(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1電極上に前記金属酸化物を含む層が備えられ、前記金属酸化物を含む層上に前記ハロゲン化アルカリ系金属を含む層が備えられる、請求項1に記載の有機太陽電池。
前記第1電極上に前記ハロゲン化アルカリ系金属を含む層が備えられ、前記ハロゲン化アルカリ系金属を含む層上に前記金属酸化物を含む層が備えられる、請求項1に記載の有機太陽電池。
前記第1電極と前記第2電極との間に、正孔注入層、正孔輸送層、中間層(interlayer)、正孔遮断層、電荷発生層、電子遮断層および電子輸送層からなる群から選択された1層以上の有機物層をさらに含む、請求項1または4に記載の有機太陽電池。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書において、ある部材が他の部材「上に」位置しているとする時、これは、ある部材が他の部材に接している場合だけでなく、2つの部材の間にまた他の部材が存在する場合も含む。
【0020】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に逆の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいことを意味する。
【0021】
以下、本明細書についてより詳細に説明する。
【0022】
本明細書の一実施状態は、基板、前記基板上に備えられた第1電極、前記第1電極に対向して備えられた第2電極、前記第1電極と前記第2電極との間に備えられた光活性層を含む1層以上の有機物層、および前記第1電極と前記光活性層との間に備えられた電極改質層を含み、
前記電極改質層は金属酸化物を含む層およびハロゲン化アルカリ系金属を含む層からなる2層構造であり、
前記金属酸化物を含む層およびハロゲン化アルカリ系金属を含む層は互いに接して備えられ、
前記金属酸化物を含む層と前記ハロゲン化アルカリ系金属を含む層の界面から前記金属酸化物を含む層の全体厚さの15%以下の厚さにまで前記ハロゲン化アルカリ系金属の陽イオンが広がっている有機太陽電池を提供する。
【0023】
本明細書の一実施状態によれば、前記金属酸化物を含む層と前記ハロゲン化アルカリ系金属を含む層の界面から前記金属酸化物を含む層の全体厚さの10%以下の厚さにまで前記ハロゲン化アルカリ系金属の陽イオンが広がっていてもよい。
【0024】
本明細書の一実施状態によれば、前記第1電極上に前記金属酸化物を含む層が備えられ、前記金属酸化物を含む層上に前記ハロゲン化アルカリ系金属を含む層が備えられることができる。
【0025】
本明細書の一実施状態によれば、前記第1電極上に前記ハロゲン化アルカリ系金属を含む層が備えられ、前記ハロゲン化アルカリ系金属を含む層上に前記金属酸化物を含む層が備えられることができる。
【0026】
図1および
図2は、本明細書の一実施状態による有機太陽電池の積層構造を示すものである。具体的には、
図1および
図2は、基板101上に第1電極201が備えられ、前記第1電極201上に2層構造の電極改質層として金属酸化物を含む層401およびハロゲン化アルカリ系金属を含む層501が備えられ、前記電極改質層上に光活性層601が備えられ、前記光活性層上に第2電極のバッファ層701が備えられ、前記第2電極のバッファ層701上に第2電極が備えられた積層構造を示すものである。但し、本明細書の一実施状態による有機太陽電池は
図1および
図2の積層構造に限定されず、追加の層がさらに備えられることができる。
【0027】
前記金属酸化物を含む層は前記第1電極の特性を改質する役割をすることができる。具体的には、第1電極がp型の半導体特性を示す場合、n型の半導体特性を有する金属酸化物を含む層を形成して第1電極の特性を変化させることができる。
【0028】
前記金属酸化物を含む層がない場合、p型の半導体特性を有する透明電極上に有機物層が接する場合、オーミックコンタクト(ohmic contact)がなされず、有機太陽電池の効率低下が発生しうる。よって、前記金属酸化物を含む層は透明電極と有機物層との間に電子流れを円滑にすることができる。但し、金属酸化物を含む層のみを電極改質層として用いる場合、nタイプ層として性能が低い。また、金属酸化物を含む層上に塗布される有機物層との界面特性が良くないため、有機太陽電池の充電効率が良くなく、薄膜の厚さおよび平坦化に対する制御が困難な問題がある。さらに、前記金属酸化物を含む層はナノ構造を生成するために高温で熱処理をする過程が必要であるため、熱に弱いプラスチック基板などの使用が制限されるという問題があった。そこで、本発明者らは、金属酸化物を含む層の熱処理温度を下げても高性能を実現できる有機太陽電池を開発した。
【0029】
本明細書の一実施状態による有機太陽電池は、電極改質層として前記金属酸化物を含む層にハロゲン化アルカリ系金属を含む層をさらに備えることにより、低い熱処理をしても優れた性能を発揮することができる。具体的には、本明細書の一実施状態による有機太陽電池は、透明電極と金属酸化物との間または金属酸化物と光活性層との間に形成されるダイポール(dipole)による電荷注入障壁を低下することができる。また、本明細書の一実施状態による有機太陽電池は、前記ハロゲン化アルカリ系金属を含む層によるアルカリ系金属のドーピング効果が発生して、電荷の収集および輸送特性が改善し、電荷密度の増加を実現することができる。
【0030】
前記ハロゲン化アルカリ系金属を含む層は、透明電極および/または金属酸化物を含む層の特性を改質する役割をすることができる。前記ハロゲン化アルカリ系金属を含む層は有機物層との界面障壁を下げることができ、低温の熱処理によっても金属酸化物を含む層を形成できるという長所がある。
【0031】
具体的には、金属酸化物を含む層のみを電極改質層として用いる場合には200℃以上の高温の熱処理過程が必要であったが、本明細書の一実施状態による有機太陽電池は150℃以下の低温の熱処理過程によっても前記金属酸化物を含む層を形成することができる。
