特許第6220492号(P6220492)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6220492
(24)【登録日】2017年10月6日
(45)【発行日】2017年10月25日
(54)【発明の名称】エポキシ樹脂組成物及び電子部品装置
(51)【国際特許分類】
   C08G 59/68 20060101AFI20171016BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20171016BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20171016BHJP
【FI】
   C08G59/68
   H01L23/30 R
【請求項の数】6
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2011-256804(P2011-256804)
(22)【出願日】2011年11月24日
(65)【公開番号】特開2012-255131(P2012-255131A)
(43)【公開日】2012年12月27日
【審査請求日】2014年10月10日
【審判番号】不服2016-10565(P2016-10565/J1)
【審判請求日】2016年7月12日
(31)【優先権主張番号】特願2011-112357(P2011-112357)
(32)【優先日】2011年5月19日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】日立化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 真也
【合議体】
【審判長】 小柳 健悟
【審判官】 佐久 敬
【審判官】 橋本 栄和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−231042(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 59/00-59/72
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00-13/08
H01L 23/28-23/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)エポキシ樹脂と、(B)フェノール樹脂と、(C)トリイソブチルホスフィン及びキノン化合物の付加反応物と、を含有し、前記(C)トリイソブチルホスフィン及びキノン化合物の付加反応物が、トリイソブチルホスフィンと下記一般式(I−1)で示されるキノン化合物との付加反応物であるエポキシ樹脂組成物。
【化1】


(一般式(I−1)中のR〜Rはそれぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜18の有機基を示す。またRとRが互いに結合して環状構造を形成してもよい。)
【請求項2】
前記(C)トリイソブチルホスフィン及びキノン化合物との付加反応物が、トリイソブチルホスフィンと1,4−ベンゾキノンとの付加反応物である請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項3】
(D)無機充填剤をさらに含有し、その含有率が総体積中の55体積%〜90体積%である請求項又は請求項2に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項4】
前記(A)エポキシ樹脂が、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ジフェニルメタン型エポキシ樹脂、硫黄原子含有型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、サリチルアルデヒド型エポキシ樹脂、ナフトール類とフェノール類との共重合型エポキシ樹脂、及びアラルキル型フェノール樹脂のエポキシ化物からなる群より選ばれる1以上を含有する請求項1〜請求項のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項5】
前記(B)フェノール樹脂が、アラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、サリチルアルデヒド型フェノール樹脂、ベンズアルデヒド型フェノール樹脂とアラルキル型フェノール樹脂との共重合型樹脂、及びノボラック型フェノール樹脂からなる群より選ばれる1以上を含有する請求項1〜請求項のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物により封止された素子を備える電子部品装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エポキシ樹脂組成物及び電子部品装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品の素子の封止技術では、電子部品のプリント配線板への高密度実装化が進んでおり、これに伴い従来のピン挿入型パッケージよりも表面実装型パッケージが主流とっている。しかしながら、ピン挿入型パッケージと比較して表面実装型パッケージでは、はんだ付け時のパッケージクラックに対する耐性、いわゆる耐リフロークラック性が低下する傾向にある。すなわち、IC、LSI等の表面実装型パッケージでは、実装密度を高くするために素子のパッケージに対する占有体積がしだいに大きくなり、パッケージの肉厚は非常に薄くなっている。さらに、表面実装型パッケージは、そのはんだ付け工程において、ピン挿入型パッケージよりも、より過酷な条件下にさらされることになる。
より具体的には、ピン挿入型パッケージでは、ピンを配線板に挿入した後に配線板裏面からはんだ付けを行うため、パッケージが高温に直接さらされることがないのに対し、表面実装型パッケージでは配線板表面に仮止めを行った後に、はんだバスやリフロー装置等で処理を行うため、パッケージは高温のはんだ付け温度に直接さらされることになる。その結果、パッケージが吸湿していた場合、はんだ付け時に吸湿水分が急激に膨張してパッケージクラックに至ることがあり、パッケージ成形における大きな問題になっている。
【0003】
このような状況下、表面実装型パッケージにおける耐リフロークラック性を改良するために、無機充填剤の含有量を高めたエポキシ樹脂組成物が報告されている。しかし、無機充填剤の含有量の増加に伴って、樹脂組成物の流動性が低下し、成形時に充填不良、ボイド発生等の成形上の障害、またはICチップのボンディングワイヤの断線による導通不良の発生といった、パッケージの性能低下を招くことが多い。そのため無機充填剤の含有量の増加には限界があり、その結果として耐リフロークラック性の著しい改善を達成することは困難であった。特に、そのようなエポキシ樹脂組成物に速硬化性の観点からトリフェニルホスフィン等のホスフィン系硬化促進剤や1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7等の窒素含有硬化促進剤を添加した場合には、樹脂組成物の流動性が著しく低下する傾向がある。そのため、パッケージの耐リフロークラック性の改善に加えて、樹脂組成物の流動性の改善が望まれているのが現状である。
【0004】
無機充填剤を高比率で含有するエポキシ樹脂組成物の流動性を改善するために、例えば、トリフェニルホスフィンと1,4−ベンゾキノンとの付加反応物を硬化促進剤として用いる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。さらに、電子供与性置換基を有するフェニル基を3つ有するホスフィンと無水マレイン酸又はキノン類との付加反応物を硬化促進剤として用いる方法(例えば、特許文献2参照)等が提案されている。
【0005】
一方、表面実装型パッケージは、実装密度を高くするために素子のパッケージに対する占有体積がしだいに大きくなり、パッケージの肉厚は非常に薄くなってきた。
また、さらなる小型軽量化に対応すべく、パッケージの形態もQFP(Quad Flat Package)、SOP(Small Outline Package)といったものから、より多ピン化に対応しやすく、かつより高密度実装が可能なCSP(Chip Size Package)を含めたBGA(Ball Grid Array)へ移行しつつある。これらのパッケージは近年、高速化、多機能化を実現するために、フェースダウン型、積層(スタックド)型、フリップチップ型、ウェハーレベル型等、新しい構造のものが開発されている。また、BGAを作製する際の樹脂封止工程も従来の1チップ1キャビティの封止方法に変わって、複数のチップを1キャビティで封止する、いわゆる一括モールド型の封止方法が開発され、生産効率の向上、低コスト化が図られている。この一括モールド型の電子部品装置では、特に厳しい流動特性が封止用成形材料に求められる。
このような問題を解決するため、流動性及び硬化性を両立できる硬化促進剤として、リン原子に少なくとも一つのアルキル基が結合したホスフィン化合物とキノン化合物との付加反応物を使用すること(例えば、特許文献3、特許文献4参照)等が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−157497号公報
【特許文献2】特開平7−228672号公報
【特許文献3】特開2002−3574号公報
【特許文献4】特開2002−80563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、近年、パッケージの薄型化、ボンディングワイヤの狭ピッチ化、多ピン化、高密度化がさらに進み、更なる高流動性が求められている。
従って、本発明は、優れた流動性を示すエポキシ樹脂組成物、及びこのエポキシ樹脂組成物により封止された素子を備える電子部品装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、トリイソブチルホスフィンとキノンの付加反応物を硬化促進剤として使用することによって、流動性及び硬化性に優れるエポキシ樹脂組成物が得られ、所期の目的を達成可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は以下に関する。
(1) (A)エポキシ樹脂と、(B)フェノール樹脂と、(C)トリイソブチルホスフィン及びキノン化合物の付加反応物と、を含有するエポキシ樹脂組成物。
【0010】
