特許第6214441号(P6214441)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ニューフレアテクノロジーの特許一覧
特許6214441偏向器用クリーニング装置及び偏向器のクリーニング方法
<>
  • 特許6214441-偏向器用クリーニング装置及び偏向器のクリーニング方法 図000002
  • 特許6214441-偏向器用クリーニング装置及び偏向器のクリーニング方法 図000003
  • 特許6214441-偏向器用クリーニング装置及び偏向器のクリーニング方法 図000004
  • 特許6214441-偏向器用クリーニング装置及び偏向器のクリーニング方法 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6214441
(24)【登録日】2017年9月29日
(45)【発行日】2017年10月18日
(54)【発明の名称】偏向器用クリーニング装置及び偏向器のクリーニング方法
(51)【国際特許分類】
   B08B 5/02 20060101AFI20171005BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20171005BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20171005BHJP
   B08B 6/00 20060101ALI20171005BHJP
【FI】
   B08B5/02 A
   H01L21/30 541Z
   H01L21/30 541B
   G03F7/20 521
   B08B6/00
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-55338(P2014-55338)
(22)【出願日】2014年3月18日
(65)【公開番号】特開2015-178048(P2015-178048A)
(43)【公開日】2015年10月8日
【審査請求日】2016年6月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】504162958
【氏名又は名称】株式会社ニューフレアテクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】110000235
【氏名又は名称】特許業務法人 天城国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉野 修司
(72)【発明者】
【氏名】大歳 研司
(72)【発明者】
【氏名】山田 拓
(72)【発明者】
【氏名】早川 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】笹木 裕司
(72)【発明者】
【氏名】添田 勝之
(72)【発明者】
【氏名】小泉 洋
【審査官】 大宮 功次
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−093696(JP,A)
【文献】 特開2000−117212(JP,A)
【文献】 特開2001−300453(JP,A)
【文献】 特開昭63−107131(JP,A)
【文献】 特開2010−104969(JP,A)
【文献】 特開2003−121071(JP,A)
【文献】 特開平04−271808(JP,A)
【文献】 特開平11−354487(JP,A)
【文献】 特開平09−289144(JP,A)
【文献】 特開2013−071066(JP,A)
【文献】 特開平04−304637(JP,A)
【文献】 特開平06−188182(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 5/02
B08B 6/00
G03F 7/20
H01L 21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電ビーム描画装置に用いられる偏向器をクリーニングする偏向器用クリーニング装置であって、
チャンバーと、
前記チャンバー内において偏向器を載置する支持体と、
前記支持体の下部に配置され、前記支持体を回転させるとともに、前記支持体を上下方向に移動させる移動機構と、
イオン化された気体を前記チャンバー内に噴出する複数のノズル部を有するイオナイザーと、
前記チャンバー内にダウンフローを発生させる気流制御機構と、
前記チャンバー内において、前記移動機構より上方で、前記偏向器より下方となるように配置されるパーティクル検出装置と、
を具備し、
