特許第6213252号(P6213252)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6213252研削された基材の製造方法、並びにこれに用いられるフィルム状粘着剤及び積層体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6213252
(24)【登録日】2017年9月29日
(45)【発行日】2017年10月18日
(54)【発明の名称】研削された基材の製造方法、並びにこれに用いられるフィルム状粘着剤及び積層体
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20171005BHJP
   B24B 37/30 20120101ALI20171005BHJP
   C09J 7/00 20060101ALI20171005BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20171005BHJP
   C09J 125/06 20060101ALI20171005BHJP
【FI】
   H01L21/304 622J
   H01L21/304 631
   B24B37/30 D
   C09J7/00
   C09J201/00
   C09J125/06
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-6753(P2014-6753)
(22)【出願日】2014年1月17日
(65)【公開番号】特開2015-135898(P2015-135898A)
(43)【公開日】2015年7月27日
【審査請求日】2016年11月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】日立化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100160897
【弁理士】
【氏名又は名称】古下 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100140578
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 英樹
(72)【発明者】
【氏名】徳安 孝寛
(72)【発明者】
【氏名】夏川 昌典
(72)【発明者】
【氏名】大山 恭之
【審査官】 宮久保 博幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−235939(JP,A)
【文献】 特開2013−048215(JP,A)
【文献】 特開2013−243350(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/152045(WO,A1)
【文献】 特開2013−060524(JP,A)
【文献】 特開2013−004872(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B24B 37/30
C09J 7/00
C09J 125/06
C09J 201/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂組成物からなる厚みが10μm〜80μmの粘着層である(a−1)層と、
熱硬化性樹脂組成物からなる厚みが10μm〜50μmの粘着層である(a−2)層と、
を備えるフィルム状粘着剤であって、
当該フィルム状粘着剤を110℃で30分、170℃で1時間及び200℃で10分の順で加熱した後に、
(i)前記(a−1)層と前記(a−2)層の間の30°剥離強度が300N/m以下であり、且つ、
(ii)前記(a−1)層が、リモネンに浸漬されたときに10分以内にリモネンに溶解する、
フィルム状粘着剤。
【請求項2】
前記(a−1)層が、軟化点150℃以下の熱可塑性樹脂を前記(a−1)層100質量部に対して40重量部以上含有する、請求項1に記載のフィルム状粘着剤。
【請求項3】
前記(a−1)層が、ポリスチレン、ポリビニルフェノール及びスチレン・ブタジエンゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂を前記(a−1)層100質量部に対して40重量部以上含有し、
前記(a−2)層が、架橋性官能基を有し分子量が40万〜80万である(メタ)アクリル共重合体を前記(a−2)層100質量部に対して50〜95重量部含有し、−50〜50℃のガラス転移温度を有する、
請求項1又は2に記載のフィルム状粘着剤。
【請求項4】
前記(a−2)層の硬化後の180℃での弾性率が0.1MPa以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のフィルム状粘着剤。
【請求項5】
前記(a−1)層及び硬化前の前記(a−2)層のずり粘度を、それぞれ35℃から昇温しながら測定したときに、当該ずり粘度が20000Pa・s以下となる温度が40〜150℃である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のフィルム状粘着剤。
【請求項6】
(a)請求項1〜5のいずれか一項に記載のフィルム状粘着剤と、(b)支持体と、(c)被研削基材と、を備え、
前記(c)被研削基材が前記(a)フィルム状粘着剤を介して前記(b)支持体に固定され、
前記(a−2)層が(b)支持体に貼り付けられている、
