmの篩い残分30〜70質量%となるように共粉砕し、得られた共粉砕物を流動層ボイラーの火炉に直接供給して燃焼させ、発生した蒸気で発電することを特徴とする発電方法。
【請求項2】
前記流動層ボイラーとして循環流動層ボイラーを使用し、前記未破砕のパーム椰子種子殻の一部該循環流動層ボイラーの排ガス中の固体粒子を回収し火炉に循環する固体粒子循環路に粉砕することなく供給して、固体粒子と共に火炉に供給する請求項1に記載の発電方法。
【請求項3】
前記共粉砕に供する前に、未破砕のパーム椰子種子殻を、メッシュ30mm×30mm〜メッシュ50mm×50mmの篩い通過分を回収して使用する請求項1又は2に記載の発電方法。
【請求項4】
未破砕のパーム椰子種子殻が、その貯蔵場において、水分含量を15質量%以上に維持するように貯蔵されたものである請求項1〜の何れか一項に記載の発電方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は大量に生産され廃棄されているパーム椰子の種子殻を効率的に利用する、流動層ボイラーを用いた発電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二酸化炭素などの排出量の増加に伴う地球の温暖化現象が、近年問題化している。この主な原因として、石油や石炭等の化石燃料の利用が考えられている。また、これら化石燃料の埋蔵量にも限界があり、石油や石炭に代わる各種のエネルギー源が種々検討されている。
上記エネルギー源として、バイオマスから得られるバイオ燃料が検討されているが、その原料となるトウモロコシ、サトウキビ、小麦などは食用としても利用されるため、生態系および経済バランスの点で最善の手法とはいえない。木屑、廃材、サトウキビの搾りかす等の廃棄バイオマスから固体燃料を作ることも試みられているが、嵩密度が小さく貯蔵効率や搬送効率が悪い、単位容積当たりの発熱量が小さいなどの理由により、その利用は限られている。
【0003】
一方、自然界には、食用には適さないが比較的油脂成分の含有量が多い果実(殊に種子)が存在する。その果実(種子)から油脂成分を搾り、石鹸や工業製品などに利用されているものは多く、例えば、種子からの油脂がヒマシ油の原料として利用されている唐胡麻{別名 ヒマ(蓖麻)};種子からの油脂成分が石鹸や蝋燭の原料として利用される南京黄櫨(別名 トウハゼ、カンテラギ);種子から搾った油脂が石鹸や蝋燭として利用されている南洋油桐(別名 タイワンアブラギリ、ジャトロファまたはヤトロファ);菜種(通称 油菜);油脂が工業用、せっけん、マーガリンなどに利用されるヤシ(椰子)(ヤシ科植物の総称。ココヤシ亜科、アレカ亜科、トウ亜科など);食料や飼料となるほか、デンプン(コーンスターチ)や油、バイオエタノールの原料としても重要であるトウモロコシ等が挙げられる。
上記椰子としてココ椰子加えて、パーム椰子があり、当該パーム椰子の果肉から圧搾されて得られるパーム油は大豆油に次ぐ世界第二位の生産量であり、マーガリン、ショートニング、ケーキ、インスタントラーメン、石鹸、界面活性剤などとして用途が広がり、その生産量は拡大している。搾油された果肉からは種子が分離され、該種子はその殻を剥き、中の胚乳から更にパーム核油が搾取される。
この種子の殻はパーム椰子種子殻とよばれ、燃焼時の発熱量は4400kcal/Kgと木屑と比較して高く、ハードグローブ係数が14と小さく粉砕しにくいものであり、パーム椰子の生産量の増大と共に年間400万トン程のパーム椰子種子殻が発生し、その処理が問題となっている。該パーム椰子種子殻は活性炭などへの利用がなされているが、その利用量は少ない。大量に処理する手段の一つとして、石炭との混合燃焼による火力発電が検討され、実証試験が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−268394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