前記複数のノズル部は、前記チャンバーの上方から下方に前記イオン化された気体を噴出する第1のノズル部と、
前記チャンバーの側面から水平方向に前記イオン化された気体を噴出する第2のノズル部と、
前記チャンバーの側面から斜め上方向に前記イオン化された気体を噴出する第3のノズル部と、
を有する偏向器用クリーニング装置。
【請求項2】
少なくとも互いに隣接する前記複数のノズル部から同時に前記イオン化された気体が噴出されないように、前記イオン化された気体が噴出される前記複数のノズル部を選択する制御部を有する請求項1に記載の偏向器用クリーニング装置。
【請求項3】
前記チャンバーは、少なくとも上方の径が下方の径より大きい形状である請求項1に記載の偏向器用クリーニング装置。
【請求項4】
前記気流制御機構は、前記チャンバー内の前記ダウンフローの風速が一定となるように前記風速を制御する請求項1に記載の偏向器用クリーニング装置。
【請求項5】
荷電ビーム描画装置に用いられる偏向器をクリーニングするための偏向器用クリーニング方法であって、
チャンバー内に設置された支持体に偏向器を載置し、
前記支持体を回転させるとともに、前記支持体を上下方向に移動させることによって前記偏向器を前記チャンバー内において移動させながら、偏向器の上面、側面、および下面にイオン化された気体を噴出して前記偏向器に付着したパーティクルを剥がし、
前記チャンバー内にダウンフローを生成して、剥がされた前記パーティクルを下方に移動させ、
前記偏向器の下部で前記パーティクルを検出し、前記偏向器のクリーニングが終了したか否かを判断する偏向器クリーニング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏向器用クリーニング装置及び偏向器のクリーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マスク基板等の試料上に所望のパターンを描画する電子ビーム描画装置は、電子ビームの試料上への照射位置を制御するために、偏向器を有する。偏向器の直ぐ下には試料が載置されており、この偏向器にパーティクルが付着している場合、そのパーティクルが偏向器から剥がれて試料を汚染する。このような試料の汚染を抑制するために、偏向器は清浄にクリーニングされている必要がある。
【0003】
従来、偏向器のクリーニングは、イオナイザーを使用して手動で行われていた。そのため、クリーニング品質にばらつきが生じていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−93696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一態様は、クリーニング品質の均一化を図ることができる偏向器用クリーンング装置および偏向器のクリーニング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る偏向器用クリーニング装置は、荷電ビーム描画装置に用いられる偏向器をクリーニングする偏向器用クリーニング装置であって、チャンバーと、チャンバー内において偏向器を載置する支持体と、支持体の下部に配置され、支持体を回転させるとともに、支持体を上下方向に移動させる移動機構と、イオン化された気体をチャンバー内に噴出する複数のノズル部を有するイオナイザーと、チャンバー内にダウンフローを発生させる気流制御機構と、チャンバー内において、移動機構より上方で、偏向器より下方となるように配置されるパーティクル検出装置と、を具備し、複数のノズル部は、チャンバーの上方から下方に前記イオン化された気体を噴出する第1のノズル部と、チャンバーの側面から水平方向にイオン化された気体を噴出する第2のノズル部と、チャンバーの側面から斜め上方向にイオン化された気体を噴出する第3のノズル部と、を有する。
【0007】
また、本発明の一態様に係る偏向器用クリーニング装置において、少なくとも互いに隣接する複数のノズル部から同時にイオン化された気体が噴出されないように、イオン化された気体が噴出される複数のノズル部を選択する制御部を有する。
【0008】
また、本発明の一態様に係る偏向器用クリーニング装置において、チャンバーは、少なくとも上方の径が下方の径より大きい形状である。
【0009】
また、本発明の一態様に係る偏向器用クリーニング装置は、気流制御機構は、チャンバー内のダウンフローの風速が一定となるように前記風速を制御する。
【0010】
また、本発明の一態様に係る偏向器のクリーニング方法は、荷電ビーム描画装置に用いられる偏向器をクリーニングするための偏向器用クリーニング方法であって、チャンバー内に設置された支持体に偏向器を載置し、支持体を回転させるとともに、前記支持体を上下方向に移動させることによって前記偏向器を前記チャンバー内において移動させながら、前記偏向器の上面、側面、および下面にイオン化された気体を噴出して前記偏向器に付着したパーティクルを剥がし、チャンバー内にダウンフローを生成して、剥がされたパーティクルを下方に移動させ、偏向器の下部でパーティクルを検出し、偏向器のクリーニングが終了したか否かを判断する方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る偏向器用クリーニング装置および偏向器のクリーニング方法によれば、クリーニング品質の均一化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施態様に係る偏向器用クリーニング装置を模式的に示す図である。
図2】複数の支柱上に配置された偏向器およびその周囲を拡大して示す図である。
図3】本発明の一実施態様に係る偏向器用クリーニング装置を示す電気ブロック図である。
図4】本発明の一実施態様に係る偏向器のクリーニング方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の一態様に係る偏向器用クリーニング装置および偏向器のクリーニング方法について説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施態様に係る偏向器用クリーニング装置を模式的に示す図である。図1に示す偏向器用クリーニング装置10は、例えば荷電ビーム描画装置に用いられる偏向器11をクリーニングの対象物とし、偏向器11の表面にイオン化された気体を所定の圧力/流量で噴出することによって、偏向器11に付着したパーティクルを剥がし落とし、これによって偏向器11をクリーニングするものである。
【0015】
この偏向器用クリーニング装置10は、クリーニングの対象となる偏向器11が搬入され、クリーニング処理されるチャンバー12、チャンバー12内で偏向器11にイオン化された気体を所定の風速で噴出するイオナイザー13、チャンバー12内にダウンフローを発生させる気流制御機構14、および偏向器11から剥がれたパーティクルを検出するパーティクル検出装置15、を有する。
【0016】
チャンバー12は、例えばステンレス鋼(SUS)等からなり、架台16に支持されている。チャンバー12は、図1中の破線A−A’より下側の部分であり上部に開口部が設けられるチャンバー本体12aと、チャンバー本体12aの上部に設けられ、開口部を覆うように設けられる蓋体12bより構成される。蓋体12bは、例えば水平方向にスライド移動することによってチャンバー本体12aの開口部を開閉することができる。蓋体12bの側面には、蓋体12bをチャンバー本体12aに対して移動させるための取っ手17が設けられている。取っ手17を蓋体12bの側面に設けることにより、蓋体12bを移動させた際に腕等が開放されたチャンバー本体12aの上を通過し、パーティクルが落下することを防止できる。
【0017】
このようなチャンバー12は、内部に配置される偏向器11の形状に対応し、チャンバー12内部のダウンフローがスムーズに乱れることなく流れるような形状になっている。例えば偏向器11が図示するように略T字状である場合、この形状に対応して、少なくともチャンバー本体12a上部の径が、下部の径より広い略テーパ形状となっている。
【0018】
チャンバー12の内部には、偏向器11を支持する支持体である複数の支柱19、および偏向器11を移動させる移動機構18、が設けられている。
【0019】
図2は、複数の支柱19上に載置された偏向器11およびその周囲を拡大して示す図である。図2に示すように、偏向器11は、リング状のアダプター20に例えばネジ21によって固定される。そして、アダプター20を介して偏向器11が複数の支柱19の上端上に載置される。このようにして、偏向器11は、複数本の支柱19に支持される。なお、アダプター20には、複数の貫通孔22が設けられている。これらの貫通孔22はそれぞれ通風孔となっている。
【0020】
このようなアダプター20を偏向器11の形状毎に用意することにより、複数の支柱19は、様々な形状の偏向器11を支持することができる。
【0021】
偏向器11がアダプター20に固定される場合、偏向器11のうち、アダプター20に接する面である接触面Sには、イオン化された気体を供給することはできず、この面Sをクリーニングすることはできない。しかしながら、偏向器11を荷電ビーム描画装置に取り付けた際に、偏向器11の外周部分Pは、荷電ビーム描画装置の真空室内には入らず、外気にさらされる。従って、この外周部分Pは、パーティクルが付着していても真空室内には影響が出ない領域である。偏向器11は、領域Pにおいてアダプター20に接触することにより、アダプター20に固定される。
