(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
外周に結晶方位を示すマークを有する円板状のウエーハより狭い面積の吸引保持面でウエーハの中央を吸引保持する保持テーブルと、該保持テーブルの中心を軸に高速と低速の少なくとも2段階の速度で回転させる回転手段と、該回転手段で回転される該保持テーブルの回転角度を指定する角度指定部と、該回転手段で回転される該保持テーブルの回転角度を検出する角度検出部と、該回転手段で該保持テーブルを回転させウエーハの外周を撮像する撮像手段と、該角度検出部で検出される回転角度で該撮像手段が撮像したウエーハの外周の指定した位置の座標を記憶する座標記憶部と、該保持テーブルが吸引保持するウエーハの吸引保持位置を変更する吸引保持位置変更手段と、を備える加工装置を用いたウエーハのマーク検出方法であって、
該角度指定部が指定した角度で該保持テーブルを該回転手段で高速でインデックス回転させて、該撮像手段がウエーハの外周を撮像する少なくとも3箇所のウエーハの外周の座標を該座標記憶部が記憶する外周座標記憶工程と、
該外周座標記憶工程で記憶した少なくとも3箇所の座標を用いてウエーハの中心を算出する中心算出工程と、
該中心算出工程で算出されたウエーハの中心と予め記憶する該保持テーブルの中心とを、該吸引保持位置変更手段を使用して一致させるウエーハ芯出し工程と、
該ウエーハ芯出し工程で芯出しされたウエーハを吸引保持する該保持テーブルを、該撮像手段で撮像する撮像画像においてウエーハの外周が撮像される限定されたピクセルを用いて、該回転手段で該外周記憶工程より低速で連続回転させてウエーハの外周を全周撮像して該マークが位置する角度を検出するマーク検出工程と、
によるマーク検出方法。
該中心算出工程は、該角度指定部で指定した角度で該保持テーブルをインデックス回転させて該撮像手段でウエーハの外周を3箇所撮像した撮像画像からウエーハの中心座標を算出する第1の算出工程と、
一度用いた該3箇所の撮像画像の中から少なくとも1箇所を、異なる撮像画像と入れ替えて、一度用いた該3箇所の撮像画像とは異なる組み合わせの3箇所の撮像画像でウエーハの中心座標を算出する第2の算出工程と、
該第1の算出工程で算出した中心座標と該第2の算出工程で算出した中心座標と比較して、2つの算出された中心座標が一致した時に中心座標が算出されたと判断する判断工程と、
該判断工程において中心座標を算出されたと判断するまで、該第2の算出工程を繰返し実行させ少なくとも4つの撮像画像を用いてウエーハの中心を算出させる請求項1記載のマーク検出方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本実施の形態に係るマーク検出方法に用いられるマーク検出装置について説明する。
図1は、本実施の形態に係るマーク検出装置の斜視図である。なお、本実施の形態に係るマーク検出装置は、
図1に示す構成に限定されず、適宜変更が可能である。
【0013】
図1に示すように、マーク検出装置1は、ウエーハWを保持した保持テーブル5を回転させながら、撮像手段7でウエーハWの外周を撮像するように構成されている。この場合、マーク検出装置1は、保持テーブル5を高速でインデックス回転(間欠回転)させてウエーハWの外周の数箇所を撮像して、保持テーブル5に対するウエーハWの芯出し(中心位置合わせ)を実施している。さらに、マーク検出装置1は、保持テーブル5を低速で回転させてウエーハWの外周の全周を撮像して、ウエーハWの結晶方位を示すマークとしてノッチNを検出している。
【0014】
なお、本実施の形態では、結晶方位を示すマークとして、ウエーハWの外周に形成されたノッチNが検出されるが、この構成に限定されない。結晶方位を示すマークは、ウエーハWの外周に形成されていればよく、例えば、ウエーハWの外周を直線状に切り欠いたオリエンテーションフラットでもよい。また、ウエーハWは、シリコン、ガリウム砒素等の半導体ウエーハでもよいし、セラミック、ガラス、サファイア系の光デバイスウエーハでもよい。また、マーク検出装置1は、研削装置、切削装置等の加工装置に搭載されてもよいし、マーク検出専用の装置として使用されてもよい。
【0015】