(2) 前記(C)トリイソブチルホスフィン及びキノン化合物の付加反応物が、トリイソブチルホスフィンと下記一般式(I−1)で示されるキノン化合物との付加反応物である前記(1)に記載のエポキシ樹脂組成物。
【0011】
【化1】
【0012】
(一般式(I−1)中のR〜Rはそれぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜18の有機基を示す。またRとRが互いに結合して環状構造を形成してもよい。)
【0013】
(3) 前記(C)トリイソブチルホスフィン及びキノン化合物の付加反応物が、トリイソブチルホスフィンと1,4−ベンゾキノンとの付加反応物である前記(1)に記載のエポキシ樹脂組成物。
【0014】
(4) (D)無機充填剤をさらに含有し、その含有率が総体積中に55体積%〜90体積%である前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
【0015】
(5) 前記(A)エポキシ樹脂が、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ジフェニルメタン型エポキシ樹脂、硫黄原子含有型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、サリチルアルデヒド型エポキシ樹脂、ナフトール類とフェノール類との共重合型エポキシ樹脂、及びアラルキル型フェノール樹脂のエポキシ化物からなる群より選ばれる1以上を含有する前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
【0016】
(6) 前記(B)フェノール樹脂が、アラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、サリチルアルデヒド型フェノール樹脂、ベンズアルデヒド型フェノール樹脂とアラルキル型フェノール樹脂との共重合型樹脂及びノボラック型フェノール樹脂からなる群より選ばれる1以上を含有する前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
【0017】
(7) 前記(1)〜(6)のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物により封止された素子を備える電子部品装置。
【発明の効果】
【0018】
本発明によって、優れた流動性を示すエポキシ樹脂組成物、及びこのエポキシ樹脂組成物により封止された素子を備える電子部品装置を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明にかかる硬化促進剤として調製された化合物のH−NMRスペクトルの一例を示す図である。
図2】本発明にかかる硬化促進剤として調製された化合物の31P−NMRスペクトルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。さらに本明細書において組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
【0021】
<エポキシ樹脂組成物>
本発明のエポキシ樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂の少なくとも1種と、(B)フェノール樹脂の少なくとも1種と、(C)トリイソブチルホスフィン及びキノン化合物の付加反応物の少なくとも1種とを含有し、必要に応じてその他の成分を含有して構成される。特定の付加反応物を含むことで、優れた流動性と優れた硬化性を示すエポキシ樹脂組成物を構成できる。
【0022】
(A)エポキシ樹脂
前記エポキシ樹脂としては特に制限されず、エポキシ樹脂組成物に通常用いられるエポキシ樹脂から適宜選択して用いることができる。例えば、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する(A)エポキシ樹脂を用いることができる。そのようなエポキシ樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂をはじめとするフェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール類及びα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類の少なくとも1種とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したノボラック型エポキシ樹脂;
ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、アルキル置換又は非置換のビフェノール、スチルベン系フェノール類等のジグリシジルエーテル(ビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂)、ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のアルコール類のグリシジルエーテル;
フタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸等のカルボン酸類のグリシジルエステル型エポキシ樹脂;
アニリン、イソシアヌル酸等の窒素原子に結合した活性水素をグリシジル基で置換したもの等のグリシジル型またはメチルグリシジル型のエポキシ樹脂;
分子内のオレフィン結合をエポキシ化して得られるビニルシクロヘキセンジエポキシド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシ)シクロヘキシル−5,5−スピロ(3,4−エポキシ)シクロヘキサン−m−ジオキサン等の脂環型エポキシ樹脂;
パラキシリレン及びメタキシリレンの少なくとも一方で変性されたフェノール樹脂のグリシジルエーテル;
テルペン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル;
ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;
シクロペンタジエン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル;
多環芳香環変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル;
ナフタレン環含有フェノール樹脂のグリシジルエーテル;
ハロゲン化フェノールノボラック型エポキシ樹脂;
ハイドロキノン型エポキシ樹脂;
トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂;
オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂;
ジフェニルメタン型エポキシ樹脂;
フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、ビフェニル型フェノールアラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂のエポキシ化物;
硫黄原子含有エポキシ樹脂などが挙げられる。これらは1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0023】
上記エポキシ樹脂の中でも、耐リフロークラック性及び流動性の点で、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ジフェニルメタン型エポキシ樹脂、硫黄原子含有型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、サリチルアルデヒド型エポキシ樹脂、ナフトール類とフェノール類との共重合型エポキシ樹脂、アラルキル型フェノール樹脂のエポキシ化物から選ばれる少なくとも1種が好ましく、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジフェニルメタン型エポキシ樹脂、及びサリチルアルデヒド型エポキシ樹脂から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
これらのエポキシ樹脂のうち、いずれか1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。但し、これらのエポキシ樹脂の性能を発揮するためには、エポキシ樹脂全量に対して、それらを合計で30質量%以上使用することが好ましく、50質量%以上使用することがより好ましい。以下、好ましいエポキシ樹脂の具体例を示す。
【0024】
前記ビフェニル型エポキシ樹脂としては、ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂であれば特に限定されるものではない。なかでも下記一般式(II)で示されるエポキシ樹脂が好ましい。下記一般式(II)で示されるエポキシ樹脂の中でもRのうち酸素原子が置換している位置を4及び4′位とした時の3,3′,5,5′位がメチル基でそれ以外が水素原子であるYX−4000H(三菱化学株式会社製商品名)、全てのRが水素原子である4,4′−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ビフェニル、全てのRが水素原子の場合及びRのうち酸素原子が置換している位置を4及び4′位とした時の3,3′,5,5′位がメチル基でそれ以外が水素原子である場合の混合品であるYL−6121H(三菱化学株式会社製商品名)等が市販品として入手可能である。
【0025】
【化2】
【0026】
一般式(II)中、Rはそれぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜18の1価の有機基を示す。複数存在するRはそれぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。nは平均値であり、0〜10の正数を示す。
【0027】
前記スチルベン型エポキシ樹脂としては、スチルベン骨格を有するエポキシ樹脂であれば特に限定されるものではない。なかでも下記一般式(III)で示されるエポキシ樹脂が好ましい。下記一般式(III)で示されるエポキシ樹脂の中でも、Rのうち酸素原子が置換している位置を4及び4′位とした時の3,3′,5,5′位がメチル基でそれ以外が水素原子でありR10の全てが水素原子の場合と3,3′,5,5′位のうちの3つがメチル基、1つがtert−ブチル基でそれ以外が水素原子でありR10の全てが水素原子の場合の混合品であるESLV−210(住友化学工業株式会社製商品名)等が市販品として入手可能である。
