【実施例】
【0047】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0048】
[実施例1]
エピタキシャル成長を行うウェーハとして、面取り幅が0.20mmの面取形状を持つ直径300mmのPWウェーハ(シリコン単結晶からなる鏡面研磨ウェーハ)を準備した。このときのウェーハのダレ量は、中心から148mmの地点(外周端から2mmの地点)での傾斜量として測定される値(ZDD)で、−20nm/mm
2(ダレ形状)とした。次に、このウェーハに3.5μm厚さのエピタキシャル層を積層した。エピタキシャル成長条件の調整により、エピタキシャル成長後のダレ量は−60nm/mm
2とした。このようにして作製したエピタキシャルウェーハをベースウェーハとして使用した。
一方、ボンドウェーハとしては、面取り幅が0.35mmの面取形状で、貼り合わせ面側の外周のダレ量が−20nm/mm
2である直径300mmのPWウェーハに対し、膜厚200nmのBOX酸化膜を形成し、加速エネルギー50keV、ドーズ量5.0×10
16/cm
2の条件で水素イオン注入を実施したものを、ボンドウェーハとして使用した。
次に、ボンドウェーハとベースウェーハの貼り合わせを行い、500℃30分の剥離熱処理を施した。その結果、ボンドウェーハが剥離されてSOIウェーハを得ることができた。作製したSOIウェーハは、面取り幅が0.20mm、面取り部の端からSOI層の端までの幅が0.80mmであり、これらの合計(テラス幅)は1.00mmであった。
ベースウェーハ、ボンドウェーハの面取り幅とダレ量を表1に示す。また、作製したSOIウェーハの面取り幅、面取り部の端からSOI層の端までの幅、及びテラス幅を表2に示す。
【0049】
[実施例2]
エピタキシャル成長を行うウェーハとして、面取り幅が0.35mmの面取形状を持つ直径300mmのPWウェーハ(シリコン単結晶からなる鏡面研磨ウェーハ)を準備した。このときのウェーハのダレ量は、中心から148mmの地点(外周端から2mmの地点)での傾斜量として測定される値(ZDD)で、+20nm/mm
2(ハネ形状)とした。次に、このウェーハに3.5μm厚さのエピタキシャル層を積層した。エピタキシャル成長条件の調整により、エピタキシャル成長後のダレ量は−30nm/mm
2とした。このようにして作製したエピタキシャルウェーハをベースウェーハとして使用した。
一方、ボンドウェーハとしては、面取り幅が0.35mmの面取形状で、貼り合わせ面側の外周のダレ量が−20nm/mm
2である直径300mmのPWウェーハに対し、膜厚200nmのBOX酸化膜を形成し、加速エネルギー50keV、ドーズ量5.0×10
16/cm
2の条件で水素イオン注入を実施したものを、ボンドウェーハとして使用した。
次に、ボンドウェーハとベースウェーハの貼り合わせを行い、500℃30分の剥離熱処理を施した。その結果、ボンドウェーハが剥離されてSOIウェーハを得ることができた。作製したSOIウェーハは、面取り幅が0.35mm、面取り部の端からSOI層の端までの幅が0.65mmであり、これらの合計(テラス幅)は1.00mmであった。
ベースウェーハ、ボンドウェーハの面取り幅とダレ量を表1に示す。また、作製したSOIウェーハの面取り幅、面取り部の端からSOI層の端までの幅、及びテラス幅を表2に示す。
【0050】
[実施例3]
エピタキシャル成長を行うウェーハとして、面取り幅が0.35mmの面取形状を持つ直径300mmのPWウェーハ(シリコン単結晶からなる鏡面研磨ウェーハ)を準備した。このときのウェーハのダレ量は、中心から148mmの地点(外周端から2mmの地点)での傾斜量として測定される値(ZDD)で、−40nm/mm
2(ダレ形状)とした。次に、このウェーハに3.5μm厚さのエピタキシャル層を積層した。エピタキシャル成長条件の調整により、エピタキシャル成長後のダレ量は−30nm/mm
2とした。このようにして作製したエピタキシャルウェーハをベースウェーハとして使用した。
一方、ボンドウェーハとしては、面取り幅が0.35mmの面取形状で、貼り合わせ面側の外周のダレ量が−20nm/mm
2である直径300mmのPWウェーハに対し、膜厚200nmのBOX酸化膜を形成し、加速エネルギー50keV、ドーズ量5.0×10
16/cm
2の条件で水素イオン注入を実施したものを、ボンドウェーハとして使用した。
次に、ボンドウェーハとベースウェーハの貼り合わせを行い、500℃30分の剥離熱処理を施した。その結果、ボンドウェーハが剥離されてSOIウェーハを得ることができた。作製したSOIウェーハは、面取り幅が0.35mm、面取り部の端からSOI層の端までの幅が0.60mmであり、これらの合計(テラス幅)は0.95mmであった。
