特許第6223367号(P6223367)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアの特許一覧

特許6223367中性環境において良好な抵抗性を有する医薬保護コーティングの製造
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6223367
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】中性環境において良好な抵抗性を有する医薬保護コーティングの製造
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/32 20060101AFI20171023BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20171023BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
   A61K9/32
   A61K47/12
   A61K47/32
【請求項の数】15
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2014-560368(P2014-560368)
(86)(22)【出願日】2013年3月7日
(65)【公表番号】特表2015-509521(P2015-509521A)
(43)【公表日】2015年3月30日
(86)【国際出願番号】EP2013054549
(87)【国際公開番号】WO2013131986
(87)【国際公開日】20130912
【審査請求日】2016年3月1日
(31)【優先権主張番号】12158728.1
(32)【優先日】2012年3月9日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100118773
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 節
(74)【代理人】
【識別番号】100122389
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 栄一
(74)【代理人】
【識別番号】100111741
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 夏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100169971
【弁理士】
【氏名又は名称】菊田 尚子
(72)【発明者】
【氏名】コルター,カール
(72)【発明者】
【氏名】ゲベルト,ジルケ
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー,ミヒャエル,クレーメンス
(72)【発明者】
【氏名】アンゲル,マクシミリアン
【審査官】 石井 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−535261(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/012161(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0059054(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00− 9/72
A61K 47/00−47/69
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノマーの重量比が35:65〜55:45のN,N-ジエチルアミノエチルメタクリレートとメチルメタクリレートのコポリマーに基づいた皮膜形成コーティング組成物から得られ、コポリマーが、C3〜C10-ジカルボン酸により2〜15mol%まで部分的に中和されて存在し、ジカルボン酸が、フマル酸、或いはマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸又はセバシン酸、リンゴ酸(2-ヒドロキシコハク酸)及び酒石酸(2,3-ジヒドロキシコハク酸)からなる群から選択されるジカルボン酸である、医薬コーティング。
【請求項2】
コーティング組成物が、1〜20mg/cm2の適用量で適用され、4mg/cm2の適用量によるコーティングが、pH6.8の水性環境において30分後に少なくとも80%の活性成分の放出に対して抵抗性を有する、請求項1に記載のコーティング。
【請求項3】
コーティング組成物の適用量が2〜15mg/cm2である、請求項1又は2に記載のコーティング。
【請求項4】
4〜12mg/cm2のコーティング組成物の適用量を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のコーティング。
【請求項5】
コポリマーが、4〜10mol%まで部分的に中和されて存在する、請求項1から4のいずれか一項に記載のコーティング。
【請求項6】
2を超える第一pKa値及び4を超える第二pKa値を有するジカルボン酸を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のコーティング。
【請求項7】
ジカルボン酸としてアジピン酸を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のコーティング。
【請求項8】
少なくとも一つの医薬活性成分を含み、活性成分の早期放出に抵抗性を有する剤形のコーティングのためのコーティング組成物を製造する方法であって、コーティング組成物が、モノマーの重量比が35:65〜55:45のN,N-ジエチルアミノエチルメタクリレートとメチルメタクリレートのコポリマーを、ポリマーとして含み、コーティング組成物中のコポリマーが、C3〜C10-ジカルボン酸により2〜15mol%まで部分的に中和されており、ジカルボン酸が、フマル酸、或いはマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸又はセバシン酸、リンゴ酸(2-ヒドロキシコハク酸)及び酒石酸(2,3-ジヒドロキシコハク酸)からなる群から選択されるジカルボン酸である、方法。
【請求項9】
皮膜形成ポリマーが、水性分散体中でジカルボン酸により部分的に中和されている、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
皮膜形成コポリマーが、粉末形態で部分的に中和されている、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
皮膜形成コポリマーが、4〜10mol%まで部分的に中和されて存在する、請求項8から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
使用されるジカルボン酸がアジピン酸である、請求項8から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
使用されるジカルボン酸がフマル酸である、請求項8から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
粉状コーティング組成物が、剤形への適用の前に、水に再分散される、請求項8から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
pH6.8の水性環境において活性成分の早期放出に対して活性成分含有医薬剤形を保護するための、モノマーの重量比が35:65〜55:45のN,N-ジエチルアミノエチルメタクリレートとメチルメタクリレートのコポリマーに基づき、且つコポリマーがC3〜C10-ジカルボン酸により2〜15mol%まで部分的に中和されて存在し、ジカルボン酸が、フマル酸、或いはマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸又はセバシン酸、リンゴ酸(2-ヒドロキシコハク酸)及び酒石酸(2,3-ジヒドロキシコハク酸)からなる群から選択されるジカルボン酸である医薬剤形への、請求項8から14のいずれか一項に記載のコーティング組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中性環境において良好な抵抗性を有する医薬保護コーティングに関し、臭気を遮断する又は水分に対して保護する目的のため、医薬剤形は、N,N-ジエチルアミノエチルメタクリレートを含むモノマー混合物のフリーラジカル乳化重合により得られる、部分的に中和された形態で存在するカチオン性コポリマーに基づいたフィルムコーティングを備える。本発明は、また、中性環境において良好な抵抗性を有する保護コーティングを製造するための、対応するコーティングの製造及び対応するコーティング組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
不快な味の活性成分の医薬剤形を製造する場合、一方では口腔の中性環境における良好な味覚遮蔽を可能にし、他方では過剰に大きな層厚を有さないコーティングを剤形に付与するという基本的な課題が存在する。この課題は、感湿活性成分を保護する目的で保護コーティングを備える被覆薬剤形態の製造においても生じる。
【0003】
過剰に厚いコーティングは、綺麗で平滑ではなく粗いので、審美的に不十分であるのみならず、大きな層厚を製造するためにより多くのコーティング組成物が必要となり、更に加工時間が長くなるので、経済的にも不満足なものである。このことに加え、過剰に厚いコーティングは、活性成分を可能な限り素早く放出するはずの胃の酸性環境において活性成分の望ましくない徐放を引き起こすという事実がある。したがって、コーティング組成物を開発するときの目的は、常に、可能な限り薄いフィルムコーティングを製造することであるが、これらは、今回のケースの味覚遮蔽のような機能的な要求を満たす必要がある。したがって、望ましい適用量は、通常、1〜20mg/cm2の範囲である。
【0004】
コーティングは、また、味覚遮蔽に関して適切な時間にわたって安定している必要がある。特に、味覚遮蔽コーティングを備える活性成分結晶又は活性成分マイクロペレットが、経口環境で素早く崩壊するマトリックスに埋め込まれている、口の中で素早く崩壊する剤形(いわゆる、「経口分散錠剤」)である場合、被覆された活性成分の結晶又はマイクロペレットが、しばらくの間、歯間隙に捕らわれることがよく起こる。コーティングが口腔の中性環境における崩壊に対して不十分な密度を有する場合、結果的に不快な味覚の感覚を生じうる。したがって、適切なコーティングに課される要件は、中性pH値における活性成分の放出に対する少なくとも1時間、好ましくは更には2時間の適切な抵抗性である。
【0005】
更なる要件は、使用されるコーティング組成物の基礎を形成する皮膜形成ポリマーの良好な水中再分散性である。味覚遮蔽に使用される皮膜形成ポリマーは、中性環境において水不溶性であるが、ほとんどの場合、活性成分の素早い放出を促進するため、胃の酸性環境において素早く溶解する、通常pH依存性の可溶性ポリマーである。
【0006】
低残留性モノマー含有量を有する薬剤コーティングのための結合剤の提供において、DE-B 2512238は、これらの薬剤形態用のコーティング溶液を製造するために、ポリマー分散体を噴霧乾燥して得られる粉末の使用を教示する。噴霧乾燥に使用される分散体として、DE 1090381、DE 1219175及びDE 2135073が参照される。
【0007】
DE 3049179A1は、DE 2512238に追加の出願であり、コーティングを熱ゲル化により製造するための、可塑剤を追加的に含む水性懸濁剤の形態を最後に挙げた文献の教示に従って噴霧乾燥して得られる粉末の使用に関する。
