(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記電解槽の槽底に設けられる上記抜取口から上記調整槽に上記電解液を移送させる電解液の循環量が、電解電流1Aあたり0.03L/min/A〜電解電流1Aあたり0.10L/min/Aに制御されることを特徴とする請求項1に記載の水酸化インジウム粉の電解装置。
上記オーバーフロー槽に設けられるオーバーフロー槽用の抜取口から上記調整槽に上記電解液を移送させる量と上記循環量とを合計した電解液の総給液量が、上記循環量に対して110%〜160%に制御されることを特徴とする請求項2に記載の水酸化インジウム粉の電解装置。
上記電解液として0.1mol/L〜2.0mol/Lの硝酸アンモニウム水溶液を使用すると共に、該電解液のpHを2.5〜4.0、液温を20℃〜60℃、且つ電極電流密度を4A/dm2〜20A/dm2の範囲に制御することを特徴とする請求項5に記載の水酸化インジウム粉の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明を適用した具体的な実施の形態(以下、「本実施の形態」という。)について、以下の順序で図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることが可能である。
【0040】
1.水酸化インジウム粉の電解装置
1−1.電解槽
1−2.調整槽
1−3.オーバーフロー槽
1−4.循環手段
2.水酸化インジウム粉の製造方法
2−1.電気分解工程
2−2.電解液分離工程
2−3.リパルプ洗浄工程
2−4.洗浄液脱水工程
2−5.乾燥工程
3.酸化インジウム粉の製造方法
4.スパッタリングターゲットの製造方法
【0041】
[1.水酸化インジウム粉の電解装置]
まず、本実施の形態に係る水酸化インジウム粉の電解装置について説明する。
図1及び
図2に示すように、電解装置1は、電解槽10と、調整槽20と、オーバーフロー槽30と、電解槽10と調整槽20間で電解液11を循環させる循環手段40とを備えている。循環手段40は、調整槽20から供給ポンプ41を介して供給ノズル42により電解液11を供給するための供給流路43と、電解槽10及びオーバーフロー槽30から抜取ポンプ44を介して調整槽20に電解液11を移送させるための抜取流路45とを備えている。
【0042】
電解装置1は、調整槽20内の電解液11が供給ポンプ41の圧力により供給流路43に送液されて供給ノズル42から噴流されることで、電解液11を電解槽10内に供給することができる。電解槽10内へ電解液11が連続して供給された場合には、電解槽10内の電解液11がオーバーフローしてオーバーフロー槽30に貯留され、電解槽10内の電解液11内及びオーバーフロー槽30内の電解液11が抜取ポンプ44の圧力により抜取流路45に移送されて調整槽20へと戻される。電解装置1では、電解液11を電解槽10と調整槽20との間で循環させることが可能となる。
【0043】
<1−1.電解槽>
次に、電解槽10について説明する。
図1及び
図2に示すように、電解槽10は、その槽内に複数のアノード12(陽極)とカソード13(陰極)とが、それぞれ配設されている。アノード12及びカソード13は、電解槽10の槽底14上に垂直にして配置されており、導線15a(例えば2芯VVケーブル、「JIS C 3342」、許容電流200A、公称断面積100mm
2)を用いて繋がれることで、図示しない整流器と結線することができる。また、カソード13は、互いに導線15bで電気的に接続されている。電解槽10の調整槽20側の槽壁16aの上部には、供給流路43を挿通させるために挿通口17が設けられており、
図1及び
図2に示すように、電解槽10のオーバーフロー槽30側に配設された槽壁16bには、電解液11がオーバーフローする際の流路となる排水口18が設けられている。
【0044】
電解槽10の形状は特に限定されず、一般的な直方体、立方体等の方形体等を適用することができ、槽内に配置する電極等の数や大きさ等を考慮して適宜決定される。また、電解槽10の四隅の形状は、水酸化インジウム粉が流動でき局所的な堆積が起こらないように、例えば角を丸くすることが好ましい。
【0045】
電解槽10の材質は、電解液11に溶解せず、かつ電解中の電解液11の液温以上の耐熱性を備えればよく、PVC(polyvinyl chloride)やPP(polypropylene)、ステンレス、チタン等を用いることができる。
【0046】
アノード12には、金属インジウムを用いる。使用する金属インジウムは、特に限定されないが、水酸化インジウム粉及びこれを焼成して得られる酸化インジウム粉への不純物の混入を抑制するため高純度のものが望ましい。金属インジウムとしては、純度99.9999%(通称6N品)が好適品として挙げることができる。
【0047】
アノード12の厚みは、極間距離が電解時間中で著しく変わらない程度にすることが好ましく、その取扱い時の重量からみても、いたずらに厚くすることは好ましくない。アノード12の大きさは、生産規模に応じて、又は目標の製造量に見合うように適宜決定してもよい。
【0048】
カソード13としては、導電性の金属やカーボン電極等が用いられ、例えば不溶性のチタンやステンレスや白金を用いることができ、チタンを白金でコーティングしたものであってもよく、アノード12と同じ材料を利用してもよい。カソード13の厚みは、電解装置1の大きさ等に応じて適宜変更することができ、カソード13の大きさは、生産規模に応じて、又は目標の製造量に見合うように適宜決定してもよい。
【0049】
アノード12とカソード13の電極間距離は、特に指定されないが、10mm〜50mmが望ましい。電極間距離が50mmより広くなると、電解液11の抵抗による電圧降下が発生し、液温上昇を生じさせるため好ましくない。一方、電極間距離が10mmより狭くなると、電極間での接触・ショートが発生しやすくなるため好ましくない。従って、アノード12及びカソード13の電極間距離は、10mm〜50mmが好ましい。
【0050】
アノード12及びカソード13の配置は特に限定されず、一般的な電極の配置を採用することができる。例えば、電解装置1では、両極が互いに平行となるよう交互に配置することが好ましい。
【0051】
挿通口17は、電解槽10の調整槽20側の槽壁16a上部に設けられている。ただし、槽壁16aにおける挿通口17を配設する位置は、後述する循環手段40の設置状況に応じて適宜変更することができる。また、挿通口17の形状は、挿通させる供給流路43の形状等に応じて適宜変更することができ、例えば、円形や楕円形等にすることができる。
【0052】
排水口18は、電解槽10のオーバーフロー槽30側に配設された槽壁16bの上端縁全体である。即ち、電解槽10では、槽壁16bの上端縁が排水口18となることにより、槽壁16bの上端縁を電解液11が乗り越えて、電解槽10からオーバーフロー槽30に電解液11をオーバーフローさせることができる。電解装置1では、排水口18を設けることにより、後述する供給ポンプ41と抜取ポンプ44の流量バランスを保つことができ、電解槽10内の電解液11の液面が上下するという問題が生じない。
