(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6223539
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】別の周波数帯域において電力を監視することによるパルス同期
(51)【国際特許分類】
H05H 1/46 20060101AFI20171023BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
H05H1/46 R
H01L21/302 101G
【請求項の数】31
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-500110(P2016-500110)
(86)(22)【出願日】2013年11月21日
(65)【公表番号】特表2016-521430(P2016-521430A)
(43)【公表日】2016年7月21日
(86)【国際出願番号】US2013071235
(87)【国際公開番号】WO2014143215
(87)【国際公開日】20140918
【審査請求日】2015年11月25日
(31)【優先権主張番号】13/834,786
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508240030
【氏名又は名称】エムケーエス インストゥルメンツ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス・ネルソン
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・ジェイ・クーモウ
【審査官】
山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】
特表平10−510095(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0009545(US,A1)
【文献】
米国特許第06879817(US,B1)
【文献】
米国特許第05901348(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0297404(US,A1)
【文献】
特表2012−531880(JP,A)
【文献】
特表2009−514176(JP,A)
【文献】
特表2011−519115(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷に送達するためのパルス化された第1のRF信号を供給する第1のRF発生器と、
前記負荷に送達するためのパルス化された第2のRF信号を供給する第2のRF発生器であって、前記第1のRF信号の電気特性を検出する第1の検出器と、前記第2のRF信号の電気特性を検出する第2の検出器とを含む、第2のRF発生器とを備え、
前記第2のRF発生器のパルス化動作が、前記第1の検出器によって検出された前記電気特性に従って、前記第1のRF発生器の動作と協調される、無線周波数(RF)電力送達システム。
【請求項2】
前記第1のRF発生器、および前記第2のRF発生器の動作を制御する制御器をさらに備える、請求項1に記載のRF電力送達システム。
【請求項3】
前記第1のRF発生器と前記負荷との間に配設された第1の整合ネットワークと、
前記第2のRF発生器と前記負荷との間に配設された第2の整合ネットワークとをさらに備える、請求項1に記載のRF電力送達システム。
【請求項4】
前記第1の検出器が、前記第1のRF信号の立上りエッジ、または前記第1のRF信号の立下りエッジの少なくとも一方を検出するように構成される、請求項1に記載のRF電力送達システム。
【請求項5】
前記第1の検出器が、相互変調歪(IMD)積を検出し、かつ前記第1の検出器が、前記第1のRF信号の立上りエッジまたは立下りエッジの少なくとも一方を検出するように構成される、請求項4に記載のRF電力送達システム。
【請求項6】
前記第2のRF発生器が、前記第1のRF発生器と同時に作動するように構成される、請求項1に記載のRF電力送達システム。
【請求項7】
前記第2のRF発生器が、前記第1のRF発生器が作動してから所定の時間後に作動するように構成される、請求項1に記載のRF電力送達システム。
【請求項8】
前記第2のRF発生器が、前記第2のRF信号を連続波動作モードで生成するように構成される、請求項1に記載のRF電力送達システム。
【請求項9】
前記第1のRF発生器が、前記第1のRF信号をパルス化動作モードで選択的に生成するように構成される、請求項8に記載のRF電力送達システム。
【請求項10】
前記RF発生器の少なくとも一方が、固定周波数で動作する、請求項1に記載のRF電力送達システム。
【請求項11】
前記RF発生器の少なくとも一方が、可変周波数で動作する、請求項1に記載のRF電力送達システム。
【請求項12】
負荷に送達するためのそれぞれの複数のRF信号を供給する複数のRF発生器であって、前記発生器のうちの少なくとも1つがパルス化されたRF信号を供給する、RF発生器と、
前記複数のRF発生器の少なくとも1つに付随する複数の検出器であって、前記複数のRF信号の選択されたものの電気特性を検出するように構成された、複数の検出器とを備え、
他のRF発生器のうちの少なくとも1つのパルス化動作が、前記複数のRF発生器のうちの1つと関連付けられた検出器によって検出された前記それぞれの電気特性に従って協調される、無線周波数(RF)電力送達システム。
【請求項13】
前記複数のRF発生器の選択されたものの動作を制御する制御器をさらに備える、請求項12に記載のRF電力送達システム。