【0032】
本明細書の一実施状態による有機太陽電池は低温の熱処理による金属酸化物を含む層の短所を改善することができ、それによって様々な種類の基板を適用できるという利点がある。すなわち、高温の適用が困難なフレキシブル基板、具体的にはプラスチック材質の基板を用いて有機太陽電池を製作できるという長所もある。
【0033】
本明細書の一実施状態は、基板、前記基板上に備えられた第1電極、前記第1電極に対向して備えられた第2電極、前記第1電極と前記第2電極との間に備えられた光活性層を含む1層以上の有機物層、および前記第1電極と前記光活性層との間に備えられた電極改質層を含み、
前記電極改質層は金属酸化物およびハロゲン化アルカリ系金属を含む単一層構造である有機太陽電池を提供する。
【0034】
図3は、本明細書の一実施状態による有機太陽電池の積層構造を示すものである。具体的には、
図3は、基板101上に第1電極201が備えられ、前記第1電極201上に単一層構造の電極改質層801が備えられ、前記電極改質層801上に光活性層601が備えられ、前記光活性層上に第2電極のバッファ層701が備えられ、前記第2電極のバッファ層701上に第2電極が備えられた積層構造を示すものである。但し、本明細書の一実施状態による有機太陽電池は
図3の積層構造に限定されず、追加の層がさらに備えられることができる。
【0035】
本明細書の一実施状態によれば、前記単一層構造の電極改質層は、前記金属酸化物の陽イオンと前記ハロゲン化アルカリ系金属の陽イオンの比率が100:1〜10:2であってもよい。
【0036】
前記単一層構造の電極改質層を含む前記有機太陽電池は、前述した前記2層構造の電極改質層を含む有機太陽電池と同一の効果を発揮することができる。すなわち、前記単一層構造の電極改質層を含む前記有機太陽電池は、150℃以下の低温の熱処理過程によっても優れた性能を実現することができる。具体的には、前記ハロゲン化アルカリ系金属によって前記電極改質層の電荷移動能力が上昇し、それによって低温の熱処理工程によっても高導電性の金属酸化物構造が前記電極改質層内に形成されることができる。特に、前記単一層構造の電極改質層の場合、ハロゲン化アルカリ系金属層を構成するために蒸着などの乾式工程を用いることなく溶液上で容易に実現することができるため、大面積化する場合に低費用で実現できるという長所がある。
【0037】
本明細書の一実施状態によれば、前記電極改質層は前記第1電極に接して備えられることができる。
【0038】
本明細書の一実施状態によれば、前記金属酸化物は、ZnO、TiO
x、NiO、RuO、V
2O
5、WO
x、Cs
2CO
3、MoO
3、ZrO
2、Ta
2O
3およびMgOからなる群から選択された1種または2種以上を含むことができる。
【0039】
本明細書の一実施状態によれば、前記ハロゲン化アルカリ系金属を含む層は、LiF、NaF、KF、RbF、CsF、FrF、BeF
2、MgF
2、CaF
2、SrF
2、BaF
2およびRaF
2からなる群から選択された1種または2種以上を含むことができる。
【0040】
本明細書の一実施状態によれば、前記金属酸化物を含む層はアルカリ系金属イオンでドーピングされることができる。
【0041】
本明細書の一実施状態によれば、前記金属酸化物を含む層の厚さは5nm以上200nm以下であってもよい。具体的には、本明細書の一実施状態によれば、前記金属酸化物を含む層の厚さは20nm以上60nm以下であってもよい。
【0042】
本明細書の一実施状態によれば、前記ハロゲン化アルカリ系金属を含む層の厚さは0.1nm以上15nm以下であってもよい。具体的には、本明細書の一実施状態によれば、前記ハロゲン化アルカリ系金属を含む層の厚さは1nm以上7nm以下であってもよい。
【0043】
本明細書の一実施状態によれば、前記単一層構造の電極改質層の厚さは5nm以上200nm以下であってもよい。具体的には、本明細書の一実施状態によれば、前記単一層構造の電極改質層の厚さは20nm以上60nm以下であってもよい。
【0044】
本明細書の一実施状態によれば、前記電極改質層は透明電極改質層であってもよい。
【0045】
本明細書の一実施状態によれば、前記第1電極は透明電極であってもよい。
【0046】
本明細書の一実施状態によれば、前記第2電極は金属電極であってもよい。
【0047】
本明細書の一実施状態によれば、前記第1電極は透明電極であり、前記第2電極は金属電極であってもよい。
【0048】
本明細書の一実施状態によれば、前記第1電極および前記第2電極は透明電極であってもよい。
【0049】
本明細書の一実施状態によれば、前記第1電極は金属電極であり、前記第2電極は透明電極であってもよい。
【0050】
本明細書の「透明」は可視光線の透過率が50%以上であることを意味することができる。具体的には、前記「透明」は可視光線の透過率が75%以上100%以下であることを意味することができる。
【0051】
本明細書の一実施状態によれば、前記透明電極は透明導電酸化物層であってもよい。具体的には、前記透明導電酸化物層は、ガラスおよび石英板の他にPET(polyethylene terephthalate)、PEN(polyethylene naphthelate)、PP(polypropylene)、PI(polyimide)、PC(polycarbornate)、PS(polystyrene)、POM(polyoxyethlene)、AS樹脂(acrylonitrile styrene copolymer)、ABS樹脂(acrylonitrile butadiene styrene copolymer)、TAC(Triacetyl cellulose)およびPAR(polyarylate)などを含むプラスチックのようにフレキシブルで透明な基板上に導電性を有する物質がドーピングされたものが用いられることができる。より具体的には、前記透明導電酸化物層はITO(indium tin oxide)、FTO(fluorine doped tin oxide)、AZO(aluminium doped zinc oxide)、IZO(indium zinc oxide)、ZnO−Ga