【0053】
排水口18は、電解槽10のオーバーフロー槽30側に配設された槽壁16bの上端縁中央部に槽壁16bの一部を切り欠いて設けてもよい。この構成により、切り欠き部分から、電解液11が電解槽10からオーバーフロー槽30に流れてオーバーフローさせることができる。切り欠いて設けられた排水口18は、槽壁16bの上端縁全体からオーバーフローさせる場合と比較して、電解液11の流れる量を安定させることができる。なお、切り欠き部分の形状は、電解液11をオーバーフローさせることができれば特に限定されず、例えばU字状、半円形、半楕円形、長方形状等の方形状等にすることができる。
【0054】
抜取口19は、電解槽10の槽底14に設けられている。電解槽10の槽底14にある抜取口19の数は、特に限定されない。抜取口19は、電解槽10内の電解液11の抜き取りがスムーズになり、電解槽10に水酸化インジウム粉を含む電解スラリーが滞留し、凝集しにくくなるので、複数であることが好ましい。また、電解槽10の抜取口19は、径の小さい穴(例えば、φ10mm〜50mm)を多数設置してもよいし、径の大きい穴(例えば、φ50mm以上)を1つ設置することでもよい。これにより、電解槽10内の電解液11の抜き取りがスムーズになる。
【0055】
電解槽10の槽底部は、漏斗状に下方に向って漸次縮小していることが好ましい。これにより、電解槽10の四隅に水酸化インジウム粉を含む電解スラリーが滞留して、凝集しない。特に、電解槽10の槽底部の傾斜が、3°〜45°であることが好ましい。これにより、電解槽10の四隅に水酸化インジウム粉を含む電解スラリーが滞留して、凝集せずに、局所的に電解液11のpHや濃度や液温や組成等の不均一性が生じないので、生成された水酸化インジウム粉は粒径が均一で粒度分布の幅が狭くなる。
【0056】
電解槽10の槽底部の傾斜が3°未満である場合には、水酸化インジウム粉を含む電解スラリーが滞留して、凝集しやすくなる。その結果、粒径が均一で粒度分布の幅が狭い水酸化インジウム粉を生成することができない。一方、電解槽10の槽底部の傾斜が45°を超える場合には、省スペース化を図るときに、電解槽10を設置するスペースの問題が発生する。
【0057】
<1−2.調整槽>
次に、調整槽20について、説明する。
図1及び
図2に示すように、調整槽20は、その槽内に、電解液11を貯留し、さらに、電解液11を撹拌する撹拌棒21と、電解液11のpHを測定するpH電極22と、電解液11の液温を制御及び維持するヒーター23及び冷却器24と、電解液11のpHを制御する薬液タンク25及び薬液添加用の定量ポンプ26とを備えている。また、調整槽20の電解槽10と反対側の槽壁27aには、電解槽10及びオーバーフロー槽30から抜取流路45に電解液11を移送する受取口28が設けられ、且つ電解槽10側の槽壁27bには、調整槽20から供給流路43に電解液11を送液する送液口29が設けられる。
【0058】
調整槽20の形状は特に限定されず、一般的な直方体、立方体等の方形体等を適用することができ、槽内に配置する各種機器等の数や大きさ等を考慮して適宜決定される。また、調整槽20の四隅の形状は、電解液11が流動でき局所的な液温やpH等の偏在が起こらないように、例えば、角を丸くすることが好ましい。
【0059】
調整槽20は、電解槽10に対して調整槽20の容積比が0.1以上であることが好ましく、その容積比が1以上であることがより好ましい。電解槽10に対する調整槽20の容積比が0.1未満である場合には、電解液11のpHや液温等の均一制御が困難となり、水酸化インジウム粉の粒度分布の幅が広くなるので好ましくない。
【0060】
調整槽20では、投入された電解液11が撹拌棒21により撹拌されて、pHや液温等を均一にすることができる。この際、調整槽20内における電解液11のpHは、pH電極22により測定され、測定されたpH値がフィードバックされて、薬液タンク25及び定量ポンプ26により所定の数値となるように調整される。調整槽20では、電解液11が所定のpH値となるように、薬液タンク25内のpH調整剤の添加量を定量ポンプ26の圧力により調整する。その結果、調整槽20では、電解液11について、所定のpH値に制御及び維持することができる。ここでは、pH調整剤として、例えば1N硝酸等を用いることができる。
【0061】
また、調整槽20内における電解液11の液温は、図示しない温度計により測定され、測定された液温がフィードバックされて、ヒーター23及び冷却器24により所定の温度となるように調整される。調整槽20では、ヒーター23及び冷却器24により電解液11を加熱又は冷却することにより、液温を制御及び維持することができる。
【0062】
受取口28は、調整槽20の電解槽10と反対側の槽壁27aの上部に設けられている。ただし、槽壁27aにおける受取口28を配設する位置は、電解装置1の設置状況等に応じて適宜変更することができる。受取口28の形状は、接続させる抜取流路45の一方の先端部の形状等に応じて適宜変更することができ、例えば、円形や楕円形等にすることができる。
【0063】
送液口29は、調整槽20の電解槽10側の槽壁27bの下部に設けられている。ただし、槽壁27bにおける送液口29を配設する位置は、電解装置1の設置状況等に応じて適宜変更することができ、例えば、送液口29を、挿通口17を配設する位置に応じて適宜変更することができる。送液口29の形状は、接続させる供給流路43の一方の先端部の形状等に応じて適宜変更することができ、例えば、円形や楕円形等にすることができる。
【0064】
<1−3.オーバーフロー槽>
次に、オーバーフロー槽30について、説明する。
図1及び
図2に示すように、オーバーフロー槽30は、電解槽10からオーバーフローした電解液11を貯留する。また、オーバーフロー槽30の槽底31には、抜取流路45に電解液11を抜き取るオーバーフロー槽用の抜取口32が設けられている。
【0065】
オーバーフロー槽30の形状は特に限定されず、一般的な直方体、立方体等の方形体等を適用することができる。また、オーバーフロー槽30の四隅の形状は、電解液11が流動でき、電解液11の液温やpH等の局所的な偏在が起こらないように、例えば、角を丸くすることが好ましい。
【0066】
オーバーフロー槽用の抜取口32は、オーバーフロー槽30の槽底31の中央に設けられている。ただし、槽底31に設けられるオーバーフロー槽用の抜取口32を配設する位置は、電解装置1の設置状況等に応じて適宜変更することができる。また、オーバーフロー槽用の抜取口32の形状は、接続させる抜取流路45の一方の先端部の形状等に応じて適宜変更することができ、例えば、円形や楕円形等にすることができる。
【0067】
<1−4.循環手段>
図1及び
図2に示すように、循環手段40は、調整槽20及び電解槽10に接続された供給流路43と、供給流路43に設けられた供給ポンプ41と、供給流路43に接続され複数の供給ノズル42が設けられた給液管46と、電解槽10及びオーバーフロー槽30と調整槽20とに接続された抜取流路45と、抜取流路45に設けられた抜取ポンプ44とを備えている。
【0068】
