特許第6223085号(P6223085)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6223085-半導体装置の製造方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6223085
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/02 20060101AFI20171023BHJP
   H01L 23/10 20060101ALI20171023BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20171023BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
   H01L23/02 B
   H01L23/10 B
   H01L23/30 R
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-190138(P2013-190138)
(22)【出願日】2013年9月13日
(65)【公開番号】特開2015-56572(P2015-56572A)
(43)【公開日】2015年3月23日
【審査請求日】2016年7月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】新日本無線株式会社
(72)【発明者】
【氏名】倉田 博之
【審査官】 鈴木 駿平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−007774(JP,A)
【文献】 特開2006−173280(JP,A)
【文献】 実開平07−014651(JP,U)
【文献】 特開2001−176995(JP,A)
【文献】 特開2001−053092(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/54
H01L 23/00−23/10、23/16−23/26
H01L 23/28−23/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子表面に形成された電極から金属ワイヤによって電気的な接続が形成されているとともに、前記半導体素子表面と封止樹脂との間に中空部が形成されている半導体装置の製造方法において、
実装基板上に複数の半導体素子を実装し、該半導体素子表面に形成された電極から金属ワイヤにより電気的な接続を形成する工程と、
前記半導体素子表面に気体を内包し、隣接する半導体素子間の前記実装基板表面に密着するように、樹脂フィルム層で前記実装基板表面を被覆する工程と、
前記半導体素子表面に残る気体を膨張させた後、あるいは膨張させながら、少なくとも前記樹脂フィルム層を含む封止樹脂を硬化させ、前記半導体素子表面と前記樹脂フィルム層との間に、大気圧より低い圧力の前記気体が内包する中空部を形成する工程と、
個々の半導体装置に個片化する工程とを備え、
前記半導体素子表面に残る気体を膨張させる工程は、前記実装基板を密閉容器内に載置し、前記密閉容器内を減圧させることで、前記半導体素子表面に残る気体を膨張させる工程であることを特徴とする半導体装置の製造方法
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、前記中空部を形成する工程は、
前記実装基板表面を被覆した前記樹脂フィルム層上に液状樹脂を塗布する工程と、
前記半導体素子表面に残る気体を膨張させた後、あるいは膨張させながら、前記樹脂フィルム層および前記液状樹脂を硬化させ、前記半導体素子表面と前記樹脂フィルム層および前記液状樹脂が硬化した封止樹脂の前記樹脂フィルム層との間に、大気圧より低い圧力の前記気体が内包する中空部を形成する工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、特に表面弾性波フィルタやMEMS等で使用される半導体素子表面上を空洞化した中空構造を備えた半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表面弾性波(SAW)フィルタやMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)素子など半導体素子表面でメカニカルな動作が必要な半導体装置では、半導体素子表面を空洞化させた中空パッケージが使用されている。この種の中空パッケージでは、金属キャップにより封止する構造のものや樹脂を用いて封止する構造のものが種々提案されている(例えば特許文献1)。このうち、樹脂を用いて封止する構造の中空パッケージは、薄型化や低コストである点から利点が大きい。
【0003】
図3および図4は、この種の樹脂を用いて封止する中空構造を備えた半導体装置の製造工程の一例を示している。所定の配線パターン(図示せず)が形成された実装基板1上に、半導体素子2がバンプ電極3を介してフリップチップ実装されている。ここで、メカニカルな動作が必要な半導体素子表面を、実装基板1側に向けて配置している(図3a)。
【0004】
