(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基材層及び該基材層上の粘着層からなるダイシングテープと、前記粘着層上の接着層とを有し、半導体ウェハに前記接着層及び前記粘着層がこの順に積層された状態で前記半導体ウェハをブレードダイシングによって半導体チップに個片化するダイシング工程と、前記半導体チップを前記接着層とともに前記粘着層から剥離するピックアップ工程とを含む半導体装置の製造方法に用いられるウェハ加工用テープにおいて、
−30℃以上25℃以下の範囲における前記粘着層の対数減衰率の最大値が0.38以上0.4以下であり、
前記ダイシング工程の後、前記ピックアップ工程の前に、−30℃以上25℃以下の範囲における前記粘着層の対数減衰率の最大値を0.1以上低下させて0.08以上0.1以下とすることが可能であり、
前記対数減衰率が剛体振り子式粘弾性試験装置によって求められる、
ウェハ加工用テープ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の材料では、ブレードダイシング中に切削水などの影響により個片化されたチップが剥離したり、外周部の接着層が剥がれたりする可能性があった。そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、薄いウェハをブレードダイシング工程において個片化する際においても、チップ飛び、接着層剥がれ、及びリングフレームからのワーク脱落が抑制され、その後のピックアップ工程において、良好なピックアップ性を有するウェハ加工用テープを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ウェハ加工用テープにおける粘着層の対数減衰率を制御し、特定の数値とすることにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、基材層及び該基材層上の粘着層からなるダイシングテープと、前記粘着層上の接着層とを有し、半導体ウェハに前記接着層及び前記粘着層がこの順で積層された状態で前記半導体ウェハをブレードダイシングによって半導体チップに個片化するダイシング工程と、前記半導体チップを前記接着層とともに前記粘着層から剥離するピックアップ工程とを含む半導体装置の製造方法に用いられるウェハ加工用テープに関する。このウェハ加工用テープは、−30℃以上25℃以下の範囲における前記粘着層の対数減衰率の最大値が0.15以上0.5以下であり、前記ダイシング工程の後、前記ピックアップ工程の前に、−30℃以上25℃以下の範囲における前記粘着層の対数減衰率の最大値を0.1以上低下させて0.2以下とすることが可能である。前記対数減衰率は剛体振り子式粘弾性試験装置によって求められる。このようなウェハ加工用テープは、薄いウェハをブレードダイシング工程において個片化する際においても、チップ飛び、接着層剥がれ、及びリングフレームからのワーク脱落が抑制され、その後のピックアップ工程において、良好なピックアップ性を有する。
【0009】
前記ウェハ加工用テープは、−30℃以上25℃以下の範囲における前記粘着層の対数減衰率の最大値を、紫外線照射によって0.1以上低下させて0.2以下とすることが可能であることが好ましい。このようなウェハ加工用テープは、紫外線照射によって任意に粘着層の粘着力を制御できるため、例えばブレードダイシング工程では高い粘着力にしてチップ飛びや接着層剥がれなどの不具合を防ぎ、且つその後のピックアップ工程では紫外線照射によって粘着力を低くすることで、接着層付きチップを容易に剥離可能となる。
【0010】
また、粘着層が、紫外線によって反応し得る官能基を有するアクリル樹脂を含むことが好ましい。このようなアクリル樹脂を用いることで、良好なピックアップ性を有する一体型テープを得ることができる。
【0011】
前記ウェハ加工用テープは、接着層が、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂硬化剤及び無機フィラーを含むことが好ましい。このような組成を有する接着層は、チップ/基板間、チップ/チップ間の接着性に優れ、電極埋め込み性やワイヤー埋め込み性等も付与可能で、且つダイボンディング工程では低温で接着でき、短時間で優れた硬化が得られ、封止剤でモールド後は優れた信頼性を有する等の特徴を有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、薄いウェハをブレードダイシング工程において個片化する際においても、チップ飛び、接着層剥がれ、及びリングフレームからのワーク脱落が抑制され、その後のピックアップ工程において、良好なピックアップ性を有するウェハ加工用テープを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではない。
【0014】
本実施形態に係るウェハ加工用テープは、半導体装置の製造方法に用いられるものであり、基材層及び該基材層上の粘着層からなるダイシングテープと、前記粘着層上の接着層とを有する構成である。
【0015】
本実施形態に係るウェハ加工用テープは、−30℃以上25℃以下の範囲における前記粘着層の対数減衰率の最大値が0.15以上0.5以下であることが好ましい。このような対数減衰率の範囲を有する粘着層を備えるウェハ加工用テープを用いることにより、ブレードダイシング工程において、切削水等によるチップ飛び、接着層剥がれ、及びリングフレームからのワーク脱落などを抑制することができる。以上の観点から、−30℃以上25℃以下の範囲における前記粘着層の対数減衰率の最大値が0.2以上0.4以下であることがより好ましい。
【0016】
ここで、対数減衰率とは、物体の粘弾性を表すパラメータであり、粘着力が低い物体では、対数減衰率は低くなる傾向がある。
【0017】
対数減衰率は、剛体振り子式粘弾性試験装置によって求めることができ、具体的には、(株)エーアンドデー製RPT−3000W等を用いることができる。剛体振り子式粘弾性試験装置では、基材層上に積層された薄い粘着層の粘弾性を直接測定することが可能である。一般的な粘弾性試験装置である動的粘弾性試験装置では、ダイシングテープにおける薄い粘着層部分のみを測定することは実質的に不可能であるため、通常は粘着層のみを別途厚く作成して測定するのが一般的である。しかし、この方法では、実際の半導体製造プロセスで使用するダイシングテープの粘着層厚みと大きく乖離するため、剛体振り子式による評価法の方がより適していると考えられる。
【0018】
本実施形態に係るウェハ加工用テープは、さらに、半導体ウェハに前記接着層及び前記粘着層がこの順で積層された状態で前記半導体ウェハをブレードダイシングによって半導体チップに個片化するダイシング工程の後、前記半導体チップを前記接着層とともに前記粘着層から剥離するピックアップ工程の前に、−30℃以上25℃以下の範囲における前記粘着層の対数減衰率の最大値を、0.1以上低下させて0.2以下とすることが可能であることが好ましい。このようなウェハ加工用テープを用いることで、ブレードダイシング工程におけるチップ飛び、接着層剥がれ等の不具合を防ぎ、且つピックアップ工程においては、例えば総厚み50μm以下の薄ウェハにおいても、良好なピックアップ性を示す。以上の観点から、前記最大値を、0.1以上低下させて0.05以上0.1以下とすることが可能であることがより好ましい。
