【課題を解決するための手段】
【0009】
例示的な光学フィルタは、液晶層を含むことができる。上記液晶層には、光学フィルタに入射する入射光を互いに偏光状態が異なる2種以上の光に分割して出射させることができるように第1及び第2領域が含まれることができる。上記第1及び第2領域は、互いに隣接して配置されていてもよい。
【0010】
液晶層は、重合性液晶化合物を含むことができる。1つの例示において、液晶層は、重合性液晶化合物を重合された形態で含むことができる。用語「重合性液晶化合物」は、液晶性を示すことができる部位、例えば、メソゲン(mesogen)骨格などを含み、また、重合性官能基を1つ以上含む化合物を意味することができる。また、「重合性液晶化合物が重合された形態で含まれているということ」は、上記液晶化合物が重合され、液晶層内で液晶高分子を形成している状態を意味することができる。
【0011】
液晶層は、重合性液晶化合物を非重合された状態で含むか、重合性非液晶化合物、安定剤、非重合性非液晶化合物または開始剤などの添加剤をさらに含むことができる。
【0012】
1つの例示において液晶層に含まれる重合性液晶化合物は、多官能性重合性液晶化合物と単官能性重合性液晶化合物を含むことができる。
【0013】
用語「多官能性重合性液晶化合物」は、上記液晶化合物のうち重合性官能基を2個以上含む化合物を意味することができる。1つの例示において多官能性重合性液晶化合物は、重合性官能基を2個〜10個、2個〜8個、2個〜6個、2個〜5個、2個〜4個、2個〜3個または2個含むことができる。また、用語「単官能性重合性液晶化合物」は、上記液晶化合物のうち1つの重合性官能基を含む化合物を意味することができる。
【0014】
多官能性及び単官能性重合性化合物を一緒に使用すれば、液晶層の位相遅延特性を効果的に調節することができ、また、具現された位相遅延特性、例えば、位相遅延層の光軸や、位相遅延値を安定的に維持することができる。本明細書において用語「光軸」は、光が当該領域を透過するときの遅相軸または進相軸を意味することができる。
【0015】
液晶層は、単官能性重合性液晶化合物を多官能性重合性液晶化合物100重量部に対して0重量部超過100重量部以下、1重量部〜90重量部、1重量部〜80重量部、1重量部〜70重量部、1重量部〜60重量部、1重量部〜50重量部、1重量部〜30重量部または1重量部〜20重量部で含むことができる。
【0016】
上記範囲内で多官能性及び単官能性重合性液晶化合物の混合効果を極大化することができ、また、上記液晶層が上記接着剤層と優れた接着性を示すことができる。本明細書において特に別途規定しない限り、単位「重量部」は、重量の比率を意味することができる。
【0017】
液晶層は、下記一般式1の条件を満たすことができる。
【0018】
[一般式1]
X<8%
【0019】
上記一般式1でXは、上記液晶層の初期位相差値に対して上記液晶層を80℃で100時間または250時間放置した後の上記液晶層の位相差値の変化量の絶対値の百分率である。
【0020】
上記Xは、例えば、「100×(|R
0−R
1|)/R
0」で計算されることができる。上記でR
0は、上記光学素子の液晶層の初期位相差値であり、R
1は、上記液晶層を80℃で100時間または250時間放置した後の位相差を意味する。上記Xは、例えば、7%以下、6%以下または5%以下であることができる。
【0021】
1つの例示において上記多官能性または単官能性重合性液晶化合物は、下記化学式1で表示される化合物であることができる。
【0022】
[化学式1]
【化1】
【0023】
化学式1でAは、単一結合、−COO−または−OCO−であり、R
1〜R
10は、それぞれ独立的に水素、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、−O−Q−Pまたは下記化学式2の置換基であるか、R
1〜R
5のうち隣接する2個の置換基の対またはR
6〜R
10のうち隣接する2個の置換基の対は、互いに連結され、−O−Q−Pで置換されたベンゼンを形成し、 且つR
1〜R
10のうち少なくとも1つは、−O−Q−Pまたは下記化学式2の置換基であるか、 R
1〜R
5のうち隣接する2個の置換基またはR
6〜R
10のうち隣接する2個の置換基のうち少なくとも1つの対は、互いに連結され、−O−Q−Pで置換されたベンゼンを形成し、上記でQは、アルキレン基またはアルキリデン基であり、Pは、アルケニル基、エポキシ基、シアノ基、カルボキシル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基などの重合性官能基である。
【0024】
[化学式2]
【化2】
【0025】
化学式2でBは、単一結合、−COO−または−OCO−であり、R
11〜R
15は、それぞれ独立的に水素、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基または−O−Q−Pであるか、R
11〜R
15のうち隣接する2個の置換基の対は、互いに連結され、−O−Q−Pで置換されたベンゼンを形成し、R
11〜R
15のうち少なくとも1つが−O−Q−Pであるか、 R
11〜R
15のうち隣接する2個の置換基の対は、互いに連結され、−O−Q−Pで置換されたベンゼンを形成し、上記でQは、アルキレン基またはアルキリデン基であり、Pは、アルケニル基、エポキシ基、シアノ基、カルボキシル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基などの重合性官能基である。
【0026】
化学式1及び2で隣接する2個の置換基は、互いに連結され、−O−Q−Pで置換されたベンゼンを形成するということは、隣接する2個の置換基が互いに連結され、全体的に−O−Q−Pで置換されたナフタレン骨格を形成することを意味することができる。
【0027】
化学式2でBの左側の"−"は、Bが化学式1のベンゼンに直接連結されていることを意味することができる。
【0028】