【0028】
【化3】
【0029】
一般式(III)中、R及びR10はそれぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜18の1価の有機基を示す。複数存在するR及びR10はそれぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。nは平均値であり、0〜10の正数を示す。
【0030】
前記ジフェニルメタン型エポキシ樹脂としては、ジフェニルメタン骨格を有するエポキシ樹脂であれば特に限定されるものではない。なかでも下記一般式(IV)で示されるエポキシ樹脂が好ましい。下記一般式(IV)で示されるエポキシ樹脂の中でも、R11の全てが水素原子でありR12のうち酸素原子が置換している位置を4及び4′位とした時の3,3′,5,5′位がメチル基でそれ以外が水素原子であるYSLV−80XY(新日鐵化学株式会社製商品名)等が市販品として入手可能である。
【0031】
【化4】
【0032】
一般式(IV)中、R11及びR12はそれぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜18の1価の有機基を示す。複数存在するR11及びR12はそれぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。nは平均値であり、0〜10の正数を示す。
【0033】
前記硫黄原子含有型エポキシ樹脂としては、硫黄原子を含有するエポキシ樹脂であれば特に限定されるものではない。なかでも例えば下記一般式(V)で示されるエポキシ樹脂が挙げられる。下記一般式(V)で示されるエポキシ樹脂の中でも、R13のうち酸素原子が置換している位置を4及び4′位とした時の3,3′位がtert−ブチル基で6,6′位がメチル基でそれ以外が水素原子であるYSLV−120TE(新日鐵化学株式会社製商品名)等が市販品として入手可能である。
【0034】
【化5】
【0035】
一般式(V)中、R13はそれぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜18の1価の有機基を示す。複数存在するR13はそれぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。nは平均値であり、0〜10の正数を示す。
【0036】
前記ノボラック型エポキシ樹脂としては、ノボラック型フェノール樹脂をエポキシ化したエポキシ樹脂であれば、特に限定されるものではない。なかでもフェノールノボラック、クレゾールノボラック、ナフトールノボラック等のノボラック型フェノール樹脂をグリリシジルエーテル化等の手法を用いてエポキシ化したエポキシ樹脂が好ましく、例えば下記一般式(VI)で示されるエポキシ樹脂がより好ましい。下記一般式(VI)で示されるエポキシ樹脂の中でも、R14の全てが水素原子でありR15がメチル基でi=1であるESCN−190、ESCN−195(住友化学株式会社製商品名)等が市販品として入手可能である。
【0037】
【化6】
【0038】
一般式(VI)中、R14はそれぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜18の1価の有機基を示し、R15はそれぞれ独立して、炭素数1〜18の1価の有機基を示す。複数存在するR14及びR15はそれぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iは0〜3の整数を示す。nは平均値であり、0〜10の正数を示す。
【0039】
前記ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂としては、ジシクロペンタジエン骨格を有する化合物を原料としてエポキシ化したエポキシ樹脂であれば特に限定されるものではない。なかでも下記一般式(VII)で示されるエポキシ樹脂が好ましい。下記一般式(VII)で示されるエポキシ樹脂の中でも、i=0であるHP−7200(DIC株式会社製商品名)等が市販品として入手可能である。
【0040】
【化7】
【0041】
一般式(VII)中、R16はそれぞれ独立して、炭素数1〜18の1価の有機基を示す。複数存在するR16はそれぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iは0〜3の整数を示す。nは平均値であり、0〜10の正数を示す。
【0042】
前記サリチルアルデヒド型エポキシ樹脂としては、サリチルアルデヒド骨格を持つ化合物を原料とするエポキシ樹脂であれば特に制限はない。なかでもサリチルアルデヒド骨格を持つ化合物とフェノール性水酸基を有する化合物とのノボラック型フェノール樹脂等のサリチルアルデヒド型フェノール樹脂をグリシジルエーテル化したエポキシ樹脂等のサリチルアルデヒド型エポキシ樹脂が好ましく、下記一般式(VIII)で示されるエポキシ樹脂がより好ましい。下記一般式(VIII)で示されるエポキシ樹脂の中でも、i=0、k=0である1032H60(三菱化学株式会社製商品名)、EPPN−502H(日本化薬株式会社製商品名)等が市販品として入手可能である。
【0043】
【化8】
【0044】
一般式(VIII)中、R17及びR18はそれぞれ独立して、炭素数1〜18の1価の有機基を示す。複数存在するR17及びR18はそれぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iは0〜3の整数を示す。kは0〜4の整数を示す。nは平均値であり、0〜10の正数を示す。
【0045】
前記ナフトール類とフェノール類との共重合型エポキシ樹脂としては、ナフトール骨格を有する化合物及びフェノール骨格を有する化合物を原料とするエポキシ樹脂であれば、特に限定されるものではない。なかでもナフトール骨格を有する化合物及びフェノール骨格を有する化合物を用いたノボラック型フェノール樹脂をグリシジルエーテル化したものが好ましく、下記一般式(IX)で示されるエポキシ樹脂がより好ましい。下記一般式(IX)で示されるエポキシ樹脂の中でも、R21がメチル基でi=1であり、j=0、k=0であるNC−7300(日本化薬株式会社製商品名)等が市販品として入手可能である。
【0046】
【化9】
【0047】
一般式(IX)中、R19〜R21はそれぞれ独立して、炭素数1〜18の1価の有機基を示す。複数存在するR19〜R21はそれぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iは0〜3の整数を示す。jは0〜2の整数を示す。kは0〜4の整数を示す。pは平均値で0〜1の正数を示す。l、mはそれぞれ平均値で0〜11の正数であり、(l+m)は1〜11の正数を示す。
上記一般式(IX)で示されるエポキシ樹脂としては、l個の構成単位及びm個の構成単位をランダムに含むランダム共重合体、交互に含む交互共重合体、規則的に含む共重合体、ブロック状に含むブロック共重合体が挙げられ、これらのいずれか1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0048】
前記アラルキル型フェノール樹脂のエポキシ化物としては、フェノール、クレゾール等のフェノール類及びナフトール、ナフタレンジオール、ジメチルナフトール等のナフトール類から選ばれる少なくとも1種と、ジメトキシパラキシレンやビス(メトキシメチル)ビフェニルやこれらの誘導体とから合成されるフェノール樹脂を原料とするエポキシ樹脂であれば、特に限定されるものではない。例えば、フェノール、クレゾール等のフェノール類及びナフトール、ナフタレンジオール、ジメチルナフトール等のナフトール類から選ばれる少なくとも1種と、ジメトキシパラキシレンやビス(メトキシメチル)ビフェニルやこれらの誘導体とから合成されるフェノール樹脂をグリシジルエーテル化したものが好ましく、下記一般式(X)、(XI)及び(XIX)のいずれかで示されるエポキシ樹脂であることがより好ましい。
下記一般式(X)で示されるエポキシ樹脂の中でも、i=0、R38が水素原子であるNC−3000(日本化薬株式会社製商品名)、i=0、R38が水素原子であるエポキシ樹脂と一般式(II)の全てのRが水素原子であるエポキシ樹脂を重量比80:20で混合したCER−3000(日本化薬株式会社製商品名)等が市販品として入手可能である。下記一般式(XI)で示されるエポキシ樹脂の中でも、j=0、k=0であるESN−175(新日鐵化学株式会社商品名)等が市販品として入手可能である。下記一般式(XIX)で示されるエポキシ樹脂の中でも、i=0、k=0であるNC−2000(日本化薬株式会社製商品名)等が市販品として入手可能である。下記一般式(XX)で示されるエポキシ樹脂の中でも、i=0、j=0、k=0であるESN−355、ESN−375(ともに新日鐵化学株式会社商品名)等が市販品として入手可能である。
【0049】
【化10】
【0050】
【化11】
【0051】
一般式(X)、(XI)、(XIX)及び(XX)において、R38はそれぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜18の1価の有機基を示し、R37及びR39〜R46はそれぞれ独立して、炭素数1〜18の1価の有機基を示す。複数存在するR37〜R46はそれぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iは0〜3の整数を示す。jは0〜2の整数を示す。kは0〜4の整数を示す。
【0052】
上記一般式(II)〜(XI)、(XIX)及び(XX)中のR〜R21及びR37〜R46について、「それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい」とは、例えば、一般式(II)中に存在しうる8〜88個のRの全てが同一でも異なっていてもよいことを意味している。他のR〜R21及びR37〜R46についても、それぞれの一般式中に含まれるそれぞれの個数について全てが同一でも異なっていてもよいことを意味している。また、R〜R21及びR37〜R46はそれぞれが同一でも異なっていてもよい。例えば、RとR10の全てについて同一でも異なっていてもよい。
【0053】
上記一般式(II)〜(XI)、(XIX)及び(XX)中のnは0〜10の範囲である。10以下であると(A)成分の溶融粘度を低くすることができるため、エポキシ樹脂組成物の溶融成形時の粘度も低くなり、未充填不良やボンディングワイヤ(素子とリードを接続する金線)の変形を抑制できる。1分子中のnの平均値は0〜4の範囲に設定されることが好ましい。
