特許第6217872号(P6217872)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6217872ダイシング・ダイボンディング一体型テープ用ダイシングテープ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6217872
(24)【登録日】2017年10月6日
(45)【発行日】2017年10月25日
(54)【発明の名称】ダイシング・ダイボンディング一体型テープ用ダイシングテープ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20171016BHJP
   C09J 7/02 20060101ALI20171016BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20171016BHJP
   C09J 133/06 20060101ALI20171016BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20171016BHJP
【FI】
   H01L21/78 M
   C09J7/02 Z
   C09J11/06
   C09J133/06
   C09J11/04
【請求項の数】7
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2017-3540(P2017-3540)
(22)【出願日】2017年1月12日
(62)【分割の表示】特願2013-272131(P2013-272131)の分割
【原出願日】2013年12月27日
(65)【公開番号】特開2017-103471(P2017-103471A)
(43)【公開日】2017年6月8日
【審査請求日】2017年1月12日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】日立化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100169454
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 裕之
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】池谷 卓二
(72)【発明者】
【氏名】鈴村 浩二
【審査官】 梶尾 誠哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−235962(JP,A)
【文献】 特開2013−4813(JP,A)
【文献】 特開2015−126217(JP,A)
【文献】 特開2011−184603(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
C09J 7/02
C09J 11/04
C09J 11/06
C09J 133/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも基材層、粘着層、接着層が順次積層された構成を有するダイシング・ダイボンディング一体型テープにおける前記基材層及び前記粘着層として用いられる、ダイシング・ダイボンディング一体型テープ用ダイシングテープにおいて、
前記粘着層は、(メタ)アクリル樹脂と、光開始剤と、架橋剤とを含んでおり(ただし、側鎖にシロキサン結合を持つフッ素系グラフト共重合体を含有する前記粘着層を除く)、
前記架橋剤の含有量は、前記(メタ)アクリル樹脂100質量部に対して質量部以上5質量部以下であり、
前記接着層は、エポキシ基含有アクリル共重合体を含み、
前記エポキシ基含有アクリル共重合体の原料は、エチル(メタ)アクリレート及び/又はブチル(メタ)アクリレートを含む、ダイシング・ダイボンディング一体型テープ用ダイシングテープ。
【請求項2】
前記基材層は、多層構造を有しており、
前記基材層に含まれる層であって、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン−ポリプロピレンランダム共重合体、ポリエチレン−ポリプロピレンブロック共重合体から選ばれる少なくとも1種が主成分である前記層が、前記粘着層と接しており、
前記(メタ)アクリル樹脂は、2−エチルヘキシルアクリレートに基づく構造単位を有し、且つ、その重量平均分子量は、30万以上であり、
前記接着層は、フェノール樹脂及び無機フィラーを含んでいる、請求項に記載のダイシング・ダイボンディング一体型テープ用ダイシングテープ。
【請求項3】
前記光開始剤は、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、又はベンゾフェノンを含有する、請求項1又は2に記載のダイシング・ダイボンディング一体型テープ用ダイシングテープ。
【請求項4】
前記光開始剤は、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンである、請求項に記載のダイシング・ダイボンディング一体型テープ用ダイシングテープ。
【請求項5】
前記エポキシ基含有アクリル共重合体の重量平均分子量は、30万〜300万である、請求項1〜のいずれか一項に記載のダイシング・ダイボンディング一体型テープ用ダイシングテープ。
【請求項6】
前記粘着層の(メタ)アクリル樹脂は、OH基を含有する(メタ)アクリル系樹脂と、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート及び2−アクリロイルオキシエチルイソシアネートから選ばれる少なくとも1種との反応物である、請求項1〜のいずれか一項に記載のダイシング・ダイボンディング一体型テープ用ダイシングテープ。
【請求項7】
前記エポキシ基含有アクリル共重合体は、当該共重合体を100質量%としたとき、前記原料の一部として0.5〜6質量%のグリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートを用いて得られた共重合体である、請求項1〜のいずれか一項に記載のダイシング・ダイボンディング一体型テープ用ダイシングテープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイシング・ダイボンディング一体型テープ用ダイシングテープに関する。詳細には、ダイシング工程においてバリが少なく、かつダイボンディング工程において、薄厚ウェハに対して過大な応力をかける必要なく、低突き上げハイト量でピックアップ可能なダイシング・ダイボンディング一体型テープ用ダイシングテープに関する。
【背景技術】
【0002】
ダイシング・ダイボンディング一体型テープは、個片化されたチップ上のワーク(例えば半導体チップ等)と、基板や電極部材、チップ等の被着対象と固着する接着剤を、ダイシング前にワーク(例えば半導体ウェハなど)に貼り付けた状態で、ワークをダイシングするために用いられる。従来の半導体製造工程においては、個片化されたチップを被着対象に接着する際は、ダイボンドフィルムやダイボンドペーストを基板に塗布又は貼り付けした後に半導体チップを搭載し、硬化させていた。しかしこの方法では、ダイボンド時に個片ごとにダイボンドペーストやダイボンドフィルムを塗布・貼り付けする工程が必要であり、生産性が劣るという欠点を有していた。
【0003】
更なる生産性を向上するために、ダイシング前の半導体ウェハにダイボンドフィルム、ダイシングテープを順次ラミネートし、ダイシングする手法が提案され、それによりダイボンディング工程において大幅な生産性向上が達成したが、本手法ではウェハに2度のラミネート工程を必要とする、またダイシングテープとダイボンドフィルムの組み合わせによっては、ダイボンディング工程においてピックアップ不具合が発生するなどの問題を有していた。近年更なる生産性や歩留まり向上を目的に、ダイシングテープとダイボンディングテープとを事前に組み合わせたダイシング・ダイボンディング一体型テープが考案され、用いられるようになってきた。このダイシング・ダイボンディング一体型テープを用いると、半導体ウェハへのラミネート工程は1回で済むため、前述手法よりも更に生産性に優れるという特徴を有している。
【0004】
ここで、ダイシング・ダイボンドフィルムは、半導体ウェハのダイシング工程には、ダイシングブレードの高速回転による応力や、切削水の水流などによりダイシングテープと接着剤層とが剥離しない様、ダイシングテープの粘着層には強い粘着力を要求される。一方、ダイシング後のピックアップ工程では、半導体チップが接着剤層と共にダイシングテープから容易に剥離できることが要求される。
【0005】
このような問題を克服するために、種々の改良法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、支持基材と接着剤層との間に紫外線硬化が可能な粘着剤層を介在させ、これをダイシング後に紫外線硬化して、粘着剤層と接着剤層との間の接着力を低下させ、両者間の剥離により半導体チップのピックアップを容易にする方法が提案されている。
【0006】
しかし、本手法を以ってしても、近年特に半導体ウェハの薄型化に伴い、チップの抗折強度が低下しているため、ダイボンド工程におけるピックアップ時の応力によってチップが割れてしまい、ピックアップできないという問題が新たに発生してきた。従って、チップに最低限の応力で、すなわち、ピックアップ時の突き上げハイト量が少ない量でピックアップ可能なダイシング・ダイボンディング一体型テープが求められてきた。
【0007】
更にダイシングプロセスにおいては高スループット化の要求に伴い、ダイシング工程時に発生する切削屑、例えばヒゲバリと呼ばれる糸状の切削屑が問題になるなどの問題も浮上してきており、これら双方の特性を満たすダイシング・ダイボンディング一体型テープが求められてきた。
【0008】
このような課題解決のため、粘着層の破断伸び率を制御する(例えば、特許文献2参照)、粘着層の組成を最適化する(例えば、特許文献3、特許文献4参照)などの検討がなされているが、現状十分な特性を有するダイシング・ダイボンディング一体型テープは得られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平2−248064号公報
【特許文献2】特開2005−235795号公報
【特許文献3】特開2009−170786号公報
