(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
[熱硬化性樹脂]
本発明に係る熱硬化性樹脂は、下記一般式(1)で示されるシロキサン樹脂(a)と、1分子中に少なくとも2個のシアネート基を有する化合物(b)と、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する化合物(c)とを、シロキサン樹脂(a)、化合物(b)及び化合物(c)の総和100質量部あたり、シロキサン樹脂(a)10〜50質量部、該化合物(b)40〜80質量部、及び該化合物(c)10〜50質量部の割合で用いて、有機溶媒中で、該化合物(b)の反応率が30〜70mol%となるように反応させて得られる。
【0013】
【化2】
式中、R
1はそれぞれ独立に炭素数1〜5の飽和炭化水素基であり、Xは、それぞれ独立にカルボキシ基、メタクリル基、グリシジル基、脂環式エポキシ基、及びメルカプト基から選択される置換基であり、mは5〜100の整数である。
【0014】
<シロキサン樹脂(a)>
本発明の熱硬化性樹脂を構成するシロキサン樹脂(a)は、上記一般式(1)で表される構造を有していれば、特に限定されない。
両末端にカルボキシ基を有するシロキサン樹脂(a)の市販品としては、例えば、信越化学工業株式会社製、商品名X−22−162C(官能基当量:2330g/mol)が挙げられる。
両末端にメタクリル基を有するシロキサン樹脂(a)の市販品としては、例えば、信越化学工業株式会社製、商品名X−22−164A(官能基当量:950g/mol)、商品名X−22−164B(官能基当量:1630g/mol)、商品名X−22−164C(官能基当量:2370g/mol)等が挙げられる。
両末端にグリシジル基を有するシロキサン樹脂(a)の市販品としては、例えば、信越化学工業株式会社製、商品名KF−105(官能基当量:490g/mol)、商品名X−22−163A(官能基当量:950g/mol)、商品名X−22−163B(官能基当量:1760g/mol)、商品名X−22−163C(官能基当量:2790g/mol)が挙げられる。
両末端に脂環式エポキシ基を有するシロキサン樹脂(a)の市販品としては、例えば、信越化学工業株式会社製、商品名X−22−169AS(官能基当量:530g/mol)、商品名X−22−169B(官能基当量:1670g/mol)が挙げられる。
両末端にメルカプト基を有するシロキサン樹脂(a)の市販品としては、例えば、信越化学工業株式会社製、商品名X−22−167B(官能基当量:1670g/mol)が挙げられる。
【0015】
<化合物(b)>
本発明の熱硬化性樹脂を構成する化合物(b)は、1分子中に少なくとも2個のシアネート基を有する。化合物(b)としては、例えば、ノボラック型シアネート樹脂、ビスフェノールA型シアネート樹脂、ビスフェノールE型シアネート樹脂、ビスフェノールF型シアネート樹脂、テトラメチルビスフェノールF型シアネート樹脂等が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を混合して使用することができる。これらの中で、誘電特性、耐熱性、難燃性、低熱膨張性、及び安価である点から、ビスフェノールA型シアネート樹脂、又は下記一般式(2)に示すノボラック型シアネート樹脂が好ましい。
【0016】
【化3】
一般式(2)で示されるノボラック型シアネート樹脂の平均繰り返し数:nは、特に限定されないが、0.1〜30が好ましい。0.1より多いと結晶化が抑制され取り扱いが容易となり、30より少ないと硬化物が脆くなりにくい。
化合物(b)として使用可能なビスフェノールA型シアネート樹脂の市販品としては、ロンザジャパン株式会社製、商品名Arocy B−10が挙げられる。また、ノボラック型シアネート樹脂の市販品としては、ロンザジャパン株式会社製、商品名プリマセットPT−30(重量平均分子量500〜1,000)、商品名プリマセットPT−60(重量平均分子量2,000〜3,000)等が挙げられる。
【0017】
<化合物(c)>
本発明の熱硬化性樹脂組成物を構成する化合物(c)は、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する。化合物(c)としては、例えば、ビスフェノールA系、ビスフェノールF系、テトラメチルビスフェノールF系、ビスフェノールS系、ビスフェノールK系、ビフェノール系、テトラメチルビフェノールビフェニル系、ノボラック系、多官能フェノール系、ナフタレン系、脂環式系及びアルコール系等のグリシジルエーテル、グリシジルアミン系並びにグリシジルエステル系が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を混合して使用することができる。
上述した化合物(c)の中では、高剛性、誘電特性、耐熱性、難燃性、及び低熱膨張性の点から、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレンアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル・クレゾール共重合型エポキシ樹脂等のナフタレン環含有エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂等のビフェニル基含有エポキシ樹脂が好ましい。
