(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るカメラ用ブームを実施するための形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。
【0014】
以下では、
図1、
図2(a)及び
図2(b)に示すカメラ用ブーム1を一例として説明する。ここで、
図2(a)及び
図2(b)において、矢印で示す前後方向は、カメラCの光軸の方向であり、矢印で示す上下方向は、カメラCで取得する映像の上下方向である。また、矢印で示す左は、カメラCで取得する映像における左(カメラCから被写体を見たときの左)である。
【0015】
カメラ用ブーム1は、パイプ10と、パイプ10の先端側(
図1において右)のカメラ取り付け部20と、パイプ10の基端側(
図1において左)の操作部30と、カメラケース支持ステー40と、伝達機構50とを備えている。
【0016】
パイプ10は、カメラ取り付け部20とカメラCとを支持できるような強度を有していれば、その外径、厚み、長さ、硬度、材質を適宜選択することができる。例えば、材質について挙げると、軽量で、強度の強いアルミニウムあるいはアルミニウム合金にて形成されていることが好ましい。また、長さは、人が把持できる長さ、例えば1〜2m程度であることが好ましい。
【0017】
パイプ10の軸方向の中央部分には、ワイヤ引出管11が設けられている。ワイヤ引出管11は、パイプの内部と連通する細管である。ワイヤ引出管11は、ここでは、パイプ10に対して所定角度に取り付けられ、把持部12とは反対側の端部がパイプ10から離間した状態となるように設けられている。ワイヤ引出管11とパイプ10の先端との間は把持部12となっている。
図5には、カメラマンHが左手Lで把持部12を把持した様子を示している。
【0018】
図1、
図2(a)及び
図2(b)に戻って、カメラ用ブーム1の構成の説明を続ける。
カメラ取り付け部20は、カメラCが取り付けられるものであり、全体が円筒形で二重構造になっており、外側ケースに対して内側ケースが回転できるように構成されている。このカメラ取り付け部20は、カメラケース21と、外側ケース22と、を備えている。
【0019】
カメラ取り付け部20のカメラケース21及び外側ケース22は、カメラCを支持して所定方向に向けるためのものである。各ケース21,22は、カメラCを支持できるような強度を有していれば、その外径、厚み、長さ、硬度、材質を適宜選択することができる。例えば、材質について挙げると、軽量で、強度の強いプラスチック、例えばポリカーボネートやアクリルなどの樹脂材料、あるいは安価で強度のあるMCナイロン(登録商標)にて形成されていることが好ましい。
【0020】
カメラケース21は、開口を有した円筒形のケースであって開口の向きをカメラCの光軸の向きとしてカメラCを支持した状態で収納する。ここで、収納とは、カメラケース21の中にカメラCの少なくとも一部の領域を装着することを意味しており、カメラ全体をカメラケース21の中にすっぽり入れなくてもよい。
【0021】
外側ケース22は、カメラケース21を所定角度となるように回転自在に支持する同軸の円筒形のケースであって、カメラケース21の外側に配置されている。外側ケース22には、2つの貫通孔23,24が形成されている。外側ケース22とカメラケース21との間には図示しないベアリングが設けられており、カメラケース21が所定角度に回転し易くなっている。
【0022】
操作部30は、パイプ10の基端側においてパイプ10の外周面に嵌合して、パイプ10に対して、パイプ10の軸周りに回転可能なハンドル31を備えている。ハンドル31の外周面には、棒状のワイヤ固定部32が突設されている。操作部30のこれら部材は、軽量で、強度の強いプラスチックで構成されている。操作部30における操作方法については後記する。
【0023】
カメラケース支持ステー40は、パイプ10の先端と外側ケース22とを連結するものである。カメラケース支持ステー40は、
