(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、CCDやCMOSイメージセンサ等の撮像素子は、高出力(低ISO感度)のときに固定パターンノイズが生じやすく、また、低出力(高ISO感度)のときには光ショットノイズ等のランダムノイズが生じやすい。固定パターンノイズは、ある程度条件が同じであれば値が推測できるノイズであるため、画像処理等で軽減することができるのに対し、ランダムノイズは不特定の位置に発生するため画像処理等での軽減が難しい。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために、広ダイナミックレンジ画像に生じるランダムノイズを低減するように工夫した撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様では、撮像装置は、第1の露光条件で撮像した画像データと、前記第1の露光条件による露光量よりも露光量が少なくなる第2の露光条件で撮像した画像データとを生成する撮像部と;前記第1の露光条件で撮像された複数の画像データを合成した画像データと、前記第2の露光条件で撮像された画像データとを合成した合成画像データを生成する画像処理部と;を備え、前記画像処理部は、前記第1の露光条件で撮像された複数の画像データを合成するときの前記複数の画像データの数を、前記撮像部の感度により変更する。あるいは、撮像装置は、第1の露光条件で撮像した画像データと、前記第1の露光条件による露光量よりも露光量が少なくなる第2の露光条件で撮像した画像データとを生成する撮像部と;前記第1の露光条件で撮像された複数の画像データを合成した画像データと、前記第2の露光条件で撮像された複数の画像データを合成した画像データとを合成した合成画像データを生成する画像処理部と;を備え、前記画像処理部は、前記第1の露光条件で撮像された複数の画像データを合成するときの前記複数の画像データの数と、前記第2の露光条件で撮像された複数の画像データを合成するときの前記複数の画像データの数とを、前記撮像部の感度により変更する。あるいは、撮像装置は、第1の露光条件で撮像した画像データと、前記第1の露光条件による露光量よりも露光量が少なくなる第2の露光条件で撮像した画像データとを生成する撮像部と;前記撮像部の感度が所定値よりも高い場合、前記第1の露光条件で撮像された複数の画像データを合成した画像データと、前記第2の露光条件で撮像された複数の画像データを合成した画像データとを合成した合成画像データを生成する画像処理部と;を備える。
本発明の別態様では、撮像装置は、第1の露光条件で撮像した画像データと、前記第1の露光条件による露光量よりも露光量が少なくなる第2の露光条件で撮像した画像データとを生成する撮像部と;前記撮像部の感度が所定値よりも高い場合、前記第1の露光条件で撮像された複数の画像データを合成した画像データと、前記第2の露光条件で撮像された画像データとを合成した合成画像データを生成する画像処理部と;を備える。
本発明の別態様では、撮像装置は、第1の露光条件で撮像した画像データと、前記第1の露光条件よりも露光量が少ない第2の露光条件で撮像した画像データとを生成する撮像部と;前記第1の露光条件で撮像された複数の画像データを合成した画像データと、前記第2の露光条件で撮像された複数の画像データを合成した画像データとを合成した合成画像データを生成する画像処理部と;を備える。あるいは、撮像装置は、第1の露光条件で撮像した画像データと、前記第1の露光条件よりも露光量が少ない第2の露光条件で撮像した画像データとを生成する撮像部と;前記第2の露光条件で撮像された複数の画像データを合成した画像データと、前記第1の露光条件で撮像された画像データとを合成した合成画像データを生成する画像処理部と;を備え、前記画像処理部は、前記第2の露光条件で撮像された複数の画像データを合成するときの前記複数の画像データの数を、前記撮像部の感度により変更する。
