【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成24年度、独立行政法人情報通信研究機構「高度通信・放送研究開発委託研究/低消費電力高速光スイッチング技術の研究開発」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記接続ランド部は、コプレーナー電極型であり、前記接続ランド部の位置に相当する第一電極の層は、各部の中心導体とグラウンド電極の間隔の総和より大きな幅の開口部を有することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の光制御素子。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
半田リフロー工程やフリップチップボンディングが可能となるようなチップの構成については、基本的に接続ランド部を大きく形成するのだが、単純な構成で配線を太くした場合はインピーダンスの不整合や寄生容量が大きくなり、電気光学デバイスとしての特性、特に高周波帯での特性が大幅に劣化してしまう。
【0008】
特に、特許文献2(
図3)に記載されたような薄い電気光学デバイスチップの両面を電極で挟んだ構造においては上記の問題が顕著である。インピーダンスの不整合や寄生容量の問題は、特許文献3に記載されるように、接続ランド部のグラウンド電極を省くことにより、ある程度軽減することは可能である。しかしながら、薄い基板の場合、電気接続用ランドも薄い基板の上部に形成されることから、ボンディングを行う際の熱及び高周波により電気光学効果を有する薄い基板がダメージを受け、クラックや変形する問題が顕著である。そのダメージが光導波路部に達すると光損失の増大や消光比の劣化などデバイスとしての機能が大きく損なわれる。その対策として、配線ランド部を光導波路から遠く離しチップの幅が広くとる必要があった。このように、特許文献2のような構成の電気光学デバイスは、単位長さあたりの効率が極めて高く、デバイスのチップの長さを大幅に小さくすることが可能だが、電気信号線の接続時のダメージ回避のために、チップのサイズダウンには限界があった。
【0009】
超分極率色素を含んだ電気光学ポリマー材料の場合、特許文献4に示される方法で、実装時のダメージを回避する方法が示されている。これは、作用部電極の上に保護層を設けて、ワイヤーボンディング時のダメージを緩和する方法であり、保護層の材料としては絶縁性材料であれば良い旨が示されている。この方法は、ダメージ防止には一定の効果が見込める、文献中に示される単純な矩形の接続ランドで機能するデバイスであれば、有効な方法でるあるものの、デバイスの高周波における動作特性への悪影響が避けられない。保護膜の誘電率、複素誘電率(tanδ)、それらの特性に応じた膜厚と電極形状、電極の配置の設計を行う必要がある。
【0010】
また、電気光学ポリマー材料の場合、非特許文献1の
図8に示される方法で、インピーダンスの不整合や寄生容量の問題は軽減されることが知られている。電気光学ポリマーデバイスでは、電気光学効果を発現するためのポーリング処理を均質に行うために、スピンコート成膜法による電気光学ポリマー層の厚さを均質にする必要がある。しかしながら、非特許文献1の
図8の様に、事前にBack Plane側に電極パターンの形成を行うと、電気光学ポリマー層を精密に均質な厚さにスピンコートすることは極めて困難になる。
【0011】
本発明は、上記の事情を考慮してなされたものであり、その目的は、電気光学デバイスチップと回路基板を少ない面積で実装した光変調器を提供することである。
