(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記リードフレームは少なくとも一対設けられ、離間した前記リードフレーム間が樹脂部材で埋められており、前記白色レジストは前記リードフレーム間の前記樹脂部材を被覆するように設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の発光装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、添付した図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態について説明する。
【0011】
<第1実施形態>
図1は、本発明の実施形態に係る発光装置100の模式的平面図である。
図2(a)は
図1に示す発光装置のA−A線における模式的断面図であり、
図2(b)は
図1に示す発光装置のB−B線における模式的断面図である。
図1および
図2に示すように、本発明の実施形態に係る発光装置100は、リードフレーム16と、リードフレーム16の上に接して配置された白色レジスト20と、白色レジスト20上に接合部材28を介して配置された発光素子10と、を有している。なお、
図1において、白色レジスト20は薄墨で示している。
【0012】
リードフレーム16は、少なくとも正負一対が離間して配置されており、樹脂部材22により固定されている。樹脂部材22は、発光装置100の下側ではリードフレーム16を固定し、上側では発光素子10を収納する凹部が形成されてなる。凹部の側壁は、発光素子10からの光を反射させて取り出すことが可能なリフレクタを形成していることが好ましい。
【0013】
白色レジスト20は少なくとも発光素子10が載置される部分(以下、ダイアタッチ部ともいう)に配置されており、発光素子10の発光層から見て下方に出射される光を光取り出し面側、すなわち、発光素子10の上方に反射させる役割を持つ。
【0014】
発光素子10は、透光性基板上に半導体層を有し、さらにその上面に電極を有しており、電極とリードフレーム16とをワイヤ24で接続することにより、電気的導通をとっている。そのため、白色レジスト20には、少なくともワイヤ24とリードフレーム16とが電気的に接続される領域において開口部21が形成されている。
【0015】
白色レジスト20の開口形状及び大きさは、ワイヤ24をワイヤボンドできる形状及び大きさであればどのようなものであってもよいが、光を反射させるという目的に鑑みて、小さいほうが好ましい。開口形状としては、例えば、円、楕円、矩形などが好適に用いられる。特に好ましくは円又は矩形である。また、開口の大きさとしては、例えば直径または矩形の対角の長さが150μm〜300μm程度であり、より好ましくは200μm以下である。
【0016】
本実施形態において、白色レジスト20は、樹脂部材22からなる凹部を成形した後に凹部の底面にあたるリードフレーム16部分に形成している。白色レジスト20は、リードフレーム16の上に接して配置されているため、リードフレーム16を介して白色レジスト20に伝わる熱をリードフレーム16に逃がすことができる。従来、一般的に使用されている白色レジストはエポキシ樹脂を含んでおり、樹脂材料内部に多数の炭素−炭素2重結合を含むため、光や熱による劣化によって白色レジストの反射率が低下する。このため、ダイアタッチ部においては白色レジストに開口部を設け、発光素子と白色レジストは直接接しないように形成されていた。
【0017】
本実施形態において、白色レジスト20の材料は、例えば、TiO
2等の反射性粒子と有機物ないし無機物のバインダーとを混錬したものである。いわゆる白色レジストや白色インク、セラミックスインク等が該当する。
有機物のバインダーとしては、好ましくは耐熱性・耐光性に優れたシリコーン樹脂やフッ素樹脂等が用いられ、フッ素樹脂を用いることが特に好ましい。白色レジスト20を熱伝導率の高いリードフレームの上にこのような材料で形成することにより、従来のように発光素子10の直下に開口部を設けなくても白色レジストの劣化を抑制し、光取り出し効率の高い発光装置とすることができる。
【0018】
白色レジスト20に含有される反射性粒子は、発光素子10からの光を吸収しにくく、かつ母体となる樹脂に対する屈折率差の大きい反射部材(例えばTiO
2,Al
2O
3,ZrO
2,MgO等の無機材料)等の粉末を分散することで、効率よく光を反射させることができる。
【0019】
白色レジスト20の厚みは、厚すぎるとリードフレームへ熱を逃がしにくくなるため、5μm〜50μmであることが好ましく、より好ましくは25μm以下である。なお、白色レジスト20は2層以上の積層により形成されていてもよい。
【0020】