【0008】
WO 00/05307は、第三級アミノ基を持つモノマーラジカルを有する(メタ)アクリレートコポリマーを含む、薬剤形態用のコーティング及び結合剤の提供を扱い、その意図は、更なる簡単な乾燥又は水性加工が可能になることである。
【0009】
WO 02/067906は、WO 00/05307に記載されたものと比較して改善された透湿性を有するコーティング及び結合組成物に関する。ここでは、コーティング及び結合組成物は、(a)1〜40μmの平均粒径を有する粉末形態の、(メタ)アクリル酸のC1〜C4エステルと、官能性第三級アンモニウム基を持つ更なる(メタ)アクリレートモノマーとのコポリマー、(b)少なくとも14のHLB値の乳化剤及び(c)C12〜C18モノカルボン酸又はC12〜C18ヒドロキシル化合物を含む混合物を使用して製造される。
【0010】
WO 2004/019918は、その組成に関してWO 00/05307及びWO 02/067906に記載されたものに対応するコーティング及び結合組成物を記載する。
【0011】
EP88951 A2は、エマルションポリマーに基づいた水分散性コーティング組成物を使用して薬剤を被覆するプロセスを記載し、ここでコーティング組成物は、部分的に塩の形態で存在しうる。コーティング組成物は、再分散粉末から得ることもできる。
【0012】
WO 97/42255は、水性溶液に再分散されうる、遊離酸又は塩基担持コポリマーを噴霧乾燥により含むポリマーの噴霧乾燥を記載し、ここで、噴霧乾燥の前に分散体のpH値を緩衝剤系の使用により調整する必要がある。
【0013】
EP 262326 A2は、再分散性プラスチック粉末の製造プロセスを記載する。
【0014】
WO 2009/016258は、本発明により使用されるN,N-ジエチルアミノエチルメタクリレートに基づいたカチオン性ポリマーの水性ポリマー分散体の製造及び薬剤の被覆のためのその使用を開示する。カチオン性ポリマーは部分的に中和されうることが記載されているが、一連の無機及び有機酸が、部分中和に適していると全く一般的に列記されている。
【発明の概要】
【0015】
しかし、部分的中和形態で存在する今まで知られているコーティング組成物では、それによりコーティングされた剤形は、口腔の中性環境における早期崩壊に対する不十分な抵抗性を有することが問題である。再分散性も、多くの場合に不十分である。
【0016】
早期の活性成分の放出に対する良好な抵抗性を医薬剤形に付与し、同時に水中の良好な再分散性も有するコーティング組成物を提供することが、本発明の目的であった。
【0017】
したがって、モノマーの重量比が35:65〜55:45のN,N-ジエチルアミノエチルメタクリレートとメチルメタクリレートのコポリマーに基づいたコーティング組成物から得られ、コポリマーが、C3〜C10-ジカルボン酸により部分的に中和されて存在する、医薬皮膜形成コーティングが見出された。
【0018】
一つの好ましい実施態様によると、コーティング組成物は、1〜20mg/cm2の適用量で適用され、4mg/cm2の適用量の場合では、コーティングは、pH6.8の水性環境において30分後に少なくとも80%の活性成分の放出に対する抵抗性を有する。
【0019】
更に、少なくとも一つの医薬活性成分を含み、活性成分の早期放出に対する抵抗性を有する、剤形の被覆のためのコーティング組成物を製造する方法であって、コーティング組成物は、モノマーの重量比が35:65〜55:45のN,N-ジエチルアミノエチルメタクリレートとメチルメタクリレートのコポリマーを、皮膜形成ポリマーとして含み、コーティング組成物中のコポリマーが、C3〜C10-ジカルボン酸により部分的に中和されている、方法が見出された。
【0020】
好ましい実施態様によると、コーティング組成物は、粉末形態で得られ、剤形への適用の前に水に再分散される。
【0021】
更に、pH6.8の水性環境において活性成分の早期放出に対して活性成分含有医薬剤形を保護するための、モノマーの重量比が35:65〜55:45のN,N-ジエチルアミノエチルメタクリレートとメチルメタクリレートのコポリマーに基づき、且つコポリマーがC3〜C10-ジカルボン酸により部分的に中和されて存在する医薬剤形への皮膜形成コーティング組成物の使用が見出された。
【0022】
6.8の領域のpH値での水性環境における医薬活性成分の早期放出に対する抵抗性は、いわゆる、「パドルモデル」を使用して測定される。この測定方法は、USPに記載されている。このため、コーティング剤形は、USPに従っていわゆる「パドル装置」(装置2)を用いて、pH6.8+/-0.05のリン酸緩衝液で試験される。リン酸緩衝液は、34.025gのリン酸二水素カリウムを、5lの目盛り付きメスフラスコ中の水に溶解し、112mlの1モルNaOHを加え、5lのメスフラスコの目盛線までつぎ足して調製される。本発明のコーティングは、4mg/cm2の適用量では、pH6.8の水性環境において30分後に少なくとも80%の活性成分の放出に対する抵抗性を有するという基準を満たす。
【0023】
測定は大気圧下において25℃で実施する。活性成分の放出は、光度決定により生じる。放出は、30分間隔で測定される。
【0024】
本発明によると、30分後における80%の抵抗性とは、30分後において20%以下の活性成分が放出されたことを意味する。好ましくは、30分後における抵抗性は100%であり、これは、この時間内に検出可能な量(2%未満)の活性成分が剤形から放出されないことを意味する。60分後において、pH6.8での抵抗性は少なくとも60%であるべきである。
【0025】
本発明に適したジカルボン酸は、3〜10個の炭素原子の鎖長を有する。特に、適切なジカルボン酸は、末端酸基を有する非分岐鎖ジカルボン酸である。適切なジカルボン酸は、また、一つ又は二つのヒドロキシル基で置換されているものである。
【0026】
本発明によると、部分中性化の目的のため、好ましいことは、2を超える第一pKa値及び4を超える第二pKa値を有するジカルボン酸を使用することである。特に好ましいことは、2.5を超える第一pKa値及び5を超える第二pKa値を有するジカルボン酸を使用することである。pKa値は、底10の負対数の酸性度定数であり、ここで25℃及び大気圧での酸性度定数が意図される。
【0027】
酸性基以外に更なる置換基を持たない適切なジカルボン酸は、飽和アルカンジカルボン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸又はセバシン酸である。一つ又は二つのヒドロキシル基で置換されている適切なアルカンジカルボン酸は、リンゴ酸(2-ヒドロキシコハク酸)又は酒石酸(2,3-ジヒドロキシコハク酸)である。適切な不飽和ジカルボン酸は、主にフマル酸である。
【0028】
そのようなジカルボン酸の混合物を使用することも可能である。
【0029】
したがって、特に良好な抵抗性のコーティングを生じるジカルボン酸と、特に良好な再分散性の粉末を生じるこれらの酸とを混合することが、推奨されうる。適切な混合物は、例えば、アジピン酸と硫酸、又はコハク酸とシュウ酸である。
【0030】
本発明の文脈の範囲内の部分中和は、2〜15mol%、好ましくは4〜10mol%のジエチルアミノエチル基が塩の形態で存在することを意味する。
【0031】
コーティングにおいて皮膜形成剤として機能するメチルメタクリレートとN,N-ジエチルアミノエチルメタクリレートのコポリマーを乳化重合により調製することに関して、WO 2009/016258の開示が明確に参照される。
【0032】
分散体に存在するコポリマーは、好ましくは40〜60の範囲の(N-メチルピロリドン(NMP)中の1%濃度の溶液においてフィーケンチャー(Fikentscher)により決定された)K値を有する。
【0033】
DSC「示差走査熱量測定」により測定されたガラス転移温度TGは、好ましくは40〜70℃、特に好ましくは52〜62℃の範囲である。本明細書において、試料は、最初に150℃に加熱され、次に150℃から素早く冷却される。ガラス転移温度の測定は、20°K/分の加熱速度で実施される。
【0034】
最低造膜温度は、DIN ISO 2115に記載された方法に従って測定され、40〜70℃、好ましくは50〜65℃の範囲である。方法の測定正確度は、プラス/マイナス5℃の範囲である。
【0035】
分散体に存在するコポリマーは、本質的にランダムコポリマーである。
【0036】
ポリマー分散体に存在するポリマー粒子の平均粒子直径(分析用超遠心分離機により測定された)は、好ましくは70〜200nm、特に好ましくは80〜150nm、とりわけ90〜130nmの範囲である。粒径分布は、好ましくは本質的に単峰形である。
【0037】
本発明により使用される水性分散体のLT値は、水中0.01%濃度の分散体で測定され(2.5cmのキュベット、白色光)、好ましくは少なくとも70%、特に好ましくは少なくとも80%である。光透過性の測定は、例えば、Dieter Distler, Waessrige Polymerdispersionen [Aqueous polymer dispersions], Wiley-VCH (1999), p. 40に記載されている。
【0038】
特に好ましいものは、55:45のメチルメタクリレート(MMA)とジエチルアミノエチルメタクリレート(DEAEMA)の重量比を有するコポリマーである。そのようなコポリマーは、また、Kollicoat(登録商標)Smartseal, BASF SEとして市販されている。
【0039】
本発明によると、出発時に特定されているC3〜C10-ジカルボン酸は、コポリマー粉末又は対応する水性分散体に添加される。好ましくは、酸の量は、塩基性基が部分的に酸塩の形態で存在するように添加される。したがって、1〜20mol%の塩基性基が塩の形態で存在することができ、好ましくは2〜15mol%、特に好ましくは5〜10mol%の塩基性基が中和される。
【0040】
MMA/DEAMAのコポリマーの部分的な中和は、水性一次分散体において又は粉末において又は粉末の水性再分散の際若しくは後において実施することができる。粉末形態のコポリマーは、噴霧プロセス又は凍結乾燥により得ることができる。
【0041】
したがって、例えば、ジカルボン酸を噴霧乾燥の前に水性ポリマー分散体に添加することができる。酸が噴霧乾燥の前に組み込まれる場合、慣用の方法を使用して水性分散体中で撹拌することができる。更なる実施態様によると、部分的に中和された水性一次分散体を凍結乾燥により粉末形態に変換することができる。
【0042】
別の実施態様によると、一次分散体から予め製造された粉末を再分散する前又は際に、酸を添加することもできる。粉末への添加の場合、ポリマー粉末への酸の組み込みは、最初にポリマー粉末を簡単な撹拌機により粗く予め分散させ、次に酸を加え、完全な再分散が更なる撹拌により達成されるように実施することができる。再分散は通常非常に素早く、したがって10分後であっても、微粉化分散体が存在する。変更された手順では、最初に酸を初期投入物として水に導入し、撹拌しながらこれにポリマー粉末を加えることも可能である。本発明の更なる実施態様によると、ポリマー粉末及び酸を最初に混合し、この粉末を水に導入する。この実施態様によると、完全に中和されたポリマー粉末を最初に調製し、次に中和されていないポリマー粉末と混合することにより、所望の度合いの部分的な中和に調整することもできる。
【0043】
個別の場合に使用される酸の重量は、C3〜C10-ジカルボン酸の固有の分子量及び望まれる中和の度合いによって左右される。
【0044】
好ましくは、酸による処理は、水性分散体、粉末又は水中に再分散された粉末のpHが、5〜9の範囲であるように実施される。
【0045】
