特許第6212135号(P6212135)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6212135カメラモジュールの調整方法及びレンズ位置制御装置並びに線形運動デバイスの制御装置及びその制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6212135
(24)【登録日】2017年9月22日
(45)【発行日】2017年10月11日
(54)【発明の名称】カメラモジュールの調整方法及びレンズ位置制御装置並びに線形運動デバイスの制御装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/02 20060101AFI20171002BHJP
   G02B 7/04 20060101ALI20171002BHJP
   G02B 7/08 20060101ALI20171002BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20171002BHJP
【FI】
   G02B7/02 C
   G02B7/04 E
   G02B7/08 B
   H04N5/232 120
【請求項の数】22
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2015-551384(P2015-551384)
(86)(22)【出願日】2014年11月28日
(86)【国際出願番号】JP2014005973
(87)【国際公開番号】WO2015083356
(87)【国際公開日】20150611
【審査請求日】2016年4月27日
(31)【優先権主張番号】特願2013-251217(P2013-251217)
(32)【優先日】2013年12月4日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】303046277
【氏名又は名称】旭化成エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】笠松 新
(72)【発明者】
【氏名】礒貝 一臣
【審査官】 高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−103635(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/114770(WO,A1)
【文献】 特開平08−220414(JP,A)
【文献】 特開平11−183775(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02
G02B 7/04
G02B 7/08
H04N 5/232
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズと、
被写体の画像信号を出力する撮像素子と、
前記画像信号から前記レンズの目標位置コード値を出力する信号処理回路と、
前記レンズの位置を検出して検出位置信号を出力する位置センサと、
前記レンズのレンズ位置に対応する位置コード値が記憶され、前記位置コード値を書き換え可能な記憶部、前記位置コード値と前記目標位置コード値とに基づいて目標位置信号を出力する目標位置信号生成部、及び、前記目標位置信号と前記検出位置信号とに基づいて制御信号を生成する制御部、を有するレンズ位置制御回路と、
前記制御信号に基づいて前記レンズを移動させる駆動部と、
を備えるカメラモジュールの調整方法において、
第1の焦点距離となる位置に配置された被写体に合焦するように、第1のレンズ位置へ前記レンズを移動させる第1ステップと、
前記記憶部に記憶された、前記カメラモジュール内の端点から端点までのレンズ位置に対応する位置コード値を、前記第1の焦点距離に基づいてレンズの移動範囲が制限されるように位置コード値にフルレンジで書き換える第2ステップと、
を含むカメラモジュールの調整方法。
【請求項2】
第2の焦点距離となる位置に配置された被写体に合焦するように、第2のレンズ位置へ前記レンズを移動させる第3ステップをさらに含み、
前記第2ステップは、前記記憶部に記憶された位置コード値を、前記第1の焦点距離及び前記第2焦点距離に基づいてレンズの移動範囲が制限されるように位置コード値に書き換える請求項1に記載のカメラモジュールの調整方法。
【請求項3】
前記第2ステップは、前記記憶部に記憶された位置コード値を、前記第1のレンズ位置から前記第2のレンズ位置の間の複数の位置に対応する位置コード値へ書き換える請求項2に記載のカメラモジュールの調整方法。
【請求項4】
前記第2ステップは、近接焦点距離となるレンズ位置から無限遠焦点となるレンズ位置までの間で前記レンズが移動するように、前記記憶部に記憶された位置コード値を書き換える請求項1〜3のいずれか一項に記載のカメラモジュールの調整方法。
【請求項5】
前記第1の焦点距離は近接焦点であり、前記第2の焦点距離は無限遠焦点であり、
前記第2ステップは、前記第1のレンズ位置から前記第2のレンズ位置までの間の複数の位置で前記レンズが移動するように、前記記憶部に記憶された位置コード値を書き換える請求項2又は3に記載のカメラモジュールの調整方法。
【請求項6】
前記位置コード値は、前記目標位置コードを前記目標位置信号に変換する変換コードを有し、前記第2ステップは、レンズの移動範囲が制限されるように、前記記憶部に記憶された変換コードを書き換える、又は、前記位置コード値は、前記目標位置コードを前記目標位置信号に変換するためのマトリクスを有し、前記第2ステップは、レンズの移動範囲が制限されるように、前記記憶部に記憶されたマトリクスを書き換える請求項1〜5のいずれか一項に記載のカメラモジュールの調整方法。
【請求項7】
前記記憶部に予め記憶された位置コード値は、前記カメラモジュールにおいて前記レンズの可動範囲の一端からもう一端までの間で前記レンズが移動する位置コード値である請求項1〜6のいずれか一項に記載のカメラモジュールの調整方法。
【請求項8】
レンズと、
被写体の画像信号を出力する撮像素子と、
前記画像信号から前記レンズを目標位置に移動させる目標位置信号へ変換係数で変換する変換部と、
前記レンズの位置を検出して検出位置信号を出力する位置センサと、
前記目標位置信号と前記検出位置信号とに基づいて制御信号を生成する制御部と、
前記制御信号に基づいて前記レンズを移動させる駆動部と、
前記変換係数が記憶され、前記変換係数を書き換え可能な記憶部と、
を備えたカメラモジュールの調整方法において、
第1の焦点距離となる位置に配置された被写体に合焦するように、第1のレンズ位置へ前記レンズを移動させる第1ステップと、
第2の焦点距離となる位置に配置された被写体に合焦するように、第2のレンズ位置へ前記レンズを移動させる第2ステップと、
前記第1の焦点距離及び前記第2焦点距離に基づいてレンズの移動範囲が制限されるように、前記記憶部に記憶された、前記画像信号から前記目標位置信号へ変換するための変換係数をフルレンジで書き換えるカメラモジュールの調整方法。
【請求項9】
レンズと、
被写体の画像信号を出力する撮像素子と、
前記画像信号から前記レンズの目標位置コード値を出力する信号処理回路と、
前記レンズの位置を検出して検出位置信号を出力する位置センサと、
書き換え可能な調整コード値により、前記検出信号を調整して調整検出位置信号を出力する調整部と、
前記目標位置コード値に基づいて目標位置信号を出力する目標位置信号生成部、及び、前記目標位置信号と前記調整検出位置信号とに基づいて制御信号を生成する制御部、を有するレンズ位置制御回路と、
前記制御信号に基づいて前記レンズを移動させる駆動部と、
を備えるカメラモジュールの調整方法において、
第1の焦点距離となる位置に配置された被写体に合焦するように、第1のレンズ位置へ前記レンズを移動させる第1ステップと、
第2の焦点距離となる位置に配置された被写体に合焦するように、第2のレンズ位置へ前記レンズを移動させる第2ステップと、
前記第1の焦点距離及び前記第2焦点距離に基づいてレンズの移動範囲が制限されるように、前記調整部の前記検出位置信号を調整するための調整コード値をフルレンジで書き換える第3ステップと、
