特許第6222385号(P6222385)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友化学株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6222385-組成物およびそれを用いた発光素子 図000101
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6222385
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】組成物およびそれを用いた発光素子
(51)【国際特許分類】
   H01L 51/50 20060101AFI20171023BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20171023BHJP
   C08L 65/00 20060101ALI20171023BHJP
   C08K 5/56 20060101ALI20171023BHJP
   C07F 15/00 20060101ALN20171023BHJP
【FI】
   H05B33/14 B
   C09K11/06 660
   C08L65/00
   C08K5/56
   !C07F15/00 E
【請求項の数】16
【全頁数】73
(21)【出願番号】特願2016-570896(P2016-570896)
(86)(22)【出願日】2016年1月13日
(86)【国際出願番号】JP2016050800
(87)【国際公開番号】WO2016121498
(87)【国際公開日】20160804
【審査請求日】2016年11月30日
(31)【優先権主張番号】特願2015-12058(P2015-12058)
(32)【優先日】2015年1月26日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113000
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 亨
(74)【代理人】
【識別番号】100151909
【弁理士】
【氏名又は名称】坂元 徹
(72)【発明者】
【氏名】柿本 秀信
【審査官】 濱野 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−267299(JP,A)
【文献】 特開2009−140922(JP,A)
【文献】 特表2013−527980(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/146806(WO,A1)
【文献】 特開2011−66388(JP,A)
【文献】 特開2011−42794(JP,A)
【文献】 特開2008−226686(JP,A)
【文献】 特開2009−266824(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 51/50
C08K 5/56
C08L 65/00
C09K 11/06
C07F 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燐光発光性化合物と、溶媒(A)と、溶媒(B)とを含有する組成物であって、
前記溶媒(A)および前記溶媒(B)の少なくとも一方が、芳香族エーテル系溶媒であり、
前記溶媒(A)の1気圧下における沸点:bpA(℃)と、前記溶媒(B)の1気圧下における沸点:bpB(℃)とが、式(11)および式(12)を満たし、
前記溶媒(A)の含有量:wtA(重量)と、前記溶媒(B)の含有量:wtB(重量)とが、式(13)を満たす、組成物。

bpB<200℃≦bpA (11)
70℃≦bpA−bpB≦120℃ (12)
wtB≦wtA (13)
【請求項2】
前記溶媒(A)および前記溶媒(B)が、それぞれ独立に、芳香族炭化水素系溶媒または芳香族エーテル系溶媒である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記燐光発光性化合物が、式(1)で表される燐光発光性化合物である、請求項1または2に記載の組成物。
【化1】
[式中、
Mは、ルテニウム原子、ロジウム原子、パラジウム原子、イリジウム原子または白金原子を表す。
は1以上の整数を表す。nは0以上の整数を表す。Mがルテニウム原子、ロジウム原子またはイリジウム原子の場合、n+nは3であり、Mがパラジウム原子または白金原子の場合、n+nは2である。
およびEは、それぞれ独立に、炭素原子または窒素原子を表す。但し、EおよびEのいずれか一方は炭素原子である。
環Rは、5員環または6員環の芳香族複素環を表し、これらの環は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。環Rが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。但し、環Rが6員環の芳香族複素環である場合、Eは炭素原子である。
環Rは、5員環もしくは6員環の芳香族炭化水素環、または、5員環もしくは6員環の芳香族複素環を表し、これらの環は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。環Rが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。但し、Rが6員環の芳香族複素環である場合、Eは炭素原子である。
−G−Aは、アニオン性の2座配位子を表す。AおよびAは、それぞれ独立に、炭素原子、酸素原子または窒素原子を表し、これらの原子は環を構成する原子であってもよい。Gは、単結合、または、AおよびAとともに2座配位子を構成する原子団を表す。A−G−Aが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
【請求項4】
前記環Rが、置換基を有していてもよいキノリン環、置換基を有していてもよいイソキノリン環、置換基を有していてもよいピリジン環、置換基を有していてもよいピリミジン環、置換基を有していてもよいイミダゾール環または置換基を有していてもよいトリアゾール環である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記環Rが、置換基を有していてもよいベンゼン環、置換基を有していてもよいナフタレン環、置換基を有していてもよいフルオレン環、置換基を有していてもよいフェナントレン環、置換基を有していてもよいピリジン環、置換基を有していてもよいジアザベンゼン環、置換基を有していてもよいピロール環、置換基を有していてもよいフラン環または置換基を有していてもよいチオフェン環である、請求項3または4に記載の組成物。
【請求項6】
前記環Rおよび前記環Rからなる群から選ばれる少なくとも1つの環が、式(2)で表される基を有する、請求項3〜5のいずれか一項に記載の組成物。

−R100 (2)
[式中、
100は、アリール基、1価の複素環基または置換アミノ基を表し、これらの基は置
換基を有していてもよい。]
【請求項7】
前記Mが、イリジウム原子である、請求項3〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
さらに、非燐光発光性の低分子化合物を含有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
さらに、式(X)で表される構成単位および式(Y)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含む高分子化合物を含有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【化2】
[式中、
X1およびaX2は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。
ArX1およびArX3は、それぞれ独立に、アリーレン基または2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArX2およびArX4は、それぞれ独立に、アリーレン基、2価の複素環基、または、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。ArX2およびArX4が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
X1、RX2およびRX3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。RX2およびRX3が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。]
【化3】
[式中、ArY1は、アリーレン基、2価の複素環基、または、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
【請求項10】
さらに、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、発光材料および酸化防止剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の材料を含有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
粘度が、1〜20mPa・sである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
陽極と、陰極と、陽極および陰極の間に設けられた発光層とを有する発光素子であって、
発光層が、請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成物を用いて得られる層である、発光素子。
【請求項13】
燐光発光性化合物と、溶媒(A)と、溶媒(B)とを含有する組成物であって、
前記溶媒(A)の1気圧下における沸点:bpA(℃)と、前記溶媒(B)の1気圧下における沸点:bpB(℃)とが、式(11)および式(12)を満たし、
前記溶媒(A)の含有量:wtA(重量)と、前記溶媒(B)の含有量:wtB(重量)とが、式(13)を満たし、
該燐光発光性化合物が、式(1)で表される燐光発光性化合物である組成物。

bpB<200℃≦bpA (11)
70℃≦bpA−bpB≦120℃ (12)
wtB≦wtA (13)

【化4】
[式中、
Mは、ルテニウム原子、ロジウム原子、パラジウム原子、イリジウム原子または白金原子を表す。
は1以上の整数を表す。nは0以上の整数を表す。Mがルテニウム原子、ロジウム原子またはイリジウム原子の場合、n+nは3であり、Mがパラジウム原子または白金原子の場合、n+nは2である。
およびEは、それぞれ独立に、炭素原子または窒素原子を表す。但し、EおよびEのいずれか一方は炭素原子である。
環Rは、5員環または6員環の芳香族複素環を表し、これらの環は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。環Rが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。但し、環Rが6員環の芳香族複素環である場合、Eは炭素原子である。
環Rは、5員環もしくは6員環の芳香族炭化水素環、または、5員環もしくは6員環の芳香族複素環を表し、これらの環は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。環Rが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。但し、Rが6員環の芳香族複素環である場合、Eは炭素原子である。
但し、環Rおよび環Rからなる群から選ばれる少なくとも1つの環が、式(2)で表される基を有する。
−G−Aは、アニオン性の2座配位子を表す。AおよびAは、それぞれ独立に、炭素原子、酸素原子または窒素原子を表し、これらの原子は環を構成する原子であってもよい。Gは、単結合、または、AおよびAとともに2座配位子を構成する原子団を表す。A−G−Aが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]

−R100 (2)
[式中、
100は、アリール基、1価の複素環基または置換アミノ基を表し、これらの基は置
換基を有していてもよい。]
【請求項14】
さらに、非燐光発光性の低分子化合物を含有する、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
さらに、式(X)で表される構成単位および式(Y)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含む高分子化合物を含有する、請求項13または14に記載の組成物。
【化5】
[式中、
X1およびaX2は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。
ArX1およびArX3は、それぞれ独立に、アリーレン基または2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArX2およびArX4は、それぞれ独立に、アリーレン基、2価の複素環基、または、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。ArX2およびArX4が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
X1、RX2およびRX3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。RX2およびRX3が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。]
【化6】
[式中、ArY1は、アリーレン基、2価の複素環基、または、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
【請求項16】
陽極と、陰極と、陽極および陰極の間に設けられた発光層とを有する発光素子であって、
発光層が、請求項13〜15のいずれか一項に記載の組成物を用いて得られる層である、発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物およびそれを用いた発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「発光素子」ともいう。)は、発光効率が高く、駆動電圧が低いことから、ディスプレイおよび照明の用途に好適に使用することが可能であり、研究開発が盛んに行われている。発光素子の発光層に用いる可溶性の発光性化合物と、溶媒とを含有する組成物を用いることで、インクジェット印刷法に代表される吐出型の塗布法を用いて発光層を形成することができる。そして、吐出型の塗布法を用いて発光層を形成することにより、大面積の発光素子を簡易なプロセスで製造することができる。そのため、可溶性の発光性化合物と、溶媒とを含有する組成物が検討されている。
【0003】
特許文献1では、可溶性の発光性化合物と、2種以上の溶媒とを含有する組成物を用いて、インクジェット印刷法により、等方的な発光層を形成できることが記載されている。なお、該発光性化合物は、蛍光発光性化合物である。また、該2種以上の溶媒の沸点差は、50℃〜55℃程度である。
【0004】
特許文献2では、可溶性の発光性化合物と、沸点が200℃以上である溶媒とを含有する組成物を用いて、インクジェット印刷法により、平滑な発光層を形成できることが記載されている。なお、該発光性化合物は、蛍光発光性化合物である。また、沸点が200℃以上である溶媒と、沸点が200℃未満である溶媒とを含有する組成物は記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−288416号公報
【特許文献2】特開2003−229256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
三重項励起状態からの発光(燐光発光)を示す燐光発光性化合物を発光層に用いた発光素子は、一重項励起状態からの発光(蛍光発光)を示す蛍光発光性化合物を発光層に用いた発光素子より高い発光効率を示す。そのため、燐光発光性化合物と、溶媒とを含有する組成物であって、吐出型の塗布法に用いられた場合、平坦性に優れる膜の製造に有用な組成物が求められていた。
【0007】
そこで、本発明は、燐光発光性化合物と、溶媒とを含有する組成物であって、吐出型の塗布法に用いられた場合、平坦性に優れる膜の製造に有用な組成物を提供することを目的とする。本発明はまた、該組成物を用いて得られる発光素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の[1]〜[13]を提供する。
【0009】
[1]燐光発光性化合物と、溶媒(A)と、溶媒(B)とを含有する組成物であって、
溶媒(A)の1気圧下における沸点:bpA(℃)と、溶媒(B)の1気圧下における沸点:bpB(℃)とが、式(11)および式(12)を満たし、
溶媒(A)の含有量:wtA(重量)と、溶媒(B)の含有量:wtB(重量)とが、式(13)を満たす、組成物。

bpB<200℃≦bpA (11)
70℃≦bpA−bpB≦120℃ (12)
wtB≦wtA (13)

[2]前記溶媒(A)および前記溶媒(B)が、それぞれ独立に、芳香族炭化水素系溶媒または芳香族エーテル系溶媒である、[1]に記載の組成物。
[3]前記溶媒(A)および前記溶媒(B)の少なくとも一方が、芳香族エーテル系溶媒である、[1]または[2]に記載の組成物。
[4]前記燐光発光性化合物が、式(1)で表される燐光発光性化合物である、[1]〜[3]のいずれかに記載の組成物。
【化1】
[式中、
Mは、ルテニウム原子、ロジウム原子、パラジウム原子、イリジウム原子または白金原子を表す。
は1以上の整数を表す。nは0以上の整数を表す。Mがルテニウム原子、ロジウム原子またはイリジウム原子の場合、n+nは3であり、Mがパラジウム原子または白金原子の場合、n+nは2である。
およびEは、それぞれ独立に、炭素原子または窒素原子を表す。但し、EおよびEのいずれか一方は炭素原子である。
環Rは、5員環または6員環の芳香族複素環を表し、これらの環は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。環Rが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。但し、環Rが6員環の芳香族複素環である場合、Eは炭素原子である。
環Rは、5員環もしくは6員環の芳香族炭化水素環、または、5員環もしくは6員環の芳香族複素環を表し、これらの環は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。環Rが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。但し、Rが6員環の芳香族複素環である場合、Eは炭素原子である。
−G−Aは、アニオン性の2座配位子を表す。AおよびAは、それぞれ独立に、炭素原子、酸素原子または窒素原子を表し、これらの原子は環を構成する原子であってもよい。Gは、単結合、または、AおよびAとともに2座配位子を構成する原子団を表す。A−G−Aが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
[5]前記環Rが、置換基を有していてもよいキノリン環、置換基を有していてもよいイソキノリン環、置換基を有していてもよいピリジン環、置換基を有していてもよいピリミジン環、置換基を有していてもよいイミダゾール環または置換基を有していてもよいトリアゾール環である、[4]に記載の組成物。
[6]前記環Rが、置換基を有していてもよいベンゼン環、置換基を有していてもよいナフタレン環、置換基を有していてもよいフルオレン環、置換基を有していてもよいフェナントレン環、置換基を有していてもよいピリジン環、置換基を有していてもよいジアザベンゼン環、置換基を有していてもよいピロール環、置換基を有していてもよいフラン環または置換基を有していてもよいチオフェン環である、[4]または[5]に記載の組成物。
[7]前記環Rおよび前記環Rからなる群から選ばれる少なくとも1つの環が、式(2)で表される基を有する、[4]〜[6]のいずれかに記載の組成物。