図2(b)に示すように、キャップ41と、ケース支持部42,43と、補強部44とを備えている。
【0024】
キャップ41は、両端が開口した円筒形であってパイプ10の先端に固定される。
ケース支持部42,43は、一部屈曲したバー形状の部材であってキャップ41と外側ケース22とに固定されている。ケース支持部42,43は、外側ケース22の両側にそれぞれ配置されている。外側ケース22は、外周において円の直径に相当する位置の両サイドにおいて、ケース支持部42,43を介してネジ留めされている。本実施形態では、両サイドにおいて前記ネジの他に図示しないネジを用いており、外側ケース22がカメラケース支持ステー40に対して動かないように固定されている。
補強部44は、ケース支持部42,43のそれぞれの屈曲部間に接続されており、ワイヤを通すための2つの貫通孔を備えている。
【0025】
カメラケース支持ステー40は、パイプ10とカメラ取り付け部20とを連結して支持できるような強度を有していれば、その形状、厚み、長さ、硬度、材質を適宜選択することができる。例えば、材質について挙げると、軽量で、強度の強いステンレス鋼(例えばSUS304)にて形成されていることが好ましい。
【0026】
伝達機構50は、カメラケース21と接続されると共に、操作部30に接続され、操作部30の動きをカメラケース21に伝達するものである。カメラ用ブーム1は、操作部30の操作に合わせて伝達機構50を介してカメラケース21が外側ケース22の内部で所定角度に回転する。
【0027】
伝達機構50は、ハンドル31の外周面のワイヤ固定部32に接続されたワイヤを備えている。ワイヤは、操作部30に接続されると共に、カメラケース21に接続されており、その一部分がパイプ10の中を通るように配設されている。このワイヤは、カメラケース支持ステー40の補強部44の2つの貫通孔と、外側ケース22の貫通孔23,24を通してカメラケース21と接続されている。ワイヤは、貫通孔23,24を通って外側ケース22の内側で繋がっている。
【0028】
図3(a)に示すように、貫通孔23を通るワイヤ(符号W1)は、カメラケース21に巻かれて貫通孔24を通って引き出されている。貫通孔24を通るワイヤ(符号W2)はワイヤW1と一体である。ここでは、カメラケース21が回転していないときの初期状態の方向が符号27の矢印で示す方向であるものとする。この例では、ワイヤは、矢印27の先端の側まで回り込んでカメラケース21の外周に巻かれている。この初期状態において、パイプ10の基端側のワイヤ固定部32の向く方向を
図3(c)に示す。
【0029】
カメラ取り付け部20は、例えば
図3(b)に示すように、カメラケース21を外側ケース22に入れて、ワイヤを外側ケース22の貫通孔23,24から引き出しておき、カメラケース21と外側ケース22との間に図示しないベアリングを入れて、円筒の両側の開口を蓋体28,29で閉じて構成されている。なお、蓋体28,29は中央に開口を有している。
【0030】
パイプ10の中を通るワイヤの一端は、ワイヤ引出管11から外に取り出されて、ハンドル31のワイヤ固定部32に固定されている。パイプ10の中を通るワイヤの他端は、
図2(a)及び
図3(d)に示すようにバネ等の弾性部材51を介してパイプ10の内側の基端部に固定されている。弾性部材51は、ハンドル31を回したときに復元力を発生させるためのものである。
【0031】
[操作例]
伝達機構50は、
図1において、貫通孔24を通るワイヤ(符号W2)がカメラ取り付け部20から引かれると、貫通孔23を通るワイヤ(符号W1)がカメラ取り付け部20に向かって引かれるような関係になっている。ハンドル31を回したときの状態を
図4(a)〜
図4(d)に示す。
図4(a)〜
図4(d)は、ハンドル31を回す前の初期状態における
図3(a)〜
図3(d)にそれぞれ対応している。
【0032】
初期状態から、
図4(c)に示すようにハンドル31を例えば反時計回りに回転させると、張力によって弾性部材51(
図4(d))が伸び、ワイヤ引出管11から引き出されるワイヤの長さが長くなり、