積層体。
【請求項7】
前記(b)支持体がガラス板又はシリコンウェハである、請求項6に記載の積層体。
【請求項8】
前記(c)被研削基材がシリコンウェハである、請求項6又は7に記載の積層体。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれか一項に記載の積層体に備えられた前記(c)被研削基材を研削する工程と、
前記(a−1)層と前記(a−2)層の層間を剥離して、研削された前記(c)被研削基材を前記(b)支持体から分離する工程と、
前記(c)被研削基材上に残った前記(a−1)層を溶剤に溶解させて(c)基材を得る工程と、
前記(b)支持体上に残った前記(a−2)層をアルカリで加水分解させ、前記(b)支持体を回収する工程と、
を備える、研削された基材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研削された基材の製造方法、並びにこれに用いられるフィルム状粘着剤及び積層体に関する。より詳細には、本発明は、例えば、支持体上に固定されたシリコンウェハなどの被研削基材を所望の厚みまで容易に研削し、支持体から容易に剥離することを可能にするフィルム状粘着剤、当該フィルム状粘着体を介して接合した積層体、積層体を用いて薄型化された基材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンやタブレットPC等の電子機器の多機能化に伴い、半導体素子を多段に積層し、高容量化したスタックドMCP(Multi Chip Package)が普及しており、半導体素子の実装には、実装工程において有利なフィルム状接着剤がダイボンディング用の接着剤として広く用いられている。しかし、このように多機能化の傾向があるにも関わらず、現行のワイヤボンドを使用した半導体素子の接続方式では、データの処理速度に限界があることから、電子機器の動作が遅くなる傾向にある。また、消費電力を低く抑え、充電せずにより長時間使用したいとのニーズが高まっていることから、省電力化も求められつつある。このような観点から、近年、更なる高速化と省電力化を目的として、ワイヤボンドではなく貫通電極により半導体素子同士を接続する新しい構造の半導体装置も開発されてきている。
【0003】
このように新しい構造の半導体装置が開発されてきているものの、依然として高容量化が求められており、パッケージ構造に関わらず、半導体素子をより多段に積層できる技術の開発が進められている。しかし、限られたスペースにより多くの半導体素子を積層するためには、半導体素子の安定した薄型化が必要不可欠である。
【0004】
現在、半導体素子を薄型化する研削工程では、いわゆるBGテープと呼ばれる支持テープを半導体素子に貼り付け、サポートした状態で研削することが主流となっている。しかし、薄型化した半導体素子は表面に施された回路の影響により反りやすく、変形しやすいテープ素材であるBGテープでは薄型化した半導体素子を十分にサポートできなくなりつつある。
【0005】
このような背景から、BGテープよりも硬い素材であるシリコンウェハやガラスを支持体とする半導体素子の薄型化プロセスが提案されており、半導体素子と支持体であるシリコンウェハまたはガラスとを粘着させる材料が提案されてきている。このような粘着材では、研削後の半導体素子を損傷させることなく、支持体から剥離できることが重要な特性として要求されるが、そのような特性を満足するため、剥離方法について鋭意検討がなされている。例えば、溶剤による粘着材の溶解を利用したもの、加熱により粘着性を落とすことで剥離性を向上させたもの、レーザー照射により粘着材を改質または消失させることを利用したものが挙げられる。しかし、溶剤での粘着材の溶解には時間がかかるため、生産性が低下しやすい。また、加熱により粘着性を落とす方法では、加熱による半導体素子への影響が懸念されるとともに、耐熱性に劣ることから、貫通電極などを形成するプロセス用途では使用できない。一方、レーザー照射により粘着材を改質または消失させる方法では、高価なレーザー設備の導入が必要不可欠であり、このようなプロセスの適用には、かなりの投資が必要不可欠となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4565804号
【特許文献2】特許第4936667号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、半導体装置の高容量化を目的として、半導体素子の薄型化が推し進められており、研削時に半導体素子をシリコンウェハまたはガラスなどの支持体に固定する粘着材が開発されてきているが、作業性や高額な設備投資の必要性という観点から、更なる改善の余地がある。特に、このような粘着材は液状のものがほとんどであり、半導体素子または支持体にスピンコートなどで塗布し、加熱またはUV照射などにより成膜して使用されている。しかし、このような場合、粘着材の塗布バラツキにより、個々の半導体素子で、研削後の厚みにバラツキが生じ易く、またスピンコートでは塗布時の回転で飛散した材料を廃棄する必要があるなどの課題がある。一方、フィルム状の粘着材では、膜厚の制御がより容易であり、個々の半導体素子間での厚みバラツキを軽減することができる。また、ラミネートなどの簡便な方法により半導体素子または支持体上に成膜できることから、作業性も良好になると期待できる。
【0008】
