特許第6221657号(P6221657)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6221657
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】活性エネルギー線硬化性組成物
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/44 20060101AFI20171023BHJP
   C09D 7/12 20060101ALI20171023BHJP
   C09D 133/08 20060101ALI20171023BHJP
   C09D 133/10 20060101ALI20171023BHJP
   C09D 133/00 20060101ALI20171023BHJP
   C09D 133/26 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
   C08F2/44 C
   C08F2/44 B
   C09D7/12
   C09D133/08
   C09D133/10
   C09D133/00
   C09D133/26
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-232769(P2013-232769)
(22)【出願日】2013年11月11日
(65)【公開番号】特開2015-93893(P2015-93893A)
(43)【公開日】2015年5月18日
【審査請求日】2016年8月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】芝原 秋久
(72)【発明者】
【氏名】八木 政敏
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 寛之
【審査官】 藤代 亮
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−131653(JP,A)
【文献】 特開2011−168753(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/163100(WO,A1)
【文献】 特開2011−066370(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0244328(US,A1)
【文献】 特開2002−012635(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
・IPC
C08F 2/44
C09D 7/12
C09D 133/00
C09D 133/08
C09D 133/10
C09D 133/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)1個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物、
(B)エチレン性不飽和化合物の単体を単独重合して又はその混合物を共重合して得られる(共)重合体、
(C)シランカップリング剤、及び
(D)光重合開始剤
を含む活性エネルギー線硬化性組成物であって、
前記(A)が、
(A−1)1又は2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートと、
(A−2)3個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートとを含み、
前記(A−1)と前記(A−2)との合計100質量%に対し、前記(A−1)を1〜15質量%、前記(A−2)を85〜99質量%含み、
前記(C)が、(C−1)アミノ基含有シランカップリング剤を含む活性エネルギー線硬化性組成物。
【請求項2】
前記(C)が、
(C−2)前記(C−1)以外のシランカップリング剤を含み、
前記(A)、(B)及び(C)の合計100質量%に対し、
前記(A)を30〜94.8質量%、
前記(B)を5〜50質量%、
前記(C−1)を0.1〜10質量%、
前記(C−2)を0.1〜10質量%含み、
前記(A)、(B)及び(C)の合計100質量部に対し、前記(D)を0.1〜10質量部含む請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
【請求項3】
前記(C−2)が、前記(C−1)以外のエポキシ基含有シランカップリング剤である請求項2に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
【請求項4】
前記(B)のエチレン性不飽和化合物が、(メタ)アクリルアミド化合物及び脂環骨格含有(メタ)アクリレートの少なくとも一方を含む請求項1からのいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
【請求項5】
ガラス基材上に、請求項1からのいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化膜を備える積層体。
【請求項6】
請求項に記載の積層体を備える携帯電話用前面板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性エネルギー線硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン等の携帯電話の表示窓には、透明性、表面硬度及び寸法安定性が優れる観点からガラスが用いられている。この表示窓には、指紋を拭取りやすくする又は目立たなくする、反射や映り込みを抑えて画面を見やすくする、他人が横方向から覗き見ることを防止する、ガラスでは耐えられないような傷を防止する目的で、保護シートを貼り付けて使用される場合がある。しかし、保護シートは埃や気泡が入るため貼り付けが難しい。また保護シートは、ガラスに比べて傷がつきやすいため、傷がついた場合に貼り換えが必要になる。このような理由から、ガラスに保護シートを貼り付けする方法に代えて、ハードコート処理を施す方法が提案されている。
【0003】
