特許第6221358号(P6221358)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6221358
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】基板検査方法、及び基板検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/073 20060101AFI20171023BHJP
   H05K 3/00 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
   G01R1/073 E
   H05K3/00 T
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-117746(P2013-117746)
(22)【出願日】2013年6月4日
(65)【公開番号】特開2014-235112(P2014-235112A)
(43)【公開日】2014年12月15日
【審査請求日】2016年4月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】392019709
【氏名又は名称】日本電産リード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100143373
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 裕人
(74)【代理人】
【識別番号】100111866
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 秀明
(72)【発明者】
【氏名】松岡 伸治
【審査官】 續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−017625(JP,A)
【文献】 特開昭61−117473(JP,A)
【文献】 特開2002−048845(JP,A)
【文献】 特開平11−202016(JP,A)
【文献】 特開2013−096758(JP,A)
【文献】 特開2007−315838(JP,A)
【文献】 特開平11−242064(JP,A)
【文献】 米国特許第04849944(US,A)
【文献】 特開昭63−048685(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 1/073
H05K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が内蔵され、かつ前記電子部品に導通接続される配線パターンと前記電子部品に導通接続されない配線パターンとを含む複数の配線パターンが形成された基板を電気検査する基板検査装置と、検査対象となる前記基板の配線パターンと該基板検査装置とを電気的に接続する二つの基板検査用治具とを用いて、該基板の配線パターンの検査を行う基板検査方法であって、
前記各基板検査用治具は、前記複数の配線パターンに設けられる検査点に一方端が当接する複数の接触子と、前記接触子の他方端が当接するとともに、前記基板検査装置と電気的に接続される電極部を有する電極体と、板状部材から多針状に前記接触子を突出させて前記接触子の一方端を前記検査点へ案内する検査側保持部と前記接触子の他方端を前記電極部へ案内する電極側保持部とを有する保持体とを有し、前記電子部品と導通接続される配線パターンの検査点と当接する接触子の突出量が、他の接触子の突出量よりも大きく形成されており、
前記二つの基板検査用治具を移動させ、前記電子部品と導通接続される配線パターンの検査点と当接する接触子をその検査点と当接させて接地し、前記二つの基板検査用治具によって前記基板を挟持させて前記接触子を全ての前記配線パターンに当接させ、その後に前記基板検査装置からの電気信号を、前記基板検査用治具を介して前記基板と送受信することで前記基板の電気検査を実施することを特徴とする基板検査方法。
【請求項2】
前記基板検査方法は、前記電気検査が実施された後に、前記全ての配線パターンを、前記基板検査用治具を介して前記基板検査装置により接地されている状態にて、該基板検査用治具が離反されることを特徴とする請求項1記載の基板検査方法。
【請求項3】
電子部品が内蔵され、かつ前記電子部品に導通接続される配線パターンと前記電子部品に導通接続されない配線パターンとを含む複数の配線パターンが形成された基板の検査を行う基板検査装置であって、