さらに、芳香族系有機溶剤への溶解性の点から、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル・クレゾール共重合型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂がより好ましい。さらに、安価であることやエポキシ当量が小さく少量の配合でよいことから、一般式(3)で表されるビフェニル型エポキシ樹脂を使用することが、特に好ましい。
【0019】
<熱硬化性樹脂の製造>
本発明に係る熱硬化性樹脂は、シロキサン樹脂(a)、化合物(b)及び化合物(c)は、反応溶媒中で反応して得られる。熱硬化性樹脂を製造する際のシロキサン樹脂(a)、化合物(b)及び化合物(c)の配合量は、シロキサン樹脂(a)、化合物(b)及び化合物(c)の総和100質量部あたり、シロキサン樹脂(a)10〜50質量部、化合物(b)40〜80質量部、及び化合物(c)10〜50質量部である。
シロキサン樹脂(a)の配合量が10質量部未満であると、得られる基材の面方向の低熱膨張性が低下する場合があり、シロキサン樹脂(a)の配合量が50質量部を超えると、耐熱性及び耐薬品性が低下する場合がある。また、化合物(b)の配合量が40質量部未満であると、得られる樹脂の相溶性が低下する場合があり、化合物(b)の配合量が80質量部を超えると、得られる基材の面方向の低熱膨張性が低下する場合がある。
また、化合物(c)の配合量が10質量部未満であると、耐湿耐熱性が低下する場合があり、化合物(c)の配合量が50質量部を超えると、銅箔接着性や誘電特性が低下する場合がある。
反応溶媒は、トルエン、キシレン、メシチレンから選択される溶媒、すなわち、芳香族系溶媒である。これら以外の溶剤を用いると、所望の反応が進行せず、耐熱性等が低下する。メシチレンよりも分子量の大きい芳香族系溶媒は、プリプレグの製造時に残溶剤となり易いため、好ましくない。また、芳香族系溶媒であっても、ベンゼンは、毒性が強いため、好ましくない。
【0020】
シロキサン樹脂(a)、化合物(b)及び化合物(c)は、上記溶媒に均一に溶解されて、80℃〜120℃の反応温度で、化合物(b)の反応率(消失率ともいう)が30〜70mol%となるように反応させられることが好ましい。
ここで、化合物(b)の反応率は、GPC測定により求められる。すなわち、化合物(b)の反応開始時のピーク面積と、所定時間反応した後のピーク面積とを比較し、ピーク面積の消失率から求められる。
反応率が30mol%以上であると、得られる樹脂が相容化され、白濁もしないため、Bステージの塗布工程が容易に行える。反応率が70mol%以下であると、得られる熱硬化性樹脂が溶剤に可溶となり、Aステージのワニス(熱硬化性樹脂組成物)を製造可能になり、プリプレグのゲルタイムが長くなるためにプレスの際に成形性が良好になる。
化合物(b)のシアネート基は、活性水素を有するカルボキシ基やエポキシ基と付加反応する、或いは、シアネート基同士で3量化しトリアジン環を形成する。シアネート基が3量化しトリアジン環を形成する反応によって3次元網目構造化が進行するが、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する化合物(c)が3次元網目構造中に均一に分散されて、シロキサン樹脂(a)と化合物(b)と化合物(c)とが均一に分散された熱硬化性樹脂が形成される。
【0021】
<有機金属塩(d)>
本発明に係る熱硬化性樹脂を製造する際には、反応溶媒中に、反応触媒として有機金属塩(d)が含まれていてもよい。有機金属塩(d)としては、例えば、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸コバルト、オクチル酸錫、オクチル酸コバルト等の有機酸の金属塩が挙げられる。
有機金属塩(d)の配合量は、シロキサン樹脂(a)と化合物(b)と化合物(c)の総和100質量部に対して、0.0001〜0.004質量部であることが好ましい。0.0001質量部以上であると、反応時間を適切に調整でき、所望の反応率に達し易い。また、0.004質量部以下であると、反応終点の管理が容易にできる。
【0022】
[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は、上記一般式(1)で示されるシロキサン樹脂(a)と、1分子中に少なくとも2個のシアネート基を有する化合物(b)と、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する化合物(c)とを反応して得られる熱硬化性樹脂と、以下に示すその他の成分とを用いることで得られる。
<フェノール樹脂、エポキシ樹脂>
本発明の樹脂組成物には、熱硬化後に残存するシアネート基を減少させる目的で、フェノール樹脂やエポキシ樹脂を添加することができる。