供給流路43は、調整槽20に貯留された電解液11を電解槽10に供給するための配管であり、電解液11により腐食されない材質からなるものである。供給流路43は、電解槽10と調整槽20との間に設けられ、一方の端部が調整槽20の電解槽10側の槽壁27bの下部に設置された送液口29に接続されている。
【0069】
供給流路43は、電解槽10の調整槽20側の槽壁16aの上部に設置された挿通口17に挿通され、他方の端部が電解槽10のオーバーフロー槽30側の槽壁16bに当接しないように長さが調整されている。電解槽10内の供給流路43には、複数の給液管46がそれぞれ接続されている。なお、供給流路43の設置位置は、電解装置1の設置状況等に応じて、電解装置1の下側以外に適宜変更することができる。
【0070】
供給ポンプ41は、調整槽20でpHや液温等が調整された電解液11を、供給ポンプ41の圧力を調整することにより、送液口29から供給流路43へ送液し、給液管46を介して供給ノズル42から電解槽10内に送り出すものである。
【0071】
本実施の形態では、供給ノズル42が少なくとも電極間に所定の間隔で電解槽10の電解液11の液面付近に複数設けられている。具体的には、複数の供給ノズル42が電解槽10内の少なくとも電極間Aに差し込まれる位置となるように、給液管46にそれぞれ設けられている。さらに、複数の供給ノズル42は、電極と電解槽10の槽壁16aとの間隙Bや電極と電解槽10の槽壁16bとの間隙Cに差し込まれる位置となるように、給液管46にそれぞれ設けられていてもよい。
【0072】
この構成により、循環手段40では、供給ノズル42から吐出された電解液11を、電解槽10における電極間Aや間隙B,Cに、電解液11の液面から電解槽10の槽底14へ層流を鉛直方向に形成することにより、確実に供給することができる。さらに、循環手段40では、供給ノズル42を上述した通りに配置することにより、電解槽10の液面付近に設けられる供給ノズル42から電解槽10の槽底14に向って一方向、即ち直線状に電解液11を供給することができる。即ち、循環手段40では、電解液11が供給ノズル42から槽底14に向って電極間Aや間隙B,Cに噴流され、電解液11の液面から電解槽10の槽底14へ層流を鉛直方向に形成する。これにより、電極間のpHや液温等の澱みが解消され、電解槽10内の電解液11の均一化を図り、生成される水酸化インジウム粉の粒度分布の幅の広がりを抑制することができる。
【0073】
例えば、
図1に示すように、供給ノズル42は、電解槽10の電解液11の液面付近の側面に設けてもよい。なお、供給ノズル42が電解槽10の電解液11の液面付近の側面に設けられる場合には、供給ノズル42は、電解液11に浸漬している。
【0074】
また、
図2に示すように、供給ノズル42は、電解槽10の電解液11の液面付近の上部に設けてもよい。例えば、供給ノズル42は、電解槽10の電解液11の液面よりも少し高い位置に設けられることができる。なお、供給ノズル42が液面よりも高い位置にある上部に設けられる場合には、供給ノズル42の吐出口は、電解液11に浸漬している。
【0075】
このように、供給ノズル42が電解槽10の電解液11の液面付近の側面又は上部に設けられる場合には、供給ノズル42を介して電解槽10の液面から電解槽10の槽底14へ電解液11を噴流させることにより、電解槽10内で上から下へ層流を鉛直方向に形成して電解液11が循環されるので、電極間における電解液11のpH、組成、液温、濃度等を均一にすることができる。このため、粒径が均一で粒度分布の幅が狭い水酸化インジウム粉を生成することができる。
【0076】
したがって、循環手段40では、上述した通りの構成により、電解液11が、電解槽10の電解液11の液面から槽底14に向かって流れる層流が形成されるので、電解液11の直進性を確保することができる。更に、電解装置1では、電解液11の噴流が、電解液11の液面の方向に流れることがないので、電解液11の揮発やミストの飛散等を抑制することができ、電解装置1における周辺環境の悪化を防止して、安全性を確保することができる。
【0077】
また、循環手段40では、上述した通り、複数の供給ノズル42が給液管46にそれぞれ設けられていることで、全ての電極間Aや間隙B,Cに電解液11の噴流を流すことができる。この構成により、循環手段40では、供給ノズル42を単独で用いる場合と比較して、供給ポンプ41に負荷をかけることなく、電解槽10内全体の電解液11を、電解槽10の電解液11の液面から槽底14に向かって一方向に送液することができる。
【0078】
循環手段40では、供給ノズル42の形状は特に限定されることはないが、電解液11の噴流の直進性と速度を確保するために、必要に応じて供給ノズル42の吐出口の形状や直径寸法等を調整することが好ましい。電解液11の噴流の速度については、電解液11の供給量と水勢により制御することができる。即ち、循環手段40では、供給ポンプ41により電解液11の供給量を調整し、供給ノズル内径D(
図3を参照)を適宜変更することで、電解液11の噴流の速度を制御することができる。
【0079】
供給ノズル42から吐出する電解液11の供給量は、電解槽10の液面を一定に維持できる程度に電解槽10の抜取口19から電解液11を抜き取る循環量よりも多ければよく、特に限定されるものではない。なお、循環量とは、電解槽10の槽底14に設けられる抜取口19から調整槽20に電解液11を移送させる電解液の量(以下、「循環量」ともいう。)をいう。
【0080】
例えば、
図3に示すように、供給ノズル42は、所定の供給ノズル内径Dと供給ノズル長さLで構成される突出管を有するものが好ましい。供給ノズルの突出管においては、供給ノズル内径Dが3mm以上であることが好ましく、5mm〜10mmであることが特に好ましく、また、供給ノズル長さLが3mm〜20mmであることが好ましい。
【0081】
また、
図4に示すように、供給ノズル42が電解槽10の電解液11の液面付近の上部に設けられた場合に、供給ノズル42は、電極の幅方向に対して所定の間隔で多段に設けられることが好ましい。この構成より、上述したように供給ノズル42を介して電解槽10内の上部から電解槽10の槽底14へ電解液11を噴流させることにより、電解槽10内で層流を鉛直方向に形成して電解液11が循環されるので、電極間における電解液11のpH、組成、液温、濃度等を特に効率良く均一にすることができる。このため、粒径が均一で粒度分布の幅が狭い水酸化インジウム粉を生成することができる。
【0082】
即ち、循環手段40では、形成された電解液11の層流が、電極間Aや間隙B,Cを流れるので、電極間Aや間隙B,Cの電解液11の澱みが解消され、電解槽10内の電解液11の均一化を図り、生成される水酸化インジウム粉の粒度分布の幅の広がりを抑制する。なお、ここでいう電解液11の均一化とは、電極間Aや間隙B,Cにおいて、電解液11の組成、濃度、pH、液温等が略同一となることである。
【0083】
なお、電解装置1では、少なくとも電極間A内の電解液11が均一化されれば、電解槽10内の電解液11を略均一化することができ、生成される水酸化インジウム粉の粒度分布の幅の広がりを抑制することができる。
【0084】