【請求項14】
前記複数の検出器の少なくとも1つが、前記複数のRF信号の選択されたものの立上りエッジ、または前記複数のRF信号の前記選択されたものの立下りエッジの少なくとも一方を検出するように構成される、請求項12に記載のRF電力送達システム。
【請求項15】
前記複数の検出器の少なくとも1つが、相互変調歪(IMD)積を検出し、前記少なくとも1つの検出器が、前記複数のRF信号の前記選択されたものの立上りエッジまたは立下りエッジの少なくとも一方を検出するように構成される、請求項14に記載のRF電力送達システム。
【請求項16】
前記複数のRF発生器の少なくとも1つが、前記複数のRF発生器の少なくとも別のものと同時に作動するように構成される、請求項12に記載のRF電力送達システム。
【請求項17】
前記複数のRF発生器の少なくとも1つが、前記複数のRF発生器の別のものが作動してから所定の時間後に作動するように構成される、請求項12に記載のRF電力送達システム。
【請求項18】
前記複数のRF発生器の少なくとも1つが、第2のRF信号を連続波動作モードで選択的に生成するように構成される、請求項12に記載のRF電力送達システム。
【請求項19】
前記複数のRF発生器の少なくとも1つが、対応するRF信号をパルス化動作モードで生成するように構成される、請求項18に記載のRF電力送達システム。
【請求項20】
前記複数のRF発生器の少なくとも1つが、固定周波数で動作する、請求項12に記載のRF電力送達システム。
【請求項21】
前記複数のRF発生器の少なくとも1つが、可変周波数で動作する、請求項12に記載のRF電力送達システム。
【請求項22】
負荷に送達するためのパルス化された第1のRF信号を供給する第1のRF発生器と、
前記負荷に送達するためのパルス化された第2のRF信号を供給する第2のRF発生器と、
前記第1のRF発生器と前記負荷との間に配設された第1の整合ネットワークと、
前記第2のRF発生器と前記負荷との間に配設された第2の整合ネットワークであって、前記第1のRF信号の電気特性を検出する第1の検出器と、前記第2のRF信号の電気特性を検出する第2の検出器とを含む、第2の整合ネットワークとを備え、
前記第2のRF発生器のパルス化動作が、前記第1の検出器によって検出された前記電気特性に従って、前記第1のRF発生器の動作と協調される、無線周波数(RF)電力送達システム。
【請求項23】
前記第1のRF発生器、および前記第2のRF発生器の動作を制御する制御器をさらに備える、請求項22に記載のRF電力送達システム。
【請求項24】
前記第1の検出器が、前記第1のRF信号の立上りエッジ、または前記第1のRF信号の立下りエッジの少なくとも一方を検出するように構成される、請求項22に記載のRF電力送達システム。
【請求項25】
前記第1の検出器が、相互変調歪(IMD)積を検出し、かつ前記第1の検出器が、前記第1のRF信号の立上りエッジまたは立下りエッジの少なくとも一方を検出するように構成される、請求項24に記載のRF電力送達システム。
【請求項26】
前記第2のRF発生器が、前記第1のRF発生器と同時に作動するように構成される、請求項22に記載のRF電力送達システム。
【請求項27】
前記第2のRF発生器が、前記第1のRF発生器が作動してから所定の時間後に作動するように構成される、請求項22に記載のRF電力送達システム。
【請求項28】
前記第2のRF発生器が、前記第2のRF信号を連続波動作モードで選択的に生成するように構成される、請求項22に記載のRF電力送達システム。
【請求項29】
前記第1のRF発生器が、前記第1のRF信号をパルス化動作モードで生成するように構成される、請求項28に記載のRF電力送達システム。
【請求項30】
前記RF発生器の少なくとも1つが、固定周波数で動作する、請求項22に記載のRF電力送達システム。
【請求項31】
前記RF発生器の少なくとも1つが、可変周波数で動作する、請求項22に記載のRF電力送達システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、RF発生器間でパルス化を効率的に同期させることに関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書に記載の背景の説明は、本開示の例を概括的に提示することを目的とする。本細書で名前を挙げた発明者の仕事は、背景の本項に記載される範囲において、出願時に通常は従来技術とはみなされ得ない本説明の態様と同様に、本開示に対して明示的にも暗示的にも従来技術として認められるものではない。
【0003】
プラズマエッチングは、半導体製造において頻繁に使用される。プラズマエッチングでは、電界によってイオンを加速させて、基板の露出表面をエッチングする。電界は、RF電力システムの無線周波数(RF)発生器によって生成されたRF電力信号に基づいて生成される。RF発生器によって生成されるRF電力信号は、プラズマエッチングを効果的に実行するために、精確に制御しなければならない。
【0004】
RF電力システムは、RF発生器、整合ネットワーク、およびプラズマチャンバなどの負荷を含むことができる。RF発生器は、RF電力信号を生成し、この信号は整合ネットワークで受け取られる。整合ネットワークは、整合ネットワークの入力インピーダンスを、RF発生器と整合ネットワークとの間の伝送線の特性インピーダンスに整合させる。このインピーダンスの整合は、整合ネットワークに送られる電力(「進行波電力(forward power)」)、および整合ネットワークからRF発生器に反射する電力(「反射波電力(reverse power)」)を最小限に抑える一助となる。このインピーダンスの整合はまた、整合ネットワークからプラズマチャンバに送られる電力を最大にする一助となる。
