(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書において「(メタ)アクリル系モノマー」とは、「CH
2=CH−CO−」又は「CH
2=C(CH
3)−CO−」の構造を有するモノマーの少なくとも1種を意味する。同様に「(メタ)アクリレート」及び「(メタ)アクリル酸」とは、それぞれ「アクリレート及びメタクリレートの少なくとも1種」及び「アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも1種」を意味する。
【0009】
〈レジスト組成物〉
本発明のレジスト組成物は、
(A)式(I)で表される構造単位及び酸不安定基を有する構造単位を含む樹脂(以下「樹脂(A)」という場合がある)、及び
(B)酸不安定基を有する酸発生剤を含有する。
本発明のレジスト組成物は、さらに溶剤(E)を含有していることが好ましい。
【0010】
〈樹脂(A)〉
樹脂(A)は、式(I)で表される構造単位と酸不安定基を有する構造単位とを有し、さらに、酸不安定基を有さない構造単位を有していてもよい。
本明細書において、「酸不安定基」とは、脱離基を有し、酸との接触により脱離基が脱離して、親水性基(例えば、ヒドロキシ基又はカルボキシ基)を形成する基を意味する。
【0011】
〈式(I)で表される構造単位〉
樹脂(A)は、式(I)で表される構造単位(以下「構造単位(I)」という場合がある)を有する。
[式(I)中、
R
1は、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子を表す。
A
1は、単結合、
*−A
2−O−、
*−A
2−CO−O−、
*−A
2−CO−O−A
3−CO−O−又は
*−A
2−O−CO−A
3−O−を表す。
*は−O−との結合手を表す。
A
2及びA
3は、それぞれ独立に、炭素数1〜6のアルカンジイル基を表す。]
【0012】
式(I)におけるR
1のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
R
1のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基及びn−ヘキシル基などが挙げられ、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基であり、より好ましくはメチル基又はエチル基である。
R
1のハロゲン原子を有するアルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロイソプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロsec−ブチル基、ペルフルオロtert−ブチル基、ペルフルオロペンチル基、ペルフルオロヘキシル基、トリクロロメチル基、トリブロモメチル基及びトリヨードメチル基などが挙げられる。
R
1は、好ましくは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、より好ましくは、水素原子、メチル基又はエチル基である。
【0013】
A
2及びA
3のアルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基及びヘキサン−1,6−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,2−ジイル基、ペンタン−1,4−ジイル基及び2−メチルブタン−1,4−ジイル基などが挙げられる。
A
1は、好ましくは、単結合又は
*−A
2−CO−O−であり、より好ましくは、単結合、−CH
2−CO−O−又は−C
2H
4−CO−O−である。
【0014】
構造単位(I)の具体例を以下に示す。
【0015】
式(aa−1)〜式(aa−6)でそれぞれ表される構造単位について、R
1に相当するメチル基が水素原子に置き換わった構造単位も、構造単位(I)の具体例として挙げることができる。
【0016】
構造単位(I)は、式(I’)で表される化合物(以下、場合により「化合物(I’)」という。)から誘導される。
[式(I’)中、R
1及びA
1は上記と同じ意味を表す。]
【0017】
化合物(I’)におけるA
1が*−CH
2−CO−O−(*は−CO−O−との結合手を表す。)である、式(I’−1)で表される化合物は、式(I’−1−a)で表される化合物と、式(I’−1−b)で表される化合物とを溶剤中で反応させることにより得ることができる。ここで溶剤としては、塩化メチレン、テトラヒドロフラン及びアセトニトリルなどが好ましく用いられる。
[式中、R
1は上記と同じ意味を表す。]
【0018】
式(I’−1−a)で表される化合物は、式(I’−1−c)で表される化合物と、式(I’−1−d)で表される化合物とを、反応させることにより得ることができる。この反応は、塩化メチレン、テトラヒドロフラン及びアセトニトリルなどの溶媒の存在下で行われることが好ましい。
[式中、R
1は上記と同じ意味を表す。]
この反応においては、ジシクロヘキシルカルボジイミドなどの縮合触媒を用いることもできる。
【0019】
式(I’−1−c)で表される化合物としては、以下の化合物などが挙げられる。
式(I’−1−c)で表される化合物として、目的の化合物(I’)に対応したA
1及びR
1を有する化合物を用いれば、目的の化合物(I’)を得ることができる。式(I’−1−c)及び式(I’−1−d)で表される化合物は、市場から容易に入手できる。
【0020】
化合物(I’)としては、例えば、以下のものが挙げられる。
式(aa’−1)〜式(aa’−6)でそれぞれ表される化合物(I’)について、R
1に相当するメチル基が水素原子に置き換わった構造単位も、化合物(I’)の具体例として挙げることができる。
【0021】
構造単位(I)の含有率は、樹脂(A)の全構造単位に対して、好ましくは1〜80モル%であり、より好ましくは2〜75モル%であり、さらに好ましくは3〜70モル%であり、特に好ましくは5〜65モル%である。
【0022】
〈酸不安定基を有する構造単位〉
酸不安定基を有する構造単位(以下「酸不安定構造単位」という場合がある)は、酸不安定基を有するモノマー(以下「酸不安定モノマー(a1)」という場合がある)から導かれる。
酸不安定基としては、例えば、式(1)で表される基、式(2)で表される基などが挙げられる。
【0023】
[式(1)中、R
a1、R
a2及びR
a3は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数3〜20の脂環式炭化水素基又はこれらを組み合わせた基を表すか、R
a1及びR
a2は互いに結合して炭素数2〜20の2価の炭化水素基を形成する。*は結合手を表す。]
[式(2)中、R
a1'及びR
a2'は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基を表し、R
a3'は、炭素数1〜20の炭化水素基を表すか、R
a2'及びR
a3'は互いに結合して炭素数2〜20の2価の炭化水素基を形成し、該炭化水素基及び該2価の炭化水素基に含まれる−CH
2−は、−O−又は−S−で置き換わってもよい。]
【0024】
R
a1、R
a2及びR
a3で表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられる。
R
a1、R
a2及びR
a3で表される脂環式炭化水素基としては、単環式又は多環式のいずれでもよく、該脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、アルキル基で置換されていてもよい。この場合、該脂環式炭化水素基の炭素数は、アルキル基の炭素数も含めて20以下である。
単環式の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などのシクロアルキル基が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、例えば、デカヒドロナフチル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、下記の基(*は結合手を表す。)等が挙げられる。
アルキル基で置換された脂環式炭化水素基としては、例えば、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロへキシル基、メチルノルボルニル基等が挙げられる。
式(1)においては、R
a1、R
a2及びR
a3で表される脂環式炭化水素基は、好ましくは炭素数3〜16である。
【0025】
R
a1及びR
a2が互いに結合して2価の炭化水素基を形成する場合の−C(R
a1)(R
a2)(R
a3)としては、例えば、下記の基が挙げられる。2価の炭化水素基は、好ましくは炭素数3〜12である。各式中、R
a3は上記と同じ意味であり、*は−O−との結合手を表す。
【0026】
式(1)で表される基としては、例えば、1,1−ジアルキルアルコキシカルボニル基(式(1)中、R
a1〜R
a3がアルキル基である基、好ましくはtert−ブトキシカルボニル基)、2−アルキルアダマンタン−2−イルオキシカルボニル基(式(1)中、R
a1、R
a2及び炭素原子がアダマンチル基を形成し、R
a3がアルキル基である基)及び1−(アダマンタン−1−イル)−1−アルキルアルコキシカルボニル基(式(1)中、R
a1及びR
a2がアルキル基であり、R
a3がアダマンチル基である基)などが挙げられる。
【0027】
R
a1' 、R
a2'及びR
a3' で表される炭化水素基としては、例えば、アルキル基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基及びこれらを組み合わせた基等が挙げられる。
アルキル基及び脂環式炭化水素基は、上記と同様のものが挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、p−メチルフェニル基、p−tert−ブチルフェニル基、p−アダマンチルフェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、2,6−ジエチルフェニル基、2−メチル−6−エチルフェニル等のアリール基等が挙げられる。
R
a2'及びR
a3'が互いに結合して形成する2価の炭化水素基としては、例えば、2価の脂肪族炭化水素基が挙げられる。
【0028】
式(2)においては、R
a1'及びR
a2'のうち、少なくとも1つは水素原子であることが好ましい。
式(2)で表される基の具体例としては、例えば、以下の基が挙げられる。*は結合手を表す。
【0029】
酸不安定モノマー(a1)は、好ましくは、酸不安定基とエチレン性不飽和結合とを有するモノマー、より好ましくは酸不安定基を有する(メタ)アクリル系モノマーである。
【0030】
酸不安定基を有する(メタ)アクリル系モノマーのうち、好ましくは、炭素数5〜20の脂環式炭化水素基を有するものが挙げられる。脂環式炭化水素基のような嵩高い構造を有する酸不安定モノマー(a1)に由来する構造単位を有する樹脂(A)をレジスト組成物に使用すれば、レジストパターンの解像度を向上させることができる。
【0031】
式(1)で表される基を有する(メタ)アクリル系モノマーに由来する構造単位として、好ましくは式(a1−1)で表される構造単位又は式(a1−2)で表される構造単位が挙げられる。これらは単独で含まれていてもよく、2種以上が含まれていてもよい。本明細書では、式(a1−1)で表される構造単位及び式(a1−2)で表される構造単位を、それぞれ構造単位(a1−1)及び構造単位(a1−2)と、構造単位(a1−1)を誘導するモノマー及び構造単位(a1−2)を誘導するモノマーを、それぞれモノマー(a1−1)及びモノマー(a1−2)という場合がある。
【0032】
[式(a1−1)及び式(a1−2)中、
L
a1及びL
a2は、それぞれ独立に、−O−又は
*−O−(CH
2)
k1−CO−O−を表し、k1は1〜7の整数を表し、*は−CO−との結合手を表す。
R
a4及びR
a5は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。
R
a6及びR
a7は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数3〜18の脂環式炭化水素基を表す。
m1は0〜14の整数を表す。
n1は0〜10の整数を表す。
n1’は0〜3の整数を表す。]
【0033】
L
a1及びL
a2は、好ましくは、−O−又は
*−O−(CH
2)
k1−CO−O−であり、より好ましくは−O−である。k1は、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1である。
R
a4及びR
a5は、好ましくはメチル基である。
R
a6及びR
a7のアルキル基は、好ましくは炭素数6以下である。
R
a6及びR
a7の脂環式炭化水素基としては、単環式又は多環式のいずれでもよく、該脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、アルキル基で置換されていてもよい。この場合、該脂環式炭化水素基の炭素数は、アルキル基の炭素数も含めて10以下である。具体的には、式(1)のR
a1、R
a2及びR
a3で表される基と同様の基が挙げられる。
m1は、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。
n1は、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。
n1’は好ましくは0又は1である。
【0034】
モノマー(a1−1)としては、特開2010−204646号公報に記載されたモノマーが挙げられる。中でも、式(a1−1−1)〜式(a1−1−8)のいずれかで表されるモノマーが好ましく、式(a1−1−1)〜式(a1−1−4)のいずれかで表されるモノマーがより好ましい。
【0035】
モノマー(a1−2)としては、例えば、1−エチルシクロペンタン−1−イル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロヘキサン−1−イル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロヘプタン−1−イル(メタ)アクリレート、1−メチルシクロペンタン−1−イル(メタ)アクリレート、1−イソプロピルシクロペンタン−1−イル(メタ)アクリレート等が挙げられる。式(a1−2−1)〜式(a1−2−12)で表されるモノマーが好ましく、式(a1−2−3)、式(a1−2−4)、式(a1−2−9)又は式(a1−2−10)で表されるモノマーがより好ましく、式(a1−2−3)又は式(a1−2−9)で表されるモノマーがさらに好ましい。
【0036】
樹脂(A)が式(a1−1)で表される構造単位及び/又は式(a1−2)で表される構造単位を含む場合、これらの合計含有率は、樹脂(A)の全構造単位に対して、通常10〜95モル%であり、好ましくは15〜90モル%であり、より好ましくは20〜85モル%である。
