【文献】
S.SCHOLES,INTERFACIAL PHENOMENA IN PHASE-SEPARATED GLASSES,Journal of Non-Crystalline Solids,NL,North-Holland Publishing Company,1975年12月,Vol.19,Pages 167-168
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ガラスがCaOおよびBaOの少なくとも一方を含み、CaOおよびBaOの合計含有量が6質量%未満である請求項1〜6のいずれか1項に記載の分相ガラスの製造方法。
厚み1mmにおける波長800nm、波長600nmおよび波長400nmの各波長での光透過率が50%以下である請求項1〜9のいずれか1項に記載の分相ガラスの製造方法。
厚み1mmにおける波長800nm〜400nmにおける波長での光透過率の最大値(Tmax)を最小値(Tmin)で除した値(Tmax/Tmin)が50以下である請求項1〜11のいずれか1項に記載の分相ガラスの製造方法。
請求項13に記載の化学強化ガラスの製造方法であって、化学強化ガラスの厚み1mmにおける波長800nm、波長600nmおよび波長400nmの各波長での光透過率が50%以下である化学強化ガラスの製造方法。
化学強化ガラスを含む電子機器筺体の製造方法であって、該化学強化ガラスを請求項13または14に記載の化学強化ガラスの製造方法を用いて製造する電子機器筺体の製造方法。
分相により生じた直径が100nm以上である粒子について、全体の平均粒子径(直径)をdA、粒子径(直径)が大きい方から1割の粒子径の平均値をdL、粒子径(直径)が小さい方から1割の粒子径(直径)の平均値をdSとしたときに、下記式(1)を満たす構造を有する分相ガラス。
(dL−dS)/dA≧1.0…(1)
厚み1mmにおける波長800nm、波長600nmおよび波長400nmの各波長での光透過率が50%以下である請求項16〜21のいずれか1項に記載の分相ガラス。
厚み1mmにおける波長800nm〜400nmにおける波長での光透過率の最大値(Tmax)を最小値(Tmin)で除した値(Tmax/Tmin)が50以下である請求項16〜23のいずれか1項に記載の分相ガラス。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の分相ガラスの製造方法の好適な実施形態について説明する。
【0017】
本発明は、ガラスを溶融する溶融工程、溶融したガラスを分相させる分相工程および分相したガラスを成形する成形工程を順次含む分相ガラスの製造方法および該製造方法により得られる分相ガラスである。
【0018】
[溶融工程]
溶融工程はガラスを溶融する工程である。溶融工程においては、種々のガラス原料を適量調合し、好ましくは1400〜1750℃、より好ましくは1500〜1650℃に加熱して溶融する。溶融時間は通常1〜50時間であることが好ましく、2〜24時間であることがより好ましい。溶融した後に脱泡、撹拌などにより均質化することが好ましい。
なお、溶融工程と分相工程の間または分相工程において、ガラスを攪拌して均質化することが好ましい。
【0019】
溶融温度は、後述の分相開始温度を考慮して設定するとよい。溶融温度は分相開始温度以上であることが好ましい。溶融温度を分相開始温度以上に設定すると、溶融窯中の温度分布による遮蔽度(白色度)の不均質を小さくすることができる。
【0020】
[分相工程]
分相工程は、溶融工程で溶融させたガラスを分相させる工程である。本発明において、ガラスの分相とは、単一相のガラスが二つ以上のガラス相に分かれることをいう。ガラスを分相させる方法としては、ガラスを分相開始温度以下且つ1200℃超で保持して分相させる方法が好ましい。
【0021】
ここで、「ガラスを分相開始温度以下且つ1200℃超で保持する」とは、分相開始温度以下且つ1200℃超の温度のいずれかの温度で一定温度としてガラスを保持することを含むとともに、分相開始温度以下且つ1200℃超の温度範囲において一定の冷却速度でガラスを冷却することも含む。すなわち、「分相開始温度以下且つ1200℃超の温度におけるガラスの保持時間」とは、当該温度範囲内に入った時刻と出た時刻の差である経過時間の合計をいう。
【0022】
ガラスを分相処理する温度は、分相開始温度以下且つ1200℃超であることが好ましく、1225℃以上であることがより好ましく、1250℃以上であることがさらに好ましく、1275℃以上であることがさらに好ましく、1300℃以上であることが特に好ましい。また、1500℃以下であることが好ましく、1400℃以下であることがより好ましく、1350℃以下であることがさらに好ましく、1325℃以下であることが特に好ましい。
【0023】
ガラスを分相処理する時間は、生産効率の観点から、1分間以上が好ましく、5分間以上がより好ましく、8分間以上がさらに好ましい。また、6時間以下が好ましく、4時間以下がより好ましく、2時間以下がさらに好ましく、90分間以下が特に好ましい。
【0024】
分相開始温度以下且つ1200℃超の温度のいずれかの温度におけるガラスの粘性は、10
6dPa・s以下であることが好ましく、10
5dPa・s以下であることがより好ましく、10
4dPa・s以下であることがより好ましく、10
3.5dPa・s以下であることがさらに好ましく、10
3dPa・s以下であることが特に好ましく、また、10
2dPa・s以上であることが好ましく、10
2.5dPa・s以上であることがより好ましく、10
2.7dPa・s以上であることがさらに好ましい。ガラスの粘性が10
6dPa以下であることにより、分相処理後の成形がしやすくなる。また、ガラスの粘性が10
2dPa以上であることにより、白色度の不均一を抑制することができる。
【0025】
分相開始温度は、例えば、テクセル社製ホットサーモカップル(Hot−thermocouple)装置を用いて測定することができる。ホットサーモカップル装置は、熱電対を用いて温度検出、ヒータ機能及び試料保持機能を持たせたものである(日本国特開2007−178412号公報;日本国特開2011−059089号公報;日本熱測定学会誌、Vol13、No.2、1986年)。ホットサーモカップル装置は、加熱用波形の半サイクルで熱電対を形成させたフィラメントを加熱し、残り半サイクルでフィラメントに発生する熱起電力を測温回路で測定する。
【0026】
ホットサーモカップル装置における熱電対の接合点付近にガラス粉末を付着し、1650℃まで加熱して溶解したガラス融体を光学顕微鏡で観察しながら、該ガラス融体の温度を1650℃から1℃/sで低下し、該ガラス融体に曇りが発生した温度を「分相開始温度」とする。
【0027】
もしくは、調合した原料バッチ、または、ガラスカレットを1600℃で均一に溶解し、1600℃以下の一定温度で30分間保持した後急冷し、分相粒子の成長の有無により分相温度開始温度以下であるかどうか判断することができる。分相粒子のサイズは走査型電子顕微鏡(SEM)で観察する。保持温度が分相温度開始温度以下の場合、分相粒子は成長するが、分相温度開始温度より高い場合は成長しない。1600℃以下の温度で、10℃ごとに保持温度を変え、分相粒子の成長の有無を確認し、分相開始温度を求めることができる。特に、揮散成分を含む場合には分相粒子の成長の有無をSEMで確認する方法が好ましい。
【0028】
ガラスが分相しているか否かは、透過率が分相処理前と比較して低下しているか否かにより観察することができる。分相したガラスの透過率は、波長600nmの光に対する1mm厚のガラスの透過率が80%以下であることが好ましく、50%以下であることがより好ましい。
【0029】
分相ガラスに遮蔽性を持たせるためには、1mm厚のガラスの波長800nm、波長600nmおよび波長400nmの各波長での光の透過率が50%以下であることが好ましく、40%以下であることがより好ましく、30%以下であることがさらに好ましく、20%以下であることが特に好ましく、10%以下であることが最も好ましい。また、1mm厚のガラスの波長800nmの光の透過率が20%以下であることが好ましい。
【0030】
また、厚み1mmにおける波長1000nmの波長での光透過率が50%以下であることが好ましく、40%以下であることが好ましく、30%以下であることがさらに好ましく、20%以下であることが特に好ましく、10%以下であることが最も好ましい。分相したガラスの透過率は、通常の透過率測定(直線透過率測定)により測定することができる。
【0031】
色味の付きにくい分相ガラスとするためには、厚み1mmにおける波長800nm〜400nmにおける波長での光透過率の最大値(Tmax)を最小値(Tmin)で除した値(Tmax/Tmin)が50以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましく、2以下であることがさらに好ましい。
【0032】