化学式1及び2で用語「単一結合」は、AまたはBで表示される部分に別途の原子が存在しない場合を意味する。例えば、化学式1でAが単一結合の場合、Aの両側のベンゼンが直接連結され、ビフェニル(biphenyl)構造を形成することができる。
【0029】
化学式1及び2でハロゲンとしては、塩素、ブロムまたはヨードなどが例示されることができる。
【0030】
本明細書で用語「アルキル基」は、特に別途規定しない限り、例えば、炭素数1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖アルキル基を意味するか、または、例えば、炭素数3〜20、炭素数3〜16または炭素数4〜12のシクロアルキル基を意味することができる。上記アルキル基は、任意的に1つ以上の置換基により置換されることができる。
【0031】
本明細書で用語「アルコキシ基」は、特に別途規定しない限り、炭素数1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4のアルコキシ基を意味することができる。上記アルコキシ基は、直鎖、分岐鎖または環状であることができる。また、上記アルコキシ基は、任意的に1つ以上の置換基により置換されることができる。
【0032】
また、本明細書で用語「アルキレン基」または「アルキリデン基」は、特に別途規定しない限り、炭素数1〜12、炭素数4〜10または炭素数6〜9のアルキレン基またはアルキリデン基を意味することができる。上記アルキレン基またはアルキリデン基は、例えば、直鎖、分岐鎖または環状であることができる。また、上記アルキレン基またはアルキリデン基は、任意的に1つ以上の置換基により置換されることができる。
【0033】
また、本明細書で「アルケニル基」は、特に別途規定しない限り、炭素数2〜20、炭素数2〜16、炭素数2〜12、炭素数2〜8または炭素数2〜4のアルケニル基を意味することができる。上記アルケニル基は、例えば、直鎖、分岐鎖または環状であることができる。また、上記アルケニル基は、任意的に1つ以上の置換基により置換されることができる。
【0034】
また、化学式1及び2でPは、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基であるか、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基であることができ、他の例示では、アクリロイルオキシ基であることができる。
【0035】
本明細書で特定官能基に置換されていてもよい置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、エポキシ基、オキソ基、オキセタニル基、チオール基、シアノ基、カルボキシル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基またはアリール基などが例示されることができるが、これに限定されるものではない。
【0036】
化学式1及び2で少なくとも1つ以上存在することができる−O−Q−Pまたは化学式2の残基は、例えば、R
3、R
8またはR
13の位置に存在することができる。また、互いに連結され、−O−Q−Pで置換されたベンゼンを構成する置換基は、例えば、R
3及びR
4であるか、またはR
12及びR
13であることができる。また、上記化学式1の化合物または化学式2の残基で−O−Q−Pまたは化学式2の残基以外の置換基または互いに連結されてベンゼンを形成している置換基以外の置換基は、例えば、水素、ハロゲン、炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖アルコキシ基を含むアルコキシカルボニル基、炭素数4〜12のシクロアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、シアノ基またはニトロ基であることができ、他の例示では、塩素、炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル基、炭素数4〜12のシクロアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖アルコキシ基を含むアルコキシカルボニル基またはシアノ基であることができる。
【0037】
重合性液晶化合物は、水平配向された状態で液晶層に含まれていてもよい。1つの例示において上記化合物は、 水平配向状態で重合され、液晶層に含まれていてもよい。本明細書において、用語「水平配向」は、液晶化合物を含む液晶層の光軸が液晶層の平面に対して約0度〜約25度、約0度〜約15度、約0度〜約10度、約0度〜約5度または約0度の傾斜角度を有する場合を意味することができる。
【0038】
1つの例示において、液晶層は、面内における遅相軸方向の屈折率と面内における進相軸方向の屈折率の差が0.05〜0.2、0.07〜0.2、0.09〜0.2または0.1〜0.2の範囲であることができる。上記で面内における遅相軸方向の屈折率は、液晶層の平面で最も高い屈折率を示す方向の屈折率を意味し、進相軸方向の屈折率は、液晶層の平面上で最も低い屈折率を示す方向の屈折率を意味することができる。通常、光学異方性の液晶層で進相軸と遅相軸は、互いに垂直する方向に形成されている。上記それぞれの屈折率は、550nmまたは589nmの波長の光に対して測定した屈折率であることができる。屈折率の差は、例えば、Axomatrix社のAxoscanを利用して測定することができる。液晶層は、また、厚さが約0.5μm〜2.0μmまたは約0.5μm〜1.5μmであることができる。
【0039】
上記屈折率の関係と厚さを有する液晶層は、適用される用途に適した位相遅延特性を示すことができる。
【0040】
