特許第6223570号(P6223570)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6223570粘着フィルムおよびこれを利用した有機電子装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6223570
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】粘着フィルムおよびこれを利用した有機電子装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/00 20060101AFI20171023BHJP
   C09J 123/22 20060101ALI20171023BHJP
   C09J 4/00 20060101ALI20171023BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20171023BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20171023BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20171023BHJP
   H05B 33/04 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
   C09J7/00
   C09J123/22
   C09J4/00
   C09J11/06
   H05B33/14 A
   H05B33/10
   H05B33/04
【請求項の数】11
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-531542(P2016-531542)
(86)(22)【出願日】2014年8月5日
(65)【公表番号】特表2016-527362(P2016-527362A)
(43)【公表日】2016年9月8日
(86)【国際出願番号】KR2014007238
(87)【国際公開番号】WO2015020410
(87)【国際公開日】20150212
【審査請求日】2016年2月2日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0092782
(32)【優先日】2013年8月5日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2014-0040826
(32)【優先日】2014年4月4日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ユン・ギュン・チョ
(72)【発明者】
【氏名】キュン・ユル・ペ
(72)【発明者】
【氏名】ヒュン・ジー・ユ
【審査官】 澤村 茂実
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−526629(JP,A)
【文献】 特開平11−199837(JP,A)
【文献】 特開2006−276671(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/103283(WO,A1)
【文献】 特開平11−021525(JP,A)
【文献】 特開2009−096856(JP,A)
【文献】 特開2010−132761(JP,A)
【文献】 特開昭60−104142(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
H05B 33/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の一般式1を満足して、100μm厚さに製造された状態で厚さ方向への透湿度が50g/m・day以下である粘着剤の架橋物を含み、
前記粘着剤は、ジエンおよび一つの炭素-炭素二重結合を含むオレフィン系化合物の共重合体である封止樹脂、多官能性の活性エネルギー線重合性化合物、ならびに粘着付与剤を含む粘着剤組成物を含み、
前記多官能の活性エネルギー線重合性化合物は、封止樹脂100重量部に対して5重量部〜30重量部で含まれる、粘着フィルム:
[一般式1]
△X≦0.3mm
前記一般式1において、△Xは、架橋後の前記粘着剤を含む厚さ50μmの粘着剤層を一面に形成した基材フィルムを接着面積1cmのガラス板に付着して、24時間熟成させた後、80℃で1kgの荷重を1000秒の間加えた時、50秒〜200秒間で前記粘着剤層が押された距離の変化を表す。
【請求項2】
前記一般式1で表示される押された距離が0.01mm〜0.3mmである、請求項1に記載の粘着フィルム。
【請求項3】
可視光線領域に対して85%以上の光透過度を表す、請求項1に記載の粘着フィルム。
【請求項4】
3%以下のヘイズを表す、請求項1に記載の粘着フィルム。
【請求項5】
活性エネルギー線重合性化合物は多官能性アクリレートである、請求項1に記載の粘着フィルム。
【請求項6】
活性エネルギー線重合性化合物は下記化学式1を満足する、請求項1に記載の粘着フィルム:
【化1】
前記化学式1で、Rは水素または炭素数1〜4のアルキル基で、nは2以上の整数であり、Xは炭素数3〜30の直鎖、分枝鎖または環状アルキル基から誘導された残基を表す。
【請求項7】
粘着剤組成物はラジカル開始剤をさらに含む、請求項1に記載の粘着フィルム。
【請求項8】
粘着剤は水分吸着剤を含む、請求項1に記載の粘着フィルム。
【請求項9】
前記粘着剤を含む第1層および粘着性樹脂または、接着性樹脂を含む第2層を含む、請求項1に記載の粘着フィルム。
【請求項10】
基板;基板上に形成された有機電子素子;および前記有機電子素子を封止する請求項1に記載された粘着フィルムを含む、有機電子装置封止製品。
【請求項11】
上部に有機電子素子が形成された基板に請求項1に記載された粘着フィルムが前記有機電子素子をカバーするように適用する段階;および前記粘着フィルムを硬化する段階を含む、有機電子装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着フィルム及びこれを利用した有機電子装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機電子装置(OED;organic electronic device)は、正孔及び電子を利用して電荷の交流を発生させる有機材料層を含む装置を意味し、その例としては、光電池装置(photovoltaic device)、整流器(rectifier)、トランスミッタ(transmitter)及び有機発光ダイオード(OLED;organic light emitting diode)などが挙げられる。
【0003】
前記有機電子装置のうち有機発光ダイオード(OLED:Organic Light Emitting Didoe)は、既存の光源に比べて、電力消耗量が少なく、応答速度が速く、表示装置または照明の薄形化に有利である。また、OLEDは、空間活用性に優れていて、各種携帯用機器、モニタ、ノートパソコン及びテレビをはじめとする多様な分野において適用されるものと期待されている。
【0004】
OLEDの商用化及び用途の拡大において、最も主要な問題点は、耐久性の問題である。OLEDに含まれた有機材料及び金属電極などは、水分などの外的要因によって非常に容易に酸化される。したがって、OLEDを含む製品は、環境的要因にごく敏感である。このため、OLEDなどのような有機電子装置に対する外部からの酸素または水分などの浸透を効果的に遮断するための多様な方法が提案されている。
【0005】
特許文献1は、接着性カプセル化組成物フィルム及び有機電界発光素子であって、PIB(polyisobutylene)を基盤とした粘着剤であり、加工性および高温高湿の条件での信頼性に欠けている。
【0006】
