(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記混雑情報取得部は、前記出発地点から前記目的地点への複数の経路のうち少なくとも1つの経路の混雑情報である混雑度を取得し、前記サービス選択部は、当該混雑度に応じた効果度に対応する種類のサービスを選択することを特徴とする請求項1記載の経路混雑緩和装置。
前記サービス選択部は、前記効果度に対応する種類のサービスを、当該効果度を得た経路とは異なる経路にある設置端末により提供すべきサービスとして選択することを特徴とする請求項2記載の経路混雑緩和装置。
前記サービス選択部は、前記出発地点から前記目的地点の間にある複数の経路のそれぞれにつき、当該経路での混雑情報に応じたサービスを選択することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の経路混雑緩和装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、本実施の形態に係る混雑緩和装置による混雑緩和の対象である経路の例を示す図である。
【0012】
競技場STで観戦を終えた一部の人Pは例えば、帰宅すべく駅GLへ移動する。本実施の形態では、競技場ST、すなわち出発地点から駅GL、すなわち目的地点までの経路R1、R2、R3を移動するこれらの人Pの混雑を緩和し、例えば転倒などの事故を防止する。
【0013】
経路R1は、競技場STから駅GLまでを結ぶ経路である。一方、経路R2は、競技場STから駅GLと隣の駅Tの分岐点Cまでを結ぶ経路である。経路R3は、分岐点Cから駅GLまでを結ぶ経路である。混雑緩和の対象でない経路としては、分岐点Cから駅Tまでを結ぶ経路R4と、競技場STから駅Tまでを結ぶ経路R5とがある。
【0014】
なお、人Pには、例えば、競技場STで観戦せず、途中から経路に進入した人も含まれる可能性がある。また、人Pには、駅GLや駅Tまで行かず、途中で経路を外れる人も含まれる可能性がある。
【0015】
競技場STには、カメラS1が設置される。カメラS1は、競技場STから流出する人Pを撮影する。
【0016】
駅GL、駅Tにはそれぞれ、カメラS2、S3が設置される。カメラS2、S3はそれぞれ、駅GL、駅Tを通過する人Pを撮影する。
【0017】
経路R1には、競技場STに近い順に、カメラS11、S12、S13、S14、S15が設置されている。経路R2には、競技場STに近い順に、カメラS21、S22が設置されている。
【0018】
経路R3には、分岐点Cに近い順に、カメラS31、S32が設置されている。経路R4には、カメラS41が設置されている。経路R5には、競技場STに近い順に、カメラS51、S52、S53が設置されている。
【0019】
経路の各カメラは、そのカメラが設置された地点を通過する人Pを撮影する。
【0020】
また、カメラS1、12、S14、S22、S31、S52の地点には、表示画面やスピーカやイヤホンジャックなどの出力手段を有する設置端末Dが設置されている。
【0021】
また、近年では、人Pのほとんどが、表示画面やスピーカやイヤホンジャックなどの出力手段を有する移動端末TM(スマートフォン、タブレットなど)を所持している。
【0022】
本実施の形態では、設置端末Dと移動端末TMを区別せず呼称する場合は、サービス提供装置という。
【0023】
また、図示しないが、経路には、競技場STで行われたサッカー関連の物品を販売するイベント会場や人Pに食事を提供する店舗などがある。
【0024】
図2は、混雑緩和装置の概略構成を示すブロック図である。
【0025】
混雑緩和装置1は、
図1に示す競技場STから駅GLまでの経路の少なくとも一部分を移動する2人以上の人Pによる経路の混雑を緩和するための装置であり、各カメラから画像を通信により取得する画像取得部11と、画像を用いて、混雑の程度を示す混雑情報として混雑度を計算、つまり取得する混雑情報取得部12と、サービス提供装置(D、TM)により提供すべきサービスを混雑情報に基づいて選択するサービス選択部13と、選択されたサービスをサービス提供装置により提供させるサービス提供制御部14とを備える。混雑情報は、混雑度に限らず、例えば、混雑の有無を示す情報でもよい。
【0026】
画像取得部11は、各カメラから画像を取得する。
【0027】