液晶層は、入射光、例えば光学フィルタの一方から入射する光を異なる偏光状態を有する2種以上の光に分割し、光学フィルタの他方に出射することができるように形成されていてもよい。このために、例えば、液晶層は、異なる位相遅延特性を有する上記第1及び第2領域を含むことができる。本明細書で「第1領域と第2領域の位相遅延特性が異なるということ」は、第1及び第2領域がいずれも位相遅延特性を有する領域である状態で第1及び第2領域が同一または異なる方向に形成されている光軸を有し、また位相遅延値が異なる領域である場合及び同一の位相遅延数値を有しながら異なる方向に形成されている光軸を有する場合が含まれることができる。他の例示では、「第1及び第2領域の位相遅延特性が異なるということ」は、第1及び第2領域のうちいずれか一方の領域は、位相遅延特性を有する領域であり、他方の領域は、位相遅延特性がない光学的に等方性の領域である場合をも含まれることができる。このような場合の例としては、液晶層が液晶化合物を含む領域と含まない領域をすべて有する形態を挙げることができる。第1または第2領域の位相遅延特性は、例えば、液晶化合物の配向状態、液晶層の屈折率関係または液晶層の厚さを調節して制御することができる。
【0041】
第1領域A及び第2領域Bは、例えば、
図1に示されたように、互いに共通する方向に延長するストライプ形状を有しながら互いに隣接して交互に配置されているか、または
図2のように、格子パターンで互いに隣接して交互に配置されていてもよい。
【0042】
例えば、光学フィルタが立体映像を表示する表示装置に使用される場合、第1及び第2領域のうちいずれか一方の領域は、左眼用映像信号偏光調節領域(以下、「LC領域」と称することができる。)であり、他方の領域は、右眼用映像信号偏光調節領域(以下、「RC領域」と称することができる。)であることができる。
【0043】
第1及び第2領域を含む液晶層によって分割される、異なる偏光状態を有する2種以上の光は、例えば、実質的に互いに垂直な方向を有する直線偏光された2種の光を含むか、または左円偏光された光及び右円偏光された光を含むことができる。
【0044】
本明細書において角度を定義するに際して、垂直、水平、直交または平行などの用語を使用する場合、特に別途規定しない限り、上記それぞれは、実質的な垂直、水平、直交、または平行を意味するもので、例えば、製造誤差(error)または偏差(variation)などを勘案した誤差を含むものである。したがって、例えば、上記それぞれの場合、約±15度以内の誤差、好ましくは、約±10度以内の誤差、より好ましくは、約±5度以内の誤差を含むことができる。
【0045】
1つの例示で上記第1及び第2領域のうちいずれか一方の領域は、入射光の偏光軸を回転させずに、そのまま透過させる領域であり、他方の領域は、入射光の偏光軸を他の領域を透過した光の偏光軸に対して直交する方向に回転させて透過させることができる領域であることができる。このような場合には、上記液晶層において重合性液晶化合物を含む領域は、第1及び第2領域のうちいずれか一方の領域にのみ形成されていてもよい。上記で液晶層が形成されていない領域は、空きの空間であるか、ガラスまたは光学的等方性の樹脂層または樹脂フィルムまたはシートが形成されていてもよい。
【0046】
他の例示で第1及び第2領域のうちいずれか一方の領域は、入射光を左円偏光された光に変換して透過させることができる領域であり、他方の領域は、入射光を右円偏光された光に変換して透過させることができる領域であることができる。この場合、上記第1及び第2領域は、互いに同一の位相遅延値を示しながら異なる方向に形成された光軸を有する領域であるか、または一方の領域は、入射される光を当該波長の1/4波長だけ遅延させることができる領域であり、他方の領域は、入射される光を当該波長の3/4波長だけ位相遅延させることができる領域であることができる。
【0047】
1つの例示において第1及び第2領域は、同一の位相遅延値、例えば入射する光を当該波長の1/4波長だけ位相遅延させることができる値を有することができる。また、第1及び第2領域は、異なる方向に形成されている光軸を有する領域であることができる。
【0048】
光学フィルタは、第1及び第2領域の境界に存在する光透過量調節領域(以下、「TC領域」)を含むことができる。
図3は、光学フィルタを模式的に示す図であり、第1領域A及び第2領域Bの境界に存在するTC領域を示す。
【0049】
用語「TC領域」は、その領域に入射する光を遮断するか、またはその領域に入射する光のうち一部の光のみを透過させることができるように形成された領域を意味することができる。1つの例示においてTC領域は、入射する光の透過率、すなわち光透過率が0%〜20%、0%〜15%、0%〜10%または0%〜5%である領域を意味することができる。
【0050】
また、TC領域が第1及び第2領域の境界に存在するということは、光学フィルタに入射した光が光学フィルタを透過して出射する間のいずれか一時点で入射光の少なくとも一部がTC領域に入射することによって、TC領域に入射した入射光がTC領域によって遮断されるか、またはTC領域に入射した入射光の一部のみがTC領域を透過することができるようにする位置にTC領域が存在することを意味することができる。
【0051】
図4は、
図1の第1及び第2領域A、Bの配置形態をTC領域の存在を勘案してさらに図示した図であり、
図5は、
図2のLG及びRG領域の配置をTC領域の存在を勘案して図示した図である。
図4及び
図5で、TC領域は斜線で表示されている。光学フィルタでTC領域は、必要に応じて適切な個所に形成されていてもよい。
【0052】
TC領域が第1及び第2領域の境界に存在する形態の例としては、同一平面上で第1領域、TC領域及び第2領域が順次に位置する場合、または、第1及び第2領域が位置する平面の前面または後面にTC領域が位置する場合などが例示されることができる。第1及び第2領域が位置する平面の前面または後面にTC領域が位置する場合には、TC領域は、上記光学フィルタを正面で観察するとき、上記第1及び/または第2領域の少なくとも一部と重なった状態で存在することができる。
【0053】
1つの例示において液晶層の第1領域及び第2領域が互いに異なる方向に形成された光軸を含む領域なら、TC領域は、第1及び第2領域の光軸が成す角度を二等分する線と平行に形成されるか、またはその二等分線上に形成されることができる。このような方式で形成されたTC領域は、例えば、後述するような表示装置に適用されれば、輝度の損失なしに広い視野角が確保されるようにすることができる。