また、研削する半導体素子は、平滑性が高いものに限らず、回路面にハンダボールを装備した80μmを超える表面凹凸のあるウェハを研削することも増加傾向にある。このように大きな凹凸のある表面から粘着剤を剥離することは比較的難しく、また、ハンダボールの接着強度が不十分な場合には、粘着剤の剥離時にハンダボールが欠落するなどの懸念が生じる。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、支持体に固定されたシリコンウェハなどの被研削基材を所望の厚みまで容易に研削し、研削後の基材を支持体から容易に分離することを可能にするフィルム状粘着剤、当該フィルム状粘着体を介して被研削基材と支持体とが接合した積層体、このような積層体を用いた薄型化された基材の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一つの側面において、本発明は、熱可塑性樹脂組成物からなる厚みが10μm〜80μmの粘着層である(a−1)層と、熱硬化性樹脂組成物からなる厚みが10μm〜50μmの粘着層である(a−2)層と、を備えるフィルム状粘着剤に関する。当該フィルム状粘着剤を110℃で30分、170℃で1時間及び200℃で10分の順で加熱した後に、(i)(a−1)層と(a−2)層の間の30°剥離強度が300N/m以下であり、且つ、(ii)(a−1)層が、リモネンに浸漬されたときに10分以内にリモネンに溶解する。
【0011】
上記フィルム状粘着剤によれば、支持体に固定されたシリコンウェハなどの被研削基材を所望の厚みまで容易に研削し、研削後の基材を支持体から容易に分離することが可能である。
【0012】
別の側面において、本発明は、(a)上記フィルム状粘着剤と、(b)支持体と、(c)被研削基材と、を備える積層体に関する。(c)被研削基材は(a)フィルム状粘着剤を介して(b)支持体に固定されている。(a−2)層は(b)支持体に貼り付けられている。
【0013】
更に別の側面において、本発明は、上記積層体に備えられた(c)被研削基材を研削する工程と、(a−1)層と(a−2)層の層間を剥離して、研削された(c)被研削基材を(b)支持体から分離する工程と、(c)被研削基材上に残った(a−1)層を溶剤に溶解させて(c)基材を得る工程と、(b)支持体上に残った(a−2)層をアルカリで加水分解させ、(b)支持体を回収する工程と、を備える、研削された基材の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、支持体に固定されたシリコンウェハなどの被研削基材を所望の厚みまで容易に研削し、研削後の基材を支持体から容易に分離することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0016】
本発明者等は、上記課題の解決のため、使用するフィルム状粘着剤の樹脂の選定と物性の調整に鋭意研究を重ねた。そして、本発明者等は、例えば、ポリスチレン、ポリビニルフェノール、及びスチレン・ブタジエンゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含み、その含有量が40重量部以上である(a−1)主に熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物により構成される粘着層((a−1)層)と、(メタ)アクリル共重合体を含み、その含有量が50〜95重量部である、(a−2)主に熱硬化性樹脂により構成される熱硬化性樹脂組成物からなる粘着層((a−2)層)とを貼りあわせた2層構造の(a)フィルム状粘着剤によれば、ハンダボールが欠落するリスクを抑えつつ、レーザー照射などの特殊な前処理を行うことなく容易に剥離可能であることを見出した。なお、本明細書における「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及びそれに対応する「メタクリル」を意味する。
【0017】
すなわち、半導体素子及びハンダボール表面から(a)フィルム状粘着剤を剥離するのではなく、(a)フィルム状粘着剤を2層構造とし、その層間で剥離させ、被研削基材としての半導体素子側に残存したフィルム状粘着剤は溶剤で溶解し、除去することで、ハンダボールの欠落を防止することができると考え、2層構造を持つ(a)フィルム状粘着剤を立案するに至った。具体的には、(a)フィルム状粘着剤を110℃/30分、170℃/1時間及び200℃/10分の順で加熱した後に、(a−1)層と(a−2)層の間の30°剥離強度は、300N/m以下であることが好ましい。また、同様の加熱処理を行った後に、(a−1)層が、リモネンに浸漬されたときに10分以内にリモネンに溶解するものであることが好ましい。
【0018】
本実施形態では、上記2層構造を持つ(a)フィルム状粘着剤の層間で如何に容易に剥離せしめるかが重要となるが、各粘着層を互いに相溶しない樹脂組成で構成させれば、容易に剥離することができると考えられる。そこで、各種樹脂を溶解させた溶液を混合させ、相溶性について鋭意検討した結果、例えば、ポリスチレン、ポリビニルフェノール及びスチレン・ブタジエンゴムは、分子量が40万以上の(メタ)アクリル共重合体と相溶しないことを見出した。
【0019】
上記結果に基づき、剥離後、半導体素子などの(c)被研削基材側に残存する層として、ポリスチレン、ポリビニルフェノール及びスチレン・ブタジエンゴムから選ばれる熱可塑性樹脂により構成される粘着層を設計し、(a−1)主に熱可塑性樹脂により構成される粘着層とした。このように、溶剤への溶解性が高い熱可塑性樹脂で設計することで、半導体素子への影響を可能な限り軽減しつつ、より短時間での溶剤溶解を可能とした。一方、剥離後、(b)搬送用の支持体側に残存する層として、分子量が40万以上の(メタ)アクリル共重合体により設計し、(a−2)主に熱硬化性樹脂により構成される粘着層とした。これにより、(c)被研削基材を(b)搬送用の支持体に確実に固定することを可能とした。