−R100 (2)
[式中、
100は、アリール基、1価の複素環基または置換アミノ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
[8]前記Mが、イリジウム原子である、[4]〜[7]のいずれかに記載の組成物。
[9]さらに、非燐光発光性の低分子化合物を含有する、[1]〜[8]のいずれかに記載の組成物。
[10]さらに、式(X)で表される構成単位および式(Y)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含む高分子化合物を含有する、[1]〜[8]のいずれかに記載の組成物。
【化2】
[式中、
X1およびaX2は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。
ArX1およびArX3は、それぞれ独立に、アリーレン基または2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArX2およびArX4は、それぞれ独立に、アリーレン基、2価の複素環基、または、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。ArX2およびArX4が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
X1、RX2およびRX3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。RX2およびRX3が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。]
【化3】
[式中、ArY1は、アリーレン基、2価の複素環基、または、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
[11]さらに、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、発光材料および酸化防止剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の材料とを含有する、[1]〜[10]のいずれかに記載の組成物。
[12]粘度が、1〜20mPa・sである、[1]〜[11]のいずれかに記載の組成物。
[13]陽極と、陰極と、陽極および陰極の間に設けられた発光層とを有する発光素子であって、
発光層が、[1]〜[12]のいずれかに記載の組成物を用いて得られる層である、発光素子。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、燐光発光性化合物と、溶媒とを含有する組成物であって、吐出型の塗布法に用いられた場合、平坦性に優れる膜の製造に有用な組成物を提供することができる。また、本発明によれば、該組成物を用いて得られる発光素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例B1、B2およびB3、並びに、比較例CB1およびCB2で用いられた溶媒(A)と溶媒(B)との沸点差と、薄膜B1、B2、B3、CB1およびCB2の「(最も厚い周辺部の膜厚)/(最も薄い中心部の膜厚)」の値との関係を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0013】
<共通する用語の説明>
本明細書で共通して用いられる用語は、特記しない限り、以下の意味である。
【0014】
Meはメチル基、Etはエチル基、Buはブチル基、i-Prはイソプロピル基、t-Buはtert-ブチル基を表す。
【0015】
水素原子は、重水素原子であっても、軽水素原子であってもよい。
【0016】
金属錯体を表す式中、中心金属との結合を表す実線は、共有結合または配位結合を意味する。
【0017】
「高分子化合物」とは、分子量分布を有し、ポリスチレン換算の数平均分子量が1×103〜1×108である重合体を意味する。
【0018】
高分子化合物は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよいし、その他の態様であってもよい。
【0019】
高分子化合物の末端基は、重合活性基がそのまま残っていると、高分子化合物を発光素子の作製に用いた場合に発光特性または輝度寿命が低下する可能性があるので、好ましくは安定な基である。この末端基としては、好ましくは主鎖と共役結合している基であり、例えば、炭素−炭素結合を介してアリール基または1価の複素環基と結合している基が挙げられる。
【0020】
「低分子化合物」とは、分子量分布を有さず、分子量が1×104以下の化合物を意味する。
【0021】
「構成単位」とは、高分子化合物中に1個以上存在する単位を意味する。
【0022】
「アルキル基」は、直鎖および分岐のいずれでもよい。直鎖のアルキル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1〜50であり、好ましくは3〜30であり、より好ましくは4〜20である。分岐のアルキル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜50であり、好ましくは3〜30であり、より好ましくは4〜20である。
アルキル基は、置換基を有していてもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、2-エチルブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2-ブチル基、2-エチルヘキシル基、3-プロピルヘプチル基、デシル基、3,7-ジメチルオクチル基、2-エチルオクチル基、2-ヘキシルデシル基、ドデシル基、および、これらの基における水素原子が、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基が挙げられ、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、3-フェニルプロピル基、3-(4-メチルフェニル)プロピル基、3-(3,5-ジ-ヘキシルフェニル)プロピル基、6-エチルオキシヘキシル基が挙げられる。
「シクロアルキル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜50であり、好ましくは3〜30であり、より好ましくは4〜20である。
シクロアルキル基は、置換基を有していてもよく、例えば、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基が挙げられる。
【0023】
「アリール基」は、芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた残りの原子団を意味する。アリール基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6〜60であり、好ましくは6〜20であり、より好ましくは6〜10である。
アリール基は、置換基を有していてもよく、例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、1-アントラセニル基、2-アントラセニル基、9-アントラセニル基、1-ピレニル基、2-ピレニル基、4-ピレニル基、2-フルオレニル基、3-フルオレニル基、4-フルオレニル基、2-フェニルフェニル基、3-フェニルフェニル基、4-フェニルフェニル基、および、これらの基における水素原子が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基が挙げられる。
【0024】
「アルコキシ基」は、直鎖および分岐のいずれでもよい。直鎖のアルコキシ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1〜40であり、好ましくは4〜10である。分岐のアルコキシ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜40であり、好ましくは4〜10である。
アルコキシ基は、置換基を有していてもよく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7-ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基、および、これらの基における水素原子が、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基が挙げられる。
「シクロアルコキシ基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜40であり、好ましくは4〜10である。
シクロアルコキシ基は、置換基を有していてもよく、例えば、シクロヘキシルオキシ基が挙げられる。
【0025】
「アリールオキシ基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6〜60であり、好ましくは6〜48である。
アリールオキシ基は、置換基を有していてもよく、例えば、フェノキシ基、1-ナフチルオキシ基、2-ナフチルオキシ基、1-アントラセニルオキシ基、9-アントラセニルオキシ基、1-ピレニルオキシ基、および、これらの基における水素原子が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、フッ素原子等で置換された基が挙げられる。
【0026】
「p価の複素環基」(pは、1以上の整数を表す。)とは、複素環式化合物から、環を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合している水素原子のうちp個の水素原子を除いた残りの原子団を意味する。p価の複素環基の中でも、芳香族複素環式化合物から、環を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合している水素原子のうちp個の水素原子を除いた残りの原子団である「p価の芳香族複素環基」が好ましい。
「芳香族複素環式化合物」は、オキサジアゾール、チアジアゾール、チアゾール、オキサゾール、チオフェン、ピロール、ホスホール、フラン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、トリアジン、ピリダジン、キノリン、イソキノリン、カルバゾール、ジベンゾホスホール等の複素環自体が芳香族性を示す化合物、および、フェノキサジン、フェノチアジン、ジベンゾボロール、ジベンゾシロール、ベンゾピラン等の複素環自体は芳香族性を示さなくとも、複素環に芳香環が縮環されている化合物を意味する。
【0027】
1価の複素環基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常、2〜60であり、好ましくは4〜20である。
1価の複素環基は、置換基を有していてもよく、例えば、チエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、ピペリジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、および、これらの基における水素原子が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基等で置換された基が挙げられる。
【0028】
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を示す。
【0029】
「アミノ基」は、置換基を有していてもよく、置換アミノ基が好ましい。アミノ基が有する置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基が好ましい。
置換アミノ基としては、例えば、ジアルキルアミノ基、ジシクロアルキルアミノ基およびジアリールアミノ基が挙げられる。
アミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ビス(4-メチルフェニル)アミノ基、ビス(4-tert-ブチルフェニル)アミノ基、ビス(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)アミノ基が挙げられる。
【0030】
「アルケニル基」は、直鎖および分岐のいずれでもよい。直鎖のアルケニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常2〜30であり、好ましくは3〜20である。分岐のアルケニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜30であり、好ましくは4〜20である。
「シクロアルケニル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜30であり、好ましくは4〜20である。
アルケニル基およびシクロアルケニル基は、置換基を有していてもよく、例えば、ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、1-ヘキセニル基、5-ヘキセニル基、7-オクテニル基、および、これらの基が置換基を有する基が挙げられる。
【0031】
「アルキニル基」は、直鎖および分岐のいずれでもよい。アルキニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子を含めないで、通常2〜20であり、好ましくは3〜20である。分岐のアルキニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子を含めないで、通常4〜30であり、好ましくは4〜20である。
「シクロアルキニル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子を含めないで、通常4〜30であり、好ましくは4〜20である。
アルキニル基およびシクロアルキニル基は、置換基を有していてもよく、例えば、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、3-ペンチニル基、4-ペンチニル基、1-ヘキシニル基、5-ヘキシニル基、および、これらの基が置換基を有する基が挙げられる。
【0032】
「アリーレン基」は、芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子2個を除いた残りの原子団を意味する。アリーレン基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常、6〜60であり、好ましくは6〜30であり、より好ましくは6〜18である。
アリーレン基は、置換基を有していてもよく、例えば、フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、フェナントレンジイル基、ジヒドロフェナントレンジイル基、ナフタセンジイル基、フルオレンジイル基、ピレンジイル基、ペリレンジイル基、クリセンジイル基、および、これらの基が置換基を有する基が挙げられ、好ましくは、式(A-1)〜式(A-20)で表される基である。アリーレン基は、これらの基が複数結合した基を含む。
【0033】
【化4】
【0034】
【化5】
【0035】
【化6】
【0036】
【化7】
[式中、RおよびRaは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基を表す。複数存在するRおよびRaは、各々、同一でも異なっていてもよく、Ra同士は互いに結合して、それぞれが結合する原子と共に環を形成していてもよい。]
【0037】
2価の複素環基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常、2〜60であり、好ましくは、3〜20であり、より好ましくは、4〜15である。
2価の複素環基は、置換基を有していてもよく、例えば、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、ジベンゾシロール、フェノキサジン、フェノチアジン、アクリジン、ジヒドロアクリジン、フラン、チオフェン、アゾール、ジアゾール、トリアゾールから、環を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合している水素原子のうち2個の水素原子を除いた2価の基が挙げられ、好ましくは、式(AA-1)〜式(AA-34)で表される基である。2価の複素環基は、これらの基が複数結合した基を含む。
【0038】
【化8】
【0039】
【化9】
【0040】
【化10】
【0041】
【化11】
【0042】
【化12】
【0043】
【化13】
【0044】
【化14】
[式中、RおよびRaは、前記と同じ意味を表す。]
【0045】
「架橋基」とは、加熱処理、紫外線照射処理、近紫外線照射処理、可視光照射処理、赤外線照射処理、ラジカル反応等に供することにより、新たな結合を生成することが可能な基であり、好ましくは、式(B-1)-(B-17)のいずれかで表される基である。これらの基は、置換基を有していてもよい。
【0046】
【化15】
【0047】
「置換基」とは、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、置換アミノ基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基またはシクロアルキニル基を表す。置換基は架橋基であってもよい。
【0048】
「デンドロン」とは、原子または環を分岐点とする規則的な樹枝状分岐構造(即ち、デンドリマー構造)を有する基を意味する。デンドロンを有する化合物(以下、「デンドリマー」と言う。)としては、例えば、国際公開第02/067343号、特開2003-231692号公報、国際公開第2003/079736号、国際公開第2006/097717号等の文献に記載の構造が挙げられる。
【0049】
デンドロンとしては、好ましくは、式(D-A)または(D-B)で表される基である。
【0050】
【化16】
[式中、
DA1、mDA2およびmDA3は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。
DAは、窒素原子、芳香族炭化水素基または複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArDA1、ArDA2およびArDA3は、それぞれ独立に、アリーレン基または2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。ArDA1、ArDA2およびArDA3が複数ある場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
DAは、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数あるTDAは、同一でも異なっていてもよい。]
【0051】
【化17】
[式中、
DA1、mDA2、mDA3、mDA4、mDA5、mDA6およびmDA7は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。
DAは、窒素原子、芳香族炭化水素基または複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数あるGDAは、同一でも異なっていてもよい。
ArDA1、ArDA2、ArDA3、ArDA4、ArDA5、ArDA6およびArDA7は、それぞれ独立に、アリーレン基または2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。ArDA1、ArDA2、ArDA3、ArDA4、ArDA5、ArDA6およびArDA7が複数ある場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
DAは、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数あるTDAは、同一でも異なっていてもよい。]
【0052】
DA1、mDA2、mDA3、mDA4、mDA5、mDA6およびmDA7は、通常10以下の整数であり、好ましくは5以下の整数であり、より好ましくは0または1である。mDA1、mDA2、mDA3、mDA4、mDA5、mDA6およびmDA7は、同一の整数であることが好ましい。
【0053】
DAは、好ましくは式(GDA-11)〜(GDA-15)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0054】
【化18】
[式中、
*は、式(D-A)におけるArDA1、式(D-B)におけるArDA1、式(D-B)におけるArDA2、または、式(D-B)におけるArDA3との結合を表す。
**は、式(D-A)におけるArDA2、式(D-B)におけるArDA2、式(D-B)におけるArDA4、または、式(D-B)におけるArDA6との結合を表す。
***は、式(D-A)におけるArDA3、式(D-B)におけるArDA3、式(D-B)におけるArDA5、または、式(D-B)におけるArDA7との結合を表す。
DAは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は更に置換基を有していてもよい。RDAが複数ある場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
【0055】
DAは、好ましくは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基またはシクロアルコキシ基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0056】
ArDA1、ArDA2、ArDA3、ArDA4、ArDA5、ArDA6およびArDA7は、好ましくは式(ArDA-1)〜(ArDA-3)で表される基である。
【0057】
【化19】
[式中、
DAは前記と同じ意味を表す。
DBは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。RDBが複数ある場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
【0058】
DBは、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基であり、より好ましくはアリール基または1価の複素環基であり、更に好ましくはアリール基である。
【0059】
DAは、好ましくは式(TDA-1)〜(TDA-3)で表される基である。
【0060】
【化20】
[式中、RDAおよびRDBは前記と同じ意味を表す。]
【0061】
式(D-A)で表される基は、好ましくは式(D-A1)〜(D-A3)で表される基である。
【0062】
【化21】
[式中、
p1、Rp2およびRp3は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基またはハロゲン原子を表す。Rp1およびRp2が複数ある場合、それらはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
np1は、0〜5の整数を表し、np2は0〜3の整数を表し、np3は0または1を表す。複数あるnp1は、同一でも異なっていてもよい。]
【0063】
式(D-B)で表される基は、好ましくは式(D-B1)〜(D-B3)で表される基である。
【0064】
【化22】
[式中、
p1、Rp2およびRp3は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基またはハロゲン原子を表す。Rp1およびRp2が複数ある場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
np1は0〜5の整数を表し、np2は0〜3の整数を表し、np3は0または1を表す。np1およびnp2が複数ある場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。]
【0065】
np1は、好ましくは0〜3の整数であり、より好ましくは1〜3の整数であり、更に好ましくは1である。np2は、好ましくは0または1であり、より好ましくは0である。np3は好ましくは0である。
【0066】
p1、Rp2およびRp3は、好ましくはアルキル基またはシクロアルキル基である。
【0067】
<溶媒>
本発明の組成物に含有される溶媒(A)および溶媒(B)に関して説明する。
【0068】
本発明の組成物に含有される、溶媒(A)の1気圧下における沸点:bpA(℃)と、溶媒(B)の1気圧下における沸点:bpB(℃)とは、式(11)を満たす。

bpB<200℃≦bpA (11)
【0069】
本発明の組成物に含有される、溶媒(A)の1気圧下における沸点:bpA(℃)と、溶媒(B)の1気圧下における沸点:bpB(℃)とは、本発明の組成物を用いて形成される膜の平坦性がより優れるため、式(11’)を満たすことが好ましく、式(11’’)を満たすことがより好ましい。