【0019】
次に、本発明の実施形態に係るダイシングテープにおける粘着層について説明する。
【0020】
ダイシングテープにおける粘着層は、紫外線照射により粘着力が変化し得る、すなわち、対数減衰率が変化し得ることが好ましい。このような粘着層を用いることで、紫外線照射によって任意に粘着力を制御できるため、例えばブレードダイシング工程では高い粘着力(高い対数減衰率)にしてチップ飛びや接着層剥がれなどの不具合を防ぎ、且つピックアップ工程においては紫外線照射によって粘着力を低くする(対数減衰率を低くする)ことで、接着層付きチップを粘着層から容易に剥離可能となる。
【0021】
粘着層は、紫外線によって反応し得る官能基を有するアクリル樹脂を含むことが好ましい。このような官能基を有するアクリル樹脂を用いることで、良好なピックアップ性を有する一体型テープを得ることができるばかりでなく、このような官能基を有しないアクリル樹脂に、紫外線によって反応し得る官能基を有するモノマー類を混ぜて用いる手法に比べて、モノマー類が接着層に移行しにくくなるため、接着層の信頼性を損なわず好ましい。
【0022】
ここで、紫外線によって反応し得る官能基を有するアクリル樹脂とは、一般に既知の材料を使用することができるが、具体的に例示するのであれば、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチルヘプチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)スクシネート等の脂肪族(メタ)アクリレート;シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)テトラヒドロフタレート、モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)ヘキサヒドロフタレート等の脂環式(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、o−ビフェニル(メタ)アクリレート、1−ナフチル(メタ)アクリレート、2−ナフチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、p−クミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、1−ナフトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ナフトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(o−フェニルフェノキシ)プロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(1−ナフトキシ)プロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(2−ナフトキシ)プロピル(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート;2−テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、N−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−N−カルバゾール等の複素環式(メタ)アクリレート、これらのカプロラクトン変性体、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、α−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、α−プロピルグリシジル(メタ)アクリレート、α−ブチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−プロピルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、α−エチル−6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル等のエチレン性不飽和基とエポキシ基を有する化合物;(2−エチル−2−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、(2−メチル−2−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、2−(2−エチル−2−オキセタニル)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−メチル−2−オキセタニル)エチル(メタ)アクリレート、3−(2−エチル−2−オキセタニル)プロピル(メタ)アクリレート、3−(2−メチル−2−オキセタニル)プロピル(メタ)アクリレート等のエチレン性不飽和基とオキセタニル基を有する化合物;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのエチレン性不飽和基とイソシアネート基を有する化合物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のエチレン性不飽和基とヒドロキシル基を有する化合物;スチレン;N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−イソブチルマレイミド、N−2−メチル−2−プロピルマレイミド、N−ペンチルマレイミド、N−2−ペンチルマレイミド、N−3−ペンチルマレイミド、N−2−メチル−1−ブチルマレイミド、N−2−メチル−2−ブチルマレイミド、N−3−メチル−1−ブチルマレイミド、N−3−メチル−2−ブチルマレイミド、N−ヘキシルマレイミド、N−2−ヘキシルマレイミド、N−3−ヘキシルマレイミド、N−2−メチル−1−ペンチルマレイミド、N−2−メチル−2−ペンチルマレイミド、N−2−メチル−3−ペンチルマレイミド、N−3−メチル−1−ペンチルマレイミド、N−3−メチル−2−ペンチルマレイミド、N−3−メチル−3−ペンチルマレイミド、N−4−メチル−1−ペンチルマレイミド、N−4−メチル−2−ペンチルマレイミド、N−2,2−ジメチル−1−ブチルマレイミド、N−3,3−ジメチル−1−ブチルマレイミド、N−3,3−ジメチル−2−ブチルマレイミド、N−2,3−ジメチル−1−ブチルマレイミド、N−2,3−ジメチル−2−ブチルマレイミド、N−ヒドロキシメチルマレイミド、N−1−ヒドロキシエチルマレイミド、N−2−ヒドロキシエチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−1−プロピルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−1−プロピルマレイミド、N−3―ヒドロキシ−1−プロピルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−プロピルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−プロピルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−1−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−1−ブチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−1−ブチルマレイミド、N−4−ヒドロキシ−1−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−ブチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−2−ブチルマレイミド、N−4−ヒドロキシ−2−ブチルマレイミド、N−2−メチル−3−ヒドロキシ−1−プロピルマレイミド、N−2−メチル−3−ヒドロキシ−2−プロピルマレイミド、N−2−メチル−2−ヒドロキシ−1−プロピルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−1−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−1−ペンチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−1−ペンチルマレイミド、N−4−ヒドロキシ−1−ペンチルマレイミド、N−5−ヒドロキシ−1−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−ペンチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−2−ペンチルマレイミド、N−4−ヒドロキシ−2−ペンチルマレイミド、N−5−ヒドロキシ−2−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−ペンチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−3−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−メチル−2−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−メチル−3−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−メチル−4−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−メチル−3−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−メチル−4−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−メチル−3−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−メチル−4−ブチルマレイミド、N−4−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブチルマレイミド、N−4−ヒドロキシ−2−メチル−2−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−1−プロピルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−1−プロピルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−1−ヘキシルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−ヘキシルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3−ヘキシルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−4−ヘキシルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−5−ヘキシルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−6−ヘキシルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−1−ヘキシルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−ヘキシルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−ヘキシルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−4−ヘキシルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−5−ヘキシルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−6−ヘキシルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−1−ヘキシルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−2−ヘキシルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−3−ヘキシルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−4−ヘキシルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−5−ヘキシルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−6−ヘキシルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−メチル−1−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−メチル−2−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−メチル−3−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