特に好ましくは、酸又は酸性塩の添加は、水性分散体、粉末又は水再分散粉末のpHが、6〜8の範囲であるように添加される。
【0046】
既に記述されたように、本発明の実施態様は、粉末形態のMMA/DEAMAのコポリマーの部分的な中和に関する。コポリマーの粉末形態を製造する好ましい手順は、噴霧プロセスである。
【0047】
噴霧プロセスのために本発明により使用される分散体の固形分は、好ましくは10〜50重量%、特に好ましくは20〜40重量%である。限外濾過による分散体の時前精製の場合では、本発明により使用される分散体は、好ましくは、限外濾過の前後の範囲内の固形分を有する。当然のことながら、希釈ポリマー分散体を、噴霧プロセスの前に限外濾過により濃縮させることも同様に可能である。
【0048】
好ましくは、本発明のコーティングの製造に使用されるコーティング組成物は、水中での再分散により得られ、噴霧プロセスにより得られる粉末は、低剪断撹拌装置を1000rpmまでの回転で使用して再分散される。驚くべきことに、高剪断分散装置を5000rpm超(>5000rpm)の回転で使用することも可能である。これは、再分散体の凝塊及び調製物の凝集の際に微細粒子を形成することなく、本発明に従って実施することができる。
【0049】
水に再分散されたポリマー粉末の平均粒径は、基礎となる一次分散体の最大で5倍、好ましくは最大で3倍、特に好ましくは最大で2倍である。
【0050】
平均粒径は、本明細書において、Z平均値として「Malvern Zetasizer nano S」を用いた光散乱により測定されるZ平均値を指す。
【0051】
コーティング組成物は、例えば、本発明により得られるポリマー粉末を再分散させることにより緊密に混合して、水性ポリマー分散体を得て、それに好ましくは少なくとも一つの更なる助剤を添加することによって調製することができる。
【0052】
水性ポリマー分散体から粉末形態への変換は、噴霧プロセスによって実施されることができる。適切な噴霧プロセスは、原則として、噴霧乾燥、凝集噴霧乾燥(agglomerierende Spruehtrocknung)、噴霧造粒(噴霧流動層乾燥)又は噴霧凝集(Spruehagglomeration)である。
【0053】
霧化及び乾燥を実施するための下記に特定される条件は、原則的に、通常の噴霧乾燥、噴霧造粒又は凝集噴霧乾燥のいずれによっても実施することができる噴霧プロセスの全ての実施態様を参照する。
【0054】
霧化は、好ましくは、例えば単一材料若しくは複数材料ノズルなどのノズルを介した又は霧化ディスクを介した、液体圧又は空気圧による流体力学的霧化として実施される。
【0055】
適切な噴霧装置は、霧化されるポリマー分散体が上方から導入される従来の噴霧塔である。得られるポリマー粉末は、下端部から排出され、下流のサイクロンにおいて乾燥ガス流から分離される。
【0056】
使用することができる乾燥ガスは、空気、又は窒素、アルゴン若しくはヘリウムなどの不活性ガスである。乾燥ガスを、噴霧装置の霧化により生じる液滴に対して対流的又は並流的に導入することができる。乾燥ガスは、好ましくは並流的に使用される。乾燥ガスの流入温度は、ガラス転移温度を少なくとも20℃、好ましくは少なくとも40℃超え、また一つの実施態様によると、動的凍結温度を少なくとも20℃、好ましくは少なくとも40℃超え、ポリマーの最低造膜温度を少なくとも20℃、好ましくは少なくとも40℃超えて保持される。噴霧装置への乾燥ガスの流入温度は、特に好ましくは100〜140℃に保持され、噴霧装置からの乾燥ガスの流出温度は、45〜70℃に保持される。とりわけ好ましくは、噴霧装置への乾燥ガスの流入温度は、110〜130℃に保持され、噴霧装置からの乾燥ガスの流出温度は、50〜60℃に保持される。乾燥ガスの流出温度は、とりわけ好ましくは最低造膜温度とプラス/マイナス5℃で同じ温度範囲である。
【0057】
噴霧装置における水の蒸発は、大気圧又は0.06〜0.12MPaのいずれかで実施することができる。
【0058】
噴霧プロセスを実施する間に、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールとグラフトベースとしてポリエチレングリコールのグラフトポリマーとポリビニルアルコール側鎖の混合物(Kollicoat(登録商標)Protectとして市販されている)、ポリビニルピロリドン、アルキル化及び/若しくはヒドロキシアルキル化セルロース、デンプン誘導体、リグニンスルホネート、ポリアクリル酸又はポリアクリルアミドなどのポリマー噴霧助剤を、水性ポリマー分散体に添加することもできる。そのような噴霧助剤の適切な量は、固形分に基づいて0.1〜30、好ましくは1〜10重量%の範囲である。
【0059】
更に、アンチブロッキング剤を水性ポリマー分散体に添加することもできる。適切なアンチブロッキング剤は、例えば、ベントナイトなどのケイ酸アルミニウム、また、キースラガー、コロイドシリカ、沈降シリカ、珪藻土、炭酸カルシウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、タルクなどのケイ酸マグネシウム又はリン酸三カルシウムである。そのようなアンチブロッキング剤の適切な量は、固形分に基づいて0.1〜15、好ましくは0.5〜5重量%の範囲である。
【0060】
原則的には、慣用的なコーティング助剤を水性ポリマー分散体に添加することもできる。適切な助剤は、芳香物質、味覚改善物質、甘味剤(糖、糖アルコール、例えばアパルテーム、サッカリンNa、シクラミン酸ナトリウムなどの甘味料)、滑剤、湿潤剤、離型剤、付着防止剤、安定剤、酸化防止剤、孔形成剤、中和剤、光沢剤、染料、顔料、消毒剤若しくは防腐剤、増粘剤又は可塑剤でありうる。適切な助剤は、例えば、Fiedler, H. P. Lexikon der Hilfsstoffe fuer Pharmazie, Kosmetik und angrenzende Gebiete [Lexicon of Auxiliaries for Pharmacy, Cosmetics and Related Fields], 4版, Aulendorf: ECV-Editio-Cantor-Verlag, 1996に記載されている。
【0061】
更に、粉末への変換は、噴霧造粒により実施することができる。このために、乾燥される水性ポリマー分散体は同様に霧化され、次に生じる液滴は、初期投入物として導入された種粒子を有する流動層と接触する。この種粒子と水性ポリマー分散体の液滴との接触の結果、種粒子は成長し、種材料として使用される粒子の周りにタマネギの皮様構造を形成して大きな顆粒粒子になる。
【0062】
粉末形態への変換は、凝集噴霧乾燥を使用しても実施されうる。本明細書において、ポリマー分散体は上記に記載された噴霧塔において霧化され、一方、乾燥区域から除去される微細塵が、水性ポリマー分散体が微細液滴の形態で存在する霧化区域に同時に吹き込まれる。本明細書において、微細塵粒子は一緒に付着して、クロイチゴ状構造を有する比較的大型の凝集体を生じる。加えて、流動層を連結することもでき、そこで、形成される粒子の含水量を更に低減することができる。得られる凝集体は、150〜1000μm、好ましくは200〜500μmの粒径を有することができる。この実施態様においても、流入温度は、ガラス転移温度を少なくとも20℃、好ましくは少なくとも40℃超える、また一つの実施態様によると、動的凍結温度を少なくとも20℃、好ましくは少なくとも40℃超える、ポリマーの最低造膜温度を少なくとも20℃、好ましくは少なくとも40℃超えて選択され、噴霧装置からの乾燥ガスの流出温度は、40〜85℃、好ましくは45〜70℃である。好ましくは、噴霧装置への乾燥ガスの流入温度は、100〜140℃に保持され、噴霧装置からの乾燥ガスの流出温度は、45〜70℃に保持される。特に好ましくは、噴霧装置への乾燥ガスの流入温度は、110〜130℃に保持され、噴霧装置からの乾燥ガスの流出温度は、50〜60℃に保持される。噴霧凝集により得られるクロイチゴ状構造は、実質的に無塵であり、再分散において特に有利な挙動を示す。
【0063】
上記に特定された全ての実施態様において、例えばベントナイトなどのケイ酸アルミニウム、キースラガー、コロイドシリカ、沈降シリカ、珪藻土、炭酸カルシウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、タルクなどのケイ酸マグネシウム、又はリン酸三カルシウムなどの噴霧助剤を、噴霧プロセスの際に、ポリマー粉末に基づいて0.1〜15、好ましくは0.5〜5重量%の量で噴霧塔に吹き込むことができる。
【0064】
全体として、噴霧プロセスにより形成される粉末の粒径は、特定の変数により左右される。通常の噴霧乾燥の場合、10〜150μmの粒径を達成することができる。例えば噴霧流動層乾燥などの噴霧造粒の場合では、150〜1000μmまでのより大きな粒径を達成することができる。凝集噴霧乾燥の場合では、150〜1000μmの粒径を達成することができる。
【0065】
コポリマーは、自由流動性粉末として得られ、該粉末は、本発明の目的において、撹拌器なしのPfrengle機器を使用してDIN ISO 4324に従って流動性を測定した場合に、漏斗から自由に及び完全に流れ出すことを意味する。残留溶媒含有量は、通常、粉末の固形分に基づいて5重量%以下である。
【0066】
コーティングを製造するために本発明により使用される再分散性コポリマー粉末は、20重量%の水中固形分において、好ましくは300mPas未満、特に好ましくは200mPas未満、とりわけ100mPas未満の低い粘度を有する(値は、ブルックフィールド粘度計により20℃及び100s-1で測定される)。そのような粘度は、多くの用途において特に重要である。
【0067】
安定化の目的のため、ポリマー分散体を粉末形態に変換する前に、記述されたように難水溶性の酸化防止剤で処理することができる。用語「酸化防止剤」は、当業者にはそれ自体知られており(例えば、Roempp - Lexikon der Chemie [Lexicon of Chemistry], 9版, 1989, Georg-Thieme-Verlag, Stuttgartを参照)、酸素又は他の酸化プロセスによりもたらされる望ましくない変化を抑制又は防止することが意図される物質を意味する。本発明によると、コーティング組成物を安定化するのに適した酸化防止剤は、難水溶性の酸化防止剤、すなわち、20℃の水中の溶解度が1g/l以下の酸化防止剤である。
【0068】
これに関連して、適切な酸化防止剤は、主に、親油性物質のトコフェロール、酢酸トコフェロール、アスコルビン酸パルミテート、アスコルビン酸ステアレート、t-ブチルヒドロキノン、t-ブチルヒドロキシアニソール、t-ブチルヒドロキシトルエン、没食子酸オクチル若しくは没食子酸ドデシル又はこれらの組み合わせである。
【0069】
ここで、使用される酸化防止剤を有機溶媒に溶解することもできる。適切な有機溶媒は、一方では、水中で少なくとも10重量%の濃度を達成することができるのに十分な程度に水と混和可能であり、他方では、難水溶性の酸化防止剤を溶解することができる溶媒である。適切な溶媒は、例えばエタノール又はイソプロパノールなどのアルコール、例えばアセトン、メチルエチルケトンなどのケトン、例えば酢酸メチルなどのエステルである。通常、これらの溶媒は100℃未満の沸点を有する。
【0070】
酸化防止剤を、それ自体慣用の方法によって有機溶液の中に入れることができる。濃度は、溶媒1リットルあたり10〜1000gの酸化防止剤が使用されるように選択される。全体として、有機溶媒の量は、水性分散体の重量に基づいて1〜20重量%の溶媒が使用されるように選択される。
【0071】
