(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6223208
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】容器詰め胡麻含有分離型調味料の製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 27/60 20160101AFI20171023BHJP
【FI】
A23L27/60 A
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-14239(P2014-14239)
(22)【出願日】2014年1月29日
(65)【公開番号】特開2015-139408(P2015-139408A)
(43)【公開日】2015年8月3日
【審査請求日】2016年10月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004477
【氏名又は名称】キッコーマン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125542
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 英之
(72)【発明者】
【氏名】大川 文香
(72)【発明者】
【氏名】小塚 和子
【審査官】
飯室 里美
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−250484(JP,A)
【文献】
特開2007−159571(JP,A)
【文献】
特開2010−158208(JP,A)
【文献】
特開2011−239725(JP,A)
【文献】
特開2012−147747(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 27/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調味料全体に対して、ねり胡麻を10〜20%(w/w)、加工澱粉を1.5〜3.0%(w/w)、植物油脂を10〜50%(w/w)含有する混合物を75℃未満で調合し、該混合物を一液で容器に充填し密封した後、該容器を75〜90℃で加熱することを特徴とする容器詰め胡麻含有分離型調味料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油層部と水層部とからなる容器詰め胡麻含有分離型調味料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
分離型調味料は、油層部である植物油脂と醤油や味噌等の各種調味料を含有する水層部とが分離している調味料であり、胡麻油やサラダ油等の植物油を含有する分離型のドレッシングや各種調味料が開発されている。例えば、具材及び調味素材を水、醸造酢等と攪拌混合した水層部とサラダ油からなる液体調味料(例えば、特許文献1参照)等が知られている。このような分離型調味料の製造の際には、油層部と水層部とからなる混合物を均一に容器に充填する必要があるが、油層部と水層部が分離し易いことから、通常は、まず容器に水層部を充填した後、次いで、油層部を別充填して製造することが一般的である。しかし、水層部と油層部の充填前の待ちタンクや充填ノズル等の充填設備を別々に準備する必要がある等、操作が煩雑になり利便性に欠けるという問題があった。
【0003】
一方、水層部と油層部との混合物を分離しないように攪拌しながら、一度に容器に充填して製造した包装容器入り分離型調味料が知られている。例えば、キサンタンガム等の分散剤を含有する調味液体に、胡麻粒子を加えて攪拌混合した後、次に、食用油脂類を加えて攪拌することで調味液体全体に均一に分散させ、攪拌を継続させながら包装容器に充填することを特徴とする胡麻粒子含有分離型調味料の製造方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、水層部と油層部との混合物を分離しないように攪拌しながら、一度に容器に充填して製造する場合、長時間の激しい攪拌が継続するため、食用油脂やねり胡麻等の配合原料の風味が劣化するという欠点を有する。特に、風味が豊かな胡麻油やねり胡麻等を用いた場合は、長時間に亘る激しい攪拌により、胡麻の風味や香りが著しく損なわれ、品質が劣化するという問題があった。
【0004】
以上のことから、胡麻油やサラダ油のような植物油脂からなる油層部、醤油、味噌等の調味料を含有する水層部及び具材としてねり胡麻を含有する容器詰め胡麻含有分離型調味料の製造において、より利便性が高く生産効率の向上を図ることができると共に、豊かな胡麻風味を保持できる、容器詰め胡麻含有分離型調味液の製造方法の開発が求められている。