また、ガラスが分相しているか否かは、SEM(scanning electron microscope、走査型電子顕微鏡)によっても判断することができる。すなわち、ガラスが分相している場合、SEMで観察すると、2つ以上の相に分かれていることが観察できる。
【0033】
分相したガラスの状態としては、バイノーダル状態およびスピノーダル状態が挙げられる。バイノーダル状態とは、核生成―成長機構による分相であり、一般的には球状である。また、スピノーダル状態とは、分相が、ある程度規則性を持った、3次元で相互かつ連続的に絡み合った状態である。
【0034】
分相したガラスをイオン交換処理して化学強化ガラスを製造する場合は、表面圧縮応力を有する化学強化層における表面圧縮応力を高くするためには、イオン交換処理に供する分相したガラスがバイノーダル状態であることが好ましい。特に、アルカリリッチのマトリックス中に、シリカリッチのその他成分の分散相が存在していることが好ましい。このようにするためにはアルカリ金属酸化物の含有量を大きくすることが好ましい。
【0035】
分相したガラスは白色化していることが好ましい。分相したガラスを白色化するためには、分相したガラスにおける分散相の平均粒子径(直径)が200nm以上であることが好ましく、230nm以上であることがより好ましく、250nm以上であることがさらに好ましい。また、2000nm以下であることが好ましく、1500nm以下であることがより好ましく、1000nm以下であることがさらに好ましい。分散相の平均粒子径はSEM観察をすることにより測定することができる。
【0036】
また、分相したガラスを白色化するためには、分相したガラスにおける分散相の粒子とその周りのマトリックスにおける屈折率差が大きいことが好ましい。さらに、分相したガラスにおける分散相の粒子の体積の割合が10%以上であることが好ましく、13%以上であることがより好ましく、15%以上であることがさらに好ましい。ここで、分散相の粒子の体積の割合は、SEM観察写真からガラス表面に分布している分散粒子の割合を計算し、該分散粒子の割合から見積もることができる。
【0037】
[成形工程]
成形工程は、分相工程により分相させたガラスを成形する工程である。成形工程においては、周知の、フロート法、ダウンドロー法、プレス法若しくはロールアウト法などによって板状等に、またはキャストしてブロック状に成形し、徐冷後、任意の形状に加工し、所望の形状に加工する。化学強化ガラスを製造する場合は、成形後にイオン交換処理を施すことが好ましい。
【0038】
本発明の分相ガラスは、平板状だけでなく、凹状または凸状に成形されてもよい。この場合、平板またはブロック等に成形したガラスを再加熱し溶融した状態でプレス成形してもよい。また、溶融ガラスを直接プレス型上に流出しプレス成形する、いわゆるダイレクトプレス法にて所望の形状に成形してもよい。また、電子機器の表示装置またはコネクタに対応する箇所をプレス成形と同時に加工したり、プレス成形後に切削加工等したりしてもよい。
【0039】
[ガラス組成]
本発明の製造方法において溶融工程に供するガラスは、分相開始温度が1200℃超であり、1200℃超で撹拌できる粘度にある組成であることが好ましい。溶融工程に供するガラスの粘度は、典型的には10
6dPa・s以下であることが好ましく、10
5dPa・s以下であることがより好ましく、10
4dPa・s以下であることがより好ましく、10
3.5dPa・s以下であることがさらに好ましく、10
3dPa・s以下であることが特に好ましく、また、10
2dPa・s以上であることが好ましく、10
2.5dPa・s以上であることがより好ましく、10
2.7dPa・s以上であることがさらに好ましい。分相開始温度が1200℃超であり、1200℃超で撹拌できる粘度(典型的には10
6dPa・s以下)にあることにより、均質性を向上することができる。
【0040】
本発明の製造方法において溶融工程に供するガラスは、アルカリシリケートガラスであり、Na
2OおよびK
2Oを合計6質量%以上、P
2O
5を0.5質量%以上含有することが好ましい。アルカリシリケートガラスであることにより、分相ガラスをイオン交換しやすく、耐久性および強度が向上する。Na
2OおよびK
2Oの合計含有量は6質量%以上であることが好ましく、8質量%以上であることがより好ましい。Na
2OおよびK
2Oを合計で6質量%以上含有することにより、分相ガラスをイオン交換処理する場合にガラスの強度を高めることができる。
【0041】
また、P
2O
5の含有量は、0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましい。P
2O
5の含有量を0.5質量%以上とすることにより、ガラスが分相し易くなる。
【0042】
また、ガラスがCaOまたはBaOを含む場合は、CaOおよびBaOの合計含有量が6質量%未満であることが好ましく、4質量%以下であることがより好ましい。CaOおよびBaOの合計含有量が6質量%未満であることにより、イオン交換が阻害されにくくなる。
【0043】
本発明の製造方法において溶融工程に供するガラスの組成としては、以下の組成I〜Vが挙げられる。
【0044】
(組成I)
本発明の製造方法において溶融工程に供するガラスは、酸化物基準のモル百分率表示でSiO
2を50〜80%、Al
2O
3を0〜10%、B
2O
3を0〜7%、MgOを2〜30%、ZrO
2、P
2O
5、TiO
2およびLa
2O
3から選ばれる少なくとも1を合計で0.5〜10%、Na
2Oを1〜17%含有することが好ましい。
【0045】
SiO
2の含有量は50〜80%であることが好ましく、55〜75%であることがより好ましく、58〜70%であることがさらに好ましい。Al
2O
3の含有量は、0〜10%であることが好ましく、1〜7%であることがより好ましく、2〜5%であることがさらに好ましい。なお、例えばAl
2O
3の含有量は0〜10%が好ましいとは、Al
2O
3は含有しても含有しなくてもよいが、含有する場合その含有量は10%以下が好ましい、の意である。
【0046】
B
2O
3の含有量は0〜7%であることが好ましく、0〜4%であることが好ましく、0.3〜3%であることがより好ましく、0.5〜2%であることがさらに好ましい。MgOの含有量は、2〜30%であることが好ましく、5〜30%であることがより好ましく、10〜28%であることがより好ましく、15〜25%であることがさらに好ましい。
【0047】
ガラスは、ZrO
2、P
2O
5、TiO
2およびLa
2O
3から選ばれる少なくとも1を含むことが好ましい。ガラスが、ZrO
2、P
2O
5およびLa
2O
3から選ばれる少なくとも1を含むことにより、ガラスの白みを増すことができる。その合量は0.5〜10%であることが好ましい。
【0048】
ガラスにおけるZrO
2の含有量は、0〜5%であることが好ましく、0.5〜3%であることがより好ましい。分相したガラスにおけるP
2O
5の含有量は、0〜10%であることが好ましく、0.5〜7%であることがより好ましく、1〜6%であることがさらに好ましい。分相したガラスにおけるTiO
2の含有量は、0〜10%であることが好ましく、0.5〜7%であることがより好ましく、1〜6%であることがさらに好ましい。ガラスにおけるLa
2O
3の含有量は、0〜2%であることが好ましく、0.2〜1%であることがより好ましい。
【0049】
ガラスがNa
2Oを含有していることにより、その後のイオン交換処理によるガラスの強度を高めることができる。ガラスにおけるNa
2Oの含有量は、1〜17%が好ましく、3〜11%がより好ましく、4〜14%がさらに好ましい。Na
2Oの含有量を1%以上とすることによりイオン交換により所望の表面圧縮応力層を形成し易くなる。また、Na
2Oを17%以下とすることにより耐候性を向上することができる。
【0050】
(組成II)
本発明の製造方法において溶融工程に供するガラスは、酸化物基準のモル百分率表示でSiO
2を50〜80%、Al
2O
3を0〜10%、B
2O
3を0〜4%、MgOを5〜30%、ZrO
2、P
2O
5、TiO
2およびLa
2O
3から選ばれる少なくとも1を合計で0.5〜10%、Na
2Oを1〜17%含有することが好ましい。
【0051】
MgOの含有量は、5〜30%であることが好ましく、10〜28%であることがより好ましく、15〜25%であることがさらに好ましい。その他の組成については、組成Iと同様である。
【0052】
(組成III)
本発明の製造方法において溶融工程に供するガラスは、下記酸化物基準のモル百分率表示で、SiO
2を50〜80%、Al
2O
3を0〜8%、MgOを11〜30%、Na
2Oを0〜15%、P
2O
5を0.5〜15%を含有することが好ましい。
【0053】
SiO
2の含有量としては、50〜80%であることが好ましく、52%以上であることがより好ましく、55%以上であることがさらに好ましく、60%以上であることが特に好ましい。また、75%以下であることがより好ましく、73%以下であることがさらに好ましく、66%以下であることが特に好ましい。SiO