マーク検出装置1の固定基台2上には、保持テーブル5上のウエーハWをX軸方向に移動する移動手段3が設けられている。移動手段3は、固定基台2上に配置されたX軸方向に平行な一対のガイドレール11と、一対のガイドレール11にスライド可能に設置されたモータ駆動の移動基台12が設けられている。移動基台12の背面側には、不図示のナット部が形成され、このナット部にボールねじ13が螺合されている。ボールねじ13の一端部には駆動モータ14が連結されており、駆動モータ14によりボールねじ13が回転駆動されることで、移動基台2がガイドレール11に沿って移動される。
【0016】
保持テーブル5は、ウエーハWよりも小径な円板状に形成されており、移動基台12に対して回転可能に支持されている。移動基台12内には、モータ等で構成された回転手段4が収容されており、保持テーブル5はロータリージョイント15を介して回転手段4に接続されている。回転手段4は、保持テーブル5の回転速度を2段階で切り替え可能であり、高速でインデックス回転させる他、低速で連続的に回転させることが可能になっている。保持テーブル5の上面17はウエーハWよりも狭い面積の吸引保持面になっており、上面17の中心にはウエーハWの中央を吸引する吸引孔18が形成されている。吸引孔18は、移動基台12内のロータリージョイント15を介して吸引源19に接続されている。
【0017】
移動基台12の側方には一対の支持プレート21が配置されており、各支持プレート21上にはシリンダ等の昇降手段22が設置されている。各昇降手段22上には、保持テーブル5の周囲において、保持テーブル5の上面17に接しない(上面からはみ出した)ウエーハWの外周エリアが載置される一対の載置テーブル23が昇降可能に支持されている。一対の載置テーブル23の下降によって一対の載置テーブル23から保持テーブル5にウエーハWが受け渡され、一対の載置テーブル23の上昇によって保持テーブル5から一対の載置テーブル23にウエーハWが受け渡されるように構成されている。
【0018】
マーク検出装置1では、これら移動手段3、載置テーブル23、昇降手段22により、保持テーブル5上のウエーハWの吸引保持位置を変更する吸引保持位置変更手段6が構成されている。吸引保持位置変更手段6により、保持テーブル5から一対の載置テーブル23にウエーハWが置き換えられた状態で、保持テーブル5の中心に対するウエーハWの中心のズレが修正される。そして、一対の載置テーブル23から保持テーブル5にウエーハWが再び置き換えられることで、保持テーブル5の中心に対してウエーハWの中心が一致されて、ウエーハWの芯出しが実施される。
【0019】
保持テーブル5の上方には、ウエーハWの外周を撮像する撮像手段7が設けられている。撮像手段7は、ウエーハWの芯出し時には、保持テーブル5を高速でインデックス回転させながら、ウエーハWの外周を少なくとも3箇所撮像する。また、撮像手段7は、ウエーハWの芯出し後のノッチNの検出時には、保持テーブル5を低速で連続的に1回転させている間に、ウエーハWの外周を全周にわたって撮像する。撮像手段7は後述する制御部8に接続されており、芯出し時及びノッチNの検出時のそれぞれにおいて、撮像手段7から制御部8にウエーハWの外周の撮像画像が出力される。
【0020】
また、制御部8には、回転手段4で回転される保持テーブル5の回転角度を指定する角度指定部26と、回転手段4によって回転される保持テーブル5の回転角度を検出する角度検出部27とが接続されている。芯出し動作時には、角度指定部26で指定された回転角度で保持テーブル5がインデックス回転され、角度検出部27で検出された回転角度でウエーハWの外周が撮像される。なお、角度指定部26は、少なくとも3箇所でウエーハWの外周が撮像されればよく、等間隔の回転角度が指定されてもよいし、異なる間隔の回転角度が指定されてもよい。
【0021】
制御部8は、撮像手段7、角度指定部26、角度検出部27からの入力に基づいて装置各部を統括制御しており、マーク検出方法の各工程を実行するプロセッサやメモリ等により構成される。メモリは、用途に応じてROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の一つ又は複数の記憶媒体で構成される。メモリには、撮像手段7で撮像されたウエーハWの外周の指定した位置の座標を記憶する座標記憶部28が設けられている。また、メモリには、ウエーハWの芯出し用のプログラム、ウエーハWのノッチ検出用のプログラム等が記憶されている。