図4(a)及び
図4(b)において、貫通孔24を通るワイヤW2がカメラ取り付け部20から引かれて、貫通孔23を通るワイヤW1がカメラ取り付け部20に向かって引かれ、ワイヤとカメラケース21の外周面との間の摩擦力によってカメラケース21が動き、矢印27で示すように、カメラケース21が外側ケース22の内部で時計回りに回転する。その状態においてハンドル31から手を離すと、弾性部材51の復元力によって、
図4(a)において、カメラケース21が外側ケース22の内部で逆回転し、元の位置に戻る。
【0033】
図5は、海上の漁船Bにおいて漁師Pが釣り糸の先を注視している状況で、漁師Pの横からカメラマンHがカメラ用ブームを用いてカメラCによって漁師Pの正面の表情を撮影している様子を模式的に示す図である。
図5に示すように、カメラマンHが左手Lで把持部12を把持し、右手Rでハンドル31を回すと、撮影画像の水平を変えることができる。
【0034】
カメラマンHの腕が傾いたり、漁船Bが揺れたりして、カメラがロール軸の周りに回転したとしても、上記のようにハンドル31を操作することで、撮影画像における漁師の頭の向きを、撮影画像における上向きに一致させることができる。これによって、ロール機構が付いていない従来のカメラ用ブームを使う場合に比べて、撮影後の編集作業や、リアルタイムの放送において、傾いていない決定的瞬間の画像を取得し易くなる。
【0035】
カメラCの画角の調整には、ヘッドマウントディスプレイを用いることができる。
図6は、ヘッドマウントディスプレイ60を装着したカメラマンHを模式的に示す図である。ヘッドマウントディスプレイ60は、従来公知であり、市販されているものを利用することができる。
【0036】
ヘッドマウントディスプレイ60は、例えば、ゴーグルと、ゴーグルに設けた小さな表示部と、コントロール部とを備えている。このコントロール部を、スマートフォン等の携帯型の小型のパーソナルコンピュータ(PC)に接続し、その小型PCをカメラCに接続することで、カメラCの撮影画像を、ヘッドマウントディスプレイ60の表示部にリアルタイムに表示することができる。
【0037】
[カメラ取り付け例]
カメラ用ブーム1において、カメラCはカメラ取り付け部20に取り付けられる。その取り付け方法の一例について、
図7(a)及び
図7(b)を参照して説明する。ここでは、カメラをスタンド等に固定するための一般的な固定具と同様な構造のカメラ止め座70を使用することとした。
図7(a)はカメラ止め座70をカメラ取り付け部20に取り付けた状態を示し、
図7(b)は取り外した状態を示す模式図である。
【0038】
図7(b)に示すように、カメラ取り付け部20の内側の円筒形のケースであるカメラケース21には、貫通したネジ穴25,26が設けられている。
カメラ止め座70は、固定されたカメラCと共にカメラケース21の中に収納されるものである。カメラ止め座70は、全体に板状の部材であり、一方の板面(
図7において矢印で示す右の面)はカメラケース21の円筒の内側に嵌合するように、面取りされた曲面を有している。また、カメラ止め座70は、
図7において矢印で示す前後方向の一端(後ろ側)が薄く形成されて、貫通孔であるカメラ固定ネジ穴74が設けられている。このカメラ固定ネジ穴74は、カメラ止め座70を、
図7において矢印で示す前後方向の他端側(前側)からカメラケース21の中に入れたときに、カメラケース21の外に配置されるような位置に設けられている。
【0039】
カメラ止め座70は、一方の板面側(
図7において矢印で示す右の面)に非貫通の止め座固定ネジ穴71,72を備えている。これら止め座固定ネジ穴71,72は、カメラケース21のネジ穴25,26に対応している。止め座固定ネジ穴71とカメラ固定ネジ穴74との間の所定位置には、貫通孔である回転防止用穴73が穿設されている。
【0040】
このカメラ止め座70を用いたときのカメラCの取り付け手順の一例について概略を説明する。
