特許第6212970号(P6212970)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立化成株式会社の特許一覧

特許6212970タッチパネル用電極の保護膜及びタッチパネル
<>
  • 特許6212970-タッチパネル用電極の保護膜及びタッチパネル 図000010
  • 特許6212970-タッチパネル用電極の保護膜及びタッチパネル 図000011
  • 特許6212970-タッチパネル用電極の保護膜及びタッチパネル 図000012
  • 特許6212970-タッチパネル用電極の保護膜及びタッチパネル 図000013
  • 特許6212970-タッチパネル用電極の保護膜及びタッチパネル 図000014
  • 特許6212970-タッチパネル用電極の保護膜及びタッチパネル 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6212970
(24)【登録日】2017年9月29日
(45)【発行日】2017年10月18日
(54)【発明の名称】タッチパネル用電極の保護膜及びタッチパネル
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20171005BHJP
   G03F 7/033 20060101ALI20171005BHJP
   G03F 7/031 20060101ALI20171005BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20171005BHJP
   C09D 4/00 20060101ALI20171005BHJP
   C09D 7/12 20060101ALI20171005BHJP
   C09D 201/08 20060101ALI20171005BHJP
【FI】
   G06F3/041 660
   G03F7/033
   G03F7/031
   G06F3/041 430
   C09D201/00
   C09D4/00
   C09D7/12
   C09D201/08
【請求項の数】5
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2013-123513(P2013-123513)
(22)【出願日】2013年6月12日
(62)【分割の表示】特願2013-516814(P2013-516814)の分割
【原出願日】2012年12月4日
(65)【公開番号】特開2013-200891(P2013-200891A)
(43)【公開日】2013年10月3日
【審査請求日】2015年10月13日
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2011/078108
(32)【優先日】2011年12月5日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】日立化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 真弓
(72)【発明者】
【氏名】笹原 直樹
(72)【発明者】
【氏名】瀬里 泰洋
【審査官】 ▲高▼瀬 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/129210(WO,A1)
【文献】 特開2007−257963(JP,A)
【文献】 特開2007−086565(JP,A)
【文献】 特許第5304971(JP,B1)
【文献】 特開2010−237449(JP,A)
【文献】 特開2010−257952(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
C09D 4/00
C09D 7/12
C09D 201/00
C09D 201/08
G03F 7/031
G03F 7/033
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂硬化膜パターンの、タッチパネル用電極を防錆するための使用であって、
前記樹脂硬化膜パターンが、バインダーポリマーと、光重合性化合物と、光重合開始剤と、光重合性不飽和結合を含むリン酸エステルと、を含有する感光性樹脂組成物からなる、厚みが2μm以上8μm以下の感光層、の硬化膜パターンであって、
前記タッチパネル用電極が、銅を含有し、タッチパネルの額縁領域にある金属配線であり、
熱分解ガスクロマトグラフ質量分析によりヘプタノニトリル及び安息香酸が検出される、樹脂硬化膜パターンの使用。
【請求項2】
前記分析における前記安息香酸の検出ピーク面積が、前記ヘプタノニトリルの検出ピーク面積に対して、1〜10%である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記樹脂硬化膜パターンは、400〜700nmにおける可視光透過率の最小値が90%以上である、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
前記バインダーポリマーは、カルボキシル基を有し、酸価が75mgKOH/g以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
前記バインダーポリマーは、水酸基価が50mgKOH/g以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネル用電極の保護膜、及びそれを有するタッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
パソコンやテレビの大型電子機器からカーナビゲーション、携帯電話、電子辞書等の小型電子機器やOA・FA機器等の表示機器には液晶表示素子やタッチパネル(タッチセンサー)が用いられている。これら液晶表示素子やタッチパネルには透明導電電極材からなる電極が設けられている。透明導電電極材としては、ITO(Indium−Tin−Oxide)、酸化インジュウムや酸化スズが知られており、これらの材料は高い可視光透過率を示すことから液晶表示素子用基板等の電極材として主流になっている。
【0003】
タッチパネルはすでに各種の方式が実用化されているが、近年、静電容量方式のタッチパネルの利用が進んでいる。静電容量方式タッチパネルでは、導電体である指先がタッチ入力面に接触すると、指先と導電膜との間が静電容量結合し、コンデンサを形成する。このため、静電容量方式タッチパネルは、指先の接触位置における電荷の変化を捉えることによって、その座標を検出している。
【0004】
特に、投影型静電容量方式のタッチパネルは、指先の多点検出が可能なため、複雑な指示を行うことができるという良好な操作性を備え、その操作性の良さから、携帯電話や携帯型音楽プレーヤなどの小型の表示装置を有する機器における表示面上の入力装置として利用が進んでいる。
【0005】
一般に、投影型静電容量方式のタッチパネルでは、X軸とY軸による2次元座標を表現するために、複数のX電極と、当該X電極に直交する複数のY電極とが、2層構造を形成しており、該電極としてはITO(Indium−Tin−Oxide)が用いられる。
【0006】
ところで、タッチパネルの額縁領域はタッチ位置を検出できない領域であるから、その額縁領域の面積を狭くすることが製品価値を向上させるための重要な要素である。額縁領域には、タッチ位置の検出信号を伝えるために、金属配線が必要となるが、額縁面積の狭小化を図るためには、金属配線の幅を狭くする必要がある。ITOの導電性は充分に高くないので、一般的に金属配線は銅により形成される。
【0007】
しかしながら、上述のようなタッチパネルは、指先に接触される際に水分や塩分などの腐食成分がセンシング領域から内部に侵入することがある。タッチパネルの内部に腐食成分が侵入すると、金属配線が腐食し、電極と駆動用回路間の電気抵抗の増加や、断線の恐れがあった。
【0008】
金属配線の腐食を防ぐために、金属上に絶縁層を形成した静電容量方式の投影型タッチパネルが開示されている(例えば、特許文献1)。このタッチパネルでは、二酸化ケイ素層をプラズマ化学気相成長法(プラズマCVD法)で金属上に形成し、金属の腐食を防いでいる。しかしながら、この手法はプラズマCVD法を用いるため、高温処理が必要となり基材が限定される、製造コストが高くなるなどの問題があった。
【0009】
ところで、必要な箇所にレジスト膜を設ける方法として、所定の基材上に感光性樹脂組成物からなる感光層を設けてこの感光層を露光、現像する方法が知られている(例えば、特許文献2〜4)。また、特許文献5及び6には、上記方法により、タッチパネルの保護膜を形成することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2011−28594号公報
【特許文献2】特開平7−253666号公報
【特許文献3】特開2005−99647号公報
【特許文献4】特開平11−133617号公報