フェノール樹脂としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、ブチルフェノール、アミルフェノール、ノニルフェノール、p−クミルフェノール、1−ナフトール、2−ナフトール等の単官能フェノール化合物や、ビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールK、ビフェノール、テトラメチルビフェノール、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ジメチルハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、ジ−ter−ブチルハイドロキノン、レゾルシノール、メチルレゾルシノール、カテコール、メチルカテコール、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシメチルナフタレン、ジヒドロキシジメチルナフタレン、ビスフェノールフルオレン、ビスクレゾールフルオレン等の2官能フェノール化合物、フェノール類、又はナフトール類とアルデヒド類との縮合物、フェノール類又はナフトール類とキシリレングリコールとの縮合物、フェノール類又はナフトール類とビスメトキシメチルビフェニルとの縮合物、フェノール類とイソプロペニルアセトフェノンとの縮合物、フェノール類とジシクロペンタジエンの反応物が挙げられる。これらは、公知の方法により得ることができる。
【0023】
上記例示したフェノール類のなかでは、ビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールK、ビフェノール、テトラメチルビフェノール、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ジメチルハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、ジ−ter−ブチルハイドロキノン、レゾルシノール、メチルレゾルシノール、カテコール、メチルカテコール、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシメチルナフタレン、ジヒドロキシジメチルナフタレン、ビスフェノールフルオレン、ビスクレゾールフルオレン等を好ましく用いることができる。
【0024】
ナフトール類としては、1−ナフトール、2−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシメチルナフタレン、ジヒドロキシジメチルナフタレン、トリヒドロキシナフタレン等が挙げられる。
【0025】
更に、アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、カプロンアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロルベンズアルデヒド、ブロムベンズアルデヒド、グリオキザール、マロンアルデヒド、スクシンアルデヒド、グルタルアルデヒド、アジピンアルデヒド、ピメリンアルデヒド、セバシンアルデヒド、アクロレイン、クロトンアルデヒド、サリチルアルデヒド、フタルアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド等が挙げられる。
【0026】
エポキシ樹脂としては、化合物(c)として用いられるエポキシ樹脂のほか、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ラウリルアルコールグリシジルエーテル等の一分子中に1個しかフェノール性水酸基をもたないエポキシ基を有する化合物が挙げられる。
【0027】
<無機充填剤>
本発明に係る樹脂組成物には、低熱膨張性や耐熱性、難燃性等の向上化のために無機充填材が配合されてもよい。
無機充填材としては、特に、溶融シリカを用いることが好ましく、中でも官能基を有するシラン化合物で表面を処理した溶融シリカを用いることが好ましい。
官能基を有するシラン化合物には、官能基とアルコキシル基を有するシラン化合物であればどのようなものでもよく、ビニルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランなどが上げられる。
これらの中でも特に、一般式(4)で示されるN−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。
【0029】
無機充填材への表面処理方法の例としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤やエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系有機溶剤に、溶融シリカを添加して混合した後、上記一般式(4)で示されるトリメトキシシラン化合物を添加して、60℃〜120℃で、0.5〜5時間程度撹拌する方法が挙げられる。この方法により、所望の表面状態を有する溶融シリカが得られる。