供給ノズル42の設置数は、設置するアノード12及びカソード13の数や電解槽10の大きさ等に応じて適宜変更され、特に限定されることはない。
【0085】
給液管46は、供給流路43を通って調整槽20から供給された電解液11を、電解槽10内へ供給するための配管であり、電解液11により腐食されない材質からなるものである。電解槽10内には、複数の給液管46が、電極の幅方向に所定の間隔で配置されており、給液管46の一方の先端部が、それぞれ供給流路43に接続されている。この構成により、電解装置1では、供給流路43を通って調整槽20から送液された電解液11を、供給ノズル42を介して電解槽10内へ供給することができる。
【0086】
次に、抜取流路45は、電解槽10の電解液11とオーバーフロー槽30に貯留された電解液11とを調整槽20に移送するための配管であり、電解液11により腐食されない材質からなるものである。抜取流路45は、電解槽10及びオーバーフロー槽30と調整槽20との下側に設けられ、一方の端部が調整槽20の電解槽10と反対側の槽壁27aの上部に設置された受取口28に接続されている。
【0087】
抜取ポンプ44は、電解槽10の電解液11を、抜取ポンプ44の圧力を調整することにより、電解槽10の槽底14に設けられる抜取口19及びオーバーフロー槽30に設けられるオーバーフロー槽用の抜取口32から抜取流路45へ抜き取り、調整槽20内に移送するものである。
【0088】
電解槽10の槽底14に設けられる抜取口19から調整槽20に電解液11を移送させる電解液の循環量が、電解電流1Aあたり0.03L/min/A〜電解電流1Aあたり0.10L/min/Aに制御されることが好ましい。これにより、電解槽10内で電解液11の層流を鉛直方向に形成して電解液11が循環されるので、電解液11のpHの上昇を抑制することができる。その結果、粒径が均一で粒度分布の幅が狭い水酸化インジウム粉を生成することができる。
【0089】
電解液の循環量が電解電流1Aあたり0.03L/min/A未満である場合には、電極周辺のpHが上昇してしまい、循環量が少なすぎるために電解槽10内で回流し水酸化インジウム粉が凝集してしまう。この結果、粒径が均一で粒度分布の幅が狭い水酸化インジウム粉を生成することができない。一方、電解液の循環量が電解電流1Aあたり0.10L/min/Aを超える場合には、調整槽20から電解槽10への供給する電解液11の量が足りずに、電解を中止せざるを得なくなる。したがって、電解液の循環量は、電解電流1Aあたり0.03L/min/A〜電解電流1Aあたり0.10L/min/Aに制御されることが好ましい。
【0090】
オーバーフロー槽30に設けられるオーバーフロー槽用の抜取口32から調整槽20に電解液11を移送させる量と循環量とを合計した電解液の総給液量(以下、「総給液量」ともいう。)は、電解液の循環量に対して110%〜160%に制御されることが好ましい。これにより、オーバーフロー槽30内の電解液11を抜き取り、抜取ポンプ44を介して調整槽20へ移送することができ、電解槽10からオーバーフローした電解液11を一切無駄にせず、電解槽10内の電解液11の液面を一定の高さに維持することができる。具体的に、電解液11の液面の一定の高さとは、電解槽10内に設置されている電極の上端よりも数cmほど高く、電極が浸漬している高さをいう。このように、電解槽10の排水口18を介してオーバーフローした電解液11をオーバーフロー槽30から調整槽20に移送させることにより、電極が浸漬するように電解槽10の液面を一定に維持し、電解液11のpH、組成、液温、濃度等を不均一となるのを効率的に抑制することができる。その結果、粒径が均一で粒度分布の幅が狭い水酸化インジウム粉を生成することができる。
【0091】
電解液の総給液量が110%未満である場合には、電解槽10の電解液11の液面の高さが低下し、電解を中止せざるを得ない。一方、電解液の総給液量が160%を超える場合には、電解液11が電解槽10やオーバーフロー槽30からオーバーフローしてしまい、電解を中止せざるを得ない。したがって、電解液の総給液量は、電解液11の循環量に対して110%〜160%に制御されることが好ましい。
【0092】
以上で説明した通り、水酸化インジウム粉の電解装置1は、供給ノズル42を介して調整槽20から電解液11を供給して電解槽10の槽底14に向って鉛直方向に電解液11を噴流させ、電解槽10の槽底14に設けられる抜取口19から槽内の電解液11を抜き取って調整槽20へ移送させることにより、電解槽10と調整槽20間で電解液11を循環させる循環手段40とを有している。したがって、電解装置1がこのような循環手段40を有することにより、電解槽10の電解液11の液面から電解槽10の槽底14への層流を電極間に形成されて電解液11が循環されるので、電解装置1全体の電解液11の組成、濃度、pH、液温等を均一化することができる。その結果、電解液11の均一化を図ることにより、粒径の均一性に優れ、粒度分布の幅が狭い水酸化インジウム粉を生成することができる。
【0093】
また、電解装置1では、電解槽10内の電解液11の液面付近にある供給ノズル42から電解槽10の槽底14に向かって電極間に電解液11を噴流させ、上から下への鉛直方向に層流を形成することができるので、電解装置1における周辺環境の悪化を防止して、安全性を確保することができる。
【0094】
さらに、電解装置1では、循環手段40において複数且つ多段に設けられた供給ノズル42により、電極間Aや電極及び電解槽10の槽壁16a,16bとの間隙B,Cに上述の電解液11の噴流を層流として供給することができるので、電極間Aや電極及び電解槽10の槽壁16a,16bの間隙B,Cの電解液11の澱みが解消され、電解槽10内の電解液11の均一化を図り、生成される水酸化インジウム粉の粒度分布の幅の広がりを抑制することができる。
【0095】
[2.水酸化インジウム粉の製造方法]
本実施の形態に係る水酸化インジウム粉の製造方法(以下、「水酸化物の製造方法」ともいう。)では、上述した通りの水酸化インジウム粉の電解装置1を用いることにより、電解法を利用して、水酸化インジウム粉を得る。なお、ここでは、
図1に示す電解装置1を用いた場合を例に挙げて説明するが、
図2に示す電解装置1を用いても同様に水酸化インジウム粉を得ることができる。
【0096】
水酸化物の製造方法は、水酸化インジウム粉を含む電解液11(以下、「電解スラリー」という。)を得る電気分解工程と、電解スラリーから電解液11を固液分離する電解液分離工程と、電解スラリーに電解液11を加えてリパルプ洗浄し、洗浄スラリーを得るリパルプ洗浄工程と、得られた洗浄スラリーから洗浄液を脱水して水酸化インジウム粉を得る洗浄液脱水工程と、得られた水酸化インジウム粉を乾燥する乾燥工程とを有している。以下、各工程の詳細について、それぞれ説明する。
【0097】
<2−1.電気分解工程>
水酸化インジウム粉は、電解反応を利用して得る。電気分解工程では、金属インジウムをアノード12とし、対極のカソード13に導電性の金属やカーボン電極を使用し、アノード12及びカソード13を電解液11に浸漬して両極間に電位差を発生させて、電流を生じさせることでアノード12が溶解し、水酸化インジウム粉が晶析して、電解スラリーを生成する。