また電気光学デバイスチップと回路基板との接続構成を工夫することにより、光制御素子の特性を劣化させることなく電気光学デバイスチップの小型化が可能な光制御素子を提供することを目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る光制御素子は、配線電極が設けられた回路基板と、電気光学効果を有する材料からなる厚さ10μm以下の素子基板と、前記素子基板に形成された光導波路と、前記素子基板の厚さ方向一方の主面側に設けられた第1電極と、前記素子基板の他方の主面側に設けられた第2電極と、を備え、前記第1電極は、少なくとも信号電極と第一の接地電極とからなるコプレーナー型の電極であるとともに、信号電極は光導波路を通る光の位相を制御する制御部と当該制御部に接続された接続ランド部とからなり、該接続ランド部は該素子基板の主面よりも高い位置にビルドアップされると共に該素子基板の主面との間には該素子基板の誘電率よりも低い誘電率を有する低誘電率層が設けられており、前記第2電極は、少なくとも第二の接地電極を有するとともに前記制御部と協働して前記光導波路に電界を印加するように配置されており、前記接続ランド部は、前記制御部の電極幅よりも広い幅を有して当該制御部と接続されており、前記制御部と前記回路基板の前記配線電極とを電気的に接続していることを特徴とする。
【0013】
また、前記低誘電率層は該接続ランド部と対向した該素子基板の主面を含むよう該素子基板上の一部に形成された構成としてもよい。
【0014】
また、前記接続ランド部が前記信号電極の長手方向端の少なくとも一方に設けられている構成としてもよい。
【0015】
また、前記信号電極を複数有し、これら複数の前記信号電極にはそれぞれ独立した制御信号が入力される構成としてもよい。
【0016】
また、前記接続ランド部がコプレーナー電極型であり、中心導体とグラウンド電極の間隔が低誘電率層の厚さより小さい構成としてもよい。
【0017】
また、前記接続ランド部がコプレーナー電極型であり、前記接続ランド部の位置に相当する第一電極の層が各部の中心導体とグラウンド電極の間隔の総和より大きな幅の開口部を有する構成としてもよい。
【0018】
また、前記低誘電率層は、樹脂を用いて形成されている構成としてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、光制御素子における電極構造は主要部電極がG−CPW構造となっている一方、接続ランド部における電極構造はG−CPW構造ではなくCPW構造にすることで、フリップチップボンディングやリフローボンディング等のコンパクト実装下でもインピーダンスの不整合や寄生容量の増加、高周波特性の劣化を回避することができる。
【0020】
従来は、制御部の端部を素子基板の側方へ向かって湾曲させる構造であったためチップの幅を広くとる必要があったが、本発明では、制御部の端部を素子基板の側方へ向かって湾曲させない構造のため、チップの幅を狭くすることができる。
【0021】
また、制御信号の伝搬方向が素子基板の主面において変わることがないので、誘電率に異方性がある材料を素子基板にした場合でも電極の設計が複雑にならない。
【0022】
また、接続ランド部が、該素子基板の誘電率よりも低い誘電率を有する低誘電率層を介して該素子基板の主面よりも高い位置にビルドアップされているため、接続ランド部の配線幅が広い場合であっても、上記したようなインピーダンスの不整合の発生や寄生容量の増加を抑えることができ、特に、高周波領域での光変調の特性劣化を防止することができる。加えて、素子基板の主面において配線を取り回す必要が無くなり、複数信号の位相差の調整回路の設計などの自由度が著しく向上する。
【0023】
これにより、電極の設計自由度が向上するとともに、光制御素子の特性を劣化させることなく、1枚のウェハからのチップの取り数を大幅に向上することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る光制御素子100の概略構成を示す断面図である。
図1に示すように、光制御素子100は、電気光学デバイスチップ10及び回路基板30を備えている。光制御素子100は、例えばフェースダウンボンディングの一形態であるフリップチップボンディングにより、電気光学デバイスチップ10と回路基板30とが接続されている。
図2は、電気光学デバイスチップ10の概略構成を示す平面図である。
図3は、
図2におけるX−X間の断面構成を示す図であり、便宜上、光導波路13a及び13dを図示している。
図2及び
図3に示すように、電気光学デバイスチップ10は、誘電体であるニオブ酸リチウム結晶(LN)を用いて厚さ10μm以下の平板形状に形成された素子基板11を有している。素子基板11は、一方向に長手となるようにカットされている。素子基板11の内部には、複数の光導波路13a、13b、13c、13dが形成されている。複数の光導波路13a、13b、13c、13dは、素子基板11の第一面(一方の主面)11aの近傍または素子基板11の第二面(もう一方の主面)11bの近傍あるいは素子基板11の内部に配置されており、素子基板11の長手方向に沿って形成されている。
