(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
  前記複数の第一フィンガー電極の前記TAB領域に至る先端及び前記複数の第二フィンガー電極の前記TAB領域に至る先端は、当該TAB領域の延在方向と平行な線上にある、請求項1又は2に記載の太陽電池セル。
  前記複数の第一フィンガー電極の前記TAB領域に至る先端及び前記複数の第二フィンガー電極の前記TAB領域に至る先端は、当該TAB領域の幅方向の中心から等距離にある、請求項1〜3の何れか一項に記載の太陽電池セル。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
  従来、TAB線の接続には、良好な導電性を示すはんだが使用されてきた(特許文献1)。また、最近では、環境問題を考慮して、Pbを含まないSn−Ag−Cuはんだが使用されることもある(特許文献1、2)。しかし、これらのはんだをTAB線の接続に使用する場合、約220℃以上の熱が太陽電池セルに加わるため、接続工程の歩留りの低下や太陽電池セルの反りが発生するおそれがある。これらを抑制するために、太陽電池セル中のシリコンの厚みを増加させることが考えられる。しかし、この場合、製造コストが増加してしまう。
【0005】
  また、上記のようなはんだをTAB線の接続に使用する場合、はんだのぬれ性を確保するために、太陽電池セルの表面及び裏面において当該TAB線が配置される位置に、予めAgからなる電極(バスバー電極)を形成しておく必要がある。しかし、Agは高価であるため、製造コストが増加してしまう。また、Agの電気抵抗は小さいが、バスバー電極が細いと、当該バスバー電極のシート抵抗が大きくなる。そうすると、バスバー電極における電力損失が増加して、太陽電池セルの発電性能が低下してしまう。このため、バスバー電極のシート抵抗を抑制するために、バスバー電極の幅はある程度太くする必要があり、さらに製造コストが増加する原因となっている。
【0006】
  そこで、近年、はんだに代えて導電性接着層を有する導電性接着剤をTAB線の接続に使用することが提案されている(特許文献3〜6)。この導電性接着剤は熱硬化性樹脂中にNi粒子等の金属粒子を混合・分散させた組成物であり、この金属粒子がTAB線と太陽電池セルの電極との間に挟まれることで電気的な接続が実現される。導電性接着剤をTAB線の接続に使用する場合、200℃以下で接続を行うことが可能であるため、接続工程の歩留りの低下や太陽電池セルの反りが抑制される。また、導電性接着剤をTAB線の接続に使用する場合、ぬれ性の確保が不要となるため、ぬれ性の確保のために形成されていたバスバー電極が不要となり、Agの使用が低減される。
【0007】
  しかしながら、太陽電池セルの表面及び裏面にバスバー電極が形成されていないと、TAB線の接続位置が確認できず、TAB線を予定された位置に精度よく貼り付けることができないおそれがある。TAB線を予定された位置に貼り付けることができないと、太陽電池セルの並びが蛇行してしまい、太陽電池セルに残留応力が発生して製造の歩留まりが低下するおそれがある。これに対し、予定された接着位置に位置合わせ用のアライメントマークを別に形成することが考えられる。しかし、アライメントマークの形成工程が複雑であると、製造コストが増加してしまう。
【0008】
  本発明は、このような課題を解決するために成されたものであり、製造コストの増加を抑制しつつ、TAB線を予定された位置に精度よく接続することができる太陽電池セル及び太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
 
