特許第6217199号(P6217199)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6217199フィルム状ポジ型感光性接着剤組成物、接着シート、接着剤パターン、接着剤層付半導体ウェハ及び半導体装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6217199
(24)【登録日】2017年10月6日
(45)【発行日】2017年10月25日
(54)【発明の名称】フィルム状ポジ型感光性接着剤組成物、接着シート、接着剤パターン、接着剤層付半導体ウェハ及び半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20171016BHJP
   G03F 7/023 20060101ALI20171016BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20171016BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20171016BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20171016BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20171016BHJP
   C09J 7/00 20060101ALI20171016BHJP
   C09J 161/06 20060101ALI20171016BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20171016BHJP
   C09J 133/04 20060101ALI20171016BHJP
   C09J 7/02 20060101ALI20171016BHJP
【FI】
   H01L21/60 311S
   G03F7/023
   G03F7/004 501
   G03F7/004 512
   H01L21/30 502R
   H01L23/30 C
   C09J7/00
   C09J161/06
   C09J11/06
   C09J133/04
   C09J7/02 Z
【請求項の数】8
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2013-146586(P2013-146586)
(22)【出願日】2013年7月12日
(65)【公開番号】特開2015-19006(P2015-19006A)
(43)【公開日】2015年1月29日
【審査請求日】2016年5月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】日立化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】頼 華子
(72)【発明者】
【氏名】松谷 寛
(72)【発明者】
【氏名】谷本 明敏
【審査官】 鈴木 和樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−181976(JP,A)
【文献】 特開2013−134346(JP,A)
【文献】 特開2009−093095(JP,A)
【文献】 特開2009−244663(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
C09J 7/00
C09J 7/02
C09J 11/06
C09J 133/04
C09J 161/06
G03F 7/004
G03F 7/023
H01L 21/027
H01L 23/29
H01L 23/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アルカリ可溶性フェノール樹脂
(B)光によって酸を発生する化合物、及び
(D)アクリル樹脂を含有し、
前記(D)成分が下記一般式(14)
【化1】

(一般式(14)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数2〜20のヒドロキシアルキル基を示す。)
で表される構造単位を有する、
ィルム状ポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記(B)光によって酸を発生する化合物がo−キノンジアジド化合物である、請求項1に記載のフィルム状ポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項3】
(C)熱によりそれ自身あるいは樹脂と架橋する化合物を更に含有する、請求項1又は2に記載のフィルム状ポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記(C)成分が、フェノール性水酸基を有する化合物、ヒドロキシメチルアミノ基を有する化合物及びエポキシ基を有する化合物より選択される少なくとも一種の化合物を含む、請求項3に記載のフィルム状ポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項5】
基材と、該基材上に形成された請求項1〜のいずれか一項に記載のフィルム状ポジ型感光性樹脂組成物と、を備える、接着シート。
【請求項6】
被着体上に積層された請求項1〜のいずれか一項に記載のフィルム状ポジ型感光性樹脂組成物からなる接着剤層を露光し、露光後の前記接着剤層をアルカリ現像液で現像処理することによって得られる、接着剤パターン。
【請求項7】
半導体ウェハと、該半導体ウェハ上に積層された請求項1〜のいずれか一項に記載のフィルム状ポジ型感光性樹脂組成物からなる接着剤層とを備える接着剤層付半導体ウェハ。
【請求項8】
請求項1〜のいずれか一項に記載のフィルム状ポジ型感光性樹脂組成物を用いて、半導体チップ同士が接着された構造、及び/又は、半導体チップと半導体チップ搭載用支持部材とが接着された構造を有する、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム状ポジ型感光性接着剤組成物、接着シート、接着剤パターン、接着剤層付半導体ウェハ及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子部品の高性能化及び高機能化に伴い、種々の形態を有する半導体パッケージが提案されている。半導体パッケージの製造には、半導体チップと半導体チップ搭載用支持部材とを接着するために接着剤が用いられる。
【0003】
半導体パッケージの機能、形態及び組み立てプロセスの簡略化の手法によっては、上述の特性に加えてパターン形成が可能な感光性を兼ね備える接着剤が必要とされる場合がある。感光性とは光を照射した部分が化学的に変化し、水溶液や有機溶剤に不溶化又は可溶化する機能である。この感光性を有する感光性接着剤を用いると、フォトマスクを介して露光、現像処理を行うことにより、高精細な接着剤パターンを形成することが可能となり、形成された接着剤パターンが被着体に対する熱圧着性を有することとなる。
【0004】
感光性の接着剤組成物としては、従来、フォトレジストや、ポリイミド樹脂前駆体(ポリアミド酸)をベースとしたもの(例えば、特許文献1〜3)、及び低ガラス転移温度(Tg)ポリイミド樹脂をベースとしたものが知られている(特許文献4)。また、作業環境及び排水処理等の観点から、アルカリ現像液によるパターン形成が可能なものが主流である。
【0005】
また、近年、半導体実装分野において、半導体チップ同士の接続及び/又は、半導体チップと半導体チップ搭載用支持部材とが複数の導電性バンプを介して接続されるフリップチップ実装方式が注目されている。フリップチップ実装方式では、それぞれの接続部材の熱膨張係数差に基づくストレスにより、導電性バンプを介する基板と半導体チップとの接続異常が生じる場合がある。このため、当該ストレスを緩和することを目的に、接続部材間において、樹脂(アンダーフィル材)を充填することにより導電性バンプを封止する方式が知られている(例えば、特許文献5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−290501号公報
【特許文献2】特開2001−329233号公報
【特許文献3】特開平11−24257号公報
【特許文献4】国際公開第07/004569号
【特許文献5】特許第3999840号公報
【特許文献6】国際公開2011/049011号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
半導体チップ同士の接続及び/又は、半導体チップと半導体チップ搭載用支持部材との接続材料に、ネガ型の感光性接着剤組成物を用いることが検討されている。(例えば、特許文献6)。しかしながら、露光プロセスにおいて光架橋反応を利用するため、半導体チップと半導体チップ搭載用支持部材との接続において流動性が不足する場合があり、その結果、良好な段差埋め込み性を発現できないため、接続がとりにくい場合がある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされてものであり、半導体チップ同士、又は、半導体チップと半導体チップ搭載用支持部材との接続において適切な流動性を発現することができるフィルム状ポジ型感光性接着剤組成物を提供することを目的とする。さらには、良好なパターン形成性及び硬化後の優れた機械特性を実現することができるフィルム状ポジ型感光性接着剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、(A)アルカリ可溶性フェノール樹脂、及び(B)光によって酸を発生する化合物を含有し、半導体チップ同士、又は半導体チップと半導体チップ搭載用支持部材とを接着し、且つ電気的に接続するためのアンダーフィル材として用いられる、フィルム状ポジ型感光性接着剤組成物を提供する。
【0010】
上記構成を有することにより、半導体チップ同士、又は、半導体チップと半導体チップ搭載用支持部材との接続において適切な流動性を発現することによる良好な段差埋め込み性を発現することが出来る。すなわち、界面の空隙(ボイド)を低減することにつながり、さらには接続性を向上させることができるため、本発明の半導体装置の信頼性向上に寄与する。本発明者らは、上記流動性に優れるのは、露光、現像などのパターニングプロセスにおいて、ネガ型の感光性材料に広く用いられている光架橋反応などの高分子量化反応を利用しないことによるものと考えている。
なお、本発明において「アンダーフィル材」とは、半導体チップ同士、又は、半導体チップと半導体チップ搭載用支持部材との接続部を覆うことによって接続部を保護する材料を意味する。
【0011】