【0005】
RF電源の分野では、RF信号を負荷に印加するのに典型的には2つの手法がある。第1の、より従来型の手法では、連続波信号を負荷に印加する。連続波信号は、典型的には、電源によって負荷に連続して出力される正弦波である。連続波手法では、RF信号は正弦波出力を呈し、この正弦波の振幅および/または周波数は、負荷に印加される出力電力を変動させるように変動させることができる。
【0006】
RF信号を負荷に印加する第2の手法は、連続波信号を負荷に印加するのではなく、RF信号をパルス化させるものである。パルス化動作モードでは、RF正弦波信号は、変調された正弦波信号のエンベロープを画定するように、変調信号によって変調される。従来のパルス化変調方式では、RF正弦波信号は、典型的には一定周波数、および一定振幅で出力される。負荷に送達される電力は、正弦波形のRF信号を変動させるのではなく、変調信号を変動させることによって変動させる。この変調は、パルスシーケンスをオン/オフするための振幅変調でよい。振幅変調は、多重レベルでもよい。
【0007】
プラズマシステムの進化につれて、連続波制御とパルス化RF制御との両方において、重要な製造仕様を満たすために求められる仕様を満たすには、多くの新たな課題がある。進歩の1つとして、様々なプラズマパラメータの制御を高めるために、多数のRF源を使用することがある。これらのパラメータには、電子密度、電子温度、イオン流束、およびイオンエネルギーが含まれる。デュアルRFプラズマシステムが、イオンエネルギーとイオン流束とを独立に制御することが可能となるように開発されてきている。3つのRFプラズマシステムを用いて、イオンエネルギー、およびイオン流束の制御に加えて、材料の表面に入射するイオンの実際のエネルギー分布を制御する薄膜加工が開発されてきている。さらに、補足的なRFバイアスを有する位相固定高密度システムが、様々なエッチング用途に重要となってきている。多数の電源によって、被加工材料の表面に達するイオン流束、およびイオンエネルギーなどのプラズマパラメータを独立してうまく制御することができるようになってきたことによって、パルス化RFプラズマシステムにおけるRF電力カップリングの送達、および制御がより大きい課題となってきている。
【0008】
2つ以上の発生器によってRF電力をチャンバに供給する場合、すべてのRF発生器を、それらの出力を同期させた形でパルス化させることが望ましい。同期とは、絶対同期または相対同期のいずれをも意味し得る。同期の一手法では、すべてのRF発生器を共通のソース信号発生器に接続し、それによってすべてのRF発生器をその共通のソース信号と同期させる。米国特許出願第2009/0284156号に、そのような手法の一例が示されている。この手法では、RF発生器はすべて、パルス同期を意図した特定の設計とする必要があり、また、互換性のある同期ハードウェア、および信号レベルが必要となるので、この手法は常に実行可能であるとは限らない。
図1を参照すると、別の手法では、マスタRF発生器12を用いて、他のRF発生器14に非同期でパルスを送るものである。マスタRF発生器は、そのパルストレインを、他のスレーブRF発生器への接続を介してブロードキャストする。この手法ではまた、マスタRF発生器と、スレーブRF発生器とで共通のハードウェアが必要となる。
図1は、この第2の手法のブロック図を示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願第2009/0284156号
【特許文献2】米国特許第6,707,255号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
無線周波数(RF)電力送達システムは、負荷に送達するための第1のRF信号を供給する第1のRF発生器を含む。第2のRF発生器は、負荷に送達するための第2のRF信号を供給する。第2のRF発生器は、第1のRF信号の電気特性を検出する第1の検出器と、第2のRF信号の電気特性を検出する第2の検出器とを含む。第2のRF発生器の動作は、第1の検出器によって検出された電気特性に従って、第1のRF発生器の動作と協調される。
【0011】
無線周波数(RF)電力送達システムは、負荷に送達するためのそれぞれの複数のRF信号を供給する複数のRF発生器を含む。複数の検出器が、複数のRF発生器の少なくとも1つに付随している。複数の検出器が、複数のRF信号の選択されたものの電気特性を検出するように構成される。RF発生器の動作は、複数の検出器によって検出されたそれぞれの電気特性に従って協調される。
【0012】
無線周波数(RF)電力送達システムは、負荷に送達するための第1のRF信号を供給する第1のRF発生器を含む。第2のRF発生器は、負荷に送達するための第2のRF信号を供給する。第1の整合ネットワークが、第1のRF発生器と負荷との間に配設される。第2の整合ネットワークが、第2のRF発生器と負荷との間に配設される。第2の整合ネットワークは、第1の検出器を含む。第1の検出器は、第1のRF信号の電気特性を検出し、第2の検出器は、第2のRF信号の電気特性を検出する。第2のRF発生器の動作は、第1の検出器によって検出された電気特性に従って、第1のRF発生器の動作と協調される。
【0013】
本明細書に記載の図面は、選択された実施形態を例示する目的のためのものにすぎず、考えられ得るすべての実装形態を示すものではなく、また、本開示の範囲を限定するものでもない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】従来技術で既知のように配置された多数のRF発生器を有するシステムの機能ブロック図である。