【課題を解決するための手段】
【0009】
  本発明に係る太陽電池セルは、基板の受光面に配置された複数のフィンガー電極を有し、フィンガー電極は、逆方向から、フィンガー電極と交差する方向に延びてTAB線が接続されるTAB領域に至る複数の第一フィンガー電極及び複数の第二フィンガー電極を備える。
【0010】
  本発明に係る太陽電池セルでは、複数の第一フィンガー電極及び複数の第二フィンガー電極が逆方向からTAB領域に至ることで、複数の第一フィンガー電極の先端及び複数の第二フィンガー電極の先端により、TAB領域を視覚的に浮き上がらせることができる。よって、別途アライメントマークを形成しなくてもTAB領域を把握することができるため、電極材の使用量の増加を抑制しつつ、TAB線を予定された位置に精度よく接続することができる。
【0011】
  フィンガー電極は、TAB領域と直交する方向に延びることが好ましい。これによって、太陽電池セルの集光効率を向上することができる。
【0012】
  本発明に係る太陽電池セルでは、複数の第一フィンガー電極のTAB領域に至る先端及び複数の第二フィンガー電極のTAB領域に至る先端は、当該TAB領域の延在方向と平行な線上にあることが好ましい。これによって、複数の第一フィンガー電極の先端又は複数の第二フィンガー電極の先端の位置を、TAB領域と平行な位置として視覚的に浮き上がらせることができる。よって、TAB領域と平行にTAB線を配置することができるため、TAB線を予定された位置に精度よく接続することができる。
【0013】
  本発明に係る太陽電池セルでは、複数の第一フィンガー電極のTAB領域に至る先端及び複数の第二フィンガー電極のTAB領域に至る先端は、当該TAB領域の幅方向の中心から等距離にあることが好ましい。このようにすれば、複数の第一フィンガー電極の先端又は複数の第二フィンガー電極の先端に挟まれる領域の中心とTAB領域の幅方向の中心とが一致するため、TAB領域の幅方向の中心を容易に把握することができる。よって、TAB線を予定された位置に精度よく接続することができる。
【0014】
  本発明に係る太陽電池セルでは、TAB領域において、第一フィンガー電極と第二フィンガー電極とがTAB領域の延在方向に交互に設けられていることが好ましい。このように、複数の第一フィンガー電極及び複数の第二フィンガー電極を配置しても、上述した太陽電池セルと同様にTAB線を予定された位置に精度よく接続することができる。
【0015】
  本発明に係る太陽電池セルでは、第一フィンガー電極と第二フィンガー電極とは、TAB領域の延在方向に重なることが好ましい。この場合、TAB領域の延在方向に隣接する少なくとも一対の第一フィンガー電極と第二フィンガー電極とが接触していてもよく、TAB領域の延在方向に隣接する全てのフィンガー電極が離間していてもよい。このようにすれば、第一フィンガー電極と、第二フィンガー電極との重なりにより、TAB領域をより明確に表すことができ、TAB線を予定された位置により精度よく接続することができる。
【0016】
  本発明に係る太陽電池セルでは、第一フィンガー電極と第二フィンガー電極とが重なる長さは、TAB領域の幅以下であることが好ましい。このようにすれば、第一フィンガー電極及び第二フィンガー電極によって受光面積が小さくなることがないため、集光効率の向上を図りながら、TAB線を予定された位置に精度よく接続することができる。
【0017】
  本発明に係る太陽電池セルでは、第一フィンガー電極と第二フィンガー電極とが重なる長さは、TAB領域の幅と略同一であることが好ましい。これによって、第一フィンガー電極と第二フィンガー電極とが重なる部分とTAB領域の幅とが一致するため、第一フィンガー電極と第二フィンガー電極とが重なっている部分をTAB領域の幅として明確に表すことができ、TAB線を予定された位置により精度よく接続することができる。
【0018】
  本発明に係る太陽電池セルでは、第一フィンガー電極と第二フィンガー電極とが重なる長さは、TAB領域の幅の10%以上であることが好ましい。これによって、TAB領域の位置を認識するための十分な幅を確保することができるため、第一フィンガー電極と第二フィンガー電極とが重なっている部分をTAB領域として視覚的に明確に表すことができ、TAB線を予定された位置により精度よく接続することができる。
【0019】
  また、本発明に係る太陽電池モジュールは、上述の太陽電池セルが複数配置され、TAB線が、複数の太陽電池セルのうち所定の太陽電池セルのTAB領域に沿って配置され、接着剤により所定の太陽電池セルの第一フィンガー電極及び第二フィンガー電極に連結され、TAB線が、複数の太陽電池セルのうち他の太陽電池セルの裏面に形成された裏面電極に更に連結されている。この場合、接着剤は、導電性接着剤又は絶縁性接着剤とすることができる。本発明に係る太陽電池モジュールでは、TAB線が予定された位置に精度よく接続されるため、太陽電池セルの列が蛇行することを抑制できる。これにより、太陽電池モジュールを製造する際、太陽電池セルに残留応力が発生することを抑制でき、製造の歩留まりを向上することができる。
 