検査対象となる前記基板の配線パターンと前記基板検査装置とを導通接続するための二つの基板検査用治具と、
前記基板検査用治具を前記基板と当接させるための移動機構と、
前記配線パターン電気的特性を検査するための検査手段と、
前記移動機構と前記検査手段を制御する制御手段とを有し、
前記各基板検査用治具は、
前記複数の配線パターンに設けられる検査点に一方端が当接する複数の接触子と、
前記接触子の他方端が当接するとともに、前記基板検査装置と電気的に接続される電極部を有する電極体と、
板状部材から多針状に前記接触子を突出させて前記接触子の一方端を前記検査点へ案内する検査側保持部と前記接触子の他方端を前記電極部へ案内する電極側保持部とを有する保持体とを有し、
前記電子部品と導通接続される配線パターンの検査点と当接する接触子の突出量が、他の接触子の突出量よりも大きく形成され、
前記制御手段が、前記移動機構により前記二つの基板検査用治具を移動させ、前記電子部品と導通接続される配線パターンの検査点と当接する接触子をその検査点と当接させて接地し、前記二つの基板検査用治具によって前記基板を挟持させて前記接触子を全ての前記配線パターンに当接させ、その後に前記基板検査装置からの電気信号を、前記基板検査用治具を介して前記基板と送受信することで前記基板の電気検査を実施することを特徴とする基板検査装置。
【請求項4】
前記接触子の突出量は、前記他の接触子の突出量よりも、接触子の寸法精度量と前記基板の撓み量を合わせた長さよりも長く設定されていることを特徴とする請求項3記載の基板検査装置
【請求項5】
前記電子部品と接続される配線パターンが、該電子部品のGND端子と接続されていることを特徴とする請求項3又は4記載の基板検査装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品(IC等)を内蔵する基板に形成される配線パターンの電気的な検査を行う基板検査方法、及び基板検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ダイオードやコンデンサ等を含む電子部品を内蔵した電子部品内蔵基板(エンベデッド基板)の普及が広がりつつある。このような電子部品内蔵基板の検査方法は種々提案されている。例えば、特許文献1や特許文献2に開示されるような検査方法が存在する。特許文献1や特許文献2に開示される技術では、基板に内蔵される電子部品を検査するためにテストポイントを設定する方法が開示されている。
【0003】
ところで、実際のエンベデッド基板の検査では、この基板の表面に形成される配線パターンにテストポイント(検査点)を設定し、この検査点に基板検査装置と導通接続される接触子(プローブ)を接触させて、基板検査装置とこの配線パターンと電気的に接続して、電気信号の送受信が行われる。このため、エンベデッド基板と基板検査装置とを電気的に接続するために基板検査用治具が用いられる。
【0004】
上記のようなエンベデッド基板の配線パターンの良不良の検査する場合に重要なことは、基板に内蔵される電子部品を破壊せずに電気検査を実施しなければならないことである。基板検査を実施する場合に、基板自体が保有している電荷(浮遊容量など)が放電して過電流が発生し、基板に内蔵される電子部品を破壊する危険性があった。特に、基板を検査する基板検査装置では、基板がアースに対してフローティングされている状態で、基板を検査台に載置することになるため、上記の如き過電流が発生し易い問題を有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−11507号公報
【特許文献2】特開2009−276861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、エンベデッド基板のような電子部品を内蔵する被検査基板を検査する場合において、基板が保有する電荷による過電流の発生を防止し、電子部品の破壊を予防する基板検査方法、基板検査装置及び基板検査用治具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、電子部品が内蔵され、かつ前記電子部品に導通接続される配線パターンと前記電子部品に導通接続されない配線パターンとを含む複数の配線パターンが形成された基板を電気検査する基板検査装置と、検査対象となる前記基板の配線パターンと該基板検査装置とを電気的に接続する二