【特許文献5】特開2010−27033号公報
【特許文献6】特開2011−232584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
感光性樹脂組成物による保護膜の作製は、プラズマCVD法に比べてコストの削減が期待できる。しかし、タッチパネル用電極上に保護膜を形成する場合、樹脂膜の厚みが大きいと、膜がある箇所と膜がない箇所とで段差が目立つことがある。そのため、保護膜はできるだけ薄くすることが好ましい。
【0012】
しかし、厚み10μm以下のレベルにおいて、感光性樹脂組成物から形成される膜の防錆性について検討された例はなかった。
【0013】
また、センシング領域の保護も考慮すると、感光性樹脂組成物による保護膜の作製においては、樹脂硬化膜の透明性が要求される。
【0014】
本発明は、所望の形状を有し、透明性に優れるとともに、薄膜であっても充分な防錆性を有することができるタッチパネル用電極の保護膜及びそのような保護膜を有するタッチパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために本発明者らは鋭意検討した結果、特定の感光性樹脂組成物から形成され、熱分解ガスクロマトグラフ質量分析により特定の化合物が検出される樹脂硬化膜が、所望の形状を有することができ、透明性に優れるとともに、10μm以下の厚みであっても充分な防錆性を有し、タッチパネル用電極の保護膜として好適であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0016】
本発明は、バインダーポリマーと、光重合性化合物と、光重合開始剤と、を含有する感光性樹脂組成物からなる感光層の所定部分を硬化させて得られるタッチパネル用電極の保護膜であって、熱分解ガスクロマトグラフ質量分析によりヘプタノニトリル及び安息香酸が検出されるタッチパネル用電極の保護膜を提供する。
【0017】
本発明のタッチパネル用電極の保護膜によれば、所望の形状を有することができ、透明性に優れるとともに、厚みが10μm以下の薄膜であっても充分な防錆性を有することができる。
【0018】
本発明のタッチパネル用電極の保護膜が上記の効果を奏することができる理由を本発明者らは以下のとおり考えている。保護膜の厚みが小さくなると、タッチパネル用電極に腐食成分が侵入しやすくなる。これに対し、ヘプタノニトリル及び安息香酸の検出源となる成分が含まれる感光層は、透明性及びパターン形成性を十分有し、なおかつ密な硬化状態を形成できる組成であると考えられる。このような感光層からタッチパネル用電極の保護膜が形成されることにより、腐食成分の侵入を抑制できる充分な防錆性と、透明性及びパターン形成性との両立が達成されたものと本発明者らは推察する。
【0019】
本発明のタッチパネル用電極の保護膜において、防錆性をより向上させる観点から、熱分解ガスクロマトグラフ質量分析における安息香酸の検出ピーク面積が、ヘプタノニトリルの検出ピーク面積に対して、1〜10%であることが好ましい。
【0020】
また、本発明のタッチパネル用電極の保護膜は、400〜700nmにおける可視光透過率の最小値が90%以上であることが好ましい。
【0021】
更に、良好な形状を有する保護膜を提供する観点から、上記バインダーポリマーは、カルボキシル基を有し、酸価が75mgKOH/g以上であることが好ましい。
【0022】
また、防錆性をより向上させる観点から、上記バインダーポリマーは、水酸基価が50mgKOH/g以下であることが好ましい。
【0023】
更に、本発明のタッチパネル用電極の保護膜は、厚みが10μm以下であることが好ましい。
【0024】
本発明はまた、上記本発明に係る保護膜を有するタッチパネルを提供する。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、所望の形状を有し、透明性に優れるとともに、薄膜であっても充分な防錆性を有することができるタッチパネル用電極の保護膜及びそのような保護膜を有するタッチパネルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明に係るタッチパネル用電極の保護膜を形成するために用いられる感光性エレメントの一実施形態を示す模式断面図である。
図2】本発明に係るタッチパネル用電極の保護膜の形成方法の一実施形態を説明するための模式断面図である。
図3】静電容量式のタッチパネルの一例を示す模式上面図である。
図4】静電容量式のタッチパネルの別の例を示す模式上面図である。
図5】(a)は、図3に示されるC部分のV−V線に沿った部分断面図であり、(b)は、別の態様を示す部分断面図である。
図6】実施例6で得られた保護膜について熱分解ガスクロマトグラフ質量分析を行ったときのガスクロマトグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸又はメタクリル酸を意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はそれに対応するメタクリレートを意味し、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基を意味する。また、(ポリ)オキシエチレン鎖はオキシエチレン基又はポリオキシエチレン基を意味し、(ポリ)オキシプロピレン鎖はオキシプロピレン基又はポリオキシプロピレン基を意味する。
【0028】
また、本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。また本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
【0029】
さらに本明細書において組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
【0030】
本発明のタッチパネル用電極の保護膜は、バインダーポリマーと、光重合性化合物と、光重合開始剤と、を含有する感光性樹脂組成物からなる感光層の所定部分を硬化させて得られるタッチパネル用電極の保護膜であって、熱分解ガスクロマトグラフ質量分析によりヘプタノニトリル及び安息香酸が検出されることを特徴とする。
【0031】
本願明細書において保護膜の熱分解ガスクロマトグラフ質量分析は、測定サンプルを140℃で加熱して発生したガスについてガスクロマトグラフ質量分析を行う。上記の測定サンプルの加熱時間は、1〜60分の範囲であればよいが、30分であることが好ましい。熱分解ガスクロマトグラフ質量分析の測定条件を以下に示す。
【0032】
(熱分解ガスクロマトグラフ質量分析の測定条件)
測定装置:GC/MS QP−2010(島津製作所製、製品名)
カラム:HP−5MS(アジレント・テクノロジー株式会社製、製品名)
Oven Temp:40℃で5分間加熱後、15℃/minの割合で300℃まで昇温
キャリアーガス:ヘリウム、1.0mL/min
インターフェイス温度:280℃
イオンソース温度:250℃
サンプル注入量:0.1mL
【0033】
保護膜の熱分解ガスクロマトグラフ質量分析における安息香酸の検出ピーク面積は、ヘプタノニトリルの検出ピーク面積に対して、1〜10%であることが好ましく、1〜9%であることがより好ましく、1〜7%であることが更に好ましく、1〜6%であることが特に好ましい。安息香酸の検出ピーク面積が1〜10%であると、所望の形状を有し、透明性に優れるとともに、薄膜であっても充分な防錆性を有するという本発明の効果をより確実に得ることができる。
【0034】
次に、本発明のタッチパネル用電極の保護膜を得るために用いることができる感光性エレメント及び感光性樹脂組成物について説明する。
【0035】
図1は、本発明に係るタッチパネル用電極の保護膜を形成するために用いられる感光性エレメントの一実施形態を示す模式断面図である。図1に示される感光性エレメント1は、支持フィルム10と、支持フィルム10上に設けられた本実施形態に係る感光性樹脂組成物からなる感光層20と、感光層20の支持フィルム10とは反対側に設けられた保護フィルム30とからなる。
【0036】
上記感光性エレメントを用いることで、本発明のタッチパネル用電極の保護膜を形成することができる。
【0037】
本明細書においてタッチパネル用電極とは、タッチパネルのセンシング領域にある電極だけでなく額縁領域の金属配線も含まれる。保護膜を設ける電極は、いずれか一方であってもよく、両方であってもよい。
【0038】
支持フィルム10としては、重合体フィルムを用いることができる。重合体フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルサルフォン等からなるフィルムが挙げられる。
【0039】
支持フィルム10の厚さは、被覆性の確保と、支持フィルム10を介して活性光線を照射する際の解像度の低下を抑制する観点から、5〜100μmであることが好ましく、10〜70μmであることがより好ましく、15〜40μmであることがさらに好ましく、20〜35μmであることが特に好ましい。