また、このような表面処理が施された溶融シリカの市販品としては、例えば、アドマテックス社製、商品名SC−2050KNK、SC−2050HNK等が挙げられる。
これら溶融シリカの使用量は、固形分換算の該樹脂組成物100質量部に対し、10〜300質量部とすることが好ましく、100〜250質量部とすることがより好ましく、150〜250質量部とすることが特に好ましい。
10質量部以上であると、基材の剛性や、耐湿耐熱性、難燃性が十分であり、また、300質量部以下であると成形性や耐めっき液性等の耐薬品性が向上する。
【0030】
本発明に係る樹脂組成物に配合可能なこの他の無機充填材としては、例えば、破砕シリカ、マイカ、タルク、ガラス短繊維又は微粉末及び中空ガラス、炭酸カルシウム、石英粉末、金属水和物等が挙げられる。
これらの中でも、低熱膨張性や高弾性、耐熱性、難燃性の点から、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水和物が好ましく、さらに金属水和物の中でも、高い耐熱性と難燃性が両立する点から熱分解温度が300℃以上である金属水和物、例えばベーマイト型水酸化アルミニウム(AlOOH)、あるいはギブサイト型水酸化アルミニウム(Al(OH)
3)を熱処理によりその熱分解温度を300℃以上に調整した化合物、水酸化マグネシウム等がより好ましい。特に、安価であり、350℃以上の特に高い熱分解温度と、高い耐薬品性を有するベーマイト型水酸化アルミニウム(AlOOH)を用いることが好ましい。
これらの無機充填材の使用量は、固形分換算の該樹脂組成物100質量部に対し、0〜200質量部とすることが好ましく、10〜150質量部とすることがより好ましく、50〜150質量部とすることが特に好ましい。10質量部を超えると難燃性が十分となり、200質量部未満であると耐めっき液性等の耐薬品性や成形性が低下せず、良好となる。
【0031】
<硬化促進剤>
本発明に係る樹脂組成物には、耐熱性や難燃性、銅箔接着性等の向上化のため、硬化促進剤を配合してもよい。硬化促進剤の一例としては、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸錫、オクチル酸コバルト等の有機金属塩、イミダゾール類及びその誘導体、第三級アミン類及び第四級アンモニウム塩等が挙げられる。硬化促進剤を使用することによって、耐熱性や難燃性、銅箔接着性等を、より高めることができる。
【0032】
<難燃剤、難燃助剤>
本発明に係る樹脂組成物には、任意に他の難燃剤を配合することもできる。配合可能な難燃剤の一例としては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、リン酸エステル系化合物、ホスファゼン、赤リン等のリン系難燃剤、三酸化アンチモン、モリブデン酸亜鉛等の無機難燃助剤等が挙げられる。特に、モリブデン酸亜鉛をタルク等の無機充填材に担持した無機難燃助剤は、難燃性のみならずドリル加工性をも著しく向上することができるため、特に好ましい。モリブデン酸亜鉛を使用する場合には、本発明の熱硬化性樹脂組成物100質量部に対し、5〜20質量部とすることが好ましい。5質量部以上であると難燃性が向上し、また20質量部未満であるとワニスのゲルタイムが短くなり過ぎず、プレスにより積層板を成形する際に成形性が満足できる。なお、臭素や塩素を含有する含ハロゲン系難燃剤や熱分解温度が300℃未満である金属水酸化物等は、本発明の目的に合わないため、不用いることは好ましくない。
【0033】
<その他の配合剤>
本発明に係る樹脂組成物は、公知の熱可塑性樹脂、エラストマー、有機充填材等と併用できる。熱可塑性樹脂の例としては、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、キシレン樹脂、石油樹脂及びシリコーン樹脂が挙げられる。
エラストマーの例としては、ポリブタジエン、アクリロニトリル、エポキシ変性ポリブタジエン、無水マレイン酸変性ポリブタジエン、フェノール変性ポリブタジエン及びカルボキシ変性アクリロニトリルが挙げられる。
有機充填材の例としては、シリコーンパウダー、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、並びにポリフェニレンエーテル等の有機物粉末が挙げられる。
【0034】
本発明に係る樹脂組成物には、任意に、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光重合開始剤、蛍光増白剤及び密着性向上剤等を配合することも可能である。通常、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光重合開始剤、蛍光増白剤及び密着性向上剤として使用可能な化合物であれば、特に限定されない。
紫外線吸収剤の一例としては、ベンゾトリアゾール系等の紫外線吸収剤、ヒンダードフェノール系やスチレン化フェノール等の酸化防止剤、ベンゾフェノン類、ベンジルケタール類、チオキサントン系等の光重合開始剤、スチルベン誘導体等の蛍光増白剤、尿素シラン等の尿素化合物やシランカップリング剤等の密着性向上剤等が挙げられる。