(B)光によって酸を発生する化合物はo−キノンジアジド化合物であることが好ましい。これによって、パターン形成性及び保存安定性に優れ、特に、感度、解像度及び酸素阻害の影響を少なくすることができる。
【0012】
また、上記フィルム状ポジ型感光性接着剤組成物は、(C)熱によりそれ自身あるいは樹脂と架橋する化合物を更に含有することが好ましい。これによって、フィルム状ポジ型感光性接着剤組成物の硬化後の機械特性(例えば、せん断接着力)を良好にすることができるため、接続信頼性(例えば、耐リフロ性、耐温度サイクル性)を期待することができる。
【0013】
また、上記(C)成分は、フェノール性水酸基を有する化合物、ヒドロキシメチルアミノ基を有する化合物及びエポキシ基を有する化合物より選択される少なくとも一種の化合物を含むことが好ましい。これによって、現像性、感度及び耐熱性を向上させることができる。また、機械特性(例えば、せん断接着力)を良好にすることができる。
【0014】
また、上記フィルム状ポジ型感光性接着剤組成物は、(D)アクリル樹脂を更に含有することが好ましい。これによって、感度、解像度、密着性、熱衝撃性(高温放置後及び冷熱衝撃試験後での機械特性の変化率が小さいこと)を良好にすることができる。
【0015】
また、本発明は、基材と、該基材上に形成された上記フィルム状ポジ型感光性接着剤組成物と、を備える、接着シートを提供する。これによって、膜厚を調整しやすく、最適な樹脂量を与えることが容易にでき、また平坦性が良好となる。
【0016】
また、本発明は、被着体上に積層された上記フィルム状ポジ型感光性接着剤組成物からなる接着剤層を露光し、露光後の前記接着剤層をアルカリ現像液で現像処理することによって得られる、接着剤パターンを提供する。これによって、半導体チップ同士、又は、半導体チップと半導体チップ搭載用支持部材との接続時に樹脂のかみこみなく、良好な接続を得ることができる。
【0017】
また、本発明は、半導体ウェハと、該半導体ウェハ上に積層された上記フィルム状ポジ型感光性接着剤組成物からなる接着剤層とを備える接着剤層付半導体ウェハを提供する。これによって、半導体チップ同士、又は、半導体チップと半導体チップ搭載用支持部材との接続において適切な流動性を発現することによる良好な段差埋め込み性を発現でき、良好な接続を得ることができる。
【0018】
また、本発明は、上記フィルム状ポジ型感光性接着剤組成物を用いて、半導体チップ同士が接着された構造、及び/又は、半導体チップと半導体チップ搭載用支持部材とが接着された構造を有する、半導体装置を提供する。これによって、半導体チップ同士、又は、半導体チップと半導体チップ搭載用支持部材との接続が良好であり、接続信頼性も良好となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、半導体チップ同士、又は、半導体チップと半導体チップ搭載用支持部材との接続において適切な流動性を発現することができるため、接続性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明のフィルム状接着剤の一実施形態を示す端面図である。
図2】本発明の接着シートの一実施形態を示す端面図である。
図3】本発明の接着シートの一実施形態を示す端面図である。
図4】本発明の接着剤層付半導体ウェハの一実施形態を示す上面図である。
図5図4のIV−IV線に沿った端面図である。
図6】本発明の半導体装置の一実施形態を示す端面図である。
図7】本発明の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す端面図である。
図8】本発明の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す端面図である。
図9】本発明の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す断面図である。
図10】本発明の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す端面図である。
図11】本発明の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す端面図である。
図12】本発明の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また本明細書において「〜」を用いて数値範囲を表わす場合は、その前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を示すものとする。本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及びそれに対応する「メタクリレート」を意味する。「(メタ)アクリル酸」等の他の類似の表現においても同様である。
【0022】
[感光性樹脂組成物]
本発明は、(A)アルカリ可溶性フェノール樹脂、及び(B)光によって酸を発生する化合物を含有し、半導体チップ同士、又は半導体チップと半導体チップ搭載用支持部材とを接着し、且つ電気的に接続するためのアンダーフィル材として用いられる、フィルム状ポジ型感光性接着剤組成物に関する。上記構成を採ることにより、半導体チップ同士、又は、半導体チップと半導体チップ搭載用支持部材との接続において適切な流動性を発現することによる良好な段差埋め込み性を発現することが出来る。すなわち、界面の空隙(ボイド)を低減することにつながり、さらには本発明の半導体装置の信頼性向上に寄与する。本発明者らは、上記流動性に優れるのは、露光、現像などのパターニングプロセスにおいて、ネガ型の感光性材料に広く用いられている光架橋反応などの高分子量化反応を利用しないことによるものと考えている。
まず、フィルム状ポジ型感光性樹脂組成物が含有する各成分について説明する。
【0023】
<(A)成分>
(A)成分はアルカリ可溶性(アルカリ水溶液に可溶)のフェノール樹脂である。ここで、本発明の(A)成分がアルカリ水溶液に可溶であることの1つの基準を以下に説明する。(A)成分単独と任意の溶剤又は(A)成分と、以下に順を追って説明する(B)成分から得られた樹脂溶液を、シリコンウェハ等の基板上にスピン塗布して膜厚5μm程度の樹脂膜を形成する。
これをテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液、金属水酸化物水溶液、有機アミン水溶液のいずれか一つに、20〜25℃において浸漬する。この結果、樹脂膜が均一な溶液として溶解し得るとき、用いた(A)成分はアルカリ水溶液に可溶であると判断する。
【0024】
(A)成分であるアルカリ可溶性樹脂はフェノール樹脂であれば特には制限されず、例えば、ノボラック樹脂、レゾール樹脂、ポリヒドロキシスチレン、ポリヒドロキシアミド(ポリベンゾオキサゾール前駆体)、ポリ(ヒドロキシフェニレン)エーテル、ポリナフトールなどを挙げることができる。中でも、コストの観点や硬化時の体積収縮が小さいことからの観点から、ノボラック樹脂、もしくは下記一般式(1)で表される構造単位を有する樹脂が好ましい。
【化1】

[一般式(1)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数1〜10のアルコキシ基を示し、aは0〜3の整数を示し、bは1〜3の整数を示す。]
(A)アルカリ可溶性樹脂は一般式(1)で表される構造単位を与えるモノマ等を重合させることで得られる。
【0025】
一般式(1)において、Rで表わされる炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基及びデシル基が挙げられる。これらの基は直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。また、炭素数6〜10のアリール基としては、例えば、フェニル基及びナフチル基が挙げられる。炭素数1〜10のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキソキシ基、ヘプトキシ基、オクトキシ基、ノノキシ基及びデコキシ基が挙げられる。これらの基は直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。
【0026】
一般式(1)で表される構造単位を与えるモノマとしては、例えば、p−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、o−ヒドロキシスチレン、p−イソプロペニルフェノール、m−イソプロペニルフェノール及びo−イソプロペニルフェノールが挙げられる。これらのモノマはそれぞれ1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0027】
(A)アルカリ可溶性樹脂を得る方法に特に制限はないが、例えば、一般式(1)で示される構造単位を与えるモノマの水酸基をt−ブチル基、アセチル基等で保護して水酸基が保護されたモノマとし、水酸基が保護されたモノマを重合して重合体を得て、さらに得られた重合体を、公知の方法(酸触媒下で脱保護してヒドロキシスチレン系構造単位に変換すること等)で脱保護することにより得られる。
【0028】
(A)成分は、一般式(1)で表される構造単位を与えるモノマのみからなる重合体又は共重合体であってもよく、一般式(1)で表される構造単位を与えるモノマとそれ以外のモノマとの共重合体であってもよい。(A)成分が共重合体である場合、共重合体中の一般式(1)で示される構造単位の割合は、露光部のアルカリ現像液に対する溶解性の観点から、(A)成分100モル%に対し、10〜100モル%が好ましく、20〜97モル%がより好ましく、30〜95モル%がさらに好ましく、50〜95モル%が特に好ましい。
【0029】
(A)成分は、未露光部のアルカリ現像液に対する溶解阻害性をより向上する観点から、さらに下記一般式(6)で表される構造単位を有するアルカリ可溶性樹脂であってもよい。
【化2】

[一般式(6)中、R10は水素原子又はメチル基を示し、R11は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数1〜10のアルコキシ基を示し、cは0〜3の整数を示す。]
【0030】
11で表わされる炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数1〜10のアルコキシ基としては、それぞれRと同様のものが例示できる。
【0031】
一般式(6)で表される構造単位を有するアルカリ可溶性樹脂は、一般式(6)で表される構造単位を与えるモノマを用いることで得られる。一般式(6)で表される構造単位を与えるモノマとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−メトキシスチレン、m−メトキシスチレン及びp−メトキシスチレン等の芳香族ビニル化合物が挙げられる。これらのモノマはそれぞれ1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0032】