2O
3、ZnO−Al
2O
3およびATO(antimony tin oxide)などであってもよく、より具体的にはITOであってもよい。
【0052】
本明細書の一実施状態によれば、前記金属電極は、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、白金(Pt)、タングステン(W)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、金(Au)、ニッケル(Ni)およびパラジウム(Pd)からなる群から選択された1種または2種以上を含むことができる。より具体的には、前記金属電極は銀(Ag)であってもよい。
【0053】
本明細書の一実施状態によれば、前記基板は、ガラス、高分子物質および金属からなる群から選択された1種以上を含むことができる。具体的には、本明細書の一実施状態によれば、前記基板は透明基板であってもよい。具体的には、前記透明基板はソーダ灰ガラスまたは透明プラスチックであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0054】
本明細書の一実施状態によれば、前記基板はフレキシブル基板であってもよい。
【0055】
本明細書の一実施状態によれば、前記基板は高分子物質を含むフレキシブル基板であってもよい。具体的には、前記基板はプラスチック材質の基板であってもよい。
【0056】
本明細書の一実施状態によれば、前記高分子物質は、ポリイミド(PI)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、エチレン共重合体、ポリプロピレン(PP)、プロピレン共重合体、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)(TPX)、ポリアリレート(PAR)、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリスルホン(PSF)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ酢酸ビニル(PVAC)、ポリビニルアルコール(PVAL)、ポリビニルアセタール、ポリスチレン(PS)、AS樹脂、ABS樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、フッ素樹脂、フェノール樹脂(PF)、メラミン樹脂(MF)、尿素樹脂(UF)、不飽和ポリエステル(UP)、エポキシ樹脂(EP)、ジアリルフタルレート樹脂(DAP)、ポリウレタン(PUR)、ポリアミド(PA)、シリコン樹脂(SI)またはこれらの混合物および化合物を含むことができる。
【0057】
本明細書の一実施状態によれば、前記第1電極はアノードであり、前記第2電極はカソードであってもよい。また、前記第1電極はカソードであり、前記第2電極はアノードであってもよい。
【0058】
本明細書の一実施状態によれば、前記有機太陽電池は逆(inverted)構造であってもよい。具体的には、前記逆構造は基板上に備えられた第1電極がカソードであることを意味する。
【0059】
本明細書の一実施状態によれば、前記有機太陽電池はノーマル構造であってもよい。具体的には、前記ノーマル構造は基板上に備えられた第1電極がアノードであることを意味する。
【0060】
本明細書の一実施状態によれば、前記有機太陽電池は、前記光活性層と前記第2電極との間に備えられた第2電極のバッファ層をさらに含むことができる。具体的には、本明細書の一実施状態によれば、前記第2電極のバッファ層は金属電極と光活性層との間に位置することができ、前記バッファ層は金属電極と光活性層との間の界面エネルギーを制御して円滑な電荷流れを誘導することができる。
【0061】
本明細書の一実施状態によれば、前記第2電極のバッファ層は導電性高分子および/または金属酸化物を含むことができる。具体的には、前記導電性高分子は共役高分子物質、誘電体高分子、グラフェン炭素ナノチューブおよびそれらの複合体などが可能である。具体的には、前記共役高分子物質は、PEN(poly[(9,9−bis(30−(N,N−dimethylamino)propyl)−2,7−fluorene)−alt−2,7−(9,9−dioctylfluorene)])およびFPQ−Br(poly[9,9’−bis[6’’−(N,N,N−trimethylammonium)hexyl]fluorene−co−alt−phenylene]dibromide)などであってもよい。また、前記誘電体高分子は、PEI(Polyethylenimine)およびPEIE(polyethylenimine ethoxylated)などであってもよい。また、前記導電性高分子は、フタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、芳香族アミン化合物、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT:PSS)およびポリアニリン(Polyaniline)からなる群から選択された1種または2種以上を含むことができる。
【0062】
本明細書の一実施状態によれば、第2電極のバッファ層に含まれる前記金属酸化物はV
2O
5および/またはMoO
3を含むことができる。
【0063】
本明細書の一実施状態によれば、前記光活性層はバルク異種接合構造または二重層接合構造であってもよい。前記バルク異種接合構造はバルクヘテロ接合(BHJ:bulk heterojunction)の接合型であってもよく、前記二重層接合構造はバイレイヤ(bi−layer)の接合型であってもよい。前記バイレイヤ(bi−layer)のp−n接合型の光活性単位は、p型半導体薄膜とn型半導体薄膜の2層からなる光活性層を含む。BHJ(bulk heterojunction)接合型の光活性単位は、n型半導体とp型半導体がブレンドされた光活性層を含む。