ベースウェーハ、ボンドウェーハの面取り幅とダレ量を表1に示す。また、作製したSOIウェーハの面取り幅、面取り部の端からSOI層の端までの幅、及びテラス幅を表2に示す。
【0051】
[実施例4]
エピタキシャル成長を行うウェーハとして、面取り幅が0.15mmの面取形状を持つ直径300mmのPWウェーハ(シリコン単結晶からなる鏡面研磨ウェーハ)を準備した。このときのウェーハのダレ量は、中心から148mmの地点(外周端から2mmの地点)での傾斜量として測定される値(ZDD)で、+20nm/mm
2(ハネ形状)とした。次に、このウェーハに3.5μm厚さのエピタキシャル層を積層した。エピタキシャル成長条件の調整により、エピタキシャル成長後のダレ量は−20nm/mm
2とした。このようにして作製したエピタキシャルウェーハをベースウェーハとして使用した。
一方、ボンドウェーハとしては、面取り幅が0.35mmの面取形状で、貼り合わせ面側の外周のダレ量が−20nm/mm
2である直径300mmのPWウェーハに対し、膜厚200nmのBOX酸化膜を形成し、加速エネルギー50keV、ドーズ量5.0×10
16/cm
2の条件で水素イオン注入を実施したものを、ボンドウェーハとして使用した。
次に、ボンドウェーハとベースウェーハの貼り合わせを行い、500℃30分の剥離熱処理を施した。その結果、ボンドウェーハが剥離されてSOIウェーハを得ることができた。作製したSOIウェーハは、面取り幅が0.15mm、面取り部の端からSOI層の端までの幅が0.65mmであり、これらの合計(テラス幅)は0.80mmであった。
ベースウェーハ、ボンドウェーハの面取り幅とダレ量を表1に示す。また、作製したSOIウェーハの面取り幅、面取り部の端からSOI層の端までの幅、及びテラス幅を表2に示す。
【0052】
[実施例5]
エピタキシャル成長を行うウェーハとして、面取り幅が0.15mmの面取形状を持つ直径300mmのPWウェーハ(シリコン単結晶からなる鏡面研磨ウェーハ)を準備した。このときのウェーハのダレ量は、中心から148mmの地点(外周端から2mmの地点)での傾斜量として測定される値(ZDD)で、−20nm/mm
2(ダレ形状)とした。次に、このウェーハに3.5μm厚さのエピタキシャル層を積層した。エピタキシャル成長条件の調整により、エピタキシャル成長後のダレ量は−10nm/mm
2とした。このようにして作製したエピタキシャルウェーハをベースウェーハとして使用した。
一方、ボンドウェーハとしては、面取り幅が0.35mmの面取形状で、貼り合わせ面側の外周のダレ量が−20nm/mm
2である直径300mmのPWウェーハに対し、膜厚200nmのBOX酸化膜を形成し、加速エネルギー50keV、ドーズ量5.0×10
16/cm
2の条件で水素イオン注入を実施したものを、ボンドウェーハとして使用した。
次に、ボンドウェーハとベースウェーハの貼り合わせを行い、500℃30分の剥離熱処理を施した。その結果、ボンドウェーハが剥離されてSOIウェーハを得ることができた。作製したSOIウェーハは、面取り幅が0.15mm、面取り部の端からSOI層の端までの幅が0.60mmであり、これらの合計(テラス幅)は0.75mmであった。
ベースウェーハ、ボンドウェーハの面取り幅とダレ量を表1に示す。また、作製したSOIウェーハの面取り幅、面取り部の端からSOI層の端までの幅、及びテラス幅を表2に示す。
【0053】
[実施例6]
エピタキシャル成長を行うウェーハとして、面取り幅が0.35mmの面取形状を持つ直径300mmのPWウェーハ(シリコン単結晶からなる鏡面研磨ウェーハ)を準備した。このときのウェーハのダレ量は、中心から148mmの地点(外周端から2mmの地点)での傾斜量として測定される値(ZDD)で、+5nm/mm
2(ハネ形状)とした。次に、このウェーハに3.5μm厚さのエピタキシャル層を積層した。エピタキシャル成長条件の調整により、エピタキシャル成長後のダレ量は+10nm/mm
2とした。このようにして作製したエピタキシャルウェーハをベースウェーハとして使用した。
一方、ボンドウェーハとしては、面取り幅が0.35mmの面取形状で、貼り合わせ面側の外周のダレ量が−20nm/mm
2である直径300mmのPWウェーハに対し、膜厚200nmのBOX酸化膜を形成し、加速エネルギー50keV、ドーズ量5.0×10
16/cm
2の条件で水素イオン注入を実施したものを、ボンドウェーハとして使用した。
次に、ボンドウェーハとベースウェーハの貼り合わせを行い、500℃30分の剥離熱処理を施した。その結果、ボンドウェーハが剥離されてSOIウェーハを得ることができた。作製したSOIウェーハは、面取り幅が0.35mm、面取り部の端からSOI層の端までの幅が0.25mmであり、これらの合計(テラス幅)は0.60mmであった。