したがって、有機電子装置の要求寿命を確保し、水分の浸透を效果的に遮断しながら、高温高湿の条件における信頼性を維持でき、光学特性も優れている封止材の開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国公開特許第2008-0088606号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、外部から有機電子装置に流入される水分または酸素を効果的に遮断することができる構造の形成が可能で、取扱性及び加工性等の機械的特性と透明性に優れている粘着フィルム及びこれを利用した有機電子装置の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は粘着フィルムに関するものである。前記粘着フィルムは、例えば、OLEDなどのような有機電子装置の封止またはカプセル化に適用することができる。
【0010】
本明細書において、用語「有機電子装置」とは、互いに対向する一対の電極間に正孔及び電子を利用して電荷の交流を発生させる有機材料層を含む構造を持つ物品または装置を意味し、その例としては、光電池装置、整流器、トランスミッタ及び有機発光ダイオード(OLED)などが挙げられるが、これに制限されるものではない。本発明の一実施例において前記有機電子装置はOLEDであり得る。
【0011】
本発明の粘着フィルムは下記の一般式1を満足する。
[一般式1]
△X≦0.3mm
【0012】
前記一般式1において、△Xは、架橋後の前記粘着剤を含む厚さ50μmの粘着剤層を一面に形成した基材フィルムを接着面積1cmのガラス板に付着して、24時間熟成させた後、80℃で1kgの荷重を1000秒の間加えた時、50秒〜200秒間で前記粘着剤層が押された距離の変化を表す。前記基材フィルムは特に限定されず、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いることができる。前記において、1000秒は1kgの荷重が加えられた時間を0秒と仮定した時の時間を意味することもある。また、前記一般式1において△Xは、X200-X50と表現することができるが、前記X200は200秒での押された距離で、前記X50は50秒での押された距離を意味することもある。
【0013】
本発明の各具現例に係る粘着フィルムは、有機電子装置に適用した時に長期間の信頼性を判断するために高温高湿テストを経ることになる。この時、特に高温での粘着剤の信頼性を判断するための方法として維持力テストがあり、creepテストを利用して測定された押された距離は架橋物性を代弁して長期間の高温高湿テスト結果を予測することができる。
【0014】
前記一般式1で表示される押された距離は、0.3mm以下、0.01〜0.3mm、0.015〜0.35mmまたは、0.02〜0.3mmであり得る。前記押された距離は、80℃高温での前記粘着剤を含む粘着剤層の高温維持力に対する数値であって、粘着剤が目的とする信頼性および光特性を実現し得る指標となることができる。すなわち、本発明は、適正範囲の架橋構造および架橋の程度を確保して、これをもって押された距離を0.3mm以下に制御することができ、特に前記粘着フィルムが有機電子素子に適用された時に優秀な水分遮断特性、信頼性および光特性を実現することができる。
【0015】
一実施例において、前記粘着フィルムは、25℃の温度および1Hzの周波数での損失係数(tanδ)が0.25〜0.45、0.27〜0.43または、0.30〜0.40であり得る。また、前記粘着フィルムは、80℃の温度および1Hzの周波数での損失係数(tanδ)が0.05〜0.25、0.07〜0.23または、0.1〜0.2であり得る。すなわち、tanδは損失弾性率G”/貯蔵弾性率G’の値を有するので、適正範囲の架橋構造および架橋程度を実現して前記損失係数を特定範囲に制御することによって、本発明の粘着剤組成物の高温維持力を実現することができる。前記貯蔵弾性率および損失弾性率はJISなどの規格化された試験方法にしたがう粘弾性試験によって測定することができる。
【0016】
前記粘着フィルムは、100μm厚さのフィルム形態に製造した状態で前記フィルムの厚さ方向に対して測定した透湿度(Water Vapor Transmission Rate)が100゜Fおよび100%の相対湿度下で50g/m・day以下、40g/m・day以下、30g/m・day以下、20g/m・day以下または10g/m・day以下であり得る。このような透湿度を持つように粘着剤の組成や架橋条件などを調節して、電子装置の封止または、カプセル化構造に適用された時に外部から浸透する水分や酸素などを効果的に遮断して素子を安定的に保護できる封止または、カプセル化構造を実現することができる。前記透湿度は低いほど、優秀な水分遮断性を示すことができるものであるため、その下限は特に限定されないが、例えば、0g/m・dayであり得る。
【0017】
また、前記粘着フィルムは可視光線領域に対して優れた光透過度を持つことができる。一実施例において、本発明の粘着フィルムは可視光線領域に対して85%以上の光透過度を表すことができる。例えば、前記粘着フィルムは可視光線領域に対して85%以上、87%以上または90%以上の光透過度を持つことができる。また、本発明の粘着フィルムは優れた光透過度とともに低いヘイズを示すことができる。一実施例において、前記粘着フィルムは3%以下、2%以下、1%以下、0.8%以下、0.5%以下または0.3%以下のヘイズを示すことができる。前記において、光透過度は製造した粘着フィルムに対してUV-Vis Spectrometerを利用して550mmでの光透過度を測定し、ヘイズ値はヘイズメーターを利用してJIS K7105標準試験方法によってヘイズを測定した。本発明の粘着フィルムは前述の通り、一般式1による押された距離を満足させることによって、高温高湿での信頼性だけでなく光特性も優秀に具現することができる。
【0018】
本発明の粘着フィルムは粘着剤を含むことができ、前記粘着剤は層から構成することができる。前記粘着剤を構成する粘着剤組成物は前記物性を満足する限り、多様な公知の素材を使用して形成することができる。
【0019】
例えば、前記粘着剤組成物は封止樹脂及び活性エネルギー線の照射によって重合することができる多官能性の活性エネルギー線重合性化合物を含むことができる。
【0020】
本発明の具体例において、前記封止樹脂はガラス転移温度が0℃未満、-10℃未満または-30℃未満、-50℃未満または-60℃未満であり得る。前記ガラス転移温度とは、照射量約1J/cm以上の紫外線を照射した後のガラス転移温度;または紫外線の照射後、さらに熱硬化を進行した後のガラス転移温度を意味することもある。
【0021】
一実施例において、前記封止樹脂はスチレン系樹脂またはエラストマー、ポリオレフィン系樹脂またはエラストマー、その他のエラストマー、ポリオキシアルキレン系樹脂またはエラストマー、ポリエステル系樹脂またはエラストマー、ポリ塩化ビニル系樹脂またはエラストマー、ポリカーボネート系樹脂またはエラストマー、ポリフェニレンサルファイド系樹脂またはエラストマー、炭化水素の混合物、ポリアミド系樹脂またはエラストマー、アクリレート系樹脂またはエラストマー、エポキシ系樹脂またはエラストマー、シリコン系樹脂またはエラストマー、フッ素系樹脂またはエラストマーまたはこれらの混合物などを含むことができる。
【0022】