本発明の別態様では、撮像装置は、撮像素子の感度を設定する設定手段と;前記撮像素子により同一被写体を異なる露光量で撮像して生成した複数枚の本処理用画像データを合成して1枚の広ダイナミックレンジ画像データを生成する本処理合成手段と;前記設定手段で設定される感度が閾値未満の低感度の場合、前記被写体を標準露光よりも少ない露光量で複数回撮像して生成した複数枚の前処理用画像データを合成して1枚のノイズ軽減用画像データを生成し、前記ノイズ軽減用画像データを前記本処理用画像データのうちの最も露光量が低い露光条件で撮像した画像データとして出力する前処理合成手段と;を備える。
【0007】
前処理合成手段は、前処理用画像データを取得するための撮像回数を、低感度と判定した範囲のうちの低感度程、撮像回数が増えるように、感度に応じて変更するのが望ましい。
【0008】
前処理合成手段としては、前処理用画像データの中から所定条件に基づいて基準画像データを決める決定部と;前記基準画像データを基準として前記前処理用画像データの位置合わせ処理を行う位置合わせ処理手段と;で構成するのが、高画質な画像が得られるため好適である。
【0009】
また、前処理合成手段としては、設定手段で設定される感度が閾値を超える高感度の場合、複数枚の本処理用画像データを構成する、最も露光量が低い露光条件で撮像した短時間露光画像データ、標準の露光条件で撮像した標準露光画像データ、及び最も露光量が高い露光条件で撮像した長時間露光データのそれぞれを、複数枚の前処理用画像データを合成して作るのが、高感度撮影時に生じ易いランダムノイズを軽減することができるため好適である。
【0010】
この場合、短時間露光画像データ用の前処理用画像データを取得するための撮像回数を「A」、前記標準露光画像データ用の前処理用画像データを取得するための撮像回数を「B」、及び前記長時間露光データ用の前処理用画像データを取得するための撮像回数を「C」とすると、A>B>Cの関係を満足するのが望ましい。
【0011】
この場合、前処理合成手段は、前処理用画像データを取得するための撮像回数を、高感度と判定した範囲のうちの高感度程、撮像回数が増えるように、感度に応じて変更するのが好適である。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、本処理用画像データのうちの最も露光量が低い露光条件で撮像した画像データを、複数回撮像して得た前処理用画像データを合成して作るので、ランダムノイズを確実に軽減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の撮像装置の一実施形態として電子カメラを説明する。電子カメラは、1回のシャッタレリーズに応答して、撮像素子により異なる露光量で撮像して得た複数枚の画像データを合成して1枚の広ダイナミックレンジ画像データを生成する合成撮影モードを有する。
【0015】
電子カメラ10は、
図1に示すうに、レンズ光学系11、絞り12,メカシャッタ13、撮像素子14、AFETG(アナログフロントエンド・タイミングジェネレータ)15、レンズ駆動部16、絞り駆動部17、シャッタ駆動部18、AE・AF回路19、制御部20、操作部21、LCD22、画像処理回路23、RAM24、ROM25、VRAM26、不揮発生メモリ27、メモリスロット28、及び外部メモリ29等で構成される。
【0016】
レンズ駆動部16は、レンズ光学系11の変倍及び合焦動作を行う。絞り駆動部17は、絞り12を駆動する。シャッタ駆動部18は、メカシャッタ13を駆動する。撮像素子14は、レンズ光学系11、及び絞り12を介して結像される被写体像を光電変換するCCDやCMOS等のイメージセンサである。
【0017】
AFETG15は、TG(タイミングジェネレータ)30、V−driver(垂直駆動部)31、及びAFE(アナログフロントエンド)32で構成される。
【0018】
TG30は、V−driver31を介して画像信号の読み出しタイミングを撮像素子14に与える。AFE32は、撮像素子14から読み出されるアナログの画像信号のノイズ除去やアナログゲインアップにより増幅を行った後、A/D変換してデジタルの画像データに変換し、変換した画像データをAE・AF回路19と画像処理回路23に出力する。
【0019】
AE・AF回路19は、画像データのコントラスト情報に基づいてフォーカスを制御するAF(オートフォーカス)情報、及び画像データに基づいて最適なAE(オートエクスポージャ)情報やホワイトバランス情報をそれぞれ取り出して制御部20に送る。制御部20は、AF情報、AE情報、及びホワイトバランス情報に基づいてレンズ駆動部17、絞り駆動部17、及び画像処理回路23等を制御する。
