特許第6222480号(P6222480)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6222480光学系、エンコーダ装置、露光装置、及びデバイス製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6222480
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】光学系、エンコーダ装置、露光装置、及びデバイス製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/38 20060101AFI20171023BHJP
   G01D 5/347 20060101ALI20171023BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20171023BHJP
   G03F 9/00 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
   G01D5/38 G
   G01D5/347 110C
   H01L21/30 503B
   H01L21/30 515G
   G03F9/00 H
【請求項の数】17
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2014-512413(P2014-512413)
(86)(22)【出願日】2013年3月14日
(86)【国際出願番号】JP2013057309
(87)【国際公開番号】WO2013161428
(87)【国際公開日】20131031
【審査請求日】2016年2月29日
(31)【優先権主張番号】61/638,719
(32)【優先日】2012年4月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100098165
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 聡
(72)【発明者】
【氏名】劉 志強
【審査官】 岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−49284(JP,A)
【文献】 特開2008−70363(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/029757(WO,A1)
【文献】 特開昭60−190812(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/26− 5/38
G01B11/00−11/30
G03F 7/20
G03F 9/00
H01L21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射型の回折格子に対する相対移動量を計測するエンコーダ装置に用いられる光学系であって、
光源部からの光の一部を計測光として前記回折格子に照射すると共に、前記光源部からの光の他部を参照光として射出する第1光学部材と、
前記計測光が前記回折格子で回折することにより生じる回折光を前記第1光学部材に入射させる第2光学部材と、
を備え、
前記第1光学部材は、前記第2光学部材からの前記回折光を前記参照光が射出される方向に射出する光学系。
【請求項2】
前記第1光学部材は、前記参照光と前記第2光学部材からの前記回折光との一方を反射し且つ他方を透過させる請求項1に記載の光学系。
【請求項3】
前記第1光学部材は、偏光ビームスプリッタを有する請求項2に記載の光学系。
【請求項4】
前記第2光学部材は、前記回折格子に照射される前記計測光によって発生する第1回折光を前記回折格子に入射させると共に、前記回折格子に入射する前記第1回折光によって発生する第2回折光を前記第1光学部材に入射させる請求項1乃至3の何れか一項に記載の光学系。
【請求項5】
前記第2光学部材は複数の反射面を有する請求項4に記載の光学系。
【請求項6】
前記複数の反射面は、前記第1回折光を前記回折格子に入射させる第1反射面と、前記第2回折光を前記回折格子に入射させる第2反射面とを備える請求項5に記載の光学系。
【請求項7】
前記第1反射面と前記第2反射面とは、前記参照光が射出される方向に沿って並んで配置される請求項6に記載の光学系。
【請求項8】
前記複数の反射面は、互いに直交して配置される第3及び第4反射面を備える請求項6又は7に記載の光学系。
【請求項9】
前記第1及び第2反射面と前記第3及び第4反射面とは、計測方向に沿って配置される請求項8に記載の光学系。
【請求項10】
前記第1光学部材を挟んで前記第2光学部材と反対側に配置され、前記回折格子から発生する回折光を前記第1光学部材に入射させる第3光学部材を備える、請求項1乃至9の何れか一項に記載の光学系。
【請求項11】
前記第1光学部材を挟んで前記第2光学部材と反対側に配置され、前記回折格子に照射される前記計測光によって発生する第3回折光を前記回折格子に入射させると共に、前記回折格子に入射する前記第3回折光によって発生する第4回折光を前記第1光学部材に入射させる第3光学部材を備える、請求項4に記載の光学系。
【請求項12】
前記第2光学部材は、前記第1回折光を前記回折格子に入射させる第1反射面と、前記第2回折光を前記回折格子に入射させる第2反射面とを備え、
前記第3光学部材は、前記第3回折光を前記回折格子に入射させる第3反射面と、前記第4回折光を前記回折格子に入射させる第5反射面とを備える請求項11に記載の光学系。
【請求項13】
前記第2光学部材は、互いに直交して配置される第5及び第6反射面を備え、
前記第3光学部材は、互いに直交して配置される第7及び第8反射面を備え、
前記第1乃至第4反射面は、前記第5及び第6反射面と前記第7及び第8反射面との間に配置される請求項12に記載の光学系。
【請求項14】
前記第1光学部材は偏光分離面を含み、前記計測光及び前記参照光の一方は前記偏光分離面を透過し、且つ前記計測光及び前記参照光の他方は前記偏光分離面で反射される請求項1乃至13の何れか一項に記載の光学系。
【請求項15】
第1部材と第2部材との相対移動量を計測するエンコーダ装置において、
計測光及び参照光を発生する光源と、
前記第1部材に設けられ、少なくとも第1方向を周期方向とする格子パターンを有する反射型の回折格子と、
請求項1乃至14の何れか一項に記載の光学系と、
前記光学系から射出される光を受光する受光部とを備えるエンコーダ装置。
【請求項16】
パターンを被露光体に露光する露光装置であって、
フレームと、
前記被露光体を支持するとともに前記フレームに対して少なくとも第1方向に相対移動可能なステージと、
少なくとも前記第1方向への前記フレームと前記ステージとの相対移動量を計測するための請求項15に記載のエンコーダ装置と、を備える露光装置。
【請求項17】
リソグラフィ工程を含むデバイス製造方法であって、
前記リソグラフィ工程で、請求項16に記載の露光装置を用いて物体を露光するデバイス製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相対移動する部材間の相対移動量を計測する計測方法及びエンコーダ装置、この計測方法及びエンコーダ装置を用いる露光技術、並びにこの露光技術を用いたデバイス製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子等の電子デバイス(マイクロデバイス)を生産するためのフォトリソグラフィ工程で用いられる、いわゆるステッパー又はスキャニングステッパーなどの露光装置においては、従来より、露光対象の基板を移動するステージの位置計測はレーザ干渉計によって行われていた。ところが、レーザ干渉計では、計測用ビームの光路が長く、かつ変化するため、その光路上の雰囲気の温度揺らぎに起因する計測値の短期的な変動が無視できなくなりつつある。
【0003】
そこで、例えばステージに固定された回折格子にレーザ光よりなる計測光を照射し、回折格子から発生する回折光と他の回折光又は参照光との干渉光を光電変換して得られる検出信号から、その回折格子が設けられた部材(ステージ等)の相対移動量を計測する、いわゆるエンコーダ装置(干渉型エンコーダ)も使用されつつある(例えば特許文献1参照)。このエンコーダ装置は、レーザ干渉計に比べて計測値の短期的安定性に優れるとともに、レーザ干渉計に近い分解能が得られるようになってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第8,134,688号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のエンコーダ装置は、回折格子から発生する回折光を平面ミラー等で反射しているため、回折格子の格子パターン面の高さが変化すると、その回折光が他の回折光又は参照光に対して相対的にシフトして、干渉光の信号強度が低下する恐れがあった。
本発明の態様は、このような課題に鑑み、回折格子を用いて相対移動量を計測する際に、格子パターン面の高さ変化が生じたときの干渉光の信号強度の低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、反射型の回折格子に対する相対移動量を計測するエンコーダ装置に用いられる光学系であって、光源部からの光の一部を計測光としてその回折格子に照射すると共に、その光源部からの光の他部を参照光として射出する第1光学部材と、その計測光がその回折格子で回折することにより生じる回折光をその第1光学部材に入射させる第2光学部材と、を備え、その第1光学部材は、その第2光学部材からの回折光をその参照光が射出される方向に射出する光学系が提供される。