前記スチレン系樹脂またはエラストマーとしては、例えば、スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(ABS)、アクリロニトリル-スチレン-アクリレートブロック共重合体(ASA)、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン系単独重合体またはこれらの混合物が例示できる。前記オレフィン系樹脂またはエラストマーとしては、例えば、高密度ポリエチレン系樹脂またはエラストマー、低密度ポリエチレン系樹脂またはエラストマー、ポリプロピレン系樹脂またはエラストマーまたはこれらの混合物が例示できる。前記エラストマーとしては、例えば、エステル系熱可塑性エラストマー、オレフィン系エラストマー、シリコン系エラストマー、アクリル系エラストマーまたはこれらの混合物などを使用することができる。その中のオレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、ポリブタジエン樹脂またはエラストマーまたはポリイソブチレン樹脂またはエラストマーなどが挙げられる。前記ポリオキシアルキレン系樹脂またはエラストマーとしては、例えば、ポリオキシメチレン系樹脂またはエラストマー、ポリオキシエチレン系樹脂またはエラストマーまたはこれらの混合物などが挙げられる。前記ポリエステル系樹脂またはエラストマーとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート系樹脂またはエラストマー、ポリブチレンテレフタレート系樹脂またはエラストマーまたはこれらの混合物などが挙げられる。前記ポリ塩化ビニル系樹脂またはエラストマーとしては、例えば、ポリビニリデンクロライドなどが挙げられる。前記炭化水素の混合物としては、例えば、ヘキサトリアコタン(hexatriacotane)またはパラフィンなどが挙げられる。前記ポリアミド系樹脂またはエラストマーとしては、例えば、ナイロンなどが挙げられる。前記アクリレート系樹脂またはエラストマーとしては、例えば、ポリブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。前記エポキシ系樹脂またはエラストマーとしては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型及びこれらの水添加物などのビスフェノール型;フェノールノボラック型やクレゾールノボラック型などのノボラック型;トリグリシジルイソシアヌレート型やヒダントイン型などの含窒素環型;脂環式型;脂肪族型;ナフタレン型、ビフェニル型などの芳香族型;グリシジルエーテル型、グリシジルアミン型、グリシジルエステル型などのグリシジル型;ジシクロペンタジエン型などのジシクロ型;エステル型;エーテルエステル型またはこれらの混合物などが挙げられる。前記シリコン系樹脂またはエラストマーとしては、例えば、ポリジメチルシロキサンなどが挙げられる。また、前記フッ素系樹脂またはエラストマーには、ポリトリフルオロエチレン樹脂またはエラストマー、ポリテトラフルオロエチレン樹脂またはエラストマー、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂またはエラストマー、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂またはエラストマー、ポリフルオリン化ビニリデン、ポリフルオリン化ビニル、ポリフルオリン化エチレンプロピレンまたはこれらの混合物などが挙げられる。
【0023】
前記で羅列した樹脂またはエラストマーは、例えば、マレイン酸無水物などとグラフトさせて使用することもでき、羅列された他の樹脂またはエラストマー乃至は樹脂またはエラストマーを製造するための単量体と共重合されて使用することもでき、その他、他の化合物によって変性させて使用することもできる。前記他の化合物の例にはカルボキシル-末端ブタジエン-アクリロニトリル共重合体などが挙げられる。
【0024】
一実施例において、前記粘着剤組成物は封止樹脂として、前記で言及した種類の中でオレフィン系エラストマー、シリコン系エラストマーまたはアクリル系エラストマーなどを含むことができるが、これに制限されるものではない。
【0025】
具体的に、前記封止樹脂はジエン及び一つの炭素-炭素二重結合を含むオレフィン系化合物の共重合体であり得る。ここで、オレフィン系化合物はイソブチレン、プロピレンまたはエチレンなどを含むことができ、ジエンは前記オレフィン系化合物と重合可能な単量体であってもよく、例えば、1-ブテン、2-ブテン、イソプレンまたはブタジエンなどを含むことができる。すなわち、本発明の封止樹脂は、例えば、イソブチレン単量体の単独重合体;イソブチレン単量体と重合可能な他の単量体を共重合した共重合体;またはこれらの混合物などを使用することができる。一実施例において、一つの炭素-炭素二重結合を含むオレフィン系化合物及びジエンの共重合体はブチルゴムであり得る。前記の通り、特定の樹脂を使用することによって、本発明で具現しようとする水分遮断性を満足させることができる。また、本発明は既存のイソブチレン重合体が、水分透過度が低い反面、耐熱性は低いため、多様な架橋構造を導入して一般式1による押された距離を満足させる粘着剤組成物を具現することによって耐湿性と耐熱性を改善させることができる。
【0026】
粘着剤組成物において前記樹脂またはエラストマー成分は、粘着剤組成物をフィルム状に成形できる程度の重量平均分子量(Mw:WeightAveragemolecular Weight)を持つことができる。例えば、前記樹脂またはエラストマーは約10万〜200万、10万〜150万または10万〜100万程度の重量平均分子量を持つことができる。本明細書において、用語「重量平均分子量」は、GPC(Gel Permeation Chromatograph)で測定した標準ポリスチレンに対する換算数値を意味する。ただし、前記言及された重量平均分子量は、前記樹脂またはエラストマー成分が必ずしも有さなくてもよい。例えば、樹脂またはエラストマー成分の分子量がフィルムを形成する程度の水準にならない場合には、別途のバインダー樹脂を粘着剤組成物に配合することもできる。
【0027】
本発明の粘着剤組成物は、また、前述した封止樹脂との相溶性が高く、前記封止樹脂とともに特定の架橋構造を形成できる活性エネルギー線重合性化合物を含むことができる。一具体例において、前記架橋構造は熱の印加により形成された架橋構造、活性エネルギー線の照射により形成された架橋構造または常温でエージング(aging)により形成された架橋構造であり得る。前記で「活性エネルギー線」の範疇には、マイクロ波(microwaves)、赤外線(IR)、紫外線(UV)、X線及びガンマ線はもちろん、アルファ(α)−粒子線(alpha-particlebeam)、プロトンビーム(proton beam)、ニュートロンビーム(neutron beam)または電子線(electron beam)のような粒子ビームなどを含むことができ、通常は紫外線または電子線などであり得る。
【0028】
例えば、本発明の粘着剤組成物は封止樹脂とともに活性エネルギー線の照射により重合できる多官能性の活性エネルギー線重合性化合物を含むことができる。前記活性エネルギー線重合性化合物は、例えば、活性エネルギー線の照射による重合反応に参与することができる官能基、例えば、アクリロイル基またはメタクリロイル基などのようなエチレン性不飽和二重結合を含む官能基、エポキシ基またはオキセタン基などの官能基を2つ以上含む化合物を意味することもある。
【0029】
多官能性の活性エネルギー線重合性化合物としては、例えば、多官能性アクリレート(MFA;Multifunctional acrylate)を使用することができる。
【0030】
前記活性エネルギー線の照射により重合できる多官能性の活性エネルギー線重合性化合物は下記化学式1を満足することができる。また、前記活性エネルギー線重合性化合物は封止樹脂100重量部に対して5重量部〜30重量部、5重量部〜25重量部、8重量部〜20重量部、10重量部〜18重量部または12重量部〜18重量部で含むことができる。

【化1】
【0031】

前記化学式1で、Rは水素または炭素数1〜4のアルキル基で、nは2以上の整数であり、Xは炭素数3〜30の直鎖、分枝鎖または環状アルキル基から誘導された残基を表す。前記で、Xが環状アルキル基から誘導された残基である場合、Xは例えば炭素数3〜30、炭素数6〜28、炭素数8〜22、または炭素数12〜20の環状アルキル基から誘導された残基であり得る。また、Xが直鎖型アルキル基から誘導された残基である場合、Xは炭素数3〜30、炭素数6〜25、または炭素数8〜20の直鎖アルキル基から誘導された残基であり得る。また、Xが分枝鎖型アルキル基から誘導された残基である場合、Xは炭素数3〜30、炭素数5〜25、または炭素数6〜20の分枝鎖アルキル基から誘導された残基であり得る。