【0005】
【特許文献1】特開2009−189324号公報
【特許文献2】特開2002−369665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、胡麻油やサラダ油のような植物油脂からなる油層部、醤油、味噌等の調味料を含有する水層部及び具材としてねり胡麻を含有する容器詰め胡麻含有分離型調味料を製造する際に、より利便性を高くすることで生産効率を向上させることができ、また、豊かな胡麻風味を保持させることができる、容器詰め胡麻含有分離型調味料の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、容器詰め胡麻含有分離型調味料の製造工程において、胡麻油やサラダ油のような植物油脂からなる油層部、醤油、味噌、食塩等の調味料からなる水層部、ねり胡麻及び加工澱粉の配合量を調整することで、胡麻風味を豊かに保持したまま容器詰め胡麻含有分離型調味料の製造における利便性が格段に向上することを見出し、これらの知見に基づいて本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、
(1)調味料全体に対して、ねり胡麻を10〜20%(w/w)、加工澱粉を1.5〜3.0%(w/w)、植物油脂を10〜50%(w/w)含有する混合物を75℃未満で調合し、該混合物を一液で容器に充填し密封した後、該容器を75〜90℃で加熱することを特徴とする容器詰め胡麻含有分離型調味料の製造方法、
に関する。
【0009】
以下、本発明の容器詰め胡麻含有分離型調味料の製造方法について詳述する。
【0010】
本発明は、ねり胡麻と植物油脂とを含有する容器詰め胡麻含有分離型調味料の製造において、製造時の利便性を著しく向上させ、胡麻の風味を豊かに保持できる製造方法に関する。すなわち、本発明の容器詰め胡麻含有分離型調味料は、植物油脂からなる油層部、醤油等の調味料からなる水層部、ねり胡麻及び加工澱粉を含有する混合物(以下、加熱前混合物という)を75℃未満で調合し、該混合物を一液で容器に充填し密封後、75〜90℃で加熱することで製造される。
【0011】
ここで、調味料を製造する際の調合温度は、60〜90℃で混合攪拌することが一般的であるが、本発明の加熱前混合物を製造するために原料を調合し、混合する温度は、75℃未満であることが必要である。75℃以上で調合した場合、加熱前混合物から容器に充填する前あるいは充填中に油層部が分離してくるため、加熱前混合物を均一に容器に充填する際の問題となる。
【0012】
本発明の容器詰め胡麻含有分離型調味料の油層部に使用される植物油脂は、例えば、ナタネ油、コーン油、サフラワー油、胡麻油、サラダ油等が挙げられるが、胡麻含有分離型調味料の風味を最大限に生かす観点から、胡麻油を用いることが好ましい。また、調味料の食味や風味の幅を広げるために、必要に応じて、胡麻油やサラダ油をトウガラシ等で赤色に着色した植物油脂を使用することができ、例えば、ラー油等を使用することができる。そして、容器詰め胡麻含有分離型調味料に含まれる植物油脂の配合量は、調味料全体に対して10〜50%(w/w)であることが好ましく、20〜40%(w/w)であることがより好ましい。植物油脂をこの範囲に含有させることにより、加熱前混合物を容器に充填する際に、植物油脂と水層部が分離することなく一度に容器に充填することができ、また、容器を密封した後の75〜90℃の加熱によって、加熱前混合物から植物油脂を分離させることができる。植物油脂の配合量が10%(w/w)未満になると、容器詰め後加熱しても、加熱前混合物から植物油脂が十分に分離せず、また、50%(w/w)を超えると、75〜90℃に加熱する前に加熱前混合物から植物油脂の一部が分離してくるという問題がある。
【0013】
本発明の容器詰め胡麻含有分離型調味料に配合されるねり胡麻は、一般的な市販のねり胡麻あるいは胡麻ペーストを使用できるが、焙煎した白胡麻、黒胡麻あるいは金胡麻を、該調味料に配合する直前に、ミル等でペースト化して配合することで、胡麻の風味が一段と引き立つ容器詰め胡麻含有分離型調味料を製造できる。ねり胡麻の配合量は、分離型調味料に対して、10〜20%(w/w)配合することができ、15〜20%(w/w)配合することがより好ましい。ねり胡麻をこの範囲で配合することにより、加熱前混合物の組成を均質に長時間維持することができ、加熱前混合物を容器に一度に充填する工程の開始時間を適宜調整することができる。しかし、ねり胡麻の配合量が10%(w/w)未満あるいは20%(w/w)を超える場合は、加熱前混合物を容器に充填する前に植物油脂が分離してくる等の問題がある。