【発明の効果】
【0020】
  本発明によれば、製造コストの増加を抑制しつつ、TAB線を予定された位置に精度よく接続することができる太陽電池セル及び太陽電池モジュールを提供することができる。
 
 
【発明を実施するための形態】
【0022】
  以下、図面を参照しながら、本発明に係る太陽電池セル及び太陽電池モジュールの好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図示の便宜上、図面の寸法比率は説明のものと必ずしも一致しない。
 
【0023】
  図1は太陽電池セルの受光面を示す平面図、
図2は
図1におけるTAB領域SF1を拡大して示した図である。
図3は
図1の太陽電池セルの裏面を示す底面図、
図4は
図1の太陽電池セルを複数接続した状態を示す斜視図、
図5は
図4の概略側面図である。以下の説明において、フィンガー電極3が延びる方向を第一方向D1とし、フィンガー電極3と直交する方向を第二方向D2とする。
 
【0024】
  図1に示すように、太陽電池セル100は、複数が電気的に直列又は並列に接続されて1つの太陽電池モジュールを形成するものであり、基板2を有している。この基板2は略正方形状を呈しており、その四隅は円弧状となっている。基板2の一方面は受光面21となっており、他方面は裏面22となっている(
図3参照)。基板2は、例えばSiの単結晶、多結晶及び非結晶のうち少なくとも一つからなるものである。基板2は、受光面21側がn型半導体であってもよく、p型半導体であってもよい。基板2は、例えば、対向する2辺の距離が125mmとなっている。
 
【0025】
  受光面21の表面には、複数の直線状のフィンガー電極3が互いに平行に離間して配置されている。太陽電池セル100を複数接続して太陽電池モジュールを形成する際、このフィンガー電極3には、導電性接着フィルム(導電性接着剤)5により2本のTAB線4が接続される(
図5参照)。ここで、フィンガー電極3にTAB線4が接続される受光面21上の領域をTAB領域SFという。2本のTAB線4は、フィンガー電極3と直交する方向(第二方向D2)に延びるように、TAB領域SFにおいて各フィンガー電極3と接続される。このため、TAB領域SFは、第二方向D2に延びて、2本のTAB線4がそれぞれ接続されるTAB領域SF1とTAB領域SF2とを有する。
 
【0026】
  TAB領域SF1,SF2の幅wcは、例えば、1.5mmとなっている。TAB領域SF1とTAB領域SF2との間隔dcは、例えば、62mmとなっている。なお、本実施形態において、単にTAB領域SFとの記載は、TAB領域SF1及びTAB領域SF2の両方のTAB領域SFを指すものとする。
 
【0027】
  フィンガー電極3は、第一方向D1においてそれぞれ逆方向から、TAB領域SFに至る複数の第一フィンガー電極及び複数の第二フィンガー電極を備える。具体的に説明すると、フィンガー電極3は、TAB領域SF1、SF2において、フィンガー電極31と、フィンガー電極32と、フィンガー電極33と、に分割されている。
 
【0028】
  フィンガー電極31は、太陽電池セル100の一方の端よりも内側の位置からTAB領域SF1まで延びている。フィンガー電極31は、例えば、太陽電池セル100の一方の端より数mm〜数十mm内側から延びている。フィンガー電極33は、太陽電池セル100の他方の端よりも内側の位置からTAB領域SF2まで延びている。フィンガー電極33は、例えば、太陽電池セル100の他方の端より数mm〜数十mm内側から延びている。
図1において、TAB領域SF1に注目すると、第一フィンガー電極がフィンガー電極31に対応し、第二フィンガー電極がフィンガー電極32に対応する。TAB領域SF2に注目すると、第一フィンガー電極がフィンガー電極32に対応し、第二フィンガー電極がフィンガー電極33に対応する。
 