【0054】
また一般式(II)〜(XI)、(XIX)及び(XX)中における炭素数1〜18の有機基としては例えば、炭素数1〜18の置換又は非置換の脂肪族炭化水素を含む基、炭素数1〜18の置換又は非置換の脂環式炭化水素を含む基、炭素数1〜18の置換又は非置換の芳香族炭化水素基を含む等が挙げられる。
また前記有機基における置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、アリール基、水酸基、アミノ基、ハロゲン原子等を挙げることができる。
【0055】
炭素数1〜18の置換又は非置換の脂肪族炭化水素を含む基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デキル基、ドデキル基等のアルキル基、アリル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシル基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等のアルコキシ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のアルキルアミノ基、メチルチオ基、エチルチオ基、ブチルチオ基、ドデキルチオ基等のアルキルチオ基、アミノ基置換アルキル基、アルコキシ置換アルキル基、水酸基置換アルキル基、アリール基置換アルキル基等の置換アルキル基、アミノ基置換アルコキシ基、水酸基置換アルコキシ基、アリール基置換アルコキシ基等の置換アルコキシ基などが挙げられる。
【0056】
炭素数1〜18の置換又は非置換の脂環式炭化水素を含む基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等及びこれらにアルキル基、アルコキシ基、アリール基、水酸基、アミノ基、ハロゲン原子等が置換したものなどが挙げられる。
【0057】
炭素数1〜18の置換又は非置換の芳香族炭化水素を含む基としては、例えば、フェニル基、トリル基等のアリール基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、ブチルフェニル基、t−ブチルフェニル基等のアルキル基置換アリール基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、t−ブトキシフェニル基等のアルコキシ基置換アリール基、フェノキシ基、クレゾキシ基等のアリーロキシ基、フェニルチオ基、トリルチオ基、ジフェニルアミノ基等、及びこれらにアミノ基、ハロゲン等が置換したものなどが挙げられる。
【0058】
前記有機基としては、なかでも、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のアルコキシ基、置換又は非置換のアリールオキシ基、置換又は非置換のアリール基、置換又は非置換のアルキルチオ基及び置換又は非置換のアリールチオ基が好ましい。より好ましくは置換又は非置換のアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1〜8のアルキル基である。
上記一般式(II)〜(XI)、(XIX)及び(XX)におけるi、j及びkは0であることもまた好ましい。
【0059】
以上、本発明によるエポキシ樹脂組成物に使用可能な好ましいエポキシ樹脂の具体例を上記一般式(II)〜(XI)、(XIX)及び(XX)に沿って説明したが、これらの中でもビフェニル型エポキシ樹脂が好ましい。より具体的な好ましいエポキシ樹脂として、耐リフロークラック性の観点からは、4,4′−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−3,3′,5,5′−テトラメチルビフェニルが挙げられる。また成形性及び耐熱性の観点からは、4,4′−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−ビフェニルが挙げられる。
【0060】
前記エポキシ樹脂のエポキシ当量は特に制限されない。なかでも成形性と耐リフロー性の観点から、140〜280(g/eq.)であることが好ましく、160〜250(g/eq.)であることがより好ましい。
また前記エポキシ樹脂の軟化点又は融点は特に制限されない。なかでも成形性と耐リフロー性の観点から、50℃〜140℃であることが好ましく、60℃〜120℃であることがより好ましい。
【0061】
エポキシ樹脂組成物における前記エポキシ樹脂の含有率は特に制限されない。例えばエポキシ樹脂と後述するフェノール樹脂の総量が、エポキシ樹脂組成物中に7体積%〜43体積%であることが好ましく、9体積%〜30体積%であることがより好ましい。
【0062】
(B)フェノール樹脂
前記フェノール樹脂としては特に制限はなく、通常用いられるフェノール樹脂から適宜選択することができる。フェノール樹脂は例えば前記エポキシ樹脂の硬化剤として作用する。前記フェノール樹脂は例えば、硬化剤として一般に使用される1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有するフェノール樹脂であってよい。レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、置換又は非置換のビフェノール等の1分子中に2個のフェノール性水酸基を有する化合物;フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノール等のフェノール類及びα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類から選ばれる少なくとも1種と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド類とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック型フェノール樹脂;
フェノール類及びナフトール類の少なくとも1種と、ジメトキシパラキシレン及びビス(メトキシメチル)ビフェニル等の少なくとも1種とから合成されるフェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、ビフェニル型フェノールアラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂;
パラキシリレン及びメタキシリレンの少なくとも一方で変性されたフェノール樹脂;
メラミン変性フェノール樹脂;
テルペン変性フェノール樹脂;
フェノール類及び/又はナフトール類とジシクロペンタジエンから共重合により合成される、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型ナフトール樹脂;
シクロペンタジエン変性フェノール樹脂;
多環芳香環変性フェノール樹脂;
ビフェニル型フェノール樹脂;
トリフェニルメタン型フェノール樹脂;
並びに、これら2種以上を共重合して得たフェノール樹脂などが挙げられる。これらは1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0063】
フェノール樹脂の中でも、耐リフロークラック性の観点から、アラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、サリチルアルデヒド型フェノール樹脂、ベンズアルデヒド型とアラルキル型の共重合型フェノール樹脂及びノボラック型フェノール樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、アラルキル型フェノール樹脂及びサリチルアルデヒド型フェノール樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
これらアラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、サリチルアルデヒド型フェノール樹脂、ベンズアルデヒド型とアラルキル型の共重合型フェノール樹脂及びノボラック型フェノール樹脂は、いずれか1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよいが、それらの性能を発揮するためには、フェノール樹脂全量中において、それらを合計で30質量%以上使用することが好ましく、50質量%以上使用することがより好ましい。
【0064】
前記アラルキル型フェノール樹脂としては、フェノール類及びナフトール類から選ばれる少なくとも1種と、ジメトキシパラキシレン、ビス(メトキシメチル)ビフェニル及びこれらの誘導体から選ばれる少なくとも1種とから合成されるフェノール樹脂であれば特に限定されるものではない。なかでも下記一般式(XII)〜(XIV)及び(XXI)で示されるフェノール樹脂が好ましい。
【0065】
【化12】
【0066】
【化13】
【0067】
一般式(XII)〜(XIV)及び(XXI)において、R22、R24〜R28及びR47〜R49はそれぞれ独立して、炭素数1〜18の1価の有機基を示し、R23はそれぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜18の1価の有機基を示す。R22〜R28及びR47〜R49はそれぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iは0〜3の整数を示す。kは0〜4の整数を示す。jは0〜2の整数を示す。nは平均値であり、0〜10の正数を示す。
【0068】
上記一般式(XII)で示されるビフェニル型フェノールアラルキル樹脂の中でも、i=0、R23が全て水素原子であるMEH−7851(明和化成株式会社商品名)等が市販品として入手可能である。
【0069】
上記一般式(XIII)で示されるフェノールアラルキル樹脂の中でも、i=0、k=0であるXL−225、XLC(三井化学株式会社製商品名)、MEH−7800(明和化成株式会社商品名)等が市販品として入手可能である。
【0070】
上記一般式(XIV)で示されるナフトールアラルキル樹脂の中でも、j=0、R27のk=0、R28のk=0であるSN−170(新日鐵化学株式会社商品名)等が市販品として入手可能である。
【0071】
上記一般式(XXI)で示されるナフトールアラルキル樹脂の中でも、i=0、j=0、k=0であるSN−375、SN−395(ともに新日鐵化学株式会社商品名)等が市販品として入手可能である。