2の含有量を50%以上とすることにより、ガラスとしての耐候性や耐傷性が低下するのを防ぐことができる。一方、SiO
2の含有量を80%以下とすることにより、ガラスの溶融温度が高くなるのを防ぐことができる。
【0054】
Al
2O
3の含有量は0〜8%であることが好ましい。Al
2O
3を含有する場合は0.5%以上が好ましく、より好ましくは1%以上である。Al
2O
3は、ガラスの化学的耐久性や熱膨張率を低下させる働きとともに、SiO
2と他の成分との分散安定性を著しく向上させ、ガラスの分相を均一にならしめる機能を付与させる効果がある。Al
2O
3の含有量を0.5%以上含有することにより、その効果が小さい。イオン交換により化学強化特性を向上させたい場合には、2%以上が好ましく、3%以上がより好ましい。
【0055】
Al
2O
3の含有量は8%以下であることが好ましく、より好ましくは6%以下、さらに好ましくは5%以下、特に好ましくは4%以下である。Al
2O
3の含有量を8%以下とすることにより、ガラスの溶解温度が高くなるのを防ぎ、また、分相が生じにくくなるのを防ぎ、透過率が高くなるのを抑制することができる。
【0056】
MgOの含有量は11〜30%であることが好ましい。MgOの含有量は、より好ましくは13%以上、さらに好ましくは15%以上であり、また、より好ましくは27%以下、さらに好ましくは25%以下である。MgOは、ガラスの熱膨張率を低下させたり、SiO
2、Na
2Oと相俟って分相を促進しやすくし乳白度を向上させたりする効果を有する成分である。
【0057】
MgOの含有量を11%以上とすることにより、乳白度が十分となる。30%以下とすることにより、逆に乳白度が低下するのを防ぐことができる。イオン交換による化学強化特性を向上させたい場合には、MgOの含有量を25%以下が好ましく、23%以下がより好ましく、典型的には18%以下である。
【0058】
Na
2Oの含有量は0〜15%であることが好ましい。より好ましくは14%以下、さらに好ましくは13%以下である。特に白みを持たせたい場合には12%以下であることが好ましく、より好ましくは11%以下、さらに好ましくは10%以下である。Na
2Oの含有量を15%以下とすることにより、ガラスの耐候性が低下するのを防ぎ、乳白度が低下するのを抑制することができる。
【0059】
Na
2Oの含有はガラスの溶融性を低下させる点で好適であり、また、化学強化を行う場合はNa
2Oを含有することが好ましい。Na
2Oを含有する場合その含有量は1%以上であることが好ましく、より好ましくは2%以上であり、さらに好ましくは4%以上である。1%以上とすることにより、含有効果が十分に得られる。
【0060】
イオン交換処理によるガラスの強度を高めたい場合、Na
2Oの含有量は1.5%以上であることが好ましく、6%以上がより好ましい。Na
2Oの含有量を1.5%以上とすることにより、イオン交換をする場合に所望の表面圧縮応力を形成し易くなる。特に好ましくは8%以上、典型的には9%以上である。
【0061】
P
2O
5は、SiO
2、MgO、Na
2Oと相俟って分相を促進し、ガラスの乳白色化を著しく促進する基本成分である。P
2O
5の含有量は0.5〜15%であることが好ましい。より好ましくは1%以上、さらに好ましくは3%以上、特に好ましくは4%以上であり、また、より好ましくは14%以下、さらに好ましくは10%以下、特に好ましくは7%以下である。
【0062】
P
2O
5の含有量を0.5%以上とすることにより、ガラスの乳白度が十分となる。また、15%以下とすることにより、揮散が生じにくくなり、逆に乳白色のムラが大きくなるのを防ぎ、ガラスの美観が損なわれるのを防ぐ。
【0063】
SiO
2が58〜66%未満である場合、Al
2O
3は2〜6%、B
2O
3は0〜6%、MgOは11〜18%、Na
2Oは8〜13%、P
2O
5は3〜7%であることが好ましい。
【0064】
組成IIIにおいては、前記5成分の外に、以下のような成分を含有することが好適な場合がある。なお、この場合においても前記5成分の含有量の合計は90%以上であることが好ましく、典型的には94%以上である。
【0065】
ZrO
2は必須成分ではないが、化学耐久性を著しく向上させるために4.5%まで含有してもよく、好ましくは4%以下、より好ましくは3%以下である。ZrO
2の含有量を4.5%以下とすることにより、乳白度が低下するのを防ぐことができる。
【0066】
CaO、SrOおよびBaOはいずれも必須成分ではないが、乳白度を増すためにこれら成分の1以上を含有してもよい。
【0067】
CaOを含有する場合その含有量は3%以下であることが好ましい。3%以下とすることにより失透しにくくなる、またはイオン交換されにくくなるのを防ぐことができる。
【0068】
CaO、SrOおよびBaOの含有量の合計は12%以下であることが好ましく、より好ましくは8%以下、6%以下、4%以下であり、典型的には3%以下である。12%以下とすることにより失透しにくくなる、またはイオン交換されにくくなるのを防ぐことができる。
【0069】
B
2O
3は必須成分ではないが、ガラスの溶融性を増加させるとともに、ガラスの乳白度を向上させ、熱膨張率を低下させ、さらには耐候性も向上させために9%まで含有してもよく、好ましくは6%以下、より好ましくは4%以下、特に好ましくは3%以下である。B
2O
3の含有量を9%以下とすることにより、乳白度にむらが生じてしまうのを防ぐことができる。
【0070】
La
2O
3はガラスの乳白度を向上させる点で好適であり、0〜5%含有することができ、好ましくは3%以下、より好ましくは2%以下である。La
2O
3の含有量を5%以下とすることにより、ガラスが脆くなるのを防ぐことができる。
【0071】
(組成IV)
本発明の製造方法において溶融工程に供するガラスは、下記酸化物基準のモル百分率表示で、SiO
2を50〜70%、B
2O
3を0〜8%、Al
2O
3を1〜8%、MgOを0〜18%、CaOを0〜7%、SrOを0〜10%、BaOを0〜12%、ZrO
2を0〜5%、Na
2Oを5〜15%、P
2O
5を2〜10%含有し、CaO、SrOおよびBaOの含有量の合計が1〜15%、MgO、CaO、SrOおよびBaOの含有量の合計ROが10〜25%、CaO含有量とROの比CaO/ROが0.7以下であることが好ましい。
【0072】
SiO
2の含有量は、50〜70%であることが好ましく、より好ましくは53%以上、さらに好ましくは55%以上、特に好ましくは57%以上であり、また、より好ましくは68%以下、さらに好ましくは65%以下である。50%以上とすることによりガラスとしての耐候性または耐傷性が低下するのを防ぐことができる。一方、70%以上とすることによりガラスの溶融温度が高くなるのを防ぐことができる。
【0073】
B
2O
3は必須成分ではないが、ガラスの溶融性を増加させるとともに、ガラスの乳白度を向上させ、熱膨張率を低下させ、さらには耐候性も向上させために8%まで含有してもよい。8%を超えると乳白度にむらが生じてしまう恐れがある。好ましくは7%以下、より好ましくは6%以下である。
【0074】
Al
2O
3の含有量は1〜8%であることが好ましく、より好ましくは2%以上であり、さらに好ましくは3%以上であり、また、より好ましくは7%以下、6%以下、さらに好ましくは5%以下、特に好ましくは4%以下である。イオン交換により化学強化特性を向上させたい場合には、3%以上が好ましく、4%以上がより好ましい。
【0075】
Al
2O
3は、ガラスの化学的耐久性を向上させる働きとともに、SiO
2と他の成分との分散安定性を著しく向上させ、ガラスの分相を均一にならしめる機能を付与させる効果がある。Al
2O
3の含有量を1%以上とすることにより、その効果が十分に得られる。また、Al
2O
3の含有量を8%以下とすることにより、ガラスの溶解温度が高くなるのを防ぎ、また、分相が生じにくくなるのを防ぎ、透過率が高くなるのを抑制することができる。
【0076】
MgOは必須ではないが、SiO
2、Na
2Oと相俟って分相を促進しやすくさせて乳白度を向上させたりするなどのために18%までの範囲で含有してもよく、好ましくは11%未満、10%以下、より好ましくは9%以下である。MgOの含有量を18%以下とすることにより、乳白度が低下するのを抑制することができる。乳白化をより促進させたい場合には8%以下が好ましい。
【0077】
MgOを含有する場合その含有量は0.5%超であることが好ましく、より好ましくは3%以上、さらに好ましくは5%以上、特に好ましくは7%以上である。。0.5%超とすることにより、その効果が十分に得られる。
【0078】
CaO、SrOおよびBaOは乳白度を大きくする効果を有する成分であり、いずれか1以上を含有することが好ましい。
【0079】
CaOを含有する場合その含有量は、好ましくは1%以上、より好ましくは2%以上であり、また7%以下であり、より好ましくは6%以下であり、さらに好ましくは5%以下である。7%以下とすることにより、失透するのを防ぐことができる。