【0014】
本発明の容器詰め胡麻含有分離型調味料に配合される加工澱粉としては、澱粉を次亜塩素酸ナトリウム等の酸化剤で酸化処理した酸化澱粉、例えば、ケミスター10T(グリコ栄養食品社製)等が好適に用いられる。酸化澱粉の配合量は、調味料に対して、1.5〜3%(w/w)配合することができ、2〜3%(w/w)配合することがより好ましい。調味料に酸化澱粉をこの範囲で配合することにより、加熱前混合物より植物油脂が分離してくることを防止することができ、加熱前混合物の調合から容器に充填するまでの時間を製造スケジュールに応じて適宜調整することができる。しかし、酸化澱粉の配合量が1.5%(w/w)未満あるいは3%(w/w)を超える場合は、加熱前混合物からの植物油脂の分離が早期に観察される、あるいは、加熱前混合物を容器に充填し密封後に75〜90℃で加熱しても、植物油脂が分離されにくいという問題がある。
【0015】
本発明の容器詰め胡麻含有分離型調味料を構成する、醤油等の調味料を含む水層部は、水が主成分であり、さらに、醤油や味噌等を配合することができ、例えば、醤油としては、通常の濃口醤油、淡口醤油、溜醤油、再仕込醤油、または白醤油等、あるいは、生揚げ醤油や生揚げ醤油をマイクロフィルター、精密濾過膜等を使用して微生物を取り除いた醤油等の生醤油を使用することができる。味噌類としては、赤味噌、白味噌、合わせ味噌等、調味液の風味に合わせて、これらを、適宜選択して用いることができる。さらに、その他の調味料原料として、食酢、塩、香辛料、糖類、蛋白質素材、有機酸、アミノ酸系調味料、核酸系調味料、動植物エキス、発酵調味料、酒類、安定剤、乳化剤料等の各種添加剤等を適宜含有させることができる。
【0016】
本発明の容器詰め胡麻含有分離型調味料に使用される容器としては、75〜90℃の加熱温度に耐性がある容器であれば、どのような材質あるいは形状の容器でも使用できる。例えば、一般の液体調味料と同様に、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、紙容器、合成樹脂製の容器、ガラス瓶などの通常の形態が挙げられる。合成樹脂製の容器としては、ナイロン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリスチレンやこれらの樹脂にアルミニウム蒸着したアルミニウム蒸着フィルム、さらにこれらの樹脂フィルムとアルミニウム蒸着フィルムからなる積層フィルム等の一種または二種以上を素材とした包装材が使用可能であり、容器の形状としてはフィルム状袋容器、ペットボトル、スタンディングパウチ等を使用することができる。紙容器としては、紙基材とバリア性層(アルミニウム等の金属箔、エチレン−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニリデン系重合体等)等からなる積層材を製函したもの等が使用できる。なお、本発明に使用される容器の容量は、家庭用や業務用等の使用目的に応じて、適宜調整すればよく、使い勝手の点から、5mL〜20Lであるのが好ましい。
【0017】
なお、75〜90℃で容器詰めした調味料を加熱することは、一般的に調味料の殺菌処理のために用いられている温度であることから、本発明の加熱前混合物を容器詰めし密封後、油層部を分離するための加熱処理を、殺菌処理として行うことができる。この場合、本発明の調味料の殺菌温度としては75〜90℃であることが好ましく、80〜90℃であることがより好ましい。なお、75℃未満の温度では、殺菌処理が不十分になり、90℃を超える温度では、胡麻の風味が劣化する等の問題がある。一方、殺菌処理の時間に関しては、殺菌温度、調味料の水分活性、pHまたは食塩濃度等により、適宜調整することができるが、本発明の調味料においては、ねり胡麻の風味の劣化を防止するために、5〜20分間の範囲であることが好ましい。例えば、75℃で殺菌を行う場合は、20分間以下であることが好ましく、15〜20分間であることがより好ましい。また、90℃で殺菌を行う場合は、5〜15分間の範囲であることが好ましく、5〜10分間であることがより好ましい。しかしながら、殺菌時間が5分未満の場合は、十分な殺菌処理をするために、90℃を超える殺菌温度とすることが必要となり、胡麻風味の劣化等が生じるため好ましくない。
【0018】
以下に本発明を実施例及び比較例を挙げて説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【実施例1】
【0019】