【0020】
画像処理回路23は、ホワイトバランス処理、圧縮符号化、復号処理、画像合成処理等が含まれる。VRAM26は、LCD22に表示するための画像メモリである。LCD22には、撮像された画像の表示、カメラの各種設定のメニューや撮影モードの表示が行われる。
【0021】
メモリスロット28には、外部メモリ29が着脱自在に接続される。外部メモリ29には、画像処理回路23で生成される圧縮符号化された画像データが保存される。
【0022】
RAM24は、制御部20や画像処理回路23のワークエリアとして使用される。ROM25には、制御部20が実行するプログラムが格納されている。不揮発性メモリ27は、電子カメラ10の各種の調整データや、ユーザによって設定された撮影モードや感度(ISO感度)等を格納する。
【0023】
制御部20は、ROM25に記憶されているプログラムに従って動作するCPU(中央演算処理部)を中心に構成され、電子カメラ10の各部を制御する。例えば、制御部20は、撮像素子14の画像信号を読み出す指示をAFETG15のTG30に与え、撮像素子14から読み出した画像信号を、AFE32を介して画像処理回路23に入力し、画像処理回路23でその時点の撮影モードに対応する処理等を実行した後に、処理済みの画像データを、バス33を介して外部メモリ29に記録するように制御する。
【0024】
操作部21は、感度設定部、モード設定部、シャッタボタン、及び電源ボタン等で構成されており、これらは制御部20に操作信号や設定信号を送る。感度設定部は、撮像素子14の感度(ISO感度)を複数段階に変更するための操作部である。感度は、予め任意の感度に定められている。
【0025】
制御部20は、AE・AF回路19から被写体輝度情報を得ると、感度と被写体輝度とで決まる適正露出に近づくように、その時点に設定されている感度に対応したプログラム線図に従って標準の露光量(絞り値とシャッター速度値で求まる露光量)を決定する。
【0026】
モード設定部は、合成撮影モード、通常撮影モード、及び再生モードのうちのいずれか一つを択一的に選択する操作部である。合成撮影モードは、撮像素子14により同一被写体を、異なる露光量で撮像して生成した複数枚の本処理用画像データを合成して1枚の広ダイナミックレンジ画像データを得るモードである。
【0027】
合成撮影モードの時には、撮像素子14の蓄積時間を可変する電子シャッタと絞り17の組み合わせで露光量を制御する。なお、シャッタ速度としては、電子シャッタの代わりに、例えばメカシャッタ13の開閉で決定してもよいし、露光の最初のタイミングを電子シャッタで取り、露光終了をメカシャッタ13で決定してもよい。
【0028】
通常撮影モードは、標準の露出量で撮像素子14により1回撮像して1枚の画像データを生成するモードである。再生モードは、外部メモリ29に記録した画像データをLCD22に再生するモードである。
【0029】
制御部20は、
図2に示すように、感度判定部35、及びカウンタ36を有する。感度判定部35は、撮影時に感度設定部に設定されている設定感度を認識するとともに、認識した感度を予め決められている閾値とを比較して高感度か低感度かを判定する。カウンタ36は、画像データの取り込み回数をカウントする。制御部20は、感度判定部35で判定した感度に応じて、アナログの画像データをAFE32のアナログゲインアップで増幅するときの度合いを変更する。
【0030】
画像処理回路23は、振分け部37、前処理合成部38、及び本処理合成部39を備えている。振分け部37は、画像データを前処理合成部38と本処理合成部39に振り分けるものであり、この振り分け処理は、高感度又は低感度の時の前処理用の画像データか本処理用の画像データかに基づいて制御部20により制御される。
【0031】