【0022】
図2から
図4を参照して、本実施の形態に係るマーク検出方法について、第1、第2の比較例と比べつつ説明する。
図2は、本実施の形態に係るマーク検出方法の説明図である。
図3は、第1の比較例に係るマーク検出方法の説明図である。
図4は、第2の比較例に係るマーク検出方法の説明図である。第1の比較例に係るマーク検出方法は、光センサを用いた点で本実施の形態に係るマーク検出方法と異なり、第2の比較例に係るマーク検出方法は、ウエーハの中心のズレ量とマークを同時に検出する点で本実施の形態に係るマーク検出方法と異なっている。よって、第1、第2の比較例については主に相違点について説明する。
【0023】
先ず本実施の形態に係るマーク検出方法について説明する。本実施の形態では、ウエーハWの中心が算出されて芯出しが実施された後に、ウエーハWの外周からノッチNが検出される。
図2Aに示すように、撮像手段7(
図1)の撮像エリアA1がウエーハWの外周に位置付けられ、撮像エリアA1で撮像された撮像画像を用いてウエーハWの芯出し及びノッチNの検出が実施される。ウエーハWの芯出し前の中心算出時には、撮像手段7の撮像エリアA1にウエーハWの中心を通る直線状のエリアA11が設定されている。以下、保持テーブル5に対してウエーハWが位置ズレした状態を例示して説明する。
【0024】
図2Bに示すように、保持テーブル5に対してウエーハWが位置ズレした状態で外周座標記憶工程が実施される。外周座標記憶工程では、角度指定部26(
図1参照)で指定された角度で保持テーブル5が高速でインデックス回転される。そして、撮像手段7によってウエーハWの外周の少なくとも3箇所が撮像され、撮像画像内のウエーハWの外周の3点の座標P1−P3が座標記憶部28(
図1参照)に記憶される。この場合、直線状の撮像エリアA11とウエーハWの外周の交点の座標が座標記憶部28に記憶される。
【0025】
図2Cに示すように、中心算出工程が実施される。中心算出工程では、ウエーハWの外周の3点の座標P1−P3を用いてウエーハWの中心O1が算出される。例えば、ウエーハWの外周の2点の座標を結ぶ各弦の垂直二等分線の交点からウエーハWの中心O1が算出される。次に、ウエーハ芯出し工程が実施される。ウエーハ芯出し工程では、吸引保持位置変更手段6(
図1参照)によってウエーハWの中心O1と予め記憶された保持テーブル5の中心O2とが一致される。この場合、保持テーブル5の中心O2に対するウエーハWの中心O1の位置ズレ方向及び位置ズレ量が求められ、位置ズレ方向及び位置ズレ量に基づいて吸引保持位置変更手段6が制御される。なお、ウエーハ芯出し工程の詳細については後述する。
【0026】
図2Dに示すように、マーク検出工程が実施される。マーク検出工程では、保持テーブル5に対してウエーハWが芯出しされた状態で保持テーブル5が低速で1回転される。そして、ウエーハWの外周が全周にわたって撮像され、ウエーハWのノッチNが位置する角度が検出される。この場合、保持テーブル5の回転時のウエーハWの外周のブレが小さいため、撮像画像においてウエーハWの外周が撮像される限定されたピクセル、すなわち撮像エリアA1の一部のエリアA12を用いてウエーハWの外周が撮像される。よって、撮像手段7の撮像エリアA12を最小限に抑えることができ、画素数を増やしてもデータ容量が大きくなり過ぎることがない。
【0027】
このように、本実施の形態に係るマーク検出方法は、保持テーブル5が高速でインデックス回転されるため、保持テーブル5に対するウエーハWの芯出しが短時間で実施される。また、マーク検出時の撮像エリアA12が最小限に抑えられているため、撮像画像の画素数を増やしても撮像画像のデータ容量が大きくなり過ぎることがない。マーク検出時の保持テーブル5はインデックス回転時よりも低速になるが、撮像画像のデータの読み込み時間が短くなる分だけ保持テーブル5の回転を速めることができる。よって、短時間で精度よくウエーハWの外周からノッチNを検出することができる。
【0028】