【0037】
他の酸不安定モノマー(a1)としては、例えば、酸不安定基を有する(メタ)アクリル系モノマーである式(a1−5)で表されるモノマー(以下「モノマー(a1−5)」という場合がある)を用いてもよい。
式(a1−5)中、
R
31は、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子を表す。
Z
a1は、単結合又は*−[CH
2]
k4−CO−L
a34−基を表す。ここで、k4は1〜4の整数を表す。*は、L
a31との結合手を表す。
L
a31、L
a32、L
a33及びL
a34は、それぞれ独立に、−O−又は−S−を表す。
s1は、1〜3の整数を表す。
s1’は、0〜3の整数を表す。
【0038】
式(a1−5)においては、R
31は、水素原子、メチル基及びトリフルオロメチル基が好ましい。
L
a31は、酸素原子が好ましい。
L
a32及びL
a33は、一方が酸素原子、他方が硫黄原子が好ましい。
s1は、1が好ましい。
s1’は、0〜2の整数が好ましい。
Z
a1は、単結合又は*−CH
2−CO−O−が好ましい。
【0039】
モノマー(a1−5)としては、以下のモノマーが挙げられる。
【0040】
樹脂(A)が、モノマー(a1−5)に由来する構造単位を有する場合、その含有率は、樹脂(A)の全構造単位に対して、1〜50モル%が好ましく、3〜45モル%がより好ましく、5〜40モル%がさらに好ましい。
【0041】
〈酸不安定基を有さない構造単位〉
酸不安定基を有さない構造単位(以下「酸安定構造単位」という場合がある)は、酸不安定基を有さないモノマー(以下「酸安定モノマー」という場合がある)から導かれる。
酸安定モノマーとしては、好ましくは、ヒドロキシ基又はラクトン環を有するモノマーが挙げられる。ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(以下「ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(a2)」という場合がある)又はラクトン環を含有する酸安定モノマー(以下「ラクトン環を有する酸安定モノマー(a3)」という場合がある)に由来する構造単位を有する樹脂を使用すれば、レジストパターンの解像度及び基板との密着性を向上させることができる。
【0042】
〈ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(a2)〉
レジスト組成物をKrFエキシマレーザ露光(248nm)、電子線又はEUV(超紫外光)などの高エネルギー線露光に用いる場合、ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(a2)として、好ましくは、ヒドロキシスチレン類であるフェノール性ヒドロキシ基を有する酸安定モノマーを使用する。短波長のArFエキシマレーザ露光(193nm)などを用いる場合は、ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(a2)として、好ましくは、式(a2−1)で表されるヒドロキシアダマンチル基を有する酸安定モノマーを使用する。ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(a2)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0043】
ヒドロキシアダマンチル基を有する酸安定モノマーとして、式(a2−1)で表されるモノマーが挙げられる。
式(a2−1)中、
L
a3は、−O−又は
*−O−(CH
2)
k2−CO−O−を表し、
k2は1〜7の整数を表す。*は−CO−との結合手を表す。
R
a14は、水素原子又はメチル基を表す。
R
a15及びR
a16は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基又はヒドロキシ基を表す。
o1は、0〜10の整数を表す。
【0044】
式(a2−1)では、L
a3は、好ましくは、−O−、−O−(CH
2)
f1−CO−O−であり(前記f1は、1〜4の整数である)、より好ましくは−O−である。
R
a14は、好ましくはメチル基である。
R
a15は、好ましくは水素原子である。
R
a16は、好ましくは水素原子又はヒドロキシ基である。
o1は、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。
【0045】
ヒドロキシアダマンチル基を有する酸安定モノマー(a2−1)としては、例えば、特開2010−204646号公報に記載されたモノマーが挙げられる。式(a2−1−1)〜式(a2−1−6)のいずれかで表されるモノマーが好ましく、式(a2−1−1)〜式(a2−1−4)のいずれかで表されるモノマーがより好ましく、式(a2−1−1)又は式(a2−1−3)で表されるモノマーがさらに好ましい。
【0046】
樹脂(A)が式(a2−1)で表されるモノマーに由来する構造単位を含む場合、その含有率は、樹脂(A)の全構造単位に対して、通常1〜45モル%であり、好ましくは1〜40モル%であり、より好ましくは1〜35モル%であり、さらに好ましくは2〜20モル%である。
【0047】
〈ラクトン環を有する酸安定モノマー(a3)〉
酸安定モノマー(a3)が有するラクトン環は、例えば、β−プロピオラクトン環、γ−ブチロラクトン環、δ−バレロラクトン環のような単環でもよく、単環式のラクトン環と他の環との縮合環でもよい。これらラクトン環の中で、好ましくは、γ−ブチロラクトン環、又は、γ−ブチロラクトン環と他の環との縮合環が挙げられる。
【0048】
ラクトン環を有する酸安定モノマー(a3)は、好ましくは、式(a3−1)、式(a3−2)又は式(a3−3)で表される。これらの1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0049】
式(a3−1)、式(a3−2)及び式(a3−3)中、
L
a4、L
a5及びL
a6は、それぞれ独立に、−O−又は
*−O−(CH
2)
k3−CO−O−を表す。
k3は1〜7の整数を表す。*は−CO−との結合手を表す。
R
a18、R
a19及びR
a20は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。
R
a21は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。
p1は0〜5の整数を表す。
R
a22及びR
a23は、それぞれ独立に、カルボキシ基、シアノ基又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
q1及びr1は、それぞれ独立に0〜3の整数を表す。p1が2以上のとき、複数のR
a21は同一又は相異なり、q1が2以上のとき、複数のR
a22は同一又は相異なり、r1が2以上のとき、複数のR
a23は、同一又は相異なる。
【0050】
R
a21、R
a22及びR
a23のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基等が挙げられる。
【0051】
式(a3−1)、式(a3−2)及び式(a3−3)では、L
a4、L
a5及びL
a6は、それぞれ独立に、−O−又は
*−O−(CH
2)
k3−CO−O−であることが好ましく、より好ましくは−O−である。k3は、好ましくは1〜4の整数であり、より好ましくは1である。
R
a18、R
a19、R
a20及びR
a21は、好ましくはメチル基である。
R
a22及びR
a23は、それぞれ独立に、好ましくはカルボキシ基、シアノ基又はメチル基である。
p1、q1及びr1は、それぞれ独立に、好ましくは0〜2、より好ましくは0又は1である。
【0052】
ラクトン環を有する酸安定モノマー(a3)としては、特開2010−204646号公報に記載されたモノマーが挙げられる。下式(a3−1−1)〜(a3−1−4)、(a3−2−1)〜(a3−2−4)、(a3−3−1)〜(a3−3−4)で表されるモノマーが好ましく、下式(a3−1−1)〜(a3−1−2)、(a3−2−3)〜(a3−2−4)で表されるモノマーがより好ましく、下式(a3−1−1)又は(a3−2−3)で表されるモノマーがさらに好ましい。
【0055】
樹脂(A)がラクトン環を有する酸安定モノマー(a3)に由来する構造単位を含む場合、その含有率は、樹脂(A)の全構造単位に対して、通常5〜70モル%であり、好ましくは10〜65モル%であり、より好ましくは10〜60モル%である。
【0056】
樹脂(A)が、構造単位(I)と酸不安定構造単位とのみからなる樹脂である場合、これらの含有率はそれぞれ、樹脂(A)の全構造単位に対して、
構造単位(I);1〜80モル%
酸不安定構造単位;20〜99モル%
が好ましく、
構造単位(I);5〜65モル%
酸不安定構造単位;35〜95モル%
がより好ましい。
【0057】
樹脂(A)が、構造単位(I)と酸不安定構造単位と酸安定構造単位とからなる樹脂である場合、これらの含有率はそれぞれ、樹脂(A)の全構造単位に対して、
構造単位(I);1〜80モル%
酸不安定構造単位;17〜96モル%
酸安定構造単位;3〜82モル%
が好ましく、
構造単位(I);2〜75モル%
酸不安定構造単位;20〜93モル%
酸安定構造単位;5〜78モル%
がより好ましく、
構造単位(I);5〜65モル%
酸不安定構造単位;30〜90モル%
酸安定構造単位;5〜65モル%
がさらに好ましい。
【0058】
樹脂(A)は、アダマンチル基を有するモノマーに由来する構造単位(特に、式(a1−1)で表される構造単位)を、好ましくは酸不安定モノマー(a1)に由来する構造単位の合計量に対して15モル%以上含有していることが好ましい。アダマンチル基を有する構造単位の比率が増えると、レジストパターンのドライエッチング耐性が向上する。
【0059】
樹脂(A)は、好ましくは、構造単位(I)と酸不安定構造単位と酸安定構造単位とからなる樹脂、すなわち、化合物(I’)と、酸不安定モノマー(a1)と、酸安定モノマーとの共重合体である。
この共重合体において、酸不安定構造単位は、好ましくは構造単位(a1−1)及び構造単位(a1−2)(好ましくはシクロヘキシル基、シクロペンチル基を有する該構造単位)の少なくとも一種、より好ましくは構造単位(a1−1)である。
酸安定構造単位は、好ましくは酸安定モノマー(a2)に由来する構造単位及び酸安定モノマー(a3)に由来する構造単位の少なくとも一種である。酸安定モノマー(a2)は、好ましくは式(a2−1)で表されるモノマーである。酸安定モノマー(a3)は、好ましくは式(a3−1)で表される酸安定モノマー及び式(a3−2)で表される酸安定モノマーの少なくとも一種である。
【0060】
樹脂(A)を構成する各構造単位は、1種のみ又は2種以上を組み合わせて用いてもよく、これら構造単位を誘導するモノマーを用いて、公知の重合法(例えばラジカル重合法)によって製造することができる。
樹脂(A)の重量平均分子量は、好ましくは、2,500以上(より好ましくは3,000以上、さらに好ましくは4,000以上)、50,000以下(より好ましくは30,000以下、さらに好ましくは15,000以下)である。
【0061】
樹脂(A)の含有率は、好ましくは、レジスト組成物の固形分中80質量%以上99質量%以下である。本明細書において「組成物中の固形分」とは、レジスト組成物の総量から溶剤(E)を除いた成分の合計量を意味する。組成物中の固形分及びこれに対する樹脂(A)の含有率は、例えば、液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィーなどの公知の分析手段で測定することができる。
【0062】
〈樹脂(A)以外の樹脂〉
本発明のレジスト組成物は、樹脂(A)以外の樹脂を含有していてもよい。このような樹脂としては、例えば、酸不安定モノマー(a1)に由来する構造単位、酸安定モノマーに由来する構造単位の他、当該分野で用いられる公知のモノマーに由来する構造単位からなる樹脂が挙げられる。
本発明のレジスト組成物が、樹脂(A)以外の樹脂を含む場合、これらの含有率は、樹脂の総量に対して、通常0.1〜50質量%であり、好ましくは0.5〜30質量%であり、より好ましくは1〜20質量%である。
【0063】
〈酸発生剤(B)〉
酸発生剤(B)は、酸不安定基を有する。ここで「酸不安定基」は、上述したように、酸との接触により脱離基が脱離して、親水性基(例えば、ヒドロキシ基又はカルボキシ基)を形成する基であって、例えば、上述の式(1)で表される基、式(2)で表される基などが挙げられる。酸発生剤(B)としては、例えば、特開2009−145408号公報、特開2009−229603号公報及び特開2010−111660号公報に記載されている酸発生剤及び式(II−0)で表される塩(以下「酸発生剤(II−0)」という場合がある。)が挙げられる。
[式(II−0)中、
Q
1及びQ
2は、それぞれ独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す。
L
01は、単結合又は置換基を有してもよい炭素数1〜20の2価の炭化水素基を表し、該炭化水素基に含まれる−CH
2−は、−CO−又は−O−で置き換わっていてもよい。
R
4は、炭素数1〜12の炭化水素基を表す。
環W
1は、置換基を有していてもよい炭素数3〜18の炭化水素環を表す。
Z
+は、有機カチオンを表す。]
【0064】
式(II−0)において、Q
1及びQ
2のペルフルオロアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロイソプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロsec−ブチル基、ペルフルオロtert−ブチル基、ペルフルオロペンチル基、ペルフルオロヘキシル基などが挙げられる。
Q
1及びQ
2は、好ましくはトリフルオロメチル基又はフッ素原子であり、より好ましくはフッ素原子である。
【0065】
L
01における置換基を有してもよい2価の炭化水素基としては、アルカンジイル基又は式(II−0−L
01)で表される2価の基が挙げられる。
[式(II−0−L
01)中、
L
02及びL
03は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基に含まれる−CH
2−は、−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。
環W
02は、炭素数3〜12の飽和炭化水素環を表し、該飽和炭化水素環に含まれる−CH
2−は−CO−又は−O−で置き換わっていてもよい。
vは、0〜2の整数を表す。
R
5は、炭素数1〜6のアルキル基を表す。
wは、0〜2の整数を表す。wが2である場合、複数のR
5は同じであっても異なっていてもよい。
ただし、L
02及びL
03のアルカンジイル基に含まれる炭素原子の数と、環W