白色レジスト20は、その厚みによっては発光素子10からの光を透過する。(例えば、20μm程度では透過する光も存在する)そのため、発光素子からの光がそのまま樹脂部材22側に透過若しくは吸収されないように、リードフレーム16を発光素子からの光に対して反射率の高い材料で形成することが好ましい。これにより、白色レジスト20のみならずリードフレーム16によっても光を反射させて光取り出し効率を向上させることができる。
【0021】
そのためリードフレーム16は、最表面に銀、アルミニウム、銅及び金などの金属メッキが施されることが好ましい。特に、最表面に銀を含有することが好ましい。銀は発光素子からの光の反射率が高い一方で、硫化による変色やそれに伴う光取り出し効率の低下の問題があるが、本実施形態のように白色レジスト20で表面を被覆することによりガスバリア性が向上し、硫化を抑制することができる。
【0022】
リードフレーム16の熱伝導率は300W/m・K以上であることが好ましい。さらに好ましくは、350W/m・K以上である。このような熱伝導率を持つ材料として、鉄、リン青銅、銅合金、クラッド材などを挙げることができる。これにより、発光素子10からの熱を効果的にリードフレーム16から放熱することができる。
【0023】
さらに、リードフレーム16の厚みは、0.1mm〜1.0mmであることが好ましい。特に、0.25mm〜0.5mm程度が適している。厚みが厚いほど放熱性が向上するため、白色レジストの厚みを厚くすることが可能になる。
【0024】
本実施形態においては、発光素子10の下面は、透光性基板とされており、この透光性基板を接合面として白色レジスト20の上に接合部材28を介して接合されている。言い換えると、発光素子10の透光性基板と白色レジスト20とが、接合部材28を介して接合される。発光素子10から出射された光は、接合面において接合部材28を透過し、白色レジスト20により反射されて、発光素子の上面側に光が取り出される。発光素子の基板を透光性とすることにより、半導体層から出る光を下方向に伝搬して発光素子10の直下において白色レジスト20に光を照射して、効率良く反射させることができる。透光性基板としては、例えば、サファイア等の基板である。
【0025】
接合部材22は、発光素子10からの光を透過させるために透光性であることが好ましい。ただし、反射部材や遮光部材が含有されていたとしても、透過する光が存在する場合には、その透過した光を発光素子の上面側に反射させることができる。
【0026】
白色レジスト20は、発光素子10の下面の少なくとも一部に形成されていればよいが、発光素子10の接合面の全面に対応するように形成されていることが好ましく、さらに発光素子10の接合面の周囲にまで及んで形成されていることが特に好ましい。発光素子10の下面の全部が白色レジスト20に接していることで、発光素子10からの光を効率良く反射することができる。また、発光素子10の光は発光素子の下面のみならず、側面や上面など、発光素子の全周から出射されるため、接合面の周囲に白色レジスト20が形成されることにより、これらの光を効率良く反射させることができる。
【0027】
なお、白色レジスト20はリードフレーム16よりも熱伝導率が悪いため、
図5に示すように、白色レジスト20と発光素子10との接合面のうち、一部の白色レジスト20を開口してリードフレーム16が白色レジスト20から露出されるようになっていてもよい。(
図5では白色レジスト20と発光素子10との接合面のうち、中央付近の一部の前記白色レジストが開口されてリードフレーム16が露出されている)なお、白色レジスト20が開口された部分は、接合部材28が充填されていることが好ましい。
【0028】
本実施形態においては、白色レジスト20の上に発光素子10が載置されるため、白色レジスト20は発光素子10の電極にワイヤボンドするのに適した硬さを備えていることが好ましい。具体的には塗膜硬度が5H以上であることが好ましい。柔らかすぎるとワイヤボンド時の超音波が伝わりにくく、ボンディング不良が生じるためである。
【0029】
白色レジストの形成方法としては、特に限定されないが、例えばスクリーン印刷が挙げられる。その他にも、マスキングをしてのスプレー塗布などにより形成することもできる。
【0030】
以下、各部材について詳細に説明する。
【0031】
[リードフレーム]
リードフレーム16は平板状のものを用いることができるが、段差や凹凸を設けた金属板も用いることができる。
リードフレーム16は平板状の金属板に打ち抜き加工やエッチング加工等を行ったものである。エッチング加工されたリードフレーム16は
図2に示すように、断面形状において凹凸が形成されており、樹脂部材との密着性を向上させることができる。エッチング加工ではリードフレームの断面(エッチング部分)部分すべてに、凹凸形状を形成させることができるので、リードフレーム16と樹脂部材との接合面積を大きくでき、これらの部材の密着性を向上させることができる。
【0032】