−メチル−4−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−メチル−5−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−メチル−2−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−メチル−3−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−メチル−4−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−メチル−5−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−メチル−1−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−メチル−2−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−メチル−3−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−メチル−4−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−メチル−5−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−4−メチル−1−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−4−メチル−3−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−4−メチル−4−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−4−メチル−5−ペンチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−2−メチル−1−ペンチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−2−メチル−2−ペンチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−2−メチル−3−ペンチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−2−メチル−4−ペンチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−2−メチル−5−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−4−メチル−1−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−4−メチル−3−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−4−メチル、N−1−ヒドロキシ−3−メチル−1−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3−メチル−2−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3−メチル−3−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3−メチル−4−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3−メチル−5−ペンチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ペンチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−
3−メチル−2−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3−エチル−4−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−エチル−4−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−エチル−1−ブチルマレイミド、N−4−ヒドロキシ−3−エチル−1−ブチルマレイミド、N−4−ヒドロキシ−3−エチル−2−ブチルマレイミド、N−4−ヒドロキシ−3−エチル−3−ブチルマレイミド、N−4−ヒドロキシ−3−エチル−4−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2,3−ジメチル−1−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2,3−ジメチル−2−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2,3−ジメチル−3−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2,3−ジメチル−4−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2,3−ジメチル−1−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2,3−ジメチル−3−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2,3−ジメチル−4−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−1−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−3−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−4−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−1−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−2−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−4−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−1−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−2−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−4−ブチルマレイミド等のアルキルマレイミド;N−シクロプロピルマレイミド、N−シクロブチルマレイミド、N−シクロペンチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−シクロヘプチルマレイミド、N−シクロオクチルマレイミド、N−2−メチルシクロヘキシルマレイミド、N−2−エチルシクロヘキシルマレイミド、N−2−クロロシクロヘキシルマレイミド等のシクロアルキルマレイミド;N−フェニルマレイミド、N−2−メチルフェニルマレイミド、N−2−エチルフェニルマレイミド、N−2−クロロフェニルマレイミド等のアリールマレイミド等から少なくとも2種以上を選択して重合することで得られる共重合体と、グリシジル(メタ)アクリレート、α−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、α−プロピルグリシジル(メタ)アクリレート、α−ブチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−プロピルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、α−エチル−6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル等のエチレン性不飽和基とエポキシ基を有する化合物;(2−エチル−2−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、(2−メチル−2−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、2−(2−エチル−2−オキセタニル)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−メチル−2−オキセタニル)エチル(メタ)アクリレート、3−(2−エチル−2−オキセタニル)プロピル(メタ)アクリレート、3−(2−メチル−2−オキセタニル)プロピル(メタ)アクリレート等のエチレン性不飽和基とオキセタニル基を有する化合物;メタクリロイルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート等のエチレン性不飽和基とイソシアネート基を有する化合物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のエチレン性不飽和基とヒドロキシル基を有する化合物;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、コハク酸(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)、2−フタロイルエチル(メタ)アクリレート、2−テトラヒドロフタロイルエチル(メタ)アクリレート、2−ヘキサヒドロフタロイルエチル(メタ)アクリレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、3−ビニル安息香酸、4−ビニル安息香酸等のエチレン性不飽和基とカルボキシル基を有する化合物等から選ばれる少なくとも1種を化学的に結合させた樹脂等が挙げられる。
【0023】
さらに、粘着力の調整や、紫外線硬化性付与等を目的として、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン等のベンゾインケタール;1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン等のα−ヒドロキシケトン;2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、1,2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン等のα−アミノケトン;1−[(4−フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタジオン−2−(ベンゾイル)オキシム等のオキシムエステル;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド等のホスフィンオキシド;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;ベンゾフェノン、N,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン等のキノン化合物;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;ベンジルジメチルケタール等のベンジル化合物;9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9、9’−アクリジニルヘプタン)等のアクリジン化合物;N−フェニルグリシン、クマリン等の光ラジカル重合開始剤;p−メトキシベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート等のアリールジアゾニウム塩;ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート等のジアリールヨードニウム塩;トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウムペンタフルオロヒドロキシアンチモネート等のトリアリールスルホニウム塩;トリフェニルセレノニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルセレノニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルセレノニウムヘキサフルオロアンチモネート等のトリアリールセレノニウム塩;ジメチルフェナシルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジエチルフェナシルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート等のジアルキルフェナシルスルホニウム塩;4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−ヒドロキシフェニルベンジルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート等のジアルキル−4−ヒドロキシ塩;α−ヒドロキシメチルベンゾインスルホン酸エステル、N−ヒドロキシイミドスルホネート、α−スルホニロキシケトン、β−スルホニロキシケトン等のスルホン酸エステル等の光カチオン重合開始剤;2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、3−メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネート、リジンイソシアネート等のイソシアネート化合物や、これらイソシアネート化合物とエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール等とが反応したイソシアネート基含有ウレタンオリゴマー等の架橋剤を使用することもできる。