【0054】
図6は、
図1または
図2に例示の第1及び第2領域A、Bが異なる方向に形成された光軸を有する領域である場合の光軸の配置を説明するための例示的な図である。第1及び第2領域A、Bの光軸が成す角度を二等分する線は、(θ1+θ2)の角度を二等分する線を意味することができる。例えば、θ1及びθ2が同一の角度なら、上記二等分線は、第1及び第2領域A、Bの境界線Lと水平を成す方向に形成されることができる。また、上記で第1及び第2領域の光軸が成す角度、すなわちθ1+θ2は、例えば、90度であることができる。
【0055】
TC領域は、例えば、光遮断性または光吸収性インクを使用して形成することができる。このような場合、TC領域は、上記インクを含むことができる。例えば、目的とするTC領域の形状、パターン及び位置を考慮して光遮断性または光吸収性インクを印刷する方式でTC領域を形成することができる。
【0056】
TC領域の幅(例えば、
図3のH
2)は、例えば、後述する表示装置の第1光透過量調節領域との関係で規定されることができる。1つの例示においてTC領域の幅は、0μm超過且つ1,000μm以下の範囲で決定されることができる。上記幅の下限は、例えば、20μm、25μm、30μm、35μm、40μm、45μm、50μm、55μm、60μm、65μm、70μm、75μmまたは80μmであることができる。また、上記幅の上限は、例えば、900μm、800μm、700μm、600μm、500μm、400μm、300μm、290μm、280μm、270μm、260μm、250μm、240μm、230μm、220μm、210μmまたは200μmであることができる。このような上限と下限の範囲で多様な数値が選択及び組合され、TC領域の幅が規定されることができる。
【0057】
光学フィルタは、基材層をさらに含むことができる。このような場合に、上記液晶層は、上記基材層の一面に形成されていてもよい。TC領域は、上記基材層と液晶層との間または上記液晶層の上記基材層と当接しない面に存在することができる。
【0058】
光学フィルタは、基材層と液晶層との間に存在する配向層をさらに含むことができる。このような場合に、TC領域は、上記配向層と液晶層との間に存在するか、または上記配向層と基材層との間に存在することができる。
【0059】
図7は、例示的な光学フィルタ50であって、順次形成されている液晶層51、配向層52及び基材層53を含み、TC領域TCが液晶層と配向層との間に存在する場合を示す。
【0060】
また、
図8及び
図9は、やはり例示的な光学フィルタ60、70であって、TC領域TCがそれぞれ基材層53と配向層52との間または液晶層51の基材層53と当接しない面、
図9の場合、液晶層51の上部に存在する場合を示す。
【0061】
基材層としては、例えば、ガラス基材層またはプラスチック基材層を使用することができる。プラスチック基材層としては、TAC(triacetyl cellulose)またはDAC(diacetyl cellulose)などのようなセルロース樹脂;ノルボルネン誘導体などのCOP(cyclo olefin polymer);PMMA(poly(methyl methacrylate)などのアクリル樹脂;PC(polycarbonate);PE(polyethylene)またはPP(polypropylene)などのポリオレフィン;PVA(polyvinyl alcohol);PES(poly ether sulfone);PEEK(polyetheretherketon);PEI(polyetherimide);PEN(polyethylenemaphthatlate);PET(polyethyleneterephtalate)などのポリエステル;PI(polyimide);PSF(polysulfone);またはフッ素樹脂などを含むシートやフィルムが例示されることができる。
【0062】
基材層、例えば、プラスチック基材層は、液晶層に比べて低い屈折率を有することができる。例示的な基材層の屈折率は、約1.33〜約1.53の範囲である。基材層が液晶層に比べて低い屈折率を有すれば、例えば、輝度向上、反射防止及びコントラスト特性向上などに有利である。
【0063】
プラスチック基材層は、光学的に等方性であるか、あるいは、異方性であることができる。上記で基材層が光学的に異方性である場合、上記基材層の光軸は、前述した第1及び第2領域の光軸が成す角度を二等分する線と垂直または水平になるように配置されることができる。
【0064】
1つの例示で基材層は、紫外線遮断剤または紫外線吸収剤を含むことができる。紫外線遮断剤または吸収剤を基材層に含ませれば、紫外線による液晶層の劣化などを防止することができる。紫外線遮断剤または吸収剤としては、サリチル酸エステル(salicylic acid ester)化合物、ベンゾフェノン(benzophenone)化合物、オキシベンゾフェノン(oxybenzophenone)化合物、ベンゾトリアゾール(benzotriazol)化合物、シアノアクリレート(cyanoacrylate)化合物またはベンゾエート(benzoate)化合物などのような有機物または酸化亜鉛(zinc oxide)またはニッケル錯塩(nickel complex salt)などのような無機物が例示されることができる。基材層内の紫外線遮断剤または吸収剤の含量は、特に限定されず、目的効果を考慮して適切に選択することができる。例えば、プラスチック基材層の製造過程で上記紫外線遮断剤または吸収剤を、基材層の主材料に対する重量の比率で約0.1重量%〜25重量%程度で含ませることができる。
【0065】
基材層の厚さは、特に限定されず、目的とする用途によって適切に調節されることができる。
【0066】