(胡麻含有分離型調味料を構成する油層部、水層部、ねり胡麻及び加工澱粉とからなる加熱前混合物から植物油脂が分離してくる温度への植物油脂、ねり胡麻及び加工澱粉の配合量の影響)
(加工澱粉の配合量が異なる胡麻含有分離型調味料の製造)
表1に示す配合で、加工澱粉の配合量が異なる植物油脂、水層部及びねり胡麻等を配合した加熱前混合物を製造し、植物油脂が分離する温度を測定した。加工澱粉の配合量が異なる加熱前混合物の製造は、1Lのステンレス製のビーカーを用いて、市販のサラダ油をトウガラシで着色したサラダ油(以下、赤色サラダ油という)、ねり胡麻(練胡麻白:マコト社製)、液糖(果糖ぶどう糖液糖:昭和産業社製)、市販の食塩及び表1に示す配合割合で酸化澱粉である加工澱粉(Cスターテックス06205:カーギルジャパン社製)を添加してから、65℃の調製水を加えた後、攪拌機を用いて、65℃で10分間攪拌し、試験例1〜3の加熱前混合物を製造した。一方、加工澱粉を0%(w/w)または3.6%(w/w)配合した加熱前混合物を比較例1または2とした。
【0020】
なお、上記の赤色サラダ油は、加熱前混合物を容器に充填し、密封して加熱した際、植物油脂の分離が明確に水層部と区別できるように、トウガラシで赤色に着色した。赤色に着色したサラダ油の製造は、ステンレス製のビーカーを用いて、市販のサラダ油100mLを90℃に加熱してから、このサラダ油に市販のトウガラシ粉末(K唐辛子YG−40:甘利香辛食品社製)を加えて、90℃で5分間、加熱攪拌してから、ろ紙を用いてトウガラシ粉末を除去することで製造した。
【0021】
(加工澱粉の配合量が異なる加熱前混合物を室温放置後の赤色サラダ油の分離の有無と加熱による赤色サラダ油の分離温度の測定)
初めに、上記で製造した加熱前混合物の安定性を検討するために、該加熱前混合物を室温で放置した後、加熱前混合物表面に浮かぶ赤色サラダ油の分離の有無を調べた。具体的には、加熱前混合物を60分間室温で放置後、直径1cm以上の赤色サラダ油の油滴が、加熱前混合物の表面に観察された場合を「有」、観察されなかった場合を「無」として評価した。
【0022】
次いで、加熱前混合物から、加熱により赤色サラダ油が分離してくる温度を測定した。ビーカーに採取した試験例及び比較例の加熱前混合物を室温で60分間放置後、100mLのビーカーに50mL採取し、90℃に設定した恒温槽(ユニット恒温槽:タイテック社製)を用いて20分間加熱し、ビーカー内の調味料の温度を、随時攪拌しながら温度計を用いて測定し、水層部の表面に浮かぶ赤色サラダ油の厚さが、2mm以上となったときの温度を分離温度とした。また、赤色サラダ油の分離の程度は、加熱時間を20分間と設定し、ビーカーの水層部の表面に浮かぶ赤色サラダ油の厚さが20分以内に2mm以上となるときを○、赤色サラダ油の厚さが20分間経過しても2mm未満の場合は、赤色サラダ油の分離が不十分として、×と判定した。結果を表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
表1に示すように、加熱前混合物は室温で放置しても混合物からの赤色サラダ油の分離は観察されなかった。さらに、1.5〜3.0%(w/w)の加工澱粉を配合した加熱前混合物の場合、調味料の製造における殺菌温度として、一般的に使用される温度である75〜90℃の温度で、加熱前混合物を加熱することで、20分間以内に、赤色サラダ油が分離することがわかった。一方、加工澱粉を配合しない場合、75〜90℃の温度では赤色サラダ油が分離しなかった。また、加工澱粉を、3.0%(w/w)を超えて配合した場合、75℃に到達する前に赤色サラダ油が分離してしまうことが判明した。一般的に容器に充填する際には、75℃未満の温度に加熱して充填されるが、加工澱粉を、3.0%(w/w)を超えて配合した加熱前混合物の場合、容器に充填する前あるいは容器に充填中に植物油脂が分離してしまい、実製造において支障が出ることがわかった。
【0025】
(赤色サラダ油の配合量が異なる加熱前混合物を室温放置した後の赤色サラダ油の分離の有無と加熱による赤色サラダ油の分離温度の測定)
表2に示す配合で、赤色サラダ油の配合量が異なる加熱前混合物を製造し、室温保存時の安定性と加熱時の赤色サラダ油が分離する温度を測定した。赤色サラダ油の配合量が異なる加熱前混合物の製造は、赤色サラダ油の配合量を表2のように変えて、上記の加工澱粉の配合量が異なる加熱前混合物の製造と同様に行い、試験例4〜8の加熱前混合物を製造した。一方、赤色サラダ油を5%(w/w)または55%(w/w)配合した加熱前混合物を比較例3または4とした。
【0026】