本処理合成部39は、合成撮影モードの時に、異なる露光量で撮像した複数枚の本処理用画像データを合成して1枚の広ダイナミックレンジ画像データを生成する処理を行う。本処理用画像データは、例えば、短時間露光画像データ、標準露光画像データ、及び長時間露光画像データで構成されている。短時間露光画像データは、撮像素子14により標準より少ない露光量で撮像して生成した画像データである。標準露光画像データは、撮像素子14により標準の露光量で撮像して生成した画像データである。長時間露光画像データは、撮像素子14により標準よりも多い露光量で撮像して生成した画像データである。
【0032】
前処理合成部38は、合成撮影モードの時に低感度と判定した場合、ランダムノイズを軽減するために、撮像素子14により標準よりも少ない露光量で撮像して生成した複数枚の前処理用画像データを合成して1枚のノイズ軽減用画像データを生成し、ノイズ軽減用画像データを本処理用画像データのうちの短時間露光画像データとして本処理合成部39に出力する。
【0033】
また、前処理合成部38は、合成撮影モードの時に高感度と判定した場合、撮像素子14により標準よりも少ない露光量で撮像して生成した複数枚の画像データを1枚の画像データに合成したものを短時間露光画像データとし、また、標準の露光量で撮像して生成した複数枚の画像データを1枚の画像データに合成したものを標準露光画像データとし、さらに、標準よりも多い露光量で撮像して生成した複数枚の画像データを1枚の画像データに合成したものを長時間露光画像データとしてそれぞれ本処理合成部39に出力する。
【0034】
前処理及び本処理合成部38,39は、バッファメモリ40,44、位置合わせ処理41,45、及び画像合成43,47をそれぞれ備えている。バッファメモリ40,44は、複数の画像データを一時的に記憶する。位置合わせ処理41,45は、各画像データを比較して、各画像データの位置が一致するように座標を修正する処理を行う。画像合成43,47は、修正した座標の情報に基づいて各画像データを加算した後に、画像データの枚数で除算する平均化処理を行って1枚の画像データを生成する。
【0035】
位置合わせ処理41,45は、
図3に示すように、評価部48、決定部49、及び位置合わせ部50で構成されている。評価部48は、所定の条件、例えば画像データのレベル(明るさ)、コントラスト、及び空間周波数の高周波成分とのうちの少なくとも1つを求めて各画像データを評価する。この場合、画像データの白黒レベルが飽和レベルに達していない画像データのうちの最も明るい画像データほど、又は最もコントラスト値が高い画像データほど、あるいは最も高周波成分が多い画像データほど評価値を高くする。
【0036】
なお、代わりに、各画像データから主要被写体を検出し、検出した主要被写体の動き量が小さい程評価値を高くする条件や、フォーカス状態、主要被写体の変形度合い等の評価で基準の画像データを決めても良い。
【0037】
決定部49は、評価部48で求めた各画像データの評価値に基づいて最も合成に適した画像データを基準画像データとして決定する。位置合わせ部50は、基準画像データを基準として残りの画像データに対して座標位置が一致するように位置合わせ処理を行う。これにより、画像合成43,47で合成される画像データは、画質が向上する。なお、評価部48で、各画像データの評価をした後に、評価値が予め決めた閾値よりも低い場合には、その画像データを合成に使用しないように選択する処理を行うようにしてもよい。
【0038】
次に上記構成の作用を、
図4を参照しながら説明する。撮像素子14の感度は、初期値、例えばISO感度「400」に予め設定されている。撮影者は、広ダイナミックレンジ画像を撮影する場合には、合成撮影モードを選択する。
【0039】
制御部20は、1回のシャッヤレリーズに応答して、その時点の標準露光量を決定し(S−1)、また、その時点の撮影モードを確認し(S−2)、さらに、合成撮影モードの場合には、その時点で設定されている感度が閾値未満か否かを判定する(S−3)。例えば、設定感度がISO感度「50」で、閾値がISO感度「600」である場合には設定感度が低感度であると判定する。
【0040】
制御部20は、低感度と判定した場合、標準より少ない露光量、例えば「−1EV」の露光補正をした露光量に設定して撮像素子14で連写的に撮像することで複数枚、例えば5枚の前処理用画像データを取得し(S−4)、振分け部37を制御して5枚の前処理用画像データを前処理合成部38のバッファメモリ40に取り込む。
【0041】