【特許文献4】特許第4002236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑み、ダイシング工程時にヒゲバリなどの切削屑が発生せず、かつダイボンディング工程において低突き上げハイト量でピックアップ可能であり、かつ薄型ウェハでも良好なピックアップ特性を有するダイシング・ダイボンディング一体型テープ用ダイシングテープを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、少なくとも基材層、粘着層、接着層が順次積層された構成からなるダイシング・ダイボンディング一体型テープにおいて、粘着層が、ガラス転移温度が−40℃以下、水酸基価が20〜150mgKOH/g、連鎖重合可能な官能基を0.3〜1.5mmol/g含まれ、かつ酸価が実質検出されず、重量平均分子量が30万以上である(メタ)アクリル樹脂(A)と、紫外線、電子線、可視光線から選ばれる少なくとも1種を照射することで連鎖重合可能な活性種を発生しうる光開始剤(B)、及び水酸基と反応しうる官能基を1分子中に2つ以上有する架橋剤(C)を成分として含まれるものであって、粘着層の破断伸び率が300%以下で、かつ電子線、紫外線、可視光線から選ばれる少なくとも1種の光線を粘着層に照射することにより、粘着層の破断伸びが90%以下である粘着層を有する粘着層をダイシングテープに用いることで上記課題を解決し得ることを見出した。
【0012】
すなわち、本発明は、
(1)少なくとも基材層、粘着層、接着層が順次積層された構成からなるダイシング・ダイボンディング一体型テープにおいて、粘着層が、ガラス転移温度が−40℃以下、水酸基価が20〜150mgKOH/g、連鎖重合可能な官能基を0.3〜1.5mmol/g含まれ、かつ酸価が実質検出されず、重量平均分子量が30万以上である(メタ)アクリル樹脂(A)と、紫外線、電子線、可視光線から選ばれる少なくとも1種を照射することで連鎖重合可能な活性種を発生しうる光開始剤(B)、及び水酸基と反応しうる官能基を1分子中に2つ以上有する架橋剤(C)を成分として含まれるものであって、前記粘着層において、前記(C)成分の配合量が、前記(A)成分100質量部に対して3〜30質量部であり、粘着層の破断伸び率が300%以下で、かつ電子線、紫外線、可視光線から選ばれる少なくとも1種の光線を粘着層に照射することにより、粘着層の破断伸びが90%以下になることを特徴とするダイシング・ダイボンディング一体型テープ用ダイシングテープ、
(2)粘着層において(A)の構成単量体に、C8〜C23の脂肪族エステルである(メタ)アクリルエステルを有することを特徴とする前記のダイシング・ダイボンディング一体型テープ用ダイシングテープ、
(3)粘着層において、(A)に含まれる連鎖重合可能な官能基が、アクリル基、メタクリル基から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前記のダイシング・ダイボンディング一体型テープ用ダイシングテープ、
(4)粘着層において、(C)が、1分子中に2つ以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネートと、1分子中に3つ以上のOH基を有する多価アルコールの反応物であることを特徴とする前記のダイシング・ダイボンディング一体型テープ用ダイシングテープ、
(5)粘着層において、(C)の配合量が、(A)を100質量部に対して3〜30質量部であることを特徴とする前記のダイシング・ダイボンディング一体型テープ用ダイシングテープ、
(6)粘着層において、(B)が光ラジカル開始剤であることを特徴とする前記のダイシング・ダイボンディング一体型テープ用ダイシングテープ、
(7)粘着層において、(B)が酸素原子、炭素原子のみで構成された分子であることを特徴とする前記のダイシング・ダイボンディング一体型テープ用ダイシングテープに関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ダイシング工程時にヒゲバリなどの切削屑が発生せず、かつダイボンディング工程において、低突き上げハイト量でピックアップ可能であり、かつ薄型ウェハでも良好なピックアップ特性を有するダイシング・ダイボンディング一体型テープ用ダイシングテープを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、発明を詳細に説明する。
少なくとも基材層、粘着層、接着層が順次積層された構成からなるダイシング・ダイボンディング一体型テープにおいて、粘着層が、ガラス転移温度が−40℃以下、水酸基価が20〜150mgKOH/g、連鎖重合可能な官能基を0.3〜1.5mmol/g含まれ、かつ酸価が実質検出されず、重量平均分子量が30万以上である(メタ)アクリル樹脂(A)と、紫外線、電子線、可視光線から選ばれる少なくとも1種を照射することで連鎖重合可能な活性種を発生しうる光開始剤(B)、及び水酸基と反応しうる官能基を1分子中に2つ以上有する架橋剤(C)を成分として含まれるものであって、前記粘着層において、前記(C)成分の配合量が、前記(A)成分100質量部に対して3〜30質量部であり、粘着層の破断伸び率が300%以下で、かつ電子線、紫外線、可視光線から選ばれる少なくとも1種の光線を粘着層に照射することにより、粘着層の破断伸びが90%以下になる。粘着層にこのような特徴を持たせることで、ダイシング工程時にヒゲバリなどの不具合が発生せず、かつダイボンディング工程において低突き上げハイト量でピックアップ可能であり、かつ薄型ウェハでも良好なピックアップ特性を有するダイシング・ダイボンディング一体型テープ用ダイシングテープを提供することができる。
【0015】
粘着層の破断伸び率が300%を超えると、粘着層が柔らかいためダイシング工程時にヒゲバリ等の原因となりやすく、また光線を照射した後の粘着層の破断伸びが90%以上の場合、粘着層が柔らかくなるためダイボンディングテープとダイシングテープの界面が容易に剥離しにくく、またエキスパンド時に粘着層のブロッキングが発生しやすくなる結果、ピックアップ性が低下してしまうため好ましくない。以上の理由から、粘着層の破断伸び率は、200%以下で、かつ光線を照射することにより粘着層の破断伸び率が60%以下になることがより好ましい。
【0016】
ここで、紫外線及び電子線、可視光線から選ばれる少なくとも1種とは、一般に760nm以下の波長を有する光である。用いる光源に特に制限はなく、既知のものが使用されるが一例として紫外線照射装置の場合、水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハロゲンランプ、ハロゲンランプ等のほか、LED光源等も使用できる。また紫外線照射装置を用いる場合においては、照度1〜300mW/cmで、10〜2000mJ/cm照射することで、粘着層の破断伸び率を低減させることが可能である。
【0017】
通常用いる光線としては、可視光線では作業環境中に硬化反応が進行してしまい、また電子線は照射設備が極めて大きく、設備投資が過大となることから、紫外線を用いるのが好ましい。ここで紫外線とは通常200〜400nmの波長を有する光線のことである。
【0018】
ここで更に(メタ)アクリル系樹脂(A)について詳細に説明する。(A)はガラス転移温度が−40℃以下、水酸基価が20〜150mgKOH/g、連鎖重合可能な官能基を0.3〜1.5mmol/g含まれ、かつ酸価が実質検出されず、重量平均分子量が30万以上である。このような構造を満足する(メタ)アクリル系樹脂を用いることで、前述記載の優れた特性を有する粘着層を得ることができる。
【0019】
ここでガラス転移温度が−40℃よりも高いと、架橋剤(C)によってガラス転移温度が上昇してしまい、粘着性が大幅に失われるだけでなく、粘着性を維持するためには架橋剤を十分に配合できなくなるため、架橋密度が低くなり粘着層の破断伸び率が上昇する結果、十分な切削性を得ることができないため好ましくない。また水酸基価が20mgKOH/gよりも少ないと、凝集力が不足するためダイシング工程に必要な十分な凝集力が得られないだけでなく、架橋剤(C)の配合による架橋量が低下する結果、破断伸び率が上昇し、十分な切削性が得られない。さらに、凝集力不足により、ダイシング時にダイボンディングテープの剥がれやチップの剥がれ、ダイシングリングからの剥がれなどが発生するため好ましくない。また150mgKOH/gよりも多いと、(C)を配合の際にポットライフが著しく低下するため粘着層を形成しにくくなったり、(メタ)アクリル系樹脂を合成する際に重合発熱が著しく大きくなり、合成が困難となるため好ましくない。
【0020】
また連鎖重合可能な官能基が0.3mmol/gよりも少ないと、紫外線又は電子線照射により粘着層の破断伸び率が十分に低下しなくなり、エキスパンド時に粘着層のブロッキングが発生しやすくなる結果、ダイボンディング工程において、ダイボンディングテープとの剥離性が十分に低下せず、ピックアップ時に不具合が発生するため好ましくなく、1.5mmol/gを超えると、コスト高となり、かつ製造が極めて困難となるため好ましくない。また酸価が検出される(メタ)アクリル系樹脂を用いるとダイボンディング工程においてダイボンディングテープとの剥離性が十分に低下しないだけでなく、ダイボンディングテープに含まれるエポキシ樹脂との反応が進行してしまい、ダイシング・ダイボンディング一体型テープにおける製品ライフが低下するため好ましくない。更に重量平均分子量が30万より小さいと、ダイシング工程に必要な十分な凝集力が得られにくいため好ましくない。
【0021】
このような特徴を有する(メタ)アクリル系樹脂は、既知の方法で合成することで得ることができるが、例えば、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法、塊状重合法、析出重合法、気相重合法、プラズマ重合法、超臨界重合法が用いられる。また、重合反応の種類としては、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、リビングラジカル重合、リビングカチオン重合、リビングアニオン重合、配位重合、イモーダル重合等の他、ATRP(原子移動ラジカル重合)やRAFT(可逆的付加開裂連鎖移動重合)といった手法も用いることができる。この中でも、溶液重合法を用いてラジカル重合により合成することは、経済性の良さや、反応率の高さ、重合制御の容易さなどの他、重合で得られた樹脂溶液をそのまま用いて配合できる等の配合の簡便さもあるため好ましい。
【0022】
ここで、溶液重合法を用いてラジカル重合により(メタ)アクリル系樹脂を得る方法を例に、更に(A)の合成法について詳細に説明する。
(A)を合成する際に用いられるモノマーとしては、一分子中に1個の(メタ)アクリル基を有するものであれば特に制限はないが、具体的に例示するのであれば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチルヘプチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)スクシネート等の脂肪族(メタ)アクリレート;シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)テトラヒドロフタレート、モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)ヘキサヒドロフタレート等の脂環式(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、o−ビフェニル(メタ)アクリレート、1−ナフチル(メタ)アクリレート、2−ナフチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、p−クミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、1−ナフトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ナフトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(o−フェニルフェノキシ)プロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(1−ナフトキシ)プロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(2−ナフトキシ)プロピル(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート;2−テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、N−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−N−カルバゾール等の複素環式(メタ)アクリレート、これらのカプロラクトン変性体、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、α−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、α−プロピルグリシジル(メタ)アクリレート、α−ブチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−プロピルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、α−エチル−6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル等のエチレン性不飽和基とエポキシ基を有する化合物;(2−エチル−2−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、(2−メチル−2−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、2−(2−エチル−2−オキセタニル)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−メチル−2−オキセタニル)エチル(メタ)アクリレート、3−(2−エチル−2−オキセタニル)プロピル(メタ)アクリレート、3−(2−メチル−2−オキセタニル)プロピル(メタ)アクリレート等のエチレン性不飽和基とオキセタニル基を有する化合物;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート等のエチレン性不飽和基とイソシアネート基を有する化合物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のエチレン性不飽和基とヒドロキシル基を有する化合物が挙げられ、これらを適宜組み合わせて目的とする組成物を得ることができる。
【0023】
更に必要に応じて、上述モノマと共重合可能なスチレン、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−イソブチルマレイミド、N−2−メチル−2−プロピルマレイミド、N−ペンチルマレイミド、N−2−ペンチルマレイミド、N−3−ペンチルマレイミド、N−2−メチル−1−ブチルマレイミド、N−2−メチル−2−ブチルマレイミド、N−3−メチル−1−ブチルマレイミド、N−3−メチル−2−ブチルマレイミド、N−ヘキシルマレイミド、N−2−ヘキシルマレイミド、N−3−ヘキシルマレイミド、N−2−メチル−1−ペンチルマレイミド、N−2−メチル−2−ペンチルマレイミド、N−2−メチル−3−ペンチルマレイミド、N−3−メチル−1−ペンチルマレイミド、N−3−メチル−2−ペンチルマレイミド、N−3−メチル−3−ペンチルマレイミド、N−4−メチル−1−ペンチルマレイミド、N−4−メチル−2−ペンチルマレイミド、N−2,2−ジメチル−1−ブチルマレイミド、N−3,3−ジメチル−1−ブチルマレイミド、N−3,3−ジメチル−2−ブチルマレイミド、N−2,3−ジメチル−1−ブチルマレイミド、N−2,3−ジメチル−2−ブチルマレイミド、N−ヒドロキシメチルマレイミド、N−1−ヒドロキシエチルマレイミド、N−2−ヒドロキシエチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−1−プロピルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−1−プロピルマレイミド、N−3―ヒドロキシ−1−プロピルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−プロピルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−プロピルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−1−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−1−ブチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−1−ブチルマレイミド、N−4−ヒドロキシ−1−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−ブチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−2−ブチルマレイミド、N−4−ヒドロキシ−2−ブチルマレイミド、N−2−メチル−3−ヒドロキシ−1−プロピルマレイミド、N−2−メチル−3−ヒドロキシ−2−プロピルマレイミド、N−2−メチル−2−ヒドロキシ−1−プロピルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−1−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−1−ペンチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−1−ペンチルマレイミド、N−4−ヒドロキシ−1−ペンチルマレイミド、N−5−ヒドロキシ−1−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−ペンチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−2−ペンチルマレイミド、N−4−ヒドロキシ−2−ペンチルマレイミド、N−5−ヒドロキシ−2−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−ペンチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−3−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−メチル−2−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−メチル−3−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−メチル−4−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−メチル−3−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−メチル−4−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−メチル−3−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−メチル−4−ブチルマレイミド、N−4−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブチルマレイミド、N−4−ヒドロキシ−2−メチル−2−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−1−プロピルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−1−プロピルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−1−ヘキシルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−ヘキシルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3−ヘキシルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−4−ヘキシルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−5−ヘキシルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−6−ヘキシルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−1−ヘキシルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−ヘキシルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−ヘキシルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−4−ヘキシルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−5−ヘキシルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−6−ヘキシルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−1−ヘキシルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−2−ヘキシルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−3−ヘキシルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−4−ヘキシルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−5−ヘキシルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−6−ヘキシルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−メチル−1−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−メチル−2−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−メチル−3−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−メチル−4−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−メチル−5−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−メチル−2−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−メチル−3−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−メチル−4−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−メチル−5−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−メチル−1−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−メチル−2−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−メチル−3−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−メチル−4−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−メチル−5−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−4−メチル−1−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−4−メチル−3−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−4−メチル−4−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−4−メチル−5−ペンチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−2−メチル−1−ペンチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−2−メチル−2−ペンチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−2−メチル−3−ペンチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−2−メチル−4−ペンチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−2−メチル−5−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−4−メチル−1−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−4−メチル−3−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−4−メチル、N−1−ヒドロキシ−3−メチル−1−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3−メチル−2−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3−メチル−3−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3−メチル−4−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3−メチル−5−ペンチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ペンチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3−エチル−4−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−エチル−4−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−エチル−1−ブチルマレイミド、N−4−ヒドロキシ−3−エチル−1−ブチルマレイミド、N−4−ヒドロキシ−3−エチル−2−ブチルマレイミド、N−4−ヒドロキシ−3−エチル−3−ブチルマレイミド、N−4−ヒドロキシ−3−エチル−4−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2,3−ジメチル−1−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2,3−ジメチル−2−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2,3−ジメチル−3−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2,3−ジメチル−4−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2,3−ジメチル−1−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2,3−ジメチル−3−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2,3−ジメチル−4−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−1−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−3−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−4−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−1−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−2−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−4−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−1−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−2−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−4−ブチルマレイミド等のアルキルマレイミド;N−シクロプロピルマレイミド、N−シクロブチルマレイミド、N−シクロペンチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−シクロヘプチルマレイミド、N−シクロオクチルマレイミド、N−2−メチルシクロヘキシルマレイミド、N−2−エチルシクロヘキシルマレイミド、N−2−クロロシクロヘキシルマレイミド等のシクロアルキルマレイミド;N−フェニルマレイミド、N−2−メチルフェニルマレイミド、N−2−エチルフェニルマレイミド、N−2−クロロフェニルマレイミド等のアリールマレイミドなどを、適宜用いることができる。
【0024】
この中でも、C8〜C23の脂肪族エステルである(メタ)アクリルエステルから選ばれる少なくとも1種を用いるのが好ましい。このようなモノマー成分を共重合して得られた(メタ)アクリル系樹脂はガラス転移温度が低いため、粘着材は優れた粘着特性を示すだけでなく、疎水性相互作用が強いため紫外線又は電子線を照射した後においては、ダイボンディングテープとダイシングテープとの界面における剥離性が優れているため好ましい。
【0025】