【0024】
上記架橋剤の添加量を調整することで、粘着層の対数減衰率を制御することができる。
【0025】
粘着層の厚みは特に制限はないが、一般的に5μm〜40μm程度のものが使用される。
【0027】
本実施形態において基材層の構成は特に制限はなく、一般に既知の材料を使用することができるが、具体的に例示するのであれば、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体のイオン架橋物、無水マレイン酸変性ポリプロピレン等の酸変性オレフィン樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等に代表される熱可塑性エラストマーのほか、ポリプロピレンやポリエチレン樹脂と上記熱可塑性エラストマーの混合物等が挙げられ、また必要に応じて帯電防止剤や各種有機フィラー、無機フィラー、酸化防止剤、滑材等を配合することができる。またこれらは単独の層に限らず、異なる材料からなる複数の層からなる多層フィルムも使用することができる。また基材の厚みも特に制限はないが、一般的に70μm〜150μm程度のものが使用される。このような基材は、例えばインフレーション法、カレンダー法、Tダイ押出法等の既知の手法で得ることができる。
【0029】
接着層は、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂硬化剤及び無機フィラーを含むことが好ましい。このような組成を有する接着層は、チップ/基板間、チップ/チップ間の接着性に優れ、電極埋め込み性やワイヤー埋め込み性等も付与可能で、且つダイボンディング工程では低温で接着でき、短時間で優れた硬化が得られ、封止剤でモールド後は優れた信頼性を有する等の特徴があり好ましい。
【0030】
接着層は、特に限定されるものではないが、ダイボンディングフィルムとして一般的に使用されるフィルム状接着剤を好適に使用することができる。具体的に例示すれば、アクリル系樹脂、エポキシ樹脂/エポキシ樹脂硬化剤/エポキシ基含有アクリル共重合体/無機フィラーのブレンド系の接着剤等が挙げられる。その厚さは適宜設定してよいが、5μm〜150μm程度が好ましい。
【0031】
ここでエポキシ樹脂とは、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノールのジグリシジルエーテル化物、ナフタレンジオールのジグリシジルエーテル化物、フェノール類のジグリシジルエーテル化物、アルコール類のジグリシジルエーテル化物、及びこれらのアルキル置換体、ハロゲン化物、水素添加物などの二官能エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。また、多官能エポキシ樹脂や複素環含有エポキシ樹脂等、一般に知られているものを適用することもできる。これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。さらに、特性を損なわない範囲でエポキシ樹脂以外の成分が不純物として含まれていてもよい。
【0032】
エポキシ樹脂硬化剤としては、例えば、フェノール化合物と2価の連結基であるキシリレン化合物を、無触媒又は酸触媒の存在下に反応させて得ることができるフェノール樹脂のようなものが挙げられる。フェノール樹脂の製造に用いられるフェノール化合物としては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−n−プロピルフェノール、m−n−プロピルフェノール、p−n−プロピルフェノール、o−イソプロピルフェノール、m−イソプロピルフェノール、p−イソプロピルフェノール、o−n−ブチルフェノール、m−n−ブチルフェノール、p−n−ブチルフェノール、o−イソブチルフェノール、m−イソブチルフェノール、p−イソブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、2,4−キシレノール、2,6−キシレノール、3,5−キシレノール、2,4,6−トリメチルフェノール、レゾルシン、カテコール、ハイドロキノン、4−メトキシフェノール、o−フェニルフェノール、m−フェニルフェノール、p−フェニルフェノール、p−シクロヘキシルフェノール、o−アリルフェノール、p−アリルフェノール、o−ベンジルフェノール、p−ベンジルフェノール、o−クロロフェノール、p−クロロフェノール、o−ブロモフェノール、p−ブロモフェノール、o−ヨードフェノール、p−ヨードフェノール、o−フルオロフェノール、m−フルオロフェノール、p−フルオロフェノール等が例示される。これらのフェノール化合物は、単独で用いてもよく、二種類以上を混合して用いてもよい。
【0033】
フェノール樹脂の製造に用いられる2価の連結基であるキシリレン化合物としては、次に示すキシリレンジハライド、キシリレンジグリコール及びその誘導体が用いることができる。すなわち、α,α′−ジクロロ−p−キシレン、α,α′−ジクロロ−m−キシレン、α,α′−ジクロロ−o−キシレン、α,α′−ジブロモ−p−キシレン、α,α′−ジブロモ−m−キシレン、α,α′−ジブロモ−o−キシレン、α,α′−ジヨード−p−キシレン、α,α′−ジヨード−m−キシレン、α,α′−ジヨード−o−キシレン、α,α′−ジヒドロキシ−p−キシレン、α,α′−ジヒドロキシ−m−キシレン、α,α′−ジヒドロキシ−o−キシレン、α,α′−ジメトキシ−p−キシレン、α,α′−ジメトキシ−m−キシレン、α,α′−ジメトキシ−o−キシレン、α,α′−ジエトキシ−p−キシレン、α,α′−ジエトキシ−m−キシレン、α,α′−ジエトキシ−o−キシレン、α,α′−ジ−n−プロポキシ−p−キシレン、α,α′−ジ−n−プロポキシ−m−キシレン、α,α′−ジ−n−プロポキシ−o−キシレン、α,α′−ジイソプロポキシ−p−キシレン、α,α′−ジイソプロポキシ−m−キシレン、α,α′−ジイソプロポキシ−o−キシレン、α,α′−ジ−n−ブトキシ−p−キシレン、α,α′−ジ−n−ブトキシ−m−キシレン、α,α′−ジ−n−ブトキシ−o−キシレン、α,α′−ジイソブトキシ−p−キシレン、α,α′−ジイソブトキシ−m−キシレン、α,α′−ジイソブトキシ−o−キシレン、α,α′−ジ−tert−ブトキシ−p−キシレン、α,α′−ジ−tert−ブトキシ−m−キシレン、α,α′−ジ−tert−ブトキシ−o−キシレンを挙げることができる。これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0034】
