(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6221260
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】粉体定量供給装置
(51)【国際特許分類】
B65G 65/46 20060101AFI20171023BHJP
【FI】
B65G65/46 C
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-38413(P2013-38413)
(22)【出願日】2013年2月28日
(65)【公開番号】特開2014-162642(P2014-162642A)
(43)【公開日】2014年9月8日
【審査請求日】2015年6月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】川中 一哲
(72)【発明者】
【氏名】佐々井 茂
【審査官】
中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭49−007972(JP,A)
【文献】
特開平10−029728(JP,A)
【文献】
特開2004−131257(JP,A)
【文献】
特開2007−176701(JP,A)
【文献】
特開平06−156663(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 65/30−65/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体を貯蔵する粉体貯蔵容器と、
前記粉体を定量的に前記粉体貯蔵容器から排出する定量切り出し手段と、
前記粉体貯蔵容器内の前記粉体中の残留気体を抜気する抜気用導管と、を備え、
前記抜気用導管は、中空の管状部材であって、支持手段に吊設されていて、
該抜気用導管は、前記粉体の前記粉体貯蔵容器内への充填時において、下方部分の少なくとも一部が、該粉体からなる堆積物中に埋設されている状態となる位置に、着脱可能な態様で配置されている、粉体定量供給装置。
【請求項2】
前記抜気用導管の下端部と、前記粉体貯蔵容器の内壁底面との距離が300mm以上500mm以下となるように前記抜気用導管が配置されている請求項1に記載の粉体定量供給装置。
【請求項3】
前記抜気用導管が、前記粉体貯蔵容器内に、2本以上配置されている請求項1又は2に記載の粉体定量供給装置。
【請求項4】
前記粉体貯蔵容器内における前記粉体からなる堆積物上の気体空間の空気圧を減圧する減圧手段を更に備える請求項1から3のいずれかに記載の粉体定量供給装置。
【請求項5】
前記定量切り出し手段がスクリューコンベアである請求項1から4のいずれかに記載の粉体定量供給装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の粉体定量供給装置を用いて粉体状の材料を切り出す工程を備える非鉄金属の製錬方法。
【請求項7】
請求項1から5のいずれかに記載の粉体定量供給装置を用いた粉体中残留気体の抜気方法であって、
前記粉体の切り出し時のみに、前記抜気用導管を前記粉体からなる堆積物中に挿入する、粉体中残留気体の抜気方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体を貯蔵する粉体貯蔵容器から前記粉体を定量的に排出する粉体定量供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、銅製錬等の非鉄製錬における自熔炉への粉体状の原料の供給時には、粉体状の原料を貯蔵する粉体貯蔵容器から、粉体状の原料を定量的に切り出して、反応器である自熔炉へと定量的に提供する必要がある。このような、粉体の定量供給を行う工程においては、通常、粉体貯蔵容器下部に、スクリューコンベアやロータリーバルブ等の定量切り出し装置を備えることにより、粉体状の原料を反応器に定量供給している。
【0003】
しかし、上記の定量切り出し装置を用いた場合であっても、特に粉体の水分率が低い場合等においては、反応器に供給する粉体状の原料が一時的に所定適量を超えて粉体貯蔵容器から噴出してしまう、いわゆるフラッシング現象を十分に抑制できない場合がある。
【0004】
このフラッシング現象の発生原因の一つとして、粉体貯蔵容器内の粉体中に残留する残留気体の存在によって、粉体が流動し易い状態となっていることが挙げられる。このような残留気体の抜気については、粉体の自重により粉体が圧縮されることによっても自然に進行するため、粉体貯蔵容器を拡大して粉体貯蔵容器内の粉体の滞留時間を延ばすことによってもある程度促進することができる。
【0005】
又、粉体の定量供給システムに、粉体貯蔵容器内の粉体の重量をリアルタイムで計測して、粉体の追加充填のタイミングと追加量を最適に制御する手段を備えさせるロスインウエイト方式によっても、フラッシング現象の発生を抑制することは可能である(特許文献1参照)。
【0006】
又、粉体の定量供給システムに、粉体の切り出し直前に、粉体を一時静止状態に保持する機構を備えるバッチ式切り出し装置を備えさせることによっても、フラッシング現象の発生を抑制することは可能である(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭59−203013号公報