を含むカメラモジュールの調整方法。
【請求項10】
前記記憶部に予め記憶された調整信号は、前記カメラモジュールにおいて前記レンズの可動範囲の一端からもう一端までの間で前記レンズが移動するように前記検出位置信号を調整する調整信号である請求項9に記載のカメラモジュールの調整方法。
【請求項11】
レンズの目標位置を示す目標位置コード値に基づいてレンズ位置を移動させる制御信号を出力するレンズ位置制御装置において、
前記レンズの位置を検出して検出位置信号を出力する位置センサと、
前記レンズの焦点距離となるレンズ位置に対応する位置コード値が記憶され、書き換え可能な記憶部と、
前記位置コード値と前記目標位置コード値とに基づいて目標位置信号を出力する目標位置信号生成部と、
前記目標位置信号と前記検出位置信号とに基づいて制御信号を生成する制御部と、
を備え、
前記位置コード値は、前記レンズが第1の焦点距離となる位置に配置された被写体に合焦するレンズ位置から前記レンズが移動するように、前記目標位置コード値を前記目標位置信号へフルレンジで変換する位置コード値であるレンズ位置制御装置。
【請求項12】
前記位置コード値は、近接焦点距離となるレンズ位置から無限遠焦点となるレンズ位置までの間で前記レンズが移動するように、前記目標位置コード値を前記目標位置信号へ変換する位置コード値である請求項11に記載のレンズ位置制御装置。
【請求項13】
さらに、前記位置コード値を設定する位置コード値設定部を備え、
前記位置コード値設定部は、前記記憶部に予め記憶されている位置コード値を、新たな位置コード値に再設定する請求項12に記載のレンズ位置制御装置。
【請求項14】
移動体に取り付けられた磁石を有する線形運動デバイスと、該線形運動デバイスの前記磁石の近傍に配置された駆動コイルとを備え、該駆動コイルにコイル電流が流れることによって発生する力により前記磁石に固定されているレンズを移動させる線形運動デバイスの制御装置において、
前記磁石が発生する磁場を検出し、検出された磁場の値に対応する検出位置信号値を出力する磁場センサと、
前記線形運動デバイスを移動すべき目標位置を指示する目標位置信号値を出力するコントローラ部と、
該コントローラ部に接続され、レンズ位置と前記レンズ位置に対応したコード値とが記憶されるメモリと、
前記磁場センサによる前記検出位置信号値と前記コントローラ部による目標位置信号値に基づいて、前記レンズを前記目標位置に移動させるための制御信号を生成する制御部と、
該制御部による前記制御信号に基づいて前記駆動コイルに駆動電流を供給するドライバ回路とを備え、
前記コード設定部が、前記メモリに記憶された前記コード値を、前記レンズが第1の焦点距離となる位置に配置された被写体に合焦する前記第1の焦点距離に基づいて前記レンズの移動範囲が制限されるようにフルレンジで書き換える線形運動デバイスの制御装置。
【請求項15】
移動体に取り付けられた磁石を有する線形運動デバイスと、該線形運動デバイスの前記磁石の近傍に配置された駆動コイルとを備え、該駆動コイルにコイル電流が流れることによって発生する力により前記磁石に固定されているレンズを移動させる線形運動デバイスの制御装置において、
前記磁石が発生する磁場を検出し、検出された磁場の値に対応する検出位置信号値を出力する磁場センサと、
前記線形運動デバイスを移動すべき目標位置を指示する目標位置信号値を出力するコントローラ部と、
該コントローラ部に接続され、レンズ位置と前記レンズ位置に対応したコード値とが記憶されるメモリと、
該メモリに記憶される前記コード値を設定するコード設定部と、
前記磁場センサによる前記検出位置信号値と前記コントローラ部による目標位置信号値に基づいて、前記レンズを前記目標位置に移動させるための制御信号を生成する制御部と、
該制御部による前記制御信号に基づいて前記駆動コイルに駆動電流を供給するドライバ回路と、を備え、
前記コード設定部が、前記メモリに記憶された前記コード値を、前記レンズが第1の焦点距離となる位置に配置された被写体に合焦する前記第1の焦点距離に基づいて前記レンズの移動範囲が制限されるようにフルレンジで書き換える線形運動デバイスの制御装置。
【請求項16】
前記コード設定部は、前記メモリに既に記憶されている前記コード値を新たなコード値に再設定する請求項14又は15に記載の線形運動デバイスの制御装置。
【請求項17】
前記コード設定部は、ユーザにより前記コード値が設定可能である請求項14から16のいずれか一項に記載の線形運動デバイスの制御装置。
【請求項18】
前記コード設定部は、該コード設定部に入力する外部信号により前記コード値を設定する請求項14から16のいずれか一項に記載の線形運動デバイスの制御装置。
【請求項19】
前記制御部は、制御信号をPID制御により生成する請求項14から18のいずれか一項に記載の線形運動デバイスの制御装置。
【請求項20】
前記磁場センサが、ホール素子である請求項14から19のいずれか一項に記載の線形運動デバイスの制御装置。
【請求項21】
前記線形運動デバイスと前記駆動コイルが、カメラモジュールに組み込まれている請求項14から20のいずれか一項に記載の線形運動デバイスの制御装置。
【請求項22】
移動体に取り付けられた磁石を有する線形運動デバイスと、該線形運動デバイスの前記磁石の近傍に配置された駆動コイルとを備え、該駆動コイルにコイル電流が流れることによって発生する力により前記磁石に固定されているレンズを移動させる線形運動デバイスの制御方法において、
キャリブレーションを行い、メモリに保存された、基準位置からのレンズ位置と前記レンズ位置に対応するコード値を任意の値にフルレンジで書き換えるステップと、
外部からインターフェースを介して入力された目標位置信号を、コントローラ部にて前記メモリに保存されたコード値に変換し、目標位置信号値を出力するステップと、
磁場センサにより、前記磁石が発生する磁場を検出し、検出された磁場の値に対応する検出位置信号値を出力するステップと、
制御部により、前記検出位置信号値と前記目標位置信号値に基づいて、前記レンズを目標位置に移動させるための制御信号をPID制御により生成するステップと、
ドライバ回路により、前記制御信号に基づいて前記駆動コイルに駆動電流を供給するステップと
を有する線形運動デバイスの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラモジュールの調整方法及びレンズ位置制御装置並びに線形運動デバイスの制御装置及びその制御方法に関し、より詳細には、撮像素子とアクチュエータを組み合わせたカメラモジュールの状態で、1点もしくはそれ以上の任意のフォーカス被写体距離(任意の被写体距離において、合焦するレンズと撮像素子との距離)の最適化を可能にしたカメラモジュールの調整方法及びレンズ位置制御装置並びに線形運動デバイスの制御装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般のデジタルカメラ及び携帯電話機、インターネットとの親和性が高く、パソコンの機能をベースとして作られた多機能携帯電話であるスマートフォン(smartphone)などに搭載されているカメラモジュールの多くには、オートフォーカス(AF)機能が搭載されている。このようなコンパクトなカメラに搭載されるオートフォーカス機能には、コントラスト検出方式が採用されることが多い。このコントラスト検出方式は、実際にレンズを移動させて、撮像画像内の被写体のコントラストが最大化されるレンズ位置を検出し、その位置にレンズを移動させる方式である。
【0003】
このようなコントラスト検出方式は、被写体に赤外線や超音波を照射して、その反射波から被写体までの距離を測定するアクティブ方式と比較し、低コストで実現することができる。ただし、被写体のコントラストが最大化されるレンズ位置を探索するまでに時間がかかるという問題がある。そのため、ユーザがシャッターボタンを半押しした後、被写体にフォーカスを合わせるまでの処理が、可能な限り早く完了することが望まれている。
ところで、一般のデジタルカメラ及び携帯電話機などに搭載されているカメラモジュールの画素数は年々増加しており、これらコンパクトなカメラでも、高精細な画像が撮影可能になってきている。高精細な画像では、ピントずれが目立ちやすく、より高精度なオートフォーカス制御が求められている。