80℃≦bpB<200℃≦bpA<320℃ (11’)
100℃≦bpB<200℃≦bpA<300℃ (11’’)
【0070】
本発明の組成物に含有される、溶媒(A)の1気圧下における沸点:bpA(℃)と、溶媒(B)の1気圧下における沸点:bpB(℃)とは、式(12)を満たす。

70℃≦bpA−bpB≦120℃ (12)
【0071】
本発明の組成物に含有される、溶媒(A)の1気圧下における沸点:bpA(℃)と、溶媒(B)の1気圧下における沸点:bpB(℃)とは、本発明の組成物を用いて形成される膜の平坦性がより優れるため、式(12’)を満たすことが好ましく、式(12’’)を満たすことがより好ましい。
80℃≦bpA−bpB≦120℃ (12’)
90℃≦bpA−bpB≦120℃ (12’’)
【0072】
本発明の組成物に含有される、溶媒(A)の含有量:wtA(重量)と、溶媒(B)の含有量:wtB(重量)とは、式(13)を満たす。

wtB≦wtA (13)
【0073】
本発明の組成物に含有される、溶媒(A)の含有量:wtA(重量)と、溶媒(B)の含有量:wtB(重量)とは、本発明の組成物を用いて形成される膜の平坦性がより優れるため、式(13−A)および式(13−B)を満たすことが好ましい。

0.50≦wtA/(wtA+wtB)≦0.95 (13−A)
0.05≦wtB/(wtA+wtB)≦0.50 (13−B)
【0074】
本発明の組成物に含有される、溶媒(A)の含有量:wtA(重量)と、溶媒(B)の含有量:wtB(重量)とは、本発明の組成物を用いて形成される膜の平坦性がより優れるため、式(13’−A)および式(13’−B)を満たすことがより好ましい。

0.50≦wtA/(wtA+wtB)≦0.90 (13’−A)
0.10≦wtB/(wtA+wtB)≦0.50 (13’−B)
【0075】
本発明の組成物に含有される、溶媒(A)の含有量:wtA(重量)と、溶媒(B)の含有量:wtB(重量)とは、本発明の組成物を用いて形成される膜の平坦性がより優れるため、式(13’’−A)および式(13’’−B)を満たすことがさらに好ましい。

0.50≦wtA/(wtA+wtB)≦0.80 (13’’−A)
0.20≦wtB/(wtA+wtB)≦0.50 (13’’−B)
【0076】
本発明の組成物に含有される溶媒(A)および溶媒(B)としては、例えば、炭化水素系溶媒、単価アルコール系溶媒、多価アルコール系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、窒素原子を含む溶媒、硫黄原子を含む溶媒が挙げられる。
【0077】
本発明の組成物に含有される溶媒(A)および溶媒(B)は、それぞれ独立に、炭化水素系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒またはエーテル系溶媒であることが好ましく、炭化水素系溶媒、エステル系溶媒またはエーテル系溶媒であることがより好ましく、炭化水素系溶媒またはエーテル系溶媒であることがさらに好ましく、芳香族炭化水素系溶媒または芳香族エーテル系溶媒であることが特に好ましい。
【0078】
本発明の組成物に含有される溶媒(A)および溶媒(B)の少なくとも一方は、芳香族エーテル系溶媒であることが好ましい。
【0079】
本発明の組成物に含有される溶媒(A)は、1気圧下における沸点が200℃以上であり、例えば、下記の溶媒が挙げられる。
【0080】
炭化水素系溶媒としては、例えば、n−ドデカン、n−トリデカン、n−テトラデカン、ビシクロヘキシル等の脂肪族炭化水素系溶媒;n−ペンチルベンゼン、n−ヘキシルベンゼン、n−ヘプチルベンゼン、n−オクチルベンゼル、n−ノニルベンゼン、n−デシルベンゼン、ドデシルベンゼン、1,3−ジ−イソプロピルベンゼン、1,4−ジ−イソプロピルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、テトラリン、ビフェニル等の芳香族炭化水素系溶媒が挙げられる。
【0081】
単価アルコール系溶媒としては、例えば、1−ノナノール、n−デカノール、2−デカノール、n−ウンデカノール、イソデカノール、n−テトラデカノール等の脂肪族アルコール系溶媒;m−クレゾール、p−クレゾール、p−エチルフェノール、4−メトキシフェノール、o−n−プロピルフェノール、o−イソプロピルフェノール、o−sec−ブチルフェノール、o−t−ブチルフェノール、m−t−ブチルフェノール、p−t−ブチルフェノール、ベンジルアルコール等の芳香族アルコール系溶媒が挙げられる。
【0082】
多価アルコール系溶媒としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールが挙げられる。
【0083】
エステル系溶媒としては、例えば、酢酸n−オクチル、コハク酸ジエチル等の脂肪族エステル系溶媒;安息香酸エチル、安息香酸n−ブチル等の芳香族エステル系溶媒が挙げられる。
【0084】
ケトン系溶媒としては、例えば、2−(1−シクロヘキセニル)シクロヘキサノン、イソホロンが挙げられる。
【0085】
エーテル系溶媒としては、例えば、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等の脂肪族エーテル系溶媒;n−ブチルフェニルエーテル、t−ブチルアニソール、n−ペンチルアニソール、n−ヘキシルアニソール、n−ヘプチルアニソール、n−オクチルアニソール、1−メチルナフチルエーテル、2−メチルナフチルエーテル、ジフェニルエーテル、3−フェノキシトルエン等の芳香族エーテル系溶媒が挙げられ、芳香族エーテル系溶媒であることが好ましい。
【0086】
窒素原子を含む溶媒としては、例えば、アセトアミド、N−メチルピロリドン、2−ピロリドンが挙げられる。
【0087】
硫黄原子を含む溶媒としては、例えば、チオジグリコール、スルホランが挙げられる。
【0088】
本発明の組成物に含有される溶媒(B)は、1気圧下におけ沸点が200℃未満であり、例えば、下記の溶媒が挙げられる。
【0089】
炭化水素系溶媒としては、例えば、n−オクタン、n-ノナン、n−デカン、n−ウンデカン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、デカリン等の脂肪族炭化水素系溶媒;トルエン、o−キシレン、p−キシレン、m−キシレン、メシチレン、1,2,4−トリメチルベンゼン、エチルベンゼン、o−ジエチルベンゼン、m−ジエチルベンゼン、p−ジエチルベンゼン、o−エチルメチルベンゼン、p−エチルメチルベンゼン、m−エチルメチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン、n−ブチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、イソブチルベンゼン、t−ブチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒が挙げられる。
【0090】
単価アルコール系溶媒としては、例えば、1−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、ジメチルシクロヘキサノール、シクロヘキセノール、シクロヘキシルメタノール、テトラヒドロフルフリルアルコール、2−ノナノール等の脂肪族アルコール系溶媒;フェノール、o−クレゾール、o−エチルフェノール等の芳香族アルコール系溶媒が挙げられる。
【0091】
多価アルコール系溶媒としては、例えば、エチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ヘキシレングリコールが挙げられる。
【0092】
エステル系溶媒としては、例えば、ギ酸n−ブチル、酢酸アリル、酢酸n−ブチル、コハク酸ジメチル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジメチル、乳酸メチル、乳酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル等の脂肪族エステル系溶媒;安息香酸メチル等の芳香族エステル系溶媒が挙げられる。
【0093】
ケトン系溶媒としては、例えば、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトンが挙げられる。
【0094】
エーテル系溶媒としては、例えば、エチレングリコールジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の脂肪族エーテル系溶媒;アニソール、エチルフェニルエーテル、2−メチルアニソール、3−メチルアニソール、4−メチルアニソール、2,5―ジメチルアニソール、2−エチルアニソール、4−エチルアニソール等の芳香族エーテル系溶媒が挙げられる。
【0095】
窒素原子を含む溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジイソプロピルエチルアミンが挙げられる。
【0096】
硫黄原子を含む溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシドが挙げられる。
【0097】
本発明の組成物には、溶媒(A)および溶媒(B)以外の溶媒として、式(14)を満たす溶媒(以下、「溶媒(C)」ともいう。)が含有されていてもよい。本発明の組成物には、溶媒(C)が1種単独で含有されていてもよく、2種以上含有されていてもよい。

wtC<wtB≦wtA (14)
(ここで、wtCは、溶媒(C)の含有量(重量)を示す。なお、本発明の組成物に溶媒(C)が2種以上含有されている場合、wtCは、溶媒(C)の合計含有量(重量)を示す。)
【0098】
本発明の組成物に溶媒(C)が含有される場合、溶媒(A)の含有量:wtA(重量)と、溶媒(B)の含有量:wtB(重量)と、溶媒(C)の含有量:wtC(重量)とは、本発明の組成物を用いて形成される膜の平坦性がより優れるため、式(14−A)および式(14−B)を満たすことが好ましい。

0.50≦wtA/(wtA+wtB+wtC)≦0.95 (14−A)
0.05≦wtB/(wtA+wtB+wtC)≦0.50 (14−B)
【0099】
本発明の組成物に溶媒(C)が含有される場合、溶媒(A)の含有量:wtA(重量)と、溶媒(B)の含有量:wtB(重量)と、溶媒(C)の含有量:wtC(重量)とは、本発明の組成物を用いて形成される膜の平坦性がより優れるため、式(14’−A)および式(14’−B)を満たすことがより好ましい。

0.50≦wtA/(wtA+wtB+wtC)≦0.90 (14’−A)
0.10≦wtB/(wtA+wtB+wtC)≦0.50 (14’−B)
【0100】
本発明の組成物に溶媒(C)が含有される場合、溶媒(A)の含有量:wtA(重量)と、溶媒(B)の含有量:wtB(重量)と、溶媒(C)の含有量:wtC(重量)とは、本発明の組成物を用いて形成される膜の平坦性がより優れるため、式(14’’−A)および式(14’’−B)を満たすことがさらに好ましい。

0.50≦wtA/(wtA+wtB+wtC)≦0.80 (14’’−A)
0.20≦wtB/(wtA+wtB+wtC)≦0.50 (14’’−B)
【0101】
本発明の組成物に溶媒(C)が含有される場合、溶媒(A)の含有量:wtA(重量)と、溶媒(B)の含有量:wtB(重量)と、溶媒(C)の含有量:wtC(重量)とは、本発明の組成物を用いて形成される膜の平坦性がより優れるため、式(14−C)を満たすことが好ましく、式(14’−C)を満たすことがより好ましく、式(14’’−C)を満たすことがさらに好ましい。

0.01≦wtC/(wtA+wtB+wtC)≦0.20 (14−C)
0.02≦wtC/(wtA+wtB+wtC)≦0.15 (14’−C)
0.03≦wtC/(wtA+wtB+wtC)≦0.10 (14’’−C)
【0102】
本発明の組成物に溶媒(C)が含有される場合、溶媒(C)の1気圧下における沸点:bpC(℃)は、式(15)を満たすことが好ましく、式(15’)を満たすことがより好ましく、式(15’’)を満たすことがさらに好ましい。