基材層と液晶層の間に存在する配向層は、例えば、液晶層の液晶化合物を配向させて、上記第1及び第2領域を形成する役目をする層であることができる。配向層としては、この分野で公知されている通常の配向層、例えば、インプリンティング(imprinting)方式で形成された配向層、光配向層またはラビング配向層などが使用されることができる。上記配向層は、任意的な構成であり、場合によって、上記基材層を直接ラビングするか、延伸する方式で配向層なしに配向性を付与することもできる。
【0067】
1つの例示において上記光学フィルタは、表示装置、例えば、立体映像表示装置(以下、以下、「3D装置」)に適用されるフィルタであることができる。1つの例示において上記3D装置は、表示部を含む装置であることができる。光学フィルタが上記表示装置に適用されれば、表示部で出射される信号が上記フィルタを透過した後に観察者に伝達され得るように上記フィルタが配置されることができる。上記3D装置は、例えば、観察者が立体映像観察用メガネ(以下、「3Dメガネ」)を着用し、立体映像を観察する装置であることができる。
【0068】
表示部は、駆動状態で右眼用信号(以下、「R信号」)を生成することができる右眼用信号生成領域(以下、「RS領域」)と左眼用信号(以下、「L信号」)を生成することができる左眼用信号生成領域(以下、「LS領域」)を含むことができる。用語「駆動状態」は、3D装置が映像、例えば、立体映像を表示している状態を意味することができる。
【0069】
上記光学フィルタは、上記3D装置に適用され、上記R及びL信号の偏光状態を調節する役目、例えば、上記R及びL信号が異なる偏光状態を有するように調節する役目をすることができる。
【0070】
表示部は、また、RS及びLS領域に隣接する光透過量調節領域(TC領域)を含むことができる。以下、本明細書で、TC領域間の区別のために、表示部に含まれるTC領域は、TC1領域と称し、上記光学フィルタに存在するTC領域はTC2領域と称することができる。
【0071】
TC1領域は、また、光透過率が0%〜20%、0%〜15%、0%〜10%または0%〜5%である領域を意味することができる。
【0072】
また、TC1領域がRS及びLS領域に隣接するということは、視野角の範囲内に属する少なくともいずれか1つの角度で映像を観察するとき、RS及び/またはLS領域で生成されたR信号及び/またはL信号が光学フィルタに伝達される過程でR及び/またはL信号の少なくとも一部がTC領域に入射することによって、TC領域に入射した信号がTC領域によって遮断されるか、またはTC領域に入射した信号の一部だけがTC領域を透過し、光学フィルタに伝達され得るようにする位置にTC領域が存在することを意味することができる。
【0073】
用語「視野角」は、例えば、LS領域で生成されたL信号が光学フィルタの第1及び第2領域のうちいずれか一方の領域である左眼用信号偏光調節領域(以下、「LG領域」)を透過し、また、第1及び第2領域のうち他方の領域である右眼用信号偏光調節領域(以下、「RG領域」)を透過することなく観察者に伝達され得る角度の範囲またはRS領域で生成されたR信号が光学フィルタのRG領域を透過し、またLG領域を透過することなく、観察者に伝達され得る角度の範囲を意味することができる。視野角を超過する角度では、L信号がRG領域を透過するか、あるいはR信号がLG領域を透過した後に観察者に伝達され得る。
【0074】
RS及びLS領域に隣接して存在するTC1領域は、RS及びLS領域の間に位置することができる。TC1領域がRS及びLS領域の間に存在する態様の例として、同一平面上でRS、TC1及びLS領域が順次に位置する場合、または、RS及びLS領域が位置する平面の前面または後面にTC1領域が位置する場合などが例示されることができる。RS及びLS領域が位置する平面の前面または後面にTC1領域が位置する場合には、TC1領域は、上記装置を正面で観察するとき、上記RS及び/またはLS領域の少なくとも一部と重なった状態で存在することができる。
【0075】
図10は、上記光学フィルタ801が適用された例示的な3D装置80を概略的に示す図である。
図10のように、光学フィルタ801が適用された例示的な3D装置80は、表示部81と上記光学フィルタ801を含むことができる。表示部81は、光源821、第1偏光板822、映像生成領域823及び第2偏光板824を含むことができる。RS及びLS領域は、映像生成領域823に含まれ、第1偏光板822及び光源821は、映像生成領域83の一側に順次に含まれることができる。
【0076】
光源821としては、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)などの表示装置において光源として通常使用される直下型(direct type)またはエッジ型(edge type)のバックライトユニット(BLU;Back Light Unit)が使用されることができる。光源821としては、上記以外にも多様な種類の装置が使用されることができる。
【0077】
表示部81において第1偏光板822は、光源821と映像生成領域823との間に位置することができる。このような配置によって、光源821から出射した光は、第1偏光板822を透過した後に映像生成領域823に入射することができる。第1偏光板は、透過軸及び上記透過軸に直交する吸収軸が形成されている光学素子であることができる。第1偏光板に光が入射すれば、入射した光のうち偏光板の透過軸方向と平行な偏光軸を有する光だけが透過することができる。
【0078】
映像生成領域823は、駆動状態でL信号を生成することができるLS領域とR信号を生成することができるRS領域を含むことができる。
【0079】