また、一般に、入力信号と、この入力信号に応じた変位とが一次関数で表されるデバイスは、線形運動デバイスと言われている。この種の線形運動デバイスには、例えば、カメラのオートフォーカスレンズなどがある。
【0004】
図1は、特許文献1に記載の従来の線形運動デバイスの制御装置を説明するための構成図である。図1に示した線形運動デバイス112の制御装置は、磁場センサ113と差動増幅器114と非反転出力バッファ115と反転出力バッファ116と第1の出力ドライバ117と第2の出力ドライバ118とを備えている。線形運動デバイス112は、制御装置によってフィードバック制御されるもので、レンズ(図示せず)と磁石110とを備えている。
磁場センサ113は、検出した磁場に基づいて信号を生成し、出力信号SAとして出力する。磁場センサ113の出力信号SAとデバイス位置指令信号SBは、差動増幅器114の正転入力端子と反転入力端子とにそれぞれ入力される。磁場センサ113の出力信号SAとデバイス位置指令信号SBとが入力された差動増幅器114からは、出力ドライバ117,118の操作量(偏差と増幅度の積)を表す操作量信号SCが出力される。
【0005】
操作量信号SCの大きさによって線形運動デバイス112のコイル111を流れる電流方向及び電流量が変化する。このコイル111を流れる電流により、磁石110を含む線形運動デバイス112の位置が変化する(移動する)。このとき、磁場センサ113の出力信号SAは、磁石110の移動に伴って変化する。制御装置は、出力信号SAの変化によって線形運動デバイス112の位置を検出し、この位置が外部から入力されるデバイス位置指令信号SBによって指示される位置に一致するようにフィードバック制御を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−99139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、カメラモジュールを製作する際に線形運動デバイス112とイメージセンサを組み立てた際に生じるレンズとイメージ間の距離を調整する必要がある場合が多い。
一般的には、線形運動デバイス112のイメージセンサ側の端点の位置を稼働可能な構造にしておき、イメージセンサと組み合わせる際に機械的に調整する場合や位置指令信号SBの入力範囲を制限する場合が多い。機械的な調整を行う場合、線形運動デバイスが調整用の構造を必要とするため製造コストが増加し、又、物理的に調整を行うこととなるため、製造時間の増加につながる。また、位置指令信号SBの入力範囲を制限する場合、位置制御の分解能が荒くなり正確な位置制御が行えない場合も考えられる。
また、一般のオートフォーカス用ICは、アクチュエータ単体の機能として、AFレンズをアクチュエータ内の2つの機械的端点間を有効活用し、画質を向上させるという観点から、例えば、磁場センサに印加されるコイル磁界の干渉を補正する方法(例えば、特許文献1参照)を提供している。すなわち、従来技術は、アクチュエータ単体のみで画質を向上させることを述べており、カメラモジュールとして画質を向上させることについて述べていないことを意味している。
【0008】
従来から、カメラモジュール組み立て後、各カメラモジュールで、AFレンズをアクチュエータ内の機械的端点_FULL、もしくは、機械的端点_HOMEのどちらか一方へ移動させ、磁石に固定されたAFレンズを機械的に動かす調整を実施し、機械的端点_FULL、もしくは、機械的端点_HOMEのどちらか一方のフォーカス時の被写体距離のバラツキを低減させる方法が採られている。しかしながら、この方法では、上述したように、線形運動デバイスが調整用の構造を必要とするため製造コストが増加し、又、物理的に調整を行うため、製造時間の増加につながる。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、撮像素子とアクチュエータを組み合わせたカメラモジュールの状態で、少なくとも1点以上の任意のフォーカス被写体距離の最適化を可能にしたカメラモジュールの調整方法及びレンズ位置制御装置並びに線形運動デバイスの制御装置及びその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、以下の事項を特徴とする。
(1);レンズと、被写体の画像信号を出力する撮像素子と、前記画像信号から前記レンズの目標位置コード値を出力する信号処理回路と、前記レンズの位置を検出して検出位置信号を出力する位置センサと、前記レンズのレンズ位置に対応する位置コード値が記憶され、前記位置コード値を書き換え可能な記憶部、前記位置コード値と前記目標位置コード値とに基づいて目標位置信号を出力する目標位置信号生成部、及び、前記目標位置信号と前記検出位置信号とに基づいて制御信号を生成する制御部、を有するレンズ位置制御回路と、前記制御信号に基づいて前記レンズを移動させる駆動部と、を備えるカメラモジュールの調整方法において、第1の焦点距離となる位置に配置された被写体に合焦するように、第1のレンズ位置へ前記レンズを移動させる第1ステップと、前記記憶部に記憶された、前記カメラモジュール内の端点から端点までのレンズ位置に対応する位置コード値を、前記第1の焦点距離に基づいてレンズの移動範囲が制限されるように位置コード値にフルレンジで書き換える第2ステップと、を含む。
【0010】
(2);(1)において、第2の焦点距離となる位置に配置された被写体に合焦するように、第2のレンズ位置へ前記レンズを移動させる第3ステップをさらに含み、前記第2ステップは、前記記憶部に記憶された位置コード値を、前記第1の焦点距離及び前記第2焦点距離に基づいてレンズの移動範囲が制限されるように位置コード値に書き換える。
(3);(2)において、前記第2ステップは、前記記憶部に記憶された位置コード値を、前記第1のレンズ位置から前記第2のレンズ位置の間の複数の位置に対応する位置コード値へ書き換える。
【0011】
(4);(1)〜(3)のいずれかにおいて、前記第2ステップは、近接焦点距離となるレンズ位置から無限遠焦点となるレンズ位置までの間で前記レンズが移動するように、前記記憶部に記憶された位置コード値を書き換える。
(5);(2)又は(3)において、前記第1の焦点距離は近接焦点であり、前記第2の焦点距離は無限遠焦点であり、前記第2ステップは、前記第1のレンズ位置から前記第2のレンズ位置までの間の複数の位置で前記レンズが移動するように、前記記憶部に記憶された位置コード値を書き換える。
【0012】
(6);(1)〜(5)のいずれかにおいて、前記位置コード値は、前記目標位置コードを前記目標位置信号に変換する変換コードを有し、前記第2ステップは、レンズの移動範囲が制限されるように、前記記憶部に記憶された変換コードを書き換える、又は、前記位置コード値は、前記目標位置コードを前記目標位置信号に変換するためのマトリクスを有し、前記第2ステップは、レンズの移動範囲が制限されるように、前記記憶部に記憶されたマトリクスを書き換える。
(7);(1)〜(6)のいずれかにおいて、前記記憶部に記憶された位置コード値は、前記カメラモジュールにおいて前記レンズの可動範囲の一端からもう一端までの間で前記レンズが移動する位置コード値である。
【0013】
(8);レンズと、被写体の画像信号を出力する撮像素子と、前記画像信号から前記レンズを目標位置に移動させる目標位置信号へ変換係数で変換する変換部と、前記レンズの位置を検出して検出位置信号を出力する位置センサと、前記目標位置信号と前記検出位置信号とに基づいて制御信号を生成する制御部と、前記制御信号に基づいて前記レンズを移動させる駆動部と、前記変換係数が記憶され、前記変換係数を書き換え可能な記憶部と、を備えたカメラモジュールの調整方法において、第1の焦点距離となる位置に配置された被写体に合焦するように、第1のレンズ位置へ前記レンズを移動させる第1ステップと、第2の焦点距離となる位置に配置された被写体に合焦するように、第2のレンズ位置へ前記レンズを移動させる第2ステップと、前記第1の焦点距離及び前記第2焦点距離に基づいてレンズの移動範囲が制限されるように、前記記憶部に記憶された、前記画像信号から前記目標位置信号へ変換するための変換係数をフルレンジで書き換える。