混雑情報取得部12は、例えば、画像から混雑度を計算する。混雑度は、例えば、1分間に移動した人の人数である。例えば、特許4914870号公報、特許5419925号公報、特開2013−156855号公報には、通路を通過する人の画像から人のシルエットを取得し、シルエットから通過する人数を推定する方法が開示されているので、この技術を用いることができる。なお、混雑度は人数としてもよい。
【0028】
図3は、混雑度、最大許容混雑度および最小許容混雑度が記憶される記憶部の一例を示す図である。
【0029】
また、記憶部は、経路R1における同様の最大許容混雑度を予め記憶し、対応づけて、各カメラS11〜S15の画像から計算された混雑度を記憶するエリアを有する。
【0030】
また、記憶部は、駅GLにおける同様の最大許容混雑度、ならびに、例えば駅GLでの許容できる最小の混雑度である最小許容混雑度を予め記憶し、対応づけて、カメラS2の画像から計算された混雑度を記憶するエリアを有する。
【0031】
また、記憶部は、経路R2における同様の最大許容混雑度を予め記憶し、対応づけて、各カメラS21、S22の画像から計算された混雑度を記憶するエリアを有する。
【0032】
また、記憶部は、経路R3における同様の最大許容混雑度を予め記憶し、対応づけて、各カメラS31、S32の画像から計算された混雑度を記憶するエリアを有する。
【0033】
また、記憶部は、経路R4における同様の最大許容混雑度を予め記憶し、対応づけて、各カメラS41の画像から計算された混雑度を記憶するエリアを有する。
【0034】
また、記憶部は、経路R5における同様の最大許容混雑度を予め記憶し、対応づけて、各カメラS51〜S53の画像から計算された混雑度を記憶するエリアを有する。
【0035】
また、記憶部は、駅Tにおける同様の最大許容混雑度、ならびに、最小許容混雑度を予め記憶し、対応づけて、カメラS3の画像から計算された混雑度を記憶するエリアを有する。
【0036】
混雑情報取得部12は、計算した混雑度を、記憶部の対応するエリアに記憶させる。
【0037】
また、混雑情報取得部12は、新たな画像を得たなら、その画像から混雑度を計算し、記憶部の対応するエリアに記憶された混雑度を上書き更新する。
【0038】
図4は、サービス選択部13の動作の一例を示すフローチャートである。
【0039】
サービス選択部13は、まず、記憶部に新たに混雑度が記憶された、または、いずれかの混雑度が書き変わったか否かを判定する(St1)。混雑度が新たに記憶されず、かつ、書き変わってないなら、ステップSt1に戻る。
【0040】
サービス選択部13は、記憶部に新たに混雑度が記憶された、または、いずれかの混雑度が書き変わったなら(St1:YES)、各混雑度につき、対応する最大許容混雑度より高いか否かを判定する(St3)。
【0041】
サービス選択部13は、全ての混雑度が、対応する最大許容混雑度以下なら(St3:NO)、駅GLと駅Tのいずれかの混雑度が、対応する最小許容混雑度より低いか否かを判定する(St5)。駅GLと駅Tのいずれかの混雑度も最小許容混雑度以上なら、ステップSt1に戻る。
【0042】
サービス選択部13は、いずれかの混雑度が、対応する最大許容混雑度より高いなら(St3:YES)、または、駅GLと駅Tのいずれかの混雑度が、対応する最小許容混雑度より低いなら(St5:YES)、各サービス提供装置につき、当該サービス提供装置により提供すべきサービスを選択し(St5)、ステップSt1に戻る。なお、St5では、一部のサービス提供装置によってはサービスを提供しないこととしてもよい。また、サービスは、音声を含んでいてもよい。
【0043】
サービス提供制御部14は、このように選択されたサービスを、対応するサービス提供装置に通知し、例えば、この際にサービスを提供するためのデータを送信する。サービス提供装置は、サービスを提供する。例えば、サービスとして、文字や画像を表示したり、音声を再生する。
【0044】
図4に示すように、サービス選択部13は、混雑度が書きかわるごとにサービスを選択する。すなわち、サービス選択部13は、サービスの選択を繰り返し、提供されるサービスが変わっていく。競技場STから駅GLに向かう人の心理は一定でなく、時々刻々と変化するので、混雑度が書きかわるごとにサービスを選択することで、最適なサービスを提供できる。
【0045】