【0020】
本実施形態に係る(a−1)主に熱可塑性樹脂により構成される粘着層は、軟化点が150℃以下の熱可塑性樹脂を当該粘着層100重量部に対して40重量部以上含有することが好ましい。熱可塑性樹脂は、好ましくは、ポリスチレン、ポリビニルフェノール及びスチレン・ブタジエンゴムから選ばれる少なくとも1種である。
【0021】
粘着層((a−1)層)のずり粘度を35℃から昇温しながら測定したときに、ずり粘度が20000Pa・s以下となる温度は、40〜150℃の範囲にあることが好ましい。また、(a−1)主に熱可塑性樹脂により構成される粘着層と(a−2)主に熱硬化性樹脂により構成される粘着層との層間をより容易に剥離せしめるという観点から、(a−1)層はシリコーンを含有することが好ましいが、その場合には、溶剤溶解性を維持するという観点から、エポキシ基、アミノ基などの架橋性官能基を有しないシリコーンを添加することが望ましい。
【0022】
上記ずり粘度は、ARES(レオメトリック・サイエンティフィック社製)を用い、フィルム状粘着剤に5%の歪みを与えながら10℃/分の昇温速度で昇温させながら測定した場合の測定値を意味する。
【0023】
軟化点が150℃以下の熱可塑性樹脂(例えばポリスチレン、ポリビニルフェノール、又はスチレン・ブタジエンゴム)の含有量が40質量部未満の場合には、(a−1)主に熱可塑性樹脂により構成される粘着層と(a−2)主に熱硬化性樹脂により構成される粘着層との層間剥離強度が上昇し、良好な剥離性が得られない傾向にある。
【0024】
軟化点が150℃以下であるポリスチレン、ポリビニルフェノール、またはスチレン・ブタジエンゴムを40重量部以上含有することで、40〜150℃のいずれかの温度で、ずり粘度を20000Pa・s以下とすることができる。これにより、120−150℃/0.02−0.2MPa/1−5min、5−15mbarの条件下、(c)被研削基材に真空圧着した際に、空隙を生じさせることなく特に容易に圧着可能である。なお、40℃よりも低温でずり粘度が20000Pa・s以下となる場合には、フィルムが柔らかく、また流動性が高いため、作業性が悪化するとともに、圧着時に過度なはみ出しが生じ、(c)被研削基材の汚染や研削性に悪影響を及ぼす懸念がある。一方、150℃でもずり粘度が20000Pa・sを超える場合には、120−150℃/0.02−0.2MPa/1−5min、5−15mbarの条件で(c)被研削基材に真空圧着した際に、十分な流動性が得られず、空隙を生じさせる可能性がある。
【0025】
添加するシリコーンとしては特に限定は無いが、例えば、東レ・ダウコーニング(株)製のKF−105、SH−550、SH−710等が挙げられるが、(a−1)層と(a−2)層間の剥離力を上昇させにくいという観点から、架橋性官能基を有さないものがより好ましい。
【0026】
過度に高温にさらされた場合、粘着層が酸化・変質し、溶剤溶解性が低下する懸念が予想される。このような場合には、酸化防止剤としてヒンダードフェノールを適宜添加しても良い。
【0027】
その他の構成材料として、適宜溶剤に溶解しうる樹脂を添加可能だが、耐熱性の観点から、熱重量分析計(TGA)で測定した200℃での加熱質量減少率(昇温速度:5℃/min、雰囲気:窒素)が2質量%未満のものが好ましい。
【0028】
本実施形態に係る(a−2)主に熱硬化性樹脂により構成される粘着層は、ガラス転移温度Tgが−50〜50℃であり、分子量が40万〜80万であるグリシジル基などの架橋性官能基を有する(メタ)アクリル共重合体を50〜95重量部含有することが好ましい。粘着層((a−2)層)のずり粘度が20000Pa・s以下となる温度が40〜150℃のいずれかの温度であることが好ましい。硬化速度を適切に制御するという観点から、(a−2)層は硬化促進剤を0.1〜2.0重量部含有することが望ましい。更には、(a−1)主に熱可塑性樹脂により構成される粘着層と(a−2)主に熱硬化性樹脂により構成される粘着層との層間をより容易に剥離せしめるという観点から、(a−2)層はシリコーンを含有することが好ましい。
【0029】
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)で標準ポリスチレンによる検量線を用いたポリスチレン換算値である。
ガラス転移温度は、DSC(熱示差走査熱量計)(例えば、(株)リガク製「Thermo Plus 2」)を用いて測定したものをいう。
【0030】
(メタ)アクリル共重合体の分子量が40万未満の場合には、分子鎖の絡み合いが少なくなり、ポリマーの凝集力が十分に発揮されない可能性があり、結果として、ポリスチレンなどとの相溶性が向上し、(a−1)主に熱可塑性樹脂により構成される粘着層と(a−2)主に熱硬化性樹脂により構成される粘着層との層間剥離力が上昇する傾向にある。
【0031】
他の樹脂との架橋を形成させることで、粘着層の硬化後の弾性率を高く維持し、結果として、(c)被研削基材を(b)搬送用の支持体に確実に固定するという観点から、(メタ)アクリル共重合体はグリシジル基などの架橋性官能基を有することが望ましい。
【0032】