【0026】
光導波路13aは、一端が入力用の光ファイバ41に接続され、他端がY分岐によって2つの光導波路13b、光導波路13cに接続されている。光導波路13b、13cは、素子基板11の短手方向に並んで配置されている。光導波路13b、13cは、素子基板11の長手方向に沿って互いに平行に延在する直線部分を有している。当該直線部分は、光導波路13a〜13dのMZ干渉計の分岐した光が平行に伝搬する部分となる。光導波路13b、13cは、Y分岐によって1つの光導波路13dに接続され、他端は出力用の光ファイバ42に接続されている。本実施形態における光導波路13a〜13dは、マッツエンダー(MZ)型の光導波路を構成している。
【0027】
光導波路13a〜13dは、素子基板11の第一面11aまたは素子基板11の第二面(もう一方の主面)11bにおいて、光導波路13a〜13dの両側に凹部や溝を設けることで直接形成された、もしくは素子基板11の第一面11a上または素子基板11の第二面(もう一方の主面)11b上に部分的成膜により形成されたリッジ型光導波路であるが、本発明はこれに限定されることなく光導波路の両側に溝を有さない従来の構造など、他の光導波路構造においても適用可能である。
【0028】
光導波路13a〜13dが配置された素子基板11の第一面11a上には、第一電極21及び低誘電率層12が形成されている。第一電極21は、信号電極14と、第一接地電極15とを有するコプレーナ型(Coplanar waveguide:CPW)の電極である。信号電極14及び第一接地電極15は、例えば金(Au)を用いて同一層に形成されている。
【0029】
信号電極14は、平面視において、光導波路13b、13cの直線部分に重なる領域にそれぞれ1つずつ配置されており、直線状に形成されている。信号電極14に制御信号を印加することにより、光導波路13b、13cを並行する光の位相を変化させ、出力光の位相や強度を制御することが可能となっている。このように、信号電極14は、光導波路13b、13cにおける光の位相の変化に寄与する部分(制御部19)を有している。本実施形態では、信号電極14の長手方向の略全体の区間が制御部19に対応しているが、これに限られることは無い。例えば、信号電極14の長手方向の寸法を、光導波路13b、13cの直線部分の長手方向の寸法よりも大きくすることにより、信号電極14の長手方向の一部の区間のみが制御部19となるようにしてもよい。
【0030】
本実施形態では2つの信号電極14が設けられた構成となっているが、1つ、あるいは3つ以上設けた構成としても構わない。例えばオートバイアス回路等を含む周辺経路が配置された回路基板30へ電気光学デバイスチップ10を実装する場合、これら複数の信号電極14にはそれぞれ独立した制御信号が入力されることになる。従来の構成では、3つ以上の電極を持つ光制御素子は電気光学デバイスチップの幅を更に大きくすることになるが、本発明の構成を適用することで電気光学デバイスチップの幅を抑えることができ、1枚のウェハからのチップの取り数を向上さることができるため、効果は更に大きいものとなる。
【0031】
第一接地電極15には、光導波路13b、13c(信号電極14)の少なくとも直線部分(制御部19)に対応する領域を含む大きさで形成された一対の開口部15aが設けられている。開口部15aは信号電極14の形成領域よりも広い開口面積を有するもので、これら各開口部15a内の略中央部分に信号電極14が配置された構成となっている。開口部15aは、所定の寸法に形成されている。
【0032】
低誘電率層12は、信号電極14、第一接地電極15を覆うと共に素子基板11の第一面11aのほぼ全面を覆うように形成されている。低誘電率層12の構成材料としては、例えばポリイミドやエポキシなどよりも誘電率(又は誘電損失)の小さい材料を用いることが高周波特性の確保の点から望ましい。このような材料としては、例えばBCBやフッ素樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。空孔構造をもつ樹脂、発泡樹脂やより低誘電率の樹脂の粒子を含む樹脂でも良い。低誘電率層12には、信号電極14に接続されたコンタクトホール14A、14Bと、第一接地電極15に接続されたコンタクトホール15Cとが形成されている。