【0040】
感光層20を構成する本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、バインダーポリマー(以下、(A)成分ともいう)と、光重合性化合物(以下、(B)成分ともいう)と、光重合開始剤(以下、(C)成分ともいう)と、を含有する。上記感光性樹脂組成物には、活性光線の照射により硬化物にしたときに当該硬化物の熱分解においてヘプタノニトリル及び安息香酸が発生する成分を含有させることができる。このような成分を含む感光性樹脂組成物から形成される保護膜は、上述した熱分解ガスクロマトグラフ質量分析によりヘプタノニトリル及び安息香酸が検出される。
【0041】
(A)成分としては、例えば、カルボキシル基を有するポリマーを用いることができる。
【0042】
本実施形態において、(A)成分は、(a)(メタ)アクリル酸、及び(b)(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位を含有する共重合体が好適である。
【0043】
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル、及び(メタ)アクリル酸ヒドロキシルエチルエステルが挙げられる。
【0044】
上記共重合体は、更に、上記の(a)成分及び/又は(b)成分と共重合しうるその他のモノマーを構成単位に含有していてもよい。
【0045】
上記の(a)成分及び/又は(b)成分と共重合し得るその他のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、(メタ)アクリル酸ベンジルエステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、スチレン、及びビニルトルエンが挙げられる。(A)成分であるバインダーポリマーを合成する際、上記のモノマーは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0046】
(A)成分であるバインダーポリマーの重量平均分子量は、解像度の見地から、10,000〜200,000であることが好ましく、15,000〜150,000であることがより好ましく、30,000〜150,000であることが更に好ましく、30,000〜100,000であることが特に好ましく、40,000〜100,000であることが極めて好ましい。なお、重量平均分子量の測定条件は、本願明細書の実施例と同一の測定条件とする。
【0047】
(A)成分であるバインダーポリマーの酸価は、所望の形状を有する保護膜を容易に形成する観点から、75mgKOH/g以上とすることができ、保護膜形状の制御容易性と保護膜の防錆性との両立を図る観点75〜200mgKOH/gであることが好ましく、75〜150mgKOH/gであることがより好ましく、75〜120mgKOH/gであることが更に好ましい。
【0048】
(A)成分であるバインダーポリマーの酸価は、次のようにして測定することができる。すなわち、まず、酸価の測定対象であるバインダーポリマー1gを精秤する。上記精秤したバインダーポリマーにアセトンを30g添加し、これを均一に溶解する。次いで、指示薬であるフェノールフタレインをその溶液に適量添加して、0.1NのKOH水溶液を用いて滴定を行う。そして、次式により酸価を算出する。
酸価=0.1×Vf×56.1/(Wp×I/100)
式中、VfはKOH水溶液の滴定量(mL)を示し、Wpは測定したバインダーポリマー含有する溶液の重量(g)を示し、Iは測定したバインダーポリマー含有する溶液中の不揮発分の割合(質量%)を示す。
なお、バインダーポリマーを合成溶媒や希釈溶媒などの揮発分と混合した状態で配合する場合は、精秤前に予め、揮発分の沸点よりも10℃以上高い温度で1〜4時間加熱し、揮発分を除去してから酸価を測定する。
【0049】
(A)成分であるバインダーポリマーの水酸基価は、防錆性をより向上させる観点から、50mgKOH/g以下であることが好ましく、45mgKOH/g以下であることがより好ましい。
【0050】
(A)成分の水酸基価は、次のようにして測定することができる。
まず、水酸基価の測定対象であるバインダーポリマー1gを精秤する。上記精秤下バインダーポリマーに、10質量%の無水酢酸ピリジン溶液を10mL加えてこれを均一に溶解し、100℃で1時間加熱する。加熱後、水10mLとピリジン10mLを加えて100℃で10分間加熱する。その後、自動滴定機(平沼産業(株)製「COM−1700」)を用いて、0.5mol/Lの水酸化カリウムのエタノール溶液により中和滴定することにより測定する。
なお、水酸基価は次式により算出できる。
水酸基価=(A−B)×f×28.05/試料(g)+酸価
式中、Aは空試験に用いた0.5mol/L水酸化カリウムエタノール溶液の量(mL)を示し、Bは滴定に用いた0.5mol/L水酸化カリウムエタノール溶液の量(mL)を示し、fはファクターを示す。
なお、バインダーポリマーを合成溶媒や希釈溶媒と混合した状態で配合する場合は、予め、係る合成溶媒や希釈溶媒の沸点よりも10℃以上高い温度で1〜4時間加熱し、上記溶媒を除去してから水酸基価を測定する。
【0051】
(B)成分である光重合性化合物としては、エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物を用いることができる。
【0052】
エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物としては、例えば、一官能ビニルモノマー、二官能ビニルモノマー、少なくとも3つの重合可能なエチレン性不飽和基を有する多官能ビニルモノマーが挙げられる。
【0053】
上記一官能ビニルモノマーとしては、例えば、上記(A)成分の好適な例である共重合体の合成に用いられるモノマーとして例示した(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル及びそれらと共重合可能なモノマーが挙げられる。
【0054】
上記二官能ビニルモノマーとしては、例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリオキシエチレンポリオキシプロピレンジ(メタ)アクリレート(2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシフェニル)プロパン)、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート等、多価カルボン酸(無水フタル酸等)と水酸基及びエチレン性不飽和基を有する物質(β−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキシエチルメタクリレート等)とのエステル化物が挙げられる。
【0055】
上記少なくとも3つの重合可能なエチレン性不飽和基を有する多官能ビニルモノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多価アルコールにα,β−不飽和飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物;トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリアクリレート等のグリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を付加して得られる化合物が挙げられる。
【0056】
これらの中でも、少なくとも3つの重合可能なエチレン性不飽和基を有する多官能ビニルモノマーを含有することが好ましい。さらに、電極腐食の抑制力及び現像容易性の観点から、ペンタエリスリトール由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物、ジペンタエリスリトール由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物及びトリメチロールプロパン由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物から選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、ジペンタエリスリトール由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物及びトリメチロールプロパン由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物から選択される少なくとも1種を含むことがより好ましい。
【0057】
ここで、ジペンタエリスリトール由来の骨格を有する(メタ)アクリレートとは、ジペンタエリスリトールと、(メタ)アクリル酸とのエステル化物を意味し、当該エステル化物には、アルキレンオキシ基で変性された化合物も包含される。上記のエステル化物は、一分子中におけるエステル結合の数が6であることが好ましいが、エステル結合の数が1〜5の化合物が混合していてもよい。