またこのような(メタ)アクリル系樹脂を得るために必要な重合開始剤としては、30℃以上の加熱によりラジカルを発生する化合物であれば特に制限はないが、例えばメチルエチルケトンパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシド、メチルシクロヘキサノンパーオキシド等のケトンパーオキシド;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等のパーオキシケタール;p−メンタンヒドロパーオキシド等のヒドロパーオキシド;α、α´−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド等のジアルキルパーオキシド;オクタノイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ステアリルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド;ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシカーボネート等のパーオキシカーボネート;t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウリレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート等のパーオキシエステル;2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2´−アゾビス(4−メトキシ−2´−ジメチルバレロニトリル)が挙げられる。
【0026】
また溶液重合の際に用いられる反応溶媒としては、(A)を溶解しえるものであれば、特に制限はないが、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、クメン、p−シメン等の芳香族炭化水素;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等の環状エーテル;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン等のケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン等のエステル;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の炭酸エステル;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の多価アルコールアルキルエーテルアセテート;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミドが挙げられ、更にこれらの有機溶剤は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。更に超臨界二酸化炭素等を溶媒に用いて重合することもできる。
【0027】
さらに得られた(メタ)アクリル樹脂に、紫外線や電子線、可視光線の照射によって反応しうる官能基を化学的に結合させることによって、感光性を付与することができる。ここでいう、紫外線や電子線、可視光線の照射によって反応しうる官能基とは、具体的に例示するのであれば、(メタ)アクリル基、ビニル基、アリル基、グリシジル基、脂環式エポキシ基、オキセタン基等が挙げられる。その組成や合成方法に特に制限はないが、例えば上記の(メタ)アクリル系樹脂を合成する際に、前もって付加反応しうる官能基、例えば水酸基、カルボキシル基、無水マレイル基、グリシジル基、アミノ基を有するモノマーと共重合することで(メタ)アクリル樹脂に付加反応可能な官能基を導入し、そこに少なくとも1つのエチレン性不飽和基と、エポキシ基、オキセタニル基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、カルボキシル基等から選ばれる少なくともの1つの官能基を有する化合物とを付加反応させて側鎖にエチレン性不飽和基を導入することで、(メタ)アクリル系樹脂に感光性を付与することができる。
【0028】
このような化合物としては特に制限はなく、グリシジル(メタ)アクリレート、α−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、α−プロピルグリシジル(メタ)アクリレート、α−ブチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−プロピルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、α−エチル−6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル等のエチレン性不飽和基とエポキシ基を有する化合物;(2−エチル−2−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、(2−メチル−2−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、2−(2−エチル−2−オキセタニル)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−メチル−2−オキセタニル)エチル(メタ)アクリレート、3−(2−エチル−2−オキセタニル)プロピル(メタ)アクリレート、3−(2−メチル−2−オキセタニル)プロピル(メタ)アクリレート等のエチレン性不飽和基とオキセタニル基を有する化合物;メタクリロイルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート等のエチレン性不飽和基とイソシアネート基を有する化合物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のエチレン性不飽和基とヒドロキシル基を有する化合物;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、コハク酸(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)、2−フタロイルエチル(メタ)アクリレート、2−テトラヒドロフタロイルエチル(メタ)アクリレート、2−ヘキサヒドロフタロイルエチル(メタ)アクリレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、3−ビニル安息香酸、4−ビニル安息香酸等のエチレン性不飽和基とカルボキシル基を有する化合物などが挙げられる。
【0029】
これらの中でもコストや反応性の観点から、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、イソシアン酸エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、2−ヘキサヒドロフタロイルエチル(メタ)アクリレート等を用いて、(メタ)アクリル系樹脂と反応させ、感光性を付与することが好ましい。これらの化合物は、単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。また必要に応じて、付加反応を促進する触媒を添加したり、反応中の二重結合の開裂を避ける目的で重合禁止剤を添加することもできる。また更に好ましくは、OH基を含有する(メタ)アクリル系樹脂と2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネートから選ばれる少なくとも1種との反応物である。
【0030】
次に光開始剤(B)について詳細に説明する。(B)は紫外線、電子線、可視光線から選ばれる少なくとも1種を照射することで連鎖重合可能な活性種を発生すれば、特に制限はない。ここで連鎖重合可能な活性種とは、連鎖重合可能な官能基と反応することで重合反応が開始されるものであれば特に制限はない。例えば、光ラジカル重合開始剤としては、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン等のベンゾインケタール;1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン等のα−ヒドロキシケトン;2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、1,2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン等のα−アミノケトン;1−[(4−フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタジオン−2−(ベンゾイル)オキシム等のオキシムエステル;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド等のホスフィンオキシド;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;ベンゾフェノン、N,N´−テトラメチル−4,4´−ジアミノベンゾフェノン、N,N´−テトラエチル−4,4´−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4´−ジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン等のキノン化合物;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;ベンジルジメチルケタール等のベンジル化合物;9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9、9´−アクリジニルヘプタン)等のアクリジン化合物:N−フェニルグリシン、クマリンが挙げられる。
【0031】
また、前記2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体において、2つのトリアリールイミダゾール部位のアリール基の置換基は、同一で対称な化合物を与えてもよく、相違して非対称な化合物を与えてもよい。また、ジエチルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸の組み合わせのように、チオキサントン化合物と3級アミンとを組み合わせてもよい。
【0032】