【0029】
  図2に示すように、フィンガー電極31とフィンガー電極32は、TAB領域SF1において第二方向D2に交互に設けられている。また、複数のフィンガー電極31と複数のフィンガー電極32とが、第二方向D2において重なっており、第二方向D2に隣接する全てのフィンガー電極31及びフィンガー電極32は、それぞれ離間している。この離間距離は、全て同一とすることができる。複数のフィンガー電極31のTAB領域SF1に至る先端及び複数のフィンガー電極32のTAB領域SF1に至る先端は、TAB領域SF1を第一方向D1で区画する第二方向D2と平行な2本の線上にある。このため、フィンガー電極31とフィンガー電極32とが重なる長さlは、TAB領域SF1の幅と略同一となっている。詳細には、複数のフィンガー電極31のTAB領域SF1に至る先端が、TAB領域SF1を第一方向D1で区画する2本の線のうち、フィンガー電極32側の線上にあり、複数のフィンガー電極32のTAB領域SF1に至る先端が、TAB領域SF1を第一方向D1で区画する2本の線のうち、フィンガー電極31側の線上にある。フィンガー電極31とフィンガー電極32とが重なる長さlは、例えば、1.5mmである。また、TAB領域SF1に至る複数のフィンガー電極31の先端及び複数のフィンガー電極32のTAB領域SF1に至る先端は、TAB領域SF1の幅方向(第一方向D1)の中心Cから等距離にある。
 
【0030】
  また、図示は省略するが、TAB領域SF2においても、フィンガー電極3が同様の構成になっている。すなわち、フィンガー電極32とフィンガー電極33は、TAB領域SF2において第二方向D2に交互に設けられている。また、複数のフィンガー電極32と複数のフィンガー電極33とが、第二方向D2において重なっており、第二方向D2に隣接する全てのフィンガー電極32及びフィンガー電極33は、それぞれ離間している。この離間距離は、全て同一とすることができる。複数のフィンガー電極32のTAB領域SF2に至る先端及び複数のフィンガー電極33のTAB領域SF2に至る先端は、TAB領域SF2を第一方向D1で区画する線上にある。このため、フィンガー電極32とフィンガー電極33とが重なる長さはTAB領域SF2の幅と略同一となっている。詳細には、複数のフィンガー電極32のTAB領域SF2に至る先端が、TAB領域SF2を第一方向D1で区画する2本の線のうち、フィンガー電極33側の線上にあり、複数のフィンガー電極33のTAB領域SF2に至る先端が、TAB領域SF2を第一方向D1で区画する2本の線のうち、フィンガー電極32側の線上にある。フィンガー電極32とフィンガー電極33とが重なる長さは、例えば、1.5mmである。また、TAB領域SF2に至る複数のフィンガー電極32の先端及び複数のフィンガー電極33の先端は、TAB領域SF2の幅方向(第一方向D1)の中心Cから等距離にある。
 
【0031】
  TAB領域SF1,SF2にTAB線4をそれぞれ接続する際に用いる導電性接着フィルム5の幅は、例えば、1.2mmとなっている。
 
【0032】
  フィンガー電極3は、電気的導通を得ることができる公知の材料からなる。フィンガー電極3の材料としては、銀を含有したガラスペースト、接着剤樹脂に各種導電性粒子を分散した銀ペースト、金ペースト、カーボンペースト、ニッケルペースト、アルミニウムペースト、焼成や蒸着によって形成されるITO及びメッキによって形成される金メッキ、銀メッキ、銅メッキ、ニッケルメッキなどが挙げられる。これらの中でも、耐熱性、導電性、安定性及びコストの観点から、銀を含有したガラスペーストを用いることが好ましい。
 
【0033】
  フィンガー電極31、フィンガー電極32及びフィンガー電極33の線幅は、例えば、0.10mmとなっている。また、第二方向D2において互いに隣接するフィンガー電極31の間隔df、第二方向D2において互いに隣接するフィンガー電極32の間隔df及び第二方向D2において互いに隣接するフィンガー電極33の間隔dfは、例えば、2.55mmとなっている。そのため、TAB領域SF1におけるフィンガー電極31とフィンガー電極32の間隔dh及びTAB領域SF2におけるフィンガー電極32とフィンガー電極33の間隔dhは、例えば、1.275mmとなっている。
 
【0034】
  図3に示すように、太陽電池セル100の裏面22には、その全体を覆うように裏面電極7が形成されている。太陽電池セル100を複数接続して太陽電池モジュールを形成する際、この裏面電極7には、導電性接着フィルム5によりTAB線4が接続される(
図5参照)。裏面電極7は、電気的導通を得ることができる公知の材料からなる。裏面電極7の材料としては、銀を含有したガラスペースト、接着剤樹脂に各種導電性粒子を分散した銀ペースト、金ペースト、カーボンペースト、ニッケルペースト、アルミニウムペースト、スパッタリングや蒸着によって形成されるITO、アルミニウム、銀、金、ニッケル及びメッキによって形成される金メッキ、銀メッキ、銅メッキ、ニッケルメッキなどが挙げられる。これらの中でも、耐熱性、導電性、安定性及びコストの観点から、アルミニウムペーストを用いることが好ましい。また裏面を表面と同様にフィンガー電極を設けても構わない。
 