【0033】
低誘電率層12の表面12aには、接続ランド部16A、16Bと、表面側グランド部16Cとが形成されている。接続ランド部16A、16Bは、電気光学デバイスチップ10を回路基板30上へ実装する際、電気光学デバイスチップ10の信号電極14と回路基板30の配線電極とを電気的に接続するためのものである。表面側グランド部16Cは、電気光学デバイスチップ10の第一接地電極15と回路基板30の接地電極とを電気的に接続するためのものである。
【0034】
接続ランド部16Aは、表面12aのうち、コンタクトホール14Aの上端から光ファイバ41側の端部(以下、第一端部と表記する。)へ向けて、素子基板11の長手方向に延びるように形成されている。接続ランド部16Aは、第一端部へ向けて、幅方向(延在方向に直交する方向)の寸法が徐々に大きくなるように形成されている。
【0035】
接続ランド部16Bは、表面12aのうち、コンタクトホール14Bの上端から光ファイバ42側の端部(以下、第二端部と表記する。)へ向けて、素子基板11の長手方向に平行に延在するように形成されている。接続ランド部16Bは、第二端部へ向けて、幅方向の寸法が徐々に大きくなるように形成されている。
【0036】
図4は、接続ランド部16A及び表面側グランド部16Cの構成を示す平面図である。以下、接続ランド部16A、16Bの構成を説明するに当たり、
図4を用いて接続ランド部16Aを例に挙げて説明する。以下の説明は、接続ランド部16Bに対しても適用可能である。
【0037】
接続ランド部16Aは、コンタクトホール14A側から第一端部側へ向けて配置された3つの部分(引き回し部61、テーパー部62、接続部63)を有している。引き回し部61は、コンタクトホール14Aに接続されており、均一な幅となるように形成されている。テーパー部62は、引き回し部61から接続部63へ向けて徐々に幅が広がるように形成されている。接続部63は、回路基板30の配線電極に接続される。接続部63は、延在方向の全体に亘って、テーパー部62によって拡大された幅W1を維持するように形成されている。接続部63の幅W1は、例えば信号電極14(制御部19)の幅よりも大きくなっている。
【0038】
表面側グランド部16Cは、接続ランド部16Aを含む領域に形成された開口部64を有している。開口部64は、接続ランド部16Aの引き回し部61、テーパー部62及び接続部63の形状に対応する形状に形成されている。具体的には、開口部64は、接続ランド部16Aと表面側グランド部16Cとの間の距離(幅)W2及びW3が接続ランド部16Aの延在方向の全体に亘って形成されている。この構成により、接続ランド部16Aの設計自由度と特性が確保され、接続ランド部16Aのインピーダンスが不連続となるのを回避したり、信号の回り込みによる劣化を抑制したりすることができる。
【0039】
なお、接続部63の幅W1と隙間65の幅W2及びW3との間は、例えばW1:W2:W3=1:5:5のように一定の比率の漏斗状とする設計が簡便だが、インピーダンスの不連続性が小さくなる形状であれば、放物線状のテーパー状、多段階の階段状などの形状であってもよい。インピーダンスの不整合による反射が最小となるように形成することが好ましいが、勿論当該比率に限られることは無い。また、開口部64の幅方向の寸法(W1+W2+W3)は、回路基板30の配線電極に接続しやすいように低誘電率層12の層厚D1(
図2参照)よりも大きくしてもよい。開口部64の幅方向の寸法(W1+W2+W3)が広いこの構成は、本来、第一接地電極15と表面側グランド部16Cとの間で電界の回り込みが発生しやすく、電界の回り込みが第一電極層に達して制御信号のクロストークや干渉が起こりやすい構成であるが、下記の構成を取ることにより、低誘電率層12を挟んで形成される第一接地電極15と表面側グランド部16Cとの間で電界の回り込みが生じるのを防ぐことができる。低誘電率層12の層厚D1が隙間65の幅W2(又はW3)の値よりも大きい構成とする(D1>W2(又はW3))。回路特性設計上の都合や製上の制約などにより、層厚D1が隙間65の幅W2(又はW3)の値よりも小さくなる場合には、第一接地電極15の開口部15aと表面側グランド部16Cの開口部64との距離が幅W2(又はW3)よりも大きくなるように、第一接地電極15を切り欠いた構成とする。