【0022】
チャンバー12の内部の移動機構18は、複数の支柱19を回転させるとともに、上下方向に移動させることにより、複数の支柱19に支持される偏向器11を回転させ、上下方向に移動させる。本実施態様において、移動機構18は、複数の支柱19をステップ状に回転させるとともに、上下方向にステップ移動させる。
【0023】
イオナイザー13は、支柱19に支持された偏向器11に、例えばイオン化された圧縮空気等のイオン化された気体を所定の風速で噴出することにより、偏向器11に付着するパーティクルを剥がし落とすものである。
【0024】
イオナイザー13は、例えば空気中の水分を除去するドライヤー、圧縮空気を所望の圧力に制御するフィルターレギュレーター、流量をコントロールするニードルバルブ、流量を測定する流量計、イオン化電圧によりプラス(+)マイナス(−)イオンの生成を制御するイオナイザーコントローラー、圧縮空気の流路(ノズル部)を選択する電磁弁、イオン化のON/OFFを制御するシーケンサーなどを含むガスコントロールボックス13a、ガスコントロールボックス13aからその一端に圧縮空気が供給される複数本の配管13b、および各々の配管13bの他端と接続され、各々の配管13bを流れた圧縮空気をイオン化して排出するノズル部13c、を有する。
【0025】
ガスコントロールボックス13aは、例えば架台16の内部或いは上部に配置されており、後述するPC(制御部)31よって制御される。
【0026】
ノズル部13cは、その先端に例えば放電機構等のような、空気をプラス(+)イオンとマイナス(−)イオンに分解するイオン化機構(図示せず)を備えており、配管13bから供給される圧縮空気をイオン化して、所定の風速で噴出する。複数のノズル部13cは、これらから噴出されるイオン化された圧縮空気を、上下、回転移動する偏向器11の全面に、略均一な風速で噴出することができるように、チャンバー12内部における偏向器11の上方に設置されるとともに、チャンバー12側面に設置される。
【0027】
複数のノズル部13cのうち、偏向器11の上方に設置される複数の第1のノズル部13c−1の各々は、偏向器11の主に上面にイオン化された圧縮空気を噴出する。これらの複数の第1のノズル部13c−1の各々は、チャンバー12の内部において偏向器11の上方に、偏向器11の上面に対して略垂直方向からイオン化された圧縮空気を噴出することができるように設置されている。このような複数の第1のノズル部13c−1は、所定のピッチ(例えば30mmピッチ)で一列に配列されている。
【0028】
なお、第1のノズル部13c−1のいくつかは、偏向器11の上面に対して斜め方向からイオン化された圧縮空気を噴出することができるように設置されていてもよい。
【0029】
複数のノズル部13cのうち、チャンバー12側面に設けられる複数の第2のノズル部13c−2の各々は、偏向器11の主に側面にイオン化された圧縮空気を噴出する。これらの複数の第2のノズル部13c−2の各々は、チャンバー12の側面に対して略垂直方向にイオン化された圧縮空気を噴出することができるように、チャンバー12の側面に設置されている。このような複数の第2のノズル部13c−2は、所定のピッチ(例えば30mmピッチ)で上方から下方に向かって一列に配列されている。
【0030】
複数のノズル部13cのうち、チャンバー12側面に設けられる複数の第3のノズル部13c−3の各々は、偏向器11の主に下面にイオン化された圧縮空気を噴出する。これらの複数の第3のノズル部13c−3の各々は、チャンバー12の側面に対して斜め上方向にイオン化された圧縮空気を噴出することができるように、チャンバー12の側面に設置されている。このような複数の第3のノズル部13c−3は、所定のピッチ(例えば30mmピッチ)で一列に配列されている。
【0031】
なお、本実施態様において、第1のノズル部13c−1は6箇所、第2のノズル部13c−2は7箇所、第3のノズル部13c−3は5箇所、となるように、複数のノズル部13cは18箇所に設置されているが、設置位置、個数は限定されるものではなく、適宜設けることができる。
【0032】
複数のノズル部13cは、少なくとも互いに隣接するノズル部13cが、イオン化された圧縮空気を同時に噴出することがないように、適宜電磁弁などによりON/OFFを切換えることが好ましい。隣接するノズル部13cから噴出されるイオンが互いに相殺されることを抑制することができる。
【0033】