さらに光カチオン重合開始剤としては、例えば、p−メトキシベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート等のアリールジアゾニウム塩、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート等のジアリールヨードニウム塩;トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウムペンタフルオロヒドロキシアンチモネート等のトリアリールスルホニウム塩;トリフェニルセレノニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルセレノニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルセレノニウムヘキサフルオロアンチモネート等のトリアリールセレノニウム塩;ジメチルフェナシルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジエチルフェナシルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート等のジアルキルフェナシルスルホニウム塩;4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−ヒドロキシフェニルベンジルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート等のジアルキル−4−ヒドロキシ塩;α−ヒドロキシメチルベンゾインスルホン酸エステル、N−ヒドロキシイミドスルホネート、α−スルホニロキシケトン、β−スルホニロキシケトン等のスルホン酸エステルが挙げられるが、これらのカチオン重合開始剤は、単独で又は2種類以上組み合わせて用いることができる。さらに、適切な増感剤と組み合わせて用いることもできる。
【0033】
その中でもダイボンディングテープに厳しい絶縁性や絶縁信頼性が必要な場合は、光ラジカル開始剤を用いるのが好ましく、その中でも酸素原子、炭素原子のみで構成された分子である2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン等のベンゾインケタール;1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン等のα−ヒドロキシケトン、ベンゾフェノン、2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン等のキノン化合物;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;ベンジルジメチルケタール等のベンジル化合物;9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9、9´−アクリジニルヘプタン)等のアクリジン化合物:N−フェニルグリシン、クマリン等は、ダイシング・ダイボンディング一体型テープにおける保存安定性に優れるため好ましく、更に2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、ベンゾフェノンは一般の紫外線遮光型蛍光灯の元での取り扱いが可能であり、イエロールーム等の設備が必要でないため更に好ましい。通常これらの光開始剤(B)の配合量は、目的とする粘着層の厚みや用いる光源によって最適値は異なるが、(A)100質量部に対して0.1〜10質量部配合することで、目標とする特性が達成される。
【0034】
粘着層には、破断伸び率や粘着力の制御を目的に、架橋剤(C)を用いることができる。ここでいう架橋剤とは、(A)に導入された水酸基、グリシジル基、アミノ基等から選ばれる少なくとも1種と、これらの官能基と反応しうる官能基を1分子中に2つ以上有する化合物であり、その構造には制限はない。このような架橋剤で形成される結合としては、エステル結合、エーテル結合、アミド結合、イミド結合、ウレタン結合、ウレア結合等が挙げられる。その中でも(C)に、1分子中に2つ以上のイソシアネート基を有することが好ましい。このような化合物を用いると、(A)に導入された水酸基、グリシジル基、アミノ基等と容易に反応し、強固な架橋構造を形成するため好ましい。
【0035】
ここで1分子中に2つ以上のイソシアネート基を有する架橋剤とは、具体的に例示すれば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4´−ジイソシアネート、3−メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4´−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4´−ジイソシアネート、リジンイソシアネート等のイソシアネート化合物が挙げられる。
【0036】
また更に上述のイソシアネート化合物と、1分子中に2つ以上のOH基を有する多価アルコール類を反応させることで得られるイソシアナート基含有オリゴマーを用いることもできる。そのようなオリゴマーを得る場合、1分子中に2つ以上のOH基を有する多価アルコールの例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオールが挙げられる。
【0037】
これらの中でも、(C)が、1分子中に2つ以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネートと、1分子中に3つ以上のOH基を有する多価アルコールの反応物であることが更に望ましい。このようなイソシアネート基含有オリゴマーを用いることで、粘着層が緻密な架橋構造を形成し、ダイボンディング工程後のチップへの粘着層残りなどを無くすことができる。
【0038】
ここで、(C)の配合量は、目的とする粘着層の凝集力、ダイボンディングテープとの密着性、粘着層の破断伸び率等によって異なるため特に制限はないが、(C)の配合量が、(A)を100質量部に対して3〜30質量部である。このような配合量にすることで、ダイシング工程に必要な粘着層の特性と、ダイボンディング工程に必要な粘着層の特性をバランスよく両立することが可能であり、かつダイボンディング工程後のチップへの粘着層残りなどを無くすことができる。ここで3質量部よりも少ないと、架橋構造が不十分となり、ダイシング工程時における粘着層由来のバリ成分が柔らかくなるため、切削水で十分にバリを除去できずチップに付着したり、ダイボンディング工程においてダイボンディングテープとの界面密着力が十分に低下せずにピックアップ時に不良が発生するため好ましくない。また30質量部よりも多いと、未反応のイソシアネート基が多量に存在してしまい、それが切削水や空気中の水分と反応してアミンが発生することで、ダイボンディングテープとの界面密着性が大幅に上昇したり、粘着層が固すぎて、ダイシング工程時に切削水の圧力でチップ飛びやダイボンディングテープが剥離してしまう、またチップ側面に付着したダイシング時のバリが非常に硬くなってしまうため、バリによって強固にチップが固着されてしまい、むしろピックアップ時に不良が発生してしまうなどの問題が生じるため好ましくない。以上の理由から、(C)の配合量は、5〜15質量部であるのが好ましい。
【0039】
粘着層は基材上に積層された形状を有する。このような形状は既知の手法で得られるが、例えば基材と粘着剤成分を二層押し出し法で押し出しても良いし、(A)〜(C)の材料を有機溶剤とともに混合した粘着剤ワニスを作成し、これを直接基材に塗工する、又は離型処理されたフィルム状に塗工・乾燥後、基材に粘着層を転写することにより作成できる。ここで粘着剤ワニスに用いる有機溶剤は、(A)〜(C)からなる材料を溶解し、かつ加熱により揮発可能なものであれば特に制限はないが、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、クメン、p−シメン等の芳香族炭化水素;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等の環状エーテル;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン等のケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン等のエステル;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の炭酸エステル;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の多価アルコールアルキルエーテルアセテート;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミドが挙げられる。
【0040】
これらの中で、溶解性及び沸点の観点から、例えば、トルエン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、N,N−ジメチルアセトアミドであることが好ましい。これらの有機溶剤は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。また、樹脂ワニス中の固形分濃度は、通常10〜60質量%であることが好ましい
【0041】
ここで基材層について詳細に説明する。基材層には、既知のポリマーシート又はフィルムを用いることができる。本発明のダイシング・ダイボンディング一体型テープ用ダイシングテープにおいては、ダイボンディング工程中のエキスパンド時において、エキスパンド可能であれば特に制限は無いが、好ましい基材を例示すれば、結晶性ポリプロピレン、非晶性ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、低密度直鎖ポリエチレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル(ランダム、交互)共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、全芳香族ポリアミド、ポリフェニルスルフイド、アラミド(紙)、ガラス、ガラスクロス、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セルロース系樹脂、シリコーン樹脂や、これらに可塑剤を混合した混合物、また、電子線照射により架橋を施した硬化物などが挙げられる。
【0042】
基材層において、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン−ポリプロピレンランダム共重合体、ポリエチレン−ポリプロピレンブロック共重合体から選ばれる少なくとも1種が主成分である層が、粘着層と接していることが好ましい。これらの樹脂は、ヤング率や応力緩和性、融点などの特性や、価格面、使用後の廃材リサイクル等観点からも良好な基材である。また基材層は、単層でも構わないが、必要に応じて異なる材質からなる層が積層された多層構造を有してても良い。このような基材の製造法としては、多層押し出し法で異なる層を有する基材層を一度で作っても良いし、インフレーション法や単層押し出し法で作られたフィルムを接着剤を用いて張り合わせる、または熱溶着によって張り合わせる等の手法により得ることができる。また基材層には粘着層との密着性を制御するため、必要に応じて、マット処理、コロナ処理等の表面粗化処理を施しても良い。