【0064】
本明細書の前記光活性層は光励起によってp型半導体が電子と正孔が対をなしたエキシトン(exciton)を形成し、前記エキシトンがp−n接合部において電子と正孔に分離する。分離した電子と正孔はn型半導体薄膜およびp型半導体薄膜に各々移動し、これらが各々第1電極と第2電極に収集されることにより、外部で電気エネルギーとして利用することができる。
【0065】
本明細書の実施状態において、前記光活性層は、光活性物質として、電子供与物質および電子受容物質を含む。本明細書において、光活性物質は前記電子供与物質および前記電子受容物質を意味することができる。
【0066】
前記光活性層は光励起によって前記電子供与物質が電子と正孔が対をなしたエキシトン(exciton)を形成し、前記エキシトンが電子供与体/電子受容体の界面において電子と正孔に分離する。分離した電子と正孔は電子供与物質および電子受容物質に各々移動し、これらが各々第1電極と第2電極に収集されることにより、外部で電気エネルギーとして利用することができる。
【0067】
本明細書の一実施状態によれば、前記電子供与物質と電子受容物質の質量比は1:10〜10:1であってもよい。具体的には、本明細書の前記電子受容物質と電子供与物質の質量比は1:0.5〜1:5であってもよい。
【0068】
本明細書の前記光活性層は、電子供与物質および電子受容物質がBHJ(bulk heterojunction)を形成することができる。本明細書の前記光活性層は、前記電子供与物質および電子受容物質が混合された後に特性を最大化させるために30〜300℃で1秒〜24時間アニーリングを行うことができる。
【0069】
本明細書の一実施状態によれば、前記光活性層は、少なくとも1種の電子供与物質および少なくとも1種の電子受容物質を含むことができる。
【0070】
本明細書の一実施状態によれば、前記光活性層は、少なくとも2種の電子供与物質および少なくとも1種の電子受容物質を含むことができる。
【0071】
本明細書の一実施状態によれば、前記光活性層は、少なくとも1種の電子供与物質および少なくとも2種の電子受容物質を含むことができる。
【0072】
本明細書の一実施状態によれば、前記電子供与物質は、少なくとも1種の電子供与体、または少なくとも1種の電子受容体と少なくとも1種の電子供与体の重合体を含むことができる。前記電子供与物質は少なくとも1種の電子供与体を含むことができる。また、前記電子供与物質は、少なくとも1種の電子受容体と少なくとも1種の電子供与体の重合体を含むことができる。
【0073】
具体的には、本明細書の一実施状態によれば、前記電子供与物質は下記化学式で表される電子受容体のうち少なくとも1つを含む共重合体であってもよい。
【化1】
【0074】
前記電子供与物質において、
R
2〜R
5は互いに同一であるかまたは異なり、各々独立して、水素;重水素;ハロゲン基;ニトリル基;ニトロ基;イミド基;アミド基;ヒドロキシ基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアリールオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルチオキシ基;置換もしくは非置換のアリールチオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルスルホキシ基;置換もしくは非置換のアリールスルホキシ基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のホウ素基;置換もしくは非置換のアルキルアミン基;置換もしくは非置換のアラルキルアミン基;置換もしくは非置換のアリールアミン基;置換もしくは非置換のヘテロアリールアミン基;置換もしくは非置換のアリール基;置換もしくは非置換のフルオレニル基;置換もしくは非置換のカルバゾール基;およびN、OおよびS原子のうち1個以上を含む置換もしくは非置換の複素環基からなる群から選択されるか、隣接した2個の置換基は縮合環を形成してもよい。
【0075】
X
1およびX
2は互いに同一であるかまたは異なり、各々独立して、CRR’、NR、O、SiRR’、PR、S、GeRR’、SeおよびTeからなる群から選択され、Y
1〜Y
4は互いに同一であるかまたは異なり、各々独立して、CR、N、SiR、PおよびGeRからなる群から選択される。
【0076】
RおよびR’は互いに同一であるかまたは異なり、各々独立して、水素;重水素;ハロゲン基;ニトリル基;ニトロ基;イミド基;アミド基;ヒドロキシ基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアリールオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルチオキシ基;置換もしくは非置換のアリールチオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルスルホキシ基;置換もしくは非置換のアリールスルホキシ基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のホウ素基;置換もしくは非置換のアルキルアミン基;置換もしくは非置換のアラルキルアミン基;置換もしくは非置換のアリールアミン基;置換もしくは非置換のヘテロアリールアミン基;置換もしくは非置換のアリール基;置換もしくは非置換のフルオレニル基;置換もしくは非置換のカルバゾール基;およびN、OおよびS原子のうち1個以上を含む置換もしくは非置換の複素環基からなる群から選択されるか、隣接した2個の置換基は縮合環を形成してもよい。
【0077】