特許文献1には、金属、プラスチック、ガラス基材に対して良好な密着性を有するハードコート膜を与える組成物として、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基及びイソシアネート基から選ばれる官能基を有するアクリル樹脂、アクリル樹脂の官能基と反応性を有する官能基を有するアルコキシシラン化合物、紫外線硬化性化合物、並びに光重合開始剤からなる活性エネルギー線硬化性組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−252078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、携帯電話のガラス表示窓の硬化膜にはガラス基材に対して高い密着性が要求されている。特にスマートフォンのガラス表示窓の硬化膜は、100℃、3時間以上の耐温水試験後においても基材に密着していることが要求されている。しかし、特許文献1に記載の技術では、このような高いレベルでの密着性を発現することはできない。
【0006】
本発明の目的は、従来よりガラス基材に対する密着性が高い硬化膜を与えることができる活性エネルギー線硬化性組成物を提供することである。さらに、100℃、3時間以上の耐温水試験後においてもガラス基材に密着している硬化膜を与えることができる活性エネルギー線硬化性組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は以下の[1]〜[]である。
【0008】
[1](A)1個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物、
(B)エチレン性不飽和化合物の単体を単独重合して又はその混合物を共重合して得られる(共)重合体、
(C)シランカップリング剤、及び
(D)光重合開始剤
を含む活性エネルギー線硬化性組成物であって、
前記(A)が、
(A−1)1又は2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートと、
(A−2)3個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートとを含み、
前記(A−1)と前記(A−2)との合計100質量%に対し、前記(A−1)を1〜15質量%、前記(A−2)を85〜99質量%含み、
前記(C)が、(C−1)アミノ基含有シランカップリング剤を含む活性エネルギー線硬化性組成物。
【0009】
[2]前記(C)が、
(C−2)前記(C−1)以外のシランカップリング剤を含み、
前記(A)、(B)及び(C)の合計100質量%に対し、
前記(A)を30〜94.8質量%、
前記(B)を5〜50質量%、
前記(C−1)を0.1〜10質量%、
前記(C−2)を0.1〜10質量%含み、
前記(A)、(B)及び(C)の合計100質量部に対し、前記(D)を0.1〜10質量部含む[1]に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
【0010】
[3]前記(C−2)が、前記(C−1)以外のエポキシ基含有シランカップリング剤である[2]に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
【0012】
]前記(B)のエチレン性不飽和化合物が、(メタ)アクリルアミド化合物及び脂環骨格含有(メタ)アクリレートの少なくとも一方を含む[1]から[]のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
【0013】
]ガラス基材上に、[1]から[]のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化膜を備える積層体。
【0014】
][]に記載の積層体を備える携帯電話用前面板。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ガラス基材に対する密着性が高い硬化膜を与えることができる活性エネルギー線硬化性組成物を提供できる。さらに、100℃、3時間以上の耐温水試験後においてもガラス基材に密着している硬化膜を与えることができる活性エネルギー線硬化性組成物を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、前記(A)、(B)、(C−1)及び(D)を含むことにより、従来の活性エネルギー線硬化性組成物を用いて硬化膜を作製した場合には密着性が低いガラス基材に対し、密着性の高い硬化膜を与えることができる。特に、前記(C−2)をさらに含む本発明に係る活性エネルギー線硬化性組成物の硬化膜は、100℃、3時間以上の耐温水試験後においてもガラス基材に密着している。以下、本発明の詳細を説明する。
【0017】
なお、本明細書において、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイルとメタクリロイルの総称、「(メタ)アクリル」とは、アクリルとメタクリルの総称、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートとメタクリレートの総称である。
【0018】
<(A)1個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物>
本発明に係る活性エネルギー線硬化性組成物は、活性エネルギー線の照射により良好な重合反応性を示し、外観が優れ、硬度が高い硬化膜を形成できる観点から、(A)1個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(以下、適宜「(A)成分」と示す)を含む。
【0019】
(A)成分は1個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有していれば特に限定されないが、硬度とガラス基材との密着性のバランスの観点から、(A−1)1又は2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレート(以下、適宜「(A−1)成分」と示す)と、(A−2)3個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレート(以下、適宜「(A−2)成分」と示す)とを含むことが好ましい。
【0020】
(A−1)成分としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−ブテン−1,4−ジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールジ(メタ)アクリレート、水素化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス−(4−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−(メタ)アクリロイルオキシ(2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)プロパン、ビス−(2−メタアクリロイルオキシエチル)フタレート等が挙げられる。