まず、カメラ止め座70の回転防止用穴73と、カメラC側の同じ穴径の図示しない回転防止用穴とを位置合わせして、各穴に嵌合する直径を有した図示しないピンを差し込んだ上で、カメラ固定ネジ穴74とカメラC側の同じ穴径の図示しないネジ穴とを位置合わせして、カメラ固定ネジ穴74から図示しない固定ネジを螺合することで、カメラCをカメラ止め座70に固定する。
次に、ワイヤを接続したカメラケース21の中にカメラ止め座70を入れて、止め座固定ネジ穴71,72に位置合わせしたネジ穴25,26に、図示しない固定ネジを螺合することで、カメラ止め座70をカメラケース21に固定する。
【0041】
次に、カメラケース21を外側ケース22に入れて、ワイヤを外側ケース22の貫通孔23,24(
図1参照)から引き出しておき、カメラケース21と外側ケース22との間に図示しないベアリングを入れて、外側ケース22の
図7において矢印で示す前後方向の両端を、例えば
図3(b)に示す2つの蓋体28,29でそれぞれ閉じる。これで、外側ケース22をカメラケース支持ステー40に装着することができる。なお、少なくともカメラCのレンズ側の蓋体には中央に開口を有しているものを使用する。上記手順は一例であて、カメラCの取り付け手順はこれに限定されるものではない。
【0042】
本実施形態に係るカメラ用ブーム1は、カメラ取り付け部20が二重構造になっており、外側ケース22に対してカメラケース21が所定角度に回転するように支持されて構成され、開口の向きをカメラCの光軸の向きとしてカメラCを支持した状態で収納するので、カメラCは、操作部30の動きに応じてロール軸の周りに回転することができる。したがって、操作者は、カメラCで取得する映像の上下の向きを変更する操作を手元で行うことができる。
【0043】
そのため、撮影ポジションの自由度を上げることができ、従来よりも幅広いカメラワークが可能となる。例えば、漁船に乗ったときに釣り人の顔を正面から狙うことができたり、猫などの小動物を小動物の目線でフォローして撮影することができたりするので、視聴者の印象に残る優れた映像を提供する放送番組を制作することができる。
【0044】
以上、実施形態に基づいて本発明に係るカメラ用ブームについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。以下、変形例について説明する。
【0045】
[変形例1]
上記説明では、カメラ用ブーム1の操作部30の動きをカメラケース21に伝達する伝達機構をワイヤで構成したが、例えばタイミングベルトを併用してもよい。以下では、
図8(a)及び
図8(b)を参照して説明する。なお、
図1に示す構成と同じ構成には同じ符号を付して説明を適宜省略する。
図8(a)及び
図8(b)に示すように、カメラ用ブーム1Bは、パイプ10と、カメラ取り付け部20と、操作部30Bと、カメラケース支持ステー40Bと、伝達機構80とを備えている。
【0046】
カメラケース支持ステー40Bは、
図8(b)に示すように、キャップ41と、ケース支持部45,46とを備えている。ケース支持部45,46は、屈曲部の周辺に補強用の板部材を備える点がケース支持部42,43とは異なる。ケース支持部45,46の補強用の板部材は、
図2(b)に示す補強部44の機能を兼ねている。
【0047】
操作部30Bは、ロールグリップ(ハンドル)33と、グリップ保持具34とを備えている。ロールグリップ33は、グリップ保持具34に対して、パイプ10の軸周りに回転可能に構成されている。ロールグリップ33の先端は、径が細くネジが形成されており、かさ歯車(ベベルギア)82のネジ穴に螺合されている。
グリップ保持具34は、ジョイントバー95によって、タイミングプーリ支持具81に固定され、タイミングプーリ支持具81を介在させてパイプ10に固定されている。
【0048】
伝達機構80は、パイプ10の外周面に嵌合してパイプ10の基端を支持するタイミングプーリ支持具81と、ロールグリップ33の先端に接続されると共にロールグリップ33の回転の向きを変換する機構であってタイミングプーリ86等を含む歯車機構と、タイミングベルト90とを備えている。