ガラス転移温度Tgが−50〜50℃であり、分子量が40万〜80万とすることで、40〜150℃のいずれかの温度で、ずり粘度を20000Pa・s以下とすることができる。これにより、120−150℃/0.02−0.2MPa/1−5min、5−15mbarの条件下、(c)被研削基材に真空圧着した際に、空隙を生じさせることなく特に容易に圧着可能である。
【0033】
分子量が40万未満の場合には、(a−1)主に熱可塑性樹脂により構成される粘着層と相溶しやすくなり、結果として層間剥離力が上昇するとともに、流動性が過度に向上し、圧着時に過度なはみ出しが生じ、(c)被研削基材の汚染や研削性に悪影響を及ぼす懸念がある。一方、分子量が80万を超える場合には、流動性が不足し、120−150℃/0.02−0.2MPa/1−5min、5−15mbarの条件で(c)被研削基材に真空圧着した際に、十分な流動性が得られず、空隙を生じさせる可能性がある。
【0034】
(メタ)アクリル共重合体の含有量が50重量部未満の場合には、(a−1)主に熱可塑性樹脂により構成される粘着層と相溶しやすくなり、結果として層間剥離力が上昇し、良好な剥離性が得られにくい傾向にある。一方、含有量が95重量部を超える場合には、ずり粘度が上昇し、40〜150℃のいずれかの温度で、ずり粘度を20000Pa・s以下とすることができず、良好な圧着性が得られない可能性がある。
【0035】
40℃よりも低温でずり粘度が20000Pa・s以下となる場合には、フィルムが柔らかく、また流動性が高いため、作業性が悪化するとともに、圧着時に過度なはみ出しが生じ、(c)被研削基材の汚染や研削性に悪影響を及ぼす懸念がある。一方、150℃でもずり粘度が20000Pa・sを超える場合には、120〜150℃/0.02〜0.2MPa/1〜5min、5〜15mbarの条件で(c)被研削基材に真空圧着した際に、十分な流動性が得られず、空隙を生じさせる可能性がある。
【0036】
(メタ)アクリル共重合体は異なる分子量のものを混合して使用することもできる。流動性を向上させ、40〜150℃のいずれかの温度で、ずり粘度を20000Pa・s以下とするという観点から、分子量が60万以下の(メタ)アクリル共重合体を(メタ)アクリル共重合体100重量部に対して、60重量部以上含有することが好ましい。
【0037】
エステル結合を有する(メタ)アクリル共重合体を(a−2)層をアルカリ水溶液に浸漬することでエステルを加水分解させ、水溶性の高いカルボキシル基へと変化させることができる。このような特性を利用し、薄型化した(c)基材を剥離した後、最終的に(b)搬送用の支持体上に残された(a−2)主に熱硬化性樹脂により構成される粘着層を(b)搬送用の支持体から除去することができる。加水分解を促進するため、必要に応じて超音波をかけながら(a−2)層をアルカリ水溶液に浸漬しても良い。
【0038】
良好な硬化性を得る目的で硬化促進剤を添加することが好ましいが、反応性の観点からイミダゾール系の化合物が好ましい。反応性が高すぎる硬化促進剤は、フィルム状粘着剤の製造工程中の加熱によりずり粘度を上昇させるだけではなく、経時による劣化を顕著に引き起こす傾向がある。一方、反応性が低すぎる硬化促進剤は、加熱による硬化が不十分となり、(c)被研削基材を(b)搬送用の支持体に確実に固定できなくなる可能性がある。
【0039】
硬化促進剤の添加量が少なすぎる場合には、加熱による硬化が不十分となり、(c)被研削基材を(b)搬送用の支持体に確実に固定できなくなる可能性がある。一方、硬化促進剤の添加量が多すぎる場合には、フィルム状粘着剤の製造工程中の加熱によりずり粘度を上昇させるだけではなく、経時による劣化を顕著に引き起こす傾向がある。このような観点から、硬化促進剤は0.1〜2.0重量部含有することが好ましい。
【0040】
(c)被研削基材を(b)搬送用の支持体に高温でも確実に固定・維持するという観点から、(a−2)の粘着層の硬化後の180℃での弾性率が0.1MPa以上とすることが好ましい。高温での弾性率が0.1MPa未満の場合には、薄型化した(c)被研削基材の反り、及び(c)被研削基材と(b)搬送用の支持体の線膨張係数の差に起因して、高温で反りが発生する可能性が高い。
【0041】
粘着層の硬化後の180℃での弾性率が0.1MPa以上とするという観点から、その他の構成材料として、架橋性官能基を有するエポキシ樹脂やフェノール樹脂などを適宜添加することが好ましい。これらは、耐熱性の観点から、熱重量分析計(TGA)で測定した200℃での加熱質量減少率(昇温速度:5℃/min、雰囲気:窒素)が2質量%未満であることが好ましい。このような要求を満たす樹脂としては、例えば、信越化学工業株式会社性のKF−105や三井化学株式会社製のミレックスXLC−シリーズや、エア・ウォーター株式会社製のHE−200C−10などが挙げられる。
【0042】
(フィルム状粘着剤の作製方法)
(a−1)及び(a−2)の粘着層は、それぞれ、上述した成分を含む粘着剤組成物を有機溶媒中で混合、混練してワニスを調製し、作製したワニスを基材フィルム上に塗布して乾燥する方法により形成することができる。
【0043】
上記の混合、混練は、通常の攪拌機、らいかい機、三本ロール、ボールミル等の分散機を用い、これらを適宜組み合わせて行うことができる。上記の加熱乾燥は、使用した溶媒が充分に揮散する条件であれば特に制限はないが、通常60℃〜200℃で、0.1〜90分間加熱して行うことができる。
【0044】