(A)成分が一般式(6)で示される構造単位を有するアルカリ可溶性樹脂である場合、未露光部のアルカリ現像液に対する溶解阻害性及びパターン硬化膜の機械特性の観点から、一般式(6)で示される構造単位の割合は(A)成分100モル%に対し、1〜90モル%が好ましく、3〜80モル%がより好ましく、5〜70モル%がさらに好ましく、5〜50モル%が特に好ましい。
【0033】
また、(A)成分は、さらに下記一般式(7)で表される構造単位を有するアルカリ可溶性樹脂であってもよい。
【化3】

[一般式(7)中、R12は水素原子又はメチル基を示し、R13は炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基を示す。]
【0034】
一般式(7)で表される構造単位を有するアルカリ可溶性樹脂は、一般式(7)で表される構造単位を与えるモノマを用いることで得られる。一般式(7)で表される構造単位を与えるモノマとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシペンチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシヘプチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシノニル及び(メタ)アクリル酸ヒドロキシデシルが挙げられる。これらのモノマはそれぞれ1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0035】
(A)成分が一般式(7)で示される構造単位を有するアルカリ可溶性樹脂である場合、未露光部のアルカリ現像液に対する溶解阻害性及びパターン硬化膜の機械特性の観点から、一般式(7)で示される構造単位の割合は(A)成分100モル%に対し、1〜90モル%が好ましく、3〜80モル%がより好ましく、5〜70モル%がさらに好ましく、5〜50モル%が特に好ましい。
【0036】
(A)成分は、未露光部のアルカリ現像液に対する溶解阻害性及びパターン硬化膜の機械特性の観点から一般式(1)で表される構造単位と一般式(6)で表される構造単位とを有するアルカリ可溶性樹脂、一般式(1)で表される構造単位と一般式(7)で表される構造単位とを有するアルカリ可溶性樹脂、一般式(1)で表される構造単位と一般式(6)で表される構造単位と一般式(7)で表される構造単位を有するアルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。本発明の効果をより発現する観点から、一般式(1)で表される構造単位と一般式(6)又は(7)で表される構造単位とを有するアルカリ可溶性樹脂であることがより好ましい。
【0037】
(A)成分の分子量は、アルカリ水溶液に対する溶解性、感光特性及びパターン硬化膜の機械特性のバランスを考慮すると、重量平均分子量で1000〜500000が好ましく、2000〜200000がより好ましく、2000〜100000であることがさらに好ましい。ここで、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定し、標準ポリスチレン検量線より換算して得られる値である。
【0038】
<(B)成分>
(B)成分である光により(光を受けることにより)酸を生成する化合物は、感光性樹脂組成物において感光剤として機能する。(B)成分は、光照射を受けて酸を生成させ、光照射を受けた部分のアルカリ水溶液への可溶性を増大させる機能を有する。ここで、(B)成分の酸発生を誘起する光照射に用いられる活性光線としては、紫外線、可視光線、放射線などが挙げられる。(B)成分としては、一般に光酸発生剤と称される化合物を用いることができる。(B)成分の具体例としては、o−キノンジアジド化合物、アリールジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩が挙げられる。(B)成分は、これらの化合物のうちの1種のみからなるものであってもよく、また2種以上を含んで構成されるものであってもよい。これらの中で、感度が高いことから、o−キノンジアジド化合物が好ましい。
【0039】
o−キノンジアジド化合物としては、例えば、o−キノンジアジドスルホニルクロリドと、ヒドロキシ化合物及び/又はアミノ化合物等とを脱塩酸剤の存在下で縮合反応させることで得られるものを用いることができる。
【0040】
反応に用いられるo−キノンジアジドスルホニルクロリドとしては、例えば、ベンゾキノン−1,2−ジアジド−4−スルホニルクロリド、ナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホニルクロリド及びナフトキノン−1,2−ジアジド−6−スルホニルクロリドが挙げられる。
【0041】
反応に用いられるヒドロキシ化合物としては、例えば、ヒドロキノン、レゾルシノール、ピロガロール、ビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−[4−{1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル}フェニル]エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,2’,3’−ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,3’,4’,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)プロパン、4b,5,9b,10−テトラヒドロ−1,3,6,8−テトラヒドロキシ−5,10−ジメチルインデノ[2,1−a]インデン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン及びトリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンが挙げられる。
【0042】
反応に用いられるアミノ化合物としては、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン及びビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンが挙げられる。
【0043】
これらの中でも、o−キノンジアジド化合物を合成する際の反応性の観点と、樹脂膜を露光する際に適度な吸収波長範囲である観点から、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−[4−{1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル}フェニル]エタンと1−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロリドとを縮合反応して得られたもの、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン又はトリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンと1−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロリドとを縮合反応して得られたものを用いることが好ましい。
【0044】
反応に用いられる脱塩酸剤としては、例えば、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、トリメチルアミン、トリエチルアミン及びピリジンが挙げられる。また、反応溶媒としては、例えば、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル及びN−メチルピロリドンが用いられる。
【0045】
o−キノンジアジドスルホニルクロリドと、ヒドロキシ化合物及び/又はアミノ化合物との配合は、o−キノンジアジドスルホニルクロリド1モルに対して、ヒドロキシ基とアミノ基とのモル数の合計が0.5〜1モルになるように配合されることが好ましい。脱塩酸剤とo−キノンジアジドスルホニルクロリドの好ましい配合割合は、0.95/1モル〜1/0.95モル当量の範囲である。
【0046】
なお、上述の反応の好ましい反応温度は0〜40℃、好ましい反応時間は1〜10時間である。
【0047】
(B)成分の含有量は、露光部と未露光部の溶解速度差が大きくなり、感度がより良好となる点から、(A)成分100質量部に対して3〜100質量部が好ましく、5〜50質量部がより好ましく、5〜30質量部がさらに好ましく、5〜20質量部とすることが特に好ましい。
【0048】
<(C)成分>
本実施形態のフィルム状ポジ型感光性接着剤組成物は、(C)成分として熱によりそれ自身あるいは樹脂と架橋する化合物を含んでもよい。パターン樹脂膜を加熱して硬化する際に、(A)成分と反応して橋架け構造を形成し得る構造を有する化合物である。これにより、膜の脆さ及び膜の溶融を防ぐことができる。(C)成分としては、例えば、フェノール性水酸基を有する化合物、ヒドロキシメチルアミノ基を有する化合物及びエポキシ基を有する化合物が挙げられる。
【0049】
なお、ここでいう「フェノール性水酸基を有する化合物」には、(A)アルカリ可溶性樹脂は包含されない。熱架橋剤としてのフェノール性水酸基を有する化合物は、熱架橋剤としてだけでなく、アルカリ水溶液で現像する際の露光部の溶解速度を増加させ、感度を向上させることができる。このようなフェノール性水酸基を有する化合物の重量平均分子量は、アルカリ水溶液に対する溶解性、感光特性及び機械特性のバランスを考慮して、2000以下であることが好ましく、94〜2000であることがより好ましく、108〜2000であることがさらに好ましく、108〜1500であることが特に好ましい。
【0050】
フェノール性水酸基を有する化合物としては、従来公知のものを用いることができるが、下記一般式(8)で表される化合物が、露光部の溶解促進効果と感光性樹脂膜の硬化時の溶融を防止する効果のバランスに優れているため、好ましい。
【化4】

[一般式(8)中、Xは単結合又は2価の有機基を示し、R14、R15、R16及びR17はそれぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を示し、s及びtはそれぞれ独立に1〜3の整数を示し、u及びvはそれぞれ独立に0〜3の整数を示す。]
【0051】