1つの例示において映像生成領域83は、2枚の基板の間に液晶層を介在させた透過型液晶パネルによって形成される領域または上記液晶パネルの内部に形成される領域であることができる。液晶パネルは、例えば、光源821側から順次に配置された第1基板、画素電極、第1配向層、液晶層、第2配向層、共通電極及び第2基板を含むことができる。第1基板には、例えば、透明画素電極に電気的に接続された駆動素子としてTFT(Thin Film Transistor)と配線などを含むアクティブ型駆動回路が形成されていてもよい。画素電極は、例えばITO(Indium Tin Oxide)などの金属酸化物を含むもので、画素別電極として機能することができる。また、第1または第2配向層は、例えば、液晶層の液晶を配向させる役目をすることができる。液晶層は、例えば、VA(Vertical Alignment)、TN(Twisted Nematic)、STN(Super TwistedNematic)またはIPS(In Plane Switching)モードの液晶を含むことができる。液晶層は、駆動回路から印加される電圧によって、光源821からの光を画素別に透過または遮断する機能を有することができる。共通電極は、例えば、共通の対向電極として機能することができる。
【0080】
映像生成領域823には、駆動状態でLまたはR信号を生成することができる領域として1つ以上の画素(pixel)を含むLS及びRS領域が形成されていてもよい。例えば、液晶パネルで第1及び第2配向層の間に密封された液晶を含む1つ以上の単位画素がLSまたはRS領域を形成していてもよい。LS及びRS領域は、行及び/または列方向に配置されていてもよい。
【0081】
図11及び
図12は、例示的なRS及びLS領域の配置を示す図である。
図11及び
図12は、3D装置を正面で観察する場合のRS及びLS領域の配置であることができる。1つの例示においてRS及びLS領域は、
図11のように、共通の方向、例えば、長さ方向に延長するストライプ形状を有し、隣接して交互に配置されていてもよい。他の例示で、RS及びLS領域は、
図12のように、格子パターンで互いに隣接して交互に配置されている。しかし、RS及びLS領域の配置は、
図11及び
図12の配置に制限されるものではなく、他の多様なデザインも適用されることができる。
【0082】
表示部81は、例えば、駆動状態で信号によって各領域での画素を駆動することによってR及びL信号を含む信号を生成することができる。
【0083】
例えば、
図10を参照すれば、光源821で出射した光が第1偏光板822に入射すれば、偏光板822の透過軸と平行に偏光された光だけが透過することができる。このように透過された光は、映像生成領域823に入射する。映像生成領域823に入射してRS領域を透過した光は、R信号になり、LS領域を透過した光は、L信号になることができる。
【0084】
表示部81は、TC1領域を含むことができる。TC1領域は、RS及びLS領域に隣接して位置することができる。例示的な装置80を模式的に示す
図10では、TC1領域が映像生成領域823でRS及びLS領域が形成される平面の前面に位置し、また正面で観察するとき、上記RS及びLS領域の間で上記RS及びLS領域の一部と重なるように位置している。しかし、TC1領域の位置は、
図10に示された配置に制限されない。例えば、TC1領域は、RS及びLS領域が形成される平面の後面に位置するか、例えば、RS及びLS領域が形成される平面と同一の平面に位置することもできる。
図13は、
図11のLS及びRS領域の配置形態をTC1の存在を勘案してさらに図示した図であり、
図14は、
図12のLS及びRS領域の配置をTC1の存在を勘案してさらに図示した図である。
図13及び
図14で、TC1領域は、斜線で表示されている。
【0085】
TC1領域は、例えば、TC2領域と組合され、輝度の損失なしに3D装置が広い視野角で映像を表示するようにすることができる。
【0086】
1つの例示においてTC1領域は、ブラックマトリックスであることができる。例えば、映像生成領域823が透過型液晶パネルによって形成される領域であるか、その内部に形成される領域である場合、TC1領域は、前述したように、液晶パネルに含まれることができる第2基板に通常存在するカラーフィルタに含まれるブラックマトリックスであることができる。1つの例示においてTC1領域は、クロム(Cr)、クロムとクロム酸化物の二層膜(Cr/CrOx二層膜)、カーボンブラック(carbon black)、カーボン顔料などのような顔料(pigment)を含む樹脂層またはグラファイト(Graphite)を含んで形成される領域であることができる。上記素材を使用してTC1領域を形成する方式は、特に制限されない。例えば、TC1領域は、ブラックマトリックスを形成する通常の方式であるフォトリソグラフィ(photolithography)やリフトオフ(lift off)方式などで形成することができる。
【0087】
3D装置で第2偏光板824は、映像生成領域823と光学フィルタ801との間に含まれることができる。光学フィルタ801は、第1及び第2領域のうちいずれか一方の領域であるLG領域と他方の領域であるRG領域を含む。また、上記TC2領域は、LG及びRG領域に隣接して位置することができる。
【0088】
映像生成領域823で出射した信号は、第2偏光板824と光学フィルタ801を順次に透過し、観察者に伝達されることができる。また、R及び/またはL信号の少なくとも一部は、視野角内のいずれか1つの角度で観察するとき、上記信号が光学フィルタ801を透過する間に、いずれか一方の時点でTC2領域に入射することができる。
【0089】
第2偏光板824は、第1偏光板822のように、透過軸及び上記透過軸に直交する吸収軸が形成されている光学素子であり、光が入射すれば、そのうち透過軸方向と平行な偏光軸を有する信号のみを透過させることができる。3D装置80に含まれる第1及び第2偏光板822、824は、それぞれの吸収軸が互いに垂直を成すように配置されていてもよい。第1及び第2偏光板822、824の透過軸も互いに垂直を成していてもよい。上記で垂直は、実質的な垂直を意味し、例えば、±15度以内、±10度以内または±5度以内の誤差を含むことができる。
【0090】
光学フィルタ801に含まれるRG及びLG領域は、それぞれR及びL信号の偏光状態を調節することができる。上記記述した内容によってRG及びLG領域は、R及びL信号が異なる偏光状態を有するまま3D装置から出射されるようにする役目をする領域であることができる。
【0091】