上記ワニスを作製するための有機溶媒は、上記各成分を均一に溶解、混練または分散できるものであれば制限はなく、従来公知のものを使用することができる。このような溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、Nメチルピロリドン、トルエン、キシレン等が挙げられる。乾燥速度が速く、価格が安い点でメチルエチルケトン、シクロヘキサノン等を使用することが好ましい。
【0045】
上記基材フィルムとしては、特に制限はなく、例えば、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム(OPPフィルム等)、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリエーテルナフタレートフィルム、メチルペンテンフィルム等が挙げられる。
【0046】
次に、得られたワニスを基材フィルム上に塗布することによりワニスの層を形成する。次に、加熱乾燥によりワニス層から溶媒を除去した後、基材フィルムを除去することにより、(a−1)または(a−2)の粘着層が得られる。
【0047】
得られた(a−1)層と(a−2)層は60〜120℃でロールラミネートなどにより貼り合わせることで、(a)フィルム状粘着剤とすることができる。
【0048】
(a−1)主に熱可塑性樹脂により構成される粘着層の厚みは、半導体素子表面の凹凸を十分に埋め込むという観点から、半導体素子表面の凹凸と同等以下の厚みが好ましく、10〜80μmが好ましい。一方、(a−2)主に熱硬化性樹脂により構成される粘着層は(c)被研削基材と(b)搬送用の支持体とを十分に固定するという観点から、10〜50μmが好ましい。
【0049】
(薄型化した(c)基材の製造方法)
本実施形態に係る薄型化したシリコンウェハ等の(c)基材は、例えば、以下の手順により製造される。まず、(b)搬送用の支持体上に、(a)フィルム状粘着剤を(a−2)主に熱硬化性樹脂により構成される粘着層が(b)搬送用の支持体側に貼り付けられるように80〜120℃でロールラミネートにより貼り付けて、積層体を準備する。支持体としては、例えばガラス板又はシリコンウェハが用いられる。次に、(c)被研削基材を(a−1)主に熱可塑性樹脂により構成される粘着層上に真空ボンディング装置を用いて、120〜150℃/0.02〜0.2MPa/1〜5min、5〜15mbarの条件で真空圧着する。その後、(c)被研削基材の非回路面を所望の厚さ研削した後、(a−1)主に熱可塑性樹脂により構成される粘着層と(a−2)主に熱硬化性樹脂により構成される粘着層の層間を剥離することで、薄型化した(c)基材を(c)支持体から分離する。なお、薄型化した(c)基材の回路面に残存している(a−1)主に熱可塑性樹脂により構成される粘着層は適宜適切な溶剤により洗浄することで除去する。薄型化した(c)基材から剥がした(a−2)主に熱硬化性樹脂により構成される粘着層が貼り付けられた(b)搬送用の支持体は、(a−2)主に熱硬化性樹脂により構成される粘着層をテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液などのアルカリ中で加水分解することで除去し、(b)搬送用の支持体を回収する。加水分解を促進するため、必要に応じて超音波をかけながらアルカリ水溶液に浸漬しても良い。
【0050】
以上、本発明に係る(a)フィルム状粘着剤、薄型化した(c)基材の製造方法の好適な実施形態について説明したが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を行ってもよい。
【実施例】
【0051】
以下、実施例を挙げて本発明についてより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0052】
(実施例1〜4及び比較例1〜3)
表1または表2に示す品名及び組成比(単位:質量部)の(a)熱硬化性樹脂としてのエポキシ樹脂及びフェノール樹脂、(c)無機フィラーからなる組成物にシクロヘキサノンを加え、撹拌混合した。これに、表1または表2に同様に示す、(b)高分子量成分としてのアクリルゴムと(d)硬化促進剤とを加えて各成分が均一になるまで撹拌して、(a−2)層形成用の熱硬化性樹脂組成物のワニスを得た。同様に、表1または表2に示す組成比(単位:質量部)の成分を混合し、(a−1)層形成用の熱可塑性樹脂組成物のワニスを得た。
【0053】
表1及び表2中の各成分の記号は下記のものを意味する。
(ポリスチレン、スチレンブタジエンゴム、ポリビニルフェノール)
SX−100:(商品名、カスハラケミカル(株)製、ポリスチレン樹脂、軟化点:約67℃)。
T−438:(商品名、旭化成ケミカルズ(株)製、スチレン・ブタジエンゴム、軟化点:<25℃)。
T−411:(商品名、旭化成ケミカルズ(株)製、スチレン・ブタジエンゴム、軟化点:<25℃)。
マルカリンカS−1P:(商品名、丸善石油化学(株)製、ポリビニルフェノール樹脂、軟化点:約83℃)。
【0054】
(アクリルゴム)
アクリルゴム試作品No.25 MW5:(サンプル名、帝国化学産業(株)製、重量平均分子量23万、グリシジル基を有するモノマーの比率2質量%、Tg:−7℃)。
アクリルゴム試作品No.25:(サンプル名、帝国化学産業(株)製、重量平均分子量50万、グリシジル基を有するモノマーの比率2質量%、Tg:−7℃)。
アクリルゴムHTR−860P−3CSP:(サンプル名、帝国化学産業(株)製、重量平均分子量80万、グリシジル基を有するモノマーの比率3質量%、Tg:−7℃)。