一般式(8)において、Xが単結合である化合物は、ビフェノール(ジヒドロキシビフェニル)誘導体である。また、Xで示される2価の有機基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等の炭素数1〜10のアルキレン基、エチリデン基等の炭素数2〜10のアルキリデン基、フェニレン基等の炭素数6〜30のアリーレン基、これらの炭化水素基の水素原子の一部又は全部をフッ素原子等のハロゲン原子で置換した基、スルホニル基、カルボニル基、エーテル結合、チオエーテル結合及びアミド結合が挙げられる。さらに、R14、R15、R16及びR17で示される1価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜10のアルキル基、ビニル基等の炭素数2〜10のアルケニル基、フェニル基等の炭素数6〜30のアリール基及びこれらの炭化水素基の水素原子の一部又は全部をフッ素原子等のハロゲン原子で置換した基が挙げられる。
上記一般式(8)で表わされる化合物としては、例えば、1,1−ビス{3,5−ビス(メトキシメチル)−4−ヒドロキシフェニル}メタン(本州化学工業株式会社製、商品名「TMOM−pp−BPF」)を用いることができる。
【0052】
ヒドロキシメチルアミノ基を有する化合物としては、例えば、(ポリ)(N−ヒドロキシメチル)メラミン、(ポリ)(N−ヒドロキシメチル)グリコールウリル、(ポリ)(N−ヒドロキシメチル)ベンゾグアナミン及び(ポリ)(N−ヒドロキシメチル)尿素等の活性メチロール基の全部又は一部をアルキルエーテル化した含窒素化合物が挙げられる。ここで、アルキルエーテルのアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基が挙げられ、一部自己縮合してなるオリゴマー成分を含有していてもよい。ヒドロキシメチルアミノ基を有する化合物の具体例としては、ヘキサキス(メトキシメチル)メラミン、ヘキサキス(ブトキシメチル)メラミン、テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル、テトラキス(ブトキシメチル)グリコールウリル及びテトラキス(メトキシメチル)尿素が挙げられる。
【0053】
エポキシ基を有する化合物としては、従来公知のものを用いることができる。その具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルアミン、複素環式エポキシ樹脂及びポリアルキレングリコールジグリシジルエーテルが挙げられる。
【0054】
(C)成分としては、上述した化合物以外に、例えば、ビス[3,4−ビス(ヒドロキシメチル)フェニル]エーテル、1,3,5−トリス(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ベンゼン等のヒドロキシメチル基を有する芳香族化合物、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、2,2−ビス[4−(4’−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン等のマレイミド基を有する化合物、ノルボルネン骨格を有する化合物、多官能アクリレート化合物、オキセタニル基を有する化合物、ビニル基を有する化合物及びブロック化イソシアナート化合物を用いることもできる。
【0055】
上述した(C)成分の中で、感度及び耐熱性をより向上できる点から、フェノール性水酸基を有する化合物又はヒドロキシメチルアミノ基を有する化合物を用いることが好ましく、解像度及び塗膜の伸びもより向上できる点から、ヒドロキシメチルアミノ基を有する化合物がより好ましく、ヒドロキシメチルアミノ基の全部又は一部をアルキルエーテル化したアルコキシメチルアミノ基を有する化合物がさらに好ましく、ヒドロキシメチルアミノ基の全部をアルキルエーテル化したアルコキシメチルアミノ基を有する化合物が特に好ましい。
上記ヒドロキシメチルアミノ基の全部をアルキルエーテル化したアルコキシメチルアミノ基を有する化合物の中でも、下記一般式(9)で表される化合物が好ましい。
【化5】

[一般式(9)中、R31〜R36は、それぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基を示す。]
【0056】
一般式(9)において、R31〜R36で表される炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基及びデシル基が挙げられる。これらの基は直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。
【0057】
(C)成分の含有量は、露光部と未露光部の溶解速度差が大きくなり、感度がより良好となる点から、(A)成分100質量部に対して0.5〜50質量部が好ましく、1〜40質量部がより好ましく、2〜30質量部がさらに好ましい。
【0058】
<(D)成分>
本実施形態のフィルム状ポジ型感光性接着剤組成物は、(D)成分としてアクリル樹脂を含んでいてもよい。これによって良好な感光特性を維持しつつ、耐熱衝撃性を向上することができる。
前記アクリル樹脂としては、下記一般式(10)又は(11)で表される構造単位を有することが好ましい。
【化6】

[一般式(10)及び(11)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素数4〜20のアルキル基を表す。]
また、上記一般式(10)中、感度、解像度及び耐熱衝撃を向上できる観点から、Rが炭素数4〜16のアルキル基が好ましく、炭素数4のアルキル基(n−ブチル基)がより好ましい。一般式(10)で表される構造単位を与える重合性単量体としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、下記一般式(V)で表される化合物などが挙げられる。
CH=C(R)−COOR (V)
【0059】
ここで、上記一般式(V)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数4〜20のアルキル基を示す。また、Rで示される炭素数1〜20のアルキル基としては、例えば、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基及びこれらの構造異性体が挙げられる。上記一般式(V)で表される重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸ペンチルエステル、(メタ)アクリル酸ヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸ヘプチルエステル、(メタ)アクリル酸オクチルエステル、(メタ)アクリル酸ノニルエステル、(メタ)アクリル酸デシルエステル、(メタ)アクリル酸ウンデシルエステル、(メタ)アクリル酸ドデシルエステル、(メタ)アクリル酸トリデシルエステル、(メタ)アクリル酸テトラデシルエステル、(メタ)アクリル酸ペンタデシルエステル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシルエステル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシルエステル、(メタ)アクリル酸オクタデシルエステル、(メタ)アクリル酸ノナデシルエステル、(メタ)アクリル酸エイコシルエステル等が挙げられる。これらの重合性単量体は単独で又は2種類以上を組み合わせて用いられる。
また、一般式(11)で表される構造単位を与える重合性単量体としては、アクリル酸及びメタクリル酸が挙げられる。
(D)成分であるアクリル樹脂において、上記一般式(10)で表される構造単位の組成比は、(D)成分の総量に対して、50〜95モル%であることが好ましく、60〜90モル%であることがより好ましく、70〜85モル%であることが特に好ましい。上記一般式(10)で表される構造単位の組成比が50〜95モル%であることにより、ポジ型感光性樹脂組成物の硬化膜の耐熱衝撃性をより向上することができる。
また、(D)成分であるアクリル樹脂において、上記一般式(11)で表される構造単位の組成比は、(D)成分の総量に対して、5〜35モル%であることが好ましく、10〜30モル%であることがより好ましく、15〜25モル%であることが特に好ましい。上記一般式(11)で表される構造単位の組成比が5〜35モル%であることこれにより、ポジ型感光性樹脂組成物の現像性をより向上することができる。
また、(D)アクリル樹脂としては、(A)成分との相溶性、レジストパターンの基板への密着性、機械特性及び耐熱衝撃性をより向上できる観点から、前記一般式(10)及び(11)で表される構造単位に加え、更に下記一般式(12)で表される構造単位を有することがより好ましい。
(D)アクリル樹脂が下記一般式(12)で表される構造単位を有することにより、(D)アクリル樹脂と(A)フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂との相互作用が良好になり、相溶性がより向上する。これによって機械特性及び耐熱衝撃性をより向上でき、また感光性樹脂組成物の白濁を十分に抑えられることから、位置合わせがしやすくなる。
【化7】

[一般式(12)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは1、2又は3級アミノ基を有する1価の有機基を表す。]
一般式(12)で表される構造単位を与える重合性単量体としては、例えば、アミノエチル(メタ)アクリレート、N−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、N−メチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N−エチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−エチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート、1−メチルピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート、(ピペリジン−4−イル)メチル(メタ)アクリレート、2−(ピペリジン−4−イル)エチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの重合性単量体は単独で又は2種類以上を組み合わせて用いられる。これらの中でも特に、レジストパターンの基板への密着性、機械特性及び耐熱衝撃性をより向上できる観点から、一般式(12)中、Rが下記一般式(13)で表される1価の有機基であることが特に好ましい。
【化8】

[一般式(13)中、Xは炭素数1〜5のアルキレン基を表し、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表し、nは0〜10の整数である]