RG領域は、駆動状態でRS領域で生成及び伝達されるR信号が入射され得るようにRS領域に略対応する位置にRS領域と略対応するサイズに配置されていてもよく、LS領域は、LS領域で生成及び伝達されるL信号が入射され得るようにLS領域の略対応する位置にLS領域と略対応するサイズに配置されていてもよい。RSまたはLS領域に対応する位置に対応するサイズでRGまたはLG領域が形成されるというのは、RS領域で生成されたR信号がRG領域に入射され得、LS領域で生成されたL信号がLG領域に入射され得る位置及びサイズを意味するものであり、必ず両方が同一の位置に同一のサイズに形成されなければならないことを意味するものではない。
【0092】
RG及びLG領域は、例えば、RS及びLS領域の配置に対応して共通方向、例えば、長さ方向に延長するストライプ形状に形成され、また、互いに隣接して交互に配置されているか、あるいは格子パターンで互いに隣接して交互に配置されていてもよい。
【0093】
光学フィルタを含む場合、3D装置は、TC1とTC2領域を含む。このような装置は、輝度の損失なしに広い視野角で立体映像を表示することができる。
【0094】
1つの例示において上記光学フィルタが上記3D装置に適用されるフィルタである場合、TC2領域は、TC1領域と下記数式1を満たすことができる。下記数式1を満たす範囲内で3D装置の輝度特性が適切に確保されながら広い視野角を示すことができる。
【0095】
[数式1]
H
1+H
2≦(P
L+P
R)/2
【0096】
上記数式1でH
1はTC1領域の幅であり、H
2は、TC2領域の幅であり、P
Lは、LG領域、すなわち第1または第2領域の幅であり、P
Rは、RG領域、すなわち第2または第1領域の幅である。
【0097】
図15は、上記光学フィルタを含む3D装置のTC1領域を含む映像生成領域823、第2偏光板824及び光学フィルタ801のみを側面で観察する場合を模式的に示す図であり、
図15には、上記「H
1」、「H
2」、「P
L」及び「P
R」がそれぞれ表示されている。
【0098】
3D装置において「H
1」及び「H
2」の具体的な範囲は、3D装置の具体的な仕様によって上記数式1を満たす範囲を考慮して適宜選択されることができるもので、その具体的な数値は、特に制限されるものではない。例えば、上記H
2、すなわちTC2領域の幅は、上記記述した範囲で選択されることができる。
【0099】
また、「H
1」は、例えば、H
1とH
2の和が約0μm超過且つ2,000μm以下の範囲になるように選択されることができる。H
1とH
2の和の下限は、例えば、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、110μm、120μm、130μm、140μm、150μmまたは160μmであることができる。また、H
1とH
2の和の上限は、例えば、1900μm、1800μm、1700μm、1600μm、1500μm、1400μm、1300μm、1200μm、1100μm、1000μm、900μm、800μm、700μm、600μm、500μm、400μmまたは300μmであることができる。このような上限と下限の範囲で多様な数値が選択及び組合され、H
1とH
2の和の範囲が規定されることができる。
【0100】
また、3D装置で「P
R」及び「P
L」、すなわち上記光学フィルタの第1または第2領域の幅の具体的な範囲も、3D装置の具体的な仕様によって選択されることができるものであり、その具体的な数値は、特に制限されるものではない。1つの例示において上記3D装置が47インチの装置である場合に、上記「P
R」及び「P
L」の具体的な範囲は、例えば、それぞれ150μm〜350μmの範囲内で選択されることができる。通常的な装置のスペックを勘案すれば、上記「P
R」及び「P
L」の具体的な範囲は、例えば、150μm〜1,000μmの範囲にあり得る。
【0101】
光学フィルタのTC2領域の幅H
2は、上記フィルタが適用された3D装置のTC1領域の幅H
1と同一であるかまたはそれより小さい。1つの例示においてTC1領域の幅H
1とTC2領域の幅H
2の差H
1−H
2は、例えば、1,000μm以内、900μm以内、800μm以内、700μm以内、600μm以内、500μm以内、400μm以内、300μm以内、175μm以内、150μm以内、125μm以内、100μm以内、75μm以内、50μm以内または25μm以内であるか、実質的に0μmであることができる。このような状態で上記3D装置は、輝度の損失なしに広い視野角を確保することができる。
【0102】
光学フィルタが適用された3D装置は、例えば、正面で観察した相対輝度が60%以上、65%以上または70%以上であることができる。用語「相対輝度」は、TC1及びTC2領域がすべて形成されていない3D装置での輝度I
Oに対してTC1及びTC2領域が形成されている3D装置での輝度I
Tの比率I
T/I
Oを意味することができる。
【0103】
3D装置に適用される光学フィルタのTC2領域は、例えば、下記数式2を満たす角度"θ
U"及び下記数式3を満たす角度"θ
L"の最大値がすべて3度またはそれ以上、5度またはそれ以上、8度またはそれ以上、8.5度またはそれ以上、9度またはそれ以上、9.5度またはそれ以上、10度またはそれ以上、10.5度またはそれ以上、11度またはそれ以上、11.5度またはそれ以上、12度またはそれ以上、12.5度またはそれ以上、13度またはそれ以上、13.5度またはそれ以上、14度またはそれ以上、14.5度またはそれ以上または15度またはそれ以上になるように形成されていてもよい。
【0104】
[数式2]
tanθ
U=(H
1+2y)/2T
【0105】
[数式3]
tanθ
L=(H
1+2H
2−2y)/2T
【0106】
数式2及び3で、H
1は、TC1領域の幅であり、H
2は、TC2領域の幅であり、Tは、光学フィルタが適用された3D装置で表示部から上記光学フィルタまでの距離であり、yは、光学フィルタが適用された3D装置のTC1領域の幅を二等分する線の上記TC1領域の表面に対する仮想の法線がTC2領域に当接する地点からTC2領域が存在する部分までの距離である。
【0107】