【0040】
一方、素子基板11の第二面(他方の主面)11bには、第二電極22及び低誘電率層17が形成されている。第二電極22は、素子基板11の表面側に設けられた信号電極14と協働して光導波路13a〜13dに電界を印加する第二接地電極23を有する。第二接地電極23は、第二面11bの所定の領域に亘って形成されている。
【0041】
低誘電率層17は、第二接地電極23を覆うと共に第二面11bのほぼ全面を覆うように形成されている。低誘電率層17の構成材料としては、例えば酸化シリコン、窒化ケイ素、アルミナなどの公知の材料や接着剤を含む樹脂などが挙げられる。素子基板11を構成する材質が強誘電体結晶や常誘電体結晶の場合は、当該材料は、素子基板11を構成する材質の誘電率よりも低い誘電率を有する材料で構成する方が高速動作の点で有利である。
【0042】
本実施形態においては、接続ランド部16A、16B以外の領域では、第二接地電極23の構成により第一電極21における電極構成がG−CPW構造とされ、接続ランド部16A、16Bにおける電極構成がCPW構造、マイクロストリップライン構造又は接続バンプ構造となっている。
【0043】
低誘電率層17上には、補強基板(保持基板)18が設けられている。補強基板18は、石英ガラスなどのガラス基板より構成されている。補強基板18としては、誘電特性、導電性など電気的特性についての条件は特にないが、補強基板としての機械的特性が求められ、特に素子基板11を構成する材質と同じ熱膨張係数を有するものが望ましい。なお、低誘電率層12を厚く(例えば、100μm〜500μm程度に)形成することにより、所定の強度を確保することができるため、この場合には、補強基板18を省略することができる。
【0044】
上記のように構成された電気光学デバイスチップ10の信号電極14に電圧を印加して電界を生じさせると、電気光学デバイスチップ10すなわちニオブ酸リチウムの結晶の屈折率が変化する電気光学効果により、信号電極14の下層に配置された2つの光導波路13b、13cを通る光の位相がそれぞれ変化する。そして、これら2つの光導波路13b、13cが合成するY分岐において位相の異なる2つの光が合波され、強度変調が行われる。このようにして、光出力用の光ファイバ41から出力される光が変調される。
【0045】
次に、回路基板30の構成を説明する。
図5は、回路基板30の構成を示す斜視図である。
図5に示すように、回路基板30の基板31は、高周波に対応の配線基板であり材質は低誘電損失のセラミック、ガラスや樹脂を用いる。基板31の表面に電極及び配線が配置され、電気光学デバイスチップ10を制御する駆動回路、オートバイアス回路等を構成する回路部品が取り付けられるが、
図5においてこのような配線や回路部品は省略し、電気光学デバイスチップ10を接続する一対の信号電極32a、一対の信号電極32b、3つ接地電極33a及び3つの接地電極33bを示す。
【0046】
信号電極32aは基板31の長手方向一方の側部に配置され、信号電極32bは基板31の長手方向他方の側部に配置されており、信号電極32a及び32bの各々の一端には接続ランド部35a,35bが設けられている。具体的には、信号電極32aの信号電極32b側の一端には接続ランド部35aが設けられ、信号電極32bの信号電極32a側の一端には接続ランド部35bが設けられている。
【0047】
図2等に示す電気光学デバイスチップ10をその表面側を回路基板30の表面と対向させて実装させたときに、電気光学デバイスチップ10の各信号電極14の一端にそれぞれ設けられた接続ランド部16Aが回路基板30の信号電極32aの接続ランド部35aにバンプ34を介して接続され、信号電極14の他端にそれぞれ設けられた接続ランド部16Bが回路基板30の信号電極32bの接続ランド部35bにバンプ34を介してそれぞれ接続されることとなる。
【0048】