つの基板検査用治具とを用いて、該基板の配線パターンの検査を行う基板検査方法であって、前記各基板検査用治具は、前記複数の配線パターンに設けられる検査点に一方端が当接する複数の接触子と、前記接触子の他方端が当接するとともに、前記基板検査装置と電気的に接続される電極部を有する電極体と、板状部材から多針状に前記接触子を突出させて前記接触子の一方端を前記検査点へ案内する検査側保持部と前記接触子の他方端を前記電極部へ案内する電極側保持部とを有する保持体とを有し、前記電子部品と導通接続される配線パターンの検査点と当接する接触子の突出量が、他の接触子の突出量よりも大きく形成されており、前記二つの基板検査用治具を移動させ、前記電子部品と導通接続される配線パターンの検査点と当接する接触子をその検査点と当接させて接地し、前記二つの基板検査用治具によって前記基板を挟持させて前記接触子を全ての前記配線パターンに当接させ、その後に前記基板検査装置からの電気信号を、前記基板検査用治具を介して前記基板と送受信することで前記基板の電気検査を実施する
請求項2記載の発明は、前記基板検査方法は、前記電気検査が実施された後に、前記全ての配線パターンを、前記基板検査用治具を介して前記基板検査装置により接地されている状態にて、該基板検査用治具が離反されることを特徴とする請求項1記載の基板検査方法を提供する。
請求項3記載の発明は、電子部品が内蔵され、かつ前記電子部品に導通接続される配線パターンと前記電子部品に導通接続されない配線パターンとを含む複数の配線パターンが形成された基板の検査を行う基板検査装置であって、検査対象となる前記基板の配線パターンと前記基板検査装置とを導通接続するための二つの基板検査用治具と、前記基板検査用治具を前記基板と当接させるための移動機構と、前記配線パターン電気的特性を検査するための検査手段と、前記移動機構と前記検査手段を制御する制御手段とを有し、前記各基板検査用治具は、前記複数の配線パターンに設けられる検査点に一方端が当接する複数の接触子と、前記接触子の他方端が当接するとともに、前記基板検査装置と電気的に接続される電極部を有する電極体と、板状部材から多針状に前記接触子を突出させて前記接触子の一方端を前記検査点へ案内する検査側保持部と前記接触子の他方端を前記電極部へ案内する電極側保持部とを有する保持体とを有し、前記電子部品と導通接続される配線パターンの検査点と当接する接触子の突出量が、他の接触子の突出量よりも大きく形成され、前記制御手段が、前記移動機構により前記二つの基板検査用治具を移動させ、前記電子部品と導通接続される配線パターンの検査点と当接する接触子をその検査点と当接させて接地し、前記二つの基板検査用治具によって前記基板を挟持させて前記接触子を全ての前記配線パターンに当接させ、その後に前記基板検査装置からの電気信号を、前記基板検査用治具を介して前記基板と送受信することで前記基板の電気検査を実施することを特徴とする基板検査装置を提供する。
請求項4記載の発明は、前記接触子の突出量は、前記他の接触子の突出量よりも、接触子の寸法精度量と前記基板の撓み量を合わせた長さよりも長く設定されていることを特徴とする請求項3記載の基板検査装置を提供する。
請求項5記載の発明は、前記電子部品と接続される配線パターンが、該電子部品のGND端子と接続されていることを特徴とする請求項3又は4記載の基板検査装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明によれば、電子部品が内蔵される基板を、この基板に形成される配線パターンを電気検査する基板検査装置と基板と基板検査装置を電気的に接続する基板検査用治具とを用いて、基板の配線パターンの検査を行う基板検査方法であって、まず、基板の電子部品と導通接続される配線パターンを基板検査用治具を介して接地し、次に、基板に形成される全ての配線パターンを基板検査用治具を介して基板検査装置と導通接触させた後、配線パターンの電気検査が実施されるので、基板が保有する浮遊容量等による過電流が電子部品に流れ込み、電子部品を破壊することを防止することができる。
請求項2の発明によれば、電気検査が実施された後に、全ての配線パターンを基板検査用治具を介して接地されている状態にて、基板検査用治具が離反されるので、基板から基板検査用治具が剥離する場合に生じる剥離放電による電子部品破壊を防止することができる。
【0009】