なお、本実施態様において、イオナイザー13は、圧縮空気をプラス(+)イオンおよびマイナス(−)イオンに分解し、これらを一括して互いに等しい量だけ噴出してもよく、プラス(+)イオンおよびマイナス(−)イオンをそれぞれ別に噴出してもよい。また、プラス(+)イオンの量とマイナス(−)イオンの量とが互いに等しくなくてもよく、各イオンとなる気体も空気に限定されず、微量の水なども含まれる。
【0034】
また、チャンバー12には、チャンバー12内にダウンフローを発生させる気流制御機構14が設けられている。気流制御機構14によって発生するダウンフローは、イオナイザー13によって偏向器11から剥がされたパーティクルを、少なくとも偏向器11から下方に移動させる。
【0035】
この気流制御機構14は、任意に定められた一定の流量でチャンバー12外部から空気を取り込むファン14a、およびチャンバー12内部の空気を外部に排出するブロア14bを有する。
【0036】
ファン14aは、チャンバー12上端に、フィルタ23を介して設けられている。ファン14aがチャンバー12外部から空気を取り込むと、取り込まれた空気は、フィルタ23を介してチャンバー12内に供給される。供給される空気は、フィルタ23によってパーティクルが捕集されているため、清浄な空気である。
【0037】
フィルタ23としては、0.15μmのパーティクルを99.9995%捕集することができる超高性能フィルタであるULPAフィルタを用いることが好ましい。
【0038】
ブロア14bは、チャンバー12の下部に設けられ、例えばブロア制御部26により、ブロア14bの回転数を電気的に制御することにより、排出流量チャンバー12内の空気を排出する量を調節する。このような電気的な制御により、イオン化された圧縮空気の噴出されるノズル部13cの切り替えによる噴出本数の変動や、イオン化された圧縮空気の噴出流量の変動により、チャンバー12内の風速が変わった場合など、ブロア14bによって排出される空気の流量を自動的に調節(選択)し、チャンバー12内に、一定の風速のダウンフローを、気流の乱れが生じないように発生させることができる。このようにして制御された流量で、ブロア14bはチャンバー12内の空気を排気口25より排出する。なお、排出流量は、ブロア14b上部に設けられた手動バタフライバルブ24により手動調整してもよい。
【0039】
さらに、チャンバー12において、クリーニングされる偏向器11の下端より下方、かつ移動機構18より上方に、パーティクル検出装置15が設けられている。パーティクル検出装置15としては、例えばイオナイザー13によって偏向器11から剥がされるパーティクルの量と大きさを検出することができるパーティクルカウンター15aが挙げられる。パーティクルカウンター15aが、偏向器11から剥がされるパーティクル量を検出することにより、偏向器11のクリーニングが終了したか否かを確認することができる。例えばパーティクルカウンター15aが検出するパーティクル量が0となった場合、偏向器11のクリーニングが終了したことを確認することができる。
【0040】
さらにパーティクル捕集装置15bを設けて偏向器11から剥がれ落ちたパーティクルを捕集してもよい。捕集されたパーティクルを分析することにより、パーティクルの発生源を特定することも可能である。パーティクルカウンター15a、パーティクル捕集装置15bは、パーティクルカウンターコントローラー27により、適宜水平方向に移動させることができ、チャンバー本体12aの側面近傍、或いは中央のパーティクルを検出することができる。
【0041】
なお、チャンバー12において、偏向器11より下方、かつ移動機構18より上方に、チャンバー12内の風速を検出することができる風速計28が設けられてもよい。この風速計28も、パーティクルカウンター15a等と同様に、風速計コントローラー29により、チャンバー12内部を、水平方向に移動することができる。
【0042】
また、上述したチャンバー12を支持するとともに、内部にガスコントロールボックス13a等を有する架台16の近傍には、各種電源30およびPC(制御部)31が搭載されたラック32が配置されている。図3に、実施態様に係る偏向器用クリーニング装置10の電気ブロック図を示すように、PC31は、移動機構18、ガスコントロールボックス13a、ブロア制御部26、パーティクルカウンターコントローラー27、風速計コントローラー29等と接続され、イオン化された圧縮空気が噴出されるノズル部の選択を含むイオナイザー12による一連のクリーニング動作や、偏向器11の移動、気流制御機構14によるダウンフローを制御する。
【0043】