【0058】
また、上記トリメチロールプロパン由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物とは、トリメチロールプロパンと、(メタ)アクリル酸とのエステル化物を意味し、当該エステル化物には、アルキレンオキシ基で変性された化合物も包含される。上記のエステル化物は、一分子中におけるエステル結合の数が3であることが好ましいが、エステル結合の数が1〜2の化合物が混合していてもよい。
【0059】
上記の化合物は、1種を単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0060】
分子内に少なくとも3つの重合可能なエチレン性不飽和基を有するモノマーと、一官能ビニルモノマーや二官能ビニルモノマーを組み合わせて用いる場合、使用する割合に特に制限はないが、光硬化性及び電極腐食の抑制力を得る観点から、分子内に少なくとも3つの重合可能なエチレン性不飽和基を有するモノマーの割合が、感光性樹脂組成物に含まれる光重合性化合物の合計量100質量部に対して、30質量部以上であることが好ましく、50質量部以上であることがより好ましく、75質量部以上であることが更に好ましい。
【0061】
本実施形態に係る感光性樹脂組成物における(A)成分及び(B)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対し、それぞれ(A)成分が35〜85質量部、(B)成分が15〜65質量部であることが好ましく、(A)成分が40〜80質量部、(B)成分が20〜60質量部であることがより好ましく、(A)成分が50〜70質量部、(B)成分が30〜50質量部であることが更に好ましく、(A)成分が55〜65質量部、(B)成分が35〜45質量部であることが特に好ましい。特に、透明性を維持し、パターンを形成する点では、(A)成分及び(B)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対し、(A)成分が、35質量部以上であることが好ましく、40質量部以上であることがより好ましく、50質量部以上であることが更に好ましく、55質量部以上であることが特に好ましい。
【0062】
(A)成分及び(B)成分の含有量を上記範囲内とすることにより、塗布性あるいは感光性エレメントでのフィルム性を充分に確保しつつ、充分な感度が得られ、光硬化性、現像性、及び電極腐食の抑制力を充分に確保することができる。
【0063】
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、(C)成分である光重合開始剤として、オキシムエステル化合物を含むことが好ましい。オキシムエステル化合物を含むことにより、基材上に、厚みが10μm以下の薄膜であっても充分な解像度で樹脂硬化膜パターンを形成することができる。更に、透明性にも優れた樹脂硬化膜パターンを形成することもできる。
【0064】
オキシムエステル化合物としては、下記一般式(C−1)で表される化合物が挙げられる。
【0065】
【化1】
【0066】
上記一般式(C−1)中、Rは、炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素数3〜20のシクロアルキル基を示す。なお、本発明の効果を阻害しない限り、上記一般式(C−1)中の芳香環上に置換基を有していてもよい。
【0067】
上記一般式(C−1)中、Rは炭素数3〜10のアルキル基、又は炭素数4〜15のシクロアルキル基であることが好ましく、炭素数4〜8のアルキル基、又は炭素数4〜10のシクロアルキル基であることがより好ましい。
【0068】
上記一般式(C−1)で表される化合物としては、(1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]等が挙げられる。1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]は、IRGACURE OXE 01(BASF(株)製、商品名)として入手可能である。
【0069】
上記一般式(C−1)の中でも、特に1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]が極めて好ましい。この場合、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]が、本実施形態に係る樹脂組成物から形成した保護膜について熱分解ガスクロマトグラフ質量分析を行ったときに、ヘプタノニトリル及び安息香酸として検出される。また、この場合に得られる保護膜の熱分解ガスクロマトグラフ質量分析における安息香酸の検出ピーク面積は、ヘプタノニトリルの検出ピーク面積に対して、1〜10%であることが好ましく、1〜9%であることがより好ましく、1〜7%であることが更に好ましく、1〜6%であることが特に好ましい。安息香酸の検出ピーク面積が1〜10%であると、所望の形状を有し、透明性に優れるとともに、薄膜であっても充分な防錆性を有するという本発明の効果をより確実に得ることができる。
【0070】
(C)成分は、オキシムエステル化合物以外の光重合開始剤を併用して使用することもできる。オキシムエステル化合物以外の光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパノン−1等の芳香族ケトン;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物、ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体;9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体;N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体;クマリン系化合物;オキサゾール系化合物が挙げられる。また、ジエチルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸の組み合わせのように、チオキサントン系化合物と3級アミン化合物とを組み合わせてもよい。
【0071】
(C)成分である光重合開始剤の含有量は、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対し、0.1〜20質量部であることが好ましく、1〜10質量部であることがより好ましく、2〜5質量部であることが更に好ましい。
【0072】
(C)成分の含有量は、光感度及び解像性に優れる点では、0.1質量部以上が好ましく、可視光透過率に優れる点では、20質量部以下であることが好ましい。
【0073】
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、保護膜の防錆性をより向上させる観点から、メルカプト基を有するトリアゾール化合物、メルカプト基を有するテトラゾール化合物、メルカプト基を有するチアジアゾール化合物、アミノ基を有するトリアゾール化合物又はアミノ基を有するテトラゾール化合物(以下、(D)成分ともいう)を更に含有することが好ましい。メルカプト基を有するトリアゾール化合物としては、例えば、3−メルカプト−トリアゾール(和光純薬(株)製、商品名:3MT)が挙げられる。また、メルカプト基を有するチアジアゾール化合物としては、例えば、2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール(和光純薬(株)製、商品名:ATT)が挙げられる。
【0074】
上記アミノ基を有するトリアゾール化合物としては、ベンゾトリアゾール、1H−ベンゾトリアゾール−1−アセトニトリル、ベンゾトリアゾール−5−カルボン酸、1H−ベンゾトリアゾール−1−メタノール、カルボキシベンゾトリアゾール等にアミノ基が置換した化合物、3−メルカプトトリアゾール、5−メルカプトトリアゾール等のメルカプト基を含むトリアゾール化合物にアミノ基が置換した化合物が挙げられる。
【0075】
これらの中でも、現像残渣をより低減できる観点から、メルカプト基を含むトリアゾール化合物にアミノ基が置換した化合物を含むことが好ましい。具体的には例えば、3−アミノ−5−メルカプトトリアゾール(BASF(株)社製、商品名:AMT)が挙げられる。
【0076】
上記アミノ基を有するテトラゾール化合物としては、下記一般式(D−1)で表わされる化合物が挙げられる。
【0077】
【化2】

上記一般式(D−1)中のR11及びR12は、各々独立に、水素、炭素数1〜20のアルキル基、アミノ基、メルカプト基、又はカルボキシメチル基を示し、R11及びR12の少なくともひとつは、アミノ基を有する。
【0078】
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられる。