請求項3記載の発明によれば、電子部品が内蔵される基板に形成される複数の配線パターンの検査を行う基板検査装置であって、検査対象となる基板の配線パターンと基板検査装置とを導通接続するための基板検査用治具と、基板検査用治具を基板と当接させるための移動機構と、配線パターン電気的特性を検査するための検査手段と、移動機構と前記検査手段を制御する制御手段を有し、記制御手段が、移動機構により基板検査用治具を前記基板と当接させるとともに、検査手段により電子部品と導通接続される配線パターンに接触する接触子を接地するよう促すので、基板が基板検査用治具に挟持される場合に、基板が保有する浮遊容量等による過電流が電子部品に流れ込み、電子部品を破壊することを防止することができる。
請求項4記載の発明によれば、接触子の突出量は、他の接触子の突出量よりも、接触子の寸法精度量と前記基板の撓み量を合わせた長さよりも長く設定されているので、基板検査用治具が基板を挟持する際に、この接触子が他の接触子よりも先に確実に検査点へ当接することになる。
請求項5記載の発明によれば、電子部品と接続される配線パターンが、電子部品のGND端子と接続されているので、より確実に過電流から電子部品を保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の検査対象となる基板の一実施例を示す概略断面図である。
図2】本発明にかかる基板検査装置の概略側面図の断面図である。
図3】本発明にかかる基板検査用治具の概略側面図である。
図4図3で示される基板検査用治具の点線a部分の概略拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための最良の形態を説明する。
本発明が検査対象とする基板について簡単に説明する。図1には、本発明が検査対象とする基板の概略断面図を示す。本発明が検査対象とする基板は、所謂エンベデッド基板と呼ばれる基板であり、基板の内部に電子部品を内蔵していることを特徴としている。図1で示される基板CBでは、四本の配線パターンP(P1乃至P4)と電子部品EDが示されており、配線パターンP2と配線パターンP3が電子部品EDに接続されている。なお、この配線パターンP2が、電子部品EDのGND端子と導通接続されている。
【0013】
次に、本発明で使用される基板を検査するための基板検査装置1について簡単に説明する。図は、本発明の一実施形態に係る基板検査装置1を示す構造断面図である。図には、搬送テーブル20と第1及び第2の検査用治具移動部30,40との移動方向を明確にする観点からXYZ軸による直交座標系を示す。Y軸は、図1の紙面の表側から裏側に向かう方向が正方向である。
【0014】
基板検査装置1は、搬送テーブル20をX軸に沿って移動するための基板移動部60と、複数の基板検査用プローブ35,45が取り付けられた検査用治具32,42をYZ面内で移動するための第1及び第2の検査用治具移動部30,40とを備える。第1及び第2の検査用治具移動部30,40は、XY面に関して対称に配置されている。なお、検査用治具に関しては、詳細は後ほど説明するが、基板検査装置1の構成の説明では符号32と42とする。
【0015】
搬送テーブル20は、検査基板21を載置するための基板保持部22と、その下面に固定された円筒状のブラケット63とを備える。円筒状のブラケット63には長手方向に貫通するネジ孔が形成されている。
【0016】
基板移動部60は、ブラケット63のネジ孔と螺合するボールネジ62と、そのボールネジ62を回転する駆動部61とを備える。ボールネジ62上のねじ山及びねじ溝は簡略化のために図示していない。駆動部61によってボールネジ62が回転すると、その回転量及び回転方向に応じて、ブラケット63、つまり、搬送テーブル20のX軸に沿った方向への移動量及び移動方向が決まる。
【0017】
第1の検査用治具移動部30は検査用治具保持部33を備えており、その検査用治具保持部33は、基板検査用の複数のプローブ35が取り付けられた検査用治具32を保持するとともに、その検査用治具32を移動して検査用基板21上の検査対象の配線の検査点に基板検査用の複数のプローブ35を当接させるように機能する。また基板検査用の複数のプローブ35等は、検査用治具保持部33を経由して、基板の検査及び測定を行うためのスキャナ(図示せず)に電気的に接続される。
【0018】
第2の検査用治具移動部40は、第1の検査用治具移動部30の検査用治具保持部33と同様の検査用治具保持部43を備えており、その検査用治具保持部43は、検査用治具保持部33と同様に機能する。
【0019】