更なる実施態様によると、酸化防止剤を水性ミセル溶液の形態で水性分散体に組み込むことができる。このためには、可溶化する物質(「可溶化剤」)(用語「可溶化」については、Roempp-Chemielexikon [Chemistry Lexicon], 9版を参照)の存在下で物質を溶液の中に入れる。適切な可溶化剤は、例えばナトリウムドキュセート若しくはナトリウムドデシルスルフェート、エトキシル化脂肪、エトキシル化脂肪酸、エトキシル化脂肪アルコール又はポリマー可溶化剤などの界面活性剤である。
【0072】
適切なポリマー可溶化剤は、主に両親媒性コポリマーである。本発明によると、両親媒性コポリマーは、親水性及び疎水性のセグメントから構成されるコポリマーを意味することが理解される。セグメントは、LCST(下部臨界完溶温度)を有することもできる。一方でセグメントは、それらの組成及び/又はセグメントを生成するために使用されるモノマーのために、親水性又は疎水性のいずれかである部分ポリマー鎖である。両親媒性コポリマーは、ブロックポリマー又はグラフトポリマーでありうる。線状ブロックポリマーの他に、コポリマーの構造は、櫛状又は星状でもありうる。グラフトポリマーの場合では、疎水性側鎖及び親水性グラフトベース又は親水性側鎖及び疎水性グラフトベースのいずれかが存在することができる。側鎖は、それへ又はそれ上にグラフトされうる。適切な両親媒性コポリマーは、例えばWO 2007/017452、WO 2007/051743、WO 2007/065845及びWO 2007/065846に開示されており、適切な両親媒性コポリマー及びそれらの製造に関する記載は、本明細書において参照される。更なる両親媒性コポリマーは、例えばポロキサマーである。
【0073】
適切な親水性セグメントは、N-ビニルラクタムホモポリマー又はコポリマー鎖、とりわけN-ビニルピロリドン含有ポリマー、並びにポリビニルアルコール鎖又はポリエーテルである。適切な疎水性セグメントは、例えば、N-ビニルアセテートのホモポリマー又はコポリマーである。適切なコモノマーは、例えば、N-ビニルカプロラクタムである。好ましいポリマー可溶化剤は、グラフトベースとしてのPEG6000並びに酢酸ビニル及びN-ビニルカプロラクタムから生成されるコポリマー側鎖を有する名称Soluplus(登録商標)でBASF SEから市販されているグラフトポリマーである。また、ミセル溶液を生成するのに適しているものは、12を超えるHLBを有する全ての界面活性剤である。そのような界面活性剤は、”Fiedler, Encyclopedia of Excipients”, Editio Cantor Verlag. 6版, 2007,頁112-119に記載されている。水性酸化防止剤可溶化物は、0.5〜30重量%、好ましくは1〜20重量%の酸化防止剤、1〜50重量%、好ましくは1〜30重量%の可溶化剤を含む。全体として、量は、水性分散体の重量に基づいて1〜40重量%の水性酸化防止剤可溶化物が使用されるように選択される。
【0074】
更に、難水溶性の酸化防止剤は、微粉化水性分散体の形態でポリマーコーティング組成物の水性分散体に組み込まれうる。これに関連して、分散体とは、固体/液体(懸濁液)又は液体/液体(エマルション)のいずれかでありうる二相系を意味するために使用される用語である。本明細書における酸化防止剤の平均粒径(d4,3)は、20μm未満、好ましくは10μm未満、特に好ましくは3μm未満であるべきである。
【0075】
したがって、酸化防止剤を乳化剤に溶解し、次に水に分散することができる。しかし、酸化防止剤を水に直接加え、高剪断分散ツールを使用し、乳化剤を使用して分散することもできる。酸化防止剤の融点を超える温度に調製物を加熱し、それによってエマルションを形成することが、本明細書において特に好ましいことである。このホットエマルションを、撹拌しながらポリマー分散体に直接加えることができる。あるいは、予め冷却することもでき、それによって微粉化懸濁液が形成される。同様に酸化防止剤の融点を超える温度を有するポリマー分散体に、ホットエマルションを加えることが特に好ましい。
【0076】
適切な乳化剤は、原則的に10超(>10)のHLB値(親水性-親油性バランス値、Fiedler, Encyclopedia of Excipients, Editio Cantor Verlag 6版, 2007, 頁112-119を参照)を有する全ての部類の界面活性物質である。適切な乳化剤は、原則的に、対応するHLB値を有する全てのエトキシル化脂肪酸、エトキシル化脂肪アルコール、エトキシル化脂肪酸エーテル又はエトキシル化脂肪酸エステルである。対応するエトキシル化ソルビタン、ステアリル、オレイル、ラウリル又はパルミチル誘導体、例えばSolutol(登録商標)HS(マクロゴール15ヒドロキシステアレート)又は例えばCremophor(登録商標)RH40(40個の酸化エチレン単位でエトキシル化されている)などのエトキシル化水素化ヒマシ油又は例えば対応するEumulgin(登録商標)等級が適している。
【0077】
更に適している乳化剤は、ポロキサマー(ポリエチレンオキシド-ポリプロピレンオキシドブロックコポリマー)である。
【0078】
水性酸化防止剤/乳化剤分散体は、1〜50重量%、好ましくは2〜30重量%の酸化防止剤、及び0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜10重量%の乳化剤を含む。
【0079】
全体として、量は、水性ポリマー分散体の重量に基づいて1〜40重量%の水性酸化防止剤/乳化剤分散体が使用されるように選択される。
【0080】
更に、酸化防止剤はいわゆる「固溶体」の形態で使用されうる。用語「固溶体」は、当業者に知られており、一つの固体が別の固体の中に分子的に分散して分布していることを意味する。本発明の場合では、酸化防止剤を適切な固体可溶化剤又はポリマー保護コロイドの中に固溶体として組み込むことができる。次に得られた固溶体を、固体形態で水性コーティング組成物分散体に直接組み込むことができる又は予めミセル水性溶液若しくはコロイド溶液に変換し、次に水性コーティング組成物分散体に組み込むことができる。固溶体は、例えば、酸化防止剤を可溶化剤又は保護コロイドと一緒に適切な溶媒に溶解し、次に溶媒を蒸発させることによって製造することができる。
【0081】
更に、酸化防止剤の固溶体は、溶融押出により調製することができ、ここで酸化防止剤及び可溶化剤又はポリマー保護コロイドは一緒に溶融され、次に押し出され、成形され、凝固される。押出の後に得られた顆粒状固体溶融押出物を、ポリマーコーティング組成物の水性分散体に特に有利に組み込むことができる。本明細書の固溶体に適したマトリックスポリマー及び保護コロイドは、既に記述された両親媒性コポリマー、とりわけSoluplus(登録商標)又はLutrol(登録商標)F86などのポロキサマーであるが、また、例えばポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール-ポリエチレングリコールグラフトコポリマー又はヒドロキシアルキル化セルロースなどの非両親媒性ポリマーである。
【0082】
コーティング組成物は、例えば、本発明により得られるポリマー粉末を再分散させることにより緊密に混合して、水性ポリマー分散体を得て、それに好ましくは少なくとも一つの更なる助剤を添加することによって製造することができる。
【0083】
適切な追加の助剤は、芳香物質、味覚改善物質、甘味剤(糖、糖アルコール、例えばアパルテーム、サッカリンNa、シクラミン酸ナトリウムなどの甘味料)、滑剤、湿潤剤、離型剤、付着防止剤、安定剤、酸化防止剤、孔形成剤、中和剤、光沢剤、染料、顔料、消毒剤又は防腐剤、増粘剤、可塑剤などでありうる。そのような物質は、例えば、Fiedler, H. P. Lexikon der Hilfsstoffe fur Pharmazie, Kosmetik und angrenzende Gebiete [Lexicon of auxiliaries for pharmacy, cosmetics and related fields], 4版, Aulendorf: ECV-Editio-Cantor-Verlag, 1996に記載されている。
【0084】
コーティング組成物を製造するため、MMA/DEAEMAポリマー粉末を、水への再分散の前に粉砕することができる。粉砕を、特定された追加の助剤の存在下で実施することもできる。
【0085】
助剤の慣用量は、コーティング組成物の固体の総重量に基づいて、それぞれの場合において0〜70重量%、好ましくは0〜60重量%、とりわけ1〜50重量%の範囲である。
【0086】
本発明の一つの実施態様によると、コーティングは、水性形態の本発明のコーティング組成物により製造される。コーティング組成物の適用は、造粒、流し込み、塗布又は噴霧適用により水性形態で実施することができる。
【0087】
本発明により得たコーティング組成物を、粉末形態で医薬剤形に適用することもできる。
【0088】
好ましくは、適用は、本発明による粉状コーティング組成物の再分散により得られる水性ポリマー分散体としてである。原則的には、任意の分散装置が再分散に適している。ここでは、再分散は、好ましくはブレード、プロペラ、アンカー撹拌機又は類似の撹拌ツールを用いて、好ましくは低剪断力の適用により実施される。本発明のポリマー粉末は、これにより自然に素早く再分散される。水中でのポリマー粉末の再分散は、通常、10分間で完了する。
【0089】
コーティング製造に必要な更なる成分をこれらの再分散調製物に加えることができる。そのような成分は、とりわけ、例えばクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、アセチルクエン酸トリエチルなどの可塑剤である。
【0090】
粉末を再分散して微細に分散された分散体を製造することは、例えば、Ultra-Turrax又はコロイドミルとも呼ばれるローター-ステーター装置などの極高剪断力により実施することもできる。高剪断力の導入は、装置の回転数を介してローター-ステーター装置により調節される。好ましくは、再分散は、分散装置を使用して5000rpm未満で実施される。このプロセスは、更なる粗粒状添加剤又は凝集体形成添加剤が、特別の微粉砕を必要とする分散体に追加的に組み込まれる必要がある場合には、特に有利である。したがって、水中におけるこれらの添加剤の別個の微粉砕、続く再分散ポリマー粉末への添加が省かれる。
【0091】
一つの特定の実施態様において、本発明の再分散性ポリマー粉末は、更なる慣用のコーティング構成成分及び/又は上記に記載された添加剤と混合され、コーティングに必要な構成成分を全て含む、いわゆる直ぐに使用できる調製物を製造する。これらは、粉末又は顆粒形態で存在する。使用者は、直ぐに噴霧できる懸濁液を製造するためには、これらを水中で撹拌するだけでよい。これらの直ぐに使用できる調製物は、乾燥混合、粉砕、圧縮又は造粒液を使用する構成成分の造粒、続く乾燥工程により製造される。したがって、例えば、本発明により部分的に中和されたポリマー粉末を、顔料及び場合により更なる助剤を含む水性懸濁液により造粒することができる。次にこれらの顆粒を再分散して、噴霧懸濁液を得ることができる。
【0092】
本発明のコーティング組成物は、少なくとも一つの更なるポリマー成分を追加的に含むことができる。これに関連して、少なくとも二つの分散体、少なくとも一つの分散体と少なくとも一つの溶液、少なくとも一つの分散体と少なくとも一つの粉末、少なくとも二つの粉末などの混合物を使用することができる。
【0093】
本発明の個別の実施態様と関わりなく、コーティング組成物の適用量は、好ましくは1〜20mg/cm2、好ましくは2〜15mg/cm2、特に好ましくは4〜12mg/cm2の範囲である。
【0094】
