(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記パーティクル保持部は、前記壁部の前記弁体側に前記開口部を取り囲むように設けられた環状をなす第1の凹部を有することを特徴とする請求項1に記載のゲートバルブ。
前記第1の凹部は、前記開口部を取り囲むように突出して設けられた2つの枠部の間に形成されるか、または、前記壁部の前記弁体側の面に形成されることを特徴とする請求項2に記載のゲートバルブ。
前記第2のシール部は、前記弁体の前記開口部を閉塞する閉塞面に前記第1の凹部に挿入される環状の突出部を有することを特徴とする請求項2または請求項3に記載のゲートバルブ。
前記第2のシール部は、前記第1のシール部との間でラビリンスシールを形成するように、前記弁体に形成された環状をなす第2の凹部を有することを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載のゲートバルブ。
前記第2の凹部は、前記弁体の前記閉塞面に形成されるか、または、前記閉塞面から突出して設けられた2つの枠部の間に形成されることを特徴とする請求項5に記載のゲートバルブ。
前記パーティクル保持部は、前記開口部を取り囲むように前記壁部の前記弁体側の面から突出して設けられた枠部を有することを特徴とする請求項1に記載のゲートバルブ。
前記パーティクル保持部は、前記開口部の上側に前記壁部の前記弁体側の面から庇状に突出して設けられた突出部を有することを特徴とする請求項1に記載のゲートバルブ。
前記第1のシール部および前記第2のシール部のいずれかは、シール部材を有し、前記第1のシール部および前記第2のシール部の他方は、前記シール部材が接触するシール面を有し、前記弁体が前記開口部を閉塞する際に、前記シール部材が前記シール面に押しつけられることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のゲートバルブ。
前記処理装置は、複数の基板を処理するものであり、前記処理室は、複数の基板を処理するための複数の処理空間を有し、前記搬入出口は、複数の前記処理空間に対応して複数設けられ、前記壁部には、複数の前記搬入出口に対応して前記開口部が複数設けられ、前記弁体を複数の前記開口部に対応して複数有することを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか1項に記載のゲートバルブ。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。参照する図面全てにわたり、同一の部分については同一の参照符号を付す。
【0021】
<第1の実施形態>
(第1の実施形態に係るゲートバルブが用いられた基板処理システム)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るゲートバルブが用いられた基板処理システムを概略的に示す平面図である。この基板処理システム1は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)のようなFPD用ガラス基板あるいは太陽電池用ガラス基板として用いられる矩形基板に対し例えばエッチングや成膜等の処理を行う装置として構成されている。これらの処理は、プラズマを用いたものでもよく、また、プラズマ化されない処理ガスを用いたものであってもよい。
【0022】
図1に示すように、基板処理システム1は、真空に保持された共通搬送室10と、この共通搬送室10に接続され、真空に保持された3つの処理室30a,30b,30cと、大気側に配置された基板収容容器(図示せず)と真空に保持された共通搬送室10との間で基板Gを交換するロードロック室40と、共通搬送室10内に設けられた、基板Gを搬送する基板搬送装置50とを備えている。処理室30a,30b,30c、ロードロック室40は、共通搬送室10の各側面に接続されている。処理室30a,30b,30cは、いずれも真空中で基板Gにエッチングや成膜等の処理ガスを用いた処理を行う処理装置の構成部材として設けられ、各処理装置は、処理室の他、処理室内で所定の処理を行うために必要な構成要素、例えば、処理室内で基板Gを支持する機構、処理室内を所定の減圧雰囲気に保持するための排気機構、処理室内に処理ガスを供給する処理ガス供給機構等を有している。
【0023】
また、ロードロック室40は、大気側に配置された基板収容容器(図示せず)と、真空に保持された共通搬送室10との間で基板Gを交換するためのものであり、大気雰囲気と減圧雰囲気との間で切り替え可能な真空予備室として機能する。
【0024】
共通搬送室10には、その内部に基板搬送装置50が設けられているとともに、処理室30a,30b,30c、ロードロック室40に対応する位置に開口部60が形成されている。一方、処理室30a,30b,30cの開口部60に対応する位置には、それぞれ基板Gを搬入出するための搬入出口61a、61b、61cが設けられている。またロードロック室40の開口部60に対応する位置には、開口部62aが設けられている。そして、基板搬送装置50により、開口部60、搬入出口61a、61b、61c、および開口部62aを介して基板Gの搬送が行われる。
【0025】
共通搬送室10と、これらに接続されている処理室30a,30b,30cとの間には、それぞれゲートバルブ70a,70b,70cが設けられている。また、共通搬送室10とロードロック室40との間には、ゲートバルブ70dが設けられている。これらのゲートバルブにより搬入出口61a、61b、61c、および開口部62aが開閉される。なお、ゲートバルブ70a,70b,70cは、処理室30a,30b,30cをそれぞれ含む処理装置の構成要素としても機能する。