第1及び第2の検査用治具移動部30,40と基板移動部60との移動の制御は、基板検査装置1の制御装置(図示せず)によって行われる。また、第1及び第2の検査用治具移動部30,40には、それぞれ、検査基板21(シート基板B)及び搬送テーブル20の位置を特定するために、主カメラ34,44が取り付けられている。
【0020】
基板検査装置1には、基板CBの電気的検査を実施するための検査手段70を有している。この検査手段70は、基板CBの電気的検査に必要な構成が備えられており、例えば、配線パターンの導通検査を実施するための電力供給部(図示せず)、配線パターンからの電気信号を検出する検出部(図示せず)、検出部からの検出信号を処理判定する判定部(図示せず)や、接触子からの導通経路を各部に切り替えることのできる切替部(図示せず)等を有している。この検査手段70には、例えば、直流又は交流電源、電流計、電圧計やスイッチ素子等を採用して構成することができる。
【0021】
次に、基板検査装置1で使用される検査用治具32(42)について説明する。図3は、検査用治具の一実施形態を示している。検査用治具32は、複数の接触子35(45)、これら接触子を多針状に保持する保持体3、この保持体3を支持するとともに接触子35と接触して基板検査装置1と導通状態となる電極部を有する電極体4、電極部から電気的に接続されて延設される導線部5と、基板検査装置1と電気的に接続される接続部を有する接続部6を有してなる。図3は、検査用治具32の概略を説明するための概略側面図を示している。この図3では、接触子35は三本に記載されているが、特に限定されるものではない。
【0022】
接触子35は、配線パターンP上に設定される検査点と後述する電極部を電気的に接続する。この接触子35の一方端は検査点に当接し、接触子35の他方端は電極部へ当接する。この接触子35によって、検査点と電極部が電気的に接続されることになる。この接触子35は、例えば、細長い棒状に形成されるとともに、導電性且つ可撓性を有している部材を採用することもできる。また、長手方向に伸縮するばねを用いた部材を採用することもできる。
【0023】
電極体4は、接触子35の他方端が当接するとともに基板検査装置1と電気的に接続される電極部(図示せず)を保持する。この電極部は、電極体4の表面に対して略面一になるように形成されている。この電極部は、接触子35の外径よりも僅かに大きく形成されることが好ましい。
【0024】
導線部5は、電極体4の電極部と後述する接続体6の接続部61を電気的に接続する。この導線部5は、電極部41と接続部61を電気的に接続することができれば良く、例えば、銅線等の線状の金属線を採用することができる。
【0025】
金属線を用いて導線部5を作成する場合には、電極体4に貫通孔を設けて、その貫通孔に導線を配置し、電極体4の表面と面一になるように導線を切断することで、電極部を形成することができる。この場合、金属線の一端部は電極部として機能し、金属線の他端部は接続部61と導通接続されていることになる。
【0026】
接続体6は、基板検査装置1と電気的に接続する接続部61を保持する。この接続部61は、基板検査装置1に設けられる接続箇所と導通接触することで電気的に接続される。この接続には、例えば、凹凸形状に夫々形成されるコネクタ接続を採用することができる。
【0027】
保持体3は、接触子35を保持するとともに、接触子35の一方端を検査点へ案内し、接触子35の他方端を電極部へ案内する。図3の保持体3は所定間隔を有して配置される二つの板状部材により形成されており、これら二つの板状部材が形成する空間内で接触子35を湾曲させることができる。
【0028】
図4は、図3で示される基板検査用治具の一部拡大図である。図4の実施例では、保持体3の上側の板状部材31から突出される接触子35の状態を示している。この図4の基板検査用治具3には、電子部品EDに導通接続される配線パターンに設けられる検査点に当接する接触子35cと、電子部品EDに導通接続されない配線パターンに設けられる検査点に当接する接触子35aと接触子35bを有している。
【0029】
基板検査用治具32では、電子部品EDと導通接続される配線パターンPの検査点と当接する接触子35cの突出量が、他の接触子35a,35bの突出量よりも大きく形成されている(図4参照)。このため、基板検査装置1がこの基板検査用治具32を移動させると、接触子35cが最初に基板CBの検査点に当接することになる。なお、その後に、接触子35a,35bが基板CBの検査点に当接することになる。