本発明によると、コーティング組成物は、胃の酸性環境下で素早く放出されることが意図される医薬剤形用コーティングを製造するために役立ち、すなわち、本発明のコーティングは胃液に可溶性である。これに関連して、素早い放出は、パドルモデル(媒体:0.1N NCl)において、大気圧下25℃で60分後に、活性成分の少なくとも80%が放出されることを意味する。本発明により得られるコーティングは、口腔及び咽喉内の唾液の中性又は実質的に中性の環境下で溶解するべきではない。
【0095】
本発明のコーティングを、味覚遮蔽又は水分に対する保護のために使用することができる。コーティングの透湿性は非常に低く、その結果、水分に対して感受性がある活性成分が保護される。
【0096】
本発明のコーティングを備えることができる医薬剤形は、錠剤、カプセル剤又はペレット剤である。更に、活性成分の結晶も本発明のコーティングを備えることができる。
【0097】
本発明の方法で得たコーティング組成物は、抗うつ薬、ベータレセプターブロッカー、抗糖尿病剤、鎮痛薬、消炎薬、抗リウマチ薬、抗低血圧薬、抗高血圧薬、向精神薬、精神安定薬、制吐薬、筋弛緩薬、グルココルチコイド、潰瘍性大腸炎又はクローン病を治療する作用物質、抗アレルギー剤、抗生物質、抗てんかん薬、抗凝固薬、抗真菌薬、鎮咳薬、動脈硬化剤(Arteriosklerosemittel)、利尿薬、酵素、酵素インヒビター、痛風治療薬、ホルモン及びそのインヒビター、強心配糖体、免疫療法剤及びサイトカイン、緩下薬、脂質低下剤、胃腸治療剤、抗片頭痛剤、ミネラル物質の調合剤、耳科用作用物質、パーキンソン病を治療する作用物質、甲状腺治療剤、鎮痙薬、血小板凝集抑制剤、ビタミン、細胞増殖抑制薬及び転移阻害剤、植物性製剤(Phytopharmaka)、化学療法剤、栄養補助食品(Nutraceuticals)、ビタミン、カロテノイド及びアミノ酸などの、好ましくは単離又は保護形態で投与することができる、原則的に任意の所望の医薬活性成分の剤形に適している。
【0098】
適切な活性成分の例は、アカルボース、非ステロイド性抗リウマチ薬、強心配糖体、アセチルサリチル酸、抗ウイルス剤、アクラルビシン、アシクロビル、シスプラチン、アクチノマイシン、α-及びβ-交感神経作動薬、アロプリノール、アロセトロン、アルプロスタジル、プロスタグランジン、アマンタジン、アンブロキソール、アムロジピン、メトトレキセート、5-アミノサリチル酸、アミトリプチリン、アムロジピン、アモキシシリン、アナストロゾール、アテノロール、アトルバスタチン、アザチオプリン、バルサラジド、ベクロメタゾン、ベタヒスチン、ベザフィブレート、ビカルタミド、ジアゼパム及びジアゼパム誘導体、ブデソニド、ブフェキサマク、ブプレノルフィン、メサドン、カルシウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カンデサルタン、カルバマゼピン、カプトプリル、セファロスポリン、セレトキシブ(Celetoxib)、セチリジン、ケノデオキシコール酸、ウルソデオキシコール酸、テオフィリン及びテオフィリン誘導体、トリプシン、シメチジン、クラリスロマイシン、クラブラン酸、クリンダマイシン、クロブチノール、クロニジン、コトリモキサゾール、コデイン、カフェイン、ビタミンD及びビタミンDの誘導体、コレスチラミン、クロモグリク酸、クマリン及びクマリン誘導体、システイン、シタラビン、シクロホスファミド、シクロスポリン、シプロテロン、シタラビン、ダピプラゾール、デソゲストレル、デソニド、ジヒドララジン、ジルチアゼム、麦角アルカロイド、ジメンヒドリネート、ジメチルスルホキシド、ジメチコン、ジピリダモール、ドンペリドン及びドンペリドン誘導体、ドネプジル(Donepzil)、ドーパミン、ドキサゾシン、ドキソルビシン、ドキシルアミン、ダピプラゾール、ベンゾジアゼピン、ジクロフェナク、グリコシド抗生物質、デシプラミン、エコナゾール、ACEインヒビター、エナラプリル、エフェドリン、エピネフリン、エポエチン及びエポエチン誘導体、モルヒナン(Morphinane)、カルシウムアンタゴニスト、イリノテカン、モダフィニル、オーリスタット、ペプチド抗生物質、フェニトイン、リルゾール、リセドロネート、シルデナフィル、トピラメート、マクロライド抗生物質、エソメプラゾール、エストロゲン及びエストロゲン誘導体、ゲスターゲン及びゲスターゲン誘導体、テストステロン及びテストステロン誘導体、アンドロゲン及びアンドロゲン誘導体、エテンザミド、エトフェナメート、エトフィブレート、フェノフィブレート、エトフィリン、エトポシド、ファムシクロビル、ファモチジン、フェロジピン、フェノフィブレート、フェンタニル、フェンチコナゾール、ジャイレースインヒビター、フルコナゾール、フルダラビン、フルナリジン、フルオロウラシル、フルオキセチン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、フルタミド、フルバスタチン、フォリトロピン、ホルモテロール、ホスホマイシン、フロセミド、フシジン酸、ガランタミン、ガロパミル、ガンシクロビル、ゲムフィブロジル、ゲンタマイシン、イチョウ、セイヨウオトギリソウ、グリベンクラミド、経口抗糖尿病薬としての尿素誘導体、グルカゴン、グルコサミン及びグルコサミン誘導体、グルタチオン、グリセロール及びグリセロール誘導体、視床下部ホルモン、ゴセレリン、グアネチジン、ハロファントリン、ハロペリドール、ヘパリン及びヘパリン誘導体、ヒアルロン酸、ヒドララジン、ヒドロクロロチアジド及びヒドロクロロチアジド誘導体、サリチレート、ヒドロキシジン、イダルビシン、イホスファミド、イミプラミン、インドメタシン、インドラミン、インスリン、インターフェロン、ヨウ素及びヨウ素誘導体、イソコナゾール、イソプレナリン、グルシトール及びグルシトール誘導体、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ケトプロフェン、ケトチフェン、ラシジピン、ランソプラゾール、レボドパ、レボメタドン、甲状腺ホルモン、リポ酸及びリポ酸誘導体、リシノプリル、リスリド、ロフェプラミン、ロムスチン、ロペラミド、ロラタジン、マプロチリン、メベンダゾール、メベベリン、メクロジン、メフェナム酸、メフロキン、メロキシカム、メピンドロール、メプロバメート、メロペネム、メサラジン、メスクキシミド、メタミゾール、メトホルミン、メトトレキセート、メチルフェニデート、メチルプレドニゾロン、メチキセン、メトクロプラミド、メトプロロール、メトロニダゾール、ミアンセリン、ミコナゾール、ミノサイクリン、ミノキシジル、ミソプロストール、マイトマイシン、ミゾラスチン、モエキシプリル、モルヒネ及びモルヒネ誘導体、マツヨイグサ、ナルブフィン、ナロキソン、チリジン、ナプロキセン、ナルコチン、ナタマイシン、ネオスチグミン、ニセルゴリン、ニセタミド、ニフェジピン、ニフルミン酸、ニモジピン、ニモラゾール、ニムスチン、ニソルジピン、アドレナリン及びアドレナリン誘導体、ノルフロキサシン、ノバミンスルホン、ノスカピン、ナイスタチン、オフロキサシン、オランザピン、オルサラジン、オメプラゾール、オモコナゾール、オンダンセトロン、オーリスタット、オセルタミビル、オキサセプロール、オキサシリン、オキシコナゾール、オキシメタゾリン、パントプラゾール、パラセタモール、パロキセチン、ペンシクロビル、経口ペニシリン、ペンタゾシン、ペンチフィリン、ペントキシフィリン、ペルフェナジン、ペチジン、植物抽出物、フェナゾン、フェニラミン、バルビツール酸誘導体、フェニルブタゾン、フェニトイン、ピモジド、ピンドロール、ピペラジン、ピラセタム、ピレンゼピン、ピリベジル、ピロキシカム、プラミペキソール、プラバスタチン、プラゾシン、プロカイン、プロマジン、プロピベリン、プロプラノロール、プロピフェナゾン、プロスタグランジン、プロチオナミド、プロキシフィリン、クエチアピン、キナプリル、キナプリラート、ラミプリル、ラニチジン、レプロテロール、レセルピン、リバビリン、リファンピシン、リスペリドン、リトナビル、ロピニロール、ロシグリタゾン、ロキサチジン、ロキシスロマイシン、ルスコゲニン、ルトシド及びルトシド誘導体、サバジラ、サルブタモール、サルメテロール、スコポラミン、セレギリン、セルタコナゾール、セルチンドール、セルトラリン、シリケート、シンバスタチン、シトステロール、ソタロール、スパグルム酸、スパルフロキサシン、スペクチノマイシン、スピラマイシン、スピラプリル、スピロノラクトン、スタブジン、ストレプトマイシン、スクラルファート、スフェンタニル、スルバクタム、スルホンアミド、スルファサラジン、スルピリド、スルタミシリン、スルチアム、スマトリプタン、塩化スキサメトニウム、タクリン、タクロリムス、タリオロール(Taliolol)、タモキシフェン、タウロリジン、タザロテン、テガセロッド、テマゼパム、テニポシド、テノキシカム、テラゾシン、テルビナフィン、テルブタリン、テルフェナジン、テルリプレシン、テルタトロール、テトラサイクリン、テトリゾリン、テオブロミン、テオフィリン、ブチジン、チアマゾール、フェノチアジン、チオテパ、チアガビン、チアプリド、プロピオン酸誘導体、チクロピジン、チモロール、チニダゾール、チオコナゾール、チオグアニン、チオキソロン、チロプラミド、チザニジン、トラゾリン、トルブタミド、トルカポン、トルナフテート、トルペリゾン、トポテカン、トラセミド、抗エストロゲン、トラマドール、トラマゾリン、トランドラプリル、トラニルシプロミン、トラピジル、トラゾドン、トリアムシノロン及びトリアムシノロン誘導体、トリアムテレン、トリフルペリドール、トリフルリジン、トリメトプリム、トリミプラミン、トリペレナミン、トリプロリジン、トリフォスファミド、トロマンタジン、トロメタモール、トロパルピン、トロキセルチン、ツロブテロール、チラミン、チロスリシン、ウラピジル、ウルソデオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、バラシクロビル、バルデコキシブ、バルプロ酸、バンコマイシン、塩化ベクロニウム、ベンラファキシン、ベラパミル、ビダラビン、ビガバトリン、ビロキサジン、ビンブラスチン、ビンカミン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ビンポセチン、ビキジル(Viquidil)、ワルファリン、ニコチン酸キサンチノール、キシパミド、ザフィルルカスト、ザルシタビン、ザナミビル、ジドブジン、ゾルミトリプタン、ゾルピデム、ゾピクロン、ゾテピンなどである。
【0099】
望ましい場合、活性成分を薬学的に許容される塩又は誘導体の形態で使用することもでき、キラル活性成分の場合では、両方の光学的に活性な異性体、またラセミ体又はジアステレオ異性体の混合物を使用することができる。望ましい場合、本発明の組成物は、二つ以上の医薬活性成分を含むこともできる。
【0100】
本発明によると、コーティング組成物を、押出物、ミニ錠剤、カプセル、ソフトカプセル、顆粒、ペレット、マイクロペレット、マイクロカプセル、ナノカプセル又は結晶の被覆に使用することができる。
【0101】
剤形を製造するため、コーティングされた顆粒、ペレット、マイクロペレット、マイクロカプセル、結晶を適切な助剤と混合し、圧縮して錠剤にすることができ、これは口腔の水性環境で崩壊し、コーティング微細成形物を再び放出する。これに関連して特に重要なものは、いわゆる経口分散剤であり、すなわち、口の中で短時間に崩壊し、味覚遮蔽小型成形物を放出する錠剤である。
【0102】
更に、コーティング組成物を錠剤の被覆のために有利に使用することもできる。
【0103】
多くの場合に不快な苦味をもたらす可能性があり、本発明により有利に処方することができる活性成分の部類及び物質は、例えば下記である:
パラセタモール、ジクロフェナク、アセクロフェナク、イブプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、アセチルサリチル酸、レバセチルメタドール及びオキシコドンなどの鎮痛薬及び抗リウマチ薬;
