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特許6221437バラスト水の処理システムおよびバラスト水の処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6221437
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】バラスト水の処理システムおよびバラスト水の処理方法
(51)【国際特許分類】
   B63B 13/00 20060101AFI20171023BHJP
   C02F 1/70 20060101ALI20171023BHJP
   C02F 1/50 20060101ALI20171023BHJP
   C02F 1/28 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
   B63B13/00 Z
   C02F1/70 Z
   C02F1/50 510A
   C02F1/50 520F
   C02F1/50 531R
   C02F1/50 531P
   C02F1/50 531K
   C02F1/50 531Q
   C02F1/50 531M
   C02F1/50 540A
   C02F1/50 540B
   C02F1/50 550C
   C02F1/50 550H
   C02F1/28 A
   C02F1/50 532H
   C02F1/50 532C
   C02F1/50 532D
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-144659(P2013-144659)
(22)【出願日】2013年7月10日
(65)【公開番号】特開2015-16761(P2015-16761A)
(43)【公開日】2015年1月29日
【審査請求日】2016年6月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】脇田 正明
【審査官】 常盤 務
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2005/077833(WO,A1)
【文献】 特開2011−173058(JP,A)
【文献】 特開2011−207441(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/003723(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0113257(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 13/00
C02F 1/70
C02F 1/50
C02F 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取排水部とバラストタンクとを接続し、主流路を形成するメインラインと、
前記メインラインに並列かつ切替可能に連結され、前記メインラインとともに前記バラストタンクに注水されたバラスト水を循環させる循環流路を形成する循環ラインと、
前記主流路に設けられ、活性物質を利用してバラスト水の殺菌処理を行う塩素処理手段と、
前記循環流路に設けられ、バラスト水中の前記活性物質を除去する活性物質除去手段とを備え
バラスト水の注水時には流路を前記主流路に切り替えるとともに前記塩素処理手段を駆動させ、
バラスト水の排出時には流路を前記循環流路に切り替えるとともに前記活性物質除去手段を駆動させることを特徴とするバラスト水の処理システム。
【請求項2】
前記活性物質除去手段が、前記活性物質を中和処理する中和処理手段、前記活性物質を分解処理する分解処理手段、又は前記活性物質を吸着処理する吸着処理手段であることを特徴とする請求項1に記載のバラスト水の処理システム。
【請求項3】
前記活性物質が塩素であることを特徴とする請求項1又は2に記載のバラスト水の処理システム。
【請求項4】
取排水部とバラストタンクとを接続するメインラインにより形成される主流路にバラスト水を注水する工程と、
前記メインラインに並列かつ切替可能に連結する循環ラインと前記メインラインとで形成される循環流路に前記バラストタンクに注水されたバラスト水を循環させる工程と、
前記主流路に設けられる塩素処理手段によって活性物質を利用してバラスト水の殺菌処理を行う工程と、
前記循環流路に設けられる活性物質除去手段によってバラスト水中の前記活性物質を除去する工程とを備え、
バラスト水の注水時には流路を前記主流路に切り替えるとともに前記塩素処理手段を駆動させ、
バラスト水の排出時には流路を前記循環流路に切り替えるとともに前記活性物質除去手段を駆動させることを特徴とするバラスト水の処理方法。
【請求項5】
前記活性物質を中和処理、分解処理又は吸着処理によって除去することを特徴とする請求項4に記載のバラスト水の処理方法。
【請求項6】
前記活性物質が塩素であることを特徴とする請求項4又は5に記載のバラスト水の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バラスト水中の活性物質をバラスト水排水前に除去するバラスト水の処理システムおよびバラスト水の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に船舶、特に貨物船は、積載貨物などの重量を含めて設計されているため、空荷または積荷が少ない状態の船舶は、プロペラ没水深度の確保、空荷時における安全航行の確保等の必要性から、出港前に港において海水を取水して船舶のバランスを取るが、このバラストとして用いられる水のことをバラスト水とよぶ。このバラスト水は、無積載で出港するとき、その出港地で港の海水などをバラストタンクに積み込む一方、逆に港内で積荷をするときには、バラスト水の排水を行う。