【0032】
本明細書において、用語「アルキル基から誘導された残基」とは、特定化合物の残基であって、アルキル基から構成されたものを意味することもある。一実施例において、前記化学式1で、nが2である場合、前記Xはアルキレン基であり得る。また、nが3以上である場合、Xはアルキル基の2以上の水素が脱離して前記化学式1の(メタ)アクリロイル基に結合されていることもあり得る。
【0033】
本明細書において、用語「アルキル基」とは、特に規定しない限り、炭素数1〜30、炭素数1〜25、炭素数1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4のアルキル基を意味することもある。前記アルキル基は直鎖型、分枝鎖型または環状構造を持つことができ、任意的に一つ以上の置換基によって置換されていることもあり得る。
【0034】
本明細書において、用語「アルキレン基」とは、特に規定しない限り、炭素数2〜30、炭素数、2〜25、炭素数、2〜20、炭素数2〜16、炭素数2〜12、炭素数2〜10または炭素数2〜8のアルキレン基を意味することもある。前記アルキレン基は直鎖型、分枝鎖型または環状構造を持つことができ、任意的に一つ以上の置換基によって置換されていることもあり得る。
【0035】
前記活性エネルギー線の照射により重合できる多官能性の活性エネルギー線重合性化合物は、前記化学式1を満足する限り、制限なく用いることができる。例えば、前記化合物は1、4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1、3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1、6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1、8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1、12-ドデカンジオール(dodecanediol)ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(dicyclopentanyl)ジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサン-1、4-ジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)ジアクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチルプロパンジ(メタ)アクリレート、アダマンタン(adamantane)ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートまたはこれらの混合物を含むことができる。
【0036】
多官能性の活性エネルギー線重合性化合物としては、例えば、分子量が1,000未満であり、官能基を2つ以上含む化合物を使用することができる。この場合、分子量は重量平均分子量または通常の分子量を意味する。前記多官能性の活性エネルギー線重合性化合物に含まれる環構造は炭素環式構造または複素環式構造;または単環式または多環式構造のいずれであってもよい。
【0037】
本発明の具体例において、粘着剤組成物は下記の化学式2を満足するシラン化合物を含むことができる。
【化2】
【0038】
前記化学式2で、Rは水素またはアルキル基である。Rは、例えば、炭素数1〜4、または炭素数1〜2のアルキル基であり得る。また、前記化学式1で、R及びRは各々独立的に水素または直鎖、分枝鎖または環状アルキル基を表すか、またはR及びRは共に連結されて環状アルキル基を表すことができる。例えば、R及びRは各々独立的に水素を表すか、または直鎖、分枝鎖または環状アルキル基を表すことができる。前記で直鎖型アルキル基は炭素数が1〜10、1〜6または1〜4であって、分枝鎖型アルキル基は炭素数が3〜10、3〜6または3〜4、環状アルキル基は炭素数が3〜10、3〜8、3〜6または3〜4であり得る。また、R及びRは共に連結されて炭素数2〜10、3〜10、4〜9または4〜8の環状アルキル基を表すことができる。また、前記化学式1で、R、R及びRは各々独立的に水素、アルキル基またはアルコキシ基を表すことができ、R、R及びR中の少なくともひとつはアルコキシ基を表して、nは1以上の整数を表す。具体的に、前記R、R及びRは各々独立的に炭素数1〜10、1〜6、1〜4または1〜2のアルキル基;または炭素数1〜10、1〜8、1〜4または1〜2のアルコキシ基を表すことができる。前記で、R、R及びR中の少なくともひとつはアルコキシ基であって、R、R及びRのすべてがアルコキシ基であり得るが、これに限定されるものではない。本明細書において、用語「アルコキシ基」とは、特に規定しない限り、炭素数1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4のアルコキシ基を意味することもある。前記アルコキシ基は、直鎖、分枝鎖または環状であり得る。また、前記アルコキシ基は任意的に一つ以上の置換基によって置換することもできる。
【0039】
一実施例において、前記シラン化合物は前記化学式2を満足する限り特に限定されないが、例えば、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、メタクリロキシメチルメチルジメトキシシラン、メタクリロキシメチルメチルジエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシランまたはメタクリロキシプロピルジメチルエトキシシランであり得る。前記シラン化合物のアクリル基は粘着剤組成物の封止樹脂または活性エネルギー線重合性化合物と架橋して界面接着力を上昇させる役割をすることができる。前記シラン化合物は、例えば、封止樹脂100重量部に対して0.1重量部〜10重量部、0.5〜8重量部、0.8重量部〜5重量部、1重量部〜5重量部、1重量部〜4.5重量部、または1重量部〜4重量部含むことができる。
【0040】
一実施例において、前記活性エネルギー線重合性化合物は前記化学式2を満足するシラン化合物と架橋構造を形成して、前記架橋構造は前記封止樹脂とともに準−相互浸透重合体ネットワークを形成できる。すなわち、前記粘着剤組成物は準−相互浸透高分子ネットワーク(Semi-Interpenetrating Polymer Network、以下、Semi-IPN)を含むことができる。用語「Semi-IPN」は一つ以上の高分子架橋構造(polymer network)及び一つ以上の線型または分枝型高分子を含み、前記線型または分枝型高分子の少なくとも一部は前記高分子架橋構造に浸透している構造を持つ。Semi-IPNは化学的結合の損失無しで前記線型または分枝型高分子を理論的には前記高分子架橋構造から分離できるという点でIPN構造と区別できる。
【0041】
一具体例において、前記架橋構造は熱の印加により形成された架橋構造、活性エネルギー線の照射により形成された架橋構造または常温でエージング(aging)により形成された架橋構造であり得る。前記で「活性エネルギー線」の範疇には、マイクロ波(microwaves)、赤外線(IR)、紫外線(UV)、X線及びガンマ線はもちろん、アルファ(α)−粒子線(alpha-particlebeam)、プロトンビーム(proton beam)、ニュートロンビーム(neutron beam)または電子線(electron beam)のような粒子ビームなどを含むことができ、通常は紫外線または電子線などであり得る。前記のようなSemi-IPN構造を導入することによって、粘着剤組成物の加工性能のような機械的物性を高めて、耐湿接着性能を改善し、透明性を具現して、これまで得ることのできなかった高い水分遮断性能及び優れたパネル寿命を具現することができる。