【0072】
前記ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂としては、ジシクロペンタジエン骨格を有する化合物を原料として用いたフェノール樹脂であれば特に限定されるものではない。中でも下記一般式(XV)で示されるフェノール樹脂が好ましい。下記一般式(XV)で示されるフェノール樹脂の中でもi=0であるDPP(新日本石油化学株式会社製商品名)等が市販品として入手可能である。
【0073】
【化14】
【0074】
一般式(XV)中、R29はそれぞれ独立して、炭素数1〜18の1価の有機基を示す。複数存在するR29はそれぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iは0〜3の整数を示す。nは平均値であり、0〜10の正数を示す。
【0075】
前記サリチルアルデヒド型フェノール樹脂としては、サリチルアルデヒド骨格を有する化合物を原料として用いたフェノール樹脂であれば特に限定されるものではないが、下記一般式(XVI)で示されるフェノール樹脂が好ましい。
下記一般式(XVI)で示されるフェノール樹脂の中でもi=0、k=0であるMEH−7500(明和化成株式会社製商品名)等が市販品として入手可能である。
【0076】
【化15】
【0077】
一般式(XVI)中、R30及びR31はそれぞれ独立して、炭素数1〜18の1価の有機基を示す。複数存在するR30及びR31はそれぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iは0〜3の整数を示す。kは0〜4の整数を示す。nは平均値であり、0〜10の正数を示す。
【0078】
前記ベンズアルデヒド型とアラルキル型との共重合型フェノール樹脂としては、ベンズアルデヒド骨格を有する化合物を原料として用いたフェノール樹脂とアラルキル型フェノール樹脂との共重合型フェノール樹脂であれば特に限定されるものではないが、下記一般式(XVII)で示されるフェノール樹脂が好ましい。
下記一般式(XVII)で示されるフェノール樹脂の中でもi=0、k=0、q=0であるHE−510(エア・ウォーター・ケミカル株式会社製商品名)等が市販品として入手可能である。
【0079】
【化16】
【0080】
一般式(XVII)中、R32〜R34はそれぞれ独立して、炭素数1〜18の1価の有機基を示す。複数存在するR32〜R34はそれぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iは0〜3の整数を示す。kは0〜4の整数を示す。qは0〜5の整数を示す。l及びmはそれぞれ平均値で0〜11の正数であり(l+m)は1〜11の正数を示す。
【0081】
前記ノボラック型フェノール樹脂としては、フェノール類及びナフトール類の少なくとも1種とアルデヒド類とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるフェノール樹脂であれば特に限定されるものではないが、下記一般式(XVIII)で示されるノボラック型フェノール樹脂が好ましい。
下記一般式(XVIII)で示されるノボラック型フェノール樹脂の中でもi=0、R35が全て水素原子であるタマノル758、759(荒川化学工業株式会社製商品名)、HP−850N(日立化成工業株式会社商品名)等が市販品として入手可能である。
【0082】
【化17】
【0083】
一般式(XVIII)中、R35はそれぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜18の1価の有機基を示し、R36はそれぞれ独立して、炭素数1〜18の1価の有機基を示す。す。複数存在するR35及びR36はそれぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iは0〜3の整数を示す。kは0〜4の整数を示す。nは平均値であり、0〜10の正数を示す。
【0084】
上記一般式(XII)〜(XVIII)におけるR22〜R36について記載した「それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい」は、例えば、式(XII)中のi個のR22の全てが同一でも相互に異なっていてもよいことを意味している。他のR23〜R36についても、式中に含まれるそれぞれの個数について全てが同一でも相互に異なっていてもよいことを意味している。また、R22〜R36は、それぞれが同一でも異なっていてもよい。例えば、R22およびR23の全てについて同一でも異なっていてもよく、R30およびR31の全てについて同一でも異なっていてもよい。
【0085】
上記一般式(XII)〜(XVIII)におけるnは、0〜10の範囲であり、10を超えた場合は(B)フェノール樹脂成分の溶融粘度が高くなるため、エポキシ樹脂組成物の溶融成形時の粘度も高くなり、未充填不良やボンディングワイヤ(素子とリードを接続する金線)の変形を引き起こしやすくなる。1分子中の平均nは0〜4の範囲に設定されることが好ましい。
【0086】
上記一般式(XII)〜(XVIII)における炭素数1〜18の1価の有機基は、上記一般式(II)等における炭素数1〜18の有機基と同義であり、好ましい態様も同様である。
また上記一般式(XII)〜(XVIII)におけるi、j及びkは0であることもまた好ましい。
【0087】
前記フェノール樹脂の水酸基当量は特に制限されない。なかでも成形性と耐リフロー性の観点から、100〜240(g/eq.)であることが好ましく、120〜200(g/eq.)であることがより好ましい。
また前記フェノール樹脂の軟化点又は融点は特に制限されない。なかでも成形性と耐リフロー性の観点から、50℃〜140℃であることが好ましく、60℃〜120℃であることがより好ましい。
【0088】
前記エポキシ樹脂組成物において、(A)エポキシ樹脂と(B)フェノール樹脂の含有比率は、全エポキシ樹脂のエポキシ当量に対する全フェノール樹脂の水酸基当量の比率(フェノール樹脂中の水酸基数/エポキシ樹脂中のエポキシ基数)で0.5〜2.0の範囲に設定することが好ましく、上記比率が0.7〜1.5であることがより好ましく、0.8〜1.3であることがさらに好ましい。上記比率が0.5以上であるとエポキシ樹脂の硬化が充分になり、硬化物の耐熱性、耐湿性及び電気特性が向上する傾向がある。一方、上記比率が2.0以下であるとフェノール樹脂成分が過剰となりすぎることを抑制でき、硬化効率が向上し、さらにパッケージの電気特性及び耐湿性が向上する傾向がある。
【0089】
(硬化促進剤)
前記エポキシ樹脂組成物は、(C)トリイソブチルホスフィンとキノン化合物との付加反応物の少なくとも1種を含む。前記付加反応物はエポキシ樹脂組成物において例えば硬化促進剤として作用する。以下(C)トリイソブチルホスフィンとキノン化合物との付加反応物を特定硬化促進剤ともいう。
前記特定硬化促進剤を構成するキノン化合物は、キノン骨格を有していれば特に制限されない。なかでも硬化性の観点から、下記一般式(I−1)で示されるキノン化合物であることが好ましい。
【0090】
【化18】
【0091】
ここで一般式(I−1)中のR〜Rはそれぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜18の有機基を示す。またRとRが互いに結合して環状構造を形成してもよい。
【0092】
上記一般式(I―1)中のR〜Rは、水素原子又は炭素数1〜18の有機基を示すが、炭素数1〜18の有機基としては特に制限はない。例えば、炭素数1〜18の置換又は非置換の脂肪族炭化水素を含む基、炭素数1〜12の置換又は非置換の脂環式炭化水素を含む基、炭素数1〜12の置換又は非置換の芳香族炭化水素基を含む等が挙げられる。
またR〜Rで示される有機基における置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、アリール基、水酸基、アミノ基、ハロゲン原子等を挙げることができる。
【0093】
炭素数1〜12の置換又は非置換の脂肪族炭化水素を含む基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デキル基、ドデキル基等のアルキル基、アリル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシル基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等のアルコキシ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のアルキルアミノ基、メチルチオ基、エチルチオ基、ブチルチオ基、ドデキルチオ基等のアルキルチオ基、アミノ基置換アルキル基、アルコキシ置換アルキル基、水酸基置換アルキル基、アリール基置換アルキル基等の置換アルキル基、アミノ基置換アルコキシ基、水酸基置換アルコキシ基、アリール基置換アルコキシ基等の置換アルコキシ基などが挙げられる。
【0094】
炭素数1〜18の置換又は非置換の脂環式炭化水素を含む基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等及びこれらにアルキル基、アルコキシ基、アリール基、水酸基、アミノ基、ハロゲン原子等が置換したものなどが挙げられる。
【0095】
炭素数1〜18の置換又は非置換の芳香族炭化水素を含む基としては、例えば、フェニル基、トリル基等のアリール基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、ブチルフェニル基、t−ブチルフェニル基等のアルキル基置換アリール基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、t−ブトキシフェニル基等のアルコキシ基置換アリール基、フェノキシ基、クレゾキシ基等のアリーロキシ基、フェニルチオ基、トリルチオ基、ジフェニルアミノ基等、及びこれらにアミノ基、ハロゲン等が置換したものなどが挙げられる。
【0096】
〜Rとしては、なかでも、水素原子、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のアルコキシ基、置換又は非置換のアリーロキシ基、置換又は非置換のアリール基、置換又は非置換のアルキルチオ基及び置換又は非置換のアリールチオ基が好ましい。
【0097】