接地電極33aおよび接地電極33bは、信号電極32a、32bと平面視で重ならない領域にこれらとは所定の間隔をおいて配置されており、回路基板30の幅方向に、3つの接地電極33aと2つの信号電極32aとが交互に配置されているとともに、3つの接地電極33bと信号電極32bとが交互に配置されている。そして、接地電極33aおよび接地電極33bの一端にはそれぞれ接続ランド部36が設けられている。回路基板30上に電気光学デバイスチップ10を実装させた際に、接続ランド部36は電気光学デバイスチップ10の表面側グランド部16Cに接続されることとなる。
【0049】
また、一対の信号電極32a及び一対の信号電極32bは、それぞれの一端側がゆるやかな曲率で基板31の短手方向一方の側方に向かう曲げ形状とされ、基板31の側方に達した各々の端部が不図示のコネクタに接続される。なお、信号電極32a,32b、接地電極33a,33bの配線形状やピッチはパッケージやそのコネクタ位置等の条件により適宜選択できる。
【0050】
次に、回路基板30上への電気光学デバイスチップ10の実装方法について述べる。
図6は、電気光学デバイスチップ10の実装動作を示す断面図である。回路基板30の信号電極32a,32b及び接地電極33a,33bと、電気光学デバイスチップ10の信号電極14及び第一接地電極15との接続は、次のように行う。
【0051】
図6に示すように、まず、回路基板30の接続ランド部35a,35b及び接続ランド部36上に、金、半田等のバンプ34をそれぞれ形成する。そして、各接続ランド部35a,35b,36上にバンプ34が形成された回路基板30上に、電気光学デバイスチップ10を上下反対向きにして第一電極21が形成された側(第一面11a側)を回路基板30と対向させて載置させる。このとき、電気光学デバイスチップ10の接続ランド部16A,16B及び表面側グランド部16Cと、回路基板30の接続ランド部35a,35b,36との位置合わせを行いながら、回路基板30上に電気光学デバイスチップ10を載置させ、リフロー、熱圧着、超音波接合、表面活性化常温接合等の方法によりボンディングを行う。このようにして、
図1に示した光制御素子100を構成する。
【0052】
電気光学デバイスチップ10と回路基板30との接続方法には、一般的なフリップチップボンダ等の装置を用いることができる。電気光学デバイスチップ10の一対の接続ランド部16Aと回路基板30の一対の接続ランド部35a、電気光学デバイスチップ10の一対の接続ランド部16Bと回路基板30一対の接続ランド部35b、電気光学デバイスチップ10の表面側グランド部16Cと回路基板30接続ランド部36(接地電極33a,33b)とが、それぞれバンプ34を介して接続される。
【0053】
LNのような比誘電率の高い材料からなる薄い基材を素子基板11として用いる場合、その厚さ方向で接続ランド部と接地電極とが対向するG−CPWの構成で接続ランド部の幅を広くすると、インピーダンスが非常に小さくなり、インピーダンス不連続の発生、あるいは、寄生容量の増大による高周波特性の劣化が生じてしまう。
【0054】
しかしながら、本実施形態のように、接続ランド部16A、16Bが、該素子基板11の誘電率よりも低い誘電率を有する低誘電率層12を介して該素子基板11の第一面11aよりも高い位置にビルドアップされているため、接続ランド部16A、16Bの配線幅が広い場合であっても、上記したようなインピーダンスの不整合の発生や寄生容量の増加を抑えることができ、特に、高周波領域での光変調の特性劣化を防止することができる。
【0055】
また、
図7に示す従来のように、信号電極14(制御部19)の端部を電気光学デバイスチップ10の側方へ湾曲させて形成する必要がないため製造が容易になる。また、従来は、信号電極14(制御部19)の端部を素子基板11の側方へ向かって湾曲させる構造であったためチップの幅を広くとる必要があったが、本発明では、信号電極14の端部を素子基板11の側方へ向かって湾曲させない構造のためチップの幅を狭くすることができ、1枚のウェハからのチップの取れ数を大幅に向上することが可能となる。特に、リッジ型光導波路の場合は工程数や加工時間も多くかかるためコスト面での効果が非常に大きい。また、電気光学デバイスチップ10および周辺回路を1枚の回路基板30に実装することができるので、低コスト化を図ることができる。