【0014】
(9);レンズと、被写体の画像信号を出力する撮像素子と、前記画像信号から前記レンズの目標位置コード値を出力する信号処理回路と、前記レンズの位置を検出して検出位置信号を出力する位置センサと、書き換え可能な調整コード値により、前記検出信号を調整して調整検出位置信号を出力する調整部と、前記目標位置コード値に基づいて目標位置信号を出力する目標位置信号生成部、及び、前記目標位置信号と前記調整検出位置信号とに基づいて制御信号を生成する制御部、を有するレンズ位置制御回路と、前記制御信号に基づいて前記レンズを移動させる駆動部と、を備えるカメラモジュールの調整方法において、第1の焦点距離となる位置に配置された被写体に合焦するように、第1のレンズ位置へ前記レンズを移動させる第1ステップと、第2の焦点距離となる位置に配置された被写体に合焦するように、第2のレンズ位置へ前記レンズを移動させる第2ステップと、前記第1の焦点距離及び前記第2焦点距離に基づいてレンズの移動範囲が制限されるように、前記調整部の前記検出位置信号を調整するための調整コード値をフルレンジで書き換える第3ステップと、を含む。
(10);(9)において、前記記憶部に記憶された調整信号は、前記カメラモジュールにおいて前記レンズの可動範囲の一端からもう一端までの間で前記レンズが移動するように前記検出位置信号を調整する調整信号である。
【0015】
(11);レンズの目標位置を示す目標位置コード値に基づいてレンズ位置を移動させる制御信号を出力するレンズ位置制御装置において、前記レンズの位置を検出して検出位置信号を出力する位置センサと、前記レンズの焦点距離となるレンズ位置に対応する位置コード値が記憶され、書き換え可能な記憶部と、前記位置コード値と前記目標位置コード値とに基づいて目標位置信号を出力する目標位置信号生成部と、前記目標位置信号と前記検出位置信号とに基づいて制御信号を生成する制御部と、を備え、
前記位置コード値は、前記レンズが第1の焦点距離となる位置に配置された被写体に合焦するレンズ位置から前記レンズが移動するように、前記目標位置コード値を前記目標位置信号へフルレンジで変換する位置コード値である。
(12);(11)において、前記位置コード値は、近接焦点距離となるレンズ位置から無限遠焦点となるレンズ位置までの間で前記レンズが移動するように、前記目標位置コード値を前記目標位置信号へ変換する位置コード値である。
(13);(12)において、さらに、前記位置コード値を設定する位置コード値設定部を備え、前記位置コード値設定部は、前記記憶部に予め記憶されている位置コード値を、新たな位置コード値に再設定する。
【0016】
(14);移動体に取り付けられた磁石を有する線形運動デバイスと、該線形運動デバイスの前記磁石の近傍に配置された駆動コイルとを備え、該駆動コイルにコイル電流が流れることによって発生する力により前記磁石に固定されているレンズを移動させる線形運動デバイスの制御装置において、前記磁石が発生する磁場を検出し、検出された磁場の値に対応する検出位置信号値を出力する磁場センサと、前記線形運動デバイスを移動すべき目標位置を指示する目標位置信号値を出力するコントローラ部と、該コントローラ部に接続され、レンズ位置と前記レンズ位置に対応したコード値とが記憶されるメモリと、前記磁場センサによる前記検出位置信号値と前記コントローラ部による目標位置信号値に基づいて、前記レンズを前記目標位置に移動させるための制御信号を生成する制御部と、該制御部による前記制御信号に基づいて前記駆動コイルに駆動電流を供給するドライバ回路とを備え、前記コード設定部が、前記メモリに記憶された前記コード値を、前記レンズが第1の焦点距離となる位置に配置された被写体に合焦する前記第1の焦点距離に基づいて前記レンズの移動範囲が制限されるようにフルレンジで書き換える。
【0017】
(15);移動体に取り付けられた磁石を有する線形運動デバイスと、該線形運動デバイスの前記磁石の近傍に配置された駆動コイルとを備え、該駆動コイルにコイル電流が流れることによって発生する力により前記磁石に固定されているレンズを移動させる線形運動デバイスの制御装置において、前記磁石が発生する磁場を検出し、検出された磁場の値に対応する検出位置信号値を出力する磁場センサと、前記線形運動デバイスを移動すべき目標位置を指示する目標位置信号値を出力するコントローラ部と、該コントローラ部に接続され、レンズ位置と前記レンズ位置に対応したコード値とが記憶されるメモリと、該メモリに記憶される前記コード値を設定するコード設定部と、前記磁場センサによる前記検出位置信号値と前記コントローラ部による目標位置信号値に基づいて、前記レンズを前記目標位置に移動させるための制御信号を生成する制御部と、該制御部による前記制御信号に基づいて前記駆動コイルに駆動電流を供給するドライバ回路と、を備え、前記コード設定部が、前記メモリに記憶された前記コード値を、前記レンズが第1の焦点距離となる位置に配置された被写体に合焦する前記第1の焦点距離に基づいて前記レンズの移動範囲が制限されるようにフルレンジで書き換える。
【0018】
(16);(14)又は(15)において、前記コード設定部は、前記メモリに既に記憶されている前記コード値を新たなコード値に再設定することを特徴とする。
(17);(14)〜(16)のいずれかにおいて、前記コード設定部は、ユーザにより前記コード値が設定可能である。
(18);(14)〜(16)のいずれかにおいて、前記コード設定部は、該コード設定部に入力する外部信号により前記コード値を設定する。
(19);(14)〜(18)のいずれかにおいて、前記制御部は、制御信号をPID制御により生成する。
(20);(14)〜(19)のいずれかにおいて、前記磁場センサが、ホール素子である。
(21);(14)〜(20)のいずれかにおいて、前記線形運動デバイスと前記駆動コイルが、カメラモジュールに組み込まれている。
【0019】
(22);移動体に取り付けられた磁石を有する線形運動デバイスと、該線形運動デバイスの前記磁石の近傍に配置された駆動コイルとを備え、該駆動コイルにコイル電流が流れることによって発生する力により前記磁石に固定されているレンズを移動させる線形運動デバイスの制御方法において、キャリブレーションを行い、メモリに保存された、基準位置からのレンズ位置と前記レンズ位置に対応するコード値を任意の値にフルレンジで書き換えるステップと、外部からインターフェースを介して入力された目標位置信号を、コントローラ部にて前記メモリに保存されたコード値に変換し、目標位置信号値を出力するステップと、次に、磁場センサにより、前記磁石が発生する磁場を検出し、検出された磁場の値に対応する検出位置信号値を出力するステップと、制御部により、前記検出位置信号値と前記目標位置信号値に基づいて、前記レンズを目標位置に移動させるための制御信号をPID制御により生成するステップと、ドライバ回路により、前記制御信号に基づいて前記駆動コイルに駆動電流を供給するステップとを有する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一態様によれば、撮像素子とアクチュエータを組み合わせたカメラモジュールの状態で、少なくとも1点以上の任意のフォーカス被写体距離の最適化を可能にしたカメラモジュールの調整方法及びレンズ位置制御装置並びに線形運動デバイスの制御装置及びその制御方法を実現することができ、カメラモジュールの製造バラツキに因らず、高精度な画質を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、特許文献1に記載の従来の線形運動デバイスの制御装置を説明するための構成図である。
図2図2は、本発明に係るカメラモジュールの実施形態1を説明するための構成図である。
図3図3は、目標位置コード値とレンズ位置の関係をグラフに示した図である。
図4図4は、本発明に係るカメラモジュールの実施形態2を説明するための構成図である。
図5図5は、本発明に係るカメラモジュールの実施形態3を説明するための構成図である。
図6図6は、目標位置コード値とレンズ位置の関係をグラフに示した図である。