【0098】
(電解液)
電解液11としては、水溶性の硝酸塩、硫酸塩、塩化物塩等の一般的な電解質塩の水溶液を用いることができる。電気分解工程では、それらの中でも、硝酸アンモニウムが好ましい。硝酸アンモニウムは、水酸化インジウム粉を沈殿した後の乾燥、仮焼後に硝酸イオン及びアンモニウムイオンが窒素化合物として除去されて不純物として残らず、生成される水酸化インジウム粉の純度を高め、かつコストを削減することができる。
【0099】
電気分解工程では、生成された水酸化インジウム粉の溶解度が10
−6mol/L〜10
−3mol/Lとなるように、電解液11を調整することが好ましい。電気分解工程では、生成された水酸化インジウム粉の溶解度を10
−6mol/L〜10
−3mol/Lの範囲内とすることで、適度に水酸化インジウム粉の一次粒子の成長が促進される。これにより、電気分解工程では、一次粒子の凝集が抑制されるため、水酸化インジウム粉の粒度分布の幅が広くならず、水酸化インジウム粉の粒度分布の幅が狭く、粒径が均一な水酸化インジウム粉を得ることができる。
【0100】
水酸化インジウム粉の溶解度が10
−6mol/L未満の場合には、アノード12から溶け出した金属イオンが核化しやすくなるため、一次粒子径が微細化し過ぎてしまう。その場合には、後の水酸化インジウム粉の分離回収が困難となるため好ましくない。
【0101】
一方、水酸化インジウム粉の溶解度が10
−3mol/Lを超える場合には、粒子成長の促進により一次粒子径が大きくなるため、粒子を成長させるほど、成長する粒子と成長しない粒子の間で粒子径の違いが大きくなる。粒子径の違いは、凝集の度合いに影響を与えるため、結果として粒度分布の幅が広くなってしまう。水酸化インジウム粉の粒度分布の幅が広くなると、これらを仮焼して得られる酸化インジウム粉の粒度分布の幅も広くなり、これを焼結して得られるスパッタリングターゲットは高密度となり難いため好ましくない。
【0102】
したがって、電解液11は、水酸化インジウム粉の溶解度が10
−6mol/L〜10
−3mol/Lの範囲が好ましく、硝酸アンモニウム水溶液の濃度、pH、液温等によって水酸化インジウム粉の溶解度を制御することができる。このように、水酸化インジウム粉の好適な溶解度に制御できるので、粒径が均一で粒度分布の幅が狭い水酸化インジウム粉を得ることができる。
【0103】
電解液11の濃度は、0.1mol/L〜2.0mol/Lに調整することが好ましい。電解液11の濃度が0.1mol/L未満である場合には、電解時の電圧上昇が大きくなり、通電部が発熱したり、電力コストが高くなったりする等の問題が生じるため好ましくない。一方、電解液11の濃度が2.0mol/Lを超える場合には、電解によって水酸化インジウム粒子が粗大化し、粒径のばらつきが大きくなるため好ましくない。
【0104】
電気分解工程において、水酸化インジウム粉を得る場合には、電解液11のpHを2.5〜4.0に調整することが好ましい。電解液11のpHが2.5未満である場合には、水酸化インジウム粉の沈澱が生じない。一方、電解液11のpHが4.0を超える場合には、水酸化インジウム粉の析出が速すぎて電解液11の濃度が不均一のまま沈澱が形成されるため、水酸化インジウム粉の粒度分布の幅が広くなり、水酸化インジウム粉の粒度分布の幅を小さく制御することができない。
【0105】
電解液11の液温は、20℃〜60℃に調整することが好ましい。電解液11の液温が20℃未満である場合には、水酸化インジウム粉の析出が遅すぎる。一方、電解液11の液温が60℃を超える場合には、水酸化インジウム粉が析出するのが速すぎて電解液11の濃度が不均一のまま沈澱が形成されるため、水酸化インジウム粉の粒度分布の幅が広がる。
【0106】
(電流密度)
電解時の電流密度は、4A/dm
2〜20A/dm
2に調整することが好ましい。これにより、広範囲の電流密度とすることができる。電解時の電流密度が4A/dm
2未満である場合には、水酸化インジウム粉の生産効率が低下してしまう。一方、電解時の電流密度が20A/dm
2を超える場合には、電解液11の上昇や、アノード12(例えば、金属インジウム)の表面に不動態化して電解し難くなる等の問題が生じるので好ましくない。
【0107】
(電気分解)
電気分解工程では、
図1に示す通りに電解装置1を整備し、電解槽10及び調整槽20に電解液11を投入して電解を開始する。
【0108】
また、電気分解工程では、電解中に電解槽10の電解液11を調整槽20で調整し、循環手段40によって、供給流路43から給液管46を通って供給ノズル42から電解槽10内へ供給する。電気分解工程では、循環手段40によって電解液11を電解槽10内へ供給する際には、複数の供給ノズル42から、電解槽10の槽底にある抜取口19から電解液を抜き取って、抜取流路45から抜取ポンプ44を介して調整槽20へ向かって電解液11が移送され、電極間A及び電極と電解槽10の槽壁16a,16bとの間隙B,Cに、電解液11の複数の噴流の集合(層流)を形成する。
【0109】
電気分解工程では、電解液11が調整槽20から電解槽10内に供給されることにより、電解槽10の槽底14にある抜取口19及びオーバーフロー槽用の抜取口32から、その電解液11を抜き取って、電解液11が調整槽20に戻される。
【0110】
電気分解工程では、電解槽10の槽底14に設けられる抜取口19及びオーバーフロー槽30に設けられるオーバーフロー槽用の抜取口32から抜取ポンプ44によって抜取流路45を介して電解槽10及びオーバーフロー槽30内の電解液11を調整槽20に移送し、調整槽20でpHや液温等を調整し、調整済みの電解液11を供給ポンプ41によって供給流路43を介して再び電解槽10内へ供給ノズル42から供給し、これを連続的に行うことで、循環手段40で電解液11を電解装置1内に循環させる。
【0111】
電気分解工程では、電解が終了した後に、水酸化インジウム粉を含む電解スラリーが得られる。
【0112】
電気分解工程では、電解槽10内の電解液11は、電解による通電時間の経過と共に、その組成、濃度、pH、液温等が変化する。より詳細には、時間の経過と共に電解槽10の液面付近と槽底14付近における電解液11の組成、濃度、pH、液温等が不均一となり、生成する水酸化インジウム粉の粒径に差異が発生する。
【0113】
つまり、調整槽20において、電解液11のpHや液温等に関する制御及び維持が適切に行われない場合には、生成される水酸化インジウム粉の粒度分布の幅が広くなってしまう。
【0114】
そこで、電気分解工程では、水酸化インジウム粉の粒度分布の幅の広がりを抑制するために、循環手段40により、電極間Aや電極と電解槽10の槽壁16a,16bとの間隙B,Cに電解液11の層流を形成すると共に、電解液11を循環させる。
【0115】
その結果、電気分解工程では、形成された電解液11の層流により、電極間A及び間隙B,Cの電解液11の澱みを解消して組成、濃度、pH、液温等を均一にすることができる。更に、電気分解工程では、循環手段40で、電解液11の層流の形成と共に、電解液11を電解装置1内に循環させることで、電解装置1内全体の電解液11の組成、濃度、pH、液温等の均一化を図ることができ、粒度分布の幅の狭い水酸化インジウム粉を含む電解スラリーを生成することができる。