一般式(12)中、Rが上記一般式(13)で表される1価の有機基で表される構造単位を与える重合性単量体としては、例えば、ピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート、1−メチルピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート、(ピペリジン−4−イル)メチル(メタ)アクリレート、2−(ピペリジン−4−イル)エチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中で、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イルメタクリレートはFA−711MMとして、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イルメタクリレートはFA−712HMとして(いずれも日立化成株式会社製)として、それぞれ商業的に入手可能である。
(D)成分であるアクリル樹脂において、上記一般式(12)で表される構造単位を有する場合の組成比は、(D)成分の総量に対して、0.3〜10モル%であることが好ましく、0.4〜6モル%であることがより好ましく、0.5〜5モル%であることが特に好ましい。
【0060】
また、(D)アクリル樹脂としては、(A)成分との相溶性、レジストパターンの基板への密着性、機械特性及び耐熱衝撃性をより向上できる観点から、更に下記一般式(14)で表される構造単位を有することがさらに好ましい。
【化9】

[一般式(14)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数2〜20のヒドロキシアルキル基を示す。]
【0061】
一般式(14)中、(A)成分との相溶性及び熱衝撃性をより向上できる点から、Rが炭素数2〜15のヒドロキシアルキル基が好ましく、炭素数2〜10のヒドロキシアルキル基がより好ましく、炭素数2〜8のヒドロキシアルキル基が特に好ましい。
で示される炭素数2〜20のヒドロキシアルキル基としては、例えば、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシペンチル基、ヒドロキシヘキシル基、ヒドロキシヘプチル基、ヒドロキシオクチル基、ヒドロキシノニル基、ヒドロキシデシル基、ヒドロキシウンデシル基、ヒドロキシドデシル基(ヒドロキシラウリル基という場合もある。)、ヒドロキシトリデシル基、ヒドロキシテトラデシル基、ヒドロキシペンタデシル基、ヒドロキシヘキサデシル基、ヒドロキシヘプタデシル基、ヒドロキシオクタデシル基、ヒドロキシノナデシル基及びヒドロキシエイコシル基が挙げられる。これらの基は直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。
【0062】
一般式(14)で表される構造単位を有するアクリル樹脂を与えるモノマとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルが挙げられる。
このような(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルとしては、例えば、下記一般式(15)で表される化合物が挙げられる。
CH=C(R)−COOR …(15)
[一般式(15)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数2〜20のヒドロキシアルキル基を示す。]
なお、本発明の効果をより高度に発現できる観点から、一般式(14)で表わされる構造単位を有するアクリル樹脂はポリマとして添加することが望ましい。
【0063】
一般式(15)で表されるモノマ体としては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシペンチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシヘプチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシノニル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシウンデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシドデシル((メタ)アクリル酸ヒドロキシラウリルという場合もある。)、(メタ)アクリル酸ヒドロキシトリデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシテトラデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシヘプタデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシオクタデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシノナデシル及び(メタ)アクリル酸ヒドロキシエイコシルが挙げられる。これらのモノマは単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。これらの中でも、(A)成分との相溶性、破断伸びをより向上する観点から、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシペンチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシヘプチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシノニル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシウンデシル又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシドデシルを用いることが好ましい。
【0064】
(D)成分は、一般式(14)で表される構造単位のみからなるアクリル樹脂であってもよく、一般式(14)で表される構造単位以外の構造単位を有するアクリル樹脂であってもよい。一般式(14)で表される構造単位以外の構造単位を有するアクリル樹脂である場合、アクリル樹脂中の一般式(14)で表される構造単位の割合は、(D)成分の総量に対して、0.1〜30モル%であることが好ましく、0.3〜20モル%であることがより好ましく、0.5〜10モル%であることがさらに好ましい。上記一般式(14)で表される構造単位の組成比が0.1〜30モル%であることにより、(A)成分との相溶性及びパターン硬化膜の熱衝撃性をより向上することができる。
【0065】
また、(D)アクリル樹脂は、一般式(10)、一般式(11)、一般式(12)、及び一般式(14)で表される構造単位を与える重合性単量体以外の重合性単量体を加えて合成することもできる。
そのような重合性単量体としては、例えば、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリル酸ベンジルエステル、(メタ)アクリル酸4−メチルベンジルエステル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピルエステル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピルエステル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルエステル、アクリロニトリル、ビニル−n−ブチルエーテルなどのビニルアルコールのエステル類、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、α−ブロモ(メタ)アクリル酸、α−クロル(メタ)アクリル酸、β−フリル(メタ)アクリル酸、β−スチリル(メタ)アクリル酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピルなどのマレイン酸モノエステル、フマール酸、ケイ皮酸、α−シアノケイ皮酸、イタコン酸、クロトン酸、プロピオール酸等が挙げられる。これらの重合性単量体は単独で又は2種類以上を組み合わせて用いられる。
(D)成分の重量平均分子量は、2000〜100000であることが好ましく、3000〜60000であることがより好ましく、5000〜50000であることが特に好ましく、10000〜40000であることが最も好ましい。重量平均分子量が2000未満では硬化膜の耐熱衝撃性が低下する傾向があり、100000を超えると(A)成分との相溶性及び現像性が低下する傾向がある。
(D)成分の配合量は、密着性、機械特性及び耐熱衝撃性、及び感光特性の観点から、(A)成分の総量100質量部に対して1〜50質量部が好ましく、3〜30質量部がより好ましく、5〜20質量部が特に好ましい。
【0066】
<その他の成分>
本実施形態のフィルム状感光性樹脂組成物は、上記(A)〜(D)成分以外に、エラストマー、加熱により酸を生成する化合物、溶解促進剤、溶解阻害剤、カップリング剤、及び、界面活性剤又はレベリング剤等の成分を含有してもよい。
【0067】
(エラストマー)
エラストマーとしては、従来公知のものを用いることができるが、エラストマーを構成する重合体のガラス転移温度(Tg)が20℃以下であることが好ましい。
【0068】
このようなエラストマーとしては、例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー及びシリコーン系エラストマーが挙げられる。また、エラストマーは、微粒子状のエラストマーであってもよい。これらのエラストマーは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0069】
エラストマーを用いる場合の含有量は、(A)成分100質量部に対して、1〜60質量部が好ましく、3〜40質量部がより好ましく5〜30質量部がさらに好ましい。
【0070】
(加熱により酸を生成する化合物)
加熱により酸を生成する化合物を用いることにより、パターン樹脂膜を加熱する際に酸を発生させることが可能となり、(A)成分と(C)成分との反応、すなわち熱架橋反応が促進され、パターン硬化膜の耐熱性が向上する。また、加熱により酸を生成する化合物は光照射によっても酸を発生するため、露光部のアルカリ水溶液への溶解性が増大する。よって、未露光部と露光部とのアルカリ水溶液に対する溶解性の差がさらに大きくなり解像度がより向上する。
【0071】
このような加熱により酸を生成する化合物は、例えば、50〜250℃まで加熱することにより酸を生成するものであることが好ましい。加熱により酸を生成する化合物の具体例としては、オニウム塩等の強酸と塩基とから形成される塩、イミドスルホナートが挙げられる。
【0072】