【
図2】本開示の様々な実施形態による信号処理システムのブロック図である。
【
図3】本開示の様々な実施形態に従って配置された1対のRF発生器を有するシステムの機能ブロック図である
【
図4】本開示の様々な実施形態に従って配置された多数のRF発生器を有するシステムの動作を表す遷移図である。
【
図5】1対のRF発生器を有し、それらのRF発生器の一方の周波数を、相互変調積を調べることによって検出するシステムの機能ブロック図である。
【
図6】様々な実施形態による、相互変調積が存在する場合の周波数検出を例示した図である。
【
図7】様々な実施形態による、相互変調周波数が、所定の閾値よりも広く分離されている、相互変調積が存在する場合の周波数検出を例示した図である。
【
図8】相互変調積が存在する場合の、同期を制御するための遷移図である。
【
図9】基礎となるクロック周波数が揃っている、相互変調積が存在する場合の、同期を制御するための遷移図である。
【
図10】様々な実施形態による、マスタRF発生器と、スレーブRF発生器とを、異なる周波数でパルス化させる場合の、相互変調積が存在する場合の同期を制御するための遷移図である。
【
図11】RF発生器の1つの高調波を用いた同期を例示した遷移図である。
【
図12】同期用の検出器が、整合ネットワーク内に配置されている、機能ブロック図である。
【
図13】VIプローブの一部分が、スレーブRF発生器内に配置されている、機能ブロック図である
【
図14】スレーブRF発生器内でパルス化を行う場合に制御するための流れ図である。
【
図15】様々な実施形態による1対のRF発生器を有するシステムの機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
対応する参照符号は、図面のいくつかの図にわたって対応する部品を示し、同じ参照符号は同様の要素を指す。
【0016】
次に、例示的な実施形態について、添付の図面を参照しながらより完全に説明する。
【0017】
例示的な実施形態は、本開示が完全となり、かつその範囲が当業者に完全に伝わるように示すものである。本開示の実施形態の完全な理解をもたらすために、具体的な構成要素、デバイス、および方法の例など、多数の具体的な詳細について記載している。具体的な詳細を使用する必要はなく、例示的な実施形態は、多くの異なる形態で実施することができること、また、いずれの実施形態も本開示の範囲を限定するものとして解釈すべきではないことが当業者には明白であろう。いくつかの例示的な実施形態では、周知の工程、周知のデバイス構造、および周知の技術については詳細には説明していない。
【0018】
本明細書で使用する用語は、特定の例示的な実施形態を説明するためのものにすぎず、限定を意図するものではない。本明細書では、単数形「1つの」および「その」は、文脈において別段の明白な指示がない限り、その複数形も同様に含むことがある。「備える」、「備えている」、「含む」、および「有する」という用語は包含的であり、したがって記載された特徴、数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を明示するが、1つまたは複数の他の特徴、数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらの群の存在または追加を排除するものではない。本明細書に記載の方法ステップ、プロセス、および動作は、実施順序として明確に特定されない限り、記載の、または例示の特定の順序で必ず実施する必要があると解釈すべきではない。また、追加のステップ、または代替のステップを使用してもよいことが理解されよう。
【0019】
ある要素または層が、別の要素または層「の上にある」、「に係合している」、「に接続されている」、または「に結合されている」と称される場合、そのある要素または層は、その他方の要素または層の直接上にある、そこに直接係合している、直接接続されている、または直接結合されていても、介在する要素または層が存在してもよい。一方、ある要素が、別の要素または層「の直接上にある」、「に直接係合している」、「に直接接続されている」、または「に直接結合されている」と称される場合、介在する要素または層は存在しなくともよい。要素間の関係を説明するために使用される他の単語も、同様にして解釈すべきである(たとえば、「との間に」と「との間に直接に」、「隣接する」と「直接隣接する」など)。本明細書では、「および/または」という用語は、列挙された関連する品目の1つまたは複数の任意の組合せ、およびあらゆる組合せを含むものである。
【0020】
本明細書では、第1の、第2の、第3の、などの用語を用いて様々な要素、構成要素、領域、層、および/または区画を説明することがあるが、これらの要素、構成要素、領域、層、および/または区画は、これらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、ある要素、構成要素、領域、層、または区画を別の領域、層、または区画から区別するために使用し得るものにすぎない。「第1の」、「第2の」などの用語、および数を表す他の用語は、本明細書では、文脈によって明示されない限り、あるシーケンスまたは順序を暗示するものではない。したがって、以下で論じる第1の要素、構成要素、領域、層、または区画は、例示的な実施形態の教示から逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、層、または区画とも呼ぶことができる。