【0116】
<2−2.電解液分離工程>
次に、電解液分離工程では、上述した電解工程により得られた電解スラリーから、電解液11と水酸化インジウム粉を含むケーキとを固液分離する。
【0117】
電解液分離工程では、電解スラリーから電解液11を分離するために、微細な粉末であっても目詰まりを起こし難く、水酸化インジウム粉の回収効率が高いクロスフロー方式のロータリーフィルタを使用する。ロータリーフィルタで使用するろ布は、水酸化インジウム粉の回収率を高めるため、できるだけ通気度が小さい方が望ましい。特に、電解液分離工程では、通気度が0.3cm
3/sec/cm
2以下のものが好ましい。
【0118】
<2−3.リパルプ洗浄工程>
次に、リパルプ洗浄工程では、電解液分離工程で得られた水酸化インジウム粉を含むケーキには電解液11が含まれるため、水酸化インジウム粉に洗浄液を加えて水酸化インジウム粉をリパルプ洗浄し、洗浄スラリーを得る。
【0119】
リパルプ洗浄に使用する洗浄液は、不純物が少ない方が望ましいため、純水を用いる。リパルプ洗浄工程では、特に、「JIS K0557」に規定されたA2グレード以上の洗浄液であることが望ましい。A2グレード以下の洗浄液を用いる場合には、シリカ等の不純物が混入し、生成された水酸化インジウム粉を使用したスパッタリングターゲットを作製する際に問題となるため、好ましくない。
【0120】
リパルプ洗浄工程では、ケーキ中に含まれる水酸化インジウム粉1kgに対して5L〜20Lの純水を用いて洗浄することが望ましい。使用する純水の量が5Lより少ない場合には、水酸化インジウム粉内に、電解液成分である硝酸アンモニウム等が多く残留してしまい、水酸化インジウム粉の乾燥時や、水酸化インジウム粉を仮焼し、酸化インジウム粉を得る際に、火災が発生する危険性が高くなる。一方、リパルプ洗浄工程では、20Lの純水を使用すれば洗浄できるため、20Lよりも多く純水を使用すると、洗浄後の排水処理量が増加し、コストアップとなってしまう。
【0121】
リパルプ洗浄工程では、水酸化インジウム粉を含むケーキに洗浄液を加えて必要に応じて撹拌を行う。リパルプ洗浄工程では、リパルプ洗浄を1回以上行うことによって、水酸化インジウム粉を含むケーキ中の電解液を除去でき、水酸化インジウム粉を含むケーキを洗浄して、洗浄スラリーを得ることができる。
【0122】
<2−4.洗浄液脱水工程>
洗浄液脱水工程では、リパルプ洗浄工程で得られた洗浄スラリーから洗浄液を脱水し、水酸化インジウム粉を得る。
【0123】
脱水には、微細な粉末であっても目詰まりを起こし難く回収効率の高いクロスフロー方式のロータリーフィルタを使用する。
【0124】
また、電解液11や洗浄液を再利用する場合には、洗浄液脱水工程では、洗浄スラリーを脱水して得られた洗浄液を加熱して所定の時間減圧蒸留し、濃縮液を得る。次に、洗浄液脱水工程では、得られた濃縮液を電解液分離工程により分離された電解液11と混合し、電気分解工程で使用した電解液11と同じ濃度やpH等になるように、純水を添加して調整する。その後、洗浄液脱水工程では、純水を添加して調整した電解液11を再び調整槽20に投入し、供給ポンプ41により供給流路43を介して電解槽10に供給する。
【0125】
その結果、電気分解工程では、洗浄液脱水工程において再生した電解液11を用いて、新たな電解を行うことができる。また、電解液11や洗浄液を再利用することで、電解液11を廃液として廃棄することがなくなり、廃液処理に伴うコストを削減することができ、更に、電解液11の損失を抑制できると共に、環境への負荷を抑制することができる。
【0126】
<2−5.乾燥工程>
乾燥工程では、水酸化インジウム粉の乾燥方法は特に限定されるものではなく、例えば、スプレードライヤ、空気対流型乾燥炉、赤外線乾燥炉等の乾燥機を用いて乾燥することができる。これらの中では、特に、粒径の均一性に優れ、粒度分布の幅の狭い水酸化インジウム粉を得るという観点から、スプレードライヤにて噴霧乾燥することが好ましい。
【0127】
乾燥条件は、水酸化インジウム粉の水分を除去できれば特に限定されないが、例えば乾燥温度は80℃〜150℃の範囲が好ましい。乾燥温度が80℃よりも低い場合には、乾燥が不十分となり、150℃よりも高い場合には、水酸化インジウムから酸化インジウムに変化してしまう。また、乾燥時間は、温度により異なるが、約10時間〜24時間程度である。
【0128】
以上で説明した通り、水酸化インジウム粉の製造方法では、上述した通りの本実施の形態に係る電解装置を用いることで、粒径が均一で粒度分布の幅の狭い水酸化インジウム粉を得ることができる。
【0129】
[3.酸化インジウムの製造工程]
酸化インジウム粉の製造工程では、上述した通りの乾燥工程により得られた乾燥後の水酸化インジウム粉を仮焼して、酸化インジウム粉を生成する。
【0130】
酸化インジウム粉の製造方法では、この仮焼条件は、得られた水酸化インジウムに応じて適宜決定するが、例えば、仮焼温度が600℃〜800℃、仮焼時間が1時間〜10時間で行うことが好ましい。
【0131】
酸化インジウム粉の製造方法では、水酸化インジウム粉の仮焼温度が600℃よりも低いと、酸化インジウム粉のBET値が15m
2/gを超えてしまい、一次粒子が小さすぎるために、凝集性を有する粉末となる。これにより、得られた酸化インジウム粉では、高密度の焼結材料、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)焼結材料を得ることができない。
【0132】
一方、酸化インジウム粉の製造方法では、水酸化インジウム粉の仮焼温度が800℃より高いと、酸化インジウム粉のBET値が10m
2/g未満になり、一次粒子径が大きくなり、粒子間に生じる空孔も大きくなるため、焼結性が低下する。これにより、得られた酸化インジウム粉では、高密度の焼結材料を得ることができない。
【0133】
酸化インジウム粉又は酸化スズ粉の製造方法では、得られた酸化インジウム粉において、比表面積のBET値が10m
2/g〜15m
2/gの範囲内に制御されており、粒度分布の累積粒度10%径(D10)が0.2μm以上、累積粒度90%径(D90)が2.7μm以下である。このような酸化インジウム粉は、比表面積が制御されていることから、分散性が良く、凝集が少ないため、高密度の焼結材料を生成することができる。
【0134】
酸化インジウム粉の製造工程では、水酸化インジウム粉をより所望の粒径とするために、必要に応じて解砕又は粉砕を行ってもよい。また、この酸化インジウム粉の製造工程では、水酸化インジウム粉の電解の際に、電解液として硝酸アンモニウムを用いた場合には、硝酸アンモニウムの分解が生じ、酸化インジウム粉への混入を防止することができる。
【0135】
[4.スパッタリングターゲットの製造方法]
本実施の形態に係るスパッタリングターゲットの製造方法では、上述した通りの酸化インジウム粉の製造方法により得られた酸化インジウム粉を用いてスパッタリングターゲットを作製する。
【0136】