また、第1の態様によれば、第1部材とこの第1部材に対して少なくとも第1方向に相対移動可能に支持された第2部材との相対移動量を計測するエンコーダ装置が提供される。このエンコーダ装置は、その第1部材に設けられ、少なくともその第1方向を周期方向とする格子パターンを有する反射型の回折格子と、計測光を射出する光源部と、その第2部材に設けられ、その計測光をその回折格子の格子パターン面に概ね垂直に入射させる第1光学部材と、その第2部材に設けられるとともに、その計測光によってその回折格子からその第1方向に関して発生する第1回折光をその回折格子に入射させ、その第1回折光によってその回折格子から発生する第2回折光をその第1光学部材に入射させる第1反射部と、その第2部材に設けられるとともに、その計測光によってその回折格子からその第1方向に関して発生するその第1回折光と異なる次数の第3回折光をその回折格子に入射させ、その第3回折光によってその回折格子から発生する第4回折光をその第1光学部材に入射させる第2反射部と、その第1光学部材を介したその第2回折光及びその第4回折光と他の光束との干渉光をそれぞれ検出する第1及び第2光電検出器と、その第1及び第2光電検出器の検出信号を用いてその第1部材とその第2部材との相対移動量を求める計測部と、を備えるものである。
【0007】
第2の態様によれば、 第1部材と該第1部材に対して少なくとも第1方向に相対移動可能に支持された第2部材との相対移動量を計測するエンコーダ装置が提供される。このエンコーダ装置は、その第1部材に設けられ、少なくともその第1方向を周期方向とする格子パターンを有する反射型の回折格子と、計測光を射出する光源部と、その第2部材に設けられ、その計測光をそお回折格子の格子パターン面上の第1位置に入射させる第1光学部材と、その第2部材に設けられるとともに、その計測光によってその回折格子からその第1方向に関して発生する第1回折光をその回折格子上の第2位置に入射させる第1反射部と、その第2部材に設けられるとともに、その計測光によってその回折格子からその第1方向に関して発生するその第1回折光と異なる次数の第3回折光をその回折格子上の第3位置に入射させる第2反射部とを備える。そして、その第2位置及びその第3位置の双方は、その第1及び第2回折光が進行する経路とその第1位置とを含む第1平面がその反射型の回折格子と交差する第1線分よりも、その第1方向と直交する第2方向側に位置するものである。
【0008】
また、第3の態様によれば、パターンを被露光体に露光する露光装置であって、フレームと、その被露光体を支持するとともにそのフレームに対して少なくとも第1方向に相対移動可能なステージと、少なくともその第1方向へのそのフレームとそのステージとの相対移動量を計測するための第1又は第2の態様のエンコーダ装置と、を備える露光装置が提供される。
【0009】
また、第4の態様によれば、第1部材と該第1部材に対して少なくとも第1方向に相対移動可能に支持された第2部材との相対移動量を計測する計測方法が提供される。この計測方法は、その第1部材に設けられ、少なくともその第1方向を周期方向とする格子パターンを有する反射型の回折格子のその格子パターン面に概ね垂直に、その第2部材に設けられた第1光学部材を介して計測光を入射させることと、その第2部材に設けられた第1反射部により、その計測光によってその回折格子からその第1方向に関して発生する第1回折光をその回折格子に入射させ、その第1回折光によってその回折格子から発生する第2回折光をその第1光学部材に入射させることと、その第2部材に設けられた第2反射部により、その計測光によってその回折格子からその第1方向に関して発生するその第1回折光と異なる次数の第3回折光をその回折格子に入射させ、その第3回折光によってその回折格子から発生する第4回折光をその第1光学部材に入射させることと、その第1光学部材を介したその第2回折光及びその第4回折光と他の光束との干渉光をそれぞれ検出し、該検出結果よりその第1部材とその第2部材との相対移動量を求めることと、を含むものである。
【0010】
また、第5の態様によれば、第1部材と該第1部材に対して少なくとも第1方向に相対移動可能に支持された第2部材との相対移動量を計測する計測方法が提供される。この計測方法は、その第1部材に設けられた反射型の回折格子の少なくともその第1方向を周期方向とする格子パターン上の第1位置に計測光を入射させることと、その計測光によってその回折格子からその第1方向に関して発生する第1回折光をその回折格子上の第2位置に入射させることと、その計測光によって前記回折格子から前記第1方向に関して発生する前記第1回折光と異なる次数の第3回折光を前記回折格子上の第3位置に入射させることと、を含む。そして、その第2位置及びその第3位置の双方は、その第1及び第2回折光が進行する経路とその第1位置とを含む第1平面がその反射型の回折格子と交差する第1線分よりも、その第1方向と直交する第2方向側に位置するものである。
【0011】
また、第6の態様によれば、フレームに対して少なくとも第1方向に相対移動可能なステージに支持された被露光体にパターンを露光する露光方法であって、少なくともその第1方向へのそのフレームとそのステージとの相対移動量を計測するために第4又は第5の態様の計測方法を用いる露光方法が提供される。
また、第7の態様によれば、リソグラフィ工程を含み、そのリソグラフィ工程で第3の態様の露光装置又は第6の態様の露光方法を用いて物体を露光するデバイス製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の態様によれば、第1反射部により第1回折光を回折格子に入射させ、第2反射部により第3回折光を回折格子に入射させているため、その第1反射部材に対するその回折格子の格子パターン面の相対的な高さが変化しても、第1回折光及び第3回折光によって回折格子から発生する第2回折光及び第4回折光と他の光束との相対的なシフト量が低減される。従って、回折格子の格子パターン面の高さの変化に対して干渉光の信号強度の低下を抑制でき、計測精度を高く維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1の実施形態に係るエンコーダを示す平面図である。
図2】(A)は図1中のX軸の干渉計部の要部を示す斜視図、(B)は図2(A)中の計測光及び回折光の照射位置を示す平面図、(C)は計測光及び参照光の開き角の説明図である。
図3】(A)は図2(A)のX軸の干渉計部におけるX方向の±1次回折光の光路を示す図、(B)はY軸の干渉計部における±1次回折光の光路を示す図である。
図4】(A)は図2(A)のX軸の干渉計部において格子パターン面の相対的な高さが変化したときの回折光の光路の変化を示す図、(B)は格子パターン面が相対的に傾斜したときの回折光の光路の変化を示す図である。
図5】(A)は第1変形例に係るX軸の干渉計部の要部を示す図、(B)は図5(A)中のルーフミラーを示す斜視図である。
図6】第2変形例に係るX軸の干渉計部の要部を示す図である。
図7】第1変形例に係る検出ヘッドの一部を示す平面図である。
図8】第2変形例に係る検出ヘッドの要部を示す平面図である。
図9】第2の実施形態に係る露光装置の概略構成を示す図である。
図10図9のウエハステージに設けられた回折格子及び複数の検出ヘッドの配置の一例を示す平面図である。
図11図9の露光装置の制御系を示すブロック図である。
図12】計測方法の一例を示すフローチャートである。
図13】電子デバイスの製造方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態につき図1図4(B)を参照して説明する。図1は本実施形態に係るエンコーダ10を示す平面図である。図1において、一例として、第1部材6に対して第2部材7は3次元的に相対移動可能に配置され、第2部材7の互いに直交する相対移動可能な2つの方向に平行にX軸及びY軸を取り、X軸及びY軸によって規定される平面(XY面)に直交する相対移動方向に沿ってZ軸を取って説明する。また、X軸、Y軸、及びZ軸に平行な軸の回りの角度をそれぞれθx、θy、及びθz方向の角度とも呼ぶこととする。
【0015】
図1において、エンコーダ10は、第1部材6の上面に固定された、XY面にほぼ平行な平板状の2次元の回折格子12と、第2部材7に固定された検出ヘッド14と、検出ヘッド14に計測用のレーザ光を供給するレーザ光源16及び光ファイバ17と、検出ヘッド14で生成される複数の干渉光を伝送する光ファイバ39XA,39XB,39YA,39YB,39Cと、これら光ファイバ39XA〜39Cを介して供給される複数の干渉光を受光して検出信号を出力するフォトダイオード等の光電センサ40XA,40XB,40YA,40YB,40Cと、それらの検出信号を処理して第1部材6に対する第2部材7のX方向、Y方向、及びZ方向の3次元の相対移動量を求める計測演算部42(42X,42Y,42T)と、を有する。検出ヘッド14は、回折格子12に計測光を照射し、回折格子12からX方向に発生する複数の回折光と参照光との複数の干渉光を生成するX軸の干渉計部15Xと、回折格子12に計測光を照射し、回折格子12からY方向に発生する複数の回折光と参照光との複数の干渉光を生成するY軸の干渉計部15Yと、その他の光学部材と、複数の光学部材を支持するために第2部材7に固定されるとともに、内部に光束を通過させる複数の開口が形成された支持部材35X及び35Yと、を有する。