アクリルゴムHTR−860P−30B−CHN:(サンプル名、帝国化学産業(株)製、重量平均分子量23万、グリシジル基を有するモノマーの比率8質量%、Tg:−7℃)。
【0055】
(シリコーン)
SH−550:(サンプル名、東レ・ダウコーニング(株)製、メチルフェニルシリコーンオイル)。
KF−105:(サンプル名、東レ・ダウコーニング(株)製、エポキシ変性シリコーンオイル)。
【0056】
(酸化防止剤)
AO−330:(サンプル名、(株)ADEKA製、ヒンダードフェノール)。
【0057】
(フェノール樹脂)
ミレックスXLC−LL:(商品名、三井化学(株)製、フェノール樹脂、水酸基当量175、軟化点77℃、吸水率1質量%、加熱質量減少率4質量%)。
HE200C−10:(商品名、エア・ウォーター(株)製、フェノール樹脂、水酸基当量200、軟化点65〜76℃、吸水率1質量%、加熱質量減少率4質量%)。
【0058】
(硬化促進剤)
キュアゾール2PZ−CN:(商品名、四国化成工業(株)製、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール)。
【0059】
(無機フィラ)
アエロジルR972(商品名、日本アエロジル株式会社製、シリカ、平均粒径:0.016μm)
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
次に、得られたそれぞれのワニスを100メッシュのフィルターでろ過し、真空脱泡した。真空脱泡後のワニスを、基材フィルムとしての、厚さ38μmの離型処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗布した。塗布したワニスを、90℃で5分間、続いて140℃で5分間の2段階で加熱乾燥した。こうして、基材フィルムとしてのPETフィルム上に形成された、(a−1)層又は(a−2)層としての厚み40μmのフィルム状粘着剤を得た。
【0063】
<各種物性の評価>
得られたフィルム状粘着剤について、ずり粘度、段差埋込性、(a−2)層の硬化後180℃弾性率、(a−1)層/(a−2)層間の30°剥離強度、デボンド装置での剥離性、(a−1)層の溶剤溶解性、(a−2)層のアルカリ加水分解性、200℃での耐熱性の評価を行った。
【0064】
[ずり粘度測定]
フィルム状粘着剤のずり粘度は下記の方法により評価した。
上記フィルム状粘着剤(厚み40μm)を80℃でロールラミネートし、4枚重ねることで、厚み160μmの積層体を得た。これを、厚み方向に10mm角に打ち抜くことで、10mm角、厚み160μmの四角形の積層体を得た。動的粘弾性装置ARES(レオメトリック・サイエンティフィック社製)に直径8mmの円形アルミプレート治具をセットし、更にここに打ち抜いたフィルム状粘着剤の積層体をセットした。その後、35℃で5%の歪みを与えながら20℃/分の昇温速度で150℃まで昇温させながら測定し、ずり粘度の値が20000Pa・sとなる温度を記録した。
【0065】
[段差埋込性]
フィルム状粘着剤の段差埋込性を下記の方法により評価した。
上記で得られたフィルム状粘着剤の(a−1)層と(a−2)層(厚み各40μm)を80℃でロールラミネートし、厚み80μmの(a)フィルム状粘着剤を得た。次に、厚み625μmシリコンミラーウェハ(6インチ)表面に、ブレードダイシングにより幅40μm、深さ40μmの溝を125μm間隔で作製した。このようにして作製した段差付きシリコンミラーウェハの段差が上面となるように真空ラミネータ((株)エヌ・ピー・シー製、LM−50X50−S)のステージ上に置き、上記で得られた(a)フィルム状粘着剤を、(a−1)層が段差付きシリコンミラーウェハ側に位置する向きで設置し、120℃/0.1MPa/2min、15mbarで真空ラミネートした。得られたサンプルを断面観察し、ブレードダイシングで作製した溝の埋込性を評価した。埋込性の評価基準は以下の通りである。
○:ボイドの割合が5%未満。
×:ボイドの割合が5%以上。
【0066】
[(a−2)層の硬化後180℃弾性率]
フィルム状粘着剤(a−2)の硬化後の引っ張り弾性率は下記の方法により評価した。
フィルム状粘着剤の(a−2)層(厚み40μm)から、基材フィルムを剥離除去した後、厚み方向に4mm幅、長さ30mmに切り出し、110℃のオーブンで1時間、170℃で1時間加熱した。得られたサンプルを動的粘弾性装置(製品名:Rheogel−E4000、(株)UMB製)にセットし、引張り荷重をかけて、周波数10Hz、昇温速度3℃/分で測定し、180℃での測定値を記録した。
【0067】
[(a−1)層/(a−2)層間の30°剥離強度]
フィルム状粘着剤の(a−1)層/(a−2)層間の30°剥離強度は下記の方法により評価した。
上記で得られたフィルム状粘着剤の(a−1)層と(a−2)層(厚み各40μm)を80℃でロールラミネートし、厚み80μmの(a)フィルム状粘着剤を得た。次に、厚み625μmシリコンミラーウェハ(6インチ)表面に、ブレードダイシングにより幅40μm、深さ40μmの溝を125μm間隔で作製した。このようにして作製した段差付きシリコンミラーウェハの段差が上面となるように真空ラミネータ((株)エヌ・ピー・シー製、LM−50X50−S)のステージ上に置き、上記で得られた(a)フィルム状粘着剤を(a−1)層が段差付きシリコンミラーウェハ側に位置する向きで設置し、120℃/0.1MPa/2min、15mbarで真空ラミネートした。得られたサンプルを110℃/30minと続く170℃/1h加熱して(a−2)層を硬化させ、その後、200℃/10min加熱した後、10mm幅に切り出した。切り出したサンプルを用いて、剥離角度が30°となるように設定した剥離試験機で300mm/sの速度で剥離試験を実施し、そのときの剥離強度を記録した。