先ず、スパッタリングターゲットの製造方法では、上述した酸化インジウム粉の製造方法により得られた酸化インジウム粉を、酸化スズ粉等のスパッタリングターゲットの他の原料と所定の割合で混合し、造粒粉を作製する。次に、スパッタリングターゲットの製造方法では、得られた造粒粉を用いて、例えば、コールドプレス法により成型体を作製する。次に、スパッタリングターゲットの製造方法では、得られた成型体を、大気圧下で、例えば、1300℃〜1600℃の温度範囲内で焼結を行う。次に、スパッタリングターゲットの製造方法では、必要に応じて、得られた焼結体の平面や側面を研磨する等の加工を行う。そして、スパッタリングターゲットの製造方法では、加工後の焼結体を、Cu製のバッキングプレートにボンディングすることにより、酸化インジウムスズスパッタリングターゲット(ITOスパッタリングターゲット)を得ることができる。
【0137】
スパッタリングターゲットの製造方法では、原料となる酸化インジウム粉の比表面積が制御されており、分散性が良いものであるため、高密度の焼結体を得ることができ、スパッタリングターゲットの密度を高くすることできる。これにより、得られたスパッタリングターゲットは、加工中に割れ欠けが生じず、スパッタの際に異常放電が発生することも抑制できる。
【0138】
スパッタリングターゲットの製造方法では、酸化インジウム粉の製造方法で得られた酸化インジウム粉を、単独で用いて、酸化インジウムスパッタリングターゲットを作製してもよい。
【0139】
以上で説明した通り、スパッタリングターゲットの製造方法では、上述した通りの本実施の形態に係る水酸化インジウム粉の製造方法により得られた、粒径が均一で粒度分布の幅の狭い水酸化インジウム粉を用いて作製した酸化インジウム粉を、スパッタリングターゲットの原料として用いている。その結果、スパッタリングターゲットの製造方法では、相対密度が高い焼結体を得ることができ、最終的に、この焼結体により高密度のスパッタリングターゲットを作製することができる。
【実施例】
【0140】
以下、実施例及び比較例を用いて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例及び比較例に限定されるものではない。
【0141】
[実施例1]
(1)電気分解工程
実施例1における電気分解工程では、
図1に示す電解装置1を用いて水酸化インジウム粉を生成した。電解装置1は、電解槽10(長さ40cm×幅40cm×高さ50cm)にカソード13とアノード12を配置し、pHを3.5に調整した液温40℃、1.0mol/Lの硝酸アンモニウム水溶液を72L入れた。調整槽20(長さ40cm×幅40cm×高さ50cm)には、同じく電解液11を50L入れた。この時の電解液11に対する水酸化インジウムの溶解度を確認したところ、10
−4mol/Lであった。カソード13には、巾26cm、高さ40cm、厚み4mmのチタン金属板を5枚準備した。アノード12には、純度99.9999%のインジウム金属を巾26cm、高さ40cm、厚み8mmの板状に成型したものを4枚準備した。これらの5枚のカソード13と4枚のアノード12を
図1に示すように、アノード12片面の電解面積が10.4dm
2になるよう、両極が互いに平行となるよう交互に配置した。カソード13とアノード12と間の距離を2.0cmに調節し配置した。4枚のカソード13は導線15aで電気的に接続されている。
【0142】
電解装置1は、電極電流密度は15A/dm
2に調節し、電解を6時間継続した。この電解により、電気分解工程では、水酸化インジウム粉を含む電解スラリーを得た。電解液の循環量が電解電流1Aあたりは、電解槽10の抜取口19より0.03L/min/A(電解液の循環量37L/min)で抜き取り、電解液11の総給液量としては電解槽10の抜取口19及びオーバーフロー槽用の抜取口32から調整槽20へ46L/minで移送した。なお、電解液の総給液量は、電解液の循環量に対して125%であった。
【0143】
(2)電解液分離工程
次に、実施例1における電解液分離工程では、電気分解工程で得られた水酸化インジウム粉を含む電解スラリーの固液分離を行った。電解液分離工程では、水酸化インジウム粉を含む電解スラリーの固液分離を行うに際して、ロータリーフィルタ(寿工業(株)製RFU−02B)と、ろ布(KE−022、通気度0.1cm
3/sec/cm
2)を使用した。その結果、電解液分離工程では、固液分離により、水酸化インジウム粉を含むケーキと、分離された電解液11とが得られた。
【0144】
(3)リパルプ洗浄工程
次に、実施例1におけるリパルプ洗浄工程では、電解液分離工程で得られた水酸化インジウム粉を含むケーキを洗浄した。リパルプ洗浄工程では、30L入りステンレス容器に、水酸化インジウム1kgに対して、純水10Lを加えて、撹拌し、再分散した。次いで、リパルプ洗浄工程では、電解液分離工程と同様にして固液分離操作を行い、再び水酸化インジウム粉を含むケーキと、分離された洗浄液とが得られた。
【0145】
(4)洗浄液脱水工程
次に、実施例1における洗浄液脱水工程では、減圧蒸留装置(日鉄住友環境株式会社製、エコプリマ)を使用して、濃縮加熱用ヒーター釡(容量1m
3)に、リパルプ洗浄工程で得られた洗浄液100Lを仕込み、電気ヒーター100kW/hrで4時間減圧蒸留を実施し、濃縮液を得た。
【0146】
次に、洗浄液脱水工程では、得られた濃縮液を、電解液分離工程で得られた電解液11と混合し、電気分解工程で使用した電解液11の濃度やpH等と同じになるよう純水を添加して調整した後、再び調整槽20に入れて供給ポンプ41により供給流路43を介して電解槽10に供給し、新たな電解を行った。なお、洗浄液脱水工程までの工程において、電解液11は、廃液として廃棄されることはなかった。
【0147】
実施例1では、洗浄液脱水工程における操作を3回繰り返して、得られた水酸化インジウム粉を含む電解スラリーをサンプリングし、粒度分布をレーザー回折・散乱法(株式会社島津製作所製、SALD−2200)により測定した。
【0148】
(5)乾燥工程
実施例1では、洗浄液脱水工程により得られた水酸化インジウム粉を含む電解スラリーをスプレードライヤで噴霧乾燥した。実施例1では、乾燥した水酸化インジウム粉について、粒度分布を測定し、その結果を表1に示した。
【0149】
(6)酸化インジウム粉の製造工程
実施例1では、乾燥工程で乾燥した水酸化インジウム粉を、大気中700℃で焼成し、酸化インジウム粉を得た。実施例1では、得られた酸化インジウム粉の製造条件をまとめ、表1に示した。
【0150】
(7)焼結体の製造工程
実施例1では、得られた酸化インジウム粉と市販の酸化スズ粉(三井金属鉱業(株)製、純度99.0%以上)を9:1の割合で混合したものをコールドプレス法によって所定の形状に成形したのち、1500℃で60時間焼結してITO焼結体を作製した。また、実施例1では、得られた焼結体の相対密度をアルキメデス法により測定し、その結果を表2に示した。
【0151】
[実施例2]