【0056】
また、信号電極14をストレートすなわち直線状に形成することで、制御信号の伝搬送方向が変わることがないので、誘電率に異方性のある材料を素子基板11にした場合でも、電極の設計が複雑になることはない。また、信号電極14を曲線構造にしていた従来の構成と異なり、高周波応答成分の劣化及び反射を低減することができる。また、信号電極14を電気光学デバイスチップ10上で取り回す必要がなくなり、複数信号の位相差の調整経路の設計などの自由度が増すとともに、短尺化も可能となり、特性の向上が得られる。
【0057】
また、接続ランド部16A、16Bは、電気光学デバイスチップ10と回路基板30との接続方法に応じて設定され、適当な幅(太さ)、平面形状とされる。これにより半田リフローによる接続の際、半田との溶融による線切れを回避することができるとともに、厳密な半田の量、温度の制御許容幅などが緩和され、量産への適用が容易になる。
【0058】
また、信号電極14はG−CPW構造のため、回路基板30との接続のために単に線幅を広くしただけでは、インピーダンスの不整合の発生や寄生容量の増大が発生し、光制御素子100としての特性が大幅に低下してしまうことが懸念されていた。しかしながら、本実施形態のように、信号電極14の両端に信号電極14より広い幅を有する接続ランド部16A,16Bをそれぞれ設けることにより、回路基板30へのプリップチップボンディング実装時の応力による信号電極14の変形や倒れなどを回避することができる。また、電気光学デバイスチップ10の信号電極14と回路基板30とを接続ランド部16A,16Bを介して直接接続するため、過剰な寄生容量の増大を生じる余地が少ない。
【0059】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
例えば、
図8及び
図9に示すように、接続ランド部216A、216Bを更にビルドアップする構成としてもよい。この場合、低誘電率層12の上層側に第二低誘電率層212が形成されており、第二低誘電率層212の表面212aに接続ランド部216A、216B及び表面側グランド部216Cが形成されている。
【0060】
接続ランド部216A、216Bは、第二低誘電率層212を貫通するコンタクトホール214A、214Bを介して、接続ランド部16A、16Bに接続されている。同様に、表面側グランド部216Cは、コンタクトホール215Cを介して表面側グランド部16Cに接続されている。
【0061】
このように、接続ランド部216A、216Bを階層的にビルドアップすることにより、接続ランド部216A、216Bの大きさをより大きくすることが可能となる。なお、この場合において、開口部64の幅方向の寸法(W1+W2+W3)は、低誘電率層12の層厚D1(
図9参照)及び第二低誘電率層212の層厚D2(
図9参照)よりも大きくしてもよい。開口部64の幅方向の寸法(W1+W2+W3)が広いこの構成は、本来、第一接地電極15と表面側グランド部16Cとの間で電界の回り込みが発生しやすく、電界の回り込みが第一電極層に達して制御信号のクロストークや干渉が起こりやすい構成であるが、下記の構成を取ることにより、低誘電率層12を挟んで形成される第一接地電極15と表面側グランド部16Cとの間で電界の回り込みが生じるのを防ぐことができる。低誘電率層12の層厚D1が隙間65の幅W2(又はW3)の値よりも大きい構成とする(D1>W2(又はW3))。回路特性設計上の都合や製上の制約などにより、層厚D1が隙間65の幅W2(又はW3)の値よりも小さくなる場合には、第一接地電極15の開口部15aと表面側グランド部16Cの開口部64との距離が幅W2(又はW3)よりも大きくなるように、第一接地電極15を切り欠いた構成とする。
【0062】
また、例えば上記実施形態では、接続ランド部16A、16Bが直線状に形成された構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。例えば
図10に示すように、接続ランド部16A、16Bが曲がった状態で形成された構成であってもよい。