また、平板状の金属板を打ち抜く加工方法では、打ち抜きに伴う金型の摩耗で、交換部品に要する費用が高くなり、リードフレームの製作費用が高くなる。それに対し、エッチング加工では、打ち抜き用金型は使用せず、1フレームあたりのパッケージの取り数が多い場合は、1パッケージあたりのリードフレーム製作費用を安価にすることができる。
【0033】
[樹脂部材]
樹脂部材22は、一対のリードフレームの間に埋設されて、正負のリードフレームを絶縁して離間する部材である。本実施の形態においては、樹脂部材22に、リードフレーム16がインサート成形されることで、発光素子10を載置する凹部を有する支持体(パッケージ)が形成されている。凹部の内側壁は外側に向かって広くなるテーパ形状とされており、発光素子10の光を反射するリフレクタとして機能する。このように、凹部は開口方向に広がる形状となっていることが好ましいが、筒状を含む他の形状であってもよい。
【0034】
なお、凹部は外上面側から見て、略円形形状、略楕円形状、略四角形形状、略多角形形状及びこれらの組み合わせなど種々の形状を採ることができる。
【0035】
樹脂部材22の材料としては、透光性の樹脂に光反射性物質を高充填したものを使用することが好ましい。熱可塑性樹脂、または熱硬化性樹脂を用いることができる。熱硬化性樹脂を用いることにより、熱や光による劣化を抑制することができる。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂からなる群から選択される少なくとも1種により形成することが好ましい。
【0036】
樹脂部材22の成形方法としては、金型を用いた射出成形やトランスファー成形、さらに、成形済のリフレクタを貼り付ける等の種々の方法を採ることができる。本実施形態では、トランスファー成形で形成している。
【0037】
[発光素子]
発光素子10には、例えば発光ダイオードを用いることができる。発光素子10は、サファイアなどの透光性基板(絶縁性の部材)に半導体層(例えば窒化物半導体層)が積層された発光素子が好適に用いられ、絶縁性の部材を白色レジスト側に配置し、接合部材28を介して実装する。本実施形態において、発光素子10は絶縁性の白色レジスト20の上に載置されるため、発光素子10の電極は白色レジストとの接合面となる面の反対側の面に、正負一対以上の電極を有することが好ましい。この電極にワイヤボンドすることにより、リードフレーム16と発光素子10とが電気的に接続される。複数の発光素子を使用する場合にあっては、発光素子の電極同士をワイヤ24で接合してもよい。ワイヤ24は、電気伝導性を有する金属等の各種材料であってよい。好ましくは、金、銅、アルミニウム、銀、または金合金、銀合金などからなる。
【0038】
[接合部材]
接合部材28は、発光素子10を白色レジスト20に接合する部材である。本実施形態においては、接合部材が導電性である必要はなく、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル系樹脂や不飽和ポリエステルなどの樹脂などが好適に挙げられる。これらは、単独又は2種類以上混合して使用することもできる。また、金、銀、銅やカーボンなどの導電性材料を含有させても良い。
【0039】
[封止部材]
発光素子10は、任意に封止部材26に被覆される。封止部材26は発光素子10からの光を透過可能であればよい。封止部材26の材質は、例えば熱可塑性樹脂、または熱硬化性樹脂である。熱硬化性樹脂のうち、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種により形成することが好ましく、特にエポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂が好ましい。
【0040】
封止部材26は、所定の機能を持たせるため、フィラー、拡散剤、着色染料、顔料、蛍光物質、反射性物質からなる群から選択される少なくとも1種を混合することもできる。具体的には、拡散剤として、チタン酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素等を用いることがでる。有機や無機の着色染料や着色顔料は所望外の波長をカットする目的で含有させることができる。さらに、封止部材26は、発光素子10からの光を吸収し、波長変換する蛍光物質を含有させることもでき、青色の発光素子と黄色の蛍光物質を用いて白色に発光可能な発光装置とすることができる。
【0041】
[保護素子]
発光装置100には、
図1および
図2に示すように、さらに保護素子30を設けることもできる。保護素子としては、例えばツェナーダイオードを好適に用いることができる。保護素子30は、上下面から導通を取るタイプの保護素子を用いる場合は
図1に示すように白色レジスト20に設けられた開口部21内において、リードフレーム16と導電性の接合部材により電気的に接続される。上面に正負の電極を持つタイプの保護素子を用いる場合は、発光素子10と同様に白色レジスト20の上に接合部材を介して載置されることが好ましい。