また、上記一般式(I−1)で示されるキノン化合物は、RとRとが互いに結合し環状構造を形成していてもよい。本発明において用いられるRとRが結合して環状構造をとる多環式のキノン化合物としては、特に制限はない。例えば、置換したテトラメチレン基、テトラメチン基等が結合した下記一般式(I−2)〜(I−4)のいずれかで示される多環式キノン化合物などが挙げられる。
【0098】
【化19】
【0099】
上記一般式(I−1)で示されるキノン化合物のなかでも、ホスフィン化合物との反応性の観点からは1,4−ベンゾキノン及びメチル−1,4−ベンゾキノンが好ましい。また吸湿時の硬化性の観点からは、2,3−ジメトキシ−1,4ベンゾキノン、2,5−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、メトキシ−1,4−ベンゾキノン等のアルコキシ基置換1,4−ベンゾキノン、及び2,3−ジメチル−1,4−ベンゾキノン、2,5−ジメチル−1,4−ベンゾキノン、メチル−1,4−ベンゾキノン等のアルキル基置換1,4−ベンゾキノンが好ましい。また保存安定性の観点からは、2,5−ジ−t−ブチル−1,4−ベンゾキノン、t−ブチル−1,4−ベンゾキノン、フェニル−1,4−ベンゾキノンが好ましい。
【0100】
トリイソブチルホスフィンと上記一般式(I−1)で示されるキノン化合物との付加反応物の構造としては、例えば、下記一般式(I−5)で示される化合物が挙げられる。
【0101】
【化20】
【0102】
ここで一般式(I−5)中、R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜18の有機基を示す。RとRとが互いに結合して環状構造を形成してもよい。
【0103】
(C)トリイソブチルホスフィンとキノン化合物との付加反応物の具体例としては、トリイソブチルホスフィンと1,4−ベンゾキノンとの付加反応物、トリイソブチルホスフィンとメチル−1,4−ベンゾキノンとの付加反応物、トリイソブチルホスフィンと2,3−ジメチル−1,4−ベンゾキノンとの付加反応物、トリイソブチルホスフィンと2,5−ジメチル−1,4−ベンゾキノンとの付加反応物、トリイソブチルホスフィンとメトキシ−1,4−ベンゾキノンとの付加反応物、トリイソブチルホスフィンと2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノンとの付加反応物、トリイソブチルホスフィンと2,5−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノンとの付加反応物、トリイソブチルホスフィンとt−ブチル−1,4−ベンゾキノンとの付加反応物、トリイソブチルホスフィンとフェニル−1,4−ベンゾキノンとの付加反応物、が挙げられる。
【0104】
合成の簡便性及び収率の観点からは、トリイソブチルホスフィンと1,4−ベンゾキノンとの付加反応物、トリイソブチルホスフィンとメチル−1,4−ベンゾキノンとの付加反応物が好ましい。また吸湿時の硬化性の観点からは、トリイソブチルホスフィンと2,3−ジメチル−1,4−ベンゾキノンとの付加反応物、トリイソブチルホスフィンと2,5−ジメチル−1,4−ベンゾキノンとの付加反応物、トリイソブチルホスフィンとメトキシ−1,4−ベンゾキノンとの付加反応物、トリイソブチルホスフィンと2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノンとの付加反応物、トリイソブチルホスフィンと2,5−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノンとの付加反応物が好ましい。また保存安定性の観点からはトリイソブチルホスフィンとt−ブチル−1,4−ベンゾキノンとの付加反応物、トリイソブチルホスフィンとフェニル−1,4−ベンゾキノンとの付加反応物が好ましい。
上記のなかでも、化合物の安定性の観点から、トリイソブチルホスフィンと1,4−ベンゾキノンとの付加反応物がより好ましい。
【0105】
(C)トリイソブチルホスフィンとキノン化合物との付加反応物の製造方法としては特に制限はないが、例えば、原料として用いられるトリイソブチルホスフィンとキノン化合物とを両者が溶解する有機溶媒中で付加反応させて単離する方法、(B)成分のフェノール樹脂中で付加反応させる方法等が挙げられる。後者の方法においては単離せずにそのままフェノール樹脂中に溶解した状態で、エポキシ樹脂組成物の配合成分として用いることができる。
(C)トリイソブチルホスフィンとキノン化合物との付加反応物は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0106】
また前記樹脂組成物には、前記特定硬化促進剤以外に、エポキシ樹脂とフェノール樹脂との硬化反応を促進する硬化促進剤として一般に用いられているものを1種以上併用することができる。前記特定硬化促進剤と併用可能な周知の硬化促進剤としては例えば、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7等のジアザビシクロアルケン、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール等の環状アミジン化合物;
環状アミジン化合物の誘導体;
環状アミジン化合物及びその誘導体のフェノールノボラック塩;
環状アミジン化合物及びその誘導体に無水マレイン酸、1,4−ベンゾキノン、2,5−トルキノン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−5−メチル−1,4−ベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、フェニル−1,4−ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタンなどの、π結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物;
DBUのテトラフェニルボレート塩、DBNのテトラフェニルボレート塩、2−エチル−4−メチルイミダゾールのテトラフェニルボレート塩、N−メチルモルホリンのテトラフェニルボレート塩等の環状アミジニウム化合物;
ピリジン、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の三級アミン化合物及びこれらの誘導体;
酢酸テトラ−n−ブチルアンモニウム、リン酸テトラ−n−ブチルアンモニウム、酢酸テトラエチルアンモニウム、安息香酸テトラ−n−ヘキシルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム等のアンモニウム塩化合物;
トリフェニルホスフィン、ジフェニル(p−トリル)ホスフィン、トリス(アルキルフェニル)ホスフィン、トリス(アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(アルキル・アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルコキシフェニル)ホスフィン、トリアルキルホスフィン)、ジアルキルアリールホスフィン、アルキルジアリールホスフィン、
これらホスフィン類と有機ボロン化合物との錯体等のホスフィン化合物;
これらホスフィン化合物と無水マレイン酸、1,4−ベンゾキノン、2,5−トルキノン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−5−メチル−1,4−ベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、フェニル−1,4−ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタンなどの、π結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物;
これらホスフィン化合物と4−ブロモフェノール、3−ブロモフェノール、2−ブロモフェノール、4−クロロフェノール、3−クロロフェノール、2−クロロフェノール、4−ヨウ化フェノール、3−ヨウ化フェノール、2−ヨウ化フェノール、4−ブロモ−2−メチルフェノール、4−ブロモ−3−メチルフェノール、4−ブロモ−2,6−ジメチルフェノール、4−ブロモ−3,5−ジメチルフェノール、4−ブロモ−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、4−クロロ−1−ナフトール、1−ブロモ−2−ナフトール、6−ブロモ−2−ナフトール、4−ブロモ−4′−ヒドロキシビフェニル等のハロゲン化フェノール化合物を反応させた後に、脱ハロゲン化水素の工程を経て得られる、分子内分極を有する化合物;テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート等のテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート;テトラフェニルホスホニウムとフェノール化合物との塩等のホスホニウム塩化合物などが挙げられる。中でも、信頼性の観点から、3級ホスフィン及びホスホニウム塩化合物の少なくとも1種を用いることが好ましく、ホスホニウム化合物又はその分子間塩を触媒として用いることがより好ましい。
【0107】
特定硬化促進剤に加えて、これらの硬化促進剤を併用する場合、特定硬化促進剤の含有率は、全硬化促進剤量中に30質量%以上が好ましく、より好ましくは50質量%以上である。特定硬化促進剤の含有率が30質量%以上であると吸湿時の硬化性又は流動性が低下することを抑制し、本発明の効果が充分に得られる傾向がある。
特定硬化促進剤を含む全硬化促進剤の合計含有量は、硬化促進効果が得られれば特に制限はない。吸湿時硬化性及び流動性の観点から、(A)エポキシ樹脂と(B)フェノール樹脂の合計量100質量部に対して0.1質量部〜10質量部が好ましく、0.3質量部〜7質量部がより好ましく、0.5質量部〜5質量部がさらに好ましい。0.1質量部以上であると短時間で硬化させることが容易になる。また10質量部以下であると硬化速度が速くなりすぎることを抑制して、良好な成形品が得られる傾向がある。
【0108】