次に第1の比較例に係るマーク検出方法について説明する。第1の比較例では、ウエーハWの中心が算出されて芯出しが実施された後に、ウエーハWの外周からノッチNが検出される。第1の比較例では、撮像手段7の代わりに光センサが用いられる点で本実施の形態と異なっている。
図3Aに示すように、光センサの認識エリアA2がウエーハWの外周に位置付けられ、認識エリアA2における受光量の変化からウエーハWの外周のノッチNが検出される。以下、保持テーブル5に対してウエーハWが位置ズレした状態を例示して説明する。
【0029】
図3Bに示すように、保持テーブル5に対してウエーハWが位置ズレした状態で、ウエーハWの中心位置が算出される。この場合、
図3Cに示すように、保持テーブル5が一方向に回転されて、光センサの認識エリアA2からウエーハWが外れたときの回転角度が記憶される。次に、保持テーブル5が逆方向に回転されて、光センサの認識エリアA2からウエーハWが外れたときの回転角度が記憶される。これら回転角度とウエーハWの外形寸法に基づいてウエーハWの中心O1が算出され、保持テーブル5に対するウエーハWの位置ズレ方向及び位置ズレ量が求められる。そして、保持テーブル5の中心O2にウエーハWの中心O1が一致するようにウエーハWの芯出しが実施される。
【0030】
図3Dに示すように、保持テーブル5に対するウエーハWの位置ズレが修正されると、ウエーハWの外周の全周が光センサの認識エリアA2を通るように保持テーブル5が低速で1回転される。これにより、光センサの受光量の変化に基づいて、ウエーハWの外周においてノッチNが位置する角度が検出される。第1の比較例では、本実施の形態と同様に、中心算出工程、ウエーハ芯出し工程、マーク検出工程が実施されるが、光センサでウエーハWの外周形状を認識するため保持テーブル5の回転を速くすることができない。特に、インデックス回転を行うことができず、芯出しに時間がかかってしまう。このように、第1の比較例に係るマーク検出方法は、本実施の形態と比較してウエーハWの外周からノッチNを検出するのが遅くなっている。
【0031】
次に第2の比較例に係るマーク検出方法について説明する。第2の比較例では、本実施の形態と同様に撮像手段7が用いられるが、ウエーハWの中心のズレ量とノッチNが同時に検出される点で本実施の形態と異なっている。
図4Aに示すように、撮像手段7の撮像エリアA3がウエーハWの外周に位置付けられ、撮像エリアA3で撮像された撮像画像を用いてウエーハWの外周のノッチNが検出される。第2の比較例では、芯出しを行わずにウエーハWのノッチNが検出されるため、保持テーブル5の回転時のウエーハWの外周のブレを考慮して撮像エリアA3が広く設定されている。以下、保持テーブル5に対してウエーハWが位置ズレした状態を例示して説明する。
【0032】
図4Bに示すように、保持テーブル5に対してウエーハWが位置ズレした状態で、保持テーブル5が低速で1回転されてウエーハWの外周の全周が撮像される。そして、
図4Cに示すように、撮像画像に基づいてウエーハWの中心O1が算出され、保持テーブル5の中心O2に対するウエーハWの中心O1の位置ズレ方向及び位置ズレ量が求められる。同時に、撮像画像に基づいてウエーハWの外周のノッチNも検出される。ウエーハWの全周が撮像エリアA3全体で撮像されているため、本実施の形態に係るマーク検出方法と比較して、撮像画像のデータ容量が大きくなっている。
【0033】
このため、データの読み込みの速度に合わせて、保持テーブル5の回転を遅くしなければならない。また、撮像エリアA3が広く設定されるため、画素が粗くなって十分な検出精度が得られない。この場合、画素数を大きくすることで検出精度を向上させることが可能であるが、データ容量がさらに大きくなってノッチNの検出に長い時間がかかってしまう。特に、近年では450mmの大口径サイズのウエーハWが開発されており、このような大口径サイズのウエーハWでは、ノッチNの検出時間がさらに遅くなることが想定される。このように、第2の比較例に係るマーク検出方法は、本実施の形態と比較してウエーハWの外周からノッチNを検出するのが遅くなっている。
【0034】