PC(制御部)31には、偏向器11をクリーニングするためのクリーニングプログラム(レシピ)が予め記憶されており、偏向器用クリーニング装置10は、このプログラムにしたがって動作させることができる。なお、例えば異なった複数のクリーニングプログラム(レシピ)をPC(制御部)31に記憶しておき、使用者は、偏向器11の種類や履歴などにより複数のプログラムのいずれかを選択して実行することにより、偏向器用クリーニング装置10を、最適に動作させることもできる。
【0044】
以下に、このような偏向器用クリーニング装置10を用いた偏向器11のクリーニング方法について説明する。
【0045】
図4は、本発明の一実施態様に係る偏向器のクリーニング方法を示すフローチャートである。
【0046】
図4に示すように、まず、チャンバー12の蓋体12bを、その側面に設けられた取っ手17を用いて開け、アダプター20に固定された偏向器11を複数の支柱19上に載置した後、蓋体12bを閉じる(S101)。
【0047】
次に、PC31に記憶された偏向器用のクリーニングプログラム(レシピ)を選択し、実行する(S102)。これにより、偏向器用クリーニング装置10は、一連のクリーニング動作を開始する。
【0048】
まず、チャンバー12内に、所定の風速のダウンフローを発生させる(S103)。ダウンフローの風速は、風速計28による検出結果に基づいて、ブロア制御部26により、ブロア14bの回転数を自動調整して調節される。なお、風速の調節は、手動バタフライバルブ24によって手動で調節してもよい。
【0049】
次に、移動機構18を制御して、偏向器11をステップ状に回転させるとともに上下方向にステップ移動させる。これと同時に、イオナイザー13を駆動して、偏向器11の位置に応じて、所定圧力/流量のイオン化された圧縮空気を、選択された複数のノズル部13cから噴出し、偏向器11をクリーニングする(S104)。
【0050】
イオナイザー13は、ガスコントロールボックス13aにおいて、圧縮空気を取り込むと、その空気をドライヤーによって除湿する。除湿された空気は、圧力計によって検出される圧力に基づいて、所望の圧力になるようにフィルターレギュレーターによって制御される。所望の圧力を有する圧縮空気は、選択された複数の配管13b内を流れ、選択された配管13bに接続されるノズル部13cに供給される。なお、各々の配管13b内を流れる圧縮空気の流量は、流量計によって検出される流量に基づいて、所望の流量になるようにニードルバルブによって制御される。ノズル部13cに供給された圧縮空気は、ノズル部13c先端においてイオン化され、偏向器11の表面に所定の圧力/流量で噴出される。
【0051】
偏向器11のクリーニング中、偏向器11の表面に所定風速のイオン化された圧縮空気が略均一に噴出されるように、選択されたノズル部13cから噴出される圧縮空気の圧力/流量が制御される。なお、選択される複数のノズル部13cは、互いに隣接する複数のノズル部13cからイオン化された圧縮空気が同時に噴出されることがないように、電磁弁によりON/OFFが切換えられる。これは、噴出されるイオンが相殺されることを抑制するためである。
【0052】
また、偏向器11のクリーニング中、風速計28により常にダウンフローの風速をモニタすることが好ましい。選択されるノズル部13cの位置、イオン化された圧縮空気の圧力/流量が変動しても、ダウンフローの風速が一定になるように、ブロア14bからの排気量をブロア制御部26やバタフライバルブ24により適宜制御することにより、ダウンフローを安定させることができる。
【0053】
また、クリーニング中には、パーティクルカウンター15aにより常にパーティクル数をモニタすることが好ましい。パーティクル数の変動を把握できるとともに、より効率的にパーティクルを除去するよう、クリーニングプログラム(レシピ)にフィードバックさせることもできる。さらに、パーティクル捕集装置15bによりパーティクルを捕集することが好ましい。パーティクル源の特定を図ることができる。
【0054】
パーティクルカウンター15a、パーティクル捕集装置15b、及び風速計28は、偏向器11のクリーニング中には、移動機構18により回転される複数の支柱19と接触しないように、チャンバー本体12の側面近傍に配置される。
【0055】
一連の偏向器11のクリーニング動作が実行されると、パーティクルカウンター15aを用いて、偏向器11のクリーニングが終了したか否かを判断する。 まず、パーティクル量をより高精度で測定するために、パーティクルカウンターコントローラー27によりパーティクルカウンター15aをチャンバー本体12aの中央に移動させ(S105)、パーティクル量を検出する(S106)。
【0056】