【0021】
本明細書では、図に例示された一要素または一機構と、別の要素または機構との関係を説明しやすいように、「内側の」、「外側の」、「下の」、「下方の」、「下側の」、「上の」、「上側の」などの空間的な相対用語を用いて説明することがある。空間的な相対用語は、使用時または動作時には、図に示す向きに加えて、デバイスの異なる向きをも包含し得るものである。たとえば、図のデバイスを裏返した場合、他の要素または機構の「下の」または「下方の」と説明していた要素は、他の要素または機構の「上の」向きに向くことになる。したがって、この例示的な「下の」という用語は、上と下との両方の向きを包含し得る。デバイスは他の向きにも向けることができ(90度回転させる、または他の向きにする)、本明細書で使用する空間的な相対用語もそれに応じて解釈することができる。
【0022】
現代のRF発生器は、2つ以上の周波数で電力を検出し、それらの信号をRF発生器の基本周波数と同時に処理することができる、フレキシブルな広域スペクトルRF検出器を有する。
図2を参照すると、
図2は、パルス同期システム20を示す。多数のRF発生器22、24が共通のプラズマチャンバ36に接続されている場合、各RF発生器からの電力の幾分かが、チャンバから反射し、他方のRF発生器22、24のそれぞれの検出器26、28a、28bに入射する。スレーブRF発生器24は、マスタRF発生器22の出力電力を感知することができる。この方法は、直接検出と呼ぶことができる。それぞれの整合(またはマッチ)ネットワーク32、34が、RF発生器22と24との間に挿置されている。ホストまたは制御器30は、スレーブに、それがスレーブRF発生器であること通知する。マスタ発生器22またはスレーブ発生器24のいずれかによって、連続RF電力モードでプラズマが確立された後、ホスト30は、マスタRF発生器22にパルス化を開始するように指令する。
【0023】
様々な実施形態において、検出器は、ハードウェアとソフトウェアとの様々な組合せを含むことができる。非限定的な一例では、検出器は、センサから信号を受け取ることができ、その信号を、ハードウェア、ファームウェア、および/またはソフトウェアの組合せによって分析する。そのような構成では、このチーム検出器は、センサからの信号を分析するモジュール、またはセンサからの信号を分析するモジュールと、センサとの組合せと呼ぶことができる。本開示で規定するセンサとは、様々な実施形態によれば、進行波電力信号および反射波電力信号を出力する方向性カプラ、電圧信号および電流信号を出力するVIプローブ、または当技術分野で既知の他の検出器でよい。様々な実施形態において、検出器とは、センサの出力を処理するモジュールを指すことがあり、検出器28a、28bなどの多数の検出器とは、センサからの特定の周波数における信号を分析するモジュールを指すことがある。他の様々な実施形態において、検出器とは、センサと、センサの出力を処理するモジュールとの組合せを指すことがあり、また、検出器28a、28bなどの多数の検出器とは、単一または多数のセンサと、センサからの単一の周波数、または複数の特定の周波数における信号を分析するモジュールとの組合せを指すことがある。
【0024】
図4は、
図2の様々な実施形態の動作を例示した遷移図を表す。
図2のものなど、完全に同期させた実施形態では、スレーブRF発生器24が、マスタRF発生器信号のエッジを検出することなどによってマスタ22の周波数を検出するとすぐに、スレーブRF発生器は、RF電源をオフにする。立上りエッジ検出も等しく可能である。非限定的な一例として、IMD検出では、典型的には立下りエッジを検出する。高調波検出または基本波検出では、典型的には立上りエッジまたは立下りエッジを検出する。スレーブRF発生器24が再びマスタ22の周波数を検出すると、スレーブRF発生器24はRF電力をオンにする。
【0025】
様々な実施形態において、多数のRF源を用いてプラズマ放電を行うには、様々なパルスシーケンスがある。マスタとスレーブとを同時にオンにすることも、マスタがオンになった後、あらかじめ設定された遅延時間でスレーブをオンにすることも、またはマスタをパルス化させながら、スレーブは連続波(CW: continuous wave)モードとすることもできる。様々な実施形態において、本願の譲受人に譲受され、参照により本明細書に組み込まれた2002年7月10日発行の米国特許第6,707,255号において論じられているように、帯域外エネルギーによって、電力規制に悪影響が及ぼされることはない。
【0026】
高調波または相互変調歪(IMD: intermodulation distortion)の存在は、シース方程式によって説明することができる。シースの式は、RF源による寄与の合計によって一般化される。
s=s
1+s
2+…
式中、下付き文字は多数のRF源のそれぞれのものを表す添え字である。シースは、i番目のRF源によって、以下のように特徴付けられる。
【0028】
式中、
Iは電流、
n
eは電子密度、
Aは電極面積、
eは電子電荷定数、
ωはRF周波数である。
デュアルRF構成では、シースは、以下のように導出される。
s=s
1+s
2+s
1sin(ω
1t)+s
2sin(ω
2t)
高調波エネルギーと、IMD積とが、シース電圧の変調における2乗シース項によって、以下のように生成される。
【0030】
図2および
図3の実施形態は、固定周波数RF発生器のシステムを対象としている。しかし、周波数を迅速かつ自発的に変化させる周波数アジャイル式RF発生器を使用するのが一般的である。
図5〜