【0016】
回折格子12のXY面にほぼ平行な格子パターン面12bには、X方向及びY方向に所定の周期(ピッチ)pを持ち、位相型でかつ反射型の2次元の格子パターン12aが形成されている。格子パターン12aのX方向、Y方向の周期pは、一例として100nm〜4μm程度(例えば1μm周期)である。なお、格子パターン12aのX方向、Y方向の周期が互いに異なっていてもよい。格子パターン12aは、例えばホログラム(例えば感光性樹脂に干渉縞を焼き付けたもの)として、又はガラス板等に機械的に溝等を形成して反射膜を被着することで作製可能である。さらに、格子パターン面12bは、保護用の平板ガラスで覆われていてもよい。
【0017】
レーザ光源16は、例えばHe−Neレーザ又は半導体レーザ等よりなり、一例として偏光方向が互いに直交するとともに互いに周波数が所定量だけ異なる第1及び第2の直線偏光のレーザ光ML,RLよりなる2周波ヘテロダイン光を射出する。それらのレーザ光は互いに可干渉を有し(偏光方向を平行にした場合)、それらの平均波長をλとする。レーザ光源16は、それらのレーザ光から分岐した2つの光束の干渉光を光電変換して得られる基準周波数の信号(基準信号)を計測演算部42に供給する。なお、ホモダイン干渉方式も使用可能である。
【0018】
光ファイバ17は、レーザ光源16から射出されたレーザ光ML,RLをそれぞれ偏光方向を維持しながら伝送するダブルコア型で偏波面保持型の光ファイバである。本実施形態では、光ファイバ17から射出されるときに、第1のレーザ光MLはXY平面に平行なX方向に偏光した直線偏光であり、第2のレーザ光RLはZ方向に偏光した直線偏光である。他の光ファイバ39XA〜39YB,39Cはシングルコア型であるが、偏波面保持型又は通常のいずれのタイプでもよい。また、光ファイバ39XA〜39YB,39Cの入射口に集光レンズを設けてもよい。なお、光ファイバ17,39XA〜39YB等は、図1では中間部が図示省略されている。また、光ファイバ17の代わりに複数のミラーを組み合わせたビーム送光光学系を使用してもよく、光ファイバ39XA〜39YB,39Cを使用することなく、干渉光を直接光電センサ40XA〜40YB,40Cで受光してもよい。
【0019】
検出ヘッド14は、光ファイバ17から射出されるレーザ光ML,RLを平行光束にするレンズ18b(図2(C)参照)を含む連結部18と、連結部18から射出されるレーザ光ML,RLをX軸用の計測光MX及び参照光RXと、Y軸用の計測光MY及び参照光RYとに分割するハーフプリズム20Aと、計測光MX及び参照光RXをほぼ−Y方向に向けてX軸の干渉計部15Xに入射させる2つのミラー22A,22Bと、計測光MY及び参照光RYの大部分をほぼ+X方向に向けてY軸の干渉計部15Yに入射させる光学部材36A及び36Bと、を有する。本実施形態において、ハーフプリズム20Aから射出されるX軸の計測光MX及び参照光RXはそれぞれX方向及びZ方向に直線偏光したヘテロダインビームであり、ハーフプリズム20Aから射出されるY軸の計測光MY及び参照光RYはそれぞれY方向及びZ方向に直線偏光したヘテロダインビームである。計測光MX,MY及び参照光RX,RYは例えば直径が0.5〜数mm程度の円形(楕円又は矩形等でもよい)の断面を有する。
【0020】
図2(C)に示すように、レーザ光ML,RLは光ファイバ17の隣接するコア部から射出されてレンズ18bによって平行光束に変換されるため、平行光束に変換された後のレーザ光ML,RLは所定の小さい角度βで交差している。このため、ハーフプリズム20Aから射出される計測光MX及び参照光RX、並びに計測光MY及び参照光RYはそれぞれ角度βで相対的に傾斜している。このように計測光MX及び参照光RX(計測光MY及び参照光RY)を相対的に傾斜させることによって、最終的に検出される干渉光に混入するノイズ光を低減させることができる。
【0021】
図1において、+Y方向側の支持部材35Xの−X方向の端面に、YZ面をZ軸に平行な軸を中心として時計回りに45°回転した面に平行な反射面A3及び偏光ビームスプリッター面(以下、PBS面という)A4を有する合成光学部材33Xを介して、YZ面をZ軸に平行な軸を中心として反時計回りに45°回転した面に平行なPBS面A2及びハーフミラー面A1を有する合成光学部材32Xが固定されている。合成光学部材32Xの入射面に楔形プリズム34Xが固定されている。また、支持部材35Xの+X方向の端面のPBS面A2及びA4に対向する位置に偏光板41XA,41XBが固定され、偏光板41XA,41XBに光ファイバ39XA,39XBの入射端が固定されている。
【0022】
また、図1において、−Y方向側の支持部材35Yの−X方向の端面の+Y方向の端部に、透過率が大きく反射率が小さいビームスプリッター面(以下、BS面という)B1及びPBS面B2を有する光学部材36Aが固定されている。さらに、支持部材35Yのその端面の−Y方向側の領域に、合成光学部材33X,32Xと同じ構成の合成光学部材33Y,32Yが固定され、合成光学部材32Yの入射面に楔形プリズム34Xと同じ形状の楔形プリズム34Yが固定されている。支持部材35Yの+X方向の端面において、合成光学部材32Y,33YのPBS面及び光学部材36AのPBS面B2に対向する位置に偏光板41YB,41YA,41Cが固定され、偏光板41YB,41YA,41Cに光ファイバ39YB,39YA,39Cの入射端が固定されている。偏光板41XA〜41YB,41Cの結晶軸の方向は、後述のY方向に直線偏光した計測対象の回折光又は計測光とZ方向に直線偏光した参照光とを合成して干渉光を生成するように斜め方向に設定されている。さらに、楔形プリズム34X,34Yは、入射する参照光RX,RYの進行方向を、計測光MX,MYと参照光RX,RYとの間の角度β(図2(C)参照)を相殺するように変化させて、参照光と計測対象の回折光とを平行にするものである。
【0023】
また、光学部材36Bは、透過率が小さく反射率が大きいBS面B3、ほぼ直交する2つの反射面B4,B5、及びBS面B3に対して−Y方向に離れた位置に配置された反射面B6を有する。ハーフプリズム20Aで分岐されたY軸の計測光MY及び参照光RYは、光学部材36AのBS面B1を大部分が透過し、BS面B1で反射された計測光MYの一部及び参照光の一部(参照光RY3)がPBS面B2に入射し、PBS面B2でS偏光の参照光RY3が反射される。また、BS面B1を透過した計測光MY及び参照光RYは光学部材36BのBS面B3で大部分が反射され、反射された計測光MY及び参照光RYは反射面B6を介してほぼ−X方向側からY軸の干渉計部15Yに入射する。
【0024】
BS面B3を透過した計測光の一部(計測光MY3)及び参照光RYの一部は、反射面B4,B5で反射されて光学部材36AのPBS面B2に入射し、P偏光の計測光MY3がPBS面B2を透過してPBS面B2で反射された参照光RY3と合成されて参照用の干渉光を形成する。参照用の干渉光は偏光板41Cを介して光ファイバ39Cに入射し、光ファイバ39Cで伝送された干渉光は光電センサ40Cで受光される。一例として、光学部材36Bの反射面B5の位置及び角度は、PBS面B2で合成された計測光MY3及び参照光RY3が同軸で平行になるように、計測光MY3の位置及び角度を調整するように設定されている。
【0025】
また、X軸の干渉計部15Xは、ミラー22Bでほぼ−Y方向に反射された計測光MX及び参照光RXが入射する偏光ビームスプリッター面(以下、PBS面という)A11(図2(A)参照)を有する偏光ビームスプリッター部材(以下、PBS部材という)24Xと、PBS部材24XをX方向に挟むように対称に固定された1対のルーフプリズム26XA,26XBと、PBS部材24Xの上面の+Y方向側にX方向に対称に外側を向いて固定された1対の大型の直角プリズム型の反射部材28XA,28XBと、PBS部材24Xの上面の−Y方向側にX方向に対称に外側を向いて固定された1対の小型の直角プリズム型の反射部材30XA,30XBと、を有する。さらに、反射部材22C、楔形プリズム34X、合成光学部材32X,33Xも干渉計部15Xに含まれる。
【0026】
+X方向側のルーフプリズム26XA及び反射部材28XA,30XAより第1の反射部25XAが構成され、−X方向側のルーフプリズム26XB及び反射部材28XB,30XBより第2の反射部25XBが構成されている。第2部材7には、計測光MX及び回折格子12から射出される回折光を通す開口(不図示)が形成されており、PBS部材24Xはその開口を覆うように第2部材7に固定されている。
【0027】
図2(A)は、図1中の干渉計部15XのPBS部材24X及び反射部25XA,25XBを示す。図2(A)において、PBS部材24Xは、+Y方向側の大型の反射部材28XA,28XBが固定された部分の内部は透過部で、−Y方向側の小型の反射部材30XA,30XBが固定された部分の内部に斜めに(XY面に対してX軸の回りに45°で傾斜して)PBS面A11が形成された2層構造の部材である。PBS部材24Xは、XY面に平行な2面と、YZ面に平行な2面と、ZX面に平行な2面との6面で囲まれた直方体状であるが、別の形状にしてもよい。反射部25XAのルーフプリズム26XAは、PBS部材24Xの底面に対して反時計回りに角度α1(図3(A)参照)で傾斜した入射面A12と、XZ面に平行な稜線A16に関して対称に、かつ直交するように形成された1対の反射面A13,A14と、PBS部材24X及び反射部材28XA,30XBに密着した射出面A15とを有する。ルーフプリズム26XAの稜線A16は、ZY面に対して反時計回りに角度α2で傾斜している(図3(A)参照)。他方のルーフプリズム26XBはルーフプリズム26XAと対称な形状であり、ルーフプリズム26XBも直交する2つの反射面A23,A24を有する。