上記したフェノール化合物とキシリレン化合物を反応させる際には、塩酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸等の鉱酸類;ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸等の有機カルボン酸類;トリフロロメタンスルホン酸等の超強酸類;アルカンスルホン酸型イオン交換樹脂のような、強酸性イオン交換樹脂類;パーフルオロアルカンスルホン酸型イオン交換樹脂のような、超強酸性イオン交換樹脂類(Du−Pont社製:ナフィオン、Nafion、商品名);天然及び合成ゼオライト類;活性白土(酸性白土)類等の酸性触媒を用い、50℃〜250℃において実質的に原料であるキシリレン化合物が消失し、且つ反応組成が一定になるまで反応させて得られる。反応時間は原料や反応温度にもよるが、おおむね1時間〜15時間程度であり、実際には、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)等により反応組成を追跡しながら決定すればよい。
【0035】
エポキシ基含有アクリル共重合体とは、エポキシ基を有するグリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートを0.5重量%〜6重量%含む。高い接着力を得るためには、0.5重量%以上であることが好ましく、6重量%以下であれば、ゲル化を抑制できる。上記エポキシ基含有アクリル共重合体のガラス転移点(Tg)としては、−50℃以上30℃以下、さらには−10℃以上30℃以下であることが好ましい。
【0036】
官能基モノマーとして用いるグリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートの量は0.5重量%〜6重量%の共重合比である。つまり、本発明においてエポキシ基含有アクリル共重合体は、原料としてグリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートを、得られる共重合体に対し0.5重量%〜6重量%となる量を用いて得られた共重合体をいう。その残部はメチルアクリレート、メチルメタクリレートなどの炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、およびスチレンやアクリロニトリルなどの混合物を用いることができる。これらの中でもエチル(メタ)アクリレート及び/又はブチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。混合比率は、共重合体のTgを考慮して調整することが好ましい。Tgが−10℃未満であるとBステージ状態での接着剤層又はダイシングダイボンドシートのタック性が大きくなる傾向があり、取り扱い性が悪化することがある。重合方法は特に制限が無く、例えば、パール重合、溶液重合等が挙げられ、これらの方法により共重合体が得られる。このようなエポキシ基含有アクリル共重合体としては、例えば、HTR−860P−3(ナガセケムテックス(株)製、商品名)が挙げられる。
【0037】
エポキシ基含有アクリル共重合体の重量平均分子量は例えば10万以上であり、この範囲であると接着性及び耐熱性が高く、30万〜300万であることが好ましく、50万〜200万であることがより好ましい。300万以下であると、フロー性が低下することにより、半導体素子を貼付ける支持部材に必要に応じて形成された配線回路への充填性が低下する可能性を減らすことができる。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)で標準ポリスチレンによる検量線を用いたポリスチレン換算値である。
【0038】
また接着層成分には、更に必要に応じて、第三級アミン、イミダゾール類、第四級アンモニウム塩類等の硬化促進剤を添加してもよい。このような硬化促進剤としては、具体的には、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート等が挙げられ、これらは1種又は2種以上を併用することもできる。
【0039】
また、更に、接着層成分には、必要に応じて、無機フィラーを添加することができる。具体的には、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ほう酸アルミウイスカ、窒化ほう素、結晶質シリカ、非晶質シリカ等が挙げられ、これらは、1種又は2種以上を併用することもできる。
【実施例】
【0040】
以下、本発明の実施例をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。なお、特に記述がない限り、薬品はすべて試薬を使用した。
【0041】
[接着層を有するダイボンディングテープの作成]
エポキシ樹脂としてYDCN−703(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量210、分子量1200、軟化点80℃;東都化成(株)製、商品名)55重量部、フェノール樹脂としてミレックスXLC−LL(フェノール樹脂、水酸基当量175、吸水率1.8%、350℃における加熱重量減少率4%;三井化学(株)製、商品名)45重量部、シランカップリング剤としてNUCA−189(γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン;日本ユニカー(株)製、商品名)1.7重量部とNUCA−1160(γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン;日本ユニカー(株)製、商品名)3.2重量部、フィラーとしてアエロジルR972(シリカ表面にジメチルジクロロシランを被覆し、400℃の反応器中で加水分解させた、メチル基等の有機基を表面に有するフィラー、平均粒径0.016μm;日本アエロジル(株)製、商品名)43重量部からなる組成物に、シクロヘキサノンを加えて撹拌混合を行い、更にビーズミルを用いて90分間混練を行った。これにグリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレート3重量%を含むアクリルゴムHTR−860P−3(重量平均分子量80万;ナガセケムテックス(株)製、商品名)280重量部、及び硬化促進剤としてキュアゾール2PZ−CN(1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール;四国化成(株)製、商品名)0.5重量部を加え、撹拌混合を行った後、真空にて脱気を行い、ワニスを得た。厚さ38μmの離型処理したポリエチレンテレフタレートキャリアテープ上にワニスを塗布し、140℃の環境下にて5分間加熱乾燥をして、ポリエチレンカバーフィルムをラミネートすることで膜厚が20μmのBステージ状態の接着層を形成し、キャリアテープ、接着層及びカバーフィルムを備えたダイボンディングテープを作成した。
【0042】
[ダイシングテープ用アクリル樹脂Aの合成]