"θ
U"及び"θ
L"は、例えば、それぞれ3D装置の視野角を意味することができる。数式2及び3を
図16を参照してさらに説明すれば下記の通りである。
【0108】
用語「視野角」が、映像生成領域で生成されたL信号がLG領域を透過し、また、RG領域を透過することなく観察者に伝達され得る角度の範囲または映像生成領域で生成されたR信号がRG領域を透過し、また、LG領域を透過することなく観察者に伝達され得る角度の範囲を意味するものと仮定するとき、上記視野角は、
図16でそれぞれ"θ
U"及び"θ
L"で表示されている。
【0109】
図16のように、視野角は、映像生成領域から光学フィルタまでの距離TとTC1及びTC2領域の幅によって決定されることができる。上記で映像生成領域から光学フィルタまでの距離Tは、例えば、映像生成領域の光学フィルタと対向する面から光学フィルタのTC2領域が終わる地点までの距離であることができる。例えば、映像生成領域が液晶パネルによって形成される領域である場合に、上記映像生成領域の光学フィルタと対向する面は、上記液晶パネルの液晶層の上記光学フィルタと対向する面を意味することができる。
【0110】
距離Tは、3D装置の仕様によって決定されるものであって、特に制限されない。例えば、上記距離Tは、5mm以下、または約0.5mm〜5mm程度であることができる。
【0111】
図16を参照すれば、視野角"θ
U"及び"θ
L"は、距離Tが同一であるとき、TC1及びTC2領域の幅H
1及びH
2と、TC1及びTC2領域の相対的位置によって決定されることが分かる。
【0112】
すなわち、視野角"θ
U"は、tanθ
UがTC1領域の幅H
1の1/2倍の数値及びTC1領域の幅を二等分する線の上記TC1または映像生成領域の表面に対する仮想の法線CがTC2領域に当接する地点からTC2領域が存在する部分までの距離yの和H
1/2+yを上記距離Tで分けた数値と同一になるように形成されていることが分かる。また、視野角"θ
L"は、tanθ
LがTC1領域の幅H
1の1/2倍の数値に上記TC2領域の幅H
2でTC1領域の幅H
1を二等分する線の上記TC1領域または映像生成領域の表面に対する仮想の法線CがTC2領域に当接する地点からTC2領域が存在する部分までの距離yを差し引いた数値H
2−yの和H
1/2+H
2−yを上記距離Tで分けた数値と同一になるように形成されていることが分かる。
【0113】
TC1及びTC2領域を含む3D装置では、TC1及びTC2領域のサイズ、例えば、幅と上記TC1及びTC2領域の相対的位置を適切に調節することによって、立体映像の観察時に広い視野角を確保しながらも、輝度特性を優秀に確保することができる。
【0114】
上記3D装置は、正面で観察した相対輝度が60%以上、65%以上または70%以上であり、また、それと同時に上記数式2を満たす角度"θ
U"の最大値及び上記数式3を満たす角度"θ
L"の最大値がすべて3度またはそれ以上、5度またはそれ以上、8度またはそれ以上、8.5度またはそれ以上、9度またはそれ以上、9.5度またはそれ以上、10度またはそれ以上、10.5度またはそれ以上、11度またはそれ以上、11.5度またはそれ以上、12度またはそれ以上、12.5度またはそれ以上、13度またはそれ以上、13.5度またはそれ以上、14度またはそれ以上、14.5度またはそれ以上または15度またはそれ以上であることができる。
【0115】
本出願は、また、表示装置、例えば、3D装置であって、上記記述した光学フィルタを含む3D装置に関する。上記3D装置の具体的な内容としては、上記記述した事項が適用されることができる。
【0116】
本出願は、また、光学フィルタ、例えば、上記光学フィルタの製造方法に関する。例示的な製造方法は、異なる位相遅延特性を有し、また、互いに隣接している第1及び第2領域を含む液晶層の境界にTC2領域を形成することを含むことができる。上記でTC2領域は、液晶層を形成した後または液晶層を形成する前に形成するか、または液晶層と同時に形成することもできる。
【0117】
液晶層は、例えば、基材層上に配向層を形成し、上記配向層上に上記重合性液晶化合物を含む液晶組成物の塗布層を形成し、上記液晶組成物を配向させた状態で重合させて液晶層を形成する方式で製造することができる。
【0118】
配向層は、例えば、基材層にポリイミドなどの高分子膜を形成し、ラビング処理するか、光配向性化合物をコーティングし、直線偏光の照射などを通じて配向処理する方式またはナノインプリンティング方式などのようなインプリンティング方式で形成することができる。この分野では、目的とする配向パターン、例えば、上記第1及び第2領域のパターンを考慮して、配向層を形成する多様な方式が公知されている。
【0119】
液晶組成物の塗布層は、組成物を公知の方式で基材層の配向層上にコーティングして形成することができる。上記塗布層の下部に存在する配向層の配向パターンによって配向させた後に重合させて液晶層を形成することができる。
【0120】
TC2領域は、例えば、液晶層の形成の前または後に上記記述した光遮断性または光吸収性インクを形成する第1及び第2領域の位置を考慮して印刷する方式で形成することができる。このような場合、印刷は、例えば、上記配向層が形成される基材層の表面、上記液晶層が形成される配向層の表面または上記液晶層の表面に行われることができ、TC2領域が形成される位置の正確性などを考慮すれば、配向層の表面に印刷されることができる。
【0121】
例えば、カーボンブラック(carbon black)、黒煙または酸化鉄などのような無機顔料や、アゾ系顔料またはフタロシアニン系顔料などの有機顔料を含む光遮断性または光吸収性インクを適切なバインダー(binder)及び/または溶剤(solvent)と配合した印刷用インクを使用して印刷工程が進行されることができる。例えば、上記顔料の配合量や種類を調節し、TC領域の光透過率を調節することができる。印刷方式は、特に制限されず、例えば、スクリーン印刷またはグラビア印刷などの印刷方式や、インクジェット方式による選択的なジェッティング方式を使用することができる。