【0079】
上記一般式(D−1)で表されるテトラゾール化合物の中でも、5−アミノ−1H−テトラゾール、1−メチル−5−アミノ−テトラゾール、1−メチル−5−メルカプト−1H−テトラゾール、又は1−カルボキシメチル−5−アミノ−テトラゾールが好ましい。
【0080】
上記一般式(D−1)で表されるテトラゾール化合物は、その水溶性塩であっても好適である。具体例としては、1−メチル−5−アミノ−テトラゾールのナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属塩などが挙げられる。
【0081】
これらの中でも、電極腐食の抑制力、金属電極との密着性、現像容易性、透明性の観点から、5−アミノ−1H−テトラゾール、1−メチル−5−メルカプト−1H−テトラゾールが特に好ましい。
【0082】
これらのテトラゾール化合物及びその水溶性塩は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0083】
また、保護膜を設ける電極表面が銅、銅合金、ニッケル合金などの金属を有している場合の防錆性をより向上させる観点から、感光性樹脂組成物はアミノ基を有するテトラゾール化合物又はメルカプト基を含むトリアゾール化合物にアミノ基が置換した化合物を更に含有することが好ましい。この場合、現像残渣を低減することができ、良好なパターンで保護膜を形成することが容易となる。この理由としては、表面の適度な密着性が発現されることが考えられる。
【0084】
アミノ基を有するテトラゾール化合物又はメルカプト基を含むトリアゾール化合物にアミノ基が置換した化合物を含有する場合、上記の効果が得られることから、本実施形態に係る感光性樹脂組成物及び感光性エレメントは、銅などの金属層を形成して導電性を向上させたタッチパネルの額縁領域における電極を保護するための保護膜の形成に好適である。
【0085】
本実施形態に係る感光性樹脂組成物における(D)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対し、0.05〜10.0質量部とすることが好ましく、0.1〜2.0質量部とすることがより好ましく、0.2〜1.0質量部とすることが更に好ましい。
【0086】
ところで、タッチパネルのITO電極上の一部に保護膜を設ける場合、例えば、センシング領域には保護膜を形成せずに、額縁領域のITO電極及びITO電極上に銅などの金属層を形成した部分に保護膜を設ける場合、全体に感光層を設けた後に露光、現像を行って不要な部分を除去することができる。この場合、感光層は、保護する電極に対する密着性は充分有しつつ、不要な部分では現像残りが生じないように良好な現像性が求められる。このような場合の密着性と現像性とを両立する観点から、本発明の感光性樹脂組成物は、光重合性不飽和結合を含むリン酸エステル(以下、(E)成分ともいう)を含有することが好ましい。
【0087】
(E)成分である光重合性不飽和結合を含むリン酸エステルとしては、形成する保護膜の防錆性を充分確保しつつ、ITO電極に対する密着性と現像性とを高水準で両立する観点から、リン酸エステルとしては、下記の構造を有する化合物を用いることが好ましい。当該化合物は、PM21(日本化薬株式会社製)などの市販品が入手可能である。
【0088】
【化3】
【0089】
本実施形態に係る感光性樹脂組成物には、その他、必要に応じて、シランカップリング剤等の密着性付与剤、レベリング剤、可塑剤、充填剤、消泡剤、難燃剤、安定剤、酸化防止剤、香料、熱架橋剤、重合禁止剤などを(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対し、各々0.01〜20質量部程度含有させることができる。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
【0090】
ここで、感光性樹脂組成物の可視光透過率は以下のようにして求められる。まず、支持フィルム上に感光性樹脂組成物を含有する塗布液を、乾燥後の厚みが10μm以下となるように塗布し、これを乾燥することにより、感光性樹脂組成物層(感光層)を形成する。次に、ガラス基板上に、感光性樹脂組成物層(感光層)が接するようにラミネータを用いてラミネートする。こうして、ガラス基板上に、感光性樹脂組成物層及び支持フィルムが積層された測定用試料を得る。次に、得られた測定用試料に紫外線を照射して感光性樹脂組成物層を光硬化した後、紫外可視分光光度計を用いて、測定波長域400〜700nmにおける透過率を測定する。
【0091】
なお、上述した好適な透過率とは、上記波長域における透過率の最小値を意味する。
【0092】
一般的な可視光波長域の光線である400〜700nmの波長域における透過率が90%以上であれば、タッチパネル(タッチセンサー)のセンシング領域の透明電極を保護する場合や、タッチパネル(タッチセンサー)の額縁領域の金属層(例えば、ITO電極上に銅層を形成した層)を保護したときにセンシング領域の端部から保護膜が見える場合において、センシング領域での画像表示品質、色合い、輝度が低下することを充分抑制することができる。
【0093】
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、基材上に感光層を形成するために用いることができる。例えば、感光性樹脂組成物を溶媒に均一に溶解又は分散させて得ることのできる塗布液を調製し、基材上に塗布することで塗膜を形成し、乾燥により溶媒を除去することで感光層を形成することができる。
【0094】
溶媒としては、各成分の溶解性、塗膜形成のし易さ等の点から、ケトン、芳香族炭化水素、アルコール、グリコールエーテル、グリコールアルキルエーテル、グリコールアルキルエーテルアセテート、エステル、又はジエチレングリコールを用いることができる。これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上の溶媒からなる混合溶媒として用いてもよい。
【0095】
上記溶媒の中でも、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等を用いることが好ましい。
【0096】
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、感光性エレメント1のように、感光性フィルムに製膜して用いることが好ましい。感光性フィルムを、タッチパネル用電極を有する基材上に積層することにより、ロールツーロールプロセスが容易に実現できる、溶剤乾燥工程が短縮できるなど、製造工程の短縮やコスト低減に大きく貢献することができる。
【0097】
感光性エレメント1の感光層20は、本実施形態に係る感光性樹脂組成物を含有する塗布液を調製し、これを支持フィルム10上に塗布、乾燥することにより形成できる。塗布液は、上述した本実施形態に係る感光性樹脂組成物を構成する各成分を溶剤に均一に溶解又は分散することにより得ることができる。
【0098】
溶剤としては、特に制限はなく、公知のものが使用でき、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、クロロホルム、塩化メチレンが挙げられる。これら溶剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上の溶剤からなる混合溶剤として用いてもよい。
【0099】
塗布方法としては、例えば、ドクターブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ロールコーティング法、スクリーンコーティング法、スピナーコーティング法、インクジェットコーティング法、スプレーコーティング法、ディップコーティング法、グラビアコーティング法、カーテンコーティング法、ダイコーティング法が挙げられる。
【0100】
乾燥条件に特に制限はないが、乾燥温度は、60〜130℃とすることが好ましく、乾燥時間は、0.5〜30分とすることが好ましい。
【0101】
感光層の厚みは、電極保護に充分な効果を発揮し、かつ部分的な電極保護膜形成により生じるタッチパネル(タッチセンサー)表面の段差が極力小さくなるよう、乾燥後の厚みで1μm以上9μm以下であることが好ましく、1μm以上8μm以下であることがより好ましく、2μm以上8μm以下であることが更に好ましいく、3μm以上8μm以下であることが特に好ましい。
【0102】
本実施形態においては、感光層20が、可視光線透過率の最小値が90%以上であることが好ましく、92%以上であることがより好ましく、95%以上であることが更に好ましい。
【0103】
感光層20の粘度は、感光性エレメントをロール状とした場合に、感光性エレメント1の端面から感光性樹脂組成物がしみ出すことを1カ月以上防止する点及び感光性エレメント1を切断する際に感光性樹脂組成物の破片が基板に付着して引き起こされる活性光線を照射する際の露光不良や現像残り等を防止する点から、30℃において、15〜100mPa・sであることが好ましく、20〜90mPa・sであることがより好ましく、25〜80mPa・sであることが更に好ましい。