【0035】
[プリプレグ]
以下、本発明のプリプレグについて詳述する。
本発明のプリプレグは、上述の熱硬化性樹脂組成物が基材に含浸又は塗布されてなる。
本発明のプリプレグは、本発明の熱硬化性樹脂組成物を、基材に含浸又は塗工し、加熱等により半硬化(Bステージ化)して本発明のプリプレグを製造することができる。基材としては、各種の電気絶縁材料用積層板に用いられている周知のものが使用でき、一例としては、Eガラス、Dガラス、Sガラス及びQガラス等の無機物繊維、ポリイミド、ポリエステル及びテトラフルオロエチレン等の有機繊維、並びにそれらの混合物等が挙げられる。
これらの基材は、例えば、織布、不織布、ロービンク、チョップドストランドマット及びサーフェシングマット等の形状を有するが、材質及び形状は、目的とする成形物の用途や性能により選択され、必要により、単独又は2種類以上の材質及び形状を組み合わせることができる。基材の厚さは、特に制限されず、例えば、約0.03〜0.5mmを使用することができ、シランカップリング剤等で表面処理したもの又は機械的に開繊処理を施したものが、耐熱性、加工性の面から好適である。該基材に対する樹脂組成物の付着量が、乾燥後のプリプレグの樹脂含有率で、20〜90質量%となるように、基材に含浸又は塗工した後、通常、100〜200℃の温度で1〜30分加熱乾燥し、半硬化(Bステージ化)させる。
以上の工程により、本発明のプリプレグを得ることができる。
【0036】
[積層板]
本発明の積層板は、前述の本発明のプリプレグを用いて、所定の枚数を積層成形して、製造することができる。本発明のプリプレグを、例えば、1〜20枚重ね、その片面又は両面に銅及びアルミニウム等の金属箔を配置した構成で積層成形することにより製造することができる。金属箔は、電気絶縁材料用途で用いるものであれば特に制限されない。また、成形条件は、例えば、電気絶縁材料用積層板及び多層板の手法が適用でき、例えば多段プレス、多段真空プレス、連続成形、オートクレーブ成形機等を使用し、温度100〜250℃、圧力0.2〜10MPa、加熱時間0.1〜5時間の範囲で成形することができる。また、本発明のプリプレグと内層用配線板とを組合せ、積層成形して、多層板を製造することもできる。
【0037】
近年の高密度化や高信頼性への要求から、積層板の材料には、高い銅箔接着性や耐熱性、良好な低熱膨張性等が必要とされる。微細配線形成のため銅箔接着性は、銅箔引き剥がし強さ(ピール強度)が1.0kN/m以上であることが望まれ、1.2kN/m以上であることがより望まれる。
また、積層板は、高密度化のため、ビルドアップ材等を用いてより高多層化することが求められる。この場合、リフローはんだの温度条件(〜250℃程度)に対する耐性を考慮すると、銅張積層板のガラス転移温度は、250℃以上であることが好ましい。
リフロー耐熱性評価の指針となる銅付き耐熱性(T−300)試験では、基板のふくれ等が30分以上生じないことが望ましい。
さらに、銅張積層板は、さらなる薄型化が望まれており、これに併せて銅張積層板を構成するプリプレグの薄型化も検討されている。薄型化されたプリプレグは、反りやすくなるため、熱処理時におけるプリプレグの反りが小さいことが望まれる。すなわち、熱膨張係数の値が7ppm/℃以下であることが望ましく、5ppm/℃以下であることがより望ましい。
【実施例】
【0038】
次に、下記の実施例により本発明を更に詳しく説明するが、これらの実施例は本発明を制限するものではない。
【0039】
[評価方法]
<銅箔接着性(銅箔ピール強度)の評価>
銅箔の接着性は、ピール強度によって評価した。銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより1cm幅の銅箔を形成して評価基板を作製し、引張り試験機を用いて銅箔のピール強度を測定した。
【0040】
<ガラス転移温度(Tg)の測定>
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた5mm角の評価基板を作製し、TMA試験装置「TMA2940」(デュポン株式会社製)を用い、評価基板の面方向の熱膨張特性を観察することにより評価した。
【0041】
<線熱膨張係数の測定>
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた5mm角の評価基板を作製し、TMA試験装置「TMA2940」(デュポン株式会社製)を用い、評価基板の面方向の30℃〜100℃の線熱膨張率を測定した。
【0042】
<はんだ耐熱性の評価>
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた5cm角の評価基板を作製し、プレッシャー・クッカー試験装置(平山製作所株式会社製)を用いて、121℃、2atmの条件で4時間までプレッシャー・クッカー処理を行った後、温度288℃のはんだ浴に、評価基板を20秒間浸漬した後、外観を観察することにより、リフローはんだの温度条件に対する耐熱性(はんだ耐熱性という)を評価した。