【0026】
ロードロック室40の大気側には、基板処理システム1の外部に開放される開口部62bが形成されており、処理前の基板Gのロード、処理済の基板Gのアンロードに使用され、大気状態下に開放されたゲート63により開閉される。
【0027】
基板搬送装置50は、基板を支持する基板支持アーム51と、旋回可能なベース部材52とにより構成されており、さらに、基板支持アーム51はベース部材52上を直線走行可能に構成されているので、これによる進出退避動作および旋回動作により処理室30a,30b,30c、およびロードロック室40にアクセス可能となっている。
なお、本実施形態においては、3つの処理室30a、30b、30cが共通搬送室10を取り囲む構成について説明するが、ロードロック室40と直線状にある処理室30bのみを有するような単一の処理室から成る装置においても同様である。
【0028】
(第1の実施形態に係るゲートバルブの構成)
次に第1の実施形態に係るゲートバルブについて詳細に説明する。
ここでは、共通搬送室10と処理室30aとの間ゲートバルブ70aを例にとって説明する。ゲートバルブ70b,70cもゲートバルブ70aと同様に構成されている。なお、ゲートバルブ70dは、ゲートバルブ70aと同様に形成されていてもよいが、処理ガスに起因するパーティクルの影響が少ないので、通常用いる構成であってもよい。
【0029】
図2は第1の実施形態に係るゲートバルブ70aの基本例を示す縦断面図、
図3はゲートバルブの第1のシール部を示す正面図、
図4は弁体を示す正面図である。
【0030】
第1の実施形態におけるゲートバルブ70aは、共通搬送室10と処理室30aとの間に設けられたハウジング71を有している。ハウジング71の処理室30a側の垂直壁部71bには、処理室30aの搬入出口61aに対応する位置に開口部71aが形成されている。一方、ハウジング71の共通搬送室10側の垂直壁部71dには共通搬送室10の開口部60よりも大きな開口部71cが形成されている。
【0031】
ゲートバルブ70aは、また、ハウジング71内に設けられた、開口部71aを開閉する弁体72と、弁体72を移動させる弁体移動部73とを有している。弁体72の開口部71a側の面は開口部71aよりも大面積の閉塞面72aとなっており、弁体72が開口部71aを閉塞する際には、閉塞面72aが開口部71aおよびその周囲を覆うようになっている。弁体移動部73は、駆動機構(図示せず)の動力を弁体72に伝達して移動させるものであり、昇降ロッド74と、昇降ロッド74に弁体72を連結する連結部75とを有している。
【0032】
駆動機構は、昇降機構および進退機構(いずれも図示せず)を有しており、昇降機構により昇降ロッド74を介して弁体72が昇降され、弁体72が開口部71aに対応する高さ位置にあるときに、進退機構により、開口部71aを閉塞する閉塞位置と、開口部71aから後退した後退位置との間で移動可能となっている。基板Gを搬送する際には、弁体72を、進退機構により閉塞位置から後退位置へ後退させてから、昇降機構により開口部71aの下方の退避位置へ下降させて開口部71aを開放する。
【0033】
なお、昇降機構および進退機構は特に限定されるものではないが、昇降機構としては、エアシリンダやモータ等を用いることができ、進退機構としては、リンク機構、カム機構、エアシリンダ、モータ等を用いることができる。
【0034】
ゲートバルブ70aは、さらに、ハウジング71の垂直壁部71bの開口部71aの周囲に設けられた第1のシール部81と、弁体72に設けられた第2のシール部82とを有する。第2のシール部82は、弁体72が開口部71aを閉塞する際に、第1のシール部81に対応する位置で第1のシール部81と協働して弁体72と垂直壁部71bとの間をシールする。
【0035】
第1のシール部81は、
図2および
図3に示すように、垂直壁部71bの弁体72側の面71eにおける開口部71aのすぐ外側の部分に沿って周回するように突出して枠状に設けられた環状の内側枠部83と、面71eにおける内側枠部83の外側の部分に沿って周回するように突出して枠状に設けられた環状の外側枠部84とを有し、内側枠部83と外側枠部84との間には開口部71aを取り囲むように環状の凹部85が形成されている。凹部85の周囲には、処理室30aから侵入した処理ガス成分により生じた堆積物から発生したパーティクルが付着するが、凹部85の平面部は、第1のシール部81と第2のシール部82とにより形成されるシール部分の周囲から離脱するパーティクルを保持するパーティクル保持部として機能する。また、第1のシール部81は、凹部85の底部に沿って設けられた環状のOリング86を有している。
【0036】
第2のシール部82は、
図2および
図4に示すように、弁体72の閉塞面72aに形成された、内側枠部83が挿入される環状の凹部87と、凹部87の外側部分に形成され、凹部85に挿入される環状の突出部88とを有する。凹部87はザグリ加工により形成することができ、突出部88は凹部87を形成した際に形成される。
【0037】
弁体72が開口部71aを閉塞する際には、第1のシール部の内側枠部83が第2のシール部82の凹部87に挿入され、第2のシール部82の突出部88が第1のシール部の凹部85に挿入されてラビリンス構造のシールが形成される。このとき、突出部88の先端面がOリング86に当接するシール面となる。なお、Oリングは、第2のシール部82における突出部88の先端面に設けてもよい。この場合は、Oリングに当接する凹部85の底部がシール面となる。
【0038】
なお、便宜上、
図3では内側枠部83および外側枠部84にハッチングを施し、
図4では凹部87以外の部分にハッチングを施している。