タイミングベルト90は、タイミングプーリ86(以下、操作側プーリ86という)とタイミングプーリ89(以下、従動側プーリ89という)との間に設けられている。
操作側プーリ86は、かさ歯車83と同じ回転軸84に接続されており、タイミングプーリ支持具81を介してかさ歯車83と対向するように配置されている。
【0049】
上記歯車機構の一部として、例えば、かさ歯車83がベベルギヤステー85に支持されている。なお、
図8(a)、
図9(a)、
図10(a)において回転軸84が見えるようにするために、ベベルギヤステー85の底板面(かさ歯車83から最も離れた底面)の断面だけを図示した。ベベルギヤステー85は、
図8(b)、
図9(b)、
図10(b)に示すように、底板面の上の端部及び下の端部から前方向にそれぞれ屈曲して回転軸84に平行な方向に延在した側面板を有している。
【0050】
かさ歯車83は、ベベルギヤステー85に支持されて、回転軸84周りに回転し、かさ歯車82の回転の向きを90度変換する。回転軸84には、操作側プーリ86が連結されており、操作側プーリ86の回転は、タイミングベルト90によって、従動側プーリ89に伝達される。テンションプーリ92は、回転軸94周りに回転してタイミングベルト90に所定のテンションを付与する。タイミングプーリ支持具81から所定距離離間したタイミングプーリ支持具87は、パイプ10の外周面に嵌合しており、従動側プーリ89を回転させる回転軸88を支持している。回転軸88は、従動側プーリ89に連結された円板状の回転体を回転させる。
【0051】
回転体91の周縁には、ワイヤ取付部91a,91bが形成されており、ワイヤ取付部91a,91bに固定されたワイヤ93は、カメラケース21に接続されている。
ジョイントバー95は、タイミングプーリ支持具81とグリップ保持具34とを連結するものである。よって、ロールグリップ33は、ジョイントバー95に対して回転する。
図8(b)では、パイプ10の周りに180度の間隔で2個のジョイントバー95を図示したが、これに限らず、パイプ10の周りに120度の間隔で3個のジョイントバー95を設けてもよい。
【0052】
ロールグリップ33の回転は、上記歯車機構とタイミングベルト90と、ワイヤ93を介してカメラケース21に伝達される。回転体91の半径は、従動側プーリ89の半径よりも大きく、ロールグリップ33の回転を、カメラケース21の微小回転として伝達させることができる。変形例1によれば、例えば操作側のタイミングプーリの直径や回転体91の直径を調整すれば、ギア比を変えられ、変速することができる。
【0053】
[変形例2]
カメラ用ブーム1の操作部30の動きをカメラケース21に伝達する伝達機構には、ワイヤを設けることなく、代わりに例えばタイミングベルトを用いることとしてもよい。以下では、
図9(a)及び
図9(b)を参照して説明する。なお、
図8(a)及び
図8(b)に示す構成と同じ構成には同じ符号を付して説明を適宜省略する。
図9(a)及び
図9(b)に示すように、カメラ用ブーム1Cは、パイプ10と、カメラ取り付け部20と、操作部30Bと、カメラケース支持ステー40Bと、伝達機構80Cとを備えている。
【0054】
伝達機構80Cは、パイプ10の外周面に嵌合してパイプ10の基端を支持するタイミングプーリ支持具81と、ロールグリップ33の先端に接続されると共にロールグリップ33の回転の向きを変換する歯車機構と、タイミングベルト90Cとを備えている。
タイミングベルト90Cは、操作側プーリ86Cとカメラケース21との間に設けられている。タイミングベルト90Cは、パイプ10の中を通っている。
操作側プーリ86Cは、かさ歯車83と同じ回転軸84に接続されており、パイプ10の軸線上において、タイミングプーリ支持具81の間隙に配置されている。
【0055】