スリーワンモータ、撹拌翼、窒素導入管を備える容量4000mlのオートクレーブに酢酸エチル1000g、2−エチルヘキシルアクリレート650g、2−ヒドロキシエチルアクリレート340g、アクリル酸10g、アゾビスイソブチロニトリル3.0gを配合し、均一になるまで撹拌を行った後、流量100ml/minにて60分間バブリングを実施し、系中の溶存酸素を脱気した。その後1時間かけて系中を60℃まで昇温させ、60℃にて4時間重合反応を行った。その後1時間かけて系中を90℃まで昇温させ、90℃にて1時間保持した後、室温に冷却した。冷却後、酢酸エチル1000gを加えて撹拌し希釈した。これに重合禁止剤としてメトキノン0.1g、ウレタン化触媒としてジオクチルスズジラウレート0.05gを添加した後、カレンズMOI(2−メタクリロキシエチルイソシアネート;昭和電工(株)製、商品名)100gを加え、70℃の環境下にて6時間反応を進行させた後、室温に冷却した。その後、アクリル樹脂溶液中の不揮発分含有量が35質量%となるように酢酸エチルを加え、ダイシングテープ用アクリル樹脂A溶液を得た。重量平均分子量は45万であった。
【0043】
[ダイシングテープ用アクリル樹脂Bの合成]
カレンズMOIの添加量を50gとした以外は、上記ダイシングテープ用アクリル樹脂Aの合成と同様の方法によって、ダイシングテープ用アクリル樹脂B溶液を得た。重量平均分子量は43万であった。
【0044】
[ダイシングテープの作成]
上記の方法で得られたアクリル樹脂A溶液を固形分として100g、架橋剤としてコロネートL(多官能イソシアネート、固形分75%;日本ポリウレタン工業(株)製、商品名)、光開始剤としてイルガキュア184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン;チバスペシャリティケミカルズ(株)製、商品名)を用い、更に総固形分含有量が27質量%となるように酢酸エチルを加え、10分間均一に撹拌してダイシングテープ用の粘着層用ワニスを得た。片面が離型処理された幅350mm、長さ400mm、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートテープ上に、上記粘着剤用ワニスを、粘着層の厚さが10μmとなるように、アプリケータを用いてギャップを調整しながら塗工し、80℃の環境下にて5分間乾燥した。その後、基材フィルムとして事前にコロナ処理を行ったダイナソフト(オレフィンフィルム、厚さ100μm;JSRトレーディング(株)製、商品名)を用い、コロナ処理面とポリエチレンテレフタレート上に形成された粘着層をラミネートすることで、基材フィルム上に粘着層を転写し、40℃の環境下にて3日間養生してダイシングテープを得た。
【0045】
[ウェハ加工用テープの作成]
直径220mmの円形状の、キャリアテープ、接着層及びカバーフィルムを備えたダイボンディングテープからカバーフィルムを剥離し、該接着層に、ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離した300mm角のダイシングテープの粘着層を貼り付けた後、更に接着層が中央となるよう直径270mmにダイシングテープをカットし、ウェハ加工用テープを得た。
【0046】
[ブレードダンシング性評価]
8インチサイズ、50μmミラーウェハ上に、ウェハ加工用テープを、70℃の環境下にてラミネートした。その後、フルオートマチックダイシングソーDFD−6361((株)ディスコ製、商品名)を用い、チップサイズ10mm×10mm及び3mm×3mmにてダイシングを実施した。その際、ブレードにはNBC−ZH−127F−HABB((株)ディスコ製、商品名)を用い、ダイシングテープへの切込量30μm、ブレード回転数45000rpm、ダイシング速度=30mm/sec、カット方法はシングルカットとした。ダイシング後、ウェハ外周部の接着層の剥がれ、チップ剥がれ、リングフレームからのワーク脱落の有無を確認し、以下のように判定した。
<チップ飛び・接着層剥がれ>
A:10mmチップサイズ、3mmチップサイズともにまったく剥がれは見られない
B:10mmチップサイズではなく、3mmチップサイズでわずかに剥がれが見られる
C:10mmチップサイズで剥がれが見られる
実用上、Bであれば好ましく、Aであればより好ましい。
<リングフレームからのワーク脱落>
A:ダイシングからピックアップ工程においてリングフレームからのワーク脱落は見られない
B:リングフレームからのワーク脱落が見られる
実用上、Aであれば好ましい。
【0047】
[ピックアップ性評価]
(株)オーク製作所製無電極紫外線ランプシステムを用いて紫外線照射を実施した。光源にはメタルハライドランプを用い、中心波長355nmにおける照度が70mW/cm
2、照射量が200mJ/cm
2にてブレードダイシングを行ったサンプルに、ダイシングテープ側から紫外線照射を実施した。その後、ダイボンダーBESTEM−D02(キャノンマシナリー(株)製、商品名)を用い、ピン本数5本、ピン突き上げ高さ350μm、突き上げ速度20mm/secにてピックアップを実施した。50チップについてピックアップを行い、そのときのピックアップ成功率から以下のように判定した。
A:ピックアップ成功率100%
B:ピックアップ成功率95%以上
C:ピックアップ成功率95%未満
実用上、Bであれば好ましく、Aであればより好ましい。
【0048】
[対数減衰率の測定]
対数減衰率の測定には、剛体振り子式粘弾性試験装置RPT−3000W((株)エーアンドデー製、商品名)を用いた。ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離した幅10mm、長さ20mmの表1に記載のダイシングテープを、幅20mm、長さ30mmのステンレス板上に粘着層が上面になるように固定した。その際、試験片が動かないよう、得られた試験片の短辺側の片方をポリイミド基材の粘着テープで固定した。振り子にはFRB−100、エッジ部には円筒型シリンダエッジFRB−020を使用し、初期の振幅を約0.3degreeとした。昇温速度5℃/分にて−80℃〜100℃まで評価を行った。紫外線照射後のサンプルについては、表1に記載のダイシングテープの基材側より、(株)オーク製作所製無電極紫外線ランプシステムを用い、中心波長355nmにおける照度が70mW/cm
2,照射量が500mJ/cm
2となるよう紫外線を照射したサンプルを用いた。ダイシングテープの作成におけるアクリル樹脂の種類、架橋剤配合量及び光開始剤配合量を変えて同様の操作を行い、表1、表2記載のウェハ加工用テープを作製した。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
実施例から分かるように、本発明で得られるウェハ加工用テープは、ブレードダイシング工程におけるチップ飛び、接着層剥がれ、及びリングフレームからのワーク脱落がなく、良好なピックアップ性を有していた。これに対し、対数減衰率が高い比較例1ではピックアップ性が悪化した。また、対数減衰率が低い比較例2ではチップ飛び、接着層剥がれ、及びリングフレームからのワーク脱落が見られた。また、ピックアップ工程における対数減衰率との差が小さい比較例3ではピックアップ性が悪化した。