02の飽和炭化水素環に含まれる炭素原子の数と、R
5のアルキル基に含まれる炭素原子の総数との合計は、20以下である。]
【0066】
L
01、L
02及びL
03のアルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基等の直鎖状アルカンジイル基;1−メチルプロパン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,2−ジイル基、1−メチルブタン−1,4−ジイル基、2−メチルブタン−1,4−ジイル基等の分岐状アルカンジイル基が挙げられる。
特に、L
02は、
*−CO−O−L
04−、
*−CO−O−L
05−O−又は
*−CO−O−L
06−CO−O−(L
04は、単結合又は炭素数1〜6のアルカンジイル基を表し、L
05は、炭素数1〜5のアルカンジイル基を表し、L
06は、炭素数1〜4のアルカンジイル基を表し、*は−C(Q
1)(Q
2)−との結合手を表す。)であることが好ましい。
【0067】
L
03は、
*−O−L
07−又は
*−CO−O−L
08−(L
07は、炭素数1〜7のアルカンジイル基を表し、L
08は、炭素数1〜6のアルカンジイル基を表し、*は環W
02との結合手を表す。)であることが好ましい。
【0068】
環W
02の飽和炭化水素環とは、不飽和結合を含まない、炭素及び水素のみからなる環をいう。環W
02の飽和炭化水素環としては、例えば、シクロヘキサン環、アダマンタン環等が挙げられ、アダマンタン環が好ましい。
【0069】
R
5の炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基イソプロピル基、ブチル墓、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、へキシル基等が挙げられ、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、炭素数1〜2のアルキル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0070】
式(II−0−A)で表される2価の基としては、例えば、以下で表される2価の基などが挙げられる。
[式(II−0−A)中、W
02、R
5、v及びwは、上記と同じ意味を表す。
*は、結合手を表す。]
【0072】
R
4の炭化水素基としては、上述したように、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基を包含し、脂肪族炭化水素基は、鎖式、環式及びこれらの組み合わせを含む。脂肪族炭化水素基としては、アルキル基、脂環式炭化水素基が好ましい。R
4としては、特に、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましい。
【0073】
環W
1の炭化水素環としては、炭素数3〜12の炭化水素環が好ましい。なかでも、飽和の炭化水素環がより好ましく、シクロヘキサン環及びアダマンタン環がさらに好ましい。式(II−A)で表される基としては、下記の基がより好ましい。*は−O−との結合手を表す。
【0075】
環W
1における炭化水素環が有する置換基としては、R
4以外に、ハロゲン原子又はヒドロキシ基で置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子又はヒドロキシ基で置換されていてもよい炭素数1〜6のアルコキシ基、ヒドロキシ基、式(II−1)〜式(II−4)で表される基等が挙げられる。なかでも、ヒドロキシ基で置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基、ヒドロキシ基で置換されていてもよい炭素数1〜6のアルコキシ基、ヒドロキシ基、式(II−1)〜式(II−4)で表される基が好ましく、さらに、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ヒドロキシ基、式(II−1)〜式(II−4)で表される基がより好ましい。*は環W
1との結合手を表す。
特に、環W
1における炭化水素環の置換基においては、アルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましく、メチル基又はエチル基が特に好ましい。
【0076】
[式(II−1)中、A
2は、炭素数1〜6のアルカンジイル基を表す。
R
5は、炭素数1〜6のアルキル基を表す。]
[式(II−2)中、R
6、R
7及びR
8は、それぞれ独立に、炭素数1〜6のアルキル基を表す。]
[式(II−3)中、R
9、R
10及びR
11は、それぞれ独立に、炭素数1〜6のアルキル基を表す。]
[式(II−4)中、
L
3は、炭素数1〜10のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基に含まれる−CH
2−は、−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。
環W
3は、炭素数3〜18の飽和炭化水素環を表し、該飽和炭化水素環に含まれる−CH
2−は、−CO−又は−O−で置き換わっていてもよい。
R
14は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基又は炭素数1〜6のヒドロキシアルコキシ基を表す。
tは、0〜3の整数を表す。tが2又は3である場合、複数のR
14は同一又は相異なる。]
【0077】
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基及びドデシルオキシ基などが挙げられる。
ハロゲン原子置換アルキル基及びハロゲン原子置換アルコキシ基としては、フッ素原子で置換されているアルキル基及びアルコキシ基が好ましい。
ヒドロキシ基置換アルキル基としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。
ヒドロキシ基置換アルコキシ基としては、ヒドロキシメトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、ヒドロキシプロポキシ基等が挙げられる。
飽和炭化水素環としては、上述した脂環式炭化水素環と同様のものが挙げられる。
アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシ基にカルボニル基が結合した基が挙げられる。
【0078】
式(II−4)におけるL
3は、
*−O−L
7−CO−O−、
*−O−L
8−CO−O−L
9−O−、
*−CO−O−L
10−CO−O−、
*−O−CO−L
11−O−又は
*−O−L
12−O−であることが好ましく、
*−O−L
7−CO−O−又は
*−CO−O−L
10−CO−O−がより好ましく、
*−O−CH
2−CO−O−又は
*−O−CH
2−CO−O−C
2H
4−O−が特に好ましい。ここで、L
7〜L
12は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルカンジイル基を表し、*は環W
1との結合手を表す。
環W
3の飽和炭化水素環としては、上述した脂環式炭化水素環と同様のものが挙げられる。
【0079】
式(II−1)で表される基としては、以下の基が挙げられる。
【0080】
式(II−2)で表される基としては、以下の基が挙げられる。
【0081】
式(II−3)で表される基としては、以下の基が挙げられる。
【0082】
式(II−4)で表される基としては、以下の基が挙げられる。
式(II−4)で表される基のなかでも、式(II−4−1)及び式(II−4−2)で表される基が好ましい。
【0083】
なかでも、L
01は、好ましくは、単結合又は炭素数1〜10のアルカンジイル基であり、該アルカンジイル基に含まれる−CH
2−は−CO−又は−O−で置き換わっていてもよい。すなわち、式(II−0)で表される塩としては、式(II)で表される塩が好ましい。
[式(II)中、
Q
1、Q
2、R
4、環W
1及びZ
+は、式(II−0)と同義である。
L
1は、単結合又は炭素数1〜10のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基に含まれる−CH
2−は−CO−又は−O−で置き換わっていてもよい。]
【0084】
L
1のアルカンジイル基としては、上述したアルカンジイル基と同様のものが挙げられる。
【0085】
L
1のアルカンジイル基における−CH
2−が−O−又は−CO−で置き換わった基は、例えば、式(b1−1)〜式(b1−6)のいずれかが挙げられる式(b1−1)〜式(b1−6)は、その左右を式(II)に合わせて記載しており、左側でC(Q
1)(Q
2)−と結合し、*で表される2つの結合手のうち、右側で−CO−と結合する。以下の式(b1−1)〜式(b1−6)の具体例も同様である。
【0086】
[式中、L
b2〜L
b13は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルカンジイル基を表す。]
【0087】
式(b1−1)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0088】
式(b1−2)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0089】
式(b1−3)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0090】
式(b1−4)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0091】
式(b1−5)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0092】
式(b1−6)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
L
1としては、なかでも、好ましくは式(b1−1)〜式(b1−4)のいずれか、より好ましくは式(b1−1)又は式(b1−2)、さらに好ましくは、単結合又は
*−CO−O−L
11−(L
11は炭素数1〜6のアルカンジイル基を表し、*は−CQ
1Q
2−との結合手を表す)である。
【0093】
さらに、塩(II)としては、以下の式(II−4a)で表される塩が好ましい。
[式(II−4a)中、Q
1、Q
2、L
1、R
4、環W
1、L
3、環W
3、R
14、t及びZ
+は、上記と同じ意味を表す。]
【0094】
式(II−0)で表される塩としては、例えば、以下の塩が挙げられる。下記式において、Z
+は前記と同義である。
【0104】
式(II)で表される塩に含まれる有機カチオン(Z
+)は、有機オニウムカチオン、例えば、有機スルホニウムカチオン、有機ヨードニウムカチオン、有機アンモニウムカチオン、ベンゾチアゾリウムカチオン、有機ホスホニウムカチオンなどが挙げられ、好ましくは、有機スルホニウムカチオン又は有機ヨードニウムカチオンであり、より好ましくは、以下の式(b2−1)、式(b2−2)、式(b2−3)及び式(b2−4)のいずれかで表される有機カチオンである。
【0106】
式(b2−1)〜式(b2−4)において、
R
b4〜R
b6は、それぞれ独立に、炭素数1〜36の炭化水素基を表し、この炭化水素基は、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜36の脂環式炭化水素基及び炭素数6〜36の芳香族炭化水素基が好ましい。前記脂肪族炭化水素基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数3〜12の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基で置換されていてもよく、前記脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基、炭素数2〜4のアシル基又はグリシジルオキシ基で置換されていてもよく、前記芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を有していてもよい。また、R
b4とR
b5が一緒になって硫黄原子を含む環を形成してもよい。
R
b7及びR
b8は、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表す。
m2及びn2は、それぞれ独立に、0〜5の整数を表し、m2が2以上であるとき、複数のR
b7は同一でも異なってもよく、n2が2以上であるとき、複数のR
b8は同一でも異なってもよい。
R
b9及びR
b10は、それぞれ独立に、炭素数1〜36の脂肪族炭化水素基又は炭素数3〜36の脂環式炭化水素基を表すか、R
b9とR
b10が一緒になってそれらが結合する硫黄原子を含む環を形成する。該環に含まれるメチレン基は、酸素原子、硫黄原子又はカルボニル基に置き換わってもよい。
R
b11は、水素原子、炭素数1〜36の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜36の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表す。
R
b11とR
b12が一緒になってそれらが結合する−CH−CO−を含む環を形成する。該環に含まれるメチレン基は、酸素原子、硫黄原子又はカルボニル基に置き換わってもよい。
R
b12は、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜36の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜36の芳香族炭化水素基を表し、前記アルキル基に含まれる水素原子は、炭素数6〜18の芳香族炭化水素基で置換されていてもよく、前記芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基又は炭素数1〜12のアルキルカルボニルオキシ基で置換されていてもよい。
【0107】
R
b13〜R
b18は、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表す。
L
b11は、酸素原子又は硫黄原子を表す。
o2、p2、s2及びt2は、それぞれ独立に、0〜5の整数を表す。
q2及びr2は、それぞれ独立に、0〜4の整数を表す。
u2は0又は1を表す。
o2が2以上のとき、複数のR
b13は同一でも異なってもよく、p2が2以上のとき、複数のR
b14は同一でも異なってもよく、q2が2以上のとき、複数のR
b15は同一でも異なってもよく、r2が2以上のとき、複数のR
b16は同一でも異なってもよく、s2が2以上のとき、複数のR
b17は同一でも異なってもよく、t2が2以上のとき、複数のR
b18は、同一でも異なってもよい。
【0108】
脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基及び2−エチルヘキシル基が挙げられる。特に、R