【0021】
さらに、(A−1)成分としては、ビスフェノールA型ジエポキシと(メタ)アクリル酸とを反応させたエポキシジ(メタ)アクリレート等のエポキシジ(メタ)アクリレート;イソホロンジイソシアネートと2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートとを反応させたウレタンジ(メタ)アクリレート、ジシクロメタンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとを反応させたウレタンジ(メタ)アクリレート、ジシクロメタンジイソシアネートとポリ(n=6〜15)テトラメチレングリコールとのウレタン化反応物に2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを反応させたウレタンジ(メタ)アクリレート等のウレタンジ(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールとコハク酸及び(メタ)アクリル酸とを反応させたポリエステルジ(メタ)アクリレート等のポリエステルジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。これらの中でも、(A−1)成分としては、希釈性の観点からテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0022】
(A−2)成分としては、例えば、トリス(2−アクリルオキシエチル)(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0023】
さらに、(A−2)成分としては、イソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートとを反応させたウレタンヘキサ(メタ)アクリレート等のウレタンポリ(メタ)アクリレート;トリメチロールエタンとコハク酸及び(メタ)アクリル酸とを反応させたポリエステル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンとコハク酸、エチレングリコール及び(メタ)アクリル酸とを反応させたポリエステル(メタ)アクリレート等のポリエステルポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。これらの中でも、(A−2)成分としては、硬化膜の硬度の観点から、トリス(2−アクリルオキシエチル)イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが好ましい。
【0024】
活性エネルギー線硬化性組成物中の(A)成分の含有量は、(A)成分、(B)エチレン性不飽和化合物の単体を単独重合して又はその混合物を共重合して得られる(共)重合体(以下、適宜「(B)成分」と示す)、(C)シランカップリング剤(以下、適宜「(C)成分」と示す)の合計100質量%に対して、30〜94.8質量%が好ましい。(A)成分の含有量が30質量%以上の場合、硬化膜の硬度が向上する。また、(A)成分の含有量が94.8質量%以下の場合、硬化膜とガラス基材との密着性が向上する。硬化膜の硬度と、硬化膜とガラス基材との密着性とのバランスの観点から、(A)成分の含有量は50〜85質量%がより好ましく、60〜80質量%がさらに好ましい。
【0025】
(A)成分が(A−1)成分と(A−2)成分とを含む場合、(A−1)成分及び(A−2)成分の含有量は、(A−1)成分と(A−2)成分との合計100質量%に対し、(A−1)成分が1〜20質量%、(A−2)成分が80〜99質量%であることが好ましい。(A−1)成分の含有量が1質量%以上である場合、粘度が低くなるので塗布し易くなる。(A−1)成分の含有量が20質量%以下である場合、硬化膜の硬度が向上する。また、(A−2)成分の含有量が80質量%以上である場合、硬化膜の硬度が向上する。(A−2)成分の含有量が99質量%以下である場合、硬化膜とガラス基材との密着性が向上する。(A−1)成分及び(A−2)成分の含有量は、硬化膜の硬度と、硬化膜とガラス基材との密着性とのバランスの観点から、(A−1)成分が5〜15質量%、(A−2)成分が85〜95質量%であることがより好ましく、(A−1)成分が7〜12質量%、(A−2)成分が88〜93質量%であることがさらに好ましい。
【0026】
<(B)エチレン性不飽和化合物の単体を単独重合して又はその混合物を共重合して得られる(共)重合体>
本発明に係る活性エネルギー線硬化性組成物は、(B)エチレン性不飽和化合物の単体を単独重合して又はその混合物を共重合して得られる(共)重合体を含む。(B)成分は、硬化収縮を低減することができるので、硬化膜とガラス基材との密着性を向上させることができる。該(共)重合体は、例えば、ラジカル重合開始剤の存在下、溶液重合法、塊状重合法、乳化重合法等の方法により(共)重合して得ることができる。なお、「(共)重合」とは「単独重合」と「共重合」との総称である。(B)成分は、硬化膜の硬化収縮が抑制され、基材密着性が向上する観点から、(メタ)アクリロイル基を含有しないことが好ましい。
【0027】
前記エチレン性不飽和化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、2−ジシクロペンテノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとエチレンオキシドの付加物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとプロピレンオキシドの付加物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとε−カプロラクトンの付加物等の2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと有機ラクトン類の付加物等の水酸基含有ビニルモノマー;スチレン、α−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン又はスチレン誘導体;N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−(メトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(エトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(n−プロピオキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(イソプロピオキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(n−ブトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(イソブトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(t−ブトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(ベンジロキシメチル)(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド化合物;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸類;(メタ)アクリロニトリル等の重合性不飽和ニトリル類;マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジブチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチル等の不飽和カルボン酸エステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類等が挙げられる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0028】
前記エチレン性不飽和化合物は、(メタ)アクリルアミド化合物及び脂環骨格含有(メタ)アクリレートの少なくとも一方を含むことが好ましい。(メタ)アクリルアミド化合物は硬化膜とガラス基材との密着性の観点から、脂環骨格含有(メタ)アクリレートは硬化物の硬度の観点から含まれることが好ましい。脂環骨格含有(メタ)アクリレートとしては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。特に、前記エチレン性不飽和化合物は、(B)成分のTgを高くすることよって硬化膜の硬度を高くし、また硬化膜と基材との密着性を高めることができるので、メチルメタクリレート、スチレン、イソボルニルメタクリレート及びN−(n−ブトキシメチル)アクリルアミドを含むことが好ましい。
【0029】
(B)成分の重量平均分子量は、10000〜200000であることが好ましく、10000〜100000であることがより好ましい。(B)成分の重量平均分子量が10000以上である場合、塗膜外観が向上する。また、(B)成分の重量平均分子量が200000以下である場合、硬化性組成物が塗装し易い適度な粘度になる。なお、(B)成分の重量平均分子量は、後述する方法により測定した値である。
【0030】
活性エネルギー線硬化性組成物中の(B)成分の含有量は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量%に対して、5〜50質量%が好ましい。(B)成分の含有量が5質量%以上の場合、硬化膜とガラス基材との密着性が向上する。(B)成分の含有量が50質量%以下の場合、硬化膜の硬度が向上する。(B)成分の含有量は、5〜30質量%がより好ましく、5〜25質量%がさらに好ましい。
【0031】
<(C−1)アミノ基含有シランカップリング剤>
本発明に係る活性エネルギー線硬化性組成物は、ガラス基材との密着性向上の観点から、(C)成分として(C−1)アミノ基含有シランカップリング剤(以下、適宜「(C−1)成分」と示す)を含む。(C−1)成分は、アミノ基とアルコキシシリル基とを同一分子内に含有する化合物である。
【0032】
(C−1)成分としては、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−ジメチルアミノプロピルトリエトキシシラン、γ−ジエチルアミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メチルアミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。これらの中でも、硬化膜とガラス基材との密着性の観点から、(C−1)成分としては、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシランが好ましい。
【0033】
活性エネルギー線硬化性組成物中の(C−1)成分の含有量は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量%に対して、0.1〜10質量%が好ましい。(C−1)成分の含有量が0.1質量%以上の場合、硬化膜とガラス基材との初期密着性および耐温水試験後の密着性が向上する。(C−1)成分の含有量が10質量%以下の場合、硬化膜の硬度が向上する。(C−1)成分の含有量は、0.1〜5質量%がより好ましく、0.1〜3質量%がさらに好ましい。
【0034】
<(C−2)(C−1)以外のシランカップリング剤>
本発明に係る活性エネルギー線硬化性組成物は、(C)成分として(C−1)成分以外に(C−2)(C−1)以外のシランカップリング剤(以下、適宜「(C−2)成分」と示す)を含むことができる。(C−2)成分を(C−1)成分と併用することで、アルコキシシリル基の反応性が向上し、硬化膜とガラス基材との密着性を向上させることができる。(C−2)成分は、ビニル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、エポキシ基など、アミノ基以外の官能基とアルコキシシリル基とを同一分子内に含有する化合物である。
【0035】
(C−2)成分としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシシラン)、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシメチルジエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルジメトキシメチルシラン、γ−イソシアナートプロピルメトキシジメチルシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルジエトキシエチルシラン、γ−イソシアナートプロピルエトキシジエチルシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。これらの中でも、硬化膜とガラス基材との密着性の観点から、(C−2)成分としては、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシランが好ましく、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランがより好ましい。