25℃≦bpC≦350℃ (15)
50℃≦bpC≦350℃ (15’)
80℃≦bpC≦350℃ (15’’)
【0103】
本発明の組成物に溶媒(C)が含有される場合、溶媒(C)としては、例えば、炭化水素系溶媒、単価アルコール系溶媒、多価アルコール系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、窒素原子を含む溶媒、硫黄原子を含む溶媒が挙げられる。
【0104】
本発明の組成物に溶媒(C)が含有される場合、溶媒(C)は、炭化水素系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒またはエーテル系溶媒化合物であることが好ましく、炭化水素系溶媒、エステル系溶媒またはエーテル系溶媒であることがより好ましく、炭化水素系溶媒またはエーテル系溶媒であることがさらに好ましく、芳香族炭化水素系溶媒または芳香族エーテル系溶媒であることが特に好ましい。
【0105】
本発明の組成物に溶媒(C)が含有される場合、溶媒(C)の例としては、前記の溶媒(A)および溶媒(B)の例と同じものが挙げられる。
【0106】
本発明の組成物に含有される溶媒(A)および溶媒(B)の組み合わせとしては、表1のINK−001〜INK026の組み合わせが好ましい。
【0107】
【表1】
【0108】
本発明の組成物に含有される溶媒(A)、溶媒(B)および溶媒(C)の組み合わせとしては、表2のINK−101〜INK121の組み合わせが好ましい。
【0109】
【表2】
【0110】
<燐光発光性化合物>
本発明の組成物に含有される燐光発光性化合物に関して説明する。
【0111】
本発明の組成物に含有される燐光発光性化合物は、式(1)で表される燐光発光性化合物であることが好ましい。
【0112】
【化23】
【0113】
式(1)で表される燐光発光性化合物は、中心金属であるMと、添え字nでその数を規定されている配位子と、添え字nでその数を規定されている配位子とから構成されている。
【0114】
Mは、本発明の組成物を用いて得られる発光素子の発光効率が優れるので、イリジウム原子または白金原子であることが好ましく、イリジウム原子であることがより好ましい。
【0115】
Mがルテニウム原子、ロジウム原子またはイリジウム原子の場合、nは2または3であることが好ましく、3であることがより好ましい。
【0116】
Mがパラジウム原子または白金原子の場合、nは2であることが好ましい。
【0117】
およびEは、炭素原子であることが好ましい。
【0118】
環Rは、キノリン環、イソキノリン環、ピリジン環、ピリミジン環、イミダゾール環またはトリアゾール環であることが好ましく、ピリジン環、ピリミジン環、イミダゾール環またはトリアゾール環であることがより好ましく、これらの環は置換基を有していてもよい。
【0119】
環Rは、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、フェナントレン環、ピリジン環、ジアザベンゼン環またはトリアジン環であることが好ましく、ベンゼン環、ピリジン環またはピリミジン環であることがより好ましく、これらの環は置換基を有していてもよい。
【0120】
環Rおよび環Rが有していてもよい置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、ハロゲン原子および置換アミノ基が挙げられ、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基または置換アミノ基が好ましく、アルキル基、アリール基、1価の複素環基または置換アミノ基がより好ましい。
【0121】
環Rおよび環Rからなる群から選ばれる少なくとも1つの環は、本発明の組成物を用いて得られる発光素子の輝度寿命が優れるので、式(2)で表される基を有することが好ましく、環Rは、式(2)で表される基を有することがより好ましい。
【0122】
−R100 (2)
【0123】
環Rおよび環Rが複数存在する場合、複数存在する環Rの全て、複数存在する環Rの全て、または、複数存在する環Rおよび環Rの全てが、式(2)で表される基を有することが好ましく、複数存在する環Rの全てが式(2)で表される基を有することがより好ましい。
【0124】
100は、アリール基または1価の複素環基であることが好ましく、アリール基であることがより好ましい。
【0125】
100で表されるアリール基、1価の複素環基または置換アミノ基は、デンドロンであることが好ましい。
【0126】
−G−Aで表されるアニオン性の2座配位子としては、例えば、下記で表される配位子が挙げられる。
【0127】
【化24】
【0128】
【化25】
[式中、*は、Mと結合する部位を示す。]
【0129】
式(1)で表される燐光発光性化合物は、本発明の組成物を用いて得られる発光素子の発光効率が優れるため、式(1−A)で表される燐光発光性化合物または式(1−B)で表される燐光発光性化合物であることが好ましい。
【0130】
【化26】
[式中、
M、n、n、EおよびA−G−Aは、前記と同じ意味を表す。
11A、E12A、E13A、E21A、E22A、E23AおよびE24Aは、それぞれ独立に、窒素原子または炭素原子を表す。E11A、E12A、E13A、E21A、E22A、E23AおよびE24Aが複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。E11A、E12AおよびE13Aが窒素原子の場合、R11A、R12AおよびR13Aは、存在しても存在しなくてもよい。E21A、E22A、E23AおよびE24Aが窒素原子の場合、R21A、R22A、R23AおよびR24Aは、存在しない。
11A、R12A、R13A、R21A、R22A、R23AおよびR24Aは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、ハロゲン原子または置換アミノ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R11A、R12A、R13A、R21A、R22A、R23AおよびR24Aが複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。R11AとR12A、R12AとR13A、R11AとR21A、R21AとR22A、R22AとR23A、および、R23AとR24Aは、それぞれ結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。
環R1Aは、窒素原子、E、E11A、E12AおよびE13Aとで構成されるイミダゾール環またはトリアゾール環を表す。
環R2Aは、2つの炭素原子、E21A、E22A、E23AおよびE24Aとで構成されるベンゼン環、ピリジン環またはピリミジン環を表す。]
【0131】
11A、R12A、R13A、R21A、R22A、R23AおよびR24Aからなる群から選ばれる少なくとも1つは、本発明の組成物を用いて得られる発光素子の輝度寿命が優れるので、式(2)で表される基であることが好ましい。
【0132】
環R1Aがイミダゾール環である場合、E11Aが窒素原子であるイミダゾール環、または、E12Aが窒素原子であるイミダゾール環が好ましく、E11Aが窒素原子であるイミダゾール環がより好ましい。
【0133】
環R1Aがトリアゾール環である場合、E11AおよびE12Aが窒素原子であるトリアゾール環、または、E11AおよびE13Aが窒素原子であるトリアゾール環が好ましく、E11AおよびE12Aが窒素原子であるトリアゾール環がより好ましい。
【0134】
11Aが窒素原子であり、かつ、R11Aが存在する場合、R11Aはアルキル基、シクロアルキル基または式(2)で表される基であることが好ましい。
【0135】
11Aが炭素原子である場合、R11Aは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基であることが好ましく、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であることがより好ましく、水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基であることが更に好ましい。
【0136】
12Aが窒素原子であり、かつ、R12Aが存在する場合、R12Aはアルキル基、シクロアルキル基または式(2)で表される基であることが好ましい。
【0137】
12Aが炭素原子である場合、R12Aは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基であることが好ましく、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であることがより好ましく、水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基であることが更に好ましい。
【0138】
13Aが窒素原子であり、かつ、R13Aが存在する場合、R13Aはアルキル基、シクロアルキル基または式(2)で表される基であることが好ましい。
【0139】
13Aが炭素原子である場合、R13Aは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基であることが好ましく、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であることがより好ましく、水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基であることが更に好ましい。
【0140】
環R1Aが式(2)で表される基を有する場合、R11AまたはR12Aが式(2)で表される基であることが好ましく、R11Aが式(2)で表される基であることがより好ましい。式(2)で表される基は、デンドロンであることが好ましい。
【0141】
環R2Aがピリジン環である場合、E21Aが窒素原子であるピリジン環、E22Aが窒素原子であるピリジン環、または、E23Aが窒素原子であるピリジン環が好ましく、E22Aが窒素原子であるであるピリジン環がより好ましい。
【0142】
環R2Aがピリミジン環である場合、E21AおよびE23Aが窒素原子であるピリミジン環、または、E22AおよびE24Aが窒素原子であるピリミジン環が好ましく、E22AおよびE24Aが窒素原子であるピリミジン環がより好ましい。
【0143】
環R2Aは、ベンゼン環であることが好ましい。
【0144】
21A、R22A、R23AおよびR24Aは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基または式(2)で表される基であることが好ましく、水素原子または式(2)で表される基であることがより好ましい。
【0145】
環R2Aが式(2)で表される基を有する場合、R22AまたはR23Aが式(2)で表される基であることが好ましく、R22Aが式(2)で表される基であることがより好ましい。式(2)で表される基は、デンドロンであることが好ましい。
【0146】
【化27】
[式中、
M、n、nおよびA−G−Aは、前記と同じ意味を表す。
11B、E12B、E13B、E14B、E21B、E22B、E23BおよびE24Bは、それぞれ独立に、窒素原子または炭素原子を表す。E11B、E12B、E13B、E14B、E21B、E22B、E23BおよびE24Bが複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。E11B、E12B、E13B、E14B、E21B、E22B、E23BおよびE24Bが窒素原子の場合、R11B、R12B、R13B、R14B、R21B、R22B、R23BおよびR24Bは、存在しない。
11B、R12B、R13B、R14B、R21B、R22B、R23BおよびR24Bは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、ハロゲン原子または置換アミノ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R11B、R12B、R13B、R14B、R21B、R22B、R23BおよびR24Bが複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。R11BとR12B、R12BとR13B、R13BとR14B、R11BとR21B、R21BとR22B、R22BとR23B、および、R23BとR24Bは、それぞれ結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。
環R1Bは、窒素原子、炭素原子、E11B、E12B、E13BおよびE14Bとで構成されるピリジン環またはピリミジン環を表す。
環R2Bは、2つの炭素原子、E21B、E22B、E23BおよびE24Bとで構成されるベンゼン環、ピリジン環またはピリミジン環を表す。]
【0147】
11B、R12B、R13B、R14B、R21B、R22B、R23BおよびR24Bからなる群から選ばれる少なくとも1つは、本発明の組成物を用いて得られる発光素子の輝度寿命が優れるので、式(2)で表される基であることが好ましい。
【0148】
環R1Bがピリミジン環である場合、E11Bが窒素原子であるピリミジン環、または、E13Bが窒素原子であるピリミジン環が好ましく、E11Bが窒素原子であるピリミジン環がより好ましい。
【0149】
11B、R12B、R13BおよびR14Bは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基または式(2)で表される基であることが好ましく、水素原子または式(2)で表される基であることがより好ましい。
【0150】
環R1Bが式(2)で表される基を有する場合、R11B、R12BまたはR13Bが式(2)で表される基であることが好ましく、R11BまたはR13Bが式(2)で表される基であることがより好ましく、R11Bが式(2)で表される基であることが更に好ましい。式(2)で表される基は、デンドロンであることが好ましい。
【0151】
環R2Bがピリジン環である場合、E21Bが窒素原子であるピリジン環、E22Bが窒素原子であるピリジン環、または、E23Bが窒素原子であるピリジン環が好ましく、E22Bが窒素原子であるであるピリジン環がより好ましい。
【0152】
環R2Bがピリミジン環である場合、E21BおよびE23Bが窒素原子であるピリミジン環、または、E22BおよびE24Bが窒素原子であるピリミジン環が好ましく、E22BおよびE24Bが窒素原子であるピリミジン環がより好ましい。
【0153】
環R2Bは、ベンゼン環であることが好ましい。
【0154】
21B、R22B、R23BおよびR24Bは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基または式(2)で表される基であることが好ましく、水素原子または式(2)で表される基であることがより好ましい。
【0155】
環R2Bが式(2)で表される基を有する場合、R22BまたはR23Bが式(2)で表される基であることが好ましく、R22Bが式(2)で表される基であることがより好ましい。式(2)で表される基は、デンドロンであることが好ましい。
【0156】
式(1−A)で表される燐光発光性化合物は、式(1−A1)で表される燐光発光性化合物、式(1−A2)で表される燐光発光性化合物、式(1−A3)で表される燐光発光性化合物または式(1−A4)で表される燐光発光性化合物であることが好ましい。
【0157】
【化28】
[式中、
M、n、n、R11A、R12A、R13A、R21A、R22A、R23A、R24AおよびA−G−Aは、前記と同じ意味を表す。]
【0158】
式(1−B)で表される燐光発光性化合物は、式(1−B1)で表される燐光発光性化合物、式(1−B2)で表される燐光発光性化合物または式(1−B3)で表される燐光発光性化合物であることが好ましい。
【0159】
【化29】
[式中、
M、n、n、R11B、R12B、R13B、R14B、R21B、R22B、R23B、R24BおよびA−G−Aは、前記と同じ意味を表す。
およびnは、それぞれ独立に、1以上の整数を表し、n+nは2または3である。Mがルテニウム原子、ロジウム原子またはイリジウム原子の場合、n+nは3であり、Mがパラジウム原子または白金原子の場合、n+nは2である。
15B、R16B、R17BおよびR18Bは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、ハロゲン原子または置換アミノ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R15B、R16B、R17BおよびR18Bが複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。R13BとR15B、R15BとR16B、R16BとR17B、R17BとR18B、R18BとR21Bは、それぞれ結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。]
【0160】
式(1)で表される燐光発光性化合物としては、例えば、下記で表される燐光発光性化合物が挙げられる。
【0161】
【化30】
【0162】
【化31】
【0163】
【化32】
【0164】
【化33】
【0165】
【化34】
【0166】
燐光発光性化合物は、例えば、特表2004−530254号公報、特開2008−179617号公報、特開2011−105701号公報、特表2007−504272号公報、特開2013−147449号公報、特開2013−147450号公報に記載されている方法に従って合成することができる。
【0167】
<非燐光発光性の低分子化合物>
本発明の組成物は、非燐光発光性の低分子化合物をさらに含有していてもよい。本発明の組成物に含有されていてもよい非燐光発光性の低分子化合物に関して説明する。
【0168】
本発明の組成物に含有されていてもよい非燐光発光性の低分子化合物は、好ましくは、式(H−1)で表される化合物である。
【0169】
【化35】
[式中、
ArH1およびArH2は、それぞれ独立に、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
H1およびnH2は、それぞれ独立に、0または1を表す。nH1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。複数存在するnH2は、同一でも異なっていてもよい。
H3は、0以上の整数を表す。
H1は、アリーレン基、2価の複素環基、または、−[C(RH11]nH11−で表される基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。LH1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
H11は、1以上10以下の整数を表す。RH11は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRH11は、同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。
H2は、−N(−LH21−RH21)−で表される基を表す。LH2が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
H21は、単結合、アリーレン基または2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。RH21は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
【0170】