【0028】
図1のミラー22Bで反射された計測光MXはS偏光として、参照光RXはP偏光としてほぼ−Y方向側から図2(A)のPBS部材24XのPBS面A11に入射する。そして、参照光RXは、PBS面A11を透過してPBS部材24Xからほぼ−Y方向に射出される。一方、S偏光の計測光MXはPBS面A11で反射されて、回折格子12Xの格子パターン面12b(格子パターン12a)に垂直に(概ねZ軸に平行に)入射する。ここで、垂直に入射するとは、計測光MXを格子パターン面12bに垂直に入射させる場合の外に、0次光(正反射光)の影響を軽減するために、計測光MXをZ軸に平行な軸に対してX方向(θy方向)及び/又はY方向(θx方向)に例えば0.5〜1.5°程度傾斜させて格子パターン面12bに概ね垂直に入射させる場合も含まれることを意味している。
【0029】
本実施形態において、概ね垂直に回折格子12の格子パターン面12bに入射する計測光MXによって、X方向に対称に±1次回折光DX1,DX2が発生する。発生した回折光DX1はルーフプリズム26XAの入射面に入射し、回折光DX2はルーフプリズム26XBの入射面に入射する。この際に、Y方向に対称に±1次回折光も発生するが、Y方向の回折光はX軸の干渉計部15Xでは使用されない。+1次回折光DX1は、ルーフプリズム26XAの入射面A12及び反射面A13,A14を介して+Y方向にシフトして、かつX軸に平行に−X方向に向けて射出面A15を介して反射部材28XAに入射する。そして、反射部材28XAで反射された回折光DX1は、PBS部材24Xを透過して回折格子12の格子パターン面12bに概ね垂直に入射する。これと対称に、−1次回折光DX2は、ルーフプリズム26XBの反射面A23,A24等を介して+Y方向にシフトして、かつX軸に平行に+X方向に向けて反射部材28XBに入射し、反射部材28XBで反射された回折光DX2は、回折格子12の格子パターン12aに概ね垂直に入射する。
【0030】
図2(B)に示すように、格子パターン12aにおいて計測光MXが入射する位置に対して、回折光DX1,DX2が入射する位置は、Y方向に間隔a1だけシフトしているとともに、X方向に対称に距離a2だけシフトしている。距離a1は、PBS部材24XのY方向の幅のほぼ1/2であり、距離a2は、PBS部材24XのX方向の幅のほぼ1/3である。このような配置で計測光MX及び回折光DX1,DX2を回折格子12に入射させることで、干渉計部15Xの構成を小型化できる。ただし、距離a1及びa2は任意である。また、計測光MX及び回折光DX1,DX2の入射位置の配置は任意である。
【0031】
反射部材28XA,28XBで反射された回折光DX1,DX2によって回折格子12からX方向に対称に+1次回折光EX1及び−1次回折光EX2(再回折光)が発生する。回折光EX1は、ルーフプリズム26XAの入射面A12及び反射面A14,A13の順に反射することで−Y方向にシフトして、かつX軸に平行に−X方向に向けて反射部材30XAに入射する。そして、反射部材30XAで反射されたS偏光の回折光EX1は、PBS部材24XのPBS面A11で反射されてほぼ−Y方向にPBS部材24Xから射出される。これと対称に、回折光EX2は、ルーフプリズム26XBの入射面及び反射面A24,A23の順に反射することで−Y方向にシフトして、かつX軸に平行に+X方向に向けて反射部材30XBに入射する。そして、反射部材30XBで反射されたS偏光の回折光EX2は、PBS面A11で反射されてほぼ−Y方向にPBS部材24Xから射出される。
【0032】
図1において、PBS部材24Xから射出された回折光EX1,EX2は、反射部材22Cで反射されてそれぞれ合成光学部材32X,33XのPBS面A2,A4を透過する。回折光EX1,EX2は、PBS部材24XのPBS面A11に対してはS偏光であるが、PBS面A2,A4に対してはP偏光であることによる。また、PBS部材24Xを透過した参照光RXは、反射部材22Cで反射され、楔形プリズム34Xを介して合成光学部材32Xのハーフミラー面A1に入射する。ハーフミラー面A1で反射された参照光RX1は、PBS面A2で反射されて回折光EX1と同軸に合成されて干渉光となる。この干渉光は、偏光板41XA及び光ファイバ39XAを介して光電センサ40XAに受光される。ハーフミラー面A1を透過した参照光RX2は、合成光学部材33Xの反射面A3で反射された後、PBS面A4で反射されて回折光EX2と同軸に合成されて干渉光となる。この干渉光は、偏光板41XB及び光ファイバ39XBを介して光電センサ40XBに受光される。参照光RX1,RX2はPBS部材24XのPBS面A11に対してはP偏光であるが、PBS面A2,A4に対してはS偏光であることによる。
【0033】
また、Y軸の干渉計部15Yは、X軸の干渉計部15XのPBS部材24X及び反射部25XA,25XBを一体的に90°回転した構成のPBS部材24Y及び反射部25YA,25YBを有する。すなわち、反射部25YA,25YBもそれぞれルーフプリズム26YA,26YB、大型の反射部材28YA,28YB、及び小型の反射部材30YA,30YBを有し、PBS部材24Yは開口(不図示)を覆うように第2部材7に固定されている。さらに、干渉計部15Yは、楔形プリズム34Y及び合成光学部材32Y,33Yを有する。
【0034】
反射面B6で反射された計測光MY及び参照光RYは、干渉計部15YのPBS部材24Yに入射し、P偏光の参照光RYはPBS部材24YのPBS面を透過して+X方向に射出される。そして、S偏光の計測光MYはPBS部材24YのPBS面で反射されて回折格子12の格子パターン12aに概ね垂直に入射し、格子パターン12aからY方向に対称に±1次回折光DY1,DY2(図3(B)参照)が発生する。X方向に発生する±1次回折光は干渉計部15Yでは使用されない。これらの回折光DY1(DY2)は反射部25YA(反射部25YB)を介して回折格子12の格子パターン12aに概ね垂直に入射する。そして、回折光DY1によるY方向の+1次回折光EY1及び回折光DY2によるY方向の−1次回折光EY2が、回折格子12から発生する。回折光EY1は、反射部25YAを介してPBS部材24YのPBS面で反射されて+X方向に射出される。回折光EY2は、反射部25YBを介してPBS部材24YのPBS面で反射されて+X方向に射出される。
【0035】
そして、PBS部材24Yから射出された回折光EY1,EY2は、それぞれ合成光学部材33Y,32YのPBS面をP偏光状態で透過する。また、PBS部材24Yを透過した参照光RYは、楔形プリズム34Yを介して合成光学部材32Yのハーフミラー面に入射する。そのハーフミラー面で反射された参照光RY2は、PBS面で反射されて回折光EY2と同軸に合成されて干渉光となる。この干渉光は、偏光板41YB及び光ファイバ39YBを介して光電センサ40YBに受光される。そのハーフミラー面を透過した参照光RY1は、合成光学部材33Yの反射面で反射された後、PBS面で反射されて回折光EY1と同軸に合成されて干渉光となる。この干渉光は、偏光板41YA及び光ファイバ39YAを介して光電センサ40YAに受光される。
【0036】
図1において、計測演算部42は、第1演算部42X、第2演算部42Y、及び第3演算部42Tを有する。そして、X軸の光電センサ40XAは、回折光EX1及び参照光RX1よりなる干渉光の検出信号(光電変換信号)を第1演算部42Xに供給し、X軸の光電センサ40XBは、回折光EX2及び参照光RX2よりなる干渉光の検出信号を第1演算部42Xに供給する。また、Y軸の光電センサ40YAは、回折光EY1及び参照光RY1よりなる干渉光の検出信号を第2演算部42Yに供給し、Y軸の光電センサ40YBは、回折光EY2及び参照光RY2よりなる干渉光の検出信号を第2演算部42Yに供給する。第1演算部42X及び第2演算部42Yには、レーザ光源16からの基準周波数の信号(基準信号)、及び光電センサ40Cで検出された参照用の干渉光のほぼその基準周波数の信号(参照信号)も供給されている。
【0037】
ここで、第1部材6と第2部材7とのX方向、Y方向、Z方向の相対移動量(相対変位)をX,Y,Zとして、第1演算部42X及び第2演算部42Yで求められるZ方向の相対移動量をそれぞれZX,ZYとする。このとき、一例として、第1演算部42Xは、光電センサ40XAの検出信号及び基準信号(又は参照信号)から、既知の係数a,bを用いてX方向及びZ方向の第1の相対移動量(a・X+b・ZX)を求め、光電センサ40XBの検出信号及び基準信号(又は参照信号)から、X方向及びZ方向の第2の相対移動量(−a・X+b・ZX)を求め、その第1及び第2の相対移動量からX方向の相対移動量(X)及びZ方向の相対移動量(ZX)を求め、求めた結果を第3演算部42Tに供給する。第2演算部42Yは、光電センサ40YAの検出信号及び基準信号(又は参照信号)から、Y方向及びZ方向の第1の相対移動量(a・Y+b・ZY)を求め、光電センサ40YBの検出信号及び基準信号(又は参照信号)から、Y方向及びZ方向の第2の相対移動量(−a・Y+b・ZY)を求め、その第1及び第2の相対移動量からY方向の相対移動量(Y)及びZ方向の相対移動量(ZY)を求め、求めた結果を第3演算部42Tに供給する。
【0038】