【0042】
一実施例において、前記活性エネルギー線重合性化合物は前記化学式2を満足するシラン化合物と架橋構造を形成して、封止樹脂は前記活性エネルギー線重合性化合物または前記化学式2を満足するシラン化合物と架橋構造を形成して、相互浸透高分子ネットワーク(Interpenetrating Polymer Network、以下「IPN」)構造を形成できる。また、用語「IPN構造」は、粘着剤内に少なくとも2つ以上の架橋構造が存在する状態を意味する。一実施例において、IPN構造は、巻きつき合っている状態(intertwining)、絡み合っている状態(entanglement)または浸透し合って状態(penetrating)で存在する、少なくとも2つ以上の架橋構造を含む構造を意味することもある。例えば、本発明の組成物は封止樹脂による架橋構造(以下、「第1架橋構造」と称する場合がある。)及び活性エネルギー線重合性化合物と前記化学式2を満足するシラン化合物の反応を通して形成された架橋構造(以下、「第2架橋構造」と称する場合がある。)を含むことができ、このような第1及び第2架橋構造は浸透し合う状態または絡み合っている状態で存在できる。すなわち、粘着剤組成物が架橋された状態でSemi−IPN構造またはIPN構造を含むことによって、高温高湿においての粘着剤の粘着力を上昇させ、水分の浸透による界面粘着力の低下を防止して、高温高湿の苛酷な状況においても優秀な耐久信頼性を具現することができる。
【0043】
本発明の具体例において、粘着剤組成物は前述した活性エネルギー線重合性化合物の重合反応を誘導できるようにするラジカル開始剤をさらに含むことができる。ラジカル開始剤は光開始剤または熱開始剤であり得る。光開始剤の具体的な種類は硬化速度及び黄変可能性などを考慮して適宜選択することができる。例えば、ベンゾイン系、ヒドロキシケトン系、アミノケトン系またはホスフィンオキシド系光開始剤などを使用することができ、具体的には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn-ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアニノアセトフェノン、2、2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2、2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノ-プロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-2-(ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p-フェニルベンゾフェノン、4、4’-ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-t-ブチルアントラキノン、2-アミノアントラキノン、2-メチルチオキサントン(thioxanthone)、2-エチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2、4-ジメチルチオキサントン、2、4-ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、p-ジメチルアミノ安息香酸エステル、オリゴ[2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノン]及び2、4、6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキシドなどを使用することができる。
【0044】
ラジカル開始剤は、活性エネルギー線重合性化合物100重量部に対して0.2重量部〜20重量部の割合で含むことができる。これを通じて活性エネルギー線重合性化合物の反応を效果的に誘導し、また硬化後に残存成分により粘着剤組成物の物性が悪化するのを防止できる。
【0045】
一実施例において、粘着剤組成物は粘着付与剤をさらに含むことができ、前記粘着付与剤は好ましくは水素化された環状オレフィン系重合体であり得る。粘着付与剤としては、例えば、石油樹脂を水素化して得られる水素化された石油樹脂を使用することができる。水素化された石油樹脂は部分的にまたは完全に水素化でき、そのような樹脂等の混合物であることもある。このような粘着付与剤は粘着剤組成物と相溶性が良くかつ水分遮断性に優れ、有機揮発成分が低いものを選択できる。水素化された石油樹脂の具体的な例としては、水素化されたテルペン系樹脂、水素化されたエステル系樹脂または水素化されたジシクロペンタジエン系樹脂などが挙げられる。前記粘着付与剤の重量平均分子量は約200〜5,000であり得る。前記粘着付与剤の含量は必要によって適宜調節できる。例えば、粘着付与剤の含量はゲル含量などを考慮して選択することができ、一実施例によれば、粘着剤組成物の固形分100重量部対比5重量部〜100重量部の割合で含むことができる。
【0046】
粘着剤組成物は、必要な場合に、水分吸着剤をさらに含むことができる。本明細書において、用語「水分吸着剤(moisture absorbent)」とは、例えば、後述する粘着フィルムに浸透した水分乃至は湿気との化学的反応を通して前記を除去できる物質を意味することもある。本発明の粘着剤組成物が水分吸着剤を含む場合、フィルム形成時に、後述する光透過度を満足させることができない場合もあるが、その代わり優れた水分遮断性を具現することができる。具体的に、前記粘着剤組成物はフィルム形成時に、有機電子装置を封止することに適用されることができる。この場合、前記粘着剤組成物は水分吸着剤を含まずに優れた透明性を表して、前面発光(top emission)型有機電子装置の封止に適用されるか;または水分吸着剤を含んで優れた水分遮断性を表して、背面発光(bottom emission)型の有機電子装置の封止に適用することができるが、これに限定されるものではない。すなわち、前記粘着剤組成物は水分吸着剤を含まずに優れた透明性を表して、背面発光(bottom emission)型の有機電子装置の封止に適用することもできる。
【0047】
例えば、水分吸着剤は粘着剤組成物または粘着剤層内に均一に分散された状態で存在できる。ここで均一に分散された状態とは、粘着剤組成物または粘着剤層のいずれの部分においても同一または実質的に同じ密度で水分吸着剤が存在する状態を意味する。前記で使用できる水分吸着剤としては、例えば、金属酸化物、硫酸塩または有機金属酸化物などが挙げられる。具体的には、前記硫酸塩の例としては、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウムまたは硫酸ニッケルなどを挙げることができ、前記有機金属酸化物の例としては、アルミニウムオキサイドオキシレートなどが挙げられる。前記金属酸化物の具体的な例としては、五酸化リン(PO)、酸化リチウム(LiO)、酸化ナトリウム(NaO)、酸化バリウム(BaO)、酸化カルシウム(CaO)または酸化マグネシウム(MgO)などが挙げられ、金属塩の例としては、硫酸リチウム(LiSO)、硫酸ナトリウム(NaSO)、硫酸カルシウム(CaSO)、硫酸マグネシウム(MgSO)、硫酸コバルト(CoSO)、硫酸ガリウム(Ga(SO))、硫酸チタン(Ti(SO))または硫酸ニッケル(NiSO)などのような硫酸塩、塩化カルシウム(CaCl)、塩化マグネシウム(MgCl)、塩化ストロンチウム(SrCl)、塩化イットリウム(YCl)、塩化銅(CuCl)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化タンタリウム(TaF)、フッ化ニオビウム(NbF)、ブロム化リチウム(LiBr)、ブロム化カルシウム(CaBr)、ブロム化セシウム(CeBr)、ブロム化セレニウム(SeBr)、ブロム化バナジウム(VBr)、ブロム化マグネシウム(MgBr)、ヨード化バリウム(BaI)またはヨード化マグネシウム(MgI)などのような金属ハロゲン化物;または過塩素酸バリウム(Ba(ClO))または過塩素酸マグネシウム(Mg(ClO))などのような金属塩素酸塩などが挙げられるが、これに制限されるものではない。粘着剤組成物に含まれ得る水分吸着剤としては、詳述した構成のうち、1種を使用することもでき、2種以上を使用することもできる。一実施例において水分吸着剤として2種以上を使用する場合、焼成ドロマイト(calcined dolomite)などを使うことができる。