【0043】
<銅付き耐熱性(T−300)の評価>
銅張積層板から5mm角の評価基板を作製し、TMA試験装置「TMA2940」(デュポン株式会社製)を用い、300℃で評価基板の膨れが発生するまでの時間を測定することにより評価した。
【0044】
<難燃性の評価>
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた評価基板から、長さ127mm、幅12.7mmに切り出した試験片を作製し、UL94の試験法(V法)に準じて評価した。
【0045】
<比誘電率及び誘電正接の測定>
得られた銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた評価基板を作製し、比誘電率測定装置「HP4291B」(Hewllet Packerd株式会社製)を用いて、周波数1GHzでの比誘電率及び誘電正接を測定した。
【0046】
[熱硬化性樹脂の製造]
<製造例1:熱硬化性樹脂(1−1)の製造>
温度計、攪拌装置、還流冷却管の付いた加熱及び冷却可能な容積3リットルの反応容器に、ビスフェノールA型シアネート樹脂(ロンザジャパン社製:商品名Primaset BADCy):600.0gと、下記一般式(5)に示すシロキサン樹脂(信越化学社製:商品名X−22−163B、グリシジル基当量:1,760):200.0gと、ビフェニル型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製:商品名YX−4000、エポキシ当量:186):200.0gと、トルエン:1000.0gを投入した。
次いで、攪拌しながら120℃に昇温し、樹脂固形分が溶解し均一な溶液になっていることを確認した後、ナフテン酸亜鉛の8質量%ミネラルスピリット溶液を0.01g添加し、約110℃で4時間反応を行った。その後、室温に冷却し、熱硬化性樹脂(1−1)の溶液を得た。
この反応溶液を少量取り出し、GPC測定(ポリスチレン換算、溶離液:テトラヒドロフラン)を行ったところ、溶出時間が約12.4分付近に出現する合成原料のビスフェノールA型シアネート樹脂のピーク面積が、反応開始時のビスフェノールA型シアネート樹脂のピーク面積と比較し、ピーク面積の消失率が68%であった。また、約10.9分付近、及び8.0〜10.0分付近に出現する熱硬化性樹脂の生成物のピークが確認でき、熱硬化性樹脂(1−1)が製造されていることを確認した。
【0047】
【化6】
式中のpは、平均して40〜45の数である。
【0048】
<製造例2:熱硬化性樹脂(1−2)の製造>
温度計、攪拌装置、還流冷却管の付いた加熱及び冷却可能な容積3リットルの反応容器に、ノボラック型シアネート樹脂(ロンザジャパン社製:商品名Primaset PT−15,重量平均分子量500〜1,000):800.0gと、下記一般式(6)に示すシロキサン樹脂(信越化学社製:商品名X−22−167B、メルカプト基当量:1670):100.0gと、ナフトールアラルキル・クレゾール共重合型エポキシ樹脂(日本化薬社製:商品名NC−7000L、エポキシ当量:230):100.0gと、トルエン:1000.0gを投入した。次いで、攪拌しながら120℃に昇温し、樹脂固形分が溶解し均一な溶液になっていることを確認した後、ナフテン酸亜鉛の8質量%ミネラルスピリット溶液を0.01g添加し、約110℃で4時間反応を行った。その後、室温に冷却し熱硬化性樹脂(1−2)の溶液を得た。
この反応溶液を少量取り出し、GPC測定(ポリスチレン換算、溶離液:テトラヒドロフラン)を行ったところ、溶出時間が約12.1分付近に出現する合成原料のノボラック型シアネート樹脂のピーク面積が、反応開始時のノボラック型シアネート樹脂のピーク面積と比較し、ピーク面積の消失率が43%であった。また、約10.9分付近、及び8.0〜10.0分付近に出現する熱硬化性樹脂の生成物のピークが確認でき、熱硬化性樹脂(1−2)が製造されていることを確認した。
【0049】
【化7】
式中のqは平均して40〜45の数である。
【0050】
<製造例3:熱硬化性樹脂(1−3)の製造>
温度計、攪拌装置、還流冷却管の付いた加熱及び冷却可能な容積3リットルの反応容器に、ジシクロペンタジエン型シアネート樹脂(ロンザジャパン社製:商品名Primaset DT−4000,重量平均分子量500〜1,000):400.0gと、下記一般式(7)に示すシロキサン樹脂(信越化学社製:商品名X−22−164A、メタクリル基当量:950):100.0gと、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬社製:商品名NC−3000H、エポキシ当量:280):500.0gと、メシチレン:1000.0gを投入した。次いで、攪拌しながら120℃に昇温し、樹脂固形分が溶解し均一な溶液になっていることを確認した後、ナフテン酸亜鉛の8質量%ミネラルスピリット溶液を0.30g添加し、約110℃で4時間反応を行った。その後、室温に冷却し、熱硬化性樹脂(1−3)の溶液を得た。