図7図7(a)及び(b)は、アクチュエータ部と撮像素子を組み立てたカメラモジュール毎に、アクチュエータ内でのフォーカスするレンズの位置が異なることを示した図である。
図8図8は、本発明適用前後でのレンズ位置とコード値との関係を説明するための図である。
図9図9は、本発明の前提となるカメラモジュールを説明するための構成図である。
図10図10は、本発明に係る線形運動デバイスの制御装置の実施例を説明するための構成図である。
図11図11は、本発明に係る線形運動デバイスの制御方法を説明するためのフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の詳細な説明では、本発明の実施形態の完全な理解を提供するように多くの特定の細部について記載される。しかしながら、かかる特定の細部がなくても1つ以上の実施態様が実施できることは明らかであろう。他にも、図面を簡潔にするために、周知の構造及び装置が略図で示されている。
<実施形態1>
図2は、本発明に係るカメラモジュールの実施形態1を説明するための構成図である。本実施形態1において、カメラモジュールは、レンズ50と、被写体の画像信号を出力する撮像素子51と、画像信号からレンズの目標位置コード値を出力する信号処理回路52と、レンズの位置を検出して検出位置信号を出力する位置センサ53と、目標位置コード値と検出位置信号が入力されて制御信号を出力するレンズ位置制御回路54と、制御信号に基づいて前記レンズを移動させる駆動部55と、を備える。
【0023】
撮像素子51は、画像信号を出力する。画像信号としては、例えば、コントラスト検出方式におけるコントラスト信号などが挙げられる。
信号処理回路52は、画像信号に基づいてレンズの目標位置コード値を算出して出力する。目標位置コード値は、被写体の焦点距離となる位置にレンズを移動させるための信号である。
位置センサ53は、レンズの位置を検出して検出位置信号を出力する。例えば、レンズに取り付けられた磁石から生じる磁場を検出する磁気センサである。磁気センサとしては、ホール素子、磁気抵抗素子などが挙げられる。
【0024】
レンズ位置制御回路54は、レンズのレンズ位置に対応する位置コード値が記憶され、位置コード値を書き換え可能な記憶部541、位置コード値と目標位置コード値とに基づいて目標位置信号を出力する目標位置信号生成部542、及び、目標位置信号と検出位置信号とに基づいて制御信号を生成する制御部543、を有する。レンズ位置制御回路54は、現在のレンズ位置に対応する検出位置信号と目標のレンズ位置に対応する目標位置信号の差に基づいて制御信号を生成して出力する。
記憶部541には、レンズのレンズ位置に対応する位置コード値が記憶されている。また、記憶部541は、位置コード値が書き換え可能に構成されている。
【0025】
目標位置信号生成部542は、記憶部541に記憶された位置コード値と、入力された目標位置コード値とに基づいて、目標となるレンズ位置に対応する目標位置信号を生成する。具体的には、目標位置コード値と目標位置信号とが位置コード値に基づく線形の関係にある場合、目標位置コード値を、位置コード値に基づいて変換することで目標位置信号を生成する。その場合、位置コード値は、目標位置コード値と出力する目標位置信号とのマトリクスであってもよく、目標位置コード値に対して線形変換するための変換係数であってもよく、また、2つの焦点距離に関する目標位置コードに対応する目標位置信号であり、その2つの焦点距離に関する位置コード値から目標位置信号へ演算して出力する構成であってもよい。つまり、目標位置信号生成部542は、被写体の焦点距離に関する目標位置コード値を、位置センサに対するレンズの距離(位置センサの検出位置信号に対応する信号)へ変換して目標位置信号として出力する。
【0026】
制御部543は、目標位置信号と検出位置信号とに基づいて制御信号を生成する。制御部543としては、例えば、PID制御回路などが挙げられる。また、制御部543は、後述の駆動部へ出力するためのドライバを備える構成であってもよい。
駆動部55は、制御信号に基づいて前記レンズを移動させる。具体的には、レンズに取り付けられた磁石を、制御信号に基づいて生成されたコイル電流をコイルに流すことで発生させるコイル磁場により移動させる構成が挙げられる。
また、記憶部541に記憶される位置コード値を書き換えるための位置コード値設定部をさらに備える構成であってもよい。
【0027】
<カメラモジュールの調整方法>
本実施形態1のカメラモジュールの調整方法は、以下のステップを備える。
1)第1ステップ
第1の焦点距離となる位置に配置された被写体に合焦するように、第1のレンズ位置へレンズを移動させるステップ
2)第2ステップ
記憶部541に記憶された位置コード値を、第1の焦点距離に基づいてレンズの移動範囲が制限されるように位置コード値に書き換えるステップ
本実施形態1の調整方法は、例えば、カメラモジュール内の端点から端点までのレンズ位置(カメラモジュールにおいてレンズの可動範囲の一端からもう一端までの間)に対応する位置コード値を、焦点距離に基づいて、レンズの移動範囲が制限されるように位置コード値を書き換える。つまり、機械的端点から機械的端点までの位置コード値を、焦点距離に対応する位置コード値に書き換える。
【0028】
カメラモジュールを組み立てる際に、撮像素子と、レンズ、磁石、センサIC等を備えたモジュールとの間の距離が、組み立て誤差によってばらついてしまう。本実施形態1では、焦点距離に基づいて位置コード値を書き換えるため、カメラモジュールにおいてレンズが移動する範囲を焦点距離に基づいて一律に制限することが可能となる。位置コード値を書き換える調整であるため、組み立て誤差を容易に調整することができる。さらに、焦点距離に基づいてレンズが移動する範囲を制限するように書き換えるため、目標位置コード値をフルレンジで使用できるため、分解能を低下させずに調整することが可能となる。
【0029】
本実施形態1は、さらに以下のステップを備える。
3)第3ステップ
第2の焦点距離となる位置に配置された被写体に合焦するように、第2のレンズ位置へレンズを移動させるステップ。
第2ステップとして、第1の焦点距離に加えて第2焦点距離に基づいてレンズの移動範囲が制限されるように位置コード値を書き換える構成であってもよい。
レンズの移動範囲が制限される書き換えとしては、以下の例が挙げられる。
【0030】
第2ステップが、記憶部に記憶された位置コード値を、第1のレンズ位置から第2のレンズ位置の間の複数の位置に対応する位置コード値へ書き換える構成であってもよい。つまり、カメラモジュール内の端点から端点までのレンズ位置に対応する位置コード値を、第1の焦点距離及び第2の焦点距離に基づいて、レンズの移動範囲が第1のレンズ位置から第2のレンズ位置までの間の範囲に制限されるように位置コード値を書き換える。この場合、例えば、第1のレンズ位置側において移動範囲の余裕(マージン)を持たせる構成であってもよい。それによって、温度変動などの環境変化があっても余裕を持たせた範囲でレンズが移動するため、環境変化に対しても強い調整とすることができる。
【0031】
また、第1の焦点距離及び第2の焦点距離に基づいて、近接焦点距離となるレンズ位置から無限遠焦点となるレンズ位置までの間で前記レンズが移動するように、記憶部に記憶された位置コード値を書き換える構成であってもよい。つまり、カメラモジュール内の端点から端点までのレンズ位置に対応する位置コード値を、第1の焦点距離及び第2の焦点距離に基づいて、レンズの移動範囲が近接焦点距離となるレンズ位置から無限遠焦点となるレンズ位置までの間の範囲に制限されるように位置コード値を書き換える。
なお、予め記憶部に記憶された位置コード値としては、カメラモジュール内の端点から端点までのレンズ位置(カメラモジュールにおいてレンズの可動範囲の一端からもう一端までの間)に対応する位置コード値である。後述する実施例におけるキャリブレーション後の位置コード値である。
【0032】
<位置コード値の書き換え>
図3は、目標位置コード値とレンズ位置の関係をグラフに示した図である。横軸は、目標位置コード値の9bitの例であり、縦軸はレンズ位置である。レンズ位置は、位置センサの検出位置信号に対応することとなる。