【0036】
また、(C−2)成分は、(C−1)成分以外のエポキシ基含有シランカップリング剤であることが、ガラス基材との密着性向上の観点から好ましい。(C−1)成分以外のエポキシ基含有シランカップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシメチルジエトキシシラン等が挙げられる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0037】
活性エネルギー線硬化性組成物中の(C−2)成分の含有量は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量%に対して、0.1〜10質量%が好ましい。(C−2)成分の含有量が0.1質量%以上の場合、硬化膜とガラス基材との密着性及び耐温水試験後の密着性が向上する。(C−2)成分の含有量が10質量%以下の場合、硬化膜の硬度が向上する。(C−2)成分の含有量は、0.1〜5質量%がより好ましく、0.1〜3質量%がさらに好ましい。
【0038】
<(D)光重合開始剤>
本発明に係る活性エネルギー線硬化性組成物は、活性エネルギー線硬化法により効率よく硬化膜を得る観点から、(D)光重合開始剤(以下、適宜「(D)成分」と示す)を含む。
【0039】
(D)成分としては、例えば、ベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチルオルトベンゾイルベンゾエイト、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、メチルベンゾイルホルメート、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−4−モルホリノブチロフェノン、2−(ジメチルアミノ)−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン等が挙げられる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。これらの中でも、硬化膜の硬度と硬化膜のガラス基材への密着性とのバランスの観点から、(D)成分としては、ベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノンが好ましい。
【0040】
活性エネルギー線硬化性組成物中の(D)成分の含有量は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましい。(D)成分の含有量が0.1質量部以上の場合、硬化性組成物の硬化性及び硬化膜の硬度が向上する。また、(D)成分は高価であるため、経済的な観点から(D)成分の含有量は10質量部以下であることが好ましい。(D)成分の含有量は、0.1〜5質量部がより好ましく、0.1〜3質量部がさらに好ましい。
【0041】
本発明に係る組成物は、さらに、レベリング剤、消泡剤、沈降防止剤、潤滑剤、研磨剤、防錆剤、帯電防止剤等の添加剤を含んでもよい。
【0042】
<本発明の組成物の製造方法>
本発明に係る活性エネルギー線硬化性組成物は、公知の方法を用いて、各成分を均一に混合することによって製造することができる。
【0043】
<本発明の積層体の製造方法>
本発明の積層体は、ガラス基材上に、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化膜を備えたものである。本発明の組成物は、ガラス基材上にハードコート層である硬化膜を形成するのに好適に用いることができる。本発明の積層体は、例えば、本発明の組成物をガラス基材の表面上に塗布し、活性エネルギー線を照射することにより塗膜を硬化して、硬化膜を形成することで作製することができる。硬化膜の厚さは、3〜40μmが好ましい。
【0044】
活性エネルギー線硬化性組成物の塗布方法としては、例えば、ハケ塗り、スプレーコート、ディップコート、スピンコート、フローコート等が挙げられる。特に、塗布し易さ、塗膜の平滑性及び均一性の観点から、塗布方法はスプレーコート又はフローコートが好ましい。
【0045】
本発明に係る組成物を所望の粘度に調整する観点から、ガラス基材上に塗布する前に本発明の組成物を有機溶剤で希釈することが好ましい。該有機溶剤としては、例えば、エタノール、イソプロパノール、ノルマルブタノール等のアルコール系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、酢酸メトキシエチル等のエステル系溶剤;ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジオキサン等のエーテル系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;ペンタン、ヘキサン等の脂肪族系溶剤が挙げられる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0046】
活性エネルギー線硬化性組成物に有機溶剤を配合して塗布した場合には、塗膜を硬化させる前に塗膜に含まれる有機溶剤を除去することが好ましい。有機溶剤の除去は、例えばIRヒーターや温風で塗膜を加温して有機溶剤を揮発させることにより行うことができる。加温条件は特に限定されないが、例えば40〜100℃で5〜20分加温することができる。
【0047】
活性エネルギー線としては、紫外線、電子線等が挙げられる。例えば高圧水銀灯を用いて活性エネルギー線を照射する場合には、照射する活性エネルギー線のエネルギー量は500〜4000mJ/cm2が好ましい。
【0048】
<本発明の携帯電話用前面板>
本発明の携帯電話用前面板は、本発明の積層体を備える。該積層体は本発明の組成物の硬化膜を備え、該硬化膜はガラス基材との密着性が高いため、該硬化膜が剥離しやすい環境においても、該携帯電話用前面板の表面は該硬化膜により十分に保護される。
【実施例】
【0049】
以下、実施例によって本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、(B)成分の重量平均分子量の測定方法、及びガラス基材上に硬化膜を形成した試料に関する評価方法は以下の通りである。