上記で製造した赤色サラダ油の配合が異なる加熱前混合物を室温で60分間放置した後、赤色サラダ油の分離の有無の判定と混合物からの赤色サラダ油の分離温度の測定は、上記と同様にして実施した。なお、加熱前混合物からの赤色サラダ油の分離に関しては、ビーカーの水層部の表面に浮かぶ赤色サラダ油の厚さが、加熱時間20分以内に2mm以上の場合、赤色サラダ油の分離が十分であるとして○、20分経過して2mm未満の場合、赤色サラダ油の分離が不十分であるとして×と判定した。結果を表2に示す。
【0027】
【表2】
【0028】
表2に示すように、加熱前混合物に10〜50%(w/w)の赤色サラダ油を配合した場合、加熱前混合物を室温で放置しても、赤色サラダ油の分離は観察されなかった。さらに、調味料の殺菌に使用される温度帯である75〜90℃の温度で加熱することで、20分間以内に、赤色サラダ油が分離されることがわかった。一方、赤色サラダ油の配合量が10%(w/w)未満の場合、75〜90℃に加熱しても赤色サラダ油の分離が見られなかった。また、赤色サラダ油の配合量が50%(w/w)を超える場合は、加熱前に赤色サラダ油の分離が観察され、充填前の待ち時間等を必要とする実製造において、支障が出ることがわかった。
【0029】
(ねり胡麻の配合量が異なる加熱前混合物における室温放置した後の赤色サラダ油の分離の有無と加熱による赤色サラダ油の分離温度の測定)
ねり胡麻の配合量が異なる加熱前混合物の製造は、ねり胡麻の配合量を表3のように変えて、上記の加工澱粉の配合量が異なる加熱前混合物の製造と同様に行い、試験例9〜11の加熱前混合物を製造し、赤色サラダ油が分離する温度を測定した。一方、ねり胡麻油を5%(w/w)または25%(w/w)配合した加熱前混合物を比較例5または6とした。
【0030】
上記で製造したねり胡麻の配合量が異なる加熱前混合物を室温で60分間放置し、赤色サラダ油の分離の有無を観察した。また、加熱前混合物からの赤色サラダ油の加熱による分離温度を測定した。結果を表3に示す。
【0031】
【表3】
【0032】
表3に示すように、加熱前混合物に10〜20%(w/w)のねり胡麻を配合した場合、混合物を室温で放置しても、赤色サラダ油の分離は観察されなかった。さらに、調味料に一般的に使用される殺菌温度帯である75〜90℃の温度で加熱することで、20分間以内に、赤色サラダ油が分離してくることがわかった。一方、ねり胡麻の配合量が10%(w/w)未満の場合、加熱前に赤色サラダ油の分離が見られた。また、ねり胡麻の配合量が20%(w/w)を超える場合は、加熱しても、赤色サラダ油の分離が見られなかった。
【0033】
(容器詰め胡麻含有分離型調味料の製造)
表4に示す配合割合で、加熱前混合物を製造し、容器に詰めて密封した後、加熱してから、容器を開封して容器内の赤色サラダ油の分離の程度を観察した。具体的には、2Lのステンレス製ビーカーを用いて、65℃に加熱しながら、ねり胡麻、酸化澱粉、赤色サラダ油、液糖及び醤油を配合して水で1Lとした後、攪拌機(POLYTRON PT3100:セントラル科学貿易社製)で10分間攪拌(3,000rpm)した加熱前混合物を、60分間室温で放置した後、アルミニウム蒸着フィルム製の袋(AL−10:生産日本社製)に、50g充填し、密封した。次いで、混合物を充填した袋を、90℃5分間の加熱処理を行い、試験例12の容器詰め胡麻含有分離型調味料を製造した。この調味料を室温で24時間放置後、容器を開封して、分離した赤色サラダ油の量を測定した。また、加熱前混合物を容器に充填する前に60分間室温で放置して、赤色サラダ油の分離の有無を観察した。さらに、上記で製造した調味料の胡麻の風味を、調味料の開発に携わる研究員5名が、試験例12と同様の方法で直前に製造し10分間放置した加熱前混合物の胡麻の風味と比較した。胡麻の風味の評価は、同等の胡麻の風味を有する場合を○、劣る場合を×とし、全員が○のときに○、一人でも×のときに×として評価した。結果を表4に示す。
【0034】
【表4】
【0035】
表4に示すように、ねり胡麻、加工澱粉、赤色サラダ油、液糖及び醤油を混合し、水で1Lとした後、攪拌機で10分間攪拌した加熱前混合物を、60分間室温で放置しても、水層部表面に赤色サラダ油の分離は、見られなかった。また、該混合物を容器に充填した後、90℃で容器を加熱することで、配合した赤色サラダ油全量に対して約80%(w/w)の赤色サラダ油が分離していることが判明し、赤色サラダ油と水層部が分離している容器詰め胡麻含有分離型調味料を簡便に製造できることが確認できた。さらに、90℃5分間の加熱処理により製造した胡麻含有容器詰め分離型調味料における胡麻の風味は、別途製造した加熱前混合物の製造直後の胡麻の風味と同等であり、本発明の利便性の高い一液充填による製造方法とした場合でも、胡麻風味が劣化することがないことが確認できた。