第3演算部42Tは、演算部42X,42Yから供給される相対移動量(X)及び(Y)を所定のオフセットで補正した値を第1部材6と第2部材7とのX方向、Y方向の相対移動量として出力する。また、第3演算部42Tは、一例として、演算部42X,42Yから供給されるZ方向の相対移動量(ZX)及び(ZY)の平均値(=(ZX+ZY)/2)を所定のオフセットで補正した値を第1部材6と第2部材7とのZ方向の相対移動量として出力する。X方向、Y方向、Z方向の相対移動量の検出分解能は例えば0.5〜0.1nm程度である。エンコーダ10では、計測光MX,MY等の光路が短いため、その光路上の気体の温度揺らぎに起因する計測値の短期的な変動を低減できる。さらに、最終的に2回目の+1次回折光EX1,EY1及び−1次回折光EX2,EY2と対応する参照光RX1〜RY2との干渉光を検出しているため、相対移動量の検出分解能(検出精度)を1/2に向上(微細化)できる。また、±1次回折光を用いることによって、第1部材6と第2部材7とのθz方向の相対回転角による計測誤差を低減できる。
【0039】
次に、本実施形態の検出ヘッド14の回折光の光路につき詳細に説明する。
図3(A)はX軸の干渉計部15Xの要部及び回折格子12を示す。図3(A)において、計測光MXが回折格子12の格子パターン12aに垂直に(Z軸に平行に)入射するとき、計測光MXによるX方向の+1次回折光DX1の回折角φxは、格子パターン12aの周期p及び計測光MXの波長λを用いて次の関係を満たす。このとき、計測光MXによるX方向の−1次回折光DX2の回折角は−φxとなる。
【0040】
p・sin(φx)=λ …(1)
一例として、周期pを1000nm(1μm)、計測光MXの波長λを633nmとすると、回折角φxはほぼ39°となる。
また、回折光DX1は、ルーフプリズム26XA(入射面A12及び反射面A13,A14)及び反射部材28XAによって、計測光MX(ここではZ軸に平行)に平行になるように折り曲げられて回折格子12に再入射する。従って、ルーフプリズム26XAの入射面A12の角度α1、稜線A16の角度α2、屈折率ng、及び回折光DX1の入射面A12に対する入射角i(角度α1と回折角φxとの関数)は、反射部材28XAで反射された回折光DX1がZ軸に概ね平行になるように定められることが好ましい。
【0041】
さらに、本実施形態では、ルーフプリズム26XAの入射面A12に入射する回折光DX1の振れ角δの入射角iに関する変化率(dδ/di)は、次のようにcos(φx)に設定されることが好ましい。
dδ/di=cos(φx)=cos{arcsin(λ/p)} …(3)
この式(3)の条件は、入射面A12における振れ角δの変化率(dδ/di)は、回折格子12に対する計測光MXの入射角が0から変化したときの回折光DX1の回折角の変化率を、入射面A12で相殺することを意味している(詳細後述)。
【0042】
計測光MXが格子パターン12aに垂直に(Z軸に平行に)入射する場合、反射部25XAで反射される回折光DX1は、計測光MXが入射した位置から+X方向及び+Y方向にずれた位置で格子パターン12aに垂直に入射する(図2(B)参照)。そして、回折光DX1によって回折格子12から発生する+1次回折光EX1の回折角は式(1)のφxと同じであり、回折光EX1は反射部25XAによって光路をZ軸に平行に折り曲げられてPBS部材24XのPBS面A11に向かう。このとき、計測光MXによる回折格子12からの−1次回折光DX2は、回折光DX1と対称に反射部25XBを介して計測光MXが入射した位置から−X方向及び+Y方向にずれた位置で格子パターン12aに垂直に入射する(図2(B)参照)。そして、回折光DX2によって回折格子12から発生する−1次回折光EX2は、反射部25XBによって光路をZ軸に平行に折り曲げられてPBS面A11に向かう。
【0043】
また、図3(B)はY軸の干渉計部15Yの要部及び回折格子12を示す。図3(B)において、計測光MYが回折格子12の格子パターン12aに垂直に入射するとき、計測光MYによるY方向の+1次回折光DY1の回折角φyは、式(1)のX方向の回折角φxと同じである。反射部25YAで反射される回折光DY1は、計測光MYが入射した位置から−X方向及び+Y方向にずれた位置で格子パターン12aに垂直に入射する。一方、反射部25YBで反射される回折光DY2は、計測光MYが入射した位置から−X方向及び−Y方向にずれた位置で格子パターン12aに垂直に入射する。そして、回折光DY1によって反射部25YAを介して回折格子12から発生する+1次回折光EY1、及び計測光MYによるY方向の−1次回折光DY2によって回折格子12から発生する−1次回折光EY2は、それぞれ反射部25YA,25YBによって光路をZ軸に平行に折り曲げられてPBS部材24YのPBS面に向かう。
【0044】
そして、図3(A)の配置において、図4(A)に示すように、干渉計部15Xに対して回折格子12の格子パターン面12bのZ方向の相対位置が位置B11までδZだけ変化した場合を想定する。このとき、計測光MXによる+1次回折光DX1は、光路が位置B12に平行にシフトして反射部25XAに入射する。反射部25XAは、入射光に対して、射出光の光路を中心(稜線A16)に関して対称にシフトする。このため、反射部25XAで反射された回折光DX1は、格子パターン面12bのZ方向の相対位置が変化していないときの+1次回折光EX1の光路と交差する位置で回折格子12に入射する。従って、格子パターン面12bが位置B11まで変化していても、回折光DX1によって回折格子12から発生する+1次回折光EX1の光路B13は、格子パターン面12bのZ方向の相対位置が変化していないときの光路と同じである。このため、回折光EX1と参照光RX1とをPBS面A2(図1参照)で同軸に合成して干渉光を生成したとき、回折光EX1と参照光RX1との相対的な横ずれ量がないため、その干渉光を光電変換したときに得られる検出信号のうちの交流信号(ビート信号又は信号成分)の割合が低下することがない。
【0045】
これは、X軸の−1次回折光DX2及びY軸の±1次回折光DY1,DY2でも同様であり、格子パターン面12bのZ方向の相対位置が変化しても、図1の光電センサ40XA〜40YBの検出信号のうちのビート信号の割合は低下しない。従って、それらの検出信号を用いて高いSN比で高精度に第1部材6と第2部材7との相対移動量を計測できる。
【0046】
次に、図3(A)の配置において、図4(B)に示すように、干渉計部15Xに対して回折格子12の格子パターン面12bがY軸に平行な軸の回りに角度εだけ反時計回りに変化した場合を想定する。このとき、計測光MXの格子パターン面12bに対する入射角はεであり、+1次回折光DX1の回折角を(φx+δφx)とすると、以下の関係が成立する。
【0047】
sin(φx+δφx)−sinε=λ/p …(4)
ここで、ε及びδφxが微少量であるとすると、sin(φx)の微分はcos(φx)であるため、式(4)は次のようになる。
sin(φx)+cos(φx)・δφx−ε=λ/p …(5)
式(5)において、式(1)よりsin(φx)がλ/pであることを考慮すると、次式が得られる。
【0048】
δφx=ε/cos(φx) …(6)
また、格子パターン面12bが角度εだけ傾斜したときの回折格子12からの+1次回折光DX1の光路B22の角度の変化量δφは、次のようになる。
δφ={1+1/cos(φx)}ε …(7)
また、ルーフプリズム26XAの入射面A12における振れ角δの入射角iに関する変化率(dδ/di)は、式(3)で示したようにcos(φx)であるため、ルーフプリズム26XAを通過した回折光DX1の光路B23の角度の変化量δε1は、次のようになる。
【0049】
δε1=δφ・cos(φx)={cos(φx)+1}ε …(8)
そして、格子パターン面12bは角度εだけ傾斜しているため、反射部25XAから格子パターン面12bに入射する回折光DX1の入射角δεは次のようになる。
δε=ε・cos(φx) …(9)
回折光DX1が再び回折格子12に入射角δεで入射すると、回折光DX1による回折格子12からの+1次回折光EX1(再回折光)の回折角の変化量δφ1は、式(6)から次のようになる。
【0050】
δφ1=ε …(10)
これは、回折光EX1の回折角の変化量δφ1は格子パターン面12bの傾斜角εに等しいこと、すなわち回折光EX1の光路B24は、格子パターン面12bが傾斜する前の光路に平行であることを意味する。また、回折光EX1の光路B24の横シフトも生じていない。このため、回折光EX1と参照光RX1とをPBS面A2で同軸に合成して干渉光を生成したとき、回折光EX1と参照光RX1との相対的な傾きのずれ及び相対的な横ずれ量がないため、その干渉光を光電変換したときに得られる検出信号のうちの交流信号(ビート信号又は信号成分)の割合が低下することがない。これは、X軸の−1次回折光EX2でも同様である。
【0051】
また、回折格子12の格子パターン12bがX軸に平行な軸の回りに傾斜した場合にも、同様にY軸の±1次回折光EY1,EY2の光路の傾斜角のずれ及び横シフトは生じないため、図1の光電センサ40XA〜40YBの検出信号のうちのビート信号の割合は低下しない。従って、それらの検出信号を用いて高いSN比で高精度に第1部材6と第2部材7との相対移動量を計測できる。なお、回折格子12の格子パターン12bがX軸(又はY軸)に平行な軸の回りに傾斜した場合に、X軸の検出信号(又はY軸の検出信号)に対する影響は実質的にない。
【0052】