加熱により酸を生成する化合物を用いる場合の含有量は、(A)成分100質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましく、0.2〜20質量部がより好ましく、0.5〜10質量部がさらに好ましい。
【0073】
(溶解促進剤)
溶解促進剤を上述のポジ型感光性樹脂組成物に配合することによって、アルカリ水溶液で現像する際の露光部の溶解速度を増加させ、感度及び解像性を向上させることができる。溶解促進剤としては従来公知のものを用いることができる。その具体例としては、カルボキシル基、スルホン酸、スルホンアミド基を有する化合物が挙げられる。
【0074】
このような溶解促進剤を用いる場合の含有量は、アルカリ水溶液に対する溶解速度によって決めることができ、例えば、(A)成分100質量部に対して、0.01〜30質量部とすることができる。
【0075】
(溶解阻害剤)
溶解阻害剤を(A)成分のアルカリ水溶液に対する溶解性を阻害する化合物であり、残膜厚、現像時間及びコントラストをコントロールするために用いられる。その具体例としては、例えば、ジフェニルヨードニウムニトラート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムニトラート、ジフェニルヨードニウムブロミド、ジフェニルヨードニウムクロリド及びジフェニルヨードニウムヨージドが挙げられる。溶解阻害剤を用いる場合の含有量は、感度と現像時間の許容幅の点から、(A)成分100質量部に対して0.01〜20質量部が好ましく、0.01〜15質量部がより好ましく、0.05〜10質量部がさらに好ましい。
【0076】
(カップリング剤)
カップリング剤を感光性樹脂組成物に配合することによって、形成されるパターン硬化膜の基板との接着性をより高めることができる。カップリング剤としては、例えば、有機シラン化合物、アルミキレート化合物が挙げられる。また、有機シラン化合物としては、例えば、尿素プロピルトリエトキシシランが挙げられる。
【0077】
カップリング剤を用いる場合の含有量は、(A)成分100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましい。
【0078】
(界面活性剤又はレベリング剤)
界面活性剤又はレベリング剤を感光性樹脂組成物に配合することによって、塗布性をより向上することができる。具体的には、例えば、界面活性剤又はレベリング剤を含有することで、ストリエーション(膜厚のムラ)をより防いだり、現像性をより向上させたりすることができる。このような界面活性剤又はレベリング剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル及びポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテルが挙げられる。市販品としては、例えば、メガファックスF171、F173、R−08(大日本インキ化学工業株式会社製、商品名)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム株式会社製、商品名)、オルガノシロキサンポリマーKP341、KBM303、KBM403及びKBM803(信越化学工業社製、商品名)が挙げられる。
【0079】
界面活性剤又はレベリング剤を用いる場合の含有量は、(A)成分100質量部に対して、0.001〜5質量部が好ましく、0.01〜3質量部がより好ましい。
【0080】
本実施形態の感光性樹脂組成物は、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)等のアルカリ水溶液を用いて現像することが可能である。さらに、上述の本実施形態の感光性樹脂組成物を用いることにより、充分に高い感度及び解像度で、良好な密着性及び熱衝撃性を有するパターン硬化膜を形成することが可能となる。
【0081】
(フィルム状接着剤)
上述の各成分を含む組成物をフィルム状に成形することによって、フィルム状接着剤を得ることができる。図1は、本発明のフィルム状接着剤の一実施形態を示す端面図である。図1に示すフィルム状接着剤1は、上述の各成分を含む組成物をフィルム状に成形したものである。
【0082】
フィルム状接着剤1は、例えば、図2に示す基材3上に上述の各成分を含む組成物の溶液を塗布し、乾燥させることによってフィルム状に成形される。このようにして、基材3と、基材3上に形成された上記フィルム状接着剤からなる接着剤層1とを備える接着シート100が得られる。図2は、本発明の接着シート100の一実施形態を示す端面図である。図2に示す接着シート100は、基材3と、これの一方面上に設けられたフィルム状接着剤からなる接着剤層1とから構成される。
【0083】
図3は、本発明の接着シートの他の一実施形態を示す端面図である。図3に示す接着シート110は、基材3と、これの一方面上に設けられたフィルム状接着剤からなる接着剤層1とカバーフィルム2とから構成される。
【0084】
フィルム状接着剤1は、例えば、以下の方法で得ることができる。まず、(A)成分、(B)成分、必要に応じて(C)成分、(D)成分、及び他の成分を、有機溶剤中で混合し、混合液を混練してワニスを調製する。次に、基材3上にこのワニスを塗布してワニスの層を形成し、加熱によってワニス層を乾燥した後に基材3を除去する。このとき、基材3を除去せずに、接着シート100の状態で保存、又は使用することもできる。また、接着剤層1の基材3が設けられている面とは反対の面にカバーフィルム2を積層した上で、接着シート110の状態で保存、又は使用することもできる。
【0085】
有機溶剤としては、例えば、アセトン、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸ベンジル、n−ブチルアセテート、エトキシエチルプロピオナート、3−メチルメトキシプピオナート、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリルアミド、テトラメチレンスルホン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トルエン、ベンゼン、キシレン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、ジオキサン、及び酢酸エチルが挙げられる。これらの有機溶剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、溶解性と塗布膜の均一性の点から、乳酸エチル又はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを用いることが好ましい。
【0086】
ワニスの混合、及び混練は、通常の撹拌機、らいかい機、三本ロール、ボールミル等の分散機を適宜組み合わせて行うことができる。上記加熱による乾燥は、(B)成分が充分には反応しない温度で、且つ、溶剤が充分に揮散する条件で行う。上記「(B)成分が充分には反応しない温度」とは、具体的には、DSC(例えば、パーキンエルマー社製、商品名:DSC−7型)を用いて、サンプル量:10mg、昇温速度:5℃/min、測定雰囲気:空気、の条件で測定したときの反応熱のピーク温度以下の温度である。具体的には、通常60℃〜180℃で、0.1分〜90分間加熱することによってワニス層を乾燥させる。乾燥前のワニス層の厚みは、1μm〜200μmが好ましい。この厚みが1μm以上であると、接着固定機能が充分となる傾向があり、200μm以下であると、後述する残存揮発分が少なくなる傾向がある。
【0087】
得られたワニス層の残存揮発分は20質量%以下が、好ましい。この残存揮発分が20質量%以下であると、組立加熱時の溶剤揮発による発泡が原因となる接着剤層内部にボイドが残存しにくくなり、耐湿性が向上する傾向がある。また、加熱時に発生する揮発成分によって、周辺材料、又は部材が汚染される可能性も低くなる傾向がある。なお、上記の残存揮発成分の測定条件は次の通りである。すなわち、50mm×50mmサイズに切断したフィルム状接着剤1について、初期の質量をM1とし、このフィルム状接着剤1を160℃のオーブン中で3時間加熱した後の質量をM2とし、以下の式により残存揮発分(%)を求める。残存揮発分(%)=[(M1−M2)/M1]×100
【0088】
基材3は、上述の乾燥条件に耐えるものであれば特に限定されるものではない。例えば、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリエーテルナフタレートフィルム、及びメチルペンテンフィルムを基材3として用いることができる。基材3としてのフィルムは2種以上組み合わせた多層フィルムであってもよく、表面がシリコーン系、シリカ系等の離型剤で処理されたものであってもよい。
【0089】
(接着剤層付半導体ウェハ)
図4は、本発明の接着剤層付半導体ウェハの一実施形態を示す上面図であり、図5図4のIV−IV線に沿った端面図である。図4及び図5に示す接着剤層付半導体ウェハ20は、半導体ウェハ8と、これの一方面上に設けられたフィルム状接着剤(接着剤層)1と、を備える。
【0090】
接着剤層付半導体ウェハ20は、半導体ウェハ8上に、フィルム状接着剤1を加熱しながらラミネートすることによって得られる。フィルム状接着剤1は、例えば、室温(25℃)〜150℃程度の低温で半導体ウェハ8に貼付けることが可能である。
【0091】
(半導体装置)
図6は、本発明の半導体装置の一実施形態を示す端面図である。図6に示す半導体装置230は、接続電極部(第1の接続部:図示せず)を有する支持部材(第1の被着体)13と、接続用端子(第2の接続部:図示せず)を有する半導体チップ(第2の被着体)14と、絶縁材からなる接着剤層1と、導電材からなる導電層9とを備えている。支持部材13は、半導体チップ14と対向する回路面18を有しており、半導体チップ14と所定の間隔をおいて配置されている。接着剤層1は、支持部材13、及び半導体チップ14の間において、それぞれと接して形成されており、所定のパターンを有している。導電層9は、支持部材13、及び半導体チップ14の間における、接着剤層1が配置されていない部分に形成されている。半導体チップ14の接続用端子は、導電層9を介して支持部材13の接続電極部と電気的に接続されている。
【0092】
以下、図7図12を用いて、図6に示す半導体装置230の製造方法について詳述する。図7、8及び10〜12は、本発明の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す端面図であり、図9は、本発明の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す断面図である。本実施形態の半導体装置の製造方法は、以下の(第1工程)〜(第5工程)を備える。
【0093】
(第1工程)接続用電極部を有する半導体ウェハ12上に接着剤層1を設ける工程(図7及び図8)。