図7は、周波数アジャイル式RF発生器を使用した様々な実施形態を示している。周波数アジャイル式RF発生器は、典型的には、非限定的な一例として、ある中心周波数において、その中心周波数の±5%または±10%以内の周波数範囲内で動作する。したがって、アジャイル式周波数システムの検出器には、より広い検出スペクトル窓が組み込まれている。このより広い検出スペクトル窓によって、この検出器は、その検出パラメータを調整する必要なく、周波数範囲内のすべての電力を検出することが可能となる。参照しやすいように、マスタおよびスレーブについて、周波数検出帯域をそれぞれBW
mおよびBW
sと呼ぶこととする。
【0031】
いくつかの例では、BW
mは、整合ネットワーク34、34'、および検出器28、28'のフィルタリングがアナログフィルタリングであるため、スレーブRF発生器24、24'によって検出することができない。検出不能の場合には、検出器28、28'は、相互変調積を分析する。相互変調積は、2つの正弦波周波数の積から生成される。次の議論は、1次IMD効果を指すものである。様々な実施形態において、プラズマ発光では、より高次のIMD積が存在する。単なる例として、2つの正弦波周波数f
1とf
2とを組み合わせると、f
1±f
2が生成される。積はまた、基本周波数の高調波との混合から生成される。マスタ基本周波数f
m(帯域幅BW
m)をスレーブ基本周波数f
sと組み合わせた場合、結果として得られる信号は、BW
mの帯域幅を有し、かつ中心がf
s±f
mcとなり、ここでf
mcは、マスタRF発生器の許容される周波数帯域の中心周波数である。スレーブRF発生器24、24'もやはり、周波数アジャイル式でもよいが、スレーブ検出器28、28bは、スレーブRF発生器の周波数にすぐにアクセス可能であり、したがって検出帯域は必要でない。f
s>>f
mである場合、相互変調積は、システム内のいかなるアナログフィルタリングでも通過帯域の範囲内となる可能性があり、通常は、周波数アジャイル式であり、かつ中心がf
sとなるデジタルフィルタによって除去される。したがって、別のデジタルフィルタを用いて、所望の検出窓において電力を抽出することができる。
【0032】
この検出アイ(detection eye)を取り扱うには、2つの手法がある。
図6を参照すると、一手法は、f
sの両側で電力を同時に検出することである。この手法は、アナログフィルタが、f
sの許容される周波数帯域がどこにあるかにかかわらず、相互変調積が通過するのに十分広い場合にうまく作用する。しかし、いくつかのアナログフィルタでは、スレーブRF発生器の許容される周波数帯域の周辺で狭く同調される。いくつかの相互変調積は、
図7に示すように、f
sがその中心周波数から遠い場合、検出可能でない。第2の手法は、f
sがf
sc(スレーブの中心周波数)未満の場合には、f
s+f
imdを検出し、f
sがf
scよりも大きい場合には、f
s-f
imdを検出することである。様々なチャンバ構成において、f
s±2f
imd相互変調積は、f
s±f
imd相互変調積よりも強い信号強度を示すことがあり、より強い信号対雑音比を示す帯域において検出することが好ましい。
【0033】
相互変調積は、両方のRF発生器が電力を出力しているときにのみ存在するので、第1のRF発生器がオフになる時点と、第2のRF発生器がオフになる時点との間で固有の遅延が生じる。この遅延は、検出と作動との間の差の関数である。この方式では、RFがオフの事象でしか同期させることができないので、両方のRF発生器とも、パルス化周波数、および負荷サイクル情報を用いてプログラミングしなければならない。これらのパラメータを適切に設定することによって、動作時のRFシーケンスを任意にすることができる。第2のRF発生器のオフを遅延させることも可能である。
【0034】
図8を参照しながら、相互変調積に基づいた同期のための遷移図について説明する。まず、マスタRF発生器と、スレーブRF発生器とを、CWモードでオンにしてプラズマを点火し、次いで安定させる。次いで、ホストによって、スレーブRF発生器に、指定されたパルス化周波数、および負荷サイクルで動作するパルス化スレーブRF発生器として動作するように指示する。スレーブRF発生器は、構成設定から、または明確なコマンドを介して、相互変調積の周波数を求める。次いで、スレーブRF発生器は、相互変調積の信号を取得する。ホストは、マスタRF発生器に、パルス化を開始し、パルス化周波数、および負荷サイクルを指定するように指令する。スレーブRF発生器は、相互変調積の消滅を検出し、その出力をパルスオフすることによって応答する。これによって、同期がトリガされる。様々な実施形態において、検出システムには固有の遅延が存在し、この遅延は、スレーブRF発生器によって正確に知られる。ホストは、マスタRF発生器がパルスオフした時点から、スレーブRF発生器がパルスオフする時点までのパルス化遅延を指令することができる。様々な実施形態において、ホストなどの制御器は、同期を制御する。他の様々な実施形態において、電力RF発生器は、自発的または半自発的な同期を実現するように構成することができる。
【0035】
様々な実施形態において、スレーブRF発生器は、マスタRF発生器よりも先にパルスオフすることはできない。スレーブRF発生器は、そのパルス化周波数義務、および負荷サイクル義務が満たされたときにパルスオンする。スレーブRF発生器のパルス化は、相互変調積の検出には依存しない。様々な実施形態において、マスタRF発生器は、スレーブよりも先に、またはその後に、パルスオンすることができる。スレーブRF発生器は、相互変調積を再度取得する。マスタRF発生器がパルス化を停止するまで、またはホストがCW(連続波)動作に戻るように指令するまで、この工程は繰り返される。