例えば、あるタイミングでサービスを提供して混雑度が最大許容混雑度以下になったのに、そのサービスを提供したままにして混雑度が最大許容混雑度より高くなっても、サービスを変えれば、混雑度を再び最大許容混雑度以下にすることが可能である。また、例えば、あるタイミングでサービスを提供して混雑度が最大許容混雑度以下にならなくても、次のタイミングでサービスを変え、混雑度を最大許容混雑度以下にすることが可能となる。
【0046】
また、例えば、経路R1での混雑度が600人/分、経路R2での混雑度が700人/分、経路R3での混雑度が300人/分、経路R4での混雑度が200人/分、経路R5での混雑度が300人/分であるとする。いずれも最大許容混雑度以下である。
【0047】
しかし、経路R2にいる700人中600人が経路R3に進むと、経路R3での混雑度が600人/分となり、最大許容混雑度より高くなる。
【0048】
また、経路R2にいる700人中500人が経路R4に進むと、駅Tにて混雑度が最大許容混雑度より高くなる可能性が高い。
【0049】
この場合、経路R2にいる700人中400人を経路R3に進ませ、経路R2にいる700人中300人を経路R4に進ませれば、そのような事態を回避できる。
【0050】
また、駅GLと駅Tの合計の最適な混雑度が1700人/分だとする。また、全経路の合計の混雑度が1600人/分だとする。この場合、1600人/分を適切に制御すれば、駅の合計の混雑度を最適な混雑度と同等にすることができる。
【0051】
例えば、経路R2にいる人に対し、統計的に700人中400人が興味をもつサービスを提供することで経路R3に誘導すれば、結果的に残りの700人中300人を経路R4に誘導できる。
【0052】
また、一定数の人Pの移動端末TMのみにより、駅T近傍の飲食店で利用可能なクーポンを提供させることで、その人Pを経路R4や経路R5に誘導できる。
【0053】
このように、最大許容混雑度が設定されていれば、混雑度をその最大許容混雑度以下にでき、すなわち、混雑を緩和できる。
【0054】
また、駅GLと経路R1の混雑度が最大許容混雑度より高かったとする。
【0055】
この場合、経路R1の混雑度は経路R1にある設置端末Dなどへのサービスの提供により低下できるが、駅GLは、人が通り過ぎるだけなので、その上流の経路R1と経路R2と経路R3の混雑度を低下させることによって駅GLの混雑度を低下できる。
【0056】
一方、駅Tが混雑してないなら、その上流である経路R2と経路R4と経路R5では混雑度を高め、駅Tへの人の流入を促進する。
【0057】
まとめると、駅GL:制限、経路R1:制限、経路R2:変更なし 、経路R3:制限、駅T:促進、経路R4:促進、経路R5:促進となる。ここでは説明の便宜上、制限/変更なし/促進の3段階としているが、混雑の程度によって、制限量のレベルを加えてもよい。
【0058】
図5は、サービス選択部13により選択可能なサービスの第1の例とその作用を示す図である。
【0059】
選択可能なサービスの1つは、競技場STから駅GLまでの間にある施設での割引または優遇に利用できるクーポンである。
【0060】
例えば、あるカメラで撮影した人Pの画像から計算した混雑度が最大許容混雑度より高い場合、カメラより手前にある会場A1で販売されるユニフォームなどのクーポンが選択され、会場A1に向かう人Pの移動端末TMにより提供される。これにより、その人Pが会場A1でユニフォームを購入する可能性が高まり、混雑度を低下させることが可能となる。移動端末TMの位置は、GPS(Global Positioning System)機能などにより得ることができる。
【0061】
なお、クーポンの提供を、同じく興味を引く動画の提供に変えてもよい。また、例えば、駅GLの混雑度が最小許容混雑度より低い場合は、クーポンの提供等を、例えば単なる風景画像の提供に変え、これにより、駅GLに意図的に人を流入させることができる。
【0062】
図6は、サービス選択部13により選択可能なサービスの第2の例とその作用を示す図である。
【0063】
選択可能なサービスの1つは、競技場STから駅GLでの間にある施設で開催予定のイベントの情報である。
【0064】
例えば、あるカメラで撮影した人Pの画像から計算した混雑度が最大許容混雑度より高い場合、カメラより手前にあるイベント会場A2で開催予定のジャグリングショーの情報(サービス)が選択され、イベント会場A2の手前にある設置端末Dにより提供される。