b9〜R
b12のアルキル基は、好ましくは炭素数1〜12である。
水素原子が脂環式炭化水素基で置換された脂肪族炭化水素基としては、例えば、1−(アダマンタン−1−イル)アルカン−1−イル基等が挙げられる。
水素原子が芳香族炭化水素基で置換された脂肪族炭化水素基としては、アラルキル基が挙げられ、具体的には、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、トリチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基等が挙げられる。
脂環式炭化水素基としては、単環式又は多環式のいずれでもよく、単環式の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基などのシクロアルキル基が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、例えば、デカヒドロナフチル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、下記のような基等が挙げられる。
特に、R
b9〜R
b11の脂環式炭化水素基は、好ましくは炭素数3〜18、より好ましくは炭素数4〜12である。
【0109】
水素原子が脂肪族炭化水素基で置換された脂環式炭化水素基としては、例えば、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロへキシル基、2−アルキルアダマンタン−2−イル基、メチルノルボルニル基、イソボルニル基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、p−メチルフェニル基、p−エチルフェニル基、p−tert−ブチルフェニル基、p−シクロへキシルフェニル基、p−メトキシフェニル基、p−アダマンチルフェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ビフェニリル基、フェナントリル基、2,6−ジエチルフェニル基、2−メチル−6−エチルフェニル等のアリール基等が挙げられる。
なお、芳香族炭化水素基に、脂肪族炭化水素基又は脂環式炭化水素基が含まれる場合は、炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基及び炭素数3〜18の脂環式炭化水素基が好ましい。
水素原子が芳香族炭化水素基で置換されたアルキル基、つまり、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、トリチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基などが挙げられる。
【0110】
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基等が挙げられる。
水素原子がアルコキシ基で置換された芳香族炭化水素基としては、例えば、4−メトキシフェニル基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられる。
アシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基及びブチリル基などが挙げら
れる。
アルキルカルボニルオキシ基としては、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n−プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基、n−ブチルカルボニルオキシ基、sec−ブチルカルボニルオキシ基、tert−ブチルカルボニルオキシ基、ペンチルカルボニルオキシ基、ヘキシルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基及び2−エチルヘキシルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0111】
R
b9〜R
b12の脂肪族炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜12であり、特に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基及び2−エチルヘキシル基等が好ましい。
R
b9〜R
b11の脂環式炭化水素基は、好ましくは炭素数3〜18、より好ましくは炭素数4〜12であり、特に、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロデシル基、2−アルキルアダマンタン−2−イル基、1−(アダマンタン−1−イル)アルカン−1−イル基及びイソボルニル基等が好ましい。
R
b12の芳香族炭化水素基は、フェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−シクロへキシルフェニル基、4−メトキシフェニル基、ビフェニリル基及びナフチル基等が好ましい。
R
b12の、水素原子が芳香族炭化水素基で置換されたアルキル基、すなわちアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基及びナフチルエチル基等が挙げられる。
R
b9とR
b10とが結合する硫黄原子とともに形成する環としては、例えば、チオラン−1−イウム環(テトラヒドロチオフェニウム環)、チアン−1−イウム環及び1,4−オキサチアン−4−イウム環などが挙げられる。
R
b11とR
b12とが結合する−CH−CO−とともに形成する環としては、例えば、オキソシクロヘプタン環、オキソシクロヘキサン環、オキソノルボルナン環及びオキソアダマンタン環などが挙げられる。
【0112】
カチオン(b2−1)〜カチオン(b2−4)の中でも、好ましくは、カチオン(b2−1)であり、より好ましくは、式(b2−1−1)で表されるカチオンであり、さらに好ましくは、トリフェニルスルホニウムカチオン(式(b2−1−1)中、v2=w2=x2=0)、ジフェニルトリルスルホニウムカチオン(式(b2−1−1)中、v2=w2=0、x2=1であり、R
b21がメチル基である。)又はトリトリルスルホニウムカチオン(式(b2−1−1)中、v2=w2=x2=1であり、R
b19、R
b20及びR
b21がいずれもメチル基である。)である。
【0113】
式(b2−1−1)中、
R
b19〜R
b21は、それぞれ独立に、ハロゲン原子(より好ましくはフッ素原子)ヒドロキシ基、炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜12のアルコキシ基又は炭素数3〜18の脂環式炭化水素基を表す。また、R
b19〜R
b21から選ばれる2つが一緒になって硫黄原子を含む環を形成してもよい。
v2、w2及びx2は、それぞれ独立に、0〜5の整数(好ましくは0又は1)を表す。
v2が2以上のとき、複数のR
b19は同一又は相異なり、w2が2以上のとき、複数のR
b20は同一又は相異なり、x2が2以上のとき、複数のR
b21は同一又は相異なる。
【0114】
なかでも、R
b19、R
b20及びR
b21は、それぞれ独立に、好ましくは、ハロゲン原子(より好ましくはフッ素原子)、ヒドロキシ基、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は炭素数1〜12のアルコキシ基である。
【0115】
カチオンとしては、具体的には、特開2010−204646号公報に記載されたカチオンが挙げられる。
【0116】
例えば、カチオン(b2−1−1)としては、以下のカチオンが挙げられる。
【0121】
カチオン(b2−2)としては、以下のカチオンが挙げられる。
カチオン(b2−3)としては、以下のカチオンが挙げられる。
【0122】
式(II−0)で表される塩は、スルホン酸アニオン及び有機カチオンの組合せである。スルホン酸アニオンと有機カチオンとは任意に組み合わせることができる。式(II−0)で表される塩の具体例を表1に示す。なお、表1において、式(b1−s−1)で表される塩などを、その式番号に応じて、「(b1−s−1)」などと表し、式(b2−c−1)で表される有機カチオンなどを、その式番号に応じて、「(b2−c−1)」などと表す。
【0129】
さらに好ましい酸発生剤(II−0)としては、以下のものが挙げられる。
【0141】
酸発生剤(II)が酸に不安定な基として式(IIa)で表される基を有する場合、該酸発生剤中に含まれる式(IIa)で表される基は、酸の作用により分解し、カルボキシ基を形成する基であることが好ましい。
このような酸発生剤が有する式(IIa)で表される基は、以下の方法で、酸の作用により分解し、カルボキシ基に変換したかどうか確認できる。
例えば、式(IIa)で表される基を有する酸発生剤を、溶剤に溶解させて、酸添加後、加熱することにより、式(IIa)で表される基がカルボキシ基及びビニル化合物に変換される。
溶剤としては、ジメチルホルムアミドが好ましい。
酸としては、塩酸が好ましい。
(R
4は、炭素数1〜12の炭化水素基を表し、R
4’は、水素原子又は炭素数1〜11の炭化水素基を表す。)
【0142】
式(II−0)で表される塩は、例えば、以下の方法(a)〜(f)及びそれに準じた方法によって製造することができる。なお、以下の式における符号は、特に断りない限り、上記と同義である。
(a)式(II)で表される塩のうち、L
1が単結合である式(II−1A)で表される塩は、式(II−1−a)で表される化合物と、式(II−1−b)で表される化合物とを塩基触媒下で反応させることにより製造することができる。
溶媒としては、クロロホルム等が挙げられる。塩基触媒としては、リチウムアミド等が挙げられる。
式(II−1−b)で表される化合物は、特開2008−13551号公報に記載された方法で合成することができる。
【0143】
(b)式(II)で表される塩のうち、L
1が−CO−O−CH
2−である式(II−2A)で表される塩は以下の方法で製造することができる。
まず、式(II−1−a)で表される化合物と、式(II−2−c)で表される化合物とを、塩基性触媒下で反応させることにより、式(II−2−d)で表される化合物を得ることができる。溶媒としては、テトラヒドロフラン等が挙げられる。塩基触媒としては、ピリジン等が挙げられる。
次いで、式(II−1−b)で表される塩と式(II−2−d)で表される化合物とを塩基触媒下で反応させることにより、式(II−2)で表される塩を得ることができる。 溶媒としては、クロロホルム等が挙げられる。塩基触媒としては、リチウムアミド等が挙げられる。
【0144】
[式中、X
1及びX
2は、それぞれ独立に、ハロゲン原子を表す。]
ハロゲン原子としては、塩素原子が好ましい。
【0145】
(c)式(II)で表される塩のうち、L
1が単結合であり、かつ環W
1の置換基が式(II−4)であり、L
3が
*−O−L
7−CO−O−(*は環W
1との結合手)である化合物(II−3A)は、以下の方法で製造することができる。
【0146】
まず、式(b1−a)で表される化合物と式(b1−b)で表される化合物を塩基性触媒下で、反応させることにより、式(b1−c)で表される化合物を得ることができる。溶媒としては、テトラヒドロフラン等が挙げられる。塩基触媒としては、ピリジン等が挙げられる。
【0147】
次いで、式(b1−c)で表される化合物と式(b1−d)で表される化合物とを触媒下で反応させることにより、式(b1−e)で表される化合物を得ることができる。溶媒としては、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。触媒としては、炭酸カリウム、ヨウ化カリウム等が挙げられる。
【0148】
さらに、式(b1−e)で表される化合物と式(b1−f)で表される塩とを触媒下で反応させることにより、式(II−3A)で表される塩を得ることができる。反応は溶媒中で行ってもよい。溶媒としては、モノクロロベンゼン等が挙げられる。触媒としては、硫酸等が挙げられる。
式(b1−f)で表される塩は、特開2008−127367号公報に記載された方法で合成することができる。
【0149】
(d)式(II−0)で表される塩として、例えば、式(II−0A)で表される塩の製造方法を下記に示す。
【0150】
式(II−0A−a)で表される化合物と式(II−0A−b)で表される化合物を塩基性触媒下で、反応させることにより、式(b1−c)で表される化合物を得ることができる。溶媒としては、テトラヒドロフラン等が挙げられる。塩基触媒としては、ピリジン等が挙げられる。
[X
1及びX
2は、それぞれ独立に、ハロゲン原子を表す。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられ、塩素原子が好ましい。]
【0151】
次いで、式(II−0A−c)で表される化合物と式(II−0A−d)で表される化合物とを触媒下で反応させることにより、式(II−0A−e)で表される化合物を得ることができる。溶媒としては、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。触媒としては、炭酸カリウム、ヨウ化カリウム等が挙げられる。
【0152】
さらに、式(II−0A−f)で表される塩と式(II−0A−g)で表される化合物とを反応させることにより、式(II−0A−h)で表される塩を得ることができる。
式(II−0A−f)で表される塩は、例えば、特開2008−13551号公報に記載された方法で合成することができる。
【0153】
続いて、式(II−0A−e)で表される化合物と式(II−0A−h)で表される塩とを、溶剤中で反応させることにより、式(II−0A)で表される塩を得ることができる。溶媒としては、アセトニトリル等が挙げられる。
【0154】
(e)例えば、式(II−0B)で表される塩の製造方法を下記に示す。
【0155】
まず、式(II−0A−c)で表される化合物と式(II−0B−d)で表される化合物とを触媒下で反応させることにより、式(II−0B−e)で表される化合物を得ることができる。溶媒としては、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。触媒としては、炭酸カリウム、ヨウ化カリウム等が挙げられる。
【0156】
次いで、式(II−0B−f)で表される塩と式(II−0B−g)で表される化合物とを反応させることにより、式(II−0B−h)で表される塩を得ることができる。
式(II−0B−f)で表される塩は、例えば、特開2008−13551号公報に記載された方法で合成することができる。
【0157】
さらに、式(II−0B−e)で表される化合物と式(II−0B−h)で表される塩とを、溶剤中で反応させることにより、式(II−0B)で表される塩を得ることができる。溶媒としては、アセトニトリル等が挙げられる。
【0158】
(f)式(II−0C)で表される塩の製造方法を下記に示す。
【0159】