前処理合成部38は、制御部20からカウントアップに応答する信号を受け取ることで、バッファメモリ40から5枚の前処理用画像データを順に読み出し、各前処理用画像データについて評価部48で予め決めた条件に基づいて評価を行い、評価結果に基づいて基準の画像データを決定部49で決定し(S−5)、位置合わせ部50で基準の画像データに基づいて残りの画像データに対して位置合わせ処理を行い(S−6)、その後に画像合成43で、基準画像データに対して位置合わせ処理済みの画像データを順に加算平均化処理により合成をして本処理用の短時間露光画像データを生成し(S−7)、短時間露光画像データを本処理合成部39のバッファメモリ44に出力する。
【0042】
なお、5枚の前処理用画像データを取得する時には、制御部20は、カウンタ36を初期化し(S−8)、カウンタ36で短時間露光での撮像回数をカウントし(S−9)、その撮像回数が予め決められた回数に達したか否かを判定する(S−10)。
【0043】
引き続き制御部20は、標準の露光量に変えて1枚撮像して本処理用の標準露光画像データを生成し(S−11)、振分け部37を制御して標準露光画像データを本処理合成部39のバッファメモリ44に取り込み、引き続き、標準より多い露光量、例えば「+1EV」の露光補正をした露光量に設定して1枚撮像して本処理用の長時間露光画像データを生成し(S−12)、長時間露光画像データをバッファメモリ44に取り込む。
【0044】
本処理合成部39は、短時間露光画像データ、標準露光画像データ、及び長時間露光画像データとの3つの本処理用画像データがバッファメモリ44に取り込まれることに応答して、位置合わせ処理45で前述した位置合わせ処理41と同じ処理を行って基準の画像データを決定し(S−13)、基準の画像データに対して残りの画像データについてそれぞれ位置合わせ処理を行って(S−14)、基準の画像データに対して位置合わせ処理済みの画像データを加算平均化処理により順に合成をして広ダイナミックレンジ画像データを生成し(S−15)、広ダイナミックレンジ画像データを外部メモリ29に記録する。低感度判定での合成撮影モードで得られる広ダイナミックレンジ画像は、白とびや黒つぶれの発生を抑えることに加えて、低感度撮影で生じ易いランダムノイズを低減した画像になる。
【0045】
次に、感度判定部35が
図4(S―3)の判定において例えば設定感度がISO[800]の場合、設定感度が閾値を超えるため、高感度であると判定する。この場合、
図5に示すように、制御部20は、標準より少ない露光量、例えば「−1EV」の露光補正をした露光量に設定して撮像素子14で連写的に撮像することで複数枚、例えば6枚の前処理用画像データを取得し(S−16)、振分け部37を制御して6枚の前処理用画像データを前処理合成部38のバッファメモリ40に取り込む。
【0046】
前処理合成部38は、制御部20から短時間露光での撮影回数がカウントアップすることに応答して、バッファメモリ40から6枚の前処理用画像データを順に読み出し、前述した同じ処理を位置合わせ処理41、及び画像合成43で行って(S−17)、本処理用の短時間露光画像データを生成し(S−18)、短時間露光画像データを本処理合成部39のバッファメモリ44に出力する。
【0047】
引き続き制御部20は、標準の露光量に設定して撮像素子14で連写的に撮像することで、短時間露光で撮像する枚数よりも少ない複数枚、例えば4枚の前処理用画像データを取得し(S−19)、振分け部37を制御して4枚の前処理用画像データを前処理合成部38のバッファメモリ40に取り込む。
【0048】
前処理合成部38は、制御部20から標準露光での撮影回数がカウントアップすることに応答して、バッファメモリ40から4枚の前処理用画像データを順に読み出し、前述した同じ処理を位置合わせ処理41、及び画像合成43で行って(S−20)、本処理用の標準露光画像データを生成し(S−21)、標準露光画像データを本処理合成部39のバッファメモリ44に出力する。
【0049】
引き続き制御部20は、
図6に示すように、標準よりも多い露光量、例えば「+1EV」の露出補正をした露光量に設定して撮像素子14で連写的に撮像することで、標準露光で撮像する枚数よりも少ない複数枚、例えば2枚の前処理用画像データを取得し(S−22)、振分け部37を制御して2枚の前処理用画像データを前処理合成部38のバッファメモリ40に取り込む。