予め記憶部に記憶された位置コード値のケースは点線で表され、目標位置コード値が0codeの場合、レンズはレンズ可動範囲の端点に位置し、目標位置コード値が511codeの場合、レンズはレンズ可動範囲のもう一方の端点に位置することとなる。そして、目標位置コード値に対して線形にレンズ位置が変化する例である。
前述の第1のステップに従って、レンズを第1のレンズ位置に移動させるとき、目標位置コード値はBcodeである。そして、第2ステップでは、第1のレンズ位置に対応する目標位置コード値がYcodeとなるように、位置コード値を書き換える。
【0033】
同様に、第3のステップに従って、レンズを第2のレンズ位置に移動させるとき、目標位置コード値はAcodeである。そして、第2ステップでは、第2のレンズ位置に対応する目標位置コード値がXcodeとなるように、位置コード値を書き換える。
書き換えた後の位置コード値のケースは実線で表される。予め記憶部に記憶された位置コード値のケースに比べて、レンズが動く範囲が狭くなるように位置コード値が書き換えられる。
カメラモジュールにおいて、最近接焦点距離から無限遠焦点距離に対応するレンズの移動範囲が、図3の縦矢印であった場合、従来の点線では、使用しない目標位置コード値がでてしまう。一方、実線では、目標位置コード値をフルレンジで使用することができる。そのため、分解能を低下させずに組み立て誤差を調整することが可能となる。
例えば、記憶部に記憶された位置コード値として、0codeに対応するレンズ位置Phと511codeに対応するレンズ位置Pfの情報である場合、第1ステップの後に、第1のレンズ位置に対応する目標位置コード値BcodeがYcodeとなるように、位置コード値設定部で演算して、レンズ位置PhとPfを、PhnとPfnへ書き換える。
【0034】
<実施形態2>
図4は、本発明に係るカメラモジュールの実施形態2を説明するための構成図である。本実施形態2において、カメラモジュールは、レンズ50と、撮像素子51と、画像信号からレンズを目標位置に移動させる目標位置信号へ変換係数で変換する変換部56と、レンズの位置を検出して検出位置信号を出力する位置センサ53と、目標位置信号と検出位置信号とに基づいて制御信号を生成する制御部543と、駆動部55と、変換係数が記憶され、変換係数を書き換え可能な記憶部541と、を備える。
本実施形態1と異なる点を主に説明する。
変換部56は、画像信号をレンズの目標位置信号を変換して出力する。
記憶部541には、画像信号から目標位置信号へ変換するための変換係数が記憶されている。また、記憶部541は、変換係数が書き換え可能に構成されている。
【0035】
<カメラモジュールの調整方法>
本実施形態2のカメラモジュールの調整方法は、以下のステップを備える。
1)第1ステップ
第1の焦点距離となる位置に配置された被写体に合焦するように、第1のレンズ位置へレンズを移動させるステップ
2)第2ステップ
第2の焦点距離となる位置に配置された被写体に合焦するように、第2のレンズ位置へレンズを移動させる第2ステップ
3)第3ステップ
第1の焦点距離及び第2焦点距離に基づいてレンズの移動範囲が制限されるように、記憶部に記憶された変換係数を書き換えるステップ
【0036】
本実施形態2は、画像信号から目標位置信号へ変換する変換係数が記憶部に記憶され、変換部はその変換係数に基づいて目標位置信号を算出する。変換係数は、上述の第3ステップで焦点距離に基づいて本実施形態1の調整方法のように書き換えられる。
カメラモジュールにおいて、最近接焦点距離から無限遠焦点距離に対応するレンズの移動範囲が、図3の縦矢印であった場合、従来の点線では、使用しない目標位置コード値がでてしまう。一方、実線では、目標位置コード値をフルレンジで使用することができる。そのため、分解能を低下させずに組み立て誤差を調整することが可能となる。
【0037】
<実施形態3>
図5は、本発明に係るカメラモジュールの実施形態3を説明するための構成図である。本実施形態3のカメラモジュールは、レンズ50と、撮像素子51と、画像信号からレンズの目標位置コード値を出力する信号処理回路52と、レンズ50の位置を検出して検出位置信号を出力する位置センサ53と、書き換え可能な調整信号により、検出位置信号を調整して調整検出位置信号を出力する調整部545と、目標位置コード値に基づいて目標位置信号を出力する目標位置信号生成部542、及び、目標位置信号と調整検出位置信号とに基づいて制御信号を生成する制御部543、を有するレンズ位置制御回路54と、制御信号に基づいてレンズを移動させる駆動部55と、を備える。
本実施形態3では、位置検出側において、位置検出信号を調整する調整コード値が焦点距離に基づいて書き換えられる構成である。
【0038】
<カメラモジュールの調整方法>
本実施形態3のカメラモジュールの調整方法は、以下のステップを備える。
1)第1ステップ
第1の焦点距離となる位置に配置された被写体に合焦するように、第1のレンズ位置へレンズを移動させるステップ
2)第2ステップ
第2の焦点距離となる位置に配置された被写体に合焦するように、第2のレンズ位置へレンズを移動させる第2ステップ
3)第3ステップ
第1の焦点距離及び第2焦点距離に基づいてレンズの移動範囲が制限されるように、前記調整部の調整信号を書き換えるステップ
本実施形態3は、調整部の調整コード値に基づいて検出位置信号を調整する。調整コード値は、上述の第3ステップで焦点距離に基づいて本実施形態1の調整方法のように書き換えられる。
【0039】
図6は、目標位置コード値とレンズ位置の関係をグラフに示した図である。横軸は、目標位置コード値の9bitの例であり、縦軸はレンズ位置である。レンズ位置は、位置センサの検出位置信号に対応することとなる。
カメラモジュールにおいて、最近接焦点距離から無限遠焦点距離に対応するレンズの移動範囲が、図6の縦矢印であった場合、従来の点線では、使用しない目標位置コード値がでてしまう。一方、実線では、目標位置コード値をフルレンジで使用することができる。そのため、分解能を低下させずに組み立て誤差を調整することが可能となる。なお、本実施形態3では、位置センサの検出位置信号をゲイン調整するため、目標位置コード値に対応するレンズ位置が変更されることとなる。その場合も、目標位置コード値がフルレンジで使用できるように調整することが可能である。
【実施例】
【0040】
以下、図面を参照して本発明の実施例について説明する。
まず、本実施例に係る線形運動デバイスの制御装置の着目点について以下に説明する。
図7(a)及び(b)は、アクチュエータ部と撮像素子を組み立てたカメラモジュール毎に、アクチュエータ内でのフォーカスするレンズの位置が異なることを示した図である。図中符号1はAFレンズ、2はアクチュエータ部、3は撮像素子を示している。
図7(a)及び(b)において、被写体Mからレンズ1までの距離LM1が被写体距離で、アクチュエータ部2と撮像素子3までの距離LG1(図7(a)ではLG1a、図7(b)ではLG1b)が第1のギャップで、レンズ1と撮像素子3までの距離LG2が第2のギャップとする。
【0041】
被写体距離LM1により第2のギャップLG2は一定の距離に決められている。つまり、被写体距離LM1によって、最適な第2のギャップLG2が存在する。ここで、第1のギャップLG1は、アクチュエータ部2の組立バラつきなどにより変化する。
図7(a)及び(b)におけるLG1aとLG1bの値は異なっており、LG1a>LG1bの関係にある。つまり、図7(a)におけるアクチュエータ部2は、図7(b)におけるアクチュエータ部2よりも撮像素子3から離れていることになる。
そうすると、被写体距離LM1により第2のギャップLG2は一定の値なので、アクチュエータ部内でのレンズ1の位置が異なることになる。つまり、図7(a)におけるアクチュエータ部2の被写体M側の端部からレンズ1までの距離A1は、図7(b)におけるアクチュエータ部2の被写体M側の端部からレンズ1までの距離A2よりも長くなる。
【0042】