なお、以上の説明では回折格子12側が検出ヘッド14(干渉計部15X,15Y)に対して傾斜するものとしたが、計測光MX,MYの回折格子12に対する入射角が0からX方向及び/又はY方向に微少量変化した場合にも、同様に回折光EX1〜EY2の光路の傾斜及び横シフトが生じないため、高いSN比で高精度に第1部材6と第2部材7との相対移動量を計測できる。
【0053】
本実施形態の効果等は以下の通りである。
本実施形態のエンコーダ10は、第1部材6に対してX方向、Y方向、Z方向に3次元的に相対移動可能な第2部材7の相対移動量を計測する3軸のエンコーダ装置である。そして、エンコーダ10は、第1部材6に設けられ、X方向及びY方向を周期方向とする2次元の格子パターン12aを有する反射型の回折格子12と、計測光MX及び参照光RXを含むレーザ光を発生するレーザ光源16と、第2部材7に設けられ、計測光MXを透過させて回折格子12の格子パターン面12bに概ね垂直に入射させるPBS部材24X(第1光学部材)と、第2部材7に設けられるとともに、計測光MXによって回折格子12から発生するX方向の+1次回折光DX1(第1回折光)を回折格子12に入射させ、+1次回折光DX1によって回折格子12から発生するX方向の+1次回折光EX1(第2回折光)をPBS部材24Xに入射させる反射部25XAと、第2部材7に設けられるとともに、計測光MXによって回折格子12からX方向に回折光DX1に対称に発生する−
1次回折光DX2(第3回折光)を回折格子12に入射させ、−1次回折光DX2によって回折格子12から発生するX方向の−1次回折光EX2(第4回折光)をPBS部材24Xに入射させる反射部25XBと、PBS部材24Xで反射された回折光EX1及びEX2と参照光RXから分岐された参照光との干渉光をそれぞれ検出する光電センサ40XA,40XBと、光電センサ40XA,40XBの検出信号を用いて第1部材6と第2部材7とのX方向及びZ方向の相対移動量を求める計測演算部42(計測部)と、を備えている。
【0054】
また、エンコーダ10を用いる計測方法は、図12のフローチャートに示すように、第1部材6と第2部材7との相対移動量を計測する方法であって、第1部材6に設けられ、X方向及びY方向を周期方向とする格子パターン12aを有する反射型の回折格子12の格子パターン面12bに概ね垂直に、第2部材7に設けられたPBS部材24Xを介して計測光MXを入射させるステップ302と、第2部材7に設けられた反射部25XAにより、計測光MXによって回折格子12からX方向に関して発生する+1次回折光DX1を回折格子12に入射させ、回折光DX1によって回折格子12から発生する+1次回折光EX1をPBS部材24Xに入射させるステップ304と、第2部材7に設けられた反射部25XBにより、計測光MXによって回折格子12からX方向に関して発生する−1次回折光DX2を回折格子12に入射させ、回折光DX2によって回折格子12から発生する−1次回折光EX2をPBS部材24Xに入射させるステップ306と、PBS部材24Xを介した回折光DX2及び回折光EX2と参照光RX1,RX2との干渉光をそれぞれ検出し、この検出結果より第1部材6と第2部材7との相対移動量を求めるステップ308と、を含んでいる。
【0055】
本実施形態によれば、反射部25XA,25XBによって、回折光DX1,DX2が回折格子12に入射するときの入射角はほぼ0になるため、第1部材6と第2部材7との相対位置が変化して、PBS部材24X(検出ヘッド14)に対する回折格子12の格子パターン面12bの相対的な高さ(Z方向の位置)が変化しても、回折光DX1,DX2による回折格子12からの回折光EX1,EX2(再回折光)の光路の変動がほとんどなくなり、回折光EX1,EX2と参照光RX1,RX2との横方向の相対的なシフト量がほぼ0になる。従って、回折格子12の格子パターン面12bの高さの変化に対して干渉光のビート信号(位置情報を含む信号)の強度の低下がなくなり、第1部材6と第2部材7との相対移動量の計測精度を高く維持できる。また、仮に第1部材6と第2部材7とのX方向、Y方向の相対位置が固定されている場合には、光電センサ40XAの検出信号から第1部材6と第2部材7とのZ方向の相対移動量を計測できる。
【0056】
さらに、エンコーダ10は、PBS部材24Yにより回折格子12に概ね垂直に計測光MYを入射させ、回折格子12から計測光MYによってY方向に発生する±1次回折光DY1,DY2を入射角がほぼ0で回折格子12に入射させる反射部25YA,25YBと、回折格子12から回折光DY1,DY2によって発生する±1次回折光EY1,EX2と参照光RY1,RY2との干渉光を検出する光電センサ40YA,40YBと、を備えている。このため、回折格子12の格子パターン面12bの相対的な高さが変化しても、光電センサ40YA,40YBの検出信号から、第1部材6と第2部材7とのY方向の相対移動量を高精度に計測できる。
【0057】
なお、上記の実施形態では以下のような変形が可能である。
上記の実施形態では2次元の回折格子12が使用されているが、回折格子12の代わりに例えばX方向にのみ周期性を持つ1次元の回折格子を使用してもよい。この場合、検出ヘッド14からは、Y軸の干渉計部15Y及び光電センサ40YA,40YB等を省略し、光電センサ40XA,40XBの検出信号を用いて第1部材6と第2部材7とのX方向及びZ方向の相対移動量を計測できる。
【0058】
また、上記の実施形態では、回折光EX1〜EY2と参照光RX1〜RY2との干渉光を検出しているが、例えばX軸の第1の周波数の計測光の+1次回折光EX1と第2の周波数の計測光(上記の実施形態では参照光として使用されていた光)の−1次回折光EX2との干渉光、及びY軸の第1の周波数の計測光の+1次回折光EY1と第2の周波数の計測光の−1次回折光EY2との干渉光を検出してもよい。この場合には、第1部材6と第2部材7とのX方向、Y方向の相対移動量を計測できるとともに、回折格子12の格子パターン面12bの相対的な高さが変動しても、2つの回折光の横ずれがないため、常に高いSN比で高精度に計測を行うことができる。
【0059】
次に、上記の実施形態では、回折格子12から発生する回折光DX1,EX1はそれぞれルーフプリズム26XAを介して反射部材28XA,30XAに入射している。しかしながら、図5(A)の第1変形例のX軸の干渉計部15XAの要部で示すように、ルーフプリズム26XAの代わりに、直交する反射面A33,A34を有するルーフミラー44XA(図5(B)参照)及び頂角α3の楔形プリズム46XAを使用してもよい。この場合には、ルーフプリズム26XBの代わりに、ルーフミラー44XB及び楔形プリズム46XBを使用してもよい。ルーフミラー44XA,44XBを使用することによって、干渉計部15XAが軽量化できる場合がある。なお、楔形プリズム46XA,46XBは省略してもよい。同様に、反射部材28XA,30XA等として、平面ミラーを使用してもよい。
【0060】
また、図6の第2変形例のX軸の干渉計部15XBで示すように、回折格子12から反射部25XAに向かう+1次回折光DX1及びEX1の光路に、これらの回折光の偏光方向を調整するための1/2波長板38XA,38XBを設置し、回折格子12から反射部25XBに向かう−1次回折光DX2及びEX2の光路に、これらの回折光の偏光方向を調整するための1/2波長板38XC,38XDを設置してもよい。1/2波長板38XA〜38XDの回転角は調整可能である。そして、一例として、1/2波長板38XA,38XCの回転角は反射部25XA,25XB及びPBS部材24Xを通過して回折格子12に入射する回折光DX1,DX2の光量が最大になるように調整され、1/2波長板38XB,38XDの回転角は反射部25XA,25XBを介してPBS部材24XのPBS面A11で反射される回折光EX1,EX2の光量が最大になるように調整される。
【0061】
これによって、回折格子12での回折によって回折光DX1,EX1等の偏光方向が変化していても、PBS部材24Xに入射するときの回折光DX1,EX1等の偏光方向を最適化して、光量損失を最小にすることができる。なお、回折光DX1,DX2はPBS部材24Xを透過して回折格子12に入射するため、回折光DX1,DX2の偏光方向が変化していても光量損失は少ない。このため、回折光DX1,DX2の光路上の1/2波長板38XA,38XCは省略してもよい。
【0062】
また、図7の第1変形例の検出ヘッド14Aの要部に示すように、図1の楔形プリズム34X,34Yを用いる代わりに、X軸の回折光EX1,EX2(計測光)の光路上にそれぞれ1対の偏角プリズム46XA,46XBを設置し、Y軸の回折光EY1,EY2(計測光)の光路上にそれぞれ1対の偏角プリズム46YA,46YBを設置し、参照用の計測光の光路上に1対の偏角プリズム46Cを設置してもよい。上記の実施形態では、検出ヘッド14Aに供給される計測光MX,MYと参照光RX,RYとは角度βで交差している。このため、偏角プリズム46XA,46XB,46YA,46YB,46Cによって、回折光EX1から参照用の計測光の角度及び傾斜方向を調整して、回折光EX1から参照用の計測光を対応する参照光に平行にすることによって、干渉縞の検出信号のSN比を高めることができる。
【0063】
なお、検出ヘッド14に供給される計測光MX,MYと参照光RX,RYとをほぼ平行にしておいてもよい。この場合には、楔形プリズム34X,34Y又は偏角プリズム46XA〜46Cは設ける必要がない。