次に半導体素子2を樹脂フィルム層4で覆うため、樹脂フィルム貼り付け用下型5と樹脂フィルム貼り付け用上型6との間に、半導体素子2を実装した実装基板1と樹脂フィルム層4を配置する(図3b)。樹脂フィルム貼り付け用下型5および樹脂貼り付け用上型6には、それぞれ貫通孔7が形成されている。
【0005】
樹脂フィルム貼り付け用下型5と樹脂フィルム貼り付け用上型6とを接合させ、伸縮性のある樹脂フィルム層4と半導体素子2との間に残る空気を樹脂フィルム貼り付け用下型5に形成された貫通孔7を通して排出することで、樹脂フィルム層4が半導体素子2表面に沿って密着する。樹脂フィルム貼り付け用上型6の貫通孔7からキャビティ8内に圧力を加えることで、密着性を更に増すこともできる(図3c)。
【0006】
その後、半導体素子2に密着した樹脂フィルム層4に紫外線を照射させたり、熱を加えることで硬化させる(図3d)。
【0007】
その後樹脂封止を行うため、樹脂封止用下型9と樹脂封止用上型10との間に形成されるキャビティ11内に、半導体素子2を実装し、その表面を樹脂フィルム層4で被覆した実装基板1を載置して、封止樹脂を注入する。このとき樹脂フィルム層4によって半導体素子2表面に封止樹脂が流入することはない。その後、注入した封止樹脂を硬化させることで、樹脂フィルム層4上に封止樹脂12が形成される(図4a)。
【0008】
樹脂封止用下型9および樹脂封止用上型10を取り外し(図4b)、封止樹脂12,樹脂フィルム層4および実装基板1を切断して個片化することで、中空構造を備えた半導体装置を形成することができる(図4c)。
【0009】
ところで、樹脂フィルム層4を半導体素子2表面および実装基板1上に密着させる際、伸縮性のある樹脂フィルム層4が伸びて半導体素子2表面に沿って密着するため、図3および図4に示すようにバンプ電極により接続するのが好ましい。半導体素子2と実装基板1とを金属ワイヤで接続している場合には、樹脂フィルム層4の伸縮によって、半導体素子2の表面に、樹脂フィルム層4が接してしまい、中空構造が形成できないためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−302835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来の中空構造を備えた半導体装置の製造方法では、金属ワイヤで半導体素子と実装基板とを接続する構造の半導体装置には採用することができなかった。本発明は、金属ワイヤで半導体素子と実装基板を接続する構造の半導体装置であっても、簡便に中空構造を形成することができる半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本願請求項1に係る発明は、半導体素子表面に形成された電極から金属ワイヤによって電気的な接続が形成されているとともに、前記半導体素子表面と封止樹脂との間に中空部が形成されている半導体装置の製造方法において、実装基板上に複数の半導体素子を実装し、該半導体素子表面に形成された電極から金属ワイヤにより電気的な接続を形成する工程と、前記半導体素子表面に気体を内包し、隣接する半導体素子間の前記実装基板表面に密着するように、樹脂フィルム層で前記実装基板表面を被覆する工程と、前記半導体素子表面に残る気体を膨張させた後、あるいは膨張させながら、少なくとも前記樹脂フィルム層を含む封止樹脂を硬化させ、前記半導体素子表面と前記樹脂フィルム層との間に、大気圧より低い圧力の前記気体が内包する中空部を形成する工程と、個々の半導体装置に個片化する工程とを備え、前記半導体素子表面に残る気体を膨張させる工程は、前記実装基板を密閉容器内に載置し、前記密閉容器内を減圧させることで、前記半導体素子表面に残る気体を膨張させる工程であることを特徴とする。
【0013】
本願請求項2に係る発明は、請求項1記載の半導体装置において、前記中空部を形成する工程は、前記実装基板表面を被覆した前記樹脂フィルム層上に液状樹脂を塗布する工程と、前記半導体素子表面に残る気体を膨張させた後、あるいは膨張させながら、前記樹脂フィルム層および前記液状樹脂を硬化させ、前記半導体素子表面と前記樹脂フィルム層および前記液状樹脂が硬化した封止樹脂の前記樹脂フィルム層との間に、大気圧より低い圧力の前記気体が内包する中空部を形成する工程を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の半導体装置の製造方法による半導体装置は、金属ワイヤによって接続された半導体素子表面に中空構造を備える構造となっているため、半導体素子や半導体装置を実装する基板を変更することなく、製造コストを抑えながら、中空構造を形成することができる。
【0018】
また半導体装置が高周波デバイスの場合、信号配線と半導体素子表面が対向すると高周波特性に影響があり、フリップチップ実装が好ましくない場合があるが、本発明のように金属ワイヤにより接続する構造とすると信号配線と半導体素子表面が対向する構造を避けることができ、高周波デバイスの特性に影響を与えることなく中空構造を形成することができる。
【0019】
また本発明の半導体装置の製造方法による半導体装置は、中空構造内の圧力が大気圧より低くなるため、中空構造の内壁が内側に引き寄せられる圧力が加わるため、実装基板と樹脂フィルム層との接着を密に保つことが可能となる。
【0020】