前記エポキシ樹脂組成物は、特定硬化促進剤として、トリイソブチルホスフィンと1,4−ベンゾキノンとの付加反応物、トリイソブチルホスフィンとメチル−1,4−ベンゾキノンとの付加反応物、トリイソブチルホスフィンと2,3−ジメチル−1,4−ベンゾキノンとの付加反応物、トリイソブチルホスフィンと2,5−ジメチル−1,4−ベンゾキノンとの付加反応物、トリイソブチルホスフィンとメトキシ−1,4−ベンゾキノンとの付加反応物、トリイソブチルホスフィンと2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノンとの付加反応物、トリイソブチルホスフィンと2,5−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノンとの付加反応物、トリイソブチルホスフィンとt−ブチル−1,4−ベンゾキノンとの付加反応物、及びトリイソブチルホスフィンとフェニル−1,4−ベンゾキノンとの付加反応物からなる群より選ばれる少なくとも1種を、(A)エポキシ樹脂と(B)フェノール樹脂の合計量100質量部に対して0.1質量部〜10質量部含むことが好ましい。
より好ましくは、前記エポキシ樹脂組成物は特定硬化促進剤としてトリイソブチルホスフィンと1,4−ベンゾキノンとの付加反応物、トリイソブチルホスフィンとメチル−1,4−ベンゾキノンとの付加反応物からなる群より選ばれる少なくとも1種を(A)エポキシ樹脂と(B)フェノール樹脂の合計量100質量部に対して0.3質量部〜7質量部含む。
【0109】
(D)無機充填剤
本発明のエポキシ樹脂組成物には、(D)無機充填剤の少なくとも1種を必要に応じてさらに含有することができる。特に、エポキシ樹脂組成物を封止用成形材料として用いる場合には、(D)無機充填剤を配合することが好ましい。本発明において用いられる(D)無機充填剤としては、一般に封止用成形材料に用いられるものであってよく、特に限定されるものではない。例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、ガラス、アルミナ、炭酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸カルシウム、窒化珪素、窒化アルミ、窒化ホウ素、ベリリア、ジルコニア、ジルコン、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア、タルク、クレー、マイカ等の微粉未、又はこれらを球形化したビーズなどが挙げられる。さらに、難燃効果のある無機充填剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、マグネシウムと亜鉛の複合水酸化物等の複合金属水酸化物、硼酸亜鉛などが挙げられる。中でも、線膨張係数低減の観点からは溶融シリカが、高熱伝導性の観点からはアルミナが好ましい。これらの無機充填剤は1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0110】
(D)無機充填剤の含有率は、本発明の効果が得られれば特に制限はないが、エポキシ樹脂組成物の総体積中に55体積%〜90体積%の範囲であることが好ましく、70体積%〜88体積%であることがより好ましい。これら無機充填剤を含むことで、硬化物の熱膨張係数、熱伝導率、弾性率等が改良される。含有率が55体積%以上であるとこれらの特性の改良が充分に得られる傾向がある。また90体積%以下であるとエポキシ樹脂組成物の粘度が上昇することを抑制して流動性が向上して成形がより容易になる傾向がある。
【0111】
また、(D)無機充填剤の平均粒径は1μm〜50μmが好ましく、10μm〜30μmがより好ましい。1μm以上であるとエポキシ樹脂組成物の粘度の上昇が抑制される。また50μm以下であると樹脂成分への無機充墳剤の分散安定性が向上し、硬化物の均一性が向上し、硬化物特性が安定する傾向があり、さらに狭い隙間への充填性が向上する傾向がある。
【0112】
流動性の観点からは、(D)無機充填剤の粒子形状は角形より球形が好ましく、(D)無機充填剤の粒度分布は広範囲に分布したものが好ましい。例えば、無機充填剤を75体積%以上配合する場合、その70体積%以上を球状粒子とし、粒子径が0.1μm〜80μmという広範囲に分布したものが好ましい。このような無機充填剤は最密充填構造をとりやすいため配合量を増加させても材料の粘度上昇が少なく、流動性に優れたエポキシ樹脂組成物を得ることができる。
【0113】
(各種添加剤)
前記エポキシ樹脂組成物は、必要に応じて上述の成分(A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂、(C)硬化促進剤、及び必要に応じて含まれる(D)無機充填剤に加えて、以下に例示するカップリング剤、イオン交換体、離型剤、応力緩和剤、難燃剤、着色剤といった各種添加剤をさらに含有してもよい。しかし、前記エポキシ樹脂組成物は、以下の添加剤に限定されることなく、必要に応じて当技術分野で周知の各種添加剤を含有してもよい。
【0114】
(カップリング剤)
前記エポキシ樹脂組成物には、樹脂成分と無機充填剤との接着性を高めるために、必要に応じて、エポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン等の各種シラン系化合物、チタン系化合物、アルミニウムキレート類、アルミニウム/ジルコニウム系化合物等の公知のカップリング剤を添加することができる。
カップリング剤の含有率は、(D)無機充填剤に対して0.05質量%〜5質量%であることが好ましく、0.1質量%〜2.5質量%がより好ましい。0.05質量%以上であるとフレームとの接着性がより向上する傾向がある。また5質量%以下であるとパッケージの成形性がより向上する傾向がある。
【0115】
上記カップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−[ビス(β−ヒドロキシエチル)]アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(β−アミノエチル)アミノプロピルジメトキシメチルシラン、N−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、N−(ジメトキシメチルシリルイソプロピル)エチレンジアミン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のシラン系カップリング剤、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等のチタネート系カップリング剤等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのなかでも、二級アミノ基を有するカップリング剤が流動性及びワイヤ流れの観点から好ましい。
【0116】
(イオン交換体)
前記エポキシ樹脂組成物は、陰イオン交換体を必要に応じて含有することができる。特にエポキシ樹脂組成物を封止用成形材料として用いる場合には、封止される素子を備える電子部品装置の耐湿性及び高温放置特性を向上させる観点から、陰イオン交換体を配合することが好ましい。本発明において用いられる陰イオン交換体としては特に制限はなく、従来公知のものを用いることができるが、例えば、ハイドロタルサイト類や、マグネシウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ビスマスから選ばれる元素の含水酸化物等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、下記一般式(XXII)で示されるハイドロタルサイトが好ましい。
【0117】
Mg1−XAl(OH)(COX/2・mHO …… (XXII)
一般式(XXII)中、Xは0<X≦0.5であり、mは正の数を示す
これらの陰イオン交換体の含有率は、ハロゲンイオンなどの陰イオンを捕捉できる十分量であれば特に制限はないが、(A)エポキシ樹脂に対して0.1質量%〜30質量%の範囲が好ましく、1質量%〜5質量%がより好ましい。
【0118】
(離型剤)
前記エポキシ樹脂組成物は、成形時に金型との良好な離型性を持たせるため離型剤を含有してもよい。本発明において用いられる離型剤としては特に制限はなく従来公知のものを用いることができる。例えば、カルナバワックス、モンタン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス、酸化ポリエチレン、非酸化ポリエチレン等のポリオレフィン系ワックス等が挙げられ、これらの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、酸化型又は非酸化型のポリオレフィン系ワックスが好ましく、その含有率としては(A)エポキシ樹脂に対して0.01質量%〜10質量%が好ましく、0.1質量%〜5質量%がより好ましい。ポリオレフィン系ワックスの含有率が0.01質量%以上であると離型性が充分に得られる傾向がある。また10質量%以下であると接着性が低下することが抑制される傾向にある。ポリオレフィン系ワックスとしては、例えば市販品ではヘキスト社製のH4、PE、PEDシリーズ等の数平均分子量が500〜10000程度の低分子量ポリエチレンなどが挙げられる。また、ポリオレフィン系ワックスに他の離型剤を併用する場合、その含有率は(A)エポキシ樹脂に対して0.1質量%〜10質量%が好ましく、0.5質量%〜3質量%がより好ましい。
【0119】
(応力緩和剤)
前記エポキシ樹脂組成物は、シリコーンオイル、シリコーンゴム粉末等の応力緩和剤などを必要に応じて含有することができる。応力緩和剤を含有することにより、パッケージの反り変形量、パッケージクラックを低減させることができる。使用できる応力緩和剤としては、一般に使用されている公知の可とう剤(応力緩和剤)であれば特に限定されるものではない。一般に使用されている可とう剤としては、例えば、シリコーン系、スチレン系、オレフィン系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系等の熱可塑性エラストマー、NR(天然ゴム)、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンパウダー等のゴム粒子、メタクリル酸メチル−スチレン−ブタジエン共重合体(MBS)、メタクリル酸メチル−シリコーン共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸ブチル共重合体等のコア−シェル構造を有するゴム粒子等が挙げられ、これらを単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、シリコーン系可とう剤が好ましく、シリコーン系可とう剤としては、エポキシ基を有するもの、アミノ基を有するもの、これらをポリエーテル変性したもの等が挙げられる。
【0120】
(難燃剤)