パーム椰子種子殻は、上記の通り硬く、粉砕が困難なため、微粉炭火力発電での混焼には不向きとされていた。混焼するためには予め微粉砕して粒径を小さくした後、石炭粉砕機で石炭と粉砕混合する方式が採用されていた。
当該方法は、両者が微粉砕され燃焼性の点では優れた方法であるが、パーム椰子種子殻を微粉砕するには、ハンマーミルや振動スクリーンを組み合わせた装置が必要であり、設備が大掛かりになりそのエネルギーコストが大きくなるだけでなく、更に、振動スクリーンの短時間での目詰まりが起こり、安定した連続運転が困難となり、実用性に問題があった。また、従来の竪型ミルでは、パーム椰子種子殻の密度の軽さや弾性に起因して、効率的な粉砕を困難にしていた(特許文献1)。
【0006】
本発明者らは、パーム椰子種子殻を微粉炭と混焼して発電する方法について鋭意研究を重ねた結果、当該パーム椰子種子殻の未破砕物を石炭と共に粉砕機に投入して、石炭を所定粒径の粗粉炭に粉砕すれば、パーム椰子種子殻は石炭ほど粉砕されず比較的大きな粒径のまま残存するものの均一な混合物となって相分離が起こりにくく、更に、該混合物は、流動層ボイラーの火炉で効率的に燃焼して、燃焼効率が高いのみならず、NOx、SOxの発生が増えないことを見出し、本発明に至った。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記知見に基づいて到達されたものであって、本発明によれば、石炭と未破砕のパーム椰子種子殻とを、上記未破砕のパーム椰子種子殻が、上記石炭100質量部に対して15〜500質量部となる割合で粉砕機に投入して、石炭の粒度が、メッシュ5mm×5mmの篩い残分5質量%未満、メッシュ1.78mm×1.78mmの篩い残分30〜70質量%となるように共粉砕し、得られた共粉砕物を流動層ボイラーの火炉に直接供給して燃焼させ、発生した蒸気で発電することを特徴とする発電方法が提供される。
上記発電方法の発明において、
1)前記流動層ボイラーとして循環流動層ボイラーを使用し、前記未破砕のパーム椰子種子殻の一部を、該循環流動層ボイラーの排ガス中の固体粒子を回収し、火炉に循環する固体粒子循環路に粉砕することなく供給して、固体粒子と共に火炉に供給すること、
2)前記共粉砕に供する前に、未破砕のパーム椰子種子殻を、メッシュ30mm×30mm〜メッシュ50mm×50mmの篩い通過分を回収して使用すること、
3)未破砕のパーム椰子種子殻が、その貯蔵場において、水分含量を15質量%以上に維持するように貯蔵されたものであること、
が好適である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、大量に生産廃棄されるパーム椰子種子殻を、石炭との混焼火力発電に使用でき、無駄に廃棄することなく大量に消費することが可能となり、しかも二酸化炭素抑制につながるものである。
また、石炭を通常の粉砕度に粉砕する程度の低エネルギーで共粉砕することで、均一な混合状態での供給が可能であり、パーム椰子種子殻を微粉化するため多大なエネルギーを費やす必要もなく、しかも、火炉に投入後の燃焼効率も高く、更に、NOx、SOxの発生量も増えず、安定して発電を行うことができ、工業的に極めて優れた発明である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】流動層ボイラー発電装置を用いて本発明を実施する態様を模式的に示す図。
図2】実施例1における発生蒸気量を示す図である。
図3】実施例1におけるNOx、SOx、煤塵の発生量を示すグラフである。
図4】実施例2における発生蒸気量を示す図である。
図5】実施例2におけるNOx、SOx、煤塵の発生量を示すグラフである。
図6】比較例1における発生蒸気量を示す図である。