上記歯車機構として、かさ歯車83は、ベベルギヤステー85に支持されて、回転軸84周りに回転し、かさ歯車82の回転の向きを90度変換する。回転軸84には操作側プーリ86Cが連結されており、操作側プーリ86Cの回転は、タイミングベルト90Cによって、カメラケース21に伝達される。テンションプーリ92C,92Dは、タイミングベルト90Cの上下から所定のテンションを付与する。
【0056】
変形例2によれば、ロールグリップ33の回転を、上記歯車機構とタイミングベルト90Cとを介してカメラケース21に伝達することができるので、ワイヤを省略することができる。
【0057】
[変形例3]
上記説明では、カメラCのロール軸の周りの回転について説明したが、
図5のように被写体を横から撮影するようにカメラ用ブーム1を把持したときに、さらに、カメラCを横方向(水平方向)に動かすパンができるように構成してもよい。以下では、
図10(a)及び
図10(b)を参照して説明する。カメラ用ブーム1Dは、ハンドル101と、ハンドル支持具102と、ワイヤ103とを備える点が、カメラ用ブーム1Cと異なる。
【0058】
また、
図1〜
図9を参照して説明したカメラ用ブーム1,1B,1Cの説明において、外側ケース22がカメラケース支持ステー40に対して動かないように固定されていることとしたが、変形例3では回転できるように固定されている点が異なっている。すなわち、
図10(b)のカメラ取り付け部20とケース支持部45,46との接続部をローラーで軸支して、カメラ取り付け部20が
図10(b)において左右方向及び前後方向で規定される水平面内で回転できるようにした。
【0059】
ハンドル支持具102は、パイプ10の外周面に嵌合するように設けられ、パイプ10の軸方向の中央部に固定されている。
ハンドル101は、板状部材であって平面形状はT字形状となっている。ハンドル101は、ハンドル支持具102に取り付けられており、ハンドル支持具102から上に突設された回転軸の周りに所定角度の範囲(例えば60度)で回転可能に軸支されている。ハンドル101の長手方向の一端には、ワイヤ103の一端が接続されており、ハンドル101の長手方向の他端には、ワイヤ103の他端が接続されている。
【0060】
ワイヤ103は、ハンドル101の長手方向の一端からカメラ取り付け部20の外側ケース22の上面の後端部に形成されたワイヤ取付穴を通り、このワイヤ取付穴から上面の前端部に形成されたワイヤ取付穴を通り、パイプ10の外側を通って、ハンドル101の長手方向の他端に接続されている。
【0061】
ハンドル101を手動操作すると、ハンドル101に接続されたワイヤ103によって、カメラ取り付け部20は左右に振れる。つまり、カメラCを横方向(水平方向)に動かすパンが可能となる。
【0062】
[その他の変形例]
図7においてカメラCの右側をカメラ止め座70に固定したが、これに限らず、カメラCの下側をカメラ止め座70に固定してもよい。この場合、カメラ用ブームを被写体の上や下から、被写体の前に出して、被写体を正面から撮影する向きで使用することとなる。そして、このように使用する場合、
図10(a)及び
図10(b)に示す変形例3の構成において、左右方向及び前後方向で規定される面は鉛直面となるので、この鉛直面内で回転することができる。つまり、カメラCを上下方向(鉛直方向)に動かすチルトが可能となる。
【0063】
また、
図5に示すように、初期状態からハンドル31を例えば時計回りに回転させても反時計回りに回転させても、ワイヤの動きは同様なので、初期状態では、カメラの上下方向を12時の方向から敢えてずらしておくことで、取得画像の回転の向きを、時計回りでも反時計回りでも調整できるようにしてもよい。
【0064】
ワイヤを用いる実施形態において、例えば
図3(a)において、ワイヤが矢印27の先端の側まで回り込んでカメラケース21の外周に巻かれることとしたが、貫通孔23を通るワイヤ(符号W1)がカメラケース21を巻かずに貫通孔24を通って引き出されるようにしてもよい。この場合でもワイヤが引っ張られることでワイヤがカメラケース21の外周面に接触して摩擦力によりカメラケース21を動かすことが可能である。
また、ワイヤを用いる場合、1本に限らず2本のワイヤを用いてもよい。