ArH1およびArH2は、フェニル基、フルオレニル基、スピロビフルオレニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、チエニル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、フリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、ピロリル基、インドリル基、アザインドリル基、カルバゾリル基、アザカルバゾリル基、ジアザカルバゾリル基、フェノキサジニル基またはフェノチアジニル基であることが好ましく、フェニル基、スピロビフルオレニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、ジベンゾチエニル基、ジベンゾフリル基、カルバゾリル基またはアザカルバゾリル基であることがより好ましく、フェニル基、ピリジル基、カルバゾリル基またはアザカルバゾリル基であることが更に好ましく、上記式(TDA−1)または(TDA−3)で表される基であることが特に好ましく、上記式(TDA−3)で表される基であることがとりわけ好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0171】
ArH1およびArH2が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基が好ましく、アルキル基、シクロアルコキシ基、アルコキシ基またはシクロアルコキシ基がより好ましく、アルキル基またはシクロアルコキシ基が更に好ましく、これらの基は更に置換基を有していてもよい。
【0172】
H1は、好ましくは1である。nH2は、好ましくは0である。
【0173】
H3は、通常、0以上10以下の整数であり、好ましくは0以上5以下の整数であり、更に好ましくは1以上3以下の整数であり、特に好ましくは1である。
【0174】
H11は、好ましくは1以上5以下の整数であり、より好ましく1以上3以下の整数であり、更に好ましく1である。
【0175】
H11は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基であることが好ましく、水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基であることがより好ましく、水素原子またはアルキル基であることが更に好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0176】
H1は、アリーレン基または2価の複素環基であることが好ましい。
【0177】
H1は、式(A−1)〜(A−3)、式(A−8)〜(A−10)、式(AA−1)〜(AA−6)、式(AA−10)〜(AA−21)または式(AA−24)〜(AA−34)で表される基であることが好ましく、式(A−1)、式(A−2)、式(A−8)、式(A−9)、式(AA−1)〜(AA−4)、式(AA−10)〜(AA−15)または式(AA−29)〜(AA−34)で表される基であることがより好ましく、式(A−1)、式(A−2)、式(A−8)、式(A−9)、式(AA−2)、式(AA−4)、式(AA−10)〜(AA−15)で表される基であることが更に好ましく、式(A−1)、式(A−2)、式(A−8)、式(AA−2)、式(AA−4)、式(AA−10)、式(AA−12)または式(AA−14)で表される基であることが特に好ましく、式(A−1)、式(A−2)、式(AA−2)、式(AA−4)または式(AA−14)で表される基であることがとりわけ好ましい。
【0178】
H1が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基が好ましく、アルキル基、アルコキシ基、アリール基または1価の複素環基がより好ましく、アルキル基、アリール基または1価の複素環基が更に好ましく、これらの基は更に置換基を有していてもよい。
【0179】
H21は、単結合またはアリーレン基であることが好ましく、単結合であることがより好ましく、このアリーレン基は置換基を有していてもよい。
【0180】
H21で表されるアリーレン基または2価の複素環基の定義および例は、LH1で表されるアリーレン基または2価の複素環基の定義および例と同様である。
【0181】
H21は、アリール基または1価の複素環基であることが好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0182】
H21で表されるアリール基および1価の複素環基の定義および例は、ArH1およびArH2で表されるアリール基および1価の複素環基の定義および例と同様である。
【0183】
H21が有していてもよい置換基の定義および例は、ArH1およびArH2が有していてもよい置換基の定義および例と同様である。
【0184】
式(H−1)で表される化合物は、式(H−2)で表される化合物であることが好ましい。
【0185】
【化36】
[式中、ArH1、ArH2、nH3およびLH1は、前記と同じ意味を表す。]
【0186】
式(H−1)で表される化合物としては、下記式(H−101)〜(H−119)で表される化合物が例示される。
【0187】
【化37】
【0188】
【化38】
【0189】
【化39】
【0190】
【化40】
【0191】
<高分子化合物>
本発明の組成物は、式(X)で表される構成単位および式(Y)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含む高分子化合物(以下、「第1の高分子化合物」ともいう。)をさらに含有していてもよい。本発明の組成物に含有されていてもよい第1の高分子化合物に関して説明する。
【0192】
[式(X)で表される構成単位]
【0193】
【化41】
【0194】
X1は、本発明の組成物を用いて得られる発光素子の発光効率が優れるので、好ましくは2以下の整数であり、より好ましくは1である。
【0195】
X2は、本発明の組成物を用いて得られる発光素子の発光効率が優れるので、好ましくは2以下の整数であり、より好ましくは0である。
【0196】
X1、RX2およびRX3は、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基であり、より好ましくはアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0197】
ArX1およびArX3で表されるアリーレン基は、より好ましくは式(A-1)または式(A-9)で表される基であり、更に好ましくは式(A-1)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0198】
ArX1およびArX3で表される2価の複素環基は、より好ましくは式(AA-1)、式(AA-2)または式(AA-7)-(AA-26)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0199】
ArX1およびArX3は、好ましくは置換基を有していてもよいアリーレン基である。
【0200】
ArX2およびArX4で表されるアリーレン基としては、より好ましくは式(A-1)、式(A-6)、式(A-7)、式(A-9)-(A-11)または式(A-19)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0201】
ArX2およびArX4で表される2価の複素環基のより好ましい範囲は、ArX1およびArX3で表される2価の複素環基のより好ましい範囲と同じである。
【0202】
ArX2およびArX4で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基における、アリーレン基および2価の複素環基のより好ましい範囲、更に好ましい範囲は、それぞれ、ArX1およびArX3で表されるアリーレン基および2価の複素環基のより好ましい範囲、更に好ましい範囲と同様である。
【0203】
ArX2およびArX4で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基としては、例えば、下記式で表される基が挙げられ、これらは置換基を有していてもよい。
【0204】
【化42】
[式中、RXXは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
【0205】
XXは、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0206】
ArX2およびArX4は、好ましくは置換基を有していてもよいアリーレン基である。
【0207】
ArX1〜ArX4およびRX1〜RX3で表される基が有してもよい置換基としては、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、これらの基は更に置換基を有していてもよい。
【0208】
式(X)で表される構成単位は、好ましくは式(X-1)-(X-7)で表される構成単位であり、より好ましくは式(X-1)-(X-6)で表される構成単位であり、更に好ましくは式(X-3)-(X-6)で表される構成単位である。
【0209】
【化43】
【0210】
【化44】
【0211】
【化45】
【0212】
【化46】
[式中、RX4およびRX5は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、1価の複素環基またはシアノ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRX4は、同一でも異なっていてもよい。複数存在するRX5は、同一でも異なっていてもよく、隣接するRX5同士は互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。]
【0213】
式(X)で表される構成単位は、本発明の組成物を用いて得られる発光素子の正孔輸送性が優れるので、第1の高分子化合物中に含まれる構成単位の合計量に対して、好ましくは0.1〜50モル%であり、より好ましくは1〜40モル%であり、更に好ましくは5〜30モル%である。
【0214】
式(X)で表される構成単位としては、例えば、式(X1-1)-(X1-11)で表される構成単位が挙げられ、好ましくは式(X1-3)-(X1-10)で表される構成単位である。
【0215】
【化47】
【0216】
【化48】
【0217】
【化49】
【0218】
【化50】
【0219】
【化51】
【0220】
式(X)で表される構成単位は、第1の高分子化合物中に、1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
【0221】
[式(Y)で表される構成単位]
【0222】
【化52】
【0223】
ArY1で表されるアリーレン基は、より好ましくは、式(A-1)、式(A-2)、式(A-6)-(A-10)、式(A-19)または式(A-20)で表される基であり、更に好ましくは、式(A-1)、式(A-2)、式(A-7)、式(A-9)または式(A-19)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0224】
ArY1で表される2価の複素環基は、より好ましくは、式(AA-1)-(AA-4)、式(AA-10)-(AA-15)、式(AA-18)-(AA-21)、式(AA-33)または式(AA-34)で表される基であり、更に好ましくは、式(AA-4)、式(AA-10)、式(AA-12)、式(AA-14)または式(AA-33)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0225】
ArY1で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基における、アリーレン基および2価の複素環基のより好ましい範囲、更に好ましい範囲は、それぞれ、前述のArY1で表されるアリーレン基および2価の複素環基のより好ましい範囲、更に好ましい範囲と同様である。
【0226】
ArY1で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基としては、式(X)のArX2およびArX4で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基と同様のものが挙げられる。
【0227】
ArY1で表される基が有してもよい置換基は、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、これらの基は更に置換基を有していてもよい。
【0228】
式(Y)で表される構成単位としては、例えば、式(Y-1)-(Y-10)で表される構成単位が挙げられ、本発明の組成物を用いて得られる発光素子の発光効率の観点からは、好ましくは式(Y-1)-(Y-3)で表される構成単位であり、本発明の組成物を用いて得られる発光素子の電子輸送性の観点からは、好ましくは式(Y-4)-(Y-7)で表される構成単位であり、本発明の組成物を用いて得られる発光素子の正孔輸送性の観点からは、好ましくは式(Y-8)-(Y-10)で表される構成単位である。また、式(Y)で表される構成単位としては、本発明の組成物を用いて得られる発光素子の輝度寿命が優れるので、好ましくは、式(Y-1)-(Y-4)で表される構成単位である。
【0229】
【化53】
[式中、RY1は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRY1は、同一でも異なっていてもよく、隣接するRY1同士は互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。]
【0230】
Y1は、好ましくは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0231】
式(Y-1)で表される構成単位は、好ましくは、式(Y-1')で表される構成単位である。
【0232】
【化54】
[式中、RY11は、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRY11は、同一でも異なっていてもよい。]
【0233】
Y11は、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、より好ましくは、アルキル基またはシクロアルキル基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0234】
【化55】
[式中、
Y1は前記と同じ意味を表す。
Y1は、−C(RY2)2−、−C(RY2)=C(RY2)−または−C(RY2)2−C(RY2)2−で表される基を表す。RY2は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRY2は、同一でも異なっていてもよく、RY2同士は互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。]
【0235】
Y2は、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0236】
Y1において、−C(RY2)2−で表される基中の2個のRY2の組み合わせは、好ましくは両方がアルキル基もしくはシクロアルキル基、両方がアリール基、両方が1価の複素環基、または、一方がアルキル基もしくはシクロアルキル基で他方がアリール基若しくは1価の複素環基であり、より好ましくは一方がアルキル基もしくはシクロアルキル基で他方がアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。2個存在するRY2は互いに結合して、それぞれが結合する原子と共に環を形成していてもよく、RY2が環を形成する場合、−C(RY2)2−で表される基としては、好ましくは式(Y-A1)-(Y-A5)で表される基であり、より好ましくは式(Y-A4)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0237】
【化56】
【0238】
Y1において、−C(RY2)=C(RY2)−で表される基中の2個のRY2の組み合わせは、好ましくは両方がアルキル基もしくはシクロアルキル基、または、一方がアルキル基もしくはシクロアルキル基で他方がアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0239】
Y1において、−C(RY2)2−C(RY2)2−で表される基中の4個のRY2は、好ましくは置換基を有していてもよいアルキル基またはシクロアルキル基である。複数あるRY2は互いに結合して、それぞれが結合する原子と共に環を形成していてもよく、RY2が環を形成する場合、−C(RY2)2−C(RY2)2−で表される基は、好ましくは式(Y-B1)-(Y-B5)で表される基であり、より好ましくは式(Y-B3)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0240】
【化57】
[式中、RY2は前記と同じ意味を表す。]
【0241】
式(Y-2)で表される構成単位は、式(Y-2')で表される構成単位であることが好ましい。
【0242】
【化58】
[式中、RY1およびXY1は前記と同じ意味を表す。]
【0243】
【化59】
[式中、RY1およびXY1は前記と同じ意味を表す。]
【0244】
式(Y-3)で表される構成単位は、式(Y-3')で表される構成単位であることが好ましい。
【0245】
【化60】
[式中、RY11およびXY1は前記と同じ意味を表す。]
【0246】
【化61】
【0247】
【化62】
[式中、
Y1は前記と同じ意味を表す。
Y3は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
【0248】
Y3は、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基であり、より好ましくはアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0249】
式(Y-4)で表される構成単位は、式(Y-4')で表される構成単位であることが好ましく、式(Y-6)で表される構成単位は、式(Y-6')で表される構成単位であることが好ましい。
【0250】
【化63】
[式中、RY1およびRY3は前記と同じ意味を表す。]
【0251】
【化64】
[式中、
Y1は前記を同じ意味を表す。
Y4は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
【0252】
Y4は、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基であり、より好ましくはアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0253】
式(Y)で表される構成単位としては、例えば、式(Y-101)-(Y-121)で表されるアリーレン基からなる構成単位、式(Y-201)-(Y-206)で表される2価の複素環基からなる構成単位、式(Y-301)-(Y-304)で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基からなる構成単位が挙げられる。
【0254】
【化65】
【0255】
【化66】
【0256】
【化67】
【0257】
【化68】
【0258】
【化69】
【0259】
【化70】
【0260】
【化71】
【0261】
【化72】
【0262】
【化73】
【0263】
式(Y)で表される構成単位であって、ArY1がアリーレン基である構成単位は、本発明の組成物を用いて得られる発光素子の発光効率が優れるので、第1の高分子化合物に含まれる構成単位の合計量に対して、好ましくは0.5〜90モル%であり、より好ましくは30〜80モル%である。
【0264】
式(Y)で表される構成単位であって、ArY1が2価の複素環基、または、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基である構成単位は、本発明の組成物を用いて得られる発光素子の電荷輸送性が優れるので、第1の高分子化合物に含まれる構成単位の合計量に対して、好ましくは0.5〜50モル%であり、より好ましくは3〜30モル%である。
【0265】
式(Y)で表される構成単位は、第1の高分子化合物中に、1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
【0266】
第1の高分子化合物としては、例えば、表3の高分子化合物(P-101)〜(P-107)が挙げられる。
【0267】
【表3】