また、本明細書の一実施状態によれば、前記電子供与物質は、下記化学式で表される電子供与体のうち少なくとも1つを含む共重合体であってもよい。
【化2】
【0078】
前記電子供与体において、
R
2およびR
3は互いに同一であるかまたは異なり、各々独立して、水素;重水素;ハロゲン基;ニトリル基;ニトロ基;イミド基;アミド基;ヒドロキシ基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアリールオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルチオキシ基;置換もしくは非置換のアリールチオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルスルホキシ基;置換もしくは非置換のアリールスルホキシ基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のホウ素基;置換もしくは非置換のアルキルアミン基;置換もしくは非置換のアラルキルアミン基;置換もしくは非置換のアリールアミン基;置換もしくは非置換のヘテロアリールアミン基;置換もしくは非置換のアリール基;置換もしくは非置換のフルオレニル基;置換もしくは非置換のカルバゾール基;およびN、O、S原子のうち1個以上を含む置換もしくは非置換の複素環基からなる群から選択されるか、隣接した2個の置換基は縮合環を形成してもよい。
【0079】
X
1〜X
3は互いに同一であるかまたは異なり、各々独立して、CRR’、NR、O、SiRR’、PR、S、GeRR’、SeおよびTeからなる群から選択され、Y
1およびY
2は互いに同一であるかまたは異なり、各々独立して、CR、N、SiR、PおよびGeRからなる群から選択され、
前記RおよびR’は互いに同一であるかまたは異なり、各々独立して、水素;重水素;ハロゲン基;ニトリル基;ニトロ基;イミド基;アミド基;ヒドロキシ基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアリールオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルチオキシ基;置換もしくは非置換のアリールチオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルスルホキシ基;置換もしくは非置換のアリールスルホキシ基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のホウ素基;置換もしくは非置換のアルキルアミン基;置換もしくは非置換のアラルキルアミン基;置換もしくは非置換のアリールアミン基;置換もしくは非置換のヘテロアリールアミン基;置換もしくは非置換のアリール基;置換もしくは非置換のフルオレニル基;置換もしくは非置換のカルバゾール基;およびN、OおよびS原子のうち1個以上を含む置換もしくは非置換の複素環基からなる群から選択されるか、隣接した2個の置換基は縮合環を形成してもよい。
【0080】
前記aは1〜4の整数であってもよく、前記bは1〜6の整数であってもよく、前記cは1〜8の整数であってもよく、前記dは1〜3の整数であってもよく、前記eは1〜3の整数であってもよい。
【0081】
本明細書の一実施状態によれば、前記光活性層は添加剤をさらに含むことができる。
【0082】
本明細書の一実施状態によれば、前記添加剤は電荷の移動および電荷の密度を調節するための物質であることができ、具体的には、ルイス酸物質、F4−TCNQ、ジヒドロベンゾイミダゾール系物質、メタロセンダイマー物質などであってもよい。
【0083】
また、本明細書の一実施状態によれば、前記添加剤は前記光活性層の混和性および/またはモルホロジーの調節のための物質であることができ、具体的には、1,8−ジヨードオクタン(1,8−Diiodooctane)、1,8−オクタンジチオール(1,8−octanedithiol)、トリエチレングリコール(Triethyleneglycol)、1,8−ジブロモオクタン(1,8−Dibromooctane)、1,4−ジヨードブタン(1,4−Diiodobutane)、1,6−ジヨードヘキサン(1,6−Diiodohexane)、ヘキサデカン(Hexadecane)、ジエチレングリコールジブチルエーテル(Diethyleneglycoldibutylether)、1−クロロナフタレン(1−Chloronaphthalene)、ニトロベンゼン(Nitrobenzene)、4−ブロモアニソール(4−Bromoanisole)、N−メチル−2−ピロリドン(N−Methyl−2−pyrrolidone)、3−メチルチオフェン(3−Methylthiophene)、3−ヘキシルチオフェン(3−Hexylthiophene)、ポリジメチルシロキサン(Polydimethylsiloxane)、1−メチルナフタレン(1−Methylnaphthalene)、ジフェニルエーテル(Diphenylether)、ポリスチレン(PS)およびポリメチルメタクリレート(PMMA)などの高分子などであってもよい。
【0084】
具体的には、前記電子供与物質は、MEH−PPV(poly[2−methoxy−5−(2’−ethyl−hexyloxy)−1,4−phenylene vinylene])をはじめとして、チオフェン系、フルオレン系、カルバゾール系などの様々な高分子物質および単分子物質であってもよい。
【0085】
具体的には、前記単分子物質は、銅(II)フタロシアニン(Copper(II)phthalocyanine)、亜鉛フタロシアニン(zinc phthalocyanine)、トリス[4−(5−ジシアノメチリデンメチル−2−チエニル)フェニル]アミン(tris[4−(5−dicyanomethylidenemethyl−2−thienyl)phenyl]amine)、2,4−ビス[4−(N,N−ジベンジルアミノ)−2,6−ジヒドロキシフェニル]スクアライン(2,4−bis[4−(N,N−dibenzylamino)−2,6−dihydroxyphenyl]squaraine)、ベンズ[b]アントラセン(benz[b]anthracene)およびペンタセン(pentacene)からなる群から選択された1種以上の物質を含むことができる。