【0003】
ところで、環境の異なる荷積み港と荷下し港との間を往復する船舶によってバラスト水の注排水が行われると、荷積み港と荷下し港におけるバラスト水に含まれる微生物の差異により沿岸生態系に悪影響を及ぼすことが懸念されている。そこで、船舶のバラスト水管理に関する国際会議において2004年2月に船舶のバラスト水及び沈殿物の規制及び管理のための国際条約(バラスト水管理条約)が採択され、バラスト水の処理が義務付けられることとなった。
【0004】
バラスト水の処理基準として国際海事機構(IMO)が定める基準(D−2基準)は、船舶から排出されるバラスト水に含まれる50μm以上の生物(主に動物プランクトン)の数が1m中に10個未満、10μm以上50μm未満の生物(主に植物プランクトン)の数が1ml中に10個未満、コレラ菌の数が100ml中に1cfu未満、大腸菌の数が100ml中に250cfu未満、腸球菌の数が100ml中に100cfu未満となっている。
【0005】
また、バラスト水管理条約では、塩素や塩素系の殺菌剤、過酸化水素、オゾン等の活性物質をバラスト水処理に用いる場合、バラスト水排水時の活性物質濃度にも基準が設けられている。このようなバラスト水の処理基準を満たすために、バラスト水処理システムとして、塩素系の殺菌剤、過酸化水素、オゾン等の活性物質(殺菌剤)の貯蔵装置もしくはこれらの船上生成装置と、これら活性物質のバラスト水への添加装置と、バラスト水の排出時にバラスト水に残存する活性物質を除去するための手段としての活性物質除去手段とを組み合わせたシステムが採用されることが多い。例えば、特許文献1には、バラスト水に次亜塩素酸ナトリウムや次亜塩素酸カルシウムなどの塩素系の殺菌剤を添加して、滞留時間を確保することにより微生物等を殺菌するともに、亜硫酸ナトリウムやチオ硫酸ナトリウム等の塩素還元剤を添加するバラスト水の処理システムが開示されている。
【0006】
このようなバラスト水の処理システムにおいては、微生物等が再び増殖してしまわないように、航海中はバラストタンク内に適切な濃度で活性物質を残存させる必要がある。その一方で荷積み港でのバラスト水排水前には、前述のようにバラスト水中の活性物質を除去することが必要となるため、従来は、バラスト水の排水流路においてバラスト水から活性物質を除去することが多かった。例えば、特許文献2には、電解水生成装置により海水の一部を電気分解して次亜塩素酸を含む電解水を生成し、バラスト水に注入することにより微生物等を殺菌するともに、残留塩素除去のためにバラスト水の排水流路に中和剤を投入する中和剤投入装置を備えたバラスト水処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−297610号公報
【特許文献2】特開2011−173058号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、船舶によっては、グラビティ排水やエダクタ排水のように、バラスト水注排水用の配管を介さずに排水するバラスト水排水機構を備えたものがある。例えば、グラビティ排水では、バラスト水の一部はバラスト水配管を介して排出されるものの、残りのバラスト水は、船体に設けられた排出口から水圧を利用して直接船外へと排出される。従来のバラスト水処理装置においては、中和剤はバラスト水配管においてバラスト水へと投入されるため、上述のようにバラスト水配管を介さずに排水する場合には必要な中和処理が事実上実施できないという問題がある。また、バラスト水量は船舶によっては数万トンにも及ぶため、バラストタンクへ直接中和剤を投入しても、バラスト水全体に反応を及ぼして残留塩素を除去することは事実上できないという問題がある。
【0009】
本発明は、かかる課題を解決して、バラスト水配管を介さずにバラスト水を排水するバラスト水排水機構を有する船舶にも適用可能な、バラスト水中の活性物質をバラスト水排水前に除去するバラスト水の処理システムおよびバラスト水の処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、第一に本発明は、活性物質を利用してバラスト水の殺菌処理を行うバラスト水の処理システムであって、バラストタンクに注水されたバラスト水を循環させる循環流路と、前記循環流路を循環するバラスト水中の前記活性物質を除去する活性物質除去手段とを備えることを特徴とするバラスト水の処理システムを提供する(発明1)。
【0011】
上記発明(発明1)によれば、循環流路を用いてバラスト水を循環させながらバラスト水中の活性物質を除去することができるため、バラスト水配管を介さずにバラスト水を排水するバラスト水排水機構を有する船舶であっても、バラスト水排水時の活性物質濃度の基準を満たすようにバラスト水中の活性物質を除去したバラスト水を、当該バラスト水排水機構から直接船外へと排出することができる。
【0012】
上記発明(発明1)においては、前記活性物質除去手段が、前記活性物質を中和処理する中和処理手段、前記活性物質を分解処理する分解処理手段、又は前記活性物質を吸着処理する吸着処理手段であることが好ましい(発明2)。