[表中、p、q、r、sおよびtは、各構成単位のモル比率を示す。p+q+r+s+t=100であり、かつ、100≧p+q+r+s≧70である。その他の構成単位とは、式(Y)で表される構成単位、式(X)で表される構成単位以外の構成単位を意味する。]
【0268】
<燐光発光性構成単位を含む高分子化合物>
本発明の組成物に含有される燐光発光性化合物は、燐光発光性化合物の構造を有する構成単位(すなわち、燐光発光性化合物を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合する1個以上の水素原子を除いてなる基を有する構成単位。以下、「燐光発光性構成単位」ともいう)を含む高分子化合物(以下、「第2の高分子化合物」ともいう。)であってもよい。本発明の組成物に含有される第2の高分子化合物に関して説明する。
【0269】
燐光発光性構成単位は、本発明の組成物を用いて得られる発光素子の発光効率が優れるので、好ましくは、式(1)で表される燐光発光性化合物の構造を有する構成単位である。式(1)で表される燐光発光性化合物の構造を有する構成単位としては、好ましくは、式(1)で表される燐光発光性化合物から、該化合物を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合する1個以上3個以下の水素原子を取り除いてなる基を有する構成単位であり、より好ましくは、式(1B)、(2B)、(3B)または(4B)で表される構成単位であり、更に好ましくは、式(2B)または(3B)で表される構成単位であり、特に好ましくは、式(2B)で表される構成単位である。
【0270】
[式(1B)で表される燐光発光性構成単位]
【0271】
【化74】
[式中、
1Bは、式(1)で表される燐光発光性化合物から、該化合物を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合する1個の水素原子を取り除いてなる基を表す。
Cは、酸素原子、硫黄原子、−N(R)−、−C(R−、−C(R)=C(R)−、−C≡C−、アリーレン基または2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。Rは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。Rは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRは、同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。LCが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
c1は0以上の整数を表す。]
【0272】
は、アリール基または1価の複素環基であることが好ましく、アリール基であることがより好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0273】
は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基であることが好ましく、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基がより好ましく、水素原子またはアルキル基が更に好ましく、水素原子であることが特に好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0274】
Cは、−C(R−、アリーレン基または2価の複素環基であることが好ましく、−C(R−またはアリーレン基であることがより好ましく、アリーレン基であることが更に好ましく、式(A−1)または(A−2)で表される基であることが特に好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0275】
、RおよびLCが有していてもよい置換基の定義および例は、前述の環Rおよび環Rが有していてもよい置換基の定義および例と同様である。
【0276】
c1は、通常、0〜10の整数であり、好ましくは0〜5の整数であり、より好ましくは0〜2の整数であり、更に好ましくは0または1であり、特に好ましくは0である。
【0277】
第2の高分子化合物が式(1B)で表される構成単位を含む高分子化合物である場合、式(1B)で表される構成単位は末端の構成単位である。
【0278】
「末端の構成単位」とは、高分子化合物の末端の構成単位を意味し、該末端の構成単位は、高分子化合物の製造において、末端封止剤から誘導される構成単位であることが好ましい。
【0279】
1Bは、式(BM−1)で表される基であることがより好ましい。
【0280】
【化75】
[式中、
M、E、E、環R、環RおよびA−G−Aは、前記と同じ意味を表す。
環R11は、5員環または6員環の芳香族複素環を表し、これらの環は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。但し、環R11が6員環の芳香族複素環である場合、Eは炭素原子である。
環R12は、5員環もしくは6員環の芳香族炭化水素環、または、5員環もしくは6員環の芳香族複素環を表し、これらの環は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。但し、環R12が6員環の芳香族複素環である場合、Eは炭素原子である。
但し、環R11および環R12の一方は、1つの結合手を有する。
11およびn12は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。但し、n11+n12は1または2である。Mがルテニウム原子、ロジウム原子またはイリジウム原子の場合、n11+n12は2であり、Mがパラジウム原子または白金原子の場合、n11+n12は1である。]
【0281】
Mがルテニウム原子、ロジウム原子またはイリジウム原子の場合、n11が2であることがより好ましい。
【0282】
Mがパラジウム原子または白金原子の場合の場合、n11が1であることが好ましい。
【0283】
環R11が結合手を有さない場合、環R11の定義および例は、前述の環Rの定義および例と同様である。
【0284】
環R11が結合手を有する場合、環R11の結合手を除いた環部分の定義および例は、前述の環Rの定義および例と同様である。
【0285】
環R12が結合手を有さない場合、環R12の定義および例は、前述の環Rの定義および例と同様である。
【0286】
環R12が結合手を有する場合、環R12の結合手を除いた環部分の定義および例は、前述の環Rの定義および例と同様である。
【0287】
環R11および環R12が有していてもよい置換基の定義および例は、前述の環Rおよび環Rが有していてもよい置換基の定義および例と同様である。
【0288】
[式(2B)で表される構成単位]
【0289】
【化76】
[式中、
1Bは前記と同じ意味を表す。
およびLは、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、−N(R)−、−C(R−、−C(R)=C(R)−、−C≡C−、アリーレン基または2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。RおよびRは、前記と同じ意味を表す。LおよびLが複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
d1およびne1は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。複数存在するnd1は、同一でも異なっていてもよい。
Ar1Mは、芳香族炭化水素基または複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
【0290】
は、−C(R−、アリーレン基または2価の複素環基であることが好ましく、アリーレン基または2価の複素環基であることがより好ましく、アリーレン基であることが更に好ましく、式(A−1)または(A−2)で表される基であることが特に好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0291】
は、−C(R−、アリーレン基または2価の複素環基であることが好ましく、−C(R−またはアリーレン基であることがより好ましく、アリーレン基であることが更に好ましく、式(A−1)または(A−2)で表される基であることが特に好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0292】
d1およびne1は、通常、0〜10の整数であり、好ましくは0〜5の整数であり、より好ましくは0〜2の整数であり、更に好ましくは0または1であり、特に好ましくは0である。
【0293】
Ar1Mは、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、フェナントレン環、ジヒドロフェナントレン環、ピリジン環、ジアザベンゼン環、トリアジン環、カルバゾール環、フェノキサジン環またはフェノチアジン環から、環を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合する水素原子3個を除いた基であることが好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、フェナントレン環またはジヒドロフェナントレン環から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子3個を除いた基であることがより好ましく、ベンゼン環またはフルオレン環から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子3個を除いた基であることが更に好ましく、ベンゼン環から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子3個を除いた基であることが特に好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0294】
、LおよびAr1Mが有していてもよい置換基の定義および例は、前述の環Rおよび環Rが有していてもよい置換基の定義および例と同様である。
【0295】
[式(3B)で表される構成単位]
【0296】
【化77】
[式中、
およびnd1は、前記と同じ意味を表す。
2Bは、式(1)で表される燐光発光性化合物から、該化合物を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合する2個の水素原子を取り除いてなる基を表す。]
【0297】
2Bは、式(BM−2)または(BM−3)で表される基であることがより好ましく、式(BM−2)で表される基であることが更に好ましい。
【0298】
【化78】
[式中、
M、E、E、環R、環R、環R11、環R12およびA−G−Aは前記と同じ意味を表す。複数存在する環R11は、同一でも異なっていてもよい。複数存在する環R12は、同一でも異なっていてもよい。
13およびn14は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。但し、n13+n14は0または1である。Mがルテニウム原子、ロジウム原子またはイリジウム原子の場合、n13+n14は1であり、Mがパラジウム原子または白金原子の場合、n13+n14は0である。]
【0299】
Mがルテニウム原子、ロジウム原子またはイリジウム原子の場合、n13が1であることが好ましい。
【0300】
【化79】
[式中、
M、E、E、環R、環R、A−G−A、n11およびn12は、前記と同じ意味を表す。
環R13は、5員環または6員環の芳香族複素環を表し、これらの環は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。但し、環R13が6員環の芳香族複素環である場合、Eは炭素原子である。
環R14は、5員環もしくは6員環の芳香族炭化水素環、または、5員環もしくは6員環の芳香族複素環を表し、これらの環は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。但し、環R14が6員環の芳香族複素環である場合、Eは炭素原子である。
但し、環R13および環R14の一方は2つの結合手を有するか、または、環R13および環R14は、それぞれ、結合手を1つずつ有する。]
【0301】
環R13が結合手を有さない場合、環R13の定義および例は、前述の環Rの定義および例と同様である。
【0302】
環R13が結合手を有する場合、環R13の結合手を除いた環部分の定義および例は、前述の環Rの定義および例と同様である。
【0303】
環R14が結合手を有さない場合、環R14の定義および例は、前述の環Rの定義および例と同様である。
【0304】
環R14が結合手を有する場合、環R14の結合手を除いた環部分の定義および例は、前述の環Rの定義および例と同様である。
【0305】
環R13および環R14が有していてもよい置換基の定義および例は、前述の環Rおよび環Rが有していてもよい置換基の定義および例と同様である。
【0306】
環R13および環R14は、それぞれ、結合手を1つずつ有することが好ましい。
【0307】
[式(4B)で表される構成単位]
【0308】
【化80】
[式中、
およびnd1は、前記と同じ意味を表す。
3Bは、式(1)で表される燐光発光性化合物から、該化合物を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合する3個の水素原子を取り除いてなる基を表す。]
【0309】
3Bは、式(BM−4)で表される基であることが好ましい。
【0310】
【化81】
[式中、
M、E、E、環R11、環R12、環R13、環R14およびA−G−Aは、前記と同じ意味を表す。
15は0または1を表す。n16は1または3を表す。但し、Mがルテニウム原子、ロジウム原子またはイリジウム原子の場合、n15は0であり、且つ、n16は3である。Mがパラジウム原子または白金原子の場合、n15は1であり、且つ、n16は1である。]
【0311】
燐光発光性構成単位としては、例えば、式(B−1)〜(B−25)で表される構成単位が挙げられる。
【0312】
【化82】
【0313】
【化83】
【0314】
【化84】
[式中、
Dは、式(2)で表される基を表す。Dが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基またはシクロアルコキシ基を表し、これらの基は置換基を有していてもてよい。]
【0315】
燐光発光性構成単位は、本発明の組成物を用いて得られる発光素子の発光効率が優れるので、第2の高分子化合物中に含まれる構成単位の合計量に対して、好ましくは0.5〜50モル%であり、より好ましくは1〜30モル%であり、更に好ましくは3〜15モル%である。
【0316】
燐光発光性構成単位は、第2の高分子化合物中に、1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
【0317】
第2の高分子化合物は、更に、式(Y)で表される構成単位を含むことが好ましい。式(Y)で表される構成単位の定義および例は、前述の第1の高分子化合物に含まれる式(Y)で表される構成単位の定義および例と同様である。
【0318】
式(Y)で表される構成単位であって、ArY1がアリーレン基である構成単位は、本発明の組成物を用いて得られる発光素子の発光効率が優れるので、第2の高分子化合物に含まれる構成単位の合計量に対して、好ましくは0.5〜90モル%であり、より好ましくは30〜80モル%である。
【0319】
式(Y)で表される構成単位であって、ArY1が2価の複素環基、または、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基である構成単位は、本発明の組成物を用いて得られる発光素子の電荷輸送性が優れるので、第2の高分子化合物に含まれる構成単位の合計量に対して、好ましくは0.5〜50モル%であり、より好ましくは3〜30モル%である。
【0320】
式(Y)で表される構成単位は、第2の高分子化合物中に、1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
【0321】
第2の高分子化合物は、本発明の組成物を用いて得られる発光素子の正孔輸送性が優れるので、更に、式(X)で表される構成単位を含むことが好ましい。式(X)で表される構成単位の定義および例は、前述の第1の高分子化合物に含まれていてもよい式(X)で表される構成単位の定義および例と同様である。
【0322】
式(X)で表される構成単位は、本発明の組成物を用いて得られる発光素子の正孔輸送性が優れるので、第2の高分子化合物中に含まれる構成単位の合計量に対して、好ましくは0.1〜50モル%であり、より好ましくは1〜40モル%であり、更に好ましくは5〜30モル%である。
【0323】
式(X)で表される構成単位は、第2の高分子化合物中に、1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
【0324】
第2の高分子化合物としては、例えば、表4の高分子化合物(P-108)〜(P-114)が挙げられる。
【0325】
【表4】