この反応溶液を少量取り出し、GPC測定(ポリスチレン換算、溶離液:テトラヒドロフラン)を行ったところ、溶出時間が約12.0分付近に出現する合成原料のジシクロペンタジエン型シアネート樹脂のピーク面積が、反応開始時のジシクロペンタジエン型シアネート樹脂のピーク面積と比較し、ピーク面積の消失率が43%であった。また、約10.9分付近、及び8.0〜10.0分付近に出現する熱硬化性樹脂の生成物のピークが確認でき、熱硬化性樹脂(1−3)が製造されていることを確認した。
【0051】
【化8】
式中のrは、平均して20〜25の数である。
【0052】
<製造例4:熱硬化性樹脂(1−4)の製造>
温度計、攪拌装置、還流冷却管の付いた加熱及び冷却可能な容積3リットルの反応容器に、ビスフェノールA型シアネート樹脂(ロンザジャパン社製:商品名Primaset BADCy):400.0gと、下記一般式(8)に示すシロキサン樹脂(信越化学社製:商品名X−22−162C、カルボキシル基当量:2,330):500.0gと、ナフタレン型エポキシ樹脂(大日本インキ化学社製:商品名エピクロンHP−4032、エポキシ当量:150):100.0gと、トルエン:1000.0gを投入した。次いで、攪拌しながら120℃に昇温し、樹脂固形分が溶解し均一な溶液になっていることを確認した後、ナフテン酸亜鉛の8質量%ミネラルスピリット溶液を0.01g添加し、約110℃で4時間反応を行った。その後、室温に冷却し熱硬化性樹脂(1−4)の溶液を得た。
この反応溶液を少量取り出し、GPC測定(ポリスチレン換算、溶離液:テトラヒドロフラン)を行ったところ、溶出時間が約12.4分付近に出現する合成原料のビスフェノールA型シアネート樹脂のピーク面積が、反応開始時のビスフェノールA型シアネート樹脂のピーク面積と比較し、ピーク面積の消失率が55%であった。また、約10.9分付近、及び8.0〜10.0分付近に出現する熱硬化性樹脂の生成物のピークが確認でき、熱硬化性樹脂(1−4)が製造されていることを確認した。
【0053】
【化9】
式中のsは、平均して55〜60の数である。
【0054】
<製造例5:トリメトキシシラン化合物により表面処理(湿式処理)された溶融シリカ(2−1)の製造>
温度計、攪拌装置、還流冷却管の付いた加熱及び冷却可能な容積3リットルの反応容器に、溶融シリカ(アドマテックス社製:商品名SO−25R):700.0gと、プロピレングリコールモノメチルエーテル:1000.0gを配合し、攪拌しながらN−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製:商品名KBM−573):7.0gを添加した。次いで80℃に昇温し、80℃で1時間反応を行い溶融シリカの表面処理(湿式処理)を行った後、室温に冷却し、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランにより表面処理(湿式処理)された溶融シリカ(2−1)の溶液を得た。
【0055】
<比較製造例1:(比較樹脂1)の製造>
温度計、攪拌装置、還流冷却管の付いた加熱及び冷却可能な容積3リットルの反応容器に、ビスフェノールA型シアネート樹脂(ロンザジャパン社製:商品名Primaset BADCy):600.0gと、上記一般式(5)に示すシロキサン樹脂(信越化学社製:商品名X−22−163B、グリシジル基当量:1,760):200.0gと、ビフェニル型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製:商品名YX−4000、エポキシ当量:186):200.0gと、トルエン:1000.0gを投入した。次いで、攪拌しながら120℃に昇温し、樹脂固形分が溶解し均一な溶液になっていることを確認した後、ナフテン酸亜鉛の8質量%ミネラルスピリット溶液を0.01g添加し、約110℃で1時間反応を行った。その後、室温に冷却し(比較樹脂1)の溶液を得た。この反応溶液を少量取り出し、GPC測定(ポリスチレン換算、溶離液:テトラヒドロフラン)を行ったところ、溶出時間が約12.4分付近に出現する合成原料のビスフェノールA型シアネート樹脂のピーク面積が、反応開始時のビスフェノールA型シアネート樹脂のピーク面積と比較し、ピーク面積の消失率が15%であった。また、この溶液は翌日結晶化により沈殿物が生じた。
【0056】
<比較製造例2:(比較樹脂2)の製造>
温度計、攪拌装置、還流冷却管の付いた加熱及び冷却可能な容積3リットルの反応容器に、ビスフェノールA型シアネート樹脂(ロンザジャパン社製:商品名Primaset BADCy):600.0gと、上記一般式(5)に示すシロキサン樹脂(信越化学社製:商品名X−22−163B、グリシジル基当量:1,760):200.0gと、ビフェニル型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製:商品名YX−4000、エポキシ当量:186):200.0gと、トルエン:1000.0gを投入した。次いで、攪拌しながら120℃に昇温し、樹脂固形分が溶解し均一な溶液になっていることを確認した後、ナフテン酸亜鉛の8質量%ミネラルスピリット溶液を0.01g添加し、約120℃で6時間反応を行った。その後、室温に冷却し(比較樹脂2)の溶液を得た。この反応溶液を少量取り出し、GPC測定(ポリスチレン換算、溶離液:テトラヒドロフラン)を行ったところ、溶出時間が約12.4分付近に出現する合成原料のビスフェノールA型シアネート樹脂のピーク面積が、反応開始時のビスフェノールA型シアネート樹脂のピーク面積と比較し、ピーク面積の消失率が76%であった。