【0065】
図示しないが、イベント会場に向かう人Pの移動端末TMによりサービスを提供させてもよい。
【0066】
これにより、その人Pがイベント会場でジャグリングショーを観覧する可能性が高まり、混雑度を低下させることが可能となる。
【0067】
なお、駅GLの混雑度が最小許容混雑度より低い場合は、ジャグリングショーの情報の提供を、例えば単なる風景画像の提供に変え、これにより、駅GLに意図的に人を流入させることができる。
【0068】
図7は、1つの経路にある複数の設置端末Dによりサービスを提供させることの作用を示す図である。
【0069】
図7(a)に示すように、例えば、カメラS13の手前の設置端末Dによりサービスを提供させても、カメラS15の手前の設置端末Dによりサービスを提供させなければ、カメラS15から得た混雑度は、カメラS13から得た混雑度と同等であると考えられる。
【0070】
しかし、
図7(b)に示すように、カメラS15の手前の設置端末Dによりサービスを提供させれば、カメラS15から得た混雑度を、カメラS13から得た混雑度よりも低くすることが可能性となる。
【0071】
例えば、カメラS15から得た混雑度が最大許容混雑度より高く、カメラS13の手前の設置端末だけによりサービスを提供させても、混雑度が最大許容混雑度以下にならない場合であっても、カメラS15の手前の設置端末Dによりサービスを提供させれば、混雑度を最大許容混雑度以下にすることが可能となる。
【0072】
逆に、カメラS13の手前の設置端末DとカメラS15の手前の設置端末Dによりサービスを提供させ、カメラS15から得た混雑度が低くなりすぎた場合、後者の設置端末Dによりサービスを提供させず、または、別なサービスを提供させることで、混雑度を平均化することが可能となる。
【0073】
図8は、サービス選択部13により選択可能なサービスの第3の例とその作用を示す図である。
【0074】
選択可能なサービスの1つは、人Pに動作を行わせるイベントの情報である。
【0075】
例えば、あるカメラで撮影した人Pの画像から計算した混雑度が最大許容混雑度より高い場合、カメラより手前にあるイベント会場A3で開催されているレアアイテムの応募イベントの情報(サービス)が選択され、イベント会場A3の手前にある設置端末Dにより提供される。
【0076】
図示しないが、イベント会場に向かう人Pの移動端末TMによりサービスを提供させてもよい。
【0077】
レアアイテムの応募イベントは、例えばポスターに表示されたQRコード(登録商標)を移動端末TMなどで読み取り、サーバにアクセスし、氏名などを入力するような、つまり、人Pに動作を行わせるものである。これにより、その人Pがイベント会場でレアアイテムに応募する可能性が高まり、混雑度を低下させることが可能となる。
【0078】
なお、駅GLの混雑度が最小許容混雑度より低い場合は、レアアイテムの応募イベントの情報の提供を、例えば単なる風景画像の提供に変え、これにより、駅GLに意図的に人を流入させることができる。
【0079】
図9は、サービス選択部13により選択可能なサービスの第4の例とその作用を示す図である。
【0080】
選択可能なサービスの1つは、競技場STでのイベントや同種のイベントの情報である。
【0081】
例えば、あるカメラで撮影した人Pの画像から計算した混雑度が最大許容混雑度より高い場合、競技場STで開催された、例えばサッカーの試合のダイジェストシーンや次の試合の予定や別会場で行われているサッカーのパブリックビューイングの映像(サービス)が選択され、カメラの手前にある設置端末Dにより提供される。
【0082】
図示しないが、カメラの地点に向かう人Pの移動端末TMによりサービスを提供させてもよい。
【0083】
これにより、その人Pがダイジェストシーなどを見る可能性が高まり、混雑度を低下させることが可能となる。
【0084】
なお、駅GLの混雑度が最小許容混雑度より低い場合は、ダイジェストシーンの提供を、例えば単なる風景画像の提供に変え、これにより、駅GLに意図的に人を流入させることができる。
【0085】
図11は、サービス選択部13によるサービスの選択の第1の態様とその作用を示す図である。
【0086】
まず、サービス選択部13により選択可能な複数のサービスのそれぞれに対し当該サービスによって混雑度を低下させる効果の高さを示す効果度を対応づけ、例えば、混雑緩和装置1に記憶させておく。