以上のように、本実施の形態に係るマーク検出方法は、第1、第2の比較例よりも短時間で精度よくノッチNを検出することが可能になっている。ところで、本実施の形態に係る中心算出工程は、1回の算出処理でウエーハWの中心が算出されている。しかしながら、1回目の算出処理で用いられる3箇所の撮像画像のうち、1箇所の撮像画像にノッチNが撮像されると、ウエーハWの中心を精度よく算出することができない場合がある。そこで、算出処理を複数回繰り返してウエーハWの中心を算出することで、算出精度を高めるようにしてもよい。
【0035】
この場合、ウエーハWの外周の3箇所の撮像画像からウエーハWの中心座標を算出する第1の算出工程が実施される。第1の算出工程では、角度指定部26(
図1参照)で指定した角度で保持テーブル5がインデックス回転されて、ウエーハWの外周の3箇所が撮像される。次に、第1の算出工程とは異なる3箇所の撮像画像でウエーハWの中心座標を算出する第2の算出工程が実施される。第2の算出工程では、第1の算出工程の3箇所の撮像画像の中から少なくとも1箇所を異なる画像に入れ替えて、第1の算出工程とは異なる組み合わせの撮像画像が用いられる。
【0036】
次に、第1、第2の算出工程で算出された中心座標が比較されて、この2つの中心座標が一致した時に、中心座標が算出されたと判断する判断工程が実施される。判断工程では、第1、第2の算出工程で算出された中心座標が一致しない場合には、いずれかの撮像画像にノッチNが含まれているとして、ウエーハWの中心座標が算出されていないと判断される。そして、判断工程において中心座標が算出されたと判断されるまで第2の算出工程が繰り返し実行される。このように、ノッチNが撮像されることを考慮して、少なくとも4つの撮像画像を用いてウエーハWの中心が算出される。
【0037】
なお、判断工程における中心座標の一致とは、完全に一致している場合に限定されない。第1、第2の算出工程で算出された中心座標が、所定の許容範囲に収まる程度に位置ズレしていてもよい。この場合、芯出し後の保持テーブル5の回転時に、ウエーハWの外周のブレが最小限の撮像領域に収まる程度に許容範囲が設定されていることが好ましい。
【0038】
以下、
図5を参照して、算出処理を繰り返してウエーハの中心を算出する中心算出工程について具体的に説明する。
図5Aに示す1回目の算出処理では、保持テーブル5が等角度でインデックス回転されて、撮像手段7(
図1参照)によってウエーハWの外周の3箇所が撮像される。この場合、3箇所の撮像画像からウエーハWの外周の3点の座標P11−P13を検出する際に、1点目の座標としてノッチNが検出されている。そして、ウエーハWの外周の2点の座標を結ぶ各弦の垂直二等分線の交点からウエーハWの中心座標O11が算出される。このとき、1点目の座標としてノッチNが検出されているため、ウエーハWの中心座標O11には誤差が含まれている。
【0039】
図5Bに示す2回目の算出処理では、1回目の算出処理の保持テーブル5の初期状態から所定角度だけずらした上で、保持テーブル5が等角度でインデックス回転される。このため、撮像手段7によって第1の算出処理とは異なる3箇所の撮像画像が撮像され、3箇所の撮像画像からウエーハWの外周の3点の座標P21−P23が検出される。1回目の算出処理とは異なる座標を検出されるため、ウエーハWの外周の座標としてノッチNが検出されることがなく、ウエーハWの中心座標O12が精度よく算出される。1回目の算出処理の中心座標O11が誤差を含むため、2回目の算出処理の中心座標O12に一致しない。よって、この時点でウエーハWの中心座標が算出されたと判断されることがなく、続けて3回目の算出処理が実施される。
【0040】
図5Cに示す3回目の算出処理では、2回目の算出処理の保持テーブル5の初期状態からさらに所定角度だけずらした上で、保持テーブル5が等角度でインデックス回転される。このため、撮像手段7によって第1、第2の算出処理とは異なる3箇所の撮像画像が撮像され、3箇所の撮像画像からウエーハWの外周の3点の座標P31−P33が検出される。1回目の算出処理とは異なる座標を検出されるため、ウエーハWの外周の座標としてノッチNが検出されることがなく、ウエーハWの中心座標O13が精度よく算出される。3回目の算出処理の中心座標O13が2回目の算出処理の中心座標O12に一致するため、この座標がウエーハWの中心座標として検出される。
【0041】
続いて、