【特許文献2】特開平11−301783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記のフラッシング現象発生の抑制手段については、いずれも、粉体貯蔵容器の大型化や、フラッシング抑制のための複雑な機構の追加による大がかりな設備改良を必須としている。よって、上記手段の採用は、コスト面、及び設置場所の空間的制約により、採用困難である場合が多い。特に既存の設備を生かしたまま上記手段を導入することは極めて困難である。
【0009】
本発明は、従来手段よりも既存設備への導入が容易で、低コストで実施可能でありながら、フラッシング現象を充分に抑制することのできる粉体定量供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、粉体を貯蔵する粉体貯蔵容器から粉体を定量的に排出する工程において、粉体貯蔵容器内の粉体中の残留気体を抜気用導管を通じて抜気することによって、フラッシングの発生を抑制することができることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のものを提供する。
【0011】
(1) 粉体を貯蔵する粉体貯蔵容器と、前記粉体を定量的に前記粉体貯蔵容器から排出する定量切り出し手段と、前記粉体貯蔵容器内の前記粉体中の残留気体を抜気する抜気用導管と、を備える粉体定量供給装置。
【0012】
(2) 前記抜気用導管の下端部と、前記粉体貯蔵容器の内壁底面との距離が300mm以上500mm以下となるように前記抜気用導管を配置する(1)に記載の粉体定量供給装置。
【0013】
(3) 前記抜気用導管を、前記粉体貯蔵容器内に、2本以上配置する(1)又は(2)に記載の粉体中残留気体の抜気方法。
【0014】
(4) 前記抜気用導管が前記粉体貯蔵容器内に着脱可能な態様で配置されている(1)から(3)のいずれかに記載の粉体定量供給装置。
【0015】
(5) 前記粉体貯蔵容器内の空気圧を減圧する減圧手段を更に備える(1)から(4)のいずれかに記載の粉体定量供給装置。
【0016】
(6) 前記定量切り出し手段がスクリューコンベアである(1)から(5)のいずれかに記載の粉体定量供給装置。
【0017】
(7) (1)から(6)のいずれかに記載の粉体定量供給装置を用いて粉体状の材料を切り出す工程を備える非鉄金属の製錬方法。
【0018】
(8) 粉体を貯蔵する粉体貯蔵容器から前記粉体を定量的に排出する工程において、前記粉体貯蔵容器内の前記粉体中の残留気体を抜気する粉体中残留気体の抜気方法であって、前記粉体貯蔵容器内に抜気用導管を配置して、前記残留気体を前記抜気用導管から抜気する粉体中残留気体の抜気方法。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、従来手段よりも既存設備への導入が容易で、低コストで実施可能でありながら、フラッシング現象を充分に抑制することのできる粉体定量供給装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】本発明の粉体定量供給装置を用いて粉体中残留気体の抜気を行った場合における粉体供給量の推移を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の粉体中残留気体の粉体定量供給装置の一実施形態について説明するが、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0022】
図1は本発明の粉体定量供給装置1の概略図である。本発明の粉体定量供給装置1を用いることにより、粉体中の残留気体の抜気を促進してフラッシング現象の発生を抑制し、粉体材料の定量供給を、好ましい態様において行うことができる。
【0023】
図1に示すように、粉体定量供給装置1は、粉体を貯蔵する粉体貯蔵容器2の内部に抜気用導管3を、粉体貯蔵容器2の下部に定量切り出し手段4を設けたものである。抜気用導管3は、支持手段31によって吊設し、粉体貯蔵容器2内の適切な位置に配置される。但し、抜気用導管3の配置は、このような固定的、或いは恒常的な設置によるものに限られない。例えば、粉体5の切り出し時のみに、抜気用導管3を挿入する実施態様を前提として、上記同様の適切な位置に着脱可能な態様で配置されている粉体定量供給装置も、本発明の範囲内である。
【0024】
粉体貯蔵容器2は、粉体5をその内部に貯蔵するための中空の容器であり、円筒中空形状の本体部と、当該本体部の下方に、粉体5を搬出するために設けられた定量切り出し手段4に接続されているコーン部から構成されているものを好ましい具体例として挙げることができる。コーン部は、粉体5の搬出を容易に行うことができるように、通常は円錐形状又は角錐形状に形成されている。
【0025】
抜気用導管3は中空の管状部材であり、上記の通り、粉体貯蔵容器2内に充填されている粉体5からなる堆積物中に挿入されて用いられる。抜気用導管3は、金属製やセラミック製等の導管を適宜用いることができる。又、抜気用導管3の管径は、定量切り出しを行う粉体5の粒径に応じて適宜調整すればよいが、一般的には、300A〜500Aとすることが好ましい。この程度の管径とすることにより、粉体による管の閉塞を効果的に防止することができる。
【0026】
抜気用導管3の設置位置、或いは、使用時の挿入位置は、その水平方向については、粉体貯蔵容器2に粉体5を供給する装置(図視せず)と干渉しない位置に所要の本数を配置すればよい。又、抜気用導管3の水平方向の配置については、上記範囲内において、粉体貯蔵容器2から粉体5を定量切り出し手段4へと排出する排出口の直上に可能な限り近い位置への配置であることが好ましい。又、上記排出口における粉体の排出量が、排出口内の各範囲によって、ばらつきがある場合には、特に粉体5の排出量が多い範囲となる場所の直上に抜気用導管3を重点的に配置することが更に好ましい。このような位置に抜気用導管3を配置することにより、粉体5の堆積物からの抜気効果を更により高いものとすることができる。