【0039】
(基板処理システムの処理動作)
次に、このように構成される基板処理システムの処理動作について説明する。
まず、ゲート63を開けて大気側基板搬送装置(図示せず)により未処理の基板Gを大気雰囲気のロードロック室40に搬入し、ゲート63を閉じてロードロック室40内を減圧雰囲気とする。そして、ロードロック室40と共通搬送室10との間のゲートバルブ70dを開け、基板搬送装置50の基板支持アーム51をロードロック室40内に進出させ、ロードロック室40内に搬入された未処理の基板Gを受け取る。次いで、基板搬送装置50の基板支持アーム51を共通搬送室10に退避させ、ロードロック室40と共通搬送室10との間のゲートバルブ70dを閉じる。
【0040】
次いで、基板搬送装置50の基板支持アーム51を処理室30a、30bまたは30cに相対させ、共通搬送室10と処理室30a、30bまたは30cとの間のゲートバルブ70a,70bまたは70cを開け、基板支持アーム51を処理室30a、30bまたは30cに進出させ、基板Gを処理室30a、30bまたは30cへ搬送する。次いで、基板支持アーム51を共通搬送室10に退避させ、そのゲートバルブを閉じ、処理室30a、30b、または30cにおける処理を開始する。この間に、次の基板Gの搬送が可能であれば、基板支持アーム51によりロードロック室40から複数の基板Gを取り出し、処理室30a、30bおよび30cのうち、処理が行われていないものへ搬送する。
【0041】
処理室での処理が終了したら、ゲートバルブ70a,70b,70cのうち対応するものを開け、基板支持アーム51をその処理室に進出させ、処理済みの基板Gを受け取る。次いで、基板支持アーム51を共通搬送室10に退避させ、そのゲートバルブを閉じる。次いで、基板支持アーム51をロードロック室40に相対させ、共通搬送室10とロードロック室40との間のゲートバルブ70dを開け、基板支持アーム51をロードロック室40に進出させ、処理済みの基板Gをロードロック室40へ搬送する。次いで、基板支持アーム51を共通搬送室10に退避させ、共通搬送室10とロードロック室40との間のゲートバルブ70dを閉じ、ロードロック室40内を大気雰囲気にする。この後、ゲート63を開けて大気側基板搬送装置(図示せず)により処理済みの基板Gをロードロック室40から搬出する。
【0042】
(第1の実施形態に係るゲートバルブの動作)
次に、第1の実施形態におけるゲートバルブ70aの動作について説明する。なお、ゲートバルブ70b,70cについても同様である。
【0043】
上述したように、ゲートバルブ70aは、ハウジング71の垂直壁部71bに設けられた開口部71aを弁体72により開閉する。
【0044】
処理室30a内で、基板Gに対してエッチングや成膜等の処理ガスを用いた処理を行う処理が行われる際には、
図2に示すように、ゲートバルブ70aの弁体72は開口部71aを閉塞した状態となっている。具体的には、弁体72の閉塞面72aが開口部71aおよびその周囲を覆い、第1のシール部81の内側枠部83が第2のシール部82の凹部87に挿入され、第2シール部82の突出部88が第1のシール部の凹部85に挿入されてラビリンス構造のシールが形成される。このとき、凹部85の底部に設けられたOリング86が突出部88のシール面に当接して密封状態が形成される。
【0045】
処理室30a内での処理が終了した後、
図5(a)に示すように、進退駆動機構(図示せず)により弁体72を後退位置に後退させ、次いで、
図5(b)に示すように、昇降駆動機構(図示せず)により弁体72を下降させて開口部71aを開放し、その状態で処理室30aから基板Gを搬出する。
【0046】
逆に、
図5(b)の開放状態から、弁体72により開口部71aを閉塞する際には、昇降駆動機構(図示せず)により弁体72を上昇させて、
図5(a)に示す、弁体72が開口部71aに対応する高さ位置になった時点で、進退駆動機構(図示せず)により弁体72を閉塞位置まで進出させ、
図2の状態とする。
【0047】
ところで、処理室30aでの処理が成膜やエッチング等の処理ガスを用いた処理を行うものの場合、処理ガスは開口部71aを通ってOリングの周囲までは侵入しうるため、処理中に開口部71aから侵入した処理ガスの成分がOリング86の周囲に堆積物を生じ、この堆積物から発生したパーティクルがOリング86の周囲に付着することがある。従来は、
図6(a)に示すように、垂直壁部71bの開口部71aの周囲部分のシール部は、Oリング86が設けられているのみであり、弁体72′の閉塞面72a′をシール部のOリングに当接させることによりシールしているため、弁体72′の開閉動作によりOリング86の周囲に付着しているパーティクルPが不安定となると、
図6(b)に示すように、開口部71aを開放して基板Gを搬送する際に、Oリング86の周囲部分からパーティクルPが離脱し、基板G上にパーティクルPが落下するおそれがある。
【0048】
これに対して、本実施形態のゲートバルブ70aでは、
図7に示すように、開口部71aの周囲に設けられた第1のシール部81は、開口部71aを取り囲むように、環状の内側枠部83と環状の外側枠部84との間に形成された環状の凹部85を形成し、この凹部85をOリング86の周囲から離脱するパーティクルを保持するパーティクル保持部として機能するようにしたので、Oリング86の周囲に付着したパーティクルPが弁体72の開閉動作により不安定になっても、離脱したパーティクルPは凹部85に保持され、開口部71aを開放して基板Gを搬送する際に基板G上にパーティクルPが落下することが抑制される。このため、パーティクルによる基板Gの欠陥の発生を減少させ、製品歩留まりを向上させることができる。なお、パーティクル保持部として機能する凹部85は、Oリング86の周囲から離脱するパーティクルを保持する結果、パーティクルPが基板G上に落下することのみならず、基板Gの下の部分等からの巻き上げられたパーティクルが基板Gに付着することも抑制することができる。