例えば、図7(a)では、レンズ1の位置を表すコード値(Position Registerの値)が、50コード(code)だとして、図7(b)では、50codeでは、フォーカスせず、100codeでフォーカスするということになる。つまり、アクチュエータ部2の組み立てた個体毎に、フォーカスするコード値が異なるということになる。
したがって、本実施例は、アクチュエータ部2の組み立てた個体毎にバラツキのあるコード値を書き換えるというもので、図7(a)でも、図7(b)でも、フォーカスするレンズの位置をある任意のコード(Code)に書き換えるということである。
【0043】
図8は、本実施例の適用前後でのレンズ位置とコード値との関係を説明するための図である。キャリブレーション直後は、コード値とレンズ位置の関係は、図7の太点線であり、この場合、任意の第1の被写体距離(例えば、10cm)に対応するレンズ位置を示すコード値はBcodeで、任意の第2の被写体距離(例えば、3m)に対応するレンズ位置を示すコード値はAcodeである。
これを、Acode⇒Xcode、Bcode⇒Ycodeに変換し、新たに太実線のレンズの位置とポジションレジスタの関係を得ることが、着目点になる。
つまり、上述した図7(a)及び(b)では、1点のレンズ位置しか示していない。図3でいうAcode(又はBcode)が図7でいう50codeや100codeとなる。つまり、モジュール毎にAcode(又はBcode)が変わっているが、これを任意のXcode(又はYcode)に変換するのが本実施例である。
【0044】
図9は、本実施例の前提となるカメラモジュールを説明するための構成図である。カメラモジュール10は、AFレンズ1を線形運動させるアクチュエータ部2と、CMOSセンサやCCDセンサなどの撮像素子3と、この撮像素子3から送られてくる被写体Mのコントラスト信号からAFレンズ1の目標位置信号を決める信号処理回路4とから構成されている。なお、信号処理回路4はカメラモジュール10の外部にあっても構わない。
アクチュエータ部2は、線形運動するAFレンズ1に固定された磁石5と、この磁石5を線形運動させるための斥力と引力を発生させる駆動コイル6と、磁石5の位置を検知し、駆動コイル6に流す電流の量と方向を制御するIC回路7(図10における符号20に相当)で構成されている。また、IC回路7は、磁石5の位置を検知する磁場センサ7aと、駆動コイル6に流す電流の量と方向を決めるドライバ回路7bと、磁石5の位置と目標位置の偏差からドライバ回路7bの操作量を決めるPID制御回路7cとで構成されている。
【0045】
AFレンズ1は、デジタル化された目標位置信号に従って、アクチュエータ内の機械的端点_FULLと機械的端点_HOME間を離散的に線形運動する。AF制御は、AFレンズ1を被写体のコントラスト信号が最大になる点へ移動させる動作で、被写体Mとカメラモジュール10間の被写体距離に因って、コントラスト信号が最大となるAFレンズ1の位置が異なる。よって、AF制御は、AFレンズ1を撮像素子3が出力する被写体Mのコントラスト信号が最大となる点を逐次比較で探すコントラスト検出方式や、測距センサで被写体Mとカメラモジュール10間の被写体距離を測り、被写体距離からコントラスト信号が最大となるAFレンズ1の位置を算出し、AFレンズ1を移動させる測距方式などが用いられている。
【0046】
一般的に、量産されたカメラモジュールで高精度な画像を得るためには、アクチュエータ並びにカメラモジュールの製造バラツキに因らず、磁石が機械的端点_FULLと機械的端点_HOMEに位置した場合の、フォーカス時の被写体距離の分布がないことが望ましい。しかしながら、組み立て時、アクチュエータは、機械的端点_FULLと機械的端点_HOME間のストロークに製造バラツキが生じ、カメラモジュールは、組み立て時、機械的端点_HOMEと、撮像素子間のギャップに製造バラツキが生じてしまう。
なお、フォーカス時の被写体距離がカメラモジュールから遠い場合には、AFレンズは、機械的端点_HOME近辺に位置し、フォーカス時の被写体距離がカメラモジュールから近い場合には、AFレンズは、機械的端点_FULL近辺に位置する。
【0047】
通常、カメラモジュール毎に、イメージシグナルプロセッサ(ISP;Image Signal Processor)、もしくは、外部のメモリに被写体距離(焦点距離)とコード値の関係が保存されており、ISPは、その保存された内容を参照して、予め決められた被写体距離内でAFレンズを動かす。ここで、カメラモジュール毎に上述したように機械的端点_HOMEと、撮像素子間のギャップに製造バラツキが生じると、コード値と、被写体距離(焦点距離)の関係がカメラモジュール毎に異なってしまう。その場合、本来使用しないAFレンズ位置からAFレンズを動かすことになる。つまり、AFレンズを無駄な区間で動かす必要が生じ、AFスピードが遅くなる。そこで、従来は、カメラモジュール毎に、使用可能なコード値の範囲を制限したり、物理的にアクチュエータと撮像素子との距離を任意の距離になるように調整したりしている。
【0048】
図10は、本実施例に係る線形運動デバイスの制御装置を説明するための構成図である。図中符号20は制御装置、21(7a)は磁場センサ(ホール素子)、22はオフセット補償回路、23は増幅器、24はA/D変換回路、25はICIF(インターフェース)、26はコントローラ部、26aはコード設定部、27はメモリ、28(7c)はPID制御回路(制御部)、29はドライバ回路、30(6)は駆動コイル、40はカメラモジュール、41は線形運動デバイス、42(5)は磁石、43(1)はAFレンズを示している。なお、図8と同じ機能を有する構成要素には同一の符号を付してある。
【0049】
また、IC(アイ・スクエア・シー、アイ・ツー・シー)は、シリアスバスで、低速な周辺機器をマザーボードへ接続したり、組み込むシステム、携帯電話などで使われており、Inter−Integrated Circuit の略で、I−squared−C(アイ・スクエアド・シー)が正式な読み方とされており、I2Cと表記されることも多い。
本実施例の線形運動デバイスの制御装置20は、移動体43に取り付けられた磁石42を有する線形運動デバイス41と、この線形運動デバイス41の磁石42の近傍に配置された駆動コイル30とを備えたアクチュエータモジュールにおいて、この駆動コイル30にコイル電流が流れることによって発生する力により磁石42に固定されているレンズ43を移動させることが可能である。
【0050】
磁場センサ21は、磁石42が発生する磁場を検出し、検出された磁場の値に対応する検出位置信号値VPROCを出力する。コントローラ部26は、線形運動デバイス41を移動すべき目標位置を指示する目標位置信号値VTARGを出力する。
メモリ27は、基準位置からのレンズ位置とレンズ位置に対応したコード値とが記憶される。メモリ27に接続するコントローラ部26は、メモリ27に既に記憶されているコード値を新たなコード値に再設定するコード設定部を備える。コード設定部26aは、ユーザによりコード値を設定することが可能になっていてもよく、外部と接続するSDA/SCL端子から入力される外部信号によってコード値を設定するようになっていてもよい。
【0051】
なお、ここでキャリブレーションとは、線形運動デバイス41のホーム位置に対応する第1の位置信号値NEGCALおよび、線形運動デバイス41のフル位置に対応する第2の位置信号値POSCALに対応する検出位置演算信号値VPROCを得て、メモリ27に記憶させることを意味している。
PID制御回路28は、磁場センサ21による検出位置信号値VPROCとコントローラ部26による目標位置信号値VTARGに基づいて、レンズ43を目標位置に移動させるための制御信号をPID制御により生成する。
ドライバ回路29は、PID制御回路28による制御信号に基づいて駆動コイル30に駆動電流を供給する。
【0052】
図10においては、カメラモジュール40のレンズの位置調整を行う制御装置20に適用した場合について説明する。この制御装置(位置制御回路)20は、例えば、IC回路として構成されている。なお、カメラモジュール40は、線形運動デバイス41と、レンズ43を移動させる駆動コイル30とで構成されている。したがって、駆動コイル30に電流を流すことにより、磁石42が移動され、その磁石42に固定されているレンズ43の位置調整が可能となる。