【0104】
なお、上記の粘度は、感光性樹脂組成物から形成される直径7mm、厚さ2mmの円形の膜を測定用試料とし、この試料の厚さ方向に、30℃及び80℃で1.96×10−2Nの荷重を加えたときの厚さの変化速度を測定し、この変化速度からニュートン流体を仮定して粘度に換算した値である。
【0105】
保護フィルム30(カバーフィルム)としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン−酢酸ビニル共重合体、及びポリエチレン−酢酸ビニル共重合体とポリエチレンの積層フィルム等からなるフィルムが挙げられる。
【0106】
保護フィルム30の厚さは、5〜100μm程度が好ましいが、ロール状に巻いて保管する観点から、70μm以下であることが好ましく、60μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることがさらに好ましく、40μm以下であることが特に好ましい。
【0107】
感光性エレメント1は、ロール状に巻いて保管し、あるいは使用できる。
【0108】
本実施形態においては、上述した本実施形態に係る感光性樹脂組成物及び溶媒を含有する塗布液を、タッチパネル用電極を有する基材上に塗布し、乾燥して、感光性樹脂組成物からなる感光層20を設けてもよい。この用途の場合においても、感光層は上述した、膜厚、可視光線透過率を満たすことが好ましい。
【0109】
次に、本発明に係るタッチパネル用電極の保護膜を形成する方法について説明する。図2は、本発明に係るタッチパネル用電極の保護膜の形成方法の一例を説明するための模式断面図である。
【0110】
本実施形態のタッチパネル用電極の保護膜の形成方法は、タッチパネル用電極110及び120を有する基材100上に、上記の本実施形態に係る感光性樹脂組成物からなる感光層20を設ける第1工程と、感光層20の所定部分を紫外線を含む活性光線の照射により硬化させる第2工程と、活性光線の照射後に所定部分以外の感光層を除去し、電極の一部又は全部を被覆する感光性樹脂組成物の硬化膜パターンからなる保護膜22を形成する第3工程と、を備える。こうして、タッチ入力シートである保護膜付きタッチパネル(タッチセンサー)200が得られる。
【0111】
本実施形態で使用される基材100としては、一般にタッチパネル(タッチセンサー)用として用いられる、ガラス板、プラスチック板、セラミック板等の基板が挙げられる。この基板上には、保護膜となる樹脂硬化膜を形成する対象となるタッチパネル用電極が設けられる。電極としては、ITO、Cu、Al、Mo等の電極、TFT等が挙げられる。また、基板上には、基板と電極との間に絶縁層が設けられていてもよい。
【0112】
図2に示されるタッチパネル用電極110及び120を有する基材100は、例えば、以下の手順で得ることができる。PETフィルムなどの基材100上に、ITO、Cuの順にスパッタより金属膜を形成した後、金属膜上にエッチング用感光性フィルムを貼り付け、所望のレジストパターンを形成し、不要なCuを塩化鉄水溶液等のエッチング液で除去した後、レジストパターンをはく離除去する。
【0113】
上記第1工程では、本実施形態に係る感光性エレメント1の保護フィルム30を除去した後、感光性エレメントを加熱しながら、基材100のタッチパネル用電極110及び120が設けられている表面に感光層20を圧着することにより転写し、積層する(図2の(a)を参照)。
【0114】
圧着手段としては、圧着ロールが挙げられる。圧着ロールは、加熱圧着できるように加熱手段を備えたものであってもよい。
【0115】
加熱圧着する場合の加熱温度は、感光層20と基材100との密着性、並びに、感光層20とタッチパネル用電極110及び120との密着性を充分確保しながら、感光層20の構成成分が熱硬化あるいは熱分解されにくいよう、10〜160℃とすることが好ましく、20〜150℃とすることがより好ましく、30〜150℃とすることが更に好ましい。
【0116】
また、加熱圧着時の圧着圧力は、感光層20と基材100との密着性を充分確保しながら、基材100の変形を抑制する観点から、線圧で50〜1×10N/mとすることが好ましく、2.5×10〜5×10N/mとすることがより好ましく、5×10〜4×10N/mとすることが更に好ましい。
【0117】
感光性エレメント1を上記のように加熱すれば、基材を予熱処理することは必要ではないが、感光層20と基材100との密着性を更に向上させる点から、基材100を予熱処理することが好ましい。このときの予熱温度は、30〜150℃とすることが好ましい。
【0118】
本実施形態に係る方法においては、感光性エレメントを用いる代わりに、本実施形態に係る感光性樹脂組成物及び溶媒を含有する塗布液を調製して基材100のタッチパネル用電極110及び120が設けられている表面に塗布し、乾燥して感光層20を形成することができる。
【0119】
感光層20は、上述した膜厚、可視光線透過率の条件を満たすことが好ましい。
【0120】
上記第2工程では、感光層20の所定部分に、フォトマスク130を介して、活性光線Lをパターン状に照射する(図2の(b)を参照)。
【0121】
活性光線を照射する際、感光層20上の支持フィルム10が透明の場合には、そのまま活性光線を照射することができ、不透明の場合には除去してから活性光線を照射する。感光層20の保護という点からは、支持フィルム10として透明な重合体フィルムを用い、この重合体フィルムを残存させたまま、それを通して活性光線を照射することが好ましい。
【0122】
活性光線Lの照射に用いられる活性光線の光源としては、公知の活性光源が使用でき、例えば、カーボンアーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ等が挙げられ、紫外線を有効に放射するものであれば特に制限されない。
【0123】
このときの、活性光線Lの照射量は、通常、1×10〜1×10J/mであり、照射の際に、加熱を伴うこともできる。この活性光線照射量が、1×10J/m未満では、光硬化の効果が不充分となる傾向があり、1×10J/mを超えると、感光層20が変色する傾向がある。
【0124】
上記第3工程では、活性光線の照射後の感光層を現像液で現像して活性光線が照射されていない部分(すなわち、感光層の所定部分以外)を除去し、電極の一部又は全部を被覆する厚みが10μm以下の本実施形態に係る感光性樹脂組成物の硬化膜パターンからなる保護膜22を形成する(図2の(c)を参照)。形成される保護膜22は所定のパターンを有することができる。
【0125】
なお、活性光線の照射後、感光層20に支持フィルム10が積層されている場合にはそれを除去した後、現像液による活性光線が照射されていない部分を除去する現像が行われる。
【0126】
現像方法としては、アルカリ水溶液、水系現像液、有機溶剤等の公知の現像液を用いて、スプレー、シャワー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッピング等の公知の方法により現像を行い、不要部を除去する方法等が挙げられ、中でも、環境、安全性の観点からアルカリ水溶液を用いることが好ましいものとして挙げられる。
【0127】
アルカリ水溶液の塩基としては、水酸化アルカリ(リチウム、ナトリウム又はカリウムの水酸化物等)、炭酸アルカリ(リチウム、ナトリウム又はカリウムの炭酸塩若しくは重炭酸塩等)、アルカリ金属リン酸塩(リン酸カリウム、リン酸ナトリウム等)、アルカリ金属ピロリン酸塩(ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム等)、水酸化テトラメチルアンモニウム、トリエタノールアミンなどが挙げられ、中でも、水酸化テトラメチルアンモニウム等が好ましいものとして挙げられる。
【0128】
また、炭酸ナトリウムの水溶液も好ましく用いられ、例えば、20〜50℃の炭酸ナトリウムの希薄溶液(0.5〜5質量%水溶液)が好適に用いられる。
【0129】
現像温度及び時間は、本実施形態に係る感光性樹脂組成物の現像性に合わせて調整することができる。
【0130】
また、アルカリ水溶液中には、界面活性剤、消泡剤、現像を促進させるための少量の有機溶剤等を混入させることができる。
【0131】
また、現像後、光硬化後の感光層20に残存したアルカリ水溶液の塩基を、有機酸、無機酸又はこれらの酸水溶液を用いて、スプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッピング等の公知方法により酸処理(中和処理)することができる。
【0132】
さらに、酸処理(中和処理)の後、水洗する工程を行うこともできる。
【0133】