まず、式(II−0C−a)で表される化合物と式(II−0C−b)で表される化合物を塩基性触媒下で、反応させることにより、式(II−0C−c)で表される化合物を得ることができる。溶媒としては、テトラヒドロフラン等が挙げられる。塩基触媒としては、ジメチルアミノピリジン等が挙げられる。
【0160】
次いで、式(II−0C−c)で表される化合物を触媒下、分子内反応させることにより、式(II−0C−d)で表される化合物を得ることができる。溶媒としては、クロロホルム等が挙げられる。触媒としては、m−クロロ過安息香酸等が挙げられる。
【0161】
さらに、式(II−0C−d)で表される化合物と式(II−0A−f)で表される塩とを触媒下反応させることにより、式(II−0C)で表される塩を得ることができる。溶媒としては、クロロホルム等が挙げられる。触媒としては、リチウムアミド等が挙げられる。
【0162】
式(II−0)で表される塩は、酸発生剤として使用する時、単独でも複数種を併用してもよい。
また、本発明のレジスト組成物は、上述した式(II−0)で表される塩に加えて、式(II−0)で表される塩以外の、酸発生剤として公知の塩(例えば、塩(II−0)に含まれる有機カチオン及び公知のアニオン(塩(II−0)に含まれるスルホン酸アニオン以外のアニオン)からなる塩並びに塩(II−0)に含まれるスルホン酸アニオン及び公知のカチオン(塩(II−0)に含まれる有機カチオン以外のカチオン)からなる塩等)を、酸発生剤として含んでいてもよい。
【0163】
式(II−0)で表される塩と併用する酸発生剤としては、例えば、式(B1−1)〜式(B1−20)でそれぞれ表されるものが挙げられる。中でもアリールスルホニウムカチオンを含むものが好ましく、式(B1−1)、式(B1−2)、式(B1−3、式(B1−6)、式(B1−7)、式(B1−11)、式(B1−12)、式(B1−13)、式(B1−14)、式(B1−18)、式(B1−19)又は式(B1−20)でそれぞれ表される塩がさらに好ましい。
【0168】
本発明のレジスト組成物において、酸発生剤として酸発生剤(B)のみを含有する場合、酸発生剤(B)の含有量は、樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは1質量部以上(より好ましくは3質量部以上)、好ましくは30質量部以下(より好ましくは25質量部以下)である。
また、酸発生剤(B)以外の酸発生剤を併用する場合、この酸発生剤と酸発生剤(B)との合計量は、樹脂(A)100質量部に対しては、好ましくは1質量部以上(より好ましくは3質量部以上)、好ましくは40質量部以下(より好ましくは35質量部以下)である。この場合、酸発生剤(B):その他の酸発生剤の含有量の比(質量)は、例えば、5:95〜95:5、好ましくは10:90〜90:10、より好ましくは15:85〜85:15である。
【0169】
〈溶剤(E)〉
溶剤(E)の含有率は、例えばレジスト組成物中90質量%以上、好ましくは92質量%以上、より好ましくは94質量%以上であり、例えば99.9質量%以下、好ましくは99質量%以下である。溶剤(E)の含有率は、例えば液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィー等の公知の分析手段で測定できる。
【0170】
溶剤(E)としては、例えば、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールエーテルエステル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルのようなグリコールエーテル類;乳酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル及びピルビン酸エチルのようなエステル類;アセトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン及びシクロヘキサノンのようなケトン類;γ−ブチロラクトンのような環状エステル類;等を挙げることができる。溶剤(E)は、1種を単独で含有してもよく、2種以上を含有してもよい。
【0171】
〈塩基性化合物(以下「塩基性化合物(C)」という場合がある)〉
本発明のレジスト組成物には、クエンチャーとして作用する塩基性化合物(C)が含有されていてもよい。
塩基性化合物(C)は、好ましくは塩基性の含窒素有機化合物であり、例えばアミン及びアンモニウム塩が挙げられる。アミンとしては、脂肪族アミン及び芳香族アミンが挙げられる。脂肪族アミンとしては、第一級アミン、第二級アミン及び第三級アミンが挙げられる。塩基性化合物(C)として、好ましくは、式(C1)で表される化合物〜式(C8)で表される化合物が挙げられ、より好ましくは式(C1−1)で表される化合物が挙げられる。
【0172】
[式(C1)中、R
c1、R
c2及びR
c3は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表し、該アルキル基及び該脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基、アミノ基又は炭素数1〜6のアルコキシ基で置換されていてもよく、該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基で置換されていてもよい。]
【0173】
[式(C1−1)中、R
c2及びR
c3は、上記と同じ意味を表す。
R
c4は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表す。
m3は0〜3の整数を表し、m3が2以上のとき、複数のR
c4は同一又は相異なる。]
【0174】
[式(C2)、式(C3)及び式(C4)中、R
c5、R
c6、R
c7及びR
c8は、それぞれ独立に、R
c1と同じ意味を表す。
R
c9は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6の脂環式炭化水素基又は炭素数2〜6のアルカノイル基を表す。
n3は0〜8の整数を表し、n3が2以上のとき、複数のR
c9は同一又は相異なる。]
【0175】
[式(C5)及び式(C6)中、R
c10、R
c11、R
c12、R
c13及びR
c16は、それぞれ独立に、R
c1と同じ意味を表す。
R
c14、R
c15及びR
c17は、それぞれ独立に、R
c4と同じ意味を表す。
o3及びp3は、それぞれ独立に0〜3の整数を表し、o3が2以上であるとき、複数のR
c14は同一又は相異なり、p3が2以上であるとき、複数のR
c15は、同一又は相異なる。
L
c1は、炭素数1〜6のアルカンジイル基、−CO−、−C(=NH)−、−S−又はこれらを組合せた2価の基を表す。]
【0176】
[式(C7)及び式(C8)中、R
c18、R
c19及びR
c20は、それぞれ独立に、R
c4と同じ意味を表す。
q3、r3及びs3は、それぞれ独立に0〜3の整数を表し、q3が2以上であるとき、複数のR
c18は同一又は相異なり、r3が2以上であるとき、複数のR
c19は同一又は相異なり、及びs3が2以上であるとき、複数のR
c20は同一又は相異なる。
L
c2は、単結合又は炭素数1〜6のアルカンジイル基、−CO−、−C(=NH)−、−S−又はこれらを組合せた2価の基を表す。]
【0177】
式(C1)〜式(C8)においては、アルキル基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、アルコキシ基、アルカンジイル基は、上述したものと同様のものが挙げられる。
アルカノイル基としては、アセチル基、2−メチルアセチル基、2,2−ジメチルアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ペンタノイル基、2,2−ジメチルプロピオニル基等が挙げられる。
【0178】
式(C1)で表される化合物としては、1−ナフチルアミン、2−ナフチルアミン、アニリン、ジイソプロピルアニリン、2−,3−又は4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、ジフェニルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、メチルジブチルアミン、メチルジペンチルアミン、メチルジヘキシルアミン、メチルジシクロヘキシルアミン、メチルジヘプチルアミン、メチルジオクチルアミン、メチルジノニルアミン、メチルジデシルアミン、エチルジブチルアミン、エチルジペンチルアミン、エチルジヘキシルアミン、エチルジヘプチルアミン、エチルジオクチルアミン、エチルジノニルアミン、エチルジデシルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、トリス〔2−(2−メトキシエトキシ)エチル〕アミン、トリイソプロパノールアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタン等が挙げられ、好ましくはジイソプロピルアニリンが挙げられ、特に好ましくは2,6−ジイソプロピルアニリンが挙げられる。
【0179】
式(C2)で表される化合物としては、ピペラジン等が挙げられる。
式(C3)で表される化合物としては、モルホリン等が挙げられる。
式(C4)で表される化合物としては、ピペリジン及び特開平11−52575号公報に記載されているピペリジン骨格を有するヒンダードアミン化合物等が挙げられる。
式(C5)で表される化合物としては、2,2’−メチレンビスアニリン等が挙げられる。
式(C6)で表される化合物としては、イミダゾール、4−メチルイミダゾール等が挙げられる。
式(C7)で表される化合物としては、ピリジン、4−メチルピリジン等が挙げられる。
式(C8)で表される化合物としては、1,2−ジ(2−ピリジル)エタン、1,2−ジ(4−ピリジル)エタン、1,2−ジ(2−ピリジル)エテン、1,2−ジ(4−ピリジル)エテン、1,3−ジ(4−ピリジル)プロパン、1,2−ジ(4−ピリジルオキシ)エタン、ジ(2−ピリジル)ケトン、4,4’−ジピリジルスルフィド、4,4’−ジピリジルジスルフィド、2,2’−ジピリジルアミン、2,2’−ジピコリルアミン、ビピリジン等が挙げられる。
【0180】
アンモニウム塩としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトライソプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラヘキシルアンモニウムヒドロキシド、テトラオクチルアンモニウムヒドロキシド、フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、3−(トリフルオロメチル)フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ブチルアンモニウムサリチラート及びコリン等が挙げられる。
【0181】
塩基性化合物(C)の含有率は、レジスト組成物の固形分中、好ましくは、0.01〜5質量%程度であり、より好ましく0.01〜3質量%程度であり、特に好ましく0.01〜1質量%程度である。
【0182】
〈その他の成分(以下「その他の成分(F)」という場合がある)〉
本発明のレジスト組成物は、必要に応じて、その他の成分(F)を含有していてもよい。その他成分(F)に特に限定はなく、レジスト分野で公知の添加剤、例えば、増感剤、溶解抑止剤、界面活性剤、安定剤、染料等を利用できる。
【0183】
<レジスト組成物の調製>
本発明のレジスト組成物は、樹脂(A)、酸不安定基を有する酸発生剤(例えば、酸発生剤(II−0)等)、並びに必要に応じて用いられる溶剤(E)、酸発生剤(B)、塩基性化合物(C)及びその他の成分(F)を混合することにより調製することができる。混合順は任意であり、特に限定されるものではない。混合する際の温度は、10〜40℃の範囲から、樹脂などの種類や樹脂等の溶剤(E)に対する溶解度等に応じて適切な温度範囲を選ぶことができる。混合時間は、混合温度に応じて、0.5〜24時間の中から適切な時間を選ぶことができる。なお、混合手段も特に制限はなく、攪拌混合などを用いることができる。
各成分を混合した後は、孔径0.003〜0.2μm程度のフィルターを用いてろ過することが好ましい。
【0184】
〈レジストパターンの製造方法〉
本発明のレジストパターンの製造方法は、
(1)本発明のレジスト組成物を基板上に塗布する工程、
(2)塗布後の組成物を乾燥させて組成物層を形成する工程、
(3)組成物層を露光する工程、
(4)露光後の組成物層を加熱する工程及び
(5)加熱後の組成物層を現像する工程を含む。
【0185】
レジスト組成物の基体上への塗布は、スピンコーター等、通常、用いられる装置によって行うことができる。基板としては、シリコンウェハ等の無機基板が挙げられる。レジスト組成物を塗布する前に、基板を洗浄したり、反射防止膜等が形成されていてもよい。
【0186】
塗布後の組成物を乾燥することにより、溶剤を除去し、組成物層を形成する。乾燥は、例えば、ホットプレート等の加熱装置を用いて溶剤を蒸発させること(いわゆるプリベーク)により行うか、あるいは減圧装置を用いて行い、溶剤が除去された組成物層を形成する。この場合の温度は、例えば、50〜200℃程度が好ましい。また、圧力は、1〜1.0×10
5Pa程度が好ましい。
【0187】
得られた組成物層は、通常、露光機を用いて露光する。露光機は、液浸露光機であってもよい。この際、通常、求められるパターンに相当するマスクを介して露光が行われる。露光光源としては、KrFエキシマレーザ(波長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)、F
2エキシマレーザ(波長157nm)のような紫外域のレーザ光を放射するもの、固体レーザ光源(YAG又は半導体レーザ等)からのレーザ光を波長変換して遠紫外域または真空紫外域の高調波レーザ光を放射するもの、電子線や、超紫外光(EUV)を照射するもの等、種々のものを用いることができる。
【0188】
露光後の組成物層を、脱保護基反応を促進するために加熱処理(いわゆるポストエキスポジャーベーク)する。加熱温度としては、通常50〜200℃程度、好ましくは70〜150℃程度である。
加熱後の組成物層を、通常、現像装置を用いて、現像液を利用して現像する。現像方法としては、ディップ法、パドル法、スプレー法、ダイナミックディスペンス法等が挙げられる。現像温度は、5〜60℃が好ましく、現像時間は、5〜300秒間が好ましい。
【0189】
本発明のレジスト組成物からポジ型レジストパターンを製造する場合は、現像液としてアルカリ現像液を用いる。アルカリ現像液は、この分野で用いられる各種のアルカリ性水溶液であればよい。例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドや(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド(通称コリン)の水溶液等が挙げられる。アルカリ現像液には、界面活性剤が含まれていてもよい。