【0013】
上記発明(発明1,2)においては、前記活性物質が塩素であることが好ましい(発明3)。
【0014】
第二に本発明は、活性物質を利用してバラスト水の殺菌処理を行うバラスト水の処理方法であって、バラストタンクに注水されたバラスト水を循環させながらバラスト水中の前記活性物質を除去することを特徴とするバラスト水の処理方法を提供する(発明4)。
【0015】
上記発明(発明4)によれば、バラスト水を循環させながらバラスト水中の活性物質を除去することができるため、バラスト水配管を介さずにバラスト水を排水するバラスト水排水機構を有する船舶であっても、バラスト水排水時の活性物質濃度の基準を満たすようにバラスト水中の活性物質を除去したバラスト水を、当該バラスト水排水機構から直接船外へと排出することができる(発明4)。
【0016】
上記発明(発明4)においては、前記活性物質を中和処理、分解処理又は吸着処理によって除去することが好ましい(発明5)。
【0017】
上記発明(発明4,5)においては、前記活性物質が塩素であることが好ましい(発明6)。
【発明の効果】
【0018】
本発明のバラスト水の処理システム及びバラスト水の処理方法によれば、バラスト水を循環させながらバラスト水中の活性物質を除去することができるため、バラスト水配管を介さずにバラスト水を排水するバラスト水排水機構を有する船舶であっても、バラスト水排水時の活性物質濃度の基準を満たすようにバラスト水中の活性物質を除去したバラスト水を、当該バラスト水排水機構から直接船外へと排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1の実施形態に係るバラスト水の処理システムを概略的に示すフロー図である。
図2】本発明の第2の実施形態に係るバラスト水の処理システムを概略的に示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1の実施形態]
以下、図1を参照して本発明の第1の実施形態のバラスト水の処理システムについて説明する。
【0021】
図1において、船舶バラスト水処理システム100は、荷下し港においてはバラスト水としての原水を取水するとともに、荷積み港においてはバラスト水を排水するための取排水部1と、この取排水部1に接続したバラスト水を送給するメインライン2と、このメインライン2の末端に設けられたバラストタンク3とを備え、メインライン2の途中には送水手段としてのバラストポンプ(図示しない)が設けられている。
【0022】
また、メインライン2の途中のバラストタンク3寄りの位置において、活性物質である殺菌剤を供給する殺菌剤供給装置4が殺菌剤供給ライン4aを介して接続されている。さらに、メインライン2の途中の取排水部1寄りの位置において、バラスト水中の活性物質を中和する中和剤を供給する中和剤供給装置5が中和剤供給ライン5aを介して接続されている。加えて、バラストタンク3からメインライン2の途中の取排水部1と中和剤供給装置5の間の位置へと接続された循環ライン6が設けられている。
【0023】
メインライン2の取排水部1との接続部近傍には開閉弁7が設けられている。開閉弁7の設けられている位置は循環ライン6がメインライン2に接続する位置よりも取排水部1寄りとなっている。また、循環ライン6のバラストタンク3との接続部近傍には循環ライン入口弁8が、循環ライン6のメインライン2との接続部近傍には循環ライン出口弁9が設けられている。
【0024】
次に、図1に示された船舶バラスト水処理システム100を用いて、バラスト水の積込み時に細菌類やプランクトンの殺滅処理を行うとともに、バラスト水の排水時に活性物質の除去処理を行うバラスト水の処理方法について以下説明する。
【0025】
まず、出港の際の原水(バラスト水)の注水時には、取排水部1を開放し、開閉弁7を開成した状態でバラストポンプを駆動することにより、バラスト水を取排水部1からメインライン2を通過してバラストタンク3に注入する。このとき、殺菌剤供給装置4から殺菌剤溶液を供給してメインライン2に合流させる。このようにしてバラストタンク3に殺菌剤溶液を供給することにより、殺菌剤から発生する有効塩素によりバラスト水中のプランクトンや細菌類を死滅させることができる。
【0026】
上記殺菌剤としては、オゾン、ハロゲン系化合物、過酸化水素などの過酸化物及び過酢酸などを用いることができ、これらの中では、ハロゲン系化合物が好ましい。ハロゲン系化合物としては、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウムなどの次亜塩素酸塩、ジクロロイソシアヌル酸、トリクロロイソシアヌル酸などのイソシアヌル酸、二酸化塩素などを用いることができる。特に次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム及びジクロロイソシアヌル酸を用いるのが好ましい。
【0027】
次に、着港又は寄港の際のバラスト水の排出時について説明する。バラスト水をバラストタンク3から排出する際には、まず開閉弁7を閉鎖し、循環ライン入口弁8及び循環ライン出口弁9を開成した状態でバラストポンプを駆動する。これにより、バラストタンク3内のバラスト水が循環ライン6からメインライン2を経てバラストタンク3へと循環する循環流路がシステム内に形成される。このようにバラスト水が循環している状態で、バラスト水中の残留塩素濃度に応じて中和剤供給装置5からメインライン2に中和剤を供給することにより、バラスト水を環境に安全な状態で排水できるレベルにまでバラスト水中の残留塩素濃度を低減することができる。