また、図8の第2変形例の検出ヘッド14Bの要部に示すように、X軸の干渉計部15Xにおいて、PBS部材24Xの射出面に合成光学部材32X,33Xを設置し、合成光学部材32X,33XのPBS面で合成された回折光EX1,EX2と参照光RX1,RX2との干渉光を偏光板41XA,41XBを介して光ファイバ39XA,39XBに入射させてもよい。この変形例では、PBS部材24XのPBS面A11を透過した参照光RXが不図示の楔形プリズムを介して合成光学部材32Xに入射して、そのBS面で参照光RX1,RX2に分割され、PBS部材24XのPBS面A11で反射された回折光EX1,EX2が合成光学部材32X,33Xに入射している。
【0064】
同様に、Y軸の干渉計部15Yにおいて、PBS部材24Yの射出面に合成光学部材32Y,33Yを設置し、合成光学部材32Y,33YのPBS面で合成された回折光EY1,EY2と参照光RY1,RY2との干渉光を偏光板41YA,41YBを介して光ファイバ39YA,39YBに入射させてもよい。この場合にも、参照光RYはPBS部材24Yを透過した後、不図示の楔形プリズムを介して合成光学部材32Yに入射して、そのBS面で参照光RY1,RY2に分割される。この構成によって、検出ヘッド14Bをより小型化できる。
【0065】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態につき図9図11を参照して説明する。図9は、この実施形態に係るエンコーダ装置を備えた露光装置EXの概略構成を示す。露光装置EXは、スキャニングステッパーよりなる走査露光型の投影露光装置である。露光装置EXは、投影光学系PL(投影ユニットPU)を備えており、以下、投影光学系PLの光軸AXと平行にZ軸を取り、これに直交する面(ほぼ水平面に平行な面)内でレチクルRとウエハWとが相対走査される方向にY軸を、Z軸及びY軸に直交する方向にX軸を取って説明する。
【0066】
露光装置EXは、例えば米国特許出願公開第2003/0025890号明細書などに開示される照明系110、及び照明系110からの露光用の照明光(露光光)IL(例えば波長193nmのArFエキシマレーザ光、固体レーザ(半導体レーザなど)の高調波など)により照明されるレチクルR(マスク)を保持するレチクルステージRSTを備えている。さらに、露光装置EXは、レチクルRから射出された照明光ILをウエハW(基板)に投射する投影光学系PLを含む投影ユニットPU、ウエハWを保持するウエハステージWSTを含むステージ装置195、及び制御系等(図11参照)を備えている。
【0067】
レチクルRはレチクルステージRSTの上面に真空吸着等により保持され、レチクルRのパターン面(下面)には、回路パターンなどが形成されている。レチクルステージRSTは、例えばリニアモータ等を含む図11のレチクルステージ駆動系111によって、XY平面内で微少駆動可能であると共に、走査方向(Y方向)に指定された走査速度で駆動可能である。
【0068】
レチクルステージRSTの移動面内の位置情報(X方向、Y方向の位置、及びθz方向の回転角を含む)は、レーザ干渉計よりなるレチクル干渉計116によって、移動鏡115(又は鏡面加工されたステージ端面)を介して例えば0.5〜0.1nm程度の分解能で常時検出される。レチクル干渉計116の計測値は、図11のコンピュータよりなる主制御装置120に送られる。主制御装置120は、その計測値に基づいてレチクルステージ駆動系111を制御することで、レチクルステージRSTの位置及び速度を制御する。
【0069】
図9において、レチクルステージRSTの下方に配置された投影ユニットPUは、鏡筒140と、鏡筒140内に所定の位置関係で保持された複数の光学素子を有する投影光学系PLとを含む。投影光学系PLは、例えば両側テレセントリックで所定の投影倍率β(例えば1/4倍、1/5倍などの縮小倍率)を有する。照明系110からの照明光ILによってレチクルRの照明領域IARが照明されると、レチクルRを通過した照明光ILにより、投影光学系PLを介して照明領域IAR内のレチクルRの回路パターンの像が、ウエハ(半導体ウエハ)Wの一つのショット領域の露光領域IA(照明領域IARと共役な領域)に形成される。
【0070】
また、露光装置EXは、液浸法を適用した露光を行うため、投影光学系PLを構成する最も像面側(ウエハW側)の光学素子である先端レンズ191を保持する鏡筒140の下端部の周囲を取り囲むように、局所液浸装置108の一部を構成するノズルユニット132が設けられている。ノズルユニット132は、露光用の液体Lq(例えば純水)を供給するための供給管131A及び回収管131Bを介して、液体供給装置186及び液体回収装置189(図11参照)に接続されている。なお、液浸タイプの露光装置としない場合には、上記の局所液浸装置108は設けなくともよい。
【0071】
また、ウエハステージWSTは、不図示の複数の例えば真空予圧型空気静圧軸受(エアパッド)を介して、ベース盤112のXY面に平行な上面112aに非接触で支持されている。ウエハステージWSTは、例えば平面モータ、又は直交する2組のリニアモータを含むステージ駆動系124(図11参照)によってX方向及びY方向に駆動可能である。露光装置EXは、レチクルRのアライメントを行う空間像計測系(不図示)、ウエハWのアライメントを行うアライメント系AL(図11参照)、照射系90a及び受光系90bよりなりウエハWの表面の複数箇所のZ位置を計測する斜入射方式の多点のオートフォーカスセンサ90(図8参照)、及びウエハステージWSTの位置情報を計測するためのエンコーダ装置8Bを備えている。
【0072】
ウエハステージWSTは、X方向、Y方向に駆動されるステージ本体191と、ステージ本体191上に搭載されたウエハテーブルWTBと、ステージ本体191内に設けられて、ステージ本体191に対するウエハテーブルWTB(ウエハW)のZ方向の位置、及びθx方向、θy方向のチルト角を相対的に微小駆動するZ・レベリング機構とを備えている。ウエハテーブルWTBの中央の上部には、ウエハWを真空吸着等によってほぼXY平面に平行な吸着面上に保持するウエハホルダ(不図示)が設けられている。
【0073】
また、ウエハテーブルWTBの上面には、ウエハホルダ上に載置されるウエハの表面とほぼ同一面となる、液体Lqに対して撥液化処理された表面(又は保護部材)を有し、かつ外形(輪郭)が矩形でその中央部にウエハホルダ(ウエハの載置領域)よりも一回り大きな円形の開口が形成された高平面度の平板状のプレート体128が設けられている。
なお、上述の局所液浸装置108を設けたいわゆる液浸型の露光装置の構成にあっては、さらにプレート体128は、図10のウエハテーブルWTB(ウエハステージWST)の平面図に示されるように、その円形の開口を囲む、外形(輪郭)が矩形の表面に撥液化処理が施されたプレート部(撥液板)128aと、プレート部128aを囲む周辺部128eとを有する。周辺部128eの上面に、プレート部128aをY方向に挟むようにX方向に細長い1対の2次元の回折格子12A,12Bが配置され、プレート部128aをX方向に挟むようにY方向に細長い1対の2次元の回折格子12C,12Dが配置されている。回折格子12A〜12Dは、図1の回折格子12と同様にX方向、Y方向を周期方向とする2次元の格子パターンが形成された反射型の回折格子である。
【0074】
また、図9において、投影ユニットPUを支持するフレーム(不図示)に連結部材(不図示)を介してXY面にほぼ平行な平板状の計測フレーム150が支持されている。計測フレーム150の底面に、投影光学系PLをX方向に挟むように、図1の3軸の検出ヘッド14と同じ構成の複数の検出ヘッド14が固定され、投影光学系PLをY方向に挟むように、図1の検出ヘッド14と同じ構成の複数の検出ヘッド14が固定されている(図10参照)。また、複数の検出ヘッド14にレーザ光(計測光及び参照光)を供給するための図1のレーザ光源16と同様の一つ又は複数のレーザ光源(不図示)も備えられている。
【0075】
図10において、投影光学系PLからの照明光でウエハWを露光している期間では、常にY方向の一列A1内の複数の検出ヘッド14のいずれか2つが回折格子12A,12Bに対向し、X方向の一行A2の複数の検出ヘッド14のいずれか2つが回折格子12C,12Dに対向するように構成されている。一列A1内の各検出ヘッド14は、回折格子12A又は12Bに計測光を照射し、回折格子12A,12Bから発生する回折光と参照光との干渉光の検出信号を対応する計測演算部42(図11参照)に供給する。これらの計測演算部42では、図1の計測演算部42と同様に、ウエハステージWSTと計測フレーム150とのX方向、Y方向、Z方向の相対位置(相対移動量)を例えば0.5〜0.1nmの分解能で求めてそれぞれ計測値を切り替え部80Aに供給する。計測値切り替え部80Aでは、回折格子12A,12Bに対向している検出ヘッド14に対応する計測演算部42から供給される相対位置の情報を主制御装置120に供給する。
【0076】
また、一行A2に対応する各検出ヘッド14は、回折格子12C又は12Dに計測光を照射し、回折格子12C,12Dから発生する回折光と参照光との干渉光の検出信号を対応する計測演算部42(図8参照)に供給する。これらの計測演算部42では、図1の計測演算部42と同様に、ウエハステージWSTと計測フレーム150とのX方向、Y方向、Z方向の相対位置(相対移動量)を例えば0.5〜0.1nmの分解能で求めて計測値切り替え部80Bに供給する。計測値切り替え部80Bでは、回折格子12C,12Dに対向している検出ヘッド14に対応する計測演算部42から供給される相対位置の情報を主制御装置120に供給する。
【0077】