【0087】
例えば、カメラS13の手前の設置端末Dによりサービスを提供させない場合、カメラS13の画像から計算された混雑度(この混雑度は、出発地点から目標地点への複数の経路のうち少なくとも1つの経路の混雑度であればよい。
図12、
図13の説明においても同様である。)が100人/分であり、一方、グルメのサービスとして、近くにある推奨店の情報を提供させたら、混雑度が80人/分になり、一方、サッカーの情報(サービス)を提供させたら、混雑度が50人/分になったとする。つまり、グルメの情報(サービス)だと20%減、サッカーの情報(サービス)だと50%減であるから、それぞれの効果度は、10段階評価で2、5である。
【0088】
また、例えば、その先のカメラS14の画像から計算された混雑度が100人/分であり、これを目標値である90人/分に低下させたい場合、サービス選択部13は、混雑度と目標値の差(10%減)に応じた効果度に対応するサービスを選択する。この場合、効果度2のグルメのサービスなら、20%減、つまり、混雑度を目標値以下にすることが可能と考えられるので、サービス選択部13は、グルメのサービスを選択する。サービス選択部13は、例えばカメラS14より手前にある中華料理店A4で使用可能なクーポンを選択し、カメラS14に向かう人Pの移動端末TMによりクーポン(サービス)が提供される。
【0089】
近くにある推奨店の情報と中華料理店で使用可能なクーポンは、共にグルメのサービスであり、つまり、同種のサービスであるが、厳密には異なるものである。異なるサービスを使用するのは、カメラS14の地点に向かう人は、近くにある推奨店の情報を見ているので、同じサービスを使用しても効果が低いと考えられるからである。
【0090】
なお、60人/分に低下させたい場合、混雑度と目標値の差が40%であるから、この場合、効果度5のサッカーのサービスなら、50%減、つまり、混雑度を目標値以下にすることが可能と考えられるので、サッカーのサービスを選択ればよい。
【0091】
また、
図12に示すように、例えば、カメラS31の画像から計算された混雑度が100人/分であり、これを目標値である90人/分に低下させたい場合、サービス選択部13は、同様に、差(10%減)に応じた効果度に対応するグルメのサービスを選択する。サービスは、カメラS31の手前にある設置端末Dにより提供される。このサービスは、カメラS13の手前の設置端末Dにより提供されたサービスと同じでもよい。なぜなら、カメラS31の手前にある設置端末Dにより提供されるサービスを見る人は、カメラS13の手前の設置端末Dにより提供されたサービスを見ないからである。
【0092】
図13は、サービス選択部13によるサービスの選択の第2の態様とその作用を示す図である。
【0093】
例えば、分岐点Cから分岐する一の経路R3のセンサS32の画像から計算した混雑度が600人/分であり最大許容混雑度である500人/分より高い。
【0094】
サービス選択部13は、この場合、分岐点Cから分岐する他の経路R4に人を移動させるサービス、例えば、経路R4にあるレストランA5での割引または優遇に利用できるクーポンを選択する。クーポンは、分岐点Cに向かう人Pの移動端末TMにより提供される。これにより、人Pは、経路R4に流れ、混雑度を低下させることが可能となる。
【0095】
なお、
図11〜
図13では、効果度が設定された実施例を説明したが、効果度が設定せずにフィードバックを行ってもよい。
【0096】
例えば、クーポン提示後の混雑度が最大許容混雑度以下にならなかったなら、つまり、混雑緩和の効果が期待通りでなかったなら、クーポンの割引率を上げたり、クーポンにさらに優待をつけたり、ダイジェストシーンであればより注目度の高いシーンを提供したりすることで、混雑度を最大許容混雑度以下にする、つまり混雑緩和の効果を期待通りにすることが可能である。 なお、クーポンを移動端末TMにより提供することに代え、以下のようにしてもよい。
【0097】
例えば、
図6の説明の例におけるイベント会場A2や
図8の説明の例におけるイベント会場A3が経路R4にある場合、
図6や
図8の説明の例において設置端末Dにより提供したようなサービスを、例えば、分岐点C手前の設置端末Dにより提供してもよい。
【0098】