【0080】
SrOを含有する場合その含有量は、好ましくは1%以上、より好ましくは2%以上であり、また10%以下であることが好ましく、より好ましくは8%以下である。10%以下とすることにより、失透するのを防ぐことができる。
【0081】
BaOを含有する場合その含有量は、好ましくは1%以上、より好ましくは3%以上、さらに好ましくは5%以上であり、また好ましくは12%以下、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは9%以下である。12%以下とすることにより失透しにくくなる。BaOは白色度を促進する効果が他のアルカリ土類金属酸化物より大きい。
【0082】
これら成分の含有量の合計CaO+SrO+BaOは1〜15%であることが好ましく、より好ましくは2%以上であり、さらに好ましくは3%以上であり、特に好ましいのは5%以上であり、また、より好ましくは13%以下、さらに好ましくは12%以下、特に好ましくは10%以下である。CaO+SrO+BaOを1%以上とすることにより含有効果が十分に得られる。また、15%以下とすることにより失透しにくくなる。
【0083】
MgO、CaO、SrOおよびBaOの含有量の合計ROは、10%以上とすることが好ましく、より好ましくは12%以上であり、また、好ましくは22%以下、より好ましくは20%以下である。ROを10%以上とすることにより、溶解温度が高くなるのを防ぐ。25%以下とすることにより失透しにくくなる。
【0084】
CaO含有量とROのCaO/ROは、0.7以下であることが好ましく、より好ましくは0.6以下、さらに好ましくは0.5以下である。CaO/ROを0.7超以下とすることにより失透しにくくなる。
【0085】
ZrO
2は必須ではないが、化学耐久性を向上させる等のために5%まで含有してもよく、好ましくは4%以下、より好ましくは3%以下である。含有量を5%以下とすることにより乳白度が低下するのを防ぐことができる。ZrO
2を含有する場合その含有量は0.5%以上であることが好ましい。0.5%以下とすることにより含有効果が十分に得られる。
【0086】
Na
2O含有量は5〜15%であることが好ましく、より好ましくは8%以上であり、さらに好ましくは9%以上であり、また、より好ましくは14%以下、さらに好ましくは13%以下である。特に白みを持たせたい場合には12%以下、好ましくは11%以下である。
【0087】
Na
2Oはガラスの溶融性を向上させる効果があり、Na
2O含有量を5%以上とすることによりその含有効果が十分に得られる。また逆に15%以下とすることにより、ガラスの耐候性が低下するのを防ぎ、乳白度が低下するのを抑制することができる。
【0088】
イオン交換処理によるガラスの強度を高めたい場合、Na
2Oの含有量は6%以上が好ましく、より好ましくは7%以上、さらに好ましくは8%以上、特に好ましくは9%以上である。6%以上とすることにより、イオン交換により所望の表面圧縮応力を形成することが困難となるのを防ぐことができる。
【0089】
P
2O
5はガラスの乳白色化を著しく促進する基本成分である。P
2O
5の含有量は2%以上であることが好ましく、より好ましくは3%以上、さらに好ましくは4%以上であり、また、10%以下であることが好ましく、より好ましくは8%以下、さらに好ましくは7%以下である。
【0090】
P
2O
5の含有量を2%以上とすることにより、ガラスの乳白度が十分となる。一方、10%以下とすることにより、揮散が生じにくくなり、逆に乳白色のムラが大きくなるのを防ぎ、ガラスの美観が損なわれるのを抑制することができる。
【0091】
CaOを含有する場合その含有量とP
2O
5含有量の比CaO/P
2O
5は1.5以下であることが好ましく、より好ましくは1.2以下である。1.5超では失透しやすくなる。
【0092】
本発明のガラスは本質的に上記成分からなるが、本発明の目的を損なわない範囲でそれ以外の成分を用いてもよいが、その場合そのような成分の合計は9%以下であることが好ましい。なお、SiO
2、Al
2O
3、MgO、Na
2O、P
2O
5、CaO、SrOおよびBaOの8成分の含有量の合計は90%以上であることが好ましく、典型的には94%以上である。
【0093】
前記それ以外の成分としてはたとえば、La
2O
3はガラスの乳白度を向上させる効果を有し5%以下の範囲で含有してもよく、好ましくは3%以下、より好ましくは2%以下である。5%超含有すると、ガラスが脆くなるおそれがある。
【0094】
(組成V)
本発明の製造方法において溶融工程に供するガラスは、下記酸化物基準のモル百分率表示で、SiO
2を50〜73%、B
2O
3を0〜10%、Na
2Oを3〜17%、Nb
2O
5およびGd
2O
3の少なくとも一方を0.5〜10%並びにP
2O
5を0.5〜10%含有し、MgO、CaO、SrOおよびBaOの含有量の合計ROが2〜25%であることが好ましい。
【0095】
SiO
2は、本発明の白色ガラスにおいて、ガラスの網目構造を形成する基本的成分である。すなわち、非晶質構造をとり、ガラスとしての優れた機械的強度、耐候性、あるいは光沢を発揮する。
【0096】
SiO
2の含有量は、50%以上であることが好ましく、より好ましくは53%以上、さらに好ましくは55%以上、特に好ましくは57%以上であり、また、73%以下であるのが好ましく、より好ましくは70%以下、さらに好ましくは68%以下、特に好ましくは65%以下である。
【0097】
SiO
2の含有量を50%以上とすることにより、ガラスとしての耐候性または耐傷性が向上する。一方、SiO
2の含有量を73%以下とすることによりガラスの溶融温度が過度に高くならない。
【0098】
B
2O
3は必須成分ではないが、ガラスの溶融性を向上させるとともに、ガラスの遮蔽性を向上させ、熱膨張率を低下させ、さらには耐候性も向上させるために0.5%以上含有させることが好ましい。
【0099】
B
2O
3の含有量は、10%以下であることが好ましく、より好ましくは8%以下、さらに好ましくは6%以下である。またB
2O
3を含有する場合は0.5%以上であることが好ましく、より好ましくは1%以上、さらに好ましくは2%以上、特に好ましくは3%以上である。
【0100】
B
2O
3の含有量を10%以下とすることにより、ガラスの白色度にむらが生じるのを防ぐことができる。揮散を抑えたい場合は4%以下が好ましい。
【0101】
Na
2O含有量は3%以上であることが好ましく、より好ましくは5%以上であり、さらに好ましくは8%以上であり、特に好ましくは9%以上であり、また、17%以下であることが好ましく、より好ましくは14%以下、さらに好ましくは12%以下、特に好ましくは10%以下である。
【0102】
Na
2Oはガラスの溶融性を向上させる効果があり、Na
2Oの含有量を3%以上とすることにより、その含有効果が十分に得られる。また、Na
2Oの含有量を17%以下とすることにより、ガラスの耐候性が低下するのを防ぎ、また、遮蔽性が低下するのを防ぐことができる。
【0103】
特にガラスに遮蔽性を持たせたい場合にはNa
2Oの含有量を12%以下とすることが好ましく、より好ましくは11%以下である。また、イオン交換処理によりガラスの強度を高めたい場合、Na
2Oの含有量を6%以上とすることが好ましい。
【0104】
Nb
2O
5およびGd
2O
3の少なくとも一方の含有量は0.5%以上であることが好ましく、より好ましくは1%以上、さらに好ましくは2%以上、特に好ましくは3%以上であり、また、10%以下であることが好ましく、より好ましくは8%以下であり、さらに好ましくは6%以下であり、特に好ましくは5%以下である。
【0105】
Nb
2O
5およびGd
2O
3の少なくとも一方の含有量を0.5%以上とすることにより、2層に分相したガラスの屈折率差を大きくさせる効果を十分に得られ、遮蔽性を向上することができる。一方、Nb
2O
5およびGd
2O
3の少なくとも一方の含有量を10%以下とすることにより、ガラスがもろくなるのを防ぐことができる。
【0106】
Nb
2O
5の含有量は0.5%以上であることが好ましく、より好ましくは1%以上、さらに好ましくは2%以上、特に好ましくは3%以上であり、また、10%以下であることが好ましく、より好ましくは8%以下、さらに好ましくは6%以下、特に好ましくは5%以下である。
【0107】
Nb
2O
5の含有量を0.5%以上とすることにより、2層に分相したガラスの屈折率差を大きくさせる効果が十分に得られ、遮蔽性を向上することができる。また、Nb
2O
5の含有量を10%以下とすることにより、ガラスがもろくなるのを防ぐことができる。
【0108】
Gd
2O
3の含有量は0.5%以上であることが好ましく、より好ましくは1%以上、さらに好ましくは2%以上、特に好ましくは3%以上であり、また、10%以下であることが好ましく、より好ましくは8%以下、さらに好ましくは6%以下、特に好ましくは5%以下である。
【0109】