【0035】
  裏面22においてTAB線4の接続される接続領域SB1,SB2の位置は、受光面21におけるTAB線4の接続されるTAB領域SF1,SF2と対応した位置になっている。接続領域SB1,SB2の幅wcは、接続領域SB1,SB2に接続されるTAB線4の幅と同等であり、例えば、1.5mmとなっている。接続領域SB1,SB2の間隔dcは、受光面21と同様に、例えば、62mm程度となっている。また、接続領域SB1,SB2にTAB線4を接続する際に用いる導電性接着フィルム5の幅は、受光面21にTAB線を貼り付ける際と同様に、例えば、1.2mmとなっている。
 
【0036】
  このような太陽電池セル100は、複数のフィンガー電極31及び複数のフィンガー電極32が第一方向D1において逆方向からTAB領域SF1に至ることで、複数のフィンガー電極31の先端及び複数のフィンガー電極32の先端により、TAB領域SF1を視覚的に浮き上がらせることができる。また同様に、複数のフィンガー電極32及び複数のフィンガー電極33が第一方向D1において逆方向からTAB領域SF2に至ることで、複数のフィンガー電極32の先端及び複数のフィンガー電極33の先端により、TAB領域SF2を視覚的に浮き上がらせることができる。よって、別途アライメントマークを形成しなくても、TAB領域SF1及びTAB領域SF2としてそれぞれ把握することができるため、電極材の使用量の増加を抑制しつつ、TAB線をTAB領域SF1及びTAB領域SF2に精度よく接続することができる。
 
【0037】
  また、太陽電池セル100は、フィンガー電極31とフィンガー電極32とがTAB領域SF1の延在方向(第二方向D2)において重なるとともに、フィンガー電極32とフィンガー電極33とがTAB領域SF2の延在方向(第二方向D2)において重なっている。これらの重なる長さlは、TAB領域SF1の幅及びTAB領域SF2の幅とそれぞれ略同一となっている。これによって、フィンガー電極31とフィンガー電極32とが重なる部分とTAB領域SF1の幅及びTAB領域SF2の幅とがそれぞれ一致するため、フィンガー電極31とフィンガー電極32とが重なっている部分をTAB領域SF1の幅として明確に表すことができ、フィンガー電極32とフィンガー電極33とが重なっている部分をTAB領域SF2の幅として明確に表すことができる。よって、TAB線4をTAB領域SF1により精度よく接続することができる。
 
【0038】
  また、太陽電池セル100は、複数のフィンガー電極31のTAB領域SF1に至る先端及び複数のフィンガー電極32のTAB領域SF1に至る先端は、TAB領域SF1の幅方向(第一方向D1)の中心Cから等距離にあるとともに、複数のフィンガー電極32のTAB領域SF2に至る先端及び複数のフィンガー電極33のTAB領域SF2に至る先端は、TAB領域SF2の幅方向(第一方向D1)の中心Cから等距離にある。これによって、複数のフィンガー電極31のTAB領域SF1に至る先端又は複数のフィンガー電極32のTAB領域SF1に至る先端に挟まれる領域の中心とTAB領域SF1の中心とが一致し、複数のフィンガー電極32のTAB領域SF2に至る先端又は複数のフィンガー電極33のTAB領域SF2に至る先端に挟まれる領域の中心とTAB領域SF2の中心とが一致する。よって、TAB領域SF1及びTAB領域SF2の幅方向中心を容易に把握することができるため、TAB線4をTAB領域SF1に精度よく接続することができる。
 