パーティクル量が閾値以上(例えば1以上)であると(S107においてNo)、偏向器11のクリーニングが終了していない、と判断され、偏向器用クリーニング装置10は、再度クリーニング動作を行う。
【0057】
再度実行されるクリーンニング動作は、例えば、先に選択されたクリーニングプログラム(レシピ)に従ってもよい。また、クリーニング動作中に検出されるパーティクル量の変化の傾向(履歴)に基づき変更されたクリーニングプログラム(レシピ)に従ってもよい。
【0058】
例えば、主に第1のノズル部13c−1からイオン化された圧縮空気が噴出されているときに、検出されるパーティクル量がそれまでと比較して増大した場合、偏向器11の上面に多くのパーティクルが付着していることがわかる。この場合、再度実行されるクリーニング動作は、第1のノズル部13c−1からイオン化された圧縮空気が噴出される動作を主とするクリーニングプログラム(レシピ)に変更することにより、効果的にクリーニングを行うことができる。
【0059】
パーティクル量の検出の結果、パーティクル量が閾値未満(例えば0)となると(S107においてYes)、偏向器11のクリーニングが終了したと判断される。ファン14a、ブロア14bチャンバー12内のダウンフローを停止させ(S108)た後、チャンバー12の蓋体12bを開け、アダプター20に固定された偏向器11を取り出す(S109)。
【0060】
このようにして偏向器11が自動的にクリーニングされる。
【0061】
以上に説明したように、本実施態様に係る偏向器用クリーニング装置および偏向器のクリーニング方法によれば、偏向器11のクリーニング動作がクリーニングプログラムにしたがって自動的に実行されるため、クリーニング品質のばらつきが抑制され、クリーニング品質の均一化を図ることができる。
【0062】
また、設置された所定の位置においてパーティクルカウンター15aに、偏向器11から剥がれたパーティクルの量を検出させることができるため、パーティクルの検出精度を向上させることができ、これによっても、クリーニング品質の均一化を図ることができる。
【0063】
さらに、従来は、一つのイオナイザーのノズル部を用いて偏向器をクリーニングしていたのに対して、複数のノズル部13cを同時に使用して偏向器11をクリーニングするため、偏向器11のクリーニング時間を短縮することもできる。例えば従来は、一回の偏向器11のクリーニング作業に5時間程度を要していたが、例えば6箇所のノズル部13cを同時に使用して偏向器11をクリーニングする場合、偏向器11のクリーニング作業を従来の1/6程度に短縮することができる。
【0064】
さらにクリーニング動作を自動化することにより、偏向器11の細部まで正確にクリーニングすることができ、クリーニング品質が向上する。この結果、偏向器11の組み立て時間を短縮することもできる。
【0065】
すなわち、偏向器11は清浄であることが要求されるため、従来は、偏向器11の組み立て工程に要する時間のうち、1/3程度をクリーニング作業に費やしていた。これに対して本実施態様に係る偏向器用クリーンング装置10および偏向器11のクレーニング方法によれば、クリーニング品質が向上するため、偏向器11の組み立て工程の最後にのみ偏向器11をクリーニングすれば十分であり、クリーニング作業に費やされていた時間を短縮することもできる。
【0066】
さらに、クリーニング動作を自動化することにより、例えば夜間、休日等を含む常時、偏向器11をクリーニングすることができる。したがって、偏向器11の製造コスト、および偏向器11が組み込まれる荷電ビーム描画装置の製造コストを抑制することもできる。
【0067】
以上に、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0068】
10・・・偏向器用クリーニング装置
11・・・偏向器
12・・・チャンバー
12a・・・チャンバー本体
12b・・・蓋体
13・・・イオナイザー
13a・・・イオナイザー本体
13b・・・配管
13c、13c−1、13c−2、13c−3・・・ノズル部
14・・・気流制御機構
14a・・・ファン
14b・・・ブロア
15・・・パーティクル検出装置
15a・・・パーティクルカウンター
15b・・・パーティクル捕集装置
16・・・架台
17・・・取っ手
18・・・移動機構
19・・・支柱
20・・・アダプター
21・・・ねじ
22・・・貫通孔
23・・・フィルタ
24・・・手動バタフライバルブ
25・・・排出口
26・・・ブロア制御部
27・・・パーティクルカウンターコントローラー
28・・・風速計
29・・・風速計コントローラー
30・・・各種電源
31・・・PC(制御部)
32・・・ラック
図1
図2
図3
図4