また、本発明の半導体装置の製造方法は、通常の半導体装置の製造工程に、減圧のための密閉容器を用意するだけでよいため、通常の半導体装置の製造方法同様、歩留まり良く製造することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の半導体装置の製造方法を説明する図である。
図2】本発明の半導体装置の製造方法を説明する図である。
図3】従来のこの種の半導体装置の製造方法を説明する図である。
図4】従来のこの種の半導体装置の製造方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の半導体装置の製造方法は、樹脂フィルム層で半導体素子を被覆する際、樹脂フィルム層内に気体を残したままとしておき、その後、残った気体を膨張させ、この状態で封止樹脂を硬化させることで、中空構造を形成することを特徴としている。以下、本発明の実施例について詳細に説明する。
【実施例1】
【0023】
所定の配線パターン(図示せず)が形成された実装基板1上に、半導体素子2を実装する。半導体素子2と実装基板1上の配線パターンは、金属ワイヤ13によって接続されている。メカニカルな動作が必要な半導体素子表面は、上面側に向けて配置している(図1a)。ここで、金属ワイヤ13を半導体素子2の周囲四方向に配置したり、金属ワイヤ13の数を増やしたり、あるいは金属ワイヤ13間の間隔を狭くすると、半導体素子2表面に空気が残りやすくなる。
【0024】
半導体素子2を樹脂フィルム層4で覆うため、従来例同様、樹脂フィルム貼り付け用下型5と樹脂フィルム貼り付け用上型6との間に、半導体素子2を実装した実装基板1と樹脂フィルム層4を配置する(図1b)。樹脂フィルム貼り付け用下型5および樹脂貼り付け用上型6には、それぞれ貫通孔7が形成されている。ここで、樹脂フォルム層4は、例えば、25℃における弾性率が580Mpa程度の柔らかさで、伸びる材料を使用する。
【0025】
樹脂フィルム貼り付け用下型5と樹脂フィルム貼り付け用上型6とを接合させ、樹脂フィルム層4と半導体素子2との間に残る空気を樹脂フィルム貼り付け用下型5に形成された貫通孔7を通して排出することで、樹脂フィルム層4が実装基板1と密着する(図1c)。ここで、樹脂フィルム層4と半導体素子2表面との間には空気14が残り、金属ワイヤ13を押しつぶしたり、半導体素子2表面の電極と金属ワイヤ13の接合が破断することがないように、吸引時間、吸引圧力、温度を調整する。通常は、樹脂フィルム貼り付け用下型5の貫通孔7から吸引を開始すると樹脂フィルム層4は実装基板1と密着するので、樹脂フィルム層4と実装基板1が密着し半導体素子2表面に空気14が残った状態で、吸引を停止すればよい。また、樹脂フィルム貼り付け用上型6に形成された貫通孔7から、樹脂フィルム貼り付け用上型6と樹脂フィルム層4との間の空気を吸引すると、樹脂フィルム層4と半導体素子2との間に残る空気14が、半導体素子2表面付近に集まるとともに、樹脂フィルム層4と実装基板1とが完全に密着する。
【0026】
実装基板1上に実装された半導体素子2を被覆した樹脂フィルム層4上に封止樹脂12を塗布する。この封止樹脂12の塗布は、実装基板1の周囲にダム部を形成し、その内側に液状樹脂を滴下すればよい(図2a)。封止樹脂12は、液状樹脂に限らず、別の樹脂フィルム層を積層することも可能であるが、金属ワイヤ13に過剰な力が加わらないようにする必要がある。
【0027】
次に、封止樹脂12を硬化させる前に、実装基板1を減圧容器15中に入れ、減圧容器15に形成された貫通孔7から、減圧容器7内の空気を排出する。封止樹脂12は硬化前で流動性に富んだ状態であるので、図2(b)に示すように、内部に含まれる空気14が膨張する。なお、樹脂フィルム層4は、硬化後であっても柔らかく伸びるため、空気14が膨張する。この状態で封止樹脂12を加熱し、あるいは紫外線を照射することにより、封止樹脂12を硬化させる。この硬化によって、空気14は膨張した状態で残り、中空構造を形成することができる。ここで減圧の結果、封止樹脂の12の表面が盛り上がるように変形することもあるが、半導体素子の表面が平坦である方が好ましい場合は、更に表面に封止樹脂12を塗布して平坦化し、再度硬化する工程を加えればよい。また表面を研磨して平坦化してもよい。
【0028】
その後、封止樹脂12、樹脂フィルム層4および実装基板1を、例えばダイシングソーを用いて切断することで個片化し、中空構造を備えた半導体装置を形成することができる(図2c)。
【0029】
以上説明したように、半導体素子2と実装基板1を金属ワイヤ13で接続する構造の半導体装置であっても、中空構造を簡便に形成することが可能となる。
【0030】
なお、上記説明では中空構造内に残る気体が空気として説明したが、樹脂フィルム層4で半導体素子2を被覆する際の雰囲気ガスが空気以外の気体であれば、中空構造内に残る気体は、その雰囲気ガスとなる。
【符号の説明】
【0031】
1:実装基板、2:半導体素子、3:バンプ電極、4:樹脂フィルム層、5:樹脂フィルム貼り付け用下型、6:樹脂フィルム貼り付け用上型、7:貫通孔、8:キャビティ、9:樹脂封止用下型、10:樹脂封止用上型、11:キャビティ、12:封止樹脂、13:金属ワイヤ、14:空気、15:減圧容器
図1
図2
図3
図4