【0048】
このような水分吸着剤は用途によって適切な大きさに制御できる。一実施例において水分吸着剤の平均粒径は10〜15000nm程度に制御できる。前記範囲の大きさを持つ水分吸着剤は水分との反応速度がそれほど速くないので保管が容易で、封止しようとする素子に損傷を与えずに、效果的に水分を除去できる。
【0049】
水分吸着剤の含量は、特に制限されず、目的とする遮断特性を考慮して適宜選択することができる。
【0050】
粘着剤組成物は必要な場合、水分遮断剤をさらに含むことができる。本明細書において、用語「水分遮断剤(moisture blocker)」とは、水分との反応性がない、または低いが、水分乃至は湿気のフィルム内での移動を遮断したり妨害できる物質を意味することもある。水分遮断剤としては、例えば、クレイ、タルク、針状シリカ、板状シリカ、多孔性シリカ、ゼオライト、チタニアまたはジルコニア中の1種または2種以上を使用することができる。また、水分遮断剤は有機物の浸透が容易となるように有機改質剤等によって表面処理されることもある。このような有機改質剤としては、例えば、ジメチルベンジル水素化タロウ4次アンモニウム(dimethyl benzyl hydrogenated tallow quaternatyammonium)、ジメチル水素化タロウ4次アンモニウム(dimethyl dihydrogenated tallow quaternary ammonium)、メチルタロウビス-2-ハイドロキシエチル4次アンモニウム(methyl tallow bis-2-hydroxyethylquaternaryammonium)、ジメチル水素化タロウ2-エチルヘキシル4次アンモニウム(dimethyl hydrogenated tallow 2-ethylhexyl quaternary ammonium)、ジメチル脱水素化タロウ4次アンモニウム(dimethyl dehydrogenated tallow quaternary ammonium)またはこれらの混合物である有機改質剤などを使うことができる。
【0051】
水分遮断剤の含量は、特に制限されず、目的とする遮断特性を考慮して適宜選択することができる。
【0052】
粘着剤組成物には詳述した構成以外にも、用途及び後述する粘着フィルムの製造工程によって多様な添加剤が含まれ得る。例えば、粘着剤組成物は硬化性物質、架橋剤またはフィラーなどを目的とする物性によって適正範囲の含量で含むことができる。
【0053】
一実施例において、本発明の粘着剤を含む粘着フィルムは下記一般式2で示されるゲル含量が50%以上であり得る。

[一般式2]

ゲル含量(重量%)=B/A×100
【0054】
前記一般式2において、Aは前記粘着剤の質量を示し、Bは前記粘着剤を60℃でトルエンに24時間浸漬後、200メッシュ(pore size200μm)の網でろ過させて、前記網を通過しなかった粘着剤の不溶解分の乾燥質量を示す。
【0055】
前記一般式2で表示されるゲル含量は50%〜99%、50%〜90%、50〜80%または50〜70%であり得る。すなわち、本願発明はゲル含量を通して粘着剤組成物の適正範囲の架橋構造及び架橋程度を判断して、優れた水分遮断特性、信頼性及び光特性を持つ粘着剤組成物を具現することができる。
【0056】
本発明の具体例において、前記粘着フィルムは前述した通り、粘着剤を含む単層構造から形成することもでき、また、後述するように2以上の層から形成することができる。例えば、前述した粘着剤を含む第1層および粘着性樹脂または、接着性樹脂を含む第2層を含むことができる。前記第2層に含まれる粘着性樹脂または、接着性樹脂は前述した封止樹脂と同一または相違することもあり、通常の技術者が目的とするところにより適宜選択することができる。また、前記第1層および第2層はそれぞれ水分吸着剤を含むか含まないこともあり得る。
【0057】
一実施例において、第2層に含まれる接着性樹脂は例えば、硬化して接着特性を表すことができるものであって、グリシジル基、イソシアネート基、ヒドロキシ基、カルボキシル基またはアミド基などのような熱硬化可能な官能基を一つ以上含むか、あるいはエポキシド(epoxide)基、環状エーテル(cyclic ether)基、サルファイド(sulfide)基、アセタール(acetal)基またはラクトン(lactone)基などのような電磁気波の照射により硬化可能な官能基を一つ以上含む硬化性樹脂を含むことができる。また、前記のような樹脂の具体的な種類には、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂またはエポキシ樹脂などを含むことができるが、これに制限されるものではない。
【0058】
本発明では前記硬化性樹脂として、芳香族または脂肪族;または直鎖型または分枝鎖型のエポキシ樹脂を使用することができる。本発明の一具現例においては、2つ以上の官能基を含有するものであって、エポキシ当量が180g/eq〜1,000g/eqであるエポキシ樹脂を使用することができる。前記範囲のエポキシ当量を持つエポキシ樹脂を使用して、硬化物の接着性能及びガラス転移温度などの特性を效果的に維持することができる。このようなエポキシ樹脂の例には、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型ノボラックエポキシ樹脂、フェノールノボラックエポキシ樹脂、4官能性エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタンエポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂またはジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂の一種または2種以上の混合を挙げることができる。
【0059】
本発明の具体例において、第2層は前述した樹脂以外に他の構成、例えば、前述した活性エネルギー線重合性化合物、ラジカル開始剤、粘着付与剤、水分除去剤、水分遮断剤、分散剤またはシラン化合物などを含むことができ、第1層の構成と同一または相違することもある。また、第2層は硬化性物質、硬化剤またはフィラーなどを目的とする物性によって適正範囲の含量で含むことができる。
【0060】
第1層と追加的に積層される第2層の積層順序は特に限定されず、第1層上に第2層を形成することもでき、反対に第2層上に第1層を形成することもできる。また、粘着フィルムは3以上の層から形成することもでき、例えば、前記第1層が2以上の層に含まれるか、または前記第2層が2以上の層に含まれ得る。
【0061】
一実施例において、前記粘着フィルムは粘着剤の一面にバリアフィルムを含むことができる。前記バリアフィルムは当業界において、一般に使用されている素材であれば制限なく使うことができる。例えば、前記でバリアフィルムは、ベース基材層、有機アンダーコーティング層、無機蒸着膜及び有機トップコーティング層を含むことができ、前記有機トップコーティング層が前記粘着剤と接触することができる。
【0062】
粘着フィルムは、基材フィルムまたは離型フィルム(以下、「第1フィルム」と称する場合がある。)をさらに含み、前記粘着剤が前記基材または離型フィルム上に形成されている構造を持つことができる。前記構造はまた前記粘着剤上に形成された基材または離型フィルム(以下、「第2フィルム」と称する場合がある。)をさらに含むことができる。