【0030】
電子部品EDに当接する配線パターンPに当接する接触子35cの突出量は、他の接触子35a,35bの突出量よりも、接触子35の寸法精度量と基板の撓み量を合わせた長さAよりも長く設定されている。この長さA分だけ、接触子35cが長く形成されることによって、基板検査用治具32が基板CBを挟持する場合に、この長さA分だけ突出させることにより、確実に他の接触子35よりも先に基板CBに当接することができる。
【0031】
基板検査用治具32では、上記の如く、電子部品EDと導通接続される配線パターンPの検査点と当接する接触子35cが長さA分だけ長く(突出)して配置されるが、この長さA分だけ長く設定される接触子35cは、電子部品EDのGND端子と接続されている配線パターンPに設定することもできる。このように電子部品EDのGND端子と接続される配線パターンPに設定することで、より確実に電子部品EDが破壊されることを防止することができる。
以上が本発明にかかる基板検査装置及び検査用治具の構成の説明である。
【0032】
次に、本発明の基板検査方法について説明する。
まず、検査対象となる基板CBを設定する。このとき、検査対象の基板CBの電子部品EDと導通接続される配線パターンPに設定される検査点に当接する接触子35を特定する。この特定された接触子35は、電子部品EDと導通接続されていない配線パターンPに設定される検査点に当接する接触子35(他の接触子35)よりも、保持体3の板状部材からの突出量が所定の長さA分長くなるように設定されることになる。なお、基板CBの検査点に応じて、上側の基板検査用治具32と下側の基板検査用治具42が作成することになる。
【0033】
検査対象の基板CBが、基板検査装置1に準備されると、検査が開始される。基板CBは、上側の基板検査用治具32と下側の基板検査用治具42にて挟持されることになる。このとき、上側の基板検査用治具32と下側の基板検査用治具42は、電子部品EDと導通接続される配線パターンP(図1では配線パターンP2)に当接する接触子35(45)が所定長さA分だけ長く形成されていることになる。なお、図1の基板CBでは、上側の基板検査用治具32は、四本の接触子35が配置され、下側の基板検査用治具42は、五本の接触子45が配置されることになる。ここで、電子部品EDのGND端子と接続される配線パターンP2に当接する接触子を長さA分だけ突出させて配置させる。
【0034】
基板検査装置1は、上側の基板検査用治具32と下側の基板検査用治具42を、夫々基板CBの表面に対して当接するよう移動される。このとき、基板検査装置1は、電子部品EDに接続される配線パターンP2に接続される接触子35(45)が接地されるよう切替を行う。このため、これらの接触子は接地された状態で、基板CBに当接することになる。
【0035】
また、上側の基板検査用治具32と下側の基板検査用治具42の電子部品EDに導通接続する接触子35(45)が、まず基板CBの検査点に当接する。このとき、基板CB自体に浮遊容量が存在する場合であっても、基板検査用治具32(42)を介して、基板検査装置1から放電されることなり、基板CBの電子部品EDが破壊されることを防止することができる。なお、基板検査装置1は、上側の基板検査用治具32と下側の基板検査用治具42を、基板CBを挟持することができるまで(全ての接触子が検査点に当接する)、移動を行うことになる。
【0036】
基板検査装置1が、上側の基板検査用治具32と下側の基板検査用治具42を夫々基板CBにセットすると、夫々の配線パターンPに対して、電気検査が実施されることになる。
【0037】
電気検査が終了すると、基板CBの全ての配線パターンPが、基板検査用治具32(42)を介して、基板検査装置1により接地され、この状態のまま、基板検査装置1は、上側の基板検査用治具32と下側の基板検査用治具42が基板CBから離反するよう移動させる。このように、基板検査装置1が移動することにより、基板検査用治具が離反する場合に生じる剥離放電による過電流の発生による電子部品EDの破壊を防止することができる。
【0038】
このように、本発明では基板検査用治具が基板CBに当接及び離反することにより生じる放電から電子部品EDを保護することができ、検査により電子部品EDの破壊を防止することができる。
【符号の説明】
【0039】
1・・・・基板検査装置
32(42)・・・基板検査用治具
35(45)・・・接触子
A・・・・所定長さ
CB・・・基板
図1
図2
図3
図4