実施例2では、電解液の循環量が電解電流1Aあたり0.1L/min/A(電解液の循環量124L/min)とし、電解液の総給液量を145L/minとした以外は、実施例1と同様にして水酸化インジウム粉を作製し、その水酸化インジウム粉から酸化インジウム粉を作製した。なお、電解液の総給液量は、電解液の循環量に対して117%であった。また、実施例2では、作製した水酸化インジウム粉の粒度分布、及び酸化インジウム粉の製造条件をまとめ、表1に示した。
【0152】
次に、実施例2では、作製した酸化インジウム粉と、上述した市販の酸化スズとを9:1の割合で混合したものをコールドプレス法によって所定の形状に成形した後、1500℃で60時間焼結してITO焼結体が得られた。また、実施例2では、得られた焼結体の相対密度をアルキメデス法により測定し、その結果を表2に示した。
【0153】
[実施例3]
実施例3では、電解液の循環量が電解電流1Aあたり0.06L/min/A(電解液の循環量74L/min)とし、電解液の総給液量を106L/minとした以外は、実施例1と同様にして水酸化インジウム粉を作製し、その水酸化インジウム粉からITO焼結体を作製した。なお、電解液の総給液量は、電解液の循環量に対して143%であった。また、実施例2では、作製した水酸化インジウム粉の粒度分布、及び酸化インジウム粉の製造条件をまとめ、表1に示した。
【0154】
次に、実施例3では、作製した酸化インジウム粉と、上述した市販の酸化スズとを9:1の割合で混合したものをコールドプレス法によって所定の形状に成形した後、1500℃で60時間焼結してITO焼結体が得られた。また、実施例3では、得られた焼結体の相対密度をアルキメデス法により測定し、その結果を表2に示した。
【0155】
[比較例1]
比較例1では、電解液の循環量が電解電流1Aあたり0.01L/min/A(電解液の循環量12.4L/min)とし、電解液の総給液量を20L/minとした以外は、実施例1と同様にして水酸化インジウム粉を作製し、その水酸化インジウム粉からITO焼結体を作製した。なお、電解液の総給液量は、電解液の循環量に対して160%であった。また、比較例1では、作製した水酸化インジウム粉の粒度分布、及び酸化インジウム粉の製造条件をまとめ、表1に示した。
【0156】
次に、比較例1では、作製した酸化インジウム粉と、上述した市販の酸化スズとを9:1の割合で混合したものをコールドプレス法によって所定の形状に成形した後、1500℃で60時間焼結してITO焼結体が得られた。また、比較例1では、得られた焼結体の相対密度をアルキメデス法により測定し、その結果を表2に示した。
【0157】
[比較例2]
比較例2では、電解液の循環量が電解電流1Aあたり0.06L/min/A(電解液の循環量74L/min)とし、電解液の総給液量を264L/minとした以外は、実施例1と同様にして水酸化インジウム粉の作製を試みた。なお、電解液の総給液量は、電解液の循環量に対して357%であった。しかしながら、電解液の揮発やミスト飛散が激しく、電解を中止した。そのため、比較例2では、水酸化インジウム粉を得ることができなかった。
【0158】
[比較例3]
比較例3では、電解液の循環量が電解電流1Aあたり0.06L/min/A(電解液の循環量74L/min)とし、電解液の総給液量を126L/minとした以外は、実施例1と同様にして水酸化インジウム粉の作製を試みた。なお、電解液の総給液量は、電解液の循環量に対して170%であった。しかしながら、電解槽10内の電解液11の液面の高さが時間とともに上昇し、電解槽10やオーバーフロー槽30から電解液11が溢れてしまい、電解を中止した。そのため、比較例3では、水酸化インジウム粉を得ることができなかった。
【0159】
[比較例4]
比較例4では、電解液の循環量が電解電流1Aあたり0.06L/min/A(電解液の循環量74L/min)とし、電解液の総給液量を78L/minとした以外は、実施例1と同様にして水酸化インジウム粉の作製を試みた。なお、電解液の総給液量は、電解液の循環量に対して105%であった。しかしながら、電解槽10内の電解液11の液面の高さが時間とともに低下し、電解を中止した。そのため、比較例4では、水酸化インジウム粉を得ることができなかった。
【0160】
[比較例5]
比較例5では、電解液の循環量が電解電流1Aあたり0.12L/min/A(電解液の循環量147L/min)とし、電解液の総給液量を184L/minとした以外は、実施例1と同様にして水酸化インジウム粉の作製を試みた。なお、電解液の総給液量は、電解液の循環量に対して125%であった。しかしながら、電解液11の揮発やミスト飛散が激しく、電解を中止した。そのため、比較例5では、水酸化インジウム粉を得ることができなかった。
【0161】
以下の表1に、実施例1乃至3及び比較例1乃至比較例5で作製した水酸化インジウム粉の粒度分布と、それを仮焼して作製した酸化インジウム粉の粒度分布を示し、表2に実施例1乃至3及び比較例1で作製した酸化インジウム粉を焼結して得られた焼結体の相対密度を示す。
【0162】
【表1】
【0163】
【表2】
【0164】
表1に示す結果から、実施例1乃至3では、比較例1と比べて、粒度分布の幅(最大径−最小径)が0.2〜1.5μmときわめて粒度分布の幅が狭い水酸化インジウム粉が得られた。また、実施例1乃至3では、得られた水酸化インジウム粉を仮焼した結果、比較例1と比べて、粒度分布の幅(最大径−最小径)が0.2〜1.1μmときわめて粒度分布の幅が狭い酸化インジウム粉が得られた。さらに、実施例1乃至3では、作製した粒度分布の幅が狭い酸化インジウム粉と市販品である酸化スズ粉を用いて、ITO焼結体に焼結した結果、相対密度は99.5%以上であり、相対密度の高い焼結体が得られることを確認した。
【0165】
比較例1では、電解液11の循環量を少なくしたことで、電極間の液撹拌が不十分となり、結果として電極間のpH値にばらつきが生じることによって、粒度分布の幅が広い水酸化インジウム粉が得られた。得られた水酸化インジウム粉から酸化インジウム粉、さらにITO焼結体を作製した結果、相対密度は99.0%未満であり、実施例1乃至3より相対密度の低い焼結体が得られることを確認した。
【0166】
比較例2及び5では、電解液11の循環量を多くしたことで、電解液11の表面が非常に荒れ、電解液11の揮発やミストの発生が多くなったため、途中で電解を中止した。また、比較例3では、循環量に対して、総給液量が多いため、電解槽10やオーバーフロー槽30から電解液11がオーバーフローしたため、途中で電解を中止した。さらに、比較例4では、循環量に対して、総給液量が少なく、規定の液面より下降したため、途中で電解を中止した。したがって、比較例2乃至5では、水酸化インジウム粉が得られないことを確認した。
【0167】
実施例1乃至実施例3及び比較例1乃至比較例5の結果から、循環手段40を有する電解装置1を用いることで、電極間に電解液11の層流を形成して、その層流により電解液11が一定の流れで循環されるので、電解液11の組成、濃度、pH、液温等を略均一にすることができる。このため、粒径の均一性に優れ、粒度分布の幅の狭い水酸化インジウム粉を得ることができる。また、このような水酸化インジウム粉を用いることで、相対密度が高い酸化インジウム−酸化スズ系焼結体を得ることができ、最終的に、この焼結体により高密度のスパッタリングターゲットの作製が可能となる。