つまり、線形運動デバイス41の制御装置20は、レンズ(移動体)43に取り付けられた磁石42を有する線形運動デバイス41と、この線形運動デバイス41の磁石42の近傍に配置された駆動コイル30とを備え、この駆動コイル30にコイル電流が流れることによって発生する力により磁石42を移動させるように構成されている。
磁場センサ21は、磁石42が発生する磁場を検出し、検出された磁場の値に対応する検出位置信号値VPROCを出力する。つまり、磁場センサ21は、カメラモジュール40の磁石42が発する磁場を電気信号に変換し、検出位置信号を増幅器23に出力する。増幅器23は、磁場センサ21から入力される検出位置信号をオフセット補償回路22を介して増幅する。なお、この磁場センサ21はホール素子であることが望ましい。
【0053】
また、A/D変換回路24は、磁場センサ21からの検出位置信号を増幅器23により増幅してA/D変換するもので、A/D変換された検出位置信号値VPROCを得るものである。
また、コントローラ部26はデバイス(レンズ)位置を制御し、目標位置信号値VTARGを出力するもので、PID制御回路28に接続されている。
また、PID制御回路28は、A/D変換回路24とコントローラ部26とに接続され、A/D変換回路24からの出力信号である検出位置信号値VPROCと、コントローラ部26からの出力信号である目標位置信号値VTARGを入力として、PID制御を行うものである。つまり、PID制御回路28は、A/D変換回路24からの検出位置信号値VPROCとデバイス(レンズ)位置コントローラ部26で生成されたレンズ位置の目標位置信号値VTARGとを入力し、レンズ43の現在位置と、目標位置信号値VTARGにより指示されるレンズ43の目標位置とから、レンズ43を目標位置に移動させるための制御信号を出力する。
【0054】
ここでPID制御とは、フィードバック制御の一種で、入力値の制御を出力値と目標値との偏差とその積分及び微分の3つの要素によって行う方法のことである。基本的なフィードバック制御として比例制御(P制御)がある。これは入力値を出力値と目標値の偏差の一次関数として制御するものである。PID制御では、この偏差に比例して入力値を変化させる動作を比例動作あるいはP動作(PはPROPORTIONALの略)という。つまり、偏差のある状態が長い時間続けばそれだけ入力値の変化を大きくして目標値に近づけようとする役目を果たす。この偏差の積分に比例して入力値を変化させる動作を積分動作あるいはI動作(IはINTEGRALの略)という。このように比例動作と積分動作を組み合わせた制御方法をPI制御という。この偏差の微分に比例して入力値を変化させる動作を微分動作あるいはD動作(DはDERIVATIVE又はDIFFERENTIALの略)という。比例動作と積分動作と微分動作を組み合わせた制御方法をPID制御という。
【0055】
PID制御回路28からの出力信号は、D/A変換回路(図示せず)によりD/A変換され、ドライバ回路29により、検出位置演算信号値VPROCと目標位置信号値VTARGに基づいて、駆動コイル30に駆動電流が供給される。つまり、ドライバ回路29は、PID制御回路28からの制御信号に基づき、出力信号Vout1,Vout2を生成する。この出力信号Vout1,Vout2は、カメラモジュール40の駆動コイル30の両端に供給される。
なお、以上の説明では、線形運動デバイスが、レンズ(移動体)43と、このレンズ(移動体)43に取り付けられた磁石42とからなるものとしているが、駆動コイルを含めて線形運動デバイスとすることもできる。
このようにして、レンズの稼動範囲を変更した場合にも、線形運動デバイスの応答特性を変化させることなく、正確な位置制御を可能とすることができる。
【0056】
つまり、線形運動デバイス41のホーム位置に対応する第1の位置信号値NEGCALと、線形運動デバイス41のフル位置に対応する第2の位置信号値POSCALに対応する検出位置演算信号値(VPROC)を得るキャリブレーション時のレンズの位置とそれに対応するコード値はメモリ27に保存される。
本実施例は、任意の被写体距離に配置した被写体に対して、メモリ27に保存されたレンズの位置とそれに対応するコード値を書き換えるというものである。このメモリ27には、図9に示した所定の被写体距離(例えば3mや10cm)に配置された被写体にフォーカスするレンズ位置とそれに対応するコード値(ここではAとBする)がキャリブレーション直後は書き込まれているが、このAとBをX及びYに書き換えるということになる。
なお、以上ではコントローラ部26が、コード設定部26aを備える場合を中心に説明したが、コントローラ部26外にコード設定部があってもよい。
【0057】
図11は、本実施例に係る線形運動デバイスの制御方法を説明するためのフローチャートを示す図である。本実施例を適用した線形運動デバイスの制御方法は、前準備と実際の動作2つに分けられる。
前準備としては、キャリブレーションを行い、メモリに保存されたレンズの位置とそれに対応するコード値を、本実施例の制御方法を用いて、任意の値に書き換える(ステップS1)。
実際の動作としては、移動体43に取り付けられた磁石42を有する線形運動デバイス41と、この線形運動デバイス41の磁石42の近傍に配置された駆動コイル30とを備え、この駆動コイル30にコイル電流が流れることによって発生する力により磁石42に固定されているレンズ43を移動させる線形運動デバイス41を制御する。
【0058】
まず、外部からICIF25を介して入力された目標位置信号を、コントローラ部にてメモリに保存された値に変換し、目標位置信号値VTARGを出力する(ステップS2)。次に、磁場センサ21により、磁石42が発生する磁場を検出し、検出された磁場の値に対応する検出位置信号値を出力する(ステップS3)。
次に、制御部28により、検出位置信号値VPROCと目標位置信号値VTARGに基づいて、レンズ43を目標位置に移動させるための制御信号をPID制御により生成する(ステップS4)。次に、ドライバ回路29により、制御信号に基づいて駆動コイル30に駆動電流を供給する(ステップS5)。
【0059】
以上のように、本発明によれば、撮像素子とアクチュエータを組み合わせたカメラモジュールの状態で、少なくとも1点以上の任意のフォーカス被写体距離の最適化を可能にしたカメラモジュールの調整方法及びレンズ位置制御装置並びに線形運動デバイスの制御装置及びその制御方法を実現することができ、カメラモジュールの製造バラツキに因らず、高精度な画質を得ることができ、かつAFスピードの向上にも繋がる。
以上のように、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、これらの説明によって発明を限定することを意図するものではない。本発明の説明を参照することにより、当業者には、開示された実施形態の種々の変形例とともに本発明の他の実施形態も明らかである。従って、特許請求の範囲は、本発明の技術的範囲及び要旨に含まれるこれらの変形例又は実施形態も網羅すると解すべきである。
【符号の説明】
【0060】
1,43 AFレンズ
2 アクチュエータ部
3 撮像素子
4 信号処理回路
5,42 磁石
6,30 駆動コイル
7 IC回路
7a,21 磁場センサ(ホール素子)
7b,29 ドライバ回路
7c,28 PID制御回路
10,40 カメラモジュール
20 制御装置
22 オフセット補償回路
23 増幅器
24 A/D変換回路
25 ICIF(インターフェース)
26 コントローラ部
26a コード設定部
27 メモリ
40 カメラモジュール
41 線形運動デバイス
50 レンズ
51 撮像素子
52 信号処理回路
63 位置センサ
54 レンズ位置制御回路
55 駆動部
541 記憶部
542 目標位置信号生成部
543 制御部
56 変換部
545 調整部
110 磁石
111 コイル
112 線形運動デバイス
113 磁場センサ
114 差動増幅器
115 非反転出力バッファ
116 反転出力バッファ
117 第1の出力ドライバ
118 第2の出力ドライバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11