【0049】
また、第1のシール部81の凹部85が、開口部71aを取り囲むように設けられており、その中に第2のシール部82の突出部88が挿入されるようにしてシールされるので、凹部85が処理ガスのバリアとしても機能し、Oリング86の周囲に侵入する処理ガスの量自体を少なくすることができ、Oリング86の周囲に処理ガス成分から生じる堆積物を堆積し難くすることができる。さらに、第2のシール部82は環状の凹部87を有しており、その中に第1のシール部81の内側枠部83が挿入され、ラビリンス構造のシールが形成されるので、処理ガスをバリアする機能を一層高くすることができる。このため、メンテナンス周期を延ばすことができる。
【0050】
(第1の実施形態に係るゲートバルブにおける第1のシール部および第2のシール部の変形例)
次に、第1のシール部および第2のシール部のいくつかの変形例について説明する。
【0051】
第1の変形例では、
図8に示すように、第1のシール部81が、開口部71aを取り囲むように、垂直壁部71bの弁体側の面71eに直接形成された環状の凹部85aを有しており、その凹部85aの底部にOリング86を有している。凹部85aはザグリ加工により形成することができる。第2のシール部82は基本例と同様に構成されている。このような構成の場合も、凹部85aがOリング86の周囲から離脱するパーティクルを保持するパーティクル保持部として機能する。このため、開口部71aを開放して基板Gを搬送する際に凹部85aにパーティクルPが保持されて、基板G上にパーティクルPが落下することが抑制される。また、上記基本例と同様、弁体72により開口部71aを閉塞する際には、凹部85aが処理ガス侵入のバリアとしても機能し、Oリング86の周囲に処理ガス成分による堆積物を堆積し難くすることができる。さらに、弁体72により開口部71aを閉塞する際に、凹部85aを形成することにより開口部71aの外側に形成された環状の突出部84aが凹部87に挿入されて、やはりラビリンス構造のシールを形成することができる。
【0052】
第2の変形例では、
図9に示すように、第2のシール部82について、閉塞面72aに凹部87を形成する代わりに、閉塞面72aの外縁に周回するように突出して枠状に設けられた外側枠部88aと、その内側に突出して枠状に設けられた内側枠部88bとを形成し、これらの間に凹部87aを形成する。凹部87aは、凹部87と同じ位置に設けられており、凹部87とまったく同様に機能する。
【0053】
第3の変形例では、
図10に示すように、第2のシール部82が、弁体72の閉塞面72aの外縁に周回するように突出して枠状に設けられた環状の枠部88cを有しており、弁体72が開口部71aを閉塞する際に、枠部88cが第1のシール部81の凹部85に挿入されるようになっている。第1のシール部81は基本例と同様の構成である。このような構成の場合は、第2のシール部82に凹部が存在しないので、ラビリンス構造のシールは簡易的なものとして形成され、侵入するガスの抑制効果は下がるが、パーティクル保持部である凹部85の存在により、基板G上にパーティクルPが落下することが抑制される効果、および開口部71aを閉塞する際に、凹部85に枠部88cが挿入されて処理ガス侵入をバリアする効果を奏することができる。この場合に、第1のシール部81は、凹部85の代わりに、垂直壁部71bの弁体側の面71eに直接形成された環状の凹部85aを有するものであってもよい。
【0054】
第4の変形例では、
図11に示すように、第1のシール部81が、垂直壁部71bの弁体72側の面71eにおける開口部71aのすぐ外側の部分に沿って周回するように突出して枠状に設けられた環状の枠部83aを単独で有する。Oリング86は、枠部83aの外側を周回するように設けられている。第2のシール部82は基本例と同様である。この例では、第1のシール部81に凹部が形成されていないが、枠部83aがパーティクル保持部として機能する。つまり、環状の枠部83aの上面にパーティクルを保持することができ、搬送する基板G上にパーティクルが落下することを抑制することができる。また、弁体72が開口部71aを閉塞する際に、第1のシール部81の環状の枠部83aが第2のシール部82の凹部87に挿入されることにより、処理ガス侵入を防止するバリアが形成され、Oリング86の周囲への処理ガス成分の堆積を抑制することができる。
【0055】
なお、この例においても、第2の変形例を示す
図9と同様、第2のシール部82が、外側枠部88aおよび内側枠部88bにより凹部87aを形成したものであってもよいし、第3の変形例を示す
図10と同様、弁体72の閉塞面72aの外縁に周回するように突出して枠状に設けられた環状の枠部88cのみを有するものであってもよい。これらの場合でも、環状の枠部83aがパーティクル保持部として機能する他、処理ガス侵入のバリアとしても機能する。
【0056】
第5の変形例では、
図12(a)、(b)に示すように、第4の変形例における第1のシール部81の枠部83aの代わりに、垂直壁部71bの弁体72側の面71eにおける開口部71aの上側に庇状に突出する突出部89がパーティクル保持部として設けられている。一方、第2のシール部82においては、突出部89に対応する凹部87bが形成されており、弁体72が開口部71aを閉塞する際に、凹部87bに突出部89が挿入された状態となる。第5の変形例では、処理ガスの侵入を防止する効果は若干低いが、突出部89により、搬送する基板G上にパーティクルが落下することを抑制する機能を十分に発揮することができる。