Gd
2O
3の含有量を0.5%以上とすることにより、2層に分相したガラスの屈折率差を大きくさせる効果が十分に得られ、遮蔽性を向上することができる。また、Gd
2O
3の含有量を10%以下とすることにより、ガラスがもろくなるのを防ぐことができる。
【0110】
P
2O
5はガラスの白色化を著しく促進する基本成分である。P
2O
5の含有量は、0.5%以上であることが好ましく、より好ましくは2%以上、さらに好ましくは4%以上であり、また、10%以下であることが好ましく、より好ましくは8%以下、さらに好ましくは7%以下、特に好ましくは6%以下である。
【0111】
P
2O
5の含有量を0.5%以上とすることにより、ガラスの遮蔽性が十分となる。一方、P
2O
5の含有量を10%以下とすることにより、揮散が生じにくく、白色のムラが大きくなるのを抑え、ガラスの美観が損なわれるのを防ぐことができる。
【0112】
MgO、CaO、SrOおよびBaOは遮蔽性を大きくする効果を有する成分であり、いずれか1以上を含有しなければならない。
【0113】
MgOは必須ではないが、SiO
2およびNa
2Oと相俟って分相を促進して遮蔽性を向上するため、18%までの範囲で含有することが好ましい。MgOの含有量は18%以下であることが好ましく、より好ましくは11%以下、さらに好ましくは10%以下、特に好ましくは9%以下である。MgOの含有量を18%以下とすることにより、遮蔽性が低下する場合があるのを防ぐことができる。
【0114】
また、MgOを含有する場合、その含有量は0.5%超であることが好ましく、好ましくは3%以上、より好ましくは5%以上、さらに好ましくは7%以上である。0.5%超とすることにより、分相を促進させて遮蔽性を向上する効果を十分に得ることができる。
【0115】
CaOを含有する場合、その含有量は好ましくは1%以上であり、より好ましくは2%以上であり、また、7%以下であることが好ましく、より好ましくは6%以下、さらに好ましくは5%以下である。CaOの含有量を7%以下とすることにより、失透するのを防ぐことができる。
【0116】
SrOを含有する場合、その含有量は好ましくは1%以上であり、より好ましくは2%以上、また10%以下であることが好ましく、より好ましくは8%以下である。SrOの含有量を10%以下とすることにより、失透するのを防ぐことができる。
【0117】
BaOは遮蔽性を促進する効果が他のアルカリ土類金属酸化物より大きい。BaOを含有する場合、その含有量は好ましくは1%以上、より好ましくは3%以上、さらに好ましくは5%以上であり、また12%以下であることが好ましく、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは9%以下である。BaOの含有量を12%以下とすることにより、失透するのを防ぐことができる。傷をつきにくくしたい場合は、8%以下が好ましく、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは2%以下である。
【0118】
MgO、CaO、SrOおよびBaOの含有量の合計ROは、好ましくは2%以上であり、より好ましくは4%以上、さらに好ましくは6%以上、特に好ましくは8%以上であり、また、好ましくは25%以下であり、より好ましくは20%以下、さらに好ましくは16%以下、特に好ましくは12%以下である。
【0119】
MgO、CaO、SrOおよびBaOの含有量の合計ROを2%以上とすることにより溶解温度が高くなるのを防ぐことができる。一方、MgO、CaO、SrOおよびBaOの含有量の合計ROを25%以下とすることにより失透しにくくなる。
【0120】
Al
2O
3は、ガラスの化学的耐久性を向上させる働きとともに、SiO
2と他の成分との分散安定性を著しく向上させ、ガラスの分相を均一にならしめる機能を付与させる効果がある。
【0121】
Al
2O
3の含有量は1%以上であることが好ましく、より好ましくは2%以上であり、さらに3%以上が好ましく、また、8%以下であることが好ましく、より好ましくは7%以下、さらに好ましくは6%以下、特に好ましくは5%以下、最も好ましくは4%以下である。
【0122】
Al
2O
3の含有量を1%以上とすることにより、その効果を十分に得ることができる。イオン交換により化学強化特性を向上させたい場合には、3%以上が好ましく、4%以上がより好ましい。一方、Al
2O
3の含有量を8%以下とすることにより、ガラスの溶解温度が高くなるのを防ぎ、また、遮蔽性が低下するのを防ぐことができる。
【0123】
ZrO
2は必須ではないが、化学耐久性を向上させる等のために5%まで含有してもよい。好ましくは4%以下、より好ましくは3%以下である。ZrO
2の含有量を5%以下とすることにより、遮蔽性が低下するのを防ぐことができる。ZrO
2を含有する場合その含有量は0.5%以上であることが好ましい。0.5%以上とすることにより含有効果を十分に得ることができる。
【0124】
TiO
2は必須ではないが、ヤング率を増大させるために、5%以下の範囲で含有させてもよく、3%以下が好ましい。含有させる場合は0.5%以上含有させることが好ましい。TiO
2の含有量を5%以下とすることにより失透温度が高くなるのを防ぐことができる。
【0125】
K
2Oは必須ではないがイオン交換処理による圧縮応力層の厚み(DOL)を増大するために、5%以下の範囲で含有させてもよく、3%以下がより好ましい。K
2Oを含有させる場合は0.5%以上含有させることが好ましい。K
2Oの含有量を5%以下とすることによりイオン交換処理における表面圧縮応力(CS)が小さくなるのを防ぐことができる。
【0126】
Li
2Oは必須ではないが、ヤング率を増大させるために、5%以下の範囲で含有させてもよく、3%以下がより好ましい。Li
2Oを含有させる場合は0.5%以上含有させることが好ましい。Li
2Oの含有量を5%以下とすることにより失透温度が高くなるのを防ぐことができる。
【0127】
本発明のガラスは本質的に上記成分からなるが、本発明の目的を損なわない範囲でそれ以外の成分を用いてもよいが、その場合そのような成分の合計は10%以下であることが好ましい。なお、SiO
2、Al
2O
3、B
2O
3、MgO、Na
2O、ZrO
2、P
2O
5、CaO、SrO、Nb
2O
5、Gd
2O
3およびBaOの12成分の含有量の合計は90%以上であることが好ましく、典型的には94%以上である。
【0128】
前記それ以外の成分としては、例えば、La
2O
3は必須ではないが、ガラスの遮蔽性を向上させるために、含有することができる。好ましくは0.5%以上である。また、ガラスが脆くならないために、5%以下とするのが好ましく、3%以下がより好ましく、2%以下がさらに好ましい。
【0129】
本発明の製造方法において溶融工程に供するガラスとしては、前記組成I〜Vのガラスの他に、例えば、下記酸化物基準のモル百分率表示組成で、以下(1)〜(11)に示す組成のガラスが挙げられる。
(1)SiO
2を70〜90%、CaOを12〜25%、Li
2Oを0〜10%含有するガラス。具体的には、例えば、SiO
2が77%、CaOが18%、Li
2Oが5%であるガラス。
(2)SiO
2を70〜90%、MgOを10〜25%、Li
2Oを0〜5%含有するガラス。具体的には、例えば、SiO
2が79%、MgOが18%、Li
2Oが3%であるガラス。
(3)SiO
2を75〜95%、BaOを0〜15%、CaOを0〜10%含有するガラス。具体的には、例えば、SiO
2が87%、BaOが8%、CaOが5%であるガラス。
(4)SiO
2を70〜95%、CaOを0〜25%、MgOを0〜25%含有するガラス。具体的には、例えば、SiO
2が74、CaOが13%、MgOが13%であるガラス。
(5)SiO
2を70〜90%、Na
2Oを0〜5%、CaOを5〜25%含有するガラス。具体的には、例えば、SiO
2が82%、Na
2Oが3%、CaOが15%であるガラス。
(6)SiO
2を70〜90%、BaOを0〜15%、MgOを0〜20%含有するガラス。具体的には、例えば、SiO
2が82%、BaOが8%、MgOが10%であるガラス。
(7)SiO
2を80〜90%、LiO
2を0〜5%、BaOを5〜15%含有するガラス。具体的には、例えば、SiO
2が87%、LiO
2が3%、BaOが10%であるガラス。
(8)SiO
2を70〜90%、Na
2Oを0〜3%、MgOを15〜25%含有するガラス。具体的には、例えば、SiO
2が78%、Na
2Oが2%、MgOが20%であるガラス。
(9)SiO
2を50〜90%、MgOを0〜20%、TiO
2を0〜50%含有するガラス。具体的には、例えば、SiO
2が65%、MgOが10%、TiO
2が25%であるガラス。
(10)SiO
2を65〜90%、MgOを10〜30%、Al
2O
3を0〜5%含有するガラス。具体的には、例えば、SiO
2が77%、MgOが20%、Al
2O
3が3%であるガラス。
(11)SiO