現像後、必要に応じて、活性光線の照射(例えば、5×10〜2×10J/m)により、硬化膜パターンを更に硬化させてもよい。なお、本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、現像後の加熱工程なしでも金属に対して優れた密着性を示すが、必要に応じて、現像後の活性光線の照射の代わりに、又は活性光線の照射と合わせて、加熱処理(80〜160℃)を施してもよい。
【0134】
上記のようにして、本発明に係るタッチパネル用電極の保護膜を形成することができる。
【0135】
保護膜の熱分解ガスクロマトグラフ質量分析により、ヘプタノニトリル及び安息香酸として検出される例としては、上述したように、感光層を構成する感光性樹脂組成物が、(C)成分として1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]を含む場合が挙げられる。
【0136】
次に、図3図4及び図5を用いて、本発明の保護膜の使用箇所の一例を説明する。図3は、静電容量式のタッチパネルの一例を示す模式上面図である。図3に示されるタッチパネルは、透明基板101の片面にタッチ位置座標を検出するためのタッチ画面102があり、この領域の静電容量変化を検出するための透明電極103及び透明電極104が基板101上に設けられている。透明電極103及び透明電極104はそれぞれタッチ位置のX座標及びY座標を検出する。
【0137】
透明基板101上には、透明電極103及び透明電極104からタッチ位置の検出信号を外部回路に伝えるための引き出し配線105が設けられている。また、引き出し配線105と透明電極103及び透明電極104とは、透明電極103及び透明電極104上に設けられた接続電極106により接続されている。また、引き出し配線105の透明電極103及び透明電極104との接続部と反対側の端部には、外部回路との接続端子107が設けられている。本発明に係る感光性樹脂組成物は、引き出し配線105、接続電極106及び接続端子107の保護膜122を形成するために好適に用いることができる。この際に、センシング領域にある電極を同時に保護することもできる。図3では、保護膜122により、引き出し配線105、接続電極106、センシング領域の一部電極及び接続端子107の一部を保護しているが、保護膜を設ける箇所は適宜変更してもよい。例えば、図4に示すように、タッチ画面102を全て保護するように保護膜123を設けてもよい。
【0138】
図5を用いて、図3に示したタッチパネルにおいて、透明電極と引き出し配線の接続部の断面構造を説明する。図5は、図3に示されるC部分のV‐V線に沿った部分断面図であり、透明電極104と引き出し配線105の接続部を説明するための図である。図5の(a)に示すように、透明電極104と引き出し配線105とは、接続電極106を介して電気的に接続されている。図5の(a)に示すように、透明電極104の一部、並びに、引き出し配線105及び接続電極106の全部が、保護膜122で覆われている。同様に、透明電極103と引き出し配線105とは、接続電極106を介して電気的に接続されている。なお、図5の(b)に示すように、透明電極104と引き出し配線105とが直接、電気的に接続されていてもよい。上述した本実施形態に係る感光性樹脂組成物及び感光性エレメントは、上記構造部分の保護膜としての樹脂硬化膜パターンの形成のための使用に好適である。
【0139】
本実施形態における、タッチパネルの製造方法について説明する。まず、基材100上に設けられた透明電極101上に、透明電極(X位置座標)103を形成する。続いて、透明電極(Y位置座標)104を形成する。透明電極103及び透明電極104の形成は、透明基材100上に形成した透明電極層を、エッチングする方法などを用いることができる。
【0140】
次に、透明基板101の表面に、外部回路と接続するための引き出し配線105と、この引き出し配線と透明電極103及び透明電極104を接続する接続電極106を形成する。引き出し配線105及び接続電極106は、透明電極103及び透明電極104の形成後に形成しても、各透明電極形成時に同時に形成してもよい。引き出し配線105及び接続電極106の形成は、金属スパッタリング後、エッチング法などを用いることができる。引き出し配線105は、例えば、フレーク状の銀を含有する導電ペースト材料を使って、スクリーン印刷法を用いて、接続電極106を形成するのと同時に形成することができる。次に、引き出し配線105と外部回路とを接続するための接続端子107を形成する。
【0141】
上記工程により形成された透明電極103及び透明電極104、引き出し配線105、接続電極106、並びに、接続端子107を覆うように、本実施形態に係る感光性エレメント1を圧着し、上記電極上に感光層20を設ける。次に、転写した感光層20に対し、所望の形状にフォトマスクを介してパターン状に活性光線Lを照射する。活性光線Lを照射した後、現像を行い、感光層20の所定部分以外を除去することで、感光層20の所定部分の硬化物からなる保護膜122を形成する。このようにして、保護膜122を備えるタッチパネルを製造することができる。
【実施例】
【0142】
以下、実施例を挙げて本発明についてより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0143】
[バインダーポリマー溶液(A1)の作製]
撹拌機、還流冷却機、不活性ガス導入口及び温度計を備えたフラスコに、表1に示す(1)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で80℃に昇温し、反応温度を80℃±2℃に保ちながら、表1に示す(2)を4時間かけて均一に滴下した。(2)の滴下後、80℃±2℃で6時間撹拌を続け、重量平均分子量が約65,000、酸価が78mgKOH/g、水酸基価が2mgKOH/gのバインダーポリマーの溶液(固形分45質量%)(A1)を得た。
【0144】
【表1】
【0145】
なお、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)によって測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて換算することにより導出した。GPCの条件を以下に示す。
GPC条件
ポンプ:日立 L−6000型((株)日立製作所製、製品名)
カラム:Gelpack GL−R420、Gelpack GL−R430、Gelpack GL−R440(以上、日立化成工業(株)製、製品名)
溶離液:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
流量:2.05mL/分
検出器:日立 L−3300型RI((株)日立製作所製、製品名)
【0146】
[酸価の測定方法]
また、酸価は、次のようにして測定した。まず、バインダーポリマーの溶液を、130℃で1時間加熱し、揮発分を除去して、固形分を得た。そして、酸価を測定すべきポリマー1gを精秤した後、このポリマーにアセトンを30g添加し、これを均一に溶解した。次いで、指示薬であるフェノールフタレインをその溶液に適量添加して、0.1NのKOH水溶液を用いて滴定を行った。そして、次式により酸価を算出した。
酸価=0.1×Vf×56.1/(Wp×I/100)
式中、VfはKOH水溶液の滴定量(mL)を示し、Wpは測定した樹脂溶液の重量(g)を示し、Iは測定した樹脂溶液中の不揮発分の割合(質量%)を示す。
【0147】
[水酸基価の測定方法]
水酸基価は、次のようにして測定した。まず、バインダーポリマーの溶液を、130℃で1時間加熱し、揮発分を除去して、固形分を得た。そして、水酸基価を測定すべきポリマー1gを精秤した後、精秤した感光性樹脂組成物を三角フラスコに入れ、10質量%の無水酢酸ピリジン溶液を10mL加えてこれを均一に溶解し、100℃で1時間加熱した。加熱後、水10mLとピリジン10mLを加えて100℃で10分間加熱後、自動滴定機(平沼産業(株)製「COM−1700」)を用いて、0.5mol/Lの水酸化カリウムのエタノール溶液により中和滴定を行った。そして、次式により水酸基価を算出した。
水酸基価=(A−B)×f×28.05/試料(g)+酸価
式中、Aは空試験に用いた0.5mol/L水酸化カリウムエタノール溶液の量(mL)を示し、Bは滴定に用いた0.5mol/L水酸化カリウムエタノール溶液の量(mL)を示し、fはファクターを示す。
【0148】
(実施例1〜8、比較例1〜8)
[感光性樹脂組成物を含有する塗布液の作製]
表2に示す材料を、攪拌機を用いて15分間混合し、保護膜を形成するための感光性樹脂組成物を含有する塗布液を作製した。
【0149】
[感光性エレメントの作製]
支持フィルムとして厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、上記で作製した感光性樹脂組成物を含有する塗布液を支持フィルム上にコンマコーターを用いて均一に塗布し、100℃の熱風対流式乾燥機で3分間乾燥して溶剤を除去し、感光性樹脂組成物からなる感光層(感光性樹脂組成物層)を形成した。得られた感光層の厚さは5μmであった。