【0039】
  また、太陽電池セル100は、複数のフィンガー電極31のTAB領域SF1に至る先端及び複数のフィンガー電極32のTAB領域SF1に至る先端が第二方向D2と平行な線上にある。これによって、複数のフィンガー電極31のTAB領域SF1に至る先端又は複数のフィンガー電極32のTAB領域SF1に至る先端の位置を、TAB領域SF1と平行な位置として視覚的に浮き上がらせることができる。また、複数のフィンガー電極32のTAB領域SF2に至る先端又は複数のフィンガー電極33のTAB領域SF2に至る先端の位置を、TAB領域SF2と平行な位置として視覚的に浮き上がらせることができる。よって、TAB領域SF1及びTAB領域SF2と平行にTAB線4を置くことができるため、TAB線4をTAB領域SF1に精度よく接続することができる。
 
【0040】
  また、太陽電池セル100において、フィンガー電極3は、TAB領域SFの延在方向(第二方向D2)と直交する方向(第一方向D1)に延びている。これによって、太陽電池セル100の集電効率を向上できる。
 
【0041】
  太陽電池セル100は、
図4に示すように、受光面21のTAB線4が接続されるがTAB領域SF1,SF2が一直線上に沿うように複数が1列に配置され、受光面21のTAB線4が接続されるTAB領域SF1,SF2に沿うように導電性接着フィルム5を介して配置されたTAB線4によって連結される。
 
【0042】
  連結は、隣接する太陽電池セル100A,100Bのうち、一方の太陽電池セル100Aの受光面21側のTAB領域SF1におけるフィンガー電極31及びフィンガー電極32と、他方の太陽電池セル100Bの裏面22側の接続領域SBにおける裏面電極7とをTAB線4で接続し(
図5参照)、さらに隣接する太陽電池セル100Aの受光面21側のTAB領域SF2におけるフィンガー電極32及びフィンガー電極33と、他方の太陽電池セル100Bの裏面22側の接続領域SBにおける裏面電極7とをTAB線4で接続し、これを繰り返すことで行われる。これにより、1列に配置された複数の太陽電池セル100が電気的に直列に接続される。このような列が、1列又は複数列設けられることで太陽電池モジュールが形成される。
 
【0043】
  以上、本発明に係る太陽電池セルの好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。以下、
図6〜10を用いて、上記実施形態の他の例について説明する。なお、
図7〜9は、太陽電池セル100のTAB領域SF1を拡大した図であり、これらの図を用いてフィンガー電極31及びフィンガー電極32の変形例を説明するが、TAB領域SF2におけるフィンガー電極32及びフィンガー電極33についても同様の構成になっているものとする。
 
【0044】
  上記実施形態において、フィンガー電極31は、太陽電池セル100の一方の端よりも内側の位置からTAB領域SF1まで延びており、フィンガー電極33は、太陽電池セル100の他方の端よりも内側の位置からからTAB領域SF2まで延びていたが、これに限られない。
図6に示すように、フィンガー電極31は、太陽電池セル100の一方の端からTAB領域SF1まで延びていても構わない。また、フィンガー電極33は、太陽電池セル100の他方の端からTAB領域SF2まで延びていても構わない。
 
【0045】
  また、上記実施形態において、複数のフィンガー電極31のTAB領域SF1に至る先端及び複数のフィンガー電極32のTAB領域SF1に至る先端は、TAB領域SF1を第一方向D1で区画する線上にあったが、複数のフィンガー電極31のTAB領域SF1に至る先端及びフィンガー電極32のTAB領域SF1に至る先端の位置はこれに限られない。このような場合でも上記実施形態と同様に、別途アライメントマークを形成しなくてもTAB領域の位置を把握することができる。
 
【0046】
  図7及び
図8に示すように、複数のフィンガー電極31のTAB領域SF1に至る先端及びフィンガー電極32のTAB領域SF1に至る先端は、TAB領域SF1をD1方向に区画する線よりもTAB領域SF1の内側又は外側にあってもよい。この場合、TAB領域SF1の延在方向(第二方向D2)と平行な線(破線h)上にあることが好ましい。
 
【0047】
  また、上記実施形態において、フィンガー電極31とフィンガー電極32とが重なる長さlは、TAB領域SF1の幅と略同一となっていたが、上記重なる長さlは、これに限られない。
図7に示すように、上記重なる長さlはTAB領域SF1の幅よりも短くてもよい。このようにしても、TAB領域SF1の幅より長く形成されたフィンガー電極31とフィンガー電極32によって受光面21の受光面積が小さくなることないため、集光効率の向上を図りながら、TAB線4をTAB領域SF1に精度よく接続することができる。
 