【0042】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。
図3は、本発明の実施形態に係る発光装置200の模式的平面図である。
図4は
図3に示す発光装置のC−C線における模式的断面図である。
図3および
図4に示すように、本実施形態に係る発光装置200は、平板状のリードフレーム16を発光装置200の側面から外部に突出させて、突出された部分を底面方向に屈曲して外部電極としている。本実施形態では、一対のリードフレーム16を金型で挟み、射出成形により樹脂部材22を成形している。
【0043】
また、本実施形態においては、正負一対設けられたリードフレーム16を絶縁する樹脂部材22であって、発光素子10の載置面に露出する領域にも白色レジスト20が被覆されている。すなわち、第1実施形態においては、リードフレーム16の上面にのみ白色レジスト20が被覆されていたが、本実施形態では、離間した2つのリードフレーム16の間に位置する樹脂部材22の上にも白色レジスト20が被覆するように設けられている。これにより、凹部の底面において、電気的接続がとられる開口部21を除いて、略全面が白色レジスト20とされている。これにより、樹脂部材22に反射率の低いものを使用する場合であっても、高い取り出し効率を得ることができる。
【0044】
その他の点については第1実施形態と概ね同様であり、本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0045】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について説明する。
図6は、本発明の実施形態に係る発光装置300の模式的断面図である。本実施形態では、白色レジスト20を予めリードフレーム16の表面に形成し、その後トランスファー成形で樹脂部材22と一体成形している。成形方法は射出成形であってもよい。
【0046】
このように予め白色レジスト20をリードフレーム16の表面に形成することにより、凹部の側面のリフレクタを形成する樹脂部材22との間にも白色レジスト20を配置することができる。これにより、リードフレーム16表面の露出面積が減るため、光取り出し効率を向上させることができる。
【0047】
その他の点については第1実施形態と概ね同様であり、本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0048】
<第4実施形態>
次に、第4実施形態について説明する。
図7は、本発明の実施形態に係る発光装置400の模式的断面図である。
図7に示すように、本実施形態では開口部21を覆うように光反射性樹脂32が配置されている。光反射性樹脂32は、リードフレーム16とワイヤ24とを接続した後に、リードフレーム16とワイヤ24との接続部を覆うように形成される。したがって、ワイヤ24の一部が光反射性樹脂32に被覆されることとなる。
【0049】
光反射性樹脂32の材料としては、樹脂部材22の材料と同様のものを用いることができる。このように白色レジスト20のない部分にも光反射性樹脂32を配置することで、さらに光取り出し効率を高めることができる。
【0050】
なお、光反射性樹脂はリードフレーム16とワイヤ24との接続部のみならず、凹部底面の外周であってリードフレーム16が露出されている領域に設けても良いし、一対のリード電極の間の樹脂部材22の上を覆うように設けてもよい。
【0051】
その他の点については第1実施形態と概ね同様であり、本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0052】
<第5実施形態>
次に、第5実施形態について説明する。
図8は、本発明の実施形態に係る発光装置500の模式的断面図である。本実施形態では、樹脂部材22は凹状ではなく、リードフレーム16の上面を露出するように、例えばトランスファー成形により、平板状に成形されている。白色レジスト20はリードフレーム16上に配置されており、発光素子10を被覆するようにレンズ状の封止部材26により被覆されている。レンズ状の封止部材26は、例えばトランスファー形成、圧縮成形、ポッティングなどの方法で形成することができる。
【0053】
本実施形態においても、封止部材26に波長変換部材が含有されていても良いが、レンズ状部分に波長変換部材が分散されていると発光素子からの光が拡散されてしまうため、波長変換部材は発光素子10の近傍にのみ設けられることが好ましい。例えば、スプレーコーティングやポッティングなどの方法で発光素子10の表面を被覆するように、発光素子近傍に設けられる。
【0054】
その他の点については第1実施形態と概ね同様であり、本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。