2を75〜85%、MgOを0〜3%、Al
2O
3を15〜25%含有するガラス。具体的には、例えば、SiO
2が78%、MgOが2%、Al
2O
3が20%であるガラス。
【0130】
ガラスは、K
2Oを含有してもよい。K
2Oは溶融性を向上させる成分であるとともに、化学強化におけるイオン交換速度を大きくして所望の表面圧縮応力と応力層深さを得るようにするための成分である。K
2Oを含有させる場合その含有量は、好ましくは1%以上であり、また、イオン交換速度を向上させるためには、好ましくは2%以上、さらに好ましくは3%以上である。また、9%以下であることが好ましく、好ましくは7%以下、さらに好ましくは6%以下である。K
2Oの含有量を1%以上とすることにより溶融性を向上する効果が十分に得られる。また、9%以下とすることにより耐候性が向上する。
【0131】
ガラスに、着色成分として、Co、Mn、Fe、Ni、Cu、Cr、V、Bi、Er、Tm、Nd、Sm、Sn、Ce、Pr、Eu、AgまたはAuを添加してもよい。添加する場合は、カチオン%表示で5%以下である。
【0132】
[分相ガラス]
上記製造方法により得られる本発明の分相ガラスは、分相により生じた直径が100nm以上である粒子について、
図2(b)に示すように全体の平均粒子径(直径)をdA、粒子径(直径)が大きい方から1割の粒子径の平均値をdL、粒子径(直径)が小さい方から1割の粒子径(直径)の平均値をdSとしたときに、下記式(1)を満たす構造を有する。
(dL−dS)/dA≧1.0…(1)
【0133】
(dL−dS)/dAは1.0以上であり、1.1以上であることがより好ましく、1.2以上であることがさらに好ましい。また、通常7以下であることが好ましく、6以下であることがより好ましく、5以下であることがさらに好ましい。
【0134】
図2(a)および(b)は前記式(1)を説明するための概念図である。
図2(a)および(b)の横軸は、分相により生じた粒子の直径d、縦軸は粒子の個数Nを示す。
図2(a)のAは、従来の分相ガラスにおける分相により生じた粒子の粒径分布である。
図2(a)のCおよびDは、本発明の分相ガラスにおける分相により生じた粒子の粒径分布である。
【0135】
図2(a)のA、CおよびDに示すように、前記式(1)を満たす本発明の分相ガラスは、従来の分相ガラスと比較して、分相により生じた粒子における、粒子径の大きい粒子から小さい粒子に粒子径のサイズ分布が広がった分相ガラスである。本発明の製造方法における分相処理によると、粒子径の大きい粒子の個数をより増大させて、得られる分相ガラスを式(1)を満たす構造とし、遮蔽性の向上に貢献することができる。
【0136】
粒子径(直径)は次の方法により測定する。分相ガラスを光学研磨した後、0.1Mの塩酸水溶液に浸漬し60℃で1時間保持し、粒子相をエッチングした後、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して粒子径(直径)を測定する。粒子相は優先的にエッチングされ、凹形状となるため、粒子径を測定することができる。
【0137】
粒子相とマトリックス相の電子密度差が大きい場合は、SEMで観察した際、粒子相とマトリックス相のコントラストが強い。そのため、光学研磨をした後、エッチングせずにSEMにより粒子径(直径)を測定することができる。
【0138】
なお、粒子径(直径)が100nm未満の場合、波長400nm以上の透過率に対する寄与が小さいため、100nm以上である粒子径を測定し、その平均値をdA、上位10%の抽出した平均値をdL、下位10%の平均値をdSとする。
【0139】
前記dAは、遮蔽性の観点から、0.2μm超であることが好ましく、0.23μm以上であることがより好ましく、0.25μm以上であることがさらに好ましい。また、2μm以下であることが好ましく、1.5μm以下であることがより好ましく、1μm以下であることがさらに好ましい。
【0140】
[イオン交換処理]
携帯電話等に使用可能な電子機器は、使用時の落下衝撃による破損または長期間の使用による接触傷を考慮し、筐体に対し高い強度が求められる。このため、従来より、ガラス基板の耐傷性を向上させるため、ガラスを、化学強化することで表面に圧縮応力層を形成しガラス基板の耐傷性を高めている。本発明の製造方法により得られる分相ガラスをイオン交換処理して化学強化ガラスとする(以下、化学強化ガラスを本発明の化学強化ガラスともいう)ことにより、表面に圧縮応力層を備え、高い強度を備えることができる。
【0141】
化学強化とは、ガラス表面に圧縮応力層を形成し、ガラスの強度を高める方法である。具体的には、ガラス転移点以下の温度でイオン交換によりガラス板表面のイオン半径が小さなアルカリ金属イオン(典型的には、Liイオン、Naイオン)をイオン半径のより大きいアルカリイオン(典型的には、Liイオンに対してはNaイオンまたはKイオンであり、Naイオンに対してはKイオン)に交換する処理である。
【0142】
化学強化の方法としてはガラス表層のLi
2OまたはNa
2Oと溶融塩中のNa
2OまたはK
2Oとをイオン交換できるものであれば特に限定されないが、例えば加熱された硝酸カリウム(KNO
3)溶融塩にガラスを浸漬する方法が挙げられる。
【0143】
ガラスに所望の表面圧縮応力を有する化学強化層(表面圧縮応力層)を形成するための条件はガラスの厚さによっても異なるが、温度条件は、350〜550℃であることが好ましく、400〜500℃であることがより好ましい。また、化学強化する時間は、1〜144時間であることが好ましく、2〜24時間であることがより好ましい。溶融塩としては、例えば、KNO
3およびNaNO
3が挙げられる。具体的には、例えば、400〜550℃のKNO
3溶融塩に2〜24時間ガラスを浸漬させることが典型的である。
【0144】
筐体用途に用いられる化学強化ガラスの製造においては、ガラスが平板状である場合、研磨工程が行われることがある。ガラスの研磨工程においては、その最終段階の研磨に使用される研磨砥粒の粒径は2〜6μmが典型的であり、このような砥粒によって、ガラス表面には最終的に最大5μmのマイクロクラックが形成されると考えられる。
【0145】
化学強化による強度向上の効果を有効なものとするためには、ガラス表面に形成されるマイクロクラックより深い表面圧縮応力層があることが好ましく、化学強化によって生じる表面圧縮応力層の深さは6μm以上が好ましい。また、使用時に表面圧縮応力層の深さを超える傷がつくとガラスの破壊につながるため、表面圧縮応力層は深い方が好ましく、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは20μm以上、典型的には30μm以上である。
【0146】
一方、表面圧縮応力層が深くなりすぎると内部引張応力が大きくなり、破壊時の衝撃が大きくなる。すなわち、内部引張応力が大きいとガラスが破壊する際に細片となって粉々に飛散する傾向があることがわかっている。本発明者らによる実験の結果、厚さ2mm以下のガラスでは、表面圧縮応力層の深さが70μmを超えると、破壊時の飛散が顕著となることが判明した。
【0147】
したがって、本発明の化学強化ガラスは、表面圧縮応力層の深さは70μm以下が好ましい。本発明の化学強化ガラスを筐体として用いる場合、外装する電子機器にもよるが、例えば表面に接触傷がつく確率が高いパネル等の用途では、安全をみて表面圧縮応力層の深さを薄くしておくことも考えられ、より好ましくは60μm以下、さらに好ましくは50μm以下、典型的には40μm以下である。
【0148】
なお、本発明の化学強化ガラスの表面圧縮応力層の深さは、EPMA(electron probe micro analyzer)または表面応力計(例えば、折原製作所製FSM−6000)等を用いて測定することができる。
【0149】
例えば、イオン交換処理においてガラス表層のナトリウム成分と溶融塩中のカリウム成分とをイオン交換する場合、EPMAにて分相ガラスの深さ方向のカリウムイオン濃度分析を行い、測定により得られたカリウムイオン拡散深さを表面圧縮応力層の深さとみなす。
【0150】
また、イオン交換処理においてガラス表層のリチウム成分と溶融塩中のナトリウム成分とをイオン交換する場合、EPMAにて分相ガラスの深さ方向のナトリウムイオン濃度分析を行い、測定により得られたナトリウムイオン拡散深さを表面圧縮応力層の深さとみなす。
【0151】
また、本発明の化学強化ガラスよりも熱膨張係数が小さいガラスを表面に薄く被覆することで熱膨張差による表面圧縮応力を入れることも可能である。クリアガラスを用いれば、被覆したガラスの表面と裏面の反射により美観が向上する効果も得られる。
【0152】
本発明の化学強化ガラスは、1mm厚のガラスの波長1000nm、波長800nm、波長600nmおよび波長400nmの各波長での光の透過率が50%以下であることが好ましく、40%以下であることがより好ましく、30%以下であることがさらに好ましく、20%以下であることが特に好ましく、10%以下であることが最も好ましい。また、1mm厚のガラスの波長800nmの光の透過率が20%以下であることが好ましい。
