【実施例】
【0027】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0028】
[実施例1]
図1は、実施例1における本発明の光学フィルムの構成を示す平面図である。実施例1では、偏光板100における長さ方向の中央部表面に、偏光板100の半分の長さをもつ2分の1波長板101を貼付した光学フィルムを用いる。言い換えると、符号100で表される領域は2分の1波長板を貼付していない領域であり、符号101で表される領域は2分の1波長板が貼付された領域である。偏光板100の表面に2分の1波長板101を貼付するに際し、符号102の矢印で表される偏光板の透過軸と、符号103の矢印で表される2分の1波長板の延伸方向の軸とがなす角が45度になるようにした。
図2は、
図1に示した光学フィルムを円筒状にしたときに、虚像の見え方を模式的に示す斜視図である。
図1で示した光学フィルムを
図2のように円筒状とするに際しては、
図1で示した光学フィルムを、2分の1波長板101が内面側になるように単に丸めるだけでもよいし、また当該光学フィルムの面のうち2分の1波長板101の貼付された側の面に糊の層を設けて瓶などの筒状の構造物に貼付してもよい。
図2において、矢印117は、2分の1波長板が貼付されていない領域を表し、
図1における符号100で表された領域に対応する。矢印118は、2分の1波長板が貼付された領域であり、
図1における符号101で表された領域に対応する。2分の1波長板は、筒状の構造物の内面側となる。
【0029】
符号110で表される領域では、観察者と対向して筒状の構造物に入った光は、偏光板を通過したときに縦方向に振動する偏光となって構造物の内部を移動する。観察者側の偏光板の透過軸は縦方向でこの偏光の振動方向と平行であるので、構造物の内部を通過してきた偏光は観察者側の偏光板を透過する。このため、観察者には領域110が透明であるように観察される。
【0030】
符号112で表される領域では、符号110で表される領域の場合と同様に、観察者と対向して筒状の構造物に入った光は、観察者とは反対側に位置する偏光板を透過することに伴って、構造物の内部での偏光の振動方向が縦方向になっている。そして、この偏光が観察者側の偏光板の内側(筒状構造物の内面側)に貼付された2分の1波長板を通過するとき、偏光の振動方向と2分の1波長板の延伸方向とは約45度の角度をなすため、2分の1波長板を通過する際に縦方向に振動している偏光が90度回転し横方向に振動する偏光となる。このため、観察者側の偏光板でこの偏光は吸収される。その結果、符号112で表される領域は黒色又は青色に観察される。
【0031】
符号111で表される領域では、観察者と対向して筒状の構造物に入った光は、観察者とは反対側に位置する偏光板を通過して縦方向に振動する偏光となり、さらにその偏光板に貼付された2分の1波長板を通過したときに振動方向が90度回転し横方向に振動する偏光となって、筒状の構造物の内部を移動する。そして、この偏光は、観察者側の偏光板の内面側に貼付された2分の1波長板を通過するとき、90度回転して縦方向に振動する偏光となって観察者側の偏光板に入る。この偏光の振動方向と偏光板の透過軸方向とは互いに平行となるため、その際に偏光は吸収されずに通過する。その結果、符号111で表される領域は、符号110で表される領域と同様に透明に観察される。
【0032】
上記のメカニズムで、観察者には、筒状の構造物の内部のうち符号112で表される領域の部分に板状の物体があるかのような錯覚を生じる。なお、符号113、114、115及び116で表される領域を抜けてくる光は、偏光板を1回だけしか通過しないため透明に観察される。このため符号112で表される領域における板状の物体は一部が欠けたような板として観察されることになる。しかし、実際にはこの上下の部分が欠けて見えるのはほとんど気にならない。
【0033】
このようなメカニズムにより、観察者からは、あたかも円筒の中に黒色又は青色の板が存在しているように見える。この円筒状の光学フィルムを例えば瓶等の透明容器の表面に貼付すると、
図3に示すように、観察者からは、容器の中に黒色又は青色の薄い板が存在しているように見える。なお、
図3では、ガラス製容器のひずみにより、生成した虚像の一部がゆがんで見える。容器の中に透明な液体が入っている場合には、透明な液体の中に黒色又は青色の板が存在しているように見え不思議な感興を催す。このことは不思議であると同時に新鮮であり観察者に新鮮な驚きを与える。
【0034】
[実施例2]
図4は、実施例2における本発明の光学フィルムの構成を示す平面図である。実施例2では、長方形である偏光板120の表面に、底辺の長さがこの長方形の長さ方向の辺の長さと同じであり、高さがこの長方形の幅方向の辺の長さと同じである三角形の形状をした2分の1波長板122を、三角形の底辺と長方形の長さ方向の一方の辺とが重なるように貼付した光学フィルムを用いる。言い換えると、符号120で表される領域は2分の1波長板を貼付していない領域であり、符号122で表される領域は2分の1波長板が貼付された領域である。偏光板120の表面に2分の1波長板122を貼付するに際し、矢印121で表される偏光板の透過軸と、矢印123で表される2分の1波長板の延伸方向の軸とがなす角が45度になるようにした。