一列A1内の複数の検出ヘッド14、レーザ光源(不図示)、計測演算部42、及び回折格子12A,12Bから3軸のエンコーダ10Aが構成され、一行A2内の複数の検出ヘッド14、レーザ光源(不図示)、計測演算部42、及び回折格子12C,12Dから3軸のエンコーダ10Bが構成されている。そして、3軸のエンコーダ10A,10B、及び計測値切り替え部80A,80Bからエンコーダ装置8Bが構成されている。主制御装置120は、エンコーダ装置8Bから供給される相対位置の情報に基づいて、計測フレーム150(投影光学系PL)に対するウエハステージWSTのX方向、Y方向、Z方向の位置、及びθz方向の回転角等の情報を求め、この情報に基づいてステージ駆動系124を介してウエハステージWSTを駆動する。
【0078】
そして、露光装置EXの露光時には、先ずレチクルR及びウエハWのアライメントが行われる。その後、レチクルRへの照明光ILの照射を開始して、投影光学系PLを介してレチクルRのパターンの一部の像をウエハWの表面の一つのショット領域に投影しつつ、レチクルステージRSTとウエハステージWSTとを投影光学系PLの投影倍率βを速度比としてY方向に同期して移動(同期走査)する走査露光動作によって、そのショット領域にレチクルRのパターン像が転写される。その後、ウエハステージWSTを介してウエハWをX方向、Y方向にステップ移動する動作と、上記の走査露光動作とを繰り返すことによって、液浸法でかつステップ・アンド・スキャン方式でウエハWの全部のショット領域にレチクルRのパターン像が転写される。
【0079】
この際に、エンコーダ装置8Bの検出ヘッド14においては、計測光及び回折光の光路長はレーザ干渉計に比べて短いため、検出ヘッド14を用いた計測値に対する空気揺らぎの影響が非常に小さい。従って、本実施形態のエンコーダ装置8Bは、レーザ干渉計と比較して、空気が揺らぐ程度の短い期間における計測安定性(短期安定性)が格段に優れているため、レチクルRのパターン像をウエハWに高精度に転写できる。さらに、検出ヘッド14は回折格子12A〜12DのZ位置が変化しても常に高いSN比で相対移動量の上方を含む信号を検出できるため、常に高精度にウエハステージWSTを駆動できる。
【0080】
なお、本実施形態では、計測フレーム150側に検出ヘッド14を配置し、ウエハステージWST側に回折格子12A〜12Dを配置している。この他の構成として、計測フレーム150側に回折格子12A〜12Dを配置し、ウエハステージWST側に検出ヘッド14を配置してもよい。また、ウエハステージWSTの裏面に回折格子12A〜12Dを配置し、ウエハステージWSTよりも定盤側に検出ヘッド14を配置してもよい。
【0081】
また、レチクルステージRSTの位置情報を求める際に、レチクル干渉計116の代わりに、又はこれと併用して本実施形態で説明したエンコーダを用いるようにしてもよい。
また、上記の実施形態の露光装置EX又は露光方法を用いて半導体デバイス等の電子デバイス(又はマイクロデバイス)を製造する場合、電子デバイスは、図13に示すように、電子デバイスの機能・性能設計を行うステップ221、この設計ステップに基づいたレチクル(マスク)を製作するステップ222、デバイスの基材である基板(ウエハ)を製造してレジストを塗布するステップ223、前述した実施形態の露光装置(露光方法)によりレチクルのパターンを基板(感光基板)に露光する工程、露光した基板を現像する工程、現像した基板の加熱(キュア)及びエッチング工程などを含む基板処理ステップ224、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程などの加工プロセスを含む)225、並びに検査ステップ226等を経て製造される。
【0082】
言い換えると、このデバイスの製造方法は、上記の実施例の露光装置EX(露光方法)を用いてレチクルのパターンの像を基板(ウエハ)に転写し、その基板を現像するリソグラフィ工程と、そのパターンの像が転写されたその基板をそのパターンの像に基づいて加工する工程(ステップ224のエッチング等)とを含んでいる。この際に、上記の実施例によれば、露光装置のウエハステージWSTの位置を高精度に制御できるため、電子デバイスを高精度に製造できる。
【0083】
また、上記の実施形態のエンコーダ10は、露光装置以外の検査装置又は計測装置等の検査又は加工対象の物体用の光学系(レーザ光を集光する光学系等)と、その物体を移動する移動装置(ステージ等)とを備えた光学装置において、その移動装置(物体)の例えばその光学系に対する相対移動量を計測するために適用することができる。
なお、上記の実施形態においては、ステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置を例に挙げて説明しているが、ステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置のエンコーダにも本発明を適用することができる。
【0084】
また、照明光ILは、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)に限らず、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)などの紫外光や、F2レーザ光(波長157nm)などの真空紫外光であっても良い。例えば米国特許第7,023,610号明細書に開示されているように、真空紫外光としてDFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。
【0085】
また電子線又はイオンビームなどの荷電粒子線を用いる露光装置にも、上記実施形態は適用できる。
また、上述の実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスク(レチクル)を用いたが、このレチクルに代えて、例えば米国特許第6,778,257号明細書に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて、透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスク(可変成形マスク、アクティブマスク、あるいはイメージジェネレータとも呼ばれ、例えば非発光型画像表示素子(空間光変調器)の一種であるDMD(Digital Micro-mirror Device)などを含む)を用いても良い。かかる可変成形マスクを用いる場合には、ウエハ又はガラスプレート等のワークピースが搭載されるステージが、可変成形マスクに対して走査されるので、このステージの位置をエンコーダシステムを用いて計測することで、上記実施形態と同等の効果を得ることができる。
【0086】
また、例えば国際公開第2001/035168号に開示されているように、干渉縞をウエハW上に形成することによって、ウエハW上にライン・アンド・スペースパターンを形成する露光装置(リソグラフィシステム)にも上記実施形態を適用することができる。
さらに、例えば米国特許第6,611,316号明細書に開示されているように、2つのレチクルパターンを、投影光学系を介してウエハ上で合成し、1回のスキャン露光によってウエハ上の1つのショット領域をほぼ同時に二重露光する露光装置にも上記実施形態を適用することができる。
【0087】
なお、上記実施形態でパターンを形成すべき物体(エネルギビームが照射される露光対象の物体)はウエハに限られるものでなく、ガラスプレート、セラミック基板、フィルム部材、あるいはマスクブランクスなど他の物体でも良い。
露光装置の用途としては半導体製造用の露光装置に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを転写する液晶用の露光装置や、有機EL、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD等)、マイクロマシン及びDNAチップなどを製造するための露光装置にも広く適用できる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも上記実施形態を適用できる。
【0088】
また、上述の実施形態にかかる計測装置および露光装置は、本願請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0089】
なお、これまでの説明で引用した露光装置などに関する全ての公報、国際公開、米国特許出願公開明細書及び米国特許明細書の開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
また、明細書、特許請求の範囲、図面、及び要約を含む2012年4月26日付け提出の米国特許出願US61/638,719の全ての開示内容は、そっくりそのまま引用して本願に組み込まれている。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0090】
EX…露光装置、R…レチクル、W…ウエハ、MX,MY…計測光、DX1,DY1,EX1,EY1…+1次回折光、DX2,DY2,EX2,EY2…−1次回折光、6…第1部材、7…第2部材、10…エンコーダ、12…2次元の回折格子、14…検出ヘッド、16…レーザ光源、24X,24Y…PBS(偏光ビームスプリッター)部材、25XA,25XB,25YA,25YB…反射部、26XA,26XB,26YA,26YB…ルーフプリズム、40XA,40XB,40YA,40YB,40C…光電センサ、42…計測演算部
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