プロメタジン、ドネペジル、モダフィニル、ネファゾドン、レボキセチン、セルチンドール及びセルトラリンなどの向精神薬;
エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、クラリスロマイシン、グレパフロキサシン、シプロフロキサシ、レボフロキサシン、スパルフロキサシン、トロバフロキサシン及びネビラピンなどの抗生物質;
プロプラノロール、メトプロロール、ビソプロロール及びネビボロールなどのベータブロッカー;
メトホルミン、ミグリトール及びレパグリニドなどの抗糖尿病薬;
ジフェンヒドラミン、フェキソフェナジン及びミゾラスチンなどのH1抗ヒスタミン薬;
シメチジン、ファモチジン、ロキサチジン、ニザチジン、チクロピジン、セチリジン及びラニチジンなどのH2抗ヒスタミン薬;
硝酸チアミン及び硫酸キニジン、アミロプリロース(Amyloprilose)HCl、プソイドエフェドリンHCl、シルデナフィル、トピラメート、グラニセトロン、レバミピド、キニーネHClなどのビタミン。
【0104】
また、これらの活性成分の多様な塩を対応して処方することができる。
【0105】
優れた味覚遮蔽は、本発明のポリマーの6を超えるpH値での不溶性及び6を下回るpH値での素早い可溶性からもたらされる。すなわち、唾液中(pH:7.2)では、対応して被覆された形態は、非常に長時間安定しており、苦い薬剤と口腔粘膜の間に接触はないが、1〜5のpH値の胃の中では、活性成分の非常に素早い放出がある。そこでの溶解は素早いので、非被覆形態と比較して作用の開始に差はない。原則として、本発明のポリマーのフィルムコーティングは、胃液において5分以内に溶解し、一方、pH7.2のリン酸緩衝液では、2時間にわたって安定している。驚くべきことに、フィルムコーティングは、pH値が4.5の媒体においても比較的素早く溶解し、それにより製造された剤形は、無酸症の患者又は制酸剤で治療されている患者であっても素早い効果を発揮することを意味する。コーティング組成物のこれらの優れた適用特性は、粉末への変換及び粉末の再分散又は溶融の後も保持される。
【実施例】
【0106】
使用される略号:
ガラス転移温度:Tg
Demin.水:脱塩水
全ての実施例において、使用されたポリマーは、ポリマーAと呼ばれるポリマーであった。ポリマーAの調製は、WO 2009/016258の実施例1に類似して実施された。
【0107】
ポリマーA:メチルメタクリレート/ジエチルアミノエチルメタクリレート、重量比55:45、K値49、Tg57℃
K値は、NMPにおいて重量で0.1%濃度で測定した。ポリマーは、9+/-0.3のpHを有する水性分散体として、又は噴霧乾燥粉末として使用した。一次分散体の平均粒径は、127nmであった。ガラス転移温度は、20°K/分の加熱速度でDSCにより測定した。最低造膜温度は、プラス/マイナス5℃の測定正確度の範囲内でTgに対応した。
【0108】
粉末の平均粒径を測定したとき、D(4,3)値は、Malvern Mastersizer 2000を使用して光回析により測定した。
【0109】
光散乱により再分散粉末の平均粒径を測定したとき、値は、「Malvern Zetasizer nano-S」を使用して、Z平均値として測定した。
【0110】
使用された助剤:
Ludipress(登録商標):94.4重量%のラクトース、3.2重量%のKollidon 30(USP)及び3.4重量%のKollidon CL(USP)を含む自由流動性顆粒
Kollidon(登録商標)CL-F:クロスポビドン
Avicel(登録商標)PH102:微結晶セルロース、平均粒子直径100μm
シメチコン:平均鎖長さが200〜350のジメチルシロキサン単位のジメチコンとシリカゲルとの混合物のCTFA名称
Aerosil(登録商標)200:微粉シリカ
[実施例1](比較例)
1000mlの、固形分30重量%を有するポリマーAの水性分散体を、6.5gの、重量で85%濃度のリン酸と、撹拌しながら混合した。これは、8mol%の中和度に相当する。この部分的に中和された噴霧懸濁液を噴霧塔において噴霧乾燥した。ここでの霧化は、1.4mmの二材料ノズルを介して3.0barの霧化圧で実施した。乾燥ガスを、噴霧乾燥機の投入域に接線方向で通過させ、乾燥した生成物をサイクロンで分離した。流入空気温度は107℃であり、流出空気温度は56℃であった。粉末の平均粒径は30μmであった。100gの噴霧乾燥生成物を水に分散させ、パドル撹拌機を60分間用いて撹拌することにより、固形分20%の噴霧懸濁液を得た。光散乱による粒径の測定は、130nmと450nmの両方に最大を有する二峰性分布を示した。
【0111】
この方法で調製された調製物を14gのアセチルクエン酸トリエチルと混合し、2時間撹拌し、噴霧により錠剤コアに適用した。
【表1】
【0112】
コアを製造するため、計量した構成成分のカフェイン、Ludipress及びAvicel PH 101をDiosnaミキサーにより段階1で3分間混合した。ステアリン酸マグネシウムを加えた後、混合を更に1分間実施した。この方法で調製した粉末混合物を回転プレスにより圧密して、330mgの重量及び80Nの破壊強度を有する錠剤を得た。
【表2】
【0113】
pH6.8の緩衝液におけるコーティング錠剤の抵抗性についての試験は、放出装置(USP、装置2)において6重測定により実施した。
【0114】
錠剤の抵抗性(活性成分放出<2%)は、30、60、90及び120分後に測定した。
【0115】
この方法で製造された錠剤は、pH6.8の緩衝液において抵抗性を示さなかった。
【0116】
[実施例2](比較例)
5.1gのシュウ酸を500mlの脱塩水に溶解し、1000mlの、固形分30重量%を有するポリマーAの水性分散体に、撹拌しながら組み込んだ。これは、8mol%の中和度に相当する。この部分的に中和された噴霧懸濁液を噴霧塔において実施例1に類似して噴霧乾燥した。
【0117】
粉末の平均粒径は35μmであった。
【0118】
粉末は、実施例1に類似して再分散され、180nmで最大を有する単峰性分布を示す。
【0119】
4mg/cm2の適用量を有する皮膜錠剤を作製する更なる加工を、実施例1に類似して実施した。この方法で製造された錠剤は、非常に良好な再分散にも関わらず、pH6.8の緩衝液において抵抗性を示さなかった。
【0120】
[実施例3]
6.7gのコハク酸を500mlの脱塩水に溶解し、1000mlの、固形分30重量%を有するポリマーAの水性分散体に、撹拌しながら組み込んだ。これは、8mol%の中和度に相当する。この部分的に中和された噴霧懸濁液を噴霧塔において実施例1に類似して噴霧乾燥した。
【0121】
粉末の平均粒径は34μmであった。
【0122】
粉末は、実施例1に類似して再分散され、170nmで最大を有する単峰性分布を示す。
【0123】
4、8及び12mg/cm2の適用量を有する皮膜錠剤を作製する更なる加工を、実施例1に類似して実施した。
【0124】
pH6.8の緩衝液における抵抗性についての錠剤の試験は、以下の結果を示した。
【表3】
【0125】
[実施例4](比較例)
12.1gのクエン酸二水素ナトリウムを500mlの脱塩水に溶解し、1000mlの、固形分30重量%を有するポリマーAの水性分散体に、撹拌しながら組み込んだ。これは、8mol%の中和度に相当する。この部分的に中和された噴霧懸濁液を噴霧塔において実施例1に類似して噴霧乾燥した。
【0126】
粉末の平均粒径は約32μmであった。
【0127】
粉末は、実施例1に類似して再分散され、197nm及び520nmの両方に最大を有する粒径の二峰性分布を示した。
【表4】
【0128】
コアを製造するため、計量した構成成分のプロプラノロール塩酸塩、Ludipress、Avicel PH 102及びKollidon VA 64をDiosnaミキサーにより段階1で3分間混合した。ステアリン酸マグネシウムを加えた後、混合を更に1分間実施した。この方法で調製した粉末混合物を回転プレスにより圧密して、300mgの重量及び85Nの破壊強度を有する錠剤を得た。
【0129】
4mg/cm2の適用量を有する皮膜錠剤を作製する更なる加工を、実施例1に類似して実施した。
【0130】
この方法で製造された皮膜錠剤は、pH6.8の緩衝液において抵抗性を示さなかった。
【0131】
[実施例5](比較例)
168.5mlの1モル硫酸を500mlの脱塩水に溶解し、1000mlの、固形分30重量%を有するポリマーAの水性分散体に、撹拌しながら組み込んだ。これは、8mol%の中和度に相当する。この部分的に中和された噴霧懸濁液を噴霧塔において実施例1に類似して噴霧乾燥した。
【0132】
粉末の平均粒径は約37μmであった。
【0133】
粉末は、実施例1に類似して再分散され、192nmで最大を有する単峰性分布を示す。
【0134】
4mg/cm2の適用量を有する皮膜錠剤を作製する更なる加工を、実施例1に類似して実施した。この方法で製造された錠剤は、驚くべきことに、非常に良好な再分散にも関わらず、pH6.8の緩衝液において抵抗性を示さなかった。
【0135】
[実施例6]
7.4gのグルタル酸を500mlの脱塩水に溶解し、1000mlの、固形分30%を有するポリマーAの水性分散体に、撹拌しながら組み込んだ。これは、8mol%の中和度に相当する。この部分的に中和された噴霧懸濁液を噴霧塔において実施例1に類似して噴霧乾燥した。
【0136】
粉末の平均粒径は約32μmであった。
【0137】
粉末は、実施例1に類似して再分散され、178nmで最大を有する単峰性分布を示す。
【0138】
4、8及び12mg/cm2の適用量を有する皮膜錠剤を作製する更なる加工を、実施例1に類似して実施した。
【0139】
pH6.8の緩衝液における抵抗性についての錠剤の試験は、以下の結果を示した。
【表5】
【0140】
[実施例7](比較例)
15.9gのステアリン酸を500mlの脱塩水に溶解し、1000mlの、固形分30%を有するポリマーAの水性分散体に、撹拌しながら組み込んだ。これは、8mol%の中和度に相当する。この部分的に中和された噴霧懸濁液を噴霧塔において実施例1に類似して噴霧乾燥した。
【0141】
粉末の平均粒径は約43μmであった。
【0142】
粉末を実施例1に類似して再分散した。再分散が全く不十分であったので、分布の測定が示した結果はなかった。
【0143】
皮膜錠剤を作製する更なる加工は実施できなかった。
【0144】
[実施例8](比較例)
3.4mlの酢酸を500mlの脱塩水に溶解し、1000mlの、固形分30%を有するポリマーAの水性分散体に、撹拌しながら組み込んだ。これは、8mol%の中和度に相当する。この部分的に中和された噴霧懸濁液を噴霧塔において実施例1に類似して噴霧乾燥した。
【0145】
粉末の平均粒径は約41μmであった。
【0146】
粉末は、実施例1に類似して再分散され、191nmで最大を有する単峰性分布を示す。
【表6】
【0147】
コアを製造するため、計量した構成成分のキニーネHCl、Ludipress、Avicel PH 102及びAerosil 200をDiosnaミキサーにより段階1で3分間混合した。ステアリン酸マグネシウムを加えた後、混合を更に1分間実施した。この方法で調製した粉末混合物を回転プレスにより圧縮して、330mgの重量及び80 Nの破壊強度を有する錠剤を得た。
【0148】
4mg/cm4の適用量を有する皮膜錠剤を作製する更なる加工を、実施例1に類似して実施した。この方法で製造された錠剤は、驚くべきことに、非常に良好な再分散にも関わらず、pH6.8の緩衝液において抵抗性を示さなかった。
【0149】
[実施例9]