【0043】
続いて接着層について詳細に説明する。接着層には、既知のダイボンディングテープを用いることが出来る。本発明のダイシング・ダイボンディング一体型テープ用ダイシングテープと貼り付ける接着層においては、特に制限は無いが、好ましい接着層を例示すれば、エポキシ基含有アクリル共重合体、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂硬化剤を必須成分として含まれることを特徴とするダイシング・ダイボンディング一体型テープであるのが好ましい。このような組成を有する接着層は、チップ/基板間、チップ/チップ間の接着性に優れ、また電極埋め込み性やワイヤー埋め込み性なども付与可能で、かつダイボンディング工程では低温で接着でき、短時間で優れた硬化が得られる、封止剤でモールド後は優れた信頼性を有する等の特徴があり好ましい。
【0044】
ここでエポキシ樹脂とは、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノールのジグリシジリエーテル化物、ナフタレンジオールのジグリシジリエーテル化物、フェノール類のジグリシジリエーテル化物、アルコール類のジグリシジルエーテル化物、及びこれらのアルキル置換体、ロゲン化物、水素添加物等の二官能エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。また、多官能エポキシ樹脂や複素環含有エポキシ樹脂等、一般に知られているものを適用することもできる。これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。さらに、特性を損なわない範囲でエポキシ樹脂以外の成分が不純物として含まれていてもよい。
【0045】
またエポキシ樹脂硬化剤としては、例えば、フェノール化合物と2価の連結基であるキシリレン化合物を、無触媒又は酸触媒の存在下に反応させて得ることができるフェノール樹脂のようなものが挙げられる。フェノール樹脂の製造に用いられるフェノール化合物としては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−n−プロピルフェノール、m−n−プロピルフェノール、p−n−プロピルフェノール、o−イソプロピルフェノール、m−イソプロピルフェノール、p−イソプロピルフェノール、o−n−ブチルフェノール、m−n−ブチルフェノール、p−n−ブチルフェノール、o−イソブチルフェノール、m−イソブチルフェノール、p−イソブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、2,4−キシレノール、2,6−キシレノール、3,5−キシレノール、2,4,6−トリメチルフェノール、レゾルシン、カテコール、ハイドロキノン、4−メトキシフェノール、o−フェニルフェノール、m−フェニルフェノール、p−フェニルフェノール、p−シクロヘキシルフェノール、o−アリルフェノール、p−アリルフェノール、o−ベンジルフェノール、p−ベンジルフェノール、o−クロロフェノール、p−クロロフェノール、o−ブロモフェノール、p−ブロモフェノール、o−ヨードフェノール、p−ヨードフェノール、o−フルオロフェノール、m−フルオロフェノール、p−フルオロフェノール等が例示される。これらのフェノール化合物は、単独で用いてもよく、二種類以上を混合して用いてもよい。フェノール樹脂の製造に用いられる2価の連結基であるキシリレン化合物としては、次に示すキシリレンジハライド、キシリレンジグリコール及びその誘導体が用いることができる。すなわち、α,α´−ジクロロ−p−キシレン、α,α´−ジクロロ−m−キシレン、α,α´−ジクロロ−o−キシレン、α,α´−ジブロモ−p−キシレン、α,α´−ジブロモ−m−キシレン、α,α´−ジブロモ−o−キシレン、α,α´−ジヨード−p−キシレン、α,α´−ジヨード−m−キシレン、α,α´−ジヨード−o−キシレン、α,α´−ジヒドロキシ−p−キシレン、α,α´−ジヒドロキシ−m−キシレン、α,α´−ジヒドロキシ−o−キシレン、α,α´−ジメトキシ−p−キシレン、α,α´−ジメトキシ−m−キシレン、α,α´−ジメトキシ−o−キシレン、α,α´−ジエトキシ−p−キシレン、α,α´−ジエトキシ−m−キシレン、α,α´−ジエトキシ−o−キシレン、α,α´−ジ−n−プロポキシ−p−キシレン、α,α´−ジ−n−プロポキシ−m−キシレン、α,α´−ジ−n−プロポキシ−o−キシレン、α,α´−ジ−イソプロポキシ−p−キシレン、α,α´−ジイソプロポキシ−m−キシレン、α,α´−ジイソプロポキシ−o−キシレン、α,α´−ジ−n−ブトキシ−p−キシレン、α,α´−ジ−n−ブトキシ−m−キシレン、α,α´−ジ−n−ブトキシ−o−キシレン、α,α´−ジイソブトキシ−p−キシレン、α,α´−ジイソブトキシ−m−キシレン、α,α´−ジイソブトキシ−o−キシレン、α,α´−ジ−tert−ブトキシ−p−キシレン、α,α´−ジ−tert−ブトキシ−m−キシレン、α,α´−ジ−tert−ブトキシ−o−キシレンを挙げることができる。これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0046】
上記したフェノール化合物とキシリレン化合物を反応させる際には、塩酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸等の鉱酸類;ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸等の有機カルボン酸類;トリフロロメタンスルホン酸等の超強酸類;アルカンスルホン酸型イオン交換樹脂のような、強酸性イオン交換樹脂類;パーフルオロアルカンスルホン酸型イオン交換樹脂の様な、超強酸性イオン交換樹脂類(商品名:ナフィオン、Nafion、Du Pont社製、「ナフィオン」は登録商標);天然及び合成ゼオライト類;活性白土(酸性白土)類等の酸性触媒を用い、50〜250℃において実質的に原料であるキシリレン化合物が消失し、且つ反応組成が一定になるまで反応させて得られる。反応時間は原料や反応温度にもよるが、おおむね1時間〜15時間程度であり、実際には、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)等により反応組成を追跡しながら決定すればよい。
【0047】
エポキシ基含有アクリル共重合体とは、エポキシ基含有アクリル共重合体は、エポキシ基を有するグリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートを0.5〜6質量%含む。高い接着力を得るためには、0.5質量%以上が好ましく、6質量%以下であればゲル化を抑制できる。上記エポキシ基含有アクリル共重合体のガラス転移点(Tg)としては、−50℃以上30℃以下、更には−10℃以上30℃以下であることが好ましい。
【0048】
官能基モノマーとして用いるグリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートの量は0.5〜6質量%の共重合体比である。つまり、本発明においてエポキシ基含有アクリル共重合体は、原料としてグリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートを、得られる共重合体に対し0.5〜6質量%となる量用いて得られた共重合体をいう。その残部はメチルアクリレート、メチルメタクリレート等の炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、およびスチレンやアクリロニトリル等の混合物を用いることができる。これらの中でもエチル(メタ)アクリレート及び/又はブチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。混合比率は、共重合体のTgを考慮して調整することが好ましい。Tgが−10℃未満であるとBステージ状態での接着剤層又はダイシングダイボンドシートのタック性が大きくなる傾向があり、取り扱い性が悪化することがある。重合方法は特に制限が無く、例えば、パール重合、溶液重合が挙げられ、これらの方法により共重合体が得られる。このようなエポキシ基含有アクリル共重合体としては、例えば、HTR−860P−3(ナガセケムテックス株式会社製、商品名)が挙げられる。
【0049】
エポキシ基含有アクリル共重合体の重量平均分子量は10万以上であり、この範囲であると接着性及び耐熱性が高く、30万〜300万であることが好ましく、50万〜200万であることがより好ましい。300万以下であると、フロー性が低下することにより、半導体素子を貼付ける支持部材に必要に応じて形成された配線回路への充填性が低下する可能性を減らすことができる。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)で標準ポリスチレンによる検量線を用いたポリスチレン換算値である。
【0050】
また接着層成分には、更に必要に応じて、第三級アミン、イミダゾール類、第四級アンモニウム塩類等の硬化促進剤を添加しても良い。このような硬化促進剤としては具体的には、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテートが挙げられ、これらは1種又は2種以上を併用することもできる。
【0051】
また更に、接着層成分には必要に応じて無機フィラーを添加することができる。具体的には水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ほう酸アルミウイスカ、窒化ほう素、結晶質シリカ、非晶質シリカが挙げられ、これらは、1種又は2種以上を併用することもできる。
【0052】
上述記載の成分からなる接着層の厚みは1〜100μmであることが好ましい。このような厚みにすることで、良好な接着性と信頼性を有する接着層が得られる。100μmよりも厚いと、ダイシング時のバリが多く、ダイボンディング工程においてピックアップ時に不具合が生じやすいため好ましくなく、1μm以下では、十分に接着性が得られず、チップを封止樹脂でモールド後の信頼性が劣るため好ましくない。
【実施例】
【0053】