なお、庇状の突出部89は開口部71aの上側だけでなく、開口部71aを取り囲むようにU字状に側部に延びてもよい。これにより、Oリング86の側部に付着したパーティクルが斜めに落下して基板に付着することを防ぐことができる。この時、突出部89が挿入される凹部87bもこれに対応した形に形成される。
【0057】
なお、第2のシール部82において、弁体の閉塞面72aに庇状の2つの突出部を形成することにより凹部87bを形成してもよいし、第3の変形例を示す
図10と同様、弁体72の閉塞面72aの外縁に周回するように突出して枠状に設けられた環状の枠部88cのみを有するものであってもよい。
【0058】
(第1の実施形態に係るゲートバルブのメンテナンス性を考慮した構成例)
次に、第1の実施形態に係るゲートバルブのメンテナンス性を考慮した構成例について説明する。
従来、ゲートバルブをメンテナンスする場合は、弁体と、連結部および昇降シャフト等からなる弁体移動部とを一体的に取り外す必要があり、その取り外しに時間がかかるとともに、メンテナンス後のバックラッシュ調整に長時間を要し、半日から1日の間処理システムを止める必要があった。以下の例はこのようなメンテナンス時間を短縮することができるものである。
【0059】
最初にメンテナンス性を考慮した第1の構成例について説明する。
図13は、メンテナンス性を考慮したゲートバルブの第1の構成例を示す断面図である。本例では、ゲートバルブの弁体72が、連結部75に連結された第1部分171と、閉塞面72aを含む第2部分172とを有しており、第1部分171の中央には位置決め部材173が設けられていて、第2部分172が第1部分171に、位置決め部材173で位置決めされた状態で、ねじ174により固定されており、ねじ174を取り外すことにより、第2部分172を分離して交換可能となっている。なお、第1のシール部81および第2のシール部82は、
図2に示す基本例と同様の構成を有している。位置決め部材は、一方の面に凹部と他方の面に凸部、あるいは、両方の面に凹部とこれらに嵌め合わす挿入部材というような嵌め合せ構造であってもよく、この場合、中央に限られず複数個所に設けてもよい。また、嵌め合せ構造に限られず、第1部分及び第2部分の側面において位置合わせを行うような構造であってもよい。
【0060】
このようなゲートバルブをメンテナンスする際には、
図14の(a)に示すように、弁体72を下降させた状態でねじ174を取り外し、引き続き、(b)に示すように、閉塞面72aを含む第2部分172を取り外し、第2部分172を交換する。
【0061】
メンテナンスにおいては、弁体72の閉塞面72a側に堆積した堆積物を除去することが主体となるが、本例では弁体72の第2部分172を取り外して交換するだけでよく、メンテナンス時間を著しく低減することができる。
【0062】
なお、
図13では第1のシール部81および第2のシール部82として、
図2の基本例を用いているが、上記第1〜第5の変形例の構成を用いてもよい。この場合も、メンテナンスについては
図14と同様にして行われる。また、閉塞面72aを含む第2部分172を取り外すようにしたが、弁体72の全部を連結部75から取り外して交換するようにしてもよい。
【0063】
次にメンテナンス性を考慮した第2の構成例について説明する。
図15は、メンテナンス性を考慮したゲートバルブの第2の構成例を示す断面図である。本例では、ゲートバルブの弁体72が、連結部75に連結された第1部分171と、閉塞面72aを含む第2部分172とを有しており、第2部分172が第1部分171に、中央の位置決め部材173で位置決めされた状態で、ねじ174により固定されている点は第1の構成例と同じであるが、第1のシール部81および第2のシール部82として、
図11の第4の変形例の構成を有し、弁体72の第2部分172の周縁近傍部分に仮固定部181を有している。
【0064】
このようなゲートバルブをメンテナンスする際には、
図16の(a)に示すように、弁体72の第2部分172の仮固定部181に仮固定ねじ182を装着し、垂直壁部71bの開口部71aに対応する部分に仮固定した後、ねじ174を外す。その後、(b)に示すように、第1部分171と第2部分172を分離させた後、第1部分171と弁体移動部73とを下降させ、仮固定されている第2部分172を交換し、交換した第2部分172を再び仮固定ねじ182で仮固定する。その後は、弁体移動部73を介して第1部分171を上昇させて、第1部分171と新しい第2部分172とをねじ174により固定する。
【0065】
本例においても、従前の例と同様、メンテナンスの際に第2部分172を交換するだけでよいので、メンテナンス時間を短縮することができる。また、第2部分172を垂直壁部71bの開口部71aに対応する部分に仮固定し、第1部分171および弁体移動部73を下降させてから第2部分172を交換するので、第2部分172が第1部分171や弁体移動部73と干渉することがなく、交換が容易である。
【0066】
なお、
図15では第1のシール部81および第2のシール部82として、
図11の第4の変形例を用いているが、これに限るものではない。
【0067】
次に、メンテナンス性を考慮した第3の構成例について説明する。
図17は、メンテナンス性を考慮したゲートバルブの第3の構成例を示す断面図である。本例では、第1の構成例と同様、ゲートバルブの弁体72が、連結部75に連結された第1部分171と、閉塞面72aを含む第2部分172とを有している。第1の構成例と異なるのは、第2部分172が第1部分171に中央の位置決め部材173で位置決めされて固定される際に、処理室側から開口部71aを介してねじ175により固定されている点、および弁体72の閉塞面72aの開口部71a上部に対応する位置および垂直壁部71bの開口部71a正面に対応する位置に、それぞれ仮固定部184a、184bを有する点である。なお、第1のシール部81および第2のシール部82は、