図7】比較例1におけるNOx、SOx、煤塵の発生量を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の流動層ボイラー発電装置は、従来公知の装置であり、それらを何ら制限なく使用することができる。
代表的な流動層ボイラー発電装置は、混合燃料を供給する供給口と下部に流動床を有する火炉;火炉から高温の燃焼ガスを供給して熱交換により蒸気を発生させる対流伝熱部とを主構成とするものである。好適には、火炉からの燃焼ガスに同伴して排出される粒子を捕集するサイクロンと、該サイクロンで分離された粒子を前記火炉に戻す固体粒子循環路とを備えた循環流動層ボイラー発電装置が好ましい。更に、固体粒子循環路には、石炭以外の燃料、例えばタイヤ片や未粉砕或いは一部粉砕したパーム椰子種子殻を投入して火炉で燃焼させるための副燃料投入口を備える態様が好ましい。図1に代表的な循環流動層ボイラー発電装置を示す。
【0011】
生産地から輸送されたパーム椰子種子殻は、パーム椰子房、パーム椰子ファイバー、石、木屑等の異物を含んでいることが多く、これらの異物は、後工程で目詰まりを起こし、更には石炭との共粉砕や流動層ボイラーでの燃焼を妨げるので予め除去することが好ましい。除去方法は特に限定されないが、メッシュ30mm×30mm〜メッシュ50mm×50mm(JIS規格3553、JIS記号CR−S)の篩に未破砕のパーム椰子種子殻をかけ、通過分を回収する方法が簡便であり、しかも、十分な除去効果を有する。
また、未破砕のパーム椰子種子殻は、貯蔵場における貯蔵の際には、その水分含量を15質量%以上に維持することが、発塵対策の点で好ましい。当該含有水分は、散水スプレーを貯蔵場に設置し、散水スプレーへの水の供給量で制御する方法が好適である。
【0012】
上記処理で得られたパーム椰子種子殻は、石炭と共に粉砕機に投入され共粉砕、混合が行われる。この共粉砕により、上記石炭の粒度が、メッシュ5mm×5mmの篩い残分5質量%未満、メッシュ1.78mm×1.78mmの篩い残分30〜70質量%、好ましくは、40〜60質量%となるように共粉砕される。
一方、粉砕されにくいパーム椰子種子殻は、上記共粉砕後の粒径が、石炭と比較して一回り大きく、2.5〜10mm程度の粉砕に止まり、また、粉砕後の形状は不均一である。パーム椰子種子殻は、上記程度の粉砕状態において、粗粉炭との混合状態は均一で相分離せず、安定した燃焼を行うことができ、しかも燃焼効率も高い。
共粉砕された石炭とパーム椰子種子殻との混合比率は、通常、石炭100質量部に対してパーム椰子種子殻15〜500質量部である。上記パーム椰子種子殻との混合比率が、500質量部を超えるとボイラーの発生総熱量が低下する傾向がある。
後述するように、当該パーム椰子種子殻は、排ガス中の固体粒子を回収し火炉に循環する固体循環路に粉砕せずに投入して、副燃料とすることができる。その場合、上記共粉砕に供されるパーム椰子種子殻と副燃料のパーム椰子種子殻との合計量が、上記範囲内に納まるように使用することが好ましい。また、この場合、副燃料として使用するパーム椰子種子殻の割合は、全量の30質量%以下となるように調整することが好ましい。
【0013】
共粉砕に使用する粉砕機としては、ハンマークラッシャー等の公知のクラッシャーが特に制限なく使用され、石炭の粗粉炭化の制御は、通常、粉砕速度とクリアランスの調整で行われる。
上記共粉砕後の石炭の粒度の測定は、粉砕後の共粉砕物を任意の量、例えば、1kg程度を10回サンプリングし、それぞれサンプリングした共粉砕物をメッシュ5mm×5mmの篩いとメッシュ1.78mm×1.78mmの篩いに掛け、それぞれの篩い分けした共粉砕物について、石炭とPKSに目視で選り分け、それぞれの重量を測定し、平均値を求める方法を採用した。
尚、上記の粉砕の程度において、パーム椰子種子殻は、前記したように、共粉砕後の粒径が石炭と比較して一回り大きく、上記メッシュ1.78mm×1.78mmの篩い通過分は、ほとんど無視できる程度に少ない。