6.5gのフマル酸を500mlの脱塩水に溶解し、1000mlの、固形分30%を有するポリマーAの水性分散体に、撹拌しながら組み込んだ。これは、8mol%の中和度に相当する。この部分的に中和された噴霧懸濁液を噴霧塔において実施例1に類似して噴霧乾燥した。
【0150】
粉末の平均粒径は約39μmであった。
【0151】
粉末は、実施例1に類似して再分散され、183nmで最大を有する単峰性分布を示す。
【0152】
4、8及び12mg/cm2の適用量を有する皮膜錠剤を作製する更なる加工を、実施例1に類似して実施した。
【0153】
pH6.8の緩衝液における抵抗性についての錠剤の試験は、以下の結果を示した。
【表7】
【0154】
[実施例10]
6.5gのフマル酸を500mlの脱塩水に溶解し、1000mlの、固形分30重量%を有するポリマーAの水性分散体に、撹拌しながら組み込んだ。これは、8mol%の中和度に相当する。この部分的に中和された分散体を、霧化が1.4mmの二材料ノズルを介して0.3MPaの霧化圧で実施されるFSD噴霧塔において噴霧乾燥した。流入空気温度は110℃であり、流出空気温度は57℃であった。微細画分を噴霧乾燥の間に分離し、噴霧ノズルの前に再び吹き込み、それにより280μmの平均粒径を有する噴霧乾燥粒子を得た。
【0155】
噴霧乾燥生成物を水に再分散し、パドル撹拌機で60分間撹拌することにより、固形分20重量%の噴霧懸濁液を得た。光散乱による粒径の測定は175nmの値を示した。
【0156】
この方法で調製された調製物を、実施例1に類似して、14gのアセチルクエン酸トリエチルと混合し、2時間撹拌し、噴霧により錠剤コア(処方表1)に適用した。
【0157】
適用量4mg/cm4の錠剤をpH6.8の緩衝液における抵抗性について試験すると、以下の結果が示された。
【表8】
【0158】
[実施例11]
6.7gのコハク酸を500mlの脱塩水に溶解し、1000mlの、固形分30重量%を有するポリマーAの水性分散体に、撹拌しながら組み込んだ。これは、8mol%の中和度に相当する。この部分的に中和された分散体をFSD噴霧塔において実施例10に類似して噴霧乾燥した。粉末の平均粒径は312μmであった。
【0159】
噴霧乾燥生成物を水に再分散し、パドル撹拌機で60分間撹拌することにより、固形分20重量%の噴霧懸濁液を得た。光散乱による粒径の測定は172nmの値を示した。
【0160】
この方法で調製された調製物を、実施例4に類似して、14gのアセチルクエン酸トリエチルと混合し、2時間撹拌し、噴霧により錠剤コア(表3)に適用した。
【0161】
適用量4mg/cm2の錠剤をpH6.8の緩衝液における抵抗性について試験すると、以下の結果が示された。
【表9】
【0162】
[実施例12]
7.4gのグルタル酸を500mlの脱塩水に溶解し、1000mlの、固形分30重量%を有するポリマーAの水性分散体に、撹拌しながら組み込んだ。これは、8mol%の中和度に相当する。この部分的に中和された分散体をFSD噴霧塔において実施例10に類似して噴霧乾燥した。粉末の平均粒径は295μmであった。
【0163】
噴霧乾燥生成物を水に再分散し、パドル撹拌機で60分間撹拌することにより、固形分20重量%の噴霧懸濁液を得た。光散乱による粒径の測定は188nmの値を示した。
【0164】
この方法で調製された調製物を、実施例8に類似して、14gのアセチルクエン酸トリエチルと混合し、2時間撹拌し、噴霧により錠剤コア(表4)に適用した。
【0165】
適用量4mg/cm2の錠剤をpH6.8の緩衝液における抵抗性について試験すると、以下の結果が示された。
【表10】
【0166】
[実施例13]
1000mlの、固形分30重量%を有するポリマーAの水性分散体を、霧化が1.4mmの二材料ノズルを介して0.3MPaの霧化圧で実施されるFSD噴霧塔において噴霧乾燥した。流入空気温度は127℃であり、流出空気温度は59℃であった。微細画分を噴霧乾燥の間に分離し、噴霧ノズルの前に再び吹き込み、それにより220μmの平均粒径を有する噴霧乾燥粒子を得た。
【0167】
5.2gのフマル酸を1000mlの脱塩水に溶解し、次に250gの噴霧乾燥粉末を、パドル撹拌機を使用して撹拌しながら組み込んだ。これは、8mol%の中和度に相当する。60分間の再分散時間の後、平均粒径は184nmであった。
【0168】
この方法で調製された調製物を、実施例1に類似して、35gのアセチルクエン酸トリエチルと混合し、2時間撹拌し、噴霧により錠剤コア(処方表3)に適用した。
【0169】
適用量4mg/cm2の錠剤をpH6.8の緩衝液における抵抗性について試験すると、以下の結果が示された。
【表11】
【0170】
[実施例14]
5.3gのコハク酸を1000mlの脱塩水に溶解し、次に250gの、実施例13の噴霧乾燥粉末を、パドル撹拌機を使用して撹拌しながら組み込んだ。これは、8mol%の中和度に相当する。60分間の再分散時間の後、平均粒径は165nmであった。
【0171】
この方法で調製された調製物を、実施例1に類似して、35gのアセチルクエン酸トリエチルと混合し、2時間撹拌し、噴霧により錠剤コア(処方表4)に適用した。
【0172】
適用量4mg/cm2の錠剤をpH6.8の緩衝液における抵抗性について試験すると、以下の結果が示された。
【表12】
【0173】
[実施例15]
5.9gのグルタル酸を1000mlの脱塩水に溶解し、次に250gの、実施例13の噴霧乾燥粉末を、パドル撹拌機を使用して撹拌しながら組み込んだ。これは、8mol%の中和度に相当する。60分間の再分散時間の後、平均粒径は174nmであった。
【0174】
この方法で調製された調製物を、実施例1に類似して、35gのアセチルクエン酸トリエチルと混合し、2時間撹拌し、噴霧により錠剤コア(処方表1)に適用した。
【0175】
適用量4mg/cm2の錠剤をpH6.8の緩衝液における抵抗性について試験すると、以下の結果が示された。
【表13】
【0176】
[実施例16]
6.5gのフマル酸を500mlの脱塩水に溶解し、1000mlの、固形分30重量%を有するポリマーAの水性分散体に、撹拌しながら組み込んだ。これは、8mol%の中和度に相当する。この部分的に中和された分散体をFSD噴霧塔において実施例10に類似して噴霧乾燥した。粉末の平均粒径は280μmであった。
【0177】
噴霧乾燥生成物を水に再分散し、パドル撹拌機を使用して60分間撹拌することにより、固形分20重量%の噴霧懸濁液を得た。光散乱による粒径の測定は175nmの値を示した。
【0178】
この方法で調製された調製物を、14gのアセチルクエン酸トリエチルと混合し、2時間撹拌し、実施例1に類似して、噴霧によりカフェインペレットに適用した。
【表14】
【0179】
構成成分をDiosnaミキサーにより3分間混合し、次に水で湿潤した。この湿潤塊を押し出し、次に丸め成形機(rounding machine)により丸めて、直径0.7〜1.4mmを有するペレット剤を得た。
【0180】
適用量4mg/cm2のペレット剤をpH6.8の緩衝液における抵抗性について試験すると、以下の結果が示された。
【表15】
【0181】
[実施例17]
6.7gのコハク酸を500mlの脱塩水に溶解し、1000mlの、固形分30重量%を有するポリマーAの水性分散体に、撹拌しながら組み込んだ。これは、8mol%の中和度に相当する。この部分的に中和された分散体をFSD噴霧塔において実施例10に類似して噴霧乾燥した。粉末の平均粒径は312μmであった。
【0182】
噴霧乾燥生成物を水に再分散し、パドル撹拌機を使用して60分間撹拌することにより、固形分20重量%の噴霧懸濁液を得た。光散乱による粒径の測定は172nmの値を示した。
【0183】
この方法で調製された調製物を、実施例1に類似して、14gのアセチルクエン酸トリエチルと混合し、2時間撹拌し、噴霧によりテオフィリン顆粒(粒径0.2〜0.7mm)に適用した。
【0184】
適用量4mg/cm2の顆粒剤をpH6.8の緩衝液における抵抗性について試験すると、以下の結果が示された。
【表16】
【0185】
[実施例18]
7.4gのグルタル酸を500mlの脱塩水に溶解し、1000mlの、固形分30重量%を有するポリマーAの水性分散体に、撹拌しながら組み込んだ。これは、8mol%の中和度に相当する。この部分的に中和された分散体をFSD噴霧塔において実施例10に類似して噴霧乾燥した。粉末の平均粒径は295μmであった。
【0186】
噴霧乾燥生成物を水に再分散し、パドル撹拌機で60分間撹拌することにより、固形分20重量%の噴霧懸濁液を得た。光散乱による粒径の測定は188nmの値を示した。
【0187】
この方法で調製された調製物を、実施例1に類似して、14gのアセチルクエン酸トリエチルと混合し、2時間撹拌し、噴霧によりパラセタモール結晶(直径0.3mm)に適用した。
【0188】
適用量4mg/cm2の顆粒剤をpH6.8の緩衝液における抵抗性について試験すると、以下の結果が示された。
【表17】
【0189】
[実施例19]
27.6gのラウリル硫酸ナトリウム及び14.7gのフマル酸を1500mlの脱塩水に溶解し、3000mlの、固形分30重量%を有するポリマーAの水性分散体に、撹拌しながら組み込んだ。これは、6mol%の中和度に相当する。この部分的に中和された噴霧懸濁液を噴霧塔において噴霧乾燥した。ここでの霧化は、1.4mmの二材料ノズルを介して0.3MPaの霧化圧で実施した。乾燥ガスを、噴霧乾燥機の投入領域に接線方向で通過させ、乾燥した生成物をサイクロンで分離した。流入空気温度は112℃であり、流出空気温度は59℃であった。粉末の平均粒径は37μmであった。
【0190】
750gの噴霧乾燥粉末を脱塩水に再分散し、プロペラ撹拌機を使用して60分間撹拌することにより、固形分20重量%の噴霧懸濁液を得た。光散乱による粒径の測定は、173nmに最大を有する単峰性分布を示した。噴霧懸濁液を、固体ポリマーに基づいた13重量%のクエン酸トリブチルと混合し、2時間撹拌した後、表5に列記されているパラメーターにより更に加工した。
【表18】
【0191】
pH6.8の緩衝液における抵抗性についての錠剤の試験は、以下の結果を示した。
【表19】
【0192】
[実施例20]
粉末A
1000mlの、固形分30重量%を有するポリマーAの水性分散体を、噴霧塔において噴霧乾燥した。ここでの霧化は、1.4mmの二材料ノズルを介して0.3MPaの霧化圧で実施した。乾燥ガスを、噴霧乾燥機の投入域に接線方向で通過させ、乾燥した生成物をサイクロンで分離した。流入空気温度は109℃であり、流出空気温度は58℃であった。粉末の平均粒径は33μmであった。
【0193】
粉末B
105.1gの酒石酸を500mlの脱塩水に溶解し、1000mlの、固形分30重量%を有するポリマーの水性分散体に、撹拌しながら組み込んだ。これは、100mol%の中和度に相当する。この噴霧懸濁液を噴霧塔において粉末Aに類似して噴霧乾燥した。
【0194】
粉末の平均粒径は35μmであった。
【0195】
粉末Aを、7mol%の中和度が確立されるようにTurbulaにおいて粉末Bと混合し、次にパドル撹拌機を使用して撹拌しながら脱塩水に再分散して、重量で20%濃度の分散体を得た。
【0196】
光散乱による粒径の測定は、168nmに最大を有する単峰性分布を示した。ポリマーに基づいて13重量%のアセチルクエン酸トリエチルを加えた後、噴霧懸濁液を表1のカフェインコアに実施例19に類似して噴霧した。
【0197】
適用量4mg/cm2の錠剤をpH6.8の緩衝液における抵抗性について試験すると、以下の結果が示された。
【表20】
【0198】
[実施例21]
14.2gのセバシン酸を500mlの脱塩水に懸濁し、100mlの、固形分30重量%を有するポリマーAの水性分散体に、撹拌しながら組み込んだ。これは、100mol%の中和度に相当する。
【0199】