【0057】
<比較製造例3:(比較樹脂3)の製造>
温度計、攪拌装置、還流冷却管の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、ビスフェノールA型シアネート樹脂(ロンザジャパン社製:商品名Primaset BADCy):600.0gと、上記一般式(5)に示すシロキサン樹脂(信越化学社製:商品名X−22−163B、グリシジル基当量:1,760):200.0gと、トルエン:800.0gを投入した。次いで、攪拌しながら120℃に昇温し、樹脂固形分が溶解し均一な溶液になっていることを確認した後、ナフテン酸亜鉛の8質量%ミネラルスピリット溶液を0.01g添加し、約110℃で4時間反応を行った。その後、室温に冷却し(比較樹脂3)の溶液を得た。この反応溶液を少量取り出し、GPC測定(ポリスチレン換算、溶離液:テトラヒドロフラン)を行ったところ、溶出時間が約12.4分付近に出現する合成原料のビスフェノールA型シアネート樹脂のピーク面積が、反応開始時のビスフェノールA型シアネート樹脂のピーク面積と比較し、ピーク面積の消失率が53%であった。
【0058】
[実施例1〜6、比較例1〜5]
製造例1〜4により得られた熱硬化性樹脂、及び比較製造例1〜3で得られた樹脂、及び、製造例5又は商業的に入手した無機充填材、また、難燃剤又は難燃助剤、硬化促進剤を、表1と表2に示した配合割合(質量部)で混合して、希釈溶剤にメチルエチルケトンを使用して樹脂分60質量%の均一なワニスを得た。
次に、ワニスを厚さ0.2mmのSガラスクロスに含浸させた。これを160℃で10分加熱することにより乾燥させて、樹脂含有量55質量%のプリプレグを得た。
続いて、プリプレグを4枚重ねて積層体を形成し、積層体の一方の表面と他方の表面とに配線幅が18μmの電解銅箔を配置し、圧力25kg/cm
2、温度185℃の条件で90分間プレスを行って、銅張積層板を得た。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
表中の数字は、固形分としての質量部を示している。また、表1に示す注書きは、下記のとおりである。
*1:溶融シリカに対して1質量%のN−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランにより表面処理された溶融シリカ(株式会社アドマテック製:商品名SC−2050KNK,希釈溶剤:メチルイソブチルケトン)
*2:溶融シリカに対して1質量%のN−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランにより表面処理された溶融シリカ(株式会社アドマテック製:商品名SC−2050HNK,希釈溶剤:シクロヘキサノン)
*3:ベーマイト型水酸化アルミニウム(河合石灰工業株式会社製:商品名BMT−3L,熱分解温度:400℃)
*4:モリブデン酸亜鉛をタルクに担持した無機難燃助剤(シャーウィン・ウイリアムス社製、商品名ケムガード1100)
*5:ナフテン酸亜鉛の8質量%ミネラルスピリット溶液
*6:ビフェニル型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製:商品名YX−4000、エポキシ当量:186)
*7:溶融シリカ(アドマテック社製:商品名SO−25R)
*8:溶融シリカに対し1.0質量%のγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(下記一般式(9)に示す)により表面処理された溶融シリカ(アドマテック社製:商品名SC1030−MJA,希釈溶剤:メチルエチルケトン)
【0062】
【化10】
【0063】
[評価結果]
実施例1〜6、比較例1〜5の銅張積層板の評価結果を、表3と表4に示す。
【0064】
【表3】
【0065】
【表4】
【0066】
比較例1は、熱硬化性樹脂が析出しワニスを製造できなかった。比較例2は、成形性が不良であり積層板を作製できなかった。比較例3は、樹脂が分離し、プリプレグ及び積層板を作製できなかった。
表3及び表4から明らかなように、本発明の実施例は、Tg、銅箔ピール強度、耐熱性、低熱膨張性、難燃性、銅付き耐熱性(T−288)、誘電特性の全てに優れる。一方、比較例4及び5は、Tg、銅箔ピール強度、耐熱性、難燃性、銅付き耐熱性(T−300)、誘電特性の全ての特性に劣っている。
本発明の熱硬化性樹脂組成物を基材に含浸、又は塗工して得たプリプレグ、及び該プリプレグを積層成形することにより製造した積層板は、Tg、低熱膨張性、銅箔接着性、耐熱性、難燃性、銅付き耐熱性(T−300)、誘電特性に優れ、電子機器用プリント配線板として有用であることが判った。