[表中、p'、q'、r'、s'、t'およびu'は、各構成単位のモル比率を示す。p'+q'+r'+s'+t'+u'=100であり、かつ、100≧p'+q'+r'+s'+t'≧70である。その他の構成単位とは、式(Y)で表される構成単位、式(X)で表される構成単位、燐光発光性構成単位以外の構成単位を意味する。]
【0326】
<高分子化合物の製造方法>
第1の高分子化合物および第2の高分子化合物は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよいし、その他の態様であってもよいが、複数種の原料モノマーを共重合してなる共重合体であることが好ましい。
【0327】
第1の高分子化合物は、例えば、
式(M−Y1)で表される化合物と、
式(M−Y2)で表される化合物および式(M−X)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物とを縮合重合させることにより製造することができる。
【0328】
第2の高分子化合物は、例えば、
式(M−Y1)で表される化合物と、
式(M−Y2)で表される化合物および式(M−X)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、
式(M−1B)で表される化合物、式(M−2B)で表される化合物、式(M−3B)で表される化合物および式(M−4B)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物とを縮合重合させることにより製造することができる。
なお、式(M−1B)で表される化合物を用いる場合、これらの化合物は末端封止剤として用いられる。
【0329】
本明細書において、第1〜第2の高分子化合物の製造に使用される化合物を総称して、「原料モノマー」ということがある。
【0330】
【化85】
【0331】
【化86】
[式中、
ArY1、ArX1〜ArX4、RX1、RX2、RX3、aX1、aX2、L〜L、M1B〜M3B、nc1、nd1およびne1は、前記と同じ意味を表す。
C1〜ZC14は、それぞれ独立に、置換基A群および置換基B群からなる群から選ばれる基を示す。]
【0332】
例えば、ZC1およびZC2が置換基A群から選ばれる基である場合、ZC3〜ZC14は、置換基B群から選ばれる基を選択する。
例えば、ZC1およびZC2が置換基B群から選ばれる基である場合、ZC3〜ZC14は、置換基A群から選ばれる基を選択する。
【0333】
<置換基A群>
塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、−O−S(=O)2C1で表される基。
(式中、RC1は、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。)
<置換基B群>
−B(ORC2)2(式中、RC2は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRC2は同一でも異なっていてもよく、互いに連結して、それぞれが結合する酸素原子とともに環構造を形成していてもよい。)で表される基;
−BF3Q'(式中、Q'は、Li、Na、K、RbまたはCsを表す。)で表される基;
−MgY'(式中、Y'は、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表す。)で表される基;
−ZnY''(式中、Y''は、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表す。)で表される基;、および、
−Sn(RC3)3(式中、RC3は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRC3は同一でも異なっていてもよく、互いに連結して、それぞれが結合するスズ原子とともに環構造を形成していてもよい。)で表される基。
【0334】
−B(ORC2)2で表される基としては、例えば、下記式で表される基が挙げられる。
【0335】
【化87】
【0336】
置換基A群から選ばれる基を有する化合物と置換基B群から選ばれる基を有する化合物とは、公知のカップリング反応により縮合重合して、置換基A群から選ばれる基および置換基B群から選ばれる基と結合する炭素原子同士が結合する。そのため、置換基A群から選ばれる基を1個以上有する化合物と、置換基B群から選ばれる基を1個以上有する化合物を公知のカップリング反応に供すれば、縮合重合により、これらの化合物の縮合重合体を得ることができる。
【0337】
縮合重合は、通常、触媒、塩基および溶媒の存在下で行われ、必要に応じて、相間移動触媒を共存させて行ってもよい。
【0338】
触媒としては、例えば、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリス-o-メトキシフェニルホスフィン)パラジウム、パラジウム[テトラキス(トリフェニルホスフィン)]、[トリス(ジベンジリデンアセトン)]ジパラジウム、パラジウムアセテート等のパラジウム錯体、ニッケル[テトラキス(トリフェニルホスフィン)]、[1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ジクロロニッケル、[ビス(1,4-シクロオクタジエン)]ニッケル等のニッケル錯体等の遷移金属錯体;これらの遷移金属錯体が、更にトリフェニルホスフィン、トリ-o-トリルホスフィン、トリ(tert-ブチルホスフィン)、トリシクロヘキシルホスフィン、ジフェニルホスフィノプロパン、ビピリジル等の配位子を有する錯体が挙げられる。触媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0339】
触媒の使用量は、原料モノマーのモル数の合計に対する遷移金属の量として、通常、0.00001〜3モル当量である。
【0340】
塩基としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、リン酸三カリウム等の無機塩基;フッ化テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム等の有機塩基が挙げられる。塩基は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0341】
相間移動触媒としては、例えば、塩化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム等が挙げられる。相間移動触媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0342】
塩基の使用量は、原料モノマーの合計モル数に対して、通常0.001〜100モル当量である。
【0343】
相関移動触媒の使用量は、原料モノマーの合計モル数に対して、通常0.001〜100モル当量である。
【0344】
溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジメトキシエタン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド等の有機溶媒、水が挙げられる。溶媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0345】
溶媒の使用量は、通常、原料モノマーの合計100重量部に対して、10〜100000重量部である。
【0346】
縮合重合の反応温度は、通常-100〜200℃である。縮合重合の反応時間は、通常1時間以上である。
【0347】
重合反応の後処理は、公知の方法、例えば、分液により水溶性不純物を除去する方法、メタノール等の低級アルコールに重合反応後の反応液を加えて、析出させた沈殿を濾過した後、乾燥させる方法等を単独または組み合わせて行う。第1の高分子化合物および第2の高分子化合物の純度が低い場合、例えば、再結晶、再沈殿、ソックスレー抽出器による連続抽出、カラムクロマトグラフィー等の通常の方法にて精製することができる。
【0348】
<組成物>
本発明の組成物に関して説明する。
【0349】
本発明の組成物は、吐出型の塗布法に用いられた場合、平坦性に優れる膜の製造に有用な組成物であり、発光素子の製造に好適に使用することができる。すなわち、本発明の組成物は、発光素子の製造用の組成物として好適である。
【0350】
本発明の組成物は、燐光発光性化合物(第2の高分子化合物であってもよい)と、溶媒(A)と、溶媒(B)とを含有する組成物(以下、「組成物A」ともいう。)である。
【0351】
組成物Aにおいて、燐光発光性化合物は、1種単独で含有されていてもよく、2種以上含有されていてもよい。
【0352】
組成物Aにおいて、燐光発光性化合物の含有量は、燐光発光性化合物と、溶媒(A)と、溶媒(B)との合計含有量を100重量部とした場合、通常、0.1〜20重量部であり、成膜性の観点から、0.2〜10重量部であることが好ましく、0.3〜5重量部であることがより好ましく、0.5〜3重量部であることがさらに好ましい。
【0353】
本発明の組成物は、燐光発光性化合物(第2の高分子化合物であってもよい)と、溶媒(A)と、溶媒(B)と、第1の高分子化合物とを含有する組成物(以下、「組成物B」ともいう。)であってもよい。
【0354】
組成物Bにおいて、燐光発光性化合物は、1種単独で含有されていてもよく、2種以上含有されていてもよい。
組成物Bにおいて、第1の高分子化合物は、1種単独で含有されていてもよく、2種以上含有されていてもよい。
【0355】
組成物Bにおいて、燐光発光性化合物と、第1の高分子化合物との合計含有量は、燐光発光性化合物と、溶媒(A)と、溶媒(B)と、第1の高分子化合物との合計含有量を100重量部とした場合、通常、0.1〜20重量部であり、成膜性の観点から、0.2〜10重量部であることが好ましく、0.3〜5重量部であることがより好ましく、0.5〜3重量部であることがさらに好ましい。
【0356】
組成物Bにおいて、第1の高分子化合物の含有量は、燐光発光性化合物と、第1の高分子化合物との合計含有量を100重量部とした場合、通常、10〜99.9重量部であり、組成物Bを用いて得られる発光素子の発光特性の観点から、20〜99重量部であることが好ましく、30〜97重量部であることがより好ましく、40〜95重量部であることがさらに好ましい。
【0357】
本発明の組成物は、燐光発光性化合物(第2の高分子化合物であってもよい)と、溶媒(A)と、溶媒(B)と、非燐光発光性の低分子化合物とを含有する組成物(以下、「組成物C」ともいう。)であってもよい。
【0358】
組成物Cにおいて、燐光発光性化合物は、1種単独で含有されていてもよく、2種以上含有されていてもよい。
組成物Cにおいて、非燐光発光性の低分子化合物は、1種単独で含有されていてもよく、2種以上含有されていてもよい。
【0359】
組成物Cにおいて、燐光発光性化合物と、非燐光発光性の低分子化合物との合計含有量の合計は、燐光発光性化合物と、溶媒(A)と、溶媒(B)と、非燐光発光性の低分子化合物との合計含有量を100重量部とした場合、通常、0.1〜20重量部であり、成膜性の観点から、0.2〜10重量部であることが好ましく、0.3〜5重量部であることがより好ましく、0.5〜3重量部であることがさらに好ましい。
【0360】
組成物Cにおいて、非燐光発光性の低分子化合物の含有量は、燐光発光性化合物と、非燐光発光性の低分子化合物との合計含有量を100重量部とした場合、通常、10〜99.9重量部であり、組成物Cを用いて得られる発光素子の発光特性の観点から、20〜99重量部であることが好ましく、30〜97重量部であることがより好ましく、40〜95重量部であることがさらに好ましい。
【0361】
本発明の組成物は、燐光発光性化合物(第2の高分子化合物であってもよい)と、溶媒(A)と、溶媒(B)と、非燐光発光性の低分子化合物と、第1の高分子化合物とを含有する組成物(以下、「組成物D」ともいう。)であってもよい。
【0362】
組成物Dにおいて、燐光発光性化合物は、1種単独で含有されていてもよく、2種以上含有されていてもよい。
組成物Dにおいて、非燐光発光性の低分子化合物は、1種単独で含有されていてもよく、2種以上含有されていてもよい。
組成物Dにおいて、第1の高分子化合物は、1種単独で含有されていてもよく、2種以上含有されていてもよい。
【0363】
組成物Dにおいて、燐光発光性化合物と、非燐光発光性の低分子化合物と、第1の高分子化合物との合計含有量の合計は、燐光発光性化合物と、溶媒(A)と、溶媒(B)と、非燐光発光性の低分子化合物と、第1の高分子化合物との合計含有量を100重量部とした場合、通常、0.1〜20重量部であり、成膜性の観点から、0.2〜10重量部であることが好ましく、0.3〜5重量部であることがより好ましく、0.5〜3重量部であることがさらに好ましい。
【0364】
組成物Dにおいて、非燐光発光性の低分子化合物と、第1の高分子化合物との合計含有量は、燐光発光性化合物と、非燐光発光性の低分子化合物と、第1の高分子化合物との合計含有量を100重量部とした場合、通常、10〜99.9重量部であり、組成物Dを用いて得られる発光素子の発光特性の観点から、20〜99重量部であることが好ましく、30〜97重量部であることがより好ましく、40〜95重量部であることがさらに好ましい。
【0365】
<その他の成分>
本発明の組成物は、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、発光材料(燐光発光性化合物とは異なる。)および酸化防止剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の材料を更に含有していてもよい。
【0366】
<正孔輸送材料>
正孔輸送材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類され、好ましくは高分子化合物であり、より好ましくは架橋基を有する高分子化合物である。
【0367】
高分子化合物としては、例えば、ポリビニルカルバゾールおよびその誘導体;側鎖または主鎖に芳香族アミン構造を有するポリアリーレンおよびその誘導体が挙げられる。高分子化合物は、電子受容性部位が結合された化合物でもよい。電子受容性部位としては、例えば、フラーレン、テトラフルオロテトラシアノキノジメタン、テトラシアノエチレン、トリニトロフルオレノン等が挙げられ、好ましくはフラーレンである。
【0368】
本発明の組成物において、正孔輸送材料の含有量は、燐光発光性化合物を100重量部とした場合、通常、1〜400重量部であり、好ましくは5〜150重量部である。
【0369】
正孔輸送材料は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0370】
<電子輸送材料>
電子輸送材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。電子輸送材料は、架橋基を有していてもよい。
【0371】
低分子化合物としては、例えば、8-ヒドロキシキノリンを配位子とする金属錯体、オキサジアゾール、アントラキノジメタン、ベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン、テトラシアノアントラキノジメタン、フルオレノン、ジフェニルジシアノエチレンおよびジフェノキノン、並びに、これらの誘導体が挙げられる。
【0372】
高分子化合物としては、例えば、ポリフェニレン、ポリフルオレン、および、これらの誘導体が挙げられる。高分子化合物は、金属でドープされていてもよい。
【0373】
本発明の組成物において、電子輸送材料の含有量は、燐光発光性化合物を100重量部とした場合、通常、1〜400重量部であり、好ましくは5〜150重量部である。
【0374】
電子輸送材料は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0375】
<正孔注入材料および電子注入材料>
正孔注入材料および電子注入材料は、各々、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。正孔注入材料および電子注入材料は、架橋基を有していてもよい。
【0376】
低分子化合物としては、例えば、銅フタロシアニン等の金属フタロシアニン;カーボン;モリブデン、タングステン等の金属酸化物;フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム、フッ化カリウム等の金属フッ化物が挙げられる。
【0377】
高分子化合物としては、例えば、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリフェニレンビニレン、ポリチエニレンビニレン、ポリキノリンおよびポリキノキサリン、並びに、これらの誘導体;芳香族アミン構造を主鎖または側鎖に含む重合体等の導電性高分子が挙げられる。
【0378】
本発明の組成物において、正孔注入材料および電子注入材料の含有量は、各々、燐光発光性化合物を100重量部とした場合、通常、1〜400重量部であり、好ましくは5〜150重量部である。
【0379】
正孔注入材料および電子注入材料は、各々、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0380】
<イオンドープ>
正孔注入材料または電子注入材料が導電性高分子を含む場合、導電性高分子の電気伝導度は、好ましくは、1×10-5S/cm〜1×103S/cmである。導電性高分子の電気伝導度をかかる範囲とするために、導電性高分子に適量のイオンをドープすることができる。
【0381】
ドープするイオンの種類は、正孔注入材料であればアニオン、電子注入材料であればカチオンである。アニオンとしては、例えば、ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、樟脳スルホン酸イオンが挙げられる。カチオンとしては、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンが挙げられる。