【0027】
一方、抜気用導管3の設置位置、或いは、使用時の挿入位置は、その垂直方向については、抜気用導管3の下方部分の少なくとも一部が、粉体5の粉体貯蔵容器2内への充填時において、粉体5からなる堆積物中に埋設されている状態となるようにし、且つ、抜気用導管3の上方部分の少なくとも一部が、上記同様の粉体5の充填時において、粉体5からなる堆積物の表面上に露出されている状態を保持できる位置となるように配置する。垂直方向における配置位置を上記位置とすることにより、抜気用導管3内へ粉体5が詰まることによる管の閉塞を回避して、粉体5中の残留気体の粉体堆積物の外へ抜気を適切に促進することができる。
【0028】
又、抜気用導管3の上記の垂直方向の配置は、抜気用導管3の下端部が、粉体貯蔵容器2の内壁底面近傍にあるようにすることが好ましい。粉体5からなる堆積物中の残留気体のうち、特に粉体5からなる堆積物中の下部寄りに残留する残留気体は、その上部に大量に積層されている粉体5が妨げとなり、抜気されるまでに比較的長時間を要する。しかし、抜気用導管3の垂直方向の配置を上記位置とすることにより、残留気体の粉体5からなる堆積物の外への抜気をより速やかに促進することができる。
【0029】
尚、上記の粉体貯蔵容器2の内壁底面近傍とは、具体的には、例えば、粉体貯蔵容器2の内壁底面から、抜気用導管3の下端部までの距離が、300mm〜500mm程度となるような位置を例示することができる。上記距離を500mm以下とすることにより、粉体5の堆積物からの残留気体の抜気を極めて速やかに促進することができる。但し、上記距離は、切り出し装置の切り出し刃と抜気用導管3の不測の接触を確実に防止するという安全面における要請より、300mm程度以上とすることが好ましい。
【0030】
又、抜気用導管3は、抜気用導管3を上記の位置に、少なくとも1本、好ましくは複数本配置する。抜気用導管3の配置本数を適当な本数に増加することによって、上記の抜気効果をより高めることができる。
【0031】
定量切り出し手段4としては、従来公知のスクリューコンベアを好ましく用いることができるが、これに限定されるものでない。その他の公知の定量切り出し手段を用いることができる。これらの定量切り出し手段4は、粉体貯蔵容器2のコーン部の下端に設置される。
【0032】
粉体定量供給装置1は、更に減圧装置6を備えるものであることが好ましい。この減圧装置6により、粉体5からなる堆積物上の気体空間を減圧することによって、抜気効果を更に高めることができる。又、抜気用導管3によって抜気された残留
気体の系外への排出を適切に促進するためにも、減圧装置6を備え、上記気体空間の圧力を適宜調整可能とすることが好ましい。減圧装置6としては、一般的なポンプ、ファン等を適宜用いることができる。
【0033】
又、粉体定量供給装置1は、更に、粉体貯蔵容器2における抜気用導管3の配置位置の垂直方向の上方位置に点検口7を設けたものであることが好ましい。粉体貯蔵容器2に点検口7を設けることにより、抜気用導管3の保守点検が容易となる。
【0034】
粉体を貯蔵する粉体貯蔵容器から前記粉体を定量的に排出する工程においては、上記の粉体定量供給装置1を用いて本発明の粉体中残留気体の抜気方法を実施することにより、同工程におけるフラッシングの発生を充分に好ましい程度にまで抑制することができる。そして、これにより、粉体の定量切り出しの安定性を高め、後に続く工程の生産性向上に大きく寄与することができる。
【実施例】
【0035】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0036】
上記において説明した本発明の粉体定量供給装置により、粉体の定量切り出しを行った。粉体定量供給装置の粉体貯蔵容器は4つに仕切られており、実施例として、そのうちの一つの部屋のみに、管の内径が300Aである抜気用導管を1本、粉体貯蔵容器の内壁底面から導管下端部までの距離が、400mmとなるように設置した状態で粉体の定量供給を試みた。上記の仕切られた一部屋当りの粉体の初期充填量は、40t程度で、1時間当りの切り出し量については、55t程度となるようにスクリューコンベアの運転速度等の諸条件を適宜調整した。その他の3つの部屋については、比較例として、抜気用導管は配置せず、その他の条件については、実施例と同様にした状態で同じく粉体の定量供給を試みた。
【0037】
9日間、上記の粉体の定量供給を継続し、その間の実施例、比較例における粉体の切り出し量の推移を測定した。結果をグラフ化して
図2に示す。
図2において、短期間で切り出し量が大きく変動している箇所は、その時間において、フラッシング現象が発生していることを示すものである。尚、
図2は、縦軸に粉体の単位時間当りの供給量、横軸に定量供給の継続日数(日)を示したものであり、縦軸の数値は、ロードセルにて看量した値であり、その500が、1時間当りの切り出し量で凡そ55tに相当する。又、フラッシングの発生状況のグラフ状での視認性を高めるために、実施例の各値については、表示上、実測値より70ずつ小さい値をプロットしてある。
【0038】
図2より、本発明の粉体定量供給装置を用いることにより、粉体を定量的に排出する工程において、簡易な手段によって、フラッシングの発生を抑制して粉体供給の安定性を高めることができることが分る。
【符号の説明】
【0039】
1 定量供給装置
2 粉体貯蔵容器
3 抜気用導管
31 支持手段
4 定量切り出し手段
5 粉体
6 減圧装置
7 点検口