現像後レジストパターンを超純水で洗浄し、次いで、基板及びパターン上に残った水を除去することが好ましい。
【0190】
本発明のレジスト組成物からネガ型レジストパターンを製造する場合は、現像液として有機溶剤を含む現像液(以下「有機系現像液」という場合がある)を用いる。
有機系現像液に含まれる有機溶剤としては、2−ヘキサノン、2−ヘプタノンなどのケトン溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのグリコールエーテルエステル溶剤;酢酸ブチル等のエステル溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル溶剤;N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド溶剤;アニソールなどの芳香族炭化水素溶剤等が挙げられる。
有機系現像液中、有機溶剤の含有率は、90質量%以上100質量%以下が好ましく、95質量%以上100質量%以下がより好ましく、実質的に有機溶剤のみであることがさらに好ましい。
中でも、有機系現像液としては、酢酸ブチル及び/又は2−ヘプタノンを含む現像液が好ましい。有機系現像液中、酢酸ブチル及び2−ヘプタノンの合計含有率は、50質量%以上100質量%以下が好ましく、90質量%以上100質量%以下がより好ましく、実質的に酢酸ブチル及び/又は2−ヘプタノンのみであることがさらに好ましい。
有機系現像液には、界面活性剤が含まれていてもよい。また、有機系現像液には、微量の水分が含まれていてもよい。
現像の際、有機系現像液とは異なる種類の溶剤に置換することにより、現像を停止してもよい。
【0191】
現像後のレジストパターンをリンス液で洗浄することが好ましい。リンス液としては、レジストパターンを溶解しないものであれば特に制限はなく、一般的な有機溶剤を含む溶液を使用することができ、好ましくはアルコール溶剤又はエステル溶剤である。
洗浄後は、基板及びパターン上に残ったリンス液を除去することが好ましい。
【0192】
〈用途〉
本発明のレジスト組成物は、KrFエキシマレーザ露光用のレジスト組成物、ArFエキシマレーザ露光用のレジスト組成物、電子線(EB)露光用のレジスト組成物又はEUV露光用のレジスト組成物、特に液浸露光用のレジスト組成物として好適であり、半導体の微細加工に有用である。
【実施例】
【0193】
実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。例中、含有量ないし使用量を表す「%」及び「部」は、特記しないかぎり質量基準である。
化合物の構造は、MASS(LC:Agilent製1100型、MASS:Agilent製LC/MSD型又はLC/MSD TOF型)で確認した。
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、下記の条件で求めた値である。
装置:HLC−8120GPC型(東ソー社製)
カラム:TSKgel Multipore HXL-M x 3+guardcolumn(東ソー社製)
溶離液:テトラヒドロフラン
流量:1.0mL/min
検出器:RI検出器
カラム温度:40℃
注入量:100μl
分子量標準:標準ポリスチレン(東ソー社製)
【0194】
合成例1(モノマー(M−K)の合成)
式(K−1)で表される化合物33.48部、ジシクロヘキシルカルボジイミド23.93部及び塩化メチレン40部を、反応器に仕込み、混合した。得られた混合物を0℃程度まで冷却した後、式(K−2)で表される化合物18.83部を加え、0℃程度のまま、1時間攪拌した。23℃まで昇温し、さらに30分間攪拌した。不溶物をろ過して除去し、得られたろ液を濃縮して、式(K−3)で表される化合物44.28部を得た。
【0195】
前記のようにして得られた式(K−3)で表される化合物19.42部、式(K−4)で表される化合物18.22部及びアセトニトリル200部を、反応器に仕込み、混合した。得られた混合物を50℃で3時間攪拌した。得られた混合物を濃縮し、クロロホルム300部及びイオン交換水150部を加え、分液操作により、有機層を回収した。回収された有機層をイオン交換水150部で水洗し、有機層を濃縮した。濃縮物を、カラム分取(カラム分取条件 固定相:メルク社製シリカゲル60−200メッシュ 展開溶媒:酢酸エチル)することにより、式(M−K)で表される化合物12.89部を得た。
MS(質量分析):308.1(分子イオンピーク)
【0196】
合成例2:式(II−49)で表される塩の合成
式(II49−a)で表される化合物(商品名:HADM、出光製)26.44部、ジオキサン80.00部を仕込み、23℃で攪拌下、水酸化ナトリウム4.40部をイオン交換水80.00部に溶解した水溶液を30分かけて滴下し、90℃で36時間攪拌した。反応マスを冷却し、イオン交換水400.00部、酢酸エチル500.0部及び塩化ナトリウム200.0部を添加し、攪拌し、分液を行った。得られた有機層に3N塩酸400.0部を添加し、攪拌し、分液を行った。得られた有機層にイオン交換水400.00部を添加し、攪拌し、分液を行った。この水洗を3回行った。回収された有機層を濃縮し、以下の条件でカラム分取することにより、式(II49−b)で表される化合物7.89部を得た。
展開媒体;シリカゲル60−200メッシュ;メルク社製
展開溶媒:n−ヘプタン/酢酸エチル=1/1(容量比)
【0197】
【0198】
式(II49−c)で表される化合物(商品名:CANL クラレ製)4.61部及びN,N’−ジメチルホルムアミド25.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌した。得られた混合物に、炭酸カリウム1.66部及びヨウ化カリウム0.84部を仕込み、50℃で1時間攪拌した。得られた混合物を、40℃まで冷却し、式(II49−b)で表される化合物3.93部をN,N’−ジメチルホルムアミド25.00部に溶解した溶液を1時間かけて滴下し、75℃で5時間攪拌した。得られた混合物を、23℃まで冷却し、クロロホルム60.00部及び1N塩酸60.00部を加えて攪拌し、分離した。回収された有機層をイオン交換水60.00部で水層が中性になるまで水洗を繰り返した。回収された有機層を濃縮し、以下の条件でカラム分取することにより、式(II49−d)で表される化合物2.24部を得た。
展開媒体;シリカゲル60−200メッシュ;メルク社製
展開溶媒:酢酸エチル
【0199】
【0200】
式(II49−e)で表される塩を特開2008−127367号公報実施例1に記載された方法で合成した。式(II49−e)で表される塩1.75部、モノクロロベンゼン40.00部及び式(II49−d)で表される化合物1.87部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、硫酸0.16部及びモレキュラーシーブ(商品名:モレキュラーシーブ 4A、和光純薬製)10.00部を仕込み、130℃で3時間還流脱水した。得られた反応物を濃縮し、クロロホルム100部及びイオン交換水50部を仕込み、攪拌、分液を行った。水洗を3回行った。得られた有機層に活性炭1.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、ろ過した。ろ液を濃縮した。得られた濃縮物に、アセトニトリル20部を添加して溶解し、濃縮し、酢酸エチル20部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣にtert−ブチルメチルエーテル20部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣をクロロホルムに溶解し、濃縮してオイル状物として、式(II−49)で表される塩0.44部を得た。
【0201】
MS(ESI(+)Spectrum):M
+ 263.1
MS(ESI(−)Spectrum):M
- 547.2
【0202】
合成例3:式(II−41)で表される塩の合成
【0203】
1,3−アダマンタンジオール250部及びテトラヒドロフラン2000部を仕込み、室温で攪拌し、ピリジン142部を仕込み、40℃に昇温した。さらに、クロロアセチルクロリド254部及びテトラヒドロフラン500部の混合溶液を80分かけて滴下した。その後、40℃で8時間攪拌し、5℃に温度を下げた。5℃に冷却したイオン交換水1000部を添加、攪拌し、分液により水層を回収した。回収された水層に酢酸エチル600部を添加し、分液して有機層を回収した。回収された有機層に、5℃の10%炭酸カリウム水溶液600部を添加して洗浄し、分液して有機層を回収した。回収された有機層にさらに、イオン交換水600部を添加して水洗し、分液を行って有機層を回収した。この水洗操作を3回繰り返して行った。回収された有機層を濃縮し、以下の条件でカラム分取することにより、式(II41−a)で表される化合物75部を得た。
展開媒体;シリカゲル60−200メッシュ;メルク社製
展開溶媒:n−ヘプタン/酢酸エチル=1/1(容量比)
【0204】
式(II41−b)で表される化合物(商品名:HADM、出光製)26.44部、ジオキサン80.00部を仕込み、23℃で攪拌下、水酸化ナトリウム4.40部をイオン交換水80.00部に溶解した水溶液を30分かけて滴下し、90℃で36時間攪拌した。反応マスを冷却し、イオン交換水400.00部、酢酸エチル500.0部及び塩化ナトリウム200.0部を添加し、攪拌し、分液を行った。得られた有機層に3N塩酸400.0部を添加し、攪拌し、分液を行った。得られた有機層にイオン交換水400.00部を添加し、攪拌し、分液を行った。この水洗を3回行った。回収された有機層を濃縮し、以下の条件でカラム分取することにより、式(II41−c)で表される化合物7.89部を得た。
展開媒体;シリカゲル60−200メッシュ;メルク社製
展開溶媒:n−ヘプタン/酢酸エチル=1/1(容量比)
【0205】
【0206】
式(II41−a)で表される化合物4.88部及びN,N’−ジメチルホルムアミド25.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌した。得られた混合物に、炭酸カリウム1.66部及びヨウ化カリウム0.84部を仕込み、50℃で1時間攪拌した。得られた混合物を、40℃まで冷却し、式(II41−c)で表される化合物3.93部をN,N’−ジメチルホルムアミド25.00部に溶解した溶液を1時間かけて滴下し、75℃で5時間攪拌した。得られた混合物を、23℃まで冷却し、クロロホルム60.00部及び1N塩酸60.00部を加えて攪拌し、分離した。回収された有機層をイオン交換水60.00部で水層が中性になるまで水洗を繰り返した。回収された有機層を濃縮し、以下の条件でカラム分取することにより、式(II41−d)で表される化合物2.54部を得た。
展開媒体;シリカゲル60−200メッシュ;メルク社製
展開溶媒:酢酸エチル
【0207】
【0208】
式(II41−e)で表される塩を特開2008−127367号公報実施例1に記載された方法で合成した。式(II41−e)で表される塩2.19部、モノクロロベンゼン50.00部及び式(II41−d)で表される化合物2.43部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、硫酸0.20部及びモレキュラーシーブ(商品名:モレキュラーシーブ 4A、和光純薬製)10.00部を仕込み、130℃で3時間還流脱水した。得られた反応物を濃縮し、クロロホルム100部及びイオン交換水50部を仕込み、攪拌、分液を行った。水洗を3回行った。得られた有機層に活性炭1.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、ろ過した。ろ液を濃縮した。得られた濃縮物に、アセトニトリル20部を添加して溶解し、濃縮し、酢酸エチル20部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣にtert−ブチルメチルエーテル20部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣をクロロホルムに溶解し、濃縮してオイル状物として、式(II−41)で表される塩0.62部を得た。
【0209】
MS(ESI(+)Spectrum):M
+ 263.1
MS(ESI(−)Spectrum):M
- 561.2
【0210】
合成例4:式(II−1)で表される塩の合成
式(II1−a)で表される塩4.98部及びアセトニトリル25.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌した。その後、式(II1−b)で表される化合物2.17部を添加し、70℃で2時間攪拌し、式(II1−c)で表される化合物を含む溶液を得た。得られた式(II1−c)で表される化合物を含む溶液に、50℃で、式(II1−d)で表される化合物1.86部、クロロホルム14.91部及びアセトニトリル2.79部の混合溶液を1時間かけて滴下し、さらに、50℃で12時間攪拌した。得られた反応物を濃縮した。得られた濃縮物に、クロロホルム40部及び2%シュウ酸水20部を加え、23℃で30分間攪拌した。その後、静置し、分液して有機層を得た。得られた有機層に、イオン交換水20部を加え、23℃で30分間攪拌した。その後、静置し、分液して有機層を得た。この水洗の操作をさらに5回行った。得られた有機層に活性炭0.80部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、ろ過した。ろ液を濃縮し、得られた濃縮物に、tert−ブチルメチルエーテル50部を加えて攪拌した。得られた上澄液を除去し、濃縮した。得られた濃縮物をアセトニトリルに溶解し、濃縮することにより、式(II−1)で表される塩5.24部を得た。
【0211】
MASS(ESI(+)Spectrum):M
+ 263.1
MASS(ESI(−)Spectrum):M
- 337.1
【0212】
合成例5:式(II−9)で表される塩の合成
【0213】
温度計及び攪拌装置を備えたフラスコに、水素化ナトリウム5.78部及びテトラヒドロフラン15.00部を仕込み、0℃で30分間攪拌した。得られた混合物に、式(II9−a)で表される化合物(5−ヒドロキシ−2−アダマンタノン、東京化成製)11.00部及びテトラヒドロフラン40.00部の混合溶液を0℃で2時間かけて添加し、0℃で1時間攪拌した。得られた混合物に、さらに、メトキシメチルクロライド8.50部を0℃で40分かけて添加し、0℃で2時間攪拌した。得られた混合物に、イオン交換水55.00部及び酢酸エチル220.00部を添加し、分液を行って有機層を回収した。回収された有機層にイオン交換水55.00部を添加し、分液を行って有機層を回収した。回収された有機層を濃縮することにより、式(II9−b)で表される化合物14.03部を得た。
【0214】
【0215】