【0153】
また、本発明の化学強化ガラスは、厚み1mmにおける波長1000nmの波長での光透過率が50%以下であることが好ましく、40%以下であることが好ましく、30%以下であることがさらに好ましく、20%以下であることが特に好ましく、10%以下であることが最も好ましい。化学強化ガラスの透過率は、通常の透過率測定(直線透過率測定)により測定することができる。
【0154】
本発明の化学強化ガラスは、厚み1mmにおける波長800nm〜400nmにおける波長での光透過率の最大値(Tmax)を最小値(Tmin)で除した値(Tmax/Tmin)が50以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましく、2以下であることがさらに好ましい。(Tmax/Tmin)が50以下であることにより、ガラスに色味の付きにくくなる。
【0155】
[用途]
本発明の分相ガラスまたは該分相ガラスをイオン交換処理して得られる化学強化ガラスの用途としては、例えば、携帯型電子機器、デスクトップパソコン、大型テレビ、建材、食器、多孔質ガラス、家具または家電製品などが挙げられる。
【0156】
携帯型電子機器とは、携帯して使用可能な通信機器または情報機器を包含する概念である。通信機器としては、例えば、通信端末として、携帯電話、PHS(Personal Handy−phone System)、スマートフォン、PDA(Personal Data Assistance)およびPND(Portable Navigation Device、携帯型カーナビゲーションシステム)が挙げられ、放送受信機として携帯ラジオ、携帯テレビおよびワンセグ受信機等が挙げられる。
【0157】
また、情報機器としては、例えば、デジタルカメラ、ビデオカメラ、携帯音楽プレーヤー、サウンドレコーダー、ポータブルDVDプレーヤー、携帯ゲーム機、ノートパソコン、タブレットPC、電子辞書、電子手帳、電子書籍リーダー、携帯プリンターおよび携帯スキャナ等が挙げられる。なお、これらに例示に限定されるものではない。
【0158】
これら携帯型電子機器に本発明の化学強化ガラスを用いることで、高い強度と美観を備えた携帯型電子機器を得ることができる。
【0159】
本発明の化学強化ガラスは、例えば、電子機器に外装されるものである。携帯電話の外表面は、一方の外表面に液晶パネルまたは有機ELディスプレイからなる表示装置及びボタンからなる操作装置、またはタッチパネルのような表示装置と操作装置が一体となったものが配置され、その周囲を額縁材が囲う構成である。他方の外表面は、パネルで構成される。そして、一方の外表面と他方の外表面との間である機器の厚み部分に枠材がある。
これら額縁材と枠材、またはパネルと枠材は一体に構成される場合もある。
【0160】
本発明の化学強化ガラスは、前述の額縁材、パネルおよび枠材のいずれにも用いることが可能である。また、これらの形状は、平板状であってもよいし、曲面であってもよく、額縁材と枠材、もしくはパネルと枠材との一体構造となった凹状、または凸状であってもよい。
【0161】
電子機器の内部に設けられる表示装置の光源は、発光ダイオード、有機ELまたはCCFL等の白色光を発するもので構成される。また、有機ELディスプレイのように前記光源を用いず、白色光等を出す発光素子を備えるものもある。これら白色光が化学強化ガラスを介して機器の外部に漏れると見栄えが悪くなる。そのため、化学強化ガラスは、白色光を確実に遮蔽する特性を備えることが好ましい。
【0162】
また、本発明の化学強化ガラスは、機械的強度等に優れているという特徴がある。そのため、筐体に対して高い強度が求められる、携帯電話等の携帯可能な電子機器の分相ガラス筐体に好ましく用いることができる。
【0163】
本発明の化学強化ガラスは、ガラス中の分散相の粒子が光を拡散反射、散乱することで外観が白色を呈する。本発明の製造方法により得られる化学強化ガラスは、ガラスを透過する白色光を、ガラスの光の散乱を利用して、不透明にする。また、ガラスの表面側において認識し難くするものである。
【0164】
なお、高い強度と美観を備えた本発明の分相ガラスまたは化学強化ガラスは、携帯型電子機器以外の電子機器(例えば、デスクトップパソコンの筐体、家電製品(例えば、大型テレビ等)、建築用部材、車載用部材、食器、照明用部材(例えば、散乱板)、反射部材および家具などにも適用可能である。
【実施例】
【0165】
以下に本発明の実施例について具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0166】
<ガラスの製造>
本実施例では、以下のガラス組成1〜3のガラスを用いた。分相粒子の成長の有無をSEMで確認する方法で測定した。1600℃で均一に溶解し、1600℃以下の一定温度で30分間保持した後急冷し、分相粒子の成長の有無により分相温度以下であるかどうか判断した。分相粒子のサイズは走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。1600℃以下の温度で、10℃ごとに保持温度を変え、分相粒子の成長の有無を確認し、分相開始温度を求めた。
ガラス組成1:モル%表示で、SiO
2を61.4%、Al
2O
3を3.4%、B
2O
3を0.9%、MgOを15.4%、ZrO
2を4.3%、Na
2Oを9.4%、P
2O
5を5.1%含有するガラス。該ガラスの分相開始温度は1530℃、粘度が10
5dPa・sとなる温度は1150℃であった。
ガラス組成2:モル%表示で、SiO
2を62.5%、Al
2O
3を3.5%、B
2O
3を0.9%、MgOを15.7%、ZrO
2を2.6%、Na
2Oを9.6%、P
2O
5を5.2%含有するガラス。該ガラスの分相開始温度は1570℃であった。
ガラス組成3:モル%表示で、SiO
2を60.7%、Al
2O
3を3.4%、B
2O
3を3.9%、MgOを7.6%、ZrO
2を2.5%、Na
2Oを9.3%、P
2O
5を5.1%、BaOを7.6%含有するガラス。該ガラスの分相開始温度は1400℃であった。
【0167】
(実施例1)
前記ガラス組成1にしたがって、調合したバッチ15gを白金ルツボに入れ、1550℃で20分間溶融した後、1400℃まで25℃/minの速度で炉内の温度を下げ、その後炉外すなわち室温に取り出し放冷した。その後、再度昇温し徐冷を目的として670℃で1時間保持した後に1℃/minで室温まで冷却し、研磨することにより板状ガラスを得た。前記1400℃までの降温における分相開始温度(=1530℃)以下の部分が分相工程に対応し、その工程におけるガラスの保持時間は5.2分[=(1530−1400)÷25]である。
【0168】
なお、前記バッチには清澄を目的としてぼう硝を添加したので得られたガラスはSO
3を含有する。ぼう硝の添加量はSO
3を除いた前記ガラスを100質量部として0.4質量部に相当する割合のSO
3を含有するものとした。以下の実施例、比較例においても同様である。
【0169】
(実施例2)
前記ガラス組成1にしたがって、調合したバッチ15gを白金ルツボに入れ、1550℃で20分間溶融した後、1400℃まで炉内の温度を下げ、分相開始温度以下で15分間保持した後に、炉外に取り出し放冷した。その後、670℃で1時間保持した後に1℃/minで室温まで徐冷し、研磨することにより板状ガラスを得た。得られた板状ガラスの分散相はアルカリリッチ相であった。
【0170】
(実施例3)
前記ガラス組成1にしたがって、調合したバッチ15gを白金ルツボに入れ、1550℃で20分間溶融した後、1400℃まで炉内の温度を下げ、分相開始温度以下で85分間保持した後に、炉外に取り出し放冷した。その後、670℃で1時間保持した後に1℃/minで室温まで徐冷し、研磨することにより板状ガラスを得た。得られた板状ガラスの分散相はシリカリッチ相ではなくアルカリリッチ相であった。
【0171】
(実施例4)
前記ガラス組成1にしたがって、調合したバッチ15gを白金ルツボに入れ、1550℃で20分間溶融した後、1350℃まで炉内の温度を下げ、分相開始温度以下で17分間保持した後に、炉外に取り出し放冷した。その後、670℃で1時間保持した後に1℃/minで室温まで徐冷し、研磨することにより板状ガラスを得た。
【0172】
(実施例5)
前記ガラス組成2にしたがって、調合したバッチ15gを白金ルツボに入れ、1600℃で20分間溶融した後、1420℃まで炉内の温度を下げ、分相開始温度以下で68分間保持した後に、炉外に取り出し放冷した。その後、640℃で1時間保持した後に1℃/minで室温まで徐冷し、研磨することにより板状ガラスを得た。
【0173】
(実施例6)
前記ガラス組成1にしたがって、調合したバッチ400gを白金ルツボにいれ、1550℃で120分間溶融した後、1400℃まで炉内の温度を下げ、分相開始温度以下で85分間保持する。1550℃で溶解する工程と、1550℃から1400℃まで降温する工程と、1400℃で保持する工程でガラス融液を撹拌した後、カーボン板の上に流し出した。その後670℃の電気炉に入れて1時間保持した後、1℃/minで室温まで徐冷し、研磨して板状ガラスを得た。