【0382】
ドープするイオンは、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0383】
<発光材料>
発光材料(燐光発光性化合物とは異なる。)は、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。発光材料は、架橋基を有していてもよい。
【0384】
低分子化合物としては、例えば、ナフタレンおよびその誘導体、アントラセンおよびその誘導体、並びに、ペリレンおよびその誘導体が挙げられる。
【0385】
高分子化合物としては、例えば、フェニレン基、ナフタレンジイル基、フルオレンジイル基、フェナントレンジイル基、ジヒドロフェナントレンジイル基、式(X)で表される基、カルバゾールジイル基、フェノキサジンジイル基、フェノチアジンジイル基、アントラセンジイル基、ピレンジイル基等を含む高分子化合物が挙げられる。
【0386】
本発明の組成物において、発光材料の含有量は、燐光発光性化合物を100重量部とした場合、通常、0.1〜400重量部である。
【0387】
<酸化防止剤>
酸化防止剤は、溶媒(A)及および/または溶媒(B)に可溶であり、発光および電荷輸送を阻害しない化合物であればよく、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤が挙げられる。
【0388】
本発明の組成物において、酸化防止剤の配合量は、組成物を100重量部とした場合、通常、10-6〜101重量部である。
【0389】
酸化防止剤は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0390】
<粘度>
本発明の組成物の粘度は、通常、1〜100mPa・sであり、1〜50mPa・sであることが好ましく、1〜20mPa・sであることがより好ましい。
【0391】
<膜>
膜は、本発明の組成物を用いて形成された、燐光発光性化合物(第2の高分子化合物であってもよい)を含有する膜である。膜には、第1の高分子化合物または非燐光発光性の低分子化合物が含有されていてもよい。
【0392】
膜には、燐光発光性化合物(第2の高分子化合物であってもよい)、または、第1の高分子化合物もしくは非燐光発光性の低分子化合物を架橋により溶媒に対して不溶化させた、不溶化膜も含まれる。不溶化膜は、燐光発光性化合物、または、第1の高分子化合物もしくは非燐光発光性の低分子化合物を加熱、光照射等の外部刺激により架橋させて得られる膜である。不溶化膜は、溶媒に実質的に不溶であるので、発光素子の積層化に好適に使用することができる。
【0393】
膜を架橋させるための加熱の温度は、通常、25〜300℃であり、発光効率が優れるので、好ましくは50〜250℃であり、より好ましくは150〜200℃である。
【0394】
膜を架橋させるための光照射に用いられる光の種類は、例えば、紫外光、近紫外光、可視光である。
【0395】
膜は、発光素子における発光層、正孔輸送層または正孔注入層として好適である。
【0396】
膜は、本発明の組成物を用いて、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、キャピラリ−コート法、ノズルコート法により作製することができ、吐出型の塗布法であるインクジェット印刷法等により作製された膜は、その平坦性が優れたものとなる。
【0397】
膜の厚さは、通常、1nm〜10μmである。
【0398】
<発光素子>
本発明の発光素子は、本発明の組成物を用いて得られる発光素子であり、燐光発光性化合物(第2の高分子化合物であってもよい)、および/または、第1の高分子化合物もしくは非燐光発光性の低分子化合物が、分子内または分子間で架橋されたものであってもよい。
本発明の発光素子の構成としては、例えば、陽極および陰極からなる電極と、該電極間に設けられた本発明の組成物を用いて得られる層とを有する。
【0399】
<層構成>
本発明の組成物を用いて得られる層は、通常、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層の1種以上の層であり、好ましくは、発光層である。これらの層は、各々、発光材料、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料を含む。
【0400】
発光素子は、陽極と陰極の間に発光層を有する。本発明の発光素子は、正孔注入性および正孔輸送性の観点からは、陽極と発光層との間に、正孔注入層および正孔輸送層の少なくとも1層を有することが好ましく、電子注入性および電子輸送性の観点からは、陰極と発光層の間に、電子注入層および電子輸送層の少なくとも1層を有することが好ましい。
【0401】
正孔輸送層、電子輸送層、発光層、正孔注入層および電子注入層の材料としては、本発明の組成物の他、各々、上述した正孔輸送材料、電子輸送材料、発光材料、正孔注入材料および電子注入材料等が挙げられる。
【0402】
正孔輸送層の材料、電子輸送層の材料および発光層の材料は、発光素子の作製において、各々、正孔輸送層、電子輸送層および発光層に隣接する層の形成時に使用される溶媒に溶解する場合、該溶媒に該材料が溶解することを回避するために、該材料が架橋基を有することが好ましい。架橋基を有する材料を用いて各層を形成した後、該架橋基を架橋させることにより、該層を不溶化させることができる。
【0403】
本発明の発光素子において、発光層、正孔輸送層、電子輸送層、正孔注入層、電子注入層等の各層の形成方法としては、低分子化合物を用いる場合、例えば、粉末からの真空蒸着法、溶液または溶融状態からの成膜による方法が挙げられ、高分子化合物を用いる場合、例えば、溶液または溶融状態からの成膜による方法が挙げられる。
【0404】
ここで、溶液からの成膜による方法としては、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、キャピラリ−コート法、ノズルコート法が挙げられる。
【0405】
積層する層の順番、数および厚さは、発光効率および輝度寿命を勘案して調整する。
【0406】
<基板/電極>
発光素子における基板は、電極を形成することができ、かつ、有機層を形成する際に化学的に変化しない基板であればよく、例えば、ガラス、プラスチック、シリコン等の材料からなる基板である。不透明な基板の場合には、基板から最も遠くにある電極が透明または半透明であることが好ましい。
【0407】
陽極の材料としては、例えば、導電性の金属酸化物、半透明の金属が挙げられ、好ましくは、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ;インジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等の導電性化合物;銀とパラジウムと銅との複合体(APC);NESA、金、白金、銀、銅である。
【0408】
陰極の材料としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、亜鉛、インジウム等の金属;それらのうち2種以上の合金;それらのうち1種以上と、銀、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうち1種以上との合金;並びに、グラファイトおよびグラファイト層間化合物が挙げられる。合金としては、例えば、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金が挙げられる。
陽極および陰極は、各々、2層以上の積層構造としてもよい。
【0409】
<発光素子の製造方法>
本発明の発光素子は、陽極と、陰極と、陽極および陰極の間に設けられた発光層とを有する発光素子の製造方法であって、発光層を、本発明の組成物を用いて形成する工程を含む製造方法(発光素子の製造方法の第1の形態)により、製造することができる。
本発明の組成物を用いて発光層を形成する方法としては、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、キャピラリ−コート法およびノズルコート法が挙げられる。これらの中でも、吐出型の塗布法であるインクジェット印刷法等が好ましい。
【0410】
また、本発明の発光素子は、陽極と、陰極と、陽極および陰極の間に設けられた発光層と、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層および電子注入層からなる群から選ばれる少なくとも1つの層とを有する発光素子の製造方法であって、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層および電子注入層からなる群から選ばれる少なくとも1つの層を、本発明の組成物を用いて形成する工程を含む製造方法(発光素子の製造方法の第2の形態)により、製造することができる。
本発明の組成物を用いて正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層および電子注入層からなる群から選ばれる少なくとも1つの層を形成する方法としては、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、キャピラリ−コート法およびノズルコート法が挙げられる。これらの中でも、吐出型の塗布法であるインクジェット印刷法等が好ましい。
【0411】
<用途>
発光素子を用いて面状の発光を得るためには、面状の陽極と陰極が重なり合うように配置すればよい。パターン状の発光を得るためには、面状の発光素子の表面にパターン状の窓を設けたマスクを設置する方法、非発光部にしたい層を極端に厚く形成し実質的に非発光とする方法、陽極もしくは陰極、または、両方の電極をパターン状に形成する方法がある。これらのいずれかの方法でパターンを形成し、いくつかの電極を独立にON/OFFできるように配置することにより、数字、文字等を表示できるセグメントタイプの表示装置が得られる。ドットマトリックス表示装置とするためには、陽極と陰極を共にストライプ状に形成して直交するように配置すればよい。複数の種類の発光色の異なる高分子化合物を塗り分ける方法、カラーフィルターまたは蛍光変換フィルターを用いる方法により、部分カラー表示、マルチカラー表示が可能となる。ドットマトリックス表示装置は、パッシブ駆動も可能であるし、TFT等と組み合わせてアクティブ駆動も可能である。これらの表示装置は、コンピュータ、テレビ、携帯端末等のディスプレイに用いることができる。面状の発光素子は、液晶表示装置のバックライト用の面状光源、または、面状の照明用光源として好適に用いることができる。フレキシブルな基板を用いれば、曲面状の光源および表示装置としても使用できる。
【実施例】
【0412】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0413】
本実施例において、薄膜の形状は、三次元非接触表面形状計測システム(菱化システム社製、商品名:Micromap(MM557N-M100型))を用いて測定した。
【0414】
<合成例1> 燐光発光性化合物E1の合成
燐光発光性化合物E1は、特開2006−188673号公報に記載の方法に従って合成した。
【0415】
【化88】
【0416】
<合成例2> 低分子化合物H1の合成
低分子化合物H1は、特開2010−189630号公報に記載の方法に従って合成した。
【0417】
【化89】
【0418】
<実施例1> 組成物1の調製
燐光発光性化合物E1を0.45重量部、低分子化合物H1を1.05重量部、テトラリン(1気圧下における沸点:207℃)78.8重量部およびエチルベンゼン(1気圧下における沸点:136℃)19.7重量部を混合した。その後、攪拌し、燐光発光性化合物E1および低分子化合物H1を、テトラリンおよびエチルベンゼンの混合溶媒に溶解させることで、組成物1を調製した。なお、テトラリンとエチルベンゼンとの沸点差は71℃である。
【0419】
<実施例2> 組成物2の調製
燐光発光性化合物E1を0.45重量部、低分子化合物H1を1.05重量部、3−フェノキシトルエン(1気圧下における沸点:272℃)78.8重量部およびsec−ブチルベンゼン(1気圧下における沸点:173℃)19.7重量部を混合した。その後、攪拌し、燐光発光性化合物E1および低分子化合物H1を、3−フェノキシトルエンおよびsec−ブチルベンゼンの混合溶媒に溶解させることで、組成物2を調製した。なお、3−フェノキシトルエンとsec−ブチルベンゼンとの沸点差は99℃である。
【0420】
<実施例3> 組成物3の調製
燐光発光性化合物E1を0.45重量部、低分子化合物H1を1.05重量部、3−フェノキシトルエン(1気圧下における沸点:272℃)78.8重量部およびアニソール(1気圧下における沸点:154℃)19.7重量部を混合した。その後、攪拌し、燐光発光性化合物E1および低分子化合物H1を、3−フェノキシトルエンおよびアニソールの混合溶媒に溶解させることで、組成物3を調製した。なお、3−フェノキシトルエンとアニソールとの沸点差は118℃である。
【0421】
<比較例1> 組成物C1の製造
燐光発光性化合物E1を0.45重量部、低分子化合物H1を1.05重量部、n−ヘプチルベンゼン(1気圧下における沸点:235℃)68.95重量部およびトルエン(1気圧下における沸点:110℃)29.55重量部を混合した。その後、攪拌し、燐光発光性化合物E1および低分子化合物H1を、n−ヘプチルベンゼンおよびトルエンの混合溶媒に溶解させることで、組成物C1を製造した。なお、n−ヘプチルベンゼンとトルエンとの沸点差は125℃であった。
【0422】
<比較例2> 組成物C2の製造
燐光発光性化合物E1を0.45重量部、低分子化合物H1を1.05重量部、n−ヘキシルベンゼン(1気圧下における沸点:226℃)68.95重量部および4−メチルアニソール(1気圧下における沸点:175℃)29.55重量部を混合した。その後、攪拌し、燐光発光性化合物E1および低分子化合物H1を、n−ヘキシルベンゼンおよび4−メチルアニソールの混合溶媒に溶解させることで、組成物C2を製造した。なお、n−ヘキシルベンゼンと4−メチルアニソールとの沸点差は51℃であった。
【0423】
<実施例B1> 薄膜B1の形成
実施例1で調製した組成物1をシリンジに注入した後、該シリンジに高精細ニードルを取り付け、該高精細ニードルが取り付けられたシリンジを用いて、組成物1をガラス基板上に吐出した。得られたガラス基板を、大気圧下、23℃において、20分間乾燥させることにより、ガラス基板上に薄膜B1を形成した。
薄膜B1の形状を測定したところ、薄膜B1は平面に近い形状であった。薄膜B1の「最も薄い中心部の膜厚」は115nmであり、「最も厚い周辺部の膜厚」は327nmであった。薄膜B1の「(最も厚い周辺部の膜厚)/(最も薄い中心部の膜厚)」の値(平坦性の尺度である)は、2.8であった。
【0424】
<実施例B2> 薄膜B2の形成
実施例2で調製した組成物2をシリンジに注入した後、該シリンジに高精細ニードルを取り付け、該高精細ニードルが取り付けられたシリンジを用いて、組成物2をガラス基板上に吐出した。得られたガラス基板を、大気圧下、ホットプレート上で80℃、20分間加熱することにより乾燥させ、ガラス基板上に薄膜B2を形成した。
薄膜B2の形状を測定したところ、薄膜B2は平面に近い形状であった。薄膜B2の「最も薄い中心部の膜厚」は1702nmであり、「最も厚い周辺部の膜厚」は1738nmであった。薄膜B2の「(最も厚い周辺部の膜厚)/(最も薄い中心部の膜厚)」の値(平坦性の尺度である)は、1.0であった。
【0425】
<実施例B3> 薄膜B3の形成
実施例3で調製した組成物3をシリンジに注入した後、該シリンジに高精細ニードルを取り付け、該高精細ニードルが取り付けられたシリンジを用いて、組成物3をガラス基板上に吐出した。得られたガラス基板を、大気圧下、ホットプレート上で80℃、20分間加熱することにより乾燥させ、薄膜B3を形成した。
薄膜B3の形状を測定したところ、薄膜B3は平面に近い形状であった。薄膜B3の「最も薄い中心部の膜厚」は2352nmであり、「最も厚い周辺部の膜厚」は2821nmであった。薄膜B3の「(最も厚い周辺部の膜厚)/(最も薄い中心部の膜厚)」の値(平坦性の尺度である)は、1.2であった。
【0426】
<比較例CB1> 薄膜CB1の形成
比較例1で調製した組成物C1をシリンジに注入した後、該シリンジに高精細ニードルを取り付け、該高精細ニードルが取り付けられたシリンジを用いて、組成物C1をガラス基板上に吐出した。得られたガラス基板を、大気圧下、ホットプレート上で50℃、20分間加熱することにより乾燥させ、薄膜CB1を形成した。
薄膜CB1の形状を測定したところ、薄膜CB1は極端な凹型の形状であった。薄膜CB1の「最も薄い中心部の膜厚」は38nmであり、「最も厚い周辺部の膜厚」は512nmであった。薄膜CB1の「(最も厚い周辺部の膜厚)/(最も薄い中心部の膜厚)」の値(平坦性の尺度である)は、13.5であった。
【0427】
<実施例CB2> 薄膜CB2の形成
比較例2で調製した組成物C2をシリンジに注入した後、該シリンジに高精細ニードルを取り付け、該高精細ニードルが取り付けられたシリンジを用いて、組成物C2をガラス基板上に吐出した。得られたガラス基板を、減圧下、23℃において、20分間乾燥させることにより、ガラス基板上に薄膜CB2を形成した。
薄膜CB2の形状を測定したところ、薄膜CB2は極端な凹型の形状であった。薄膜CB2の「最も薄い中心部の膜厚」は9nmであり、「最も厚い周辺部の膜厚」は266nmであった。薄膜CB2の「(最も厚い周辺部の膜厚)/(最も薄い中心部の膜厚)」の値(平坦性の尺度である)は、29.6であった。
【産業上の利用可能性】
【0428】
本発明によれば、燐光発光性化合物と、溶媒とを含有する組成物であって、吐出型の塗布法に用いられた場合、平坦性に優れる膜の製造に有用な組成物を提供することができる。また、本発明によれば、該組成物を用いて得られる発光素子を提供することができる。
図1