従って、共粉砕物中の石炭の粒度について、メッシュ5mm×5mmの篩い残より選別された石炭の質量(C5R)、メッシュ1.78mm×1.78mmの篩い残より選別された石炭の質量(C1.78R)、メッシュ1.78mm×1.78mmの篩い通過分の石炭の質量(C1.78P)としたとき、石炭のメッシュ5mm×5mmの篩い残の割合(CR)、及び、メッシュ1.78mm×1.78mmの篩い残の割合(CR1.78)は、以下の式で求めることができる。
CR=C5R/(C5R+C1.78R+C1.78P)×100
CR1.78=C1.78R/(C5R+C1.78R+C1.78P)×100
また、共粉砕物中のパーム椰子種子殻の粒度について、メッシュ5mm×5mmの篩い残より選別されたパーム椰子種子殻の質量(P5R)、メッシュ1.78mm×1.78mmの篩い残より選別されたパーム椰子種子殻の質量(P1.78R)としたとき、パーム椰子種子殻のメッシュ5mm×5mmの篩い残の割合(PR)、及び、メッシュ1.78mm×1.78mmの篩い残の割合(PR1.78)は、以下の式で求めることができる。
PR=P5R/(P5R+P1.78R)×100
PR1.78=P1.78R/(P5R+P1.78R)×100
【0014】
共粉砕・混合された石炭とパーム椰子種子殻との混合燃料は、一旦燃料バンカーに貯蔵し、バンカーの下部に位置する給炭器から適宜流動層ボイラーの火炉下部に投入され燃焼に供することが好ましい。
本発明において、流動層ボイラーや蒸気管等の蒸気発生の構造、装置、部材、更には該蒸気による発電については、広く知られている公知の技術を何ら制限なく採用できる。
【0015】
本発明は、上記の通りの混合燃料を、直接火炉の流動層部へ供給して燃焼させるものであるが、当該燃焼時に、循環流動層ボイラーの排ガス中の固体粒子を回収し火炉に循環する固体循環路に、未破砕のパーム椰子種子殻を粉砕することなく副燃料として供給して、固体粒子と共に火炉に投入してもよい。また、上記固体粒子循環路への供給は、パーム椰子種子殻の他、例えばタイヤ片などの他の副燃料も使用することができる。
【実施例】
【0016】
以下、本発明を、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。また、実施例の中で説明されている特徴の組み合わせすべてが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0017】
実施例1
図1に示す循環流動層ボイラーを使用して、パーム椰子種子殻の割合を、石炭100質量部に対して22質量部とし、ハンマークラッシャーで共粉砕した粉砕物を循環流動層ボイラーの火炉に直接供給して燃焼させた際の結果を図2図3に示す。
粉砕機は、能力150トン/hrのハンマークラッシャーを使用し、石炭とパーム椰子種子殻を35トン/hrの粉砕量で共粉砕した。共粉粉砕物中の石炭とパーム椰子種子殻の比率は、石炭100質量部に対してパーム椰子種子殻は、20質量部であった。
共粉砕物中の石炭は、メッシュ5mm×5mmの篩い残分が1.5質量%であり、メッシュ1.78mm×1.78mmの篩い残分が52質量%であった。その際のパーム椰子種子殻は、石炭より一回り大きく、メッシュ5mm×5mmの篩い残分が38質量%であった。
図2に示すように、パーム椰子種子殻を混焼した場合、石炭専焼の場合と同様に所定の蒸気量を得ることができ、図3に示すように、NOx、SOx、煤塵の発生量に大きな変化がないことが確認できた。
尚、本実施例においては、発生するSOxのほとんどがSOであることから、図3にはSOxのうちSOの測定値のみを示した。以後の実施例及び比較例においても、同様に、SOの測定値のみを示すこととした。
【0018】
実施例2