【0036】
図9を参照すると、様々な実施形態において、マスタRF発生器の内部クロックと、スレーブRF発生器の内部クロックとを同期させると、スレーブRF発生器は、スレーブRF発生器の検出器による遅延に基づいて、マスタRF発生器がオフになり始めた時点を判定することができるので、さらなる波形操作が可能となる。上記によって、スレーブRF発生器は、パルス化を同期させることが可能となる。この場合、ホストはまた、マスタRF発生器とスレーブRF発生器とが両方とも、まったく同時にCW動作に戻るように、スレーブRF発生器と、マスタRF発生器とにパルス化持続時間を供給しなければならない。
【0037】
図10を参照すると、様々な実施形態において、他の可能性として、マスタとスレーブとで異なる周波数でパルス化させるものがある。両周波数とも、スレーブには既知であり、したがってスレーブは、2つのRF発生器のパルス化周波数の最小公倍数後に同期させることができる。
【0038】
様々な実施形態において、また、
図11を参照すると、他のシステムは、誘導結合プラズマを有し、マスタRF発生器(ソース)と、スレーブRF発生器(バイアス)とが同じRF周波数を出力する。この場合、スレーブRF発生器はまた、マスタRF発生器の第1の高調波を検出することが可能である。この検出の結果、
図4の直接検出法と非常に類似したシナリオが得られる。2つのRF発生器を、上記で論じたように同期させたクロックを用いて同期させるには、ホストによって、マスタRF発生器とスレーブRF発生器とに、パルストレインの持続時間を供給するだけでよい。パルストレインの持続時間が既知である場合、マスタRF発生器と、スレーブRF発生器とを同調させてパルス化させる、さらなる実施形態が存在する。スレーブRF発生器は、スレーブRF発生器の検出遅延が既知であり、また、スレーブRF発生器は、パルス化周波数、および負荷サイクル情報を有し、かつ同期を維持しているため、マスタRF発生器がオフになる時点を予測することができ、スレーブRF発生器の出力は、マスタRF発生器の出力を検出するためにオンになっている必要はない。このシナリオでは、マスタとスレーブとの間のクロックのずれは、
図9で論じたように、パルストレインの全体にわたって小さくする必要はなく、1回のパルス反復のみで小さくすればよい。
【0039】
図12を参照すると、
図12は、整合ネットワーク34を用いてマスタ周波数をフィルタ除去することができる様々な実施形態を示す。そのような様々な実施形態では、フィルタとして機能する整合ネットワークと、プラズマチャンバ36との間に検出器40a、40bを配置する必要があり得る。
図12に示す検出器f
1 40a、およびf
2 40bは、整合ネットワーク内に配置されている。したがって、検出器40a、40bは、反射波信号が、フィルタとしても機能する整合ネットワーク34を通過する前に、f
1およびf
2で電力を検出する。整合ネットワーク34は、通信線42を介してスレーブRF発生器24と通信して、整合ネットワーク34内に配置された検出器40a、40bと、スレーブRF発生器24との間でデータを供給する。様々な実施形態において、通信リンク42は、アナログまたはデジタル通信リンクとして実施することができ、また、プラズマチャンバに印加される電力の制御を行うことが可能となるほど十分に低いループ時間で、高速に動作することができる。
【0040】
図13を参照すると、
図13は、様々な実施形態による、別の周波数帯域において電力を監視することによってパルス同期を実施するためのシステム50を示す。制御器30は、パルス化マスタRF発生器22、およびパルス化スレーブRF発生器24と通信している。各RF発生器22、24は、それぞれのRFエネルギーマスタ出力信号、およびRFエネルギースレーブ出力信号を、それぞれの整合ネットワーク32、34に出力する。整合ネットワーク32、34は、整合機能を実施し、それぞれの出力電力をプラズマチャンバ36に印加する。パルス化スレーブRF発生器24に関連付けられた整合ネットワーク32、34は、マスタRF発生器22、およびスレーブRF発生器24の出力電力を表すRFエネルギー出力信号を生成する。このRFエネルギー信号は、パルス化スレーブRF発生器24に印加される。パルス化スレーブRF発生器24は、検出器28を含む。様々な実施形態において、検出器は、カスケードインテグレータコーム(CIC: cascaded integrator-comb)フィルタなどの、帯域外を除去するためのデジタルフィルタでよい。
図14のものなどの流れ図をあてはめると、RFスレーブ発生器24は、スレーブのパルス化を制御する信号を出力する。
【0041】
図14は、スレーブのパルス化を作動させるべきかを判定するための方法または工程60の流れ図を示す。検出器は、パルスまたはスレーブRF発生器内に配置されている。様々な実施形態における、パルスまたはスレーブRF発生器内の検出器は、異なるカスケードインテグレータコーム(CIC)フィルタを使用しながら、同じアナログ-デジタル変換器(ADC)データを補償器として使用することができる。スヌーピングパルス同期工程62によって、パルスマスタ周波数を直接、または相互変調積周波数を介して分析する。この工程からの出力は、スヌープ周波数帯域内の電力となる。工程64で、この電力を、所定の閾値65と比較する。電力が所定の閾値よりも大きい場合、工程66で高パルス出力信号が生成される。電力が所定の閾値未満の場合、工程68で低パルス出力を示す信号が生成される。
【0042】