温度計及び攪拌装置を備えたフラスコに、テトラヒドロフラン6.00部、塩化リチウム1.67部及び塩化亜鉛0.41部を添加し、室温で30分間攪拌した。得られた混合物に、エチルマグネシウムクロライド40.76mlを23℃で1時間かけて添加した後、0℃に冷却し、式(II9−b)で表される化合物6.00部及びテトラヒドロフラン12.00部の混合溶液を1時間かけて添加し、さらに、0℃で30分間攪拌した。得られた混合物に、酢酸1.60部を添加し、30分間攪拌した。得られた混合物を濃縮した後、酢酸エチル36.00部及び飽和塩化アンモニウム水溶液12.00部を添加し、分液を行って有機層を回収した。回収された有機層に、イオン交換水12.00部を添加し、分液を行って有機層を回収した。水洗操作を3回行った。回収された有機層に、硫酸マグネシウム1.00部を添加し、攪拌した後、ろ過した。回収されたろ液層を濃縮し、以下の条件でカラム分取することにより、式(II9−c)で表される化合物5.00部を得た。
展開媒体;シリカゲル60−200メッシュ;メルク社製
展開溶媒:n−ヘプタン/酢酸エチル=1/1(容量比)
【0216】
【0217】
特開2008−13551号公報に記載された方法で得た式(II9−d)で表される化合物5.00部、クロロホルム30.00部、式(II9−c)で表される化合物3.12部、モレキュラーシーブ(商品名:モレキュラーシーブ 5A、和光純薬製)7.00部及びリチウムアミド0.14部を仕込み、80℃で120時間加熱還流した後、ろ過した。得られたろ液に、シュウ酸0.28部及びイオン交換水7.50部を仕込み、攪拌、分液を行った。水洗を6回行った。得られた有機層に活性炭1.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌した後、ろ過した。ろ液を濃縮した後、得られた濃縮物に、アセトニトリル6.88部を添加して溶解し、濃縮し、酢酸エチル10部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣にtert−ブチルメチルエーテル10部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣を濃縮することにより、式(II9−d)で表される化合物0.22部を得た。得られた式(II9−d)で表される化合物0.22部をクロロホルム10部に溶解し、1N塩酸5部を仕込み、23℃で30分間攪拌した後、分液を行った。得られた有機層を濃縮して、式(II−9)で表される塩0.15部を得た。
【0218】
MS(ESI(+)Spectrum):M
+ 263.1
MS(ESI(−)Spectrum):M
- 353.1
【0219】
合成例6:式(II−213)で表される塩の合成
2−メチル−2−アダマンタノール25.00部及びテトラヒドロフラン200部を仕込み、室温で攪拌し、2−メチル−2−アダマンタノールの溶解確認後、ピリジン14.27部を仕込み、40℃に昇温した。さらに、クロロアセチルクロリド25.47部及びテトラヒドロフラン50部の混合溶液を1時間かけて滴下した。滴下後、40℃で8時間攪拌し、5℃に温度を下げた。5℃に冷却したイオン交換水100部を添加、攪拌し、分液により水層を回収した。回収された水層に酢酸エチル65部を添加し、分液して有機層を回収した。回収された有機層に、5℃の10%炭酸カリウム水溶液65部を添加して洗浄し、分液して有機層を回収した後、回収された有機層にさらに、イオン交換水65部を添加して水洗し、分液を行って有機層を回収した。この水洗操作を3回繰り返して行った。回収された有機層を濃縮し、得られた濃縮物にn−ヘプタン40.00部を添加し、攪拌した後、ろ過後、乾燥して、式(II−213−a)で表される化合物17.62部を得た。
【0220】
【0221】
式(II−213−b)で表される化合物15.00部及びN,N’−ジメチルホルムアミド75部を仕込み、23℃で30分間攪拌した。得られた混合物に、炭酸カリウム6.40部及びヨウ化カリウム1.92部を仕込み、50℃で1時間攪拌した。得られた混合物に、式(II−213−a)で表される化合物16.87部をN,N’−ジメチルホルムアミド33.74部に溶解した溶液を1時間かけて滴下し、50℃で5時間攪拌した。得られた混合物を、23℃まで冷却し、酢酸エチル300部及びイオン交換水150部を加えて攪拌し、分離した。回収された有機層をイオン交換水150部で水層が中性になるまで水洗を繰り返した。回収された有機層を濃縮し、得られた濃縮物にn−ヘプタン150部を添加し、攪拌した後、ろ過後、乾燥して、式(II−213−c)で表される化合物22.67部を得た。
【0222】
式(II−213−c)で表される化合物15.00部及びアセトニトリル75部を仕込み、23℃で30分間攪拌した後、5℃まで冷却した。得られた混合物に、水素化ホウ素ナトリウム0.71部及びイオン交換水10.63部を仕込み、5℃で3時間攪拌した。得られた混合物に、イオン交換水50部及び酢酸エチル100部を加えて攪拌し、分離した。回収された有機層をイオン交換水50.00部で水層が中性になるまで水洗を繰り返した。回収された有機層を濃縮した後、以下の条件でカラム(シリカゲル60−200メッシュ;メルク社製 展開溶媒:酢酸エチル)分取することにより、式(II−213−d)で表される化合物12.43部を得た。
【0223】
【0224】
式(II−213−e)で表される塩を、特開2008−127367号公報に記載された方法で合成した。
式(II−213−e)で表される塩10.00部及びアセトニトリル60部を仕込み、40℃で30分間攪拌し、式(II−213−f)で表される化合物4.44部を仕込み、50℃で1時間攪拌することにより、式(II−213−g)で表される化合物を含む溶液を得た。
【0225】
【0226】
得られた式(II−213−g)で表される化合物を含む溶液に、式(II−213−d)で表される化合物9.19部を仕込み、23℃で1時間攪拌した。得られた反応マスに、クロロホルム100部及びイオン交換水50部を仕込み、攪拌、分液を行った。水洗を5回行った。得られた有機層に活性炭1.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、ろ過した。ろ液を濃縮した後、得られた濃縮物に、アセトニトリル50部を添加して溶解し、濃縮し、酢酸エチル50部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣にtert−ブチルメチルエーテル50部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣をクロロホルムに溶解し、濃縮した後、得られた濃縮物をカラム(メルク シリカゲル60−200メッシュ 展開溶媒:クロロホルム/メタノール=5/1)分取することにより、式(II−213)で表される塩16.84部を得た。
【0227】
MS(ESI(+)Spectrum):M
+ 263.1
MS(ESI(−)Spectrum):M
- 559.2
【0228】
合成例7:式(II−183)で表される塩の合成
【0229】
式(II−183−a)で表される化合物(商品名:NLA−tBu、クラレ製)25.43部、テトラヒドロフラン100.00部及びトリフルオロ酢酸1.14部を仕込み、50℃で2時間攪拌した。その後、ヨウ化カリウム0.42部を添加し、50℃で10時間攪拌した。得られた混合物にイオン交換水30.00部及び酢酸エチル60.00部を添加し、攪拌した後、分液を行い、有機層を回収した。回収された有機層にイオン交換水30.00部を添加して洗浄し、分液を行って有機層を回収した。この分液水洗操作を3回繰り返して行った。回収された有機層を濃縮後、以下の条件でカラム分取することにより、式(II−183−b)で表される化合物18.9部を得た。
展開媒体;シリカゲル60−200メッシュ;メルク社製
展開溶媒:n−ヘプタン/酢酸エチル=10/1(容量比)
【0230】
【0231】
2−メチル−2−アダマンタノール250部及びテトラヒドロフラン2000部を仕込み、室温で攪拌し、2−メチル−2−アダマンタノールの溶解確認後、ピリジン142.73部を仕込み、40℃に昇温した。さらに、クロロアセチルクロリド254.74部及びテトラヒドロフラン509部の混合溶液を80分かけて滴下した。滴下後、40℃で8時間攪拌し、5℃に温度を下げた。5℃に冷却したイオン交換水1052部を添加、攪拌し、分液により水層を回収した。回収された水層に酢酸エチル631部を添加し、分液して有機層を回収した。回収された有機層に、5℃の10%炭酸カリウム水溶液631部を添加して洗浄し、分液して有機層を回収した後、回収された有機層にさらに、イオン交換水631部を添加して水洗し、分液を行って有機層を回収した。この水洗操作を3回繰り返して行った。回収された有機層を濃縮し、得られた濃縮物にn−ヘプタン500部を添加し、攪拌した後、ろ過後、乾燥して、式(II−183−c)で表される化合物195部を得た。
【0232】
【0233】
式(II−183−b)で表される化合物10.20部及びジメチルホルムアミド102.05部を仕込み、室温で攪拌し、式(II−183−b)で表される化合物を溶解した。その後、炭酸カリウム3.56部及びヨウ化カリウム0.89部を添加し、50℃に昇温した。さらに1時間攪拌した後、100℃に昇温した。得られた混合物に式(II−183−c)で表される化合物12.50部及びジメチルホルムアミド37.50部の混合溶解液を60分かけて添加し、100℃で3時間攪拌した。得られた混合物を室温に戻した後、イオン交換水166.70部及び酢酸エチル333.40部を添加した後、攪拌し、分液を行って有機層を回収した。回収された有機層に、5%炭酸カリウム水溶液83.35部を添加して洗浄し、分液を行って有機層を回収した。回収された有機層に、さらにイオン交換水166.70部を添加して洗浄し、分液を行って有機層を回収した。この水洗操作を5回繰り返して行った。回収された有機層に、硫酸マグネシウム1部を添加し、攪拌した後、ろ過して有機層を回収した。回収された有機層を濃縮した後、n−ヘプタン55.5部を添加し、室温で1時間攪拌した後、析出物をろ過して取り出し、乾燥して、式(II−183−d)で表される化合物16.80部を得た。
【0234】
【0235】
式(II−183−e)で表される塩を、特開2008−13551号公報に記載された方法で合成した。式(II−183−e)で表される塩4.52部、クロロホルム30.00部、式(II−183−d)で表される化合物4.44部、モレキュラーシーブ(商品名:モレキュラーシーブ 5A、和光純薬製)5.00部及びリチウムアミド0.14部を仕込み、80℃で5時間加熱還流した後、ろ過した。得られたろ液に、シュウ酸0.28部及びイオン交換水7.50部を仕込み、攪拌、分液を行った。水洗を6回行った。得られた有機層に活性炭1.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌した後、ろ過した。ろ液を濃縮した後、得られた濃縮物に、アセトニトリル7.00部を添加して溶解し、濃縮し、酢酸エチル10部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣にtert−ブチルメチルエーテル10部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣をクロロホルムに溶解し、濃縮してオイル状物として、式(II−183)で表される塩0.89部を得た。
【0236】
MS(ESI(+)Spectrum):M
+ 263.1
MS(ESI(−)Spectrum):M
- 561.1
【0237】
合成例8:式(II−167)で表される塩の合成
【0238】
式(II−167−a)で表される化合物(5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、和光純薬製)16.42部及びテトラヒドロフラン53.29部を仕込み、23℃で攪拌溶解した。得られた混合物に、23℃でジメチルアミノピリジン2.44部を添加した後、50℃で30分間攪拌した。得られた混合物に、さらに、2−メチル−2−アダマンタノール16.63部及びテトラヒドロフラン53.29部の混合溶液を1時間かけて滴下し、50℃で10時間攪拌した。得られた混合物にイオン交換水30部及び酢酸エチル60部を添加して洗浄し、分液を行って有機層を回収した。回収された有機層にイオン交換水30部を添加して洗浄し、分液を行って有機層を回収した。この分液水洗操作を3回繰り返して行った。回収された有機層を濃縮後、以下の条件でカラム分取することにより、式(II−167−b)で表される化合物25.2部を得た。
展開媒体;シリカゲル60−200メッシュ;メルク社製
展開溶媒:n−ヘプタン/酢酸エチル=20/1(容量比)
【0239】
【0240】
式(II−167−b)で表される化合物16.50部及びクロロホルム200.00部を仕込み、23℃で攪拌し、式(II−167−b)で表される化合物を溶解した後、23℃でm−クロロ過安息香酸17.30部を添加し、23℃で6時間攪拌した。得られた混合物にイオン交換水30部及び酢酸エチル60部を添加して洗浄し、分液を行って有機層を回収した。回収された有機層にイオン交換水30部を添加して洗浄し、分液を行って有機層を回収した。この分液水洗操作を3回繰り返して行った。回収された有機層を濃縮した後、以下の条件でカラム分取することにより、式(II−167−c)で表される化合物14.7部を得た。
展開媒体;シリカゲル60−200メッシュ;メルク社製
展開溶媒:n−ヘプタン/酢酸エチル=20/1(容量比)
【0241】
式(II−167−d)で表される塩を、特開2008−13551号公報に記載された方法で合成した。式(II−167−d)で表される塩4.52部、クロロホルム30.00部、式(II−167−c)で表される化合物3.81部、モレキュラーシーブ(商品名:モレキュラーシーブ 5A、和光純薬製)5.00部及びリチウムアミド0.14部を仕込み、80℃で5時間加熱還流した後、ろ過した。得られたろ液に、シュウ酸0.28部及びイオン交換水7.50部を仕込み、攪拌、分液を行った。水洗を6回行った。得られた有機層に活性炭1.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌した後、ろ過した。ろ液を濃縮した後、得られた濃縮物に、アセトニトリル7.00部を添加して溶解し、濃縮し、酢酸エチル10部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣にtert−ブチルメチルエーテル10部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣をクロロホルムに溶解し、濃縮してオイル状物として、式(II−167)で表される塩1.12部を得た。
【0242】
MS(ESI(+)Spectrum):M
+ 263.1
MS(ESI(−)Spectrum):M
- 503.1
【0243】
合成例9:式(B1−5)で表される塩の合成