【0048】
  フィンガー電極31とフィンガー電極32とが重なる長さlがTAB領域SF1の幅よりも短い場合において、フィンガー電極31とフィンガー電極32とが重なる長さlは、TAB領域SF1の幅の10%以上であることが好ましい。これによって、TAB領域SF1の位置を認識するための十分な幅を確保することができるため、フィンガー電極31とフィンガー電極32とが重なっている部分をTAB領域SF1として視覚的に明確に表すことができ、TAB線4をTAB領域SF1により精度よく接続することができる。また、上記重なる長さは、TAB領域SF1の幅の30%以上であることがより好ましく、幅の50%以上であることがさらに好ましい。
 
【0049】
  また、フィンガー電極31とフィンガー電極32とが重なる長さlは、
図8に示すように、TAB領域SF1の幅よりも長くてもよい。この場合、フィンガー電極31のTAB領域SF1に至る先端及びフィンガー電極32のTAB領域SF1に至る先端は、TAB領域SF1の外側に突き出た位置となる。これによって、TAB線4を接続する際にTAB線4がTAB領域SF1から第一方向D1に多少ずれても、基板2とTAB線4とを電気的に接続できる。
 
【0050】
  上記実施形態において、TAB領域SF1の延在方向(第二方向D2)に隣接する全てのフィンガー電極31及びフィンガー電極32は、それぞれ離間していたが、
図9に示すように、第二方向D2に隣接する少なくとも一対のフィンガー電極31とフィンガー電極32とが接触していても構わない。このようにしても、フィンガー電極31と、フィンガー電極32との重なりにより、TAB領域SF1をより明確に表すことができ、TAB線4をTAB領域SF1により精度よく接続することができる。また、
図9において、第二方向D2に隣接する全てのフィンガー電極31及びフィンガー電極32が接触していても構わない。この場合も、上述したように、フィンガー電極31と、フィンガー電極32との重なりにより、TAB領域SF1をより明確に表すことができ、TAB線4をTAB領域SF1に精度よく接続することができる。
 
【0051】
  また、上記実施形態では、TAB領域SFの数(太陽電池セル100に接続するTAB線4の本数)は2つとなっているが、
図10に示すようにTAB領域SFの数が3つでもよく、4つ以上であってもよい。また、複数のフィンガー電極3は、直線状でなくてもよく、互いに平行でなくてもよい。
 
【0052】
  また、上記実施形態において、複数のフィンガー電極31のTAB領域SF1に至る先端及び複数のフィンガー電極32のTAB領域SF1に至る先端は、TAB領域SF1の幅方向(第一方向D1)の中心Cから等距離にあったが、複数のフィンガー電極31のTAB領域SF1に至る先端及び複数のフィンガー電極32のTAB領域SF1に至る先端は、中心Cから等距離になくてもよい。この場合、フィンガー電極31のTAB領域SF1に至る先端の方がフィンガー電極32のTAB領域SF1に至る先端よりも中心Cからの距離が短くてもよいし、フィンガー電極32の先端の方がフィンガー電極31の先端よりも中心Cからの距離が短くてもよい。
 
【0053】
  また、上記実施形態では、フィンガー電極3の延びる第一方向D1がTAB領域SF1の延在方向(第二方向D2)とフィンガー電極3と交差する第二方向D2と直交していたが、第一方向D1と第二方向D2とは、必ずしも直交していなくてもよい。
 
【0054】
  また、上記実施形態では、複数のフィンガー電極31のTAB領域SF1に至る先端及び複数のフィンガー電極32のTAB領域SF1に至る先端は、第二方向D2と平行な線上にあったが、別途アライメントマークを形成せずにTAB領域SF1の位置を表すことができれば、第二方向D2と平行な線上に必ずしもなくても構わない。
 
【0055】
  また、上記実施形態では、導電性接着剤としてフィルム状の導電性接着フィルム5が用いられているが、液状の導電性接着剤が塗布されてもよい。また、上記実施形態では、接着剤として導電性接着剤が用いられているが、接着剤として絶縁性接着剤が用いられてもよい。また、上記実施形態において、太陽電池セルの表面及び裏面にバスバー電極やアライメントマークを形成してもよい。