本開示では、マスタRF電源とスレーブRF電源との間のパルス動作を同期させるための信号処理装置および方法について説明する。スレーブは、サンプリングされたRF信号を処理して、マスタ電源の存在を検出する。スレーブによってマスタが検出されると、スレーブは、そのパルスシーケンスをマスタRF電源のパルスシーケンスと同期させる。
【0043】
一般的に、スレーブ電源によるRFマスタ電源の存在の検出は、RFスペクトルを調べることによって行われる。スレーブは、スペクトルを監視して、マスタRF電源が通電された時点を判定する。スペクトル内でマスタRF信号を検出するには、2つの手法がある。第1の手法では、RFスペクトルの直接サンプリングを用いて、マスタ電源の存在を検出する。たとえば、マスタ電源の周波数がf
mである場合、スレーブは、スレーブのサンプリングされたスペクトルを調べて、f
mを検出する。様々な実施形態において、検出によって、f
mの全帯域幅を調べることになる。第2の手法では、スレーブを用いて、マスタの周波数の副生成物を検出する。マスタの周波数の副生成物には、マスタの周波数の高調波が含まれ得る。副生成物にはまた、マスタとスレーブとの間の相互変調歪周波数コンテンツも含まれ得る。
【0044】
図15は、スペクトル内におけるマスタのRFの存在を判定する信号処理装置および方法のブロック図を示す。
図15に概略的に示すように、スレーブのマルチポートRFセンサからの2つのRF信号A、Bが、A/D検出器に印加され、A/D検出器によってサンプリングされる。RF信号は、Output A、およびOutput Bとして表示されている。方向性カプラタイプのRFセンサでは、Output Aは、進行波電力ポートに対応し得、Output Bは、反射波電力ポートに対応し得る。VIセンサタイプのRFセンサでは、Output Aは、電圧ポートに対応し得、Output Bは、電流ポートに対応し得る。本説明では、信号を概括的にOutput A、およびOutput Bと称する。
【0045】
マスタ電源の存在を検出するために、スレーブは、適合性のあるマルチプレクサを用いて構成される。マルチプレクサは、デジタル的にサンプリングされた2つのセンサ信号、すなわちOutput AまたはOutput Bのうちの一方を選択する。次いで、選択されたデジタル的にサンプリングされたセンサ信号は、1組の乗算器に送られる。乗算器の1つが、正弦関数を用いて、デジタル的にサンプリングされたセンサ出力の積を計算する。第2の乗算器が、余弦関数を用いて、デジタル的にサンプリングされたセンサ出力の積を計算する。これらの正弦波関数は、ディスクリートデジタルシンセサイザ(DDS: discrete digital synthesizer)によってf
s±f
m±Δfの周波数で構築され、ここでf
sはスレーブ周波数を表し、f
mはマスタ周波数を表す。
【0046】
この1組の乗算器と、DDSとによって、選択されたデジタル的にサンプリングされた信号から2つの出力が得られ、これらの出力は、サンプリングされたセンサのスペクトルを直交成分x
r+jx
iとして表す。この複素数x
r+jx
iは、フィルタリングされて、望ましくない周波数アーチファクトを減衰させ、Δfとして表されるf
sセンサ信号は維持する。様々な実施形態において、f
mの帯域幅を有するフィルタ動作を利用することができ、ここでf
mはマスタの周波数である。様々な実施形態において、実装の効率が良いため、カスケードインテグレータコーム(CIC)を利用することができる。このフィルタの出力は、マスタRF電源を表す周波数f
sにおけるセンサ信号の複素(実部成分および虚部成分)信号Yである。マスタRF電源の存在は、CICフィルタの出力からの複素信号の大きさによって判定される。効率化のため、この大きさを、複雑信号の2乗の合計Y
2r+Y
2iとして計算し、ここでYはxのフィルタリングされたバージョンを示す。スレーブのRFセンサのスペクトルのコンテンツから、マスタRF電源の存在を最終的に判定するとして、この大きさに閾値を印加する。
【0047】
大きさの計算動作を伴うサンプリング、およびフィルタリング動作は、信号処理チェーンにおいて、有限かつ確定可能な遅延を有する。このずれを用いて、スレーブパルス化シーケンスをマスタと同期させる。様々な実施形態において、この方式の多数の事例を展開して、3つ以上の電源間でパルスを同期させることもできる。様々な実施形態において、信号スレーブは、多数(2以上)のマスタRF電源周波数のそれぞれに対応する多数の検出器を有することができる。同様に、カスケードマスタ構成を、この方式に適合させてもよい。様々な実施形態において、第1のスレーブは、マスタRF電源周波数の存在を検出することができ、第2のスレーブは、第1のスレーブRF電力周波数を検出することができる。
【0048】
諸実施形態の前述の説明は、例示および説明のために示してきたものである。上記説明は、本開示を網羅するものでも、本開示を限定するものでもない。特定の実施形態の個々の要素または機構は、一般にその特定の実施形態に限定されるものではなく、応用可能な場合には、互いに入れ替え可能であり、具体的に図示または記載されていない場合でも、選択された実施形態で使用することができる。特定の実施形態の個々の要素または機構はまた、様々に異なっていてもよい。そのような多様性は、本開示から逸脱するものとみなすべきでなく、そのような改変形態はすべて、本開示の範囲内に含まれるものである。
【符号の説明】
【0049】
12、22 マスタRF発生器
14、24、24' スレーブRF発生器
20、50 パルス同期システム
26、28、28'、28a、28b、40a、40b 検出器
30 ホスト(制御器)
32、34、34' 整合ネットワーク
36 プラズマチャンバ
42 通信線