図5は、
図4に示した光学フィルムを円筒状にしたときに、虚像の見え方を模式的に示す側面図である。
図4で示した光学フィルムを円筒状とするに際しては、
図4で示した光学フィルムを、2分の1波長板122が内面側になるように単に丸めるだけでもよいし、また当該光学フィルムの面のうち2分の1波長板122の貼付された側の面に糊の層を設けて瓶などの筒状の構造物に貼付してもよい。
【0035】
符号130で表される領域は、入射光が2分の1波長板の貼付されていない領域のみを通過する部分である。すなわち、
図4において符号121で表される領域のみを入射光が通過してくる部分である。符号131で表される領域は、入射光が2分の1波長板の貼付されていない領域(符号120で表される領域)から入り、2分の1波長板の貼付された領域(符号122で表される領域)を経て観察者側に届くか、入射光が2分の1波長板の貼付された領域(符号122で表される領域)から入り、2分の1波長板の貼付されていない領域(符号120で表される領域)を経て観察者側に届く部分である。符号132で表される領域は、入射光が2分の1波長板の貼付された領域(符号122で表される領域)から入り、再度2分の1波長板の貼付された領域(符号122で表される領域)を経て観察者側に届く部分である。
【0036】
符号130で表される領域では、観察者と対向して筒状の構造物に入った光は、偏光板(符号121で表される領域)を通過したときに縦方向に振動する偏光となって構造物の内部を移動する。観察者側の偏光板(符号121で表される領域)の透過軸は縦方向でこの偏光の振動方向と平行であるので、構造物の内部を通過してきた偏光は観察者側の偏光板(符号121で表される領域)を透過する。このため、観察者には符号130で表される領域が透明であるように観察される。
【0037】
符号131で表される領域では、符号130で表される領域の場合と同様に、観察者と対向して筒状の構造物に入った光は、観察者とは反対側に位置する偏光板(符号121で表される領域)を透過することに伴って、構造物の内部での偏光の振動方向が縦方向になっている。そして、この偏光が観察者側の偏光板の内側(筒状構造物の内面側)に貼付された2分の1波長板(符号122で表される領域)を通過するとき、偏光の振動方向と2分の1波長板の延伸方向とは約45度の角度をなすため、2分の1波長板を通過する際に縦方向に振動している偏光が90度回転し横方向に振動する偏光となる。このため、観察者側の偏光板(符号122で表される領域)でこの偏光は吸収される。その結果、符号131で表される領域は黒色又は青色に観察される。また角度によっては、入射光が符号122で表される領域から入り符号121で表される領域から出てくる場合もあるが同様に黒色または青色に観察される。
【0038】
符号132で表される領域では、観察者と対向して筒状の構造物に入った光は、観察者とは反対側に位置する偏光板(符号122で表される領域)を通過して縦方向に振動する偏光となり、さらにその偏光板に貼付された2分の1波長板を通過したときに振動方向が90度回転し横方向に振動する偏光となって、筒状の構造物の内部を移動する。そして、この偏光は、観察者側の偏光板の内面側に貼付された2分の1波長板を通過するとき、90度回転して縦方向に振動する偏光となって観察者側の偏光板(符号122で表される領域)に入る。この偏光の振動方向と偏光板の偏光板の透過軸方向とは互いに平行となるため、その際に偏光は吸収されずに透過する。
【0039】
以上の結果、本実施例の錯視で見える像は「木の葉」のように見える。この円筒状のフィルムを透明容器の表面に貼ると、
図6に示す写真のように、容器の中に青色の「木の葉」があるように見える。また、この容器の中に内容物が含まれている場合には、
図7に示す写真のように、その内容物が容器の中に存在する木の葉の虚像を突き抜けているように見える。さらに、貼付した2分の1波長板の一部を細い帯状に切り取り「木の葉」の筋を表現することもできる。
【0040】
一方、本発明によらずに、本発明と同様に虚像を生じさせるためには、透過軸が直交する2枚の偏光板を正確に張り合わせることが必要で、そのような方法で実現できる形状は限られている。そのため、こうした2枚の偏光板を用いる方法は玩具や科学啓蒙用のオブジェなどごく限られた用途に限られている。特にラベル等をこのような方法で作製する場合は、2枚の偏光方向の異なる偏光板を、隙間を生じないように正確に貼付する必要があるため工業的な方法としては不適当である。さらにこの方法で実現できる形状も極単純な形状に限られる。