【0063】
図1及び2は例示的な前記粘着フィルムの断面図である。
【0064】
粘着フィルム1は、図1に示した通り、基材または離型フィルム12上に形成された粘着剤11を含むことができる。他の例示的な粘着フィルム2は、図2に示した通り、粘着剤11上に形成された基材または離型フィルム21をさらに含むことができる。図示しないが、前記粘着フィルムは、また、基材または離型フィルムのような支持基材無しで前記粘着剤組成物を持ち、常温で固相または半固相を維持するフィルムまたはシート状の粘着剤だけを含む構造を持つか、一つの基材または離型フィルムの両面に粘着剤が形成されている構造を持つこともできる。
【0065】
第1フィルムの具体的な種類は特に限定されない。前記第1フィルムとしては、例えば、プラスチックフィルムを使用することができる。第1フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン-ビニルアセテートフィルム、エチレン-プロピレン共重合体フィルム、エチレン-アクリル酸エチル共重合体フィルム、エチレン-アクリル酸メチル共重合体フィルムまたはポリイミドフィルムなどが挙げられる。
【0066】
第1フィルムが離型フィルムである場合に、前記のようなプラスチックフィルムの一面または両面には適切な離型処理をして使用することができる。離型処理に用いられる離型剤としてはアルキド系離型剤、シリコン系離型剤、フッ素系離型剤、不飽和エステル系離型剤、ポリオレフィン系離型剤またはワックス系離型剤などが挙げられる。耐熱性などを考慮して前記の中でアルキド系離型剤、シリコン系離型剤またはフッ素系離型剤などが通常用いられるが、これに制限されるものではない。
【0067】
第1フィルムとしては、例えば、ガスバリア層が基材の表面または側面に形成されているプラスチックフィルムを使用することができる。このようなフィルムは、例えば、直接有機電子装置の基板を構成して、フレキシブルな素子の具現に用いることもできる。
【0068】
第2フィルムの種類も特に限定されない。例えば、第2フィルムとしては、前述した第1フィルムで例示された範疇内で、第1フィルムと同一または、相違する種類を使用することができる。
【0069】
第1または第2フィルムの厚さは特に限定されない。一実施例において前記第1フィルムの厚さは50μm〜500μmまたは100μm〜200μm程度であり得る。このような範囲で粘着剤または有機電子装置の製造工程を效果的に自動化でき、また経済性の側面でも有利である。
【0070】
第2フィルムの厚さも特に制限されない。例えば、前記第2フィルムの厚さは第1フィルムと同一にするか、または第1フィルムに比べて相対的に薄いか厚い厚さに調節できる。
【0071】
粘着フィルムの粘着剤は、前記粘着剤組成物を含み、フィルムまたはシート状である。粘着剤内で前記粘着剤組成物は架橋または未架橋状態であり得る。前記粘着剤は、常温で固相または半固相であり得る。前記固相または半固相である粘着剤に含まれる硬化性粘着樹脂は未架橋状態であり得る。このような粘着樹脂は、後述する有機電子素子の封止構造で架橋構造を形成できる。
【0072】
粘着剤の厚さは特に制限されず、用途を考慮して適宜選択できる。例えば、粘着剤は、5μm〜200μm程度の厚さを持つことができる。粘着剤の厚さは、例えば、有機電子素子の封止材として使用時の埋立性及び工程性や経済性などを考慮して調節できる。
【0073】
本発明はまた粘着フィルムの製造方法に関するものである。例示的な粘着フィルムは、前記粘着剤組成物をフィルムまたはシート状に成形することを含むことができる。
【0074】
一実施例において前記方法は、前記粘着剤組成物を含むコーティング液を基材または離型フィルム上にシートまたはフィルム状で適用して、前記適用されたコーティング液を乾燥することを含むことができる。前記製造方法はまた乾燥されたコーティング液上に追加的な基材または離型フィルムを付着することを含むことができる。
【0075】
粘着剤組成物を含むコーティング液は、例えば、前述した各粘着剤組成物の成分を適切な溶媒に溶解または分散させて製造できる。一実施例において前記粘着剤組成物は、必要な場合前記水分吸着剤、遮断剤またはフィラーを溶媒に溶解または分散させて、粉砕した後に粉砕された前記水分吸着剤、遮断剤またはフィラーを封止樹脂と混合することを含む方式で製造できる。
【0076】
コーティング液製造に用いられる溶剤の種類は特に限定されない。ただし、溶剤の乾燥時間が過度に長くなるか、あるいは高温での乾燥が必要な場合、作業性または粘着フィルムの耐久性の側面で問題が発生し得るので、揮発温度が150℃以下の溶剤を使用することができる。フィルム成形性などを考慮して、前記範囲以上の揮発温度を持つ溶剤を少量混合して使用することもできる。溶剤としては、メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、トルエン、ジメチルホルムアミド(DMF)、メチルセロソルブ(MCS)、テトラヒドロプラン(THF)、キシレンまたはN-メチルピロリドン(NMP)などの一種または2種以上が例示できるが、これに制限されるものではない。
【0077】
前記コーティング液を基材または離型フィルムに適用する方法は特に限定されず、例えば、ナイフコート、ロールコート、スプレイコート、グラビアコート、カーテンコート、コンマコートまたはリップコートなどのような公知のコーティング方式を適用できる。
【0078】
適用されたコーティング液を乾燥して、溶剤を揮発させて粘着剤を形成することができる。前記乾燥は、例えば、70℃〜150℃の温度で1分〜10分の間隨行することができる。前記乾燥の条件は、使われた溶剤の種類を考慮して変更できる。
【0079】
乾燥に次いで粘着剤上に追加的な基材または離型フィルムを形成できる。
【0080】
本発明はまた有機電子装置封止製品に関するものである。前記有機電子装置封止製品は、基板;前記基板上に形成された有機電子素子;及び前記有機電子素子の全面、例えば上部及び側面をすべて封止している粘着フィルムを含むことができる。前記粘着フィルムは粘着剤組成物を架橋された状態で含有する粘着剤を含むことができる。前記有機電子装置封止製品は前記粘着剤の上部に形成されたカバー基板をさらに含むことができる。
【0081】
前記において、有機電子素子は、例えば、有機発光素子であり、一実施例においては上部発光(Top Emission)型の有機発光素子であり得る。
【0082】
また、本発明は有機電子装置の製造方法に関するものである。前記有機電子装置封止製品は、例えば、前記粘着フィルムを使用して製造できる。
【0083】
前記粘着剤は、有機電子装置において優れた水分遮断特性及び光学特性を表しながら前記基板とカバー基板を效率的に固定及び支持する構造用封止層として形成することができる。
【0084】
また、前記粘着剤は、優れた透明性を表し、前面発光(top emission)または背面発光(bottom emission)などの有機電子装置の形態にかかわらず安定した粘着剤として形成することができる。
【0085】
本明細書において、用語「封止層」は有機電子素子の上部及び側面をすべてカバーする粘着剤を意味することもある。
【0086】
図3は、例示的な有機電子装置として有機電子素子が有機発光素子である場合を示す模式図である。
【0087】
前記有機電子装置の製造のためには、例えば、上部に有機電子素子が形成された基板に前述した粘着フィルムが前記有機電子素子をカバーするように適用する段階;及び前記粘着フィルムを硬化する段階を含むことができる。
【0088】