式(B1−5−a)で表される塩50.49部及びクロロホルム252.44部を反応器に仕込み、23℃で30分間攪拌した後、式(B1−5−b)で表される化合物16.27部を滴下し、23℃で1時間攪拌することにより、式(B1−5−c)で表される塩を含む溶液を得た。得られた式(B1−5−c)で表される塩を含む溶液に、式(B1−5−d)で表される塩48.80部及びイオン交換水84.15部を添加し、23℃で12時間攪拌した。得られた反応液が2層に分離していたので、クロロホルム層を分液して取り出し、更に、該クロロホルム層にイオン交換水84.15部を添加し、水洗した。この操作を5回繰り返した。得られたクロロホルム層に、活性炭3.88部を添加攪拌し、ろ過した。回収されたろ液を濃縮し、得られた残渣に、アセトニトリル125.87部を添加攪拌し、濃縮した。得られた残渣に、アセトニトリル20.62部及びtert−ブチルメチルエーテル309.30部を加えて23℃で30分間攪拌し、上澄み液を除去し、濃縮した。得られた残渣に、n−ヘプタン200部を添加、23℃で30分間攪拌し、ろ過することにより、式(B1−5)で表される塩61.54部を得た。
MASS(ESI(+)Spectrum):M
+ 375.2
MASS(ESI(−)Spectrum):M
- 339.1
【0244】
樹脂(A)の合成
樹脂(A)の合成において使用した化合物(モノマー)を下記に示す。
以下、これらのモノマーを、その符号に応じて、「モノマー(M−A)」〜「モノマー(M−L)」という。
【0245】
〔樹脂A1の合成〕
モノマーとして、モノマー(M−G)、モノマー(M−E)、モノマー(M−B)、モノマー(M−H)及びモノマー(M−K)を用い、そのモル比(モノマー(M−G):モノマー(M−E):モノマー(M−B):モノマー(M−H):モノマー(M−K))が32:7:8:43:10となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、1mol%及び3mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。得られた樹脂を再び、ジオキサンに溶解させて得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量7.6×10
3の樹脂A1(共重合体)を収率80%で得た。この樹脂A1は、以下の構造単位を有するものである。
【0246】
〔樹脂A2の合成〕
モノマーとして、モノマー(M−F)、モノマー(M−I)、モノマー(M−J)、モノマー(M−D)及びモノマー(M−K)を用い、そのモル比(モノマー(M−F):モノマー(M−I):モノマー(M−J):モノマー(M−D):モノマー(M−K))が45:14:2.5:22.5:16となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、1mol%及び3mol%添加し、これらを73℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。得られた樹脂を再び、ジオキサンに溶解させて得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量8.8×10
3の樹脂A2(共重合体)を収率71%で得た。この樹脂A2は、以下の構造単位を有するものである。
【0247】
〔樹脂A3の合成〕
モノマーとして、モノマー(M−F)、モノマー(M−I)、モノマー(M−J)、モノマー(M−D)、モノマー(M−H)及びモノマー(M−K)を用い、そのモル比(モノマー(M−F):モノマー(M−I):モノマー(M−J):モノマー(M−D):モノマー(M−H):モノマー(M−K))が45:14:2.5:17.5:5:16となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、1mol%及び3mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。得られた樹脂を再び、ジオキサンに溶解させて得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量8.3×10
3の樹脂A3(共重合体)を収率69%で得た。この樹脂A3は、以下の構造単位を有するものである。
【0248】
〔樹脂A4の合成〕
モノマーとして、モノマー(M−F)、モノマー(M−L)、モノマー(M−J)、モノマー(M−D)及びモノマー(M−K)を用い、そのモル比〔モノマー(M−F):モノマー(M−L):モノマー(M−J):モノマー(M−D):モノマー(M−K)〕が45:14:2.5:22.5:16となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、1mol%及び3mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。得られた樹脂を再び、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解させて得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量8.2×10
3の樹脂A4(共重合体)を収率66%で得た。この樹脂A4は、以下の構造単位を有するものである。
【0249】
〔樹脂A5の合成〕
モノマーとして、モノマー(M−G)、モノマー(M−L)、モノマー(M−B)、モノマー(M−H)及びモノマー(M−K)を用い、そのモル比〔モノマー(M−G):モノマー(M−L):モノマー(M−B):モノマー(M−H):モノマー(M−K)〕が32:7:8:43:10となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、1mol%及び3mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。得られた樹脂を再び、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解させて得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量7.9×10
3の樹脂A5(共重合体)を収率82%で得た。この樹脂A5は、以下の構造単位を有するものである。
【0250】
〔樹脂H1の合成〕
モノマーとして、モノマー(M−A)及びモノマー(M−C)を用い、そのモル比(モノマー(M−A):モノマー(M−C))が40:60となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、1.4mol%及び4.2mol%添加し、これらを70℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。得られた樹脂を再び、ジオキサンに溶解させて得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量5.0×10
3の樹脂H1(共重合体)を収率92%で得た。この樹脂H1は、以下の構造単位を有するものである。
【0251】
<レジスト組成物の調製>
以下に示す成分の各々を表2に示す質量部で溶剤に溶解し、さらに孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過して、レジスト組成物を調製した。
【0252】
【表2】
【0253】
<樹脂>
A1〜A5、H1:樹脂A1〜樹脂A5、樹脂H1
<酸発生剤>
II−33:特開2008−69146号公報の実施例に従って合成
酸発生剤II−33 50mgをジメチルスルホキサイド0.7935gに溶解し、20%塩酸0.0216gを添加し、80℃で1時間攪拌した。その後、酸発生剤II−33の分解物を確認したところ、カルボン酸が生成しており、以下の化合物であることを確認した。
【0254】
II−49:
酸発生剤II−49 50mgをジメチルスルホキサイド0.7948gに溶解し、20%塩酸0.0212gを添加し、80℃で1時間攪拌した。その後、酸発生剤II−49の分解物を確認したところ、カルボン酸が生成し、以下の化合物であることを確認した。
【0255】
II−41:
酸発生剤II−41 50mgをジメチルスルホキサイド0.7958gに溶解し、20%塩酸0.0216gを添加し、80℃で1時間攪拌した。その後、酸発生剤II−41の分解物を確認したところ、カルボン酸が生成し、以下の化合物であることを確認した。
【0256】
II−1:
酸発生剤II−1 50mgをジメチルスルホキサイド0.7921gに溶解し、20%塩酸0.0208gを添加し、80℃で1時間攪拌した。その後、酸発生剤II−1の分解物を確認したところ、カルボン酸が生成し、以下の化合物であることを確認した。
【0257】
II−9:
酸発生剤II−9 50mgをジメチルスルホキサイド0.7942gに溶解し、20%塩酸0.0221gを添加し、80℃で1時間攪拌したあと、酸発生剤II−9の分解物を確認したところ、カルボン酸が生成し、以下の化合物であることを確認した。
【0258】
II−213:
酸発生剤II−213 50mgをジメチルスルホキサイド0.7946gに溶解し、20%塩酸0.0219gを添加し、100℃で1時間攪拌した後、酸発生剤II−213の分解物を、
1H−NMRによって分析した。その結果、カルボキシ基及びビニルプロトン(分解物)に帰属するピークが確認された。
【0259】
II−183:
酸発生剤II−183 50mgをジメチルスルホキサイド0.7921gに溶解し、20%塩酸0.0204gを添加し、100℃で1時間攪拌した後、酸発生剤II−183の分解物を、
1H−NMRによって分析した。その結果、カルボキシ基及びビニルプロトン(分解物)に帰属するピークが確認された。
【0260】
II−167:
酸発生剤II−167 50mgをジメチルスルホキサイド0.7933gに溶解し、20%塩酸0.0208gを添加し、100℃で1時間攪拌した後、酸発生剤II−167の分解物を、
1H−NMRによって分析した。その結果、カルボキシ基及びビニルプロトン(分解物)に帰属するピークが確認された。
【0261】
B1−3:特開2010−152341号公報の実施例に従って合成
B1−5:
B2:トリフェニルスルホニウム トリフレート(TPS−105 ミドリ化学(株)製)
【0262】
<塩基性化合物:クエンチャー>
C1:2,6−ジイソプロピルアニリン(東京化成工業(株)製)
【0263】
<溶剤>
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 265部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 20部
2−ヘプタノン 20部
γ−ブチロラクトン 3.5部
【0264】
実施例1〜19及び比較例1
<ネガ型レジストパターンの製造>
12インチのシリコンウェハ上に、有機反射防止膜用組成物[ARC−29;日産化学(株)製]を塗布して、205℃、60秒の条件でベークすることによって、厚さ78nmの有機反射防止膜を形成した。次いで、前記の有機反射防止膜の上に、上記のレジスト組成物を乾燥(プリベーク)後の組成物層の膜厚が100nmとなるようにスピンコートした。塗布後、ダイレクトホットプレート上にて、表2の「PB」欄に記載された温度で60秒間プリベークして、シリコンウェハ上に組成物層を形成した。組成物層が形成されたシリコンウェハに、液浸露光用ArFエキシマレーザステッパー[XT:1900Gi;ASML社製、NA=1.35、3/4Annular X−Y偏光照明]で、1:1ラインアンドスペースパターン(ピッチ70nm〜100nm)を形成するためのマスクを用いて、露光量を段階的に変化させて露光した。なお、液浸媒体としては超純水を使用した。露光後、ホットプレート上にて、表2の「PEB」欄に記載された温度で60秒間ポストエキスポジャーベークを行った。次いで、このシリコンウェハ上の組成物層を、現像液として酢酸ブチル(東京化成工業(株)製)を用いて、23℃で20秒間ダイナミックディスペンス現像を行うことにより、ネガ型レジストパターンを製造した。
【0265】
<解像度評価>
レジストパターンを走査型電子顕微鏡で観察し、
43nmを解像しているものを◎、
45nmを解像しているものを○、
45nmを解像していないか、解像しているがトップが丸いか、裾引きがあるか、パターン倒れが観察されるものは×とした。
その結果を表3に示す。カッコ内の数値は、解像度を示す。
【0266】
【表3】
【0267】
実施例20〜38及び比較例2
現像液を、2−ヘプタノン(協和醗酵(株)製)に代える以外は、上記と同様の操作を行ってネガ型レジストパターンを製造し、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表4に示す。
【0268】
【表4】
【0269】
上記の結果から、本発明のレジスト組成物によれば、高解像度のネガ型レジストパターンを製造できることがわかる。
【0270】
<レジスト組成物の調製>
以下に示す成分の各々を表5に示す質量部で、下記の溶剤に溶解し、さらに孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過して、レジスト組成物を調製した。
【0271】
【表5】
【0272】
実施例39〜45及び比較例3
<レジストパターンの製造>
12インチのシリコン製ウェハ上に、有機反射防止膜用組成物[ARC−29;日産化学(株)製]を塗布して、205℃、60秒の条件でベークすることによって、厚さ78nmの有機反射防止膜を形成した。次いで、前記の有機反射防止膜の上に、上記のレジスト組成物を乾燥(プリベーク)後の膜厚が85nmとなるようにスピンコートした。
得られたシリコンウェハをダイレクトホットプレート上にて、表5の「PB」欄に記載された温度で60秒間プリベーク(PB)して組成物層を形成した。こうしてレジスト組成物膜(組成物層)を形成したウェハーに、液浸露光用ArFエキシマステッパー[XT:1900Gi;ASML社製、NA=1.35、3/4Annular X−Y偏光]を用いて、露光量を段階的に変化させてラインアンドスペースパターンを液浸露光した。なお、液浸媒体としては超純水を使用した。
露光後、ホットプレート上にて、表5の「PEB」欄に記載された温度で60秒間ポストエキスポジャーベーク(PEB)を行い、さらに2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間のパドル現像を行い、レジストパターンを得た。
【0273】
得られたレジストパターンにおいて、50nmのラインアンドスペースパターンのライン幅とスペース幅とが1:1となる露光量を実効感度とした。
【0274】
<解像度評価>
実効感度において、レジストパターンを走査型電子顕微鏡で観察し、
43nmを解像しているものを◎、
45nmを解像しているものを○、
45nmを解像していないか、解像しているがトップが丸いか、裾引きがあるか、パターン倒れが観察されるものは×とした。
その結果を表6に示す。カッコ内の数値は、解像度を示す。
【0275】
【表6】