【0012】
上記処理で得られたパーム椰子種子殻は、石炭と共に粉砕機に投入され共粉砕、混合が行われる。この共粉砕により、上記石炭の粒度が、メッシュ5mm×5mmの篩い残分5質量%未満、メッシュ1.78mm×1.78mmの篩い残分30〜70質量%、好ましくは、40〜60質量%となるように共粉砕される。
一方、粉砕されにくいパーム椰子種子殻は、上記共粉砕後の粒径が、石炭と比較して一回り大きく、2.5〜10mm程度の粉砕に止まり、また、粉砕後の形状は不均一である。パーム椰子種子殻は、上記程度の粉砕状態において、粗粉炭との混合状態は均一で相分離せず、安定した燃焼を行うことができ、しかも燃焼効率も高い。
共粉砕された石炭とパーム椰子種子殻との混合比率は、通常、石炭100質量部に対してパーム椰子種子殻15〜500質量部である。上記パーム椰子種子殻との混合比率が、500質量部を超えるとボイラーの発生総熱量が低下する傾向がある。
後述するように、当該パーム椰子種子殻は、排ガス中の固体粒子を回収し火炉に循環する固体循環路に粉砕せずに投入して、副燃料とすることができる。その場合、上記共粉砕に供されるパーム椰子種子殻と副燃料のパーム椰子種子殻との合計量が、上記範囲内に納まるように使用することが好ましい。また、この場合、副燃料として使用するパーム椰子種子殻の割合は、全量の30質量%以下となるように調整することが好ましい。
【0013】
共粉砕に使用する粉砕機としては、ハンマークラッシャー等の公知のクラッシャーが特に制限なく使用され、石炭の粗粉炭化の制御は、通常、粉砕速度とクリアランスの調整で行われる。
上記共粉砕後の石炭の粒度の測定は、粉砕後の共粉砕物を任意の量、例えば、1kg程度を10回サンプリングし、それぞれサンプリングした共粉砕物をメッシュ5mm×5mmの篩いとメッシュ1.78mm×1.78mmの篩いに掛け、それぞれの篩い分けした共粉砕物について、石炭とPKSに目視で選り分け、それぞれの重量を測定し、平均値を求める方法を採用した。
尚、上記の粉砕の程度において、パーム椰子種子殻は、前記したように、共粉砕後の粒径が石炭と比較して一回り大きく、上記メッシュ1.78mm×1.78mmの篩い通過分は、ほとんど無視できる程度に少ない。
従って、共粉砕物中の石炭の粒度について、メッシュ5mm×5mmの篩い残より選別された石炭の質量(C
5R)、メッシュ1.78mm×1.78mmの篩い残より選別された石炭の質量(C
1.78R)、メッシュ1.78mm×1.78mmの篩い通過分の石炭の質量(C
1.78P)としたとき、石炭のメッシュ5mm×5mmの篩い残の割合(CR
5)、及び、メッシュ1.78mm×1.78mmの篩い残の割合(CR
1.78)は、以下の式で求めることができる。
CR
5=C
5R/(C
5R+C
1.78R+C
1.78P)×100
CR
1.78=C
1.78R/(C
5R+C
1.78R+C
1.78P)×100
また、共粉砕物中のパーム椰子種子殻の粒度について、メッシュ5mm×5mmの篩い残より選別されたパーム椰子種子殻の質量(P
5R)、メッシュ1.78mm×1.78mmの篩い残より選別されたパーム椰子種子殻の質量(P
1.78R)としたとき、パーム椰子種子殻のメッシュ5mm×5mmの篩い残の割合(PR
5)、及び、メッシュ1.78mm×1.78mmの篩い残の割合(PR
1.78)は、以下の式で求めることができる。
PR
5=P
5R/(P
5R+P
1.78R)×100
PR
1.78=P
1.78R/(P
5R+P
1.78R)×100
【実施例】
【0016】
以下、本発明を、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。また、実施例の中で説明されている特徴の組み合わせすべてが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0017】
実施例1
図1に示す循環流動層ボイラーを使用して、パーム椰子種子殻の割合を、石炭100質量部に対して22質量部とし、ハンマークラッシャーで共粉砕した粉砕物を循環流動層ボイラーの火炉に直接供給して燃焼させた際の結果を
図2、
図3に示す。
粉砕機は、能力150トン/hrのハンマークラッシャーを使用し、石炭とパーム椰子種子殻を35トン/hrの粉砕量で共粉砕した。共粉粉砕物中の石炭とパーム椰子種子殻の比率は、石炭100質量部に対してパーム椰子種子殻は、20質量部であった。