図2に示す基本例と同様の構成を有している。
【0068】
このようなゲートバルブをメンテナンスする際には、
図18の(a)に示すように、処理室側から仮固定ブラケット185を挿入し、仮固定ブラケット185を第2部分172の仮固定部184aと仮固定部184bに取り付けて第2部分172を垂直壁部71bに仮固定した後、処理室側からねじ175を取り外す。その後、(b)に示すように、第1部分171と第2部分172を分離させた後、第1部分171と弁体移動部73とを下降させ、仮固定されている第2部分172を処理室側から交換し、交換した第2部分172を再び仮固定ブラケット185で仮固定する。その後、(c)に示すように、第1部分171と弁体移動部73とを第2部分172に対応する位置まで上昇させて位置決め部材173により位置決めし、次いで、仮固定ブラケット185を処理室側へ取り外し、ねじ175を処理室側から挿入して第2部分172を第1部分171に固定する。これにより全て処理室側からの作業により、ゲートバルブのメンテナンスを行うことができる。仮固定ブラケット185を仮固定部184a及び仮固定部184bに取り付ける方法としては、
図18においては例としてねじ止めを示したが、固定できればねじ止めに限られず、例えば、仮固定ブラケット185と仮固定部184a及び仮固定部184bが嵌め合わされて固定される嵌め込み構造を用いても良い。また、ねじ止めで固定する場合、メンテナンス以外の場合にねじ穴が露出することを避けるために、保護用のねじを挿入しておいたり、また、保護板を設けるなどの方法により、ねじ穴を保護しておいてもよい。
【0069】
上記第1の構成例および第2の構成例は、ゲートバルブのメンテナンスの際に、共通搬送室10側からアクセスする必要があり、このため、一つの処理室に対応するゲートバルブをメンテナンスする際に、共通搬送室10内の基板搬送装置50を停止する必要があり、他の処理室での処理ができない。これに対して、本例では、処理室側からゲートバルブのメンテナンスを行うことができるので、一つの処理室に対応するゲートバルブをメンテナンスする際でも、他の処理室による処理を行うことができ、メンテナンスによるスループット低下を小さくすることができる。
【0070】
なお、
図17では第1のシール部81および第2のシール部82として、
図2の基本例を用いているが、上記第1〜第5の変形例の構成を用いてもよい。この場合も、メンテナンスについては
図18と同様にして行われる。
【0071】
次にメンテナンス性を考慮した第4の構成例について説明する。
図19は、メンテナンス性を考慮したゲートバルブの第4の構成例を示す断面図である。本例では、ゲートバルブの弁体72が、連結部75に連結された第1部分191と、閉塞面72aを含む第2部分192とを有している。第1部分191は閉塞面72aの下側部分を含むように構成され、第2部分192の高さ方向の幅は、開口部71aの高さ方向の幅よりも短くなるように構成されている。第1部分191の中央には位置決め部材193が設けられていて、第2部分192が第1部分191に、位置決め部材193で位置決めされた状態で、処理室側から挿入されたねじ176により固定されている。ねじ176を取り外すことにより、第2部分192を分離して交換可能となっている。第1のシール部81および第2のシール部82としては、
図12の第5の変形例の構成を有している。すなわち、第1のシール部81として、垂直壁部71bの弁体72側の面71eにおける開口部71aの上側に庇状に突出する突出部89がパーティクル保持部として設けられており、第2のシール部82として、第2部分192の突出部89に対応する部分に凹部87bが形成されており、弁体72が開口部71aを閉塞する際に、凹部87bに突出部89が挿入された状態となる。弁体72の閉塞面72aについては、第1部分191に対応する領域と、第2部分192に対応する領域とに分断されるため、図示していないが、例えば、第2部分192の下端と第1部分191との接合部においてシール部材を設けるなどして気密性を保つ構造とする。
【0072】
このようなゲートバルブをメンテナンスする際には、
図20に示すように、ねじ176を処理室側から取り外した後、第1部分191および弁体移動部73を共通搬送室10側へスライドした後、第2部分192を第1部分から分離させ、斜めにした状態で処理室側へ取り外すことができる。このようにすることにより、開口部71aが狭い場合でも、仮固定のための治具を使うことなく、処理室側からメンテナンスを行うことができる。
【0073】
なお、本例では、弁体72の閉塞面72aが、第1部分191に対応する領域と、第2部分192に対応する領域とに分断されるため、第1のシール部81および第2のシール部82として上記第5の変形例を用いているが、環状の枠部や環状の凹部を第1部分191および第2部分192に跨って精度良く形成することができれば、第1のシール部81および第2のシール部82として基本例および第1〜第4の変形例を用いてもよい。
【0074】
次に、メンテナンス性を考慮した第5の構成例について説明する。
図21は、メンテナンス性を考慮したゲートバルブの第5の構成例を示す断面図である。本例では、第3の構成例と同様、ゲートバルブの弁体72が、連結部75に連結された第1部分171と、閉塞面72aを含む第2部分172とを有し、第2部分172が第1部分171に中央の位置決め部材173で位置決めされて固定される際に、処理室側から開口部71aを介してねじ175により固定されている。また、第3の構成例とは異なり、第1のシール部81を含む開口部71aの周囲部分および処理室の搬入出口61aの周囲部分を含む周囲部材202が取り外し可能となっている。また、第1のシール部81および第2のシール部82が、