本明細書において、用語「硬化」とは、加熱またはUV照射工程などを経て本発明の粘着剤組成物を、架橋構造を形成して粘着剤の形態で製造することを意味することもある。具体的に、基板として用いられるグラスまたは高分子フィルム31上に真空蒸着またはスパッタリングなどの方法で透明電極を形成し、前記透明電極上に、例えば、正孔輸送層、発光層及び電子輸送層等から構成される発光性有機材料の層を形成した後、さらにその上部に電極層を形成して有機電子素子32を形成できる。次いで、前記工程を経た基板31の有機電子素子32の全面を覆うように前記粘着フィルムの粘着剤を位置させる。
【0089】
次いで、ラミネート機などを用いて前記粘着剤を必要に応じて加熱して流動性を付与した状態で有機電子素子上に圧着して、粘着剤内の樹脂を架橋させて封止層を形成できる。
【0090】
一実施例において前記有機電子素子32の全面を覆うように位置される粘着剤33は、グラスまたは高分子フィルムのようなカバー基板34にあらかじめ転写された状態であり得る。カバー基板34への粘着剤の転写は、例えば、前記粘着フィルムから第1または第2フィルムを剥離した後、粘着剤を前記カバー基板34と接触させた状態で真空プレスまたは真空ラミネーターなどを使用して熱を加えながら遂行することもできる。粘着剤が熱硬化性の硬化性粘着樹脂を含む場合、前記過程で硬化反応が過度になされると、封止層の密着力乃至粘着力が減少する恐れがあるので、工程温度を約100℃以下、工程時間を5分以内に制御できる。カバー基板34は前述したバリアフィルムであり得るが、これに限定されるものではない。
【0091】
粘着剤が転写されたカバー基板34を有機電子素子32上に位置させて、前記加熱圧着工程を進行して封止層を形成できる。
【0092】
前記粘着剤層33を硬化させて封止層を形成できる。硬化工程は、例えば、硬化性粘着樹脂の硬化方式に応じて適切な加熱チャンバーまたは紫外線チャンバーで進行することができる。加熱条件または活性エネルギー線の照射条件は有機電子素子の安定性と粘着樹脂の硬化性などを考慮して適宜選択することができ、圧着効率を上げるために熱と圧力を同時に加えるオートクレーブを実行することもできる。
【0093】
前記において、有機電子装置の製造方式の一実施例について言及したが、前記有機電子装置は他の方式でも製造できる。例えば、前記のような方式で装置の製造を進行するものの、工程の順序乃至は条件などは変更することができる。例えば、粘着剤をカバー基板34にあらかじめ転写せずに、先に基板31上の有機電子素子に転写し、カバー基板34をラミネートした状態で硬化工程を進行して封止層を形成することもできる。
【発明の効果】
【0094】
本発明は外部から有機電子装置に流入する水分または、酸素を効果的に遮断できて、高温高湿などの苛酷条件での信頼性だけでなく、優秀な光特性を実現することができる粘着フィルムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0095】
図1】本発明の一実施例に係る粘着フィルムを示す断面図である。
図2】本発明の一実施例に係る粘着フィルムを示す断面図である。
図3】本発明の一実施例に係る有機電子装置の封止製品を示す断面図である。
【符号の説明】
【0096】
1,2:粘着フィルム

11:粘着剤

12:第1フィルム

21:第2フィルム

3:有機電子装置

31:基板

32:有機電子素子

33:粘着剤または封止層

34:カバー基板
【発明を実施するための形態】
【0097】
以下、本発明による実施例及び本発明によらない比較例を通して本発明をより詳細に説明するが、本発明の範囲は下記提示された実施例により制限されるものではない。
【0098】
実施例1

封止樹脂としてブチルゴム90g(ANXESS,BUTYL301)、粘着付与剤として水添DCPD系粘着付与樹脂10g(SU-90、Kolon)、活性エネルギー線重合性化合物としてトリシクロデカンジメタノールジアクリレート15g(M262、Miwon)およびラジカル開始剤として2、2-ジメトキシ-1、2-ジフェニルエタン-1-オン1g(Irgacure651、Ciba)を投入して、トルエンで固形分が15重量%程度となるように希釈してコーティング溶液を製造した。
【0099】
前記準備された溶液を離型PETの離型面に塗布して100℃のオーブンで15分間乾燥して厚さ50μmの粘着剤層を含む粘着フィルムを製造した。製造されたフィルムに紫外線を2J/cm照射したサンプルに対して物性を測定する。
【0100】
実施例2
ブチルゴム及び粘着付与樹脂100重量部対比20重量部の水分吸着剤CaO(Aldrich)を添加したことを除いては実施例1と同一にして粘着フィルムを製造した。
【0101】
比較例1
トリシクロデカンジメタノールジアクリレート15g(M262、Miwon)および2、2-ジメトキシ-1、2-ジフェニルエタン-1-オン1g(Irgacure651、Ciba)を投入せず、紫外線硬化をしなかったことを除いては実施例1と同一にして粘着フィルムを製造した。
【0102】
比較例2
トリシクロデカンジメタノールジアクリレート15g(M262、Miwon)および2、2-ジメトキシ-1、2-ジフェニルエタン-1-オン1g(Irgacure651、Ciba)の代わりにfumed silica 15g(R812、Evonik)を追加したことを除いては実施例1と同一にして粘着フィルムを製造した。
【0103】
比較例3
n-ブチルアクリレート99重量部および2-ヒドロキシエチルメタクリレート1重量部、分子量(Mw)が約180万であるアクリル粘着剤に多官能性エポキシ化合物(trimethylolpropanetriglycidylether),光陽イオン開始剤(triarylsulfoniumhexafluoroantimonate)およびガンマ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランを配合して、適正濃度に希釈してコーティング液(粘着剤組成物)を製造した。
【0104】
製造されたコーティング液を、一面が離型処理されているPET(polyethyleneterephthalate)フィルムの離型処理された面に塗布および乾燥し、紫外線を照射して架橋構造を実現させることによって、厚さ約50μmの粘着剤層を製造した。
【0105】
以下の実施例および比較例での物性は下記の方式で評価した。
【0106】
1.透湿度

実施例または、比較例で使われた樹脂を溶媒に溶解して樹脂組成物を製造した。前記樹脂組成物を厚さ38μmの基材フィルム(離型ポリエステルフィルム、RS-21G、SKC(製))に塗布した。引き続き、110℃で10分の間乾燥して、厚さが100μmである粘着フィルム状の層を製造した。その後、基材フィルムを剥離し、フィルム状の層を100゜Fおよび100%の相対湿度に位置させた状態で前記フィルム状の層の厚さ方向に対する透湿度を測定した。前記透湿度はASTMF1249での規定にしたがって測定した。
【0107】
2.信頼性評価
実施例および比較例で製造したフィルムをバリアフィルム(カバー基板の役割)にラミネーションして、さらに、バリアフィルム上に偏光板をラミネーションする。ラミネーションされたセットをグラスにラミネートして、オートクレーブを利用して50℃、5気圧の条件で加圧加熱圧着した。前記バリアフィルム上に偏光板をさらにラミネーションした後、サンプルを80℃のチャンバーにて約500時間維持しながら、グラス基板と粘着剤層の間の界面で浮きや気泡が発生したか否かを観察した。目視で、グラス基板と粘着剤層の間の界面で浮きや気泡が一つでも発生した場合をX、発生しなかった場合をOで表示した。
【0108】
3.高温維持力(押された距離)
前記実施例および比較例に係る粘着剤組成物を含む厚さ50μmの粘着剤層を基材フィルムに付着した後、ガラス板に粘着面を1cm X 1cmで付着し、常温で24時間経過した後、80℃の条件で1kg/fの荷重を1000秒の間加えた時、50秒〜200秒間で前記粘着剤層の押された距離の変化を測定する。
【0109】
【表1】
【0110】
比較例1および2は高温での維持力が顕著に低下して粘着剤層の押されが深刻となり、サンプルが押されて剥離されてしまった。
図1
図2
図3