図10に示す構成においては、2つの接続ランド部16Aが電気光学デバイスチップ10の短手方向に拡大しつつ、当該電気光学デバイスチップ10の長手方向に延在するように形成されている。この構成によれば、接続ランド部16A同士の距離を大きくすることができ、配線間隔のピッチが拡大され外部配線回路のとの接続が簡便になる。
【0063】
また、例えば
図11に示すように、接続ランド部16A、16Bがコンタクトホール14Aの位置から電気光学デバイスチップ10の短手方向に延在するように形成された構成であってもよい。この構成を、QPSK光変調器、16QAM光変調器や光マトリクススイッチなどの複数の光に作用する機能部が集積されているデバイスに用いれば、制御信号配線の取り回しの自由度を大幅に上げることができる。特に遅延線の配置設計に有効である、さらに、接続ランド部16A、16Bがコンタクトホール14Aの位置から信号電極14のある方向に折り返した配置とすれば、チップの短尺化にも有効である。開口部64は、接続ランド部16の配置に応じて設計されるが、配線配置の都合で当該開口部64が一区間で設けられなかったり、開口部64が一区間で狭小箇所を含んだりしても、その一区間がデバイスの使用駆動周波数の波長の1/4以下の長さであれば、実用上の支障が無い。
【0064】
また、上記実施形態では、信号電極14の延在方向の両端がそれぞれコンタクトホール14A、14Bを介してビルドアップされた構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無く、信号電極14のいずれか一方の端部のみがビルドアップされた構成であってもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、接続ランド部16A、16B及び表面側グランド部16Cをビルドアップさせる構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。例えば、
図12に示すように、接続ランド部16A、16Bのみを選択的にビルドアップさせる構成であってもよい。
【0066】
図12に示す構成においては、低誘電率層312が局所的に設けられている。具体的には、信号電極14の延在方向の両端部を覆うように低誘電率層312が設けられている。低誘電率層312には、それぞれコンタクトホール14Aが形成されており、低誘電率層312の上面312aには接続ランド部16A、16Bが形成されている。
【0067】
この構成によれば、信号電極14(制御部19)を伝搬する制御信号が低誘電率層312から受ける誘電損失の影響が小さくなるため、低誘電率層312としてポリイミドなどの誘電損失の比較的大きい材料を用いることができる。また、マイクロ波の速度低下もほとんど発生しないため、設計上の自由度が高められることになる。
【0068】
以上、本発明の効果が特に高いLNを例にして説明したが、これに限られることは無く、例えばLiTaO
3,KH
2PO
4,PZT、PLZT、KTPなどの強誘電体、KTNやSrTiO3などの高誘電率の常誘電体結晶、CLD型やFTC型の色素を含んだ電気光学ポリマー材料、InP,GaAs,InGaAs、歪みSiなどの半導体や、それらの複合材料などを用いたデバイスにおいても有効であることは、言うまでもない。
【0069】
また、説明を簡単にするため、低誘電率層12とコンタクトホール14の作製についてビルドアップ配線法を用いて説明してきたが、他の方法での形成も可能である。例えば、いったん低誘電率層を他の材料より犠牲層として形成しておき、チップの実装の際、あるいは実装の後に、低誘電率層12またはその一部を、溶剤による溶解や溶出、腐食性ガスによる分解、機械的な剥離や研削、アブレーション、超音波破砕などの手法によって取りのぞいて、空洞としても良い。さらに、取りの除いた空間を他の低損失誘電体で置き換えても良い。取り除く場合も置き換える場合も、特性設計にあたっては最終のデバイス形態での材料の電気的特性(誘電率、透磁率、導電率など)を考慮が必要であることは、言うまでもない。低誘電率層17、補強基板(保持基板)18についても、同様である。
【0070】
各図では、図が複雑になるのを回避するため、第一電極のグラインド電極、第2電極のグラウンド電極、表面側グラウンド電極の接続部の表示は省略してある。これらの接地電極はビアホール、スルーホール、支持筐体などを経由して互いに接続されている。