本発明のエポキシ樹脂組成物には、難燃性を付与するために必要に応じて難燃剤を含有することができる。本発明において用いられる難燃剤としては特に制限はなく、例えば、ハロゲン原子、アンチモン原子、窒素原子又はリン原子を含む公知の有機若しくは無機の化合物、金属水酸化物などが挙げられ、これらの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。難燃剤の含有率は、難燃効果が達成されれば特に制限はないが、エポキシ樹脂などの(A)エポキシ樹脂に対して1質量%〜30質量%が好ましく、2質量%〜15質量%がより好ましい。
【0121】
(着色剤)
また、カーボンブラック、有機染料、有機顔料、酸化チタン、鉛丹、ベンガラ等の公知の着色剤を配合しても良い。
【0122】
先に説明した本発明のエポキシ樹脂組成物は、各種成分を均一に分散混合できるのであれば、いかなる手法を用いても調製できる。一般的な手法としては、所定の配合量の成分をミキサー等によって十分混合した後、ミキシングロール、押出機等によって溶融混練した後、冷却、粉砕する方法を挙げることができる。より具体的には、例えば、上述した成分の所定量を均一に撹拌、混合し、予め70〜140℃に加熱してあるニーダー、ロール、エクストルーダー等で混練、冷却し、粉砕するなどの方法で得ることができる。樹脂組成物は、パッケージの成形条件に合うような寸法及び重量でタブレット化すると取り扱いが容易である。
【0123】
<電子部品装置>
本発明の電子部品装置は、上述のエポキシ樹脂組成物によって封止した素子を備え、必要に応じてその他の構成要素を含んで構成される。電子部品装置としては、例えば、リードフレーム、配線済みのテープキャリア、配線板、ガラス、シリコンウエハ等の支持部材に、半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子、コンデンサ、抵抗体、コイル等の受動素子等の素子を搭載したものが挙げられ、それら素子部を本発明のエポキシ樹脂組成物で封止したものが挙げられる。より具体的には、例えば、リードフレーム上に半導体素子を固定し、ボンディングパッド等の素子の端子部とリード部をワイヤボンディングやバンプで接続した後、本発明のエポキシ樹脂組成物を用いてトランスファ成形などによって封止した、DIP(Dual Inline Package)、PLCC(Plastic Leaded Chip Carrier)、QFP(Quad Flat Package)、SOP(Small Outline Package)、SOJ(Small Outline J−lead package)、TSOP(Thin Small Outline Package)、TQFP(Thin Quad Flat Package)等の一般的な樹脂封止型IC、テープキャリアにバンプで接続した半導体チップを、本発明のエポキシ樹脂組成物で封止したTCP(Tape Carrier Package)、配線板やガラス上に形成した配線に、ワイヤボンディング、フリップチップボンディング、はんだ等で接続した半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子及び/又はコンデンサ、抵抗体、コイル等の受動素子を、本発明のエポキシ樹脂組成物で封止したCOB(Chip On Board)モジュール、ハイブリッドIC、マルチチップモジュール、裏面に配線板接続用の端子を形成した有機基板の表面に素子を搭載し、バンプまたはワイヤボンディングにより素子と有機基板に形成された配線を接続した後、本発明のエポキシ樹脂組成物で素子を封止したBGA(Ball Grid Array)、CSP(Chip Size Package)などが挙げられる。また、プリント回路板にも本発明のエポキシ樹脂組成物は有効に使用できる。
【0124】
本発明のエポキシ樹脂組成物を用いて、素子を封止する方法としては、低圧トランスファ成形法が最も一般的ではあるが、インジェクション成形法、圧縮成形法等を用いてもよい。また素子を封止する条件は、前記封止用エポキシ樹脂成形材料の構成等に応じて適宜選択することができる。
【実施例】
【0125】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
【0126】
〔硬化促進剤1の合成〕
(合成例)
500mlのセパラブルフラスコにトリイソブチルホスフィン28.1g、トルエン40mlを仕込み、室温(25℃)で攪拌しながら200mlのトルエンに溶かした1,4−ベンゾキノン15gを約1時間かけて滴下した。このまま室温(25℃)で2時間攪拌して、生成した固体を窒素気流下、吸引ろ過した後、ロート上で500mlのトルエン、次いで500mlのヘキサンで洗浄した。そのままロート上で窒素気流下、吸引しながら3時間乾燥することにより、トリイソブチルホスフィンと1,4−ベンゾキノンの付加反応物を38.7g(収率90%)得た。
生成物のH−NMR及び31P−NMRを測定し、下記式(I−6)で示される構造であると推定した。
合成例で調製した化合物の分析は、以下の方法に従って実施した。
(1)H−NMR
化合物30mgを約0.6mlの重メタノールに溶かし、直径5mmの試料管に入れ、
ブルカーバイオスピン社製AV−300Mで測定した。シフト値は、溶媒に微量含まれる
CHDC(=O)CD(2.04ppm)を基準とした。H−NMRスペクトルを図1に示す。
(2)31P−NMR
化合物30mgを約0.6mlの重メタノールに溶かし、直径5mmの試料管に入れ、
ブルカーバイオスピン社製AV−300Mで測定した。シフト値は、リン酸水溶液(0p
pm)を基準とした。31P−NMRスペクトルを図1に示す。
【0127】
【化21】
【0128】
〔エポキシ樹脂組成物の調製及びその特性評価〕
エポキシ樹脂として以下を用意した。
・エポキシ樹脂1:エポキシ当量196、融点106℃のビフェニル型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製商品名YX−4000H)
・エポキシ樹脂2:エポキシ当量192、融点79℃のジフェニルメタン型エポキシ樹脂(新日鐡化学株式会社製商品名YSLV−80XY)
・エポキシ樹脂3:エポキシ当量167のサリチルアルデヒド型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製商品名EPPN−502H)
【0129】
フェノール樹脂として以下を用意した。
・フェノール樹脂1:水酸基当量176、軟化点70℃のフェノールアラルキル樹脂(三井化学株式会社製商品名ミレックスXL−225)
・フェノール樹脂2:水酸基当量199、軟化点89℃のビフェニル型フェノールアラルキル樹脂(明和化成株式会社製商品名MEH−7851)
・フェノール樹脂3:水酸基当量106のサリチルアルデヒド型フェノール樹脂(明和化成株式会社製商品名MEH−7500)
【0130】
硬化促進剤として、上記合成例化合物(硬化促進剤1)、トリブチルホスフィンと1,4−ベンゾキノンとの付加反応物(硬化促進剤A)、シクロヘキシルジフェニルホスフィンと1,4−ベンゾキノンとの付加反応物(硬化促進剤B)、トリフェニルホスフィンと1,4−ベンゾキノンとの付加反応物(硬化促進剤C)を用意した。
【0131】
無機充填剤として、平均粒径17.5μm、比表面積3.8m/gの球状溶融シリカを用意した。その他、各種添加剤として、カップリング剤であるエポキシシラン(γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、着色剤であるカーボンブラック(三菱化学株式会社製商品名MA−100)、離型剤であるカルナバワックス(株式会社セラリカNODA製)、難燃剤である三酸化アンチモンを用意した。
【0132】
上述の成分をそれぞれ表1に示す質量部で配合し、混練温度80℃、混練時間15分の条件でロール混練を行うことによって、それぞれ実施例1〜5、及び比較例1〜7のエポキシ樹脂組成物を得た。なお、空欄は無配合を示す。
【0133】
【表1】
【0134】
次に、実施例1〜5、及び比較例1〜7によって得られたエポキシ樹脂組成物を、以下に示す各種試験によって評価した。評価結果を表2に示す。なお、エポキシ樹脂組成物の成形は、トランスファ成形機を用い、金型温度180℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間90秒の条件下で行った。また、後硬化は175℃で6時間行った。
(1)スパイラルフロー(流動性の指標)
EMMI−1−66に準じたスパイラルフロー測定用金型を用いて、上記条件でエポキシ樹脂組成物を成形して流動距離(cm)を測定した。
(2)熱時硬度
エポキシ樹脂組成物を上記条件で直径50mm×厚さ3mmの円板に成形し、成形後直ちにショアD型硬度計を用いて測定した。
【0135】
(3)ワイヤ変形量(ワイヤ流れの指標)
10mm×10mm×0.4mm(面積100mm)、パッドピッチ80μmのテスト用シリコンチップを搭載し、直径18μm、最大長さ3mmの金線(ワイヤ)でワイヤボンディングを施した、外形20mm×20mm、半導体チップ上面の封止材の厚さ0.5mm、半導体チップ裏面の封止材の厚さ0.5mm、半導体装置の総厚み1.5mmのLQFPパッケージを、エポキシ樹脂組成物を用いて上記条件で成形、後硬化して作製し、ソフトX線測定装置(ソフテックス社製PRO−TEST 100型)を用いて、電圧100kV、電流1.5mAの条件で、半導体装置の透視観察を行ってワイヤ変形量を求め、ワイヤ流れを評価した。観察はフレーム面に対し垂直方向から行い、ワイヤボンディングの最短距離L(半導体チップの端子部とリードを結ぶ直線距離)及びワイヤの最大変位量Xを測定し、(X/L)×100をワイヤ変形量(%)とした。
【0136】
【表2】
【0137】
表2から分かるように、本発明による硬化促進剤を含有する実施例1〜5は、いずれにおいても流動性、熱時硬度、ワイヤ変形量に優れる結果となった。
これに対して、本発明による硬化促進剤とは異なる種類の硬化促進剤を含む比較例1〜7は、流動性、ワイヤ変形量に劣っている。
【産業上の利用可能性】
【0138】
本発明による硬化促進剤は、エポキシ樹脂組成物に優れた流動性を発現させることが可能であり、該硬化促進剤を用いたエポキシ樹脂組成物は、硬化促進剤以外全て同じである比較例と比較して、流動性に優れる。
このようなエポキシ樹脂組成物を用いてIC、LSI等の電子部品の素子を封止することによって、作業性が良好で、ワイヤ変形量の少ない電子部品装置を提供することが可能となり、その工業的価値は高い。
図1
図2