ベースウェーハ、ボンドウェーハの面取り幅とダレ量を表1に示す。また、作製したSOIウェーハの面取り幅、面取り部の端からSOI層の端までの幅、及びテラス幅を表2に示す。
【0054】
[実施例7]
エピタキシャル成長を行うウェーハとして、面取り幅が0.15mmの面取形状を持つ直径300mmのPWウェーハ(シリコン単結晶からなる鏡面研磨ウェーハ)を準備した。このときのウェーハのダレ量は、中心から148mmの地点(外周端から2mmの地点)での傾斜量として測定される値(ZDD)で、+5nm/mm
2(ハネ形状)とした。次に、このウェーハに3.5μm厚さのエピタキシャル層を積層した。エピタキシャル成長条件の調整により、エピタキシャル成長後のダレ量は+10nm/mm
2とした。このようにして作製したエピタキシャルウェーハをベースウェーハとして使用した。
一方、ボンドウェーハとしては、面取り幅が0.35mmの面取形状で、貼り合わせ面側の外周のダレ量が−20nm/mm
2である直径300mmのPWウェーハに対し、膜厚200nmのBOX酸化膜を形成し、加速エネルギー50keV、ドーズ量5.0×10
16/cm
2の条件で水素イオン注入を実施したものを、ボンドウェーハとして使用した。
次に、ボンドウェーハとベースウェーハの貼り合わせを行い、500℃30分の剥離熱処理を施した。その結果、ボンドウェーハが剥離されてSOIウェーハを得ることができた。作製したSOIウェーハは、面取り幅が0.15mm、面取り部の端からSOI層の端までの幅が0.25mmであり、これらの合計(テラス幅)は0.40mmであった。
ベースウェーハ、ボンドウェーハの面取り幅とダレ量を表1に示す。また、作製したSOIウェーハの面取り幅、面取り部の端からSOI層の端までの幅、及びテラス幅を表2に示す。
【0055】
[比較例1]
エピタキシャル成長を行うウェーハとして、面取り幅が0.35mmの面取形状を持つ直径300mmのPWウェーハ(シリコン単結晶からなる鏡面研磨ウェーハ)を準備した。このときのウェーハのダレ量は、中心から148mmの地点(外周端から2mmの地点)での傾斜量として測定される値(ZDD)で、−20nm/mm
2(ダレ形状)とした。次に、このウェーハに3.5μm厚さのエピタキシャル層を積層した。エピタキシャル成長条件の調整により、エピタキシャル成長後のダレ量は−60nm/mm
2とした。このようにして作製したエピタキシャルウェーハをベースウェーハとして使用した。
一方、ボンドウェーハとしては、面取り幅が0.35mmの面取形状で、貼り合わせ面側の外周のダレ量が−20nm/mm
2である直径300mmのPWウェーハに対し、膜厚200nmのBOX酸化膜を形成し、加速エネルギー50keV、ドーズ量5.0×10
16/cm
2の条件で水素イオン注入を実施したものを、ボンドウェーハとして使用した。
次に、ボンドウェーハとベースウェーハの貼り合わせを行い、500℃30分の剥離熱処理を施した。その結果、ボンドウェーハが剥離されてSOIウェーハを得ることができた。作製したSOIウェーハは、面取り幅が0.35mm、面取り部の端からSOI層の端までの幅が0.80mmであり、これらの合計(テラス幅)は1.15mmであった。
ベースウェーハ、ボンドウェーハの面取り幅とダレ量を表1に示す。また、作製したSOIウェーハの面取り幅、面取り部の端からSOI層の端までの幅、及びテラス幅を表2に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
表2に示されるように、条件(1)〜(3)のうち少なくとも1つの条件を含む方法で作製したエピタキシャルウェーハをベースウェーハとして使用した実施例1〜7では、テラス幅が1mm以下の貼り合わせウェーハを製造することができた。一方、条件(1)〜(3)のうちいずれの条件も含まない方法で作製したエピタキシャルウェーハをベースウェーハとして使用した比較例1では、テラス幅が1mm以下の貼り合わせウェーハを製造することができなかった。更に、条件(1)〜(3)のうち、2つ以上の条件を含む方法で作製したエピタキシャルウェーハをベースウェーハとして使用することで、テラス幅をより小さくすることができた。
【0059】
以上のことから、本発明の貼り合わせウェーハの製造方法であれば、エピタキシャルウェーハをベースウェーハに使用した場合においても、テラス幅が小さい(例えば1mm以下の)貼り合わせウェーハを製造することができることが明らかとなった。
【0060】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。