図8の第1の変形例の構成を有している。すなわち、第1のシール部81が、垂直壁部71bの弁体側の面71eに、パーティクル保持部として機能する環状の凹部85aが開口部71aを取り囲むように直接形成されている。
【0075】
このようなゲートバルブをメンテナンスする際には、
図22に示すように、最初に周囲部材202を処理室側に取り外して広い開口部203を形成し、次いで、ねじ175を処理室側から取り外した後、弁体72の第2部分172を開口部203介して処理室側から交換する。
【0076】
これにより、第3の構成例と同様に全て処理室側からの作業によりゲートバルブのメンテナンスを行える他、垂直壁部71b側の第1のシール部81を含む周囲部材202を取り外し可能としたことで、第1のシール部81も容易にメンテナンスすることができる。また、周囲部材202を取り外すことにより、広い開口部203が形成されるので、弁体72の第1部分171を移動することなく、また、第2部分172を仮固定することなく、第2部分172を交換することができる。このため、ゲートバルブのメンテナンスを一層容易に行うことができる。
【0077】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について説明する。
本実施形態では、複数の基板を多段に配置して所定の処理を行う処理装置を有する基板処理システムに本発明を適用した例について説明する。
【0078】
本実施形態の基板処理システムの平面図は
図1と同様であるが、共通搬送室10、処理室30a,30b,30cおよびロードロック室40は、いずれも複数の基板Gを高さ方向に配置可能となっている。基板搬送装置50は、複数の基板を搬送するように構成されている。
【0079】
3つの基板を搬送する場合を例にとると、基板搬送装置50は、
図23に示すように、垂直方向に配列された3つの基板支持アーム51a,51b,51cが旋回可能なベース部材52上を直線走行可能に構成されており、これによる進出退避動作および旋回動作により処理室30a,30b,30c、およびロードロック室40にアクセス可能となっている。なお、符号53は、ベース部材52の旋回動作を実現するための駆動系である。
【0080】
処理室30a,30b,30cは、複数の基板Gをそれぞれ処理するための複数の処理空間を有しており、各処理空間に対応して、それぞれ複数の搬入出口61aを有している。一方、共通搬送室10は、複数の基板Gが一括して通過可能なように一つの開口部60を有している。
【0081】
第1の実施形態と同様、共通搬送室10と、これらに接続されている処理室30a,30b,30cとの間には、それぞれゲートバルブ70a,70b,70cが設けられており、共通搬送室10とロードロック室40との間には、ゲートバルブ70dが設けられている。ただし、本実施形態のゲートバルブは複数の基板を搬送する際に適用されるものであるため、その構成は第1の実施形態とは異なっている。
また、第1の実施形態と同様、単一の処理室のみを有し直線状に配列された構成であってもよい。
【0082】
(第2の実施形態に係るゲートバルブの構成)
次に第2の実施形態におけるゲートバルブについて詳細に説明する。
ここでは、共通搬送室10と処理室30aとの間ゲートバルブ70aを例にとって説明する。ゲートバルブ70b,70cもゲートバルブ70aと同様に構成されている。
【0083】
図24は、第2の実施形態におけるゲートバルブ70aの縦断面図である。第2の実施形態におけるゲートバルブ70aは、共通搬送室10と処理室30aとの間に設けられたハウジング71を有しており、ハウジング71の処理室30a側の垂直壁部71bには、処理室30aの複数の搬入出口61aに対応する位置に複数の開口部71aが形成されている。一方、ハウジング71の共通搬送室10側の垂直壁部71dには共通搬送室10の開口部60に対応する開口部71cが形成されている。なお、本実施形態では、搬入出口61aおよび開口部71aが3つの場合について例示している。処理室30a内には、基板Gを処理するための3つの処理空間#1〜#3を有しており、各処理空間は、各搬入出口61aに対応する位置に存在する。なお、各処理空間が仕切られていてもよい。
【0084】
本実施形態のゲートバルブ70aは、また、ハウジング71内に設けられた、複数の開口部71aをそれぞれ開閉する複数の弁体72と、弁体72を移動させる弁体移動部73とを有している。弁体72の開口部71a側の面は開口部71aよりも大面積の閉塞面72aとなっており、弁体72が開口部71aを閉塞する際には、閉塞面72aが開口部71aおよびその周囲を覆うようになっている。弁体移動部73は、駆動機構(図示せず)の動力を弁体72に伝達して移動させるものであり、昇降ロッド74と、昇降ロッド74に複数の弁体72を連結する複数の連結部75とを有している。
【0085】
駆動機構は、昇降機構および進退機構(いずれも図示せず)を有しており、昇降機構により昇降ロッド74を介して一括して複数の弁体72が昇降され、複数の弁体72が対応する開口部71aに対応する高さ位置にあるときに、進退機構により、開口部71aを閉塞する閉塞位置と、開口部71aから後退した後退位置との間で一括して移動可能となっている。基板Gを搬送する際には、複数の弁体72を、進退機構により一括して閉塞位置から後退位置へ後退させてから、昇降機構により開口部71aの下方の退避位置へ一括して下降させる。なお、複数の弁体72は個別に駆動するようにしてもよい。