【0086】
具体的には、前記高分子物質は、ポリ3−ヘキシルチオフェン(P3HT:poly 3−hexyl thiophene)、PCDTBT(poly[N−9’−heptadecanyl−2,7−carbazole−alt−5,5−(4’−7’−di−2−thienyl−2’,1’,3’−benzothiadiazole)])、PCPDTBT(poly[2,6−(4,4−bis−(2−ethylhexyl)−4H−cyclopenta[2,1−b;3,4−b’]dithiophene)−alt−4,7−(2,1,3−benzothiadiazole)])、PFO−DBT(poly[2,7−(9,9−dioctyl−fluorene)−alt−5,5−(4,7−di 2−thienyl−2,1,3−benzothiadiazole)])、PTB7(Poly[[4,8−bis[(2−ethylhexyl)oxy]benzo[1,2−b:4,5−b’]dithiophene−2,6−diyl][3−fluoro−2−[(2−ethylhexyl)carbonyl]thieno[3,4−b]thiophenediyl]])、PSiF−DBT(Poly[2,7−(9,9−dioctyl−dibenzosilole)−alt−4,7−bis(thiophen−2−yl)benzo−2,1,3−thiadiazole])からなる群から選択された1種以上の物質を含むことができる。
【0087】
本明細書の一実施状態によれば、前記電子受容物質はフラーレン誘導体または非フラーレン誘導体であってもよい。
【0088】
本明細書の一実施状態によれば、前記フラーレン誘導体はC60〜C90のフラーレン誘導体である。具体的には、前記フラーレン誘導体はC60フラーレン誘導体またはC70フラーレン誘導体であってもよい。
【0089】
本明細書の一実施状態によれば、前記C60フラーレン誘導体またはC70フラーレン誘導体は、各々独立して、水素;重水素;ハロゲン基;ニトリル基;ニトロ基;イミド基;アミド基;ヒドロキシ基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアリールオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルチオキシ基;置換もしくは非置換のアリールチオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルスルホキシ基;置換もしくは非置換のアリールスルホキシ基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のホウ素基;置換もしくは非置換のアルキルアミン基;置換もしくは非置換のアラルキルアミン基;置換もしくは非置換のアリールアミン基;置換もしくは非置換のヘテロアリールアミン基;置換もしくは非置換のアリール基;およびN、O、S原子のうち1個以上を含む置換もしくは非置換の複素環基からなる群から選択されるか、隣接した2個の置換基は縮合環を形成する置換基でさらに置換されてもよい。
【0090】
本明細書の一実施状態によれば、前記フラーレン誘導体は、C76フラーレン誘導体、C78フラーレン誘導体、C84フラーレン誘導体およびC90フラーレン誘導体からなる群から選択されることができる。
【0091】
本明細書の一実施状態によれば、前記C76フラーレン誘導体、C78フラーレン誘導体、C84フラーレン誘導体およびC90フラーレン誘導体は、各々独立して、水素;重水素;ハロゲン基;ニトリル基;ニトロ基;イミド基;アミド基;ヒドロキシ基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアリールオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルチオキシ基;置換もしくは非置換のアリールチオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルスルホキシ基;置換もしくは非置換のアリールスルホキシ基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のホウ素基;置換もしくは非置換のアルキルアミン基;置換もしくは非置換のアラルキルアミン基;置換もしくは非置換のアリールアミン基;置換もしくは非置換のヘテロアリールアミン基;置換もしくは非置換のアリール基;およびN、O、S原子のうち1個以上を含む置換もしくは非置換の複素環基からなる群から選択されるか、隣接した2個の置換基は縮合環を形成する置換基でさらに置換されてもよい。
【0092】
前記フラーレン誘導体は、非フラーレン誘導体に比べて、電子−正孔対(exciton、electron− hole pair)を分離する能力と電荷移動度に優れて効率特性に有利である。
【0093】
本明細書の一実施状態によれば、前記光活性層は、ポリ3−ヘキシルチオフェン[P3HT:poly 3−hexyl thiophene]を電子供与物質とし、[6,6]−フェニル−C
61−ブチル酸メチルエステル(PC
61BM)および/または[6,6]−フェニル−C
71−ブチル酸メチルエステル(PC
71BM)を電子受容物質として含むことができる。
【0094】
本明細書の一実施状態において、前記電子供与物質と電子受容物質の質量比は1:0.4〜1:2であってもよく、具体的には1:0.7であってもよい。但し、前記光活性層は上記の物質にのみ限定されるものではない。
【0095】