この溶液を、7mol%の中和度が確立されるように、1300mlの、固形分30重量%を有するポリマーの水性分散体に、撹拌しながら組み込んだ。この方法で調製された噴霧懸濁液を、霧化が1.4mmの二材料ノズルを介して0.3MPaの霧化圧で実施されるFSD噴霧塔において噴霧乾燥した。流入空気温度は118℃であり、流出空気温度は63℃であった。微細画分を噴霧乾燥の間に分離し、噴霧ノズルの前に再び吹き込み、それにより263μmの平均粒径を有する噴霧乾燥粒子を得た。100gの噴霧乾燥生成物を水に分散し、パドル撹拌機を60分間用いて撹拌することにより、固形分20重量%の噴霧懸濁液を得た。光散乱による粒径の測定は、178nmに最大を有する単峰性分布を示した。
【0200】
この方法で調製された調製物を、固体ポリマーに基づいて15重量%のアセチルクエン酸トリエチルと混合し、2時間撹拌し、実施例19に類似して、噴霧により表4の錠剤コアに適用した。
【0201】
適用量4mg/cm2の錠剤をpH6.8の緩衝液における抵抗性について試験すると、以下の結果が示された。
【表21】
【0202】
[実施例22]
50gのPEG6000、200gのタルク、9gの二酸化チタン及び9gの酸化鉄赤をTurbulaミキサーにおいて混合し、次にピンミルにおいて粉砕した。この混合物を250gの脱塩水に懸濁し、平均粒径187μmを有する顆粒を作製するように、Diosna造粒によって、500gの実施例10により調製されたポリマー粉末に適用した。
【表22】
【0203】
100gのこれらの顆粒を水に分散し、パドル撹拌機を用いて60分間撹拌することにより、固形分20重量%の噴霧懸濁液を得た。光散乱による粒径の測定は、177nmに最大を有する単峰性分布を示した。
【0204】
この方法で調製された調製物を、固体ポリマーに基づいて15重量%のアセチルクエン酸トリエチルと混合し、2時間撹拌し、実施例1に類似して、噴霧により表3の錠剤コアに適用した。
【0205】
適用量4mg/cm2の錠剤をpH6.8の緩衝液における抵抗性について試験すると、以下の結果が示された。
【表23】
【0206】
[実施例23]
500gの実施例11により調製されたポリマー粉末を、3gのレシチン、6gのステアリン酸及び150gのタルクとTurbulaミキサーで混合し、次に圧縮機で更に加工した。この方法で製造されたフレークを粉砕し、次に脱塩水に再分散した。光散乱による粒径の測定は、181nmに最大を有する単峰性分布を示した。
【0207】
2.5重量%のBHTを15重量%のアセチルクエン酸トリエチル(固体ポリマーに基づく)に溶解し、次に分散体に加えた。
【0208】
この方法で調製された調製物を、固体ポリマーに基づいて15重量%のアセチルクエン酸トリエチルと混合し、2時間撹拌し、実施例1に類似して、噴霧により表1の錠剤コアに適用した。
【0209】
適用量4mg/cm2の錠剤をpH6.8の緩衝液における抵抗性について試験すると、以下の結果が示された。
【表24】
【0210】
[実施例24]
200gのタルク及び8gのインジゴチンレーキを500gの脱塩水に懸濁し、次に流動層プロセスにおいて、500gの実施例12により調製されたポリマー粉末に適用した。
【表25】
【0211】
顆粒の平均粒径は約312μmであった。
【0212】
100gの顆粒を脱塩水に再分散し、プロペラ撹拌機により60分間撹拌して、固形分20重量%の噴霧懸濁液を得た。光散乱による粒径の測定は、193nmに最大を有する単峰性分布を示した。噴霧懸濁液を、固体ポリマーに基づいて13重量%のクエン酸トリブチルと混合し、2時間撹拌した後、実施例19に類似して、表4の錠剤コアに噴霧することにより更に加工した。
【0213】
4mg/cm2の適用量では、74%のコーティング錠剤が30分後に100%の抵抗性を示した。
【0214】
[実施例25]
200gのタルク、8gのインジゴチンレーキ及び11.9gのグルタル酸を500gの脱塩水に懸濁し、次に実施例11に類似した流動層プロセスにより、500gの実施例13により調製されたポリマー粉末に適用した。これは、8mol%の中和度に相当する。
【0215】
顆粒の平均粒径は298μmであった。
【0216】
100gの顆粒を脱塩水に再分散し、プロペラ撹拌機を使用して60分間撹拌して、固形分20重量%の噴霧懸濁液を得た。光散乱による粒径の測定は、184nmに最大を有する単峰性分布を示した。噴霧懸濁液を、固体ポリマーに基づいて13重量%のクエン酸トリブチルと混合し、2時間撹拌した後、実施例1に類似して、表3の錠剤コアに噴霧することにより更に加工した。
【0217】
4mg/cm2の適用量では、コーティング錠剤は60分後に83%の抵抗性を示した。
【0218】
[実施例26]
100gのタルク、20gの酸化鉄赤及び5.2gのマロン酸を300gの脱塩水に懸濁し、Ultra-Turraxにより10,000rpmで15分間均質化した。この着色懸濁液を、1000mlの、固形分30重量%を有するポリマーAの水性分散体に、撹拌しながら組み込んだ。次にこの方法で調製された、7mol%の中和度を有する噴霧懸濁液を、霧化が1.4mmの二材料ノズルを介して0.30MPaの霧化圧で実施されるSBD噴霧塔において噴霧乾燥した。流入空気温度は135℃であり、流出空気温度は63℃であった。微細画分を噴霧乾燥の間に分離し、噴霧ノズルの前に再び吹き込み、それにより320μmの平均粒径を有する噴霧乾燥粒子を得た。
【0219】
噴霧乾燥生成物を水に組み込み、パドル撹拌機を使用して撹拌することにより、固形分20重量%の噴霧懸濁液を得た。この方法で調製された調製物を、実施例1に類似して、固体ポリマーに基づいて15%のクエン酸トリエチルと混合し、更に2時間撹拌し、噴霧により錠剤コア(表1)に適用した。
【0220】
4mg/cm2の適用量を有するコーティング錠剤は、pH6.8の緩衝液において60分後に100%の抵抗性を示した。
【0221】
[実施例27]
100gの実施例10により調製されたポリマー粉末を、50gのタルク及び4gのインジゴチンレーキとTurbulaミキサーで混合した。
【0222】
重量で20%濃度の懸濁液を作製するために、パドル撹拌機を使用してこの調製物を水に再分散させると、182nmの粒径を生じた。懸濁液を15重量%のセバシン酸ジブチルと混合し、2時間撹拌した後、実施例1に類似して表4の錠剤に噴霧した。4mg/cm2の適用量では、コーティング錠剤は30分後に100%の抵抗性及び60分後に78%の抵抗性を示した。
【0223】
[実施例28]
100gの実施例13で調製されたポリマー粉末を、50gの極微粉砕タルク、4gのインジゴチンレーキ及び2.3gのセバシン酸とTurbulaミキサーで混合した。
【0224】
5mol%の中和度を有する、重量で20%濃度の懸濁液を得るために、パドル撹拌機によりこの調製物を水に再分散した後では、粒径は175nmであった。懸濁液を15重量%のセバシン酸ジブチル及び0.5%のSimethicon(登録商標)と混合し、2時間撹拌した後、実施例1に類似して表4の錠剤に噴霧した。4mg/cm2の適用量では、コーティング錠剤は30分後に100%の抵抗性を示した。
【0225】
[実施例29]
100gの実施例11により調製されたポリマー粉末を、60gのタルク、6gの酸化鉄赤及び0.5gのレシチンとTurbulaミキサーで混合し、次にピンミルで粉砕した。
【0226】
重量で20%濃度の懸濁液を得るためにパドル撹拌機によりこの調製物を水に再分散すると、176nmの粒径を生じ、タルク及び酸化鉄はこの測定のために予め遠心分離された。
【0227】
懸濁液を15重量%のセバシン酸ジブチルと混合し、2時間撹拌した後、実施例19に類似して表1の錠剤に噴霧した。4mg/cm2の適用量では、コーティング錠剤は60分後に83%の抵抗性を示した。
【0228】
[実施例30]
1000mlの、固形分30重量%を有するポリマーAの水性分散体を、霧化が1.4mmの二材料ノズルを介して0.3MPaの霧化圧で実施されるSBD噴霧塔において噴霧乾燥した。流入空気温度は110℃であり、流出空気温度は57℃であった。微細画分を噴霧乾燥の間に分離し、噴霧ノズルの前に再び吹き込み、それにより190μmの平均粒径を有する噴霧乾燥粒子を得た。
【0229】
30gの二酸化チタン、200gのタルク、8.4gのアジピン酸及び25gの酸化鉄をピンミルで粉砕し、次に噴霧乾燥粉末と混合し、脱塩水に再分散し、パドル撹拌機を使用して60分間撹拌することにより、固形分20重量%の噴霧懸濁液を得た。光散乱による粒径の測定は170nmの値を生じた。
【0230】
この方法で調製された調製物を、固体ポリマーに基づいて15重量%のクエン酸トリエチルと混合し、2時間撹拌し、実施例19に類似して噴霧により表1の錠剤コアに適用した。
【0231】
pH6.8の緩衝液における抵抗性についての錠剤の試験は、以下の結果を示した。
【表26】
【0232】
[実施例31]
1000mlの、固形分30重量%を有するポリマーAの水性分散体を、霧化が1.4mmの二材料ノズルを介して0.3MPaの霧化圧で実施される噴霧塔において噴霧乾燥した。流入空気温度は112℃であり、流出空気温度は58℃であった。
【0233】
この粉末を、8.4gの微粉末化アジピン酸、60gの微細タルク、2gの微細キサンタン、15gの微細酸化鉄赤と混合し、次に撹拌しながら水に再分散させ、パドル撹拌機を60分間使用して撹拌することにより、固形分20%の噴霧懸濁駅を得た。光散乱による粒径の測定は168nmの値を生じ、タルク及び酸化鉄はこの測定のために予め遠心分離された。
【0234】
この方法で調製された調製物を、固体ポリマーに基づいて15重量%のクエン酸トリエチルと混合し、2時間撹拌し、実施例19に類似して噴霧により表1の錠剤コアに適用した。
【0235】
pH6.8の緩衝液における抵抗性についての錠剤の試験は、以下の結果を示した。
【表27】
【0236】
[実施例32]
1000mlの、固形分30重量%を有するポリマーAの水性分散体を、霧化が1.4mmの二材料ノズルを介して0.3MPaの霧化圧で実施されるFSD噴霧塔において噴霧乾燥した。流入空気温度は123℃であり、流出空気温度は54℃であった。微細画分を噴霧乾燥の間に分離し、噴霧ノズルの前に再び吹き込み、それにより211μmの平均粒径を有する噴霧乾燥粒子を得た。
【0237】
15.1g/37.7g/75.5gのリンゴ酸をそれぞれの場合に1000mlの脱塩水に溶解し、次に250gの噴霧乾燥粉末を、パドル撹拌機を使用して撹拌しながら対応するリンゴ酸溶液に組み込んだ。これは、2、5又は10mol%の中和度に相当する。60分間の再分散時間の後、それぞれの分散体の平均粒径は220/198/182nmであった。
【0238】
この方法で調製された調製物を、35gのアセチルクエン酸トリエチルと混合し、2時間撹拌し、実施例1に類似して、噴霧により表3の錠剤コアに適用した。
【0239】
適用量4mg/cm2の錠剤をpH6.8の緩衝液における抵抗性について試験すると、以下の結果が示された。
【表28】
【0240】
[実施例33]
1.3gのコハク酸、1.2gフマル酸及び1.6gの酒石酸を、150mlの脱塩水にそれぞれ溶解し、1000mlの、固形分30重量%を有するポリマーAの水性分散体に、撹拌しながら組み込んだ。これは、それぞれの場合において、1.5mol%の中和度に相当する。この部分的に中和された噴霧懸濁液を噴霧塔において実施例1に類似して噴霧乾燥した。
【0241】
粉末の平均粒径は37μmであった。
【0242】
粉末は、実施例1に類似して再分散され、182nmで最大を有する単峰性分布を示す。
【0243】
適用量の4mg/cm2を有する皮膜錠剤を作製する更なる加工を、実施例1に類似して実施した。
【0244】
pH6.8の緩衝液における抵抗性についての錠剤の試験は、以下の結果を示した。
【表29】