【0068】
[デボンド装置での剥離性]
フィルム状粘着剤のデボンド装置での剥離性は下記の方法により評価した。
上記で得られたフィルム状粘着剤の(a−1)層と(a−2)層(厚み各40μm)を80℃でロールラミネートし、厚み80μmの(a)フィルム状粘着剤を得た。
(b)搬送用の支持体としてシリコンミラーウェハを使用した。上記で得られた(a)フィルム状粘着剤を、(a−2)層がシリコンミラーウェハ側に位置する向きで、80℃でのロールラミネートにより(b)搬送用の支持体に貼り付けた。次に、厚み770μmシリコンミラーウェハ(12インチ)表面に、ブレードダイシングにより幅40μm、深さ40μmの溝を125μm間隔で作製し、表面に段差を有する(c)被研削基材とした。この(c)非研削基材と、(b)搬送用の支持体に貼り付けられた(a)フィルム状粘着剤とを、真空ボンディング装置(SUSS MicroTec製、XBS300)で120℃/0.1MPa/5min、5mbarで真空圧着し、(b)搬送用の支持体、(a)フィルム状粘着剤及び(c)非研削基材から構成される(d)積層体を得た。(d)積層体を110℃/30minと続く170℃/1h加熱して(a−2)層を硬化させ、その後、200℃/10min加熱した後にデボンディング装置(SUSS MicroTec製、XBC300 Gen2)にてデボンド評価を行った。(b)搬送用の支持体及び(c)被研削基材の損傷無く(a−1)層と(a−2)層とを剥離できたものを○とし、剥離できなかった、または損傷が見られたものは×とした。
【0069】
[(a−1)層の溶剤溶解性]
フィルム状粘着剤の(a−1)層の溶剤溶解性は下記の方法により評価した。
上記で得られたフィルム状粘着剤の(a−1)層と(a−2)層(厚み各40μm)を80℃でロールラミネートし、厚み80μmの(a)フィルム状粘着剤を得た。次に、厚み625μmシリコンミラーウェハ(6インチ)表面に、上記で得られた(a)フィルム状粘着剤を、(a−1)層がシリコンミラーウェハに貼り付くように80℃でロールラミネートした。得られたサンプルを110℃/30minと続く170℃/1h加熱して(a−2)層を硬化させ、その後、200℃/10min加熱した後、(a−2)層を剥離除去した。その後、(a−1)層が貼りついたままのシリコンミラーウェハを5mm角に切り出し、これをリモネン30mLを入れたフラスコに投入し、攪拌羽根で250rpm、10min攪拌した。その後、シリコンミラーウェハを取り出し、0.5MPaのエアガンで高圧エアーを吹きつけることで残渣を除去し、表面のIR分析を実施し、シリコンミラーウェハ以外のシグナルが見られる場合には×、シグナルが検出されない場合には○とした。
【0070】
[(a−2)層のアルカリ加水分解性]
フィルム状粘着剤の(a−2)層のアルカリ加水分解性は下記の方法により評価した。
上記で得られたフィルム状粘着剤の(a−2)層(厚み40μm)を厚み625μmシリコンミラーウェハ(6インチ)表面に80℃でロールラミネートした。得られたサンプルを110℃/30minと続く170℃/1h加熱して(a−2)層を硬化させ、その後、200℃/10min加熱した後、5mm角に切り出し、これをテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの3%水溶液30mLを入れたフラスコに投入し、攪拌羽で250rpm、24h攪拌した。その後、シリコンミラーウェハを取り出し、0.5MPaのエアガンで高圧エアーを吹きつけることで残渣を除去し、表面のIR分析を実施し、シリコンミラーウェハ以外のシグナルが見られる場合には×、シグナルが検出されない場合には○とした。
【0071】
[200℃での耐熱性]
フィルム状粘着剤(a)の200℃での耐熱性は下記の方法により評価した。
上記で得られたフィルム状粘着剤の(a−1)層と(a−2)層(厚み各40μm)を80℃でロールラミネートし、厚み80μmの(a)フィルム状粘着剤を得た。次に、厚み625μmシリコンミラーウェハ(6インチ)をブレードダイシングにより30mm角に小片化した。小片化したシリコンミラーウェハ表面に、上記で得られた(a)フィルム状粘着剤を(a−2)が貼り付くように(a)フィルム状粘着剤を80℃でロールラミネートした。次に、(a−1)層上に厚みが0.1〜0.2mmで大きさが約18mm角のスライドガラスを80℃でロールラミネートし、シリコンウェハとスライドガラスで挟まれた積層品を作製した。得られたサンプルを110℃/30minと続く170℃/1h加熱して(a−2)粘着層を硬化させ、その後、200℃/10min加熱した。
このようにして得られたサンプルをスライドガラス面から観察し、画像をPhotoshop(登録商標)などのソフトウェハで解析し、フィルム状粘着剤全体の面積に占めるボイドの割合から200℃での耐熱性を評価した。評価基準は以下の通りである。
○:ボイドの割合が5%未満。
×:ボイドの割合が5%以上。
【0072】
【表3】
【0073】
【表4】
【0074】
表3、4に示した結果から明らかなように、実施例1〜6のフィルム状粘着剤は、比較例1〜3のフィルム状粘着剤と比較して、(a−1)層/(a−2)層間の30°剥離強度が低く、結果としてデボンド評価が良好であり、(a−1)層の溶剤溶解性にも優れることが確認された。