【0050】
前処理合成部38は、制御部20から標準露光での撮影回数がカウントアップすることに応答して、バッファメモリ40から2枚の前処理用画像データを順に読み出し、前述した同じ処理を位置合わせ処理41、及び画像合成43で行って(S−23)、本処理用の長時間露光画像データを生成し(S−24)、長時間露光画像データを本処理合成部39のバッファメモリ44に出力する。
【0051】
そして、
図4(S−13〜S−15)で説明したように、本処理合成部39は、3つの本処理用画像データがバッファメモリ44に取り込まれることに応答して、位置合わせ処理45で基準の画像データを決定し(S−25)、基準の画像データに対して残りの画像データについてそれぞれ位置合わせ処理を行って(S−26)、基準の画像データに対して位置合わせ処理済みの画像データを加算平均化処理により順に合成をして広ダイナミックレンジ画像データを生成し(S−27)、広ダイナミックレンジ画像データを外部メモリ29に記録する。高感度判定で生成した広ダイナミックレンジ画像は、白とびや黒つぶれの発生を抑えることに加えて、高感度撮影時に生じ易いランダムノイズを低減した画像になる。
【0052】
なお、制御部20は、広ダイナミックレンジ画像データを記録した後に、バッファメモリ40,44をクリアする制御を行うことが望ましい。
【0053】
また、上記実施形態では、感度に応じて決められた撮影枚数、露出補正値は、前述した数値に限らないことはいうまでもない。例えば
図7に示すように、設定感度が閾値未満の範囲において、設定感度が低感度程、短時間露光画像データの取得枚数を増やすのが好適である。また、例えば
図8に示すように、設定感度が閾値を超える範囲において設定感度が高感度程、短時間露光、標準露光、及び長時間露光との各画像データの取得枚数をそれぞれ増やすのが好適である。なお、短時間露光、標準露光、及び長時間露光との各画像データの取得枚数を順にA、B、Cとすると、A>B>Cの関係を保つように、各画像データの取得枚数を変更するのが好適である。
【0054】
手動で設定する場合には、操作部にカーソルボタンやOKボタン等の変更操作部を設け、これら操作部を用いて、例えば低感度と判定した時における短時間露光での撮影枚数、及び高感度における短時間露光での撮影枚数、標準露光での撮影枚数、長時間露光での撮影枚数を各々設定すればよい。
【0055】
上記実施形態では、短時間露光、標準露光、及び長時間露光との3つの画像データを合成して広ダイナミックレンジ画像を生成しているが、本発明ではこれに限らず、露光の異なる2つの画像データを合成して、又は超低時間露光や超長時間露光の画像データを追加した4つ以上の画像データを合成して広ダイナミックレンジ画像を生成してもよい。
【0056】
上記実施形態では、低感度と判定した時には、最初に前処理用画像を短時間露光で複数回撮像し、次に標準露光での撮像、最後に長時間露光での撮像の順としているが、本発明ではその順に限らず、例えば逆の順、あるいは最初に標準露光での撮像し、次に短時間露光で複数回撮像、最後に長時間露光での撮像の順にしてもよい。
【0057】
また、高感度と判定した時も同様に、短時間露光画像データ用の前処理用画像データを取得するために撮像する期間、標準露光画像データ用の前処理用画像データを取得するための撮像期間、及び長時間露光データ用の前処理用画像データを取得するための撮像期間の順はいずれの順でもよい。
【0058】
上記実施形態では、画像データを取得する毎に位置合わせ処理をして合成しているが、先に全ての撮像を行って画像データをRAMに記録しておき、撮影完了後にRAMから合成対象の画像データを読み出して合成していくように構成してもよい。また、先に全ての撮像を行って画像データをフラッシュメモリ等に記録しておき、予め画像処理ソフトを電子カメラ等にインストールしておき、撮影後にそのソフトを実行して撮像した複数枚の画像データを合成するようにしてもよい。
【0059】
さらに、上記実施形態では本発明を電子カメラ10に使用して説明しているが、本発明ではこれに限らず、ビデオカメラやテレビカメラ等に使用することができる。