前記のような光活性物質は、有機溶媒に溶解させた後、溶液をスピンコーティングなどの方法により、50nmから280nm範囲の厚さで光活性層を導入する。この時、光活性層は、ディップコーティング、スクリーン印刷、スプレーコーティング、ドクターブレード、刷毛塗り法などの方法を応用することができる。
【0096】
また、前記電子受容体はPC
61BMを含み、C70、C76、C78、C80、C82、C84などの他のフラーレン誘導体を用いることもでき、コーティングされた薄膜は80℃〜160℃で熱処理して導電性高分子の結晶性を高めた方が良い。
【0097】
本明細書の前記正孔輸送層および/または電子輸送層物質は、電子と正孔を光活性層に効率的に伝達させることによって、生成される電荷が電極に移動する確率を高める物質であることができるが、特に制限されない。
【0098】
本明細書の一実施状態によれば、前記正孔輸送層は、PEDOT:PSS、モリブデン酸化物(MoO
x)、バナジウム酸化物(V
2O
5)、ニッケル酸化物(NiO)、およびタングステン酸化物(WO
x)からなる群から選択された1種以上を含むことができる。
【0099】
本明細書の一実施状態によれば、前記正孔輸送層はアノードバッファ層であってもよい。
【0100】
前記前処理された光活性層の上部には、正孔輸送層がスピンコーティング、ディップコーティング、インクジェット印刷、グラビア印刷、スプレーコーティング、ドクターブレード、バーコーティング、グラビアコーティング、刷毛塗り法、熱蒸着などの方法によって導入されることができる。本明細書の一実施状態によれば、前記正孔輸送層はMoO
3を熱蒸着システムによって5nm〜10nmの厚さに形成されることができる。
【0101】
本明細書の一実施状態によれば、前記有機太陽電池は巻き取られた構造であってもよい。具体的には、前記有機太陽電池は柔軟なフィルム形態に製造することができ、これを円筒形に巻いて中が空いている巻き取られた構造の太陽電池に作ることができる。前記有機太陽電池が巻き取られた構造である場合、これを地面に立てておく方式で設置することができる。この場合、前記有機太陽電池を設置した位置の太陽が東方から西方に移動する間、光の入射角が最大になる部分を確保することができる。よって、太陽が照り付ける間、最大限に多くの光を吸収して効率を上げるという利点がある。
【0102】
本明細書の一実施状態によれば、前記有機太陽電池は、前記第1電極と前記第2電極との間に正孔注入層、正孔輸送層、中間層(interlayer)、正孔遮断層、電荷発生層、電子遮断層および電子輸送層からなる群から選択された1層以上の有機物層をさらに含むことができる。
【0103】
本明細書の一実施状態によれば、前記正孔輸送層および/または電子輸送層物質は、電子と正孔を光活性層に効率的に伝達させることによって、生成される電荷が電極に移動する確率を高める物質であることができるが、特に制限されない。
【0104】
前記中間層(interlayer)は、正孔注入層と正孔輸送層との間に位置する層をいう。
【0105】
前記電荷発生層(Charge Generating layer)は、電圧を印加すれば正孔と電子が発生する層をいう。
【0106】
本明細書の一実施状態によれば、前記電子輸送層は、導電性酸化物および金属からなる群から選択された1または2以上を含むことができる。
【0107】
本明細書の一実施状態によれば、前記電子輸送層の導電性酸化物は電子抽出金属酸化物(electron−extracting metal oxides)であってもよく、具体的には、チタニウム酸化物(TiO
x)、亜鉛酸化物(ZnO)およびセシウムカーボネート(Cs
2CO
3)からなる群から選択された1種以上を含むことができる。
【0108】
前記電子輸送層は、スパッタリング、E−Beam、熱蒸着、スピンコーティング、スクリーン印刷、インクジェット印刷、ドクターブレードまたはグラビア印刷法を利用して第1電極の一面に塗布されるか、フィルム形態でコーティングされることによって形成されることができる。
【0109】
本明細書の一実施状態によれば、前記電子輸送層はカソードバッファ層であってもよい。
【0110】
以下、本明細書の一実施状態による有機太陽電池の製造方法を記載する。
【0111】
本明細書の一実施状態は、基板を準備するステップ、前記基板上に第1電極を形成するステップ、前記第1電極上に電極改質層を形成するステップ、前
記電極改質層上に光活性層を含む1層以上の有機物層を形成するステップ、および前記有機物層上に第2電極を形成するステップを含み、
前記電極改質層は金属酸化物を含む層およびハロゲン化アルカリ系金属を含む層からなる2層構造であり、
前記金属酸化物を含む層およびハロゲン化アルカリ系金属を含む層は互いに接して備えられ、
前記金属酸化物を含む層と前記ハロゲン化アルカリ系金属を含む層の界面から前記金属酸化物を含む層の全体厚さの15%以下の厚さにまで前記ハロゲン化アルカリ系金属の陽イオンが広がっている有機太陽電池の製造方法を提供する。
【0112】
本明細書の一実施状態は、基板を準備するステップ、前記基板上に第1電極を形成するステップ、前記第1電極上に電極改質層を形成するステップ、前
記電極改質層上に光活性層を含む1層以上の有機物層を形成するステップ、および前記有機物層上に第2電極を形成するステップを含み、
前記電極改質層はハロゲン化アルカリ系金属および金属酸化物を含む単一層構造である有機太陽電池の製造方法を提供する。
【0113】
本明細書の一実施状態によれば、前記金属酸化物層は、熱処理工程を省略して形成されるか、50℃以上250℃以下の熱処理工程を利用して形成されることができる。
【0114】
本明細書の一実施状態によれば、前記単一層構造の電極改質層は、熱処理工程を省略して形成されるか、50℃以上250℃以下の熱処理工程を利用して形成されることができる。
【0115】
本明細書の一実施状態によれば、前記電極改質層は、ハロゲン化アルカリ系金属粒子および金属酸化物粒子を用いた溶液工程で形成されることができる。
【0116】