以上、混雑緩和装置の一態様を説明したが、混雑度をカメラの画像から得るのでなく、例えば、デプスカメラ(奥行き情報を取得可能なカメラである、例えばレーザーレンジスキャナ、ToF方式カメラ、アクティブステレオ式カメラ(マイクロソフト社から発売されたKinectカメラなど))、地面に埋め込まれた圧力センサの検出結果や、携帯電話の基地局の混雑状況を得て、これらから混雑度を計算してもよい。
【0099】
中村克行、外5名、 、「マルチレーザスキャナを用いた通行人数の自動計測」、2004年、第3回情報科学技術フォーラム(FIT2004)は、床上から約16cmの水平面をスキャンすることで、通行人数を自動計測する技術を開示する。この文献には、以下のような記載がある。
【0100】
それぞれのセンサから得られるレンジデータから,背景差分を用いて動体を抽出する.それぞれのセンサでは,1 スキャンに対応する 361 点の観測角および距離値が時系列で得られる.任意の観測角における距離値が一定の時間,4cm のシステム誤差を超えて変化しなければ,そこは壁や柱などの固定物(背景)であるとみなせる.通行人がいない時間帯にこうした背景を作っておき,計測が開始された後は背景差分を行って動体データのみを処理する.
次に,抽出した動体データから歩行者を認識する.センサの角度分解能は 0.5 °と高いため,通常,歩行者の足首には複数のレーザポイントが当たる.ここでは,半径 10cm 以内に密集しているポイント群をクラスタリングして足首の重心点を求める.これを足候補とする.さらに,クラスタリングされた足候補が通常の歩幅程度(例えば 50cm 以内など)に含まれるものを 2 つ集めてグルーピングする.これを歩行者候補とする.初期フレーム以降は,まずカルマンフィルタを用いて既存軌跡を延長してから,軌跡に属していない足候補をグルーピングする.
その後,連続するフレーム(例えば 3 フレーム以上)で以下の二つの条件を満たすものを同一人物であるとして追跡する:(1) 連続するフレームにおけるステップ候補において,少なくとも 1 つの足候補がオーバーラップしている,(2) オーバーラップしていない足候補の動きベクトルが滑らかに変化する.追跡処理は一瞬の隠れによる通行人の欠測を補うために行う.
また、混雑情報を求めるのに無線LANの技術を利用してもよい。
【0101】
無線LANアクセスポイントを利用した端末位置推定は様々な方法が提案されており一般的になってきている(例えば、新田らによる、「無線LANアクセスポイントを利用した位置推定方法の比較検討」、職業能力開発総合大学校紀要第41A,2012年)。
【0102】
さらに、中野 隆介、外1名、「無線LANアクセスポイントへの検索要求を利用した鉄道車内混雑度推定」、2012年、DEIM Forum 2012は、無線LANアクセスポイントへの要求量に基づいて、電車内の混雑状況を推定することを可能にしている。すなわち、この文献では、アクセスのうち、電車内からのアクセスと電車外からのアクセスを切り分け、どの程度の人数が電車内にいるかを推定している。
【0103】
混雑情報を求めるのに、このような無線LANの技術を利用してもよい。
【0104】
また、混雑情報は、試合の主催者団体などが独自に計算したものを通信などにより取得してもよい。
【0105】
また、混雑はスポーツの試合に限り生じるものでなく、例えば、出発地点が朝の遊園地の入り口、目的地点が遊園地の人気アトラクション会場のような状況や、出発地点が夜の遊園地の人気アトラクション会場、目的地点が遊園地の入り口のような状況でもよい。
【0106】
また、混雑緩和装置1では、混雑度を最大許容混雑度以下にするように動作させ、また、駅については、混雑度を最小許容混雑度以上にするように動作させたが、このような、最大許容混雑度や最小許容混雑度を用いず、例えば、混雑度を画面表示し、これを見たオペレータの判断で、サービス選択部を動作させ、選択されたサービスを提供させてもよい。
【0107】
また、本実施の形態の混雑緩和装置1としてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムは、半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、磁気テープなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録でき、また、インターネットなどの通信網を介して伝送させて、広く流通させることができる。