【0050】
(1)(B)成分の重量平均分子量
(B)成分の重量平均分子量は、以下の方法により測定した。テトラヒドロフランにより(B)成分の濃度が0.4質量%になるように調整した。カラム(商品名:GE4000HXL及びG2000HXL、東ソー(株)製)が装着されたゲルパーミェーションクロマトグラフィ(GPC)装置(東ソー(株)製)に前記溶液を100μl注入した。流量:1ml/分(溶離液テトラヒドロフラン)、カラム温度:40℃の条件にて、ゲルパーミエーションクロマトグラム法により、ポリスチレンを基準として(B)成分の重量平均分子量を測定した。
【0051】
(2)硬化膜の初期の外観
試料の硬化膜の外観を、以下の基準で目視により評価した。
「〇」:表面が平滑であり、塗膜の欠陥が見られない。
「△」:表面に凹凸が少しある、または塗膜の一部に欠陥が見られる。
「×」:表面に凹凸が多くある、または塗膜全体に欠陥が見られる。
【0052】
(3)硬化膜の初期の密着性
試料の硬化膜にカッターナイフを用いて1mm間隔で基材まで達するカットを入れ、1mmの碁盤目を100個作った。該碁盤目の上にセロハンテープを貼りつけ急激にはがし、剥離した碁盤目の数を数えて、以下の基準で評価した。
「◎」:剥離した碁盤目が無い。
「〇」:碁盤目カットの切り溝に沿ってやや欠けるが剥離が無い。
「△」:剥離した碁盤目の数が1〜50個である。
「×」:剥離した碁盤目の数が51〜100個である。
【0053】
(4)鉛筆硬度
JIS K5600−5−4に準拠して、試料の硬化膜に対し三菱鉛筆ユニを用いて45度の角度で引っ掻き、傷のつかない最大硬度を鉛筆硬度とした。評価は以下の基準で行った。
「○」:鉛筆硬度が2H以上である。
「×」:鉛筆硬度がH以下である。
【0054】
(5)耐温水性
試料を100℃の温浴に3時間漬けた。その後、試料を取り出し、前記(2)及び(3)の硬化膜の初期の評価と同様にして、硬化膜の外観及び密着性を評価した。
【0055】
<実施例1>
表1に示す各成分(表中の数値は質量部)を混合し、約30分間、全体が均一になるまで撹拌して液状の活性エネルギー線硬化性組成物を調製した。該組成物を、スプレーからガラス基材の表面までの距離を15cmに保ちながら、硬化膜の膜厚が10μmになるようにスプレー塗装した。その後、塗膜の形成されたガラス基材を60℃で3分間加熱して、塗膜中の有機溶剤を揮発させた。次いで、空気中で、高圧水銀灯を用いて波長340〜380nmの紫外線(積算光量:1000mJ/cm2)を塗膜に照射して、ガラス基材上に硬化膜を形成した積層体の試料を作製した。評価結果を表1に示す。
【0056】
<実施例2〜13、比較例1〜5>
表1及び表2に示す配合比で活性エネルギー線硬化性組成物を調製した以外は、実施例1と同様にしてガラス基材上に硬化膜を形成した積層体の試料を作製した。評価結果を表1及び表2に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
表1及び表2中の略号は、以下の化合物を表す。
「THFA」:テトラヒドロフルフリルアクリレート(商品名:ビスコート#150、大阪有機化学工業(株)製)
「THEICHA」:トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート(商品名:NKエステルA−9300S、新中村化学工業(株)製)
「TMPTA」:トリメチロールプロパントリアクリレート(商品名:TMP−3A−3、大阪有機化学工業(株)製)
「DPHA」:ジペンタエリスリトールペンタアクリレート/ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート混合体(商品名:KAYARAD DPHA、日本化薬(株)製)
「PA−1」:N−(n−ブトキシメチル)アクリルアミド/メチルメタクリレート/スチレン/イソボルニルメタクリレート(質量比30/20/30/20)からなる共重合体(GPCによる重量平均分子量:2.0×104
「PA−2」:メチルメタクリレート/スチレン/n−ブチルメタクリレート(質量比30/40/30)からなる共重合体(GPCによる重量平均分子量:2.5×104
「PA−3」:メチルメタクリレート/n−ブチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/2−ジメチルアミノエチルメタクリレート(質量比43/51/3/3)からなる共重合体(GPCによる重量平均分子量:1.5×104
「SCA−1」:N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(商品名:Z−6094、東レ・ダウコーニング(株)製)
「SCA−2」:γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−503、信越化学工業(株)製)
「SCA−3」:γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−5103、信越化学工業(株)製)
「SCA−4」:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−403、信越化学工業(株)製)
「SCA−5」:γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン(商品名:A−LINK35、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)
「SCA−6」:キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(商品名:タケネートD−110N、三井武田ケミカル(株)製)とγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−803、信越化学工業(株)製)との反応生成物
「BNP」:ベンゾフェノン(商品名:ベンゾフェノン、大同化成工業(株)製)
「HCPK」:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名:Irg−184、BASFジャパン社製)
「MIBK」:メチルイソブチルケトン。
【0060】
なお、SCA−6は以下の方法により合成した。タケネートD−110N 400質量部、KBM−803 16質量部、及びテトラメチルアンモニウムクロライド1質量部を窒素雰囲気下、60℃で6時間反応させた。これにより、分子末端にイソシアネート基を含有し、アミノ基を含有しないシランカップリング剤であるSCA−6を合成した。