本明細書の一実施状態による前記2層構造の電極改質層において、前記金属酸化物を含む層と前記ハロゲン化アルカリ系金属を含む層を各々溶液工程で形成することができる。または、本明細書の一実施状態による前記2層構造の電極改質層において、前記金属酸化物を含む層は溶液工程で形成され、前記ハロゲン化アルカリ系金属を含む層は蒸着工程を用いて形成されることができる。
【0117】
本明細書の一実施状態によれば、前記単一層構造の電極改質層は、ハロゲン化アルカリ系金属粒子および金属酸化物粒子が分散したゾル−ゲルコーティング溶液を用いて形成されることができる。
【0118】
本明細書の一実施状態によれば、前記単一層構造の電極改質層は、ハロゲン化アルカリ系金属粒子および金属酸化物粒子を溶液に分散して形成されることができる。
【実施例】
【0119】
以下、本明細書を具体的に説明するために実施例を挙げて詳細に説明する。但し、本明細書による実施例は色々な他の形態に変形されることができ、本明細書の範囲が下記にて詳述する実施例に限定されるものではない。本明細書の実施例は当業界で平均的な知識を有する者に本明細書をより完全に説明するために提供されるものである。
【0120】
[実施例1]
ITOガラスをアセトンおよびエタノールに各々30分ずつ音波処理(sonication)を利用して洗浄し、UVO(uv/ozone)を用いて15分間表面処理した。前記ITOガラス上にZnO溶液をコーティングした後、200℃で10分間熱処理した。前記ZnO層上にLiFを1×10
−7torrの真空度で1Åの厚さで真空蒸着した後、1:0.7の比率で混合したP3HT:PCBM溶液をコーティングして約220nmの光活性層を形成した後、110℃で10分間熱処理した。前記光活性層上に1×10
−7torrでMoO
3/Ag電極を蒸着して有機太陽電池を製作した。
【0121】
[実施例2]
LiFを3Å厚さで蒸着したことを除いては、前記実施例1と同様の方法により有機太陽電池を製造した。
【0122】
[実施例3]
LiFを5Å厚さで蒸着したことを除いては、前記実施例1と同様の方法により有機太陽電池を製造した。
【0123】
[比較例1]
LiF層を形成せず、前記実施例1と同様の方法により有機太陽電池を製造した。
前記実施例1〜3および比較例1による有機太陽電池の物性を下記の表1に示す。
【0124】
【表1】
【0125】
本明細書において、V
ocは開放電圧を、J
scは短絡電流を、FFは充填率(Fill factor)を、PCEはエネルギー変換効率を意味する。開放電圧と短絡電流は各々電圧−電流密度曲線の四象限においてX軸とY軸の切片であり、この2値が高いほど太陽電池の効率は好ましく高くなる。また、充填率(Fill factor)は、曲線内部に描ける長方形の広さを短絡電流と開放電圧の積で分けた値である。この3つの値を照射された光の強さで分けるとエネルギー変換効率を求めることができ、高い値であるほど好ましい。
【0126】
[実施例4]
ITOガラスをアセトンおよびエタノールに各々30分ずつ音波処理(sonication)を利用して洗浄し、UVO(uv/ozone)を用いて15分間表面処理した。前記ITOガラス上にZnO溶液をコーティングした後、熱処理なしで乾燥した。前記ZnO層上にLiFを1×10
−7torrの真空度で3Åの厚さで真空蒸着した後、1:0.7の比率で混合したP3HT:PCBM溶液をコーティングして約220nmの光活性層を形成した後、110℃で10分間熱処理した。前記光活性層上に1×10
−7torrでMoO
3/Ag電極を蒸着して有機太陽電池を製作した。
【0127】
[実施例5]
ZnOを100℃で10分間熱処理したことを除いては、前記実施例4と同様の方法により有機太陽電池を製造した。
【0128】
[実施例6]
ZnOを150℃で10分間熱処理したことを除いては、前記実施例4と同様の方法により有機太陽電池を製造した。
【0129】
[実施例7]
ZnOを200℃で10分間熱処理したことを除いては、前記実施例4と同様の方法により有機太陽電池を製造した。
【0130】
[比較例2]
LiF層を形成せず、前記実施例4と同様の方法により有機太陽電池を製造した。
【0131】
[比較例3]
LiF層を形成せず、前記実施例5と同様の方法により有機太陽電池を製造した。
【0132】
[比較例4]
LiF層を形成せず、前記実施例6と同様の方法により有機太陽電池を製造した。
【0133】
[比較例5]
LiF層を形成せず、前記実施例7と同様の方法により有機太陽電池を製造した。
前記実施例4〜7および比較例2〜5による有機太陽電池の物性を下記の表2に示す。
【0134】
【表2】
【0135】
[実施例8]
ITOガラスをアセトンおよびエタノールに各々30分ずつ音波処理(sonication)を利用して洗浄し、UVO(UV/ozone)を用いて15分間表面処理した。前記ITOガラス上にMgF
2を1×10
−7torrの真空度で1Åの厚さで真空蒸着した後、ZnO溶液をコーティングして200℃で10分間熱処理した。前記ZnO層上にPBDTTPD(Poly(benzo[1,2−b:4,5−b’]dithiophenealt−thieno[3,4−c]pyrrole−4,6−dione)とPC
61BMを1:1.5でコーティングした溶液を100nm厚さでコーティングした後、80℃で5分間熱処理して光活性層を形成した。前記光活性層上に1×10
−7torrでMoO
3/Ag電極を蒸着して有機太陽電池を製造した。
【0136】
[実施例9]
MgF
2層を3Å厚さで形成したことを除いては、前記実施例8と同様の方法により有機太陽電池を製造した。
【0137】
[実施例10]
MgF
2層を5Å厚さで形成したことを除いては、前記実施例8と同様の方法により有機太陽電池を製造した。
【0138】
[比較例6]
MgF
2層を形成せず、前記実施例8と同様の方法により有機太陽電池を製造した。
前記実施例8〜10および比較例6による有機太陽電池の物性を下記の表3に示す。
【0139】
【表3】