以下、本発明の実施例をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限するものではない。なお、特に記述が無い限り、薬品は全て試薬を使用した。
【0054】
1)ダイシング・ダイボンディング一体型テープの作製
「ダイシングテープ用アクリル粘着剤((A)アクリル樹脂)の合成(製造例1)」
スリーワンモータ、撹拌翼、窒素導入管が備え付けられた容量4000mlのオートクレーブに酢酸エチル1000g、2−エチルヘキシルアクリレートを650g、2−ヒドロキシエチルアクリレートを350g、アゾビスイソブチロニトリルを3.0gを配合し、均一になるまで撹拌後、流量100ml/minにて60分間バブリングを実施し、系中の溶存酸素を脱気した。1時間かけて60℃まで昇温し、昇温後4時間重合させた。その後1時間かけて90℃まで昇温し、更に90℃にて1時間保持後、室温(25℃、以下同様)に冷却した。
次に酢酸エチルを1000g加えて撹拌し希釈した。これに重合禁止剤としてメトキノンを0.1g、ウレタン化触媒として、ジオクチルスズジラウレートを0.05g添加したのち、2−メタクリロキシエチルイソシアネート(昭和電工株式会社製カレンズMOI)を100g加え、70℃で6時間反応させたのち室温に冷却した。その後、酢酸エチルを加え、アクリル樹脂溶液中の不揮発分含有量が35質量%となるよう調整し、連鎖重合可能な官能基を有する(A)アクリル樹脂溶液(製造例1)を得た。
この樹脂の酸価と水酸基価を、JIS K0070に従って測定した。酸価は検出されず、水酸基価は、121mgKOH/gであった。
また得られた(A)アクリル樹脂を60℃で一晩真空乾燥し、得られた固形分をエレメンタール社製全自動元素分析装置varioELにて元素分析し、窒素含有量から導入された2−メタクリロキシエチルイソシアネートの含有量を算出したところ、0.59mmol/gであった。
また東ソー株式会社製SD−8022/DP−8020/RI−8020を使用し、カラムには日立化成株式会社製Gelpack GL−A150−S/GL−A160−Sを用い、溶離液にテトラヒドロフランを用いてGPC測定をした結果、ポリスチレン換算重量平均分子量は42万であった。
上述記載と同じ手法を用い、製造例2〜8に記載の(A)アクリル樹脂溶液を得た。結果を以下表1に記した。
【0055】
【表1】
【0056】
「ダイシングテープの作製」
上述記載の方法で得られた連鎖重合可能な二重結合を有する(A)アクリル樹脂溶液(製造例1)を固形分として100g、(C)架橋剤として多官能イソシアネート(日本ポリウレタン工業株式会社製、コロネートL、固形分75%)を固形分として3.0g、(B)光開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバスペシャリティケミカルズ株式会社製、イルガキュア184、「イルガキュア」は登録商標)を1.0g、更に総固形分含有量が27質量%となるように酢酸エチルを加え、10分間均一に撹拌してダイシングテープ用の粘着層用ワニスを得た。
片面が離型処理された幅350mm、長さ400mm、厚み38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に、粘着剤用ワニスを、アプリケータを用いて粘着層厚みが10μmとなるよう、ギャップを調整しながら塗工し、80℃で5分間乾燥した。
別途、片面がコロナ処理された幅350mm、長さ400mm、厚み100μmのポリオレフィンフィルムを用い、ポリオレフィンフィルムのコロナ処理面と、上述粘着層付きポリエチレンテレフタレートフィルムの粘着層面を室温にて張り合わせ、ゴムロールで粘着させることで粘着層をポリオレフィンフィルムに転写した。その後、室温で3日間放置することでカバーフィルム付きのダイシングテープを得た。
【0057】
「ダイボンディングテープ(DAF−1)の作製」
エポキシ樹脂としてYDCN−703(東都化成株式会社製商品名、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量210、分子量1200、軟化点80℃)55質量部、フェノール樹脂としてミレックスXLC−LL(三井化学株式会社製商品名、フェノール樹脂、水酸基当量175、吸水率1.8%、350℃における加熱重量減少率4%)45質量部、シランカップリング剤としてNUC A−189(日本ユニカー株式会社製商品名、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン)1.7質量部とNUCA−1160(日本ユニカー株式会社製商品名、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン)3.2質量部、フィラーとしてアエロジルR972(シリカ表面にジメチルジクロロシランを被覆し、400℃の反応器中で加水分解させた、メチル基などの有機基を表面に有するフィラー、日本アエロジル株式会社製商品名、シリカ、平均粒径0.016μm)32質量部からなる組成物に、シクロヘキサノンを加えて攪拌混合し、更にビーズミルを用いて90分混練した。
これにグリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレート3質量%を含むアクリルゴムHTR−860P−3(ナガセケムテックス株式会社製商品名、重量平均分子量80万)を280質量部、及び硬化促進剤としてキュアゾール2PZ−CN(四国化成工業株式会社製商品名、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、「キュアゾール」は登録商標)0.5質量部加え、攪拌混合し、真空脱気し、ワニスを得た。
ワニスを厚さ35μmの離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、140℃で5分間加熱乾燥して、膜厚が10μmのBステージ状態の塗膜を形成し、キャリアフィルムを備えたダイボンディングテープを作製した。
【0058】
「ダイシング・ダイボンディング一体型テープの作製」
前述記載の手法により得られたダイボンディングテープを、キャリアテープごと直径220mmの円形にカットした。これにカバーフィルムを剥離したダイシングテープを室温で貼り付け後、室温で1日放置した。その後、直径290mmの円形にダイシングテープをカットし、実施例1記載のダイシング・ダイボンディング一体型テープを得た。
【0059】
2)粘着層の破断伸び率の測定
株式会社島津製作所製オートグラフAGS−1000G(「オートグラフ」は登録商標)を用いて評価した。幅10mm、長さ80mmに切り出したダイシングテープを用い、チャック間距離50mm、変形速度50mm/minにて伸長した。その際、目視で粘着層を確認し、粘着層のみにヒビが入り始めたときを破断点とし、そのときの伸長量から粘着層破断伸び率を算出した。同様の試験を3回行い、平均値を求めた。
【0060】
3)ダイシング性、ダイボンディング性評価
作製したウエハ貼着用ダイシング・ダイボンディング一体型テープ(実施例1)を80℃×10秒で、8インチ50μm厚のウエハへ加熱貼合した後、10mm×10mmにダイシングした。
その際、切削水の水流により、ダイボンディングテープの剥がれやチップの剥がれを確認し、ダイボンディングテープの剥がれ又はチップの剥がれがあるものは「×」、全く見られないものは「○」と判定した。
その後、基材側より粘着剤層に紫外線を空冷式高圧水銀灯(80W/cm、照射距離10cm)により200mJ/cm照射した後、ダイボンダー装置(NECマシナリー製、商品名CPS−100FM)によるピックアップ試験を行い、ピックアップチップ20個でのピックアップ成功率を求めた。
このときピックアップの突き上げ時にウェハに割れが生じてピックアップできなかったものを「×」、400μm以下の突き上げハイト量で100%ピックアップできたものを「○」、300μm以下の突き上げハイト量で100%ピックアップできたものを「◎」として評価した。
またウェハ表面及び、ピックアップした接着層付きチップの断面を観察し、ウェハ表面又はピックアップした粘着層付きチップの断面観察いずれかにおいてヒゲバリが見られたものを「×」、ヒゲバリが見られなかったものを「○」として判定した。
【0061】
以上同様な手法を用いて、実施例2〜4、参考例5、6、及び比較例1〜のダイシング・ダイボンディング一体型テープを作製し、評価を行った。結果を表2及び表3に示した。
【0062】
【表2】
【0063】
【表3】
【0064】
実施例1〜4及び参考例5、6を見てわかるように、本発明で得られたダイシング・ダイボンディング一体型テープは、ダイシング時におけるチップ剥離やダイボンディングテープの剥離が起きず、かつウェハ面やウェハ側面におけるヒゲバリなどの発生が抑えられ、ダイボンディング工程においては、突き出しハイト量が低くてもピックアップ可能であるため、チップへの応力を軽減することが可能である。
【0065】
一方、製造例3記載のアクリル樹脂を用いた比較例1では、架橋剤などを配合する過程で粘着剤溶液がゲル化してしまい、酸価を有する製造例6記載のアクリル樹脂を用いた比較例2では、ダイボンディング工程でピックアップできなかった。また分子量が低い製造例7記載のアクリル樹脂を用いた比較例3や、ガラス転移温度が高い製造例8記載のアクリル樹脂を用いた比較例4では、ダイシング工程において、ダイボンディングテープやチップが一部剥離する傾向が見られた。また架橋剤量が少ない(3質量部未満)比較例5では、UV硬化前の破断伸び率が高いためにヒゲバリが発生し、またUV硬化後の破断伸び率も高いためダイボンディング工程時にピックアップできなかった。また架橋剤が多い(30質量部超)比較例6では、未反応の架橋剤の影響によりダイボンディング層とダイシングテープの粘着層の間で反応が進行してしまい、ダイボンディング工程においてピックアップできなかった。
【0066】
上記に示すように、ダイシング工程においてバリが少なく、かつダイボンディング工程において、薄厚ウェハに対して過大な応力をかける必要なく、低突き上げハイト量でピックアップ可能なダイシング・ダイボンディング一体型テープ用ダイシングテープを提供することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明のダイシング・ダイボンディングテープはダイシング工程においてバリが少なく、かつダイボンディング工程において、薄厚ウェハに対して過大な応力をかける必要なく、低突き上げハイト量でピックアップ可能であるため、半導体製造プロセスにおいて利用することで、優れた生産性を得ることが可能となる。