図1に示す循環式流動層ボイラーを使用して、パーム椰子種子殻の割合を、石炭100質量部に対して60質量部とし、ハンマークラッシャーで共粉砕した粉砕物を循環流動層ボイラーの火炉に直接供給して燃焼させた際の結果を図4図5に示す。
粉砕機は、実施例1と同様のハンマークラッシャーを使用し、石炭とパーム椰子種子殻を35トン/hrの粉砕量で共粉砕した。共粉粉砕物中の石炭とパーム椰子種子殻の比率は、石炭100質量部に対してパーム椰子種子殻は、57質量部であった。
共粉砕物中の石炭は、メッシュ5mm×5mmの篩い残分が1.2質量%であり、メッシュ1.78mm×1.78mmの篩い残分が49質量%であった。その際のパーム椰子種子殻は、石炭より一回り大きく、メッシュ5mm×5mmの篩い残分が42質量%であった。
図4に示すように、石炭、パーム椰子種子殻およびタイヤチップを混焼した場合、石炭およびタイヤチップを混焼した場合と同様に所定の蒸気量を得ることができ、図5に示すように、NOx、SOx、煤塵の発生量に大きな変化がないことが確認できた。
【0019】
実施例3
図1に示す循環式流動層ボイラーを使用して、パーム椰子種子殻の割合を、石炭100質量部に対して60質量部とし、ハンマークラッシャーで共粉砕した粉砕物を循環流動層ボイラーの火炉に直接供給して燃焼させた。
粉砕機は、実施例1と同様のハンマークラッシャーを使用し、石炭とパーム椰子種子殻を35トン/hrの粉砕量で共粉砕した。石炭の粒度を変えたときの影響を確認するため、石炭の粗粉度を粗くした。共粉粉砕物中の石炭とパーム椰子種子殻の比率は、石炭100質量部に対してパーム椰子種子殻は、58質量部であった。
共粉砕物中の石炭は、メッシュ5mm×5mmの篩い残分が2.3質量%であり、メッシュ1.78mm×1.78mmの篩い残分が58質量%であった。その際のパーム椰子種子殻は、石炭より一回り大きく、メッシュ5mm×5mmの篩い残分が45質量%であった。
実施例2のときと同様に所定の蒸気量を得ることができ、NOx、SOx、煤塵の発生量に大きな変化がないことが確認できた。
【0020】
実施例4
図1に示す循環式流動層ボイラーを使用して、パーム椰子種子殻の割合を、石炭100質量部に対して60質量部とし、ハンマークラッシャーで共粉砕した粉砕物を循環流動層ボイラーの火炉に直接供給して燃焼させた。
粉砕機は、実施例1と同様のハンマークラッシャーを使用し、石炭とパーム椰子種子殻を35トン/hrの粉砕量で共粉砕した。石炭の粒度を変えたときの影響を確認するため、石炭の粗粉度を細かくした。共粉粉砕物中の石炭とパーム椰子種子殻の比率は、石炭100質量部に対してパーム椰子種子殻は、55質量部であった。
共粉砕物中の石炭は、メッシュ5mm×5mmの篩い残分が0.6質量%であり、メッシュ1.78mm×1.78mmの篩い残分が43質量%であった。その際のパーム椰子種子殻は、石炭より一回り大きく、メッシュ5mm×5mmの篩い残分が38質量%であった。
実施例2のときと同様に所定の蒸気量を得ることができ、NOx、SOx、煤塵の発生量に大きな変化がないことが確認できた。
【0021】
比較例1
比較例として、図1に示す循環流動層ボイラーを使用して、石炭100質量部に対して22質量部の未粉砕のパーム椰子種子殻を粉砕することなく、固体粒子循環炉から副燃料として、固体粒子と共に火炉に投入し燃料させた際の結果を図6図7に示す。
主燃料は、石炭のみとし、粉砕機は、実施例1と同様のハンマークラッシャーを使用し、石炭を30トン/hrの粉砕量で粉砕した。石炭の粒径は、メッシュ5mm×5mmの篩い残分が1.8質量%、メッシュ1.78mm×1.78mmの篩い残分が55質量%であった。
図6に示すように、パーム椰子種子殻を固体粒子循環路から投入した場合、石炭専焼の場合と同様に所定の蒸気量を得ることができたが、図7に示すように、SOx、煤塵の発生量は大きな変化がないが、NOxは、約30ppm上昇した。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7