【0086】
ゲートバルブ70aは、さらに、ハウジング71の垂直壁部71bのそれぞれの開口部71aの周囲に設けられた第1のシール部81と、それぞれの弁体72に設けられた第2のシール部82とを有する。第2のシール部82は、弁体72が開口部71aを閉塞する際に、第1のシール部81に対応する位置で第1のシール部81と協働して弁体72と垂直壁部71bとの間をシールする。
【0087】
各第1のシール部81は、第1の実施形態の
図2および
図3に示す基本例と同様、垂直壁部71bの弁体72側の面71eにおける開口部71aの外側に周回するように突出して枠状に設けられた環状の内側枠部83および外側枠部84とを有し、内側枠部83と外側枠部84との間には開口部71aを取り囲むように、パーティクル保持部として機能する環状の凹部85が形成されている。また、第1のシール部81は、凹部85の底部に沿って設けられた環状のOリング86を有している。
【0088】
各第2のシール部82は、第1の実施形態の
図2および
図4に示す基本例と同様、弁体72の閉塞面72aに形成された、内側枠部83が挿入される環状の凹部87と、凹部87の外側部分に形成され、凹部85に挿入される環状の突出部88とを有する。
【0089】
第1の実施形態の基本例と同様、弁体72が開口部71aを閉塞する際には、第1のシール部の内側枠部83が第2のシール部82の凹部87に挿入され、第2のシール部82の突出部88が第1のシール部の凹部85に挿入されてラビリンス構造のシールが形成される。このとき、突出部88の先端面がOリング86に当接するシール面となる。
【0090】
(第2の実施形態に係るゲートバルブの動作)
次に、第2実施形態におけるゲートバルブ70aの動作について説明する。
処理室30a内で、基板Gに対してエッチングや成膜等の処理ガスを用いた処理を行う処理が行われる際には、
図24に示すように、ゲートバルブ70aの複数の弁体72はそれぞれ対応する開口部71aを閉塞した状態となっている。弁体72による開口部71aの閉塞状態は、第1の実施形態における
図2に示す状態と同様である。
【0091】
処理室30a内での処理が終了した後、
図25に示すように、進退駆動機構により複数の弁体72を一括して後退位置に後退させ、次いで、昇降駆動機構により複数の弁体72を一括して下降させて、弁体72が開口部71aとこれに隣接する他の開口部71aとの間の部分に位置するようにして開口部71aを開放した状態とし、その状態で処理室30aから複数の基板Gを搬出する。逆に、開放状態から、弁体72により開口部71aを閉塞する際には、昇降駆動機構により複数の弁体72を一括して上昇させて、各弁体72が開口部71aに対応する高さ位置になった時点で、進退駆動機構により複数の弁体72を閉塞位置まで進出させ、
図24の状態とする。この際の動作は、第1の実施形態の
図5の(a),(b)に準じて行われる。
【0092】
それぞれの開口部71aの周囲に設けられた第1のシール部81は、開口部71aを取り囲むように、環状の内側枠部83と環状の外側枠部84との間に形成された環状の凹部85を形成し、この凹部85をOリング86の周囲に付着するパーティクルを保持するパーティクル保持部として機能するようにしたので、第1の実施形態と同様、開口部71aを開放して基板Gを搬送する際に、基板G上にパーティクルが落下することが抑制される。このため、パーティクルによる基板Gの欠陥の発生を減少させ、製品歩留まりを向上させることができる。
【0093】
また、第1のシール部81の凹部85が、開口部71aを取り囲むように設けられており、その中に第2のシール部82の突出部88が挿入されるようにしてシールされるので、凹部85が処理ガスのバリアとしても機能し、Oリング86の周囲に侵入する処理ガスの量自体を少なくすることができ、Oリング86の周囲に処理ガス成分を堆積し難くすることができる。さらに、第2のシール部82は環状の凹部87を有しており、その中に第1のシール部81の内側枠部83が挿入され、ラビリンス構造のシールが形成されるので、処理ガスをバリアする機能を一層高くすることができる。このため、メンテナンス周期を延ばすことができる。
【0094】
なお、第2の実施形態においても、第1のシール部および第2のシール部として、第1の実施形態の第1〜第5の変形例のものを用いることができる。ただし、
図12に示す第5の変形例の場合には、開口部71aの上側に庇状に突出する突出部89をパーティクル保持部として設けられ、開口部71aの下側の部分にはパーティクル保持部が存在しないので、その開口部71aの下に他の開口部71aが存在する場合には、他の開口部71aを基板Gが通過する際に、その基板Gにパーティクルが落下するおそれがあるので好ましくない。
【0095】
また、第1の実施形態におけるゲートバルブのメンテナンス性を考慮した構成例1〜5を適用することも可能である。
【0096】
<他の適用>
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく種々変形可能である。例えば、上記実施の形態においては、進退機構が所定の高さ位置で弁体を水平に駆動するように記載したが、弁体を進退させる際にリンク機構等により斜めに移動するようにしてもよい。また、ゲートバルブとしてハウジングを有するものを示したが、開口部を有する壁部が存在すればハウジングでなくてもよい。さらに、ゲートバルブの開口部を有する壁部が、処理室の搬入出口を有する壁部であってもよい。さらにまた、処理する基板として、液晶ディスプレイ(LCD)のようなFPD用ガラス基板あるいは太陽電池用ガラス基板を例示したが、これに限らず、半導体基板等の他の基板に適用可能であることはいうまでもない。