【0150】
次いで、得られた感光層の上に、さらに、25μmの厚さのポリエチレンフィルムを、カバーフィルムとして張り合わせて、保護膜を形成するための感光性エレメントを作製した。
【0151】
[保護膜の透過率の測定]
得られた感光性エレメントのカバーフィルムであるポリエチレンフィルムをはがしながら、厚さ1mmのガラス基板上に、感光層が接するようにラミネータ(日立化成工業(株)製、商品名HLM−3000型)を用いて、ロール温度120℃、基板送り速度1m/分、圧着圧力(シリンダ圧力)4×10Pa(厚さが1mm、縦10cm×横10cmの基板を用いたため、このときの線圧は9.8×10N/m)の条件でラミネートして、ガラス基板上に、感光層及び支持フィルムが積層された積層体を作製した。
【0152】
次いで、得られた積層体の感光層に、平行光線露光機(オーク製作所(株)製、EXM1201)を使用して、感光層側上方より露光量5×10J/mで(i線(波長365nm)における測定値)、紫外線を照射した後、支持フィルムを除去し、140℃に加熱した箱型乾燥機(三菱電機株式会社製、型番:NV50−CA)内に30分間静置し、厚さ5μmの保護膜を有する透過率測定用試料を得た。
【0153】
次いで、得られた試料を(株)日立ハイテクノロジーズ製、紫外可視分光光度計(U−3310)を使用して、測定波長域400〜700nmで可視光線透過率を測定し、最小値を算出した。表4及び表5に測定結果を示す。
【0154】
[保護膜の塩水噴霧試験(人工汗液耐性評価試験)]
得られた感光性エレメントのポリエチレンフィルムをはがしながら、スパッタ銅付きポリイミドフィルム(東レフィルム加工(株)製)上に、感光層が接するようにラミネータ(日立化成工業(株)製、商品名HLM−3000型)を用いて、ロール温度120℃、基板送り速度1m/分、圧着圧力(シリンダ圧力)4×10Pa(厚さが1mm、縦10cm×横10cmの基板を用いたため、この時の線圧は9.8×10N/m)の条件でラミネートして、スパッタ銅上に、感光層及び支持フィルムが積層された積層体を作製した。
【0155】
次いで、得られた積層体の感光層に、平行光線露光機(オーク製作所(株)製、EXM1201)を使用して、感光側上方より露光量5×10J/mで(i線(波長365nm)における測定値)、紫外線を照射した後、支持フィルムを除去し、さらに感光層側上方より露光量1×10J/mで(i線(波長365nm)における測定値)紫外線を照射し、140℃に加熱した箱型乾燥機(三菱電機株式会社製、型番:NV50−CA)内に30分間静置した。厚み5.0μmの保護膜が形成された人工汗液耐性評価用試料を得た。
【0156】
次いで、JIS規格(Z 2371)を参考に、塩水噴霧試験機(スガ試験機(株)製STP−90V2)を用いて、試験槽内に前述の試料を載置し、濃度50g/Lの塩水(pH=6.7)を試験槽温度35℃、噴霧量1.5mL/hで48時間噴霧した。噴霧終了後、塩水を拭き取って、評価用試料の表面状態を観察し、以下の評点に従って評価した。表4及び表5に測定結果を示す。
A : 保護膜表面に全く変化なし。
B : 保護膜表面にごくわずかな痕跡が見えるが、銅は変化なし。
C : 保護膜表面に痕跡が見えるが、銅は変化なし。
D : 保護膜表面に痕跡があり、かつ銅が変色する。
【0157】
[140℃、30分加熱後における発生ガス測定(熱分解ガスクロマトグラフ質量分析)]
得られた感光性エレメントのポリエチレンフィルムをはがしながら、ポリ四フッ化エチレンシート(日東電工株式会社製、製品名:ニトフロンフィルムNo.900U)感光層が接するようにラミネータ(日立化成工業(株)製、商品名HLM−3000型)を用いて、ロール温度120℃、基板送り速度1m/分、圧着圧力(シリンダ圧力)4×10Paの条件でラミネートした。
【0158】
次いで、得られた積層体の感光層に、平行光線露光機(オーク製作所(株)製、EXM1201)を使用して、感光側上方より露光量5×10J/mで(i線(波長365nm)における測定値)、紫外線を照射した後、支持フィルムを除去し、さらに感光層側上方より露光量1×10J/mで(i線(波長365nm)における測定値)紫外線を照射し、熱分解ガスクロマトグラフ質量分析用の測定サンプルを得た。
【0159】
測定サンプルをTekmar 7000HTヘッドスペースサンプラを使用し、140℃、30minに加熱後、発生ガスをGC/MS(島津製作所製、型番:GC/MS QP−2010、キャリアーガス:ヘリウム,1.0mL/min、カラム:HP−5MS、Oven:40℃で5分間加熱後、15℃/minの割合で300℃まで昇温、インターフェイス温度:280℃、イオンソース温度:250℃、サンプル注入量:0.1mL)に導入し分析をした。表4及び表5に測定結果を示す。また、実施例6で得られた保護膜について熱分解ガスクロマトグラフ質量分析を行ったときのガスクロマトグラムを図6に示す。図6中、Aが安息香酸の検出ピークを示し、Bがヘプタノニトリルの検出ピークを示す。
【0160】
【表2】
【0161】
【表3】
【0162】
表2及び表3の成分の記号は以下の意味を示す。
(A)成分
(A1):モノマー配合比(メタクリル酸/メタクリル酸メチル/アクリル酸エチル=12/58/30(質量比))である共重合体のプロピレングリコールモノメチルエーテル/トルエン溶液、重量平均分子量65,000、酸価78mgKOH/g、水酸基価2mgKOH/g、Tg60℃
【0163】
(B)成分
A−TMMT:ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学工業(株)製)
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製)
TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート(日本化薬(株)製)
UX−3204:ヒドロキシエチルアクリレートとポリエステルジオールとヘキサメチレンジイソシアネートを原料成分に含むウレタンアクリレート(日本化薬(株)製)
PET−30:ペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬(株)製)
【0164】
(C)成分
IRGACURE OXE 01:1,2−オクタンジオン,1−[(4−フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)](BASF(株)製)
IRGACURE 184:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(BASF(株)製)
IRGACURE 651:2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(BASF(株)製)
IRGACURE 369:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(BASF(株)製)
IRGACURE 907:2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(BASF(株)製)
IRGACURE 2959:1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(BASF(株)製)
DETX:2,4−ジエチルチオキサントン(日本化薬(株)製)
N−1717:1,7−ビス(9−アクリジニル)ヘプタン((株)ADEKA製)
EAB:4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(保土ヶ谷化学(株)製)
【0165】
(D)成分
HAT:5−アミノ−1H−テトラゾール(東洋紡績(株)製)
AMT:3−アミノ−5−メルカプトトリアゾール(和光純薬(株)製)
ATT:2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール(和光純薬(株)製)
その他の成分
Antage W−500:2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)(川口化学(株)製)
PM−21:光重合性不飽和結合を含むリン酸エステル(日本化薬株式会社製)
SH−30:オクタメチルシクロテトラシロキサン(東レ・ダウコーニング(株)製)
メチルエチルケトン:東燃化学(株)製
【0166】
【表4】
【0167】
【表5】
【符号の説明】
【0168】
1…感光性エレメント、10…支持フィルム、20…感光層、22…保護膜、30…保護フィルム、100…基材、101…透明基板、102…タッチ画面、103…透明電極(X位置座標)、104…透明電極(Y位置座標)、105…引き出し配線、106…接続電極、107…接続端子、110,120…タッチパネル用電極、122,123…保護膜、130…フォトマスク、200…タッチパネル。
図1
図2
図3
図4
図5
図6