【0028】
上記中和剤は活性物質に応じて適宜選択されればよく、例えば活性物質が塩素の場合は、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム(亜硫酸水素ナトリウム)、チオ硫酸ナトリウムなどを用いることができる。特に亜硫酸ナトリウムを用いるのが好ましい。
【0029】
バラスト水を排水できるレベルにまでバラスト水中の残留塩素濃度を低減した後、取排水部1を開放し、開閉弁7を開成した状態でバラストポンプを駆動することにより、バラストタンク3内のバラスト水がメインライン2を経て取排水部1から排出される。また、グラビティ排水やエダクタ排水のように、メインライン2を介さずに排水するバラスト水排水機構を備えている場合であっても、既にバラスト水中の残留塩素濃度はバラスト水を環境に安全な状態で排水できるレベルにまで低減されているため、メインライン2を経ずにバラスト水を当該バラスト水排水機構から直接船外へと排出しても問題がない。
【0030】
[第2の実施形態]
次に、図2を参照して本発明の第2の実施形態のバラスト水の処理システムについて説明する。なお、図2において、第1の実施形態と同じ構成要素については同じ符号を用いて記載している。
【0031】
図2に示すように、本発明の第2の実施形態のバラスト水の処理システム200は、第1の実施形態のバラスト水の処理システム100における殺菌剤供給装置4及び殺菌剤供給ライン4aの代わりにメインライン2の途中に電気分解装置10が設けられていることと、第1の実施形態のバラスト水の処理システム100における中和剤供給装置5及び中和剤供給ライン5aの代わりに循環ライン6の途中に吸着材としての活性炭を充填した吸着塔11が設けられていることとを除けば、第1の実施形態のバラスト水の処理システム100と同じ構成要素から構成されている。
【0032】
図2に示された船舶バラスト水処理システム200を用いて、バラスト水の積込み時に細菌類やプランクトンの殺滅処理を行うとともに、バラスト水の排水時に活性物質の除去処理を行うバラスト水の処理方法について以下説明する。
【0033】
まず、出港の際の原水(バラスト水)の注水時には、取排水部1を開放し、開閉弁7を開成した状態でバラストポンプを駆動することにより、バラスト水を取排水部1からメインライン2を通過してバラストタンク3に注入する。このとき、メインライン2の途中の電気分解装置10により海水であるバラスト水を部電気分解して電解塩素を発生させる。このようにして発生させた電解塩素によりバラスト水中のプランクトンや細菌類を死滅させることができる。
【0034】
次に、着港又は寄港の際のバラスト水の排出時について説明する。バラスト水をバラストタンク3から排出する際には、まず開閉弁7を閉鎖し、循環ライン入口弁8及び循環ライン出口弁9を開成した状態でバラストポンプを駆動する。これにより、バラストタンク3内のバラスト水が循環ライン6からメインライン2を経てバラストタンク3へと循環する循環流路がシステム内に形成される。この循環ライン6の途中には活性炭が充填された吸着塔11が設けられていおり、バラスト水中の残留塩素は活性炭に吸着されるため、バラスト水を循環させることによってバラスト水を環境に安全な状態で排水できるレベルにまでバラスト水中の残留塩素濃度を低減することができる。
【0035】
バラスト水を排水できるレベルにまでバラスト水中の残留塩素濃度を低減した後、取排水部1を開放し、開閉弁7を開成した状態でバラストポンプを駆動することにより、バラストタンク3内のバラスト水がメインライン2を経て取排水部1から排出される。また、グラビティ排水やエダクタ排水のように、メインライン2を介さずに排水するバラスト水排水機構を備えている場合であっても、既にバラスト水中の残留塩素濃度はバラスト水を環境に安全な状態で排水できるレベルにまで低減されているため、メインライン2を経ずにバラスト水を当該バラスト水排水機構から直接船外へと排出しても問題がない。
【0036】
以上、本発明について添付図面を参照して説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変形実施が可能である。例えば、活性物質を除去する手段は、中和剤供給装置5のような中和処理手段や吸着塔11のような吸着処理手段に限られるものではなく、例えば触媒を用いて残留塩素を分解する触媒分解装置のような分解処理手段を循環ライン6の途中に設けてもよい。
【0037】
また、上記実施形態においては、バラスト水の注水時にも排水時にもメインライン2をバラスト水の送給ラインとして兼用しているが、注水用配管と排水用配管とを別々に設けていてもよい。
【0038】
中和剤や吸着材、触媒は上記実施形態で述べたものに限定されず、除去対象の活性物質に応じて適当なものが選択されればよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明のバラスト水の処理システム及び処理方法は、バラスト水配管を介さずにバラスト水を排水するバラスト水排水機構を有する船舶のバラスト水の処理に好適に使用できる。
【符号の説明】
【0040】
100,200…バラスト水処理システム
1…取排水部
2…メインライン
3…バラストタンク
4…殺菌剤供給装置
5…中和剤供給装置
6…循環ライン
7…開閉弁
8…循環ライン入口弁
9…循環ライン出口弁
10…電気分解装置
11…吸着塔
図1
図2