【0094】
(第2工程)接着剤層1を露光、及び現像によって、接続端子が露出する開口11が形成されるようにパターニングする工程(図9及び図10)。
【0095】
(第3工程)開口11に導電材を充填して導電層9を形成する工程(図11)。
【0096】
(第4工程)半導体ウェハ12と接着剤層1及び導電層9との積層体を半導体チップ14ごとに切り分ける(ダイシング)工程(図12)。
【0097】
(第5工程)接続用電極部を有する支持部材13を個片化された半導体チップ14と接着剤層1との積層体の接着剤層1側に直接接着すると共に、支持部材13の接続電極部と半導体チップ14の接続用端子とを導電層9を介して電気的に接続する工程(図6)。
【0098】
以下、(第1工程)〜(第5工程)について詳しく説明する。
(第1工程)
図7に示す接続用電極部を有する半導体ウェハ12から構成される半導体ウェハの回路面上に、接着剤層1を積層する(図8)。積層方法としては、予めフィルム状に成形されたフィルム状接着剤を準備し、これを半導体ウェハに貼り付ける方法が簡便である。
【0099】
本実施形態に係るフィルム状接着剤用感光性樹脂組成物は、露光、及び現像によってパターニングされた後に被着体に対する接着性を有し、アルカリ現像が可能なフィルム状接着剤用感光性樹脂組成物である。より詳細には、フィルム状接着剤用感光性樹脂組成物を露光、及び現像によってパターニングして形成されるレジストパターンが、半導体チップ、基板等の被着体に対する接着性を有している。例えばレジストパターンに被着体を必要に応じて加熱しながら圧着することによって、レジストパターンと被着体とを接着することが可能である。
【0100】
(第2工程)
半導体ウェハ12上に設けられた接着剤層1に対して、所定の位置に開口が形成されているマスク4を介して活性光線(典型的には紫外線)を照射する(図9)。これにより接着剤層1が所定のパターンで露光される。
【0101】
露光後、接着剤層1のうち露光された部分を、アルカリ現像液を用いた現像によって除去することで、半導体ウェハ12の接続端子が露出する開口11が形成されるように接着剤層1がパターニングされる(図10)。現像の後に全面を再度露光、もしくは加熱してもよい。現像の後に全面を再度露光することがこの後のプロセスにおいてボイド発生を低減できる点で好ましい。
【0102】
(第3工程)
得られたレジストパターンの開口11に導電材を充填して導電層9を形成する(図11)。導電材の充填方法は、グラビア印刷、ロールによる押し込み、減圧充填等の各種方法が採用できる。ここで使用する導電材は、半田、金、銀、ニッケル、銅、白金、パラジウム等の金属又は酸化ルテニウム等の金属酸化物からなる電極材料、あるいは、上記金属のバンプの他、例えば、導電性粒子と樹脂成分とを少なくとも含有してなるものが挙げられる。導電性粒子としては、例えば、金、銀、ニッケル、銅、白金、パラジウム等の金属、酸化ルテニウム等の金属酸化物及び有機金属化合物等の導電性粒子が用いられる。また、樹脂成分としては、例えば、エポキシ樹脂、その硬化剤等の上述した硬化性樹脂組成物が用いられる。
【0103】
(第4工程)
半導体ウェハ12と接着剤層1及び導電層9との積層体をダイシングにより半導体チップ14ごとに切り分ける(図12)。
【0104】
(第5工程)
接続用電極部を有する支持部材13を個片化された半導体チップ14と接着剤層1との積層体の接着剤層1側に直接接着すると共に、支持部材13の接続電極部と半導体チップ14の接続用端子とを導電層9を介して電気的に接続する。なお、半導体チップ14における接着剤層1と反対側の回路面上に、パターン化された接着剤層(バッファーコート膜)が形成されていてもよい。
この時、接着剤層1は白濁が少ない方が好ましい。白濁が少ないと位置合わせがしやすくなる。
【0105】
半導体チップ14の接着は、例えば、接着剤層1(フィルム状接着剤用感光性樹脂組成物)が流動性を発現するような温度にまで加熱しながら熱圧着する方法によって行われる。熱圧着後、必要に応じて接着剤層1を加熱してさらに硬化反応を進行させてもよい。
【0106】
半導体チップ14における接着剤層1と反対側の回路面(裏面)には、裏面保護フィルムを貼り付けることが好ましい。
【0107】
以上の方法によって、図6に示す半導体装置230が得られる。本発明の半導体装置の製造方法は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更が可能である。
【0108】
例えば、上記製造方法は、第4の工程において、ウェハサイズの支持部材13上に半導体ウェハ12と接着剤層1との積層体を、半導体ウェハ12と接着剤層1との積層体の接着剤層1側に直接接着すると共に、支持部材13の接続端子と半導体ウェハ12の接続用電極部とを導電層9を介して電気的に接続してもよい。さらに、第5の工程において、半導体ウェハ12と接着剤層1と支持部材13との積層体を半導体チップ14ごとに切り分けてもよい。
【0109】
上記製造方法では、半導体ウェハ12と支持部材13との接続までの工程(第4の工程)をウェハサイズでできるので作業効率の点において好ましい。なお、半導体ウェハ12における接着剤層1と反対側の回路面(裏面)には、裏面保護フィルムを貼り付けることが好ましい。
【0110】
また、支持部材13が半導体チップや半導体ウェハであってもよく、この場合は半導体ウェハ同士、半導体チップ14と半導体ウェハ(支持部材13)又は半導体チップ同士を接着することによって半導体装置(半導体積層体)を構成することができる。この積層体には、貫通電極を形成することも可能である。
また、上記製造方法は、第1工程において、接続用電極部に既に導電層9が形成されている半導体ウェハを使用することもできる。この場合は、第2工程において開口11を導電層9が露出するように行い、第3工程を省略して第4工程へ進むことができる。
【実施例】
【0111】
以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0112】
本実施例及び比較例で用いた材料について以下に示す。
[(A)成分]
A1〜4はアルカリ可溶性フェノール樹脂であり、A’5は比較例として用いたアルカリ可溶性アクリル樹脂である。
A1:p−tert−ブトキシスチレンとスチレンとを、モル比85:15の割合で合計100質量部用意し、これらをプロピレングリコールモノメチルエーテル150質量部に溶解し、窒素雰囲気下、反応温度を70℃に保持して、アゾビスイソブチロニトリル4質量部を用いて10時間、約160rpmの攪拌回転数で攪拌し、重合を行なった。その後、反応溶液に硫酸を加えて反応温度を90℃に保持して10時間反応させ、p−tert−ブトキシスチレンを脱保護してヒドロキシスチレンに変換した。得られた共重合体に酢酸エチルを加え、水洗を5回繰り返し、酢酸エチル相を分取し、溶剤を除去して、p−ヒドロキシスチレン/スチレン共重合体A1を得た。この共重合体A1のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は10000であった。また、13C−NMR分析の結果、p−ヒドロキシスチレンとスチレンとの共重合モル比は85:15であった。なお、この共重合体A1は上記一般式(1)で表される構造単位及び上記一般式(6)で表される構造単位を有する。
A2:p−tert−ブトキシスチレンのみ100質量部をプロピレングリコールモノメチルエーテル150質量部に溶解させた以外は、合成例1と同様にして、p−ヒドロキシスチレン単独重合体A2を得た。この単独重合体A2の重量平均分子量は10000であった。なお、このA2は上記一般式(1)で表される構造単位を有する。
A3:p−ヒドロキシスチレン/メタクリル酸メチル=50/50(モル比)の共重合体(重量平均分子量=10000、丸善石油化学株式会社製、商品名「マルカリンカーCMM」)。なお、このA3は上記一般式(1)で表される構造単位及び上記一般式(7)で表される構造単位を有する。
A4:クレゾールノボラック樹脂(クレゾール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂、m−クレゾール/p−クレゾール(モル比)=60/40、重量平均分子量=12000、旭有機材工業社製、商品名「EP4020G」)。
A’5:メタクリル酸/メタクリル酸メチル/スチレン(重量比)の共重合体=25/25/50(重量平均分子量=40000)。
なお、重量平均分子量は、それぞれゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法を用いて、標準ポリスチレン換算により求めた。
具体的には、以下の装置及び条件にて重量平均分子量を測定した。測定装置:検出器 株式会社日立製作所製L4000UVポンプ:株式会社日立製作所製L6000株式会社島津製作所製C−R4A Chromatopac測定条件:カラム Gelpack GL−S300MDT−5×2本溶離液:THFLiBr(0.03mol/l)、HPO(0.06mol/l)流速:1.0ml/分、検出器:UV270nm、試料0.5mgに対して溶媒[THF/DMF=1/1(容積比)]1mlの溶液を用いて測定した。
【0113】
[(B)成分]
B1及びB2は光により酸を生成する化合物であり、B’3は比較例として用いた光によりラジカルを生成する化合物である。
B1:1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−[4−{1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル}フェニル]エタンの1−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸エステル(エステル化率約90%、AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、商品名「TPPA528」)
B2:トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタンの1−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸エステル(エステル化率約95%)
B’3:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(BASF社製、商品名「I−819」)
【0114】
[(C)成分]
C1:ヘキサキス(メトキシメチル)メラミン(株式会社三和ケミカル製、商品名「ニカラックMW−30HM」、下記式(C1)で表される化合物)
【化10】

C2:1,1−ビス{3,5−ビス(メトキシメチル)−4−ヒドロキシフェニル}メタン(本州化学工業株式会社製、商品名「TMOM−pp−BPF」、下記式(C2)で表される化合物)
【化11】