共粉砕物中の石炭は、メッシュ5mm×5mmの篩い残分が1.5質量%であり、メッシュ1.78mm×1.78mmの篩い残分が52質量%であった。その際のパーム椰子種子殻は、石炭より一回り大きく、メッシュ5mm×5mmの篩い残分が38質量%であった。
図2に示すように、パーム椰子種子殻を混焼した場合、石炭専焼の場合と同様に所定の蒸気量を得ることができ、
図3に示すように、NOx、SOx、煤塵の発生量に大きな変化がないことが確認できた。
尚、本実施例においては、発生するSOxのほとんどがSO
2であることから、
図3にはSOxのうちSO
2の測定値のみを示した。以後の実施例及び比較例においても、同様に、SO
2の測定値のみを示すこととした。
【0018】
実施例2
図1に示す循環式流動層ボイラーを使用して、パーム椰子種子殻の割合を、石炭100質量部に対して60質量部とし、ハンマークラッシャーで共粉砕した粉砕物を循環流動層ボイラーの火炉に直接供給して燃焼させた際の結果を
図4、
図5に示す。
粉砕機は、実施例1と同様のハンマークラッシャーを使用し、石炭とパーム椰子種子殻を35トン/hrの粉砕量で共粉砕した。共粉粉砕物中の石炭とパーム椰子種子殻の比率は、石炭100質量部に対してパーム椰子種子殻は、57質量部であった。
共粉砕物中の石炭は、メッシュ5mm×5mmの篩い残分が1.2質量%であり、メッシュ1.78mm×1.78mmの篩い残分が49質量%であった。その際のパーム椰子種子殻は、石炭より一回り大きく、メッシュ5mm×5mmの篩い残分が42質量%であった。
図4に示すように、石炭、パーム椰子種子殻およびタイヤチップを混焼した場合、石炭およびタイヤチップを混焼した場合と同様に所定の蒸気量を得ることができ、
図5に示すように、NOx、SOx、煤塵の発生量に大きな変化がないことが確認できた。
【0019】
実施例3
図1に示す循環式流動層ボイラーを使用して、パーム椰子種子殻の割合を、石炭100質量部に対して60質量部とし、ハンマークラッシャーで共粉砕した粉砕物を循環流動層ボイラーの火炉に直接供給して燃焼させた。
粉砕機は、実施例1と同様のハンマークラッシャーを使用し、石炭とパーム椰子種子殻を35トン/hrの粉砕量で共粉砕した。石炭の粒度を変えたときの影響を確認するため、石炭の粗粉度を粗くした。共粉粉砕物中の石炭とパーム椰子種子殻の比率は、石炭100質量部に対してパーム椰子種子殻は、58質量部であった。
共粉砕物中の石炭は、メッシュ5mm×5mmの篩い残分が2.3質量%であり、メッシュ1.78mm×1.78mmの篩い残分が58質量%であった。その際のパーム椰子種子殻は、石炭より一回り大きく、メッシュ5mm×5mmの篩い残分が45質量%であった。
実施例2のときと同様に所定の蒸気量を得ることができ、NOx、SOx、煤塵の発生量に大きな変化がないことが確認できた。
【0020】
実施例4
図1に示す循環式流動層ボイラーを使用して、パーム椰子種子殻の割合を、石炭100質量部に対して60質量部とし、ハンマークラッシャーで共粉砕した粉砕物を循環流動層ボイラーの火炉に直接供給して燃焼させた。
粉砕機は、実施例1と同様のハンマークラッシャーを使用し、石炭とパーム椰子種子殻を35トン/hrの粉砕量で共粉砕した。石炭の粒度を変えたときの影響を確認するため、石炭の粗粉度を細かくした。共粉粉砕物中の石炭とパーム椰子種子殻の比率は、石炭100質量部に対してパーム椰子種子殻は、55質量部であった。
共粉砕物中の石炭は、メッシュ5mm×5mmの篩い残分が0.6質量%であり、メッシュ1.78mm×1.78mmの篩い残分が43質量%であった。その際のパーム椰子種子殻は、石炭より一回り大きく、メッシュ5mm×5mmの篩い残分が38質量%であった。
実施例2のときと同様に所定の蒸気量を得ることができ、NOx、SOx、煤塵の発生量に大きな変化がないことが確認できた。
【0021】
比較例1
比較例として、
図1に示す循環流動層ボイラーを使用して、石炭100質量部に対して22質量部の未粉砕のパーム椰子種子殻を粉砕することなく、固体粒子循環炉から副燃料として、固体粒子と共に火炉に投入し燃料させた際の結果を
図6、
図7に示す。
主燃料は、石炭のみとし、粉砕機は、実施例1と同様のハンマークラッシャーを使用し、石炭を30トン/hrの粉砕量で粉砕した。石炭の粒径は、メッシュ5mm×5mmの篩い残分が1.8質量%、メッシュ1.78mm×1.78mmの篩い残分が55質量%であった。
図6に示すように、パーム椰子種子殻を固体粒子循環路から投入した場合、石炭専焼の場合と同様に所定の蒸気量を得ることができたが、
図7に示すように、SOx、煤塵の発生量は大きな変化がないが、NOxは、約30ppm上昇した。