図6を参照して、本実施の形態に係るウエーハ芯出し工程について説明する。
図6は、本実施の形態に係るウエーハ芯出し工程の一例を示す図である。
【0042】
図6A及び
図6Bに示すように、中心算出工程によってウエーハWの中心座標O1が算出されるとウエーハ芯出し工程が実施される。ウエーハ芯出し工程の初期状態では、保持テーブル5の中心座標O2に対してウエーハWの中心座標O1が位置ズレした状態で、保持テーブル5にウエーハWが保持されている。この状態では、保持テーブル5の上面17よりも一対の載置テーブル23の上面24が低い位置に位置付けられており、ウエーハWが一対の載置テーブル23から離間されている。そして、保持テーブル5がZ軸回りに所定角度だけ回転して、ウエーハWの中心座標O1が保持テーブル5の中心座標O2を通るX軸線上に位置付けられる。
【0043】
次に、
図6Cに示すように、一対の載置テーブル23が上昇されて、保持テーブル5の上面17よりも一対の載置テーブル23の上面24が高く位置付けられる。これにより、ウエーハWが保持テーブル5から一対の載置テーブル23に置き換えられて、一対の載置テーブル23にウエーハWが載置される(載置工程)。次に、
図6Dに示すように、保持テーブル5の中心座標O2がウエーハWの中心座標O1に一致するように、位置ズレ量分だけ保持テーブル5がX軸方向に移動される(移動工程)。
【0044】
次に、
図6Eに示すように、一対の載置テーブル23が下降されて、保持テーブル5の上面17よりも一対の載置テーブル23の上面24が低く位置付けられる。これにより、ウエーハWが一対の載置テーブル23から保持テーブル5に置き換えられて、保持テーブル5にウエーハWが吸引保持される(吸引保持工程)。このようにして、ウエーハWの中心と保持テーブル5の中心とが一致されて、ウエーハWの芯出しが実施される。
【0045】
以上のように、本実施の形態に係るマーク検出方法では、保持テーブル5が高速でインデックス回転され、撮像手段7によってウエーハWの外周が撮像されて、ウエーハWの外周から少なくとも3箇所の座標が取得される。そして、少なくとも3箇所の座標からウエーハWの中心が算出され、保持テーブル5の中心にウエーハWの中心が一致するように芯出しされる。このウエーハWの芯出しによって、保持テーブル5の回転時のウエーハWの外周のブレが小さくなり、ウエーハWの全周を撮像してウエーハWの外周のノッチNを検出する際に、撮像手段7の撮像領域を最小限に抑えることができる。このように、保持テーブル5がインデックス回転されるため、保持テーブル5に対するウエーハWの芯出しが高速化される。また、ウエーハWの外周のノッチNの検出時の撮像領域が最小限に抑えられているため、画素数を増やしてもデータ容量が大きくなり過ぎることがない。よって、データの読み込みを速くして、保持テーブル5の回転を速めて短時間でノッチNを精度よく検出することができる。
【0046】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0047】
例えば、本実施の形態の外周座標記憶工程では、直線状の撮像エリアA11とウエーハWの外周の交点の座標が座標記憶部28に記憶される構成としたが、この構成に限定されない。座標記憶部28は、撮像画像内のウエーハWの外周の指定した位置の座標が記憶されればよく、撮像画像内のウエーハWの外周であれば、どの位置の座標が記憶されてもよい。
【0048】
また、本実施の形態の中心算出工程では、ウエーハWの外周の3点の座標からウエーハWの中心を算出する構成としたが、4点以上の座標からウエーハWの中心を算出してもよい。また、ウエーハWの外周の2点を結ぶ各弦の垂直二等分線の交点からウエーハWの中心が算出されたが、この構成に限定されない。ウエーハWの中心は、3点の座標の法線の交点からウエーハWの中心が算出されてもよい。
【0049】
また、本実施の形態のウエーハ芯出し工程では、昇降手段22が保持テーブル5に対して一対の載置テーブル23を上下動させるシリンダで構成されたが、この構成に限定されない。昇降手段22は、載置テーブル23と保持テーブル5とを相対的に上下動させる構成であればよく、例えば、一対の載置テーブル23に対して保持テーブル5を昇降させる構成でもよい。