C3:ポリエチレングリコール#400ジグリシジルエーテル(共栄社化学株式会社製、商品名「エポライト400E」)
【0115】
[(D)成分]
D1及び2はアクリル樹脂である。
D1:攪拌機、窒素導入管及び温度計を備えた100mlの三口フラスコに、乳酸エチル55gを秤取し、別途に秤取した重合性単量体(アクリル酸n−ブチル(BA)34.7g、アクリル酸ラウリル(LA)2.2g、アクリル酸(AA)3.9g、アクリル酸ヒドロキシブチル(HBA)2.6g及び1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イルメタクリレート(商品名:FA−711MM、日立化成株式会社製)1.7g、並びにアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.29gを加えた。室温にて約160rpmの攪拌回転数で攪拌しながら、窒素ガスを400ml/分の流量で30分間流し、溶存酸素を除去した。その後、窒素ガスの流入を止め、フラスコを密閉し、恒温水槽にて約25分で65℃まで昇温した。同温度を10時間保持して重合反応を行い、アクリル樹脂D1を得た。この際の重合率は99%であった。また、このD1の重量平均分子量は、約22000であった。
D2:アクリル酸n−ブチル(BA)32.8g、アクリル酸ラウリル(LA)4.2g、アクリル酸(AA)3.8g、アクリル酸ヒドロキシブチル(HBA)2.5g及び1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イルメタクリレート(商品名:FA−711MM、日立化成株式会社製)1.7gを用いた以外は、D1の合成方法と同様にして合成した。このD2の重量平均分子量は、約22000であった。
なお、(D)成分の重量平均分子量は、(A)成分の重量平均分子量の測定と同様の方法により求めた。
【0116】
[(E)成分]
E成分は、光によって架橋する成分である。
E’1:イソシアヌル酸EO変性ジ及びトリアクリレート(商品名:M313、東亞合成株式会社製、放射線重合性基当量:約160g/eq、5%質量減少温度:>400℃)。
【0117】
(実施例1〜8及び比較例2〜4)
表1及び2に示した配合量(単位:質量部)の(A)〜(E)成分、溶剤として乳酸エチル120質量部及びカップリング剤として尿素プロピルトリエトキシシランの50%メタノール溶液2質量部を配合し、これを3μm孔のテフロン(登録商標)フィルターを用いて加圧ろ過して、実施例1〜8及び比較例2〜4の感光性樹脂組成物を調製した。
得られた感光性樹脂組成物を、乾燥後の膜厚が45μmとなるように、それぞれ基材(剥離剤処理PETフィルム)上に塗布し、オーブン中にて120℃で10分間加熱し、基材上にフィルム状感光性樹脂組成物からなる接着剤層を形成した。このようにして、基材、及び基材上に形成された接着剤層を有する接着シートを得た。
(比較例1)
表2に示した配合量の(A)〜(E)成分、溶剤として乳酸エチル120質量部及びカップリング剤として尿素プロピルトリエトキシシランの50%メタノール溶液2質量部を配合し、これを3μm孔のテフロン(登録商標)フィルターを用いて加圧ろ過して、スピンコート用の感光性樹脂組成物を調製した。
【0118】
<感光性樹脂組成物の評価>
実施例1〜8及び比較例1〜4の感光性樹脂組成物について、以下に示す評価を行った。その結果を表1及び2に示す。
【0119】
(評価サンプル作成)
膜厚、残膜率、感度、解像度の評価サンプルは下記の方法で作製した。
実施例1〜8及び比較例2〜4:支持台上にシリコンウェハ(6インチ径、厚さ400μm)を載せ、その上に、上記接着シートを、接着剤層がシリコンウェハの裏面(支持台と反対側の面)と接するように、ロール加圧(温度120℃、線圧39N/cm(4kgf/cm)、送り速度0.5m/分)によって積層した。基材(PETフィルム)を剥離除去し接着剤層を露出した。
比較例1:得られた感光性樹脂組成物をシリコンウエハ上に回転数500rpmで40秒スピンコートし、得られた塗膜を120℃で4分間加熱した。同様の条件で何度か塗膜を形成したところ、膜厚は30〜50μmの範囲で変化し、均一な膜厚を得ることができなかった。このため、膜厚以外の評価を行っていない。
【0120】
(残膜率)
得られた積層体を、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)の2.38%水溶液を用いて現像、水洗、乾燥を行った。残膜率は下式により算出した。実施例1〜8及び比較例4に関しては未露光部を評価した。
残膜率(%)=(現像後の塗膜の膜厚/現像前の塗膜の膜厚)×100
【0121】
(感度、解像度)
得られた積層体を、接着剤層側からガラスマスクを介して、マスク露光機(ミカサ株式会社製、マスクアライナーMA-20)を用いて露光した。実施例1〜8及び比較例1、4に関しては、ポジ型用の直径φ60μmのドットパターンを、比較例2、3に関しては、ネガ型用の直径φ60μmのドットパターンのガラスマスクを用いた。露光後、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)の2.38%水溶液を用いて現像した。その後、水でリンスした。
感度の評価は、露光量が1500mJ/cm未満で60μmのドットパターンが形成できるものをA、露光量が1500mJ/cm以上、2500mJ/cm以下で60μmのドットパターンが形成できるものをBとした。
その後、レジストパターンを縦型拡散炉(光洋サーモシステム株式会社製、商品名「μ−TF」)を用い、窒素中、温度200℃(昇温時間1.5時間)で2時間加熱処理(硬化)し、直径φ60μmのドットパターンを観察した。現像後及び硬化後の60μmのドットパターンが、それぞれ開口しているものを○、開口していないものを×とした。なお、感度及び解像度は、小さい程良好である。
【0122】
(樹脂の白濁)
実施例1〜8及び比較例1〜4で得られた感光性樹脂組成物を目視で観察し、樹脂が透明であればA、若干白濁していればB、酷く白濁していればCとした。樹脂の白濁がA又はBであれば、その樹脂を用いて形成したパターン硬化膜を有する半導体装置を製造する際の、基板上に記された位置合わせのための目印が認識できた。
【0123】
(硬化後破断伸び)
実施例1〜8及び比較例1〜4で得られた感光性樹脂組成物をシリコン基板上にスピンコートして、120℃で4分間加熱し、膜厚約12〜14μmの塗膜を形成した。その後、この塗膜をプロキシミティ露光機(キヤノン株式会社製、商品名「PLA−600FA」)を用いて、マスクを介して全波長で、最小露光量の2倍の露光量で露光を行った。露光後、TMAHの2.38%水溶液を用いて現像を行い、10mm幅のレジストパターンを得た。その後、レジストパターンを縦型拡散炉(光洋サーモシステム株式会社製、商品名「μ−TF」)を用い、窒素中、温度200℃(昇温時間1.5時間)で2時間加熱処理(硬化)し、膜厚約10μmの硬化膜を得た。この硬化膜をシリコン基板から剥離し、剥離した硬化膜の破断伸び(EL)を、株式会社島津製作所製オートグラフAGS−H100Nによって測定した。試料の幅は10mm、膜厚は約10μmであり、チャック間は20mmとした。引っ張り速度は5mm/分で、測定温度は室温(20℃〜25℃)程度とした。硬化後破断伸びは大きいことが好ましい。破断伸び10%以上のものを○、10%未満のものを×とした。
【0124】
(初期導通性(接続性)、実装後の広がり)
実施例1〜8及び比較例1〜4:支持台上に接続端子(はんだバンプ)付きシリコンチップ(チップサイズ:縦7.3mm×横7.3mm×高さ755μm、バンプ高さ:銅ピラー+はんだ 約45μm、バンプ数328)を載せ、その上に、上記接着シートを、接着剤層がシリコンウェハの端子側と接するように、真空ラミネーター(温度80℃、圧力0.5MPa、時間30秒)によってラミネートした。
得られた積層体を、接着剤層側からガラスマスクを介して、マスク露光機(ミカサ製、マスクアライナMA-20)を用いて露光した。実施例1〜8、及び比較例1,4に関しては、ポジ型用の直径φ60μmのドットパターンを、比較例2、3に関しては、ネガ型用の直径φ60μmのドットパターンのガラスマスクを用いて、シリコンチップの接続端子部分が開口するように露光した。露光量は直径φ60μmのドットパターンが開口する最少の露光量とした。露光後、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)の2.38%水溶液を用いて現像し、その後、水でリンスして、シリコンチップの接続端子部分が直径φ60μmで開口された、接着剤層付きシリコンチップを得た。
上記作製した接着剤層が形成された接続端子付きシリコンチップをフリップチップ実装装置FCB3(パナソニック社製、商品名)で、ガラスエポキシ基板(ガラスエポキシ基材:0.4mm厚、銅配線:9μm厚、ソルダーレジスト付き、日立化成株式会社製)上に実装した(実装条件:フィルム状接着剤の圧着温度250℃、圧着時間T:10秒間、0.5MPa)。これにより、図6と同様の半導体装置を得た。
上記のようにガラスエポキシ基板と金バンプ付き半導体チップとをデイジーチェーン接続した後、マルチメータ(ADVANTEST社製)により接続抵抗値を測定し、実装後の初期導通の可否(導通性)を評価した。接続抵抗値が5〜20Ωの場合を「A」とし、それ以外の接続抵抗値の場合を「B」とし、一部分でも完全な接続不良が生じていることにより接続抵抗値が表示されなかった場合を「C」として評価した。
【0125】
(実装中の樹脂の流動性)
上記実装試験後、シリコンチップを上から見て、感光性WLUFが実装前よりはみ出している場合は流動性○、はみ出していない場合は流動性×とした。
【0126】
【表1】
【0127】
【表2】
【0128】
表1及び2から明らかなように、実施例1〜8の感光性樹脂組成物は、厚膜化でき、残膜率、感度及び解像性がよく、また硬化膜の機械特性(破断伸び)に優れ、さらにフリップチップ実装中の流動性がよく、初期導通性が良好である。
また、光開始剤にラジカル発生剤I−819を用いた比較例2では、パターンを形成することができなかった。また、光開始剤にラジカル発生剤I−819及び光架橋剤M313を用いた比較例3では、フリップチップ実装中の流動性が低く、初期の導通が取れなかった。さらに、(A)成分にアルカリ可溶性のアクリル樹脂を用いた比較例4では、光酸発生剤TPPA528との相互作用が弱く、パターンを形成することができなかった。
【符号の説明】
【0129】
1…フィルム状接着剤(接着剤層)、2…カバーフィルム、3…基材、4…マスク、8…半導体ウェハ、9…導電層、11…開口、12…半導体ウェハ、13…支持部材、14…半導体チップ、18…回路面、20…接着剤層付半導体ウェハ、100,110…接着シート、230…半導体装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12