【0174】
(実施例7)
前記ガラス組成3にしたがって、調合したバッチ15gを白金ルツボに入れ、1600℃で20分間溶融した後、1240℃まで10℃/分の速度で炉内の温度を下げ、1240℃にて炉外に取り出し放冷した。その後、670℃で1時間保持した後に1℃/minで室温まで徐冷し、研磨することにより板状ガラスを得た。
【0175】
(実施例8)
前記ガラス組成3にしたがって、調合したバッチ15gを白金ルツボに入れ、1600℃で20分間溶融した後、1240℃まで25℃/分の速度で炉内の温度を下げ、1240℃にて炉外に取り出し放冷した。その後、670℃で1時間保持した後に1℃/minで室温まで徐冷し、研磨することにより板状ガラスを得た。
【0176】
(実施例9)
前記ガラス組成3にしたがって、調合したバッチ15gを白金ルツボに入れ、1600℃で20分間溶融した後、1390℃まで25℃/分の速度で炉内の温度を下げ、1390℃にて80分間温度保持し、1390℃にて炉外に取り出し放冷した。その後、670℃で1時間保持した後に1℃/minで室温まで徐冷し、研磨することにより板状ガラスを得た。
【0177】
(実施例10)
前記ガラス組成3にしたがって、調合したバッチ15gを白金ルツボに入れ、1600℃で20分間溶融した後、1360℃まで25℃/分の速度で炉内の温度を下げ、1360℃にて80分間温度保持し、1360℃にて炉外に取り出し放冷した。その後、670℃で1時間保持した後に1℃/minで室温まで徐冷し、研磨することにより板状ガラスを得た。
【0178】
(実施例11)
前記ガラス組成3にしたがって、調合したバッチ15gを白金ルツボに入れ、1600℃で20分間溶融した後、1330℃まで25℃/分の速度で炉内の温度を下げ、1330℃にて80分間温度保持し、1330℃にて炉外に取り出し放冷した。その後、670℃で1時間保持した後に1℃/minで室温まで徐冷し、研磨することにより板状ガラスを得た。
【0179】
(実施例12)
前記ガラス組成3にしたがって、調合したバッチ15gを白金ルツボに入れ、1600℃で20分間溶融した後、1300℃まで25℃/分の速度で炉内の温度を下げ、1300℃にて80分間温度保持し、1300℃にて炉外に取り出し放冷した。その後、670℃で1時間保持した後に1℃/minで室温まで徐冷し、研磨することにより板状ガラスを得た。
【0180】
(実施例13)
前記ガラス組成3にしたがって、調合したバッチ15gを白金ルツボに入れ、1600℃で20分間溶融した後、1270℃まで25℃/分の速度で炉内の温度を下げ、1270℃にて80分間温度保持し、1270℃にて炉外に取り出し放冷した。その後、670℃で1時間保持した後に1℃/minで室温まで徐冷し、研磨することにより板状ガラスを得た。
【0181】
(実施例14)
前記ガラス組成3にしたがって、調合したバッチ15gを白金ルツボに入れ、1600℃で20分間溶融した後、1240℃まで25℃/分の速度で炉内の温度を下げ、1240℃にて80分間温度保持し、1240℃にて炉外に取り出し放冷した。その後、670℃で1時間保持した後に1℃/minで室温まで徐冷し、研磨することにより板状ガラスを得た。
【0182】
(比較例1)
前記ガラス組成1にしたがって調合したバッチ15gを白金ルツボに入れ、1550℃で120分間溶融した後、室温に取り出し放冷した。その後、670℃で1時間保持した後に1℃/minで室温まで徐冷し、研磨することにより板状ガラスを得た。
【0183】
(比較例2)
前記ガラス組成1にしたがって、調合したバッチ400gを白金ルツボに入れ、1550℃で120分間溶融した後、型枠に流し込み放冷して成形した後、900℃にて6時間分相処理し、1℃/minで室温まで徐冷し、研磨することにより板状ガラスを得た。得られた板状ガラスの分散相はアルカリリッチ相であった。
【0184】
(比較例3)
前記ガラス組成1にしたがって、調合したバッチ400gを白金ルツボに入れ、1550℃で120分間溶融した後、型枠に流し込み放冷して成形した後、950℃にて6時間分相処理し、1℃/minで室温まで徐冷し、研磨することにより板状ガラスを得た。得られた板状ガラスの分散相はアルカリリッチ相であった。
比較例1〜3は色ムラが観察された。
【0185】
(比較例4)
前記ガラス組成3にしたがって、調合したバッチ400gを白金ルツボに入れ、1600℃で120分間溶融した後、型枠に流し込み放冷して成形した後、670℃で1時間保持した後に1℃/minで室温まで徐冷し、研磨することにより板状ガラスを得た。
【0186】
(比較例5)
前記ガラス組成3にしたがって、調合したバッチ400gを白金ルツボに入れ、1600℃で120分間溶融した後、型枠に流し込み放冷して成形した後、900℃にて6時間分相処理し、1℃/minで室温まで徐冷し、研磨することにより板状ガラスを得た。
【0187】
<イオン交換処理>
次に、実施例1〜5および比較例1〜3のサンプルについて、450℃の100%KNO
3溶融塩中にサンプルを6時間浸漬してイオン交換処理することにより化学強化した。
【0188】
<分析方法>
実施例1〜5および比較例1〜3で得られた板状ガラスを、以下の(1)〜(4)の方法により分析した。その結果を表1、表2および
図1に示す。
【0189】
(1)分相機構
板状ガラスの分相機構はSEMで観察し、分相した一方の相が球形である場合はバイノーダル、分相した相が相互に絡み合っている場合はスピノーダルとした。
【0190】
(2)平均粒子径
実施例2、3、5と比較例1〜3はガラス表面を光学研磨した後、0.1Mの塩酸水溶液に浸漬し60℃で1時間保持し、粒子相をエッチングした後、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。粒子相は優先的にエッチングされ、凹形状となるため、粒子径を測定することができる。
【0191】
実施例7〜14、比較例4、5は粒子相とマトリックス相の電子密度差が大きいため、SEMで観察した際、粒子相とマトリックス相のコントラストが強い。そのため、光学研磨をした後、エッチングせずにSEMにより粒子径を測定した。
【0192】
粒子径が100nm未満の場合、波長400nm以上の透過率に対する寄与が小さいため、各例において、100nm以上である粒子径を測定し、その平均値をdA、上位10%の抽出した平均値をdL、下位10%の平均値をdSとした。
【0193】
(3)粒子の体積割合(%)
分散相における粒子の体積割合は、SEMにより観察した写真からガラス表面に分布している分散粒子の割合を計算し、該分散粒子の割合から算出した。
【0194】
(4)透過率(%)
ガラスの透過率は、上下面が鏡面加工された1mm厚のガラスを用いて波長400、600、800および1000nmの分光透過率を取得した。
【0195】
(5)表面圧縮応力値(CS)、圧縮応力層深さ(DOL)
表面圧縮応力値(CS、単位はMPa)および圧縮応力層の深さ(DOL、単位はμm)は折原製作所社製表面応力計(FSM−6000)を用いて測定した。
【0196】
【表1】
【0197】
【表2】
【0198】
表1、表2および
図1に示すように、ガラスを溶融する溶融工程とガラスを成形する成形工程との間にガラスを分相させる分相工程を経ることにより製造した実施例1〜14のガラス板は、分相処理しない比較例1および比較例4並びに成形工程後に分相処理した比較例2、3および5と比較して、透過率が顕著に低下していた。また、実施例1〜14はいずれも均一な白色ガラスが得られた。
【0199】
この結果から、ガラスを溶融する溶融工程、ガラスを分相させる分相工程、ガラスを成形する成形工程を順次含む製造方法により分相ガラスを製造することにより、得られる分相ガラスの透過率を効果的に低減できることがわかった。
【0200】
また、表1および表2に示すように実施例1〜4および6は、比較例1〜3と比較して、波長1000nm、波長800nm、波長600nm、波長400nmのいずれの波長においても透過率が低かった。また、実施例7〜14は、比較例4,5と比較して、波長1000nm、波長800nm、波長600nm、波長400nmのいずれの波長においても透過率が低かった。これら結果から、本発明の分相ガラスは遮蔽性に優れた白色ガラスが得られたことが分かった。
【0201】
さらに、表1および表2に示すように実施例1〜14は、比較例1〜5と比較して、Tmax/Tminの透過率が低かった。この結果から、本発明の製造方法により分相ガラスを製造することにより、得られる分相ガラスに色味が付きにくいことがわかった。
【0202】
本発明を特定の態様を用いて詳細に説明したが、本発明の意図と範囲を離れることなく様々な変更および変形が可能であることは、当業者にとって明らかである。なお本出願は、2012年10月12日付で出願された日本特許出願(特願2012−226854)に基づいており、その全体が引用により援用される。